(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036668
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】交換型光ファイバネットワーク上の分散感知
(51)【国際特許分類】
H04B 10/071 20130101AFI20230307BHJP
H04B 10/27 20130101ALI20230307BHJP
G01H 9/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
H04B10/071
H04B10/27
G01H9/00 E
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022196996
(22)【出願日】2022-12-09
(62)【分割の表示】P 2021531138の分割
【原出願日】2020-09-29
(31)【優先権主張番号】62/980,527
(32)【優先日】2020-02-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/006,233
(32)【優先日】2020-04-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】17/035,551
(32)【優先日】2020-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504080663
【氏名又は名称】エヌイーシー ラボラトリーズ アメリカ インク
【氏名又は名称原語表記】NEC Laboratories America, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100123788
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 昭夫
(74)【代理人】
【識別番号】100127454
【弁理士】
【氏名又は名称】緒方 雅昭
(72)【発明者】
【氏名】ホワン、 ミン-ファン
(72)【発明者】
【氏名】リ、 ヤオウェン
(72)【発明者】
【氏名】ジ、 フィリップ
(72)【発明者】
【氏名】ワン ティン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】ライブで高速の電気通信信号を搬送する交換型光ファイバネットワーク上の分散ファイバ光感知を提供するシステム、方法および構造を提供する。
【解決手段】光ファイバが診断/維持されるように、光ファイバの「健康」/状態を監視する方法であって、それらの態様と一貫して、ファイバ位置を割り当て、光ファイバの特性のモデル/理解を開発するため、既存の電気通信基盤に沿った分散温度感知(DTS)を使用する。
【選択図】
図1(A)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ネットワークを構成する光ファイバと、
前記光ファイバから分散型光センシング信号を受信し、監視対象の状態を検出する光インタロゲータと、
前記監視対象に応じて、前記光ネットワークの経路を切り替える光スイッチと、を備える光ファイバセンシングシステム。
【請求項2】
前記光インタロゲータは、ウォーターフォールデータを用いて前記監視対象の状態を検出することを特徴とする、請求項1に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項3】
前記監視対象は、車両トラフィックの状態を含むことを特徴とする、請求項1または2に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項4】
前記インタロゲータは、前記光ファイバが架空に配置されているか埋設されているかを特定することを特徴とする、請求項1から3のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項5】
前記インタロゲータは、前記監視対象に応じて、前記光ファイバから温度、振動、音響のいずれかのセンシング信号を受信することを特徴とする、請求項1から4のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項6】
前記光ファイバは、通信データ用光信号を伝送する光ファイバケーブルに含まれることを特徴とする、請求項1から5のいずれか1項に記載の光ファイバセンシングシステム。
【請求項7】
光ネットワークを構成する光ファイバから、分散型光センシング信号を受信して監視対象の状態を検出し、
前記監視対象に応じて、前記光ネットワークの経路を切り替える、光ファイバセンシング方法。
【請求項8】
ウォーターフォールデータを用いて前記監視対象の状態を検出することを特徴とする、請求項7に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項9】
前記監視対象は、車両トラフィックの状態を含むことを特徴とする、請求項7または8に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項10】
前記光ファイバが架空に配置されているか埋設されているかを特定することを特徴とする、請求項7から9のいずれか1項に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項11】
前記監視対象に応じて、前記光ファイバから温度、振動、音響のいずれかのセンシング信号を受信することを特徴とする、請求項7から10のいずれか1項に記載の光ファイバセンシング方法。
【請求項12】
前記分散型光センシング信号と通信データ用光信号とを、前記光ファイバを含む光ファイバケーブルで伝送することを特徴とする、請求項7から11のいずれか1項に記載の光ファイバセンシング方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般に、光通信および光感知システム、方法および構造に関する。より具体的には、交換型光ファイバ電気通信設備上の分散光ファイバ感知システム、方法、および構造とその用途について説明する。
【背景技術】
【0002】
光感知および通信技術において知られているように、分散光ファイバ感知は、一般に局内に配置されたインタロゲータが能動的に光信号を生成し、それらを光ファイバに導入し、その後、ファイバの長さに沿って生じる反射信号を検出する、いくつかの関連技術を含む。このような反射は、例えば、ファイバおよび/またはセンサが、その長さ実績に沿って配置された環境条件の変化の結果として生じ得る。したがって、光ファイバは反射信号を経て、環境の/感覚のデータをインタロゲータに戻して伝達し、インタロゲータは、信号処理技術を使用して、ファイバの長さに沿った環境条件に関する貴重な情報を決定/導出する。
【0003】
現在実装されているように、分散ファイバ光感知(DFOSまたはDFS)は、地震検出を含む、基盤監視、侵入検出、および環境監視のような多様な用途において広範囲に適用可能性を見出している。
【0004】
現代の電気通信キャリアは、インターネットに関連するトラフィックを含む計り知れない量の電気通信データトラフィックをサポートするため、大規模な光ファイバ基盤を構築してきた。これまで、これらの光ファイバ基盤は、そのような電気通信データを伝達するためにのみ使用されてきた。
【発明の概要】
【0005】
当技術の進歩は、ライブで高速の電気通信信号を搬送する交換型光ファイバネットワーク上の分散ファイバ光感知を提供するシステム、方法、および構造に向けた本開示の態様にしたがってなされる。
【0006】
本開示の態様による従来技術、システム、方法、および構造とは対照的に、有利に現代の交換型光電気通信ネットワークを使用して、光ファイバの環境条件を表す分散ファイバ光感知(DFOS)信号と同様に、電気通信データを表すライブの高速の電気通信信号を有利に同時に伝達することができる分散ファイバ感知プラットフォームとしての役目を果たす。
【0007】
本開示の態様によるレイリーおよびラマン後方散乱、システム、方法、および構造を活用することは、振動、温度、および音響効果などの関連する物理的特性を、光ファイバケーブル全体に沿ったあらゆる地点で感知させる。
【0008】
多重DFOSシステムおよび光スイッチを使用することによって、スター、リング、メッシュ、および柔軟なネットワークトポロジ上で作動するネットワークの面で感知機能を使用することができる。さらに、新規の4チャネルDFOSシステムを使用することによって、複数の経路上の同時検出が可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
本開示のより完全な理解は、添付の図面を参照することによって実現され得る。
【0010】
【
図1(A)】本開示の態様による、様々な用途に使用される例示的な光ファイバ感知配列および後方散乱のタイプの概略図を示す。
【0011】
【
図1(B)】本開示の態様による、温度検出を使用する例示的な電気通信光ファイバ基盤および分散ファイバ感知配列の概略図を示す。
【0012】
【
図2】本開示の態様による、既存の通信ネットワーク上の分散交換型センサネットワークテストベッドの地図配列である。
【0013】
【
図3(A)】既存の通信ネットワーク上のリングネットワークトポロジにおける分散交換型センサネットワークテストベッドの構成配列である。
【
図3(B)】本開示の態様による、
図3(A)のリングネットワークにおける車両トラフィック検出を示す一連のウォーターフォール追跡図である。
【0014】
【
図4(A)】既存の通信ネットワーク上のメッシュネットワークトポロジにおける分散交換型センサネットワークテストベッドの構成配列である。
【
図4(B)】
図4(A)のメッシュネットワークにおける車両トラフィック検出を示す一連のウォーターフォール追跡図である。
【
図4(C)】本開示の態様による全ての経路の4チャネルDVS検出を同時に示す。
【0015】
【
図5(A)】既存の通信ネットワーク上のスターネットワークトポロジにおける分散交換型センサネットワークテストベッドの構成配列である。
【
図5(B)】本開示の態様による、
図5(A)のスターネットワークにおける一晩の温度変化を示す一連の温度図である。
【0016】
【
図6(A)】既存の通信ネットワーク上の柔軟なネットワークトポロジにおける分散センサネットワークテストベッドの構成配列である。
【
図6(B)】音響効果(自動車の通過および警笛の作動)を示す一連の図である。
【
図6(C)】本開示の態様による
図6(A)の柔軟なネットワークにおけるトラフィック監視を示すグラフである。
【0017】
例示的な実施形態は、図面および詳細な説明によってより完全に説明される。しかしながら、本開示による実施形態は、様々な形態で具現化されてもよく、図面および詳細な説明に記載された特定のまたは例示的な実施形態に限定されない。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下は、単に本開示の原理を例示する。したがって、当業者は本明細書では明示的に説明または示されていないが、本開示の原理を具体化し、その精神および範囲内に含まれる様々な配置列を考案することができることが理解されるであろう。
【0019】
さらに、本明細書に列挙されたすべての実施例および条件付きの言語は、読者が本開示の原理および本技術を促進するために本発明者(ら)によって寄与された概念を理解するのを助けるための教育上の目的のためだけのものであることが意図され、そのような具体的に列挙された実施例および条件に限定されないものとして解釈されるべきである。
【0020】
さらに、本開示の原理、態様、および実施形態、ならびにその特定の例を列挙する本明細書のすべての陳述は、その構造的および機能的同等物の両方を包含することが意図される。さらに、そのような同等物は現在知られている同等物と、将来開発される同等物、すなわち、構造にかかわらず、同じ機能を実行する開発された任意の要素との両方を含むことが意図される。
【0021】
したがって、例えば、本明細書の任意のブロック図が、本開示の原理を具体化する例示的な回路の概念図を表すことが、当業者には理解されるであろう。
【0022】
本明細書で明示的に特定しない限り、図面を構成する図は、縮尺通りに描かれていない。
【0023】
いくつかの追加の背景として、分散ファイバ感知は、一般に、光信号を能動的に生成し、それらの信号を光ファイバに導入し、その後、ファイバに沿って生じる反射(後方散乱)信号を検出する、局の内部に好都合に、および/または中心に配置されたインタロゲータシステムを含むシステムおよび方法を説明することをもう一度注意することから始める。操作上、このようなファイバは、反射信号を経てインタロゲータに環境情報を戻すか、さもなければ伝達する受動リンクとして機能する。反射/受信信号を処理することによって、インタロゲータは、ファイバ全体に沿った環境条件に関する情報を導出する。
【0024】
対照的に、現代のファイバ光電気通信システム、方法、および構造は、一般に、光ファイバを通って送信する電気信号を光信号に変換する光送信器、地下の導管、建物、および他の構造物を通って経路を定められる多重光ファイバの束を含むケーブル、複数の種類/タイプの増幅器、および電気信号として信号を回復する光受信器を含む。送信される電気通信データは典型的にはコンピュータ、電話システム、テレビ/ビデオ/他のデータによって生成されるデジタルデータを含み、これらのデータは適切なシステムによって受信されると、情報値の有用な項目、すなわち、プログラム、スピーチ、ファイルなどを導出することができる。
【0025】
最もよく使用される光送信器は、発光ダイオード(LED)やレーザダイオードなどの半導体装置である。LEDとレーザダイオードとの違いは、LEDはインコヒーレントを生成するのに対して、レーザダイオードはコヒーレントを生成することである。光通信で使用するため、半導体光送信器は最適な波長範囲で作動し、高周波数で直接変調すると同時に、小型で、効率的で、信頼できるものであるように設計されなければならない。
【0026】
光受信器の主な構成要素は、光電効果を使用して光を電気に変換することができる光検出器である。電気通信の第一の光検出器は、インジウム、ガリウム、ヒ化物から作られる。光検出器は、典型的に半導体ベースのフォトダイオードである。いくつかのタイプのフォトダイオードは、p-nフォトダイオード、p-i-nフォトダイオード、およびアバランシェフォトダイオードを含む。ミール-半導体-金属(MSN)光検出器も、再生器および波長分割多重化装置における回路への適合性のために使用される。
【0027】
光電気変換器は、典型的にトランスインピーダンス増幅器および制限増幅器に連結され、入ってくる光信号から電気領域でデジタル信号を生成し、これはチャネルを通過する間、減衰され歪められ得る。位相ロックループによって実行されるデータからクロック回復(CDR)などのさらなる信号処理は、データが伝達される前に適用されてもよい。
【0028】
コヒーレント受信器(コヒーレント送信器または結合送信器/受信器-送受信器と組み合わせて使用される)は、偏波あたり一対のハイブリッド結合器と4個の光検出器と組み合わせて局部発振器レーザを使用し、続いて高速ADCとデジタル信号処理によって、QPSK、QAN、またはOFDNで変調されたデータを回復する。
【0029】
一般に、光電気通信送信器は、デジタル-アナログ(DAC)、ドライバ増幅器およびマッハ-ツェンダ-変調器(MZN)を含む。より高い変調フォーマット(>4QAN)またはより高いボーレート(>32ギガボー)の展開は、リニアおよび非リニア送信器効果によりシステム性能を低減させる。これらの効果は、DAC帯域幅制限と送信器I/Qスキューによる線形歪みと同様に、ドライバ増幅器とマッハ-ツェンダ変調器における利得飽和によってもたらされる非線形効果に分類することができる。デジタル前置歪みは劣化効果を打ち消し、市販の構成要素で56ギガボーまでのボーレートと、64QANおよび128QANのような変調フォーマットとを可能にする。送信器デジタル信号プロセッサは試料をDACにアップロードする前に、逆送信器モデルを使用して入力信号にデジタル前置歪みを実行する。
【0030】
より古いデジタル前置歪み方法は、線形効果のみに扱われた。最近の刊行物はまた、非線形歪みを補償した。とりわけ、いくつかのモデルは、マッハ-ツェンダ変調器を独立システムとして取り扱い、DACとドライバ増幅器は、切り捨てられた時不変のボルテラ級数によってモデル化される一方、他の技術は、メモリ多項式を使用して送信器構成要素を共同でモデル化する。
【0031】
本発明者らは、本明細書で使用されるように、電気通信トラフィックと分散ファイバ感知データをさらに区別するため、この追加の電気通信予備知識を提示する。このような電気通信トラフィックおよびデータは、電気通信トラフィックの送信/受信を成し遂げるため、光ファイバリンクの一端部に送信器を使用し、光ファイバリンクの他の異なる端部に受信器を使用する。対照的に、本発明者らの分散感知トラヒック(光感知パルス)は、一般に光ファイバが使用された一端部から送信され、その同じ端部に後方散乱される。また、そのような分散感知データは感覚的な性質のものであり、より一般的な性質のものではなく、すなわち、上述のように、eメール、ファイル共有、ビデオ、音声、ストリーミングデータトラフィックなどである。
【0032】
図1(A)は、本開示の態様による、例示的な光ファイバ感知(分散ファイバ感知)配列および様々な用途に使用される後方散乱のタイプの概略図を示す。この図から分かるように、異なるタイプの後方散乱は、異なる用途に使用されることが好ましい。より具体的には、ラマン後方散乱は温度感知用途、ブリルアン後方散乱は温度および/または歪み感知用途、ならびにレイリー後方散乱は振動および/または音響感知用途に使用することができる。
【0033】
有利に、このような分散ファイバ光感知(DFS)システムは、橋梁、高速道路、および建物を含む基盤監視、侵入検知、および地震検知を含む環境監視などの広範囲の用途に展開することができる。
【0034】
そのような分散ファイバ光感知(DFS)システムは、橋梁、高速道路、および建物を含む基盤監視、侵入検知、および地震検知を含む環境監視などの広範囲の用途に展開され得る。当業者は、電気通信事業者およびサービスプロバイダは通信サービス専用の光ファイバの莫大な量(米国だけで3~400万マイルのケーブルの過多)を設置していることを容易に理解するであろう。このようなファイバは、地下の導管、ポールの架空に配置され、建物/通信塔内などに配置することができる。示し説明するように、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、通信問題を矯正するためファイバ内の作動状態の障害を監視/診断/突き止めるだけでなく、同じ光ファイバで膨大な量のライブの電気通信活動が起きている間であっても、さらに追加の貴重な情報を導出するために使用される他の非電気通信関連センサデータを提供するために有利に使用することができる。
【0035】
上記のように、本開示の態様によるシステム、方法、および構造の一態様は、光ファイバが診断/維持され得るように、光ファイバの「健康」/状態を監視することである。それらの態様と一貫して、発明者らはファイバ位置を割り当て、光ファイバの特性のモデル/理解を開発するため、既存の電気通信基盤に沿った分散温度感知(DTS)を使用することを開示する。
【0036】
ここで
図1(B)に目を向けると、本開示の態様による、温度検出を使用する例示的な電気通信光ファイバ基盤および分散ファイバ感知配列の概略図が示されている。この図に示すように、トランスポンダおよびDTSを含む光回線端末(OLT)は、既存の光電気通信ファイバを経て、1つ以上のマンホール/ハンドホール、橋梁、架空のポール、および無線塔と光学的に相互接続される。
【0037】
DTSシステムは、ファイバ基盤全体に沿った位置における温度データ/情報を提供する。本開示の目的のため、図に示される光学基盤に沿った2つの重要な位置は、マンホール/ハンドホールおよび架空のポールである。
【0038】
示し設明するように、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、ファイバ基盤に沿った温度分散を測定し、ケーブル位置およびマンホール/ハンドホール内に存在する環境の理解を決定する。
【0039】
さらに、本明細書で発見し開示するように、マンホール/ハンドホールの温度は、環境温度によって容易に影響を受けるので、ほとんどの場合、所与の時間にマンホール/ハンドホールに存在する温度は、埋設された光ファイバから決定される温度と異なる。ここでさらに決定したように、マンホール/ハンドホールにおける昼間から夜間の温度変動は、埋設された光ファイバよりも大きい。その結果、マンホール/ハンドホールの位置は、このようなDTSデータから有利に決定され得る。
【0040】
ここで、展開されたメッシュ/リング/スター交換型ファイバ電気通信構造(テストベッド)を示し、説明し、センサネットワークとしてのその作動およびネットワーク機能を調査する。センサネットワークで音響効果と環境温度を検出するなど、車両トラフィックを検出することに加えて、感知機能が開示され、説明される。
【0041】
図2は、中央局(CO)およびファイバ分岐を含むニュージャージー地区における交換型光ファイバ電気通信リンクの地図を示す。図に示されるテストベッドは、プリンストン、ペンズネック、ペニントン、およびホープウェル(
図2(A)-(D)を参照)の4つのCOおよび4.5km-17.2kmの断面長の3つの分岐線経路(
図2(e)-(g))を覆う。光ファイバは、地中に埋設されるか、またはポールに吊り下がっている架空の何れかのファイバケーブルに配置される。
【0042】
使用した分散ファイバ光感知(DFOS)技術は、分散振動/音響/温度(DVS/DAS/DTS)感知である。レイリーおよびラマン後方散乱効果を活用することにより、任意の関連する動力学を光ファイバに沿った各点で感知することができる。温度感知は、ラマンOTDR技術に基づいている。振動感知は、ファイバの干渉計の位相叩解を経てレイリー散乱の強度の変化を測定する。コヒーレントなレイリー散乱光波の反射率の相対的な位相シフトを検出することによって、動的な歪み情報は、音響感知として取り出され得る。DFOSは、オンチップ高速処理と共に短い光パルスを有利に使用し、わずか1メートルの等価センサ分解能を可能にする。
【0043】
切替時間10msを有する光スイッチ(SW)は、3COで使用され、評価したリング、メッシュ、スター、および柔軟なネットワークを実現する。例えば、リングネットワークは(A)-(D)-(C)-(A)から実現され、ここで、ファイバ分岐(g)は、ホープウェルCOのSWによって(A)-(D)-(g)から実行している。(B)から(D)への追加のファイバリンクと共に、同じアーキテクチャによってフルメッシュネットワークは実行される。したがって、DFOSシステムは、本開示によるシステム、方法、および構造が、スマートな都市/コミュニティ用途を可能にするという我々の提案をさらにサポートする複数の環境機能を検出するため、任意のCOに配置される。
【0044】
(リングトポロジを使った車両トラフィック検出)
図3(A)は、車両トラフィックを検出するためDVSを使用するリングネットワークトポロジを有するテストネットワーク構成を示す。リングトポロジを達成するため、感知信号は、SWによって(C)-(A)-(D)-(C)から光路上を移動している。
【0045】
図3(B)はDVSシステムから捕捉された典型的なウォーターフォール追跡を示し、リングネットワークの総距離41.8kmで、2分間のウィンドウ(垂直軸)および位置(水平軸)における周囲の振動強度を示している。高強度信号を示すいくつかの垂直部分は架空のケーブルを表し、ここで、低強度領域は埋設されたケーブルを表す。発明者らは、検出された振動は架空ケーブル上の風によって生成された振動の結果である可能性があることに気付いた。車両トラフィックパターンを視覚化するため、拡大されたウォーターフォール追跡はフレーム(i)-(iii)に挿入される。
【0046】
(メッシュトポロジを使った車両トラフィック検出)
図4(A)は、環境振動を検出するため使用される半メッシュトポロジにおける4チャネルDVSシステムを示す。メッシュネットワークを実現するため、異なるCOSWが使用され、経路1-7を達成する経路切り替えが行われる。一例として、(A)-(D)-(g)から経路6と(A)-(D)-(C)を取得し経路5を取得するため切り替えられた。
【0047】
図4(B)は、7つの経路に対する選択された1kmウィンドウにおけるウォーターフォール追跡を示す。2分間のトラフィックパターンと平均車両速度を示す。この実験的研究において、新たに開発された4チャネルDVSは、複数の経路監視と同時に展開された。
図4(C)は、経路4および3の実施例として2チャンネルの結果を示す。
【0048】
(スタートポロジを使った環境温度)
図5(A)は、DTSによって環境温度を検出するスタートポロジで構成された感知システムを示す。スターネットワークを実現するため、感知経路は経路1-4の温度を検出するため、SWによって(A)-(C)、(A)-(B)、(A)-(D)および(A)-(e)を含む。連続的な24時間温度測定は、
図5(B)に示される。ケーブルの配置が、ポールに吊り下がっているか、または地下に埋設されているかとして区別することは明らかである。
図5(B)の部分「A」は、大きい昼夜の温度差に基づく架空のケーブルを表す。地下ケーブルでは、部分「B」のように温度はより安定している。特に経路2について、ファイバケーブル全体は地下に埋設されている。2月中旬の平均地下温度は~10℃であり、真夜中の周囲温度は~0℃である。本発明者らが開示し提案したアーキテクチャを使って、より局所的な温度情報が既存のファイバ基盤によって提供される。
【0049】
(柔軟なネットワークトポロジ)
多重DFOSシステムとSWを使ったこの現場試験において柔軟なネットワークが実現された。
図6(A)は、音響、振動および温度感知能力を有する柔軟なネットワークのトポロジを示す。任意の環境効果に関するネットワーク内の任意の位置は有利に検出される。
【0050】
例として、異なる経路における自動車の警笛およびトラフィック監視が示されている。
図6(B)は、通過する車両および8つの連続する自動車の警笛から受信された現場の音響効果を示す。上の1つは市販の騒音計による振幅検出を示し、ポールのダウンリードファイバを通ってDASシステムによって受信された信号は下の1つに示されている。感知システムは現場の音響イベントを捕捉し、再生することができることが分かる。
【0051】
図6(C)は、車両計算および平均速度推定を含む24時間トラフィック監視を示す。選択された部分は、北西部からプリンストン大学のキャンパスへの主要道路上にある。
【0052】
我々はもう一度、作動状態のライブのネットワーク、高データ率、電気通信ネットワーク上の第1の感知ネットワークを説明し、実証したことに注意する。レイリーおよびラマン後方散乱を活用することにより、振動、温度、および音響効果のような如何なる関連する物理的特性は、ファイバケーブル全体に沿ったあらゆる地点で感知される。多重DFOSシステムおよび光スイッチを使用して、スター、リング、メッシュ、および柔軟なトポロジを含むネットワークの面で感知機能が開示され、評価される。さらに、新しく開発された4チャネルDFOSシステムが実装され、同時に複数の経路をうまく検出する。有利に、本開示の態様によるシステム、方法、および構造は、都市トラフィック監視が将来の道路設計およびトラフィック信号計画に適用されることを有利に可能にし得る。環境温度監視は、測候所に、より局所的な温度情報比較を提供する微小温度測定に使用することができる。
【0053】
いくつかの特定の例を使用して本開示を提示したが、当業者は本教示がそのように限定されないことを認識するであろう。したがって、この開示は、本明細書に添付される特許請求の範囲によってのみ限定されるべきである。