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特開2023-36626トルク制限スクリュードライバ装置、システムおよび方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036626
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】トルク制限スクリュードライバ装置、システムおよび方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/88 20060101AFI20230307BHJP
   A61B 17/16 20060101ALI20230307BHJP
   B25B 23/14 20060101ALI20230307BHJP
   B25B 21/00 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
A61B17/88
A61B17/16
B25B23/14 610A
B25B23/14 610C
B25B23/14 630H
B25B21/00 H
【審査請求】有
【請求項の数】24
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194650
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2018562372の分割
【原出願日】2017-06-06
(31)【優先権主張番号】62/467,461
(32)【優先日】2017-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/405,031
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/346,984
(32)【優先日】2016-06-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/348,725
(32)【優先日】2016-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/480,179
(32)【優先日】2017-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/405,004
(32)【優先日】2016-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】509316394
【氏名又は名称】プロ-デツクス・インコーポレイテツド
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ベンジャミン・ジェイ・セクソン
(72)【発明者】
【氏名】アレクサンダー・エム・フォテナウアー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】整形外科手術に使用するためのトルク制限スクリュードライバなどのトルク制限スクリュードライバ装置、システムおよび方法を提供する。
【解決手段】スクリュードライバ100は、本体102と、スクリュードライバと係合するスクリューを回転させるように構成されたモータ12と、スクリュードライバの動作を制御するように構成されたプロセッサ22とを含むことができる。スクリュードライバは、スクリューに加えられるトルクの量を監視し、特定のトルク制限基準が満たされた際にスクリューの回転を低減または停止させることによるトルク制限機能を有することができる。スクリュードライバは、ユーザによる手動操作と、スクリュードライバ内のモータによる自動操作との間で切り替えることができる。スクリュードライバはロボットアームに取り付けることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク制限スクリュードライバであって、
ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と、
本体内に配置されたモータと、
モータによって回転され、スクリューと係合するビットを受け入れるように構成された駆動ヘッドと、
ハンドル内に配置され、モータに電力を供給するように構成されたバッテリと、
本体内に配置されたプロセッサとを備え、
トルク制限スクリュードライバは、プロセッサの制御下で、
スクリューにトルクを加え、
モータの電流値、電圧値またはトルク値を監視し、
電流値、電圧値またはトルク値から、スクリューに加えられるトルクを判定し、
トルクの変曲点が生じたと判定し、さらに、
トルクのピークに応答して、スクリューに加えられるトルクの量を制限する
ように構成される、トルク制限スクリュードライバ。
【請求項2】
トルク制限スクリュードライバが、多数の連続増加トルク値を検出し、続いて1つ以上の暫定トルク値を検出し、続いて多数の連続減少値を検出することによって、トルクの変曲点が生じたと判定するように構成されている、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項3】
トルク制限スクリュードライバが、トルクの勾配が正から負に変化することを検出することによって、トルクの変曲点が生じたと判定するように構成される、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項4】
トルク制限スクリュードライバが、トルクが閾値トルク値以上であることを検出することによって、トルクの変曲点が生じたと判定するように構成される、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項5】
請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバであって、信号をプロセッサに送信して、トルク制限スクリュードライバがトルクの変曲点が生じたと判定する動作を変更するように構成された入力装置をさらに備える、トルク制限スクリュードライバ。
【請求項6】
トルク制限スクリュードライバが、変曲点が生じてから一定の時間間隔が経過した後に、トルクの量を制限するようにさらに構成される、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項7】
トルク制限スクリュードライバが、
複数のトルク値から第1の平均値を決定し、
複数のトルク値から第2の平均値を決定し、
第1の平均値と第2の平均値とを比較し、さらに、
第1の平均値が第2の平均値よりも大きい時を決定することによって、トルクの変曲点が生じたと判定するようにさらに構成される、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項8】
請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバであって、手動モードから電動モードにスクリュードライバを切り替えるように構成されたアクチュエータをさらに備え、
モータが、手動モードでは、駆動ヘッドを回転させず、
モータが、電動モードでは、駆動ヘッドを回転させ、さらに、
トルク制限スクリュードライバのデフォルトモードが、手動モードである、トルク制限スクリュードライバ。
【請求項9】
プロセッサが、本体のハンドル内に配置される、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項10】
ハンドルが、ピストルグリップを備える、請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバ。
【請求項11】
請求項1に記載のトルク制限スクリュードライバと、スクリュードライバに取り外し可能に取り付けるように構成された延長アダプタとを備えるシステムであって、延長アダプタが、スクリュードライバの本体から少なくとも30mm離れた骨にスクリューを挿入できるように構成される、システム。
【請求項12】
脊柱の破損を阻止するようにトルク制限ドライバを制御する方法であって、トルク制限ドライバが、ハンドルを有する本体と、本体内に配置されたモータと、ドリルビットに係合するビットを受け入れ、モータによって回転されて脊柱の骨にドリルビットを打ち込むことができるように構成された駆動ヘッドと、プロセッサとを備え、方法が、プロセッサの制御下で、
脊柱の骨にドリルビットを打ち込むことと、ここで骨が、第1の皮質層、海綿質層および第2の皮質層を含み、
ドリルビットが第1の皮質層に打ち込まれている際に第1のトルク値を検出することと、
ドリルビットが海綿質層に打ち込まれている際に第2のトルク値を検出することと、
ドリルビットの先端が骨の海綿質層に進入する際に、第1のトルク値から第2のトルク値への変化を識別することと、
ドリルビットが第2の皮質層に打ち込まれている際に第3のトルク値を検出することと、
ドリルビットの先端が骨の第2の皮質層に進入する際に、第2のトルク値から第3のトルク値への変化を識別することと、さらに、
骨の第2の皮質層に進入するドリルビットの先端を識別するのに応答して、ドリルビットの骨への打ち込みを停止させ、それによって脊柱の破損を阻止することとを含む、方法。
【請求項13】
第2のトルク値から第3のトルク値への変化を識別することが、トルクの量または勾配の少なくとも25%の増加を検出することを含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
第1および第3のトルク値が、第2のトルク値よりも大きい、請求項12に記載の方法。
【請求項15】
骨にスクリューを押し込むことと、着座しているスクリュー頭部を識別することとをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項16】
着座しているスクリュー頭部を識別することが、式(t-t)/t>Yを含み、式中、Xは連続増加トルク値を含み、Yはパーセンテージ値であり、tおよびtは2つの異なる時点のトルク値を含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
スクリューを挿入するためのロボットアセンブリであって、
ロボットアームと、
ロボットアームに取り付けられたトルク制限スクリュードライバとを備え、スクリュードライバが、
ハンドルを備える本体と、
本体内に配置されたモータと、
駆動ヘッドとを備え、駆動ヘッドが、スクリューに係合するビットを受け入れ、モータによって回転されるように構成され、
スクリュードライバが、
モータの電流引き込みを監視して、スクリューに加えられるトルクを検出し、さらに、
トルク制限条件が満たされたことに応答して、スクリューに加えられるトルクの量を制限するように構成される、ロボットアセンブリ。
【請求項18】
スクリュードライバが、トルク制限条件が満たされた後に、モータを停止させるようにさらに構成される、請求項17に記載のロボットアセンブリ。
【請求項19】
トルク制限条件が、スクリュードライバがスクリューに加えられるトルクの変曲点を検出することを含む、請求項17に記載のロボットアセンブリ。
【請求項20】
変曲点を検出することが、多数の連続増加トルク値を検出し、続いて1つ以上の暫定トルク値の数を検出し、続いて多数の連続減少値を検出することを含む、請求項19に記載のロボットアセンブリ。
【請求項21】
変曲点を検出することが、トルクが閾値トルク値以上であることを検出することを含む、請求項19に記載のロボットアセンブリ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2016年6月10日に出願された米国特許出願番号第62/348,725号明細書、2016年10月6日に出願された米国特許出願番号第62/405,031号明細書、2016年6月7日に出願された米国特許出願番号第62/346,984号明細書、2016年10月6日に出願された米国特許出願番号第62/405,004号明細書、2017年3月6日に出願された米国特許出願番号第62/467,461号明細書および2017年3月31日に出願された米国特許出願番号第62/480,179号明細書の利益を主張する。前述の各出願の全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
分野
本開示は、一般に、整形外科手術に使用するためのトルク制限スクリュードライバなどのトルク制限スクリュードライバ装置、システムおよび方法に関する。
【0003】
特定の関連技術
ある種の外科処置は、骨に1つ以上のスクリューを挿入して、プレートなどの構造を保持することを含む。挿入の間、スクリューは骨に挿通され、骨に貫入する。回転が継続すると、スクリューは、プレートに接触するスクリューの頭部などによって、プレート上に着座する。さらにスクリューが回転すると、スクリューがプレートおよび/または次いで骨に固定される。スクリューを回転させすぎると、骨内でねじ山が崩れ、スクリューとプレートとの固定が低減することがある。
【発明の概要】
【0004】
骨内の外科用スクリューのねじ山崩れを避けるか、少なくとも阻止することは有益であり得る。これは、スクリューに加えられるトルクを監視し、特定のトルク基準が満たされた際にスクリューの回転を停止または低減するスクリュードライバによって達成することができる。例えば、基準には、加えられるトルクの量、トルクが時間とともにどのように変化するか(例えば、トルクが一定してまたは一定せず増大または低下するかどうか)、および閾値が満たされたかどうかを含めることができる。閾値は、比較的硬い骨の局所的な領域などによって引き起こされるトルクの一時的な急上昇など、検出されたトルクが、スクリューがプレートまたは他の何かに固定されていることを示しているかどうかを判定するのに助けとなり得る。
【0005】
さらに、特定の条件が満たされた後にスクリューの回転速度を低下させることが有益であり得る。これにより、スクリューおよび/またはスクリュードライバの構成要素の角運動量を低減することができるため、スクリューの能動的な駆動が停止した後であっても、骨内でのねじ山崩れの可能性を増大させ得るそのような運動量によって引き起こされる意図しない回転の可能性を低減することができる。さらに、スクリューの回転速度を低下させると、スクリューの1回転あたりに生じる検出動作に利用可能な時間の長さを延ばすことができる。これにより、スクリューの回転位置および/またはスクリューに加えられるトルクをさらに正確かつ精密に監視することが容易になり得る。
【0006】
さらに、軽量化され、および/またはユーザにとって改善された「感覚」を有するスクリュー駆動ツールを提供することは有益であり得る。骨にスクリューを挿入するには、大きなトルクを要することがある。このようなトルクの必要性のために、ある種の従来の電動スクリュー駆動ツールは、一般に非常に重く(多くの場合3.5lbsを超える)、および/またはユーザ(例えば、外科医)が、特定の処置中、例えば脊椎に対する特定の処置中などに、それらを使用してスクリューを挿入するのに快適であるのに十分な「感覚」を欠くことがある。いくつかの指標には、従来の技術を使用した際に誤って配置された脊椎椎弓根スクリューが平均約20%であることが挙げられる。最大25%の患者に「リスクに曝されている」スクリュー(血管、胸膜、食道、横隔膜、気管などに隣接するスクリュー)が見られることも多少示される。
【0007】
上述した懸念のうち1つ以上、または他の懸念に対処する様々なスクリュードライバならびに関連するシステムおよび方法が開示される。スクリュードライバは、本体とモータとを含むことができる。モータが駆動ヘッドを回転させることができるように、モータは、動作可能にスクリュードライバの遠位端の駆動ヘッドに接続することができる。駆動ヘッドは、対応する形状を有するヘッドを有するスクリューと連動することができるビット(例えば、クロスヘッドビット、フラットヘッドビット、スタービット(例えば、Torx)、ソケットビットなど)を受け入れることができる。いくつかの実施形態では、ビットはドリルビットを備える。スクリューおよび/またはドリルビットは、基板(例えば、骨)上の所望の挿入位置に配置することができ、モータは、基板内にスクリューを押し込み、および/または基板内にドリルビットを打ち込むように動作させることができる。スクリュードライバの様々な実施形態は、スクリューおよび/またはビットに加えられるトルクを制限および/または制御することができる。特定の実施形態は、挿入プロセス中にスクリューおよび/またはビットの速度を低下させる。様々な実施形態は、上述した利点のうち1つ以上を提供するか、それらのどれも提供しない。
【0008】
スクリュードライバ、システムおよび方法の実施形態は、再建手術、頭蓋顎顔面手術、胸郭手術、脊椎手術、骨折修復手術および四肢手術などの多くの異なる処置に使用することができ、脊椎固定セットスクリュー、脊椎椎弓根スクリュー、四肢固定スクリューおよび頭蓋顔面モジュラー式固定(CMF)スクリューなどの様々なスクリューを組み込むことができる。実施形態を使用して、堅いスクリュープレート構築物を作製し、スクリューが後退して抜けるリスクを軽減することができる。これは、CMFプレートに使用するのに有利であり得る。さらに、再建プロセスでは、(関節炎に罹患している患者などに対する)関節置換のために実施形態を使用することができ、再建整形外科では、関節を置換することによって関節の機能を復元することができる。これには膝関節、股関節および肩甲関節手術が含まれ得るが、他の手術も同様に使用することができる。大腿骨のような大きな骨などの外傷を有する骨に関しては、骨折修復を用いることができる。さらに、足首、手首、手、指、足およびつま先などの関節を含み得る四肢を再建することができる。決定されるトルク値の各々は、上述したような特定の用途に応じて変化し得る。整形外科領域および整形外領域外で実施形態を使用することができる。
【0009】
いくつかの実施形態は、トルク特性の差を識別するように構成される。例えば、スクリュードライバを使用して、皮膚、血管系(例えば、流体)および器官への通過を区別することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、ユーザがどこを手術しているかわかるように、異なる身体組織を区別することができる。特定の実施形態では、スクリュードライバは、ドリルビットおよび/またはスクリューなどによる脊柱の破損を低減または回避するように構成される。
【0010】
いくつかの実施形態では、電動装置(スクリュードライバなど)は電流および電圧を読み取ることができ、コントローラ(装置内部または装置外部のいずれか)はトルク制限機能を実行するように構成することができる。いくつかの実施形態では、装置は、電流値、電圧値および/またはトルク値を使用して、スクリュー先端の基板を識別し、それに応じて駆動速度を管理するようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、装置は、電流値、電圧値および/またはトルク値を使用して、高密度または低密度の材料など、スクリュー経路の変化を識別するようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、装置は、電流値、電圧値および/またはトルク値を使用して、スクリューの貫入深さを測定するようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、装置は、離散的な電流値、電圧値および/またはトルク値を使用して、皮質および海綿骨を識別することができ、その値を使用して、スクリュー先端の現在の基板を読み取り、それに応じて電動装置を制御する(例えば、密度の高い組織の種類が検出されると、停止させる)ことができる。
【0011】
本明細書では、外科用トルク制限スクリュードライバによってスクリューを回転させることと、それにより骨内にスクリューを押し込むことと、前記回転中に複数のトルク値を測定することと、少なくとも部分的に前記測定に基づいて、前記回転を表すトルク曲線の変曲点に達したか超過した時を判定することと、前記変曲点に達したか超過したと判定したことに応答して、トルク制限機能を起動することとを含む外科用トルク制限スクリュードライバの制御方法の実施形態を開示する。
【0012】
いくつかの実施形態では、前記判定は、複数のトルク値のうちの1つが閾値以上である時を判定することを含む。いくつかの実施形態では、前記起動は、複数のトルク値のうちの1つが測定された時間から一定の時間間隔が経過した後に、トルク制限機能を起動することを含む。
【0013】
いくつかの実施形態では、方法は、複数のトルク値から第1の平均値を決定することと、複数のトルク値から第2の平均値を決定することと、第1の平均値と第2の平均値とを比較することとを含み、前記回転を表すトルク曲線の変曲点に達したか超過した時を決定することは、第1の平均値が第2の平均値よりも大きい時を決定することを含む。
【0014】
いくつかの実施形態では、前記決定は、複数のトルク値から得られたトルク値が、複数のトルク値のうちの初期のトルク値よりも小さい時を決定することを含む。いくつかの実施形態では、前記決定は、複数のトルク値から得られた第1のトルク値が、複数のトルク値から得られたN個の後続のトルク値よりも大きい時を決定することを含む。いくつかの実施形態では、Nは2から10の値の範囲にある。
【0015】
いくつかの実施形態では、方法は、トルクの低下を測定することと、トルクの前記低下が閾値低下値以上である場合に、トルクの前記低下からパーセンテージ低下を計算することとをさらに含むことができ、前記回転を表すトルク曲線の変曲点に達したか超過した時を判定することは、前記パーセンテージ低下がパーセンテージ閾値以下である時を判定することを含む。いくつかの実施形態では、パーセンテージ閾値は、約5%から約15%の範囲にある。
【0016】
いくつかの実施形態では、方法は、前記スクリューを予めマッピングして1つ以上の挿入測定値を決定することと、請求項1から9の1つ以上の前記決定された値と前記挿入測定値のうち1つ以上とを比較することとをさらに含むことができる。
【0017】
本明細書では、ハンドルを備える本体と、本体内に配置されたモータと、スクリュードライバの遠位端に配置された駆動ヘッドとを備えるトルク制限スクリュードライバであって、ここで駆動ヘッドは、スクリューに係合するビットを受け入れ、モータによって回転されスクリュードライバが骨内にスクリューを押し込むことを可能にするように構成され、さらに、ハンドル内に配置されたバッテリと、ハンドル内に配置された電子回路基板とを備えるトルク制限スクリュードライバの実施形態が開示され、スクリュードライバは、モータの電流引き込みを監視して、スクリューに加えられるトルクを検出し、トルク制限条件が満たされたことに応答して、スクリューに加えられるトルクの量を制限するように構成される。
【0018】
本明細書では、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバの実施形態が開示され、スクリュードライバは、ユーザによって保持されるように構成されたハンドルと、ハンドル内に少なくとも部分的に配置されたモータと、スクリュードライバの遠位端に配置され、モータと連絡し、回転するように構成された駆動ヘッドと、スクリュードライバを手動モードから電動モードに切り替えるように構成されたアクチュエータとを備え、手動モードでは、ハンドルのユーザによる手動回転運動のみが駆動ヘッドを回転させるために使用され、電動モードでは、モータが駆動ヘッドを回転させるために使用され、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバのデフォルトモードは手動モードである。
【0019】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、アクチュエータが作動されている間、電動モードのみを維持する。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、ボタンまたはスイッチである。
【0020】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバは、スクリュードライバを穿孔モードからスクリューモードに切り替えるように構成されたモードアクチュエータをさらに備えることができ、モータは、穿孔モードとスクリューモードとでは異なる速度で動作する。いくつかの実施形態では、穿孔モードにある場合、デフォルトモードは電動モードである。
【0021】
いくつかの実施形態では、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバは、スクリュードライバをオンおよびオフにして、電動モードにある場合、スクリュードライバに回転方向を提供し、電動モードにある場合、駆動ヘッドに回転速度を提供するように構成された複数のボタンをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバは、電動モードにある場合、特定のトルクが達成された際にモータを停止させるように構成されたトルクリミッタをさらに備えることができる。いくつかの実施形態では、駆動ヘッドは、駆動ヘッドと接触するスクリューの種類を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバは、一体型バッテリパックをさらに備えることができる。
【0022】
ハンドルは様々な形態を取ることができる。例えば、いくつかの実施形態では、ハンドルは、ピストルグリップ、J-フックグリップ、閉環状グリップ、ボールハンドルグリップ、t-ハンドルグリップなどを備える。いくつかの実施形態では、アクチュエータは、手動モードと電動モードとを切り替えるためのラチェット機構を作動させる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、スクリュードライバがスクリューを駆動している際に、スクリューが押し込まれている組織の種類の変化を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、測定されたトルク値、電圧値または電流値に基づいて、組織の種類の変化を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、駆動ヘッドは、トルクの急激な増大または低下に応じて自動的にオフになるように構成される。
【0023】
本明細書ではまた、患者の骨にスクリューを挿入するためのシステムの実施形態が開示され、システムは、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバを備え、スクリュードライバは、ユーザによって保持されるように構成されたハンドルと、ハンドル内に少なくとも部分的に配置されたモータと、スクリュードライバの遠位端に配置され、モータと連絡し、回転するように構成された駆動ヘッドと、ハンドルのユーザによる手動回転運動のみが駆動ヘッドを回転させるために使用される手動モードから、モータが駆動ヘッドを回転させるために使用される電動モードにスクリュードライバを切り替えるように構成されたアクチュエータとを備え、ハイブリッド整形外科用スクリュードライバのデフォルトモードは手動モードであり、スクリューは、手動モードがいつ使用されるべきかを示すために、スクリューの遠位先端の近くの遠位マーキングと、電動モードがいつ使用されるべきかを示すために、遠位マーキングに近接した近位マーキングとを有する。
【0024】
いくつかの実施形態では、駆動ヘッドは、スクリューが駆動ヘッドに挿入された際にスクリューの種類を読み取るように構成される。いくつかの実施形態では、遠位マーキングおよび近位マーキングは異なる色である。
【0025】
本明細書では、ハイブリッドスクリュードライバの実施形態が開示され、ハイブリッドスクリュードライバは、ユーザによって保持されるように構成されたハンドルと、ハンドル内に少なくとも部分的に配置されたモータと、スクリュードライバの遠位端に配置され、モータと連絡し、回転するように構成された駆動ヘッドとを含み、駆動ヘッドは、手動操作または電動操作で動作するように構成され、ハイブリッドスクリュードライバは、駆動ヘッドのトルクを解析してユーザにフィードバックを提供するように構成される。
【0026】
いくつかの実施形態では、フィードバックはモータをオフにする。いくつかの実施形態では、フィードバックは、ユーザに対する視覚的または聴覚的合図である。いくつかの実施形態では、トルクは、トルクプロファイルの一次微分または二次微分である。いくつかの実施形態では、ハイブリッドスクリュードライバは、ユーザに対して、駆動ヘッドが動作している組織に関する情報を提供するように構成される。いくつかの実施形態では、情報とは組織の種類である。
【0027】
本明細書では、ユーザによって保持されるように構成されたハンドルと、モータと、スクリュードライバの遠位端に配置され、モータと連絡し、回転するように構成された駆動ヘッドとを備える電動装置の実施形態が開示され、電動装置は、駆動ヘッドの動作に使用される電流および/または電圧を測定するように構成され、電動装置は、第1の組織の種類と第2の組織の種類とを区別し、トルク制限機能を実行するように構成される。
【0028】
本明細書では、ハンドルと、モータと、モータを動作させるトルク、電圧および/または電流測定値を示す入力を受信するように構成されたコントローラとを備える電動装置の実施形態が開示され、コントローラは、測定値を使用して、モータの動作速度および/または機能を調整する。いくつかの実施形態では、測定値は、トルク、電圧および/または電流の変化を含む。
【0029】
本明細書ではまた、電流および電圧を読み取ることができるセンサと、トルク制限機能を実行するように構成されたコントローラとを備える電動装置の実施形態が開示される。いくつかの実施形態では、装置は、電流値、電圧値およびトルク値を使用して、スクリュー先端の基板を識別し、それに応じて駆動速度を管理するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、電流値、電圧値およびトルク値を使用して、高密度または低密度の材料など、スクリュー経路の変化を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、電流値、電圧値およびトルク値を使用して、スクリューの貫入深さを測定するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、離散的な電流値、電圧値またはトルク値を使用して皮質および海綿骨を識別し、その値を使用して、スクリュー先端が押し込まれている基板の種類を識別し、基板の種類の変化に応じて作動するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、スクリュー先端またはスクリュー本体が皮質骨に衝突した時を検出し、それに応答して、モータに駆動を停止するように信号を送るように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、離散的な電流値、電圧値またはトルク値を使用して、様々な密度を有する材料間の移行域を識別するように構成される。
【0030】
いくつかの実施形態では、装置は、コントローラに予めプログラムされた予測される電流、電圧またはトルクのフィードバックに基づいて、材料の種類を識別し、特徴付けるように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、電流、電圧またはトルクの読み取り値に基づいて、スクリューが最初に駆動を開始した時を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、電流、電圧またはトルクの読み取り値に基づいて、スクリューが着座している時を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、コントローラのプログラミングに基づいて、着座するスクリュー、高密度または低密度の基板に衝突するスクリュー、またはその駆動を開始するスクリューを区別するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、電流および電圧の読み取り値ならびにコントローラにプログラムされた情報に基づいて、スクリュー先端が現在貫入している基板を識別するように構成される。いくつかの実施形態では、装置は、スクリューが予めプログラムされた予測値で駆動している間に、電圧、電流またはトルクの読み取り値を比較して、スクリューが現在入っている材料の種類を識別するように構成される。
【0031】
本明細書では、スクリューを駆動するように構成された駆動ヘッドと、駆動ヘッドを駆動するように構成されたモータと、モータの動作を制御するように構成されたコントローラとを備える電動スクリュードライバの実施形態が開示され、コントローラは、複数の異なる時点に得られたトルク測定値に基づいて、スクリューが海綿骨に着座しているか皮質骨に衝突しているかを判定するように構成され、コントローラは、スクリューが皮質骨に衝突しているとの判定に応答して、駆動ヘッドのモータによる駆動を停止させ、スクリュードライバは、スクリューが海綿骨に着座しているとの判定に応答して、トルク制限基準が満たされるまでスクリューを駆動し続ける。
【0032】
いくつかの実施形態では、海綿骨に着座しているスクリューのトルク測定値は、一般に非線形である。いくつかの実施形態では、皮質骨に衝突しているスクリューのトルク測定値は、一般に線形である。いくつかの実施形態では、スクリューが海綿骨に着座しているか、皮質骨に衝突しているかの判定は、式(t-t)/t>Yを用いて判定され、式中、Xは連続増加トルク値を含み、Yはパーセンテージ値であり、tおよびtは2つの異なる時点のトルク値を含む。いくつかの実施形態では、電動スクリュードライバは、深さゲージをさらに備えることができる。
【0033】
本明細書では、ハイブリッドスクリュードライバシステムの実施形態が開示され、ハイブリッドスクリュードライバシステムは、ロボットアームに取り付けられるように構成されたハンドルと、ハンドル内に少なくとも部分的に配置されたモータと、スクリュードライバの遠位端に配置され、モータと連絡し、回転するように構成された駆動ヘッドとを備え、駆動ヘッドは、手動操作または電動操作で動作するように構成され、ハイブリッドスクリュードライバは、駆動ヘッドのトルクを解析してロボットアームにフィードバックを提供するように構成される。
【0034】
いくつかの実施形態では、ハンドルは、ロボットアームに取り外し可能に取り付けられる。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、ユーザ入力なしにハイブリッドスクリュードライバを移動させるように構成される。いくつかの実施形態では、ロボットアームは、ハイブリッドスクリュードライバが指定されたトルク閾値に達した後に動作を停止させるように構成される。
【0035】
本明細書では、ハイブリッドスクリュードライバシステムの実施形態が開示され、ハイブリッドスクリュードライバシステムは、ロボットアームと、モータと、ロボットアームに接続され、モータと連絡し、回転するように構成された駆動ヘッドとを備え、駆動ヘッドは、手動操作または電動操作で動作するように構成され、ロボットアームは、駆動ヘッドのトルクを解析するように構成される。
【0036】
上に開示された、または本明細書の他の場所に開示された構造、材料、工程または他の特徴のいずれも、本開示の任意の実施形態で使用することができる。任意の実施形態の任意の構造、材料、工程または他の特徴は、任意の他の実施形態の任意の構造、材料、工程または他の特徴と組み合わせて、本開示の一部であるさらなる実施形態を形成することができる。
【0037】
上述の要約は、本開示の範囲内の特定の特徴の高水準の要約を意味するものである。要約、以下の詳細な説明、および関連する図面は、保護の範囲を限定または定義するものではない。保護の範囲は、請求項によって定義される。特徴は必須でも不可欠でもない。
【0038】
本開示の特定の特徴が、図面を参照して以下に説明される。例示された実施形態は、説明することを意図しているが、実施形態を限定するものではない。開示された異なる実施形態の様々な特徴を組み合わせて、本開示の一部であるさらなる実施形態を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0039】
図1】スクリュードライバの例示的な実施形態を概略的に示す。
図2A図1のスクリュードライバの斜視図を示す。
図2B図1のスクリュードライバとともに使用することができるアタッチメントを示す。
図3】スクリュードライバの実施形態のためのハンドル形状の例示的な端面図を示す。
図4】バッテリなどの電源を含むハンドルを有する本体を備えるスクリュードライバの例を示す。
図5】バッテリなどの電源を含むハンドルを有する本体を備えるスクリュードライバの例を示す。
図6】バッテリなどの電源を含むハンドルを有する本体を備えるスクリュードライバの例を示す。
図7】バッテリなどの電源を含むハンドルを有する本体を備えるスクリュードライバの例を示す。
図8A】骨にスクリューを挿入するプロセスの様々な段階を概略的に示す。
図8B】骨にスクリューを挿入する間の時間または回転数の関数としてのトルクの例示的なプロットを示す。
図8C図8Aの段階と図8Bのプロットとの関係を示す。
図9】骨密度の関数としての3mm、4mmおよび5mmのスクリューの種類に関する例示的なトルクのプロットを示す。
図10】比較トルク領域を有するトルクプロットを示す。
図11】閾値および減速点を有するトルクプロットを示す。
図12】スクリュー駆動動作中のトルクを監視および制御するプロセスを示す。
図13】公差域を有するトルクプロットを示す。
図14】例示的なトルク頂点の拡大図を示す。
図15A】変曲点を有するトルクプロットと、トルク制限命令を発する方法とを示す。
図15B】変曲点を有するトルクプロットと、トルク制限命令を発する方法とを示す。
図15C】変曲点を有するトルクプロットと、トルク制限命令を発する方法とを示す。
図15D】変曲点を有するトルクプロットと、トルク制限命令を発する方法とを示す。
図15E】変曲点を有するトルクプロットと、トルク制限命令を発する方法とを示す。
図16】スクリュードライバの実施形態とともに使用することができるスクリューの実施形態の側面図を示し、スクリューは、手動域および電動域を有する。
図17】トルク曲線に対する3つの例示的な挿入測定値を示す。
図18】頭部およびねじ部を有する特定のスクリューを示し、頭部およびねじ部の色の例を示している。
図19】セットスクリューを有する椎弓根スクリューの2つの例を示す。
図20】脊椎固定システムの実施形態を示す。
図21】スマートロック(smart locking)スクリューの実施形態を示す。
図22】スマートロック(smart locking)スクリューの実施形態を示す。
図23】スマートロック(smart locking)スクリューの実施形態を示す。
図24A】適切に配置された2つの腰椎椎弓根スクリューを示す。
図24B】適切に配置された腰椎椎弓根スクリューおよび誤って配置された腰椎椎弓根スクリューを示す。
図25】患者の脊柱の一部に対するスクリュー移動経路を示す。
図26】椎弓根スクリューを適切に挿入するための経路を示す。
図27】前方破損の例のX線画像を示す。
図28】側方破損の例のX線画像を示す。
図29】異なる組織内に押し込まれるスクリューを概略的に示しており、これは、組織区別の目的に使用することができる。
図30】異なる組織内に押し込まれるスクリューを概略的に示しており、これは、組織区別の目的に使用することができる。
図31】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図32】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図33】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図34】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図35】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図36】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図37】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図38】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図39】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図40】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図41】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図42】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図43】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図44】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図45】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図46】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図47】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図48】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図49】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図50】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図51】1つ以上の骨模擬材料に挿入されるスクリューの様々なトルク曲線と、スクリュードライバの操作実施形態に使用され得る曲線の特定の特徴とを示す。
図52】皮質骨および/または脊柱をかすめた椎弓根スクリューを示す。
図53】適切に配置された椎弓根スクリューを示す。
図54A】硬い骨(54A)に遭遇しているスクリューおよび軟らかい骨(54B)に着座しているスクリューの例示的なトルク曲線の開始部分を示し、Y軸(トルク)は示されていない。
図54B】硬い骨(54A)に遭遇しているスクリューおよび軟らかい骨(54B)に着座しているスクリューの例示的なトルク曲線の開始部分を示し、Y軸(トルク)は示されていない。
図55】模擬椎骨を用いた試験穿孔動作中のトルク曲線を示す。
図56】適切に位置合わせされた穿孔動作中のトルク曲線を示す。
図57】位置ずれした穿孔動作中のトルク曲線を示す。
図58】破損が生じることなく椎骨内に押し込まれた複数のスクリューのトルク曲線を示す。
図59】スクリュードライバの実施形態に使用する深さゲージの実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0040】
開示された技術の様々な特徴および利点は、図面に示されたいくつかの特定の実施形態の以下の説明から、さらに十分に明らかになるであろう。これらの実施形態は、本開示の原理を説明することを意図したものである。しかしながら、本開示は、例示された実施形態のみに限定されるべきではない。例示された実施形態の特徴は、本明細書に開示された原理を考慮して当業者には明らかであるように、修正、組合せ、削除および/または置換することができる。
【0041】
スクリュードライバの概要
トルク制限装置(例えば、スクリュードライバ)、システムおよび方法の様々な実施形態が開示される。提示の目的のために、装置は「スクリュードライバ」と呼ばれるが、様々な実施形態がスクリュー以外の品物とともに使用するように構成されている。例えば、いくつかの実施形態は、ドリルビットを駆動して、例えば、ドリルビットを骨に押し込むように構成されている。以下にさらに詳細に説明するように、装置、システムおよび方法は、骨内でスクリューのねじ山を崩したり、誤った位置に挿入したりすることを避けるために、様々な種類の骨内にスクリューを押し込むのを停止する時を判定することができる。いくつかの実施形態は、電動外科用スクリュードライバの特定の利点ならびに手動スクリュードライバの特定の利点を提供することができる。手動設定を有することにより、本明細書で開示されているスクリュードライバは、外科医が快適に感じ、動作を制御することができるように、外科医に向上した感覚を提供することができる。いくつかの実施形態では、手動モードは、外科医がスクリューを配置する(例えば、始動させる)のを助け、ひいては、スクリューの誤配置を減らし、患者の健康状態を改善し、リスクを最小化することができる。スクリューをさらに挿入するための電動モードを有することにより、外科医の腕の疲労に加えて、肉体労働の減少が生じ得ることから、全体の手術時間を短縮することができる。
【0042】
いくつかの実施形態では、トルク制限スクリュードライバは、電動設定および手動設定などの複数の設定で使用するように構成することができ、したがって、「ハイブリッド」スクリュードライバとみなすことができる。スクリュードライバは、ユーザが設定を簡単かつ便利に切り替えることができるように構成することができる。特定の実施形態は、脊椎骨へのスクリューの挿入などの整形外科手術処置に特に有用であり得る。スクリュードライバは、他の外科的目的のためにも使用することができ、特定の目的は、本開示を限定するものではない。
【0043】
開示されたスクリュードライバの特定の実施形態は、例えば、面上フォームファクタ(on-plane form factor)を用いた電動外科用装置、脊椎適用のための面上フォームファクタを用いた電動外科用装置、四肢のための面上フォームファクタを用いた電動外科用装置および/または大きな骨のための面上フォームファクタを用いた電動外科用装置として使用することができる。スクリュードライバは他の処置にも使用することができ、特定の処置に限定するものではない。いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、例えばロボットの使用によって、遠隔操作され得る。
【0044】
図1に示すように、トルク制限スクリュードライバ100は、モータ12を支持する本体102(ハウジング、ハンドルまたは筐体とも呼ばれる)を含む。モータ12が駆動ヘッド104を回転させることができるように、伝達アセンブリ14(例えば、1つ以上のシャフト、歯車など)が、スクリュードライバ100の遠位端で駆動ヘッド104にモータ12を動作可能に接続する。駆動ヘッド104は、クロスヘッドビット、フラットヘッドビット、スタービット(例えば、Torx)、ソケットビット(例えば、ヘックス)などのビットを受け入れることができる。ビットは、ひいては、対応する形状の頭部を有する整形外科用スクリューなどのスクリューと適合することができる。したがって、スクリューは、基板(例えば、骨)上の所望の挿入位置に配置することができ、モータ12は、基板内にスクリューを押し込むように操作することができる。
【0045】
いくつかの変形例では、モータ12には、ACまたはDC電力源などの電源によって電力が供給される。いくつかの実施形態では、モータ12には、バッテリ、キャパシタなどのオンボード電源によって電力が供給される。いくつかの実施形態では、モータ12は、コンソール、コンセントまたは他の外部電源などの外部源から電力を受け取るように構成される。いくつかの実施形態では、モータ12はブラシレスDCモータである。いくつかの実施形態では、モータ12は三相電気モータである。モータ12は、コントローラ20に信号を送ってコントローラ20にモータ12の回転数を判定させることができる1つ以上のホールセンサを含むことができる。特定の変形例では、コントローラ20は、モータ12の回転数からスクリューの回転数を判定する。
【0046】
スクリュードライバ100は、挿入プロセス中にスクリュードライバ100がスクリューに加えるトルクを監視および/または制限することができる。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、スクリュードライバ100は、モータ12に供給される電流を検出するセンサ18を含むことができる。センサ18は、このようなデータをコントローラ20に送信することができ、コントローラ20は、他の電子部品に加えて、メモリ24と結合されたプロセッサ22を含むことができる。いくつかの実施形態では、モータ12に供給される電流はスクリューに加えられるトルクに比例し得るため、コントローラ20は、スクリューに加えられるトルク量を動的に判定することができる。特定の変形例では、コントローラ20は、モータ12に供給される電流、スクリューおよび/またはモータの回転数、(例えば骨内への)スクリューの移動距離、モータ12の速度などのデータ特徴のうち1つ以上を示す信号を判定または受信するように構成される。
【0047】
以下にさらに詳細に説明するように、スクリュードライバ100の様々な実施形態は、スクリューに加えられるトルクを制限および/または制御するように適合されたアルゴリズムを含むことができる。これにより、異なるスクリューサイズおよび異なる骨密度でスクリュードライバ100を使用することが可能になる。アルゴリズムは、コンピュータ可読の非一時的媒体上に実装されるプログラムコード26としてメモリ24に含めることができる。プロセッサ22は、トルク制限を判定すること、動作を停止するようにモータに指示すること、モータ12への電力の供給を低減および/または停止するように電源28に指示すること、または他の動作などの様々な動作を行うようにプログラムコード26を実行することができる。プロセッサ22および/またはプログラムコード26は、トルク制限機能のいずれかなど、本開示に説明された機能のうちのいずれかを制御および/または実行することができる。いくつかの実施形態は、モータ12への電力を(例えば、実質的にまたは完全に)遮断することによって、スクリューの回転を停止させるように構成される。特定の実施形態は、モータまたは構成要素を能動的に減速させるブレーキを含む。例えば、いくつかの実施形態は、摩擦ブレーキまたは電磁ブレーキを含む。
【0048】
様々な実施形態では、スクリュードライバ100は、1つ以上のコンピュータまたはコンピューティング装置を含むことができ、1つ以上のコンピュータまたはコンピューティング装置は、1つ以上の非一時的コンピュータ記憶装置(例えば、ハードディスクドライブ、ソリッドステートメモリ装置など)に記憶されたプログラムモジュールの制御下で、本明細書に説明された様々な機能を実行する。そのようなコンピュータまたはコンピューティング装置の各々は、通常、ハードウェアプロセッサおよびメモリを含む。スクリュードライバ100が複数のコンピューティング装置を含む場合、これらの装置は、同一位置にあってよいが、必ずしもそうである必要はない。場合によっては、スクリュードライバ100は、動的に割り当てられ得るクラウドベースまたは共有コンピューティングリソースによって制御されてもよい。本明細書に説明されるプロセスおよびアルゴリズムは、特定用途向け集積回路およびプログラマブルゲートアレイ装置などの特定用途向け回路において部分的または全体的に実行されてもよい。開示されたプロセスおよびプロセス工程の結果は、例えば、揮発性または不揮発性記憶装置などの任意の種類の非一時的コンピュータ記憶装置に、永続的にまたは他の方法で記憶されてもよい。
【0049】
図2Aは、スクリュードライバ100をさらに示す。示されるように、スクリュードライバ100の本体102は、ボタン、スイッチなどの入力装置106を含むことができる。入力装置106を介して、ユーザは、コントローラ20などのスクリュードライバ100の動作の態様を制御することができる。例えば、ユーザは、回転方向(例えば、順方向または逆方向)、速度および/または他の点に関してスクリュードライバ100に指示することができる。入力装置106は、スクリュードライバ100の電源をオンまたはオフにするか、スクリュードライバ100をスタンバイモードに維持してもよい。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、可変速オプションならびに順方向および逆方向機能を有してもよい。
【0050】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100に、例えばスクリュードライバ100のコレットに、取り外し可能に異なるアタッチメントを取り付けることができる。アタッチメント110の一例を図2Bに示す。アタッチメント110は、ユーザが到達するのが困難な領域に接近できるようにし、例えば、示されるように、アタッチメントは、約40°、約50°、約60°、約70°、約80°、約90°、約100°、約110°、約120°または他の値のオフセットを含むことができる。アタッチメント110は、スクリュードライバ100の回転面を変更することができる。さらに、アタッチメント110は、追加の到達位置のための延長部であってよい。スクリュードライバ100のコレットを接続するか、取り外すなどして、アタッチメント110をスクリュードライバ100に選択的に接続し、および/またはスクリュードライバ100から取り外すことができる。図示されるように、アタッチメント110は、薄型および/または細長い構成を備えることができ、活動の範囲を広げることができる。これは、前部肋骨に接近するための後部からの治療法(posterior approach)を含む特定の胸部処置など、特定の種類の処置に有益であり得る。いくつかの実施形態では、アタッチメント110は、第1の端部111および第2の端部112を有する延長アダプタを備える。第1の端部111は、スクリュードライバ100の駆動ヘッド104と嵌合するように構成することができる。第2の端部112は、ドリルビットを含むことができ、および/またはドリルビットと嵌合するように構成することができ、および/またはスクリューと嵌合するように構成することができる。アタッチメント110は、スクリュードライバ100の駆動ヘッド104をアタッチメント110の第2の端部112に動作可能に接続する動力伝達アセンブリ(例えば、駆動軸)を含むことができる。例えば、動力伝達アセンブリは、駆動ヘッド104から、アタッチメント110の第2の端部112へ回転運動を伝達することができる。様々な実施形態では、アタッチメント110は、スクリュードライバ100の本体102から実質的に離れている(例えば、少なくとも約10mm、約25mm、約50mm、約75mm、約100mm、約150mm、約200mm、約250mm、約300mm、前述の距離の間の距離または他の距離)標的部位(例えば、骨)への穿孔および/またはスクリュー挿入を可能にするように構成される。いくつかの実施形態では、アタッチメント110は、アタッチメント110に追加、取り付け、または一体化されて、標的部位の視認性を向上させることができる反射および/または鏡面状の表面を有する。アタッチメント110は、スクリュードライバ100の本体102に対して関節接合するか、固定することができる。アタッチメント110は、トルク制限機能を含むことができるスクリュードライバ100とともに使用するように構成することができる。いくつかの実施形態では、アタッチメント110は、トルク制限機能を含まないドライバ装置とともに使用するように構成される。
【0051】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ユーザが以下に説明する電動モードおよび手動モードなどのモードを切り替えることを可能にするモードスイッチ(または同様の機構)を含むことができる。いくつかの実施形態では、モードスイッチは、特定のスクリューの種類に基づいて、スクリュードライバ100のパラメータを変更することができる。いくつかの実施形態では、モードスイッチは、スクリュードライバ100が異なるアダプタまたはアタッチメントの存在を認識できるようにすることができる。
【0052】
いくつかの実施形態では、本体102は、スクリュードライバ100の特定のパラメータ、例えば、電源状態、モード、速度などに関する視覚的出力をユーザに提供してもよい。いくつかの実施形態は、MIMS(医療情報管理システム)、MEMS(微小電気機械システム)、ジャイロスコープ、またはスクリュードライバの向きについてユーザに合図することができる他の技術を使用するなどして、軌道の向きを提供するように構成される。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、水平位置または垂直位置からの角度偏差など、「ゼロ」姿勢からの偏差を(例えば、ユーザに)表示するように構成される。いくつかの実施形態では、本体102は、ユーザに情報を提供するためのLEDまたはLCDディスプレイを含むことができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ワイヤレスネットワークを介するなどしてモニタなどの外部ディスプレイに接続して、外部ディスプレイに視覚的出力を提供することができる。いくつかの実施形態では、触覚合図(例えば、小さな振動)によって、ユーザに情報を提供することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100の実施形態に、電磁場(EMF)またはホール効果センサを組み込むことができる。
【0053】
スクリュードライバ100の様々な形状が企図される。例えば、いくつかの実施形態は面上(on plane)であり、これは感覚を高めることができる。本開示では、「面上」という用語は、ほぼ直線状の構成を有する装置を表す。これは、ピストルグリップなどのL字型の構成を一般に有する「面外(off plane)」装置とは対照的である。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、先端がユーザの手と概ね同一線上にある、例えば、先端とハンドルとが概ね同一線上にある面上構成を有する。いくつかの変形例では、スクリュードライバ100は、ピストルグリップを有するような面外構成を有する。
【0054】
面上構成は多数の利点を有し得る。例えば、面上構成では、ユーザは、例えばカーブまたはエルボーを介するのではなく、スクリュードライバを介して直線軸に沿ってスクリューに力を加えることができる。いくつかの実施形態では、面上設計は、ピストルグリップ装置のハンドルに加えられ、次いでピストルグリップ装置の銃身を通って伝達される力によるなど、特定のピストルグリップ設計に関連し得る力のモーメントを低減または排除する。モーメントを低減または排除することにより、(例えば、モーメントに対抗するために必要な労力を低減することによって)スクリューの制御を増大させることができ、および/またはユーザの疲労を軽減することができる。面上構成を有するいくつかの実施形態は、基板に対するスクリューの滑りを回避または低減するか、そのような滑りが一般に所望の方向に生じる可能性を少なくとも高めることができる。例えば、面上構成は、ピストルグリップ設計よりも指の位置をビットに近づけることができ、これにより、ユーザが、滑りが発生している時または発生しそうになった時を良好に検出し、それに応答して行動を起こすことを可能にする。
【0055】
いくつかの実施形態では、面上構成は、ユーザが、(例えば、手首の筋肉または他のさらに小さい筋肉の使用を必要とし得る)ピストルグリップ装置よりも、大きな筋肉(例えば、上腕の筋肉)を使用することを可能にする。大きな筋肉が関与すると、大きな強度および/または制御をもたらすことができる。いくつかの実施形態では、カンチレバーまたはピストルグリップがなくてもよい。
【0056】
面上構成は、ハンドルからカンチレバーの重量を取り除くなどして、改善された重量分布を提供することができる。いくつかの構成では、面上構成は、ユーザがスクリューおよび/または基板の特性を識別することができる感度を高めることができる。例えば、大きな筋肉が初期駆動を制御することができるのに対して、面外構成よりも指の位置を先端に近づけて、最終的な操作に使用することができる。したがって、ユーザは、微調整のために指を使用することができ、これにより、スクリュードライバを取り扱う際の操作性が向上し得る。さらに、面上構成は、スクリュードライバが大きな腕の筋肉によって保持されることから、振動を減衰させることができる。さらに、大きな腕の筋肉によって安定させ、手首/指を使用して操作することによって、比較的大きなモーメントアームを使用し、ひいては痙攣/動きの影響を受けやすい面外構成と比較して、特に望ましくない急激な揺れによって引き起こされるスクリュードライバの移動が少なくなり得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、装置の滑らかなフォームファクタは、パッケージサイズを縮小することができ、その結果、コスト削減をもたらす。特定の実施形態は、手動スクリュードライバから電動スクリュードライバへの移行を容易にすることができ、駆動が起こっている先端および組織の視認性を高めることができ、および/またはスクリュードライバの重量を低下させることができ、これによりユーザの疲労を軽減することができる。
【0058】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、部分的にまたは完全にカニューレを挿入され得、および/またはカニューレを挿入されるように構成され得る。これにより、スクリュードライバ100を通してガイドワイヤおよび/またはkワイヤ(または、種類が限定されない他のワイヤ)を挿通することができる。さらに、カニューレ挿入は、スクリュードライバ100と併せて吸引を使用することを可能にする。カニューレは、スクリュードライバ100の全体に(例えば、後方から前方へ)延びることができるか、スクリュードライバ100の先端(または先端の近く)につながり得る本体102の側面に開口部を含むことができる。カニューレは、一般に、スクリュードライバ100の長手方向軸に沿って(または平行に)延びることができる。
【0059】
さらに、いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100内のモータ自体にカニューレを挿入することもできる。したがって、カニューレは、スクリュードライバ100のモータの少なくとも一部を通って延びることができる。モータは、部分的にまたは完全にカニューレを挿入され得、および/またはカニューレを挿入されるように構成され得る。カニューレは、モータ全体を通って(例えば、後方から前方へ)延びることができるか、スクリュードライバ100の先端(または先端の近く)につながり得る本体102の側面に開口部を含むことができる。いくつかの実施形態では、カニューレは、一般に、スクリュードライバ100内のモータの長手方向軸に沿って(または平行に)延びることができる。カニューレを挿入されたモータは、例えば、電動外科用装置内でのカニューレを挿入されたモータの使用、面上電動外科用装置内でのカニューレを挿入されたモータの使用、脊椎適用のための面上電動外科用装置内でのカニューレを挿入されたモータの使用、四肢のための面上電動外科用装置内でのカニューレを挿入されたモータの使用および/または大きな骨の適用のための面上電動外科用装置内でのカニューレを挿入されたモータの使用を含む多数の異なる用途に使用することができる。しかしながら、カニューレを挿入されたモータは他の処置にも使用することができ、特定の処置に限定するものではない。
【0060】
いくつかの実施形態では、本体102は、様々な形状のハンドル(またはグリップ)を含むことができる。様々なハンドルを使用して、本体102の一部を置き換えることができ、したがって、いくつかの実施形態では、様々なハンドルと本体102とを一体的に形成することができる。いくつかの実施形態では、本体102の近位端から様々なハンドルを取り外し可能とすることができるため、ユーザは、特定の用途(例えば手術)の必要性に合った特定のハンドルを選択することができる。いくつかの実施形態では、ハンドルは、外科医によって手術中に切り替えられ得る。例えば、ハンドルは、雄/雌ねじ山、スナップ、ファスナまたは他の非限定的な取り外し可能な取付装置を介するなどして、本体102への取付機構を有することができる。
【0061】
ハンドルは、金属、プラスチックまたはゴムなどの数多くの異なる材料から作製することができ、多数の異なる形状にすることができる。ハンドルには、凸部や窪みなどの把持機能を含めて、ユーザがハンドルをさらに簡単に制御できるようにすることもできる。図3は、本明細書で開示されているスクリュードライバとともに使用することができるハンドル30の例示的な断面形状を示す。図示されるように、これらのハンドル30は、全体的に「T」形状(図3左)または全体的に円形またはボール形状(図3右)を有することができる。これらの2つの特定のハンドル30が図示されているが、一般に「J」形状、ピストルグリップまたは閉環状ハンドルなどの他のハンドルも同様に使用することができる。図3の特定のハンドルの形状および寸法は限定されない。
【0062】
図4から図7は、スクリュードライバ100の一例を示す。スクリュードライバ100は、ユーザが把持することができるハンドルを有する本体102を有する。図示された実施形態では、ハンドルはピストルグリップ構成を有する。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、約7インチの長さである。スクリュードライバ100は、バッテリ28などの電源を有することができる。電源28は、ハンドルなどの本体102に嵌合することができる。
【0063】
図5は、本体102の底部開口を示す。本体102は、バッテリ28を保持するように設計された第1の空洞42および回路基板などの電子機器を保持するように設計された第2の空洞44などの複数の空洞を有することができる。回路基板が設置された後、カバープレートを取り付けて、水分の侵入から第2の空洞44を密閉することができる。基板およびバッテリの両方をハンドルに挿入することにより、スクリュードライバ100の長さおよび形状を縮小させることができる。
【0064】
図6は、スクリュードライバ100の本体102のハンドルに配置されたバッテリ28を示している。いくつかの実施形態では、バッテリ28は、本体102内に完全に封入されている。バッテリ28を完全に封入することにより、動作中に生体材料にバッテリ28を曝さないようにすることができる。いくつかの実施形態では、バッテリ28は、扉を用いて収容され、および/または扉によって密閉される。図7は、ハンドル内のバッテリ28を示している。スクリュードライバの設計は、バッテリ28を底部から覆い、バッテリ28をハンドル内に押し上げる機構を含むことができる。この特徴によって、使用中に、スクリュードライバ100との電力接点にバッテリ28を確実に係合させる。いくつかの実施形態では、この機構は、トラップドアのように機能するように一方の側でヒンジ結合されてもよい。他の実施形態では、この機構は、1つのコーナーにピンで固定されて、空洞の上または空洞から離れて回転して、バッテリ28を挿入することを可能にしてもよい。
【0065】
スクリュードライバ100の様々な実施形態は、様々な動作特性を有する。例えば、いくつかの実施形態は、少なくとも約3,000rpm、約4,000rpm、約5,000rpm、約6,000rpm、約10,000rpm、前述の値の間の値または他の値の最大回転速度(無負荷時)を提供する。上述したように、いくつかの実施形態は、減速点に達した後にスクリューの回転を遅くする。特定のこのような実施形態は、約500rpm、約600rpm、約700rpm、約800rpm、約900rpm、約1,000rpm、約1,100rpm、約1,200rpm、前述の値の間の値または他の値以下の減速速度(無負荷時)を有する。スクリュードライバ100の特定の実施形態は、スクリューに、少なくとも約25インチオンス、約30インチオンス、約35インチオンス、約40インチオンス、約45インチオンス、前述の値の間の値または他の値のトルクを提供することができる。スクリュードライバ100のいくつかの実施形態は、スクリューに、少なくとも25N-cm、30N-cm、35N-cm、40N-cm、45N-cm、前述の値の間の値または他の値のトルクを提供することができる。
【0066】
スクリュードライバ100の様々な実施形態は、ユーザが関与してスクリュードライバ100に指示して、スクリューを骨に挿入する方向など、スクリューを順方向に回転させることができる順方向入力部を含む。例えば、順方向入力部は、スイッチ、ボタン、ダイヤル、トリガ、スライダ、タッチパッドなどであってよい。特定の実施形態は、高速順方向スイッチ(例えば、モータが無負荷時に約4100RPMで回転する)および微速順方向スイッチ(例えば、モータが無負荷時に500RPMで回転する)などの複数の入力部材を有する。いくつかの実施形態は、スクリュードライバ10に指示して、骨からスクリューを取り外す方向など、スクリューを逆方向に回転させることができる逆方向入力部を有する。逆方向入力部は、前述のオプションなど、順方向入力部と同様であり得る。いくつかの実施形態では、逆方向入力部を係合させると、モータが無負荷時に約500RPMで回転する。特定の実施形態では、スクリューの最終回転速度は約500RPMである。いくつかの実施形態では、順方向入力部と無効入力部とは同じ構成要素である。
【0067】
様々な実施形態では、スクリュードライバ100は、例えば、トルクデータをフィルタリングすること、センサ18(例えば、モータ電流センサ)からの信号のノイズを減少させることなどによって、トルクデータを調整するように構成された構成要素を含む。例えば、スクリュードライバ100は、1つ以上のローパスフィルタを含むことができる。フィルタは、ハードウェアおよび/またはソフトウェアに実装することができる。例えば、いくつかの実施形態では、フィルタは抵抗コンデンサ回路を備える。特定の実施形態は、トルクデータの特定の周波数および/またはレベルをフィルタリングするように構成されたソフトウェアフィルタを含む。様々な実施形態では、フィルタリング構成要素は、比較的滑らかなトルク曲線を助長することができる。いくつかの変形例では、フィルタリング構成要素は、ノイズおよび/または異常値の測定によって引き起こされる可能性があるトルク制限機能の誤差を低減することができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルまたは数式を使用して、電流、電圧、電力などをトルク値(例えば、nm、インチオンスなど)に変換することができる。
【0068】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、すでに着座しているスクリューの始動トルクと、比較的高い初期トルク値などによって駆動を開始したばかりのスクリューの始動トルクとを識別し区別することができる追加の機能を組み込むことができ、これにより、装置が駆動を継続して、すでに着座しているスクリューのねじ山を崩すのを防止することができる。これは、スクリューがすでに着座し、スクリュードライバ(ドライバソフトウェアなど)がリセットされた後にさらにスクリューを締めようとすると、特に有利になり得る。いくつかの実施形態では、本明細書に説明されるトルク制限スクリュードライバと、延長アダプタとを備えるシステムは、取り外し可能にスクリュードライバに取り付けるように構成することができ、延長アダプタは、スクリュードライバの本体から少なくとも30mm離れた骨にスクリューを挿入できるように構成される。
【0069】
トルク制限スクリュードライバに関連する特定の特徴に関するさらなる開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる2014年7月16日に出願された米国特許第9,265,551号明細書に見出すことができる。例えば、特定のトルク制限機能が’551特許に開示されており、本明細書に開示されたスクリュードライバと組み合わせて使用することができる。
【0070】
スクリュー挿入プロセスの概要
骨にスクリューを挿入して骨にプレートを固定するプロセスは、いくつかの工程を含む。図8Aに示すように、スクリューは、初期段階では、プレートの開口を通り、所望の挿入位置にある骨に隣接して配置される。また、スクリューは、骨に対してスクリューを回転させ始めることができる上述のスクリュードライバ100と結合することができる。スクリューが回転すると、骨に割り込み始め、これにより、スクリューの本体が挿入される空間が提供される。セルフタップのスクリューの場合、スクリューは材料を外側に押し始めることができ、それによって骨への経路が形成される。このプロセスを容易にするために、ユーザは、スクリュードライバ100を介するなどして、スクリューに何らかの軸方向の力を加えることができる。図8Bに示すように、初期段階では、トルク勾配は急な上向き(例えば正)の勾配を示し得、スクリューの回転速度は(例えば無負荷時の速度と比較して)低下する。図8Cは、図8A図8Bとの関係を示す。
【0071】
初期段階が終了した後、第1の挿入段階が始まる。第1段階では、スクリュー本体は、初期段階で形成された経路を介して骨内に軸方向に移動する。図8Bに示すように、第1段階の間、トルク勾配は下向き(例えば負)の勾配を有し得、スクリューの回転速度は初期段階の後半部分に比べて増加し得る。
【0072】
第2段階では、スクリューは、進入したねじ部によって形成された経路に沿って、骨内に前進し続ける。典型的には、スクリューは、骨内で、スクリューの本体のねじ部の長さの実質的に全長または全長(プレートの軸方向の厚さ未満)を前進する。いくつかの実施形態では、トルク対時間(またはトルク対スクリューの回転数)の曲線は、スクリューがねじ部の長さを前進する際に正のトルク勾配を有する。
【0073】
第3段階は、スクリュー頭部が最初にプレートに着座した際に始まる。図示されるように、スクリューは、典型的には、プレートの開口の少なくとも一部よりも直径が大きい頭部を有する。したがって、第3段階の間、頭部がプレートに接触し、スクリューがプレートをさらに通過するのを阻止または防止することができる。これは、トルク曲線の最初の急上昇をもたらす可能性がある。図8Bに示すように、第3段階の間、トルク勾配は上向き(例えば正)であり得る。例えば、勾配は、初期段階の勾配未満であるが、第2段階の勾配よりも大きくなり得る。特定の実施形態では、第3段階の後半部分で、トルク勾配は平坦化を示し(例えば、平坦域に達し)、および/または、後述する第4段階の間の変曲点でのトルク未満の局所化された最大トルクなどの頂点を含む。特定の変形例では、第3段階の間のスクリューの回転速度は、第2段階の間の速度未満である。
【0074】
第4段階では、スクリューがプレート上に完全に着座し、それによってスクリュー、骨およびプレートを確実に固定する。これは、スクリュー頭部がプレートの開口に部分的にまたは完全に受け入れられ、プレートによって、骨内でさらに軸方向に移動するのを阻止または防止することを含むことができる。図8Bに示すように、第4段階の間、トルクは第3段階の速度よりも遅い速度で増大し続けることができる。例えば、第4段階の曲線の勾配は、第3段階(例えば、第3段階の終了時)の勾配未満であり得る。トルクは、第4段階の間にピークに達することができ、その後、低下し始める。いくつかの実施形態では、第4段階のスクリューの回転速度は、初期段階、第1段階、第2段階および第3段階のスクリューの回転速度未満である。
【0075】
第4段階の後に起こり得る過大トルク段階では、スクリューに追加量のトルクを加えて、骨内でスクリューをさらに締め付けることができる。これは、骨内のスクリューにわずかに過大なトルクを加え得る(例えば、スクリューおよび/または骨の降伏強度を超える)。過剰な過大トルクは、スクリューのねじ山を崩す可能性があるため、望ましくない。しかし、スクリューおよび/または骨をわずかに変形させ得、これにより、スクリューをその位置に維持するのを助け、ひいてはプレートが骨に対して移動するのを阻止または防止するため、比較的少量であれば有益であり得る。様々な実施形態では、過大トルクは、スクリューを最終量回転させることによって達成される。例えば、スクリューは、約1回転、約1/2回転、約1/4回転、約1/8回転、これらの値の間などだけ回転させることができる。いくつかの実施形態では、スクリューに加えられる過大トルクの量は、少なくとも1ニュートンセンチメートル(N-cm)および/または約5N-cm以下(または約1N-cmから5N-cm)である。
【0076】
挿入プロセスの段階の特定の態様は、以下の表Aに要約されている。
【0077】
【表1】
【0078】
典型的には、骨からスクリューを取り外し、プレートを解放するために、スクリュードライバ100をスクリュー頭部と適合させ、スクリューの回転を逆転させる。スクリューが骨に割り込んでおらず、骨またはプレートに対して締め付けられていないため、取り外し動作中のスクリューに対するトルクは、通常、上述の挿入プロセス中のトルクよりも小さい。
【0079】
スクリュー挿入プロセス中のトルク
所与の骨にスクリューを挿入するために使用されるトルクは、著しく変化し得る。骨にスクリューを挿入するのに必要なトルクの量に影響を及ぼす1つの要因は、年齢、性別、疾患および他の要因に基づいて変化し得る骨の密度である。典型的には、骨の密度が高ければ高いほど、スクリューを挿入するために必要な力は大きくなる。さらに、骨の密度は、スクリューの位置に応じて変化し得る。骨にスクリューを挿入するのに必要なトルクの量に影響を及ぼす別の要因は、スクリューの仕様、例えば、直径、長さ、ねじ部の種類(例えば、形状および/または1インチあたりのねじ部の数)、材料、骨との摩擦係数および他の特徴などである。一般に、スクリューが長いほど(例えば、少なくとも約3mm、約4mm、約5mmなどの軸長)、スクリューを完全に設置された位置に挿入するのにさらに大きなトルクが必要となる。
【0080】
図9は、骨密度の関数としての3mm、4mmおよび5mmのスクリューの種類に関する例示的なトルクの例を示す。示されるように、スクリューのサイズおよび種類ならびにスクリューが挿入される骨密度基板に基づいて、異なるトルク要件が存在し得る。これは、固定トルク制限を使用した際に問題を引き起こす可能性がある。例えば、トルク制限が、高密度の骨基板と小さな(例えば3mm)スクリューとに基づいて固定されている場合、さらに高密度の骨基板に挿入された大きな(例えば5mm)スクリューは、完全に着座しないことがある。一方、大きな(例えば5mm)スクリューと高密度の基板とに基づいてトルク制限が固定されている場合、低密度の基板では、小さな(例えば3mm)スクリューのねじ山が挿入中に崩れる可能性がある。
【0081】
特定のスクリュードライバは、特定のスクリューの種類のための固定トルク値を含む。例えば、3mmのスクリューの場合、スクリュードライバ100は、その種類のスクリューとスクリューが挿入される特定の種類の骨とに特有の値に設定されたトルク制限を含むことができる。3種類のスクリュー(例えば3mm、4mm、5mm)を受け入れ駆動するように構成されたスクリュードライバ100の場合、スクリュードライバ100は3つのトルク制限値を含むことになる。値は、各基板を用いた各スクリューの種類に対する実験によって決定することができる。
【0082】
可変トルク制限の実施形態
スクリュードライバ100の様々な実施形態は、トルク制限および/またはスクリューの回転を停止する時を動的に判定するアルゴリズムを使用する。これにより、スクリュードライバが挿入変数(例えば、骨の密度およびスクリューの仕様)を考慮して、スクリューを正しく着座させながら、スクリューが患者の骨を剥離または損傷するのを阻止または防止することができる。いくつかの実施形態では、挿入変数はスクリュードライバに入力する必要はない。むしろ、スクリュードライバ100の特定の実施形態は、スクリューが適切に設置される時を判定することができ、および/またはスクリュードライバ100がスクリューを回転させていた時間およびすでにスクリューに加えられたトルクの量などの他のパラメータと関連して、スクリューを回転させるのに必要なトルクに基づいて、スクリューのねじ山を崩すのを避けることができる。
【0083】
いくつかのトルク制限方法、アルゴリズムおよび構成要素を以下に説明する。本明細書のいずれかに開示されている任意の方法、アルゴリズムまたは構成要素は、本明細書のいずれかに開示されている他の方法、アルゴリズムまたは構成要素とともに使用することができるか、別個に使用することができる。
【0084】
差動トルクの比較
いくつかの実施形態では、挿入動作の特定の部分の間にトルクがどのように変化したかを比較するアルゴリズムを使用することができる。この比較を容易にするために、コントローラ20は、スクリューの挿入過程中のトルクの離散的な変化(例えば、時間の関数としてのトルク)を計算することができる。例えば、図10に示すように、コントローラ20は、スクリューの挿入の一部または全部を通してΔq値およびΔt値を決定することができ、ここでΔqはトルクの変化であり、Δtは時間、深さまたはスクリューの回転数の変化である。特定の実施形態は、スクリューの挿入段階中のΔq値とΔt値との関係を使用する。例えば、いくつかの実施形態は、以下の比較が満たされた場合、トルク制限機能に関与する(例えば、モータを停止させる)。
【0085】
【数1】
【0086】
このようなアルゴリズムは、スクリュードライバ100がトルクを制限することを可能にしながら、挿入プロセスの特定の態様をも考慮に入れることができる。例えば、このアルゴリズムは、トルクが低レベルで開始し、速度が高レベルで開始することを含みおよび/または考慮することができる。アルゴリズムの特定の実施形態は、スクリューが骨に貫入されている際にトルクが増大し得、速度の低下が減少し得ることを含みおよび/または考慮する。アルゴリズムのいくつかの変形例は、スクリューがプレート上に着座した際にトルクが増大し得、速度が低下し得ることを含みおよび/または考慮する。アルゴリズムの様々な実施形態は、スクリューのねじ山崩れの不良モードを阻止または回避するように構成されている。
【0087】
特定の実施形態では、例えば約10ミリ秒(ms)、約20msまたは他の時間値ごとに、測定されたトルク量(またはモータによって引き込まれた電流、もしくは本明細書に説明される回転/トルクを判定する他の方法)がサンプリングされる。トルクおよび時間のデータはメモリに記憶することができる。これにより、時間に対するトルクの変化(例えば、トルクの一次微分)の監視を容易にすることができる。上述したように、トルクは、スクリューを挿入するのに必要なモータ動力に正比例し得る。いくつかの実施形態では、モータ12によって引き込まれた電流を示す信号をセンサ18から受信するコントローラ20によって、所与の時間のトルクが判定される。
【0088】
連続トルク値、閾値および減速
いくつかの実施形態では、方法およびアルゴリズムは、多数の値が条件を満たす場合に、トルク制限機能を起動させる(例えば、関与させる)。例えば、以下にさらに詳細に説明するように、スクリュードライバ100は、複数(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ)の連続減分値についてトルクを監視することができ、このような条件が満たされたことに応答して、(例えば、モータ12への電力を低減または停止させることによって)スクリューの回転を低減および/または停止させることができる。
【0089】
図11は、例示的なトルク対時間曲線を示す。示されるように、トルク曲線は、期間1、期間2、期間3および期間4などのいくつかの期間に分割することができる。いくつかの実施形態では、期間1(例えば、上記の初期段階)は、スクリューの初期係合および骨などの基板への進入を含む。この期間中、トルクの量は急速に増大し得る。期間1はまた、ノイズのレベルの増加および/または予測不能な、または信頼性の低いトルクデータを含むことがある。このように、いくつかの実施形態では、期間1の間に測定されたトルクデータは、ドライバの動作を制御するために使用されない。むしろ、期間1の間のトルクデータは無視されるか、記録されるだけである。したがって、期間1は「不感帯(deadband)」と呼ばれる。いくつかの実施形態では、不感帯は、時間0(例えば、スクリューが骨に貫入し始めるスクリュー挿入プロセスの開始)の後に、少なくとも約50msおよび/または約200ms以下に及ぶ。特定の実施形態では、不感帯は、約100ms以下(または約100ms以下)の持続時間を有する。
【0090】
期間2は期間1の終了時に発生する。期間2(例えば、上述の第2段階)では、スクリューは基板に挿通されるプロセスにあり、期間1の間に経験した初期トルクよりも小さいトルクを経験することがある。いくつかの変形例では、期間2のトルクデータはトルク制限目的では使用されず、記録またはロギングされる。
【0091】
(例えば、上述の第3段階、および第4段階のほぼ前半と類似した)期間3では、スクリューに対するトルクが増大する可能性がある。これは、例えば、スクリューがプレートに係合し、骨に対してプレートを締め付け始めるためである。いくつかの実施形態では、期間3の開始時またはその付近など、スクリューの挿入中に閾値点(例えば、閾値条件)に達する。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、閾値点に達したのに応答して、トルク制限機能を起動可能にする。例えば、閾値点に達する前にトルク制限条件を経験する場合、トルク制限機能は起動しない。これと比較して、閾値点に達した後、トルク制限条件が発生すると、トルク制限機能を起動させることができる。これにより、誤ったおよび/または一時的なトルク値がトルク制限機能を起動させて、スクリュードライバ100の早すぎる停止および/またはスクリューの不完全な挿入を引き起こす可能性を回避することができる。特定の実施形態では、閾値点はゲートとして機能することができ、これにより、スクリューに加えられたトルクが閾値点に達した時またはその後にのみ、トルク制限機能を関与させることができる。
【0092】
いくつかの実施形態では、閾値点は、トルクおよび/または電流の関数である。例えば、閾値点は、少なくとも約5N-cm、約7N-cm、約10N-cm、約12N-cm、約15N-cm、約17N-cm、約20N-cm、約25N-cm、前述の値の間の値または他の値のトルク値とすることができる。特定の変形例では、閾値点は、約5N-cm以上および/または約15N-cm以下(または約5N-cmから約15N-cm)のトルクで生じる。いくつかの実施形態では、スクリューに加えられるトルクが閾値点のトルク値に達したか、それを超えたのに応答して、トルク制限機能を関与させることができる。上述したように、トルクは、モータ12によって引き込まれる電流から決定することができる。いくつかの実施形態では、モータ12によって引き込まれる電流が少なくとも約0.25A、約0.50A、約0.75A、約1A、約1.25A、約1.5A、約1.75A、約2A、約2.5A、約3A、前述の値の間の値または他の値である場合に、閾値点に達するか、閾値点を超える。多相モータ(例えば、三相モータ)を含む特定の実施形態では、電流を決定する際に、位相の平均総順方向電流が使用される。いくつかの実施形態では、電流を決定する際に、直接直交ゼロ(direct-quadrature-zero)変換またはPark変換を使用する。
【0093】
いくつかの実施形態では、閾値点は時間の関数である。例えば、特定の変形例では、閾値点は時間0からの一定の時間量に生じ得る。いくつかの実施形態では、閾値点は、時間0から少なくとも300ms(または少なくとも約300ms)および/または500ms以下(または約500ms以下)で生じる。特定の変形例では、閾値点は、時間0の後に約200ms以上(または約200ms以上)で生じる。
【0094】
引き続き図11を参照すると、スクリュードライバ100は減速点(例えば減速条件)を含むことができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、減速点に達するか、減速点に達したことに応答して、スクリューを回転させる速度を変更する。例えば、減速点に達する前に、スクリュードライバ100は第1の速度(例えば、約3600rpm以上)で動作し得、減速点に達した後、スクリュードライバ100は第2の回転速度(例えば、約900rpm以下)で動作し得る。いくつかの実施形態では、減速は、少なくとも約0.10秒、約0.25秒、約0.50秒、約0.75秒、約1秒、約1.5秒、前述の値の間の値または他の値のスクリューの完全挿入の遅延をもたらす。スクリュードライバ100の特定の実施形態は、スクリューを挿入するのに要する総時間を、例えば少なくとも前述の時間値だけ増加させることができる。スクリュードライバ100の他の実施形態は、総挿入時間を増加させない。例えば、いくつかの変形例は、減速点の前に、減速点の後の速度低下(および挿入時間の増加)を打ち消すのに十分な量だけ挿入速度を増加させる(および挿入時間を減少させる)。
【0095】
スクリューの挿入速度(例えば、回転速度)を低下させることは有益であり得る。例えば、これにより、スクリューの挿入中にトルクが増大する速度を低下させることができる。いくつかの実施形態では、例えば、プロセッサ22および/またはセンサ18(例えば、電流センサ)に追加時間を提供して、スクリューに対するトルクの量を監視し、および/またはトルク制限機能を起動させるべきかどうかを判定するか、トルクをユーザに表示することによって、挿入速度を低下させることにより、スクリュー挿入プロセス中(例えば、期間3および/または期間4中)にスクリュードライバ100によってスクリューに加えられるトルクの監視および/または分解能が改善される。例えば、約3600rpmから約900rpmに速度が低下すれば、期間3および/または期間4の持続時間を約4倍に増加させることができる。いくつかの実施形態では、減速は、少なくとも約2、約3、約4、約5、約6、前述の値の間の値または他の値の(例えば、センサ18によって検出されたモータの電流引き込みの)監視されたトルクの分解能に増加をもたらす。
【0096】
いくつかの実施形態では、回転速度の低下によって、基板に対してスクリューをさらに精密および/または正確に回転させることができる。例えば、モータ、ドライブトレインおよび/またはスクリューの回転速度を低下させることにより、これらの構成要素の運動量を低減することができる。いくつかの実施形態では、これにより、その運動量からの意図しない回転によって引き起こされる誤差などの誤差の可能性を低減することができる。いくつかの実施形態では、減速は、スクリューの回転運動量を少なくとも約50%、約100%、約200%、約300%、約400%、約500%、前述の値の間の値または他の値だけ低減させる。
【0097】
特定の変形例では、スクリューの速度の低下は、外科医などのユーザに指標を提供することができる。例えば、低下は、一定の量のトルクに達したこと、閾値点に達したこと、または(例えば、約0.75秒以下のうちに)達しようとしていること、(例えば、約1秒以下のうちに)トルク制限点に達しようとしていること、および/または、スクリュードライバ100がスクリューの駆動を停止させようとしていることを示す信号を提供することができる。いくつかの実施形態では、減速には、光(例えば、LED)、可聴音または他の感覚インジケータを起動させるなど、インジケータが付随する。
【0098】
いくつかの実施形態では、減速点は、トルクおよび/または電流の関数である。例えば、減速点は、少なくとも約5N-cm、約7N-cm、約10N-cm、約12N-cm、約15N-cm、約17N-cm、約20N-cm、約25N-cm、前述の値の間の値または他の値トルク値とすることができる。いくつかの実施形態では、減速点は、5N-cm以上および/または15N-cm以下(または約5N-cmから約15N-cm)のトルクで生じる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、スクリューに対するトルクが減速点のトルク値に達したか、それを超えたのに応答して、減速機能に関与する。前述したように、トルクは、モータ12によって引き込まれる電流から決定することができる。いくつかの実施形態では、モータ12によって引き込まれる電流が少なくとも約0.25A、約0.50A、約0.75A、約1A、約1.25A、約1.5A、約1.75A、約2A、約2.5A、約3A、前述の値の間の値または他の値である場合に、減速点に達する。多相モータ(例えば、三相モータ)を含むいくつかの実施形態は、電流を決定する際に、位相の平均総順方向電流を使用する。特定の変形例は、電流を決定する際に、直接直交ゼロ変換またはPark変換を使用する。
【0099】
いくつかの実施形態では、減速点は時間の関数である。例えば、特定の変形例では、減速点は時間0からの一定の時間量に生じる。いくつかの実施形態では、減速点は、時間0から少なくとも300msおよび/または500ms以下(または約300msから約500ms)で生じる。特定の変形例では、減速点は、時間0の後に約200ms以上(または約200ms以上)で生じる。
【0100】
いくつかの実施形態では、閾値点と減速点とは同一の点である。例えば、示されるように、閾値点および減速点はともに、期間3の開始時に生じ得る。いくつかの実施形態では、これは、少なくとも約150ms、約200ms、約250ms、約300ms、約350ms、約400ms、約500ms、前述の値の間の値または他の値など、時間0からの時間量によって決定される。他の実施形態では、閾値点と減速点とは異なる点である。例えば、いくつかの実施形態では、減速点は閾値点の前に生じる。他の実施形態では、減速点は閾値点の後に生じる。いくつかの実施形態では、閾値点および減速点は、ある時間量(例えば、約100ms以下)だけ離れている。いくつかの実施形態では、閾値点および減速点は、あるトルク量(例えば、約3N-cm以下)だけ離れている。
【0101】
図示されるように、(例えば、上述の第4段階のほぼ後半および過大トルク段階に類似した)期間4は、トルク曲線の頂点など、期間3が終了した後に始まる。期間4は、トルクの低下(例えば、負のトルク勾配)を含み得る。これは、スクリューおよび/または基板の降伏および/またはねじ山崩れが差し迫っているか、始まったことを示唆し得る。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、N個の連続減少トルク値についてトルクデータを監視する。例えば、いくつかの実施形態では、Nは2、3、4、5、6、7などに等しい。Nが4である実施形態では、4つの連続減少トルク値が観察された際に、トルク制限条件が満たされることになる。様々な実施形態では、トルク制限条件が満たされ、閾値点を通過した後、トルク制限アルゴリズムは、スクリュードライバ100がスクリューの回転を止めるよう指示することができる。例えば、モータ12への電力を低減または排除することができる。
【0102】
図12は、トルク制限方法およびアルゴリズムの別の実施形態を示す。このアルゴリズムでは、
tはマイクロ秒単位の時間増分であり、
Iは電流サンプリングであり、
Γは電流サンプルに比例するトルクであり、
iはシステムサンプルの時間増分であり、
nは配列の長さであり、
QはdΓ/dtであり、
Sはカウント変数である。
【0103】
アルゴリズムには、次のような配列を含めることができる。
【数2】
【0104】
図示されるように、第1のブロック601では、モータ12を始動させることができる。例えば、ユーザが入力部(例えば、ボタンまたはスイッチ)を起動させるのに応答して、スクリュードライバ100上のコントローラ20は、モータ12に電力を供給してスクリューの回転を開始するよう指示することができる。いくつかの実施形態では、モータ12は、少なくとも第2のブロック602で作動し続ける。
【0105】
様々な実施形態では、トルク値が収集される(例えば、観察され、記録される)。これに関して、様々な実施形態は、モータ12によって引き込まれる電流の量を(例えば、センサ18を用いて)検出する。モータ12によって引き込まれる電流は一般に、スクリュードライバ100によって駆動されるスクリューにモータが加えるトルクの量に比例するため、この電流引き込みデータを使用して、トルクの量を決定することができる。示されるように、ブロック603では、時間増分ごとにトルク量が収集され、メモリ24に記憶され得る。このトルクおよび時間データを使用して、n個のサンプル増分を介したiに対する配列またはマトリックスQを作成することができる。次のブロック604では、追加の時間増分のために追加のトルク値を収集することができ、この追加の時間およびトルクデータを使用して、別の配列またはマトリックスQを作成することができる。
【0106】
いくつかの実施形態は、QおよびQが比較される比較ブロック605を含む。特定の実施形態では、QがQよりも大きい場合、アルゴリズムはブロック602などの以前のブロックに戻る。これにより、追加の配列QとQとを作成し、比較することができる。したがって、いくつかの実施形態では、配列QとQとの比較は、アルゴリズムの実施中にループ内で実質的に常に発生する。
【0107】
図示されるように、QがQを超えない場合、アルゴリズムの反復部分を実行することができる。いくつかの実施形態では、これは、カウント変数Sを初期化および/またはインクリメントすることを含む。例えば、アルゴリズムがQがQを超えないと判定するたびに、アルゴリズムはブロック606に進むことができ、ここでカウント変数Sが1だけ増加する。
【0108】
示されるように、ブロック607では、カウント変数Sは、許容可能な連続減少トルク値(例えば、2、3、4、5、6など)の予め設定された数Nと比較される。例えば、カウント変数Sが数Nを超えない場合、アルゴリズムは、以前のブロック(例えば、ブロック602)に戻り得る。追加のQおよびQ配列を作成し、ブロック603から605で比較することができる。ブロック605に戻ると、Qが依然としてQを超えない場合、アルゴリズムがブロック606に進み、カウント変数Sが再び1だけ増加する。様々な実施形態では、QがQよりも大きい場合、カウント変数Sが初期化される(例えば、S=0)。
【0109】
特定の実施形態では、カウント変数SがN個の連続減少トルク値よりも大きい(またはいくつかの変形例では、N個の連続減少トルク値以上である)場合、アルゴリズムはブロック608に進み、ここでトルク制限機能を起動させることができる。例えば、コントローラ20は、(例えば、モータに供給される電力を排除または低減することによって)モータ12を停止すべきであるという命令を発することができる。このように、スクリューに加えられるトルクを制御および/または制限することができる。
【0110】
様々な実施形態によれば、N個未満の連続減少トルク値が観察された場合、モータ12は動作し続ける。これにより、トルク制限アルゴリズムがスクリューの駆動を早期に停止させる可能性を低減することができる。例えば、少なくともN個の連続減少トルク値が観察されない限りモータ12を停止させないことによって、電流信号のノイズまたは一時的なトルク低下によるモータの早期停止を回避することができる。
【0111】
いくつかの実施形態では、カウント変数Sが、連続減少トルク値の予め設定された数N以上である場合、モータが停止される。例えば、Nが4に等しい場合、カウント変数Sが4以上(例えば、トルク値が毎回減少するブロック602から606を介した4回の連続した反復)であると、モータが停止される。そうでなければ、いくつかの実施形態では、モータは作動し、スクリューを駆動し続ける。
【0112】
公差域およびピーク決定
図13および図14は、トルク制限方法およびアルゴリズムのさらなる実施形態を示す。示されるように、特定の実施形態は、トルク曲線の頂点前後の「公差域」を含む。公差域内でスクリューの回転を停止させることにより、スクリューが骨に固定されている(例えば、スクリューが外れていない)という確信を得ることができる。
【0113】
図13に示すように、公差域は、変曲点(例えば、勾配の変化がゼロになる、正から負に変化するなど)を含むことができる。いくつかの実施形態では、変曲点は、トルクおよび時間(またはスクリューの回転数)などの2つの次元にある。スクリュードライバ100の特定の実施形態は、変曲点に達したことに基づいて、停止命令を監視し、および/または停止命令を発する。これにより、スクリュードライバ100は、変曲点に達する付近、変曲点に達した時点または変曲点に達した後にモータ12を停止させることができる。いくつかの変形例では、変曲点に達し追加の事象が生じた後に、モータ12を部分的にまたは完全に停止させる。例えば、事象とは、トルク変化の量(例えば、少なくとも約5%、約10%、約20%、約30%、前述の値の間の値または他の値のトルク低下)、スクリューの回転の発生(例えば、少なくとも約1/8回転、約1/4回転、約1/2回転、約3/4回転、約1回転、約2回転、前述の値の間の値または他の値の追加の回転)などであり得る。
【0114】
いくつかの実施形態では、コントローラ20は、多数の連続増加トルク値および多数の連続減少トルク値についてトルクを監視することによって、公差域を決定することができる。例えば、コントローラ20は、N1(例えば、2、3、4、5、6、7など)個の連続増加値が生じた後に、N2(例えば、2、3、4、5、6、7など)個の連続減少値が生じた時を判定することができる。これは、ピークに達したこと、およびトルク制限機能が関与するであろうことを示し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のトルク値が、連続増加値および連続減少値を分割する。例えば、N1個の連続増加値が検出され得、続いて1つ以上の暫定トルク値が検出され得、続いてN2個の連続減少値が検出され得ることに応答して、トルク制限機能を関与させることができる。これは、ピーク時またはピーク付近のトルクのわずかな変動および/または実質的にピークに等しいトルク値を考慮することができる。
【0115】
公差域については、図14のトルク頂点の例の拡大図をさらに参照することができる。図示されるように、公差域は、正の勾配部分(上向き勾配部分とも呼ばれる)、負の勾配部分(下向き勾配部分とも呼ばれる)または勾配の両側を含むことができる。いくつかの実施形態では、トルク制限アルゴリズムは、スクリュー挿入プロセス中の上向き勾配部分および下向き勾配部分の両方を考慮する。特定の実施形態では、アルゴリズムの上向き勾配部分がスクリューの固定を容易にするか、確実にするのに対して、アルゴリズムの下向き勾配部分は、トルクが頂点に達した後にスクリュードライバがスクリューの回転を止めるのを容易にするか、確実にする。
【0116】
特定の実施形態は、挿入動作中の時間(Δq/Δt)値の変化に対するトルクの変化を決定することによって上向き勾配を決定する。方法はまた、X個(例えば、2、3、4、5、6など)のトルクデータ点を測定することを含むことができる。方法は、トルク値がピーク(例えば頂点)に達するまで、スクリューを回転させ、トルク値を監視することを含むことができる。例えば、異なるトルクサンプリング点(例えば、0、1、2、3、4)でΔq/Δt値を比較することによってピークを決定することができ、例えば、Δq(p0)/Δt、Δq(p1)/Δt、Δq(p2)/Δt、Δq(p3)/Δt、Δq(p4)/Δtなどとして表すことができる。いくつかの実施形態では、ピーク(例えば、Δq/Δtの値がその最大値に達した時)とは、スクリューが所定の位置に固定され、骨に骨プレートを押し付けたことを示す。Δq/Δt値がゼロであるかゼロに近い値である場合、これはスクリューが固定されていること、および/またはピークトルクにあるかピークトルクに近いことを示し得る。このように、特定の実施形態では、Δq/Δt値がゼロであるかゼロに近い値であることに応答して、(例えば、モータ12を停止させることによって)スクリューの回転が停止される。
【0117】
同様に、特定の実施形態は、挿入動作中の時間(Δq/Δt)値の変化に対するトルクの変化を決定することによって下向き勾配を決定する。しかしながら、下向き勾配を使用してピークトルクを決定する場合、Δq/Δtの比較は、N個の連続点についてゼロまたはわずかに減少している(例えば、前の値の約5%未満の)Δq/Δt値を探す。
【0118】
変曲点
いくつかの実施形態は、変曲点(トルク曲線のピークまたは頂点とも呼ばれる)に達するか、変曲点を超える時を識別する。変曲点は公差域内で生じ得る。図15Aから図15Eは、変曲点に達した時または変曲点を超えた時を識別するために、および/または変曲点に達したか変曲点を超えたことに応答して作動するために使用できる方法およびアルゴリズムの様々な例を示す。例えば、上述の実施形態と同様に、方法は、トルク制限機能を起動させるために使用することができるトルク制限条件を決定するように構成することができる。これにより、スクリューを正しく着座させながら、スクリューのねじ山崩れを阻止することができる。例えば、いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、(例えば、不感帯の後に)変曲点に達したか変曲点を超えたことに基づいて、トルク制限命令を発することができる。別の例として、いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、変曲点に達したか変曲点を超えたことに基づいて、追加の事象が生じた後に、トルク制限命令を発することができる。図15Aから図15Eに関連して説明される方法は、図10から図14に関連して説明された方法の特徴のいずれかを含み得る。
【0119】
図15Aに示すように、いくつかの方法は、トルク値が閾値以上であることを判定することによって、変曲点に達したか変曲点を超えたことを識別する。閾値は、絶対トルク値または平均トルク値であってよい。いくつかの実施形態では、閾値は変曲点であってよく、様々な他の実施形態では、閾値は、変曲点の位置に近似するように、変曲点または変曲点付近のトルク曲線上の点に対応してもよい。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、閾値が閾値以上である場合にトルク制限命令を発することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ20は、閾値が満たされた場合に、モータ12を減速および/または停止させることができる。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、閾値が閾値以上である場合、その後の時間間隔ΔTが経過した後に、トルク制限命令を発することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ20は、閾値が満たされ、時間間隔ΔTが経過した場合に、モータ12を減速および/または停止させることができる。
【0120】
図15Bは、1つ以上の平均値を決定し、それらを比較することによって、変曲点に達したか変曲点を超えたことを識別する方法を示す。例えば、図15Bに示すように、期間TにわたるN個の連続トルク値の第1の平均値Aを決定し、後の期間TにわたるN個の連続トルク値のその後に決定される平均値Aと比較することができる。サンプル数Nは、任意の好適な数(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10または10超)であり得る。期間TおよびTは、同じ持続時間または異なる持続時間を有し、任意の好適な値であり得る。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、AがAよりも大きい場合にトルク制限命令を発することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ20は、AがAよりも大きい場合に、モータ12を減速および/または停止させることができる。いくつかの実施形態では、平均値AおよびAは、オーバーラップするトルク値を有し得る。いくつかの実施形態では、1つ以上のトルク値が、平均値AのN個の連続トルク値の後続のサンプルから、平均値AのN個の連続トルク値のサンプルを分割し得る。平均値AとAとの間の分割は、変曲点または変曲点付近のトルクのわずかな変動および/または変曲点または変曲点付近の実質的に等しいトルク値を考慮するのに役立ち得る。分割は、2、3、4、5、6またはそれ以上のトルク値以下で存在し得る。
【0121】
図15Cは、第1のトルク値と第2のトルク値(例えば、現在のトルク値と以前のトルク値)とを比較することによって、変曲点に達したか変曲点を超えたことを識別する方法を示す。例えば、図15Cに示すように、第1のトルク値Γと、第2のトルク値Γとを比較することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ20は、ΓがΓ未満である場合にトルク制限命令を発することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ20は、ΓがΓ未満である場合に、モータ12を減速および/または停止させることができる。いくつかの実施形態では、ΓおよびΓは期間Tで分割され得、ΓおよびΓは任意の好適なサンプル間隔Iでサンプリングされ得る。サンプル間隔Iは期間T以下であり得る。いくつかの実施形態では、Γは、変曲点の予測値未満の基準値に関連し、および/または固定される。いくつかの実施形態では、Γ2は、あらゆるサンプル間隔Iで反復的に測定され、次いで同じΓ1と比較され得る。いくつかの実施形態では、Γ2は現在のトルク値であり、Γ1はΓ2より前に測定されたトルク値である。
【0122】
図15Dは、測定されたサンプルの第1のトルク値と、測定されたサンプルの1つ以上の後続のトルク値とを比較することによって、変曲点に達したか変曲点を超えたことを識別する方法を示す。例えば、図15Dに示すように、5つの測定値を有するサンプルSについて、第1のトルク値Γ1と、4つの後続のトルク値Γ2からΓ5とを比較することができる。サンプルSは、任意の好適な数の測定値(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10またはそれ以上)を含むことができる。サンプルサイズが2である場合、図15Dの方法は、図15Cに関して上述した方法を本質的に書き換える。図15Dに関して、コントローラ20は、第1のトルク値Γ1がサンプル中の最大値である場合に、トルク制限命令を発することができる。例えば、いくつかの実施形態では、コントローラ20は、Γ1がサンプル中の最大値である場合に(例えば、Γ1が図9DのΓ2、Γ3、Γ4およびΓ5よりも大きい場合に)、モータ12を減速および/または停止させることができる。サンプルSの測定は連続的であり得、任意の好適なサンプル間隔Iで測定することができる。
【0123】
図15Eは、トルクのパーセンテージ低下が閾値パーセンテージ(パーセンテージフィルタとも呼ばれる)以下であることを判定することによって、変曲点に達したか変曲点を超えたことを識別する方法を示す。図15Eに示すように、パーセンテージの計算は、トルクの閾値低下値が測定された場合に始動され得る。いくつかの実施形態では、任意の好適な閾値が認識されるが(例えば、前述の範囲外の値)、閾値低下値は、約5N-cmであり得る。いくつかの実施形態では、測定値が閾値低下値以上である場合、測定値または閾値低下値のいずれかを使用してパーセンテージ低下を計算することができる。パーセンテージ低下がパーセンテージ閾値低下値以下である場合、コントローラ20は、モータ12を減速および/または停止させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、トルクの測定された低下が閾値低下値以上であり、測定された低下または閾値低下値から計算されたトルクのパーセンテージ低下が閾値パーセンテージ以下である場合、コントローラ20は、トルク制限命令を発してモータ12を減速および/または停止させることができる。
【0124】
パーセンテージ閾値は、公差域内の変曲点のピークと、生じる可能性がある他の低い値のピーク(例えば、誤ったまたは一時的なトルク値から生じるピークおよび/または図8A図8Bおよび図8Cの初期段階と第1段階との間のピーク)とを区別するのに役立ち得る。例えば、いくつかの実施形態では、閾値低下値およびパーセンテージ閾値は、それぞれ5N-cmおよび10%に設定することができる。このような実施形態では、例えば60N-cmのピーク値から5N-cmの低下が測定された場合、パーセンテージ低下は約8.3%になるであろう。この場合、測定された5N-cmの低下が閾値低下値以上であり、計算された8.3%のパーセンテージ低下がパーセンテージ閾値以下であるため、コントローラ20は、トルク制限命令を発してモータ12を減速および/または停止させることになる。しかしながら、同じ例では、例えば30N-cmのピーク値から6N-cmの低下が測定された場合、パーセンテージ低下は約20%になるであろう。この場合、測定された6N-cmの低下が閾値低下値以上であっても、計算された20%のパーセンテージ低下がパーセンテージ閾値以下ではないため、コントローラ20はトルク制限命令を発しないことになる。いくつかの実施形態では、閾値低下値およびパーセンテージ閾値は、サンプルトルク曲線(例えば、統計的に有意なトルク曲線のサンプル)のコンパイレーション(compilation)の解析から確立することができる。いくつかの実施形態では、パーセンテージ閾値が満たされたかパーセンテージ閾値を超えたかどうかをも計算することなく、トルクの測定された低下が設定された閾値低下値以上である場合に、コントローラ20はトルク制限命令を発することができる。
【0125】
ハイブリッド機能
スクリュードライバ100のいくつかの実施形態は、電動状態および手動状態を有するスクリュードライバである「ハイブリッド」スクリュードライバとして動作するように構成される。電動状態では、モータ12はドライバヘッド104に動力を供給し、それによってスクリューを駆動することができる。手動状態では、ユーザ(例えば、外科医)は、手動でスクリュードライバ100を回転させ、それによってスクリューを駆動することができる。いくつかの実施形態では、外科医は、外科医の特定の必要性および/または処置の要求に応じて、外科処置中に自動化と手動操作とを容易に切り替えることができる。
【0126】
例えば、一部の外科医は、患者の骨にスクリューを手動で挿入し始めることを好む。したがって、スクリュードライバ100は、ユーザがスクリュードライバ100を手動モードに設定できるように構成することができる。これにより、ユーザはさらに制御性を感じることができ得、および/またはスクリューの適切な位置合わせを容易にすることができる。外科医は、スクリューが骨内で適切に位置合わせされ、スクリューの初期量が挿入されたことを確認した後、スクリューの大部分を挿入するように、電動モードに切り替えて骨にスクリューをさらに押し込むことができる。これにより、外科医の全体的な作業負荷を軽減し、外科医の負担を軽減し、スクリュー頭部を崩す可能性を低減することなどが可能になる。
【0127】
スクリュー挿入域の例を図16に示す。示されるように、スクリューは、「手動域」および「電動域」を備えることができる。いくつかの実施形態では、スクリューの開始部分(例えば、スクリューの長さの約30%未満)は、「手動域」を備える。この領域は、外科医がスクリュードライバ100を用いてスクリューを手動で回転させたい場合がある場所である。
【0128】
いくつかの実施形態では、スクリューが「手動域」を越えてある深さまで挿入された後、スクリュードライバ100を電動モードに切り替えることができる。次いで、外科医は、スクリュードライバのモータを使用して、図16に示すスクリューの「電動域」を通ってスクリューを駆動することができる。「電動域」は、スクリューの長さの大部分(例えば、少なくとも約70%)を含むことができる。
【0129】
スクリュードライバ100の実施形態は、多大な労力を省くことができ、および/または他の利益をもたらすことができる。特に脊椎領域では、多くの骨は極めて高密度であり、スクリューを手動でねじ込むには多大な労力を要する。したがって、スクリュードライバ100は、モータがスクリューの駆動に関連する作業の大部分を実行することにより、外科医の疲労、外科医の身体への負担などを軽減することができる。加えて、特に、患者に多数のスクリューを挿入する必要がある場合には、スクリュードライバ100の電動操作により、さらに迅速な外科処置を可能にすることができる。さらに、電動操作を有することにより、(例えば、手動使用中の偶発的な回転によって)外科医が長手方向軸の外側でスクリューを動かし、それによって骨内の穴が広がるか、骨の縁部を損傷するか、スクリューのねじ山を崩すリスクが少なくなる。
【0130】
これは、放射線透視撮像が一般的に使用される処置などの外科処置にとって有利であり得る。開示されたスクリュードライバ100の実施形態を使用することによって、放射性元素に対する患者への暴露、特に子供への曝露を低減することができる。例えば、電動モードを含めることによって、外科処置をスピードアップすることができる。さらに、外科医はこれらの種類の処置を繰り返し実行するため、度重なる放射線曝露を経験している可能性がある。したがって、外科医が透視撮像の放射性元素に曝露される時間を短縮することが有利であり得る。
【0131】
さらに、開示されたスクリュードライバ100の実施形態は上述のトルク制限機能を含み得るため、スクリュードライバを「電動域」の後に手動モードに切り替えることが再び有利であり得る。これにより、患者にスクリューを大部分挿入した後、ユーザがスクリューを最終的に調整することができる。例えば、外科医の意見では、スクリュードライバ100のトルク制限機能がスクリューの挿入を早期に停止させた場合、ハイブリッドスクリュードライバの手動モードによって、外科医がある程度の最終的な手動回転を追加して、患者にスクリューをさらに挿入することが可能になる。
【0132】
いくつかの実施形態では、ラチェット機構を使用して、スクリュードライバ100の電動操作と手動操作とを切り替えることができる。いくつかの実施形態では、ラチェットは、順(例えば、時計回り)方向などの一方向のみで動作する。いくつかの実施形態は、逆オーバーランニングクラッチ機構を含む。いくつかの実施形態では、ダブル駆動ラチェット機構を使用することができる。しかしながら、他のシステムを使用して手動と自動とを切り替えることができ、他の方法は本開示を限定するものではない。ラチェット技術は、感覚を向上させ、外科医が電動および手動装置の利点を高めることを可能にする。
【0133】
いくつかの実施形態では、電動モードから手動モードへの切り替えは、停止部(バー、タブまたは歯など)を挿入して、伝達アセンブリ内のモータまたは任意の中間部品(シャフト、歯車など)の回転を阻止または防止し、それにより、ユーザにスクリュードライバ100を手動で回転させる能力を提供することができる。手動モードから電動モードに切り替える際に、停止部を取り除いて、モータが駆動ヘッド104を回転させることを可能にすることができる。手動モードと電動モードとを切り替えるための特定の方法は限定されず、他の方法も同様に使用することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100のデフォルト設定は手動であり、モータ12がオンになり、電動操作を実行することができるのは特定の機構の動作時のみである。デフォルト設定を手動に設定することにより、スクリュードライバ100は、外科医が意図的にそうすることなく、電動に切り替わることはなくなる。したがって、スクリュードライバ100の意図しない電動操作のリスクを低減または排除することができる。さらに、デフォルトを手動に設定することによって、バッテリが意図せず放電される可能性を低減し、スクリュードライバ100のさらに長い貯蔵寿命を可能にする。しかしながら、他の実施形態では、デフォルト設定が電動操作であってよいことが理解されよう。
【0135】
手動から電動制御(またはその逆)に切り替えるには、様々な方法を使用することができる。例えば、本体102は、押された際にスクリュードライバ100を手動操作から電動操作に切り替える(ボタン106に類似した)ボタンを含むことができる。ボタンが解除されると、スクリュードライバ100は自動的に手動操作に戻ることができる。したがって、外科医が電動モードでスクリュードライバ100を作動させることを望む場合、外科医はボタンを時間全体にわたって押し下げ続ける。このように、外科医が必要に応じて電動モードを迅速かつ簡単に停止させ、外科医に大幅な制御能力を提供することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100を圧力作動させることができ、それにより、スクリュードライバ100の先端が圧力を加えられたことを検出すると、スクリュードライバ100は自動的に回転を開始することができる。
【0136】
スクリュードライバ100を切り替える他の方法も同様に使用することができる。例えば、本体102は、レバー、スイッチ、タッチセンサ、熱センサまたは圧力センサなどの他の作動機構を含むことができる。いくつかの実施形態では、本体102は、電動モードを起動させるために回転させることができる部分を有することができる。上述したように、これらの作動機構では、手動制御のためのデフォルトを設定することが可能であり、作動時にのみスクリュードライバが電動操作に切り替わる。これらのボタン、スイッチまたは他の作動部材の特定の位置は限定されず、外科医が起動させるのに最も簡単になる位置で本体102上に配置することができる。
【0137】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、外科医または外科チームの他の人がアクセスすることができる自己完結型の無線またはBluetoothネットワークを作成することができる。外科医の要求に応じて、外科チームのメンバーが無線ネットワークに接続し、例えば、スマートフォンの画面を押すことなどによって、スクリュードライバ100を電動モードに手動で切り替えることができる。外科チームのメンバーがスマートフォンの画面を解除すると、スクリュードライバ100は手動に戻ることができる。これにより、外科医は、追加のボタンまたは他の作動部材から手を離して、スクリュードライバ100を制御することができる。
【0138】
いくつかの実施形態では、本体102は、「スクリューモード」と「穿孔モード」との間でスクリュードライバ100の電動操作を切り替えるための他の制御機構を含むことができる。これにより、スクリュードライバのトルク制限機能が変更され、外科医の望みに応じて異なる回転速度/出力/トルクが提供される。いくつかの実施形態では、穿孔モードのデフォルトに電力が供給され得、外科医は、アクチュエータをそれ以上押し下げてスクリュードライバ100を電動モードにしなくてもよい。しかしながら、スクリュードライバ100がスクリューモードに切り替えられると、手動操作のためのデフォルトが再度設定される。
【0139】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100を動作させるための電力システムは、特定の条件要件を満たすように電圧および/またはアンペア数を調整することができるバック/ブースト回路を含んでもよい。例えば、トルクが高いほど高いアンペア数を必要とし、速度が速いほど高い電圧を必要とする。これにより、スクリュードライバ100は、スクリュードライバに対して十分な電力を維持しながら、スクリューモードと穿孔モードとを容易に切り替えることができる。
【0140】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、スクリューの第1の部分(例えば、骨に貫入されるスクリューの部分)を駆動する第1の電動モードと、スクリューの第2の部分(例えば、スクリューのセットスクリュー部分)を駆動する第2の電動モードと有することができる。スクリュードライバ100は、スクリュードライバ100が2つのモードを切り替えることを可能にするモードスイッチを含むことができる。例えば、モードスイッチは、2つの電動モード間でドライバの動作パラメータ(速度、トルクなど)を調整することができる。いくつかの実施形態では、モードスイッチは、米国特許第9,265,551号明細書に開示されているように、トルク制限アルゴリズムを起動させることができる。いくつかの実施形態では、モードスイッチは、ボタンまたはスイッチを介するなどして、スクリュードライバ100に配置することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100に無線接続することによってモードを切り替えることができる。さらに、2つ、3つ、4つ、5つまたは6つの異なる電動モードなど、スクリュードライバ100に様々な変更を加えて、複数のモードを含めることができる。
【0141】
スクリューの区別およびマッピング
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100の駆動ヘッド104は、スクリュードライバ100と係合するスクリューの種類を受け入れるか、検出するように構成されてもよい。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100に、スクリューの種類に関連するデータを入力することができる。これは手動で行うことができ、ユーザが入力することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、既製のデータベースにアクセスすることができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、様々なスクリューの種類を適応的に学習することができる。このように、スクリュードライバ100は、患者の体内でのスクリューの回転数を追跡することによって、トルク、あるいは自動から手動および逆転への切り替えなどの様々な特徴を変更することを可能にしてもよい。したがって、スクリュードライバは入力情報に基づいて、その動作を可変的に変更してもよい。
【0142】
スクリュードライバとともに、マーキングを有するスクリューを使用することができる。例えば、図16に示すように、スクリューは、異なるゾーン(例えば、手動域および電動域)を示すようにマーキングされてもよい。いくつかの実施形態では、スクリューの最初の30%をある色(例えば赤色)に着色することができ、スクリューの残りを異なる色(例えば緑色)に着色することができる。したがって、マーキングは、電動モードに切り替わる危険性が低い時について、ユーザに視覚的合図を与える。例えば、スクリューを駆動して緑色のみが見え、問題が感じられなければ、スクリューが適切に位置合わせされている可能性が高い。いくつかの実施形態では、太い線のマーキングによって、2つの領域間の差を示すことができる。いくつかの実施形態では、スクリューを電動域で使用するのが安全である場合、スクリュードライバは音もしくは光または他の合図を発してもよい。
【0143】
上述したように、特定のスクリュードライバは、特定のスクリューの種類のための固定トルク値を含む。例えば、3mmのスクリューの場合、スクリュードライバ100は、その種類のスクリューとスクリューが挿入される特定の種類の骨とに特有の値に設定されたトルク制限を含むことができる。3種類のスクリュー(例えば3mm、4mm、5mm)を受け入れ駆動するように構成されたスクリュードライバ100の場合、スクリュードライバ100は3つのトルク制限値を含むことになる。値は、各基板を用いた各スクリューの種類に対する実験によって決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、3種類のスクリュー(例えば、3mm、4mmおよび5mm)を装置にマッピングして、各種類のスクリューに固有の挿入測定値を確立することができる。実際、いくつかの実施形態では、装置に適合する任意の種類のスクリュー(例えば、顧客固有のスクリュー)を装置にマッピングして、その挿入測定値を決定することができる。
【0144】
例えば、固定トルク制限の実施形態では、適合するスクリューのトルク制限値(例えば、3mm、4mmおよび5mmのスクリューのトルク制限値)を決定することができる。可変トルク制限の実施形態では、図10から図15Eを参照して以下にさらに詳細に説明するように、トルク曲線に沿った様々な点に対応する様々な挿入測定値を決定することができる。いくつかの実施形態では、そのようなマッピングによって、固定トルク制限の実施形態および可変トルク制限の実施形態の両方について、多くの種類の適合するスクリューとともに使用するように装置をカスタマイズすることが有利に可能になる。いくつかの実施形態では、そのようなマッピングによって、多くの種類の適合するスクリューが、多くの種類の骨密度(例えば、特に、不均質、均質、健康および/または骨粗鬆症の骨密度など)で、骨プレートに対して最適にまたはほぼ最適に着座することが有利に可能になる。
【0145】
いくつかの実施形態では、既知の基板(例えば、死体骨サンプルおよび/または解剖学的に正確な合成骨サンプル)にスクリューをねじ込み、測定を行って、得られたトルク曲線を決定することによって、スクリューを装置にマッピングする。マッピングプロセス中、骨サンプルは任意の好適な密度を有することができる。いくつかの実施形態では、様々な骨サンプルに、統計的に有意な数の同じ種類のスクリューを押し込んで、その挿入測定値を決定する。得られたトルク曲線から、様々な挿入特性を決定することができる。例えば、いくつかの実施形態では、挿入特性は、初期トルクピーク(例えば、ねじ部が最初に骨サンプルを捕捉する時のトルク)、トルクの谷および/または平滑化事象(leveling event)および/または着座中の最大トルクを含むことができる。図17は、例えば、初期トルクピーク32、平滑化中のトルクの谷34、および着座中の最大トルク36を示す。しかしながら、他の挿入特性も認識される。例えば、椎弓根スクリューでは、例えば、様々な密度の骨サンプルを使用するなどして、密度移行からのトルクの急上昇をマッピングすることができる。
【0146】
いくつかの実施形態では、上述のマッピングから得られたデータは、メモリ24に記憶することができ、使用前および/または使用中に参照することができる。いくつかの実施形態では、挿入測定値は、閾値トルク制限条件として機能することができ、閾値トルク制限条件を満たすか超えると、コントローラ20がトルク制限命令を発してモータ12を減速および/または停止させる。いくつかの実施形態では、マッピングされた挿入特性は、患者の体内に挿入中のリアルタイムのトルク測定値に対する「ガイドレール」および/またはバックアップ測定値として機能することができる。例えば、スクリューの挿入中に、その種類のスクリューに対するマッピングされた挿入特性を使用して、挿入されるスクリューが、マッピングされた挿入特性のパーセンテージなどの特定のパラメータ内にあるかどうかを判定することができる。いくつかの実施形態では、パーセンテージは、プラスおよび/またはマイナス約30%、約20%、約10%、約5%、前述のパーセンテージ間のパーセンテージまたは他のパーセンテージ以下である。特定の実施形態では、マッピングされた挿入特性を使用して、測定データを識別および/または除去することができる。例えば、マッピングされた挿入特性は、高および/または低フィルタとして動作することができる(例えば、マッピングされた挿入特性の範囲外のデータが除去される)。
【0147】
上述したように、スクリューマッピングによって、スクリュー全部が同一ではないために発生する問題に対処することができる。特定の種類のスクリューの適切な着座がどのように見えるか(例えば、特定のトルク曲線の特性に関して)について(例えば、スクリュードライバ100のメモリ内に)基準を保存することによって、スクリューの不適切な駆動を識別し、および/または修正行動を取ることができる。この手法に関連する課題は、現在装置に関与しているスクリューの種類を決定する方法、したがって、メモリ内でどの特徴付けを参照するかを決定する方法であり得る。
【0148】
いくつかの実施形態は、スクリューの着色に基づいて、スクリュードライバと係合しているスクリューの種類を認識するように構成される。図18は、頭部およびねじ部を有するスクリューの特定の例を示し、頭部およびねじ部の色の例を示している。示されるように、左端のスクリューは、青色の頭部とピンク色のねじ部とを有する。特定の実施形態では、スクリュードライバ100は、スクリューの頭部および/またはねじ部の色を判定するように構成することができる。例えば、いくつかの実施形態は、発光ダイオード(LED)照明などの電子色認識を使用する。LEDは、スクリューと係合している装置の部分またはその付近に埋め込むことができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、異なる色(例えば、光の波長)に対して異なる感度を有する複数のフォトレジスタを含むことができる。スクリュードライバ100は、スクリューの頭部および/またはねじ部の色を判定し、その色を使用して、スクリューの種類を識別するように構成することができる。特定の実施形態は、その種類のスクリューの対応するマッピングされたスクリュープロファイル(例えば、トルク曲線)にアクセスするように構成される。スクリュードライバ100は、対応するマッピングされたスクリュープロファイルを使用して、スクリューの駆動を監視し、および/またはスクリューが適切(例えば、マッピングされたスクリュープロファイルと実質的に一致する)または不適切(例えば、マッピングされたスクリュープロファイルと実質的に一致しない)に駆動されているかどうかを識別することができる。
【0149】
図19に示すように、一部のスクリューは、セットスクリュー402を含む。これらのセットスクリュー402は、図20に示すように、固定ロッド404を所定の位置に保持することができる。例えば、セットスクリュー402は、スクリュー頭部に対してロッド404を締め付けることができる。セットスクリュー402は、治療的「融合」機能を実際に実行している固定ロッド404を固定および/または支持することができる。ロッド404は、スクリュー頭部にロッド404を押し付けるセットスクリュー402によって、所定の位置に保持されてもよい。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、セットスクリュー402の適切な着座を識別するように構成される。例えば、スクリュードライバ100は、所与のトルクに締め付けるモードスイッチ、機械的トルク制限ラチェットオプション、または本明細書に開示されたトルク制限方法の実装を有して、セットスクリュー402の適切な着座を識別することができる。
【0150】
実施形態は、堅いスクリュープレート構造を形成し、CMF固定プレートなどとともに一般的に使用されるスクリューバックアップのリスクを軽減するように設計された「スマートロック」固定スクリューに特定のトルクを設定することができる。さらに、実施形態を使用して、脊椎固定用セットスクリューに特定のトルクを設定し、脊椎椎弓根スクリューに特定のトルクを設定し、四肢固定用スクリューに特定のトルクを設定し、CMF固定スクリューに特定のトルクを設定することができる。
【0151】
図21から図23は、スマートロックスクリュー500の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、スマートロックスクリュー500の頭部502は、固定プレートにロックするように設計され得る、異なるねじ部の種類と、多くの場合比較的大きな直径とを有することができる。外科医は、スクリューを駆動するために大部分で電力を使用し、手動のトルクレンチを使用して図22に示す固定プレート504にスクリューを「ロック」してもよい。本開示のいくつかの実施形態では、スマートロックスクリュー500は、特定のトルク値までプレート504内に押し込まれ、ロックされ得る。したがって、本開示の実施形態は、特定の所定のトルク値(単数あるいは複数)で、プレート504にスマートロックスクリュー500をロックすることができる。
【0152】
無効(override)機能
スクリュードライバ100のいくつかの実施形態は、ユーザが、コントローラ20によって決定されたトルク制限を無効にすることを可能にする。これは、スクリューがプレート上に着座する前に偶然停止した場合など、ユーザがスクリューの停止を無効にすることを可能にすることによって有益となり得る。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、スイッチ、ボタンなどの無効入力部を含む。オーバーライド入力部は、コントローラ20に無効信号を送信するように構成することができ、無効信号は、スクリュードライバによるスクリューの回転のコントローラによる停止を無効する。
【0153】
上述したように、無効入力部の特定の実施形態は、プレートに対するスクリューの着座を容易にすることができる。場合によっては、スクリューを配置する際に、スクリュー頭部は骨プレートの「盛り上がり」を維持する(例えば、スクリュー頭部の底面はプレートの上面および/または合わせ面から離間したままである)。これにより、骨に対するプレートの取り付けの安全性が低くなり得、治癒を阻害または防ぎ得、および/または患者に不快感を引き起こす可能性がある。盛り上がったスクリューの修復を補助するために、またはその他の理由のために、無効入力部は、ユーザがスクリューを増分量回転させ、それによりスクリューを骨にさらに押し込み、プレートにスクリューをさらに十分に(または完全に)着座させることを可能にする。特定の実施形態では、無効入力部はトルク制限機能を一時的に無効にし、モータ12に一部または全部の利用可能な電力を送って、増分回転を実行させる。様々な実施形態では、無効入力部の起動は、少なくとも約45°、約90°、約135°、約180°、約270°、約360°、約540°、約720°、前述の値の間の値などのスクリュードライバビットの付加的な増分回転運動を提供する。
【0154】
特定の実施形態では、無効入力部が起動する(例えば、押下される)たびに、無効機能を関与させることができる。例えば、いくつかの実施形態では、無効入力部の各起動に対して無効を許容し、および/または許容された無効数を制限しない。特定の実施形態では、限られた数の無効のみが許容される。例えば、いくつかの実施形態では、1つの無効のみが許容され、その後、追加の無効入力は無視される。いくつかの実施形態では、無効入力部は、無効入力部の各起動について、スクリューを所定量(例えば、約1回転、約1/2回転、約1/4回転、前述の値の間の値または他の値)回転させるように構成される。
【0155】
いくつかの変形例によれば、無効入力部の起動は、無効入力部の追加の起動を必要とせず、一定期間にわたりスクリュードライバ100の無効動作を許容する。これにより、無効入力部を繰り返し起動させることを必要とせず、無効期間中に他の入力部(例えば、スクリューを順方向または逆方向に駆動する制御部)の便利な操作を容易にすることができる。例えば、無効ボタンまたは他の入力装置を押下するか、他の方法で起動させて、無効期間を開始することができる。この無効期間中に、(例えば、上述のトルク制限機能によって)そうでなければ阻止または防止されていたであろう1つ以上の動作が実行され得る。いくつかの実施形態では、無効期間は、少なくとも約5秒、約10秒、約30秒、約1分、約2分、約5分、前述の値の間の値などであり得る。
【0156】
無効機能を起動および/または制御するための様々な無効入力装置および方法が企図される。例えば、特定の実施形態では、無効機能は、ボタンまたはボタンの組合せを係合させる(例えば、押下および/または長押しする)ことによって起動する。いくつかの変形例は、無効機能を起動させる専用ボタンを含む。無効入力装置の特定の実施形態は、スイッチ、ロッカー、スライド、近接センサ、タッチスクリーンなどを含む。様々な実施形態は、ユーザに(例えば、触覚、視覚および/または可聴)フィードバックを提供することができる。
【0157】
いくつかの実施形態は、異なる無効機能を提供するために複数の位置に移動可能な調整可能な無効入力装置を含む。例えば、入力装置は、許容される異なる動作および/または異なる無効期間など、異なる無効機能をそれぞれ有し、複数の位置を有するボタン、スライダまたはスイッチを備えることができる。
【0158】
いくつかの実施形態では、調整可能な無効入力装置は、様々な位置の間で回転することができるホイールまたはダイヤルを備える。例えば、ホイールまたはダイヤルは、少なくとも約45°または少なくとも約90°離れているような、回転可能に離れて配置されたいくつかの(例えば、2つ、3つ、4つ、5つ、6つまたはそれ以上の)位置を有することができる。スクリュードライバ100は、ダイヤルまたはホイールの位置を検出し、ダイヤルまたはホイールの増分回転に関連してほぼ等しいか、それよりも少ないか、それよりも多いか、それ以外の、スクリュードライバビットまたはモータ12の増分回転を提供するように構成することができる。特定の変形例では、スクリュードライバビットの増分回転は、ホイールまたはダイヤルの回転に比例する。いくつかの様々な実施形態では、ユーザは、ホイールまたはダイヤルを回転させている間、例えば90°の増分ごとに、明確な「クリック」または戻り止めなどの触覚または可聴フィードバックを受け取る。
【0159】
特定の実施形態は、複数の位置を有するダイヤルまたはホイールを有する。例えば、ホイールは、それぞれ約90°離れて配置された3つの位置を有することができる。いくつかのそのような実施形態では、ダイヤルまたはホイールが第1の位置に配置されると、スクリュードライバ100は、第1の増分回転(例えば、約90°)を提供する。ダイヤルまたはホイールが第2の位置に配置されると、スクリュードライバは、第2の増分回転(例えば、約180°)を提供する。ダイヤルまたはホイールが第3の位置に配置されると、スクリュードライバは、第3の増分回転(例えば、約270°)を提供する。
【0160】
いくつかの実施形態では、無効入力装置は、スクリュードライバ100のビットの回転方向を制御する。これにより、無効入力装置は、スクリューが順方向または逆方向に駆動されているかどうかを制御することができる。特定の変形例では、スクリュードライバ10は、無効入力装置が第1の位置にある際にスクリューを順方向に駆動し、無効入力装置が第2の位置にある際にスクリューを逆転させる。いくつかの実施形態では、無効入力装置はホイールまたはダイヤルであり、スクリュードライバビットの回転方向は、ホイールまたはダイヤルが回転する方向と同じである。
【0161】
脊椎への適用
上述のスクリュードライバの実施形態は、脊椎に対する椎弓根スクリュー挿入の特定の適用を有することができる。上述のトルク制限およびハイブリッド適用は、以下に説明する脊椎への適用に関して使用することができるが、トルク制限およびハイブリッド適用は、他の種類の組織/材料/構造とともに同様に使用することができ、ひいては、異なる種類の材料を区別することができる。
【0162】
スクリューを適切に配置することにより、患者の脊椎領域の損傷を防ぐことができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、上述のソフトウェアおよびハードウェアなどのシステムを含むことができ、これらは、スクリューが不適切な領域、例えば、脊椎の不適切な領域に配置されていることをユーザに警告することができる。スクリュー配置の一例を図24Aから図24Bに示す。特に、脊椎椎弓根スクリューは正確な配置を必要とすることがある。適切に配置されたスクリューを図24Aに示し、不適切に配置されたスクリューを図24Bに示す。
【0163】
患者の脊椎上で動作する際に、スクリューは、高密度の皮質骨302を最初に通過し(高いトルクを使用して通過する)、低密度の内側海綿骨304内に移動する(低いトルクを使用して通過する)。海綿骨304内に入ると、スクリューが皮質骨302の別の層を通過することは望ましくない。これは、図3Bに示すように、スクリューの位置がずれているか、脊髄を過ぎて通過しようとしていることを意味し得る。したがって、ユーザが、スクリューが皮質骨を通過しているかどうか(スクリューの位置がずれている可能性が高い)を知ることは有利であり得る。
【0164】
したがって、スクリュードライバ100の実施形態は、例えば、脊髄を取り囲む皮質骨302に当たる(例えば、海綿骨304から出る)ことによるトルクの早期急上昇があった場合に、ユーザに通知することができる上述のトルク制限などの検出システムを有することができる。例えば、スクリュードライバ100は、スクリュードライバ100を使用しているユーザに、音声または視覚的指示を提供することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、皮質骨に当たると変化し得る音声または視覚インジケータを実質的に常に提供することができる。いくつかの実施形態では、早期急上昇が発生すると、スクリュードライバ100の駆動ヘッド104への電力を自動的に遮断することができ、その結果、あらゆる駆動/穿孔動作が停止することになる。スクリュードライバ100は、この機能をオンまたはオフにするアクチュエータを含むこともできる。いくつかの実施形態では、開示された検出システムは、皮質骨の破損に起因してトルクの突然の増大または低下がある場合(例えば、現在のトルクからの1%超の変化、5%超の変化、10%超の変化または20%の変化)(または(例えば、現在のトルクからの約1%超の変化、約5%超の変化、約10%超の変化または約20%超の変化)、電力を遮断し、および/または視覚的/聴覚的指示を提供することができる。いくつかの実施形態では、実行される処置または手術の種類に応じて、ユーザが手動でトルク制限を設定することができる。
【0165】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、スクリュードライバからのフィードバックに基づいて、スクリューがどの種類の骨に入っているかを示す視覚的インジケータを含むことができる。例えば、スクリュードライバ100は、皮質骨の場合には赤色の光を生成し、海綿骨の場合には緑色の光を生成することができる。いくつかの実施形態では、骨の種類に基づいて、スクリュードライバ100によって異なる音が生成されてもよい。さらに、上述したようなスクリュードライバ100に接続された任意の視覚システムが、スクリュードライバ100が入っている骨の種類の表示を提供してもよい。しかしながら、特定のインジケータに限定されるものではない。
【0166】
上述したように、椎弓根スクリューを駆動する最も危険な部分の1つは、例えば、神経または硬膜嚢(thecal sac)に当たるリスクのために、駆動の約30%の初期段階にあり得る。したがって、ユーザ(例えば、外科医)は、ハイブリッドスクリュードライバとともに上述したように手動のスクリュー締めを使用することができる。このプロセスはゆっくりとした注意深いものであり、ユーザへの感覚を伴う。図25に示すように、脊柱702と外側椎骨704との間の隙間は、スクリューの移動の初期では非常に狭い。この時点で脊柱骨の皮質の破損が起こる可能性が最も高く、そうした破損によって重篤な合併症が引き起こされる可能性がある。「脊柱の破損」という句は、「椎骨を出る」ことを意味し得る。ドリルまたはスクリュー設置の失敗は、脊柱が破損したことを必ずしも決定づけるものではない。むしろ、脊柱の破損には、第2の皮質層を横切るスクリューまたはドリルブレードが関与する。これは、経路が椎骨内で終了しないことを示す場合がある。ユーザは、開示されたスクリュードライバ100の特定の実施形態を使用して、この狭い隙間を通して、スクリューを手動でゆっくりと注意深く駆動することができる。いくつかの実施形態では、スクリューの先端が神経を触れずに通過した後、ユーザは、スクリューの移動の残りの部分(例えば、少なくとも約70%)のために、および/またはスクリュー頭部を着座させるために、および/またはトルク制限機能を適用するために、スクリュードライバを電動モードに切り替えることができる。
【0167】
基板の識別および/または区別の概要
いくつかの実施形態では、特に脊椎への適用では、スクリュードライバ100によってデータ入力(例えば、スクリュー挿入手順の一部または間中に実行された測定)を使用して、特定の判定を行うことができる。例えば、スクリュードライバ100は、データ入力を使用して、スクリューが押し込まれている異なる種類の組織を区別および/または識別するように構成することができる。これは「組織区別」と呼ぶことができる。以下に脊椎への適用に関して説明するが、他の目的のために組織区別を使用できることが理解される。
【0168】
データ入力は、例えば、モータ電流および/または速度によってもたらされ得るが、トルク測定の他の方法も同様に使用することができる。いくつかの実施形態では、データ入力は測定されたトルクを含み、測定されたトルクは、スクリュードライバ100によって供給されるトルクから導出されるデータであり得るか、スクリュードライバ100によって供給されるトルクを示すデータであり得る。いくつかの実施形態では、データ入力は電流および/または電圧測定値を含み、アルゴリズムを使用して入力値をトルク値に変換することができる。
【0169】
以下にさらに詳細に説明するように、いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、データ入力および/またはデータ入力の変化を使用して、スクリュードライバ100がスクリューを押し込んでいる特定の材料の種類を判定することができる。例えば、スクリュードライバ100は、データ入力および/またはデータ入力の変化に基づいて、スクリューが軟組織または骨に押し込まれているかどうかを識別するように構成することができる。さらに、スクリュードライバ100は、データ入力および/またはデータ入力の変化に基づいて、異なる軟組織または異なる骨の種類(例えば、皮質骨および海綿骨)を識別するように構成することができる。
【0170】
いくつかの実施形態では、データ入力および/または判定を使用して、スクリュードライバ100の動作を調整することができる。例えば、アルゴリズム(例えば、離散性のトルク解析アルゴリズム)がデータ入力を使用して、スクリュードライバ100のスクリュー挿入速度を管理することができる。アルゴリズムを使用して、電圧、電流、ビットの回転速度および/またはモータに供給される電力など、スクリュードライバ100の他の特性/機能を調整することができる。いくつかの実施形態では、測定されたトルクおよび/または測定されたトルクの変化を使用して、スクリューの駆動を制御する、例えば、モータの動作を停止させる、スクリューの駆動速度を変更する、または他の変更を行うことができる。これは、上述のトルク解析アルゴリズムと同様であり得る。
【0171】
いくつかの実施形態では、トルクの変化をユーザに提示する(例えば、示すか、表示する)ことができる。例えば、スクリュードライバ100の実施形態は、スクリューが特定のトルク範囲で駆動されていること、および/またはスクリューが特定の組織層または種類内で駆動されていることを示す1つ以上のインジケータ、例えば光または音を含むことができる。例えば、第1のインジケータは、スクリューが第1の組織の種類および/または層に押し込まれている場合に起動し得、第2のインジケータは、スクリューが第2の組織の種類および/または層に押し込まれている場合に起動し得る。スクリュードライバ100は、スクリューに加えられているトルク、スクリューが押し込まれている組織の種類などの特定の情報を表示するディスプレイ(例えば、電子スクリーン)を含むことができる。ディスプレイは、スクリュードライバ100上に直接配置されてもよく、またはスクリュードライバ100が、例えば無線接続または有線接続されているテレビ画面またはモニタなどの別の接続された視覚装置を介してもよい。
【0172】
以下に詳細に説明するように、トルクおよび/またはトルクの変化は、多数の異なる方法で測定することができる。例えば、トルク測定は、スクリュー挿入手順の一部または全部の間(および一定してまたは一定せず)に行うことができる。いくつかの実施形態では、ユーザに連続測定間の変化を提供することができる。いくつかの実施形態では、測定されたトルクが特定の範囲を超えているか閾値を超えた場合に、ユーザに警告が提供される。この閾値は、例えば、特定の手順のために、ユーザがスクリュードライバ100に特定のトルクプロファイルを入力することによって生成されてもよい。例えば、トルクプロファイルは、椎弓根スクリューの挿入のためのものであってよく、その特定の手順のために予めプログラムされた閾値を含んでもよい。さらに、トルクまたはトルクの他の態様の変化、例えば、トルク測定値の一次微分または二次微分をユーザに提供してもよい。
【0173】
スクリュードライバ100は、様々な用途および環境で組織区別を使用することができる。例えば、スクリュードライバ100は、脊椎整形外科手術中に、異なる組織の種類を区別および/または識別するように構成することができる。脊椎整形外科手術の一種には脊椎固定処置(または「融合」)があり、脊椎固定処置では、椎骨が確実に接続されるか、椎弓根スクリューによって椎骨に固定されたロッドまたはプレートなどとともに椎骨が確実に接続される。
【0174】
椎弓根スクリューは、図26に示すように、椎骨708内の狭い椎弓根チャネル706を通って駆動され得る。このチャネルは、約15mmにわたって横切ることができるが、この測定値に限定されるものではない。図24Bに関して示し上述したように、椎弓根スクリューなどの対象物が脊柱を取り囲む皮質骨を破損すると、皮質の破損が生じる可能性がある。皮質の破損が起こると、スクリューが椎間孔に貫通し、脊椎の神経根を損傷し、患者に有害な結果をもたらす可能性がある。それぞれ図27から図28に示すように、破損は、前方および側方の破損など、多数の異なる方向に起こる可能性がある。
【0175】
スクリュードライバ100の様々な実施形態は、破損方向にかかわらず、皮質の破損を低減または回避するように構成される。例えば、スクリュードライバ100は、前方方向(図27参照)、側方方向(図28参照)および/または内側方向の破損を阻止または防止するように構成することができる。前方および側方の破損はかなり一般的であり得、疼痛、神経損傷など、患者に重大な結果をもたらす貫通が生じることがある。いくつかの適用では、椎弓根破損は内側方向で起こることが多い(例えば、内側の約74%に対して側方の26%)。しかしながら、T3-T8椎骨に関連するいくつかの適用では、破損は側方方向でさらに頻繁に起こり得る(例えば、側方の92%に対して内側の8%)。
【0176】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、皮質の破損が起こりそうであることを示す特性を識別するように構成することができ、破損を阻止または防止するために作動し、それにより椎弓根スクリューの配置に関連するリスクを著しく軽減することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、トルク曲線またはプロファイルを使用して、破損が起こりそうであるか破損が起きていることを識別し、椎間孔を取り囲む皮質骨が完全に貫通する前に応答して作動する(例えば、スクリューの駆動を停止させる)ことができる。いくつかの実施形態では、スクリューの先端が椎間孔を取り囲む皮質骨を完全に貫通する前に、モータ12を減速、変更および/または消勢し、それによって脊椎の傷つきやすい構造に対する損傷の可能性を低減することができる。
【0177】
図29は、挿入中の椎弓根スクリューの概略図である。図中の大きな矢印はスクリュー経路を表す。示されるように、スクリューは、外側椎骨を取り囲む皮質骨を通って、内側の組織層を構成する海綿骨に達する。皮質骨は海綿骨よりも硬いため、スクリュードライバ100は、例えば、高いトルク値から低いトルク値へのトルクの変化を検出し得る。
【0178】
様々な実施形態では、スクリュードライバは、トルク値または変化と、組織の種類または組織の種類の変化とを相関させるようにプログラムまたは構成することができる。例えば、図29の実施形態では、スクリュードライバは、トルクの低下と、皮質骨から海綿骨を通過するスクリューとを相関させることができる。いくつかの実施形態では、ドライバは、ユーザ入力を介するなどして、様々な動作パラメータを受信する。例えば、ドライバは、挿入中にスクリューが遭遇する可能性がある組織の種類の数および/または順序、それらの組織の種類の対応するトルク値および/またはそれらの組織の種類間のトルク変化を受信することができる。
【0179】
図30は、誤って配置され、皮質骨に衝突する軌道上にある図29の椎弓根スクリューの模式図を示す。この場合も先と同様に、図中の大きな全体的に垂直な矢印は、スクリュー経路を表す。示されるように、脊椎構造は、3つの組織域と、その間の2つの移行部とを含むことができる。まず、スクリューは、外側椎骨を取り囲む外側皮質骨の第1の層に遭遇してから、内側組織層を構成する海綿骨の層への第1の移行部に遭遇する。スクリューは、引き続き挿入されると、脊柱を取り囲む皮質骨の第2の層への第2の移行域に遭遇し得る。一般に、脊柱自体の内部の組織の意図しない損傷を避けるために、皮質骨の第2の層を完全に破損する手前でスクリューを停止させることが有利である。したがって、スクリューを駆動する際に、スクリュードライバ100によって2つの異なる移行域を検出することができる。高いトルクから低いトルクへの第1の領域(例えば、皮質骨から海綿骨への移動)、続いて低いトルクから高いトルクへの第2の移行域(例えば海綿骨から皮質骨への移動)。
【0180】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、スクリューが第2の皮質骨層に貫入し始めたことを検出し、それに応答して動作するように構成される。例えば、スクリューが第2の皮質骨層に貫入し始めていると判定したことに応答して、スクリュードライバ100は、例えば、1、2、3、4またはそれ以上の一定の回転数の後などに、モータを停止させる(例えば、電力遮断する)ことができる。
【0181】
上述の説明は、皮質の破損を減少させる状況で使用するためのスクリュードライバ100の例に関連するが、スクリュードライバ100は、他の状況でも使用することができる。スクリュードライバ100の様々な実施形態を使用して、他の組織および組織移行域を特徴付けることができ、特定の組織または移行域に限定されるものではない。したがって、スクリュードライバ100は、外科手術および非外科手術の両方の無数の用途に合わせて構成することができる。
【0182】
基板の識別および/または区別の例
図31は、10ポンド/立方フィート(PCF)ブロックから20PCFブロック(例えば、低密度の材料から高密度の材料)にスクリューを押し込んだ場合のトルク曲線を示す。使用したスクリューは、複合木材および木材用、スクエアドライブ、タイプ316ステンレス鋼、no.8、2″スクリューであったが、これは単なる実験例である。示されるように、トルク測定値は、10PCFブロックから20PCFブロックへの移行を有する。これは、低密度の海綿質層(一般に10から15PCF)から高密度の皮質層(一般に40から50PCF)に移行するのに類似している。したがって、スクリュードライバは、組織の種類の変化を検出するために、トルクの変化(例えば、スクリューに加えられるトルクの量で約5%、約10%、約15%、約25%、約30%)を使用することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、組織の種類の変化を検出するために、少なくとも約25%、約30%、約35%、約40%、約45%または約50%の変化のようなトルクの勾配の変化を使用することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、上述のように、トルク情報の変化をユーザに伝達し、および/またはモータを遮断するなど、その機能を自動的に変更することができる。
【0183】
図32から図33は、20PCF層、10PCF層および別の20PCF層を備える基板の例を示す。図32では、10PCF層は20PCF層よりも薄い。図33では、10PCF層は20PCF層よりも厚い。示されるように、初期の高トルク領域、それに続く低トルク領域、さらに別の高トルク領域があり得る。したがって、高トルク領域は、皮質の破損に関して上述した皮質-海綿質-皮質手順と同様に、低トルク領域を挟み得る。この場合も先と同様に、スクリュードライバ100の実施形態は、異なるトルク値および/または変化を検出し、そのようなデータと、特定の組織の種類および/または組織の種類間の移行とを相関させることができる。いくつかの実施形態は、トルク値および/または変化、または組織の種類および/または組織の種類間の移行をユーザに提供して、スクリューが組織のどの部分に入っているかユーザが理解できるようにする。いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、第2のトルク増大領域(図32から図33に示す第2の20PCF領域など)を経験した後に、モータを遮断するように構成することができる。
【0184】
図34は、適切に配置された椎弓根スクリューの例示的なトルク曲線を示す。示されるように、椎弓根スクリューは、第1の皮質骨(約45インチオンスに接近する左端の急上昇に示される)と、第2の皮質骨への着座(約100インチオンスに達する右端の急上昇に示される)との2つの高トルク領域を経験し得る。いくつかの実施形態では、第2の急上昇に沿ってトルクが増大するにつれて、モータ12を消勢することができ、第2の急上昇は、スクリューが第2の皮質骨に割り込んでいる際に起こり得る。例えば、スクリューが骨を貫通したことを示し得るトルク値の低下前にモータ12を消勢することができる。
【0185】
いくつかの実施形態では、トルクの区別は、スクリューを着座させるために使用されるのではなく、代わりに、着座が起こる前に使用され得る。例えば、いくつかの実施形態では、トルク曲線の終端部分の前にトルク曲線を使用することができる。トルク曲線の終端部分は、手順中に着座が起こり得る高トルク領域である。この終端部分は、図34の右端の急上昇であり、したがって、トルク解析は右端のピークの前に行われ得る。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、比較的平坦な中央部から第2のピークへの移行時など、第2のピークに先立って、スクリュードライバ100の出力または変更機能を提供することができる。
【0186】
いくつかの実施形態では、着座手順中にスクリュードライバ100のモータ12を停止させて、スクリューのねじ山崩れを回避することができる。しかしながら、いくつかの実施形態では、スクリューの着座前にトルクの区別が行われるため、トルクの区別は、ねじ山崩れを回避するために使用されない。
【0187】
実際のトルク値およびトルク曲線は、トルク、ひいては組織構造の変化を判定するのに有用であるが、それに加えて、または代わりに、トルクの速度または加速度などのトルクの微分を検討することも有益であり得る。いくつかの実施形態では、これは、さらに正確な推定値を提供し、および/または組織の種類、組織の種類の変化、および/または組織の種類内のスクリューの位置を判定するのを助け得る。
【0188】
例えば、いくつかの実施形態では、図31の派生物である図35に示すように、一次微分を使用して、低密度の組織から高密度の組織への貫入を判定することができる。したがって、スクリューが低密度の組織から高密度の組織に移動する際に、微分値は増加し得、この情報がユーザに提供され得る。同様に、図31の派生物である図36に示すように、一次微分を使用して、高密度の組織から低密度の組織への貫入を判定することができる。したがって、一次微分の頂点および谷を使用してトルクの変化を示すことができ、これらはスクリュードライバおよび/またはユーザに関連し得る。
【0189】
二次微分を使用して一次微分の様々な減少および増加を判定することができ、これを用いて、相対密度の変化を定量化することができる。一次微分でははるかに大きな変化(例えば、比較的遅い変化)を有すると予測され得る、著しく低密度の組織から著しく高密度の組織への移行と比較して、類似した組織密度の場合、一次微分の比較的小さな変化(例えば、比較的速い変化)を有することが予測され得る。したがって、具体的な例として、皮質から、椎間孔内の極めて低密度の組織への移行では、二次微分によって捕捉され得る一次微分の予測される急速な減少があり得、二次微分を使用して、極めて高密度から非高密度への移行が起こったことを特徴付けることができる。一方、二次微分を使用して、わずかに高密度の筋肉組織からわずかに低密度の脂肪組織など、あまり顕著でない組織移行を識別することができる。
【0190】
いくつかの実施形態では、スクリューの着座と衝撃(例えば、高密度の骨に当たることによるトルクの増大)とを区別する際に、二次微分を使用することができる。図37は、破損と、スクリューの着座とを示すトルク測定値を示しており、これらは図中の2つのピークによって具体的に示されている。両ピークでは、一次微分の初期スクリュー貫入ピークおよびスクリュー着座ピークが低下している。示されるように、衝撃ピークは、一般にまるみのあるスクリュー着座ピークよりも「鋭い」。したがって、鋭いピーク(例えば、衝撃ピーク)は、まるみのあるピークよりも急速に変化する(例えば、減少する)一次微分を有する。いくつかの変形例では、二次微分を使用して、一次微分の相対変化率を捕捉し、および/またはトルク曲線の「曲率」を特徴付けることができる。これにより、2つのピークの区別、ピークの種類の識別(例えば、衝突ピークに対する着座ピークなど)を可能にすることができる。この機能の例を図37に示す。図に示すように、高密度の皮質骨に衝突するスクリューからの絶対トルクは、スクリュー着座よりもかなり高いように思われる。さらに、衝撃によるトルクの増大率は、スクリュー着座よりもかなり速いように思われる。したがって、一次微分の変化率は着座よりも衝撃の方が速いように思われる。
【0191】
いくつかの実施形態では、二次微分を使用して、様々なスクリューの挙動、例えば、着座と最初のスクリューの貫入とを区別するのを助けることができる。スクリュー着座では、一次微分が増加することが予測され、スクリューの最初のいくつかのねじ部の貫入の後も同様に一次微分が減少すると予測される。二次微分を使用して、これらの2つのスクリュー挙動を区別することができる。二次微分の一例を図38に示す。
【0192】
いくつかの実施形態では、数式などのアルゴリズムを使用して、上述のようにトルク変化を識別することができる。例えば、図39に示す実施形態では、トルクt2がt1よりも大きい場合、スクリューは、高密度である可能性が高い新たな材料に貫入したと判定される。t2でのトルクがt1以下であれば、スクリューは同じ材料内に留まるか、同等であるか、密度の低い可能性が高い新たな材料に貫入したと判定される。いくつかの実施形態では、同じ方程式を使用することができるが、t2>t1+Xなどの追加の明示的な値が含まれ、Xはスクリュードライバ100に予めプログラムされ得るか、ユーザによって追加され得る。したがって、スクリュードライバ100の実施形態は、2つの時間ベースのトルク測定値を使用して、組織間に移行があるかどうかを判定することができる。これらの測定は、数秒、毎秒、またはミリ秒などのさらに短い時間間隔ごとに行うことができ、特定の期間は限定されず、ユーザに伝えることができる。
【0193】
いくつかの実施形態では、連続する低値/高値を使用して、図40から図41に示すように、上方および/または下方への移行と、高密度の組織または低密度の組織とを相関させることができる。したがって、いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、複数の異なるトルク測定値を使用して、組織移行を判定することができる。例えば、スクリュードライバは、2個、3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個または10個の異なる測定値を解析することができる。図Lに示す例では、スクリュードライバ100は、複数(例えば、4個)の連続減少トルク値を使用して、高密度材料から低密度材料への移行を識別することができる。図Mに示す例では、スクリュードライバ100は、複数(例えば、4個)の連続増加トルク値を使用して、低密度材料から高密度材料への移行を識別することができる。連続増加トルク値または連続減少トルク値の使用は、組織移行として検出されるノイズまたは誤差の可能性を低減することができる。
【0194】
本明細書に説明されている数学的方法はいずれも、スクリューの挙動および貫入材料を特徴付ける独立型の方法として使用することができるが、様々な操作方法をバックアップオプションとして使用することもできる。例えば、これらの方法を使用して、一次トルク制御アルゴリズムを検証することができる。
【0195】
例えば、図42に示すように、実時間動作中に参照用に装置のメモリにトルク曲線を「事前マッピング」することは非常に有用である。例えば、材料の複合体に押し込まれるスクリューの統計的に有意なサンプルサイズを測定した場合、それらの曲線の平均表示(mean representation)を抽出し、予測されるトルク経路がどのようなものであるかの基準として使用することができる。これらの「事前マッピングされた」曲線をスクリュードライバ100に導入することができ、そのような曲線に基づいて、モータ速度、および信号の起動など、スクリュードライバ100に対して修正を行うことができる。例えば、トルク曲線が、約1%、約5%、約10%または約20%の範囲外など、事前マッピングされたトルク曲線からの特定のパーセンテージから外れている場合。いくつかの実施形態では、これは移行区間でのみ起こり得る。任意の外科処置の前に、スクリュードライバ100に、この情報を格納することができる。図42の濃色の線に示される平均は、事前マッピングされた曲線から構成されてもよい。
【0196】
事前に解析を行って、この平均経路に沿って材料移行域がどこで起きているかを判定することができ、例えば装置の実際の動作中にデータ入力(例えば、測定されたトルク)曲線がトルク曲線のその区間と類似性を示す場合、それに応じて駆動速度の調整を行うことができる。
【0197】
いくつかの実施形態は、図43に示すように、事前および事後解析のために数学関数および微分を使用する。例えば、トルク軸の垂直シフト(y軸のみのシフト)を伴う類似の形状のトルク曲線が予測され得る異なる密度を有する骨の解析では、数学関数を有するトルク曲線を特徴付け、微分および二次微分をとることが極めて有用であり得る。さらに、異なるトルク曲線から平均トルク2001を決定することができる。
【0198】
例えば、図43では、曲線の集約は、多項式2002を用いて特徴付け、異なる時点の一次微分および二次微分について解くことができる。したがって、トルクが多項式の特定のパーセンテージの範囲外であった場合、ユーザに通知し得るか、例えばモータを消勢するなど、スクリュードライバが機能を変更することができる。これはリアルタイムの深さ測定に特に有用であり得る。例えば、いくつかの実施形態では、トルク曲線はトルク対時間とすることができる。最初のいくつかのねじ部の捕捉中にトルク曲線がどのように見えるか(したがって開始深さをどのように識別するか)が理解されれば、また、(例えば、電圧から測定することができる)スクリューのピッチおよび回転速度を考慮して、スクリューの深さを判定することができる。したがって、いくつかの実施形態では、スクリューの挙動は時間の関数としてだけでなく、スクリューの深さの関数として特徴付けることができ、これにより、マッピングの精度を潜在的に高めることができる。
【0199】
一例として、ロボット支援外科手術は現在、MRIを取得し、それらを使用して、ロボットに取り付けられたツールの動作を制限することができるパラメータを用いてロボットを予めプログラムする。例えば、ユーザが予めプログラムされたパラメータを超えてツールを押し込もうとすると、ロボットは入力を無効にする(例えば、特定の深さを貫入した後に、鋸の深さ軸などの軸に沿った移動を停止させ、過度な切削を防ぐことができる)。同様に、スクリュードライバの実施形態に、患者固有の椎間板の様々な寸法(外側皮質骨から椎間孔までの距離など)をプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、正常なトルク曲線をマッピングすることができ、誤って配置されたトルク曲線は特定の患者の距離単位あたりのように見え、その患者固有の情報を用いて装置をプログラムする。したがって、正確には、特定の深さ(時間の関数として行うことははるかに困難である)において、その特定の患者のトルク曲線から見られると予測されるものを特徴付けることができる。トルク曲線が正常なトルク曲線から変化した場合、スクリュードライバ100のモータ12は遮断され、偶発的な損傷を防止することができる。
【0200】
したがって、いくつかの実施形態では、患者の処置の事前マッピングを使用して、使用前にスクリュードライバ100をプログラムすることができる。例えば、スクリューの貫入深さに近似させ、数学的に正常および非正常なトルク曲線において予測されるものを用いて患者固有の処置を事前マッピングすることにより、スクリュードライバをさらに制御することができる。
【0201】
上述したように、スクリュードライバ100は、スクリューを駆動する間に、一定時間間隔にわたってトルクを離散的に測定することができる。移動平均のような平滑化関数を有する勾配の表を使用して、材料の変化について判定し、トルクの全体的な変化を識別することができる。
【0202】
表B(下の)は、低密度の材料から高密度の材料への特定の組織移行に関するトルク変化を示す。
【0203】
【表2】
【0204】
上の表の値は図44にプロットされており、移行域が識別された場所と時期とを識別する際に、期間10の移動平均であっても勾配が非常に迅速であることを示す。
【0205】
表C(下の)は、高密度の材料から低密度の材料への特定の組織移行に関するトルク変化を示す。
【0206】
【表3】
【0207】
上の表の値は図45にプロットされており、移行域が識別された場所と時期とを識別する際に、期間15の移動平均であっても勾配が非常に迅速であり得ることを示す。いくつかの実施形態では、平滑化関数(例えば、移動平均)を有する勾配の変化率または二次微分を使用して、材料の変化について判定し、トルクの全体的な変化を識別することができる。
【0208】
表D(下の)は、例えば、勾配の変化率または二次微分を検討することによって、特定の組織移行に関するトルク変化と、初期に駆動するスクリューのトルク変化とによる挙動の明確な差を捕捉できることを示す。
【0209】
【表4】
【0210】
上の表の値は、図46のトルク曲線からの勾配計算の期間10の移動平均から計算されている。
【0211】
上の表の値は図47にプロットされており、勾配の変化率を使用して、その他の特性のうち、スクリューがその移動経路内で入っている場所、スクリューが入っている材料の種類を識別することができることを示す。
【0212】
事前マッピングされたトルク曲線に基づいて、スクリュードライバのメモリに絶対トルク値をプログラムして、例えば組織移行域を識別するため、またはスクリュー着座を識別するための挙動の判定を行うことができる。この機能は図48に示されており、一般に水平線は絶対トルク制限である。患者間のあらゆる骨が同じ密度であるわけではないが、変動の大部分は、皮質骨ではなく海綿骨の密度(例えば、骨粗鬆症)にある。したがって、特定のスクリューでは、特定のトルク値をスクリュー挿入プロセスの特定の段階に関連付けることができる。例えば、スクリューの駆動を開始するにはX量のトルクがかかり得、海綿骨から皮質骨などに移行するにはY量のトルクがかかり得る。スクリュードライバ100の特定の実施形態は、そのようなトルク値の検出に応答して挙動を変化させるように構成される。例えば、スクリュードライバ100が、スクリューに加えられるトルクが絶対トルク値に接近した、および/または絶対トルク値を超えたと判定した場合(これはスクリュードライバ100にプログラムすることができる)、スクリュードライバ100は、スクリューの駆動を停止させる、および/またはアラームを発するなどの動作を行うことができる。
【0213】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバは、トルクの材料変化を識別するように構成される。例えば、図49に示すように、いくつかの実施形態では、時間t2のトルクが以前に観測されたX値のトルクよりも大きい場合(または移動平均のような以前の値の平滑化)、スクリューが、高密度である可能性が高い新たな材料の種類に貫入したと判定される。この情報は、可聴または視覚インジケータを介するなどして、ユーザ(例えば、外科医)に伝達することができる。一方、t2のトルクが以前に観測されたX値のトルクよりも小さい場合(または移動平均のような以前の値の平滑化)、スクリューは、同じ材料内に留まるか、密度の低い可能性が高い新たな材料に貫入している。この状況では、いくつかの実施形態では、追加の情報はユーザに提供され得ない。
【0214】
駆動速度を管理するためにトルク解析を使用することの重要な課題は、読み取り値を適切に増感させる(sensitizing)こと、および/またはノイズから信号を抽出することである。これを達成するために様々な平滑法を使用することができ、特定の平滑化手順に限定されるものではない。1つの方法は、トルクの2つの移動平均、高速移動平均および低速移動平均をプロットし、それぞれの相対値を検討してスクリューが現在入っている材料について判定を行うことである。例えば、図50に示すように、期間5の移動平均と期間20の移動平均は、移行域、またはスクリューの挙動の変化(着座、または最初のねじ部の捕捉など)を判定するのに役立ち得る。移動平均は較正することができ、相対値は所望の感度に応じて較正することができる。高速移動平均は、低速移動平均よりも初期トルク急上昇に対して応答性が良くなり得る。したがって、高速移動平均が低速移動平均に十分に接近したか、低速移動平均を超えた場合、それを使用して、スクリューの第1のねじ部が捕捉し、スクリューが能動的に駆動されていることを示すことができる。
【0215】
別の平滑法は、図51に示すように、移動平均からの偏差を測定して移行点を決定する方法である。この式の例は、期間Xの移動平均+/-以前の観測Xの標準偏差である。上方偏差または下方偏差を超える材料偏差は、比較的小さい偏差に過度に感度が高くなくても材料の変化を伝えることができる(これはユーザに提供することができる)。
【0216】
様々な実施形態では、スクリュードライバは、トルク曲線がいつ変化しているかを識別し、そのような変化がスクリュー経路内で何かが変化したこと(例えば、最初のいくつかのねじ部がうまく捕捉したこと、組織移行、スクリュー着座など)を示すことを判定するようにプログラムされる。高速および/または低速移動平均を使用することは、トルク曲線の変化を識別するのに役立ち得る。特定の実施形態では、移動平均値を変化させるなどして、ユーザが感度を変化させる(例えば、較正する)ことができる。
【0217】
トルク微分の使用の詳細
脊椎融合用途または他の用途では、装置のいくつかの実施形態は、スクリュー先端またはスクリュー本体が皮質骨に(例えば、内側、側方または前方に)衝突した時を検出することができる。特定の実施形態は、スクリューの先端が脊柱に貫入する軌道上にある場合など、スクリュー先端またはスクリュー本体が皮質骨に直接衝突した時を検出するように構成される。いくつかの変形例は、図52に示すように、スクリュー先端またはスクリュー本体が皮質骨302をかすめた時を検出するように構成される。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、離散的な電流、電圧もしくはトルク測定値または他のデータから衝撃を検出する。衝突の検出に応答して、スクリュードライバ100は、モータ12に駆動を停止するように信号を送ることができ、および/またはそうでなければスクリューの駆動を停止させ、それにより、傷つきやすい構造(例えば、脊髄内の神経)に対する破損および/または重大な損傷を阻止または防止することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、図53に示すように、スクリュー先端またはスクリュー本体が海綿骨304への適切な挿入軌道上にあることを検出するように構成される。
【0218】
4mmを超える皮質の破損は、特に重篤であると考えられ得、神経学的欠損を引き起こす可能性がある。一方、椎骨T10からL4に配置される特定のスクリューの場合など、4mm未満の範囲の破損は許容可能であり得る。内側2mmおよび側方4mmからの範囲の一部の破損は許容可能であり得る。様々な実施形態では、電動装置は、許容可能な破損深さ内でスクリューの駆動を停止するように構成することができる。特定の破損が段階付けされる(例えば、破損がない場合はグレード0、破損距離が2mm未満の場合はグレード1、破損距離が2mmから4mmの場合はグレード2、破損距離が4mm超の場合はグレード3)。スクリュードライバ100のいくつかの実施形態は、2以下のグレードでスクリューの駆動を停止するように構成される。
【0219】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、離散的な電流値、電圧値またはトルク値を使用して、様々な密度を有する材料間の移行域を識別することができる。いくつかの実施形態では、装置は、コントローラに予めプログラムされた予測される電流、電圧またはトルクのフィードバックに基づいて、材料の種類を識別し、特徴付けるようにプログラムすることができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、電流、電圧またはトルクの読み取り値に基づいて、スクリューが最初に駆動を開始した時(第1のねじ部が捕捉した時)を識別することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、電流、電圧またはトルクの読み取り値に基づいて、スクリューが着座している時を識別することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、コントローラのプログラミングに基づいて、着座するスクリュー、高密度または低密度の基板に衝突するスクリュー、またはその駆動を開始するスクリュー(捕捉する最初のねじ部)を区別することができる。さらに、スクリューが完全に着座した後、ユーザが、スクリュードライバ100内のソフトウェアをリセットした後に、スクリューにさらにトルクをかけようと試みることがある。したがって、スクリュードライバのソフトウェアは、より高い初期トルク値によって、すでに着座しているスクリューの始動トルクと、駆動を開始したばかりのスクリューの始動トルクとを識別し区別することを可能にする機能を含むことができる。これにより、スクリュードライバ100の駆動を継続して、すでに着座しているスクリューのねじ山を崩すのを防止することができる。
【0220】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、電流および電圧の読み取り値ならびにコントローラにプログラムされた情報に基づいて、スクリュー先端が現在貫入している基板を識別することができる。いくつかの実施形態では、装置は、スクリューが予めプログラムされた予測値で駆動している間に、電圧、電流またはトルクの読み取り値を比較して、スクリューが現在入っている材料の種類を識別することができる。
【0221】
様々な実施形態は、駆動動作中にスクリューの状態を判定するように構成される。例えば、いくつかの実施形態は、スクリューが海綿骨などの組織に(例えば、骨プレートまたは他の構造に対して)着座している時を判定するように構成される。特定の変形例は、スクリューが、皮質骨などの他の種類の組織に遭遇する(例えば、押し込まれ始める)時を判定するように構成される。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、トルク曲線などのデータ入力の曲線のパラメータに基づいて、判定を実行することができる。例えば、曲線の形状または勾配に基づいて判定を行うことができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、損傷をもたらす可能性がある動作(硬質皮質骨に当たるスクリューの先端など)とスクリュー着座との間など、異なるトルク曲線間を自動的に区別することができる。スクリュードライバ100の実施形態は、トルク曲線に基づいて、動作パラメータを変更することができる(例えば、モータ動作を停止または継続する)。例えば、スクリュードライバ100は、Xのトルク値で停止することができる。Xは、ユーザによって設定されてもよく、スクリュードライバ100の構成要素に含まれてもよい。したがって、停止は電子的または機械的に設定することができる。トルク値(nm、インチオンスなど)は、例えばルックアップテーブルまたは数式を使用して、所与の電流、電圧および/または電力を変換することによって決定することができる。
【0222】
例えば、図54Aおよび図54Bは、スクリューの先端が硬質皮質骨に遭遇した場合のトルク曲線(左)と、スクリューが着座している場合のトルク曲線(右)とを示し、各図は異なるトルク時間値t、tおよびtを示す。図54Aに示すように、硬質皮質骨に当たると、トルクは一般的な線形の様式で増大する。しかしながら、図54Bに示すスクリュー着座中に、トルクは、非線形および/または概ね指数関数的に増大し得る。スクリュードライバ100の実施形態は、このようなトルクの変化を区別することができる。スクリュードライバ100の様々な実施形態は、線形、非線形(例えば、指数関数的)または他のトルク曲線を区別することができる。いくつかの実施形態では、トルクの変化率は、スクリューが着座している場合よりも、硬質皮質骨に遭遇した場合の方が大きい。例えば、tとtとの間の勾配は、硬質皮質骨に遭遇した場合に、スクリューが着座している場合のtとtとの間の勾配よりも大きくなり得る。
【0223】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100の1つ以上の動作パラメータは、上述したように、曲線が線形であるか非線形であるかなど、決定されたトルク曲線の種類に基づいて変化し得る。例えば、スクリューが硬質皮質骨に遭遇すると(その一例が図54Aに示されている)、スクリュードライバ100は、曲線が概ね線形であることを認識することができる。これに応答して、スクリュードライバ100は、骨を損傷しないように、スクリューの駆動を停止させることができる。対照的に、スクリュー着座動作では(その一例が図54Bに示されている)、スクリュードライバ100は、曲線が概ね非線形であることを認識することができる。これに応答して、スクリュードライバ100は、本明細書で開示されるように、トルク制限基準が満たされるまで駆動を継続することができる。
【0224】
スクリュードライバは、アルゴリズムに基づいて異なるトルク曲線を区別することができる。例えば、X個の連続増加値、および(t-t)/t>Y%でトルク値が存在する場合(XおよびY%はユーザによって選択および設定され得る)、モータ12は電力遮断され得る。いくつかの実施形態では、図54Aから図54Bに示すように、硬質皮質骨による衝撃は比較的急激に増加するため、Y%値は、通常、比較的緩やかな増加を有するスクリュー着座の場合よりも大きくなり、その結果、スクリュードライバのモータの両停止条件を満たさない。様々な実施形態では、本開示で説明されるアルゴリズムおよびプロセスは、スクリュードライバ100のコントローラ(例えば、メモリと動作可能に結合されたプロセッサ)によって実行され得る。
【0225】
適応トルク制限
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、適応トルク制限機能を組み込むことができる。これらの機能は、例えばスクリューまたはドリルビットとともに使用して、密度区別解析を実行することができる。上述したように、スクリュードライバ100は、スクリューおよび/またはドリルビットを駆動するように構成することができる。例えば、スクリュードライバ100は、ドリルビットを回転させて骨に打ち込み、穴を形成することができる。穴からドリルビットを取り外し、スクリューを挿入することができる。
【0226】
図55は、模擬椎骨を穿孔することによって生成される様々な例示的なトルク曲線を示す。試験1から5の値は、椎骨の外側皮質層を突破する際の初期トルクピークを示す。低密度の海綿質層を通って移行するにつれて、トルクは低下し、水平になる。試験1から5は適切に穿孔された穴を表す。一方、図15に示すように、試験6から10の値は2つのトルクピークを示す。第1のピークは一般に試験1から5のピークと整列するが、第2のピークは後になって出る(試験1から5は、この第2のピークを有しない)。図に示すように、この第2のピークのトルク値は第1のほぼ2倍である。いくつかの実施形態では、第2のピークは、第1のピークの1.5倍、2倍、3倍、またはそれを超える他の値もしくは列挙された値の間の他の値であり得る。第2のピークの特定のサイズは限定されるものではない。この第2のピークは、海綿骨を通って移動した後の第2の皮質層を通る突破を示し、これは通常は望ましくなく回避される。
【0227】
図56は、適切に位置合わせされたドリルビットのトルク曲線を示す。ドリルはトルクピークに達しながら皮質層を通って移動し、海綿骨を通過するにつれて低値に下降する。示されるように、第2の皮質層を突破していることを示す大きな第2のトルクピークはない。したがって、適切に位置合わせされたドリルビットの場合、ドライバはトルクを制限する必要はないが、特定のトルク制限機能を依然として使用することができる。
【0228】
図57は、位置ずれしたドリルビットのトルク曲線を示す。示されるように、2つのトルクピークがあり、第2のトルクピークは第1のピークよりも実質的に高く、ドリルが第2の皮質層を突破していることを示している。図56と比較すると、破損が発生するまで、ドリルは適切に位置合わせされたドリルと同様の経路をたどる。
【0229】
特定の実施形態は、適切に穿孔された穴と、脊柱を破損する穴との差を識別および/または捕捉するように構成される。様々な実施形態は、穴が脊柱を有するか脊柱を破損するかを判定することに応答して動作するように構成される。例えば、ドライバは、駆動および/または穿孔を停止させ、可聴および/または視覚的な警告などを発することができる。
【0230】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100とともにピークファインダを使用することができる。ピークファインダは、例えば、移動平均、一次微分および/またはプリセット値を使用してトルクピークの位置を特定することによって機能することができる。移動平均法では、ピークトルクを記憶することができる。次に、各フィードバックサイクルごとに、トルクピークに対して移動平均が評価され得る。トルクピークが記憶された値よりも高い場合、その値を高い方のトルクピークに置き換える。所与の数のフィードバックサイクル(例えば、1回、10回、20回、50回または100回)の間、移動平均値が低下するまでこれを継続し、これにより、初期ピークの裏側を表すことができる。プリセット値法については、広範囲なテストの後、特定のドリルシステムに適用され得る。
【0231】
破損が検出された際にモータが停止するなどの適応トルク制限は、以下のいずれかによって始動され得る。いくつかの実施形態では、トルクピークが確立された後に、トルクがこの値のY%の特定のパーセンテージに達すると、ドライバはスクリュードライバ100のモータを停止させることができる。パーセンテージは、例えば、50、60、70、80、90、95、99、100、105、110であり得、使用される特定のパーセンテージは限定されない。いくつかの実施形態では、トルクピークが確立された後に、移動平均の変化率(または微分)が特定の値を超えると、ドライバはスクリュードライバ100のモータ12を停止させることができる。
【0232】
図58は、脊柱を破損することなく椎骨内に押し込まれたスクリューのトルク曲線を示す。示されるように、スクリューは領域1で皮質層を通って移動し、領域2で海綿質層を通って駆動し、スクリューのねじ部は領域3で全体が骨に進入し、スクリューは領域4で着座している。いくつかの実施形態では、着座前または着座直後(例えば、領域4)にドライバがスクリューを停止させることが有利であり得る。これは、スクリュー自体が頭部までねじ切りされていないことから、スクリュー頭部上のアタッチメントが可動性を利用して、椎骨に沿ってロッドを位置合わせすることができるためである。スクリューは、上述の穿孔プロセスによって制御される予め穿孔された穴に配置することができる。したがって、いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ねじ部全体が骨に進入した際に(領域3で生じる)、モータ12を制限することができる。
【0233】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、適応トルク制限のために以下の概念を利用することができる。いくつかの実施形態では、モータ12は、連続減少トルク値(例えば、3、4、5、10、15または20の減少値)の後に停止することができる。いくつかの実施形態では、勾配の減少を示す変化率/一次微分は、ドライバにモータを停止させることができる。いくつかの実施形態では、上述のピーク発見アルゴリズムを模倣する谷チェックアルゴリズムを使用することができる。
【0234】
いくつかの実施形態では、ドリル/ドライバは、以下の方法でドリルビットおよびドライバと相互作用することができる。ドライバのコレットは、ドリルビットとドライバブレード用にそれぞれ異なるジオメトリを受け取るように構成することができる。ドリルビットが挿入されると、ドリルの停止アルゴリズムが起動するように、ボタン、スイッチまたは他の機構がユーザによって始動され得る。したがって、アルゴリズムは、ユーザの起動によってのみ使用され得る。いくつかの実施形態では、ドライバブレードまたはドリルビット/スクリューの挿入時にアルゴリズムを起動させることができる。いくつかの実施形態では、ドリルは特定の深さまで動作することができる。この深さの後に追従する予め穿孔された経路がなければ、スクリュー着座時にトルクの急激な増大が見られるであろう。ドライバに挿入される最後のドリルブレードから、または追加値の入力によって、この深さを知ることができる。
【0235】
ロボット機能
スクリュードライバ100およびハードウェア/ソフトウェアの実施形態は、ロボットアームなどのロボットと使用および/または一体化するように構成することができる。ロボットアームは、アームユニットおよびコントローラユニット(例えば、プロセッサおよびメモリ)を備えることができる。いくつかの実施形態では、ロボットは、スクリュードライバ100を使用して、患者の体内にスクリューを押し込むように構成することができる。この動作は、ロボットによって、ユーザの制御下で、またはそれらの組合せによって、自動的に実行することができる。
【0236】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ロボットに取り外し可能に取り付けることができる。特定の変形例では、スクリュードライバ100は、ロボットのアームユニットの近位端または遠位端へのアタッチメントを含むことができ、これは手持ち式操作部と併せてまたはその代わりに行うことができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバはアームユニットと完全に一体化することができる。したがって、いくつかの実施形態では、別個のスクリュードライバがロボットアームに取り付けられなくてもよく、その代わりに、ロボットアームは、上で詳述した検知技術を含むスクリュードライバ100の構成要素を含むことができる。いくつかの実施形態では、追加のハンドピースを用いずに、ロボットアーム自体が患者の体内にスクリューを押し込むことができる。
【0237】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ロボットと電気的に接続することができる。例えば、両者は共通の電源を共有することができる。いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ロボットの外部に別個の電源を有することができる。特定の実施形態では、スクリュードライバとロボットとは、ソフトウェアおよび/またはデータを互いに共有することができる。
【0238】
トルク制限などの本明細書で説明した他の特定の機能をロボットに適用することができる。例えば、ロボットアームは、スクリュードライバ100の駆動モータから電流フィードバックを受け取るように構成することができる。ロボットは、スクリュードライバ100によってスクリューに加えられたトルクが一定の閾値に達するかそれを超えることに応答して、スクリューの駆動(または他の動作)を低減および/または停止させるように構成することができる。いくつかの実施形態では、ロボットは、スクリュードライバ100からの電流フィードバックに基づくなどして、スクリューが着座しているかドリルが押し込まれている時を識別することができる。
【0239】
ロボットは、スクリュードライバ100の動作から力フィードバックを受け取るように構成することができる。特定の実施形態では、ロボットアームは、力フィードバックに基づいて、その挙動を修正することができる。例えば、ロボットアームはトルク制限機能を実行することができる。特定の実施形態では、例えば、力、振動、加速度および/または運動センサなどを用いて、スクリューの順方向の進行が停止したことを検出することなどによって、着座したスクリューを人間が検出することができるのと同様の方法で、着座したスクリューを検出するようにロボットアームが構成される。例えば、所与の軸に沿った動作に対する抵抗の突然の増加は、着座したスクリュー(または他のトルク)を示し得、ロボットアームは、スクリューの前進動作を低減または停止させ、および/または他の動作を行う(例えば、アラームを提供するか、ユーザに前進動作を低減または停止させるように報知する)ことができる。
【0240】
いくつかの実施形態では、ロボットアームを使用して、スクリュー(例えば、脊椎椎弓根スクリュー)を患者の体内に押し込むことができ、これは、厄介で反復的で、比較的リスクが低く、および/または共用化された手順であり得る。このようなロボットアームは、極度の精度で椎弓根スクリューを駆動することができ、スクリュードライバ100から受け取った情報に基づいて、皮質の破損のリスクを軽減することができる。これにより、スクリュードライバ100の使用を完全に自動化し、および/または人間の制御を必要としない(または人間の制御を低減または最小化する)ようにすることができる。したがって、いくつかの実施形態では、椎弓根スクリューを駆動する作業から、外科医または他のユーザの作業負荷を低減または排除することができる。
【0241】
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、ハイブリッドロボットとともに使用することができる。ハイブリッドロボットは、多数の異なるモードを有することができる。例えば、1つのモードは、手術支援ツールとして機能することができる。特定のモードでは、ロボットは、リスク軽減および/または領域破損防止を提供することができる。例えば、ロボットは、スクリュードライバ100を操作する際に、ユーザ(例えば、外科医)が特定の空間(例えば、「飛行禁止区域(no-fly zone)」)に移動すること、および/または特定の空間から移動することを警告および/または阻止することができる。いくつかのモードでは、ロボットは、完全に自動化された方法でスクリュードライバによってスクリューを駆動するなど、共用化された操作を実行することができる。
【0242】
深さゲージ機構
いくつかの実施形態では、スクリュードライバ100は、図59に示すような深さゲージをさらに含むことができる。示されるように、ゲージはスクリュードライバ100から全体的に延び、ゲージを使用して、スクリュー(または他のツールなど)のリアルタイムの深さを判定して高確率衝突域を識別することができるが、ゲージを使用して他の領域も同様に判定することができる。いくつかの実施形態では、深さゲージは、スクリュードライバ100と一体的に形成することができる。いくつかの実施形態では、深さゲージは、図59に示すように、スクリュードライバ100内の開口部に挿入するなどして、スクリュードライバ100に取り付け可能および/または取り外し可能であり得る。いくつかの実施形態では、深さゲージは、例えば、深さが増加するにつれてスクリュードライバ100に押し込まれるなどして、スクリュードライバ上で動くことができる。いくつかの実施形態では、深さゲージはレーザであってよい。いくつかの実施形態では、深さゲージは、深さを示すマーキングを含むことができる。いくつかの実施形態では、深さゲージは、スクリュードライバ100に深さ情報を提供することができ、スクリュードライバ100は、ユーザに出力を提供することができる。いくつかの実施形態では、深さゲージは物理的な停止を提供することができる。いくつかの実施形態では、深さゲージは、スクリューの深さの視覚的または聴覚的指示を提供することができる。いくつかの実施形態では、例えばユーザによって設定されるような特定の深さに達すると、スクリュードライバ100は自動的に停止および/または減速し得る。
【0243】
一例として、成人人口の99%にとって椎弓根チャネルが15mm±2mmである場合、深さゲージを使用して、破損が最も発生しやすい深さを判定することができる。したがって、深さゲージは、本明細書で説明するトルク測定値と組み合わせて、スクリュードライバ100の精度および信頼性を高めるために使用することができる。いくつかの実施形態では、深さゲージを使用して、スクリューが患者の体内の特定の位置に着座した時を識別することができる。
【0244】
別の例として、ドリル/ドライバの組合せの場合、医療用スタンドが2mmの深さのパイロット穴を穿孔するためのみのものである場合、ゲージの実施形態は、ドリルの深さを判定し、その深さに達した際に穿孔機能を停止させることができる(例えば、モータを停止し、および/または手動に切り替え、手動の停止を提供する)。いくつかの実施形態では、患者が標準外にある場合など、ユーザが深さゲージの測定値を無効にすることができる。
【0245】
いくつかの実施形態では、ユーザは、スクリュードライバ100に対するスクリューの種類を識別することができる。スクリュードライバ100は、ルックアップテーブルにアクセスして、その種類のスクリューの挿入深さ(スクリューの全長からスクリュー頭部の長さを引いたものなど)を見出すことができる。次いで、スクリュードライバ100は、深さゲージがその挿入深さ値に達すると、スクリューが着座している(または適切な位置にある)と判定することができる。いくつかの実施形態では、ルックアップテーブルまたは他のルックアップ方法は、深さゲージの読み取り値をさらに調整することができる手順情報も含むことができる。いくつかの実施形態では、ユーザがスクリューの種類を識別する必要はなく、スクリュードライバ100がそれを自動的に識別する。
【0246】
要旨
特定の実施形態、例および変形例の態様を背景として、様々なスクリュードライバ装置、システムおよび方法を開示してきた。それにもかかわらず、本開示は、具体的に開示された実施形態、例および変形例を越えて、その他の代替的な実施形態および/または本発明の用途、ならびに明白な修正およびその均等物にまで及ぶ。さらに、スクリュードライバの多数の変形例を詳細に示し、説明してきたが、当業者にとって、本開示の範囲内にあるその他の変更は、本開示に基づいて容易に明らかになるであろう。さらに、外科用スクリュードライバを背景として、多数の例を考慮してきたが、本明細書で開示される様々な発明は、外科用スクリュードライバにおける使用に限定されない。実際に、本明細書に開示された様々な発明は、様々な他の種類の装置および他の環境の使用において考慮される。
【0247】
別個の実施形態を背景として特定の特徴を説明してきたが、単一の実施形態で組み合わせて実装することもできる。逆に、単一の実施形態を背景として説明した様々な特徴を、複数の実施形態において別個に実施するか、任意の好適な部分的組合せにおいて実装することもできる。さらに、特徴は、特定の組合せで機能するものとして上述され得るが、いくつかの場合、請求項に係る組合せによる1つ以上の特徴を組合せから削除することができ、かつ、任意の部分的組合せまたは任意の部分的組合せの変形例としてこの組合せを請求してもよい。
【0248】
本開示の一実施形態、フローチャートまたは例に開示または図示した工程、プロセス、構造および/または装置のうちいずれかの任意の部分を、異なる実施形態、フローチャートまたは例に開示または図示または図示した工程、プロセス、構造および/または装置のうちいずれかのその他の任意の部分と組み合わせるか、これらとともに(または代替的に)使用することができる。本明細書に説明された実施形態および例は、互いに別個で独立していることは意図されない。開示した特徴の組合せ、変形例およびその他の実施形態は、本開示の範囲内である。
【0249】
任意の工程およびブロックは、調整または変更されてもよい。他のまたは追加の工程を使用することができる。本明細書に説明された工程またはブロックのいずれも不可欠または必須ではない。さらに、動作は、特定の順序で、図面に示されるか、本明細書に説明され得るが、図示の特定の順序または時系列順でこのような動作を実行する必要はなく、所望の結果を達成するためにあらゆる動作を実行する必要はない。例示的な方法およびプロセスに、図示または説明されていないその他の動作を組み込むことができる。例えば、1つ以上の追加の動作は、任意の説明された動作の前、後、同時に、または合間に実行することができる。さらに、動作は、その他の実施形態に再編成されるか、再配列されてもよい。また、上述の実施形態における様々なシステム構成要素の分離は、あらゆる実施形態にこのような分離を必要とするものとして理解されるべきではなく、説明された構成要素およびシステムは、一般的に、単一の製品に一体化されるか、複数の製品にパッケージ化されてもよいことが理解されるべきである。
【0250】
特に記述されない限り、または使用されている前後関係で他の意味で理解されていない限り、本明細書で使用される「できる(can)」、「できた(could)」、「場合がある(might)」、「してもよい(may)」などの条件付き言語は、一般に、特定の実施形態は特定の特徴、要素、および/または工程を含むが、他の実施形態はそれらを含まないものとする。したがって、そのような条件付き言語は、一般に、著者の入力または指示の有無にかかわらず、これらの特徴、要素および/または工程が、任意の特定の実施形態に含まれているか、任意の特定の実施形態で実行されるかにかかわらず、1つ以上の実施形態のために、特徴、要素および/または工程が多少なりとも必要であることは意図されず、または、1つ以上の実施形態が、決定のための論理を必ず含むことを意味することは意図されない。
【0251】
特に言及しない限り、「X、Y、およびZのうち少なくとも1つ」という表現などの接続的な文言は、一般に、項目、用語などがX、YまたはZのいずれかであり得ることを伝えるために用いられるような状況で理解される。したがって、このような接続的な文言は、一般に、特定の実施形態に、Xのうち少なくとも1つ、Yのうち少なくとも1つ、およびZのうち少なくとも1つがそれぞれ存在する必要があることを意図するものではない。
【0252】
「備える(comprising)」「含む(including)」「有する(having)」などの用語は同義語であり、包括的に、制約のない方法で使用され、追加の要素、特徴、動作、操作などを除外しない。また、用語「または(or)」は、例えば、要素の列挙に関連付けるために使用される場合、用語「または(or)」が、列挙内の要素の1つ、いくつか、またはすべてを意味するように、その包括的な意味で(およびその排他的な意味ではなく)使用される。用語「および/または(and/or)」は、「および(and)」がいくつかの実施形態に適用され、「または(or)」がいくつかの実施形態に適用されることを意味する。したがって、A、Bおよび/またはCは、ある文章に説明されたA、BおよびCならびに別の文章に説明されたA、BまたはCに相当する。用語「および/または(and/or)」は、不要な重複を避けるために使用される。
【0253】
本明細書で使用する用語「ほぼ(approximately)」、「約(about)」および「実質的に(substantially)」は、所望の機能を実行するか、所望の結果を達成する記載量に近い量を表す。例えば、いくつかの実施形態では、文脈が指示し得るように、用語「ほぼ(approximately)」、「約(about)」および「実質的に(substantially)」は、記載量の10%以内の量を意味し得る。本明細書で使用される用語「一般に(generally)」は、特定の値、量または特徴を主に含むか、これらに向けられる傾向にある値、量または特徴を表す。一例として、特定の実施形態では、文脈が指示し得るように、用語「概ね平行(generally parallel)」は、正確な平行から20度以下逸れるものを指してもよい。
【0254】
直径または半径などの本明細書で使用される円形状に関する用語は、真の円形構造である必要はなく、むしろ、側部から側部へ測定することができる断面領域を有する任意の好適な構造に適用されることが理解されるべきである。「円形(circular)」または「円筒形(cylindrical)」または「半円形(semi-circular)」または「半円筒形(semi-cylindrical)」または任意の関連用語もしくは類似の用語などの形状に関する用語は、円もしくは円筒またはその他の構造の数学的定義に厳密に従う必要はないが、適度に近似している構造を包含してもよい。同様に、単語「概ね(generally)」(例えば、「概ね円筒形」(generally cylindrical))によって修飾された形状は、適度に近似した所定の形状を含んでもよい。
【0255】
添付の図面に関連して、いくつかの実施形態を説明してきた。図面は拡大縮尺して描かれているが、図示されているもの以外の寸法および比率が考慮され、本開示の範囲内であるため、このような拡大縮尺は限定されるべきではない。距離、角度などは、単なる例示であり、必ずしも図示の装置の実際の寸法および設計に厳密に関係しなくてもよい。構成要素が追加され、取り除かれ、および/または再編成されてもよい。さらに、様々な実施形態に関連した特定の特徴、態様、方法、特性、特徴、品質、属性、要素などの本明細書に説明された開示は、本明細書に述べられたすべてのその他の実施形態で使用されてもよい。さらに、説明された工程を実行するのに適した任意の装置を使用して、本明細書に説明された任意の方法を実施してもよいことが認識されるであろう。
【0256】
上述の様々な特徴およびプロセスを互いに独立して使用してもよく、様々な方法で組み合わせてもよい。すべての可能な組合せおよび部分的組合せは、本開示の範囲に含まれるものとする。さらに、いくつかの実施形態では、特定の方法、事象、状態またはプロセスブロックが省略されてもよい。本明細書に説明された方法およびプロセスはまた、任意の特定の順序に限定されず、ブロックまたはこれに関連する状態は、適切なその他の順序で実行されてもよい。例えば、説明されたタスクまたは事象は、具体的に開示された順序以外の順序で実行されてもよい。単一のブロックまたは単一の状態に複数の工程が組み合わされてもよい。例示的なタスクまたは事象は、連続して、平行して、または他の方法で実行されてもよい。開示の例示的な実施形態にタスクまたは事象が追加されるか、開示の例示的な実施形態からタスクまたは事象が取り除かれてもよい。本明細書に説明された例示的なシステムおよび構成要素は、説明されたものと異なるように構成されてもよい。例えば、開示の例示的な実施形態に要素が追加されるか、開示の例示的な実施形態から要素が取り除かれるか、開示の例示的な実施形態と比較して要素が再編成されてもよい。
【0257】
要約すると、トルク制限スクリュードライバシステムおよび方法の様々な実施形態および例を開示してきた。本開示は、これらの実施形態および例を背景としてきたが、具体的に開示された実施形態を越えて、その他の代替的な実施形態および/または実施形態のその他の用途、ならびに明白な修正およびその均等物にまで及ぶ。さらに、本開示は、開示された実施形態の様々な特徴および態様を互いに組み合わせるか、互いに置き換えることができることを明確に考慮している。したがって、本開示の範囲は、上述の特定の開示された実施形態によって限定されるべきではないが、以下の特許請求の範囲の公正な解釈によってのみ決定されるべきである。
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図8C
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24A
図24B
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36
図37
図38
図39
図40
図41
図42
図43
図44
図45
図46
図47
図48
図49
図50
図51
図52
図53
図54A
図54B
図55
図56
図57
図58
図59
【手続補正書】
【提出日】2022-12-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
トルク制限装置であって、
ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と、
本体内に配置されたモータと、
モータに動作可能に接続され且つ脊柱の骨に穴あけ具を打ち込むように構成された駆動ヘッドと、
本体内に配置されたプロセッサとを備え、
トルク制限装置は、プロセッサの制御下で、
脊柱の骨に穴あけ具を打ち込み、ここで骨が、第1の皮質層、海綿質層および第2の皮質層を含み、
穴あけ具が第1の皮質層に打ち込まれている際に第1のトルク値を検出し、
穴あけ具が海綿質層に打ち込まれている際に第2のトルク値を検出し、
穴あけ具の先端が骨の海綿質層に進入する際に、第1のトルク値から第2のトルク値への変化を識別し、
穴あけ具が第2の皮質層に打ち込まれている際に第3のトルク値を検出し、
穴あけ具の先端が骨の第2の皮質層に進入する際に、第2のトルク値から第3のトルク値への変化を識別し、さらに、
骨の第2の皮質層に進入する穴あけ具の先端を識別するのに応答して、穴あけ具の骨への打ち込みを停止させ、それによって脊柱の破損を阻止するように構成されている、トルク制限装置。
【請求項2】
トルク制限装置は、トルクの量の少なくとも5%の増加を検出することによって第2のトルク値から第3のトルク値への変化を識別するように構成されている、請求項1に記載のトルク制限装置。
【請求項3】
第1および第3のトルク値が、第2のトルク値よりも大きい、請求項1に記載のトルク制限装置。
【請求項4】
トルク制限装置は、骨の第2の皮質層に進入する穴あけ具の先端を識別するのに応答して指示を提供するようにさらに構成されており、前記指示は、視覚的指示または音声指示である、請求項1に記載のトルク制限装置。
【請求項5】
穴あけ具は、タッピンねじまたはドリルビットを含む、請求項1に記載のトルク制限装置。
【請求項6】
トルク制限装置であって、
ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と、
本体内に配置されたモータと、
ビットを受け容れるように構成された駆動ヘッドであって、ビットは、スクリューと適合するように構成され、駆動ヘッドは、脊柱の骨の少なくとも一部を通してスクリューを打ち込めるように、モータによって回転されるようにさらに構成されている、駆動ヘッドと、
本体内に配置されたプロセッサとを備え、
トルク制限装置は、プロセッサの制御下で、
脊柱の骨の少なくとも一部を通してスクリューを打ち込み、ここで骨が、第1の皮質層、海綿質層および第2の皮質層を含み、
スクリューが第1の皮質層に打ち込まれている際に第1のトルク値を検出し、
スクリューが海綿質層に打ち込まれている際に第2のトルク値を検出し、
スクリューが骨の海綿質層に進入する際に、第1のトルク値から第2のトルク値への変化を識別し、
スクリューが第2の皮質層に打ち込まれている際に第3のトルク値を検出し、
スクリューが骨の第2の皮質層に進入する際に、第2のトルク値から第3のトルク値への変化を識別し、さらに、
骨の第2の皮質層に進入するスクリューを識別するのに応答して、スクリューの骨への打ち込みを停止させ、それによって脊柱の破損を阻止するように構成されている、トルク制限装置。
【請求項7】
スクリューが椎弓根スクリューである、請求項6に記載のトルク制限装置。
【請求項8】
ハンドル内に配置されたバッテリをさらに備え、バッテリが、電力をモータに提供するように構成されている、請求項6に記載のトルク制限装置。
【請求項9】
トルク制限装置であって、
ユーザによって把持されるように構成されたハンドルを備える本体と、
本体内に配置されたモータと、
モータに動作可能に接続され且つ穴あけ具を打ち込むように構成された駆動ヘッドと、
本体内に配置されたプロセッサとを備え、
トルク制限装置は、プロセッサの制御下で、穴あけ具が第1の種類の身体組織から第2の種類の身体組織に通過したことを示すトルクの変化を検出するように構成されている、トルク制限装置。
【請求項10】
第1の種類の身体組織が海綿骨を含み、第2の種類の身体組織が皮質骨を含む、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項11】
第1の種類の身体組織が骨を含み、第2の種類の身体組織が軟組織を含む、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項12】
第1の種類の身体組織が軟組織を含み、第2の種類の身体組織が骨を含む、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項13】
第1および第2の種類の組織が異なる密度を有する、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項14】
トルク制限装置が、モータの電流および電圧のうちの少なくとも1つを測定するようにさらに構成されている、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項15】
トルク制限装置が、前記測定された、モータの前記電流および前記電圧のうちの少なくとも1つに少なくとも部分的に基づいて、前記トルクの変化を検出するように構成されている、請求項14に記載のトルク制限装置。
【請求項16】
トルク制限装置が、前記トルクの変化の前記検出に応答して、前記穴あけ具を打ち込むことを停止させるようにさらに構成されている、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項17】
トルク制限装置が、少なくとも25%のトルクの変化の前記検出に応答して、前記穴あけ具を打ち込むことを停止させるようにさらに構成されている、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項18】
トルク制限装置が、前記トルクの変化の前記検出に応答して、前記穴あけ具の回転速度を調整するようにさらに構成されている、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項19】
第1の種類の身体組織が海綿骨を含み、第2の種類の身体組織が皮質骨を含み、
前記トルクの変化を検出することが、
穴あけ具が海綿骨に打ち込まれている際に第1のトルク値を検出することと、
穴あけ具が皮質骨に打ち込まれている際に第2のトルク値を検出することと、
穴あけ具の少なくとも一部が皮質骨に進入する際に、第1のトルク値から第2のトルク値への変化を検出することとを含む、請求項9に記載のトルク制限装置。
【請求項20】
前記第1のトルク値から第2のトルク値への変化を検出することに応答して、トルク制限装置が、穴あけ具の打ち込みを停止させるようにさらに構成されている、請求項19に記載のトルク制限装置。
【請求項21】
穴あけ具が、スクリューまたはドリルビットである、請求項19に記載のトルク制限装置。
【請求項22】
トルク制限装置であって、
ハンドルを備える本体と、
モータと、
モータに動作可能に接続され且つ脊柱の骨に穴あけ具を打ち込むように構成された駆動ヘッドと、
プロセッサとを備え、
トルク制限装置は、プロセッサの制御下で、
脊柱の骨に穴あけ具を打ち込み、ここで骨が、海綿質層および皮質層を含み、
穴あけ具が海綿質層に打ち込まれている際に第1のトルク値を検出し、
穴あけ具が皮質層に打ち込まれている際に第2のトルク値を検出し、
穴あけ具の少なくとも一部が骨の皮質層に進入する際に、第1のトルク値から第2のトルク値への変化を検出し、
骨の皮質層に進入する穴あけ具の少なくとも一部を検出するのに応答して、穴あけ具の骨への打ち込みを停止させ、それによって脊柱の破損を阻止するように構成されている、トルク制限装置。
【請求項23】
穴あけ具が、スクリューまたはドリルビットである、請求項22に記載のトルク制限装置。
【請求項24】
前記穴あけ具の少なくとも一部が骨の皮質層に進入する際に、第1のトルク値から第2のトルク値への変化を検出することが、第1および第2のトルク値の間の少なくとも25%の変化を検出することを含む、請求項22に記載のトルク制限装置。