(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003658
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】容器取出装置およびそれを用いた食品盛付システム
(51)【国際特許分類】
B65B 43/44 20060101AFI20230110BHJP
B65G 59/06 20060101ALI20230110BHJP
B65B 43/50 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B65B43/44 B
B65G59/06 101A
B65B43/50
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104870
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】591094262
【氏名又は名称】鈴茂器工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101971
【弁理士】
【氏名又は名称】大畑 敏朗
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 美奈子
(72)【発明者】
【氏名】大澤 賢明
【テーマコード(参考)】
3E030
3F030
【Fターム(参考)】
3E030AA01
3E030BA03
3E030BB01
3E030BC03
3E030DA01
3E030DA03
3E030EA01
3E030EB01
3F030AA02
3F030CA01
3F030CB02
3F030FA01
(57)【要約】
【課題】容器積層体から容器を取り出す際における容器同士の干渉音を防止する。
【解決手段】容器積層体BTの最下段容器B1を保持および保持解除する一対の第1の移動爪13と、一対の第1の移動爪13の上方に設けられ、最下段容器B1の直上容器B2を保持および保持解除する一対の第2の移動爪14と、最下段容器B1を支持しながら下降して取り出す昇降部材17と、最下段容器B1を取り出した後の新たな最下段容器B1を一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14とで保持し、一対の第1の移動爪13を保持位置にしたままで一対の第2の移動爪14を解除位置に移動させ、一対の第1の移動爪13を離反方向に移動させて容器積層体BTを第1の移動爪13に沿って下降させて直上容器B2が一対の第2の移動爪14で保持可能な位置に一対の第1の移動爪13による最下段容器B1の保持位置を変更する制御を実行する制御部19とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外寸幅が下方に向けて小さくなった形状の容器が積み重ねられた容器積層体を収容する容器収容部と、
相互に接近して前記容器積層体の最下段に位置する最下段容器を保持する保持位置と、相互に離反して前記最下段容器の保持を解除する解除位置とに移動可能な一対の第1の移動部材と、
前記一対の第1の移動部材の上方に設けられ、相互に接近して前記最下段容器の直上に積層された直上容器を保持する保持位置と、相互に離反して前記直上容器の保持を解除する解除位置とに移動可能な一対の第2の移動部材と、
前記容器収容部の直下において昇降可能に設けられ、前記最下段容器の底面を支持しながら下降して当該最下段容器を前記容器積層体から取り出す昇降部材と、
前記一対の第1の移動部材を保持位置にした状態で前記一対の第2の移動部材を解除位置から保持位置に移動させるとともに前記昇降部材を上昇させる第1の工程、前記一対の第2の移動部材を保持位置にしたままで前記一対の第1の移動部材を解除位置に移動させて前記最下段容器を前記昇降部材で支持する第2の工程、前記一対の第1の移動部材を解除位置、前記一対の第2の移動部材を保持位置にしたままで前記昇降部材を下降させて前記最下段容器を前記容器積層体から取り出す第3の工程、前記一対の第2の移動部材を保持位置にしたままで前記一対の第1の移動部材を保持位置に移動させて新たな前記最下段容器を前記一対の第1の移動部材と前記一対の第2の移動部材とで保持する第4の工程、前記一対の第1の移動部材を保持位置にしたままで前記一対の第2の移動部材を解除位置に移動させる第5の工程、前記一対の第1の移動部材を離反方向に移動させて新たな前記最下段容器を含む前記容器積層体を当該第1の移動部材に沿って下降させ、新たな前記直上容器が前記一対の第2の移動部材で保持可能な位置に前記一対の第1の移動部材による新たな前記最下段容器の保持位置を変更する第6の工程、を順次実行する制御手段と、
を有することを特徴とする容器取出装置。
【請求項2】
前記一対の第1の移動部材のそれぞれには、前記最下段容器の2カ所を保持する保持片が内側に突出するように形成され、前記一対の第2の移動部材のそれぞれには、前記直上容器の2カ所を保持する保持片が内側に突出するように形成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の容器取出装置。
【請求項3】
前記容器収容部には、前記容器積層体の側方に接してこれを支持する複数本のガイドロッドが設置されている、
ことを特徴とする請求項1または2記載の容器取出装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記容器の外寸幅に合わせて前記一対の第1の移動部材と前記一対の第2の移動部材との保持位置と解除位置とを変更する、
ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の容器取出装置。
【請求項5】
前記ガイドロッドは、前記一対の第1の移動部材側に2本ずつが配置されて相互に接近および離反移動可能となっており、
前記制御手段は、前記容器積層体の側方に接するように前記ガイドロッドを移動させる、
ことを特徴とする請求項4記載の容器取出装置。
【請求項6】
前記昇降部材の上端には、緩衝部材が設けられている、
ことを特徴とする請求項1~5の何れか一項に記載の容器取出装置。
【請求項7】
前記昇降部材によって取り出された前記最下段容器を次工程に向けて間欠的に搬送する搬送手段をさらに有する、
ことを特徴とする請求項1~6の何れか一項に記載の容器取出装置。
【請求項8】
請求項1~7の何れか一項に記載の容器取出装置と、
前記搬送手段に搬送された容器に食品を盛り付ける食品盛付装置と、
を有することを特徴とする食品盛付システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器取出装置およびそれを用いた食品盛付システムに関し、特に、容器が積み重ねられた容器積層体の内の1つを取り出す容器の取り出しに関するものである。
【背景技術】
【0002】
食品工場や店舗などにおいては、容器積層体から1枚ずつ容器を取り出して次工程に供給する容器取出装置が用いられており、この容器取出装置から取り出された容器に対して食品盛付装置を用いて米飯やおかずの盛り付けが行われる。そして、これら容器取出装置と食品盛付装置とで食品盛付システムが構成されている。
【0003】
ここで、容器取出装置については、例えば特許文献1(特開2009-280289号公報)において、複数種の皿(容器)を各積載収容可能とし、各下部に皿落下口を備えた複数の皿ストック部と、皿ストック部の落下口下縁部に設け、周面に皿の両端縁部(フランジ)を受けるよう周面に凹設した周溝、および皿の両端縁部を係入するよう中心軸に平行に穿設した係止溝それぞれを備えて成る左右一対の皿出旋回軸と、皿ストック部の落下口から皿出旋回軸を介して下方に落下した皿を、2つの皿係合凹部を備えた移動枠の左右往復横スライドによって搬送コンベア側に順次移載する皿横移送型とを備えた装置が開示されている。
【0004】
すなわち、皿ストック部に積載された皿を取り出すために、皿の外周面の両端縁部を皿出旋回軸で受ける構造であり、皿出旋回軸中心軸に平行に設けられた係止溝が皿の外周面の両端縁部を挟み込むようにして下方に旋回し、皿を1枚ずつ落下させて取り出している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、前述した装置では、皿出旋回軸の外周面で容器を保持しているために、容器が陶器製や樹脂製の場合、皿出旋回軸が回転して容器が1枚ずつ下降して係止溝に係止される際の衝撃で、積層されている容器と容器とが干渉する音(干渉音)が発生してしまう。
【0007】
また、前述した装置では、皿出旋回軸に設けられた係止溝で容器のフランジを上下から挟み込み1枚ずつ取り出す構造であるために、当該係止溝で挟み込むことのできるフランジの形成された容器に限られていた。
【0008】
本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、容器積層体から容器を取り出す際における容器同士の干渉音の発生を防止することのできる容器取出装置およびそれを用いた食品盛付システムを提供することを目的とする。
【0009】
また、本発明は、上述の技術的背景からなされたものであって、容器にフランジが形成されていなくても対応可能な容器取出装置およびそれを用いた食品盛付システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の本発明の容器取出装置は、外寸幅が下方に向けて小さくなった形状の容器が積み重ねられた容器積層体を収容する容器収容部と、相互に接近して前記容器積層体の最下段に位置する最下段容器を保持する保持位置と、相互に離反して前記最下段容器の保持を解除する解除位置とに移動可能な一対の第1の移動部材と、前記一対の第1の移動部材の上方に設けられ、相互に接近して前記最下段容器の直上に積層された直上容器を保持する保持位置と、相互に離反して前記直上容器の保持を解除する解除位置とに移動可能な一対の第2の移動部材と、前記容器収容部の直下において昇降可能に設けられ、前記最下段容器の底面を支持しながら下降して当該最下段容器を前記容器積層体から取り出す昇降部材と、前記一対の第1の移動部材を保持位置にした状態で前記一対の第2の移動部材を解除位置から保持位置に移動させるとともに前記昇降部材を上昇させる第1の工程、前記一対の第2の移動部材を保持位置にしたままで前記一対の第1の移動部材を解除位置に移動させて前記最下段容器を前記昇降部材で支持する第2の工程、前記一対の第1の移動部材を解除位置、前記一対の第2の移動部材を保持位置にしたままで前記昇降部材を下降させて前記最下段容器を前記容器積層体から取り出す第3の工程、前記一対の第2の移動部材を保持位置にしたままで前記一対の第1の移動部材を保持位置に移動させて新たな前記最下段容器を前記一対の第1の移動部材と前記一対の第2の移動部材とで保持する第4の工程、前記一対の第1の移動部材を保持位置にしたままで前記一対の第2の移動部材を解除位置に移動させる第5の工程、前記一対の第1の移動部材を離反方向に移動させて新たな前記最下段容器を含む前記容器積層体を当該第1の移動部材に沿って下降させ、新たな前記直上容器が前記一対の第2の移動部材で保持可能な位置に前記一対の第1の移動部材による新たな前記最下段容器の保持位置を変更する第6の工程、を順次実行する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の本発明の容器取出装置は、上記請求項1記載の発明において、前記一対の第1の移動部材のそれぞれには、前記最下段容器の2カ所を保持する保持片が内側に突出するように形成され、前記一対の第2の移動部材のそれぞれには、前記直上容器の2カ所を保持する保持片が内側に突出するように形成されている、ことを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の本発明の容器取出装置は、上記請求項1または2記載の発明において、前記容器収容部には、前記容器積層体の側方に接してこれを支持する複数本のガイドロッドが設置されている、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の本発明の容器取出装置は、上記請求項1~3の何れか一項に記載の発明において、前記制御手段は、前記容器の外寸幅に合わせて前記一対の第1の移動部材と前記一対の第2の移動部材との保持位置と解除位置とを変更する、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の本発明の容器取出装置は、上記請求項4記載の発明において、前記ガイドロッドは、前記一対の第1の移動部材側に2本ずつが配置されて相互に接近および離反移動可能となっており、前記制御手段は、前記容器積層体の側方に接するように前記ガイドロッドを移動させる、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6に記載の本発明の容器取出装置は、上記請求項1~5の何れか一項に記載の発明において、前記昇降部材の上端には、緩衝部材が設けられている、ことを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の本発明の容器取出装置は、上記請求項1~6の何れか一項に記載の発明において、前記昇降部材によって取り出された前記最下段容器を次工程に向けて間欠的に搬送する搬送手段をさらに有する、ことを特徴とする。
【0017】
上記課題を解決するため、請求項8に記載の本発明の食品盛付システムは、請求項1~7の何れか一項に記載の容器取出装置と、前記搬送手段に搬送された容器に食品を盛り付ける食品盛付装置と、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、最下段容器を取り出した後の新たな最下段容器を一対の第1の移動部材と一対の第2の移動部材とで保持するようにし、一対の第2の移動部材を解除位置に移動させ、次に、一対の第1の移動部材を離反方向に移動させて容器積層体の全体が第1の移動部材に沿って下降するようになっているので、容器積層体が1段ずつ下降する際において、積み重ねられた容器と容器とがぶつかる干渉音の発生を防止することが可能になる。
【0019】
また、一対の第1の移動部材や一対の第2の移動部材は、それぞれ相互に接近、離反して容器を保持したり保持を解除したりしているので、フランジが形成されていなくても、外寸幅が下方に向けて小さくなった形状であれば、様々な形状の容器に対応することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の一実施の形態である容器取出装置を備えた食品盛付システムを示す斜視図である。
【
図2】
図1の食品盛付システムを構成する容器取出装置をステージとともに示す斜視図である。
【
図3】
図2の容器取出装置を
図2と異なる方向から示す斜視図である。
【
図6】
図2の容器取出装置の制御系を示すブロック図である。
【
図7】(a)~(j)は本実施の形態の容器取出装置による容器の取り出し動作を連続的に示す説明図である。
【
図8】(a)は角形容器の平面図、(b)は(a)の角形容器を積み重ねた状態を示す断面図、(c)は(a)の角形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、(d)は(c)の正面図である。
【
図9】(a)は相対的に大径で淺底の丸形容器の平面図、(b)は(a)の丸形容器を積み重ねた状態を示す断面図、(c)は(a)の丸形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、(d)は(c)の正面図である。
【
図10】(a)は相対的に中径で深底の丸形容器の平面図、(b)は(a)の丸形容器を積み重ねた状態を示す断面図、(c)は(a)の丸形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、(d)は(c)の正面図である。
【
図11】(a)は相対的に小径で深底の丸形容器の平面図、(b)は(a)の丸形容器を積み重ねた状態を示す断面図、(c)は(a)の丸形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、(d)は(c)の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の一例としての実施の形態について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、実施の形態を説明するための図面において、同一の構成要素には原則として同一の符号を付し、その繰り返しの説明は省略する。
【0022】
図1は本発明の一実施の形態である容器取出装置を備えた食品盛付システムを示す斜視図、
図2は
図1の食品盛付システムを構成する容器取出装置をステージとともに示す斜視図、
図3は
図2の容器取出装置を
図2と異なる方向から示す斜視図、
図4は
図2の容器取出装置の平面図、
図5は
図2の容器取出装置の正面図、
図6は
図2の容器取出装置の制御系を示すブロック図である。なお、
図3においては容器取出装置の容器搬送テーブルは省略されている。
【0023】
図1に示すように、本実施の形態の食品盛付システムは、容器(小鉢、皿、茶碗など)Bが積み重ねられた容器積層体BTから容器Bを1枚ずつ取り出す容器取出装置10と、容器取出装置10の一部をなすターンテーブル式の容器搬送テーブル(搬送手段)11によって間欠的に搬送された容器Bに惣菜や米飯などの食品を盛り付ける食品盛付装置20とで構成されている。また、容器取出装置10と食品盛付装置20とは、ステージ30上に設置されている。
図2に示すように、ステージ30は、枠体であるフレーム31上に搭載されている。
【0024】
なお、食品盛付装置20は、ホッパ21に投入された食品が解し機構22で解された後に、下方に向けて開口するように開閉可能となった計量兼供給カップ23で所定量に計量され、直下に位置する容器搬送テーブル11上の容器Bに落下供給される構造となっている。
【0025】
さて、
図2~
図5に示すように、容器取出装置10は開口部10a-1の形成されたベース体10aを備えている。そして、開口部10a-1上に、容器Bを積み重ねて容器積層体BTとして収容する容器収容部12が設けられている。また、開口部10a-1を挟むようにして、相互に接近・離反可能になった一対の第1の移動爪(一対の第1の移動部材)13と、当該一対の第1の移動爪13の上方において、同じく相互に接近・離反可能になった一対の第2の移動爪(一対の第2の移動部材)14とが設けられている。また、一対の第1の移動爪13および一対の第2の移動爪14の両側には、一対の第1の移動爪13および一対の第2の移動爪14を支持して移動をガイドするための一対のガイドブロック15が設けられている。
【0026】
また、容器収容部12には、容器積層体BTの側方に接してこれを支持するガイドロッド12aが上下方向を向けて設置されている。
図2および
図3に示すように、ガイドロッド12aは、一対の第1の移動爪13側に2本ずつの合計4本が配置されており、一対の第1の移動爪13の下方に設けられたロッド用プレート16に取り付けられている。このロッド用プレート16は、前述のガイドブロック15に支持されており、後述するように、様々な幅の容器積層体BTを支持できるように、ガイドロッド12aは相互に接近および離反移動可能となっている。なお、容器Bを積み重ねる際の便宜のために、手前側のガイドロッド12aの高さの方が奥側のガイドロッド12aよりも低くなっている。但し、ガイドロッド12aの本数は複数本であれば足り、容器積層体BTが転倒しないように支持できれば、本実施の形態に示す4本である必要はない。
【0027】
ここで、一対の第1の移動爪13は、相互に接近して容器積層体BTの最下段に位置する容器Bである最下段容器B1(
図7)を保持する保持位置と、相互に離反して最下段容器B1の保持を解除する解除位置とに移動可能となっている。また、一対の第2の移動爪14は、相互に接近して最下段容器B1の直上に積層された容器である直上容器B2(
図7)を保持する保持位置と、相互に離反して直上容器B2の保持を解除する解除位置とに移動可能となっている。
【0028】
図2~
図4に示すように、一対の第1の移動爪13のそれぞれには、最下段容器B1の2カ所を保持するための保持片13aが内側に突出するように形成されている。したがって、最下段容器B1は、一方側が片方の第1の移動爪13の2つの保持片13aにより保持され、その反対側がもう片方の第1の移動爪13の2つの保持片13aにより保持されるので、つまり4つの保持片13aにより保持されるので、様々な外側形状の容器Bが保持可能になるとともに、ぐらつきにくく安定して保持することができるようになっている。
【0029】
同様に、一対の第2の移動爪14のそれぞれにも、直上容器B2の2カ所を保持するための保持片14aが内側に突出するように形成されており、一対の第2の移動爪14についても、4つの保持片14aによって様々な外側形状の容器Bを保持可能になるとともに、ぐらつきにくく安定して保持することができるようになっている。
【0030】
なお、本実施の形態の容器取出装置10において取出可能な容器Bの形状は、外寸幅(容器外側の幅(寸法))が下方に向けて小さくなった容器Bであり(
図7参照)、したがって、前述した容器収容部12には、このような容器Bが積み重ねられた容器積層体BTが収容される。
【0031】
なお、容器Bの形状について、外寸幅が下方に向けて小さくなった容器Bであるから、外寸幅が上下で同じであったり、逆に下方に向けて大きくなった形状の容器は適さない。また、容器Bは外寸幅が下方に向けて小さくなっていればよく、本実施の形態のように上下方向に膨らんだ形状だけではなく、上下方向に直線状(テーパ状)あるいは上下方向に凹んだ形状であってもよい。
【0032】
図2~
図4に示すように、前述した開口部10a-1上に設けられた容器収容部12の直下には、最下段容器B1の底面を支持しながら下降して当該最下段容器B1を容器積層体BTから取り出す昇降部材17が昇降可能に設けられている。昇降部材17の上端には昇降受け台17aが設置されている。したがって、後述する一対の第1の移動爪13の解除位置への移動によって容器積層体BTから最下段容器B1が分離されると、当該最下段容器B1は上昇位置にある昇降部材17の昇降受け台17a上に落下し、昇降部材17は最下段容器B1を支持した状態で下降する。
【0033】
なお、最下段容器B1が昇降部材17の昇降受け台17a上に落下したときの音(落下音)を発生させないようにするとともに、落下衝撃で最下段容器B1が毀損するのを防止するために、当該昇降受け台17a上にゴムやフェルトのような緩衝部材(図示せず)を設けておくことが望ましい。
【0034】
図2に示すように、容器搬送テーブル11上には、昇降部材17が下降して離脱可能に貫通するとともに、昇降部材17の昇降受け台17aに底面を支持されて下降した最下段容器B1が嵌まり込んで保持される保持孔11aが周方向に一定間隔で形成されている。
【0035】
本実施の形態の容器取出装置10の制御系を
図6のブロック図を用いて説明する。
【0036】
図示するように、容器取出装置10の制御系は、容器Bの取り出し数、容器Bの種類に応じた一対の第1の移動爪13および一対の第2の移動爪14の保持位置と解除位置、容器積層体BTを支持するためのガイドロッド12aを位置決めするロッド用プレート16の位置などを入力する入力部18と、一対の第1の移動爪13を駆動する第1の爪用モータ13Mと、一対の第2の移動爪14を駆動する第2の爪用モータ14Mと、ガイドロッド12aの取り付けられたロッド用プレート16を駆動するロッド用モータ16Mと、昇降部材17を駆動する昇降用モータ17Mと、これらのモータ13M,14M,16M,17Mの回転角を制御して移動方向や移動量をコントロールする制御部19とからなる。なお、本実施の形態において、モータ13M,14M,16M,17Mにはエンコーダで制御するサーボモータが用いられているが、パルス数で制御するステッピングモータなどでもよい。
【0037】
ここで、本実施の形態では、制御部19において、一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14との保持位置と解除位置とが変更され、また、容器積層体BTを支持するためのガイドロッド12aを位置決めするロッド用プレート16の位置が移動することで、様々な形状の容器Bの取り出しが可能となっている。そのために、前述したように、入力部18において、容器Bの形状(外寸幅)に応じた一対の第1の移動爪13および一対の第2の移動爪14の保持位置と解除位置とを入力し、ガイドロッド12aを位置決めするロッド用プレート16の位置を入力している。しかしながら、容器取出装置10が一種類の容器Bのみを取り出す場合には、入力部18には一対の第1の移動爪13、一対の第2の移動爪14およびロッド用プレート16についての入力は不要である。
【0038】
次に、このような構成を有する容器取出装置10による容器の取り出し動作について、
図7を用いて説明する。ここで、
図7(a)~(j)は本実施の形態の容器取出装置による容器の取り出し動作を連続的に示す説明図である。なお、これら一連の動作は、前述した制御部19に制御されたモータ13M,14M,16M,17Mで駆動される一対の第1の移動爪13、一対の第2の移動爪14、ロッド用プレート16、昇降部材17によって実行される。
【0039】
さて、容器B(詳しくは、最下段容器B1)の取り出しにおいては、第1の工程として、
図7(a)に示すように、一対の第1の移動爪13が保持位置(最下段容器B1を保持する位置)に、一対の第2の移動爪14が解除位置(直上容器B2の保持を解除する位置)になった状態で、容器積層体BTが容器収容部12に収容されている。この
図7(a)に示す状態から、
図7(b)に示すように、一対の第1の移動爪13を保持位置にしたままの状態で、一対の第2の移動爪14を解除位置から保持位置(直上容器B2を保持する位置)に移動させるとともに昇降部材17を上昇させる。なお、前述のように、昇降部材17は、容器搬送テーブル11に形成された保持孔11a(最下段容器B1が嵌まり込んで保持される孔)を貫通して上昇する。
【0040】
次に、第2の工程として、
図7(c)に示すように、一対の第2の移動爪14を保持位置にしたままで一対の第1の移動爪13を解除位置(最下段容器B1の保持を解除する位置)に移動させる。これにより、
図7(d)に示すように、一対の第1の移動爪13による保持が解除された最下段容器B1が容器積層体BTから分離されて自重で落下する。これにより、
図7(e)に示すように、最下段容器B1は上昇位置にある昇降部材17の昇降受け台17a上に落下して支持される。
【0041】
次に、第3の工程として、
図7(f)に示すように、一対の第1の移動爪13を解除位置、一対の第2の移動爪14を保持位置にしたままで(つまり一対の第1の移動爪13および一対の第2の移動爪14を
図7(e)に示す位置から動かすことなく)、最下段容器B1を支持した状態で昇降部材17を下降させ、当該最下段容器B1を容器積層体BTから取り出す。したがって、図示するように、最下段容器B1が取り出された後において容器積層体BTの最下段に位置するのは、一対の第2の移動爪14を保持された直上容器B2となる。なお、本実施の形態では、下降した昇降部材17は容器搬送テーブル11に形成された保持孔11aから下方へ離脱するので、これに伴って、昇降部材17に支持された最下段容器B1は当該保持孔11aに嵌まり込んで保持され、容器搬送テーブル11に搭載されることになる。
【0042】
次に、第4の工程として、
図7(g)に示すように、一対の第2の移動爪14を保持位置にしたままで一対の第1の移動爪13を保持位置に移動させることにより、新たな最下段容器B1(つまり、それまで直上容器B2であった容器B)を一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14とで保持する。
【0043】
次に、第5の工程として、
図7(h)に示すように、一対の第1の移動爪13を保持位置にしたままで一対の第2の移動爪14を解除位置に移動させる。したがって、最下段容器B1は一対の第1の移動爪13のみで保持されるとともに、当該一対の第1の移動爪13による保持位置は、それまでの保持位置(例えば、
図7(a)(b)参照)よりも一対の第2の移動爪14の厚み分だけ下側になる。
【0044】
前述のように、本実施の形態の容器取出装置10において取出可能な容器Bの形状は、外寸幅が下方に向けて小さくなった容器Bである。そこで、第6の工程として、
図7(i)に示すように、一対の第1の移動爪13を離反方向に移動させることによって新たな最下段容器B1を含む容器積層体BTを第1の移動爪13に沿って僅かに(一対の第2の移動爪14の厚み分)下降させ、
図7(j)に示すように、新たな直上容器B2が一対の第2の移動爪14で保持可能な位置に一対の第1の移動爪13による新たな最下段容器B1の保持位置を変更する。
【0045】
この
図7(j)に示す位置関係(一対の第1の移動爪13が最下段容器B1の保持位置に、一対の第2の移動爪14が直上容器B2の解除位置となった位置関係)は前述した
図7(a)に示す位置関係と同一であることから、以降は第1~第6の工程を順次繰り返し実行することによって、最下段容器B1が1枚ずつ取り出されることになる。
【0046】
そして、このような一連の工程において、最下段容器B1を取り出した後の新たな最下段容器B1を一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14とで保持するようにし、一対の第2の移動爪14を解除位置に移動させ、次に、一対の第1の移動爪13を離反方向に移動させて容器積層体BTの全体が第1の移動爪13に沿って下降するようになっているので、容器積層体BTが1段ずつ下降する際において、積み重ねられた容器Bと容器Bとがぶつかる干渉音の発生を防止することが可能になる。
【0047】
また、一対の第1の移動爪13や一対の第2の移動爪14は、それぞれ相互に接近、離反して容器Bを保持したり保持を解除したりしているので、フランジが形成されていなくても、外寸幅が下方に向けて小さくなった形状であれば、様々な形状の容器Bに対応することが可能になる。
【0048】
さて、前述のように、本実施の形態の容器取出装置10では、入力部18において、容器Bの形状(外寸幅)に応じた一対の第1の移動爪13および一対の第2の移動爪14の保持位置と解除位置とを入力し、ガイドロッド12aを位置決めするロッド用プレート16の位置を入力することで、制御部19において、一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14との保持位置と解除位置とが変更され、容器積層体BTを支持するためのガイドロッド12aを位置決めするロッド用プレート16の位置が移動できるようになっている。
【0049】
ここで、本実施の形態の容器取出装置10で対応可能な容器の一例を
図8~
図11に示す。
図8(a)は角形容器の平面図、
図8(b)は
図8(a)の角形容器を積み重ねた状態を示す断面図、
図8(c)は
図8(a)の角形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、
図8(d)は
図8(c)の正面図である。
図9(a)は相対的に大径で淺底の丸形容器の平面図、
図9(b)は
図9(a)の丸形容器を積み重ねた状態を示す断面図、
図9(c)は
図9(a)の丸形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、
図9(d)は
図9(c)の正面図である。
図10(a)は相対的に中径で深底の丸形容器の平面図、
図10(b)は
図10(a)の丸形容器を積み重ねた状態を示す断面図、
図10(c)は
図10(a)の丸形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、
図10(d)は
図10(c)の正面図である。
図11(a)は相対的に小径で深底の丸形容器の平面図、
図11(b)は
図11(a)の丸形容器を積み重ねた状態を示す断面図、
図11(c)は
図11(a)の丸形容器を適用した場合の容器取出装置の平面図、
図11(d)は
図11(c)の正面図である。
【0050】
なお、本実施の形態において、
図8の角形容器は、幅101mm、高さ53mm、
図9の丸形容器は、直径113mm、高さ40mm、
図10の丸形容器は、直径98mm、高さ58mm、
図11の丸形容器は、直径89mm、高さ42mmである。但し、これらの容器Bの形状および寸法は一例に過ぎず、本発明において限定されるものではない。
【0051】
これらの図面に示すように、本実施の形態の容器取出装置10によれば、相互に接近、離反する一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14との保持位置と解除位置とで最下段容器B1が取り出され、複数本の(ここでは、2本ずつで一対となった)ガイドロッド12aをロッド用プレート16を介して移動させているので、角形容器や丸形容器を問わずに適用可能になる。
【0052】
また、容器Bの幅や直径などの容器Bの外寸幅に合わせて一対の第1の移動爪13と一対の第2の移動爪14との保持位置と解除位置、およびガイドロッド12aを移動させているので、様々な外寸幅の容器Bへの対応が可能になる。
【0053】
以上本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づき具体的に説明したが、本明細書で開示された実施の形態はすべての点で例示であって、開示された技術に限定されるものではない。すなわち、本発明の技術的な範囲は、前記の実施の形態における説明に基づいて制限的に解釈されるものでなく、あくまでも特許請求の範囲の記載に従って解釈されるべきであり、特許請求の範囲の記載技術と均等な技術および特許請求の範囲の要旨を逸脱しない限りにおけるすべての変更が含まれる。
【0054】
例えば、本発明の容器取出装置には、搬送手段である容器搬送テーブル11は必須ではない。また、搬送手段としては、本実施の形態のようなターンテーブル式ではなく、ベルト式コンベアやローラ式コンベアなどのコンベアでもよい。
【0055】
また、本実施の形態では、昇降部材17の上端に昇降受け台17aが設置されているが、この昇降受け台17aについても必須ではない。但し、昇降受け台17aを設けない場合、昇降部材17の径方向断面積が小さかったならば最下段容器B1の支持が不安定になって取り出す途中に落下するおそれがあるので、少なくとも上端は支持が不安定にならないような程度の面積を確保するのがよい。なお、昇降受け台17aを設けない場合には、最下段容器B1の落下音や当該最下段容器B1の毀損を防止するための緩衝部材は昇降部材17の上端に直接設けられる。すなわち、緩衝部材は、昇降受け台17aを介して昇降部材17の上端に、あるいは直接昇降部材17の上端に設けられる。
【産業上の利用可能性】
【0056】
以上の説明の容器取出装置では、外寸幅が下方に向けて小さくなっていれば、様々な容器が適用できる。さらに、容器に投入される部材は惣菜や米飯などの食品に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0057】
10 容器取出装置
10a ベース体
10a-1 開口部
11 容器搬送テーブル(搬送手段)
11a 保持孔
12 容器収容部
12a ガイドロッド
13 一対の第1の移動爪(一対の第1の移動部材)
13a 保持片
13M 一対の第1の爪用モータ
14 一対の第2の移動爪(一対の第2の移動部材)
14a 保持片
14M 一対の第2の爪用モータ
15 ガイドブロック
16 ロッド用プレート
16M ロッド用モータ
17 昇降部材
17a 昇降受け台
17M 昇降用モータ
18 入力部
19 制御部
20 食品盛付装置
21 ホッパ
23 計量兼供給カップ
30 ステージ
B 容器
B1 最下段容器
B2 直上容器
BT 容器積層体