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特開2023-36531適合させることが可能なX線分析装置、X線分析装置を制御する方法、及びコンピュータプログラム製品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036531
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】適合させることが可能なX線分析装置、X線分析装置を制御する方法、及びコンピュータプログラム製品
(51)【国際特許分類】
   G01N 23/223 20060101AFI20230307BHJP
   G01N 23/2206 20180101ALI20230307BHJP
   G01N 23/20008 20180101ALI20230307BHJP
   H05G 1/52 20060101ALI20230307BHJP
   H01J 35/14 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G01N23/223
G01N23/2206
G01N23/20008
H05G1/52 A
H01J35/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022121495
(22)【出願日】2022-07-29
(31)【優先権主張番号】21194395.6
(32)【優先日】2021-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】503310327
【氏名又は名称】マルバーン パナリティカル ビー ヴィ
(74)【代理人】
【識別番号】110000176
【氏名又は名称】弁理士法人一色国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】デトレフ ベッカーズ
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー ハルチェンコ
(72)【発明者】
【氏名】ミレン ガテシュキ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】複数の異なる種類のX線分析アプリケーションに適合させることが可能なX線分析装置及びX線分析方法を提供する。
【解決手段】X線分析装置は、試料にX線を照射するためのX線源3を備え、X線源は、固体陽極7と、電子ビームを放出する陰極9とを備え、電子ビームを陽極に集束させる集束装置15と、制御装置5とを更に備える。制御装置は、X線分析アプリケーション情報を受け取るように構成されており、且つ、このX線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかにおいて選択的に動作させるようにX線分析装置を制御する。第1X線分析モードでは、X線源は第1の動作電力で動作し、且つ、実効焦点の大きさは100μm未満である。第2X線分析モードでは、X線源は、第1の動作電力より高い第2の動作電力で動作し、実効焦点の面積は第1X線分析モードにおける実効焦点の面積より大きい。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線回折及びX線蛍光の少なくとも一方を測定することによって試料を分析するために、複数のX線分析アプリケーションを実行するX線分析装置であって、
前記X線分析装置は、
前記試料にX線を照射するためのX線源であって、固体陽極と、電子ビームを放出する陰極とを備えたX線源と、
前記電子ビームを前記陽極に集束させる集束装置と、
制御装置であって、
X線分析アプリケーション情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記X線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかにおいて選択的に動作させるために、該X線分析装置を制御するよう構成されている
制御装置と、
を備え、
前記第1X線分析モードにおいて、前記X線源は、
第1の動作電力で、第1の動作電圧で、動作するように制御され、且つ、
実効焦点の大きさは、100μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記X線源は、
第2の動作電力で、第2の動作電圧で、動作するように制御され、
前記第2の動作電力は、前記第1の動作電力より大きく、
前記実効焦点の面積は、前記第1X線分析モードにおける前記実効焦点の面積より大きい、
X線分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線分析装置であって、
前記X線源は、
前記第1X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさが55μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記実効焦点の大きさが60μm超である、
X線分析装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のX線分析装置であって、
前記X線分析装置は、前記X線源からのX線を受光するように配置された第1の交換可能なX線光学素子を更に備える、
X線分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線分析装置であって、
前記制御装置は、前記第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記制御装置は、前記第1の交換可能なX線光学素子を特定する前記情報に基づいて、前記第1X線分析モード又は前記第2X線分析モードのいずれかで前記X線分析装置を動作させるように構成されている、
X線分析装置。
【請求項5】
請求項1~4の何れか一項に記載のX線分析装置であって、
前記実効焦点は、前記第1X線分析モード及び前記第2X線分析モードの両方において、2.0超の縦横比を有し、
前記制御装置は、
試料情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記試料情報に基づいて、前記第1X線分析モード又は前記第2X線分析モードで、前記X線分析装置を動作させるように構成されている、
X線分析装置。
【請求項6】
請求項1~4の何れか一項に記載のX線分析装置であって、
前記第1X線分析モードにおいて、
前記実効焦点の大きさは、40μm未満であり、
前記実効焦点の縦横比は、1.5未満であり、
前記第1の動作電力は、50W未満である、
X線分析装置。
【請求項7】
請求項1~4又は請求項6の何れか一項に記載のX線分析装置であって、
前記第2X線分析モードにおいて、
前記実効焦点の大きさは、前記第1X線分析モードの場合より大きく、60μm超であり、
前記実効焦点の縦横比は、1.5未満であり、
前記第2の動作電力は、50W超である、
X線分析装置。
【請求項8】
請求項1~4又は6の何れか一項に記載のX線分析装置であって、
前記第1X線分析モードにおいて、前記実効焦点は、1.5未満の縦横比を有し、
前記第2X線分析モードにおいて、前記実効焦点は細長く、且つ、2.0超の縦横比を有する、
X線分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載のX線分析装置であって、
前記第2X線分析モードにおいて、
前記実効焦点の大きさは、60μm超であり、
前記第2の動作電力は、50W超である、
X線分析装置。
【請求項10】
請求項1~9の何れか一項に記載のX線分析装置であって、
前記第2X線分析モードにおける前記実効焦点の大きさは、100μm超であり、
前記第2の動作電力は、100W以上である、
X線分析装置。
【請求項11】
請求項1~10の何れか一項に記載のX線分析装置であって、
前記試料を支持する試料ステージであって、入射ビーム経路に沿って方向付けられたX線を前記X線源が前記試料に照射するように配置されている試料ステージと、
前記試料によって散乱された又は前記試料から放出されたX線を受光するように配置されている検出器と
を更に備える、
X線分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載のX線分析装置であって、
前記X線分析装置は、第1の交換可能なX線光学素子を備え、
前記X線分析装置は、第1のアクチュエータを更に備え、
前記第1のアクチュエータは、ビーム内位置とビーム外位置との間で前記第1の交換可能なX線光学素子を移動させるように構成されており、
前記ビーム内位置は、前記第1の交換可能なX線光学素子が前記入射ビーム経路内に配置されているときの位置であり、
前記ビーム外位置は、前記第1の交換可能なX線光学素子が前記入射ビーム経路外に配置されているときの位置であり、
前記制御装置は、
前記第1の交換可能なX線光学素子の位置を特定する情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記第1の交換可能なX線光学素子の前記位置に基づいて、前記第1X線分析モード又は前記第2X線分析モードで前記X線分析装置を動作させるように構成されている、
X線分析装置。
【請求項13】
請求項1~12の何れか一項に記載のX線分析装置を制御する方法であって、
X線分析アプリケーション情報を制御装置が受け取るステップと、
前記X線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードを選択するステップと、
前記選択されたモードで動作するように前記X線源を制御するステップと、
を含み、
前記第1X線分析モードにおいて、前記X線源は、
第1の動作電力で動作するように制御され、且つ、
実効焦点の大きさは、100μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記X線源は、
前記第1の動作電力より高い第2の動作電力で動作するように制御され、
前記実効焦点の面積は、前記第1X線分析モードにおける前記実効焦点の面積より大きい、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記X線源は、
前記第1X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさが55μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記実効焦点の大きさが60μm超である、
方法。
【請求項15】
複数のプログラム命令が記憶されている、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品であって、
前記複数のプログラム命令は、
請求項1~12の何れか一項に記載のX線分析装置に、
請求項13又は14に記載の方法の前記ステップを実行させる、
コンピュータプログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線分析用の装置及び方法に関する。各実施形態は、特に、複数のX線分析アプリケーションを実行するためのX線分析装置に関する。より具体的には、各実施形態は、X線回折、X線散乱、又はX線蛍光によって試料の分析をするためのX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線発生デバイス(例えばX線管)は、陰極と陽極とを備えている。陰極は、陽極の表面に電子ビームを照射するように配置され、X線が被照射領域から放出される。陽極の被照射領域は、焦点として知られている。
【0003】
X線管には回転陽極を有するものもあり、この陽極は、動作中に回転する。また、他のX線管には固定陽極を有するものもあり、この固定陽極は、動作中も静止している。
【0004】
一般に、X線管は、その内部に陰極と陽極とを有するハウジングを備える。構成によっては、電子ビームが照射される陽極の表面は、電子ビームに対して斜めに傾斜している。このような構成においては、X線管から放出されたX線ビームを測定する測定デバイスから見たときの焦点の大きさ(「実効焦点」として知られている)は、陽極の被照射領域の大きさとは異なる。実効焦点の大きさは、欧州規格EN12543:1999(パート1~5)に従って測定可能である。
【0005】
従来の固体陽極X線管の場合、陽極の損傷を回避するために、動作中の陽極の表面温度を陽極の融点よりはるかに(例えば摂氏100℃超)低くする必要がある。この理由から、実効焦点の面積と最適動作電力の設定との間の兼ね合いが存在し得る。例えば、一部のアプリケーションでは、面積が小さい焦点を用いることが望ましい。これに対応するために、陽極の損傷を回避しながら、小焦点のX線管に適した最大電力は、より大きな焦点を有するX線管よりも、相対的に低い。
【0006】
X線管の最適動作電力の設定は、陽極と陰極との間の電圧降下(動作電圧、kV)と、放出電流(mA)即ち陰極から陽極への電子の流れとの組み合わせであり、一般に、製造工程の一部として決定される。最適動作電力の設定には、電子ビームの挙動に影響し得る様々な要因が考慮される。そのような要因の1つには、陽極と陰極とを取り囲むX線管の内部形状が挙げられる。そのため、個々のX線管はそれぞれ、一般に、対応付けられた動作電力を有し、この動作電力は製造時に決められる(例えば、X線管は「50WのX線管」であることもある)。これにより、ユーザは、X線管の機能を正確に確保しつつ、信頼性及び耐久性も保証するように、X線管を動作させることができる。
【0007】
ユーザは、一般に、実行対象の特定のX線分析アプリケーションに基づいて、X線分析装置用のX線管を選択する。このようにして、ユーザは、関連のX線分析アプリケーションに適したX線管を選択することができる。大きな試料に対する粉末回折などのあるX線分析アプリケーションでは、大きな焦点を有するX線ビームを用いて実行できるので、相対的に高い強度の測定が可能である。ただし、別のX線分析アプリケーションでは、小焦点のX線管(例えば、実効焦点の大きさが300μm未満のX線管)を用いることが必要となる。焦点が小さいということは、X線管が相対的に低い動作電力で作動されるので、相対的に低い強度の測定が行われることを意味する。例えば、2次元小角X線散乱(2DSAXS:two-dimensional small angle X-ray scattering)、斜入射小角X線散乱(GISAXS:grazing incidence small angle X-ray scattering)、及び微細回折測定などのX線回折アプリケーションは、何れも、一般に、微小焦点のX線管(実効焦点の大きさが100μm未満のX線管)を用いて実行される。あるいは、これらアプリケーションは、より大きな実効焦点を有するX線管をコリメータ光学素子と組み合わせて用いることによって実行可能になる。このコリメータ光学素子は、試料に照射される前のX線ビームの大きさを縮小して強度を著しく弱めるものである。
【0008】
小焦点のX線管は、一般に、特定のX線分析アプリケーションに必要な光学素子に直接結合される(すなわち、固定される)。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
1つのX線分析装置を使用して、このX線分析装置の再構成する必要性を最小限に抑えながら、異なる種類のX線分析アプリケーションを複数実行できることが望ましいだろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の態様の1つによれば、X線回折及びX線蛍光の少なくとも一方の測定によって試料を分析するために、複数のX線分析アプリケーションを実行するX線分析装置が提供される。X線分析装置は、
試料にX線を照射するためのX線源であって、固体陽極と、電子ビームを放出する陰極とを備えたX線源と、
電子ビームを陽極に集束させる集束装置と、
制御装置であって、X線分析アプリケーション情報を受け取るように構成されており、且つ、このX線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかにおいて選択的に動作させるために、X線分析装置を制御するように構成されている制御装置と、
を備え、
第1X線分析モードにおいて、X線源は、第1の動作電力で、第1の動作電圧で、動作するように制御され、且つ、実効焦点の大きさは100μm未満であり、
第2X線分析モードにおいて、X線源は、第2の動作電力で、第2の動作電圧で、動作するように制御され、第2の動作電力は第1の動作電力より大きく、実効焦点の面積は、第1X線分析モードにおける実効焦点の面積より大きい。
【0011】
制御装置は、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかで動作させるためにX線分析装置を制御するように構成されている。制御装置は、X線分析アプリケーションに関する情報を受け取る入力部を備えてもよい。X線分析アプリケーションは、X線回折アプリケーション、X線蛍光アプリケーション、又は、X線回折分析及びX線蛍光分析の両方を組み合わせたアプリケーションであってもよい。
【0012】
動作電圧とは、電子を陰極から陽極に移動させるために、陽極と陰極との間に印加される高電圧を指す。第1の動作電圧は、第2の動作電圧と等しくてもよく、異なってもよい。一部の実施形態においては、第1の動作電圧は60kVであり、第2の動作電圧は60kVである。一部の実施形態において、第1X線分析モードの実効焦点の大きさは、第2X線分析モードの実効焦点の大きさより小さい。X線分析アプリケーション情報とは、実行対象のX線分析アプリケーションの種類に関する情報である。X線分析アプリケーション情報は、X線分析アプリケーションにおいて使用される入射ビームX線光学素子に関する情報でもよい。例えば、制御装置は、X線光学素子を特定する情報に基づいて、X線分析装置を第1又は第2X線分析モードで動作させるように構成されてもよい。あるいは、制御装置は、X線光学素子に関する他の情報(例えば、X線光学素子がX線ビームを受光するように配置されているか否か)に基づいて、X線分析装置を第1又は第2X線分析モードで動作させるように構成されてもよい。
【0013】
一部の実施形態において、X線分析アプリケーション情報は、X線分析アプリケーションを特定する情報を含んでもよい。一部の実施形態において、X線分析アプリケーション情報は、試料に関する情報、例えば試料の大きさを含んでもよい。
【0014】
実効焦点の大きさは、実効焦点の長さ(l)又は幅(w)のうち大きい方によって決まる。実効焦点の面積は、測定された長さと測定された幅との積である。ほぼ円形の焦点の場合、長さ及び幅を求めるために、直径が測定される。
【0015】
陽極は、固定陽極にしてもよい。すなわち、陽極は、動作中にその軸線を中心に回転する回転陽極とは対照的に、動作中に静止している。
【0016】
実効焦点とは、X線ビームにおいて観察される焦点であり、陽極の被照射領域に等しい寸法を有してもよく有さなくてもよい。
【0017】
一部の実施形態において、X線源は、第1X線分析モードにおいて実効焦点の大きさが55μm未満であり、第2X線分析モードにおいて実効焦点の大きさが60μmより大きい。
【0018】
一部の実施形態において、第1X線分析モードにおける実効焦点は、ほぼ円形(又は正方形)であってもよい。これらの実施形態において、実効焦点の直径(又は長さ)は55μm未満である。第2X線分析モードにおいて、実効焦点は、「線状」であってもよく、すなわち、矩形又は楕円形であってもよい。この実効焦点の幅及び長さの一方は、第2X線分析モードにおける実効焦点の面積が第1X線分析モードにおける実効焦点の面積より大きい限り、60μm超であってもよい。あるいは、第2X線分析モードにおいては、実効焦点の幅及び長さの両方が60μm超であってもよい。
【0019】
本X線分析装置は、X線源からのX線を受光するように配置された第1の交換可能なX線光学素子を更に備えてもよい。
【0020】
第1の交換可能なX線光学素子は、X線源と試料との間に配置されていてもよい。この点に関して、X線光学素子は、X線源に対して固定されておらず、したがって交換可能である。
【0021】
制御装置は、第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報を受け取るように構成されてもよい。また、制御装置は、第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかでX線分析装置を動作させるように構成されている。
【0022】
X線分析アプリケーション情報は、X線分析アプリケーションの名前であってもよく、この名前は、X線分析アプリケーション用に使用されるX線光学素子と1対1で対応してもよい。このようにして、X線分析アプリケーションの名前により、X線光学素子を特定してもよい。交換可能な光学素子は、手動で交換されるように構成されてもよい。X線分析装置は、第2の交換可能なX線光学素子を更に備えてもよい。制御装置は、第2の交換可能なX線光学素子を特定する情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかでX線分析装置を動作させるように構成されてもよい。
【0023】
一部の実施形態において、実効焦点は、第1X線分析モード及び第2X線分析モードの両方において、2.0超の縦横比を有してもよい。制御装置は、試料情報を受け取るように構成され、且つ、この試料情報に基づいて第1X線分析モード又は第2X線分析モードでX線分析装置を動作させるように構成されてもよい。
【0024】
この試料情報は、試料の寸法、又は、分析対象の試料の種類、又は、試料に対して実施される分析の種類に関するものであってもよい。縦横比とは、実効焦点の大きさと、長さ及び幅のうちのもう一方との比である。例えば、実効焦点の大きさが焦点の長さによって決まる場合、縦横比は長さ対幅の比である。
【0025】
一部の実施形態では、第1X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさは、40μm未満であってもよい。実効焦点の縦横比は、1.5未満であってもよい。第1の動作電力は、50W未満であってもよい。
【0026】
場合によっては、実効焦点の大きさは、25μm未満であってもよい。このX線分析モードは、多層2次元ミラーと組み合わせての使用に適合させることができ、多層2次元ミラーは、2次元小角X線散乱(2DSAXS)、斜入射小角X線散乱(GISAXS)、微細回折、及びコンピュータ断層撮影などのX線分析アプリケーションで使用される。
【0027】
一部の実施形態では、第2X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさは、第1X線分析モードの場合より大きく、60μm超であってもよい。実効焦点の縦横比は、1.5未満であってもよい。第2の動作電力は、50W超であってもよい。
【0028】
このモードは、応力及びテクスチャ測定などのX線分析アプリケーションにおいて使用可能なモノキャピラリコリメータ又はポリキャピラリコリメータと組み合わせての使用に特に適合させることができる。
【0029】
一部の実施形態において、第1X線分析モードにおいて、実効焦点は、1.5未満の縦横比を有してもよい。第2X線分析モードにおいて、実効焦点は、細長くなってもよく、且つ、2.0超の縦横比を有してもよい。
【0030】
一部の実施形態において、第2X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさは、60μm超であってもよく、且つ、第2の動作電力は、50W超であってもよい。このモードは、コリメータスリット、1次元ミラー、又はハイブリッドモノクロメータと組み合わせての使用に特に適合させることができる。
【0031】
一部の実施形態において、第2X線分析モードにおける実効焦点の大きさは100μmであってもよく、且つ、第2の動作電力は100W以上であってもよい。したがって、第2X線分析モードにおいて、X線源は、微小焦点を形成可能なX線管に一般的な動作電力より著しく大きい動作電力で動作可能である。
【0032】
一部の実施形態において、X線分析装置は、
試料を支持する試料ステージであって、入射ビーム経路に沿って方向付けられたX線を、X線源が試料に照射するように配置されている試料ステージと、
試料によって散乱された又は試料から放出されたX線を受光するように配置されている検出器と
を更に備えてもよい。
【0033】
したがって、X線分析装置は、XRF分析、X線散乱分析、XRD分析、コンピュータ断層撮影、又はX線撮像のために構成される。
【0034】
X線分析装置は、第1の交換可能なX線光学素子を備えてもよい。X線分析装置は、第1のアクチュエータを更に備えてもよく、この第1のアクチュエータは、ビーム内位置とビーム外位置との間で第1の交換可能なX線光学素子を移動させるように構成されており、ビーム内位置は、第1の交換可能なX線光学素子が入射ビーム経路内に配置されているときの位置であり、ビーム外位置は、第1の交換可能なX線光学素子が入射ビーム経路外に配置されているときの位置である。この場合、制御装置は、第1の交換可能なX線光学素子の位置を特定する情報を受け取るように構成されており、且つ、第1の交換可能なX線光学素子の位置に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードでX線分析装置を動作させるように構成されている。
【0035】
X線分析装置は、第1の交換可能なX線光学素子と異なる第2の交換可能なX線光学素子を更に備えてもよい。X線分析装置は、第2の交換可能なX線光学素子が入射ビーム経路内に配置されるビーム内位置と、第2の交換可能なX線光学素子が入射ビーム経路外に配置されるビーム外位置との間で、第2の交換可能なX線光学素子を移動させるように構成されてもよい。制御装置は、第2のX線光学素子の位置を特定する情報を受け取るように構成されており、且つ、第2の交換可能なX線光学素子の位置に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードでX線分析装置を動作させるように構成されていてもよい。この情報は、ユーザによって入力されてもよく、又は、各光学素子のうち少なくとも1つがビーム内位置にあるかどうかを判定するように構成されたセンサによって、制御装置に送られてもよい。制御装置は、第1の交換可能なX線光学素子がそのビーム内位置にあり且つ第2の交換可能なX線光学素子がそのビーム外位置にあるときに、X線分析装置を第1X線分析モードで動作させるように構成されており、且つ、第2の交換可能なX線光学素子がそのビーム内位置にあり且つ第1の交換可能なX線光学素子がそのビーム外位置にあるときに、X線分析装置を第2X線分析モードで動作させるように構成されていてもよい。
【0036】
本発明の態様の1つによれば、上記のようにX線分析装置を制御する方法が提供される。本方法は、
X線分析アプリケーション情報を制御装置が受け取るステップと、
このX線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードを選択するステップと、
選択されたモードで動作するようにX線源を制御するステップと、
を含み、
第1X線分析モードにおいて、X線源は、第1の動作電力で動作するように制御され、且つ、実効焦点の大きさは100μm未満であり、
第2X線分析モードにおいて、X線源は、第1の動作電力より高い第2の動作電力で動作するように制御され、実効焦点の面積は、第1X線分析モードにおける実効焦点の面積より大きい。
【0037】
X線分析アプリケーションを特定する情報は、第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報、又は、第1の交換可能なX線光学素子及び第2の交換可能なX線光学素子の少なくとも一方の位置を特定する情報、を含んでもよい。
【0038】
一部の実施形態では、X線源は、第1X線分析モードにおいて実効焦点の大きさが55μm未満であってもよく、第2X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさが60μm超であってもよい。
【0039】
本方法は、第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報を受け取るステップと、第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードで動作するようにX線分析装置を制御するステップとを含んでもよい。
【0040】
実効焦点は、第1X線分析モード及び第2X線分析モードの両方において、2.0超の縦横比を有してもよい。本方法は、試料情報を受け取るステップと、この試料情報に基づいて第1X線分析モード又は第2X線分析モードで動作するようにX線分析装置を制御するステップとを含んでもよい。
【0041】
第1X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさは、40μm未満であってもよい。実効焦点の縦横比は、1.5未満であってもよい。第1の動作電力は、50W未満であってもよい。
【0042】
第2X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさは、第1X線分析モードの場合より大きく、60μm超であってもよい。実効焦点の縦横比は、1.5未満であってもよい。第2の動作電力は、50W超であってもよい。
【0043】
第1X線分析モードにおいて、実効焦点は、1.5未満の縦横比を有してもよい。第2X線分析モードにおいて、実効焦点は、細長くなってもよく、且つ、2.0超の縦横比を有してもよい。
【0044】
第2X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさは、60μm超であってもよい。第2の動作電力は、50W超であってもよい。
【0045】
第2X線分析モードにおける実効焦点の大きさは、100μm超であってもよい。第2の動作電力は、100W以上であってもよい。
【0046】
X線源は、入射ビーム経路に沿って方向付けられたX線を試料に照射してもよい。検出器は、試料によって散乱された又は試料から放出されたX線を受光してもよい。
【0047】
制御装置は、第1の交換可能なX線光学素子の位置を特定する情報を受け取ってもよい。また、制御装置は、第1の交換可能なX線光学素子の位置に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードで動作するようにX線分析装置を制御してもよい。
【0048】
本発明の態様の1つによれば、複数のプログラム命令が記憶されている、有形の非一時的コンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品が提供される。これらのプログラム命令は、上記のX線分析装置に上記方法のステップを実行させる。
【0049】
プログラム命令は、上記のX線分析装置に上記方法の何れかを実行させてもよい。
【0050】
次に、本発明の実施形態を、添付の図面を参照し、例示して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0051】
図1】本発明の実施形態の1つにおけるX線分析装置を示す概略図である。
図2】本発明の別の実施形態におけるX線分析装置を示す概略図である。
図3】X線分析装置のさまざまなモードの実効焦点の例示的形状を示す概略図である。
図4】本発明の実施形態の1つにおけるX線分析方法を示す図である。
図5】X線管の実効焦点の大きさを測定するための構成を示す図である。
図6】実効焦点の長さを測定するために長さ方向に行われた被検査体のラインスキャンを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0052】
これらの図は、図式的なものであり、縮尺通りに描いていないことに留意すべきである。これらの図の一部の相対的寸法及び比率は、図面における明確さ及び利便性のため、サイズを誇張して又は縮小して示している。
【0053】
図1は、X線源3と制御装置5とを備える線分析装置1を示す。図1には示されていないが、X線分析装置1は、分析対象の試料を支持するための試料ステージと、X線検出器とを、更に備えてもよいことが理解されるだろう。
【0054】
図1を参照すると、X線源3(すなわちX線管)は、固体陽極7と陰極9とを有し、これらは密閉されたハウジング11に封入されている。ハウジング11は、窓13を有し、この窓13は、陽極7からのX線14をハウジングから出せるように配置されている。陽極7は、回転陽極ではなく、固定陽極である。すなわち、陽極7は位置が固定されており、ハウジング11に対して静止している。上記のように、陽極7は、液体型陽極ではなく、固体である(比較のために、X線源によっては、動作中に陰極が材料の液体噴射を放射するように設計された液体型陽極を有するものもある)。
【0055】
一部の実施形態において、陰極9は、巻かれたタングステンフィラメントであり、陽極7は銅を含む。ただし、陽極7及び陰極9のいずれか一方又は両方が、代替となる材料を含んでもよい。例えば、陽極7は、銅、クロム、コバルトモリブデン、銀、金、ロジウム、鉄、又はタングステンを含んでもよい。
【0056】
図1に示されている実施形態において、集束装置15は、陽極7と陰極9との間の、ハウジング11の内部に位置する。集束装置15は、陰極9から放出された電子を陽極7に向けて案内するようにハウジング11の内部の電場に影響を及ぼすよう構成されており、更には、電子が照射された陽極7の領域の形状及び大きさの少なくとも一方に影響を及ぼすよう構成されている。例えば、図1に模式的に示されているように、集束装置は複数の金属格子を備えてもよい。しかしながら、これの代わりに、単一の金属格子を使用してもよいこと、又は、代替となる集束デバイスを使用可能であることを、当業者は理解するだろう。例えば、集束装置は、X線を集束させるために磁場(四重極磁場等)を使用する磁気集束装置でもよい。X線管の内部の電場を調整するために、特に陽極7に照射される電子ビームの近傍の電場を調整するために、格子に供給される電圧を変化させてもよい。
【0057】
X線源3は、制御用電子回路17を更に備え、この制御用電子回路17は、(陰極に供給される電流や動作電圧を調整することにより)X線管の動作電圧、X線管の放出電流を含むさまざまな動作パラメータを調整し、且つ、集束装置15に印加される電圧など、集束装置15の制御パラメータを調整するためのものである。
【0058】
各実施形態において、X線分析装置は、少なくとも2つのモードで動作するように制御される。第1X線分析モードにおいては、実効焦点の大きさは100μm未満である。したがって、X線源は、微小焦点X線源を必要とするX線分析アプリケーションのために使用可能である。第2X線分析モードにおいては、X線管の動作電力は増加される。さらに、陽極の被照射領域が拡大する(したがって、X線管から放出されたX線ビームを測定する測定デバイスから見たときの焦点の面積、すなわち実効焦点の面積、も拡大する)。このように、このX線管は、さまざまなX線分析アプリケーションのために使い勝手よく使用可能でありつつ、X線管(特に陽極)の損傷の危険を軽減する。微小焦点を必要とするX線分析アプリケーションの場合、X線分析装置は、第1X線分析モードにおいて、適切な動作電力設定で作動される。さらに、異なるX線分析アプリケーション用に、より大きな焦点が必要とされる場合、X線分析装置は第2X線分析モードで作動される。換言すると、X線分析装置は、陽極上の小さな点にビームを集束させる第1のモードか、又は、陽極上のより大きな点にビームをデフォーカス(de-focus)させる第2のモードで、作動させることができる。
【0059】
X線分析装置1は、X線源3のほかに、制御用電子回路17と通信する制御装置5を備える。制御装置5は、X線分析モード情報を記憶するメモリ19と、X線分析アプリケーション情報を受け取る入力部21と、受け取られたX線分析アプリケーション情報に応じてX線管のX線分析モードを選択するプロセッサ23とを備える。X線分析モード情報は、少なくとも2つのX線分析モード用の動作パラメータ値を含む。制御装置5は、制御装置5が選択したX線分析モードに応じて、X線管の制御用電子回路17にX線管を操作させるよう構成されている。
【0060】
一部の実施形態において、実効焦点の縦横比は、第1X線分析モード及び第2X線分析モードの両方において、1.5未満である。例えば、第1X線分析モードにおいて、焦点はほぼ円形であってもよく、実効焦点は直径20μmを有してもよく、X線管の動作電力は50W以下であってもよい。第2X線分析モードにおいて、実効焦点の直径は40μmであってもよい。したがって、第2X線分析モードにおける実効焦点の面積は、第1X線分析モードの場合より著しく大きい。これにより、第2X線分析モードにおいては、X線管の損傷を引き起こさずに、動作電力を増大させることが可能となる。このようにして、X線分析アプリケーションは、焦点の大きさに合わせて動作電力を調整して、さまざまな大きさの焦点を使用しやすくする。
【0061】
同様に、実効焦点は細長くてもよい。第1X線分析モードにおいて、実効焦点は最大寸法(長さ/幅)20μmを有してもよく、X線管の動作電力は50W以下であってもよい。第2X線分析モードにおいて、実効焦点の最大寸法(長さ/幅)は40μmであってもよい。第2X線分析モードにおける実効焦点の面積は、第1X線分析モードの場合より著しく大きい。これにより、第2X線分析モードにおいては、X線管の損傷を引き起こさずに、動作電力を増大させることが可能となる。このようにして、X線分析アプリケーションは、焦点の大きさに合わせて動作電力を調整して、さまざまな大きさの焦点を使用しやすくする。
【0062】
一部の実施形態において、第1X線分析モードは、縦横比(長さと幅のうちの大きい方とそのもう一方との比)が1に近い(すなわち、1と1.5の間の)実効焦点を有してもよい。しかしながら、第2X線分析モードにおいては、実効焦点は細長くなってもよい。すなわち、その実効焦点は、2.0以上の縦横比を有してもよい。このようにして、線状の焦点を必要とするX線分析アプリケーションと、線状の焦点が望ましくないか又は適切ではないX線分析アプリケーションとの両方に、X線分析装置を使用することができる。
【0063】
一部の実施形態においては、第1X線分析モード及び第2X線分析モードの両方が細長い実効焦点を有する。実効焦点の縦横比は、第1X線分析モードより第2X線分析モードの方が大きくてもよい。
【0064】
発明者らが認識したことは、陰極からの電子ビームに影響を及ぼすように構成された集束装置と共に、固体の固定陽極を有するX線源と、選択されたX線分析モードに応じて集束装置を制御するように構成された制御装置とを設けることによって、X線源が長持ちし、経済性且つ利便性が高くなることである。特に、実施対象のX線分析に応じて、複数の異なるX線分析モードで動作するように、X線源を制御できる。第1X線分析モードにおいては、実効焦点の大きさは100μm未満(すなわち、長さ又は幅、あるいは直径、が100μm未満)である。したがって、第1X線分析モードにおいて、X線管は微小焦点を有し、動作電力は、陽極を保護するために、(第2X線分析モードに比べて)相対的に低い。第2X線分析モードにおいては、X線管の動作電力及び陽極の被照射領域の両方が増大する。これにより、さまざまなX線分析アプリケーションで、使い勝手がよく、陽極の損傷を最小限に抑えながら、X線管を使用することができる。
【0065】
以下に表1において、X線分析モードの2つの例示的実施例の動作パラメータを、それぞれの実効焦点の寸法と共に示す。動作電圧は、陽極の両端に印加される高い電圧である。
【0066】
【0067】
図1に示されているように、制御装置5は入力部21を備え、この入力部21は、X線分析アプリケーション情報を受け取るインターフェイスである。ユーザは、入力部21を介して、実施対象のX線分析の識別情報や、分析対象の試料の種類や、分析対象の試料の大きさなどのX線分析アプリケーション情報を、又は、(例えばX線分析中に使用される光学素子を指定することによって)X線分析装置に関する情報を、入力することができる。
【0068】
プロセッサ23は、受け取ったX線分析アプリケーション情報に基づいて、X線管が動作すべきX線分析モードを決定するように構成されている。X線分析モードが選択されたら、制御装置5は、選択されたモードでX線源3を動作させる。入力部21は、英数字データを受け取るように構成されてもよい。入力部21は、ユーザ入力デバイス(例えばキーボード)を介して有線接続によってデータを受け取るように構成されてもよく、又は、無線接続によってデータを受信するための受信機を備えてもよく、又は、その両方であってもよい。
【0069】
実施対象のX線分析とは、特定種別の測定手法を指してもよく、例えば、2次元小角X線散乱(2DSAXS)、斜入射小角X線散乱(GISAXS)、微細回折、コンピュータ断層撮影、残留応力分析、テクスチャ解析、ブラッグ・ブレンターノ分析、又は何れか他の種類のX線分析手法が挙げられる。
【0070】
一部の実施形態において、X線分析装置1は、交換可能な光学素子を備えてもよく、制御装置5は、交換可能な光学素子に基づいてX線分析モードを選択するように構成されてもよい。このような実施形態の一例を図2に関連付けて説明する。
【0071】
図2は、X線分析装置100を示す。X線分析装置100は、第1の交換可能な光学素子125を備える。
【0072】
X線分析装置100は、図1のX線分析装置と類似しており、分析対象の試料130を支持する試料ステージ135を更に備える。また、X線分析装置100は、試料130によって散乱された(例えば回折された)X線を受光するように配置されたX線検出器140を備える。一部の実施形態においては、X線検出器140は、X線蛍光検出器であってもよく、図2とは異なる位置に位置してもよい。
【0073】
X線源103はX線管であり、密閉されたハウジング111の内部に陽極107と陰極109とを備える。集束装置115は、同様にハウジング111の内部に、陽極107と陰極109との間に配置される。X線源は、さまざまな動作パラメータを制御する制御用電子回路117を備え、このような動作パラメータとしては、陰極電流、陰極と陽極間の電圧低下、集束装置115に印加される電圧が挙げられる。陽極107からのX線114は、窓113を通ってハウジング111から出る。図2において、第1の交換可能な光学素子125は、X線管からのX線114が通る経路に位置する。したがって、第1の交換可能な光学素子125は、X線をX線管から直接受光する。X線は、第1の交換可能な光学素子125を通過してから試料130に照射される。試料からのX線は、X線検出器140によって受光される。
【0074】
第1の交換可能な光学素子125は、ハウジング111に固定されていない。第1の交換可能な光学素子125は、X線分析装置から取り外し可能なので、異なる光学素子に交換することができる。一部の実施形態においては、交換可能な光学素子は、オペレータによって手動で交換される。あるいは、X線分析装置は、第1の交換可能な光学素子125の取り外しや交換を行うためのアクチュエータを少なくとも1つ備えてもよい。一部の実施形態においては、交換可能な光学素子125は、X線をX線源から直接受光するように配置される。すなわち、X線源からのX線は、介在する光学素子を通過せずに、第1の交換可能な光学素子125に到達する。
【0075】
第1の交換可能な光学素子125は、実行対象のX線分析アプリケーションに基づいて、選択される。例えば、第1の交換可能な光学素子125は、2次元集束ミラーを備えてもよく、この2次元集束ミラーは、一般に、2次元(2D)小角X線散乱(2DSAXS)、斜入射小角X線散乱(GISAXS)、又は微細回折に使用される。他の一部の実施形態においては、第1の交換可能な光学素子125は、モノキャピラリコリメータ又はポリキャピラリコリメータであってもよい。これら光学素子は、XRDによる応力分析、又は、XRDによるテクスチャ解析を実施するために使用可能である。あるいは、第1の交換可能な光学素子125は、コリメータスリット、1次元ミラー、又はハイブリッドモノクロメータ(すなわち、放物曲線に沿って曲げられた多層ミラー(X線ミラー)とチャンネルカットGe結晶とを1つのモジュールに組み合わせたもの)であってもよい。これら光学素子は、粉末回折分析など、さまざまなX線分析アプリケーションで使用されてもよい。
【0076】
X線分析装置100は、場合によっては、さらなる交換可能な光学素子127(「第2の交換可能な光学素子」)を備えてもよい。第2の交換可能な光学素子127は、第1の交換可能な光学素子とは異なる光学素子である限り、前の段落に列挙されている何れの光学素子でもよい。例えば、第1の交換可能な光学素子125が2次元集束ミラーである場合、第2の交換可能な光学素子127をモノキャピラリコリメータ、ポリキャピラリコリメータ、コリメータスリット、又はハイブリッドコリメータにすることができる。第2の交換可能な光学素子127は、第1の交換可能な光学素子125と同じ種類にしてもよいが、異なる構造を有してもよい。例えば、第1の交換可能な光学素子125及び第2の交換可能な光学素子127の両方がコリメータスリットでもよく、この2つのスリットは互いに異なる寸法を有してもよい。回転矢印によって示されているように、第1の交換可能な光学素子125は、第2の交換可能な光学素子127に置換(又は交換)可能であり、この逆も可能である。
【0077】
X線分析装置100は、制御装置105を更に備える。制御装置105は、メモリ119を備え、このメモリ119には、複数のX線分析モードを規定する情報が格納されている。各X線分析モードは、X線管の動作電力に加えて、そのモードの実効焦点の大きさ又は面積又はその両方を定めることができる。これら複数の異なるX線分析モードは、複数の異なるX線分析アプリケーション又は複数の異なる光学素子又はその両方に最適化されてもよい。
【0078】
一部の実施形態において、X線分析モードは、X線分析アプリケーションに使用される交換可能な光学素子の種類に基づいて、選択されてもよい。制御装置は、その光学素子に対応する単一のX線分析モードを記憶していてもよい。すなわち、光学素子は、X線分析モードと1対1で対応してもよい。あるいは、制御装置は、各光学素子に対して複数の分析モードを記憶してもよい。この場合、制御装置は、光学素子に対応するX線分析モードのサブセットを選択するように構成されてもよい。
【0079】
図2において、第1の交換可能な光学素子125は、入射X線ビームの経路に配置されている。制御装置105は、第1の交換可能な光学素子125を特定する情報を含むX線分析情報を受け取る。第1の交換可能な光学素子125を特定する情報は、ユーザによって入力されてもよく、又は、第1の交換可能な光学素子125の検出又は識別又はその両方を行うように構成されたセンサ(図示せず)から受信してもよい。プロセッサ123は、第1の交換可能な光学素子125を特定する情報を処理し、適切なX線分析モードを選択する。このようにして、制御装置105は、使用されるX線分析光学素子に最適化されたX線分析モードを選択することができる。光学素子とX線分析モードとが1対1で対応している場合、適切なX線分析モードが選択されると、制御装置は、X線源と通信して、選択されたX線分析モードに応じて動作するようX線源を制御する。光学素子が複数のX線分析モードに対応する場合は、制御装置は、光学素子に対応するX線分析モードのサブセットを選択する。ユーザがサブセット内のX線分析モードを選択してもよく、制御装置105は、そのモードに応じて動作させるようにX線源103を制御する。
【0080】
一部の実施形態においては、制御装置105は、使用される光学素子の種類を特定する情報以外の情報に基づいて、X線分析モードを選択するように構成されていてもよい。
【0081】
一部の実施形態においては、制御装置105は、試料に関する情報、例えば試料の大きさや材料等に基づいて、X線分析モードを選択するように構成されていてもよい。あるいは、制御装置は、実行対象のX線分析アプリケーションの種類を特定する情報に基づいて、X線分析モードを選択してもよい。
【0082】
例えば、X線分析情報は、実施対象のX線分析が高解像度又は低解像度のどちらを必要とするかを規定する情報を含んでもよい。その情報に基づき、制御装置は、適切なX線分析モードを選択してもよい。制御装置105は、低解像度モードである第1X線分析モード又は高解像度モードである第2X線分析モードのいずれか一方でX線源103を動作させるように構成されていてもよい。高解像度モードにおける実効焦点の縦横比は、低解像度モードの場合より大きくなってもよい。制御装置は、試料の種類を特定する情報に基づいて、又は、実施対象の測定の種類を特定する情報に基づいて、高解像度モード又は低解像度モードのどちらで動作すべきかを決定してもよい。なお、これらの実施形態において、X線分析装置は、ハイブリッドモノクロメータなどの交換可能な光学素子を1つだけ備えてもよい(すなわち、図2において、X線分析装置は第1の交換可能な光学素子125を備えるが第2の交換可能な光学素子127は存在しなくてもよい)。
【0083】
図3は、さまざまなX線分析モードの一部の例における実効焦点の形状を示す。
【0084】
図3Aにおいて、実効焦点はほぼ円形である。したがって、実効焦点の長さと実効焦点の幅との比(すなわち焦点の縦横比)は、ほぼ1である。いくつかの例においては、焦点の幅及び長さは20μmであってもよい。これらの例において、本願明細書に記載の測定方法によれば、実効焦点の大きさは20μmであり、実効焦点の面積は400μmである。
【0085】
図3Bの実効焦点は、図3Aのものと形状は同様であるが、より大きい。いくつかの例においては、最大寸法は45μmであってもよく、縦横比は約1であってもよい。したがって、実効焦点の大きさは45μmであり、実効焦点の面積は2025μmである。
【0086】
図3Cにおいて、実効焦点は細長い。いくつかの例においては、焦点の長さは約100μmであってもよく、焦点の幅は約40μmであってもよい。したがって、実効焦点の大きさは100μmである。
【0087】
図3Dにおいて、実効焦点は細長い。いくつかの例においては、焦点の長さは約400μmであってもよく、焦点の幅は約60μmであってもよい。したがって、実効焦点の大きさは400μmである。これらは、実効焦点の大きさ及び実効焦点の面積を示す単なる例であることが理解されるだろう。これらの寸法をより小さくすることも、より大きくすることもできる。
【0088】
図4は、本発明の一実施形態によるX線分析方法を示す。最初のステップ201において、制御装置は、X線分析情報を受け取る。このX線分析情報は、交換可能な光学素子を特定する情報、分析対象の試料に関する情報、実施対象のX線分析測定の種類(すなわちX線分析アプリケーション)を特定する情報のうちのいずれか又はこれらの組み合わせであってもよい。次のステップ203において、制御装置は、受け取ったX線分析情報に基づいて、X線源のX線分析モードを選択する。更に次のステップ205において、制御装置は、X線源と通信してX線管の動作電圧及びフィラメント電流の少なくとも一方を制御し、これにより、X線管の動作電力を制御する。さらに、制御装置は、X線源と通信して集束装置の電圧(例えば格子電圧)を制御し、これにより、焦点の大きさを制御する。
【0089】
一部の実施形態において、X線分析アプリケーション情報を入力するステップ201は、X線分析装置で使用される交換可能な光学素子を特定する情報を制御装置を介して入力してX線分析アプリケーションを実行することを含んでもよい。さらに、X線分析モードを選択するステップ203は、前のステップで特定された交換可能な光学素子に対応するX線分析モードを特定することを含んでもよい。制御装置は、X線分析モードのデータベースを格納していてもよい。交換可能な光学素子に対応するX線分析モードを特定することは、データベース内のX線分析モードのサブセットの1つに該当する複数のX線分析モードを特定することを含んでもよい。あるいは、X線分析モードと光学素子とが1対1で対応していてもよく、これにより、X線分析モードを特定することは、特定された光学素子に対応する単一のX線分析モードを選択することを含む。
【0090】
一部の実施形態において、X線分析アプリケーション情報を入力するステップ201は、試料を特定する情報を、X線分析装置の制御装置を介して入力することを含んでもよい。X線分析モードを選択するステップ203は、前のステップで特定された試料に対応するX線分析モードを特定することを含んでもよい。例えば、試料は特定の光学素子に対応していてもよく、X線分析装置は、高解像度のX線分析モード及び低解像度のX線分析モードの両方を使用して、その光学素子を用いて試料を精査してもよい。ユーザは高解像度モード及び低解像度モードから選択してもよく、これにより、制御装置にX線分析装置を制御させて、X線分析装置を選択されたモードに応じて動作させる。
【0091】
一部の実施形態において、X線分析アプリケーション情報を入力するステップ201は、実行対象のX線分析アプリケーションを特定する情報を、X線分析装置の制御装置を介して入力することを含んでもよい。制御装置は、X線分析モードのデータベースを格納していてもよい。X線分析アプリケーションは、1つ又は複数のX線分析モードに対応していてもよい。X線分析モードを選択するステップ203は、前のステップで特定されたX線分析アプリケーションに対応するX線分析モードを特定することを含んでもよい。X線分析モードを特定することは、データベース内のX線分析モードのサブセットの1つに該当する複数のX線分析モードを特定することを含んでもよい。あるいは、X線分析モードと光学素子とは1対1で対応していてもよく、これにより、X線分析モードを特定することは、特定された光学素子に対応する単一のX線分析モードを選択することを含む。
【0092】
図1は、集束装置が複数の格子を備えたX線分析装置を示しているが、代替の集束装置の使用も可能であることを理解されるだろう。例えば、集束装置は、磁気集束装置であってもよい。磁気集束装置は、磁場を用いて集束させることができる。一例として、集束装置は、集束を実現するために四重極磁場を使用してもよい。
【0093】
更に、集束装置は、ハウジングの内側又はハウジングの外側に必ずしも配置される必要はない。
【0094】
集束装置が少なくとも1つの集束用格子を備える場合、2より多い又は2より少ない数の格子が存在してもよい。X線源は、単一の格子又は複数の格子を備えてもよい。任意の数の格子が使用可能である。
【0095】
一般に、「X線管」という用語は、陰極と陽極とが内部に配置されている密閉されたハウジングを有するX線源を指すことが理解されるだろう。ハウジングは、ほぼ管形状であってもよく、なくてもよい。
【0096】
一部の実施形態において、陰極は、コイル状ワイヤフィラメントであってもよい。他の一部の実施形態において、陰極は金属ループを備えていてもよい。陰極は、タングステンを含んでもよく、含んでいなくてもよい。
【0097】
図2は、試料に回折されたか又は散乱されたか又はその両方が行われたX線を受光するX線検出器を示しているが、これの代わりに、X線検出器は、試料から放出された蛍光を受光するX線検出器であることも可能であることが理解されるだろう。これらの実施形態において、X線検出器は、試料の直上又は代わりの位置に配置されてもよい。
【0098】
一部の実施形態において、X線分析装置は、XRF検出器及びXRD検出器の両方を備えてもよい。
【0099】
図2の装置は、第2の交換可能な光学素子を備えていてもよく、いなくてもよい。
実効焦点の大きさ及び面積の判定
【0100】
実効焦点の大きさは、測定デバイスから見て、焦点の長さと幅のうち大きい方である。
【0101】
実効焦点の大きさは、幾何学的ぼけの測定による間接測定によって判定可能である。
【0102】
本テスト方法は、被検査体のシャープなエッジを撮像することによって行われる。高吸収性被検査体のX線画像を取得し、この画像の強度プロファイルを使用して実効焦点の大きさを求める。
【0103】
図5を参照すると、被検査体は、陽極303から放出されたX線に照射されるように、X線管の出力窓(図示せず)と検出器305との間に配置されている。X線管の動作電圧は、X線管の動作電力に依存してもよく、いずれにしても225kV未満である。被検査体301は、タングステン製の球状のボールであり、直径0.9mmである。このボールは、ポリエチレン製の支持体上の、陽極上の焦点からの距離は少なくとも4.5cmであるところに載置される。被検査体301と検出器305との間の距離により、20倍から100倍の間の投影倍率が可能となる。この倍率は、画像鮮明度を最適化するように調整される(相対的に小さな焦点には、より大きな倍率が必要とされ得る)。投影倍率は、X線管の陽極から検出器までの距離と、X線管の陽極から被検査体までの距離との比である。
【0104】
被検査体の画像が検出器に撮像され、画像プロセッサを使用して、長さ方向の線形強度プロファイルと、幅方向の線形強度プロファイルとが形成される。より具体的には、これら線形強度プロファイルは、画像の中心に沿って、長さ方向及び幅方向に(中心長さ方向に、及び中心幅方向に)取得される。
【0105】
中心長さ方向における画像のラインスキャンは、X線管の長手方向軸線に平行な方向における、画像の中心に沿った、X線画像の強度プロファイルである。X線管の長手方向軸線が規定されていない場合、中心長さ方向は電子軌道に平行である。幅方向は、長さ方向に対して垂直である。
【0106】
その後、画像プロセッサは、ライン上の関連する2点間の距離を測定することによって、画像の合計コントラストが50%のところで、被検査体の直径を判定する。例えば、長さ方向のラインスキャンを示す図6において、長さ方向の直径(D)は、点Bと点Cとの間の距離である。
【0107】
次に、コントラストが90%のところで、さらに2つの点(図6の点A及び点D)を取得する。そして、式(1)及び(2)を使用して、焦点大きさl及びwを算出する。
【数1】
【数2】
【数3】
は、点Aと点Bとの間の距離である。
【数4】
は、点Cと点Dとの間の距離である。Mは、幾何学的倍率であり、画像の合計コントラストが50%のところで長さ方向に測定された直径
【数5】
と実際の直径(0.9mm)との間の比に等しい。Mは、幾何学的倍率であり、画像の合計コントラストが50%のところで幅方向に測定された直径と実際の直径(0.9mm)との間の比に等しい。
【0108】
「焦点(focal spot)」における「点(spot)」という用語は必ずしも円形を指すものではなく、何れかの2次元形状を指し得ることが、当業者には理解されるだろう。本願明細書において、実効焦点の面積は、(焦点の形状に拘らず)測定された長さと測定された幅との積である。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2022-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線回折及びX線蛍光の少なくとも一方を測定することによって試料を分析するために、複数のX線分析アプリケーションを実行するX線分析装置であって、
前記X線分析装置は、
前記試料にX線を照射するためのX線源であって、固体陽極と、電子ビームを放出する陰極とを備えたX線源と、
前記電子ビームを前記陽極に集束させる集束装置と、
制御装置であって、
X線分析アプリケーション情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記X線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードのいずれかにおいて選択的に動作させるために、該X線分析装置を制御するよう構成されている
制御装置と、
を備え、
前記第1X線分析モードにおいて、前記X線源は、
第1の動作電力で、第1の動作電圧で、動作するように制御され、且つ、
実効焦点の大きさは、100μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記X線源は、
第2の動作電力で、第2の動作電圧で、動作するように制御され、
前記第2の動作電力は、前記第1の動作電力より大きく、
前記実効焦点の面積は、前記第1X線分析モードにおける前記実効焦点の面積より大きい、
X線分析装置。
【請求項2】
請求項1に記載のX線分析装置であって、
前記X線源は、
前記第1X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさが55μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記実効焦点の大きさが60μm超である、
X線分析装置。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のX線分析装置であって、
前記X線分析装置は、前記X線源からのX線を受光するように配置された第1の交換可能なX線光学素子を更に備える、
X線分析装置。
【請求項4】
請求項3に記載のX線分析装置であって、
前記制御装置は、前記第1の交換可能なX線光学素子を特定する情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記制御装置は、前記第1の交換可能なX線光学素子を特定する前記情報に基づいて、前記第1X線分析モード又は前記第2X線分析モードのいずれかで前記X線分析装置を動作させるように構成されている、
X線分析装置。
【請求項5】
請求項1又は2に記載のX線分析装置であって、
前記実効焦点は、前記第1X線分析モード及び前記第2X線分析モードの両方において、2.0超の縦横比を有し、
前記制御装置は、
試料情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記試料情報に基づいて、前記第1X線分析モード又は前記第2X線分析モードで、前記X線分析装置を動作させるように構成されている、
X線分析装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のX線分析装置であって、
前記第1X線分析モードにおいて、
前記実効焦点の大きさは、40μm未満であり、
前記実効焦点の縦横比は、1.5未満であり、
前記第1の動作電力は、50W未満である、
X線分析装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載のX線分析装置であって、
前記第2X線分析モードにおいて、
前記実効焦点の大きさは、前記第1X線分析モードの場合より大きく、60μm超であり、
前記実効焦点の縦横比は、1.5未満であり、
前記第2の動作電力は、50W超である、
X線分析装置。
【請求項8】
請求項1又は2に記載のX線分析装置であって、
前記第1X線分析モードにおいて、前記実効焦点は、1.5未満の縦横比を有し、
前記第2X線分析モードにおいて、前記実効焦点は細長く、且つ、2.0超の縦横比を有する、
X線分析装置。
【請求項9】
請求項8に記載のX線分析装置であって、
前記第2X線分析モードにおいて、
前記実効焦点の大きさは、60μm超であり、
前記第2の動作電力は、50W超である、
X線分析装置。
【請求項10】
請求項1又は2に記載のX線分析装置であって、
前記第2X線分析モードにおける前記実効焦点の大きさは、100μm超であり、
前記第2の動作電力は、100W以上である、
X線分析装置。
【請求項11】
請求項1又は2に記載のX線分析装置であって、
前記試料を支持する試料ステージであって、入射ビーム経路に沿って方向付けられたX線を前記X線源が前記試料に照射するように配置されている試料ステージと、
前記試料によって散乱された又は前記試料から放出されたX線を受光するように配置されている検出器と
を更に備える、
X線分析装置。
【請求項12】
請求項11に記載のX線分析装置であって、
前記X線分析装置は、第1の交換可能なX線光学素子を備え、
前記X線分析装置は、第1のアクチュエータを更に備え、
前記第1のアクチュエータは、ビーム内位置とビーム外位置との間で前記第1の交換可能なX線光学素子を移動させるように構成されており、
前記ビーム内位置は、前記第1の交換可能なX線光学素子が前記入射ビーム経路内に配置されているときの位置であり、
前記ビーム外位置は、前記第1の交換可能なX線光学素子が前記入射ビーム経路外に配置されているときの位置であり、
前記制御装置は、
前記第1の交換可能なX線光学素子の位置を特定する情報を受け取るように構成されており、且つ、
前記第1の交換可能なX線光学素子の前記位置に基づいて、前記第1X線分析モード又は前記第2X線分析モードで前記X線分析装置を動作させるように構成されている、
X線分析装置。
【請求項13】
請求項に記載のX線分析装置を制御する方法であって、
X線分析アプリケーション情報を制御装置が受け取るステップと、
前記X線分析アプリケーション情報に基づいて、第1X線分析モード又は第2X線分析モードを選択するステップと、
前記選択されたモードで動作するように前記X線源を制御するステップと、
を含み、
前記第1X線分析モードにおいて、前記X線源は、
第1の動作電力で動作するように制御され、且つ、
実効焦点の大きさは、100μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記X線源は、
前記第1の動作電力より高い第2の動作電力で動作するように制御され、
前記実効焦点の面積は、前記第1X線分析モードにおける前記実効焦点の面積より大きい、
方法。
【請求項14】
請求項13に記載の方法であって、
前記X線源は、
前記第1X線分析モードにおいて、実効焦点の大きさが55μm未満であり、
前記第2X線分析モードにおいて、前記実効焦点の大きさが60μm超である、
方法。
【請求項15】
複数のプログラム命令が記憶されている、有形の非一時的なコンピュータ可読媒体を備えたコンピュータプログラム製品であって、
前記複数のプログラム命令は、
請求項1又は2に記載のX線分析装置に、
請求項13又は14に記載の方法の前記ステップを実行させる、
コンピュータプログラム製品。
【外国語明細書】