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  • 特開-持続冷感温度調整糸及びその製造方法 図1
  • 特開-持続冷感温度調整糸及びその製造方法 図2
  • 特開-持続冷感温度調整糸及びその製造方法 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036527
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】持続冷感温度調整糸及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   D01F 8/04 20060101AFI20230307BHJP
   D01F 8/06 20060101ALI20230307BHJP
   D01F 8/12 20060101ALI20230307BHJP
   D01D 5/34 20060101ALI20230307BHJP
   D01F 8/14 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
D01F8/04 Z
D01F8/06
D01F8/12 Z
D01D5/34
D01F8/14 Z
【審査請求】有
【請求項の数】8
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022112806
(22)【出願日】2022-07-14
(31)【優先権主張番号】202111029081.4
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(71)【出願人】
【識別番号】522282623
【氏名又は名称】青▲島▼正恒祥科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】牟▲風▼彦
(72)【発明者】
【氏名】何福志
(72)【発明者】
【氏名】王巧▲玲▼
【テーマコード(参考)】
4L041
4L045
【Fターム(参考)】
4L041BA02
4L041BA05
4L041BA21
4L041BC04
4L041CA06
4L041CA19
4L041CA36
4L041CA38
4L041CB12
4L041DD18
4L041DD21
4L045AA05
4L045BA03
4L045BA18
4L045CA19
4L045CA20
4L045DB06
4L045DC01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】持続冷感温度調整糸及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明では持続冷感温度調整糸及びその製造方法を公開しており、その繊維は外皮部分2とコア部分1を含み、上記外皮部分は上記コア部分の外部を被包しており、上記コア部分はPCMまたは相変化潜熱ワックスによって作製されており、上記PCMまたは相変化潜熱ワックスの断面積のパーセンテージは上記繊維の断面積の5~70%を占めており、より多くの相変化材料PCMを繊維コア部に直接注入することを実現し、それによって紡織製品のより高い冷感値を実現することが可能となり、製品の冷感持続性を大幅に向上させてユーザの冷感体験をさらに満足させ、市場の空白を埋めている。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維が外皮部分とコア部分とを含む持続冷感温度調整糸において、前記外皮部分は前記コア部分の外部を被包しており、前記コア部分はPCM原料によって作製され、前記PCMの断面積のパーセンテージが前記繊維の断面積の5~70%を占めることを特徴とする、持続冷感温度調整糸。
【請求項2】
外皮部分がPE、PET、PAまたはPP材料によって作製されることを特徴とする、請求項1に記載の持続冷感温度調整糸。
【請求項3】
PCM原料または相変化潜熱ワックスが、融点の範囲が20~39℃のPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスであることを特徴とする、請求項1に記載の持続冷感温度調節糸。
【請求項4】
前記PCM相変化材料または相変化潜熱ワックスが、PE、PET、PA、PPとブレンド形式で存在可能な材料であることを特徴とする、請求項3に記載の持続冷感温度調節糸。
【請求項5】
請求項1~4のいずれかに記載の持続冷感温度調節糸の製造方法において、前記PE原料成分と前記PCM原料成分をそれぞれ加熱溶融装置に送り込むステップと、
その中で、前記PE原料成分を加熱スクリューに送り込み、電気加熱によって均等に溶融し、かつ前記加熱スクリューの作用下で計量ポンプに押し込むステップと、
前記PCM原料成分を撹拌装置付きの加熱容器によって完全に溶かすステップと、
必要な製品の糸番手太さの度合いに基づいて、前記PE原料成分と前記PCM原料成分の押出量を計算し、前記PE原料成分と前記PCM原料成分の前記計量ポンプの回転速度を調整することによって、前記PE原料成分と前記PCM原料成分の正確な分量を得るステップと、
前記PE原料成分と前記PCM原料成分が、前記計量ポンプの作用下で構成装置に進入し、溶融流動によりそれぞれが紡糸板に進入し、前記紡糸板内で、前記PE原料成分の前記外皮部分と、前記PCM原料成分の前記コア部分を形成し、前記外皮部分と前記コア部分を一体にして前記紡糸板から押し出し、さらに冷却し、油剤を塗布し、束ねて巻取部分に送るステップと、
前記巻取部分において、前記紡糸板から押し出された糸を第1ホットローラに巻き付けて加熱し、さらに加熱後の前記糸を第2ホットローラに送って定型を行うステップと、前記第2ホットローラと前記第1ホットローラの速度差によって前記糸を延伸するステップと、前記第2ホットローラから出てきた前記糸を集束機に送って抱合性を高めた後、前記糸を巻取ヘッド上の紙管に巻き取って完成品の糸ケーキを形成するステップと、を含むことを特徴とする、
請求項1~4のいずれかに記載の持続冷感温度調節糸の製造方法。
【請求項6】
前記PCM原料にPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスを採用することを特徴とする、請求項5に記載の持続冷感温度調節糸の製造方法。
【請求項7】
前記PE原料成分を加熱スクリューに送り込み、電気加熱によって均等に溶融し、かつ前記加熱スクリューの作用下で、10MPaの圧力によって計量ポンプに押し込むことを特徴とする、請求項5に記載の持続冷感温度調節糸の製造方法。
【請求項8】
前記完成品の糸ケーキを検査し、等級分けした後、包装して出荷することを特徴とする、請求項5に記載の持続冷感温度調節糸の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は紡織技術分野に属し、持続冷感温度調整糸及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
相変化材料(PCM)とは、温度が変化しないまま物質の状態が変化し、かつ潜熱を提供することができる物質のことを指す。現在、冷感温度調整糸の同類製品の中で、PCMの糸への応用としては、糸の中に溶け込ませる技術があるだけで、芯鞘構造はない。従来技術の冷感温度調整糸では、PCMのわずかな部分しか糸に溶け込ませることができない。例えば、糸に溶け込むことができるPCMは5%以内であり、これについては主に以下の2つの欠点がある。1、長繊維構造の実現が難しい。2、PCMを糸に溶け込ませることはできても、溶け込む量がわずか5%以内と少ないので、効果の体感において要求を満たすことができない。
【発明の概要】
【0003】
本発明は持続冷感温度調整糸及びその製造方法を提供しており、従来技術に存在する上記の欠点を克服して、より多くのPCMを糸に注入することを実現することができ、冷感をより強くし、製品の使用効果をより高めることができる。
【0004】
上記の目的を実現するために、本発明では以下の技術手法を採用している。
本発明の持続冷感温度調整糸は、その繊維が外皮部分とコア部分とを含み、上記外皮部分は上記コア部分の外部を被包しており、上記コア部分はPCM原料によって作製され、上記PCMの断面積のパーセンテージは上記繊維の断面積の5~70%を占めている。
【0005】
好適には、外皮部分はPE(ポリエチレン)、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PA(ナイロン)またはPP(ポリプロピレン)材料により作製される。
【0006】
好適には、PCM原料または相変化潜熱ワックスは、融点の範囲が20~39℃のPCM相変化材料である。
【0007】
好適には、PCM相変化材料または相変化潜熱ワックスは、PE、PET、PA、PPとブレンド形式で存在可能な材料である。
【0008】
本発明の持続冷感温度調整糸の製造方法は、
上記のPE原料成分と上記のPCM原料成分をそれぞれ加熱溶融装置に送り込むステップと、
その中で、上記PE原料成分を加熱スクリューに送り込み、電気加熱によって均等に溶融し、かつ上記加熱スクリューの作用下で計量ポンプに押し込むステップと、
上記PCM原料成分を撹拌装置付きの加熱容器によって完全に溶かすステップと、
必要な製品の糸番手太さの度合いに基づいて、上記PE原料成分と上記PCM原料成分の押出量を計算し、上記PE原料成分と上記PCM原料成分の上記計量ポンプの回転速度を調整することによって、上記PE原料成分と上記PCM原料成分の正確な分量を得るステップと、
上記PE原料成分と上記PCM原料成分が、上記計量ポンプの作用下で構成装置に進入し、溶融流動によりそれぞれが紡糸板に進入し、上記紡糸板内で、上記PE原料成分の上記外皮部分と、上記PCM原料成分の上記コア部分を形成し、上記外皮部分と上記コア部分を一体にして上記紡糸板から押し出し、さらに冷却し、油剤を塗布し、束ねて巻取部分に送るステップと、
上記巻取部分において、上記紡糸板から押し出された糸を第1ホットローラに巻き付けて加熱し、さらに加熱後の上記糸を第2ホットローラに送って定型を行うステップと、上記第2ホットローラと上記第1ホットローラの速度差によって上記糸を延伸するステップと、上記第2ホットローラから出てきた上記糸を集束機に送って抱合性を高めた後、上記糸を巻取ヘッド上の紙管に巻き取って完成品の糸ケーキを形成するステップと、を含む。
【0009】
好適には、上記PCM原料にはPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスを採用する。
好適には、上記PE原料成分を加熱スクリューに送り込み、電気加熱によって均等に溶融し、かつ上記加熱スクリューの作用下で、10MPaの圧力によって計量ポンプに押し込む。
【0010】
好適には、上記完成品の糸ケーキを検査して等級分けし、その後、包装して出荷する。
【0011】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
本発明の持続冷感温度調整糸及びその製造方法は、より多くのPCM原料、またはより多くのPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスを繊維コア部に直接注入することを実現し、それによって紡織製品のより高い冷感値を実現し、製品の冷感持続性を大幅に向上させてユーザの冷感体験をより満足させ、市場の空白を埋めることができる。
【0012】
ここで説明する図面は、本発明に対するさらなる理解を提供するためのものであり、本発明の一部を構成している。本発明の概略的な実施例及びその説明は、本発明を解釈するために用いられるものであり、本発明に対する不当な限定を構成するものではない。図面において、図中、1は外皮部分、2はコア部分である。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の持続冷感温度調整糸の構造概略図である。
図2】本発明の持続冷感温度調整糸の部分断面図である。
図3】本発明の持続冷感温度調整糸の製造方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の目的、技術手法及び長所をより明確にするために、以下では、本発明の具体的な実施例及び対応する図面と結び付けて、本発明の技術手法について明確かつ完全な記述を行うものとする。記述されている実施例は本発明の一部の実施例であって、すべての実施例ではないことは明らかである。本発明の実施例を基に、当業者が創造的な労働を行っていないことを前提に獲得したその他の実施例は、すべて本発明の保護範囲に属する。
【0015】
以下では、図面と結び付けて、本発明の各実施例で提供する技術手法を詳細に説明する。
【0016】
実施例1
図1及び図2に示すように、持続冷感温度調整糸は、その繊維が外皮部分1とコア部分2を含み、上記外皮部分1は上記コア部分2の外部を被包しており、上記コア部分2はPCM原料によって作製され、上記PCMの断面積のパーセンテージは上記繊維の断面積の5~70%を占めている。
【0017】
例えば、上記PCMまたは相変化潜熱ワックスの断面積のパーセンテージは、上記繊維の断面積の5%、15%、30%、45%、60%または70%を占める。
【0018】
好適には、外皮部分1はPE、PET、PAまたはPP材料により作製される。
好適には、PCM原料または相変化潜熱ワックスは、融点の範囲が20~39℃のPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスである。例えば、PCMまたは相変化潜熱ワックスの融点は20℃、25℃、30℃、35℃または39℃であってよい。
【0019】
好適には、PCM相変化材料または相変化潜熱ワックスは、PE、PET、PA、PPとブレンド形式で存在可能な材料である。
【0020】
実施例2
図3に示すように、持続冷感温度調整糸の製造方法は、
上記PE原料成分と上記PCM原料成分をそれぞれ加熱溶融装置に送り込むステップと、
その中で、上記PE原料成分を加熱スクリューに送り込み、電気加熱によって均等に溶融し、かつ上記加熱スクリューの作用下で計量ポンプに押し込むステップと、
上記PCM原料成分を撹拌装置付きの加熱容器によって完全に溶かすステップと、
必要な製品の糸番手太さの度合いに基づいて、上記PE原料成分と上記PCM原料成分の押出量を計算し、上記PE原料成分と上記PCM原料成分の上記計量ポンプの回転速度を調整することによって、上記PE原料成分と上記PCM原料成分の正確な分量を得るステップと、
上記PE原料成分と上記PCM原料成分が、上記計量ポンプの作用下で構成装置に進入し、溶融流動によりそれぞれが紡糸板に進入し、上記紡糸板内で、上記PE原料成分の上記外皮部分1と、上記PCM原料成分の上記コア部分2を形成し、上記外皮部分1と上記コア部分2を一体にして上記紡糸板から押し出し、さらに冷却し、油剤を塗布し、束ねて巻取部分に送るステップと、
上記巻取部分において、上記紡糸板から押し出された糸を第1ホットローラに巻き付けて加熱し、さらに加熱後の上記糸を第2ホットローラに送って定型を行うステップと、上記第2ホットローラと上記第1ホットローラの速度差によって上記糸を延伸するステップと、上記第2ホットローラから出てきた上記糸を集束機に送って抱合性を高めた後、上記糸を巻取ヘッド上の紙管に巻き取って完成品の糸ケーキを形成するステップと、を含む。
【0021】
好適には、上記PCM原料にはPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスを採用する。
好適には、上記PE原料成分を加熱スクリューに送り込み、電気加熱によって均等に溶融し、かつ上記加熱スクリューの作用下で、10MPaの圧力によって計量ポンプに押し込む。
好適には、上記完成品の糸ケーキを検査して等級分けし、その後、包装して出荷する。
【0022】
好適には、必要な製品の糸番手太さの度合いは、50D、75Dまたは150Dなどであってよい。
【0023】
好適には、上記構成装置はメインボックス内に設置されている。
好適には、上記メインボックス内には上記PE原料成分の上記計量ポンプと、上記構成装置と、上記紡糸板が設置されている。
【0024】
好適には、上記メインボックスにはさらにサブボックスが配備されており、上記サブボックス内には上記PCM相変化材料の原料または相変化潜熱ワックス成分の上記計量ポンプが設置されている。
【0025】
上記の実施例の持続冷感温度調整糸及びその製造方法では、その持続冷感温度調整糸に芯鞘(シースコア)構造を採用しており、表層にはポリエチレン材質を採用し、コア部のキャビティ内部にPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスを注入している。PCM相変化材料または相変化潜熱ワックスは人体の熱エネルギーを吸収することができるため、上記の実施例の持続冷感温度調整糸の製造方法を通して製造された糸は、生地として織られた後、人体が該生地に接触すると、そのコア部のPCM相変化材料または相変化潜熱ワックスが表層ポリエチレンを通して発熱体の熱量を吸収することによって、人に清涼感を感じさせ続けることができる。上記の実施例の持続冷感温度調節糸の製造方法により、PCM相変化材料または相変化潜熱ワックスを糸のコア部に最大限に注入することができるので、製造された紡織製品は、製品の冷感値が向上し、しかも持続的冷感という目的も達成することができている。
【0026】
上で述べているのは本出願の実施例にすぎず、本出願の限定に用いるものではない。当業者であれば、本出願を様々に修正、変更することはできるが、本出願の主旨及び原理内で行われる修正、同等の置換、改良などは、いずれも本出願の特許請求の範囲内に含まれるものとする。
図1
図2
図3
【外国語明細書】