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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036663
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】重水素化ドンペリドンを含む製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/454 20060101AFI20230307BHJP
   A61K 9/06 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 9/107 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 9/20 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 9/48 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 47/02 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20230307BHJP
   A61K 47/34 20170101ALI20230307BHJP
   A61P 1/12 20060101ALI20230307BHJP
   A61P 1/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K31/454
A61K9/06
A61K9/08
A61K9/107
A61K9/20
A61K9/48
A61K47/02
A61K47/14
A61K47/34
A61P1/12
A61P1/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022196699
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2021547550の分割
【原出願日】2019-10-25
(31)【優先権主張番号】62/750,491
(32)【優先日】2018-10-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521176525
【氏名又は名称】シンドーム ファーマ、インク.
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】パテル、ピユシュ
(72)【発明者】
【氏名】ピアース、キャサリン
(72)【発明者】
【氏名】イサクソン、ジョナサン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】安全で効果的なドンペリドンの製剤を提供する。
【解決手段】重水素化d-ドンペリドンまたはその薬剤的に許容される塩を含む医薬製剤を提供する。製剤は、(i)ステアリン酸グリセリル、および中鎖トリグリセリド、または(ii)ステアロイルポリオキシルグリセリド、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および中鎖トリグリセリド、または(iii)非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、およびポリエチレングリコールを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、
(i)式(I)の重水素化d-ドンペリドン:
【化1】
、またはその薬学的に許容される塩、ステアリン酸グリセリル、および中鎖トリグリセリド、
または
(ii)式(I)の重水素化d-ドンペリドン:
【化2】
、またはその薬学的に許容される塩、ステアロイルポリオキシルグリセリド、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および中鎖トリグリセリド、
または
(iii)式(I)の重水素化d-ドンペリドン:
【化3】
、またはその薬学的に許容される塩、非イオン性のポリ(エチレンオキシド)ポリマー、およびポリエチレングリコールを含む、医薬製剤。
【請求項2】
請求項1記載の医薬製剤において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、ステアリン酸グリセリルと、中鎖トリグリセリドとを含む、医薬製剤。
【請求項3】
請求項1または2記載の医薬製剤において、前記ステアリン酸グリセリルが、パルミトステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセロール、ジステアリン酸グリセリル、またはそれらの組み合わせである、医薬製剤。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約2~約20%(w/w)、好ましくは約5~約15%(w/w)、またはより好ましくは約10%(w/w)の前記ステアリン酸グリセリルを含む、医薬製剤。
【請求項5】
請求項1~4のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約70~約90%(w/w)、または好ましくは約80~約85%(w/w)の前記中鎖トリグリセリドを含む、医薬製剤。
【請求項6】
請求項1~5のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記ステアリン酸グリセリルがPrecirol(商標登録)ATO 5である、医薬製剤。
【請求項7】
請求項1記載の医薬製剤において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、ステアロイルポリオキシルグリセリドと、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーと、および中鎖トリグリセリドとを含む、医薬製剤。
【請求項8】
請求項7記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約3~約15%(w/w)、好ましくは約5~約10%(w/w)、またはより好ましくは約7%(w/w)の前記ステアロイルポリオキシルグリセリドを含む、医薬製剤。
【請求項9】
請求項7または8記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約5~約40%(w/w)、好ましくは約12~約25%(w/w)、またはより好ましくは約19%(w/w)の前記非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む、医薬製剤。
【請求項10】
請求項7~9のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約40~約80%(w/w)、好ましくは約50~68%(w/w)、またはより好ましくは約64%(w/w)の前記中鎖トリグリセリドを含む、医薬製剤。
【請求項11】
請求項7~10のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記ステアロイルポリオキシルグリセリドがGelucire(商標登録)50/13である、医薬製剤。
【請求項12】
請求項7~11のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーがポリエチレンオキシド303である、医薬製剤。
【請求項13】
請求項1記載の医薬製剤において、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩と、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーと、およびポリエチレングリコールとを含む、医薬製剤。
【請求項14】
請求項13記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約5~約30%(w/w)、好ましくは約10~約20%(w/w)、またはより好ましくは約15%(w/w)の前記非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む、医薬製剤。
【請求項15】
請求項13記載の医薬製剤であって、前記製剤の重量に基づいて、約70~約90%(w/w)、好ましくは約70~約80%(w/w)、またはより好ましくは約75%(w/w)の前記ポリエチレングリコールを含む、医薬製剤。
【請求項16】
請求項13~15のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーが、約400,000~約8,000,000のMを有する、医薬製剤。
【請求項17】
請求項13~16のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーが、約7,000,000のMを有する、医薬製剤。
【請求項18】
請求項13~17のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記ポリエチレングリコールが、約300~約1000のMを有する、医薬製剤。
【請求項19】
請求項13~18のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記ポリエチレングリコールが、約400のMを有する、医薬製剤。
【請求項20】
請求項1~19のいずれか1項に記載の医薬製剤であって、さらに抗酸化剤を含む、医薬製剤。
【請求項21】
請求項20記載の医薬製剤において、前記抗酸化剤が、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、またはビタミンEであり、または好ましくはブチル化ヒドロキシアニソールまたはブチル化ヒドロキシトルエンである、医薬製剤。
【請求項22】
請求項1~21のいずれか1項に記載の医薬製剤において、前記製剤の重量に基づいて、約1~約20%(w/w)、好ましくは約5~約12%(w/w)、またはより好ましくは約10%(w/w)のd-ドンペリドンを含む、医薬製剤。
【請求項23】
請求項1~22のいずれか1項に記載の医薬製剤において、約1~約50mgのd-ドンペリドンを含む、医薬製剤。
【請求項24】
患者における胃不全麻痺、胃不全麻痺とは別の吐き気、胃不全麻痺とは別の嘔吐、胃不全麻痺に伴う吐き気、胃不全麻痺に伴う嘔吐、胃食道逆流症、授乳不全、またはそれらの組み合わせである障害を治療する方法であって、請求項1~23のいずれか1項に記載の製剤を患者に投与する工程を含む、方法。
【請求項25】
請求項24記載の方法において、前記投与が、経口、経皮、非経口、またはそれらの組み合わせである、方法。
【請求項26】
前記投与が経口である、請求項24または25記載の方法。
【請求項27】
請求項24~26のいずれか1項に記載の方法において、前記製剤が、錠剤、カプセル、ソフトジェル、懸濁液、液体、またはそれらの組み合わせの形態である、方法。
【請求項28】
請求項24~27のいずれか1項に記載の方法において、前記障害が胃不全麻痺である、方法。
【請求項29】
請求項24~27のいずれか1項に記載の方法において、前記疾患が胃食道逆流症である、方法。
【請求項30】
請求項24~27のいずれか1項に記載の方法において、前記障害が授乳不足である、方法。
【請求項31】
患者における胃不全麻痺、胃不全麻痺とは別の吐き気、胃不全麻痺とは別の嘔吐、胃不全麻痺に伴う吐き気、胃不全麻痺に伴う嘔吐、胃食道逆流症、授乳不全、またはそれらの組み合わせである障害の治療に使用するための、請求項1~23のいずれか1項に記載の医薬製剤。
【請求項32】
請求項31記載の医薬組成物において、前記製剤が、錠剤、カプセル、ソフトジェル、懸濁液、液体、またはそれらの組み合わせの形態である、医薬製剤。
【請求項33】
請求項31または32記載の医薬製剤において、前記障害が胃不全麻痺である、医薬製剤。
【請求項34】
請求項31または32に記載の医薬製剤において、前記障害が胃食道逆流症である、医薬製剤。
【請求項35】
請求項31または32に記載の医薬製剤において、前記障害が授乳不足である、医薬製剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2018年10月25日に出願された米国仮特許出願第62/750,491号の優先権を主張するものであり、その内容は参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、d-ドンペリドン(d-domperidone)を含む医薬製剤に関するものである。
【背景技術】
【0003】
胃不全は、胃の運動が機能しない、または正常に機能しない状態で、胃が空にならず、消化を妨げる。胃不全麻痺の治療には、胃の筋肉を刺激するためにメトクロプラミド、エリスロマイシン、またはシサプリドなどの薬が必要である。メトクロプラミドは運動障害の発生や他の薬剤との相互作用などの重篤な副作用があり、エリスロマイシンは患者の薬物耐性が高まると効果がなくなる可能性があり、シサプリドは使用方法が限られる。
【0004】
胃不全麻痺の治療には、プロクロルペラジン、チエチルペラジン、ジフェンヒドラミン、またはオンダンセトロンなどの吐き気や嘔吐を抑える薬が投与されることもある。また、胃不全麻痺の症状を外科的に治療することも可能であり、例えば、空腸切開チューブ、胃排出チューブ、または栄養チューブなどを設置することができる。
【0005】
重水素化型および非重水素化型のドンペリドンは、血液脳関門を容易に通過しない効果的なドパミン拮抗薬であり、胃不全麻痺の治療に使用される可能性がある。安全で効果的なドンペリドンの製剤が求められる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
いくつかの実施形態では、本開示は、式(I)のd-ドンペリドン:
【化1】
(I)またはその薬学的に許容される塩;ステアリン酸グリセリル、および中鎖トリグリセリドを含む医薬製剤を提供する。。
【0007】
他の実施形態では、本開示は、式(I)のd-ドンペリドン:
【化2】
(I)またはその薬学的に許容される塩;ステアロイルポリオキシルグリセリド、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および中鎖トリグリセリドを含む医薬製剤を提供する。
【0008】
さらなる実施形態では、本開示は、式(I)のd-ドンペリドン:
【化3】
(I)またはその薬学的に許容される塩;非イオン性のポリ(エチレンオキシド)ポリマー、およびポリエチレングリコールを含む医薬製剤を提供する。
【0009】
さらに他の実施形態では、本開示は、患者において、胃不全麻痺、胃不全麻痺とは別の吐き気、胃不全麻痺とは別の嘔吐、胃不全麻痺に伴う吐き気、胃不全麻痺に伴う嘔吐、胃食道逆流症、授乳不全、またはそれらの組み合わせである障害を治療する方法であって、本明細書に記載の製剤を患者に投与する工程を含む方法を提供する。いくつかの態様では、障害は胃不全麻痺である。他の態様では、障害は胃食道逆流症である。さらなる態様では、障害は授乳不足である。
【0010】
本発明の他の側面および実施形態は、以下の発明の詳細な説明から容易に明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本出願は、添付の図面と併せて読むことでさらに理解される。主題を説明する目的で、図面には主題の例示的な実施形態が示されるが、現在開示される主題は、開示される特定の組成物、方法、装置、およびシステムに限定されない。加えて、図面は必ずしも縮尺通りに描かれているわけではない。
【0012】
図1図1は、製剤A~Fを投与した結果のd-ドンペリドンの血漿中濃度を示す折れ線グラフである。
図2図2は、図1の拡大図である。
図3図3は、実施例3に記載した1mg/kgのイヌの後の、ドンペリドンまたはd-ドンペリドンの平均濃度を示す折れ線グラフである。
図4図4は、ドンペリドンおよびd-ドンペリドンのCmaxおよびAUCを棒グラフ形式でさらに示す、図3の延長線上にある図である。
図5図5は、実施例4に記載のイヌに製剤A、B、またはFを投与した後のd-ドンペリドンの血漿レベルを比較した折れ線グラフである。
図6図6は、ドンペリドンおよびd-ドンペリドンをイヌに1mg/kgの用量で投与した時の薬物動態プロファイルを示す折れ線グラフである。
図7図7は、d-ドンペリドンのプラセボと、ドンペリドンの5mgおよび10mgのサンプルの充填配合のフローチャートである。
図8図8は、d-ドンペリドンとドンペリドンを含む懸濁液製剤のCmaxとAUCを示す折れ線グラフである。
図9図9は、実施例3のd-ドンペリドン試料の補正後のQT-絶対値を示す折れ線グラフである。
図10図10は、実施例3の非重水素化ドンペリドン試料の補正QT値-絶対値を示す折れ線グラフである。
図11図11は、実施例3のd-ドンペリドンおよび非重水素化ドンペリドン試料のCmaxの担体からの変化率を示す棒グラフである。
図12図12は、実施例3のd-ドンペリドンおよび非重水素化ドンペリドン試料の、投与量に対する担体からのCmax変化率を示す棒グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本開示では、単数形の「a」、「an」、「the」は、複数形の参照を含み、特定の数値への参照は、文脈が明確に他を示さない限り、少なくともその特定の数値を含む。したがって、例えば、「材料」への言及は、当業者等に知られるそのような材料およびその等価物のうちの少なくとも1つへの言及である。
【0014】
ある値が「約」という記述を用いて近似値として表現される場合、その特定の値が別の実施形態を形成することが理解されるだろう。一般に、「約」という用語の使用は、開示された主題によって得ようとする所望の特性に応じて変化し得る近似値を示し、その機能に基づいて使用される特定の文脈において解釈されるべきである。当業者であれば、これを日常的に解釈することができるだろう。いくつかのケースでは、特定の値に使用される有効数字の数は、「約」という言葉の範囲を決定する1つの非限定的な方法かもしれない。他のケースでは、一連の値に使用されるグラデーションを使用して、各値の「約」という言葉に利用できる意図された範囲を決定しても良い。存在する場合、すべての範囲は包括的で組み合わせ可能である。すなわち、範囲で示された値への言及は、その範囲内のすべての値を含む。
【0015】
リストが提示される場合、特に明記されていない限り、そのリストの個々の要素およびそのリストのすべての組み合わせは、個別の実施形態として解釈されることが理解されるべきである。例えば、「A、B、またはC」として提示された実施形態のリストは、「A」、「B」、「C」、「AまたはB」、「AまたはC」、「BまたはC」、または「A、B、またはC」という実施形態を含むものと解釈される。
【0016】
本明細書では、明確にするために個別の実施形態の文脈で説明している本発明の特定の特徴は、単一の実施形態で組み合わせて提供することもできることを理解されたい。すなわち、明らかに互換性がない、または除外されない限り、個々の実施形態は、他の実施形態(複数可)と組み合わせ可能であるとみなされ、そのような組み合わせは、別の実施形態であるとみなされる。逆に、簡潔にするために単一の実施形態の文脈で説明される本発明の様々な特徴は、別個に、または任意のサブコンビネーションで提供することもできる。さらに、特許請求の範囲は、任意の要素を除外するように起草することができることに留意されたい。このように、本明細書は、請求項の要素の記載に関連して「単一に」、「のみ」などの排他的な用語を使用すること、または「否定的な」限定を使用することの先行根拠となることを意図する。最後に、ある実施形態が一連の工程の一部またはより一般的な構造の一部として記述されることがあるが、各前記工程はそれ自体が独立した実施形態であると考えることも可能である。
【0017】
「被験者」および「患者」という用語は、互換的に使用され、典型的には哺乳類を指す。いくつかの実施形態では、患者または被験者は、ヒトである。他の実施形態では、患者または被験者は、獣医または農場の動物、家畜またはペット、または臨床研究を行うために使用される動物である。
【0018】
「治療」またはそのバリエーションは、疾患または障害の少なくとも1つの物理的パラメータを排除または低減することを意味する。
【0019】
本明細書で言及されている「ドンペリドン(Domperidone)」とは、5-クロロ-1-(1-[3-(2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-1-イル)プロピル]ピペリジン-4-イル)-1H-ベンゾ[d]イミダゾール-2(3H)-オンのことであり、以下の構造を有する:
【化4】
【0020】
本明細書で言及されている「D-ドンペリドン(D-domperidone)」とは、1-{3-[4-(5-クロロ-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-1,3-ベンゾジアゾール-1-イル)ピペリジン-1イル]プロピル}-2,3-ジヒドロ(4,5,6,7-D4)-1H-1,3-ベンゾジアゾール-2-オンのことであり、以下の構造を有する:
【化5】
【0021】
-ドンペリドンには、薬学的に許容される塩、エステル、水和物、溶媒和物、プロドラッグ形態、およびこれらの誘導体も含まれ、これらは、修飾または部分的に置換されたd-ドンペリドン化合物として広く定義され、その例としては、単原子の付加、反応性基の付加、官能基の付加、二量体または多量体の形成、抗体などの別の分子との結合などが挙げられるが、これらに限定されない。
【0022】
「薬学的に許容される」とは、組成、処方、安定性、患者の受容性、生物学的利用能に関して、薬理学的/毒性学的には患者に許容可能であり、物理的/化学的には製造業の製薬化学者に許容可能な特性および/または物質を意味する。
【0023】
薬学的に許容される塩には、薬学的に許容される酸または塩基との塩が含まれ、例えば、無機酸、例えば、塩酸、硫酸、リン酸、二リン酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、および硝酸などの無機酸や、クエン酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、アスコルビン酸、シュウ酸、コハク酸、酒石酸、安息香酸、酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、またはp-トルエンスルホン酸などの有機酸が挙げられる。薬学的に許容される塩基としては、アルカリ金属、例えばナトリウムまたはカリウム、およびアルカリ土類金属、例えばカルシウムまたはマグネシウム、水酸化物、および有機塩基、例えばアルキルアミン、アリールアルキルアミン、および複素環アミンが挙げられる。
【0024】
本明細書で使用される略語「D」は、重水素(重水素またはH)である水素の安定同位体を意味する。このような「D」の実施例は、重水素の自然発生的な分布を上回る量の重水素を含む。いくつかの実施形態では、Dは、約1%以上の重水素の濃縮度を有する。他の実施形態では、Dは、約5%以上の重水素濃縮度を有する。さらなる実施形態では、Dは、約10%以下の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約20%以下の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約30%以下の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約40%以下の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約50%以上の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約60%以上の重水素濃縮度を有する。他の実施形態では、Dは、約70%以下の重水素濃縮度を有する。さらなる実施形態では、Dは、約80%以下の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約90%以上の重水素濃縮度を有する。さらに他の実施形態では、Dは、約98%以上の重水素の濃縮度を有する。さらにさらなる実施形態では、Dは、約99%以上の重水素の濃縮度を有する。さらに別の実施形態では、Dは重水素の少なくとも99%の重水素濃縮度を有する。
【0025】
今回、重水素化していないドンペリドン製剤が、死に至る可能性のある補正QT(QT)延長を示すことが判明した。特定の理論にとらわれることなく、QT延長は、非重水素化ドンペリドン製剤で観察された比較的高いCmaxと関連しているのではないかと推測される。
【0026】
本明細書に記載されるd-ドンペリドンを含む医薬製剤は、in vivoに投与されると、様々な予期せぬ効果を示す。いくつかの実施形態では、これらの医薬製剤は、ドンペリドンを含む製剤と比較して、Cmaxの低下をもたらす。他の実施形態では、これらの医薬製剤は、ドンペリドンを含む製剤と比較して、AUCの低下をもたらす。さらなる実施形態では、これらの医薬製剤は、Cmaxが低下し、AUCが同等になる。さらに、本明細書で開示するように、記載されたd-ドンペリドン製剤は、非重水素化ドンペリドンと比較して、はるかに高い生物学的利用能を有する。
【0027】
医薬製剤は、製剤の重量を基準にして、約1~約20%(w/w)のd-ドンペリドンを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約2~約19%(w/w)、約3~約18%(w/w)、約4~約17%(w/w)、約5~約16%(w/w)、約6~約15%(w/w)、約7~約15%(w/w)、約8~約14%(w/w)、約9~約13%(w/w)、約10~約12%(w/w)、約5~約15%(w/w)、約5~約14%(w/w)、約5~約13%(w/w)、約5~約12%(w/w)、約5~約11%(w/w)、約5~約10%(w/w)、約5~約9%(w/w)、約1~約15%(w/w)、または約1~約10%(w/w)のd-ドンペリドンを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約5~約12%(w/w)のd-ドンペリドンを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、または約20%(w/w)のd-ドンペリドンを含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約10%(w/w)のd-ドンペリドンを含む。
【0028】
また、医薬製剤中のd-ドンペリドンの量は、量によって表されても良い。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約1~約50mgのd-ドンペリドンを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約5~約45mg、約10~約40mg、約15~約35mg、約20~約30mg、約1~約45mg、約1~約40mg、約1~約35mg、約1~約30mg、約1~約25mg、約1~約20mg,約1~約15mg、約5~約50mg、約5~約40mg、約5~約35mg、約5~約30mg、約5~約25mg、約5~約20mg、約5~約15mg、約10~約50mg、約20~約50mg、約30~約50mg、または約40~約50mgのd-ドンペリドンが含まれます。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約1、約2、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23.約24、約25、約26、約27、約28、約29、約30、約31、約32、約33、約34、約35、約36、約37、約38、約39、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、または約50mgのd-ドンペリドンが含まれる。
【0029】
ステアリン酸グリセリルおよび中鎖トリグリセリドを含むD-ドンペリドン製剤
【0030】
いくつかの実施形態では、本開示は、d-ドンペリドンまたはその薬学的に許容される塩と、ステアリン酸グリセリルと、および中鎖トリグリセリドとを含む医薬製剤を提供する。
【0031】
1つの成分として、医薬製剤は、ステアリン酸グリセリルを含む。本明細書で使用される用語「ステアリン酸グリセリル」とは、以下に示すようなグリセリル成分とステアリン酸成分を有する化合物であり、これらの成分が結合して化学的に安定した分子を形成する。
【化6】
【0032】
いくつかの実施形態では、ステアリン酸グリセリルは、パルミトステアリン酸グリセリルである。他の実施形態では、ステアリン酸グリセリルは、グリセロールジステアレートである。さらなる実施形態では、ステアリン酸グリセリルは、ジステアリン酸グリセリルである。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、グリセリルステアレートの組み合わせを含んでも良い。したがって、医薬製剤は、1、2、3、4、またはそれ以上のグリセリルステアレートを含んでも良い。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、パルミトステアリン酸グリセリルおよびジステアリン酸グリセリルを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、パルミトステアリン酸グリセリルおよびジステアリン酸グリセリルを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、グリセロールジステアレートおよびグリセリルジステアレートを含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、パルミトステアリン酸グリセリル、ジステアリン酸グリセロール、およびジステアリン酸グリセリルを含む。さらに他の実施形態では、ステアリン酸グリセリルは、Precirol(商標登録)ATO 5である。
【0033】
医薬製剤は、製剤の重量を基準にして、約2~約20%(w/w)のステアリン酸グリセリルを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約5~約15%(w/w)のステアリン酸グリセリルを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約6~約14%(w/w)、約7~約13%(w/w)、約8~約12%(w/w)、約9~約11%(w/w)、または5~約15%(w/w)のステアリン酸グリセリルを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、または約15%(w/w)のステアリン酸グリセリルを含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約9%(w/w)のステアリン酸グリセリルを含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約10%(w/w)のステアリン酸グリセリルを含む。
【0034】
本明細書で使用する「中鎖トリグリセリド」という用語は、脂肪酸部分が約6~約12個の炭素原子の脂肪族尾部を有するトリグリセリドを指す。いくつかの実施形態では、脂肪酸部分は、6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子の脂肪族尾部を有する。さらなる実施形態では、脂肪酸の脂肪族尾部は同じである。他の実施形態では、脂肪酸の脂肪族尾部は異なる。さらに他の実施形態では、脂肪酸は、6個の炭素原子の脂肪族尾部を有し、すなわち、中鎖トリグリセリドはカプロン酸である。さらに他の実施形態では、脂肪酸は約8個の炭素原子の脂肪族尾部を有し、すなわち、中鎖トリグリセリドはカプリル酸である。他の実施形態では、脂肪酸は、約10個の炭素原子の脂肪族尾部を有し、すなわち、中鎖トリグリセリドはカプリン酸である。さらなる実施形態では、脂肪酸は、約12個の炭素原子の脂肪族尾部を有し、すなわち、中鎖トリグリセリドはラウリン酸である。
【0035】
中鎖トリグリセリドは、製剤の重量に基づいて、約70~約90%(w/w)で医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約72~約88%(w/w)、約74~約86%(w/w)、約76~約84%(w/w)、約78~約82%(w/w)、約70~約85%(w/w)、約70~約80%(w/w)、約75~約90%(w/w)、約75~約85%(w/w)、約75~約80%(w/w)、約80~約90%(w/w)、約80~約85%(w/w)、または約80~約90%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約80~約85%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、中鎖トリグリセリドの約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90%(w/w)を含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、中鎖トリグリセリドを約90%(w/w)含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、中鎖トリグリセリドを約91%(w/w)含む。
【0036】
いくつかの態様では、医薬製剤は、約1~約20%(w/w)のd-ドンペリドンまたはその医薬的に許容される塩、約2~約20%(w/w)のステアリン酸グリセリル、および約70~約90%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。他の態様では、医薬製剤は、約5~約15%(w/w)のd-ドンペリドンまたはその医薬的に許容される塩、約5~約15%(w/w)のステアリン酸グリセリル、および約80~約85%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。さらに、この医薬製剤は、約10%(w/w)のステアリン酸グリセリルと約90%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。
【0037】
ステアロイルポリオキシルグリセリド、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および中鎖トリグリセリドを含むD-ドンペリドン製剤
【0038】
本開示はまた、d-ドンペリドンまたはその薬学的に許容される塩、ステアロイルポリオキシルグリセリド、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および中鎖トリグリセリドを含む医薬製剤を提供する。
【0039】
第一成分として、医薬製剤は、ステアロイルポリオキシルグリセリドを含む。本明細書で使用される用語「ステアロイルポリオキシルグリセリド」は、グリセロールエステルとポリエチレングリコールの混合物を指す。典型的には、ポリエチレングリコールは、約350~約1700の平均分子量(Mn)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールは、約400~約1500、約500~約1400、約600~約1300、約700~約1200、約800~約1100、約400~約1300、約400~約1100、約400~約900、約400~約700、約500~約1500、約700~約1500、約900~約1500、約1100~約1500、または約1300~約1500のMを有する。他の実施形態では、ポリエチレングリコールは、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、約1000、約1050、約1100、約1150、約1200、約1250、約1300、約1350、約1400、約1450、約1500、約1550、約1600、約1650、または約1700のMを有する。さらなる実施形態では、ポリエチレングリコールは、約1450~約1550のMを有する。さらに他の実施形態では、ポリエチレングリコールとグリセロールエステルの混合物は、Gelucire(商標登録)製品(Gattefosse社から入手可能)、例えばGelucire(商標登録)44/14(モノ-、ジ-、トリグリセリド、PEG-32(分子量約1450~約1550)約42.5~約47.5℃の融解範囲または約25℃での臨界ミセル濃度(CMC)72±53g/mLを有するラウリン酸(C12)のモノ-およびジエステル、Gelucire(商標登録)50/13(モノ-、ジ-、トリグリセリド、PEG-32(約1450~約1550のM)(パルミチン酸(C16)とステアリン酸(C18)のモノおよびジエステルを含み、融解範囲が約46~約51℃、親水性-親油性バランス(HLB)が約13、約25℃でのCMCが約100mg/L)などがある。Gelucire(商標登録)43/01(脂肪酸(C8-18)のモノ-、ジ-およびトリグリセリドエステルを含み、融解範囲が約42~約46℃、および/またはHLBが約1を含み)、またはGelucire(商標登録)48/16(脂肪酸のPEG-32(分子量約1450~約1550)エステルを含み、融解範囲が約46~約50℃、HLBが約16、および/またはCMCが約25℃で153±31mg/Lを含む)。いくつかの実施形態では、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、グリセロールのモノエステル、ジエステル、およびトリエステルを含む。他の実施形態では、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、ポリエチレングリコールのモノエステルおよびジエステルを含む。さらなる実施形態では、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、(i)グリセロールのモノエステル、ジエステル、および/またはトリエステルと、(ii)ポリエチレングリコールのモノエステルおよび/またはジエステルとを含む。さらに他の実施形態では、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、ステアロイルポリオキシル-32グリセリド(32個の繰り返しオキシエチレン単位を含む)である。さらに他の実施形態では、ステアロイルポリオキシルグリセリドは、Gelucire(商標登録)50/13である。
【0040】
医薬製剤は、製剤の重量に基づいて、約3~約15%(w/w)のステアロイルポリオキシルグリセリドを含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、ステアロイルポリオキシルグリセリドを約4~約14%(w/w)、約5~約13%(w/w)、約6~約12%(w/w)、約7~約11%(w/w)、約8~約10%(w/w)、約5~約12%(w/w)、約5~約10%(w/w)、または約6~約8%(w/w)含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約3、約4、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、または約15%(w/w)のステアロイルポリオキシルグリセリドを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約7%(w/w)のステアロイルポリオキシルグリセリドを含む。
【0041】
医薬製剤はまた、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。本明細書で使用される用語「非イオン性ポリ(エチレンオキシド)」は、室温で液体である以下の構造を有するポリマーを意味する。
【化7】
いくつかの実施形態では、nは約2,000~約100,000である。他の実施形態では、nは、約2,000~約90,000、約2,000~約80,000、約2,000~約60,000、約2,000~約40,000、約2,000~約20,000、約2,000~約10,000、約2,000~約8,000、約2,000~約6,000、約2,000~約4,000、約4,000~約100,000、約8,000~約100,000、約10,000~約100,000、約20,000~約100,000、約40,000~約100,000、約60,000~約100,000、約80,000~約100,000、約4,000~約80,000、約6,000~約60,000、約8,000~約40,000、約10,000~約20,000である。さらなる実施形態では、nは、約2,000、約3,000、約4,000、約5,000、約6,000、約7,000、約8,000、約9,000、約10,000、約15,000、約20,000、約25,000、約30,000、約35,000、約40,000、約45,000、約50,000、約55,000、約60,000、約65,000、約70,000、約75,000、約80,000、約85,000、約90,000、約95,000、または約100,000である。
【0042】
いくつかの実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーは、約400,000~約8,000,000の分子量(M)を有する。他の実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)は、約500,000~約8,000,000、約600,000~約8,000,000、約700,000~約8,000,000、約800,000~約8,000,000、約900,000~約8.000,000、約1,000,000~約8,000,000、約2,000,000~約8,000,000、約3,000,000~約8,000,000、約4,000,000~約8,000,000、約5,000,000~約8,000,000、約6,000,000~約8,000,000のMを有する。さらなる実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーは、約500,000、約600,000、約700,000、約800,000、約900,000、約1,000,000、約2,000,000、約3,000,000、約4,000,000、約5,000,000、約6,000,000、約7,000,000、または約8,000,000のMを有する。さらに他の実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)は、約7,000,000のMを有する。さらに他の実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)は、ポリエチレンオキシド303である。さらに他の実施形態では、非イオン性性ポリ(エチレンオキシド)は、POLYOX(商標登録)WSR 303である。
【0043】
非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーは、製剤の重量に基づいて、約5~約40%(w/w)で医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約10~約35%(w/w)、約15~約30%(w/w)、約20~約25%(w/w)、約5~約35%(w/w)、約5~約30%(w/w)、約5~約25%(w/w)、約5~約20%(w/w)、約5~約15%(w/w)を含む。約5~約10%(w/w)、約10~約40%(w/w)、約10~約30%(w/w)、約10~約20%(w/w)、約10~約25%(w/w)、約5~約35%(w/w)、約5~約30%(w/w)、約5~約25%(w/w)、または約5~約20%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーが含まれる。他の実施形態では、医薬製剤は、約12~約25%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、または40%(w/w)の非イオン性性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約19%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。
【0044】
医薬製剤は、上記で定義した中鎖トリグリセリドをさらに含む。いくつかの実施形態では、脂肪酸部分は、約6、7、8、9、10、11、または12個の炭素原子を有する脂肪族尾部を有する。さらなる実施形態では、中鎖トリグリセリドはカプロン酸である。他の実施形態では、中鎖トリグリセリドはカプリル酸である。さらに他の実施形態では、中鎖トリグリセリドはカプリン酸である。さらに他の実施形態では、中鎖トリグリセリドはラウリン酸である。
【0045】
中鎖トリグリセリドは、製剤の重量に基づいて、約40~約80%(w/w)で医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約45~約75%(w/w)、約50~約70%(w/w)、約55~約65%(w/w)、約50~約80%(w/w)、約60~約80%(w/w)、約70~約80%(w/w)、約40~約70%(w/w)、約40~約60%(w/w)、または約50~約70%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約50~約68%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約40、約41、約42、約43、約44、約45、約46、約47、約48、約49、約50、約51、約52、約53、約54、約55、約56、約57、約58、約59,約60、約61、約62、約63、約64、約65、約66、約67、約68、約69、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、または約80%(w/w)の中鎖トリグリセリドである。さらに別の実施形態では、医薬製剤は、中鎖トリグリセリドを約64%(w/w)含む。
【0046】
いくつかの態様では、医薬製剤は、製剤の重量に基づいて、約1~約20%(w/w)のd-ドンペリドンまたはその医薬的に許容される塩、約3~約15%(w/w)のステアロイルポリオキシルグリセリド、約5~約40%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および約40~約80%(w/w)の中鎖トリグリセリドを含む。他の態様では、医薬製剤は、製剤の重量に基づき、d-ドンペリドンまたはその医薬的に許容される塩を約5~約10%(w/w)、ステアロイルポリオキシルグリセリドを約5~約10%(w/w)、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを約12~約25%(w/w)、および中鎖トリグリセリドを約50~約68%(w/w)含む。
【0047】
非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーおよびポリエチレングリコールを含むD-ドンペリドン製剤
【0048】
さらなる実施形態では、本開示は、d-ドンペリドンまたはその薬学的に許容される塩と、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーと、ポリエチレングリコールとを含む医薬製剤を提供する。
【0049】
1つの成分として、医薬製剤は、上記で定義したような非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。いくつかの実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)は、ポリエチレンオキシド303である。さらなる実施形態では、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)は、POLYOX(商標登録)WSR303である。
【0050】
非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーは、製剤の重量に基づいて、約5~約30%(w/w)で医薬製剤中に存在する。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、約10~約30%(w/w)、約15~約30%(w/w)、約20~約25%(w/w)、約5~約30%(w/w)、約5~約25%(w/w)を含む。約5~約20%(w/w)、約5~約15%(w/w)、約5~約10%(w/w)、約10~約20%(w/w)、約10~約25%(w/w)、または約5~約20%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約10~約20%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約5、約6、約7、約8、約9、約10、約11、約12、約13、約14、約15、約16、約17、約18、約19、約20、約21、約22、約23、約24、約25、約26、約27、約28、約29、または約30%(w/w)の非イオン性性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約15%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーを含む。
【0051】
また、医薬製剤はポリエチレングリコールを含む。本明細書で使用される用語「ポリエチレングリコール」は、室温で液体である以下の構造を有する化学化合物を指し、mは約7~約20である。
【化8】
いくつかの実施形態では、mは、約7~約15、約7~約10、約8~約15、約8~約10、約9~約15、または約9~約13である。他の実施形態では、mは約8~約9である。さらなる実施形態では、mは、約7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、または約20である。さらに他の実施形態では、mは約8である。さらに他の実施形態では、mは約9である。ポリエチレングリコールはまた、約300~約1,000の分子量(Mw)を有する。いくつかの実施形態では、ポリエチレングリコールは、約400~約900、約500~約800、約600~約700、約300~約900、約300~約800、約300~約700、約300~約600、約300~約500、約400~約1,000、約500~約1,000、約600~約1,000、約700~約1,000、約800~約1,000、または約900~約1,000のMを有する。さらなる実施形態では、ポリエチレングリコールは、約400、約450、約500、約550、約600、約650、約700、約750、約800、約850、約900、約950、または約1,000のMを有する。さらに他の実施形態では、ポリエチレングリコールは、約400のMを有する。さらに他の実施形態では、ポリエチレングリコールはポリエチレングリコール400である。
【0052】
医薬製剤は、製剤の重量に基づいて、ポリエチレングリコールを約70~約90%(w/w)含む。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、ポリエチレングリコールの約70~約85%(w/w)、約70~約80%(w/w)、約70~約75%(w/w)、約75~約90%(w/w)、約80~約90%(w/w)、または約85~約90%(w/w)を含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約70、約71、約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、または約90%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、ポリエチレングリコールを約75%(w/w)含む。
【0053】
いくつかの態様では、医薬製剤は、製剤の重量に基づいて、約1~約20%(w/w)のd-ドンペリドンまたはその薬学的に許容される塩、約5~約30%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および約70~約90%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。他の態様では、医薬製剤は、製剤の重量に基づいて、約5~約10%(w/w)のd-ドンペリドンまたはその薬学的に許容される塩、約10~約20%(w/w)の非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマーおよび約70~約80%(w/w)のポリエチレングリコールを含む。
【0054】
本明細書に記載の医薬製剤は、1つ以上の抗酸化剤を含むこともできる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は1つの抗酸化剤を含む。他の実施形態では、医薬製剤は2つの抗酸化剤を含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は3つの抗酸化剤を含む。抗酸化剤は、当業者が選択することができる。いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール(BHA)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、没食子酸プロピル、メタ重亜硫酸カリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、またはビタミンEである。さらなる実施形態では、抗酸化剤はBHTである。さらに他の実施形態では、抗酸化剤はBHAおよびBHTである。
【0055】
医薬製剤中の抗酸化剤の総量は、製剤の総重量に対して、約0.01~約0.5%(w/w)である。いくつかの実施形態では、医薬製剤中の1つ以上の抗酸化剤の量は、約0.01~約0.4、約0.01~約0.3、約0.01~約0.2、約0.01~約0.1、約0.01~約0.05、約0.05~約0.4、約0.05~約0.3、約0.05~約0.2、約0.05~約0.1%(w/w)である。他の実施形態では、医薬製剤は、約0.01、約0.02、約0.03、約0.04、約0.05、約0.06、約0.07、約0.08、約0.09、約0.10、約0.11、約0.12、約0.013、約0.014、約0.015、約0.016、約0.017、約0.018、約0.019、約0.20、約0.21、約0.22、約0.23、約0.24、約0.25、約0.26、約0.27、約0.28、約0.29、約0.30、約0.31、約0.32、約0.33、約0.34、約0.35、約0.36、約0.37、約0.38、約0.39、約0.40、約0.41、約0.42、約0.43、約0.44、約0.45、約0.46、約0.47、約0.48、約0.49、または約0.50%(w/w)である。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約0.1%(w/w)の抗酸化剤を含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約0.05%(w/w)の抗酸化剤を含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約0.15%(w/w)の抗酸化剤を含む。他の実施形態では、医薬製剤は、約0.1%(w/w)のBHAを含む。さらなる実施形態では、医薬製剤は、約0.05%(w/w)のBHTを含む。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、約0.1%(w/w)のBHAおよび約0.05%(w/w)のBHTを含む。
【0056】
本明細書に記載のd-ドンペリドン製剤は、胃不全麻痺、胃不全麻痺とは別の吐き気、胃不全麻痺とは別の嘔吐、胃不全麻痺に伴う吐き気、胃不全麻痺に伴う嘔吐、胃食道逆流症、授乳不全、化学療法に関連する吐き気および/または嘔吐、またはそれらの組み合わせである障害を治療する方法を含むが、これらに限定されない、様々な治療方法に有用である。本方法は、本明細書に記載の医薬製剤を患者に投与する工程を含む。いくつかの実施形態では、本方法は、胃不全麻痺の治療に有用である。他の実施形態では、本方法は、胃不全麻痺とは別の吐き気の治療に有用である。さらなる実施形態では、本方法は、胃不全麻痺とは別に嘔吐を治療するのに有用である。さらに他の実施形態では、本方法は、胃不全麻痺に伴う吐き気を治療するのに有用である。さらに他の実施形態では、本方法は、胃不全麻痺に関連する嘔吐の治療に有用である。他の実施形態では、本方法は、胃食道逆流症の治療に有用である。さらなる実施形態では、本方法は、不十分な授乳の治療に有用である。さらに他の実施形態では、本方法は、化学療法に伴う吐き気および/または嘔吐の治療に有用である。
【0057】
本製剤は、非重水素化ドンペリドンの投与に適した任意の経路で投与することができる。いくつかの実施形態では、医薬製剤の投与は、経口、経皮、非経口、またはそれらの組み合わせである。さらなる実施形態では、投与は経口である。
【0058】
医薬製剤は、固体または液体の形態で投与するように製剤化することができる。いくつかの実施形態では、医薬製剤は、錠剤、カプレット、カプセル、粉末、ソフトジェル、懸濁液もしくは液体、またはそれらの組み合わせの形態で製剤化される。他の実施形態では、医薬製剤は、錠剤の形態で製剤化される。さらなる実施形態では、医薬製剤は、カプレットの形態で製剤化される。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、カプセルの形態で製剤化される。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、粉末の形態で製剤化される。他の実施形態では、医薬製剤は、ソフトゲルの形態で製剤化される。さらなる実施形態では、医薬製剤は、懸濁液の形態で製剤化される。さらに他の実施形態では、医薬製剤は、液体の形態で製剤化される。
【0059】
以下の実施例は、本開示内で説明される概念のいくつかを説明するために提供される。各実施例は、製剤、調製方法、および使用の具体的な個々の実施形態を提供すると考えられるが、いずれの実施例も、本明細書に記載されたより一般的な実施形態を制限するものと考えるべきではない。
【0060】
以下の実施例では、使用した数値(量、温度など)に関して正確性を確保するように努めたが、多少の実験誤差や偏差を考慮する必要がある。別段の指示がない限り、温度はC度である、Cmax=最大血漿濃度、tmax=最大血漿濃度の時間、MRTlast=観察可能な最後の時点まで計算した平均滞留時間、AUClast=観察可能な最後の時点まで計算した曲線下面積である。
【実施例0061】
実施例1:製剤の調製
表1の成分を組み合わせて、d-ドンペリドンを含む5つの製剤(A~E)を調製した。
【表1】
【0062】
製剤A-CおよびEは液体または半固体として製剤化され、カプセルに充填され、製剤Dはシングルステーションカーバープレスを用いて圧縮され、錠剤となった。
【実施例0063】
実施例2:d-ドンペリドン製剤を用いたイヌのPK試験
本試験では、雄のビーグル犬を対象に、実施例1に示したd-ドンペリドンの各種カプセル剤または錠剤、および0.5%のMethocel(商標登録)セルロースエーテル、0.2%のポリソルベート80(Tween(商標登録)80)、0.72%の乳酸を配合して調製したドンペリドンの懸濁液製剤を経口投与し、ドンペリドンおよびd-ドンペリドンの経口曝露量を評価した。
【0064】
各d-ドンペリドン製剤は10mg/イヌ、ドンペリドン製剤は1mg/kgで経口投与(PO)した。投与後24時間まで血液を採取し,ドンペリドンまたはドンペリドン-dの血漿中濃度をLCMS/MSで測定した。薬物動態パラメータは,Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを用いて決定した。平均血漿濃度および薬物動態パラメータを表2にまとめた。
【表2】
【0065】
表2は、測定されたCmax、tmax、MRTlast、およびAUClastを示し、製剤ACがCmaxの有意な減少、製剤Fと比較して長いMRTおよび同等のAUCを示したことを示す。しかしながら、製剤Eは、製剤Fと比較して、はるかに高いCmaxおよびAUCを示した。図1~2参照。
【実施例0066】
実施例3:d-ドンペリドンによるQT最小化を示すイヌの心血管試験
ビーグル犬を用いて、非重水素化ドンペリドンおよびd-ドンペリドンの潜在的な心血管系への影響を評価した。比較のために経口懸濁液を強制経口投与した。
【0067】
ある試験では、0.5%のMethocel(商標登録)(ヒドロキシプロピルメチルセルロース)、0.2%のポリソルベート80(Tween(商標登録)80)、0.72%の乳酸を注射用滅菌水に溶解した製剤を用いて、非重水素化ドンペリドンが評価された。USP。d-ドンペリドン製剤は製剤A、実施例1であった。非重水素化ドンペリドンについては、適切な量の担体と適切な量の非重水素化ドンペリドンを混合して製剤を調製し、0.2、1および4mg/mLの公称濃度を達成したビーグル犬は、1、5および20mg/kgの用量および担体対照を提供するために、強制経口投与により5mL/kgの容量で投薬した。表3を参照。各動物がすべての治療を受けるまで、投与の間に少なくとも2日間のウォッシュアウト期間を設けて、毎週1匹の動物/治療を投薬した。同じ4匹の動物が、ラテンスクエアデザインに従って治療を受けた。収縮期血圧、拡張期血圧、心拍数およびLeadII心電図を連続的に記録した。測定は投与の1.5時間前に開始し、最後の動物の投与終了から24時間後にすべてのパラメータを継続的に記録した。
【表3】
【0068】
個々の動物の補正値(QTVdW)をVan de Water式で算出した。Van de Water式で補正すると、非重水素化ドンペリドンを投与した場合、5および20mg/kgの用量でQTVdWはそれぞれ23および21msecまで増加した。
【0069】
表4は、重水素化ドンペリドンの各治療法について、適切な時間をマッチさせた対照からの変化(%およびms)を示す。
【表4】
【0070】
重水素化ドンペリドンについては,雄イヌに単独で,担体(0mg;カプセル)およびd-ドンペリドンを含むカプセルを20,110または385mgの用量で経口投与した。毎週、1匹の動物/治療法を投与し、投与の間に少なくとも3日間の洗浄期間を設け、各動物がすべての治療法を受けるまで投与した。表5を参照。同じ5匹の動物が、治療の間に少なくとも3日間のウォッシュアウトを伴うラテンスクエアデザインに従って、すべての治療を受けた。体温,血圧,心拍数,および心電図(ECG)は,投与前の少なくとも2時間および投与後の少なくとも24時間,連続的にモニターした。
【表5】
【0071】
試験の3日前、ストックコロニーの間(初回投与の10日前)に、体温と心血管のエンドポイントを少なくとも24時間連続してモニターした。これらのデータは1分間隔で収集した。QTc間隔の算出には、最初の24時間のデータを用いた。体温、血圧、心拍数(血圧と心電図から算出)、および心電図は、投与前の少なくとも2時間から投与後の少なくとも24時間まで継続的にモニターした。データは1分間隔で収集・分析し、15分間隔で報告した。QT間隔は、Spence("The heart rate corrected QT interval of conscious beagle dogs:a formula based on analysis of covariance,"Toxicol Sci,1998;45:247 258)が記載した方法に基づいた手順で算出し、MiyazakiおよびTagawa("Rate-correction technique for QT interval in long term telemetry ECG recording in beagle dogs,"Exp.Anim.,2002;51:465 475)によって修正された。投与後8時間および24時間に頸静脈から血液を採取(約1mL)し、曝露を確認した。
【0072】
110mgおよび385mgの投与後、時間に依存してQT間隔の増加が見られたが、その大きさは投与間で同程度であった。110mg及び385mg投与後の9~20時間の各時間間隔では、時間を一致させた担体投与と比較して最大13%(30ms)の増加となり、統計的有意性を示した。表6は,各d-ドンペリドン投与群の,適切な時間にマッチした対照群からの変化(%およびms)を示す。
【表6】
【0073】
図9および図10は、異なる用量のd-ドンペリドンおよび非重水素化ドンペリドンがQT変化に及ぼす影響を示す。このグラフから、重水素化していない製剤の低用量では、重水素化した製剤の高用量と比較して、QT変化に対する影響が大きいことがわかる。このことは、最大血漿濃度におけるQT変化の影響を示す図11及び12にも表れる。
【実施例0074】
実施例4:d-ドンペリドンとドンペリドンの懸濁液製剤のPKパラメータの比較
イヌに異なる用量で投与したドンペリドンおよびd-ドンペリドンのCmaxおよびAUC値を比較した。非重水素化ドンペリドンのデータは、Heykantsの"On the pharmacokinetics of domperidone in animals and man I.Plasma levels of domperidone in rats and dogs」に記載される方法で得られた。Age related absorption and passage through the blood brain barrier in rats"European J.of Drug Metabolism and Pharmacokinetics,1981,6(1):27-36(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、イヌに異なる量のドンペリドンを含むカプセルを投与した。
【0075】
-ドンペリドン懸濁製剤を調製し、0.5%のMethocel、0.1%のポリソルベート80および0.72%の乳酸を含有した。次に、このd-ドンペリドン懸濁液を、表7に示す異なる用量で、実施例2または3に記載のイヌに投与した。
【表7】
【0076】
表7および図8に示したデータによると、d-ドンペリドンはドンペリドンに比べてCmax(4~5倍)およびAUC(2~4倍)が高いなど、生物学的利用能が著しく高いことがわかった。
【実施例0077】
実施例5:Cmaxを鈍化させるイヌのPK試験
この試験では、実施例1のd-ドンペリドンの製剤AおよびBを独立して含むカプセルと、0.5%のMethocel(商標登録)セルロースエーテル、0.2%のポリソルベート80(Tween(商標登録)80)および0.72%の乳酸を組み合わせて調製したドンペリドンの懸濁液製剤を経口投与した後、雄のビーグル犬において、ドンペリドンおよびd-ドンペリドンの経口曝露を評価した。d-ドンペリドン製剤(AおよびB)の組成を表8に繰り返し示す。
【表8】
【0078】
-ドンペリドン製剤は10mg/dog、ドンペリドン製剤は1mg/kgを経口投与した。投与後24時間までに血液を採取し,LCMS/MSによりドンペリドンまたはd-ドンペリドンの血漿中濃度を測定した。薬物動態パラメータは,Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを用いて決定した。平均血漿濃度および薬物動態パラメータを表9にまとめた。
【表9】
【0079】
図5参照。これらのデータは、製剤Aが非重層化されたドンペリドンと比較してCmaxの有意な減少を示し、製剤AおよびBの両方が、非重層化されたドンペリドンと比較してAUC平均滞留時間の有意な増加を示したことを示す。
【実施例0080】
実施例6:製剤Aを用いたイヌのPK試験
本試験では、雄のビーグル犬を用いて、ドンペリドンおよびd-ドンペリドン製剤の経口曝露量を評価した。表10に繰り返し記載されるd-ドンペリドンのカプセル製剤(実施例1の「製剤A」)と、0.5%のMethocel(商標登録)セルロースエーテル、0.2%のポリソルベート80(Tween(商標登録)80)、0.72%の乳酸を配合して調製したドンペリドンの懸濁液製剤を、それぞれ独立して調製した。
【表10】
【0081】
-ドンペリドン製剤は10mg/イヌ、ドンペリドン製剤は1mg/kgを経口投与した。投与後36時間までに血液を採取し,LCMS/MSによりドンペリドンまたはd-ドンペリドンの血漿中濃度を測定した。薬物動態パラメータは,Phoenix WinNonlin(v8.0)ソフトウェアを用いて決定した。平均血漿濃度および薬物動態パラメータを表11にまとめた。
【表11】
【0082】
図6参照。これらのデータは、重水素化されていないドンペリドンと比較して、製剤Aが同様のAUC、Cmaxの大幅な減少、および平均滞留時間の増加を示すことを示す。
【実施例0083】
実施例7:抗酸化剤の使用
-ドンペリドンの分解に対する抗酸化剤の効果を評価する研究を行った。サンプルは最初に調製して分析し、60℃で保存して28日後に再度分析した。d-ドンペリドンの不純物の定量には、逆相HPLC法を用いた。Waters Atlantis dC18(または同等品)カラム、メタノール含有酢酸アンモニウム移動相、UV検出器を用いて、グラジエントHPLC分析を行った。表12に製剤を示し、表13に抗酸化剤を含む製剤と含まない製剤の結果を示す。
【表12】
【表13】
【0084】
これらのデータは、抗酸化剤を含む製剤が60℃の加熱条件で酸化に耐えることを示す。しかし、抗酸化剤を含まないサンプルは、同じ加熱条件で、かなりの量の酸化が見られた。
【実施例0085】
実施例8
-ドンペリドン医薬製剤を調製し、表14~16に記載された量を用いて、GMPカプセル化装置でカプセル化した。具体的には、配合活動は、窒素ブランケットおよび黄色光の下で行った。図7参照。次に、2Cオーバルダイと0.040インチホールのシングルボトムショットウェッジを用いて、約38.7~51.7℃の温度でバッチをカプセル化した。カプセルは、中鎖トリグリセリドとレシチンの混合物(MCT97%/レシチン3%)を用いて手作業で研磨した。
【表14】
【表15】
【表16】
【0086】
本発明をその好ましい具体的な実施形態に関連して説明したが、前述の説明およびそれに続く実施例は、本発明の範囲を説明することを意図したものであり、本発明の範囲を限定するものではないことを理解されたい。本発明の範囲から逸脱することなく、様々な変更を加えることができ、等価物を置換することができ、さらに、本発明が属する技術分野の当業者には、他の態様、利点、および変更が明らかになることが、当業者には理解されるだろう。本明細書に記載された実施形態に加えて、本発明は、本明細書に引用された本発明の特徴と、本発明の特徴を補完する引用された先行技術文献の特徴との組み合わせから得られるそれらの発明を企図し、請求するものである。同様に、記載された任意の材料、特徴、または物品は、他の任意の材料、特徴、または物品と組み合わせて使用することができ、そのような組み合わせは本発明の範囲内とみなされることが理解されるだろう。
【0087】
本書に引用または記載されている各特許、特許出願、および出版物の開示内容は、すべての目的のために、それらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
【手続補正書】
【提出日】2022-12-28
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬製剤であって、
(i)式(I)の重水素化d-ドンペリドン:
【化1】
、またはその薬学的に許容される塩、ステアリン酸グリセリル、および中鎖トリグリセリド、
または
(ii)式(I)の重水素化d-ドンペリドン:
【化2】
、またはその薬学的に許容される塩、ステアロイルポリオキシルグリセリド、非イオン性ポリ(エチレンオキシド)ポリマー、および中鎖トリグリセリド、
または
(iii)式(I)の重水素化d-ドンペリドン:
【化3】
、またはその薬学的に許容される塩、非イオン性のポリ(エチレンオキシド)ポリマー、およびポリエチレングリコールを含む、医薬製剤。
【外国語明細書】