(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036552
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】天然ガス液化のための統合的窒素排除
(51)【国際特許分類】
F25J 1/00 20060101AFI20230307BHJP
F25J 3/02 20060101ALI20230307BHJP
F25J 3/06 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
F25J1/00 B
F25J3/02 B
F25J3/06
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022137852
(22)【出願日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】17/464,773
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】591035368
【氏名又は名称】エア プロダクツ アンド ケミカルズ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】AIR PRODUCTS AND CHEMICALS INCORPORATED
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100195213
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 健治
(74)【代理人】
【識別番号】100173107
【弁理士】
【氏名又は名称】胡田 尚則
(74)【代理人】
【識別番号】100202441
【弁理士】
【氏名又は名称】岩田 純
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー マイケル オット
(72)【発明者】
【氏名】マーク ジュリアン ロバーツ
(72)【発明者】
【氏名】アンマリー オット ウェイスト
【テーマコード(参考)】
4D047
【Fターム(参考)】
4D047AA10
4D047AB02
4D047AB08
4D047CA16
4D047DA01
4D047DA03
4D047EA00
(57)【要約】
【課題】フラッシュガスからのLNG製品および燃料中の窒素濃度を好ましい範囲内に制御するための方法およびシステムを提供すること。
【解決手段】フラッシュガスからのLNG製品および燃料中の窒素濃度を好ましい範囲内に制御するための方法およびシステム。冷却されたLNG流は、フラッシュドラムまたは精留塔などの複数の相分離デバイスを使用して、窒素濃縮蒸気流、燃料流、およびLNG製品流に分離される。蒸気流の一部が還流として精留塔に再循環される。より高い窒素濃度を有する流の一部が燃料流と組み合わせられて、燃料流を所望の窒素濃度範囲内に維持する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
天然ガス供給流を液化し、それから窒素を除去するための方法であって、
(a)天然ガス供給流を冷却し、少なくとも部分的に液化して、冷却されたLNG窒素濃度を有する冷却されたLNG流を形成することと、
(b)前記冷却されたLNG流と下流流体流連通して複数回の相分離を行って、蒸気流窒素濃度を有する窒素蒸気流、燃料流窒素濃度を有する燃料流、およびLNG製品流窒素濃度を有するLNG製品流を生成することであって、前記蒸気流窒素濃度が、前記冷却されたLNG窒素濃度、前記燃料流窒素濃度、および前記LNG製品流窒素濃度よりも高い、生成することと、
(c)前記燃料流を混合流と組み合わせて、燃料製品流窒素濃度を有する燃料製品流を作り出すことであって、前記燃料製品流窒素濃度が前記燃料流窒素濃度よりも高く、前記混合流が前記冷却されたLNG流と下流流体流連通している、作り出すことと、
(d)精留塔の還流として前記窒素蒸気流の一部を含む再循環流を再循環させることと、を含み、それにより、ステップ(c)が、前記燃料製品流窒素濃度が前記LNG製品流窒素濃度から独立して制御されることを可能にする、方法。
【請求項2】
ステップ(c)が、前記混合流の流れを制御して、所定の燃料製品流窒素濃度範囲内の燃料製品流窒素濃度をもたらすことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
ステップ(b)の前記複数回の相分離のうちの少なくとも1回が精留塔内で行われ、前記燃料流が液体として前記精留塔の下端部から引き出される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
(e)前記再循環流を前記窒素蒸気流および前記燃料流に対して冷却することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ステップ(e)が、前記燃料流を蒸発させて、前記再循環流を冷却することをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
(d1)ステップ(e)を行う前に、前記再循環流を圧縮して周囲熱交換を行うことをさらに含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
(f)前記燃料製品流を使用して少なくとも1つのガスタービンに動力供給することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
(g)前記燃料製品流を使用してステップ(a)を行うために使用される冷媒を圧縮するように適合された少なくとも1つの圧縮機を駆動することをさらに含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記複数回の相分離が、前記冷却されたLNG流を相分離して、フラッシュガス流および前記LNG製品流を生成することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記冷却されたLNG流がフラッシュドラムを使用して相分離される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記冷却されたLNG流が精留塔を使用して相分離される、請求項9に記載の方法。
【請求項12】
前記複数回の相分離が、前記フラッシュガス流の少なくとも第1の部分を前記精留塔に導入して、前記窒素蒸気流および前記燃料流を生成することをさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項13】
前記混合流が前記フラッシュガス流の第2の部分を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記混合流がステップ(e)の下流の前記燃料流と組み合わせられる、請求項1に記載の方法。
【請求項15】
前記混合流が圧縮および冷却された後に前記燃料流と組み合わせられる、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
(h)前記窒素蒸気流を放出することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項17】
(h)前記窒素蒸気流を貯蔵することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
ステップ(d)が、前記混合流の流れを制御して、所定の燃料製品流窒素濃度範囲内の燃料製品流窒素濃度をもたらすことをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項19】
天然ガス供給流を液化し、それから窒素を除去するための方法であって、
(a)天然ガス供給流を主極低温熱交換器内で少なくとも部分的に液化して、冷却されたLNG窒素濃度を有する冷却されたLNG流を形成することと、
(b)前記冷却されたLNG流をフラッシュドラムまたは精留塔内でLNG製品流窒素濃度を有するLNG製品流と、フラッシュガス流窒素濃度を有するフラッシュガス流とに分離することと、
(c)前記フラッシュガス流の少なくとも第1の部分を精留塔内で分離して、蒸気流窒素濃度を有する窒素蒸気流および燃料流窒素濃度を有する燃料流を生成することと、
(d)前記燃料流を混合流と組み合わせて、前記燃料流窒素濃度よりも高い燃料製品流窒素濃度を有する燃料製品流を形成することであって、前記混合流が前記フラッシュガス流の第2の部分を含む、形成することと、
(e)前記窒素蒸気流を再循環流と放出流とに分けることと、
(f)前記再循環流を圧縮および冷却することと、
(g)間接熱交換によって前記再循環流を前記燃料流および前記窒素蒸気流に対してさらに冷却することと、を含む、方法。
【請求項20】
前記蒸気流窒素濃度が、前記冷却されたLNG窒素濃度、前記燃料流窒素濃度、および前記LNG製品流窒素濃度よりも高い、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
ステップ(d)が、前記燃料製品流窒素濃度が前記LNG製品流窒素濃度から独立して制御されることを可能にする、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
液体天然ガス(LNG)液化プロセスからの燃料は、通常、液化ユニットの冷端部で生成されたフラッシュガスに由来する。LNGを過冷却して貯蔵タンク内でのフラッシュ発生を防ぐためには、かなりの冷凍力が必要である。いくらかのフラッシュを許容することにより、冷凍力の低下に役立つ。加えて、フラッシュにより、供給ガスから窒素を除去して窒素含有量をLNG貯蔵規格以下で維持する安易な方法が提供される。フラッシュガスは、供給ガスと比較して高い濃度の窒素を含む。したがって、天然ガス供給物中の窒素含有量の変化は、フラッシュガス中の窒素濃度にも影響を及ぼす。
【0002】
フラッシュガスがガスタービンの燃料として使用されるため、フラッシュガス中の窒素濃度を制限することが望ましい。多くの用途では、フラッシュガスがある特定のガスタービンに燃料供給するために使用される場合、15~50%の最大窒素含有量が必要とされる。フラッシュガス中の窒素含有量がそのガスタービンの最大値を超える場合、大気に放出され得る過剰な窒素を純成分の形態で排除する必要がある場合がある。
【0003】
フラッシュドラム、窒素ストリッパー、統合的窒素精留塔、および独立型窒素排除ユニット(NRU)を含む、天然ガス流から窒素を排除するための多くの既知の解決策が存在する。これらの解決策により、典型的には、規格適合LNG流およびガスタービン燃料流が生成される。いくつかの事例では、燃料流には比較的高い濃度の窒素が含まれている。窒素が高すぎる(燃料品質が低すぎる)場合、さらなる窒素排除が必要とされ、放出されるべき高純度窒素流および窒素枯渇燃料流が生成される。
【0004】
1つの既存の解決策は、窒素ストリッパーおよび還流配置を使用して、規格適合LNG製品および高純度窒素を生成する。これは、LNGプラントがグリッドからの電力を利用する電気モーターによって駆動され、かつ燃料が必要とされない場合に申し分のない解決策である。しかしながら、この解決策は比較的柔軟性がなく、LNG製品規格を満たすのに必要な窒素排除よりも高い窒素排除をもたらす可能性がある。
【0005】
他の既存の解決策には、多成分分離プロセスのためのエキスパンダープロセス、冷凍を提供するためのLNGを使用する窒素塔、およびLNGと放出される窒素を生成するNRUが含まれる。これらの解決策はいずれも、LNG製品の窒素含有量も燃料流の窒素含有量も制御することができない。したがって、これらの解決策は、多くの場合、最大許容含有量よりもはるかに低い窒素含有量を有する燃料流を生成し、これにより、不必要な電力消費が引き起こされ、ガスタービン出力が低下し、より大きくてより複雑な機器が必要になる。したがって、燃料流中の窒素濃度も貯蔵されたLNG製品中の窒素濃度も制御するための改善されたシステムおよびプロセスが必要とされている。
【発明の概要】
【0006】
この発明の概要は、以下の発明を実施するための形態にさらに記載される概念の選択を簡略化された形態で取り入れるために提供される。この発明の概要は、特許請求される主題の重要な特徴または本質的な特徴を特定することを意図しておらず、特許請求される主題の範囲を制限することも意図していない。
【0007】
本発明の実施形態は、LNG液化プロセスにおけるフラッシュガスの一部のみから窒素を排除するための統合的解決策を提供する。窒素ストリッパーまたはエンドフラッシュドラムからのフラッシュガスの第1の部分が精留塔に送られる。ごくわずかな量の炭化水素を含有する窒素濃縮蒸気相流が精留塔の上部から引き出される。窒素濃縮蒸気相流が熱交換器内で高圧再循環蒸気および温供給ガスに対して温められて、温められた窒素濃縮蒸気相流を生成する。温められた窒素濃縮蒸気相流は、後に再圧縮されて精留塔の再循環/還流流になる第1の部分と、大気に放出される第2の部分とに分離される。第1の部分が圧縮されて、低圧窒素濃縮冷蒸気流および精留塔の底部からの冷液体流に対して再循環され、冷却され、かつ液化される高圧蒸気流を形成する。その後、液化された高圧再循環流を使用して、精留塔を還流させる。精留塔の底部からの液体は、高圧再循環蒸気流および温供給ガス流に対して前述の熱交換器内で温められる前に、窒素ストリッパーまたはエンドフラッシュドラムからのフラッシュガス(フラッシュガスバイパス流)の第2の部分と組み合わせられる。その後、この温められた組み合わせられた流は、エンドフラッシュ圧縮機に送られて、ガスタービン駆動機の燃料として使用されるようになる。
【0008】
高圧再循環流および精留塔のフラッシュガスバイパスの流れを調整することにより、大気および燃料ガス流に放出される窒素の厳密な組成制御が可能になる。
【0009】
あるいは、精留塔からの液体がポンプ汲み上げされて、必要なエンドフラッシュ圧縮機動力を減少させ、交換器内の冷却曲線のより厳密な一致を提供することができる。
【0010】
本システムおよび本方法のいくつかの態様が以下に概説される。
【0011】
態様1:天然ガス供給流を液化し、それから窒素を除去するための方法であって、
(a)天然ガス供給流を冷却し、少なくとも部分的に液化して、冷却されたLNG窒素濃度を有する冷却されたLNG流を形成することと、
(b)冷却されたLNG流と下流流体流連通して複数回の相分離を行って、蒸気流窒素濃度を有する窒素蒸気流、燃料流窒素濃度を有する燃料流、およびLNG製品流窒素濃度を有するLNG製品流を生成することであって、蒸気流窒素濃度が、冷却されたLNG窒素濃度、燃料流窒素濃度、およびLNG製品流窒素濃度よりも高い、生成することと、
(c)燃料流を混合流と組み合わせて、燃料製品流窒素濃度を有する燃料製品流を作り出すことであって、燃料製品流窒素濃度が燃料流窒素濃度よりも高く、混合流が冷却されたLNG流と下流流体流連通している、作り出すことと、
(d)精留塔の還流として窒素蒸気流の一部を含む再循環流を再循環させることと、を含み、
それにより、ステップ(c)が、燃料製品流窒素濃度がLNG製品流窒素濃度から独立して制御されることを可能にする、方法。
【0012】
態様2:ステップ(c)が、混合流の流れを制御して、所定の燃料製品流窒素濃度範囲内の燃料製品流窒素濃度をもたらすことをさらに含む、態様1に記載の方法。
【0013】
態様3:ステップ(b)の複数回の相分離のうちの少なくとも1回が精留塔内で行われ、燃料流が液体として精留塔の下端部から引き出される、態様1または2に記載の方法。
【0014】
態様4:(e)再循環流を窒素蒸気流および燃料流に対して冷却することをさらに含む、態様1~3のいずれか1つに記載の方法。
【0015】
態様5:ステップ(e)が、燃料流を蒸発させて、再循環流を冷却することをさらに含む、態様4に記載の方法。
【0016】
態様6:(d1)ステップ(e)を行う前に、再循環流を圧縮して周囲熱交換を行うことをさらに含む、態様1~5のいずれか1つに記載の方法。
【0017】
態様7:(f)燃料製品流を使用して少なくとも1つのガスタービンに動力供給することをさらに含む、態様1~6のいずれか1つに記載の方法。
【0018】
態様8:(g)燃料製品流を使用してステップ(a)を行うために使用される冷媒を圧縮するように適合された少なくとも1つの圧縮機を駆動することをさらに含む、態様7に記載の方法。
【0019】
態様9:複数回の相分離が、冷却されたLNG流を相分離して、フラッシュガス流およびLNG製品流を生成することをさらに含む、態様1~8のいずれか1つに記載の方法。
【0020】
態様10:冷却されたLNG流がフラッシュドラムを使用して相分離される、態様9に記載の方法。
【0021】
態様11:冷却されたLNG流が精留塔を使用して相分離される、態様1~10のいずれか1つに記載の方法。
【0022】
態様12:複数回の相分離が、フラッシュガス流の少なくとも第1の部分を精留塔に導入して、窒素蒸気流および燃料流を生成することをさらに含む、態様1~11のいずれかに記載の方法。
【0023】
態様13:混合流がフラッシュガス流の第2の部分を含む、態様12に記載の方法。
【0024】
態様14:混合流がステップ(e)の下流の燃料流と組み合わせられる、態様1~13のいずれか1つに記載の方法。
【0025】
態様15:混合流が圧縮および冷却された後に燃料流と組み合わせられる、態様1~14のいずれか1つに記載の方法。
【0026】
態様16:(h)窒素蒸気流を放出することをさらに含む、態様1~15のいずれか1つに記載の方法。
【0027】
態様17:(h)窒素蒸気流を貯蔵することをさらに含む、態様1~16のいずれか1つに記載の方法。
【0028】
態様18:天然ガス供給流を液化し、それから窒素を除去するための方法であって、
(a)天然ガス供給流を主極低温熱交換器内で少なくとも部分的に液化して、冷却されたLNG窒素濃度を有する冷却されたLNG流を形成することと、
(b)冷却されたLNG流をフラッシュドラムまたは精留塔内でLNG製品流窒素濃度を有するLNG製品流と、フラッシュガス流窒素濃度を有するフラッシュガス流とに分離することと、
(c)フラッシュガス流の少なくとも第1の部分を精留塔内で分離して、蒸気流窒素濃度を有する窒素蒸気流および燃料流窒素濃度を有する燃料流を生成することと、
(d)燃料流を混合流と組み合わせて、燃料流窒素濃度よりも高い燃料製品流窒素濃度を有する燃料製品流を形成することであって、混合流がフラッシュガス流の第2の部分を含む、形成することと、
(e)窒素蒸気流を再循環流と放出流とに分けることと、
(f)再循環流を圧縮および冷却することと、
(g)間接熱交換によって再循環流を燃料流および窒素蒸気流に対してさらに冷却することと、を含む、方法。
【0029】
態様19:蒸気流窒素濃度が、冷却されたLNG窒素濃度、燃料流窒素濃度、およびLNG製品流窒素濃度よりも高い、態様19に記載の方法。
【0030】
態様20:ステップ(d)が、燃料製品流窒素濃度がLNG製品流窒素濃度から独立して制御されることを可能にする、態様19~19のいずれか1つに記載の方法。
【0031】
態様21:ステップ(d)が、混合流の流れを制御して、所定の燃料製品流窒素濃度範囲内の燃料製品流窒素濃度をもたらすことをさらに含む、態様18~20のいずれか1つに記載の方法。
【0032】
本発明が以下で添付の図面と併せて説明されており、ここで、同様の数字は同様の要素を示す。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】
図1は、本発明の第1の実施形態による天然ガス流を液化し、それから窒素を除去するための方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0034】
【
図2】
図2は、本発明の第2の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0035】
【
図3】
図3は、本発明の第3の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0036】
【
図4】
図4は、本発明の第4の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0037】
【
図5】
図5は、本発明の第5の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0038】
【
図6】
図6は、本発明の第6の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0039】
【
図7】
図7は、本発明の第7の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0040】
【
図8】
図8は、本発明の第8の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【0041】
【
図9】
図9は、本発明の第9の実施形態による方法および装置を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0042】
以下の発明を実施するための形態は、好ましい例示的な実施形態のみを提供し、本発明の範囲、適用性、または構成を限定することを意図していない。むしろ、好ましい例示的な実施形態の以下の発明を実施するための形態は、本発明の好ましい例示的な実施形態を実施するための実現可能な説明を当業者に提供する。本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、要素の機能および配置に様々な変更が加えられてもよい。
【0043】
本発明の説明を助けるために、方向を示す用語を本明細書および特許請求の範囲で使用して、本発明の部分(例えば、上部、下部、左、右など)を説明することができる。これらの方向を示す用語は、単に本発明の説明および特許請求を助けることを意図しており、決して本発明を限定することを意図していない。加えて、図面と関連して本明細書で取り入れられる参照番号は、他の特徴の状況を提供するために、本明細書での追加の説明なしで1つ以上の後続の図面で繰り返されてもよい。
【0044】
別途指示されない限り、本明細書で使用される冠詞「a」および「an」は、本明細書および特許請求の範囲に記載の本発明の実施形態におけるいずれかの特徴に適用される場合、1つ以上を意味する。「a」および「an」の使用は、制限が具体的に記載されない限り、その意味を単一の特徴に制限しない。単数または複数名詞または名詞句に先行する冠詞「the」は、特定の特定された特徴(複数可)を示し、それが使用される状況に応じて単数または複数の意味を有し得る。
【0045】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「導管」という用語は、流体がシステムの2つ以上の構成要素間で輸送され得る1つ以上の構造を指す。例えば、導管には、液体、蒸気、および/または気体を輸送するパイプ、ダクト、通路、およびそれらの組み合わせを含むことができる。
【0046】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「流体連通」または「流体流動連通」という用語は、2つ以上の要素が、流体流動を選択的に制限、統合、または分離し得る弁、ゲート、ティー、または他のデバイスを含み得る接続を含む、流体が要素間を流動することを可能にする様式で、(直接または間接的のいずれかで)接続されていることを意味するよう意図されている。
【0047】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「天然ガス」という用語は、主にメタンからなる炭化水素ガス混合物を意味する。本明細書で使用される場合、「天然ガス」という用語は、合成天然ガスおよび代替天然ガスも包含する。天然ガス供給流は、メタンおよび窒素を含む(メタンが典型的には主成分である)。典型的には、天然ガス供給流は、1~10モルパーセントの窒素濃度を有し、本明細書に記載の方法および装置は、天然ガス供給流中の窒素濃度が比較的低い場合、例えば、5モルパーセント以下である場合でさえも、天然ガス供給流から窒素を効果的に除去することができる。
【0048】
天然ガス流は、通常、例えば、1つ以上の他の炭化水素および/または他の成分、例えば、ヘリウム、二酸化炭素、水素などの他の成分も含有する。しかしながら、天然ガス流は、天然ガス流の冷却および液化中に主熱交換器内で凍結する濃度の追加の成分を含むべきではない。したがって、主熱交換器内に導入される前に、天然ガス供給流は、必要に応じて、天然ガス供給流から水、酸性ガス、水銀、および重炭化水素を除去して、天然ガス供給流中のいずれのかかる成分の濃度も、いずれの凍結問題を引き起こさないレベルにまで低下させるように前処理されてもよい。
【0049】
本明細書および特許請求の範囲で使用される「炭化水素」、「炭化水素ガス」、または「炭化水素流体」という用語は、少なくとも1つの炭化水素を含むガス/流体であって、炭化水素がガス/流体の全組成の少なくとも80モルパーセント、より好ましくは少なくとも90モルパーセントのガス/流体の全組成を構成する、ガス/流体を意味する。
【0050】
別途本明細書に記載されない限り、本明細書、図面、および特許請求の範囲で特定されるありとあらゆるパーセンテージがモルパーセンテージ基準であることを理解されたい。別途本明細書に記載されない限り、本明細書、図面、および特許請求の範囲で特定されるありとあらゆる圧力がゲージ圧を意味することを理解されたい。
【0051】
本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、「圧縮システム」という用語は、1つ以上の圧縮段階として定義される。例えば、圧縮システムは、単一の圧縮機内に複数の圧縮段階を含んでもよい。代替例では、圧縮システムは、複数の圧縮機を並列または直列に備えてもよい。
【0052】
別途本明細書に記載されない限り、ある位置での流の導入は、その位置での流の実質的にすべての導入を意味するよう意図されている。本明細書で論じられ、図面に示されるすべての流(典型的には、通常動作中の流体流動の全体的な方向を示す矢印を用いて線によって表される)が対応する導管内に含まれることを理解されたい。各々の導管が少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有することを理解されたい。さらに、各々の機器が少なくとも1つの入口および少なくとも1つの出口を有することを理解されたい。
【0053】
特許請求の範囲において、文字は、特許請求されるステップ(例えば、(a)、(b)、および(c))を識別するために使用される。これらの文字は、方法ステップの参照を助けるために使用され、特許請求されるステップが行われる順序が特許請求の範囲で具体的に列挙されない限り、かかる順序を示すようには意図されていない。
【0054】
本明細書に開示される例示的な天然ガス液化システム実施形態のすべてが閉ループ冷凍を有するが、本明細書に開示される発明概念は、開ループ圧縮または閉ループ圧縮のいずれかを使用する天然ガス液化システムに等しく適用可能であることに留意されたい。
【0055】
本明細書で使用される場合、かつ別途指示されない限り、流中の窒素濃度が天然ガス供給流中の窒素濃度よりも高い場合、この流は「窒素濃縮」されている。流中の窒素濃度が天然ガス供給流中の窒素濃度よりも低い場合、この流は「窒素枯渇」している。
【0056】
本明細書に記載の方法および装置では、かつ別途指示されない限り、流は、膨張し得、かつ/または液体もしくは二相流の場合、任意の好適な膨張デバイスに流れを通過させることによって膨張して部分的に蒸発し得る。流は、例えば、膨張弁もしくはJ-T弁、または任意の他のデバイスを通過することによって膨張して部分的に蒸発して、流の等エンタルピー膨張(ひいてはフラッシュ蒸発)を(本質的に)もたらし得る。加えて、またはあるいは、流は、例えば、作業抽出(work-extracting)デバイス、例えば、水力タービンまたはターボ膨張機などを通過し、かつそれを通じて作業膨張(work expand)させることによって膨張して部分的に蒸発し、それにより、流の等エントロピー膨張を(本質的に)もたらし得る。
【0057】
本明細書で使用される場合、「相分離」という用語は、蒸留、精留、ストリッピング、および単純なフラッシュ分離などの1つ以上の入力流を気体出力流と液体出力流とに分離する任意のプロセスを含むよう意図されている。
【0058】
本明細書で使用される場合、「精留塔」という用語は、精留のみを行う塔、ならびに精留およびストリッピングの両方を含む塔を指すよう意図されている。
【0059】
本明細書で使用される場合、「主熱交換器」という用語は、天然ガス流のすべてまたは一部を冷却および液化して、冷却されたLNG流を生成する熱交換器を指す。熱交換器は、直列および/または並列に配置された1つ以上の冷却セクションから構成されていてもよい。かかるセクションは各々、自らのハウジングを有する別個の熱交換器ユニットを構成し得るが、同様に、これらのセクションが組み合わせられて、共通ハウジングを共有する単一の熱交換器ユニットになる場合もある。熱交換器ユニットは、シェルアンドチューブ型、巻線コイル型、またはプレートフィン型などであるが、これらに限定されない任意の好意的な型のものであってもよい。かかるユニットでは、冷却セクションは各々、典型的には、自らのチューブバンドル(ユニットがシシェルアンドチューブ型もしくは巻線コイル型のものである場合)またはプレートフィンバンドル(ユニットがプレートフィン型のものである場合)を備える。
【0060】
主熱交換器の冷凍の一部またはすべては、閉ループ冷凍システムによって提供され、閉ループ冷蔵システムによって循環された冷媒が主熱交換器を通過し、主熱交換器内で温められ、凝縮熱交換器を通過し、凝縮熱交換器内で温められる。閉ループ冷凍システムは、任意の好適な型のものであってもよい。本発明より使用され得る1つ以上の閉ループシステムを備える例示的な冷凍システムには、単一混合冷媒(SMR)システム、二重混合冷媒(DMR)システム、ハイブリッドプロパン混合冷媒(C3MR)システム、AP-X(登録商標)システム(窒素膨張サイクル過冷却を伴うC3MRまたはDMR)、窒素、メタン、他のガスまたは混合物を使用する蒸気膨張サイクル、およびConocoPhillips Optimized Cascade(登録商標)プロセスを含む他の多段階カスケード冷凍システムが含まれる。
【0061】
図1を参照すると、本発明の一実施形態による天然ガス液化システム100内の天然ガス供給流から窒素を除去するための装置および方法が示される。天然ガス供給流101は、主低温熱交換器(MCHE)102の温端部に導入される。冷却されたLNG流111は、MCHE102の冷端部から引き出される。
図1に示される実施形態では、MCHE102は、2つの冷却セクション、すなわち、天然ガス供給流101が予冷される温セクション103と、天然ガス供給流101が液化され、過冷却される冷セクション105とから構成されている。したがって、天然ガス供給流101が導入される温セクション103の端部は、その結果、MCHE102の温端部を構成し、冷却されたLNG流111が引き出される冷セクション105の端部は、その結果、MCHE102の冷端部を構成する。
【0062】
認識されるように、この文脈における「温」および「冷」という用語は、冷却セクション内の相対温度のみを指し、特定の温度範囲を意味しない。これらのセクションは各々、自らのシェル、ケーシング、または他の形態のハウジングを有する別個の熱交換器ユニットを構成し得るが、すべてのセクションが組み合わせられて、共通ハウジングを共有する単一の熱交換器ユニットになる場合もある。熱交換器は、シェルアンドチューブ型、巻線コイル型、またはプレートフィン型などであるが、これらに限定されない任意の好意的な型のものであってもよい。かかるユニットでは、冷却セクションは各々、典型的には、自らのチューブバンドル(ユニットがシシェルアンドチューブ型もしくは巻線コイル型のものである場合)またはプレートフィンバンドル(ユニットがプレートフィン型のものである場合)を備える。
【0063】
図1に示される実施形態では、MCHE102の冷凍は、温束冷媒104によって提供され、温束冷媒104は、減圧されて第1の冷冷媒流(cold refrigerant stream)106を形成し、第1の冷冷媒流106は、それが温セクションに冷凍を提供する温セクション103のシェル側を通過する。冷束冷媒108は、減圧されて、冷セクション104のシェル側を通過して冷セクションに冷凍を提供する第2の冷束冷媒流110を形成する。第1の冷媒と第2の冷媒は、同じ冷媒であっても異なる冷媒であってもよく、同じまたは異なる開ループまたは閉ループ冷凍システムの一部であり得る。
【0064】
冷却されたLNG流111は、MCHE102の冷端部から引き出され、JT弁112を通じて拡張して、拡張した冷却されたLNG流113を生成し、その後、フラッシュドラム114内で減圧される。フラッシュドラム114の底部からの液相LNG製品流115は、ポンプ126により汲み上げられ、導管128を介してLNG貯蔵タンク(図示せず)に送られる。好ましくは、LNG流115は、1モルパーセント未満の窒素含有量を有する。
【0065】
フラッシュガス流116は、フラッシュドラム114の上部から引き出され、フラッシュガス流116の第1の部分123が精留塔130に送られる。フラッシュガス流116は、冷却されたLNG流111と比較して窒素濃縮されている。好ましくは、フラッシュガス流116は、10~50モルパーセントの窒素含有量を有する。この例では、フラッシュガス流116の窒素含有量は、30~35モルパーセントである。フラッシュガス流116の第2の部分117がバイパス流117を形成し、これについては本明細書でより詳細に論じられる。
【0066】
精留塔130からのオーバーヘッド流131は、エンドフラッシュ交換器121内で温められ、弁134を通る大気135への放出に好適な窒素蒸気流132を生成する。窒素蒸気流132は、好ましくは、90モルパーセント超、より好ましくは99モルパーセント超の窒素濃度を有する。窒素蒸気流132は、好ましくは、1000ppm以下、好ましくは0.1ppm~1000ppmの範囲のメタンモル濃度を有する。
【0067】
燃料流119とも称される精留塔液体流は、精留塔130の底部から引き出され、任意選択で、フラッシュガス流116の第2の部分117と組み合わせられて燃料製品流120を形成し、その後、エンドフラッシュ交換器121内で温められ、蒸発して、蒸発した燃料流122を生成する。蒸発した燃料流122は、冷却されたLNG流111と比較して窒素枯渇しており、好ましくは、燃料供給される機器にとって必要な最大燃料ガス窒素濃度に非常に近いが、それを超えない窒素濃度を有する。
【0068】
フラッシュガス流116の第2の部分117を精留塔130の上流の精留塔液体流119に誘導し、第2の部分117の流れを制御するための手段(この例では、弁118)を提供することにより、フラッシュガス流116の窒素含有量から独立して蒸発した燃料流122内の窒素含有量を制御することが可能になる。フラッシュガス流116の第2の部分117は、蒸発した燃料流122の窒素含有量を制御するために使用することができる混合流として機能する。これにより、より低容量の精留塔130を使用することが可能になり、精留を行うのに必要な動力が減少し、フラッシュガス流116の窒素含有量が燃料中の最大許容値よりも高い場合にガスタービンの出力が最大化される。例えば、燃料流122の最大許容窒素濃度が15モルパーセントである場合、フラッシュガス流116の第2の部分117の流量は、燃料流122の窒素濃度を13~15モルパーセントに維持するように、好ましくはガスタービン燃料中の最大窒素濃度の5%以内、または2%以内、または1%以内に維持するように制御され得る。
【0069】
好ましくは、窒素蒸気流132の第1の部分133のみが、弁134を介して大気135に放出される。窒素蒸気流132の第2の部分136は、圧縮機137内で再圧縮されて、圧縮された窒素流138を生成する。圧縮された窒素流138は、冷却器139内で冷却されて、冷却された圧縮された窒素流140をもたらす。冷却された圧縮された窒素流140は、エンドフラッシュ交換器121内でさらに冷却されて、液化された窒素流141を生成する。液化された窒素流141は、J-T弁142内で膨張して還流流143を生成し、これが精留塔130の上部に戻されて、精留塔130に還流を提供する。冷却されたLNG流111の窒素濃度が所定の値を下回る場合、弁134が閉じられ、冷却されたLNG流111の窒素濃度が増加した場合/ときに再び開かれ得る。言い換えれば、窒素除去サブシステムは、窒素除去が不要であり、かつ窒素濃度が増加した場合/ときに迅速に反応する準備が整っているときに、「アイドル状態」にすることができる。
【0070】
あるいは、混合流は、フラッシュガス流116の第2の部分117の代わりに流133の一部を含み得る。これにより、混合流がエンドフラッシュ交換器121の下流から引き出され、(第2の部分117の場合の潜在的な二相の代わりに)単相の混合流をもたらすことが可能になる。
【0071】
図2は、天然ガス液化システム200の別の例示的な実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図2で参照番号を100増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図2のMCHE202に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図2で識別される要素が
図2に関連して本明細書では論じられない場合がある。
【0072】
図2に示される実施形態では、
図1に示されるフラッシュドラム114は、精留塔230に送られる窒素濃縮気相流(フラッシュガス)216中の窒素の濃度を増加させる目的で、リボイラ205および窒素ストリッパー塔224に置き換えられる。MCHEからの冷却されたLNG流211は、窒素ストリッパー塔224からの底部流209に対してリボイラ205内で過冷却される。窒素ストリッパー塔215からの底部液体流215は、ポンプ226および導管228を介して貯蔵庫に送られる。
【0073】
図3は、精留塔330がフラッシュドラム314の上流に設けられている天然ガス液化システム300の別の例示的な実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図3で参照番号を200増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図3のMCHE302に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図3で識別される要素が
図3に関連して本明細書では論じられない場合がある。MCHE302から引き出された冷却されたLNG流311は、弁312によって減圧されて、精留塔330に入る拡張された冷却されたLNG流313を形成する。窒素濃縮されている精留塔オーバーヘッド流331は、NRU交換器321内で温められて、窒素蒸気流332を形成する。窒素蒸気流333の第1の部分は、大気335に放出される。窒素蒸気流332の第2の部分336は、圧縮機337内で再圧縮され、冷却器339内で冷却され、NRU交換器321内で液化されて、精留塔330内での還流として使用されるようになる。この例では、精留塔330は、フラッシュドラム314よりも高い圧力で動作する。精留塔330とフラッシュドラム314との間の圧力差を変化させることにより、流355および306を制御し、それ故に、最終的にはその燃料製品流361の窒素濃度を独立して制御することが可能になる。
【0074】
精留塔液体流319は、精留塔330の底部から引き出される。精留塔液体流319の第1の部分379は、ポンプ305により汲み上げられて流306になり、NRU交換器321内で蒸発して、最終的には燃料361として使用されるようになる。精留塔液体流319の第2の部分343は、JT弁312内で拡張し、フラッシュドラム314内でフラッシュされる。フラッシュドラム314からのオーバーヘッド蒸気流355は、天然ガス供給流350に対してエンドフラッシュ交換器351内で温められ、温められた蒸気流356およびLNG流352を形成する。LNG流352は、それが膨張弁353を通過して膨張したLNG流354を形成したときに膨張し、それがフラッシュドラム314内に導入される。温められた蒸気流356は、圧縮機357内で圧縮されて、圧縮された温められた蒸気流358を形成する。圧縮された温められた蒸気流358は、冷却器359内で冷却されて、冷却された圧縮された蒸気流360を形成する。冷却された圧縮された蒸気流360は、精留塔330からの蒸発した液体324と組み合わせられて、組み合わせられた燃料製品流361を形成する。
図1の流160と同様に、燃料製品流361は、ガスタービン内での燃料としての使用に好適な濃度よりもわずかに低い窒素濃度を有する。例えば、ガスタービンの最大許容燃料ガス窒素含有量が30モルパーセントである場合、燃料製品流361の窒素含有量は、好ましくは28~30モルパーセントである。流350は、NRU交換器321内のオーバーヘッド蒸気流に対して冷却され、フラッシュドラム314に送られる。
【0075】
精留塔液体流319の第2の部分343をフラッシュドラム314に誘導してオーバーヘッド蒸気流355を作り出し、第2の部分343の流れを制御するための手段(この例では、弁312)を提供することにより、精留塔液体流319の第1の部分379の窒素含有量から独立して蒸発した燃料流361内の窒素含有量を制御することが可能になる。第2の部分343は、蒸発した燃料流361の窒素含有量を制御するために使用することができる混合流として機能する。これにより、より低容量の精留塔330を使用することが可能になり、精留を行うのに必要な動力が減少する。例えば、蒸発した燃料流361の最大許容窒素濃度が15モルパーセントである場合、精留塔液体流の第2の部分343の流量は、燃料流361の窒素濃度を10~15モルパーセントに維持するように制御され得る。
【0076】
図4は、天然ガス液化システム400の別の代替実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図4で参照番号を300増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図4のMCHE402に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図4で識別される要素が
図4に関連して本明細書では論じられない場合がある。
図4の実施形態では、高圧フラッシュドラム414は、窒素精留塔430の効率を改善するために使用される。MCHE402からの冷却されたLNG流411は、JT弁412を通じて膨張し、高圧フラッシュドラム414内で減圧される。フラッシュガス流416は、高圧フラッシュドラム414の上部から引き出され、精留塔430に供給されて、フラッシュガスおよび燃料ガスから窒素をさらに除去する。オーバーヘッド流431は、精留塔430の上部から引き出され、NRU/エンドフラッシュ交換器421内で温められて、窒素流432を形成する。窒素流433の第1の部分は、大気435に放出される。窒素流436の第2の部分は、圧縮機437内で再圧縮され、冷却器439内で冷却され、NRU/エンドフラッシュ交換器421内で液化されて、窒素精留塔430への還流443として使用されるようになる。
【0077】
精留塔液体流419は、精留塔430の底部から引き出され、ポンプにより汲み上げられNRU/エンドフラッシュ交換器421に入り、最終的には燃料461として使用されるようになる。
【0078】
液相LNG流415は、高圧フラッシュドラム414の底部から引き出される。高圧フラッシュドラム414からの液相LNG流415は、JT弁462を通じて拡張し、その後、フラッシュされ、LNGフラッシュドラム463内で分離される。オーバーヘッド蒸気流465は、LNGフラッシュドラム463の上部から引き出される。オーバーヘッド蒸気流465は、NRU/エンドフラッシュ交換器内で温められて、温められた蒸気流456を形成する。温められた蒸気流456は、圧縮機457内で圧縮され、圧縮された温められた蒸気流455を形成する。圧縮された温められた蒸気流455は、冷却器459内で冷却されて、冷却された圧縮された蒸気流460を形成する。冷却された圧縮された蒸気流460は、精留塔424からの蒸発した液体と組み合わせられて、組み合わせられた燃料流461を形成する。好ましくは、組み合わせられた燃料流461は、15モルパーセント未満の窒素濃度を有し、ガスタービン内での燃料としての使用に好適である。
【0079】
液相LNG流464は、LNGフラッシュドラム463の底部から引き出され、ポンプ426により汲み上げられて貯蔵庫428に入る。
【0080】
図5は、天然ガス液化システム500の別の代替実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図5で参照番号を400増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図5のMCHE502に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図5で識別される要素が
図5に関連して本明細書では論じられない場合がある。
図5の実施形態では、高圧フラッシュドラム514は、フラッシュガス流516を生成するために使用され、フラッシュガス流516は、温められ、その後、燃料圧まで圧縮されて、混合流560を提供する。混合流560は、組み合わせられた燃料流561中の窒素濃度を制御するために燃料流524と混合される。
【0081】
図5を参照すると、MCHE502からの冷却されたLNG流511は、高圧フラッシュドラム514内で減圧される。液相LNG流515は、高圧フラッシュドラム514の底部から引き出される。高圧フラッシュドラム514からの液相LNG流515は、JT弁562を通じて拡張し、精留塔530に供給されて、LNGから窒素をさらに除去する。
【0082】
精留塔オーバーヘッド蒸気流531は、精留塔530の上部から引き出される。精留塔オーバーヘッド蒸気流531は、液相LNG流515と比較して窒素濃縮されている。精留塔オーバーヘッド蒸気流531は、NRU/エンドフラッシュ交換器521内で温められて、窒素流532を形成する。窒素流533の第1の部分は、大気535に放出される。窒素流536の第2の部分は、圧縮機537内で再圧縮され、冷却器539内で冷却され、NRU/エンドフラッシュ交換器521内で液化されて、塔543への還流として使用されるようになる。
【0083】
精留塔液体流563の第1の部分579は、精留塔530の底部から引き出され、ポンプ505により汲み上げられてNRU/エンドフラッシュ交換器521に入り、ここでそれが温められ、蒸発して、最終的には燃料561として使用されるガス流を形成する。精留塔液体流563の第2の部分564は、ポンプ526を介して貯蔵庫528に移される。
【0084】
高圧フラッシュドラム514からのフラッシュガス流516は、NRU/エンドフラッシュ交換器521内で温められ、温められた蒸気流556を形成する。温められた蒸気流556は、圧縮機557内で圧縮され、圧縮された温められた蒸気流558を形成する。圧縮された温められた蒸気流558は、冷却器559内で冷却されて、冷却された圧縮された蒸気流560を形成する。冷却された圧縮された蒸気流560は、精留塔524からの蒸発した液体と組み合わせられて、組み合わせられた燃料流561を形成する。好ましくは、組み合わせられた燃料流561は、燃料中の最大窒素濃度未満の窒素濃度(例えば、燃料中の最大窒素濃度が15%である場合、13~15モルパーセント)を有し、ガスタービン内での燃料としての使用に好適である。
【0085】
図6は、天然ガス液化システム600の別の代替実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図6で参照番号を500増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図6のMCHE602に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図6で識別される要素が
図6に関連して本明細書では論じられない場合がある。
図6の実施形態では、高圧フラッシュドラム614は、窒素精留塔630の効率を改善するために使用される。
【0086】
図6を参照すると、MCHE602からの冷却されたLNG流611は、高圧フラッシュドラム614内で減圧される。
【0087】
フラッシュガス流616は、高圧フラッシュドラム614の上部から引き出される。フラッシュガス流616は、LNGフラッシュドラム663からのフラッシュ蒸気流665に対して熱交換器666内で冷却され、冷却された窒素濃縮蒸気流668を形成する。冷却された窒素濃縮蒸気流668は、JT弁669を通じて膨張し、精留塔630に供給される。
【0088】
精留塔オーバーヘッド蒸気流631は、精留塔630の上部から引き出される。精留塔オーバーヘッド蒸気流631は、NRU/エンドフラッシュ交換器621内で温められて、窒素流632を形成する。窒素流633の第1の部分は、大気635に放出される。窒素流636の第2の部分は、圧縮機637内で再圧縮され、冷却器639内で冷却され、NRU/エンドフラッシュ交換器621内で液化されて、精留塔643への還流として使用されるようになる。
【0089】
精留塔液体流619は、精留塔630の底部から引き出され、ポンプを介してNRU/エンドフラッシュ交換器621に移され、ここでそれが蒸発して、蒸発した流624を形成して、最終的には燃料661として使用されるようになる。
【0090】
液相LNG流615は、高圧フラッシュドラム614の底部から引き出される。液相LNG流615は、JT弁662を通じて拡張し、その後、LNGフラッシュドラム663内でフラッシュされ、分離される。LNGフラッシュドラム663からのフラッシュ蒸気流665は、最初に熱交換器666内の精留塔616への蒸気供給に対して温められ、その後、NRU/エンドフラッシュ交換器621内でさらに温められて、温められた蒸気流656を形成する。温められた蒸気流656は、圧縮機657内で圧縮されて、圧縮された温められた蒸気流658を形成する。圧縮された温められた蒸気流658は、冷却器659内で冷却されて、冷却された圧縮された蒸気流660を形成する。冷却された圧縮された蒸気流660は、精留塔630からの蒸発した液体と組み合わせられて、組み合わせられた燃料流661を形成する。好ましくは、組み合わせられた燃料流661は、15モルパーセント未満の窒素濃度を有し、ガスタービン内での燃料としての使用に好適である。
【0091】
液体LNG流664は、LNGフラッシュドラム663の底部から除去され、ポンプ626を介して貯蔵庫628に移される。
【0092】
図7は、天然ガス液化システム700の別の代替実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図7で参照番号を600増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図7のMCHE702に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図7で識別される要素が
図7に関連して本明細書では論じられない場合がある。
図7の実施形態では、高圧窒素ストリッパー塔705は、
図4の高圧フラッシュドラム414に取って代わるものである。
【0093】
図7を参照すると、MCHE702からの冷却されたLNG流711は、窒素ストリッパー塔714の底部からのリボイラ流709に対して過冷却される。高圧窒素ストリッパー塔714からのオーバーヘッド蒸気流716は、精留塔730に供給されて、フラッシュ/燃料ガスから窒素を除去する。塔731からの窒素蒸気は、NRU/エンドフラッシュ交換器721内で温められ、窒素流732を形成する。窒素流733の第1の部分は、大気735に放出される。窒素流736の第2の部分は、(圧縮機737内で)再圧縮され、(熱交換器739内で)冷却され、NRU/エンドフラッシュ交換器721内で液化されて、塔730への還流743として使用されるようになる。
【0094】
精留塔730からの液体719は、ポンプ汲み上げされ705、NRU/エンドフラッシュ交換器721内で蒸発して、燃料761として使用されるようになる。窒素ストリッパー塔714からの液体流715は、LNGフラッシュドラム763内でフラッシュされ、分離される。LNGフラッシュドラム763からの蒸気流765は、混合流を作り出すために使用され、燃料製品流761中の窒素濃度を制御するために使用されるようになる。LNGフラッシュドラム763からの蒸気流765は、NRU/エンドフラッシュ交換器721内で温められ、精留塔730から蒸発した液体と組み合わせられる。組み合わせられた燃料流761は、ガスタービン内の燃料に好適な減少した窒素含有量(15%未満の窒素)を有する。LNG製品流725は、LNGフラッシュドラム763から引き出され、貯蔵庫728に送られる。
【0095】
図8は、天然ガス液化システム800の別の代替実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図8で参照番号を700増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図8のMCHE802に対応する。
図1の対応する要素とは異ならない
図8で識別される要素が
図8に関連して本明細書では論じられない場合がある。
図8の実施形態では、
図4のシステムは、NRU/エンドフラッシュ交換器821が大気835に放出される窒素よりも低い温度で還流843に使用される再循環窒素836を圧縮するように変更されている。
【0096】
図9は、天然ガス液化システム900の別の代替実施形態を示す。
図1に関して同様に示され、かつ説明されているこの実施形態の要素は、
図8で参照番号を800増加させて識別されている。例えば、
図1のMCHE102は、
図9のMCHE902に対応する。先の図に記載の対応する要素とは異ならない
図9で識別される要素が
図9に関連して本明細書では論じられない場合がある。
図9の実施形態は、
図2に示される実施形態と非常に類似している。この実施形態900では、燃料ガス流993の窒素含有量を独立して制御するために使用される混合流は、圧縮された窒素流940から分かれた流995である。この配置は、燃料圧縮機要件を緩和または排除するために、ポンプ内で液体919を精留塔930からポンプ汲み上げする能力を提供する。あるいは、燃料ガス流993の窒素含有量の制御は、窒素蒸気流932から分かれた流994によって提供することができる。
【実施例0097】
表1は、
図2に示される実施形態の天然ガス液化および窒素除去システムの動作のモデル化された実施例である。この実施例は、名目上2.5%の窒素を有する供給ガス流201に基づく。このプロセスは、0.65%未満の窒素、23.5%未満の窒素を有する燃料、800ppmのメタンを有する大気に放出される窒素を有するLNGを生成するように最適化されている。
表1
【表1】
【0098】
したがって、本発明は、例示的な実施形態およびその代替実施形態の観点で開示されている。言うまでもなく、本発明の教示からの様々な変更、修正、および改変は、意図される趣旨およびその範囲から逸脱することなく、当業者によって企図され得る。本発明が添付の特許請求の範囲の用語によってのみ限定されることが意図されている。