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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036628
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】電気接続箱
(51)【国際特許分類】
   H02G 3/16 20060101AFI20230307BHJP
   H02G 3/08 20060101ALI20230307BHJP
   H05K 5/06 20060101ALI20230307BHJP
   B60R 16/02 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
H02G3/16
H02G3/08 080
H05K5/06 D
B60R16/02 610B
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022194754
(22)【出願日】2022-12-06
(62)【分割の表示】P 2019089480の分割
【原出願日】2019-05-10
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001966
【氏名又は名称】弁理士法人笠井中根国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100147717
【弁理士】
【氏名又は名称】中根 美枝
(74)【代理人】
【識別番号】100103252
【弁理士】
【氏名又は名称】笠井 美孝
(72)【発明者】
【氏名】伊佐治 優介
(72)【発明者】
【氏名】中川 謙治
(57)【要約】
【課題】電気接続箱と外部機器との接続作業を簡素化しつつ、ケース内への浸水を安定して防止することができる、新規な構造の電気接続箱を提供する。
【解決手段】電気接続箱10が、外部機器への接続端子18を有する回路構成体12と、挿通孔44を有して回路構成体12を収容するケース20と、接続端子18に接続され、挿通孔44を挿通してケース20外に露出した外部接続部76を有する中継端子66と、挿通孔44と中継端子66の対向面間に圧縮されて、挿通孔44をシールするシール部材72とを含み、外部接続部76がケース20の上面においてケース20外に露出しており、相手側端子78が上方から外部接続部76に載置されて接続されるようになっている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器への接続端子を有する回路構成体と、
挿通孔を有して前記回路構成体を収容するケースと、
前記接続端子に接続され、前記挿通孔を挿通して前記ケース外に露出した外部接続部を有する中継端子と、
前記挿通孔と前記中継端子の対向面間に圧縮されて、前記挿通孔をシールするシール部材とを含み、
前記外部接続部が前記ケースの上面において前記ケース外に露出しており、相手側端子が上方から前記外部接続部に載置されて接続されるようになっている、
電気接続箱。
【請求項2】
前記挿通孔の周縁部には、上方と前記挿通孔の内周面に開口する環状溝を有し、前記環状溝に前記シール部材が収容されており、
前記ケースは、前記挿通孔の前記周縁部に組み付けられて前記環状溝の上方を覆う環状部を有するカバー部材を有し、前記外部接続部が前記環状部を挿通して前記ケース外に露出している、請求項1に記載の電気接続箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、防水機能を備えた電気接続箱に関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に搭載される電気接続箱として、内部への水の浸入を防止する防水機能を備えたものが広く用いられている。例えば、特許文献1には、複数の電気部品からなる回路構成体を収容するケース本体と、ケース本体の開口を覆う蓋体を有する電気接続箱において、ケース本体の周壁を特定の二重壁構造としたものが開示されている。この二重壁構造により、ケース外に水を排水して内部への水の浸入が防止されている。
【0003】
特許文献2には、ケース内に収容された回路構成体に設けられた接続端子に対して、外部機器から延び出すワイヤハーネスに圧着された相手側端子が接続されている部位において、ワイヤハーネスを伝ってケース内に水が浸入することを防止する構造が開示されている。具体的には、ケースに設けられたハーネス挿通孔にゴム製のグロメットを装着し、ワイヤハーネスに外装されたコルゲートチューブとグロメットを凹凸嵌合することで、ケース内へのワイヤハーネス挿通孔からの浸水が防止されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-27723号公報
【特許文献2】特開2002-186133号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1や特許文献2の構造では、ケース内に収容された回路構成体の接続端子に、外部機器に接続する通電部材を接続する作業において、はじめにケースを開口した状態で接続作業を行い、その後、ケースの開口を蓋体で覆蓋して密閉性を確保する必要がある。さらに、ケース外に通電部材を引き出す挿通孔において、グロメット等の防水部材を装着する作業も発生する。それゆえ、電気接続箱と外部機器との接続作業に必要な工程が多く作業が煩雑であった。また、蓋体やグロメット等による電気接続箱の密閉性が作業者によりばらつくおそれもあった。
【0006】
そこで、電気接続箱と外部機器との接続作業を簡素化しつつ、ケース内への浸水を安定して防止することができる、新規な構造の電気接続箱を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の電気接続箱は、外部機器への接続端子を有する回路構成体と、挿通孔を有して前記回路構成体を収容するケースと、前記接続端子に接続され、前記挿通孔を挿通して前記ケース外に露出した外部接続部を有する中継端子と、前記挿通孔と前記中継端子の対向面間に圧縮されて、前記挿通孔をシールするシール部材とを含み、前記外部接続部が前記ケースの上面において前記ケース外に露出しており、相手側端子が上方から前記外部接続部に載置されて接続されるようになっている、電気接続箱である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電気接続箱と外部機器との接続作業を簡素化しつつ、ケース内への浸水を安定して防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、本開示の実施形態1に係る電気接続箱を示す分解斜視図である。
図2図2は、図1に示す電気接続箱の組付状態の拡大斜視図である。
図3図3は、図2におけるIII-III断面拡大図である。
図4図4は、図1に示すケース本体の拡大平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<本開示の実施形態の説明>
最初に、本開示の実施態様を列記して説明する。
本開示の電気接続箱は、
(1)外部機器への接続端子を有する回路構成体と、挿通孔を有して前記回路構成体を収容するケースと、前記接続端子に接続され、前記挿通孔を挿通して前記ケース外に露出した外部接続部を有する中継端子と、前記挿通孔と前記中継端子の対向面間に圧縮されて、前記挿通孔をシールするシール部材とを含み、前記外部接続部が前記ケースの上面において前記ケース外に露出しており、相手側端子が上方から前記外部接続部に載置されて接続されるようになっている、電気接続箱である。
【0011】
本開示の電気接続箱によれば、ケース内に収容された回路構成体の接続端子に接続された中継端子の一部が、ケース外に露出して外部接続部を構成している。それゆえ、電気接続箱のケース外に露出した外部接続部に対して外部機器の通電部材を接続する作業だけで、電気接続箱と外部機器の接続作業が完了する。そのため、従来必要とされた、ケースの開口を蓋体で覆蓋して密閉性を確保する作業や、ケース外に通電部材を引き出す挿通孔に防水部材を装着する作業が不要となり、電気接続箱と外部機器との接続作業を簡素化することができる。
【0012】
中継端子と挿通孔との対向面間にシール部材が圧縮されており、挿通孔におけるシール性も確保されている。さらに、電気接続箱と外部機器との接続作業に際して、作業者がケースを開口させたり、シール部材に関して何らかの操作をする必要がないことから、作業者によるシール性のばらつきのおそれもなく、ケース内への浸水を安定して防止することができる。
【0013】
(2)前記挿通孔の周縁部には、上方と前記挿通孔の内周面に開口する環状溝を有し、前記環状溝に前記シール部材が収容されており、前記ケースは、前記挿通孔の前記周縁部に組み付けられて前記環状溝の上方を覆う環状部を有するカバー部材を有し、前記外部接続部が前記環状部を挿通して前記ケース外に露出している、ことが好ましい。
【0014】
環状溝を利用して、シール部材を容易に位置決め配置することができる。シール部材が中継端子と挿通孔の対向面間で圧縮されると、挿通孔の内周面に開口する環状溝の底壁にも圧縮される。これにより、電気接続箱の一層の防水性を確保することができる。また、ケースと別体に設けられたカバー部材により、一対の外部接続部の間の絶縁壁と各外部接続部の周囲に囲う壁部とを、ケースに対して容易に設けることができる。これにより、外部接続部間の絶縁性の付与や、各外部接続部と他部材との不必要な接触等の防止も容易に実現できる。
【0015】
【0016】
【0017】
【0018】
<本開示の実施形態の詳細>
本開示の電気接続箱の具体例を、以下に図面を参照しつつ説明する。なお、本開示は、これらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0019】
<実施形態1>
以下、本開示の実施形態1について、図1から図4を参照しつつ説明する。電気接続箱10は、例えば、電気自動車やハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されており、安全装置として機能する。電気接続箱10は、例えば、バッテリーを車両を走行させるモータに電力を供給する走行用バッテリーとして利用し、この走行用バッテリーを図1に示す回路構成体12を介して車両側負荷に接続するために用いられている。電気接続箱10は、任意の向きで配置することができるが、以下では、Z方向を上方、Y方向を前方、X方向を右方として説明する。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0020】
<回路構成体12>
回路構成体12は、例えば、図1に示すように、プリチャージ回路を有するリレーユニット14と、このリレーユニット14の一対の入出力電極16,16にそれぞれ電気的に接続された接続端子18、を含んでいる。回路構成体12の一方の接続端子18には、車両を走行させるモータに電力を供給する図示しない外部機器であるバッテリーの出力側が電気的に接続されている。回路構成体12の他方の接続端子18には、図示しない外部機器である車両側負荷が電気的に接続されている。
【0021】
接続端子18は、金属板材を略矩形状にプレス加工してなる。接続端子18を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の電気抵抗の低い金属を適宜に選択することができる。接続端子18はそれぞれ、後端側に形成された貫通孔19を通して、リレーユニット14の一対の入出力電極16,16にねじ止めされている。この結果、接続端子18の後端側はリレーユニット14の上面に配置されており、接続端子18の前端側はリレーユニット14の上面から前方に向かって延び出している。
【0022】
<リレーユニット14>
リレーユニット14の内部には、バッテリーの出力側を車両側負荷に電気的に接続する図示しないメインリレーが収容されている。加えて、このメインリレーには、図示しないプリチャージリレーおよびプリチャージ抵抗がメインリレーをバイパスするように直列に接続されたプリチャージ回路が接続されている。車両側負荷は、例えば、静電容量を200μF~5000μFとする大容量のコンデンサを備えていることから、コンデンサが完全に放電された状態でメインリレーがON状態に切り換えられると、コンデンサを充電するために瞬間的に極めて大きなチャージ電流が流れる。極めて大きなチャージ電流はメインリレーの接続部を損傷させる原因となることから、チャージ電流による弊害を防止するために、プリチャージ回路を設けている。なお、メインリレーとプリチャージリレーはいずれも、励磁コイルの通電状態で可動接続部を移動させて接続部をON/OFFに切り換えるリレーであり、図示しない制御回路によりON/OFF制御がなされている。
【0023】
<電気接続箱10>
電気接続箱10は、例えば図1に示すように、回路構成体12と、回路構成体12の接続端子18に電気的に接続される中継端子66と、回路構成体12を収容するケース20と、中継端子66をケース20外に露出する挿通孔44をシールするシール部材72と、を備えている。
【0024】
<ケース20>
ケース20は、上方開口部22を有する箱状のケース本体24と、上方開口部22を密閉状態に覆う蓋体26と、を有している。ケース本体24と蓋体26は別体とされており、いずれも絶縁性の合成樹脂を所定の形状に射出成形してなる。ケース本体24と蓋体26を構成する合成樹脂は、ガラスファイバー等のフィラーを含んでいてもよい。
【0025】
<ケース本体24>
ケース本体24は、例えば図1および図4に示すように、全体として上方に向かって開口する略矩形箱体形状をなしており、底壁28と、底壁28の端縁部から上方に向かって突設された周壁30とを有している。本開示の実施形態1においては、ケース20の外形状は、上方から見て、略長方形状をなしている。なお、ケース20の外形状は本実施形態の形状に限定されない。
【0026】
図1,2および図4に示すように、ケース本体24の周壁30の上端部には、周方向に沿った6箇所において、略矩形ブロック状の固定部32が外方に突設されている。また、ケース本体24の周壁30の上面には、上方に開口する溝が周壁30の全周に亘って形成されており、この溝内に枠体状の防水部材34が取り付けられている。
【0027】
ケース本体24の底壁28の後方側には、図4に示すように、略矩形状に上方に突出するリレーユニット台36が設けられている。ケース本体24の底壁28の前方側には、図1および図4に示すように、底壁28から上方開口部22にわずかに到らない高さ寸法で突出し、周壁30に連結され長手方向に離隔配置された3つの四角柱状の接続端子支持部38が設けられている。この接続端子支持部38の上面には、1つもしくは2つのL字状の突条40が突設されており、リレーユニット14の上面から前方に向かって延び出す接続端子18の前端側の角部が、この突条40の内側に収容され保持されている。なお、固定部32は、いずれもケース本体24と一体成形されている。
【0028】
<蓋体26>
蓋体26は、例えば図1および図2に示すように、略矩形平板形状をなしている。蓋体26の外周縁部には、ケース本体24の固定部32に対応する6箇所に、略樋状の被固定部42が外方に突設されている。蓋体26の前方側には、円形断面で板厚方向に貫通して設けられた一対の挿通孔44,44が離隔配置されている。挿通孔44の周縁部には、円筒形状の二重壁46が上方に突設されている。二重壁46の内壁46Aは、下端部の内径が挿通孔44と同じとされ、上端部の内径が挿通孔44より大きくされている。これにより、下端部と上端部の間に段差が形成され、この段差により挿通孔44の内周面に開口する環状溝48が設けられている。後述するように、この環状溝48に、リング状のシール部材72が収容されている。
【0029】
二重壁46の外壁46Bには、図1および図3に示すように、右側に設けられた挿通孔44の外壁46Bの右側の外周面および左側に設けられた挿通孔44の外壁46Bの左側の外周面にそれぞれ、係合突起50が突設されている。また、一対の挿通孔44,44の間には、略矩形板状の絶縁壁部52が突設されている。さらに、一対の挿通孔44,44に隣接する蓋体26の外周縁部には、上方に開口して外方に向かって延び出す相手側端子支持部54が設けられている。相手側端子支持部54の両側および二重壁46の後方側には、ガイド壁56が突設されている。
【0030】
一対の挿通孔44,44に設けられた二重壁46に対して、上方からカバー部材58が組付けられる。カバー部材58は、二重壁46の外壁46B上を覆蓋する一対の円環状部60,60を門状の絶縁壁62で連結して構成されている。カバー部材58の長手方向の両端部には、被係合枠体64が下方に向かって突設されている。
【0031】
<中継端子66>
中継端子66は、例えば、図1に示すように、円筒形状の金属とされており、挿通孔44の径寸法よりもわずかに小さな外径寸法を有している。中継端子66は、切削加工等によって形成されている。中継端子66を構成する金属としては、銅、銅合金、アルミニウム、アルミニウム合金等の電気抵抗の低い金属を適宜に選択することができる。中継端子66は、軸方向両端面の中央にボルト締結用のねじ穴68が開口して形成されている。本実施形態では、中継端子66の軸方向両端面に形成されているねじ穴68は互いに連通していないが、連通していても構わない。
【0032】
<電気接続箱10の組み付け工程>
続いて、電気接続箱10の組み付け工程の一例について説明する。なお、電気接続箱10の組み付け工程は、以下の記載に限定されない。
【0033】
まず、リレーユニット14を準備する。続いて、一対の接続端子18,18の前方側に形成された貫通孔19上に一対の中継端子66,66をねじ70を用いて固定する。これにより、一対の接続端子18,18に対して、一対の中継端子66,66がそれぞれ接続される。この一対の接続端子18,18を、後方側に形成された貫通孔19を通してリレーユニット14の一対の入出力電極16,16に対してねじ止めすることにより、リレーユニット14に中継端子66が通電可能に接続された回路構成体12が完成する。
【0034】
この中継端子66が接続された回路構成体12を、ケース本体24内に収容する。これにより、リレーユニット14が、リレーユニット台36上に載置され、リレーユニット14の上面から前方に向かって延び出す接続端子18の前端側の角部が、接続端子支持部38上に突設された突条40の内側に収容される。この状態において、一対の中継端子66,66を一対の接続端子18,18に対してねじ止めするねじ70の頭部が、接続端子支持部38間の空間を利用してスペース効率よく収容されており、省スペース化が図られている。また、一対の接続端子18,18は、リレーユニット14から外方に延び出し、リレーユニット14から離隔して配置されている、ケース本体24の周壁30に設けられた接続端子支持部38に至る大きさで設けられている。さらに、ケース本体24の上方開口部22を略カバーする面積を以って広がっている。
【0035】
次に、蓋体26を準備する。すなわち、蓋体26の一対の挿通孔44,44の周縁部上に突設されている二重壁46の内壁46Aに設けられている環状溝48に、シール部材72を挿入する。続いて、一対の挿通孔44,44に設けられた二重壁46に対して、上方からカバー部材58を組み付ける。これにより、シール部材72を収容する環状溝48の上方がカバー部材58により覆われ、シール部材72の環状溝48からの脱落が防止されている。
【0036】
このように構成された蓋体26を用いて、ケース本体24の上方開口部22を覆蓋し、ケース本体24の周壁30の上端部に設けられた固定部32に対して蓋体26の被固定部42を締結固定する。その結果、ケース本体24の周壁30の上面に形成された溝に配設されている防水部材34が、ケース本体24と蓋体26間で押圧されることにより、ケース本体24の上方開口部22が蓋体26によって密閉状態に覆われる。
【0037】
この状態で、図3に示すように、円筒形状の中継端子66の軸方向の一端面74がケース20を構成する蓋体26の挿通孔44を挿通してカバー部材58を構成する円環状部60から外部に露出している。この軸方向の一端面74の中央にはボルト締結用のねじ穴68が上方に開口して形成されており、ねじ穴68の周囲に後述する相手側端子78が載置される載置面が形成されている。すなわち、この軸方向の一端面74によって外部接続部76が構成されている。また、図3に示すように、カバー部材58により、一対の外部接続部76,76間に絶縁壁62が突設されており、各外部接続部76の周囲が囲われている。
【0038】
しかも、図1および図3に示すように、円形の挿通孔44に挿通配置されている円筒形状を有する中継端子66の外周面には、リング状のシール部材72が装着されている。このシール部材72が挿通孔44の内周面と中継端子66の外周面に密着し圧縮されることにより、挿通孔44がシールされている。このようにして、電気接続箱10が形成されている。
【0039】
最後に、端末にタブ状の端子が露呈された相手側端子78の絶縁された絶縁被覆部78Aを相手側端子支持部54上に載置し、相手側端子78のタブ状の接続部78Bを蓋体26の挿通孔44から外部に露出している中継端子66の軸方向の一端面74上に載置してねじ70を用いて固定する。これにより、電気接続箱10と外部機器が電気的に接続される。なお、カバー部材58を構成する絶縁壁62の円環状部60側に形成されている凹みは、ねじ70を廻す工具が絶縁壁62に当たらないようにするために設けられている。
【0040】
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態によれば、ケース20内に中継端子66が接続された回路構成体12が収容されており、この中継端子66の軸方向の一端面74によって構成されている外部接続部76がケース20の外部に露出している。その結果、中継端子66の軸方向の一端面74上に相手側端子78を載置してねじ70を用いて固定するだけで、電気接続箱10と外部機器の接続作業が完了する。それゆえ、従来必要とされた、接続後にケースの開口を蓋体で覆蓋して密閉性を確保する作業や、ケース外に通電部材を引き出す挿通孔に防水部材を装着する作業が不要となり、電気接続箱10と外部機器との接続作業を簡素化することができる。
【0041】
また、シール部材72が挿通孔44の内周面と中継端子66の外周面に密着し圧縮されていることにより、挿通孔44におけるシール性も確保されている。さらに、電気接続箱10と外部機器との接続作業時に、作業者がケースを開口させたり、シール部材に関して何らかの作業をする必要がない。これにより、作業者によるシール性のばらつきのおそれもないことから、ケース20内への浸水を安定して防止できる。加えて、リング状のシール部材72が、挿通孔44の内周面と中継端子66の外周面に密着し圧縮されることにより挿通孔44がシールされている。これにより、シール部材72の圧縮状態を全周に亘って均一にすることができることから、シール部材72を安定した状態で密接させることができ、シール性の向上を有利に図ることができる。しかも、シール部材72が環状溝48に収容されていることから、シール部材72を容易に位置決め配置することができる。また、シール部材72が中継端子66と挿通孔44の対向面間で圧縮されると、環状溝48の底壁にも圧縮されることから、電気接続箱10の一層の防水性を確保できる。
【0042】
本実施形態によれば、ケース20を構成する蓋体26の挿通孔44から外部に露出している、中継端子66の軸方向の一端面74が、相手側端子78を接続する外部接続部76とされている。すなわち、一端面74の中央にボルト締結用のねじ穴68が開口し、ねじ穴68の周囲に相手側端子78の載置面が形成されている。これにより、ボルト締結用のねじ穴68と相手側端子78の載置面をスペース効率よく設けることができる。しかも、中継端子66の軸方向の一端面74上に相手側端子78を載置してねじ70を用いて固定するだけで、電気接続箱10と外部機器の接続作業が完了することから、高電圧の接続構造に対応でき、高電圧用の電気接続箱に対して本開示の構造を有利に適用できる。
【0043】
また、ケース本体24と蓋体26が別体であることから、ケース本体24の上方開口部22から回路構成体12や中継端子66を容易に収容できる。さらに、上方開口部22を密閉状態に覆う蓋体26に挿通孔44が設けられていることから、ケース20内の防水性を維持したままで、外部接続部76をケース20外に露出させることができる。加えて、ケース20と別体に設けられたカバー部材58を用いて、一対の外部接続部76,76間に絶縁壁62を設けたり、この絶縁壁62により各外部接続部76の周囲を囲うことが容易にできる。それゆえ、一対の外部接続部76,76間の絶縁性の付与や、各外部接続部76と他部材との間の不必要な接触等の防止も容易に実現できる。
【0044】
<変形例>
以上、本開示の具体例として、実施形態1について詳述したが、本開示はこの具体的な記載によって限定されない。本開示の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本開示に含まれるものである。例えば次のような実施形態の変形例も本開示の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、接続端子18に対する中継端子66の接続は、ねじ止めによって行われていたが、その他のボルトとナットやボルト等の締結部材による締結や、溶接等による接続によって実現されてもよい。
(2)また、回路構成体12として、プリチャージ回路を有するリレーを例示して説明を行ったが、これに限定されない。回路構成体12として、公知の様々な種類の回路構成体が採用可能である。
(3)さらに、ケース20の上方に開口部が設けられていたが、ケースの側方に開口部が設けられ外部接続部が側方に突出されていてもよい。
(4)加えて、中継端子66の形状は円筒形に限定されず、角柱形状等の任意の形状が採用可能である。なお、挿通孔44やシール部材72等は、中継端子66の形状に応じた形状とされる。
また、本開示は、もともと以下(i)~(vi)に記載の各態様をいずれも含むものであり、その構成および作用効果に関して付記しておく。
(i)外部機器への接続端子を有する回路構成体と、挿通孔を有して前記回路構成体を収容するケースと、前記接続端子に接続され、前記挿通孔を挿通して前記ケース外に露出した外部接続部を有する中継端子と、前記挿通孔と前記中継端子の対向面間に圧縮されて、前記挿通孔をシールするシール部材とを含む電気接続箱。
(ii)上記(i)において、前記中継端子が円筒形状を有し、円形の前記挿通孔に挿通されており、前記中継端子の外周面に装着されたリング状の前記シール部材が前記挿通孔の内周面と前記中継端子の前記外周面に密着することにより、前記挿通孔がシールされていることが好ましい。
(iii)上記(ii)において、前記円筒形状の前記中継端子の軸方向一端面が前記ケース外に露出しており、前記軸方向一端面の中央にボルト締結用のねじ穴が開口して形成され、前記ねじ穴の周囲に相手側端子の載置面が形成され、前記軸方向一端面によって前記外部接続部が構成されていることが好ましい。
(iv)上記(i)から(iii)のいずれか1つにおいて、前記ケースが、前記挿通孔の内周面に開口する環状溝を有し、前記環状溝に前記シール部材が収容されていることが好ましい。
(v)上記(i)から(iv)のいずれか1つにおいて、一対の前記接続端子は、一対の前記中継端子がそれぞれ接続されており、一対の前記中継端子の前記外部接続部が、前記ケースに設けられた一対の前記挿通孔をそれぞれ挿通して前記ケース外に露出しており、前記ケースは、一対の前記外部接続部の間に絶縁壁を有し、前記外部接続部の周囲を囲うカバー部材を装着していることが好ましい。
(vi)上記(i)から(v)のいずれか1つにおいて、前記ケースが、開口部を有する箱状のケース本体と、前記ケース本体の前記開口部を密閉状態に覆う蓋体とを有し、前記蓋体に前記挿通孔が設けられていることが好ましい。
上記(i)の態様によれば、ケース内に収容された回路構成体の接続端子に接続された中継端子の一部が、ケース外に露出して外部接続部を構成している。それゆえ、電気接続箱のケース外に露出した外部接続部に対して外部機器の通電部材を接続する作業だけで、電気接続箱と外部機器の接続作業が完了する。そのため、従来必要とされた、ケースの開口を蓋体で覆蓋して密閉性を確保する作業や、ケース外に通電部材を引き出す挿通孔に防水部材を装着する作業が不要となり、電気接続箱と外部機器との接続作業を簡素化することができる。
中継端子と挿通孔との対向面間にシール部材が圧縮されており、挿通孔におけるシール性も確保されている。さらに、電気接続箱と外部機器との接続作業に際して、作業者がケースを開口させたり、シール部材に関して何らかの操作をする必要がないことから、作業者によるシール性のばらつきのおそれもなく、ケース内への浸水を安定して防止することができる。
上記(ii)の態様によれば、円形の挿通孔に内挿された円筒形状の中継端子と挿通孔との対向面間に弾性変形可能なリング状のシール部材を圧縮することにより、シール部材の圧縮状態を全周に亘って均一にすることができる。その結果、挿通孔の内周面と中継端子の外周面とに対してシール部材を安定した状態で密接させることができ、シール性の向上を有利に図ることができる。
上記(iii)の態様によれば、円筒形状の中継端子の軸方向端面を利用して、ボルト締結用のねじ穴と相手方端子の載置面をスペース効率よく設けることができる。しかも、中継端子に対して相手側端子をボルト締結することにより、高電圧の接続構造に対応でき、高電圧用の電気接続箱に対して、本開示の構造を有利に適用できる。
上記(iv)の態様によれば、環状溝を利用して、シール部材を容易に位置決め配置することができる。シール部材が中継端子と挿通孔の対向面間で圧縮されると、挿通孔の内周面に開口する環状溝の底壁にも圧縮される。これにより、電気接続箱の一層の防水性を確保することができる。
上記(v)の態様によれば、ケースと別体に設けられたカバー部材により、一対の外部接続部の間の絶縁壁と各外部接続部の周囲に囲う壁部とを、ケースに対して容易に設けることができる。これにより、外部接続部間の絶縁性の付与や、各外部接続部と他部材との不必要な接触等の防止も容易に実現できる。
上記(vi)の態様によれば、ケース本体の開口部から回路構成体を容易に組み付けることができる。しかも開口部を密閉状態に覆う蓋体に挿通孔が設けられていることから、ケース内の防水性を維持した状態で外部接続部をケース外に露出させることができる。
【符号の説明】
【0045】
10 電気接続箱
12 回路構成体
14 リレーユニット
16 入出力電極
18 接続端子
19 貫通孔
20 ケース
22 上方開口部
24 ケース本体
26 蓋体
28 底壁
30 周壁
32 固定部
34 防水部材
36 リレーユニット台
38 接続端子支持部
40 突条
42 被固定部
44 挿通孔
46 二重壁
46A 内壁
46B 外壁
48 環状溝
50 係合突起
52 絶縁壁部
54 相手側端子支持部
56 ガイド壁
58 カバー部材
60 円環状部
62 絶縁壁
64 被係合枠体
66 中継端子
68 ねじ穴
70 ねじ
72 シール部材
74 一端面
76 外部接続部
78 相手側端子
78A 絶縁被覆部
78B 接続部
図1
図2
図3
図4