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特開2023-36557一体化された可変レンズを備え、かつクロストークを低減した可変プリズム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036557
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】一体化された可変レンズを備え、かつクロストークを低減した可変プリズム
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/06 20060101AFI20230307BHJP
   G02B 3/12 20060101ALI20230307BHJP
   G03B 5/00 20210101ALI20230307BHJP
   G02B 27/64 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
G02B5/06
G02B3/12
G03B5/00 J
G02B27/64
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022138945
(22)【出願日】2022-09-01
(31)【優先権主張番号】10 2021 122 783.6
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(71)【出願人】
【識別番号】522348206
【氏名又は名称】ネクストレンズ スウィツァランド アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100149032
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 敏明
(74)【代理人】
【識別番号】100181906
【弁理士】
【氏名又は名称】河村 一乃
(72)【発明者】
【氏名】ステファン スモルカ
(72)【発明者】
【氏名】ヨハネス ハッセ
【テーマコード(参考)】
2K005
【Fターム(参考)】
2K005CA26
2K005CA42
2K005CA44
2K005CA45
(57)【要約】      (修正有)
【課題】透明な剛性光学素子のベアリングに関して改善された光学デバイスを提供する。
【解決手段】光学デバイス1は、内部空間11を取り囲む容器10を備え、内部空間は透明な液体12で満たされており、容器は、内部空間を少なくとも部分的に区画する透明かつ弾性変形可能な膜13を備え、容器が、膜に接続されている透明な剛性光学素子2を更に備え、剛性光学素子は、膜に面する光学面20を備え、剛性光学素子は、容器の内部空間に存在する透明な液体に光Lを通過させるために光を受光するように構成されている。光学デバイスが、容器を通過する光を偏向させるために剛性光学素子の光学面に沿って延びる少なくとも第1の傾斜軸Xの周りに剛性光学素子が傾斜可能であるように剛性光学素子を支持する支持構造体3を更に備え、支持構造体は、光学デバイスの光軸Aに沿う方向での剛性光学素子移動を防ぐように構成されている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
- 容器(10)の内部空間(11)を取り囲む前記容器(10)であり、前記内部空間(11)は透明な液体(12)で満たされており、前記容器(10)は、前記内部空間(11)を少なくとも部分的に区画する透明かつ弾性変形可能な第1の膜(13)を備える、前記容器(10)、
- 前記第1の膜(13)に接続されている透明な剛性光学素子(2)であり、前記剛性光学素子(2)は、前記膜(13)に広く取り付けられた光学面(20)を備え、前記剛性光学素子(2)は、前記容器(10)の内部空間(11)に存在する前記透明な液体(12)を通って光(L)を通過させるために光(L)を受光するように構成されている、前記剛性光学素子(2)、
を備える、光学デバイス(1)であって、
前記光学デバイス(1)は:
- 前記容器(10)を通過する光を偏向させるために前記剛性光学素子(2)の光学面(20)に沿って延びる少なくとも第1の傾斜軸(X)の周りに、前記剛性光学素子(2)が前記容器(10)に対して傾斜可能であるように、前記剛性光学素子(2)を支える支持構造体(3)であり、前記支持構造体(3)は、前記光学デバイスの光軸(A)に沿う方向における前記剛性光学素子(2)及び前記容器(10)の互いに対する相対的な平行移動を防ぐように構成される、前記支持構造体(3)、
を更に備える、前記光学デバイス(1)。
【請求項2】
前記第1の傾斜軸(X)は、前記光学面(20)の対称軸に沿って延びており、特に前記光学面(20)の上面図に見られるとおり、前記光学面(20)の対称軸に沿って延びている、請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項3】
前記支持構造体(3)は、第1のフレーム部材(31)及び取付け構造体(30)を備え、前記剛性光学素子(2)は、前記第1のフレーム部材(31)によって保持され、前記第1のフレーム部材(31)は、前記剛性光学素子(2)が前記第1の傾斜軸(X)の周りに傾斜可能であるように前記取付け構造体(30)に回転可能に支持されている、請求項1又は2に記載の光学デバイス(1)。
【請求項4】
前記支持構造体(3)は、第2のフレーム部材(32)を備え、前記第1のフレーム部材(31)が前記第2のフレーム部材(32)に対して前記第1の傾斜軸(X)の周りに傾斜可能であるように、前記第1のフレーム部材(31)は、前記第2のフレーム部材(32)に回転可能に支持され、かつ前記第2のフレーム部材(32)及びそれと共に前記第1のフレーム部材(31)及び前記剛性光学素子(2)が第2の傾斜軸(Y)の周りに傾斜可能であるように、前記第2のフレーム部材(32)は、前記取付け構造体(30)に回転可能に支持されている、請求項3に記載の光学デバイス(1)。
【請求項5】
前記支持構造体(3)は、前記容器(10)の一部分を形成するか、又は前記容器(10)に接続されるマウント(50)、及び前記剛性光学素子(2)が前記第1の傾斜軸(X)の周りに傾斜可能であるように前記剛性光学素子(2)を前記マウント(50)に接続する複数の弾性的に曲げられる脚(51)を備え、前記脚(51)は、前記剛性光学素子(2)に対してある角度で配置され、特に前記支持構造体(3)は、前記剛性光学素子(2)の対向する縁部分(2a、2b)に配置される2対の脚(51)を備え、各対は、互いに向かって延びる2本の脚(51)を備え、又は特に前記支持構造体(3)は、前記剛性光学素子(2)に対してある角度で延びる3本の脚(51)を備え、前記脚(51)は、前記剛性光学素子(2)が第1の傾斜軸(X)の周りに、並びに第2の傾斜軸(Y)の周りに傾斜できるように、120°間隔で、前記剛性光学素子(2)の周縁に沿って等距離に配置されている、請求項1に記載の光学デバイス(1)。
【請求項6】
前記光学デバイスは、第1及び/又は第2の傾斜軸の周りに容器に対する前記剛性光学素子(2)の相対傾斜をもたらすように構成された傾斜アクチュエータ(60、61)を備える、請求項1~5のいずれか一項に記載の光学デバイス(1)。
【請求項7】
前記光学デバイス(1)は、第1及び第2の傾斜軸(X、Y)が互いに交差するピボット点(P)を備え、前記ピボット点(P)は、前記光学デバイス(1)の光軸(A)上及び前記剛性光学素子(2)の光学面(20)上に位置している、請求項1~6のいずれか一項に記載の光学デバイス(1)。
【請求項8】
前記容器(10)は、第2の透明かつ弾性変形可能な膜(14)を備え、光軸(A)に沿って、前記第2の膜(14)は、前記第1の膜(13)に対して前記容器(10)の反対側に配置され、前記液体(12)は、前記第1の膜(13)及び前記第2の膜(14)の間に配置されている、請求項1~7のいずれか一項に記載の光学デバイス(1)。
【請求項9】
前記光学デバイスは、前記内部空間(11)内の前記透明な液体(12)の圧力を制御するように配置されたレンズアクチュエータ(6)を備え、前記第2の膜(14)の曲率は、前記内部空間(11)内の前記透明な液体(12)の圧力に依存し、かつ前記光学デバイスの屈折力は、前記第2の膜(14)の曲率に依存する、請求項8に記載の光学デバイス(1)。
【請求項10】
前記レンズアクチュエータ(6)は、前記第2の膜(14)を変形させ、それによって前記容器(10)により形成されるレンズの屈折力を調節するように、前記容器(10)の一部分(16)を、前記部分(16)の傾斜なしに、前記剛性光学素子(2)に対して直線的に移動させるように構成されている、請求項9に記載の光学デバイス(1)。
【請求項11】
前記容器(10)の前記部分(16)は、前記剛性光学素子(2)が前記透明かつ弾性変形可能な膜(13)を介して接続される、前記容器(10)の周壁(16)を備え、前記更なる透明かつ弾性変形可能な膜(14)は、前記透明な液体(12)が前記2つの膜(13、14)の間に配置されるように前記周壁(16)に接続されている、請求項10に記載の光学デバイス(1)。
【請求項12】
前記光学デバイス(1)は、前記容器(10)に接続されたリザーバ(17)を備え、かつ前記レンズアクチュエータ(6)は、前記第2の膜(14)を変形させ、それによって前記容器(10)によって形成されるレンズの屈折力を調節するように、前記リザーバ(17)から前記容器(10)の内部空間へ、及びその逆へ、前記液体(12)を送り込むように構成されている、請求項9に記載の光学デバイス(1)。
【請求項13】
前記光学デバイス(1)は、前記第2の膜(14)に取り付けられるレンズ整形器(7)を備え、かつ前記レンズアクチュエータ(6)は、前記第2の膜(14)を変形させ、それによって前記容器(10)により形成されるレンズの屈折力を調節するように、前記レンズ整形器(7)を前記容器(10)に対して移動させるように構成されている、請求項9に記載の光学デバイス(1)。
【請求項14】
前記取付け構造体(30)は、2つの対向する接続パッド(301、302)を備え、前記接続パッド(301、302)は、前記光学デバイス(1)のハウジングに接続され、前記第1のフレーム部材(31)は、ベアリング(33)を介して各接続パッド(301、302)に接続され、前記第2のフレーム部材(32)は、ベアリング(33)を介して各接続パッド(301、302)に接続され、前記第1のフレーム部材(31)は、2つの更なるベアリング(34)を介して前記第2のフレーム部材に回転可能に接続され、かつ前記それぞれのジンバルベアリング(33)及び/又は前記それぞれの更なるジンバルベアリング(34)は、ボールベアリング、ねじりばね、蛇行ばねのうちの1つである、請求項2~13のいずれか一項に記載の光学デバイス(1)。
【請求項15】
- 容器(10)の内部空間(11)を取り囲む前記容器(10)であり、前記内部空間(11)は、透明な液体(12)で満たされており、前記容器(10)は、前記内部空間(11)を少なくとも部分的に区画する第1及び対向する第2の透明かつ弾性変形可能な膜(13、14)を備え、前記液体(12)は、前記第1及び第2の膜(13、14)の間に配置されている、前記容器(10)、
- ここで前記容器(10)は、前記第1の膜(13)に接続された透明な剛性光学素子(2)を更に備え、前記剛性光学素子(2)は、前記第1の膜(13)に面する光学面(20)を備え、前記剛性光学素子(2)は、前記容器(10)の内部空間(11)に存在する前記透明な液体(12)に光(L)を通過させるために、光(L)を受光するように構成されること、
- 前記第2の膜(14)に配置されるレンズ整形器(7)、
- 前記第2の膜(14)を変形させて、それによって前記容器(10)によって形成されるレンズの屈折力を調整するように、前記剛性光学素子(2)を傾けることなく、前記剛性光学素子(2)を前記第1の膜(13)に対して押し付けるように構成されたアクチュエータ(6)、及び
- 前記容器(10)を通過する光を偏向させるために、前記レンズ整形器(7)が少なくとも第1の傾斜軸(X)の周りに傾斜可能であるように、前記レンズ整形器(7)を支持する支持構造体(3)であり、前記支持構造体(3)は、前記光学デバイス(1)の光軸(A)に沿う方向におけるレンズ整形器(7)の平行移動を防ぐように構成されている、前記支持構造体(3)、
を備える光学デバイス(1)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光学デバイス、特に可変(tunable)プリズム、特に一体化された可変液体レンズを備える可変プリズムに関するものである。
【0002】
このような可変プリズムは、光学画像安定化システム(OIS:optical image stabilization system)を実現するために光学システムに適用することができる。
【背景技術】
【0003】
最先端技術において、光学イメージングシステムにおける光学画像安定化は十分に確立されている。
【0004】
例えば、携帯電話などの手持ちカメラでは、例えば手ぶれなどによってカメラが横方向又は回転方向に動くことで、画像安定化を使用しない場合はカメラのイメージセンサーに投影される画像が横方向にずれてしまう。特に光学画像安定化とは、イメージングシステムのイメージング光学素子を適宜調整することによって、前述のずれ又は回転を補償する方法、又は更にはそのような横方向のずれを防止する方法を指す。
【0005】
これは、例えば、イメージングシステムの光路にある可変プリズムによって促進することができる。イメージセンサーの横方向の動きが検出されると、動きがないときにイメージセンサーに当たるのと同じ位置に光がイメージセンサーに当たるよう、入射光が可変プリズムによって偏向されるように可変プリズムが調整される。
【0006】
可変プリズムは、通常、可撓性膜によって少なくとも部分的に区画された液体容積部を備える。透明かつ剛性の光学素子がこの膜に取り付けられている(例えば、偏向されるべき入射光を受光するため)。特に、この膜は、液体容積部の封止部、並びに透明な剛性光学部品の軸受部(ベアリング)を提供する。この膜上のベアリングにより、透明な剛性光学素子を傾けることができる。しかしながら、膜上の透明な剛性光学素子のベアリングは、付加的に、透明な剛性光学素子を光軸に沿ってずらしてしまう。
【0007】
光軸に沿った透明な剛性光学素子のずれにより、液体容積内の圧力が変化し、これにより可変レンズの屈折力(optical power)が変化し、その結果、可変レンズとプリズムの間に不要なクロストークが発生するため、液体容積部が可変レンズの一部分としても使用される場合、透明な剛性光学素子のこのずれは特に問題になる。
【0008】
従来技術では、このような問題は一般的に集束用の従来のレンズと光学画像安定化用の従来のプリズムとを別々に提供することによって対処している。しかしながら、両方の構成部品が完全に分離されているため、このようなシステムは通常、ある程度大型になる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
以上に基づき、本発明が解決しようとする課題は、透明な剛性光学素子のベアリングに関して改善された光学デバイスを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この課題は、請求項1の特徴を有する光学デバイスによって解決される。この態様の好ましい実施形態は、独立請求項に記載され、以下に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、2つの透明な剛性光学素子を備える調整可能なプリズムの形態の本発明による光学デバイスの一実施形態を示し、各々は単一の軸の周りに傾斜可能であり、これらの軸は異なる方向に延びている。
図2図2は、2つの透明な剛性光学素子を備える調整可能なプリズムの形態の本発明による光学デバイスの一実施形態を示し、各々が2つの傾斜軸の周りに傾斜可能であり、その結果、一度に透明な剛性光学素子のうちの1つのみを傾斜させなければならない。
図3図3は、本発明による光学デバイスの一実施形態を示し、透明な剛性光学素子は、ジンバル支持構造体によって支持され、容器の屈折力を調整するために容器の側壁を直線的に移動させるのと同時に、容器が調整可能プリズムを形成するように傾斜され、すなわち該容器は調整可能な液体レンズをも形成する。
図4図4は、本発明による光学デバイスの一実施形態を示し、容器(調整可能なレンズ)の屈折力が、リザーバから容器の内部空間へ(又はその逆へ)液体を送り込むことによって変化するのと同時に、透明な剛性光学素子は例えば図3に示すとおり支持されている。
図5図5は、本発明による光学デバイスの一実施形態を示し、透明な剛性光学素子は、ジンバル支持構造体によって支持され、かつ透明な剛性光学素子に面する更なる膜と相互作用するレンズ整形器が、容器の屈折力を調整するために直線的に移動し、すなわち容器が調整可能な液体レンズをも形成するのと同時に、容器が調整可能なプリズムを形成するように、透明な剛性光学素子は傾斜される。
図6図6は、ベアリングによって支持構造体の第1又は第2のフレーム部材を回転可能に支持する異なる実施形態を示す。
図7図7は、より高い曲げ剛性を実現するように支持構造体を備える支持フレームの使用を示す図である。
図8図8は、ボールジョイントで片側を支持された傾斜可能な透明な剛性光学素子を備える光学デバイスの一実施形態の平面図を示す。
図9図9は、図8の実施形態の断面図を示す。
図10図10は、本発明による光学デバイスの一実施形態を示し、透明な剛性光学素子は、2つの傾斜軸の交差点に対応する定義されたピボット点を備え、ピボット点は、容器の膜に接続されている光学表面上に位置する。
図11図11は、光学デバイスの更なる実施形態を示し、光学デバイスは、単一の傾斜軸の周りに透明な剛性光学素子の傾斜を可能にするための曲げ脚を備える支持構造体を備える。
図12図12は、図11に示した曲げ脚の透視図である。
図13図13は、図11及び図12に示した実施形態の変更形態を示す上面図であり、2つの異なる傾斜軸の周りに傾斜させることができる。
図14図14は、図3に示された実施形態の変更形態を示し、ここでは、容器の側壁が、光軸に沿って側壁の平行移動なしに前記側壁の傾斜を可能にする支持構造体によって支持されているのと同時に、透明な剛性光学素子は傾くことなく直線的に移動する。
図15図15は、図5に示した実施形態の変更形態を示し、ここでは、容器の更なる膜と相互作用するレンズ整形器が、光軸に沿ってレンズ整形器の平行移動なしに前記レンズ整形器の傾斜を可能にする支持構造体によって支持されているのと同時に、透明な剛性光学素子は、傾くことなく直線的に移動する。
【発明を実施するための形態】
【0012】
請求項1によれば、光学デバイスに入射する光を偏向させるための光学デバイスが開示され、この光学デバイスは:
- 容器の内部空間を取り囲む前記容器であって、前記内部空間は、透明な液体で満たされており、前記容器が、前記内部空間を少なくとも部分的に区画する透明かつ弾性変形可能な膜を備える、前記容器と、
- 前記膜に接続される透明な剛性光学素子であって、前記剛性光学素子は、前記膜に面する光学面を備え、前記剛性光学素子は、前記容器の内部空間に存在する透明な液体を通って光を通過させるために光を受光するように構成されている、前記透明な剛性光学素子と、
を備え、
前記光学デバイスは、前記容器を通過する光を偏向させるために(前記容器が調整可能なプリズムを形成するように)前記剛性光学素子の前記光学面に沿って延びる少なくとも第1の傾斜軸の周りに前記容器に対して前記剛性光学素子を傾斜させることができるように前記剛性光学素子を支持する支持構造体を更に備え、前記支持構造体は、前記光学デバイスの光軸に沿う方向に、前記剛性光学素子と前記容器との互いに対する相対直線平行移動運動を防ぐように構成されており、特に、前記光軸は、前記剛性光学素子が非傾斜状態にある(すなわち、光を偏向させることなく通過させる)場合、前記剛性光学素子の前記光表面に直交して延びている。言い換えれば、前記光軸は、少なくとも1つの第1の傾斜軸に直交するように延びている。
【0013】
特に、容器に対して剛性光学素子を傾けることで、光学面と更なる光学面との間の角度を変化させることができる。更なる光学面は、前記光学面と反対側の容器の側面に配置されている。
【0014】
以下により詳細に説明される特定の実施形態では、これは、(剛性光学素子が非傾斜状態にある、すなわち、光を偏向させずに通過させる状態に対して)光軸の方向に、すなわちジンバル支持構造体の傾斜軸に垂直な方向に、剛性光学部品の動きを制限するジンバル支持構造体によって透明な剛性光学素子を支持(ベアリング)することによって達成することが可能である。
【0015】
好ましい実施形態によれば、第1の膜及び第2の膜は、容器の反対側に配置され、剛性光学素子(例えば、ガラスから形成される)は、第1の膜上に揺動可能に支持され、剛性光学素子は、揺動により容器の内部空間における圧力(すなわち、前記液体の圧力)が変化しないように(すなわち、一定に保つように)その上に支持され、第2の膜の曲率は、容器の屈折力を調整するように、容器の内部空間における圧力を変化させることにより(例えば、適切なレンズアクチュエータにより)調節可能である。
【0016】
一般に、支持構造体は、1つ又は2つの傾斜軸を画定することができ、その周りに透明な剛性光学部品を傾斜させることができる。これらの傾斜軸は、剛性光学部品の光学面に沿って延びることが好ましい。この光学面は膜に面することが可能であり、かつ膜に接続することが可能である。
【0017】
特に、液体容積部の圧力/容積は、支持構造体、特にジンバル支持構造体を使用して透明かつ剛性の光学部品を傾けることによって変化しない。有利なことに、これにより、屈折力の調整とプリズムの調整との間のクロストークが最小限に抑えられ、正確な集束及びOISが可能になる。
【0018】
透明な剛性光学素子は、ガラス又はポリマーから構成可能、又はそれを備えることが可能である。弾性変形可能な膜(複数可)は、PDMSから構成可能、又はそれを備えることができる。
【0019】
更に、容器の内部空間に存在する液体は、水、油、グリセリンのうちの1つであるか、又はそれらのうちの1つを含むことが可能である。
【0020】
一実施形態において、支持構造体は、第1のフレーム部材と、取付け構造体とを備え、透明な剛性光学素子は、第1のフレーム部材によって保持され、第1のフレーム部材は、剛性光学素子が前記第1の傾斜軸の周りに傾斜可能であるように取付け構造体上に回転可能に支持されている。
【0021】
特に、このような支持構造体は、単一の(第1の)傾斜軸の周りに透明な剛性光学素子の一次元的な傾斜を可能にする支持構造体であり得る。
【0022】
更なる実施形態によれば、支持構造体は、第2のフレーム部材を備え、第1のフレーム部材は、第1のフレーム部材が第2のフレーム部材に対して第1の傾斜軸の周りに傾斜可能であるように、第2のフレーム部材に回転可能に支持され、かつ第2のフレーム部材は、第2のフレーム部材と、それに伴う第1のフレーム部材及び透明な剛性光学素子とが第2の傾斜軸の周りに傾斜可能であるように、取付け構造体に回転可能に支持されている。ここでは支持構造体がジンバル支持構造体を形成している。
【0023】
特に、一実施形態では、第1及び第2の傾斜軸は、互いに対して斜めに延び、特に、これら2つの軸は、互いに対して垂直に延びている。更に、一実施形態では、両方の傾斜軸が光軸に対して垂直に延びている。
【0024】
既に示したとおり、本発明による支持構造体は、第1の傾斜軸及び異なる第2の傾斜軸の周りに透明な剛性光学素子の二次元的傾斜を可能にする支持構造体であり得る。第2の傾斜軸は、第1の傾斜軸と直交することができる。
【0025】
更に、一実施形態によれば、光学デバイスは、第1及び/又は第2の傾斜軸の周りに透明な剛性光学素子を傾斜させるように構成された傾斜アクチュエータを備える。特に、傾斜アクチュエータは、第1及び/又は第2の傾斜軸の周りに透明な剛性光学素子を傾斜させることができる任意のアクチュエータ又はアクチュエータの組み合わせであり得、特に傾斜アクチュエータは、第1及び/又は第2のフレーム部材に力を及ぼすように構成することが可能である。更に、好ましい一実施形態によれば、第1及び第2の傾斜軸は、光学面の対称軸に沿って延びる。そのため、容器に対して剛性光学素子を傾ける場合、内部空間の圧力は一定に保たれる。
【0026】
一実施形態によれば、容器は、前記内部空間を少なくとも部分的に画定する透明かつ弾性変形可能な更なる膜を備え、前記更なる膜は、容器の他方の膜に面しており、容器は、前記更なる膜に接続される更なる透明な剛性光学素子を備え、前記更なる剛性光学素子は、更なる膜に面する光学面を備え、更なる剛性光学素子は、光が透明な液体を通過して容器から出射することができるように構成されている。光学デバイスは、容器を通過する光を偏向させるために、剛性光学素子が、更なる剛性光学素子の前記光学面に沿って延びる第2の傾斜軸の周りに傾斜可能であるように、更なる剛性光学素子を支持する更なる支持構造体を備え、前記更なる支持構造体は、光軸に沿う(又は傾斜軸に直交する)方向での更なる剛性光学素子の平行移動を防止するように構成される。
【0027】
特に、一実施形態では、この2つの傾斜軸は直交している。特に、各支持構造体は、それぞれの透明な剛性光学素子の一次元の傾斜を可能にする支持構造体であり得、特に2つの傾斜軸は直交し得る(例えば、光学デバイス/調整機能プリズムの光軸に対応するz方向を有するx方向及びy方向)。特に、容器の両方の膜は、容器の円周の剛性壁に接続されている。
【0028】
別の一実施形態によれば、両方の支持構造体は、それぞれの透明な剛性光学素子の二次元的な傾斜を可能にするように構成することができる。ここでは特に、透明な剛性光学素子又は更なる透明な剛性光学素子のどちらかが傾斜される。特に、膜は、容器の可撓性の周側壁の少なくとも一部を形成する。
【0029】
好ましい一実施形態によれば、光学デバイスは、第1の傾斜軸と第2の傾斜軸とが互いに交差するピボット点を備え、前記ピボット点は、光学デバイスの光軸上及び/又は透明な剛性光学素子の光学面上に位置することができる。特に、ピボット点は、特に前記光学面を上面視したときに見られるとおり、前記光学面の対称点に配置される。
【0030】
更に、一実施形態において、容器は、他方の透明かつ弾性変形可能な膜と面している、更なる透明かつ弾性変形可能な膜を備え、前記液体は、前記2つの膜の間に配置されている。
【0031】
更に、一実施形態によれば、光学デバイスは、前記更なる膜を変形させ、それによって容器の屈折力を調整するように、容器の一部分を透明剛性光学素子に対して直線的に、特に光学デバイスの光軸に沿って、前記部分を傾斜させることなく、移動させるように構成されたレンズアクチュエータを備える。特に、前記傾斜を回避するために、レンズアクチュエータは、レンズアクチュエータのムーバーをガイドするためのガイドレールを備えることができ、このムーバーは前記容器の一部分に連結されている。
【0032】
特に、一実施形態では、前記容器の一部分は、容器の周壁を備え、この容器の周壁には、透明な剛性光学素子が透明かつ弾性変形可能な膜を介して接続されている。
【0033】
一実施形態では、容器は、透明な液体が2つの膜の間に配置されるように、周壁に接続された更なる透明かつ弾性変形可能な膜を備える。特に、壁が透明な剛性光学素子に対して動かされる場合、2つの膜が変形し、容器の屈折力の所望の調整をもたらす。
【0034】
更に、一実施形態において、光学デバイスは、容器に接続されたリザーバを備え、前記光学デバイスは、好ましくは、前記更なる膜を変形させ、それによって容器の屈折力を調節するようにリザーバから光学デバイスの容器の内部空間へ、及びその逆へ、前記液体を送り込むように構成されたレンズアクチュエータを備える。
【0035】
更に、一実施形態において、光学デバイスは、前記更なる膜を変形させ、それによって容器の屈折力を調節するよう構成されるように、更なる膜上に配置されるレンズ整形器、及び更なる膜に対して(特に光学デバイスの光軸に沿う方向、すなわち第1及び/又は第2の傾斜軸に直交する方向に)、レンズ整形器を傾けることなく、押し付けるように構成されたレンズアクチュエータを備える。特に、傾斜を回避するために、レンズアクチュエータは、レンズアクチュエータのムーバーをガイドするためのガイドレールを備えることができ、このムーバーは、前記容器の一部分に連結されている。
【0036】
特に、一実施形態において、前記部分(例えば容器の側壁)又はレンズ整形器の傾斜は、前記部分又はレンズ整形器の動きをガイドすること、及び/又はレンズアクチュエータのムーバーをガイドすること(上記も参照)、及び/又は線形レンズアクチュエータを使用することのいずれかによって防止される。
【0037】
更に、一実施形態によれば、第1のフレーム部材は、透明な剛性光学素子が接続される内側フレーム部分と、内側フレーム部分を取り囲む外側フレーム部分とを備え、内側フレーム部分は、複数の支柱、特に4つの支柱によって外側フレーム部分に接続される。特に、一実施形態では、4つの支柱が同じ延長面に延在し、各支柱は好ましくは他の2つの支柱に直交する。
【0038】
更に別の実施形態によれば、取付け構造体は、2つの対向する接続パッドを備え、接続パッドは、マウント、特に光デバイスのハウジングに接続される。
【0039】
特に、支持構造体が第1のフレームを備える場合、第1のフレームは、第1のフレームが第1の傾斜軸の周りに傾斜可能であるように、2つの接続パッド上で回転可能に支持することができる。支持構造体が第2のフレーム部材も備える場合、第2のフレーム部材はこれらの接続パッド上で回転可能に支持される。
【0040】
一実施形態では、第1のフレーム部材は、2つの対向するベアリングを介して取付け構造体に接続される。特に、第1のフレーム部材は、一ベアリングを介して各接続パッドに接続される。
【0041】
一実施形態では、第2のフレーム部材は、2つの対向するベアリングを介して取付け構造体に接続される。特に、第2のフレーム部材は、一ベアリングを介して各接続パッドに接続される。
【0042】
更に、一実施形態では、第1のフレーム部材は、対向する2つのベアリングを介して第2のフレーム部材に接続される。
【0043】
一実施形態によれば、上記のそれぞれのベアリングは、ボールベアリング、ねじりばね(torsion spring)、蛇行ばねのうちの1つとすることができる。特に、これらのベアリングを組み合わせて使用することも可能である。
【0044】
更なる一実施形態によれば、第1及び第2のフレーム部材、並びに取付け構造体(例えば、前記接続パッド)は、ある厚さを備える金属プレートとして一体的に形成され、かつ支持構造体は、第2のフレーム部材に配置された円周の支持フレームを更に備え、特に一致する(合同)様式で備え、該支持フレームは、金属プレートの厚さよりも大きな厚さを備える。
【0045】
更に、一実施形態では、支持構造体は取付け構造体を備え、透明な剛性光学素子は、取付け構造体上のボールジョイントを介して片側に、特に片側のみに、支持される。
【0046】
更に、透明な剛性光学素子は、第1の傾斜軸及び第2の傾斜軸の周りに傾斜可能であり、光学デバイスは、各アクチュエータが透明な剛性光学素子の縁部領域に作用する2つの傾斜アクチュエータを備え、ボールジョイント及び傾斜アクチュエータは、透明な剛性光学素子の周縁に沿って等間隔に、すなわち120°間隔で配置される。
【0047】
更に、一実施形態では、支持構造体は、容器の一部分を形成する透明マウントと、剛性光学素子が第1の傾斜軸の周りに傾斜可能であるように、透明な剛性光学素子を該マウントに接続する複数の弾性的に曲げることが可能な脚とを備え、これらの脚は剛性光学素子に対してある角度で配置される。
【0048】
特に、透明な剛性光学素子はフレーム部材に配置され、これらの脚はフレーム部材をマウントに接続し、ここで膜は、容器の内部空間を区画するように、マウント、及びフレーム部材及び/又は剛性光学素子に接続される。特に、これらの脚は容器の内部空間の外側に配置される。
【0049】
更に、一実施形態において、支持構造体は、透明な剛性光学素子の対向する縁部分に配置された2対の脚を備え、各対は、互いに向かって延びる2本の脚を備える。
【0050】
特に、光学素子の傾斜軸は、それぞれの対の脚が互いに対して延びる角度によって定義することができる。特に、傾斜軸はこれらの脚の仮想延長線上の交点に位置している。特に、これらの脚は、光軸に沿った光学素子の平行移動を防止し、傾斜軸の周りに傾斜することを可能にする。
【0051】
更に、一実施形態によれば、第1の傾斜軸は、透明な剛性光学素子と内部空間に存在する液体との間の界面に位置する。
【0052】
更に、一実施形態では、支持構造体は、透明な剛性光学素子に対してある角度で延びる3本の脚を備え、これらの脚は、透明な剛性光学素子の周囲に沿って120°間隔で等距離に配置され、その結果、剛性光学素子は、第1の傾斜軸、並びに第2の傾斜軸の周りに傾斜可能であるようになる。好ましくは、第1の傾斜軸と第2の傾斜軸とは、透明な剛性光学素子上に位置する。
【0053】
上記の実施形態では、支持構造体は、透明な剛性光学素子を支持/ベアリングするように構成され、かつ屈折力の調節は、容器(例えば、その側壁)、更なる膜、又は液体のリザーバに対してレンズアクチュエータを使用して作用させることによって達成される。しかしながら、本発明による原理はまた、容器に適用することもでき、すなわち、支持構造体の手段により、容器を光軸の方向に直線的に移動せずに傾斜させるように容器を支持して、容器(可変レンズ)の屈折力を調整するための透明な剛性光学素子の線形運動を引き起こすことによって、容器に適用することができる。同様に、支持構造体を使用して、光軸の方向に直線的に動かさずにレンズ整形器を傾けると同時に、透明な剛性光学素子を直線的に動かして、容器(可変レンズ)の屈折力を調整することができる。これについては、以下に説明する本発明の態様で対応する。
【0054】
それによれば、光学デバイスに入射する光を偏向させるための光学デバイスが開示され、この光学デバイスは:
- 容器の内部空間を取り囲む前記容器であって、前記内部空間は、透明な液体で満たされており、前記容器が、前記内部空間を少なくとも部分的に区画する透明かつ弾性変形可能な膜を備える、前記容器、
を備え、
- 前記容器が、前記膜に接続される透明な剛性光学素子を更に備え、前記透明な剛性光学素子は、前記膜に面している光学面を備え、前記透明な剛性光学素子は、前記容器の内部空間に存在する透明な液体に光を通過させるために光を受光するように構成されており、
前記光学デバイスは、容器を通過する光を偏向させるために、前記透明な剛性光学素子の前記光学面に沿って延びる少なくとも第1の傾斜軸の周りに容器の一部分を透明な剛性光学素子に対して傾斜させることができるように、容器を支持する支持構造体を更に備え(すなわち、容器は調整可能プリズムを形成し)、前記支持構造体は、光学デバイスの光軸に沿う方向での前記容器の一部分の直線平行移動運動が阻止されるように構成されている。特に、光軸は透明な剛性光学素子の外面に直交するように延びている。特に、前記容器の一部分は、容器の周側壁である。
【0055】
特に、一実施形態によれば、光学デバイスは、容器の屈折力を調整するために、第1の膜に面している容器の更なる膜を変形させるように、透明な剛性光学素子を傾斜させずに光軸に沿う方向に移動させるためのレンズアクチュエータを備える。特に、2つの膜は、液体が2つの膜の間に配置されている状態で、周側壁に接続されている。
【0056】
特に、上記のとおり、前記傾斜を回避するために、レンズアクチュエータは、レンズアクチュエータのムーバーをガイドするためのガイドレールを備えることができ、このムーバーは、前記容器の一部分に連結されている。
【0057】
支持構造体は、上述の実施形態に従って形成することができ、ここでは、透明な剛性光学素子の代わりに傾斜されるのは容器の前記一部分(例えば側壁)である。特に、前記支持構造体は、前記第1及び第2のフレーム部材を備え、前記容器の一部分は、前記第1のフレーム部材に接続されるか、又は前記第1のフレーム部材若しくはその部分を形成することができる。
【0058】
更に、一実施形態によれば、光学デバイスは、前記容器の一部分(例えば側壁)を第1及び/又は第2の傾斜軸の周りに傾けるように構成された傾斜アクチュエータを備える。特に、傾斜アクチュエータは、前記容器の一部分を第1及び/又は第2の傾斜軸の周りに傾斜させることができる任意のアクチュエータ又はアクチュエータの組み合わせとすることができる。
【0059】
本発明の更に別の態様によれば、光学デバイスに入射する光を偏向させるための光学デバイスが開示され、この光学デバイスは:
- 容器の内部空間を取り囲む前記容器であって、前記内部空間は透明な液体で満たされており、前記容器は、前記内部空間を少なくとも部分的に区画する第1及び対抗する第2の透明かつ弾性変形可能な膜を備え、前記液体は前記第1及び第2の膜の間に配置される、前記容器、
- ここで前記容器は、第1の膜に接続される透明な剛性光学素子を更に備え、前記透明な剛性光学素子は、第1の膜に面している光学面を備え、前記透明な剛性光学素子は、前記容器の内部空間に存在する透明な液体に光を通過させるために光を受光するように構成されていること、
- 前記第2の膜に配置されるレンズ整形器、
- 前記第2の膜を変形させ、それによって前記容器の屈折力を調整するように、前記透明な剛性光学素子を傾けることなく前記透明な剛性光学素子を移動させるように(特に前記光学デバイスの光軸に沿う方向に移動させるように)構成されたレンズアクチュエータ、
を備え、
光学デバイスは、前記レンズ整形器を少なくとも第1の傾斜軸の周りに傾斜させて容器を通過する光を偏向させることができるように(すなわち、容器が調整可能なプリズムを形成するように)、レンズ整形器を支持する支持構造体を更に備え、ここで前記支持構造体は、光学デバイスの光軸に沿った方向におけるレンズ整形器の直線平行移動運動を防ぐように構成されている。
【0060】
支持構造体は、上述の実施形態に従って形成することができ、ここでは、(例えば、透明な剛性光学素子の代わりに)傾斜されるのはレンズ整形器である。特に、支持構造体は、前記第1及び第2のフレーム部材を備えることが可能であり、レンズ整形器は、第1のフレーム部材に接続されているか、又は第1のフレーム部材若しくはその一部を形成している。
【0061】
更に、一実施形態によれば、光学デバイスは、第1及び/又は第2の傾斜軸の周りにレンズ整形器を傾けるように構成された傾斜アクチュエータを備える。特に、傾斜アクチュエータは、第1及び/又は第2の傾斜軸の周りにレンズ整形器を傾斜させることができる任意のアクチュエータ又はアクチュエータの組み合わせとすることができ、特に該アクチュエータは、第1及び/又は第2のフレーム部材に力を及ぼすように構成されることが可能である。
【0062】
本発明の実施形態と同様に、本発明の更なる特徴及び利点は、図を参照して以下に説明するものとする。
【0063】
図1は、本発明による光学デバイス1の一実施形態を示し、ここでは調整可能なプリズムを形成する。光学デバイス1は、容器10の内部空間11を取り囲む容器10を備え、内部空間11は透明な液体12で満たされ、容器10は、周側壁16に接続される2つの透明かつ弾性変形可能な膜13、14を備え、液体12が膜13、14の間に配置されて前記内部空間11を区画している。更に、透明な剛性光学素子2、4(例えば、ガラスプレート)が各膜13、14に接続され、それぞれの剛性光学素子2は、それぞれの膜13、14に面する光学面20、40を備え、一方の剛性光学素子2は、容器10及び容器10の内部空間11に存在する透明な液体12を光Lが通過するように光Lを受光するように構成され、それと同時に、他方の剛性光学素子4は、光Lを容器10から出射させるように構成されている。更に、一方の剛性光学素子2が、前記光学面20に沿って延びる第1の傾斜軸Xの周りに傾斜可能であり、それと同時に、他方の剛性光学素子4は他方の透明剛性光学素子4の光学面40に沿って延びる異なる第2の傾斜軸Yの周りに傾斜可能であるように、光学デバイス1は、それぞれの剛性光学素子2について支持構造体3、5を備える。しかしながら、両方の支持構造体3、5により、光軸Aの方向、すなわち傾斜軸X、Yに垂直な方向でのそれぞれの透明な剛性光学素子2、4の移動が防止される。
【0064】
図1は、調整可能なプリズム1の実施形態を示しており、各光学素子2、4は、単一の軸X、Yのみの周りに傾斜することができ、したがって、二次元における光Lの偏向では、両方の剛性光学素子2、4をそれぞれの軸X、Yの周りに傾斜させなければならない。図2は、更なる実施形態を示しており、ここでは、各支持要素3が、2つの異なる軸X、Yの周りに二次元的に傾斜することができる。更に、ここでは、側壁16は、剛性光学素子2、4に接続されている少なくとも1つの可撓性膜13によって形成され、容器10の可撓性側壁16を形成している。
【0065】
図2に示す支持構造体3は、例えば図6に示すように設計することができる。図6(A)によれば、支持構造体3は、第1の円周(例えば矩形)のフレーム部材31と、第2の円周(例えば矩形)のフレーム部材32と、取付け構造体30とを備え、透明な剛性光学素子2は、第1のフレーム部材31によって保持され、第1のフレーム部材31は、第2のフレーム部材32上に回転可能に支持され、第2のフレーム部材32は、次いで、光学デバイス1のハウジングなどの光学デバイス1の何らかの構造体に直接又は間接的に接続できる2つの接続パッド301、302を備える取付け構造体30に回転可能に取り付けられる。特に、図6(A)に示すとおり、第1のフレーム部材31は、第2のフレーム部材32上の2つの対向するベアリング33によって回転可能に支持され、これらのベアリング33は、第1の傾斜軸Xを規定するように互いに位置合わせされている。同様に、第2のフレーム部材32は、取付け構造体30、例えば接続パッド301、302上の2つの対向するベアリング34によって支持されている。更に、これらのベアリング34は、第2の傾斜軸Yを規定するために互いに位置合わせされている。
【0066】
図6(C)に示すとおり、それぞれのベアリング33、34は、対向するベアリングシェル334の間に配置された例えば単一のボール333を備えるボールベアリングとすることができる。或いは、それぞれのベアリング33、34は、ねじりばね33、34(図6(D)参照)、或いは、蛇行ばね33,34(図6(E)参照)であってもよい。
【0067】
特に、単一の傾斜軸Xのみが必要な場合、支持構造体3は、透明な剛性光学素子2が次いで取り付けられる第1のフレーム部材31のみを必要とし、第1のフレーム部材31は、取付け構造体30上、例えば接続パッド301、302上に、二つの対向するベアリングにより回転可能に支持され、ここでそれぞれのベアリングは、上述の種類のうちの1つであり得る。
【0068】
剛性光学素子2を第1及び/又は第2の傾斜軸X、Yの周りに傾斜させるために、光学デバイス1は、各傾斜軸X、Yに対して少なくとも1つの傾斜アクチュエータ60、61を備えることができる。特に、それぞれの傾斜アクチュエータ60、61は、第1の傾斜軸Xの周りに第1のフレーム部材31を傾けるために第1のフレーム部材31に力を及ぼすように構成することができ、それと同時に、他方の傾斜アクチュエータ61は、第2の傾斜軸Yについて第2の部材32を傾けるために第2の部材32に力を及ぼすように構成することができる。
【0069】
更に、図3は、本発明による光学デバイス1の一実施形態を示し、この光学デバイス1、特にその容器10は、調整可能なプリズム及び調整可能なレンズを一体化している。特に、容器10は、透明な液体12で満たされている内部空間11を囲んでおり、容器10は、透明かつ弾性変形可能な膜13と、透明かつ弾性変形可能な更なる膜14とを備える。両膜13、14は、容器10の側壁16に接続されており、膜13、14の間に前記液体12が配置されている。透明な剛性光学素子2(例えば、円形のガラスプレート形態)は、剛性光学素子2の光学面20を介して前記膜13に接続されている。剛性光学素子2は、容器10及びその中の透明な液体12に光Lを通過させるために、光Lを受光するように構成されている。剛性光学素子2は、剛性光学素子2及び容器10の内部空間11内の液体12を通り進む光Lが容器10によって偏向されるように、光軸Aに対して90°の角度で延びる中立位置から(図3に示すとおり)傾斜位置へ傾斜させることが可能である。すなわち、容器10は、剛性光学素子2の傾斜角に応じて、入射光Lを調整可能な様式で偏向させるための調整可能なプリズム1を形成している。
【0070】
透明な剛性光学素子2を傾けるために、光学デバイス1は、剛性光学素子2が前記光学面20に沿って延びる第1の傾斜軸X及び前記光学面20に沿って延びる第2の傾斜軸Yの周りに傾斜可能に剛性光学素子2を支持するジンバル支持構造体3も更に備えている。特に、同時に、支持構造体3は、光学デバイス1の光軸Aに沿い、かつ前記傾斜軸X、Yに直交する方向への剛性光学素子2の平行移動を防ぐように構成される。
【0071】
特に、前記平行移動を防止するために、支持構造体3は、第1のフレーム部材31と、第2のフレーム部材32と、取付け構造体30とを備えることができ、ここで透明な剛性光学素子2は、第1のフレーム部材31によって保持され、第1のフレーム部材31が第1の傾斜軸Xの周りに傾斜可能であるように、第1のフレーム部材31は第2のフレーム部材32上に回転可能に支持され、ここで、第2のフレーム部材32は、第2のフレーム部材(及びそれと共に剛性光学素子2)が前記第2の傾斜軸Yの周りに傾斜可能であるように、取付け構造体30上に、特に2つの対向する接続パッド301、302上に回転可能に支持される。特に、上述したベアリング33、34を使用することができ、すなわち、第1のフレーム部材31は、第2のフレーム部材32上の2つの対向するベアリング33によって回転可能に支持され得、これらのベアリング33は、第1の傾斜軸Xを規定するように互いに位置合わせされる。同様に、第2のフレーム部材32は、取付け構造体30、例えば接続パッド301、302上の2つの対向するベアリング34によって支持され得る。更に、これらのベアリング34は、第2の傾斜軸Yを規定するために互いに位置合わせされている。
【0072】
更に、図3、特に図6(B)に示すとおり(図6(A)とは対照的に)、ジンバル支持構造体3の第1のフレーム部材31は、サブ構造体を備えることが可能である。これによれば、第1のフレーム部材は、透明な剛性光学素子2が接続される内側フレーム部310と、内側フレーム部310を取り囲む外側フレーム部311とを備えることができ、内側フレーム部310は、複数の支柱312、特に4本の支柱312によって外側フレーム部311に接続されて、これら4本の支柱312のそれぞれは、他の2本の支柱312に対して直交して配置されている。
【0073】
更に、透明な剛性光学素子2を傾けるために、光学デバイス1は、第1のフレーム部材31を第1の傾斜軸Xの周りに傾けるための少なくとも1つの傾斜アクチュエータ60を備えるとともに、第2のフレーム部材32を第2の傾斜軸Yの周りに傾けるための少なくとも1つの傾斜アクチュエータ61を備えることが可能である。
【0074】
更に、光学デバイス1は、容器10の一部分16、特に側壁16を傾けることなく光軸Aに沿って動かすように構成されたレンズアクチュエータ6を備え、これにより、更なる膜14の曲率が変化し、それに伴って容器10の屈折力が対応的に変化することになる。このように、容器10は、調節可能なプリズムとしてだけでなく、調節可能なレンズとしても機能するように適合されており、側壁16の動きの直線性及び支持構造体3によって導かれる傾斜のために、レンズとプリズムとの機能の間のクロストークを防止することが可能である。
【0075】
図4は、本発明による光学デバイス1の更なる実施形態を示し、ここでも、図3と併せて説明されるとおり、透明な剛性光学素子2が支持構造体3を用いて傾斜される。しかしながら、図3に示す実施形態とは対照的に、容器/レンズ10の屈折力は、リザーバ17から容器10の内部空間11へ、及びその逆へ、前記液体12を送り込み、前記更なる膜14を変形(例えば、膨張)させ、それによって容器10の屈折力を調整するよう構成されたレンズアクチュエータ6によって変化する。特に、リザーバ17は、容器10と一体的に形成することができ、レンズアクチュエータ6は、リザーバ17の可撓性の壁19に対してピストン18を移動させて液体12を容器10の内部空間11に送り込むように構成され得る。
【0076】
更に、図5は、本発明による光学デバイス1の更なる実施形態を示し、ここでも、図3又は4と併せて説明されるとおり、透明な剛性光学素子2が支持構造体3を用いて傾斜される。しかしながら、図3又は図4に示される実施形態とは対照的に、容器/レンズ10の屈折力は、レンズ整形器7を更なる膜14に対して動かし、したがって、例えば環状のレンズ整形器7によって区画された膜14の一部を変形させるように構成されたレンズアクチュエータ6によって変化する。レンズ整形器7を傾けることなく、レンズアクチュエータ6によってレンズ整形器7を移動させることができる。したがって、ジンバル支持構造体3と組み合わせて、レンズ整形器の動きと透明な剛性光学素子2の傾斜とのクロストークを回避することができる。
【0077】
特に、本明細書に記載の全ての実施形態において、構造体を傾けることなく直線的に移動させる必要がある場合、それぞれのレンズアクチュエータ6は、レンズアクチュエータのムーバー用のガイドレール又は同様のガイド構造を備えることができ、このムーバーは、直線的に移動すべき構造体(例えば透明な剛性光学素子2、側壁16、レンズ整形器7)に連結されている。更に、専用の線形レンズアクチュエータを使用することも可能である。
【0078】
更に、第1及び第2のフレーム部材31、32を備える支持構造体3を使用する個々の実施形態に関して、図7に示されるとおり、第1及び第2のフレーム部材31、32、並びに取付け構造体30(例えば、接続パッド301、302)は、金属プレート35として一体的に形成され、金属プレート35は厚さTを具備し、支持構造体30は、第2のフレーム部材32上に配置された円周の支持フレーム36を更に備え(特に一致(合同)の様式)、ここで、支持フレーム36は、金属プレート35の厚さTよりも大きい厚さT’を具備する。薄い金属プレート35を厚い支持フレーム36と組み合わせることにより、金属フレーム及びベアリング33、34(例えば、ねじりばね)のねじり剛性が低く、したがって傾斜トルクが低いことが可能になり、それと同時に、支持フレーム36は、z方向(ストローク)の曲げ剛性が高くなり、膜の過剰伸長とクロストーク(デフォーカス)を防止する。
【0079】
図8及び図9は、調整可能なプリズム1を形成する本発明による光学デバイス1の更なる実施形態を示している。ここで、支持構造体3は、取付け構造体40を備え、この取付け構造体40にボールジョイント41を介して透明な剛性光学素子2が片側のみ支持されている。更に、剛性光学素子2を第1の傾斜軸X及び第2の傾斜軸Yの周りに傾斜させるために、光学デバイス1は、2つの傾斜アクチュエータ62、63を備え、傾斜アクチュエータ62、63のそれぞれは、剛性光学素子2の縁領域2a、2bに作用し、ボールジョイント41及び傾斜アクチュエータ62、63は、好ましくは、剛性光学素子2の周縁に沿って等距離に、すなわち、円形ガラスプレート2であり得る剛性光学素子2の周縁に沿って120°間隔で配置されている。更に、光学デバイス1は、取付け構造体40によって保持された更なる透明な剛性光学素子4を備えている。両剛性光学素子3、4は、少なくとも1つの可撓性膜13によって接続され、透明な液体12によって満たされる内部空間を備える容器10を形成している。剛性光学素子2が単一のジョイント41によって支持されていることに起因して、剛性光学素子2は、デバイス1が調整可能なプリズム1を形成するように、2つの異なる軸X、Yの周りに他の剛性光学素子4に対して傾斜することができる。特に、図8及び図9において、傾斜軸X、Yは破線の交点を通過して延び、傾斜軸X、Yは特に半径方向にそれぞれ垂直に延びている。
【0080】
一般に、透明な剛性光学素子2の傾斜に関しては、安定かつ規定されたピボット点Pを可能にする構成が特に好ましい。図10に示すとおり、ピボット点Pは、第1及び第2の傾斜軸X、Yの交点に相当する。好ましくは、ピボット点Pは、光学デバイス1の光軸A上及び剛性光学素子2の光学面20上に配置される。
【0081】
更に、図11は、図12と関連して、本発明による光学デバイスを示し、支持構造体3は、容器10の一部分を形成するか、又は容器10に接続されるマウント50と、剛性光学素子2が第1の傾斜軸Xの周りに傾斜可能であるように剛性光学素子2をマウント50に接続する複数の弾性的に曲がる脚51とを備える。一実施形態において、マウント50は透明であり得る。好ましくは、脚51は、剛性光学素子2に近接する傾斜軸Xを実現するために、剛性光学素子2に対してある角度で配置される(図11の右側を参照)。特に、剛性光学素子2はフレーム部材52上に配置され、脚51はフレーム部材52をマウント50に接続し、膜13はマウント50及びフレーム部材52及び/又は光学素子2に接続されて、容器10の内部空間11を少なくとも部分的に区画する。内部空間11には、透明な液体12で満たされている。特に、脚51は、容器10の内部空間11の外側に配置されている。図12に特に示されるとおり、支持構造体3は、剛性光学素子2の対向する縁部分2a、2bに配置された2対の脚51を備え、各対は、例えば環状フレーム部材52に接続するために互いに向かって延びる2本の脚51を備える。有利には、これにより、第1の傾斜軸Xを、剛性光学素子2と容器10の内部空間11に存在する液体12との間の界面に位置させることができる。
【0082】
図11図12の実施形態では、単一の傾斜軸Xについてのみ傾斜させることができるが、図13に示す実施形態では、2つの異なる傾斜軸X、Yについて透明な剛性光学素子2を傾斜させることができる。この目的のために、支持構造体3は、剛性光学素子2に対してそれぞれある角度で延びる3本の脚51を備え、脚51は、剛性光学素子2が第1の傾斜軸Xだけでなく第2の傾斜軸Yについても傾斜できるように、剛性光学素子2の周縁に沿って120°間隔で等距離にあることが好ましい。ここで、軸X、Yは、剛性光学素子2を揺動するために用いられる傾斜アクチュエータにより規定される。特に、脚51は、脚51の仮想延長線の交点によって与えられるピボット点を規定する。更に、脚51は、剛性光学素子の光軸方向への平行移動を阻止する。好ましくは、一実施形態において、両方の傾斜軸X、Yは、好ましくは、剛性光学素子2上に配置される。図13の平面図において、ピボット点は、剛性光学素子2の対称点(例えば、中心)に従ってもよい。更に、図14及び図15に示す実施形態は、剛性光学素子2の傾斜を可能にする支持構造体3が、後に単に直線様式で移動する透明な剛性光学素子2に対して容器10の側壁16を傾斜させるためにも使用できることを示している(図14を参照)。更にまた、透明な剛性光学素子2を直線様式のみで移動させると同時に、レンズ整形器7を支持構造体3と共に傾けることができる(図15参照)。
【0083】
特に、図14は、調整可能なレンズ並びに調整可能なプリズムを形成する容器10を備える本発明による光学デバイス1の一実施形態を示す。容器10は、透明な液体12で満たされた内部空間11を取り囲み、容器10は、前記内部空間11を少なくとも部分的に区画する透明かつ弾性変形可能な膜13を備える。膜13は、更なる透明かつ弾性変形可能な膜14に面しており、両方の膜13、14は容器10の側壁16に接続され、液体12は2つの膜13、14の間に配置される。光学デバイス1は、前記膜13に接続されている透明な剛性光学素子2を更に備え、前記剛性光学素子2は、膜13に面する光学面20を備えている。剛性光学素子2は、光Lが更なる膜14を通って出射するように、光Lを容器10、及び容器12の内部空間11に存在する透明な液体12を通過させるために光Lを受光するように構成されている。剛性光学素子2は、容器10が更なる膜14の曲率に応じて調整可能な屈折力を有するレンズを形成するように、更なる膜14を変形させる(例えば、膨張させる)ために、膜13の方向に、及び/又は膜13から反対の方向に直線的に移動することができる。前記屈折力に関してクロストークのないプリズム機能を提供するために、側壁16は支持構造体3によって支持され、その結果、側壁16は剛性光学素子2に対して、前記光学面20に沿って延びる、少なくとも第1の傾斜軸Xについて傾斜可能であり、かつ特に第2の傾斜軸2についてもまた傾斜可能である。支持構造体3は、ここで示すとおり、特に図3図6、及び図7に関連して記載したとおり、設計することが可能であり、ここでは側壁16は、(剛性光学素子2の代わりに)第1のフレーム部材31に支持されている。特に、図14では、容器10は、支持構造体3によってガイドされる剛性光学素子/ガラス2に対して傾斜される。傾斜の際、傾斜軸は、液体容積部に隣接する光学面20に沿って延びる。したがって、容器/レンズ10の屈折力が変化しないように、容器10の内部空間の圧力変化が回避される。容器/レンズ10の屈折力を調整するためには、剛性光学素子2が光軸に沿って移動する。更に、図15は、調節可能なプリズム及び調節可能なレンズを形成する容器10を備える、本発明による光学デバイス1の実施形態を示す。容器10は、容器10の内部空間11を取り囲み、内部空間11は透明な液体12で満たされ、容器10は、第1及び対向する第2の透明かつ弾性変形可能な膜13、14を備え、これは前記内部空間11を少なくとも部分的に区画し、ここで液体12は、第1の膜13と第2の膜14との間に配置されている。デバイス1は、第1の膜13に接続される透明な剛性光学素子2を更に備え、剛性光学素子2は、第1の膜13に面する光学面20を備え、剛性光学素子2は、光Lを容器10及び容器10の内部空間11に存在する透明な液体12を通過させるために光Lを受光するように構成され、その結果、光Lが更なる膜14を介して容器10を出射できるようになる。透明な剛性光学素子2は、第2の膜14に接触する環状レンズ整形器7によって区画された更なる膜14の部分の曲率を変更するために、線形様式で移動するように構成されている。このために、レンズ整形器7によって画定された更なる膜14の前記部分を変形させ、それによって容器10の屈折力を調整するように、剛性光学素子2を傾斜させずに第1の膜13に対して押し付けるように構成されたレンズアクチュエータ6が提供される。容器10にプリズムの機能性を提供するために、容器10を通過する光Lを偏向させるためにレンズ整形器7が少なくとも第1の傾斜軸Xについて傾斜可能であるように、かつ特に第2の傾斜軸Yについても傾斜可能であるようにレンズ整形器7を支持する支持構造体3が設けられており、支持構造体3は、光学デバイス1の光軸Aと平行になる方向、すなわち傾斜軸X、Yと直交する方向にレンズ整形器7の移動が妨げられるように構成されている。
【0084】
特に、支持構造体3は、本明細書の記載のとおり、特に図3図6図7と関連しての記載のとおり設計することができ、ここでは、レンズ整形器7は(剛性光学素子2の代わりに)第1のフレーム部材31に支持されている。
【0085】
特に、図15では、支持構造体3が容器10に対して傾斜される。好ましくは、傾斜軸は、前述の傾斜によって容器10の内部空間の圧力が変化しないように配置されている。したがって、支持構造体3が傾斜されても、容器/レンズ10の屈折力は一定に保たれる。屈折力を調整するためには、容器10の内部空間11内の圧力が変化するように、剛性光学素子2を光軸に沿って移動させる。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
【外国語明細書】