(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036613
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】第XII因子遺伝子発現を阻害するための組成物および方法
(51)【国際特許分類】
A61K 31/7105 20060101AFI20230307BHJP
A61K 31/712 20060101ALI20230307BHJP
A61K 31/7125 20060101ALI20230307BHJP
A61K 31/713 20060101ALI20230307BHJP
A61K 31/7008 20060101ALI20230307BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20230307BHJP
A61K 48/00 20060101ALI20230307BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20230307BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20230307BHJP
A61P 7/10 20060101ALI20230307BHJP
A61P 7/02 20060101ALI20230307BHJP
C12N 15/113 20100101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K31/7105 ZNA
A61K31/712
A61K31/7125
A61K31/713
A61K31/7008
A61K45/00
A61K48/00
A61P9/00
A61P43/00 105
A61P43/00 111
A61P7/10
A61P7/02
C12N15/113 Z
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022193512
(22)【出願日】2022-12-02
(62)【分割の表示】P 2019541173の分割
【原出願日】2018-01-30
(31)【優先権主張番号】62/451,868
(32)【優先日】2017-01-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512219840
【氏名又は名称】アローヘッド ファーマシューティカルズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100117019
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100141977
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100150810
【弁理士】
【氏名又は名称】武居 良太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100196977
【弁理士】
【氏名又は名称】上原 路子
(72)【発明者】
【氏名】チェン リー
(72)【発明者】
【氏名】タオ ペイ
(72)【発明者】
【氏名】スティーブン ビー.カナー
(72)【発明者】
【氏名】ルイ チュー
(72)【発明者】
【氏名】ステイシー メルクイスト
(72)【発明者】
【氏名】ローレン ジェイ.アルメイダ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】第XII因子(FXII)遺伝子発現を阻害するためのRNA干渉(RNAi)剤、FXII RNAi剤を含む組成物、およびそれらの使用方法を提供する。
【解決手段】第XII因子(FXII)遺伝子の発現を阻害するためのRNAi剤であって、該RNAi剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、アンチセンス鎖は、ヌクレオチド2~18を含み、センス鎖はアンチセンス鎖に対し少なくとも部分的に相補的である、前記RNAi剤を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第XII因子(FXII)遺伝子の発現を阻害するためのRNAi剤であって、
該RNAi剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
アンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド2~18を含み、センス鎖はアンチセンス鎖に対し少なくとも部分的に相補的である、前記RNAi剤。
【請求項2】
第XII因子(FXII)遺伝子の発現を阻害するためのRNAi剤であって、
該RNAi剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、
センス鎖は表2、表4、又は表6のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド2~18を含み、アンチセンス鎖はセンス鎖に対し少なくとも部分的に相補的である、前記RNAi剤。
【請求項3】
前記アンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6のアンチセンス鎖配列のいずれかの塩基配列を含む、請求項1に記載のRNAi剤。
【請求項4】
前記センス鎖は、表2、表4、又は表6のセンス鎖配列のいずれかの塩基配列を含む、請求項2に記載のRNAi剤。
【請求項5】
前記センス鎖は表4のセンス鎖配列のいずれかの塩基配列を含み、かつ前記アンチセンス鎖は表3のアンチセンス鎖配列のいずれかの塩基配列を含む、請求項1に記載のRNAi剤。
【請求項6】
前記RNAi剤は、少なくとも1つの修飾ヌクレオチドを含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項7】
前記修飾ヌクレオチドは、2’-O-メチルヌクレオチド、2’-フルオロヌクレオチド、2’-デオキシヌクレオチド、2’,3’-セコヌクレオチドミミック、ロックドヌクレオチド、2’-F-アラビノヌクレオチド、2’-メトキシエチルヌクレオチド、脱塩基リボース、リビトール、逆位ヌクレオチド、逆位脱塩基ヌクレオチド、逆位2’-OMeヌクレオチド、逆位2’-デオキシヌクレオチド、2’-アミノ-修飾ヌクレオチド、2’-アルキル-修飾ヌクレオチド、モルホリノヌクレオチド、シクロ-プロピルホスホネートデオキシリボヌクレオチド、及び3’-OMeヌクレオチドからなる群より選択される、請求項6に記載のRNAi剤。
【請求項8】
前記RNAi剤は、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項9】
前記センス鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項10】
前記アンチセンス鎖は、1、2、3、又は4つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む、請求項1~5のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項11】
前記センス鎖およびアンチセンス鎖の実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである、請求項1~5のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項12】
前記センス鎖及び/又はアンチセンス鎖にコンジュゲートした標的基を更に含む、請求項1~11のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項13】
標的基はアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む、請求項12に記載のRNAi剤。
【請求項14】
標的基は、N-アセチル-ガラクトサミンを含む、請求項1~13のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項15】
標的基は、前記センス鎖の5’末端にコンジュゲートしている、請求項12~14のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項16】
標的基は、(NAG13)、(NAG13)s、(NAG18)、(NAG18)s、(NAG24)、(NAG24)s、(NAG25)、(NAG25)s、(NAG26)、(NAG26)s、(NAG27)、(NAG27)s、(NAG28)、(NAG28)s、(NAG29)、(NAG29)s、(NAG30)、(NAG30)s、(NAG31)、(NAG31)s、(NAG32)、(NAG32)s、(NAG33)、(NAG33)s、(NAG34)、(NAG34)s、(NAG35)、(NAG35)s、(NAG36)、(NAG36)s、(NAG37)、(NAG37)s、(NAG38)、(NAG38)s、(NAG39)、及び(NAG39)sからなる群より選択される構造を有する、請求項12~15のいずれか1項に記載のRNAi剤。
【請求項17】
前記RNAi剤は、表5又は表6の二本鎖のいずれかの構造を有する二本鎖を形成するセンス鎖およびアンチセンス鎖を含んでなる、請求項1又は2に記載のRNAi剤。
【請求項18】
前記RNAi剤は、AD05333、AD04131、AD04157、AD04254、AD04623、AD04625又はAD04627の二本鎖構造を有する、請求項1又は2に記載のRNAi剤。
【請求項19】
請求項1~18のいずれか1項に記載のRNAi剤および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む組成物。
【請求項20】
第2の治療薬又は治療剤を更に含む、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物は、キット、容器、パック、ディスペンサー、プレフィルドシリンジ、又はバイアルに包装される、請求項20に記載の組成物。
【請求項22】
細胞における第XII因子遺伝子発現を阻害するための方法であって、請求項1~18のいずれか1項に記載のRNAi剤又は請求項19~21のいずれか1項に記載の組成物の有効量を投与することを含む前記方法。
【請求項23】
対象における第XII因子遺伝子発現を阻害するための方法であって、請求項1~18のいずれか1項に記載のRNAi剤又は請求項19~21のいずれか1項に記載の組成物の有効量を対象に投与することを含む前記方法。
【請求項24】
少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する病的状態(状態又は疾患を含む)の治療のための方法であって、
請求項1~18のいずれか1項に記載のRNAi剤又は請求項19~21のいずれか1項に記載の組成物の有効量をそれを必要とする対象に投与することを含む前記方法。
【請求項25】
前記病的状態は、遺伝性血管性浮腫(HAE)、後天性血管性浮腫(AAE)、ACE阻害剤に関連する血管性浮腫、アレルギー性血管性浮腫、非ヒスタミン性血管性浮腫(INAE)、特発性血管性浮腫、血栓症、静脈血栓塞栓症(VTE)、血栓性閉塞疾患、又は周術期静脈閉塞疾患予防である、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2017年1月30日に出願された米国仮特許出願第62/451,868号の優先権を主張するものであり、その内容はその全体が参照により本明細書に援用される。
【0002】
本明細書に開示するのは、第XII因子遺伝子発現を阻害するためのRNA干渉(RNAi)剤、FXII RNAi剤を含む組成物、およびそれらの使用方法である。
【背景技術】
【0003】
第XII因子(FXII、F12、またはHageman因子とも称される)は、主に肝臓で発現され、そして血液中に見られるセリンプロテアーゼであり、内因性凝固経路およびキニン-カリクレイン系の両方において二重の機能を有する。キニン-カリクレイン系は炎症、血圧調節、凝固および疼痛において役割を果たす。第XII因子の活性型は、凝固カスケードにおける第XI因子とキニン-キニノーゲン系中のプレカリクレインの両方に結合して切断し、それぞれ活性型FXIとカリクレインを生じる。
【0004】
FXIIを完全に喪失した患者は出血性疾患を示さない。さらに、遺伝子ノックアウトによってFXIIを欠くマウスは血栓症から保護されることが示されている(Renne et al JEM 2005, 202:271-281)。FXII阻害抗体処理マウス、ウサギおよび霊長類においてもFXII喪失による血栓保護効果が観察された(Larsson et al. Science Trans Med, 2014 6:22ra17)。血栓塞栓症事象に対する現在の治療は、フィブリン形成による損傷に関連した失血の制御に重要な凝固経路の下流の酵素を標的としており、したがって、これらの薬剤による治療は生命を脅かすほどの出血の可能性があるという欠点を有する。特に第Xa因子阻害薬が禁忌である場合、現在の抗凝固剤の投与は大きな出血事象の危険性を高める。
【0005】
遺伝性血管性浮腫(HAE)は、重度の腫れが頻発するエピソードによって特徴付けられるまれな病気である。腫れが起こる最も一般的な身体部位は、四肢、顔面、腸管、気道である。エピソードは自然に起こることもあれば、身体的な外傷やストレスによって引き起こされることもありる。喉頭(気道)の浮腫は、窒息による死亡の可能性があるため、生命を脅かす可能性がある。HAE治療の主な選択肢は、C1INH補充、カリクレイン阻害、またはブラジキニン2受容体を介したシグナル伝達のいずれかに焦点を当てた、発作時の投与に関するものである。現在、唯一の長期的な予防的治療はC1INH補充療法である。
【0006】
従前に発見されたFXIIを標的とするRNAi剤は、とりわけ、本明細書に完全に記載されているかのようにその全体が本明細書に援用される国際特許出願公開番号WO2016/149331A2に記載されている。さらに、FXII iRNA組成物は、国際特許出願公開番号WO2016/179342およびWO2017/120397に開示されている。しかしながら、本明細書に開示のFXII RNAi剤の配列および修飾は、これまでに開示されたまたは当該分野で公知のものとは異なる。本書に開示のFXII RNAi剤はFXII遺伝子の発現に対し強力かつ効率的に阻害する。
【発明の概要】
【0007】
FXIIの発現を選択的かつ効率的に阻害することができる新規なFXII RNA干渉(RNAi)剤(本明細書ではRNAi剤、RNAiトリガー、またはトリガーとも称される)の必要性が存在する。さらに、新規のFXII特異的RNAi剤の組成物の必要性も存在する。血栓症(静脈血栓塞栓症、VTEを含む)と血管性浮腫のいずれもそれぞれの経路における過活動性シグナル伝達により起こると考えられているので、FXII遺伝子発現の阻害はとりわけ血栓症及び/又は血管性浮腫の予防的治療としての使用に有用であろう。
【0008】
概して、本明細書の開示は、FXII RNA干渉(RNAi)剤、FXII RNAi剤を含む組成物、並びにFXII RNAi剤およびFXII RNAi剤を含む組成物を使用するFXII遺伝子の発現を阻害するためのインビトロ及び/又はインビボの方法を特徴とする。本明細書に記載のFXII RNAi剤は、血栓症及び/又はHAEといったキニンカリクレインの過活性化や内因性凝固経路に起因する状態又は疾患を治療するために使用できる。
【0009】
本明細書に記載のFXII遺伝子に特異的RNAi剤は、FXIIの発現を選択的かつ効率的に減少させることができる。本明細書に記載のFXII RNAi剤は、遺伝性血管性浮腫(HAE)、後天性血管性浮腫(AAE)、ACE阻害剤に関連する血管性浮腫、アレルギー性血管性浮腫、非ヒスタミン性血管性浮腫(INAE)、特発性血管性浮腫、血栓症、静脈血栓塞栓症(VTE)、血栓性閉塞疾患、及び周術期静脈閉塞疾患予防を含むがこれらに限定されない、血管性浮腫に関連する疾患および状態の治療的治療(予防的治療を含む)のための方法において使用できる。本明細書に記載のFXII RNAi剤の使用は、深部静脈血栓症又は肺塞栓症といった静脈閉塞疾患の治療および予防、並びに、動脈血栓塞栓疾患の治療および予防のための方法を提供する。かかる方法は、皮下注射又は静脈内投与といった当技術分野において公知の任意の適切な手段によって、ヒト又は動物対象等の対象への本明細書に記載のFXII RNAi剤を投与することを含む。
【0010】
一態様では、本開示は、ヒトFXII遺伝子の発現を阻害するためのRNAi剤を特徴とし、ここで、RNAi剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む。また、本明細書に記載するのは、FXII遺伝子の発現を阻害可能なRNAi剤を含む組成物であって、前記RNAi剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含み、そして少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を更に含む組成物である。
【0011】
本明細書に記載の各FXII RNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。センス鎖およびアンチセンス鎖は、互いに部分的に、実質的に、又は完全に相補的であり得る。本明細書に記載のRNAi剤のセンスおよびアンチセンス鎖の長さは、それぞれ16~30ヌクレオチド長であり得る。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖は、独立に17~26ヌクレオチド長である。センス及びアンチセンス鎖は、同じ長さ又は異なる長さであり得る。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖は、独立に21~26ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖は、独立に21~24ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス及び/又はアンチセンス鎖は、独立に16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、又は30ヌクレオチド長である。センス及びアンチセンス鎖は、同じ長さ又は異なる長さであり得る本明細書に記載のRNAi剤は、FXIIを発現する細胞へ送達されると、インビボまたはインビトロで1つまたは複数のFXII遺伝子の発現を阻害する。
【0012】
FXII RNAi剤は、センス鎖(パッセンジャー鎖とも称される)及びアンチセンス鎖(ガイド鎖とも称される)を含む。本明細書に記載のFXII RNAi剤のセンス鎖は、FXII mRNAにおける配列に対し少なくとも16連続ヌクレオチドのコアストレッチ(core stretch)に対し少なくとも85%の同一性を有する塩基配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII mRNAの配列に対し少なくとも85%の同一性を有するセンス鎖コアストレッチは、16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、FXII mRNAの配列に対し少なくとも85%の同一性を有するセンス鎖コアストレッチは、19ヌクレオチド長である。FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、FXII mRNAおよび対応するセンス鎖の配列に対し、少なくとも16連続ヌクレオチドのコアストレッチにわたり少なくとも85%の相補性を有する塩基配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII mRNAの配列又は対応するセンス鎖に対し少なくとも85%の相補性を有するアンチセンス鎖コアストレッチは、16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチド長である。
【0013】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤は、表1に開示の配列のいずれかを有するFXII遺伝子の一部を標的とする。
【0014】
FXII RNAi剤で使用できるFXII RNAi剤のセンス鎖とアンチセンス鎖の例は、表2、3、4、及び6に記載されている。FXII RNAi剤を含む二本鎖の例は、表5及び表6に記載されている。本明細書に開示の特定のFXII RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖からなる又は含まれてもよい19-ヌクレオチドコアストレッチ配列の例は、表2に記載されている。
【0015】
別の態様では、本開示は、哺乳動物といった対象における肝臓細胞にFXII RNAi剤をインビボで送達する方法を特徴とする。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のFXII RNAi剤は、当該技術分野において既知の任意のオリゴヌクレオチド送達技術を用いて標的細胞または組織に送達される。核酸送達方法としては、リポソーム内への封入、イオン導入、あるいは、またはヒドロゲル、シクロデキストリン、生分解性ナノカプセル、および生体接着性ミクロスフェア、タンパク質性ベクター、又はDynamic Poly Polyconjugates TM(DPCs)(例えば、それぞれが参照により本明細書に援用されるWO2000/053722、WO2008/0022309、WO2011/104169、及びWO2012/083185参照)などの他のビヒクルへの組み込み、が挙げられるが、これらに限定されない。幾つかの実施形態では、送達ビヒクル、例えば、ポリマー、両親媒性のポリマー、膜活性ポリマー、ペプチド、例えば、メリチン又はメリチン様ペプチド、可逆的に修飾されたポリマー又はペプチド、又は脂質、が本明細書に開示のFXII RNAi剤と共に使用できる。
【0016】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、RNAi剤をアシアロ糖タンパク質受容体リガンドなどの標的基に共有結合させることによって、またはコンジュゲートさせることによって標的細胞または組織に送達される。幾つかの実施形態では、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、ガラクトース又はガラクトース誘導体クラスターを含む、かかるクラスターからなる、又は本質的にかかるクラスターからなる。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、ガラクトース誘導体N-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドに結合される。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、N-アセチル-ガラクトサミン三量体又はN-アセチル-ガラクトサミン四量体を含む。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、N-アセチル-ガラクトサミン三量体又はN-アセチル-ガラクトサミン四量体である。RNAi剤を送達するのに有用な標的基の例が、例えば、参照により全体が本明細書に援用されるU.S. Patent Application No. 15/452,324及びInternational Patent Application Publication No. WO2017/156012に開示されている。
【0017】
標的基は、FXII RNAi剤のセンス鎖又はアンチセンス鎖の3’又は5’末端に結合できる。幾つかの実施形態では、標的基は、センス鎖の3’又は5’末端に結合される。幾つかの実施形態では、標的基は、センス鎖の5’末端に結合される。幾つかの実施形態では、標的基は、RNAi剤のセンス鎖及び/又はアンチセンス鎖のヌクレオチド内部に結合される。幾つかの実施形態では、標的基は、RNAi剤にリンカーを介して結合される。
【0018】
リンカーを有する又は有さない標的基は、表2、3、4、及び6に記載のセンス及び/又はアンチセンス鎖の5’又は3’末端のいずれかに結合(link)できる。リンカーを有する又は有さない標的基は、表2、3、4、及び6に記載のセンス及び/又はアンチセンス鎖の5’又は3’末端のいずれかに結合(attach)できる。
【0019】
別の態様では、本開示は、表5に開示の二本鎖構造を有する1つ又は複数のFXII RNAi剤を含む組成物を特徴とする。
【0020】
別の態様では、本開示は、表6に開示の二本鎖構造を有する1つ又は複数のFXII RNAi剤を含む組成物を特徴とする。
【0021】
幾つかの実施形態では、本明細書には、異なる塩基配列を有する少なくとも2つのFXII RNAi剤の組み合わせ又はカクテルを含む組成物が記載される。幾つかの実施形態では、2つ以上の異なるFXII RNAi剤はそれぞれ別々かつ独立に標的基に結合される。幾つかの実施形態では、2つ以上の異なるFXII RNAi剤は、それぞれアシアロ糖タンパク質受容体を標的とする1つ又は複数の部分を含む標的リガンドを含むか又はかかるリガンドからなる標的基に結合される。幾つかの実施形態では、2つ以上の異なるFXII RNAi剤は、それぞれ1つ又は複数のガラクトース誘導体を含む標的リガンドを含むか又はかかるリガンドからなる標的基に結合される。幾つかの実施形態では、2つ以上の異なるFXII RNAi剤は、それぞれ1つ又は複数のN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドを含むか又はかかるリガンドからなる標的基に結合される。幾つかの実施形態では、2つ以上のRNAi剤が組成物に含まれる場合、各RNAi剤は独立して同じ標的基に結合する。幾つかの実施形態では、2つ以上のRNAi剤が組成物に含まれる場合、各RNAi剤は独立して、異なる化学構造を有する標的基といった異なる標的基に結合する。
【0022】
幾つかの実施形態では、標的基は、追加的なリンカーを使用せずFXII RNAi剤に結合される。幾つかの実施形態では、標的基は、FXII RNAi剤への結合を促進にするためにリンカーが存在しやすいように設計されている。幾つかの実施形態では、2つ以上のRNAi剤が組成物に含まれる場合、2つ以上のRNAi剤は、同じリンカーを使用してそれぞれの標的基に結合されてもよい。幾つかの実施形態では、2つ以上のRNAi剤が組成物に含まれる場合、2つ以上のRNAi剤はそれぞれ異なるリンカーを用いてそれぞれの標的基に結合される。
【0023】
別の態様では、本開示は、対象におけるFXII遺伝子発現を阻害する方法であって、該方法は、対象にFXII遺伝子の発現を阻害できる量のFXII RNAi剤を投与することを含み、ここで、FXII RNAi剤はセンス鎖およびアンチセンス鎖を含む方法を特徴とする。
【0024】
幾つかの実施形態では、肝臓細胞、特に肝細胞、にFXII RNAi剤をインビボで送達するための組成物であって、標的基にコンジュゲートしたFXII RNAi剤を含む組成物を記載する。幾つかの実施形態では、標的基はアシアロ糖タンパク質リガンドである。
【0025】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数のFXII RNAi剤を含む医薬組成物が記載される。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、場合により1つ又は複数の追加的な(つまり、第2、第3等の)治療薬を組み合わせられる。追加的な治療薬は、他のFXII RNAi剤(例えば、FXII標的内の異なる配列を標的とするFXII RNAi剤)であってもよい。追加的な治療薬は、小分子薬、抗体、抗体フラグメント、アプタマー、および/またはワクチンであってもよい。1つ又は複数の追加的な治療薬を有する又は有さないFXII RNAi剤は、1つまたは複数の賦形剤と組み合わせて医薬組成物を形成することができる。
【0026】
また、記載するのは、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する病的状態(例えば、状態又は疾患)を有する、又は病的状態を発症する危険があるヒト対象を治療する方法であって、治療的有効量のFXII RNAi剤及び/又はFXII RNAi剤を含有する組成物を対象に投与する工程を含む方法である。FXII RNAi剤及び/又はFXII RNAi剤を含有する組成物を用いて対象を治療する方法は、場合により1つ又は複数の追加的な(つまり、第2の)治療薬又は治療剤を投与する1つ又は複数の工程を組み合わせることができる。FXII RNAi剤と追加的な治療薬は、単独で投与することも別々に投与することもできる。
【0027】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する病的状態を治療(予防的治療を含む)する方法であって、表2又は3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖を含む治療的有効量のFXII RNAi剤を対象に投与することを含む方法である。
【0028】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表2又は3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖を含むRNAi剤を細胞に投与することを含む方法である。
【0029】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する病的状態(例えば、状態又は疾患)を治療(予防的治療を含む)する方法であって、表2又は4の配列のいずれかの配列を含むセンス鎖を含む治療的有効量のFXII RNAi剤を対象に投与することを含む方法である。
【0030】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表2又は4の配列のいずれかの配列を含むセンス鎖を含むRNAi剤を細胞に投与することを含む方法である。
【0031】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する病的状態を治療(予防的治療を含む)する方法であって、表4の配列のいずれかの配列を含むセンス鎖および表3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖を含む治療的有効量のFXII RNAi剤を対象に投与することを含む方法である。
【0032】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表4の配列のいずれかの配列を含むセンス鎖および表3の配列のいずれかの配列を含むアンチセンス鎖を含むFXII RNAi剤を細胞に投与することを含む方法である。
【0033】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表4の配列のいずれかの核酸塩基配列からなるセンス鎖および表3の配列のいずれかの核酸塩基配列からなるアンチセンス鎖を含むFXII RNAi剤を対象に投与することを含む方法である。別の実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表4の配列のいずれかの修飾配列からなるセンス鎖および表3の配列のいずれかの修飾配列からなるアンチセンス鎖を含むFXII RNAi剤を対象に投与することを含む方法である。
【0034】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表5に記載の二本鎖構造を有する1つ又は複数のFXII RNAi剤を細胞に投与することを含む方法である。
【0035】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示するのは、FXII遺伝子の発現を阻害するための方法であって、表6に記載の二本鎖構造を有する1つ又は複数のFXII RNAi剤を細胞に投与することを含む方法である。
【0036】
本明細書に開示のFXII RNAi剤は、FXII遺伝子上の特定の位置(配列番号1)を標的とするように設計されている。本明細書で規定するように、アンチセンス鎖の5’末端核酸塩基が、当該遺伝子に対し塩基対を形成する際に当該遺伝子上の位置から19ヌクレオチド下流(3’末端に向かって)の位置とアラインされる場合、アンチセンス鎖配列は、FXII遺伝子上の所与の位置でFXII遺伝子を標的とするように設計されている。例えば、本明細書中の表1および2に示されるように、127位でFXII遺伝子を標的とするように設計されたアンチセンス鎖配列は、当該遺伝子に対し塩基対を形成する際、アンチセンス鎖の5’末端核酸塩基がFXII遺伝子の145位とアラインされる必要がある。本明細書中に提供されるように、アンチセンス鎖と少なくとも16連続ヌクレオチドのコアストレッチ配列にわたる遺伝子とが少なくとも85%の相補性(例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の相補性)であれば、FXII RNAi剤は、アンチセンス鎖の1位(5’→3’)の核酸塩基が、当該遺伝子に対して相補的であることを必要としない。例えば、FXII遺伝子の127位を標的とするように設計されている本明細書に開示のFXII RNAi剤の場合、アンチセンス鎖と少なくとも16連続ヌクレオチドのコアストレッチ配列にわたる遺伝子とが少なくとも85%の相補性(例えば、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、または100%の相補性)であれば、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖の5’末端核酸塩基配列は、当該遺伝子の145位とアラインしなくてはならないが、アンチセンス鎖の5’末端核酸塩基は、必須ではないが、FXII遺伝子の145位に対して相補的であってもよい。とりわけ、本明細書に開示の様々な実施例にみられるように、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖による遺伝子の結合の特定の部位(例えば、FXII RNAi剤が127位、91位、321位、又は他の位置でFXII遺伝子を標的とするように設計されているか否か)は、FXII RNAi剤によって達成される阻害の程度に非常に重要である。
【0037】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0038】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0039】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0040】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0041】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0042】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0043】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0044】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、GCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号896)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、GCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号896)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0045】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACCAAGAAAGUGAAAGACCAの核酸塩基配列(配列番号827)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACCAAGAAAGUGAAAGACCAの核酸塩基配列(配列番号827)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0046】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AGGAACUCAAUAAAGUGCUUAの核酸塩基配列(配列番号855)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AGGAACUCAAUAAAGUGCUUAの核酸塩基配列(配列番号855)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0047】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、ACUCAAUAAAGUGCUUUGAAAの核酸塩基配列(配列番号846)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、ACUCAAUAAAGUGCUUUGAAAの核酸塩基配列(配列番号846)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0048】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACUCAAUAAAGUGCUUUGAAの核酸塩基配列(配列番号829)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACUCAAUAAAGUGCUUUGAAの核酸塩基配列(配列番号829)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0049】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号868)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号868)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0050】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCAAGGAGCAUAAGUACAAUUの核酸塩基配列(配列番号866)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCAAGGAGCAUAAGUACAAUUの核酸塩基配列(配列番号866)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0051】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、GCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号896)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0052】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACCAAGAAAGUGAAAGACCAの核酸塩基配列(配列番号827)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0053】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AGGAACUCAAUAAAGUGCUUAの核酸塩基配列(配列番号855)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0054】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、ACUCAAUAAAGUGCUUUGAAAの核酸塩基配列(配列番号846)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0055】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACUCAAUAAAGUGCUUUGAAの核酸塩基配列(配列番号829)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0056】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号868)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0057】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCAAGGAGCAUAAGUACAAUUの核酸塩基配列(配列番号866)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0058】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、GCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号896)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0059】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACCAAGAAAGUGAAAGACCAの核酸塩基配列(配列番号827)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUU の核酸塩基配列(配列番号751)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0060】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AGGAACUCAAUAAAGUGCUUAの核酸塩基配列(配列番号855)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0061】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、ACUCAAUAAAGUGCUUUGAAAの核酸塩基配列(配列番号846)を含むか又はかかる配列からなり、全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)を含むか又はかかる配列からなり、全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0062】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACUCAAUAAAGUGCUUUGAAの核酸塩基配列(配列番号829)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0063】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号868)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0064】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCAAGGAGCAUAAGUACAAUUの核酸塩基配列(配列番号866)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドである。
【0065】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、GCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号896)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0066】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACCAAGAAAGUGAAAGACCAの核酸塩基配列(配列番号827)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0067】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AGGAACUCAAUAAAGUGCUUAの核酸塩基配列(配列番号855)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0068】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、ACUCAAUAAAGUGCUUUGAAAの核酸塩基配列(配列番号846)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0069】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACUCAAUAAAGUGCUUUGAAの核酸塩基配列(配列番号829)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0070】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号868)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0071】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCAAGGAGCAUAAGUACAAUUの核酸塩基配列(配列番号866)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0072】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD05333の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0073】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD04131の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0074】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD04157の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0075】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD04254の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0076】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD04623の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0077】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD04625の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0078】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、AD04627の二本鎖構造を含むか、かかる構造からなるか、又は本質的にかかる構造からなる。
【0079】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGの核酸塩基配列(配列番号23)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号23は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGの核酸塩基配列(配列番号23)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号23は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。
【0080】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGの核酸塩基配列(配列番号51)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号51は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGの核酸塩基配列(配列番号51)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号51は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。
【0081】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCの核酸塩基配列(配列番号87)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号87は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCの核酸塩基配列(配列番号87)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号87は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。
【0082】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGの核酸塩基配列(配列番号90)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号90は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGの核酸塩基配列(配列番号90)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号90は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。
【0083】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAの核酸塩基配列(配列番号93)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号93は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAの核酸塩基配列(配列番号93)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号93は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。
【0084】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGの核酸塩基配列(配列番号37)を含むか又はかかる配列からなり、ここで1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号37は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGの核酸塩基配列(配列番号37)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号37は、アンチセンス鎖の1~19位(5’→3’)に位置する。
【0085】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号804は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号804は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0086】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号751は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号751は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0087】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号673は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号673は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0088】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号793は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号793は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0089】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号767は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号767は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0090】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号805は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号805は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0091】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号787は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)を含むか又はかかる配列からなり、ここで全て又は実質的に全てのヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号787は、アンチセンス鎖の1~21位(5’→3’)に位置する。
【0092】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGCの核酸塩基配列(配列番号804)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号804は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、GCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号896)を含むか又はかかる配列からなる。
【0093】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UGGUCUUUCACUUUCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号751)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号751は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACCAAGAAAGUGAAAGACCAの核酸塩基配列(配列番号827)を含むか又はかかる配列からなる。
【0094】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UAAGCACUUUAUUGAGUUCCUの核酸塩基配列(配列番号673)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号673は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AGGAACUCAAUAAAGUGCUUAの核酸塩基配列(配列番号855)を含むか又はかかる配列からなる。
【0095】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUCAAAGCACUUUAUUGAGUの核酸塩基配列(配列番号793)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号793は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、ACUCAAUAAAGUGCUUUGAAAの核酸塩基配列(配列番号846)を含むか又はかかる配列からなる。
【0096】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUCAAAGCACUUUAUUGAGUUの核酸塩基配列(配列番号767)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号767は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、AACUCAAUAAAGUGCUUUGAAの核酸塩基配列(配列番号829)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0097】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUUGUACUUAUGCUCCUUGGGの核酸塩基配列(配列番号805)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号805は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCCAAGGAGCAUAAGUACAAAの核酸塩基配列(配列番号868)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0098】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、UUGUACUUAUGCUCCUUGGUUの核酸塩基配列(配列番号787)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなり、ここで少なくとも1つ又は複数のヌクレオチドは修飾ヌクレオチドであり、配列番号787は、アンチセンス鎖の5’末端に位置し、FXII RNAi剤のセンス鎖は、CCAAGGAGCAUAAGUACAAUUの核酸塩基配列(配列番号866)と0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0099】
本明細書に記載のFXII RNAi剤は、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含みうる。また、本明細書に記載のFXII RNAi剤は、1つ又は複数のホスホロチオエートヌクレオシド間結合も含みうる。
【0100】
本明細書に記載のFXII RNAi剤は、1つ又は複数の標的基又は結合基も含みうる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤は、1つ又は複数の標的基を含む。幾つかの実施形態では、標的基は、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドからなる。幾つかの実施形態では、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、ガラクトース又はガラクトース-誘導体クラスターを含む。幾つかの実施形態では、ガラクトース-誘導体クラスターは、N-アセチル-ガラクトサミンを含む。幾つかの実施形態では、標的リガンドは、N-アセチル-ガラクトサミン三量体を含む。幾つかの実施形態では、標的基は、本明細書に開示のFXII RNAi剤のセンス鎖にコンジュゲートしている。
【0101】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsusGfuAfcUfuAfuGfcUfcCfuUfgGfscの配列(5’→3’)(配列番号404)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0102】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usGfsgucuuUfcAfcUfuUfcuuggsusuの配列(5’→3’)(配列番号289)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0103】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usAfsasGfcAfcUfuUfaUfuGfaGfuUfcCfsuの配列(5’→3’)(配列番号300)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0104】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsusCfaAfaGfcAfcUfuUfaUfuGfaGfsuの配列(5’→3’)(配列番号319)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0105】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfscsAfaAfgCfaCfuUfuAfuUfgAfgUfsuの配列(5’→3’)(配列番号304)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0106】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsusGfuAfcUfuAfuGfcUfcCfuUfgGfsgの配列(5’→3’)(配列番号375)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0107】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsgsUfaCfuUfaUfgCfuCfcUfuGfgusuの配列(5’→3’)(配列番号377)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり、そして、センス鎖は、アンチセンス鎖に対し少なくとも実質的に相補的である。
【0108】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsusGfuAfcUfuAfuGfcUfcCfuUfgGfsc(配列番号404)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そしてFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG37)gsccaaggaGfCfAfuaaguacaaas(invAb)の配列(5’→3’)(配列番号643)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invAb)は、逆位脱塩基デオキシリボース(invAb)であり;そして、(NAG37)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0109】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usGfsgucuuUfcAfcUfuUfcuuggsusu(配列番号289)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そしてFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG25)sasaccaagaAfAfGfugaaagacc(invdA)の配列(5’→3’)(配列番号1277)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invdA)は、逆位デオキシリボアデノシン(invdA)であり;そして、(NAG25)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0110】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usAfsasGfcAfcUfuUfaUfuGfaGfuUfcCfsu(配列番号300)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そして及びFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG25)sasggaacucAfAfUfaaagugcuuas(invAb)の配列(5’→3’)(配列番号519)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invAb)は、逆位脱塩基デオキシリボース(invAb)であり;そして、(NAG25)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0111】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsusCfaAfaGfcAfcUfuUfaUfuGfaGfsu(配列番号319)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そしてFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG25)sascucaauaAfAfGfugcuuugaaas(invAb)の配列(5’→3’)(配列番号526)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invAb)は、逆位脱塩基デオキシリボース(invAb)であり;そして、(NAG25)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0112】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfscsAfaAfgCfaCfuUfuAfuUfgAfgUfsu(配列番号304)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そしてFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG37)sasacucaauAfAfAfgugcuuugaas(invAb)の配列(5’→3’)(配列番号610)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invAb)は、逆位脱塩基デオキシリボース(invAb)であり;そして、(NAG37)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0113】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsusGfuAfcUfuAfuGfcUfcCfuUfgGfsg(配列番号375)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そしてFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG37)scsccaaggaGfCfAfuaaguacaaas(invAb)の配列(5’→3’)(配列番号611)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invAb)は、逆位脱塩基デオキシリボース(invAb)であり;そして、(NAG37)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0114】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、usUfsgsUfaCfuUfaUfgCfuCfcUfuGfgusu(配列番号377)の配列(5’→3’)を含むか又はかかる配列からなり、そしてFXII RNAi剤のセンス鎖は、(NAG37)s(invAb)sccaaggAfGfCfauaaguacaauus(invAb)の配列(5’→3’)(配列番号613)を含むか又はかかる配列からなり、ここでa、c、g、及びuは、それぞれ2’-O-メチルアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;Af、Cf、Gf、及びUfは、それぞれ2’-フルオロアデノシン、シチジン、グアノシン、又はウリジンであり;sはホスホロチオエート結合であり;(invAb)は、逆位脱塩基デオキシリボース(invAb)であり;そして、(NAG37)は、本明細書の表7に示す構造を有するN-アセチル-ガラクトサミンを含む標的リガンドである。
【0115】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のFXII RNAi剤は、表7に記載の(PAZ)、(NAG25)、(NAG25)s、(NAG26)、(NAG26)s、(NAG27)、(NAG27)s、(NAG28)、(NAG28)s、(NAG29)、(NAG29)s、(NAG30)、(NAG30)s、(NAG31)、(NAG31)s、(NAG32)、(NAG32)s、(NAG33)、(NAG33)s、(NAG34)、(NAG34)s、(NAG35)、(NAG35)s、(NAG36)、(NAG36)s、(NAG37)、(NAG37)s、(NAG38)、(NAG38)s、(NAG39)、(NAG39)sの構造を有する1つ又は複数の標的基を含む。
【0116】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のFXII RNAi剤は、センス鎖の5’末端に、表7に記載の(PAZ)、(NAG25)、(NAG25)s、(NAG26)、(NAG26)s、(NAG27)、(NAG27)s、(NAG28)、(NAG28)s、(NAG29), (NAG29)s、(NAG30)、(NAG30)s、(NAG31)、(NAG31)s、(NAG32)、(NAG32)s、(NAG33)、(NAG33)s、(NAG34)、(NAG34)s、(NAG35)、(NAG35)s、(NAG36)、(NAG36)s、(NAG37)、(NAG37)s、(NAG38)、(NAG38)s、(NAG39)、(NAG39)sの構造を有する1つの標的基を含む。
【0117】
本明細書に開示のFXII RNAi剤は、1つまたは複数の開示のFXII RNAi剤および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む組成物に配合することができる。幾つかの実施形態では、1つまたは複数のFXII RNAi剤および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む本明細書に開示の組成物は、医薬組成物である。
【0118】
1つまたは複数のFXII RNAi剤を含む医薬組成物は、局所または全身治療が望ましいか否か応じて、多様な方法で投与することができる。投与は、限定されないものの、静脈内投与、動脈内投与、皮下投与、腹腔内投与、皮下投与(例えば、埋め込み型装置を介して)、および実質内投与といった、当技術分野で一般的に知られている任意の方法で行うことができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下注射により投与される。
【0119】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数の開示のFXII RNAi剤および少なくとも1つの医薬的に許容される賦形剤を含む組成物は、1つ又は複数の追加的な治療薬又は治療剤を更に含むことができる。
【0120】
幾つかの実施形態では、1つ又は複数のFXII RNAi剤を含む本明細書に記載の組成物は、キット、容器、パック、ディスペンサー、プレフィルドシリンジ、又はバイアルに包装される。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の組成物は非経口的に投与される。
【0121】
本明細書に開示のFXII RNAi剤及びそれを含む組成物は、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する病的状態(例えば、状態又は疾患)の治療(予防的治療を含む)のために対象に投与されてもよい。本明細書に開示FXII RNAi剤及びそれを含む組成物の投与により治療、予防、及び/又は制御する対象の状態又は疾患として、HAE、AAE、ACE阻害剤に関連する血管性浮腫、アレルギー性血管性浮腫、INAE、特発性血管性浮腫、血栓症、VTE、血栓性閉塞疾患、および周術期静脈閉塞疾患予防が挙げられる。
【0122】
本明細書で使用されるように、用語「オリゴヌクレオチド」および「ポリヌクレオチド」は、それぞれが独立して修飾されていても未修飾でもよい、結合したヌクレオシドのポリマーを意味する。
【0123】
本明細書で使用されるように、「RNAi剤」(「RNAiトリガー」とも称される)は、標的mRNAのメッセンジャーRNA(mRNA)転写物の翻訳を配列特異的に分解または阻害することが可能なRNAまたはRNA様(例えば化学修飾RNA)オリゴヌクレオチド分子を含む組成物を意味する。本明細書で使用されるように、RNAi剤は、RNA干渉機構(つまり、哺乳動物細胞のRNA干渉経路機構(RNA誘導サイレンシング複合体またはRISC)との相互作用によるRNA干渉の誘導)を介して、または任意の代替的な機構もしくは経路によって作動してもよい。本明細書中で使用する場合、RNAi剤は、主にRNA干渉機構を介して作動すると考えられるが、開示のRNAi剤は、特定の経路又は作用機構に拘束も限定もされない。本明細書に開示のRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖からなり、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、マイクロRNA(miRNA)、低分子ヘアピン型RNA(shRNA)、およびダイサー基質を含むがこれらに限定されない。本明細書に記載のRNAi剤のアンチセンス鎖は、標的であるmRNA(例えば、FXII mRNA)に対し少なくとも部分的に相補的である。RNAi剤は、1つ又は複数の修飾ヌクレオチド及び/又は1つ又は複数の非ホスホジエステル結合を含みうる。
【0124】
本明細書で使用されるように、所与の遺伝子の発現を言及する際に使用される用語「サイレンス(silence)」、「低下、低減、減少(reduce)」、「阻害(inhibit)」、「下方制御(down-regulate)」、または「ノックダウン(knockdown)」は、当該遺伝子から転写されたRNAのレベル、あるいは当該遺伝子が転写される細胞、細胞群、組織、器官又は対象のmRNAから翻訳されるポリペプチド、タンパク質またはタンパク質サブユニットのレベルによって測定される遺伝子の発現が、これらの細胞、細胞群、組織、器官又は対象が本明細書に記載のRNAi剤で処理された場合に、そのように処理されていない細胞、細胞群、組織、器官又は対象と比較して低いことを意味する。
【0125】
本明細書で使用されるように、用語「配列」および「塩基配列」は、標準命名法を使用して文字の連続で記載される核酸塩基又はヌクレオチドの連続または順序を意味する。
【0126】
本明細書で使用されるように、「塩基」、「ヌクレオチド塩基」又は「核酸塩基」は、複素環式ピリミジンまたはプリン化合物であり、これらは、全ての核酸の標準的な構成要素であり、ヌクレオチドのアデニン(A)、グアニン(G)、シトシン(C)、チミン(T)、およびウラシル(U)を形成する塩基を含む。核酸塩基は、限定されないものの、ユニバーサル塩基、疎水性塩基、無差別(promiscuous)塩基、サイズが拡大した(size-expanded)塩基、およびフッ素化塩基を含むようにさらに修飾されてもよい。本明細書で使用されるように、用語「ヌクレオチド」は、修飾ヌクレオチド(例えば、ヌクレオチドミミック、脱塩基残基(Ab)、又は代理置換(surrogate replacement)部分)を含みうる。
【0127】
本明細書で使用されるように、そして他に明示されない限り、第1の核酸塩基または塩基配列(例えば、RNAi剤センス鎖または標的化mRNA)を第2の核酸塩基または塩基配列(例えば、RNAi剤アンチセンス鎖又は1本鎖アンチセンスオリゴヌクレオチド)に関連して記載する際に使用される場合、用語「相補的」は、第1の塩基配列を含むオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドが第2の塩基配列を含むリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドとハイブリダイズし(哺乳動物の生理学的状態(またはインビトロでの類似状態)下で塩基対水素結合を形成し)そして特定の標準状態下で二本鎖または二重らせん構造を形成する能力を意味する。相補的な配列としては、Watson-Crick塩基対または非Watson-Crick塩基対が含まれ、少なくとも上記のハイブリダイゼーション要件を充足する範囲で、天然または修飾ヌクレオチド、またはヌクレオチドミミックも含まれる。配列同一性または相補性は修飾と独立である。例えば、本明細書で定義されるaおよびAfは、同一性または相補性を決定する目的で、U(またはT)に対して相補的であり、Aに対して同一である。
【0128】
本明細書で使用されるように、「完全(perfectlly)に相補的」又は「完全に(fully)相補的」は、第1のポリヌクレオチドの連続配列におけるすべての(100%)核酸塩基またはヌクレオチドが、第2のポリヌクレオチドの連続配列における同じ数の核酸塩基またはヌクレオチドとハイブリダイズすることを意味する。連続配列は、第1または第2の塩基配列の全部または一部を含んでもよい。
【0129】
本明細書で使用されるように、「部分的に相補的」は、核酸塩基配列のハイブリダイズ対において、第1のポリヌクレオチドの連続配列における塩基の全部ではないが、少なくとも70%が、第2のポリヌクレオチドの連続配列における同数の塩基とハイブリダイズすることを意味する。
【0130】
本明細書で使用されるように、「実質的に相補的」は、核酸塩基配列のハイブリダイズ対において、第1のポリヌクレオチドの連続配列における塩基の全部ではないが、少なくとも85%が、第2のポリヌクレオチドの連続配列における同数の塩基とハイブリダイズすることを意味する。本明細書の用語「相補的」「完全に相補的」「部分的に相補的」および「実質的に相補的」は、RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖の間、またはRNAi剤のアンチセンス鎖とFXII mRNAの配列の間でマッチする核酸塩基又はヌクレオチドに関して使用される。
【0131】
本明細書で使用されるように、用語「実質的に同一」又は「実質的な同一性」は、核酸配列に使用される場合、核酸配列が参照配列に対し、少なくとも約85%以上の配列同一性、例えば、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%同一性を有する配列を含むことを意味する。配列同一性の割合(%)は、比較ウィンドウで最適にアラインされた2つの配列を比較することにより決定される。割合(%)は、いずれの配列でも同一の核酸塩基である位置の数を決定してマッチする位置の数を求め、マッチする位置の数を比較ウィンドウ内の位置の総数で除算し、その結果に100を掛けて配列同一性の割合を決定することで計算される。本明細書に開示の発明は、本明細書に開示されたものと実質的に同一の塩基配列を包含する。
【0132】
本明細書で使用されるように、用語「治療(treat)」、「治療(treatment)」等は、対象の疾患の1つ又は複数の症状の数、重症度、及び/又は頻度の緩和又は軽減を提供するために実施される方法又は工程を意味する。本明細書で使用されるように、「治療(treat)」及び「治療(treatment)」は、対象の疾患の1つ又は複数の症状の数、重症度、及び/又は頻度の予防、管理、予防的治療、及び/又は抑制を含んでもよい。
【0133】
本明細書で使用されるように、RNAi剤に言及する場合、「細胞への導入」という語句は、RNAi剤を細胞に機能的に送達することを意味する。「機能的送達」という語句は、遺伝子発現の配列特異的阻害といったRNAi剤が期待する生物活性を有することが可能であるように細胞にRNAi剤を送達することを意味する。
【0134】
特に明記しない限り、本明細書で使用される下記記号
【化1】
の使用は、本明細書に記載の発明の範囲に従う限り任意の基が結合してもよいことを意味する。
【0135】
本明細書で使用されるように、用語「異性体」は、同一の分子式を有するが、性質、又は原子の結合の配列、又は空間内の原子配置が異なる化合物を指す。空間内の原子配置が異なる異性体は「立体異性体」と称される。互いに鏡像ではない立体異性体は「ジアステレオマー」と称され、重ね合わせることができない鏡像である立体異性体は「エナンチオマー」と称され、又は光学異性体と称されることもある。4つの同一でない置換基に結合した炭素原子は、「キラル中心」と称される。
【0136】
本明細書で使用されるように、構造内で特定の立体構造を有すると特定されない限り、不斉中心が存在することでエナンチオマー、ジアステレオマー、その他の立体異性体を生じる各構造について、本明細書に開示の各構造は、光学的に純粋な形態およびラセミ形態を含めた全ての可能性のあるかかる異性体を表すことを意図する。たとえば、本明細書に開示の構造は、単一の立体異性体のみならず、ジアステレオマーの混合物も含む意図である。
【0137】
本願のある請求項で使用される「からなる(consisting of)」という表現は、該請求項にて特定されていない要素、工程、又は成分を除外する。本願のある請求項で使用される「から本質的になる(consisting essentially of)」という表現は、該請求項の範囲を、特定された材料又は工程、並びに請求項に記載の発明の基本的で新規の特性に実質的に影響しない工程に限定する。
【0138】
当業者は、本明細書に開示する化合物および組成物が、その化合物又は組成物が置かれている環境により、特定の原子(N、O、またはS原子)がプロトン化または脱プロトン化された状態であってよいことを容易に理解および認識するだろう。したがって、本明細書で使用される本明細書に開示の構造は、例えば、OH、SH、またはNHなどの特定の官能基がプロトン化または脱プロトン化されてもよいことを想定する。本明細書の開示は、当業者によって容易に理解されるように、環境(pHなど)に基づくプロトン化の状態に関係なく、開示された化合物および組成物を網羅することを意図する。
【0139】
他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有する。本明細書に記載したものと同様又は同等の方法および材料を、本発明の実施または試験に使用することができるが、適切な方法および材料を以下に記載する。本明細書に記載のすべての出版物、特許出願、特許、およびその他の参考文献は、参照によりその全体が援用される。矛盾する場合、定義を含め本明細書を優先する。さらに、材料、方法、および実施は説明のみを目的としており、限定することを意図しない。
【0140】
本発明の他の目的、特徴、態様、および利点は、以下の詳細な説明、添付の図面、および特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0141】
【
図1】
図1は、生理食塩水で処置したマウスに対する、1日目に3mg/kgのFXII RNAi剤AD03632を一回皮下投与により処置したマウスにおけるノックダウンを示すグラフである。平均値の標準誤差は、平均の上にグラフ化されたエラーバーとして表示される。
【0142】
【
図2】
図2は、(i)0.6mg/kgのFXII RNAi剤AD03632の一回皮下投与(三角を有する破線)、(ii)2mg/kgのFXII RNAi剤AD03632の一回皮下投与(三角を有する実線)、及び(iii)生理食塩水(丸を有する実線)により処置したマウスにおけるノックダウンを示すグラフである。標準偏差は平均の上にグラフ化されたエラーバーとして表示される。
【0143】
【
図3】
図3は、1日目から始まる連続する6週間毎週0.6mg/kgのFXII RNAi剤AD03632の一回皮下投与(四角を有する破線)、(ii)1日目から始まる連続する6週間毎週一回2mg/kgのFXII RNAi剤AD03632の皮下投与及び(iii)生理食塩水(丸を有する実線)により処置したマウスにおけるノックダウンを示すグラフである。平均値の標準誤差は、平均の上にグラフ化されたエラーバーとして表示される。
【0144】
【
図4】
図4は、1日目に(i)生理食塩水、(ii)ヘパリン(1000U/kg、挿管で投与される)、(iii)1mg/kgのFXII RNAi剤AD03224、又は(iv)3mg/kgのFXII RNAi剤AD03224のいずれかを一回皮下投与により処置したラットにおけるFXII血清レベルを示すプロットである。
【0145】
【
図5】
図5は、1日目に(i)生理食塩水、(ii)ヘパリン、(iii)1mg/kgのFXII RNAi剤AD03224、又は(iv)3mg/kgのFXII RNAi剤AD03224のいずれかを一回皮下投与した後の、ラットにおける動静脈シャントモデルから14日目に取られた血栓の重量を示すプロットである。
【発明を実施するための形態】
【0146】
RNAi剤
本明細書では、第XII因子遺伝子の発現を阻害するためのRNAi剤(本明細書ではFXII RNAi剤又はFXII RNAiトリガーとも称される)を開示する。各FXII RNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖を含む。センス鎖およびアンチセンス鎖はそれぞれ16~30ヌクレオチド長であり得る。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖はそれぞれ17~26ヌクレオチド長であり得る。センス及びアンチセンス鎖同じ長さであっても又は異なる長さであってもよい。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖は、各々独立に17~21ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖はそれぞれ21~26ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖はそれぞれ21~24ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス鎖は約19ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は約21ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス鎖は約21ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は約23ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス鎖は23ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は21ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス及びアンチセンス鎖のいずれもそれぞれ21ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス鎖は22ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は21ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス鎖は19ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖は21ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンスおよびアンチセンス鎖は各々独立に17、18、19、20、21、22、23、24、25、又は26ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、二本鎖RNAi剤は約16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヌクレオチドの二本鎖長を有する。
【0147】
幾つかの実施形態では、センス鎖およびアンチセンス鎖間の完全又は実質的な相補性の領域は、16~26(例、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、又は26)ヌクレオチド長であり、アンチセンス鎖の5’末端又はその近くである(例えば、この領域は、アンチセンス鎖の5’末端から、完全又は実質的に相補的でない0、1、2、3、又は4ヌクレオチド分離れていてもよい)。
【0148】
センス鎖およびアンチセンス鎖はそれぞれ16~23核酸塩基長であるコアストレッチ配列を含む。アンチセンス鎖のコアストレッチ配列は、FXII mRNA標的に存在する塩基配列(例えば、標的配列とも称される)に対し100%(完全に)相補的又は少なくとも約85%(実質的に)相補的である。センス鎖のコアストレッチ配列は、アンチセンス鎖のコアストレッチ配列100%(完全に)相補的又は少なくとも約85%(実質的に)相補的であり、よってセンス鎖のコアストレッチ配列はFXII mRNA標的に存在する塩基配列(標的配列)に対し完全に同一又は少なくとも約85%同一である。センス鎖のコアストレッチ配列は、対応するアンチセンスコア配列と同じ長さであってもよく、あるいは、異なる長さであってもよい。幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖のコアストレッチ配列は16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチド長である。幾つかの実施形態では、センス鎖のコアストレッチ配列は16、17、18、19、20、21、22、又は23ヌクレオチド長である。
【0149】
FXII RNAi剤の生成に使用される塩基配列の例は、表2、3、4、及び6に記載されている。表2、3、及び4のセンス鎖およびアンチセンス鎖配列を含むFXII RNAi剤二本鎖の例は、表5に記載されている。
【0150】
FXII RNAi剤のセンス鎖とアンチセンス鎖がアニールし二本鎖を形成する。FXII RNAi剤のセンス鎖とアンチセンス鎖は、互いに部分的に、実質的に、又は完全に相補的であってもよい。相補的二本鎖領域内では、センス鎖のコアストレッチ配列は、アンチセンスコアストレッチ配列に対し少なくとも85%相補的又は100%相補的である。幾つかの実施形態では、センス鎖のコアストレッチ配列は、アンチセンス鎖のコアストレッチ配列の対応する16、17、18、19、20、21、22、又は23塩基配列に対し少なくとも85%又は100%相補的な少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、又は少なくとも23ヌクレオチドの配列を含む(つまり、FXII RNAi剤のセンスおよびアンチセンスコアストレッチ配列は、少なくとも85%の塩基対又は100%の塩基対となる少なくとも16、少なくとも17、少なくとも18、少なくとも19、少なくとも20、少なくとも21、少なくとも22、又は少なくとも23ヌクレオチドの領域を有する)。
【0151】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表2又は表3のアンチセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のセンス鎖は、表2又は表4のセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。
【0152】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表6のアンチセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のセンス鎖は、表6のセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。
【0153】
センス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、場合により、そして独立に、コアストレッチ配列の3’末端、5’末端の一方、又は3’と5’末端の両方に追加的な1、2、3、4、5、又は6ヌクレオチド(extension:伸長部)を含んでもよい。存在する場合、アンチセンス鎖の追加的なヌクレオチドは、対応するFXII mRNAの配列に相補的であってもなくてもよい。存在する場合、センス鎖の追加的なヌクレオチドは、対応するFXII mRNAの配列に同一であってもなくてもよい。存在する場合、アンチセンス鎖の追加的なヌクレオチドは、存在する場合、対応するセンス鎖の追加的なヌクレオチドに相補的であってもなくてもよい。
【0154】
本明細書で使用されるように、伸長部は、センス鎖コアストレッチ配列及び/又はアンチセンス鎖コアストレッチ配列の5’及び/又は3’末端に1、2、3、4、5、又は6ヌクレオチドを含む。センス鎖の伸長部ヌクレオチドは、対応するアンチセンス鎖のコアストレッチ配列ヌクレオチド又は伸長部ヌクレオチドのいずれかのヌクレオチドに対し相補的であってもなくてもよい。逆に、アンチセンス鎖の伸長部ヌクレオチドは、対応するセンス鎖のコアストレッチヌクレオチド又は伸長部ヌクレオチドのヌクレオチドに対し相補的であってもなくてもよい。幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖のいずれも3’及び5’伸長部を含む。幾つかの実施形態では、一方の鎖の1つ又は複数の3’伸長部ヌクレオチドは、他方の鎖の1つ又は複数の5’伸長部ヌクレオチドと塩基対を形成する。別の実施形態では、一方の鎖の1つ又は複数の3’伸長部ヌクレオチドは、他方の鎖の1つ又は複数の5’伸長部ヌクレオチドと塩基対を形成しない。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、3’伸長部を有するアンチセンス鎖および5’伸長部を有するセンス鎖を有する。
【0155】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、1、2、3、4、5、又は6ヌクレオチド長の3’伸長部を有するアンチセンス鎖を含む。別の実施形態では、FXII RNAi剤は、1、2、又は3ヌクレオチド長の3’伸長部を有するアンチセンス鎖を含む。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のアンチセンス鎖伸長部ヌクレオチドは、ウラシル又はチミジンヌクレオチド又は対応するFXII mRNA配列に相補的であるヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、3’アンチセンス鎖伸長部は、限定されないものの以下の配列:AUA、UGCUU、CUG、UG、UGCC、CUGCC、CGU、CUU、UGCCUA、CUGCCU、UGCCU、UGAUU、GCCUAU、T、TT、U、UU(各々5’→3’で表示)の1つを含む又は該配列からなる。
【0156】
幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端は追加的な脱塩基残基(Ab)を含みうる。「脱塩基残基」又は「脱塩基部位」は、糖の第1位に核酸塩基を欠くヌクレオチド又はヌクレオシドである。幾つかの実施形態では、Ab又はAbAbは、アンチセンス鎖の3’末端に付加されうる。幾つかの実施形態では、脱塩基残基は、逆位脱塩基残基(invAb)として付加されうる(表7参照)。(例えば、F. Czauderna, Nucleic Acids Res., 2003, 31(11), 2705-16参照)。
【0157】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、1、2、3、4、又は5ヌクレオチド長の3’伸長部を有するセンス鎖を含む。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のセンス鎖伸長部ヌクレオチドは、アデノシン、ウラシル、又はチミジンヌクレオチド、ATジヌクレオチド、又はFXII mRNA配列のヌクレオチドに対応するヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、3’センス鎖伸長部は、限定されないものの以下の配列:T、UT、TT、UU、UUT、TTT、又はTTTT(各々5’→3’で表示)の一つを含む又は該配列からなる。
【0158】
幾つかの実施形態では、センス鎖の3’末端は、追加的な脱塩基残基を含んでもよい。幾つかの実施形態では、UUAb、UAb、又はAbは、センス鎖の3’末端に付加される。幾つかの実施形態では、センス鎖の3’末端に付加された1つ又は複数の脱塩基残基は、逆位(invAb)である。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の逆位脱塩基残基又は脱塩基部位は、標的リガンドとRNAi剤のセンス鎖の核酸塩基配列の間に挿入されてもよい。幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖の1またはそれ以上の末端又はその近傍に1つ又は複数の逆位脱塩基残基又は脱塩基部位が含まれると、RNAi剤の活性かまたは他の望ましい特性の強化が可能になる。
【0159】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤1、2、3、4、5、又は6ヌクレオチド長の5’伸長部を有するセンス鎖を含む。幾つかの実施形態では、1つ又は複数のセンス鎖伸長部ヌクレオチドは、ウラシル又はアデノシンヌクレオチド又はFXII mRNA配列のヌクレオチドに対応するヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、センス鎖5’伸長部は、限定されないものの以下の配列:CA、AUAGGC、AUAGG、AUAG、AUA、A、AA、AC、GCA、GGCA、GGC、UAUCA、UAUC、UCA、UAU、U、UU(各々5’→3’で表示)の一つを含む又は該配列からなる。センス鎖は、3’伸長部及び/又は5’伸長部を含みうる。
【0160】
幾つかの実施形態では、センス鎖の5’末端は、1つ又は複数の追加的な脱塩基残基(例えば、(Ab)又は(AbAb))を含みうる。幾つかの実施形態では、センス鎖の5’末端に追加された1つ又は複数の脱塩基残基は、逆位(例、invAb)であり得る。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の逆位脱塩基残基は、標的リガンドとRNAi剤のセンス鎖の核酸塩基配列との間に挿入できる。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の逆位脱塩基残基をRNAi剤のセンス鎖の一方または両方の末端又はその近傍に含ませることにより、RNAi剤の活性又は他の望ましい特性が増強できるようにしてもよい。幾つかの実施形態では、脱塩基(デオキシリボース)残基をリビトール(脱塩基リボース)残基に置換してもよい。
【0161】
幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖の3’末端コアストレッチ配列、又はアンチセンス鎖の3’末端配列は、逆位脱塩基残基(invAb(表7参照))を含んでもよい。
【0162】
FXII RNAi剤を形成する際に使用される配列の例は、表2、3、4、及び6に記載されている。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、表2、3、又は6の配列のいずれかの配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、表2、表3、又は表4の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、2~15、2~17、1~18、2~18、1-19、2~19、1~20、2~20、1~21、2~21、1~22、2~22、1~23、2~23、1~24、2~24、1~25、2~25、1~26、又は2~26の配列を含む。特定の実施形態では、FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、表4の修飾配列のいずれかの修飾配列を含むまたはかかる修飾配列からなる。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤センス鎖は、表2、3、又は5の配列のいずれかの配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤センス鎖は、表2、4、又は6の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~18、1~19、1~20、1-21、1~22、1~23、1~24、1~25、1~26、2~19、2~20、2~21、2~22、2~23、2~24、2~25、2~26、3~20、3~21、3~22、3~23、3~24、3~25、3~26、4~21、4~22、4~23、4~24、4~25、4~26、5~22、5~23、5~24、5~25、5~26、6~23、6~24、6~25、2~26、7~24、7~25、又は7~26の配列を含むまたはかかる修飾配列からなる。
【0163】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のRNAi剤のセンス及びアンチセンス鎖は、同じ数のヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、本明細書に記載のRNAi剤のセンス及びアンチセンス鎖は、異なる数のヌクレオチドを含む。幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖5’末端とアンチセンス鎖3’末端は、平滑末端(blunt end)を形成する。幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖3’末端とアンチセンス鎖5’末端は、平滑末端(blunt end)を形成する。幾つかの実施形態では、RNAi剤の両端が平滑末端を形成する。幾つかの実施形態では、RNAi剤のいずれの末端も平滑末端ではない。本明細書で使用する平滑末端とは、2つのアニーリングされた鎖の末端ヌクレオチドが相補的である(相補的塩基対を形成する)二本鎖RNAi剤の末端を指す。
【0164】
幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖5’末端とアンチセンス鎖3’末端は、綻び末端(frayed end)を形成する。幾つかの実施形態では、RNAi剤のセンス鎖3’末端とアンチセンス鎖5’末端は、綻び末端(frayed end)を形成する。幾つかの実施形態では、RNAi剤の両端が綻び末端を形成する。幾つかの実施形態では、RNAi剤のいずれの末端も綻び末端ではない。本明細書で使用する綻び末端とは、2つのアニーリングされた鎖の末端ヌクレオチドが対を形成する(つまり、オーバーハングを形成しない)が相補的ではない(つまり、非相補対を形成する)二本鎖RNAi剤の末端を指す。本明細書で使用されるように、オーバーハングとは、二本鎖RNAi剤の一方の鎖の末端にある1つ又は複数の対をなさないヌクレオチドのストレッチである。対をなさないヌクレオチドはセンス鎖またはアンチセンス鎖上にあってもよく、3’または5’オーバーハングのいずれかを形成してもよい。幾つかの実施形態では、RNAi剤は、平滑末端および綻び末端、平滑末端および5’オーバーハング末端、平滑末端および3’オーバーハング末端、綻び末端および5’オーバーハング末端、綻び末端および3’オーバーハング端、2つの5’オーバーハング端、2つの3’オーバーハング端、5’オーバーハング端および3’オーバーハング端、2つの綻び末端、又は2つの平滑末端を含む。
【0165】
修飾ヌクレオチドは、さまざまなポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド構築物で使用される場合、細胞内の化合物の活性を維持しながら、同時にこれらの化合物の血清安定性を高めることができ、そして、かかるポリヌクレオチドまたはオリゴヌクレオチド構築物の投与において、ヒトにおけるインターフェロン活性を活性化する可能性を最小限に抑えることができる。
【0166】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、塩、混合塩、または遊離酸として調製または提供される。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤はナトリウム塩として調製される。かかる形態は、本明細書に開示する発明の範囲内である。
【0167】
修飾ヌクレオチド
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドを含む。本明細書で使用されるように、「修飾ヌクレオチド」は、リボヌクレオチド(2’-ヒドロキシルヌクレオチド)以外のヌクレオチドである。幾つかの実施形態では、ヌクレオチドの少なくとも50%(例、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97%、少なくとも98%、少なくとも99%、又は100%)は修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用されるように、修飾ヌクレオチドとしては、限定されないものの、以下のものが挙げられる:デオキシリボヌクレオチド、ヌクレオチドミミック、脱塩基ヌクレオチド(本明細書ではAbと表す)、2’-修飾ヌクレオチド、3’-3’結合(逆位)ヌクレオチド(本明細書ではinvdN、invN、invnと表す)、修飾核酸塩基含有ヌクレオチド、架橋ヌクレオチド、ペプチド核酸(PNAs)、2’,3’-セコヌクレオチドミミック(アンロックド核酸塩基類似体、本明細書ではNUNA又はNUNAと表す)、ロックドヌクレオチド(本明細書ではNLNA又はNLNAと表す)、3’-O-メトキシ(2’ヌクレオシド間結合した)ヌクレオチド(本明細書では3’-OMenと表す)、2’-F-アラビノヌクレオチド(本明細書ではNfANA又はNfANAと表す)、5’-Me、2’-フルオロヌクレオチド(本明細書では5Me-Nfと表す)、モルホリノヌクレオチド、ビニルホスホネートデオキシリボヌクレオチド(本明細書ではvpdNと表す)、ビニルホスホネート含有ヌクレオチド、及びシクロプロピルホスホネート含有ヌクレオチド(cPrpN)。2’-修飾ヌクレオチド(つまり、5員糖環の2’位に水酸基以外の基を持つヌクレオチド)としては、限定されないものの、以下のものが挙げられる:2’-O-メチルヌクレオチド(本明細書では塩基配列中に小文字の「n」と表す)、2’-デオキシ-2’-フルオロヌクレオチド(本明細書ではNfと表し、2’-フルオロヌクレオチドとしても表わされる)、2’-デオキシヌクレオチド(本明細書ではdNと表す)、2’-メトキシエチル(2’-O-2-メトキシルエチル)ヌクレオチド(本明細書ではNM又は2’-MOEと表す)、2’-アミノヌクレオチド、及び2’-アルキルヌクレオチド。所与の化合物のすべての位置を均一に変更する必要はない。逆に、単一のFXII RNAi剤又はその単一のヌクレオチドであっても、複数の修飾を組み込むことができる。FXII RNAi剤のセンス鎖およびアンチセンス鎖は、当技術分野で知られている方法により合成及び/又は修飾できる。あるヌクレオチドにおける修飾は、別のヌクレオチドにおける修飾とは独立する。
【0168】
修飾核酸塩基は、合成および天然の核酸塩基を含む、例えば、5-置換ピリミジン、6-アザピリミジン及びN-2、N-6及びO-6置換プリン(例、2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル、又は5-プロピニルシトシン)、アデニン及びグアニンの5-メチルシトシン(5-me-C)、5-ヒドロキシメチルシトシン、イノシン、キサンチン、ヒポキサンチン、2-アミノアデニン、6-アルキル(例、6-メチル、6-エチル、6-イソプロピル、又は6-n-ブチル)誘導体、アデニン及びグアニンの2-アルキル(例、2-メチル、2-エチル、2-イソプロピル、又は2-n-ブチル)及び他のアルキル誘導体、2-チオウラシル、2-チオチミン、2-チオシトシン、5-ハロウラシル、シトシン、5-プロピニルウラシル、5-プロピニルシトシン、6-アゾウラシル、6-アゾシトシン、6-アゾチミン、5-ウラシル(擬ウラシル)、4-チオウラシル、8-ハロ、8-アミノ、8-スルフヒドリル、8-チオアルキル、8-ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン及びグアニン、5-ハロ(例、5-ブロモ)、5-トリフルオロメチル、及び他の5-置換ウラシル及びシトシン、7-メチルグアニン及び7-メチルアデニン、8-アザグアニン及び8-アザアデニン、7-デアザグアニン、7-デアザアデニン、3-デアザグアニン、及び3-デアザアデニンなどが挙げられる。
【0169】
幾つかの実施形態では、RNAi剤の全て又は実質的に全てのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドである。本明細書で使用されるように、実質的に全ての存在するヌクレオチドが修飾ヌクレオチドであるRNAi剤は、センス鎖およびアンチセンス鎖のいずれもの4つ以下(つまり、0、1、2、3、又は4)のヌクレオチドがリボヌクレオチド(つまり、被修飾)であるRNAi剤である。本明細書で使用されるように、実質的に全ての存在するセンス鎖は、センス鎖の2つ以下(つまり、0、1、又は2)のヌクレオチドがリボヌクレオチドであるセンス鎖である。本明細書で使用されるように、実質的に全ての存在するアンチセンス鎖は、アンチセンス鎖の2つ以下(つまり、0、1、又は2)のヌクレオチドがリボヌクレオチドであるアンチセンス鎖である。幾つかの実施形態では、RNAi剤の1つ又は複数のヌクレオチドはリボヌクレオチドである。
【0170】
修飾ヌクレオシド間結合
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤の1つ又は複数のヌクレオチドは、非標準的な結合またはバックボーン(つまり、修飾ヌクレオシド間結合または修飾バックボーン)によって結合されている。修飾ヌクレオシド間結合または修飾バックボーンとして、限定されないものの以下が挙げられる:5’-ホスホロチオエート基(本明細書では小文字の「s」と表す)、キラルホスホロチオエート、チオフォスフェート、ホスホロジチオエート、リン酸トリエステル、アミノアルキル-ホスホトリエステル、アルキルホスホネート(例、メチルホスホネートまたは3’-アルキレンホスホネート)、キラルホスホネート、ホスフィネート、ホスホルアミデート(例、3’-アミノホスホルアミデート、アミノアルキルホスホルアミデート、又はチオノホスホルアミデート)、チオノアルキル-ホスホネートs、チオノアルキルホスホトリエステル、モルホリノ結合、通常の3’-5’結合を有するボラノフォスフェート、逆位極性を有する2’-5’結合ボラノフォスフェート、又はボラノフォスフェートの類似体、ここで、ヌクレオシドユニットの隣接する対は3’-5’から5’-3’又は2’-5’から5’-2’で結合している。幾つかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間結合又は骨格はリン原子を欠く。リン原子を欠く修飾ヌクレオシド間結合としては、限定されないものの、以下のものが挙げられる;短鎖アルキル又はシクロアルキル糖間結合、混合ヘテロ原子及びアルキル又はシクロアルキル糖間結合、又は1つ又は複数の短鎖異原子又は複素環糖間結合。幾つかの実施形態では、修飾ヌクレオシド間骨格としては、限定されないものの、以下のものが挙げられる;シロキサン骨格、スルフィド骨格、スルホキシド骨格、スルホン骨格、ホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、メチレンホルムアセチルおよびチオホルムアセチル骨格、アルケンを含有する骨格、スルファメート骨格、メチレンイミノおよびメチレンヒドラジノ骨格、スルホネートおよびスルホンアミド骨格、アミド骨格、およびN、O、S、およびCH2成分が混合したそのた他の骨格。
【0171】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、1、2、3、4、5、又は6個のホスホロチオエート結合を含みうる。FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、1、2、3、4、5、又は6個のホスホロチオエート結合を含みうる、又はセンス鎖およびアンチセンス鎖のいずれもが独立に1、2、3、4、5、又は6個のホスホロチオエート結合を含みうる。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、1、2、3、又は4個のホスホロチオエート結合を含みうる、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、1、2、3、又は4個のホスホロチオエート結合を含みうる、又はセンス鎖およびアンチセンス鎖のいずれもが独立に1、2、3、又は4個のホスホロチオエート結合を含みうる。
【0172】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤センス鎖少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含みうる。幾つかの実施形態では、少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、センス鎖の3’末端から1~3位のヌクレオチドの間にある。幾つかの実施形態では、少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、センス鎖の5’末端から1~3、2~4、3~5、4~6、4~5、又は6~8位のヌクレオチドの間にある。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、4個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。幾つかの実施形態では、4個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合は、アンチセンス鎖の5’末端から1~3位のヌクレオチドの間にあり、そして5’末端から19~21、20~22、21~23、22~24、23~25、又は24~26位のヌクレオチドの間にある。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、センス鎖に少なくとも2つのホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含み、そしてアンチセンス鎖に3または4個のホスホロチオエートヌクレオシド間結合を含む。
【0173】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、1つ又は複数の修飾ヌクレオチドと1つ又は複数の修飾ヌクレオシド間結合を含む。幾つかの実施形態では、2’-修飾ヌクレオシドは、修飾ヌクレオシド間結合と組み合わせられる。
【0174】
FXII RNAi剤
幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤は、表1に示すFXII配列にあるFXII遺伝子又はその近傍を標的とする。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表1に開示のFXII 19-mer標的配列に完全に実質的に、又は少なくとも部分的に相補的なコアストレッチ配列を含む。
【0175】
【0176】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、アンチセンス鎖(5’→3’)の19位が表1に開示の19-mer標的配列の1位と塩基対を形成可能なアンチセンス鎖を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、アンチセンス鎖(5’→3’)の1位が表1に開示の19-mer標的配列の19位と塩基対を形成可能なアンチセンス鎖を含む。
【0177】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、アンチセンス鎖(5’→3’)の2位が表1に開示の19-mer標的配列の18位と塩基対を形成可能なアンチセンス鎖を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、アンチセンス鎖(5’→3’)の2~18位が表1に開示の19-mer標的配列の18~2位と塩基対を形成可能なアンチセンス鎖を含む。
【0178】
本明細書に開示のRNAi剤に関し、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、FXII遺伝子に対し完全に相補的であり得るか、又はFXII遺伝子に対し非相補的であり得る。幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、U、A、又はdTである。幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、センス鎖とA:U又はU:A塩基対を形成する。
【0179】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18又は2~19の配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤センス鎖は、表2、表4、又は表6のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、1~18、又は2~18の配列を含む。
【0180】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、(i)表2、表3、又は表6のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18又は2~19の配列を含むアンチセンス鎖、および(ii)表2、表4、又は表6のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、1~18、又は2~18の配列を含むセンス鎖、を含んでなる(comprised of)。
【0181】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、以下の表2に示すコア19-mer塩基配列を含む。
【0182】
【表2-1】
【表2-2】
【表2-3】
表2の塩基配列を含むか又はかかる配列からなるFXII RNAi剤センス鎖およびアンチセンス鎖は、修飾ヌクレオチド又は非修飾ヌクレオチドであり得る。幾つかの実施形態では、表2の塩基配列を含むか又はかかる配列からなるセンス及びアンチセンス鎖配列を有するFXII RNAi剤は、全て又は実質的に全て修飾ヌクレオチドである。
【0183】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表2のアンチセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のセンス鎖は、表2のセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。
【0184】
本明細書で使用されるように、表2に開示の配列にリストされるNは、それぞれ独立に選択されてもよい。幾つかの実施形態では、表2に開示の配列にリストされるNは、他の鎖の対応する位置にあるNヌクレオチドに相補的な核酸塩基を有する。幾つかの実施形態では、表2に開示の配列にリストされるNは、他の鎖の対応する位置にあるNヌクレオチドに相補的ではない核酸塩基を有する。幾つかの実施形態では、表2に開示の配列にリストされるNは、他の鎖の対応する位置にあるNヌクレオチドと同一の核酸塩基を有する。幾つかの実施形態では、表2に開示の配列にリストされるNは、他の鎖の対応する位置にあるNヌクレオチドとは異なる核酸塩基を有する。
【0185】
特定の修飾されたFXII RNAi剤のセンスおよびアンチセンス鎖は、表3及び表4に記載されている。修飾FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、それらに対応する非修飾核酸塩基配列と同様に、表3に記載されている。修飾FXII RNAi剤センス鎖は、それらに対応する非修飾配列と同様に、表4に記載されている。FXII RNAi剤の形成において、表2と同様に、上記表3および4にリストされている対応する塩基配列のそれぞれのヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドであり得る。
【0186】
本明細書に記載のFXII RNAi剤は、センス鎖とアンチセンス鎖がアニールすることにより形成される。表2、表3、又は表6にリストされる配列を含むセンス鎖は、表2、表4、又は表6にリストされる配列を含むアンチセンス鎖をハイブリダイズできる、ただし、上記2つの配列が連続する16、17、18、19、20、又は21塩基配列にわたり少なくとも85%相補的な領域を有する。
【0187】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6の配列のいずれかの塩基配列を含む。
【0188】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表2、表3、表4、又は表6の配列のいずれかのセンス鎖およびアンチセンス鎖の核酸塩基配列を有する二本鎖からなる。
【0189】
修飾ヌクレオチドを含むアンチセンス鎖の例は、表3に記載されている。修飾ヌクレオチドを含むセンス鎖の例は、表4に記載されている。
【0190】
表3および4で使用されるように、修飾ヌクレオチド、標的基、および結合基を示すために以下の表記が使用される。当業者は、配列で別段の指示がない限り、オリゴヌクレオチドに存在する場合、モノマーは5’-3’-ホスホジエステル結合によって相互に結合していることを容易に理解するであろう;
A = アデノシン-3’-リン酸;
C = シチジン-3’-リン酸;
G = グアノシン-3’-リン酸;
U = ウリジン-3’-リン酸
n = 任意の2’-OMe修飾ヌクレオチド
a = 2’-O-メチルアデノシン-3’-リン酸
as = 2’-O-メチルアデノシン-3’-ホスホロチオエート
c = 2’-O-メチルシチジン-3’-リン酸
cs = 2’-O-メチルシチジン-3’-ホスホロチオエート
g = 2’-O-メチルグアノシン-3’-リン酸
gs = 2’-O-メチルグアノシン-3’-ホスホロチオエート
t = 2’-O-メチル-5-メチルウリジン-3’-リン酸
ts = 2’-O-メチル-5-メチルウリジン-3’-ホスホロチオエート
u = 2’-O-メチルウリジン-3’-リン酸
us = 2’-O-メチルウリジン-3’-ホスホロチオエート
Nf = 任意の2’-フルオロ修飾ヌクレオチド
Af = 2’-フルオロアデノシン-3’-リン酸
Afs = 2’-フルオロアデノシン-3’-ホスホロチオエート
Cf = 2’-フルオロシチジン-3’-リン酸
Cfs = 2’-フルオロシチジン-3’-ホスホロチオエート
Gf = 2’-フルオログアノシン-3’-リン酸
Gfs = 2’-フルオログアノシン-3’-ホスホロチオエート
Tf = 2’-フルオロ-5’-メチルウリジン-3’-リン酸
Tfs = 2’-フルオロ-5’-メチルウリジン-3’-ホスホロチオエート
Uf = 2’-フルオロウリジン-3’-リン酸
Ufs = 2’-フルオロウリジン-3’-ホスホロチオエート
dN = 任意の2’-デオキシリボヌクレオチド
dT = 2’-デオキシチミジン-3’-リン酸
NUNA = 2’,3’-セコヌクレオチドミミック(アンロックド核酸塩基
類似体)-3’-リン酸
NUNAs = 2’,3’-セコヌクレオチドミミック(アンロックド核酸塩基
類似体)-3’-ホスホロチオエート
UUNA = 2’,3’-セコ-ウリジン-3’-リン酸
UUNAs = 2’,3’-セコ-ウリジン-3’-ホスホロチオエート
a_2N = 表7参照
a_2Ns = 表7参照
pu_2N = 表7参照
pu_2Ns = 表7参照
Npu = 表7参照
Nus = 表7参照
NLNA = ロックドヌクレオチド
NfANA = 2’-F-アラビノヌクレオチド
NM = 2’-メトキシエチルヌクレオチド
AM = 2’-メトキシエチルアデノシン-3’-リン酸
AMs = 2’-メトキシエチルアデノシン-3’-ホスホロチオエート
TM = 2’-メトキシエチルチミジン-3’-リン酸
TMs = 2’-メトキシエチルチミジン-3’-ホスホロチオエート
R = リビトール
(invdN) = 任意の逆位デオキシリボヌクレオチド(3’-3’結合
ヌクレオチド)
(invAb) = 逆位(3’-3’結合)脱塩基デオキシリボヌクレオチド、表7参照
(invAb)s = 逆位(3’-3’結合)脱塩基デオキシリボヌクレオチド-5’-
ホスホロチオエート、表7参照
(invn) = 任意の逆位2’-OMeヌクレオチド(3’-3’結合ヌクレオチド)
s = ホスホロチオエート結合
vpdN = ビニルホスホネートデオキシリボヌクレオチド
(5Me-Nf) = 5’-Me,2’-フルオロヌクレオチド
cPrp = シクロプロピルホスホネート、表7参照
epTcPr = 表7参照
epTM = 表7参照
(Chol-TEG) = 表7参照
(TEG-Biotin) = 表7参照
(PEG-C3-SS) = 表7参照
(Alk-SS-C6) = 表7参照
(C6-SS-Alk) = 表7参照
(C6-SS-Alk-Me) = 表7参照
【0191】
当業者は、所与のオリゴ塩基配列の3’末端の末端ヌクレオチドは、ex vivoでは、通常、リン酸部分の代わりに所与のモノマーのそれぞれの3’位にヒドロキシル(-OH)基を有することを容易に理解するであろう。本明細書で特に明記されていない限り、本明細書に開示のFXII RNAi剤およびFXII RNAi剤の組成物の記載にあたり、当業者のかかる理解が適用される。
【0192】
標的基と結合基には次のものが含まれ、それらの化学構造は表7に示される:
(PAZ)、(NAG13)、(NAG13)s、(NAG18)、(NAG18)s、(NAG24)、(NAG24)s、(NAG25)、(NAG25)s、(NAG26)、(NAG26)s、(NAG27)、(NAG27)s、(NAG28)、(NAG28)s、(NAG29)、(NAG29)s、(NAG30)、(NAG30)s、(NAG31)、(NAG31)s、(NAG32)、(NAG32)s、(NAG33)、(NAG33)s、(NAG34)、(NAG34)s、(NAG35)、(NAG35)s、(NAG36)、(NAG36)s、(NAG37)、(NAG37)s、(NAG38)、(NAG38)s、(NAG39)、(NAG39)s。各センス鎖及び/又はアンチセンス鎖は、上記の任意の標的基又は結合基、並びに、配列の5’及び/又は3’末端にコンジュゲートされた他の標的基又は結合基を有しうる。
【0193】
【表3-1】
【表3-2】
【表3-3】
【表3-4】
【表3-5】
【表3-6】
【表3-7】
【表3-8】
【表3-9】
【表3-10】
【表3-11】
【0194】
【表4-1】
【表4-2】
【表4-3】
【表4-4】
【表4-5】
【表4-6】
【表4-7】
【表4-8】
【表4-9】
【表4-10】
【表4-11】
【0195】
本明細書に記載のFXII RNAi剤は、センス鎖とアンチセンス鎖がアニールすることにより形成される。表2、表4、又は表6にリストされる配列を含むセンス鎖は、表2、表3、又は表6にリストされる配列を含むアンチセンス鎖をハイブリダイズできる、ただし、上記2つの配列が連続する16、17、18、19、20、又は21塩基配列にわたり少なくとも85%相補的な領域を有する。
【0196】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表3のアンチセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のFXII RNAi剤のセンス鎖は、表4のセンス鎖配列のいずれかと、0、1、2、又は3ヌクレオチド異なる。
【0197】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6の配列のいずれかの塩基配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、2~17、1~18、2~18、1~19、2~19、1~20、2~20、1~21、2~21、1~22、2~22、1~23、2~23、1~24、又は2~24、1~25、2~25、1~16、又は2~16の配列を含む。特定の実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表3の修飾配列いずれか1つの修飾配列を含むか又はかかる配列からなる。特定の実施形態では、FXII RNAi剤のアンチセンス鎖は、表6の修飾配列いずれか1つの修飾配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0198】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、表2、表4、又は表6の配列のいずれかの塩基配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、表2、表4、又は表6の配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、2~17、3~17、4~17、1~18、2~18、3~18、4~18、1~19、2~19、3~19、4~19、1~20、2~20、3~20、4~20、1~21、2~21、3~21、4~21、1~22、2~22、3~22、4~22、1~23、2~23、3~23、4~23、1~24、2~24、3~24、4~24、1~25、2~25、3~25、4~25、1~26、2~26、3~26、又は4~26の配列を含む。特定の実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、表5の修飾配列いずれか1つの修飾配列を含むか又はかかる配列からなる。特定の実施形態では、FXII RNAi剤のセンス鎖は、表6の修飾配列いずれか1つの修飾配列を含むか又はかかる配列からなる。
【0199】
本明細書に開示のRNAi剤に関し、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、FXII遺伝子に対し完全に相補的であり得るか、又はFXII遺伝子に対し非相補的であり得る。幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、U、A、又はdT(あるいはU、A又はdTの修飾バージョン)である。幾つかの実施形態では、アンチセンス鎖(5’末端→3’末端)の1位のヌクレオチドは、センス鎖とA:U又はU:A塩基対を形成する。
【0200】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤アンチセンス鎖は、表2、表3、又は表6のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18又は2~19の配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤センス鎖は、表2、表4、又は表6のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、1~18、又は2~18の配列を含む。
【0201】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、(i)表2、表3、又は表6のアンチセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)2~18又は2~19の配列を含むアンチセンス鎖、および(ii)表2、表4、又は表6のセンス鎖配列のいずれかのヌクレオチド(5’末端→3’末端)1~17、1~18、又は2~18の配列を含むセンス鎖、を含んでなる。
【0202】
表2、表4、又は表6にリストされる配列を含むセンス鎖は、表2、表3、又は表6にリストされる配列を含むアンチセンス鎖をハイブリダイズできる、ただし、上記2つの配列が連続する16、17、18、19、20、又は21塩基配列にわたり少なくとも85%相補的な領域を有する。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表4の修飾配列のいずれかの修飾配列からなるセンス鎖、および表3の修飾配列のいずれかの修飾配列からなるアンチセンス鎖を有する。特定の代表的な配列のペアリングは、表5および表6に示す二本鎖ID番号によって例示される。
【0203】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、本明細書で提供される二本鎖ID番号のいずれかによって表される任意の二本鎖を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、本明細書で提供される二本鎖ID番号のいずれかによって表される任意の二本鎖からなる。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、本明細書で提供される二本鎖ID番号のいずれかによって表される任意の二本鎖のセンス鎖およびアンチセンス鎖塩基配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、本明細書で提供される二本鎖ID番号のいずれかによって表される任意の二本鎖のセンス鎖およびアンチセンス鎖塩基配列、並びに標的基及び/又は結合基を含み、ここで、標的基及び/又は結合基は、センス鎖又はアンチセンス鎖に共有結合(covalently linked)(つまり、コンジュゲート:conjugated))している。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、本明細書で提供される二本鎖ID番号のいずれかによって表される任意の二本鎖のセンス鎖およびアンチセンス鎖修飾塩基配列を含む。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、本明細書で提供される二本鎖ID番号のいずれかによって表される任意の二本鎖のセンス鎖およびアンチセンス鎖修飾塩基配列、並びに標的基及び/又は結合基を含み、ここで、標的基及び/又は結合基は、センス鎖又はアンチセンス鎖に共有結合している。
【0204】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表2、表5、又は表6のアンチセンス鎖/センス鎖二本鎖の塩基配列を有するアンチセンス鎖およびセンス鎖を含み、そしてアシアロ糖タンパク質受容体リガンド標的基を含む。
【0205】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表2、表5、又は表6のアンチセンス鎖/センス鎖二本鎖の塩基配列を有するアンチセンス鎖およびセンス鎖を含み、そして更に、以下からなる群より選択される標的基を含む:(PAZ)、(NAG13)、(NAG13)s、(NAG18)、(NAG18)s、(NAG24)、(NAG24)s、(NAG25)、(NAG25)s、(NAG26)、(NAG26)s、(NAG27)、(NAG27)s、(NAG28)、(NAG28)s、(NAG29)、(NAG29)s、(NAG30)、(NAG30)s、(NAG31)、(NAG31)s、(NAG32)、(NAG32)s、(NAG33)、(NAG33)s、(NAG34)、(NAG34)s、(NAG35)、(NAG35)s、(NAG36)、(NAG36)s、(NAG37)、(NAG37)s、(NAG38)、(NAG38)s、(NAG39)、(NAG39)s。幾つかの実施形態では、標的基は、表7に規定される(NAG25)又は(NAG25)である。別の実施形態では、標的基は、表7に規定される(NAG37)又は(NAG37)である。
【0206】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表5の任意の二本鎖のアンチセンス鎖及び/又はセンス鎖塩基配列のいずれかの修飾塩基配列を有するアンチセンス鎖およびセンス鎖を含む。
【0207】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表5の任意の二本鎖のアンチセンス鎖及び/又はセンス鎖塩基配列のいずれかの修飾塩基配列を有するアンチセンス鎖およびセンス鎖を含み、そしてアシアロ糖タンパク質受容体リガンド標的基を含む。
【0208】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、表5の任意の二本鎖の二本鎖構造を含む、かかる構造からなる、又はかかる構造から本質的になる。
【0209】
【表5-1】
【表5-2】
【表5-3】
【表5-4】
【0210】
【0211】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、塩、混合塩、または遊離酸として調製または提供される。本明細書に記載されるRNAi剤は、FXII遺伝子を発現している細胞に送達されると、インビボで1つ又は複数のFXII遺伝子の発現をノックダウン又は阻害する。
【0212】
標的基、結合基、および送達ビヒクル
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、限定されないものの、標的基、結合基、送達ポリマー、又は送達ビヒクルを含む1つ又は複数の非ヌクレオチド基にコンジュゲートする。非ヌクレオチド基は、RNAi剤の標的、送達又は結合を増強しうる。標的基および結合基の例は、表7に記載されている。非ヌクレオチド基は、センス鎖及び/又はtheアンチセンス鎖の3’及び/又は5’末端に共有結合しうる。幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、センス鎖の3’及び/又は5’末端に結合した非ヌクレオチド基を含む。幾つかの実施形態では、非ヌクレオチド基は、FXII RNAi剤センス鎖の5’末端に結合する。非ヌクレオチド基は、RNAi剤に直接又はリンカー/結合基を介して間接的に結合してもよい。幾つかの実施形態では、非ヌクレオチド基は、不安定、切断可能、または可逆的結合またはリンカーを介してRNAi剤に結合する。
【0213】
幾つかの実施形態では、非ヌクレオチド基は、RNAi剤又はそれが結合するコンジュゲートの薬物動態又は生体内分布特性を強化して、RNAi剤又はコンジュゲートの細胞又は組織特異的分布及び細胞特異的取り込みを改善する。幾つかの実施形態では、非ヌクレオチド基は、RNAi剤のエンドサイトーシスを促進する。
【0214】
標的基又は標的部分は、コンジュゲート又はそれが結合するRNAi剤の薬物動態又は生体内分布特性を強化して、コンジュゲート又はRNAi剤の細胞特異的分布及び細胞特異的取り込みを改善する。標的基は、一価、二価、三価、四価でありえて、またはそれが向けられる標的に対してより高い原子価を有しうる。代表的な標的基としては、限定されないものの、細胞表面分子に親和性のある化合物、細胞受容体リガンド、ハプテン、抗体、モノクローナル抗体、抗体断片、および細胞表面分子に親和性のある抗体ミミックが挙げられる。幾つかの実施形態では、標的基は、リンカー、例えば、PEGリンカー又はいくつかの例ではリンカーとして機能しうる1、2、又は3の脱塩基及び/又はリビトール(脱塩基リボース)残基を用いてRNAi剤に結合する。幾つかの実施形態では、標的基は、ガラクトース-誘導体クラスターを含む。
【0215】
本明細書に記載のFXII RNAi剤は、5’末端に反応性基、例えば、nアミン基を有するように合成しうる。当技術分野で典型的な方法を使用して、反応性基を用い標的基を続けて結合してもよい。
【0216】
幾つかの実施形態では、標的基は、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む。幾つかの実施形態では、アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは、1つ又は複数のガラクトース誘導体を含むか又はかかる誘導体からなる。本明細書で使用されるように、用語ガラクトース誘導体は、ガラクトースと、アシアロ糖タンパク質受容体に対する親和性がガラクトースと同等又はそれ以上のガラクトースの誘導体の両方を含む。ガラクトース誘導体としては、限定されないものの、以下のものが挙げられる:ガラクトース、ガラクトサミン、N-ホルミルガラクトサミン、N-アセチル-ガラクトサミン、N-プロピオニル-ガラクトサミン、N-n-ブタノイル-ガラクトサミン、およびN-イソ-ブタノイルガラクトサミン(例えば: S.T. Iobst and K. Drickamer, J.B.C., 1996, 271, 6686参照)。オリゴヌクレオチドおよびその他の分子の肝臓へのインビボ標的化に有用なガラクトース誘導体およびガラクトース誘導体のクラスターは、当技術分野で知られている(例えば、 Baenziger and Fiete, 1980, Cell, 22, 611-620; Connolly et al., 1982, J. Biol. Chem., 257, 939-945参照)。
【0217】
ガラクトース誘導体は、肝細胞の表面に発現するアシアロ糖タンパク質受容体への結合を介して、肝細胞への分子のインビボ標的化に使用されている。アシアロ糖タンパク質受容体リガンドのアシアロ糖タンパク質受容体への結合は、肝細胞への細胞特異的標的化および分子の肝細胞へのエンドサイトーシスを促進する。アシアロ糖タンパク質受容体リガンドは単量体(例、単一のガラクトース誘導体を有する)又は多量体(例、複数のガラクトース誘導体を有する)でありうる。ガラクトース誘導体又はガラクトース誘導体クラスターは、当技術分野で知られている方法を使用して、RNAi剤のセンス又はアンチセンス鎖の3’又は5’末端に結合しうる。ガラクトース誘導体クラスターなどの標的基の調製は、いずれの文献も参照によりその全体が本明細書に援用される米国特許出願番号15/452,324および米国特許公開番号2017/0253875に記載されている。
【0218】
本明細書で使用されるようにガラクトース誘導体クラスターは、2~4個の末端ガラクトース誘導体を有する分子を含む。末端ガラクトース誘導体は、C-1炭素を介して分子に結合する。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、ガラクトース誘導体三量体(三アンテナガラクトース誘導体又は三価ガラクトース誘導体とも称される)である。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、複数のN-アセチル-ガラクトサミンを含む。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、3つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、ガラクトース誘導体四量体(四アンテナガラクトース誘導体又は四価ガラクトース誘導体とも称される)である。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、4つのN-アセチル-ガラクトサミンを含む。
【0219】
本明細書で使用されるようにガラクトース誘導体三量体は、それぞれ中央分岐点(branch point)に結合された3つのガラクトース誘導体を含む。本明細書で使用されるように、ガラクトース誘導体四量体は、それぞれ中央分岐点に結合された4つのガラクトース誘導体を含む。ガラクトース誘導体は、糖類のC-1炭素を介して中央分岐点に結合しうる。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体は、分岐点にリンカー又はスペーサーを介して結合される。幾つかの実施形態では、リンカー又はスペーサーは、柔軟な(flexible)親水性スペーサー、例えば、PEG基である(例えば、 U.S. Patent No. 5,885,968; Biessen et al. J. Med. Chem. 1995 Vol. 39 p. 1538-1546参照)。幾つかの実施形態では、PEGスペーサーは、PEG3スペーサーである。分岐点は、3つのガラクトース誘導体の結合を可能にし、さらに分岐点のRNAi剤への結合を可能にする任意の低分子でありうる。分岐点グループの一例は、ジリジンまたはジグルタミン酸である。RNAi剤への分岐点の結合は、リンカー又はスペーサーを介して行われうる。幾つかの実施形態では、リンカー又はスペーサーは、柔軟な親水性スペーサー、例えば、限定されないものの、PEGスペーサー、を含む。幾つかの実施形態では、リンカーは、硬い(rigid)リンカー、例えば、サイクリック基を含む。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体は、N-アセチル-ガラクトサミンを含む又はN-アセチル-ガラクトサミンからなる。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、例えば、N-アセチル-ガラクトサミン四量体でありうるガラクトース誘導体四量体、を含んでなる。
【0220】
本開示の実施形態は、肝細胞にFXII RNAi剤をインビボ送達するための医薬組成物を含む。このような医薬組成物として、例えば、ガラクトース誘導体クラスターにコンジュゲートしたFXII RNAi剤が挙げられる。幾つかの実施形態では、ガラクトース誘導体クラスターは、例えば、N-アセチル-ガラクトサミン三量体でありうるガラクトース誘導体三量体、又は、例えば、N-アセチル-ガラクトサミン四量体でありうるガラクトース誘導体四量体、を含んでなる。
【0221】
標的基は、限定されないものの、以下のものが挙げられる:表7に規定の(PAZ)、(NAG13)、(NAG13)s、(NAG18)、(NAG18)s、(NAG24)、(NAG24)s、(NAG25)、(NAG25)s、(NAG26)、(NAG26)s、(NAG27)、(NAG27)s、(NAG28)、(NAG28)s、(NAG29)、(NAG29)s、(NAG30)、(NAG30)s、(NAG31)、(NAG31)s、(NAG32)、(NAG32)s、(NAG33)、(NAG33)s、(NAG34)、(NAG34)s、(NAG35)、(NAG35)s、(NAG36)、(NAG36)s、(NAG37)、(NAG37)s、(NAG38)、(NAG38)s、(NAG39)、及び(NAG39)s。ガラクトースクラスター標的リガンドを含む他の標的基は当該分野で知られている。
【0222】
幾つかの実施形態では、結合基は、RNAi剤にコンジュゲートしている。結合基は、薬剤の標的基又は送達ポリマー又は送達ビヒクルへの共有結合を促進する。結合基は、RNAi剤センス鎖又はアンチセンス鎖の3’又は5’末端に結合しうる。幾つかの実施形態では、結合基は、RNAi剤センス鎖に結合する。幾つかの実施形態では、結合基は、RNAi剤センス鎖の5’又は3’末端にコンジュゲートする。幾つかの実施形態では、RNAi剤センス鎖の5’末端にコンジュゲートする。結合基の例として、限定されないものの、以下のものが挙げられる:一級アミンやアルキンなどの反応性基、アルキル基、脱塩基ヌクレオチド、リビトール(脱塩基リボース)、及び/又はPEG基。
【0223】
リンカー又は結合基は、1つの対象となる化学基(RNAi剤など)またはセグメントを別の対象となる化学基(例えば、標的基又は送達ポリマー)又はセグメントに1つまたは複数の共有結合を介して結合させる2つの原子間の接続である。不安定な結合(labile linkage)には、不安定な結合(labile bond)が含まれる。結合は、場合により接合した2つの原子間の距離を広げるスペーサーを含む。スペーサーは、さらに柔軟性及び/又は結合の長さを与えることができる。スペーサーとしては、限定されないものの、以下のものが挙げられる:アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アリール基、アラルキル基、アラルケニル基、およびアラルキニル基、これらの基において、各々が1つ又は複数のヘテロ原子、複素環、アミノ酸、ヌクレオチド、糖類を含みうる。スペーサー基は当技術分野で周知であり、前述のリストは説明の範囲を限定することを意図するものではない。
【0224】
表2、3、4、または6に記載のFXII RNAi剤塩基配列のいずれかが、修飾されているか未修飾であるかにかかわらず、3’または5’標的基または結合基を含んでもよい。あるいは、3’又は5’標的基又は結合基を含む表3又は4に記載のFXII RNAi剤塩基配列のいずれかが、3’又は5’標的基又は結合基を含まなくてもよく、又は、表7に示すものを含むが、これらに限定されない異なる3’又は5’標的基又は結合基を含んでもよい。表2、表5、又は表6に記載のFXII RNAi剤二本鎖のいずれかが、修飾されているか未修飾であるかにかかわらず、表7に示すものを含むが、これらに限定されない更なる標的基または結合基を含んでもよく、この標的基または結合基が、FXII RNAi剤二本鎖のセンス鎖またはアンチセンス鎖のいずれかの3’または5’末端に結合してもよい。
【0225】
標的基および結合基の例は、表7に記載されている。表4は、5’または3’末端にリンクされた標的基または結合基を有するFXII RNAi剤センス鎖のいくつかの実施形態を提供する。
【0226】
【表7-1】
【表7-2】
【表7-3】
【表7-4】
【表7-5】
【表7-6】
【表7-7】
【表7-8】
【表7-9】
【表7-10】
【表7-11】
【表7-12】
【表7-13】
【表7-14】
【表7-15】
【表7-16】
【表7-17】
【0227】
上記の構造および本明細書で提供される説明を考慮して付加されることが当業者によって理解されるように、表7の上記の各構造では、NAGはN-アセチル-ガラクトサミン又は他のアシアロ糖タンパク質受容体リガンドを含む。たとえば、いくつかの実施形態では、表7に示される構造のNAGは、以下の構造で表される:
【化2】
【0228】
各(NAGx)は、リン酸基又はホスホロチオエート基((NAG25)s、(NAG29)s、(NAG30)s、(NAG31)s、又は(NAG37)sのようなもの)、又は他の結合基を介してFXII RNAi剤に結合しうる((NAG25)、(NAG30)、及び(NAG31)に示すようなもの)。
【0229】
【化3】
当該分野で公知の他の結合基を使用してもよい。
【0230】
幾つかの実施形態では、送達ビヒクルは、細胞または組織へのRNAi剤の送達に使用しうる。送達ビヒクルは、細胞または組織へのRNAi剤の送達を改善する化合物である。送達ビヒクルは、限定されないものの、以下のものを含む又は以下のものからなることがある:ポリマー、例えば、両親媒性ポリマー、膜活性ポリマー、ペプチド、メリチンペプチド、メリチン様ペプチド(MLP)、脂質、可逆的に修飾されたポリマー又はペプチド、又は可逆的に修飾された膜活性ポリアミン。幾つかの実施形態では、RNAi剤は、脂質、ナノ粒子、ポリマー、リポソーム、ミセル、DPCまたは他の当技術分野で利用可能な送達システムと組み合わせることができる。RNAi剤は、標的基、脂質(コレステロールおよびコレステリル誘導体を含むがこれらに限定されない)、ナノ粒子、ポリマー、リポソーム、ミセル、DPC(例えば、それぞれが参照により本明細書に援用されるWO2000/053722、WO2008/0022309、WO2011/104169、及びWO2012/083185、WO2013/032829、WO2013/158141参照)、又はまたは他の当技術分野で利用可能な送達システムに化学的にコンジュゲートすることもできる。
【0231】
医薬組成物および製剤
本明細書に開示のFXII RNAi剤は、医薬組成物または製剤として調製できる。幾つかの実施形態では、医薬組成物は、少なくとも1つのFXII RNAi剤を含む。これらの医薬組成物は、標的細胞、細胞群、組織、または生物における標的mRNAの発現の阻害に特に有用である。医薬組成物は、標的mRNAのレベルの減少又は標的遺伝子の発現の阻害の恩恵を受けるであろう疾患または障害を有する対象の治療に使用できる。医薬組成物は、標的mRNAのレベルの減少又は標的遺伝子の発現の阻害の恩恵を受けるであろう疾患、障害又は状態を発症するリスクのある対象の治療に使用できる。一実施形態では、方法は、本明細書に記載の標的リガンドに結合したFXII RNAi剤を治療すべき対象に投与することを含む。幾つかの実施形態では、1つ又は複数の医薬的に許容される賦形剤(ビヒクル、担体、希釈剤、及び/又は送達ポリマーを含む)がFXII RNAi剤を含む医薬組成物に追加され、それにより、ヒトを含む対象への送達に適した医薬製剤を形成する。
【0232】
本明細書に開示のFXII RNAi剤を含む医薬組成物と方法は、細胞、細胞群、細胞の群、組織、又は対象の標的mRNAのレベルを低下させる。例えば、本明細書に記載のFXII RNAi剤の治療的有効量を対象に投与することより、対象におけるFXII mRNAの発現を阻害することを含む。
【0233】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤を含む記載の医薬組成物は、FXII mRNAの発現の阻害の恩恵を受けるであろう疾患または障害(例えば、HAE、AAE、ACE阻害剤に関連する血管性浮腫、アレルギー性血管性浮腫、INAE、特発性血管性浮腫、血栓症、VTE、血栓性閉塞疾患、及び周術期静脈閉塞疾患予防を含む)を有する対象における臨床症状の治療または管理に使用される。幾つかの実施形態では、1つまたは複数の医薬組成物の治療的または予防的有効量が、そのような治療を必要とする対象に投与される。幾つかの実施形態では、開示されたFXII RNAi剤のいずれかの投与が、対象の疾患の症状の数、重症度、及び/頻度を減少させるために使用できる。
【0234】
FXII RNAi剤を含む記載の医薬組成物は、FXII mRNAの発現の減少または阻害の恩恵を受けるであろう疾患または障害を有する対象における少なくとも1つの症状の治療に使用できる。幾つかの実施形態では、対象は、FXII RNAi剤を含む1つ又は複数の医薬組成物の治療的有効量を投与され、それにより症状を治療する。別の実施形態では、対象は予防的に1つ又は複数のFXII RNAi剤の有効量が投与され、それにより、少なくとも1つの症状を予防する。
【0235】
投与経路は、FXII RNAi剤が身体と接触する経路である。一般に、哺乳動物の治療のための薬物およびオリゴヌクレオチドおよび核酸の投与方法は、当技術分野で周知であり、本明細書に記載の組成物の投与に適用することができる。本明細書に開示のFXII RNAi剤は、特定の経路に合わせて適切に調製された製剤により、適切な経路で投与できる。したがって、本明細書に記載の医薬組成物は、注射、例えば、静脈内、筋肉内、皮内、皮下、関節内、腹腔内に投与することができる。幾つかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、皮下注射により投与される。
【0236】
本明細書に記載のFXII RNAi剤を含む医薬組成物は、当該分野で公知のオリゴヌクレオチド送達技術を使用して、細胞、細胞群、組織、又は対象に送達できる。一般に、核酸分子を(インビトロ又はインビボで)送達するための当該分野で認識されている任意の適切な方法を、本明細書に記載の組成物での使用に適合させることができる。例えば、送達は、局所投与(例、直接注射、移植、局所投与)、全身投与、又は皮下投与、静脈内投与、腹腔内投与、又は以下を含む非経口経路:頭蓋内(例、脳室内、実質内およびくも膜下腔内)、筋肉内投与、経皮、経気道(エアロゾル)、経鼻、経口、直腸、または局所(頬および舌下を含む)投与でありうる。特定の実施形態では、組成物は、皮下または静脈内注入または注射によって投与される。
【0237】
したがって、いくつかの実施形態では、本明細書に記載の医薬組成物は、1つ又は複数の医薬的に許容される賦形剤を含む。本明細書に記載の医薬組成物は、対象への投与用に調合されている。
【0238】
本明細書で使用されるように、医薬組成物又は薬剤は、薬理学的有効量の少なくとも1つの本明細書に記載のFXII RNAi剤及び1つ又は複数の医薬的に許容される賦形剤を含む。医薬的に許容される賦形剤(賦形剤)は、活性医薬成分(API、治療製品、例えばFXII RNAi剤)以外の物質であり、薬物送達システムに意図的に含まれる。賦形剤は、意図する投与量で治療効果を発揮しないか、又は発揮することは意図されていない。賦形剤は、a)製造中の薬剤送達システムの加工を支援し、b)APIの安定性、バイオアベイラビリティ、又は患者受容性を保護、支持、又は増強し、c)製品識別を補助し、及び/又はd)保存又は使用中のAPIの全体的な安全性、有効性、又は送達を増強するように作用することができる。医薬的に許容される賦形剤は、不活性物質であってもなくてもよい。
【0239】
賦形剤には、特に限定されないが、吸収増強剤、抗付着剤、消泡剤、抗酸化剤、結合剤、緩衝剤、担体、被覆剤、着色剤、送達増強剤、送達ポリマー、デキストラン、デキストロース、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、増量剤、充填剤、風味剤、流動促進剤、保湿剤、滑沢剤、油、ポリマー、防腐剤、食塩水、塩、溶剤、糖、懸濁剤、徐放性マトリックス、甘味料、増粘剤、等張化剤、ビヒクル、撥水剤、及び湿潤剤が挙げられる。
【0240】
注射用途に適した医薬組成物は、無菌水性溶液(水溶性の場合)又は分散物及び無菌注射溶液又は分散物を即時調製するための無菌粉末を含む。静脈内投与のために、適切な担体は、生理食塩水、静菌水、クレモフォール(登録商標)ELTM(BASF, Parsippany, NJ)又はリン酸緩衝食塩水(PBS)を含む。製造及び保存条件下で安定している必要があり、細菌や真菌などの微生物の汚染作用から保護されている必要がある。担体は、例えば、水、エタノール、ポリオール(グリセロール、プロピレングリコール及び液体ポリエチレングリコール等)及びそれらの適切な混合物を含む溶媒又は分散媒でありうる。例えば、レシチン等のコーティングを使用すること、分散物の場合に必要とされる粒径を維持すること、そして界面活性剤を使用することにより適切な流動性を維持しうる。多くの場合、組成物に糖類、マンニトール等のポリアルコール、ソルビトール及び塩化ナトリウム等の等張化剤を含ませるのが好ましい。注射用組成物の持続的吸収は、吸収を遅延させる薬剤、例えば、モノステアリン酸アルミニウム又はゼラチンを含ませることによりもたらされうる。
【0241】
無菌注射溶液は、必要量の活性化合物を必要に応じて上記に列挙した成分の1つ又は組み合わせと共に適切な溶媒に組み込み、続けてフィルター滅菌することにより調製されうる。一般的に、分散物は、活性化合物を、基本的な分散媒体及び上記に列挙したものからの必要な他の成分を含む滅菌ビヒクルに組み込むことにより調製される。無菌注射溶液を調製するための無菌粉末の場合、調製方法には、事前に滅菌濾過したその溶液から活性成分及び任意の追加の所望の成分の粉末を生じる真空乾燥又は凍結乾燥が含まれる。
【0242】
関節内投与に適した製剤は、水性微結晶懸濁液の剤形等の、微結晶剤形でありうる薬剤の無菌水性製剤の剤形でありうる。リポソーム製剤又は生分解性ポリマー系もまた、関節内又は点眼投与の両方の薬剤として提示するために使用することができる。
【0243】
活性化合物を、化合物が体から急速に排出されるのを保護する担体を用いて調製し得、それはインプラント又はマイクロカプセル化されたデリバリーシステムを含む、徐放製剤などである。エチレン酢酸ビニル、ポリ酸無水物、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル、及びポリ乳酸等の、生分解性、生体適合性ポリマーを使用しうる。そのような製剤の調製方法は、当業者には明らかであろう。リポソーム懸濁液もまた、医薬的に許容される担体として使用されうる。これらは、例えば、米国特許第4,522,811号に記載されるような、当業者に既知の方法によって調製されうる。
【0244】
FXII RNAi剤は、投与の容易さ及び容量の均一性のために用量単位剤形の組成物に処方されうる。用量単位剤形とは、治療される患者についての単位用量として適切な物理的に個別の単位を指し、各単位は、必要な医薬的な担体と関連する所望の治療効果を生じるよう計算された所定量の活性化合物を含む。本開示の用量単位剤形の仕様は、活性化合物の固有の特性及び達成される治療効果ならびに個人の治療のためにそのような活性化合物を配合する技術に固有の制限によって規定され、直接左右される。
【0245】
医薬組成物は、医薬組成物に共通してみられる他の追加の成分を含みうる。そのような追加の成分としては、鎮痒薬、収斂薬、局所麻酔薬又は抗炎症薬(抗ヒスタミン薬、ジフェンヒドラミン等)が挙げられるが、これらに限定されない。本明細書で定義されたRNAi剤を発現するか含む細胞、組織又は単離された器官が、「医薬組成物」として使用されうることも想定される。本明細書で使用されるように、「薬理学的有効量」、「治療的有効量」又は単に「有効量」とは、薬理学的、治療的又は予防的な結果を生じるRNAi剤のその量を指す。
【0246】
幾つかの実施形態では、本明細書に開示の方法は、本明細書に開示のRNAi剤の投与に加え、第2の治療薬又は治療剤を投与する工程を更に含む。幾つかの実施形態では、第2の治療薬は、他のFXII RNAi剤(例、FXII標的内の異なる配列を標的とするFXII RNAi剤)である。別の実施形態では、第2の治療薬は、小分子薬、抗体、抗体断片、アプタマー、及び/又はワクチンでありうる。
【0247】
一般的に、活性化合物の有効量は、例えば、約1.0~約50mg/体重(kg)/日の範囲内にあるだろう。幾つかの実施形態では、活性化合物の有効量は、1用量あたり約0.25~約5mg/体重(kg)の範囲内にあるだろう。幾つかの実施形態では、活性成分の有効量は、1用量あたり約0.5~約4mg/体重(kg)の範囲内にあるだろう。投与量は、患者の全体的な健康状態、送達される化合物の相対的な生物学的有効性、薬物の調合、製剤中の賦形剤の存在と種類、および投与経路などの変数によることも多い。また、所望の血中レベルまたは組織レベルを迅速に達成するために、最初に投与する用量を、場合により、上記の上限レベルを超えて増加してもよいし、あるいは最初に投与する用量を、場合により、最適量よりも少なくしてもよい。
【0248】
疾患の治療のため、あるいは、疾患の治療のための医薬または組成物の形成のために、FXII RNAi剤を含む本明細書に記載の医薬組成物は、賦形剤又は第2の又は別のRNAi剤、小分子薬、抗体、抗体断片、ペプチド及び/又はアプタマーを含むが、これらに限定されない第2の治療薬又は治療剤と併用しうる。
【0249】
記載のFXII RNAi剤は、医薬的に許容される賦形剤又はアジュバントに添加する際に、キット、容器、パック、又はディスペンサーに包装してもよい。本明細書に記載の医薬組成物は、プレフィルドシリンジ又はバイアルに包装しうる。
【0250】
治療の方法および発現の阻害
本明細書に開示のFXII RNAi剤は、本化合物の投与により恩恵を受けるであろう疾患または障害を有する対象(例、ヒトその他の哺乳動物)の治療に使用できる。幾つかの実施形態では、本明細書に開示のRNAi剤は、FXII遺伝子発現の減少及び/又は阻害の恩恵を受けるであろう対象(例、ヒト)、例えば、遺伝性血管性浮腫(HAE)、後天性血管性浮腫(AAE)、ACE阻害剤に関連する血管性浮腫、アレルギー性血管性浮腫、非ヒスタミン性血管性浮腫(INAE)、特発性血管性浮腫、血栓症、静脈血栓塞栓症(VTE)、血栓性閉塞疾患、及び/又は周術期静脈閉塞疾患予防に関連する症状を有すると診断されたか又は発症するリスクのある対象、の治療に使用できる。対象の治療は、治療及び/又は予防的治療を含んでもよい。対象は、本明細書に記載のFXII RNAi剤の1つ又は複数のいずれかの治療的有効量を投与される。対象は、ヒト、患者、またはヒト患者でありうる。対象は、成人、青年、子供、または幼児であってもよい。本明細書の医薬組成物の投与は、ヒト又は動物に対するものでありうる。
【0251】
幾つかの実施形態では、本明細書に記載のFXII RNAi剤は、は、FXII遺伝子発現の減少及び/又は阻害の恩恵を受けるであろう対象に使用される。幾つかの実施形態では、記載のFXII RNAi剤は、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する少なくとも1つの症状又は病状の治療(予防的治療を含む)に使用される。対象は、記載のRNAi剤の1つ又は複数のいずれかの治療的有効量を投与される。幾つかの実施形態では、対象は、記載のRNAi剤の1つ又は複数のいずれかの予防的有効量が投与され、それにより、少なくとも1つの症状を予防する。
【0252】
特定の実施形態では、本発明は、それを必要とする患者における、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する疾患、障害、状態s、又は病的状態sの治療のための方法を提供し、ここで、該方法は、本明細書に記載のFXII RNAi剤のいずれかを患者に投与することを含む。
【0253】
幾つかの実施形態では、FXII RNAi剤は、少なくとも部分的にFXIIの発現が介在する対象の病的状態(例えば、状態又は疾患)の治療又は管理に使用される。対象は、本明細書に記載のFXII RNAi剤又はFXII RNAi剤を含有する組成物の1つ又は複数の治療的有効量が投与される。幾つかの実施形態では、この方法は、本明細書に記載のFXII RNAi剤を含む組成物を治療対象の患者に投与することを含む。
【0254】
幾つかの実施形態では、記載のFXII RNAi剤が投与される対象における遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、FXII RNAi剤を投与される前の対象又はFXII RNAiを投与されていない対象に対し、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%超減少する。対象における遺伝子発現レベル及び/又はmRNAレベルは、対象の細胞、細胞群、及び/又は組織において減少する。
【0255】
幾つかの実施形態では、記載のFXII RNAi剤が投与された対象におけるFXIIのタンパク質レベルは、FXII RNAi剤を投与される前の対象又はFXII RNAiを投与されていない対象に対し、少なくとも約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、又は99%超減少する。対象におけるタンパク質レベルは、対象の細胞、細胞群、組織、血液及び/又は他の体液において減少する。
【0256】
FXII遺伝子発現レベル、FXII mRNAレベル、またはFXIIタンパク質レベルの減少は、当該技術分野で知られている一般的な方法により評価および定量化できる。本明細書に開示の例として、FXII遺伝子発現の阻害およびFXIIタンパク質レベルの減少を評価するための一般的に知られている方法が挙げられる。本明細書では、FXII mRNAレベル及び/又はタンパク質レベルの減少または低下を、FXIIの減少または低下、あるいはFXIIの発現の阻害または減少と総称する。
【0257】
細胞、組織、および非ヒト生物
本明細書に記載のFXII RNAi剤の少なくとも1つを含む細胞、組織、および非ヒト生物が想定される。細胞、組織、又は非ヒト生物は、RNAi剤を細胞、組織、又は非ヒト生物に送達することにより作成される。
【実施例0258】
上記で提供された実施形態及び項目は、以下の非限定的実施例により例示される。
【0259】
実施例
実施例1.FXII RNAi剤の配列の同定及びFXII RNAi剤の合成
FXIIを標的とするリード配列を同定するための選定工程を、インシリコ法で開始してFXII遺伝子のバリアント全体で保存された配列を同定した(配列番号:1)。FXII配列を、初めにヒト及び非ヒト霊長類で交差反応性がある相補的配列を有する19個のヌクレオチド配列に対するバイオインフォマティクスを使用してスクリーニングした。製造上の課題が知られている配列と、既知のパラメータに基づいてRNAi活性が低いと予測される配列を排除した。配列は、ヒト及びカニクイザルゲノムに対する非特異的効果を避けるために特異性についても評価した。19塩基長の17(17)個の配列ファミリーを、初めに有望な候補として選定した。アンチセンス鎖の位置1(5‘→3’)のヌクレオチドとセンス鎖の対応する塩基対を変更してU:A塩基対を形成することにより、追加の配列も同定した。修飾パターンを選択して、修飾されたRNAi剤のセンス鎖とアンチセンス鎖をオリゴヌクレオチド合成として当該技術分野において既知の方法を使用して固相ホスホラミダイト技術によって合成した。本明細書の表5及び表6の二本鎖を、例えば、以下の方法により合成した。
【0260】
合成
FXII RNAi剤のセンス鎖及びアンチセンス鎖を、オリゴヌクレオチド合成において使用される固相ホスホラミダイト技術によって合成した。規模に応じて、MerMade96E(登録商標)(Bioautomation)、MerMade12(登録商標)(Bioautomation)、又は同等の市販のシンセサイザーを使用した。制御された細孔ガラス(CPG、500Å又は600Å、Prime Synthesis、Aston, PA, USAから取得)から成る固体サポート上で合成を実行した。全てのRNAと2’-修飾RNAホスホラミダイトを、Thermo Fisher Scientific (Milwaukee, WI, USA)から購入した。具体的には、以下、(5’-O-ジメトキシトリチル-N6-(ベンゾイル)-2’-O-メチル-アデノシン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホラミダイト、(5’-O-ジメトキシトリチル-N4-(アセチル)-2’-O-メチル-シチジン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホラミダイト、(5’-O-ジメトキシトリチル-N2-(イソブチリル)-2’-O-メチル-グアノシン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホラミダイト、及び(5’-O-ジメトキシトリチル-2’-O-メチル-ウリジン-3’-O-(2-シアノエチル-N,N-ジイソプロピルアミノ)ホスホラミダイトの、2’-O-メチルホスホラミダイトを使用した。2’-デオキシ-2’-フルオロ-ホスホラミダイトは、2’-O-メチルRNA アミダイトと同様の保護基を保有した。以下、5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-N6-(ベンゾイル)-2’,3’-セコ-アデノシン、2’-ベンゾイル-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト、5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-N-アセチル-2’,3’-セコ-シトシン、2’-ベンゾイル-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソープロピル)]-ホスホラミダイト、5’-(4,4’-ジメトキシトリチル)-N-イソブチリル-2’,3’-セコ-グアノシン、2’-ベンゾイル-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソプロピル)]-ホスホラミダイト、及び5’-(4,4’-ジメトキシ-トリチル)-2’,3’-セコ-ウリジン、2’-ベンゾイル-3’-[(2-シアノエチル)-(N,N-ジイソ-プロピル)]-ホスホラミダイトの、UNAホスホラミダイトを使用した。
【0261】
標的化リガンド含有ホスホラミダイトを無水ジクロロメタン又は無水アセトニトリル(50mM)に溶解し、一方で他の全てのアミダイトを無水アセトニトリル(50mM)に溶解し、モレキュラーシーブ(3Å)を加えた。5-ベンジルチオ-1H-テトラゾール(BTT、アセトニトリル中250mM)又は5-エチルチオ-1H-テトラゾール(ETT、アセトニトリル中250mM)をアクチベーター溶液として使用した。結合時間は、10分(RNA)、15分(標的化リガンド)、90秒(2’OMe)、及び60秒(2’F)だった。ホスホロチオエート結合を導入するために、無水アセトニトリル中の100mMの3-フェニル1,2,4-ジチアゾリン-5-オン(POS、PolyOrg, Inc., Leominster, MA, USAから取得)溶液を利用した。
【0262】
サポートが結合したオリゴマーの開裂と脱保護
【0263】
固相合成の終了後、乾燥した固体サポートを水中の40wt%メチルアミンと28~31%の水酸化アンモニウム溶液(Aldrich)の1:1容量溶液を用いて30℃で1.5時間処理した。溶液を蒸発させて固体残渣を水中で復元した(以下参照)。
【0264】
精製
粗オリゴマーをTKSgel SuperQ-5PW 13uカラムとShimadzu LC-8システムを使用する陰イオン交換HPLCにより精製した。緩衝液Aは、20mMTris、5mMEDTA、pH 9.0であり、20%アセトニトリルを含み、緩衝液Bは、緩衝液Aと同じであるが1.5M塩化ナトリウムを添加した。260nmでのUVトレースを記録した。適切な画分をプールし、次に100mM重炭酸アンモニウム、pH6.7及び20%アセトニトリル又はろ過水のランニングバッファーを用いて、Sephadex G-25媒体を充填したGE Healthcare XK 16/40カラムを使用してサイズ排除HPLCで流した。
【0265】
アニーリング
1xPBS(リン酸緩衝化生理食塩水、1x、Corning, Cellgro)中で等モルRNA溶液(センス及びアンチセンス)を組み合わせることにより相補鎖を混合して、RNAi剤を形成した。一部のRNAi剤を凍結乾燥し、-15~-25°Cで保存した。2本鎖濃度は、1×PBS中で紫外-可視分光計で溶液の吸光度を測定することにより決定した。次に260nmでの溶液の吸光度に変換係数及び希釈率を掛けて、2本鎖濃度を決定した。特に断りのない限り、すべての変換係数は0.037mg/(mL・cm)であった。いくつかの実験では、変換係数を、実験的に決定された吸光係数から計算した。
【0266】
実施例2.RNAi剤候補のインビトロ試験
インビトロで修飾されたFXII RNAi剤構築物を試験するために、ヒトFXIIcDNA配列(受け入れ番号NM_000505.3(配列番号:1))を合成し、市販のレポーターベースのスクリーニングプラスミドpsiCHECK2(Promega, Madison, WI)にクローン化し、(これは、ウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼ/FXII融合mRNAを生成した)。ヒトのバックグランドにおけるsiRNAの有効性に関して、Huh7細胞(ヒト肝細胞癌系)を96ウェルフォーマットで約7,500細胞/ウェルで播種した。インビトロ検査のために選択されたFXIIsiRNAの各々を、1ウェル当たり25ngのFXII-psiCHECK2プラスミドDNA及び1ウェル当たり0.2μLのリポフェクタミン2000を用いて、10 nM、1 nM及び0.1 nMの3つの濃度で同時トランスフェクトした。2重ルシフェラーゼレポーターアッセイ(Promega, Madison, WI)を用いて、psiCHECK2プラスミド上にも存在する、構成的に発現されたホタルルシフェラーゼのレベルに対して標準化されたウミシイタケ(Renilla)ルシフェラーゼレベルを測定することにより、遺伝子ノックダウンを決定した。表6に記載されている候補配列二本鎖をインビトロで試験した。データを以下の表8に報告する。
【0267】
【0268】
実施例3.FXII RNAi剤送達後の野生型マウスにおけるFXIIノックダウン
皮下(SQ)注射について上述したようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される緩衝液中で合わせた。1日目に、各群の3匹のマウス(n=3)に生理食塩水又は3mg/kgのAD03632のいずれかを注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。8日目、15日目、22日目、29日目及び36日目に、血液試料を採取してFXIIタンパク質レベルを分析した。内部で開発した商業的に取得される抗体(Molecular Innovations)を利用するmF12 alphaLISA(登録商標)(Perkin Elmer)を使用して、FXIIタンパク質レベルを測定したが、このスループットは高いが、代わりに市販のmF12 ELISAキットを使用してもよい。標準化のために、それぞれの時点での各動物のFXIIレベルを、その動物における処置前の発現レベル(この場合は1日目)で割って、1日目に対して「標準化された」発現の比率を決定した。FXIIのノックダウンを
図1に報告する。
【0269】
実施例4.FXII RNAi剤送達後の野生型マウスにおける第12因子(FXII)
皮下(SQ)注射について上述したようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される緩衝液中で合わせた。1日目に、各群の4匹のマウスに(i)0.6mg/kgのAD03632、(ii)2mg/kgのAD03632又は(iii)生理食塩水のいずれかを注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。7日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、49日目、56日目及び63日目に、血液試料を採取してFXIIタンパク質レベルを分析した。内部で開発した商業的に取得される抗体(Molecular Innovations)を利用するmF12 alphaLISA(登録商標)(Perkin Elmer)を使用して、FXIIタンパク質レベルを測定したが、このスループットは高いが、代わりに市販のmF12 ELISAキットを使用してもよい。標準化のために、それぞれの時点での各動物のFXIIレベルを、その動物における処置前の発現レベル(この場合は1日目)で割って、1日目に対して「標準化された」発現の比率を決定した。FXIIのノックダウンを
図2に報告する。
【0270】
実施例5.FXII RNAi剤送達後のマウスにおける第12因子(FXII)の用量応答
皮下(SQ)注射について上述したようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される緩衝液中で合わせた。1日目に、各群の6匹のマウスに(i)0.6mg/kgのAD03632、(ii)2mg/kgのAD03632又は(iii)生理食塩水のいずれかを注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。そのマウスに、次の6週間にわたり各週に1回、1日目に投与されたのと同じ用量のAD03632又は生理食塩水のいずれかを再度注射した。次の注射の前日に(すなわち、血液試料は7日目、14日目、21日目、28日目、35日目、42日目、49日目、56日目及び63日目に採取される)血液試料を採取してFXIIタンパク質レベルを分析した。内部で開発した商業的に取得される抗体(Molecular Innovations)を利用するmF12 alphaLISA(登録商標)(Perkin Elmer)を使用して、FXIIタンパク質レベルを測定したが、このスループットは高いが、代わりに市販のmF12 ELISAキットを使用してもよい。標準化のために、それぞれの時点での各動物のFXIIレベルを、その動物における処置前の発現レベル(この場合は1日目)で割って、1日目に対して「標準化された」発現の比率を決定した。FXIIのノックダウンを
図3に報告する。
【0271】
実施例6.FXII RNAi剤送達後のラットの動静脈シャントモデルにおける第12因子(FXII)血清タンパク質レベル及び血餅の重量
皮下(SQ)注射について上述したようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される緩衝液中で合わせた。1日目に、各群の5匹のマウスに(i)生理食塩水、(ii)1日目に生理食塩水、次に7日目、8日目、又は9日目に挿管で1000U/kgのヘパリン、(iii)1mg/kgのFXII RNAi剤AD03224、又は(iv)3mg/kgのFXII RNAi剤AD03224のいずれかを注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。手術の日に(すなわち、7日目、8日目又は9日目)血液試料を採取した。標準化のために、それぞれの時点での各動物のFXIIレベルを、その動物における処置前の血清レベル(この場合は1日目)で割って、1日目に対して「標準化された」発現の比率を決定した。FXII血清タンパク質レベルを
図4に報告する。内部で開発した商業的に取得される抗体(Molecular Innovations)を利用するmF12 alphaLISA(登録商標)(Perkin Elmer)を使用して、FXIIタンパク質レベルを測定したが、このスループットは高いが、代わりに市販のmF12 ELISAキットを使用してもよい。
【0272】
さらに、これらのマウスに動静脈シャントモデルを実行して測定した。シャント実験の日に(すなわち、7日目、8日目又は9日目)、ポリウレタンチューブ(絹糸とともに)を埋め込んで頸動脈を頸静脈に接続した(カニューレ処置した)。15分後に、シャントを除去して正味の血栓の重量を測定した。血餅の重量(mg単位)を
図5に報告する。
【0273】
実施例7.カニクイザルへのNAG-結合FXII RNAi剤の投与
皮下(SQ)注射のために当該技術分野において知られるようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される緩衝液中で合わせた。1日目に、cynomolgus macaque (Macaca fascicularis)霊長類(本明細書中では「cynos」又は「サル」と呼ぶ)に3mg/kgのAD03635、AD04131、AD04157、AD04162、AD04254又はAD04443を皮下注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。各群の3人のサルをAD03635、AD04131、AD04157、AD04162、AD04254の群について試験した(n=3)。2人のサルのみをAD04443の群について試験した(n=2)。29日目に、各それぞれの群のサルの2(2)人に1.5mg/kgの1日目に投与されたのと同じそれぞれのFXII RNAi剤のその後の用量を投与した。
【0274】
処置されたカニクイザルからの血清試料を、-29日目、-7日目、及び1日目(処置前)、ならびに8日目、15日目、22日目、29日目、36日目、43日目、50日目、57日目、64日目及び78日目に採取した。示された時点で血液試料を採取して血清をFXIIタンパク質レベルについて分析した。FXIIタンパク質レベルを製造業者の推奨に従って市販のヒトF12のELISA(Molecular Innovations)を使用して測定した。血中尿素窒素(BUN)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びクレアチニンを含む、標準的臨床化学も製造業者の推奨に従って自動化学分析機器で評価した。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)も、STA Compact MAX(登録商標)(Stago)を使用して測定した。F12ノックダウンの機能的読出しは、処置前と比較した活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長により観察することができる。FXII活性アッセイを使用して試料のFXII活性も評価した。FXII活性アッセイを、aPTT法(当該技術分野において既知の標準技術)と因子欠損基質を使用して実行した。対象の血漿をFXII欠損基質(免疫吸着によりFXIIが枯渇した正常血漿)及びaPTT試薬と合わせて培養した。特定の培養時間後、カルシウムを添加して凝固プロセスをトリガーして血栓形成を測定した。次に結果を正常なヒトの結果(100%)と比較して%活性を計算した。
【0275】
それぞれの時点での各動物のFXIIタンパク質レベルをその動物における処置前の発現レベル(-29日目、-7日目及び1日目(処置前)の平均)で割って、「処置前に対して標準化された」発現の比率を決定した。さらに、FXIIタンパク質とFXII活性の両方をそれぞれの最下点(すなわち、血清を採取した日の平均最下発現レベル)での平均ノックダウンレベルを計算した。
【0276】
【0277】
【0278】
【0279】
【0280】
実施例7において試験されたFXII RNAi剤のおのおのは、cynos中で大幅なFXIIのノックダウンを示した。さらに、第2の用量のFXII RNAi剤を投与すると、cynos中でFXIIタンパク質及びFXII活性のノックダウン、ならびにaPTTの延長がさらに改善されることが示された。例えば、AD04162は、FXII遺伝子(配列番号1)の127~145位に少なくとも部分的に相補的な配列を有するアンチセンス鎖を含み、第2の用量後に、最下点でFXIIタンパク質の発現を93.5%阻害することが示された。
【0281】
実施例8.カニクイザルへのNAG-結合FXII RNAi剤の投与
皮下(SQ)注射のために当該技術分野において知られるようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される生理食塩水緩衝液中で合わせた。1日目に、cynomolgus macaque (Macaca fascicularis)霊長類(本明細書中では「cynos」又は「サル」と呼ぶ)に3mg/kgのAD04623、AD04624、AD04625、AD04626、AD04627又はAD04628を皮下注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。各群の2人のサルを、各群の1人のオスと1人のメスを試験した(n=2)。24日目に、各cynoに1日目にそれぞれの動物に投与されたのと同じそれぞれのFXII RNAi剤を3mg/kg一回皮下投与した(すなわち第2の用量)。
【0282】
処置されたカニクイザルからの血清試料を、-6日目及び1日目(処置前)、ならびに8日目、15日目、24日目、29日目、36日目及び43日目に採取した。示された時点で血液試料を採取して血清をFXIIタンパク質レベルについて分析した。FXIIタンパク質レベルを製造業者の推奨に従って市販のヒトF12のELISA(Molecular Innovations)を使用して測定した。血中尿素窒素(BUN)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びクレアチニンを含む、標準的臨床化学も製造業者の推奨に従って自動化学分析機器で評価した。FXII活性アッセイを使用して試料のFXII活性も評価した。FXII活性アッセイを、aPTT法(当該技術分野において既知の標準技術)と因子欠損基質を使用して実行した。対象の血漿をFXII欠損基質(免疫吸着によりFXIIが枯渇した正常血漿)及びaPTT試薬と合わせて培養した。特定の培養時間後、カルシウムを添加して凝固プロセスをトリガーして血栓形成を測定した。次に結果を正常なヒトの結果(100%)と比較して%活性を計算した。
【0283】
それぞれの時点での各動物のFXIIタンパク質レベルをその動物における処置前の発現レベル(-6日目及び1日目(処置前)の平均)で割って、「処置前に対して標準化された」発現の比率を決定した。さらに、FXIIタンパク質とFXII活性のそれぞれの最下点(すなわち、血清を採取した日の平均最下発現レベル)での平均ノックダウンレベルを計算した。
【表13】
【0284】
【0285】
【0286】
実施例8において投与されたFXII RNAi剤のおのおのは、cynos中で大幅なFXIIの発現の阻害を示した。例えば、AD04625は、FXII遺伝子(配列番号1)の127~145位を標的とするよう設計されたアンチセンス鎖を含み、29日目に、91.0%のFXIIタンパク質の平均標準化ノックダウンすることが示された(0.090+/-0.007)(表14の群3を参照)。
【0287】
実施例9.カニクイザルへのNAG-結合FXII RNAi剤の投与
皮下(SQ)注射のために当該技術分野において知られるようにNAG-結合FXII RNAi剤を作製して医薬的に許容される生理食塩水緩衝液中で合わせた。1日目に、cynomolgus macaque (Macaca fascicularis)霊長類(本明細書中では「cynos」又は「サル」と呼ぶ)に4.0mg/kgのAD04623、AD04625、AD04753又はAD04757を皮下注射した(修飾されたFXII RNAi剤とNAGリガンド構造については表3~5及び7を参照)。29日目に4.0 mg/kgの同じFXII RNAi剤の2回目の皮下注射を投与した。各群の2人のメスザルを試験した(n=2)。
【0288】
処置されたカニクイザルからの血清試料を、-14日目、-7日目、及び1日目 (処置前)、ならびに8日目、15日目、22日目、29日目、30日目、36日目及び43日目に採取した。示された時点で血液試料を採取して血清をFXIIタンパク質レベルについて分析した。FXIIタンパク質レベルを製造業者の推奨に従って市販のヒトF12のELISA(Molecular Innovations)を使用して測定した。血中尿素窒素(BUN)、アラニントランスアミナーゼ(ALT)、アスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ(AST)、及びクレアチニンを含む、標準的臨床化学も製造業者の推奨に従って自動化学分析機器で評価した。活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)も、STA(登録商標)-PTT Automate 5 (Stago)を使用して測定した。F12ノックダウンの機能的読出しは、処置前と比較した活性化部分トロンボプラスチン時間(aPTT)の延長により観察することができる。FXII活性アッセイを使用して試料のFXII活性も評価した。FXII活性アッセイを、aPTT法(当該技術分野において既知の標準技術)と因子欠損基質を使用して実行した。対象の血漿をFXII欠損基質(免疫吸着によりFXIIが枯渇した正常血漿)及びaPTT試薬と合わせて培養した。特定の培養時間後、カルシウムを添加して凝固プロセスをトリガーして血栓形成を測定した。次に結果を正常なヒトの結果(100%)と比較して%活性を計算した。
【0289】
それぞれの時点での各動物のFXIIタンパク質レベルをその動物における処置前の発現レベル(-6日目及び1日目(処置前)の平均)で割って、「処置前に対して標準化された」発現の比率を決定した。さらに、FXIIタンパク質とFXII活性の両方のそれぞれの最下点(すなわち、血清を採取した日の平均最下発現レベル)での平均ノックダウンレベルを計算した。
【0290】
【0291】
【0292】
【0293】
【0294】
実施例9において、FXII RNAi剤のおのおのは、大幅なFXII遺伝子のノックダウンを示した。例えば、AD04625は、RNAi剤を第1の用量と第2の用量投与した後両方でFXIIタンパク質の最大のノックダウンを示した(第1の用量後91%ノックダウン、第2の用量後94.5%のノックダウン)。AD04625も、FXII活性において最大のノックダウンを示し、ベースラインを越えるaPTTの最大の延長を示した(第1の用量後ベースラインを2.02超える、第2の用量後頂点でベースラインを2.435超える)。
【0295】
実施例10.第12因子(FXII)-SEAPマウスモデル
6~8週齢のメスのC57BL/6アルビノマウスに水力学的尾静脈注射によりプラスミドをインビボで一過的にトランスフェクトし、FXII RNAi剤又はコントロールを投与する少なくとも15日前に投与した。プラスミドは、SEAP(分泌型ヒト胎盤性アルカリホスファターゼ)レポーター遺伝子の3’UTRに挿入されたヒトFXII cDNA配列(GenBank GenBank NM_000505.3(配列番号1))を含む。動物の体重の10%の全容積で50μgのリンガー液中のFXII cDNA配列含有プラスミドを尾静脈からマウスに注射してFXII -SEAPモデルマウスを作製した。溶液を27の標準規格注射針から5~7秒前述のとおり注射した(Zhang G et al., “High levels of foreign gene expression in hepatocytes after tail vein injection of naked plasmid DNA.” Human Gene Therapy 1999 Vol. 10, p1735-1737)。FXII RNAi剤によりFXIIの発現が阻害されると、同時にSEAPの発現も阻害され、それはPhospha-Light(商標)SEAPレポーター遺伝子アッセイシステム(Invitrogen)により測定される。処置の前に、血清中のSEAP発現レベルを測定し、マウスを平均SEAPレベルに従ってグループ化した。
【0296】
分析:SEAPレベルを、FXII RNAi剤の投与の前後の両方の、様々な時間で測定し得る。
【0297】
i)血清回収:マウスに2~3%のイソフルランで麻酔をかけ、血液試料を顎下領域から血清分離チューブ(Sarstedt AG & Co., Numbrecht, Germany)に採取した。血液を環境温度で20分間凝固させた。そのチューブを8,000×gで3分間遠心分離して血清を分離し、4℃で保存した。
【0298】
ii)血清SEAPレベル:血清を回収して製造業者の指示に従ってPhospha-Light(商標)SEAPレポーター遺伝子アッセイシステム(Invitrogen)により測定した。このモデルでのFXII発現の非処置に関連する低下を説明するために、各動物の血清SEAPレベルを、生理食塩水を注射したマウスのコントロール群に対して標準化した。初めに、「処置前に対して標準化された」発現比率を決定するために、ある時点での各動物のSEAPレベルをその動物における処置前の発現レベル(処置前)で割った。次に、特定の時点での発現を、個々の動物の「処置前に対して標準化された」比率を正常生理食塩水コントロール群の全てのマウスの平均「処置前に対して標準化された」比率で割ることにより、コントロール群に対して標準化した。
【0299】
実施例11.FXII-SEAPマウスモデル中のFXII RNAi剤
上記、実施例10において記載されたFXII-SEAPマウスモデルを使用した。1日目に、各マウスに、コントロールとして使用するためにFXII RNAi剤を含まない200μlの生理食塩水又は以下の表20に従った量のFXII RNAi剤を含む200μlを一回皮下注射した。
【0300】
【0301】
FXII RNAi剤のおのおのは、表4と5に示されるように、センス鎖の5‘末端に結合したN-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドを含んだ。注射を、皮膚と筋肉の間で(すなわち、皮下注射)首と肩領域上のゆるい皮膚で実行した。各群の3(3)匹のマウスを試験した(n=3)。血清を、-3日目、8日目、15日目、22日目、及び29日目に採取してSEAP発現レベルを、上記、実施例10に記載の手順に従って測定した。実験からのデータを以下の表21に示し、平均SEAPはSEAPの標準化された平均値を反映する。
【0302】
【0303】
実施例11において試験されたFXII RNAi剤のおのおのは、SEAPマウスモデル中でコントロールと比較して大幅なFXII発現の阻害を示した。
【0304】
実施例12.FXII-SEAPマウスモデル中のFXII RNAi剤
上記、実施例10において記載されたFXII-SEAPマウスモデルを使用した。1日目に、各マウスに、コントロールとして使用するためにFXII RNAi剤を含まない200μlの生理食塩水又は以下の表22に従った1.0mg/kgのFXII RNAi剤を含む200μlを一回皮下注射した。
【0305】
【0306】
FXII RNAi剤のおのおのは、表4と5に示されるように、センス鎖の5‘末端に結合したN-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドを含んだ。注射を、皮膚と筋肉の間で(すなわち、皮下注射)首と肩領域上のゆるい皮膚で実行した。各群の3(3)匹のマウスを試験した(n=3)。血清を、-2日目、8日目、15日目、22日目、29日目、及び36日目に採取してSEAP発現レベルを、上記、実施例10に記載の手順に従って測定した。実験からのデータを以下の表23に示し、平均SEAPはSEAPの標準化された(処置前に対してのみ)平均値を反映する。
【0307】
【0308】
表23に示されるように、試験されたFXII RNAi剤のほとんどすべてが、SEAPマウスモデル中でコントロールと比較して大幅なFXII発現の阻害を示した。例えば、15日目でAD04625、AD05330及びAD05331のおのおのは処置前の発現レベルと比較して約95%のノックダウンを示した。
【0309】
実施例13.FXII-SEAPマウスモデル中のFXII RNAi剤
上記、実施例10において記載されたFXII-SEAPマウスモデルを使用した。1日目に、各マウスに、コントロールとして使用するためにFXII RNAi剤を含まない200μlの生理食塩水又は以下の表24に従った量のFXII RNAi剤を含む200μlを一回皮下注射した。
【0310】
【0311】
FXII RNAi剤のおのおのは、表3と4に示されるように、センス鎖の5‘末端に結合したN-アセチル-ガラクトサミン標的リガンドを含んだ。注射を、皮膚と筋肉の間で(すなわち、皮下注射)首と肩領域上のゆるい皮膚で実行した。各群の3(3)匹のマウスを試験した(n=3)。血清を、-3日目、8日目、15日目、22日目、及び29日目に採取してSEAP発現レベルを、上記、実施例10に記載の手順に従って測定した。実験からのデータを以下の表25に示し、平均SEAPはSEAPの標準化された平均値を反映する。
【0312】
【0313】
他の実施形態
本発明を詳細な説明と併せて説明したが、前述の説明は例示を意図したものであり、添付の特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を限定するものではない。他の態様、利点、および改変も以下に記載の特許請求の範囲内である。