(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036712
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】操作された造血幹細胞/前駆細胞及び非Tエフェクター細胞、ならびにその使用
(51)【国際特許分類】
C12N 5/10 20060101AFI20230307BHJP
C12N 15/12 20060101ALI20230307BHJP
C12N 15/62 20060101ALI20230307BHJP
C12N 5/0789 20100101ALN20230307BHJP
C12N 5/078 20100101ALN20230307BHJP
C07K 19/00 20060101ALN20230307BHJP
C07K 14/725 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
C12N5/10 ZNA
C12N15/12
C12N15/62 Z
C12N5/0789
C12N5/078
C07K19/00
C07K14/725
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022199333
(22)【出願日】2022-12-14
(62)【分割の表示】P 2021109884の分割
【原出願日】2016-04-29
(31)【優先権主張番号】62/154,565
(32)【優先日】2015-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】522256406
【氏名又は名称】フレッド ハッチンソン キャンサー センター
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】コリーン・デラニー
(72)【発明者】
【氏名】スタンリー・アール・リデル
(57)【要約】 (修正有)
【課題】免疫学的適合を必要とせずに対象に投与することができる遺伝子操作された幹細胞を提供する。
【解決手段】造血幹細胞前駆細胞(HSPC)または非Tエフェクター細胞であって、外来性の同族結合分子(ExoCBM)を特異的に結合するタグカセットを含む細胞外成分を含むキメラ分子を発現するように遺伝子操作される前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
造血幹細胞前駆細胞(HSPC)または非Tエフェクター細胞であって、外来性の同族結合分子(ExoCBM)を特異的に結合するタグカセットを含む細胞外成分を含むキメラ分子を発現するように遺伝子操作される前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項2】
前記細胞外成分が1、2、3、4または5のタグカセットを有する請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項3】
少なくとも1つのタグカセットが、Strepタグ、Hisタグ、Flagタグ、Xpressタグ、Aviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸塩タグ、HAタグ、Mycタグ、Nusタグ、Sタグ、Xタグ、SBPタグ、Sofタグ、V5タグ、CBP、GST、MBP、GFP、チオレドキシンタグ、またはそれらの組み合わせである、またはそれを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項4】
少なくとも1つのタグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を含むStrepタグであるまたはそれを含む請求項3に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項5】
前記細胞外成分が疎水性部分を介して細胞内成分に連結される請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項6】
前記細胞外成分が、(i)細胞マーカーを特異的に結合する結合ドメインと、(ii)ヒンジとを含み、その際、前記細胞内成分がエフェクタードメインを含む請求項5に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項7】
少なくとも1つのタグカセットが、前記結合ドメインに対してアミノ末端または前記結合ドメインに対してカルボキシ末端に位置する請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項8】
タグカセットが、前記結合ドメインに対してアミノ末端、前記結合ドメインに対してカルボキシ末端に位置する、または少なくとも1つのタグカセットが前記結合ドメインに対してアミノ末端に位置し、且つ少なくとも1つのタグカセットが前記結合ドメインに対してカルボキシ末端に位置する、2以上の細胞外タグカセットを含む請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項9】
前記結合ドメインが1以上のタグカセットを含む請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項10】
前記結合ドメインがscFv、scTCR、受容体の細胞外ドメインまたはリガンドである請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項11】
前記scFvまたはscTCRが、1以上のタグカセットを含む可変領域リンカーを含む請求項10に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項12】
前記細胞マーカーが、CD3、CEACAM6、c-Met、EGFR、EGFRvIII、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、FLT1、KDR、FLT4、CD44v6、CD151、CA125、CEA、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、LewisA、LewisY、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、HVEM、MAGE-A、メソテリン、NY-ESO-1、PSMA、RANK、ROR1、TNFRSF4、CD40、CD137、TWEAK-R、HLA、HLAに結合した腫瘍もしくは病原体に関連するペプチド、HLAに結合したhTERTペプチド、HLAに結合したチロシナーゼペプチド、HLAに結合したWT-1ペプチド、LTβR、LIFRβ、LRP5、MUC1、OSMRβ、TCRα、TCRβ、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD52、CD56、CD80、CD81、CD86、CD123、CD171、CD276、B7H4、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robo1、α-フェトプロテイン(AFP)、Frizzled、OX40、またはCD79b、B7H4、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robo1、α-フェトプロテイン(AFP)、Frizzled、OX40、またはCD79bを含む請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項13】
前記細胞マーカーが、CD19、ROR1、PSMA、PSCA、メソテリン、CD20、WT1、またはHer2を含む請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項14】
前記リガンド結合ドメインがCD19を結合し;前記細胞外成分がヒトIgG4のヒンジ領域を含むスペーサー領域を含み;前記細胞内成分がCD28または4-1BBの細胞質ドメインを含むエフェクタードメインを含み;前記疎水性部分がヒトの膜貫通ドメインを含む請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項15】
前記リガンド結合ドメインが、RASQDISKYLN(配列番号108)のCDRL1配列と、SRLHSGV(配列番号111)のCDRL2配列と、GNTLPYTFG(配列番号104)のCDRL3配列と、DYGVS(配列番号103)のCDRH1配列と、VTWGSETTYYNSALKS(配列番号114)のCDRH2配列と、YAMDYWG(配列番号115)のCDRH3配列とを含む単鎖Fv断片(scFv)である請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項16】
前記細胞外成分が、12未満のアミノ酸のスペーサー領域を含む請求項15に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項17】
前記スペーサー領域が配列番号47を含む請求項16に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項18】
配列番号34、53、54、55、56、57または58を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作される請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項19】
前記リガンド結合ドメインがROR1を結合する請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項20】
前記リガンド結合ドメインが、ASGFDFSAYYM(配列番号101)のCDRL1配列と、TIYPSSG(配列番号112)のCDRL2配列と、ADRATYFCA(配列番号100)のCDRL3配列と、DTIDWY(配列番号102)のCDRH1配列と、VQSDGSYTKRPGVPDR(配列番号113)のCDRH2配列と、YIGGYVFG(配列番号117)のCDRH3配列とを含むscFvである請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項21】
前記リガンド結合ドメインが、SGSDINDYPIS(配列番号109)のCDRL1配列と、INSGGST(配列番号105)のCDRL2配列と、YFCARGYS(配列番号116)のCDRL3配列と、SNLAW(配列番号110)のCDRH1配列と、RASNLASGVPSRFSGS(配列番号107)のCDRH2配列と、NVSYRTSF(配列番号106)のCDRH3配列とを含むscFvである請求項6に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項22】
前記細胞外成分が、229以下のアミノ酸のスペーサー領域を含む請求項21に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項23】
前記スペーサー領域が配列番号61を含む請求項22に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項24】
前記細胞内成分が、4-1BB、B7-H3、CARD11、CD2、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD7、CD25、CD27、CD28、CD30、CD40、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LFA-1、LIGHT、LRP、NKG2C、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、及びZap70から選択される1以上のシグナル伝達ドメイン、刺激ドメインまたは共刺激ドメインを含むエフェクタードメインを含む請求項5に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項25】
前記細胞内成分が、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部または一部、(ii)CD28のシグナル伝達ドメインの全部または一部、(iii)4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部または一部、または(iv)CD3ζ、CD28及び/または4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部または一部を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む請求項5に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項26】
前記細胞内成分が、CD3ζの変異体及び/または4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインの一部を含むエフェクタードメインを含む請求項5に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項27】
前記細胞外成分がスペーサー領域を含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項28】
前記スペーサー領域が、ヒト抗体のヒンジ領域の一部を含む請求項27に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項29】
前記スペーサー領域が、ヒンジ領域と、CH1、CH2、CH3またはそれらの組み合わせから選択されるヒト抗体のFcドメインの少なくとも1つの他の部分とを含む請求項27に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項30】
前記スペーサー領域が、Fcドメインと、ヒトIgG4重鎖のヒンジとを含む請求項27に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項31】
前記スペーサー領域が、12未満のアミノ酸、119未満のアミノ酸、または229未満のアミノ酸から選択される長さのものである請求項27に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項32】
前記スペーサー領域が、配列番号47、配列番号52または配列番号61である請求項27に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項33】
前記疎水性部分がヒトの膜貫通ドメインを含む請求項5に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項34】
前記膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通ドメイン、CD4の膜貫通ドメイン、CD8の膜貫通ドメイン、またはCD27の膜貫通ドメインである請求項33に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項35】
前記細胞外成分がさらに、内在性の同族結合分子(EndoCBM)を結合するタグ配列を含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項36】
前記タグ配列が、細胞内シグナル伝達ドメインを欠いているEGFRである請求項35に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項37】
前記キメラ分子がリンカー配列を含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項38】
前記リンカー配列が(GlyxSery)nの配列を含み、nは1~10の整数であり、x及びyは双方ともが0になることはないという条件で独立して0~10の整数である請求項37に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項39】
前記リンカー配列がCH2CH3またはCH3である請求項37に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項40】
前記リンカー配列が、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号145)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号122)、または(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser(配列番号156)のアミノ酸配列を有する請求項37に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項41】
前記キメラ分子が、1以上のタグカセットに隣接するリンカー配列を含み、前記リンカー配列及び隣接するタグカセットがまとめて、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号139)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号140)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号141)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号142)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号143)、またはTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号144)のアミノ酸配列を有する請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項42】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、タグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項43】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のタグカセットと、第2のタグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項44】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のタグカセットと、第2のタグカセットと、第3のタグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項45】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、タグカセットと、細胞外結合ドメインと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項46】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、2~5のタグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項47】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、前記可変領域間に配置される可変領域リンカーを含み、タグカセットを含有する細胞外scFvまたはscTCR結合ドメインと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含有する請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項48】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外scFvまたはscTCR結合ドメインと、タグカセットと、IgGヒンジと、膜貫通ドメインと、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含み、その際、前記エフェクタードメインが、4-1BBとCD3ζ、CD27とCD3ζ、CD28とCD3ζ、OX40とCD3ζ、CD28と4-1BBとCD3ζ、OX40と4-1BBとCD3ζ、またはCD28とOX40とCD3ζを含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項49】
前記キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、受容体細胞外ドメインを含む細胞外結合ドメインと、タグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含み、前記エフェクタードメインが、4-1BB、CD27、CD28またはOX40を含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項50】
前記キメラ分子がさらに、細胞傷害剤、放射性同位元素、放射性金属または検出可能因子を含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項51】
前記細胞外成分がさらに細胞傷害剤、放射性同位元素、放射性金属または検出可能因子を含む請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項52】
前記HSPCがCD34+HSPCであり、及び/または前記非Tエフェクター細胞がナチュラルキラー細胞である請求項1に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
【請求項53】
薬学上許容できるキャリアと、請求項1~52のいずれか1項に記載の遺伝子操作されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞とを含む組成物。
【請求項54】
前記組成物内の前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMをさらに含む請求項53に記載の組成物。
【請求項55】
前記組成物内の前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMをさらに含む請求項53に記載の組成物。
【請求項56】
さらに、前記組成物内の前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、前記組成物内の前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMとを含む請求項53に記載の組成物。
【請求項57】
点滴または注射のために製剤化される請求項53に記載の組成物。
【請求項58】
薬学上許容できるキャリアと、請求項1~52のいずれか1項に記載の遺伝子操作されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞とを含む製剤。
【請求項59】
さらに、前記組成物内の前記HSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMをさらに含む請求項58に記載の製剤。
【請求項60】
さらに、前記組成物内の前記HSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMとを含む請求項58に記載の製剤。
【請求項61】
さらに、前記組成物内の前記HSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、前記組成物内の前記HSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMとを含む請求項58に記載の製剤。
【請求項62】
点滴または注射のために製剤化される請求項58に記載の製剤。
【請求項63】
請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMを含む組成物。
【請求項64】
さらに、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMを含む請求項63に記載の組成物。
【請求項65】
請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞を活性化する方法であって、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMに前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を接触させ、それによって前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を活性化することを含む、前記方法。
【請求項66】
前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMに前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を接触させることをさらに含む請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記EndoCBMが、Notchアゴニスト、アンギオポエチン様タンパク質、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF);及びトロンボポエチン(TPO)から選択される請求項65に記載の方法。
【請求項68】
前記EndoCBMが、SCF、Flt-3L、TPO、IL-6及びIL-3である請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである請求項65に記載の方法。
【請求項70】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項65に記載の方法。
【請求項71】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項65に記載の方法。
【請求項72】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項65に記載の方法。
【請求項73】
前記ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項65に記載の方法。
【請求項74】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項65に記載の方法。
【請求項75】
前記活性化することが試験管内、生体内または生体外で実施される請求項65に記載の方法。
【請求項76】
請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞の増殖を促進する方法であって、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を(i)前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、(ii)前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激因子を特異的に結合するEndoCBMとに、HSPCまたは非Tエフェクター細胞の増殖を促進するのに十分な時間、接触させることを含む、前記方法。
【請求項77】
前記EndoCBMが、Notchアゴニスト、アンギオポエチン様タンパク質、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF);及びトロンボポエチン(TPO)から選択される請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記EndoCBMが、SCF、Flt-3L、TPO、IL-6及びIL-3である請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項76に記載の方法。
【請求項83】
前記ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項76に記載の方法。
【請求項84】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項76に記載の方法。
【請求項85】
前記活性化することが試験管内、生体内または生体外で実施される請求項76に記載の方法。
【請求項86】
HSPCまたは非Tエフェクター細胞を検出する方法であって、請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞を含む試料を、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMに接触させ、前記ExoCBMは検出可能部分を含むことと、前記検出可能部分を含む前記ExoCBMの特異的な結合に基づいて前記試料におけるHSPCまたは非Tエフェクター細胞の存在を検出することとを含む、前記方法。
【請求項87】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである請求項86に記載の方法。
【請求項88】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項86に記載の方法。
【請求項89】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項86に記載の方法。
【請求項90】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項86に記載の方法。
【請求項91】
前記ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項86に記載の方法。
【請求項92】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項86に記載の方法。
【請求項93】
前記検出することが試験管内、生体内または生体外で実施される請求項86に記載の方法。
【請求項94】
前記検出可能部分が蛍光マーカーである請求項86に記載の方法。
【請求項95】
前記検出可能部分がAPC、PE、パシフィックブルー、アレクサフルオル、またはFITCである請求項86に記載の方法。
【請求項96】
検出がフローサイトメトリーを用いて生じる請求項86に記載の方法。
【請求項97】
請求項1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を濃縮するまたは単離する方法であって、HSPCまたは非Tエフェクター細胞を含む試料を、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMに接触させることと、前記試料にて前記タグカセットを発現していない他の細胞から前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を濃縮することまたは単離することとを含む、前記方法。
【請求項98】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである請求項97に記載の方法。
【請求項99】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項97に記載の方法。
【請求項100】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項97に記載の方法。
【請求項101】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項97に記載の方法。
【請求項102】
前記ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項97に記載の方法。
【請求項103】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項97に記載の方法。
【請求項104】
前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞が磁気カラムクロマトグラフィによって濃縮されるまたは単離される請求項97に記載の方法。
【請求項105】
濃縮されたまたは単離されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される前記タグカセットを特異的に結合するExoCBMに前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を接触させ、前記ExoCBMは検出可能部分を含むことと、前記検出可能部分を含む前記ExoCBMの特異的な結合に基づいて前記試料における前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞の存在を検出することとによって、前記濃縮されたまたは単離されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞を検出することを含む請求項97に記載の方法。
【請求項106】
前記検出可能部分が蛍光マーカーである請求項105に記載の方法。
【請求項107】
前記検出可能部分がAPC、PE、パシフィックブルー、アレクサフルオル、またはFITCである請求項105に記載の方法。
【請求項108】
前記検出がフローサイトメトリーを用いて生じる請求項105に記載の方法。
【請求項109】
請求項1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を枯渇させるまたは除去する方法であって、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を含む試料を、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される前記タグカセットを特異的に結合するExoCBMに接触させることを含み、その際、前記ExoCBMの前記タグカセットへの結合がタグカセットを発現している前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞の細胞死をもたらす、前記方法。
【請求項110】
前記ExoCBMが二重特異性結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが前記タグカセットに対して特異的であり、第2の結合ドメインがCD3に対して特異的である請求項109に記載の方法。
【請求項111】
前記ExoCBMが細胞傷害剤、放射性同位元素または放射性金属剤を含む請求項109に記載の方法。
【請求項112】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体、抗タグscFv、またはその細胞表面上に抗タグ結合ドメインを持つ細胞を含む請求項109に記載の方法。
【請求項113】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項109に記載の方法。
【請求項114】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項109に記載の方法。
【請求項115】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項109に記載の方法。
【請求項116】
前記ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項109に記載の方法。
【請求項117】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項109に記載の方法。
【請求項118】
投与された、請求項1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を追跡する方法であって、ExoCBMが検出可能部分を含む、前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMを対象に投与することと、前記検出可能部分を含む前記ExoCBMの特異的な結合に基づいて前記対象内での前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞の存在を検出することとを含む、前記方法。
【請求項119】
前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞と前記ExoCBMとが同時に投与される請求項118に記載の方法。
【請求項120】
前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞と前記ExoCBMとが組成物または製剤として投与される請求項118に記載の方法。
【請求項121】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグscFvである請求項118に記載の方法。
【請求項122】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項118に記載の方法。
【請求項123】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項118に記載の方法。
【請求項124】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項118に記載の方法。
【請求項125】
前記ExoCBMが、平面、アガロースビーズ、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項118に記載の方法。
【請求項126】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項118に記載の方法。
【請求項127】
前記検出可能部分が蛍光マーカーを含む請求項118に記載の方法。
【請求項128】
前記検出可能部分がAPC、PE、パシフィックブルー、アレクサフルオル、またはFITCを含む請求項118に記載の方法。
【請求項129】
前記検出可能部分が、磁気粒子、超常磁性イオン酸化物(SPIO)、フルオロデオキシグルコース(18F)、蛍光化合物、またはそれらの組み合わせを含む請求項118に記載の方法。
【請求項130】
前記追跡することが、MRI、PETまたは近赤外線画像診断を含む請求項118に記載の方法。
【請求項131】
投与された、請求項1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を活性化する方法であって、対象に(i)前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、(ii)前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激因子を特異的に結合するEndoCBMとを投与することを含み、その際、前記ExoCBMと前記EndoCBMの特異的な結合が前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞を生体内で活性化する、前記方法。
【請求項132】
前記EndoCBMが、Notchアゴニスト、アンギオポエチン様タンパク質、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF);及びトロンボポエチン(TPO)から選択される請求項131に記載の方法。
【請求項133】
前記EndoCBMが、SCF、Flt-3L、TPO、IL-6及びIL-3である請求項132に記載の方法。
【請求項134】
前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞と、前記ExoCBMと、前記EndoCBMとが同時に投与される請求項131に記載の方法。
【請求項135】
前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞と、前記ExoCBMと、前記EndoCBMとが組成物または製剤として投与される請求項131に記載の方法。
【請求項136】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグscFvである請求項131に記載の方法。
【請求項137】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項131に記載の方法。
【請求項138】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項131に記載の方法。
【請求項139】
投与された、請求項1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を枯渇させる方法であって、前記投与されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMを投与することを含み、その際、前記ExoCBMの前記タグカセットへの結合が前記タグカセットを発現している前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞の細胞死をもたらす、前記方法。
【請求項140】
前記ExoCBMが二重特異性結合ドメインを含み、第1の結合ドメインが前記タグカセットに対して特異的であり、第2の結合ドメインがCD3に対して特異的である請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記ExoCBMが細胞傷害剤、放射性同位元素または放射性金属剤を含む請求項139に記載の方法。
【請求項142】
前記ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体、抗タグscFv、またはその細胞表面上に抗タグ結合ドメインを持つ細胞を含む請求項139に記載の方法。
【請求項143】
前記タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである請求項139に記載の方法。
【請求項144】
前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である請求項139に記載の方法。
【請求項145】
前記ExoCBMが固体表面に連結される請求項139に記載の方法。
【請求項146】
前記ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される請求項139に記載の方法。
【請求項147】
前記ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される請求項139に記載の方法。
【請求項148】
対象における状態を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞、治療上有効な量の請求項53~57、63もしくは64のいずれか1項に記載の組成物、または治療上有効な量の請求項58~62のいずれか1項に記載の製剤を投与し、それによって前記対象における前記状態を治療することを含む、前記方法。
【請求項149】
投与の前に対象との免疫学的適合が必要とされない請求項148に記載の方法。
【請求項150】
前記対象が、再発した小児急性リンパ芽球性白血病患者である請求項148に記載の方法。
【請求項151】
前記方法がさらに、前記タグカセットを特異的に結合する前記ExoCBMを投与した後、前記対象にてサイトカインのレベルをモニターすることを含む請求項148に記載の方法。
【請求項152】
前記状態が、免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症である請求項148に記載の方法。
【請求項153】
前記免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTのための骨髄機能廃絶計画及び/または急性イオン化放射線照射のせいである請求項152に記載の方法。
【請求項154】
前記状態が枯渇した免疫系である請求項148に記載の方法。
【請求項155】
前記枯渇した免疫系が、ウイルス感染、微生物感染、寄生虫感染、腎疾患及び/または腎不全のせいで生じた請求項154に記載の方法。
【請求項156】
前記枯渇した免疫系が、骨髄抑制または造血欠損を引き起こす薬剤への曝露のせいで生じた請求項154に記載の方法。
【請求項157】
前記枯渇した免疫系が、ペニシリン、ガンシクロビル、ダウノマイシン、メプロバメート、アミノプリン、ジピロン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロピルチオウラシル、及び/またはメチマゾールへの曝露のせいで生じた請求項154に記載の方法。
【請求項158】
前記枯渇した免疫系が、透析への曝露のせいで生じた請求項154に記載の方法。
【請求項159】
さらに、前記対象に遺伝子操作していないHSPCを投与することを含む請求項148に記載の方法。
【請求項160】
請求項118~147の方法のいずれかにしたがって、前記投与されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞を活性化すること、追跡することまたは枯渇させることをさらに含む請求項148に記載の方法。
【請求項161】
それを必要とする対象にて免疫系を再構成する方法であって、前記対象に治療上有効な量の請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞、治療上有効な量の請求項53~57、63もしくは64のいずれか1項に記載の組成物、または治療上有効な量の請求項58~62のいずれか1項に記載の製剤を投与し、それによって前記対象の前記免疫系を再構成することを含む、前記方法。
【請求項162】
前記投与の前に前記対象との免疫学的適合が必要とされない請求項161に記載の方法。
【請求項163】
対象に治療上有効な量の請求項1~52のいずれか1項に記載の遺伝子操作されたHSPC及び/または遺伝子操作された非Tエフェクター細胞を投与し、それにより癌細胞を標的とすることによって、前記対象にて細胞マーカーを発現している前記癌細胞を標的とすることをさらに含む請求項161に記載の方法。
【請求項164】
前記癌細胞が、副腎癌、膀胱癌、血液癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、耳、鼻及び喉(ENT)の癌、子宮内膜癌、食道癌、消化器癌、頭頚部の癌、ホジキン病、腸癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、リンパ節癌、リンパ腫、肺癌、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞型、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、精上皮腫、皮膚癌、胃癌、奇形腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、血管腫瘍、及び/またはそれらの転移に由来する請求項163に記載の方法。
【請求項165】
前記癌細胞の前記細胞マーカー(複数可)が、A33;BAGE;Bcl-2;β-カテニン;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD5;CD19;CD20;CD21;CD22;CD33;CD37;CD44v6;CD45;CD123;CEA;CEACAM6;c-Met;CS-1;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;エフリンB2;ErbB2;ErbB3;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸結合タンパク質;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GM2;gp75;gp100(Pmel17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPVE7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;メソテリン;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;RANK;ras;Robo1;RORl;サバイビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF;及びWT1から選択される請求項163に記載の方法。
【請求項166】
前記癌が白血病/リンパ腫であり、前記細胞マーカー(複数可)がCD19、CD20、CD22、ROR1、CD33及びWT-1の1以上である;前記癌が多発性骨髄腫であり、前記細胞マーカーがBCMAである;癌が前立腺癌であり、細胞マーカー(複数可)がPSMA、WT1、PSCA及びSV40Tの1以上である;前記癌が乳癌であり、前記細胞マーカー(複数可)がHER2、ERBB2及びROR1の1以上である;前記癌が幹細胞癌であり、前記細胞マーカーがCD133である;前記癌が卵巣癌であり、前記細胞マーカー(複数可)がL1-CAM、MUC-CD、葉酸受容体、ルイスY、ROR1、メソテリン及びWT-1の1以上である;前記癌が中皮腫であり、前記細胞マーカーがメソテリンである;前記癌が腎細胞癌であり、前記細胞マーカーがCAIXである;前記癌が黒色腫であり、前記細胞マーカーがGD2である;前記癌が膵臓癌であり、前記細胞マーカー(複数可)がメソテリン、CEA、CD24及びROR1の1以上である;または前記癌が肺癌であり、前記細胞マーカーがROR1である請求項163に記載の方法。
【請求項167】
前記癌細胞が、CD19を発現している急性リンパ芽球性白血病細胞である請求項163に記載の方法。
【請求項168】
前記癌が急性リンパ芽球性白血病であり、前記対象が小児患者である請求項163に記載の方法。
【請求項169】
請求項118~147の方法のいずれかにしたがって、前記投与されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞を活性化すること、追跡すること、または枯渇させることをさらに含む請求項163に記載の方法。
【請求項170】
CD19を優先的に発現している細胞を破壊のために標的とする方法であって、それを必要とする対象に治療上有効な量の遺伝子操作されたHSPC及び/または遺伝子操作された非Tエフェクター細胞を投与することを含み、その際、前記遺伝子操作された細胞は、(i)少なくとも1つのタグカセットとCD19リガンドの結合ドメインとを含む細胞外成分と、(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分とを発現し、それによってCD19を優先的に発現している細胞を標的とし、破壊する、前記方法。
【請求項171】
前記投与の前に前記対象との免疫学的適合が必要とされない請求項170に記載の方法。
【請求項172】
CD19を優先的に発現している前記細胞が急性リンパ芽球性白血病細胞である請求項170に記載の方法。
【請求項173】
前記対象が、再発した小児急性リンパ芽球性白血病患者である請求項170に記載の方法。
【請求項174】
前記少なくとも1つのタグカセットが、Strepタグ、Hisタグ、Flagタグ、Xpressタグ、Aviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸塩タグ、HAタグ、Mycタグ、Nusタグ、Sタグ、Xタグ、SBPタグ、Sofタグ、V5タグ、CBP、GST、MBP、GFP、チオレドキシンタグ、またはそれらの組み合わせである、またはそれを含む請求項170に記載の方法。
【請求項175】
少なくとも1つのタグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を含むStrepタグであるまたはそれを含む請求項170に記載の方法。
【請求項176】
治療上有効な量のHSPCを対象に投与することによって前記対象にて免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を治療することをさらに含む請求項170に記載の方法。
【請求項177】
免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTのための骨髄機能廃絶計画のせいである請求項176に記載の方法。
【請求項178】
請求項118~147の方法のいずれかにしたがって、前記投与されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞を活性化すること、追跡すること、または枯渇させることをさらに含む請求項170に記載の方法。
【請求項179】
対象にて癌細胞を標的とする方法であって、前記対象に由来する癌細胞上で優先的に発現される少なくとも1つの細胞マーカーを特定することと、前記特定された少なくとも1つの細胞マーカーに基づいて、前記対象に治療上有効な量の請求項1~52のいずれか1項に記載のHSPCまたは非Tエフェクター細胞、治療上有効な量の請求項53~57、63もしくは64のいずれか1項に記載の組成物、または治療上有効な量の請求項58~62のいずれか1項に記載の製剤を投与することとを含む、前記方法。
【請求項180】
請求項53~57、63もしくは64のいずれか1項に記載の組成物を含むキットであって、前記キットが、免疫学的適合がなくても前記組成物を対象に投与することができることを通知する指示書を含む、前記キット。
【請求項181】
請求項58~62のいずれか1項に記載の製剤を含むキットであって、前記キットが、免疫学的適合がなくても前記製剤を対象に投与することができることを通知する指示書を含む、前記キット。
【請求項182】
請求項53~57、63もしくは64のいずれか1項に記載の組成物及び請求項58~62のいずれか1項に記載の製剤を含むキットであって、前記キットが、免疫学的適合がなくても前記組成物または製剤を対象に投与することができることを通知する指示書を含む、前記キット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その内容全体が本明細書に組み入れられる2015年4月29日に出願された米国仮特許出願番号第62/154,565に対して優先権を主張する。
【0002】
発明の分野
造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)及び/または非Tエフェクター細胞がタグカセットを含む細胞外成分を発現するように操作される。タグカセットを用いて操作された細胞を活性化し、その増殖を促進し、それを検出し、濃縮し、単離し、追跡し、枯渇させ、及び/または除去することができる。細胞は結合ドメインも発現することができる。
【背景技術】
【0003】
免疫系のT細胞を遺伝子操作して癌細胞のような望ましくない細胞型を標的とし、殺傷することにおいて著しい進歩が見られている。たとえば、T細胞は、特定の標的抗原を結合する細胞外成分と、細胞外成分が標的抗原を結合しているときT細胞の活動を指図する細胞内成分とを有する分子を発現するように遺伝子操作されている。例として、細胞外成分は癌細胞上に見いだされる標的抗原を結合するように設計することができ、結合すると、細胞内成分は結合した癌細胞を破壊するようにT細胞に指図する。そのような分子の例には、遺伝子操作されたT細胞受容体(TCR)及びキメラ抗原受容体(CAR)が挙げられる。
【0004】
遺伝子操作されたT細胞が望ましくない細胞型を標的にして、破壊する能力にて著しい進歩を提供する一方で、それらは、治療設定で使用され得る前に各特定の対象との免疫学的適合を必要とする。いったんドナーの一致が見いだされると(または治療を必要とする対象からT細胞が得られると)、細胞が対象にて使用され得るまえに細胞を操作し、増殖させなければならない。この非常に時間がかかり、且つ高価な過程は場合によっては、治療において致命的な遅延を引き起こし得る。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、免疫学的適合を必要とせずに対象に投与することができる遺伝子操作された幹細胞を提供する。したがって、これらの操作された幹細胞は、ドナーの特定及びその後の細胞の操作や増殖に関連する治療における遅延及び労力を排除する「即納」治療として提供されてもよい。操作された幹細胞は単独で、または種々の他の治療との併用で投与されて多数の治療目標を得ることができる。特定の実施形態では、操作された幹細胞は投与の前に操作された非Tエフェクター細胞に分化する。
【0006】
さらに詳しくは、造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)は遺伝子操作されてタグカセットを含む細胞外成分を発現する。タグカセットを用いて、遺伝子操作された細胞を試験管内で、生体内で及び/または生体外で、活性化し、その増殖を促進し、それを検出し、濃縮し、単離し、追跡し、枯渇させ、及び/または除去することができる。そのような操作された細胞を特定することができ、タグカセットを発現していないHSPCに比べて高い収率で単離することができる。特定の実施形態では、操作されたHSPCは投与の前に非Tエフェクター細胞に分化することができる。
【0007】
追加の実施形態では、操作された細胞はさらに、細胞外成分の一部として、望ましくない細胞型にて優先的に見いだされる特定の細胞マーカーを結合するリガンド結合ドメインを発現することができる。これらの実施形態はさらに、細胞外成分が細胞マーカーを結合している場合、遺伝子操作された細胞の活動を指図する細胞内成分を発現する。例として、細胞外成分は癌細胞上で優先的に見いだされる細胞マーカーを結合するように設計することができ、結合すると、細胞内成分は結合された癌細胞を破壊するように遺伝子操作された細胞に指図する。そのような分子の例には、遺伝子操作されたT細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、及び本明細書で開示されている他の分子が挙げられる。
【0008】
タグカセットを含む細胞外成分を発現している遺伝子操作された幹細胞は重要な研究ツールも提供する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】抗CD19短スペーサーのキメラ受容体であるGMCSFRss-CD19scFv-IgG4ヒンジ-CD28tm-41BB-ゼータ-T2A-EGFRtのヌクレオチド配列を示す図である。EGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(Sigma-Aldrich、Co.、LLC、St.Louis、MO)(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のような外来性の同族結合分子(ExoCBM)を結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図2-1】GMCSFRss-CD19scFv-IgG4ヒンジ-CD28tm-41BB-ゼータ-T2A-EGFRtのアミノ酸配列を示す図である。EGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図2-2】GMCSFRss-CD19scFv-IgG4ヒンジ-CD28tm-41BB-ゼータ-T2A-EGFRtのアミノ酸配列を示す図である。EGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図2-3】GMCSFRss-CD19scFv-IgG4ヒンジ-CD28tm-41BB-ゼータ-T2A-EGFRtのアミノ酸配列を示す図である。EGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図3A】ZXR-014のヌクレオチド配列及びアミノ酸配列の区画のマップを示す図である。
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図3B】例となるプライマーの配列を示す図である。
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図4】Uniprot P0861 IgG4-Fcのアミノ酸配列及び区画のマップを示す図である。
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図5】Uniprot P10747 CD28のアミノ酸配列及び区画のマップを示す図である。
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図6】Uniprot Q07011 4-1BBのアミノ酸配列及び区画のマップを示す図である。
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図7】Uniprot P20963ヒトCD3ζアイソフォーム3のアミノ酸配列及び区画のマップを示す図である。
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図9-1】R12長スペーサーのCARであるPJ_R12-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図9-2】R12長スペーサーのCARであるPJ_R12-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図9-3】R12長スペーサーのCARであるPJ_R12-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図9-4】R12長スペーサーのCARであるPJ_R12-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図10】リーダー_R12-ヒンジ-CH2-CH3-CD28tm/41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図11-1】R12中間スペーサーCARであるPJ_R12-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図11-2】R12中間スペーサーCARであるPJ_R12-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図11-3】R12中間スペーサーCARであるPJ_R12-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図11-4】R12中間スペーサーCARであるPJ_R12-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図12】リーダー_R12-ヒンジ-CH3-CD28tm/41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図13-1】R12短スペーサーCARであるPJ_R12-ヒンジ-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図13-2】R12短スペーサーCARであるPJ_R12-ヒンジ-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図13-3】R12短スペーサーCARであるPJ_R12-ヒンジ-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図13-4】R12短スペーサーCARであるPJ_R12-ヒンジ-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図14】リーダー_R12-CD28tm/41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図15-1】R11長スペーサーCARであるPJ_R11-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図15-2】R11長スペーサーCARであるPJ_R11-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図15-3】R11長スペーサーCARであるPJ_R11-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図15-4】R11長スペーサーCARであるPJ_R11-CH2-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図16】リーダー_R11-ヒンジ-CH2-CH3-CD28tm/41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図17-1】R11中間スペーサーCARであるPJ_R11-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図17-2】R11中間スペーサーCARであるPJ_R11-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図17-3】R11中間スペーサーCARであるPJ_R11-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図17-4】R11中間スペーサーCARであるPJ_R11-CH3-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図18】リーダー_R11-ヒンジ-CH3-CD28tm/41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図19-1】R11短スペーサーCARであるPJ_R11-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図19-2】R11短スペーサーCARであるPJ_R11-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図19-3】R11短スペーサーCARであるPJ_R11-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図19-4】R11短スペーサーCARであるPJ_R11-41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図20】リーダー_R11-ヒンジ-CD28tm/41BB-Z-T2A-tEGFRの配列を示す図である。tEGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図21】例となるスペーサーの配列を示す図である。
【
図22】Her2短スペーサー構築物であるGMCSFss-Her2scFv-IgG4ヒンジ-CD28tm-41BB-ゼータ-T2A-EGFRtの配列を示す図である。EGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図23】中間スペーサーHer2構築物の配列を示す図である。
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図24-1】長スペーサーHer2構築物の配列を示す図である。
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図24-2】長スペーサーHer2構築物の配列を示す図である。
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図25】スペーサー配列のライブラリを示す図である。IgG4のヒンジ、CH2及びCH3ドメインに連結されたIgG4のヒンジ、またはCH3ドメインに連結されたIgG4のヒンジの部分を含む細胞外成分をコードするコドンが最適化されたDNA配列を含有するプラスミドライブラリを構築した。可変スペーサードメインのこのライブラリにコードされた配列に任意のscFv配列(VH及びVL)を5’でクローニングすることができる。スペーサードメインは次にCD28の膜貫通ドメイン及び細胞内のシグナル伝達ドメインに連結され、CD3ζに連結される。ベクターにおけるT2A配列は、短縮型ヒト表皮増殖因子受容体(EGFR)をコードする選択可能なマーカーからキメラ受容体を分離する。EGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図26A】(A)修飾されたスペーサーの長さを持ち、異なる親和性の2A2及びR12のscFvに由来するROR1キメラ受容体の設計を示す図である。2A2のscFvと、「ヒンジ-CH2-CH3」(長いスペーサー、229AA)、「ヒンジ-CH3」(中間、119AA)、または「ヒンジ」のみ(短い、12AA)のIgG4-Fcに由来するスペーサーと、CD3ζ及びCD28によるシグナル伝達モジュールとを含有するROR1キメラ受容体のパネルをコードするレンチウイルス導入遺伝子の挿入物の設計である。各キメラ受容体のカセットはT2A要素の下流にコードされる短縮型EGFRマーカーを含有する。EGFRは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図26B】(B)短いIgG4-Fcの「ヒンジ」スペーサー(12AA)とそれぞれシグナル伝達モジュールを含有するCD28または4-1BBとCD3ζを伴ったR12及び2A2のscFvに由来するROR1に特異的なキメラ受容体をコードするレンチウイルス導入遺伝子の挿入物(合計4つの構築物)である。
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図27A】(A)ヒトHER2上の腫瘍細胞膜近傍のエピトープにおけるハーセプチンFabのエピトープの位置の図である。
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図27B】(B)カルボキシルEGFRtマーカー膜貫通タンパク質に-T2A-連結されたタンパク質としてのハーセプチンscFvCARのスペーサー長の変異体の構造形式である。EGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図28】CD19-キメラ受容体のベクターを示す図である。細胞外スペーサーの長さ及び細胞内の同時刺激が異なるCD19に特異的なキメラ受容体のパネルコードするレンチウイルス導入遺伝子の挿入物の設計。各キメラ受容体は、VL-VH方向でのFMC63mAbに由来するCD19特異的な単鎖可変断片と、ヒンジ-CH2-CH3(長いスペーサー、229AA)またはヒンジのみ(短いスペーサー、12AA)のIgG4由来のスペーサードメインと、CD28または4-1BBを単独でまたは直列で伴うシグナル伝達モジュールを含有するCD3ζとをコードした。各キメラ受容体のカセットは切断可能な2A要素の下流でコードされる短縮型EGFRマーカーを含有する。短縮型EGFRは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図29A】例となるSINレンチウイルスプラスミドを示す図である。SIN CD19に特異的なscFvFc-CD3ζCD28 CARとhuEGFRtのレンチウイルスプラスミドを示す。
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図29B】例となるSINレンチウイルスプラスミドを示す図である。SIN CD19に特異的なscFv-4-1BBCD3ζCARとhuEGFRtのレンチウイルスプラスミドを示す。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図30A】百分率(30A)及び絶対数(30B)による形質導入効率/遺伝子発現の安定性のマーカーとしてのEGFRの発現を示す図である。以前記載されたようにDelta上でHSPCを培養した。+3日目に硫酸プロタミンの存在下で3のMOIにてscFvFc-CD3ζCD28CARとhuEGFRtのベクターを用いて細胞に形質導入し、細胞をスピン感染法に供した。培養の間、EGFRtタグに結合するアービタックスを用いてフローによって導入遺伝子の発現を測定した。指定された培養物は+7日目に1:1の比で添加された放射線照射されたLCLを有した。EGFRは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図30B】百分率(30A)及び絶対数(30B)による形質導入効率/遺伝子発現の安定性のマーカーとしてのEGFRの発現を示す図である。以前記載されたようにDelta上でHSPCを培養した。+3日目に硫酸プロタミンの存在下で3のMOIにてscFvFc-CD3ζCD28CARとhuEGFRtのベクターを用いて細胞に形質導入し、細胞をスピン感染法に供した。培養の間、EGFRtタグに結合するアービタックスを用いてフローによって導入遺伝子の発現を測定した。指定された培養物は+7日目に1:1の比で添加された放射線照射されたLCLを有した。EGFRは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図31-1】Notchリガンド上で培養されたCD34
+CB細胞は、scFvFc-CD3ζCD28CARとhuEGFRtのベクターを用い、3のMOIにて+3日目にレンチウイルスによる形質導入を受けた。7日目に1:1の比で指示された培養物にLCLを加えた(形質導入された(■)、LCLと共に形質導入された(×)、形質導入されなかった(大部分■の線の後で見えない)、LCLを伴って形質導入されなかった(▲))。CD34の増殖倍率はTNCの増殖倍率全体を通してLCLの添加によって増強された。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
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図31-2】Notchリガンド上で培養されたCD34
+CB細胞は、scFvFc-CD3ζCD28CARとhuEGFRtのベクターを用い、3のMOIにて+3日目にレンチウイルスによる形質導入を受けた。7日目に1:1の比で指示された培養物にLCLを加えた(形質導入された(■)、LCLと共に形質導入された(×)、形質導入されなかった(大部分■の線の後で見えない)、LCLを伴って形質導入されなかった(▲))。CD34の増殖倍率はTNCの増殖倍率全体を通してLCLの添加によって増強された。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図32-1】LCLの有無における形質導入についてのscFv-4-1BB/CD3ζCARとhuEGFRtのベクターを用いたMOI3での14日目を示す図である。+7日目でのLCLの添加は、LCLの有無にかかわらず培養間で類似の集団分布によって指摘されるように、CARを発現しているHSPCまたはその子孫の増殖を推進するとは思われなかった。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図32-2】LCLの有無における形質導入についてのscFv-4-1BB/CD3ζCARとhuEGFRtのベクターを用いたMOI3での14日目を示す図である。+7日目でのLCLの添加は、LCLの有無にかかわらず培養間で類似の集団分布によって指摘されるように、CARを発現しているHSPCまたはその子孫の増殖を推進するとは思われなかった。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図33】培養物の表現型の結末を示す図である。以前記載されたようにDelta上でHSPCを培養した。+3日目に3のMOIでレンチウイルスによって指定された培養物に形質導入し、scFv-4-1BB/CD3ζ CAR及びhuEGFRtを発現させた。さらに、+7日目に1:1の比で放射線照射したLCLを指定された培養物に与えた。14日目にフローサイトメトリーによって培養物を解析した。形質導入した培養物と形質導入しなかった培養物との間で検出された有意な差異はなかった。同様に、細胞の全集団とEGFRt+細胞との間で検出された差異がなかったということは、CAR構築物が亜群の間で均等に分布することを示唆している。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図34】scFvFc-CD3ζCD28 CARとhuEGFRtのベクターの機能的解析を示す図である。Delta上での14日間の培養の終了時に、細胞をDeltaから取り出し、IL-2及びIL-15で補完したRPMI培地にさらに1週間入れてNK集団を得た。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図35】Notchリガンド上で増殖させ、形質導入してCD19に特異的なscFvFc-CD3ζCD28 CARとhuEGFRtを発現させた(●及び◆)、または形質導入しなかった(▲及び×)CD34
+CB細胞に由来するNKエフェクター細胞を用いたK562(×及び●)またはLCL(▲及び◆)の標的細胞によるクロム放出アッセイを示す図である。成熟NK細胞はRPMI、IL-2及びIL-15との培養での追加の1週間で得た。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図36】scFv-4-1BB/CD3ζ CARとhuEGFRtのベクターを用いて形質導入した細胞を受け取っているマウスはCD19の損傷された生着を有し、それによって抗CD19効果を示すが、それは導入遺伝子の発現に左右された。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図37】scFv-4-1BB/CD3ζ CARとhuEGFRtをコードするレンチウイルスで形質導入された培養物に由来する細胞を受け取ったNOGマウスは有意なEGFRtの発現及び低下したCD19の生着を示す。huEGFRtは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【
図38A】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38B】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38C】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38D】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38E】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38F】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38G】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図38H】1以上の親和性タグカセットを含む(A~D)及び任意で1以上のリガンド結合ドメインを含有する(E~G)種々の単鎖キメラ分子の説明を示す図である。示された実施形態では、単鎖キメラ分子は細胞内ドメインを含む。タグカセットは、タグ配列(たとえば、内在性の同族結合分子(EndoCBM))によって認識されるtEGFR及び/または、たとえば、ExoCBM(たとえば、受容体、タンパク質、抗体)によって認識されるSTREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または他のペプチドまたは分子のような任意の種類の親和性タグ)を含むことができる。示されるように、キメラ分子は(A,B)タグカセットを1つ、(C)タグカセットを2つ、(D)タグカセットを3つ、またはそれ以上を含むことができる。加えて、キメラ分子は複数のエフェクタードメインを有してもよく(たとえば、A及びC~Gの分子は2つのエフェクタードメインを有する一方で、Bで示す分子はそれを3つ有する)、タグカセットはキメラ分子の種々の異なる領域に配置されてもよい。これらの特定の例E~Gでは、タグカセット1つが、リガンド結合ドメインとエフェクタードメインの間(E)、リガンド結合ドメインの遠位末端(たとえば、アミノ末端)(F)で示され、リガンド結合ドメインの中に組み込まれ(G)(たとえば、scFvのVH鎖とVL鎖の間の柔軟なリンカーの中に位置する)、及び2つの異なるタグ、結合ドメインのC末端で1つと結合ドメインのN末端で1つ有する(H)。リガンド結合ドメインを伴うキメラ分子(たとえば、E~H)は、A~Dで示されるようにタグカセットを2、3、またはそれ以上有してもよい。これらの説明で証拠付けられるように、タグカセットは、リンカー配列(たとえば、柔軟な(Gly
xSer)
nリンカー配列)を介して他のキメラ分子の成分または別のタグカセットに接続されてもよい。リンカー配列の長さはさらに長くまたはさらに短く作られて、タグカセットのその同族結合分子(たとえば、ExoCBMまたはEndoCBM)との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはリガンド結合ドメインの標的リガンドまたは抗原との最良の相互作用を達成してもよく、及び/またはキメラ分子を発現している操作された細胞と標的細胞との間での最良の相互作用を達成してもよい。
【
図39A】例となる配列を示す図である。Strep-タグII(配列番号118)
【
図39B】例となる配列を示す図である。Mycタグ(配列番号119)
【
図39C】例となる配列を示す図である。V5タグ(配列番号120)
【
図39D】例となる配列を示す図である。Flagタグ(配列番号121)
【
図39E】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号122)
【
図39F】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号123)
【
図39G】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号124)
【
図39H】例となる配列を示す図である。コアヒンジ領域(配列番号125)
【
図39I】例となる配列を示す図である。分泌シグナルペプチドコーディング配列(配列番号126)
【
図39J】例となる配列を示す図である。Strep-タグIIコーディング配列(配列番号127)
【
図39K】例となる配列を示す図である。分泌シグナルペプチド-[抗-CD19 scFv(タグ-VH-VL)]コーディング配列(配列番号128)
【
図39L】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号129)
【
図39M】例となる配列を示す図である。抗-CD19 scFv(VH-タグ-VL)(配列番号130)
【
図39N】例となる配列を示す図である。Xpressタグ(配列番号131)
【
図39O】例となる配列を示す図である。Aviタグ(配列番号132)
【
図39P】例となる配列を示す図である。カルモジュリンタグ(配列番号133)
【
図39Q】例となる配列を示す図である。HAタグ(配列番号134)
【
図39R】例となる配列を示す図である。ソフトタグ1(配列番号135)
【
図39S】例となる配列を示す図である。Sofタグ3(配列番号136)
【
図39T】例となる配列を示す図である。Strep-タグ(配列番号137)
【
図39U】例となる配列を示す図である。最小キレート化部位の操作されたタグ(配列番号138)
【
図39V】例となる配列を示す図である。リンカー+タグ(配列番号139)
【
図39W】例となる配列を示す図である。リンカー+タグ(配列番号140)
【
図39X】例となる配列を示す図である。リンカー+タグ(配列番号141)
【
図39Y】例となる配列を示す図である。リンカー+タグ(配列番号142)
【
図39Z】例となる配列を示す図である。リンカー+タグ(配列番号143):
【
図39AA】例となる配列を示す図である。リンカー+タグ(配列番号144)
【
図39BB】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号145)
【
図39CC】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号146)
【
図39DD】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号147)
【
図39EE】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号148)
【
図39FF】例となる配列を示す図である。リンカー(配列番号149)
【
図39GG】例となる配列を示す図である。R12に由来する抗-ROR1 scFv(VH-VL)(配列番号150)
【
図39HH】例となる配列を示す図である。4-1BB部分(配列番号151)
【
図39II】例となる配列を示す図である。可変ドメインリンカー+埋め込まれたタグ(配列番号152)
【発明を実施するための形態】
【0010】
免疫系のT細胞を遺伝子操作して癌細胞のような望ましくない細胞型を標的とし、殺傷することにおいて著しい進歩が見られている。たとえば、T細胞は、特定の標的抗原を結合する細胞外成分と、細胞外成分が標的抗原を結合するとT細胞の活動を指図する細胞内成分とを有する分子を発現するように遺伝子操作されている。例として、細胞外成分は癌細胞上に優先的に見いだされる標的抗原を結合するように設計することができ、結合すると、細胞内成分は結合した癌細胞を破壊するようにT細胞に指図する。そのような分子の例には、遺伝子操作されたT細胞受容体(TCR)及びキメラ抗原受容体(CAR)が挙げられる。
【0011】
遺伝子操作されたT細胞が望ましくない細胞型を標的とし、破壊する能力にて大幅な進歩を提供する一方で、それらは、治療設定で使用され得る前に各特定の対象との免疫学的適合を必要とする。いったんドナーの一致が見いだされると(または治療を必要とする対象からT細胞が得られると)、細胞が対象にて使用され得るまえに細胞を操作し、増殖させなければならない。この非常に時間がかかり、且つ高価な過程は場合によっては、治療において致命的な遅延を引き起こし得る。
【0012】
本開示は、免疫学的適合を必要とせずに対象に投与することができる遺伝子操作された幹細胞を提供する。したがって、これらの操作された幹細胞は、ドナーとの一致及びその後の細胞の操作や増殖に関連する治療における遅延及び労力を排除する「即納」治療として提供されてもよい。操作された幹細胞は単独で、または種々の他の治療との併用で投与されて多数の治療目標を得ることができる。特定の実施形態では、操作された幹細胞は投与の前に操作された非Tエフェクター細胞に分化する。
【0013】
さらに詳しくは、造血幹細胞/前駆細胞(HSPC)は遺伝子操作されてタグカセットを有する細胞外成分を有する分子を発現する。タグカセットを用いて、遺伝子操作された細胞を試験管内で、生体内で及び/または生体外で、活性化し、その増殖を促進し、それを検出し、濃縮し、単離し、追跡し、枯渇させ、及び/または除去することができる。そのような操作された細胞を特定することができ、タグカセットを発現していないHSPCに比べて高い収率で単離することができる。したがって、その最も基本的な形態では、本明細書で開示されている操作された細胞は発現している細胞と会合したままであるタグカセットを発現する。「タグカセット」は、同族結合分子(たとえば、受容体、リガンド、抗体、または他の結合相手)が特異的に結合することができる、対象とするタンパク質に付着させる、融合される、またはその一部である独特のペプチド配列を指し、その際、特にタグを付けたタンパク質がタンパク質または他の物質の不均一集団の一部である場合、またはタグを付けたタンパク質を発現している細胞が細胞の不均一集団(たとえば、末梢血のような生体試料)の一部である場合、結合特性を用いてタグを付けたタンパク質またはタグを付けたタンパク質を発現している細胞を活性化し、その増殖を促進し、それを検出し、濃縮し、単離し、追跡し、枯渇させ、及び/または除去することができる。特定の実施形態では、同族結合分子は外来性の同族結合分子(ExoCBM)である。特定の実施形態では、タグを付けたカセットを発現している細胞をExoCBMに接触させて生物反応を誘導することができ、たとえば、細胞の活性化、細胞の増殖または細胞死を促進することができる。
【0014】
「外来性」は、宿主もしくは宿主細胞もしくは対象にとってネイティブではない遺伝子、タンパク質、化合物、分子もしくは活性を指し、または、宿主もしくは宿主細胞にとってネイティブな遺伝子、タンパク質、化合物、分子もしくは活性であるが、ネイティブな分子と変異した分子との間で構造、活性もしくはその双方が異なるように変化させているもしくは変異させている遺伝子、タンパク質、化合物、分子もしくは活性を指す。特定の実施形態では、外来性の分子は宿主細胞または対象にとって内在性ではないが、代わりに、そのような分子をコードする核酸が抱合、形質転換、形質移入、エレクトロポレーション等によって宿主細胞に加えられていてもよく、その際、加えられた核酸分子は宿主細胞のゲノムに統合してもよいし、または染色体外遺伝物質として(たとえば、プラスミドまたは他の自己複製するベクターとして)存在することができる。外来性の分子は異種分子及び非内在性分子を含むことができる。「相同の」または「ホモログ」は1つの宿主細胞型、種または株にて見いだされるまたはそれに由来する分子または活性を指す。たとえば、異種の分子またはその分子をコードする遺伝子は、ネイティブの宿主または宿主細胞の分子またはその分子をコードする遺伝子に対してそれぞれ相同であってもよいが、変化した構造、配列、発現レベルまたはそれらの組み合わせを有してもよい。非内在性分子は同一種、異なる種、またはそれらの組み合わせに由来してもよい。
【0015】
用語「内在性」または「ネイティブ」は宿主または宿主細胞に正常で存在する遺伝子、タンパク質、化合物、分子または活性を指す。外来性分子は内在性ではなく、またはネイティブではない。
【0016】
特定の実施形態では、操作されたHSPCは投与の前に非Tエフェクター細胞に分化することができる。
【0017】
追加の実施形態では、操作された細胞(たとえば、操作されたHSPC及び/または操作された非Tエフェクター細胞)は(i)細胞外成分の一部としてのリガンド結合ドメインと、(ii)細胞内成分とを発現する。リガンド結合ドメインは特定の細胞マーカーを結合することができ、細胞内成分は、リガンド結合ドメインが細胞マーカーを結合している場合、遺伝子操作された細胞の活動を指図することができる。例として、癌細胞上に優先的に見いだされる細胞マーカーを結合するようにリガンド結合ドメインを設計することができ、結合すると、細胞内成分は結合された癌細胞を破壊するように遺伝子操作された細胞に指図する。リガンド結合ドメインと細胞内成分とを伴う分子の例には遺伝子操作されたT細胞受容体(TCR)、キメラ抗原受容体(CAR)、及び本明細書で開示されている他の分子が挙げられる。示されるように、操作されたHSPCは投与の前に非Tエフェクター細胞に分化することができる。
【0018】
タグカセットとリガンド結合ドメインとを伴う特定の実施形態の例となる使用として、好適に一致したドナーを特定することができない場合、臍帯血移植(CBT)は再発した小児急性リンパ芽球性白血病(ALL)の標準治療である。これは、好適なドナーを見つける可能性が非常に低い少数民族の患者または混合した民族性の背景がある患者(及び白人の30%)にとっては特に重要である。
【0019】
CBTのALLを撲滅し、長期の寛解を提供する能力はある程度、移植片対白血病(GVL)効果による。しかしながら依然として、CBT後のALLの再発率は40%前後であり(Smith,et al.,2009,Biol.Blood Marrow Transplant,15(9):p.1086-93;Tomblyn,et al.,2009,J.Clin.Oncol.27(22):p.3634-41)、生存全体は移植片対宿主病(GVHD)を含む再発と治療の双方に関連する死亡率に関係する。本明細書で開示されている組成物及び製剤は、GVHDの比率を高めることなく、GVL効果を向上させることができる。Notchリガンドを用いた内在性のNotchシグナル伝達経路の活性化を介した臍帯血(CB)HSPCの生体外増殖を用い、100倍を超えるCD34+細胞の増加を生じるこの戦略は臨床的に実現可能である。臨床的に、増殖させたHSPCを未操作の単位と共に点滴することができ、増殖させたHSPCの一時的な生着をもたらし、子孫は増殖させた単位に由来する一方で、長期の生着は最終的に未操作の単位に由来する。
【0020】
Notchのリガンドで増殖させたCBのHSPCはCD19に特異的なCARを発現するベクターを用いた遺伝子操作を受け易い。NotchリガンドCB増殖の系を活用することによって、増殖させたHSPCを遺伝子操作してCD19CARを発現させることにより、GVLをCBTで操作することができ、それによって生着した骨髄系及びリンパ系のエフェクター細胞が残存する白血病細胞を認識し、溶解する。
【0021】
タグカセットを発現している提供された融合タンパク質では、同族結合分子(複数可)によって特異的に結合されるタグカセット(複数可)の能力は、細胞マーカー(複数可)に特異的に結合する結合ドメイン(複数可)の能力とは明瞭に異なる、またはそれに加えるものである。したがって、タグカセットは一般に抗原結合分子ではなく、たとえば、抗体またはTCRまたはその抗原結合部分ではない。
【0022】
請求される発明はいまやさらに一般的に記載される。
【0023】
造血幹細胞/前駆細胞またはHSPCは造血幹細胞及び/または造血前駆細胞を指す。
【0024】
「造血幹細胞」は、生体内で自己再生することができ、試験管内で本質的に無制限に増殖することができ、且つ非Tエフェクター細胞を含む他の細胞型に分化することができる未分化の造血系細胞を指す。
【0025】
「造血前駆細胞」は、成熟細胞型にさらに分化することができる造血幹細胞または胎児組織に由来する細胞である。特定の実施形態では、造血前駆細胞は、CD24loLin-CD117+造血前駆細胞である。造血前駆細胞は胚性幹細胞を含む。
【0026】
「胚性幹細胞」または「ES細胞」または「ESC」は、発生している胚の生殖細胞系列に統合し、その一部になる能力を有する未分化の胚性幹細胞を指す。胚性幹細胞は、造血前駆細胞及び任意の組織または臓器に分化することができる。本明細書での使用に好適である胚性幹細胞には、J1ES細胞株、129JES細胞株、マウス幹細胞株D3(American Type Culture Collection)、129/Svマウスに由来するR1またはE14K細胞株、Balb/c及びC57Bl/6マウスに由来する細胞株、ヒト胚性幹細胞に由来する細胞が挙げられる(たとえば、WiCell Research Institute, WI;またはES cell International,Melbourne,Australiaから)。
【0027】
したがって、HAPCは自己再生することができ、または(i)最終的には単球及びマクロファージ、好中球、好塩基球、好酸球、赤血球、巨核球/血小板、または樹状細胞を生じる骨髄系前駆細胞;または(ii)最終的にはT細胞、B細胞及、びナチュラルキラー細胞(NK細胞)と呼ばれるリンパ球様の細胞を生じるリンパ系前駆細胞に分化することができる。造血及びHSPCの分化の一般的な議論については、Chapter 17,Differentiated Cells and the Maintenance of Tissues,Alberts,et al.,1989,Molecular Biology of the Cell,2nd Ed.,Garland Publishing,New York,NY;Chapter 2 of Regenerative Medicine,Department of Health and Human Services,August,5,2006,及びChapter 5 of Hematopoietic Stem Cells,2009,Stem Cell Information,Department of Health and Human Servicesを参照のこと。
【0028】
HSPCは、他の種類の造血系細胞に比べてHSPC上にて高いレベルで発現される特定のマーカーについて陽性であることができる。たとえば、そのようなマーカーには、CD34、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DR、またはそれらの組み合わせが挙げられる。また、HSPCは他の種類の造血系細胞に関連して発現されたマーカーについて陰性であることができる。たとえば、そのようなマーカーにはLin、CD38、またはそれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、HSPCはCD34+細胞である。
【0029】
HSPCの供給源には、臍帯血、胎盤血及び末梢血が挙げられる(米国特許第5,004,681号;同第7,399,633号;及び同第7,147,626号;Craddock,et al.,1997,Blood,90(12):4779-4788;Jin,et al.,2008,Journal of Translational Medicine,6:39;Pelus,2008,Curr.Opin.Hematol.15(4):285-292;Papayannopoulou,et al.,1998,Blood,91(7):2231-2239;Tricot,et al.,2008,Haematologica,93(11):1739-1742;及びWeaver,et al.,2001,Bone Marrow Transplantation,27(2):S23-S29を参照のこと)。血液試料の採取、抗凝固及び処理等の採取に関する方法は、たとえば、Alsever,et al.,1941,N.Y.St.J.Med.41:126;De Gowin,et al.,1940,J.Am.Med.Ass.114:850;Smith,et al.,1959,J.Thorac.Cardiovasc.Surg.38:573;Rous and Turner,1916, J. Exp. Med. 23:219;及びHum,1968,Storage of Blood,Academic Press,New York,pp.26-160にて見いだすことができる。HSPCの供給源には、骨髄(Kodo,et al.,1984,J.Clin.Invest.73:1377-1384を参照のこと)、胚性細胞、大動脈-生殖腺-中腎に由来する細胞、年齢が適したドナーに由来する肝臓、胸腺、及び脾臓も挙げられる。HSPCの採取された試料はすべて望ましくない成分についてスクリーニングすることができ、その時点での現行基準にしたがって、廃棄する、処理するまたは使用することができる。
【0030】
HSPCは最初に適当な技法を用いて試料から採取し、単離することができる。適当な採取及び単離の手順には、磁気分離;蛍光活性化細胞選別(FACS;Williams,et al.,1985,J.Immunol.135:1004;Lu,et al.,1986,Blood,68(1):126-133);アフィニティクロマトグラフィ;モノクローナル抗体に結合したまたはモノクローナル抗体と併せて使用される細胞傷害剤、たとえば、補体及び細胞毒素;固形マトリクスの連結した抗体による「パンニング」(Broxmeyer,et al.,1984,J.Clin.Invest.73:939-953);ダイズのようなレクチンを用いた選択的凝集(Reisner,et al.,1980,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.77:1164)等が挙げられる。
【0031】
特定の実施形態では、HSPCの試料(たとえば、新鮮な臍帯血単位)は最初に、磁気粒子に直接または間接的に結合させた抗CD34抗体を磁気細胞分離装置、たとえば、CLINIMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotec,Bergisch Gladbach,Germany)と併せて使用することによって処理してCD34+細胞について選択/濃縮することができる。正常骨髄細胞集団の1~2%から集団の50~80%までのCD34+HSPCの濃縮を記載している米国特許第7,399,633号のセクション5.4.1.1も参照のこと。
【0032】
同様に、CD43、CD45RO、CD45RA、CD59、CD90、CD109、CD117、CD133、CD166、HLA DR、またはそれらの組み合わせを発現しているHSPCを、これらの抗原に対する抗体を用いて濃縮することができる。米国特許第5,877,299号は、試料から最初にHSPC細胞を単離する、回収する及び濃縮するのに使用することができる追加の適当な造血系抗原を記載している。
【0033】
単離及び/または濃縮に続いて、HSPCの数を増やすためにHSPCを増殖させることができる。単離及び/または増殖の方法は、たとえば、米国特許第7,399,633号及び同第5,004,681号;米国特許公開番号2010/0183564;国際特許公開番号(WO)WO2006/047569;WO2007/095594;WO2011/127470;及びWO2011/127472;Vamum-Finney,et al.,1993,Blood,101:1784-1789;Delaney,et al.,2005,Blood,106:2693-2699;Ohishi,et al.,2002,J.Clin.Invest.110:1165-1174;Delaney,et al.,2010,Nature Med.16(2):232-236;及びChapter 2 of Regenerative Medicine,Department of Health and Human Services,August,2006,及びその中で引用された参考文献にて記載されている。採取、単離及び増殖の参照される方法のそれぞれを本開示の特定の実施形態にて使用することができる。
【0034】
HSPCを増殖させる好まれる方法にはNotchアゴニストによるHSPCの増殖が挙げられる。Notchアゴニストを用いたHSPCの増殖に関する情報については、米国特許第7,399,633号のセクション5.1及び5.3;米国特許第5,780,300号;同第5,648,464号;同第5,849,869号;及び同第5,856,441号;WO1992/119734;Schlondorfi and Blobel,1999,J.Cell Sci.112:3603-3617;Olkkonen及びStenmark,1997,Int.Rev.Cytol.176:1-85;Kopan,et al.,2009,Cell,137:216-233;Rebay,et al.,1991,Cell,67:687-699,及びJarriault,et al.,1998,Mol.Cell.Biol.18:7423-7431を参照のこと。特定の実施形態では、Notchアゴニストは増殖の間、不動化される。
【0035】
Notchアゴニストには、Notch経路の活性化が促進されるようにNotchタンパク質またはNotch経路における他のタンパク質に結合するまたはさもなければそれと相互作用する任意の化合物が挙げられる。例となるNotchアゴニストは、細胞外結合リガンドであるDelta及びSerrate(たとえば、Jagged)、RBP、ヘアレスのJκI抑制因子、Deltex、Fringe、またはNotch経路の活性化を促進するそれらの断片である。Deltaファミリーメンバー及びSerrateファミリーメンバーの核酸及びアミノ酸の配列は幾つかの種から単離されており、たとえば、WO1993/12141;WO1996/27610;WO1997/01571;及びGray,et al.,1999,Am.J.Path.154:785-794にて記載されている。
【0036】
特定の実施形態では、NotchアゴニストはDelta1ext-IgGである。Delta1ext-IgGを0.2~20μg/mlの間、1.25~10μg/mlの間、または2~6μg/mlの間の濃度で固相に適用する。
【0037】
特定の実施形態では、増殖の間、Notchアゴニスト及びアリール炭化水素受容体アンタゴニストの存在下でHSPCを培養する。Notchアゴニストを不動化することができ、細胞を含有する流体にてアリール炭化水素受容体アンタゴニストが存在することができる。
【0038】
追加の培養条件には、たとえば、アンギオポエチン様タンパク質(Angptls、たとえば、Angptl2、Angptl3、Angptl7、Angpt15、及びMfap4);エリスロポエチン;線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF;c-kitリガンドまたは肥満細胞増殖因子としても知られる);トロンボポエチン(TPO);及びそれらの類似体のような1以上の増殖因子の存在下での増殖を挙げることができる(その際、類似体には、天然に存在する増殖因子の生物活性を有する増殖因子の構造的な変異体が挙げられる;たとえば、WO2007/1145227及び米国特許公開番号2010/0183564を参照のこと)。
【0039】
特定の実施形態では、HSPCを増殖させるのに好適な増殖因子の量または濃度は、HSPCの増殖を促進するのに有効であるが、実質的にHSPCの分化がない量または濃度である。ヒト対象への少なくとも1回の点滴を提供するのに十分な数の細胞、通常、104個/kg~106個/kg前後が得られるまで細胞集団を好ましくは増殖させる。
【0040】
HSPCを増殖させるのに好適な増殖因子の量または濃度は、増殖因子製剤の活性及び増殖因子とHSPCとの間の種の対応、等に左右される。一般に、増殖因子(複数可)とHSPCが同一種のものである場合、培養培地における増殖因子の総量は、1ng/ml~5μg/ml、5ng/ml~1μg/ml、または5ng/ml~250ng/mlの範囲である。追加の実施形態では、増殖因子の量は5~1000または50~100ng/mlの範囲であることができる。
【0041】
特定の実施形態では、前述の増殖因子は、以下の濃度:25~300ng/mlのSCF、25~300ng/mlのFlt-3L、25~100ng/mlのTPO、25~100ng/mlのIL-6及び10ng/mlのIL-3でHSPCを増殖させるための培養条件に存在する。さらに具体的な実施形態では、50、100、または200ng/mlのSCF;50、100、または200ng/mlのFlt-3L;50または100ng/mlのTPO;50または100ng/mlのIL-6;及び10ng/mlのIL-3を使用することができる。
【0042】
特定の実施形態では、HSPCを不動化されたNotchアゴニストと50ng/mlもしくは100ng/mlのSCFとに;不動化されたNotchアゴニストとFlt-3L、IL-6、TPO及びSCFのそれぞれの50ng/mlもしくは100ng/mlとに;または不動化されたNotchアゴニストとFlt-3L、IL-6、TPO、SCFのぞれぞれの50ng/mlもしくは100ng/mlと10ng/mlのIL-11もしくはIL-3とに曝露することによってHSPCを増殖させることができる。
【0043】
たとえば、フィブロネクチン(FN)もしくはその断片(たとえば、CH-296(Dao,et al.,1998,Blood,92(12):4612-21))またはRETRONECTIN(登録商標)(組換えヒトフィブロネクチン断片;(Clontech Laboratories,Inc.,Madison,WI)のような細胞外マトリクスタンパク質を結合させている組織培養皿にてHSPCを増殖させることができる。
【0044】
具体的な実施形態では、HSPCを増殖させる方法には、不動化されたDelta1ext-IgG及びCH-296と、IL-6、TPO、Flt-3L、CSF及びIL-3から選択される4以上の増殖因子とによって被覆された固相上で生体外にて単離されたHSPCを培養し、それによって増殖させたHSPC試料を生じることが含まれる。
【0045】
HSPCを増殖させる特定の実施形態では、細胞は、不動化されたDeltaリガンド及びフィブロネクチンとそれぞれ25ng/mlまたは100ng/ml(またはこれらの値の間の任意の範囲)、好ましくは50ng/mlのSCF及びTPOとを含有するプラスチック製の組織培養皿で培養される。HSPCを増殖させる特定の実施形態では、細胞は、それぞれ25ng/mlまたは100ng/ml(またはこれらの値の間の任意の範囲)、好ましくは50ng/mlのSCF及びFlt-3Lの存在下で不動化されたDeltaリガンド及びフィブロネクチンを含有するプラスチック製の組織培養皿で培養される。HSPCを増殖させる特定の実施形態では、細胞は、不動化されたDeltaリガンド及びフィブロネクチンと、それぞれ25ng/mlまたは100ng/ml(またはこれらの値の間の任意の範囲)、好ましくは50ng/mlのSCF、Flt-3L及びTPOとを含有するプラスチック製の組織培養皿で培養される。HSPCを増殖させる特定の実施形態では、細胞は、不動化されたDeltaリガンド及びフィブロネクチンと、それぞれ25ng/mlまたは100ng/ml(またはこれらの値の間の任意の範囲)、好ましくは50ng/mlのSCF、Flt-3L、TPO及びIL-6とを含有するプラスチック製の組織培養皿で培養される。特定の実施形態では、HSPCはさらに5~15ng/ml、好ましくは10ng/mlのIL-3の存在下で培養される。特定の実施形態では、HSPCはさらに、5~15ng/ml、好ましくは10ng/mlのGM-CSFの存在下で培養される。特定の実施形態では、使用される1以上の増殖因子は、GM-SCFまたはIL-7ではない。特定の代わりの実施形態では、フィブロネクチンは組織培養皿から取り除かれ、別の細胞外マトリクスタンパク質によって置き換えられる。HSPCの増殖に関するさらなる方法及び詳細はWO2013/086436にて見いだされる。
【0046】
特定の実施形態では、記載されている方法を用いて得られた増殖させたHSPC試料におけるCD34+細胞の比率は増殖に先立って単離されたHSPCにおけるCD34+細胞の比率よりも高い。適当な培養条件に関する追加の情報については、米国特許第7,399,633号;米国特許公開番号2010/0183564;及びFreshney Culture of Animal Cells,Wiley-Liss,Inc.,New York,NY(1994))を参照のこと。
【0047】
操作されたHSPC。特定の実施形態では、HSPCは操作されてタグカセットを発現する。タグカセットはEndoCBMまたはExoCBMを結合することができる。HSPCは操作されて(i)タグカセットとリガンド結合ドメインとを含む細胞外成分と、(ii)細胞内成分とを発現することもできる。細胞外成分及び細胞内成分は直接、または、たとえば、及び種々の実施形態では、スペーサー領域(複数可)、リンカー配列(複数可)、接合アミノ酸及び/または疎水性部分を介して連結され得る。当業者によって理解されるように、スペーサー領域(複数可)、リンカー配列(複数可)、接合アミノ酸及び/または疎水性部分としての分類は相互に排他的ではなく、これらの機能間には重複があることができる。
【0048】
細胞外成分。細胞外成分には、タグカセットが少なくとも1つと、任意で本明細書に記載されているような他の潜在的成分の間でのリガンド結合ドメイン(以下結合ドメインと)とが含まれる。
【0049】
タグカセット。発現されたキメラ分子(たとえば、単鎖融合タンパク質)の中に含まれるタグカセットは高い親和性または結合活性で同族結合分子に特異的に結合することができる細胞外成分または細胞外成分の一部であることができ、その際、特定の実施形態では、同族結合分子はキメラ分子を発現している宿主または細胞に対して外来性である。
【0050】
EndoCBMを結合するタグカセットには、たとえば、
図2で示されるような切り詰めたEGFRが挙げられる。切り詰めたEGFRをコードする例となる遺伝子配列は
図1(配列番号9)にて示されている。ExoCBMを結合するタグカセットには、たとえば、Strepタグ(元々のSTREP(登録商標)タグ、STREP(登録商標)タグII、またはその変異体を参照する;たとえば、米国特許第7,981,632を参照)、Hisタグ、Flagタグ(配列番号121)、Xpressタグ(配列番号131)、Aviタグ(配列番号132)、カルモジュリンタグ(配列番号133)、ポリグルタミン酸塩タグ、HAタグ(配列番号134)、Mycタグ(配列番号119)、Nusタグ、Sタグ、SBPタグ、Sofタグ1(配列番号135)、Sofタグ3(配列番号136)、V5タグ(配列番号120)、CREB-結合タンパク質(CBP)、グルタチオンS-トランスフェラーゼ(GST)、マルトース結合タンパク質(MBP)、緑色蛍光タンパク質(GFP)、チオレドキシンタグ、またはそれらの組み合わせが挙げられる。特定の実施形態では、タグカセットは、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)のアミノ酸配列を有するStrepタグである。他の実施形態では、タグカセットは、たとえば、最小キレート化部位(たとえば、HGGHHG、配列番号138)のような遺伝子操作された親和性部位であってもよい。
【0051】
タグカセットは、融合タンパク質にて複数コピーで存在してもよい。たとえば、融合タンパク質は1、2、3、4または5のタグカセット(たとえば、Strepタグ)を有することができる。特定の実施形態では、キメラ分子の細胞外成分は、タグカセットを1つ、タグカセットを2つ、タグカセットを3つ、タグカセットを4つ、またはタグカセットを5つ含む。複数のタグカセットは、同一であってもよいし、または異なっていてもよい。例となる実施形態は、Strepタグカセットを2つ、またはHisタグとStrepタグのカセット、またはHAタグとStrepタグのカセット、またはMycタグとStrepタグのカセットを含む。或いは、キメラ分子は、同じ種類のまたは同じアミノ酸配列の複数のタグカセット、たとえば、2、3、4、または5のStrepタグカセット(たとえば、StrepII)を有するであろう。
【0052】
一部の実施形態では、第1のタグカセットは刺激シグナルを提供することができ、異なる第2のタグカセットは、検出試薬と会合するのに、または抗体/毒素コンジュゲートもしくは抗体/造影剤コンジュゲートと会合するのに使用されてもよい。
【0053】
1以上のタグカセットを含むキメラ分子は同族結合分子と会合することができ、その際、同族結合分子は本明細書に記載されているタグカセットを含む融合タンパク質を発現している宿主または細胞に対して外来性である。特定の実施形態では、キメラ分子に存在するタグカセットは、同族結合分子としてストレプトアビジン、ストレプトアクチン、もしくはその双方を有する、またはStrepタグに特異的な抗体によって認識されるStrepタグである。特定の実施形態では、同族結合分子は可溶性であってもよく、マトリクス組成物の一部であってもよく、または固体表面(たとえば、プレート、ビーズ)に結合されてもよい。例となる固体表面には、たとえば、磁性のビーズ及び粒子のようなビーズ及び粒子(たとえば、マイクロ及びナノ)が挙げられる。
【0054】
特定の実施形態では、キメラ分子を発現している操作された細胞はタグカセットに特異的な結合剤を用いてフローサイトメトリーによって特定することができる。特定の例では、精製されたキメラ分子を発現している操作された細胞は、抗StrepタグII(STII)を用いて、及び/またはSTREP-TACTIN(登録商標)APC(IBA Institut fur Bioanalytik,Germany)によって検出される。
【0055】
特定の実施形態では、キメラ分子を発現している操作された細胞はフローサイトメトリーによって蛍光色素に結合させたタグ特異的な結合剤により低純度(たとえば、1%~30%)から高純度(たとえば、75%~99%)に選別することができる。特定の実施形態では、タグはStrepタグIIであることができ、タグ特異的な結合剤は蛍光色素に結合させた抗STIImAbであることができる。
【0056】
特定の実施形態では、キメラ分子を発現している操作された細胞(たとえば、Strepタグのタグカセットを3つ伴う)は、種々のサイズのSTREP-TACTIN(登録商標)ビーズを用いて直接濃縮することができる。したがって、特定の実施形態では、キメラ分子を発現している細胞は、タグカセットに対して特異性を有する抗体(たとえば、抗タグ抗体)に結合させることによって、またはビーズ、細胞培養プレート、アガロースもしくは他の固体表面マトリクスに結合される、タグカセットを特異的に結合する他のタンパク質(たとえば、Strepタグに結合するストレプトアクチン)によって、特定され、選別され、濃縮され、または単離されることができる。特定の実施形態では、そのような細胞はアフィニティカラムを使用することによって選別され、濃縮され、または単離される。
【0057】
本開示の利点は、タグカセットに対するExoCBMを用いて、対象に投与されたキメラ分子を発現している細胞を枯渇させることができることである。特定の実施形態では、本開示は、タグカセットに特異的な抗体を用いることによって、タグカセットに特異的なExoCBMを用いて、またはCARを発現し、且つタグカセットに対する特異性を有する第2の操作された細胞を用いることによってキメラ分子を発現している採取された細胞を枯渇させる方法を提供する。操作された細胞の除去は、タグカセットに特異的な枯渇剤を用いて達成されてもよい。たとえば、Strepタグが使用されるのであれば、そのときは、抗Strepタグ抗体、抗StrepタグscFv、もしくは細胞毒性試薬(たとえば、毒素、放射性金属)に融合されたもしくは結合されたストレプトアクチンが使用されてもよく、または抗Strepタグ/抗CD3二重特異性scFvもしくは抗StrepタグCAR T細胞が使用されてもよい。
【0058】
特定のさらなる実施形態では、本明細書で開示されているようなキメラ分子を発現している操作された細胞は生体内で、たとえば、腫瘍の部位で活性化される。たとえば、タグカセットの同族結合分子を含む組成物(たとえば、アルギネート、基底膜マトリクス(MATRIGEL(登録商標)、バイオポリマー、または他のマトリクス)またはキャリア(たとえば、マイクロビーズ、ナノ粒子、または他の固体表面)を用いて腫瘍の部位にて本明細書で開示されているようなキメラ分子を発現している操作された細胞を局所で活性化することができる。
【0059】
特定の実施形態では、キメラ分子を発現している操作された細胞は、特異性を持ってタグカセットに結合する抗体(たとえば、抗タグ抗体)を使用することによって、またはタグカセットを特異的に結合する他のExoCBM(たとえば、Strepタグに結合するストレプトアクチン)によって生体内で検出されてもよく、または追跡されてもよく、タグカセットについてのその結合相手は、X線、CTスキャン、MRI走査、PET走査、超音波、フローサイトメトリー、近赤外線画像化システムまたは他の画像診断法(たとえば、Yu,et al.,Theranostics,2:3,2012を参照のこと)による検出について当該技術で知られる蛍光色素、放射性トレーサー、酸化鉄ナノ粒子または他の造影剤に結合される。
【0060】
さらなる実施形態では、本開示のキメラ分子を発現している細胞は、本明細書で特定される適応または状態に関連して使用される方法を含む診断法または画像解析法で使用されてもよい。
【0061】
したがって、タグカセットを発現している操作された細胞は、タグカセットのない操作された細胞に比べて、たとえば、さらに迅速に特定され、単離され、選別され、増殖するように誘導され、追跡され、及び/または除去されることができる。すなわち、タグカセットは、たとえば、キメラ分子を発現している細胞の試験管内での、生体内での及び/または生体外での特定、濃縮、単離、増殖の促進、活性化、追跡または除去を可能にするハンドルまたはビーコンとして本質的に機能することができる。
【0062】
特定の実施形態では、タグカセットは、5~500のアミノ酸、または6~100のアミノ酸、または7~50のアミノ酸、または8~20のアミノ酸を含む。一部の実施形態では、タグカセットは、7~10のアミノ酸を有する。特定の実施形態では、タグカセットは、免疫原性ではない、または最低限免疫原性ではない。特定の実施形態では、タグカセットは、免疫原性であり、アジュバント特性を提供する。
【0063】
本明細書で開示されているタグカセットの配列を特異的に結合するExoCBMは市販されている。非限定例として、Strepタグ抗体はAbcam、Iba及びQiagenを含む供給業者から市販されている。Hisタグ抗体は、Life Technologies、Pierce Antibodies、及びGenScriptを含む供給業者から市販されている。Flagタグ抗体は、Pierce Antibodies、GenScript、及びSigma-Aldrichを含む供給業者から市販されている。Xpressタグ抗体は、Pierce Antibodies、Life Technologies及びGenScriptを含む供給業者から市販されている。Aviタグ抗体は、Pierce Antibodies、IsBio、及びGenecopoeiaを含む供給業者から市販されている。カルモジュリンタグ抗体は、Santa Cruz Biotechnology、Abcam、及びPierce Antibodiesを含む供給業者から市販されている。HAタグ抗体は、Pierce Antibodies、Cell Signal及びAbcamを含む供給業者から市販されている。Mycタグ抗体は、Santa Cruz Biotechnology、Abcam、及びCell Signalを含む供給業者から市販されている。
【0064】
利用される場合、細胞外結合ドメインは、望ましくない細胞型で優先的に見いだされる細胞マーカーを結合することによって、操作された細胞を特に望ましくない細胞型に向けるように設計される。
【0065】
細胞マーカー。特定の実施形態では、細胞マーカーは、たとえば、望ましくない癌細胞のような望ましくない細胞によって優先的に発現される。「優先的に発現される」は、細胞マーカーが他の標的とされない細胞に比べて望ましくない細胞にて高レベルで見いだされることを意味する。発現レベルの差異は十分に有意であるので、健全な医学的判断の範囲内で、マーカーの存在に基づいて望ましくない細胞を標的とし、殺傷するであろう細胞の投与は、少ない程度にマーカーを発現し得る他の標的とされていない細胞の付随的な殺傷のリスクに勝る。場合によっては、細胞マーカーは望ましくない細胞型によってしか発現されない。他の場合では、細胞マーカーは、標的とされない細胞よりも少なくとも25%、35%、45%、55%、65%、75%、85%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%多く望ましくない細胞上で発現される。例となる望ましくない癌細胞には、副腎癌、膀胱癌、血液癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、耳、鼻及び喉(ENT)の癌、子宮内膜癌、食道癌、消化器癌、頭頚部の癌、ホジキン病、腸癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、リンパ節癌、リンパ腫、肺癌、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞腫、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、精上皮腫、皮膚癌、胃癌、奇形腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、血管腫瘍、及びそれらの転移に由来する癌細胞が挙げられる。
【0066】
会合された細胞マーカー(複数可)を結合する結合ドメインを細胞外成分の中に含めることによって、特定の以下の癌を標的とすることができる。
【表1】
【0067】
前述を限定しないで、細胞マーカーにはまた、A33;BAGE;Bcl-2;β-カテニン;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD3,CD5;CD19;CD20;CD21;CD22;CD25;CD28;CD30;CD33;CD37;CD40;CD52;CD44v6;CD45;CD56;CD79b;CD80;CD81;CD86;CD123;CD134;CD137;CD151;CD171;CD276;CEA;CEACAM6;c-Met;CS-1;CTLA-4;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;EGFRvIII,エフリンB2;ErbB2;ErbB3;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸-結合タンパク質;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GITR;GM2;gp75;gp100(Pmel17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPV E7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;ルイスA;ルイスY;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;O-アセチルGD-2;O-アセチルGD3;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;RANK;ras;Robo1;RORl;サバイビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF;及びWT1が挙げられる。
【0068】
特定の癌細胞の細胞マーカーには、
【表2】
が挙げられる。
【0069】
望ましくない細胞及び細胞マーカーは、癌細胞及び癌の細胞マーカーに限定されないが、たとえば、B型肝炎表面抗原を発現しているもののようなウイルス感染した細胞も含まれる。
【0070】
結合ドメイン。結合ドメインには細胞マーカーに結合して複合体を形成する物質が含まれる。結合ドメインの例には、細胞マーカーのリガンド、受容体のリガンド、抗体、ペプチド、ペプチドアプタマー、受容体(たとえば、T細胞受容体)、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0071】
特定の実施形態では、「結合ドメイン」は、細胞マーカー(たとえば、CD19、CD20、CD22、ROR1、メソテリン、PD-L1、PD-L2、PSMA)と特異的に且つ非共有結合で、会合する、合体するまたは化合する能力を持つ、たとえば、ペプチド、オリゴペプチド、ポリペプチドまたはタンパク質のような分子を指す。結合ドメインには、細胞マーカーのための天然に存在する、合成の、半合成の、または組換えで作られた結合相手が含まれる。一部の実施形態では、結合ドメインは、たとえば、抗体またはT細胞受容体(TCR)、機能的結合ドメイン、またはそれらの抗原結合断片のような抗原結合ドメインである。例となる結合ドメインには、単鎖抗体可変領域(たとえば、ドメイン抗体、sFv、scFv、Fab)、受容体細胞内ドメイン(たとえば、TNF-α)、リガンド(たとえば、サイトカイン、ケモカイン)、T細胞受容体(TCR)の抗原結合領域、たとえば、単鎖TCR(scTCR)、または生体分子に結合する特異的な能力について選択された合成ポリペプチドが挙げられる。
【0072】
述べられたように、抗体は、結合ドメインの一例であり、それには、全抗体及び抗体の結合断片、たとえば、細胞マーカーに特異的に結合するFv、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fc、及び単鎖(sc)形態及びその断片が挙げられる。追加の例にはscFvに基づくグラバボディ及び可溶性VHドメイン抗体が挙げられる。これらの抗体は重鎖可変領域のみを用いて結合領域を形成する。たとえば、Jespers,et al.,2004,Nat.Biotechnol.22:1161;Cortez-Retamozo,et al.,2004,Cancer Res.64:2853;Baral,et al.,2006,Nature Med.12:580;及びBarthelemy,et al.,2008,J.Biol.Chem.283:3639)を参照のこと。
【0073】
抗体または抗原結合断片は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、ヒト抗体、ヒト化抗体、合成抗体、キメラ抗体、二重特性抗体、ミニボディ及び線状抗体のすべてまたは一部を含むことができる。
【0074】
ヒト起源の抗体またはヒト化抗体は、ヒトにて低下した免疫原性を有するか、または免疫原性を有さず、非ヒト抗体に比べて少数の非免疫原性のエピトープを有する。抗体及びその断片は一般に、ヒト対象にて低下したレベルの抗原性を有するか、または抗原性を有さないように選択されるであろう。
【0075】
特定の細胞マーカーを特異的に結合する抗体は、モノクローナル抗体を得る方法、ファージディスプレイの方法、ヒト抗体もしくはヒト化抗体を生成する方法、または当業者に知られるような抗体を産生するように操作されたトランスジェニック動物または植物を使用する方法を用いて調製することができる(たとえば、米国特許第6,291,161号及び同第6,291,158号を参照のこと)。部分的にまたは完全に合成された抗体のファージディスプレイライブラリが利用可能であり、細胞マーカーに結合することができる抗体またはその断片についてスクリーニングすることができる。たとえば、結合ドメインは、対象とする細胞マーカーに特異的に結合するFab断片についてのFabファージライブラリをスクリーニングすることによって特定されてもよい(Hoet,et al.,2005,Nat.Biotechnol.23:344を参照のこと)。ヒト抗体のファージディスプレイライブラリも利用可能である。さらに、好都合なシステム(マウス、HUMAB MOUSE(登録商標)(GenPharm Int’l.Inc.、Mountain View、CA)、TC MOUSE(登録商標)(Kirin Pharma Co.Ltd.、Tokyo、JP)、KM-MOUSE(登録商標)(Medarex、Inc.、Princeton、NJ)、ラマ、ニワトリ、ラット、ハムスター、ウサギ等)にて免疫原として対象とする細胞マーカーを用いたハイブリドーマ作成の従来の戦略を用いて結合ドメインを作成することができる。特定の実施形態では、抗体は、特定の望ましくない細胞型によって優先的に発現される細胞マーカーに特異的に結合し、非特異的な成分または無関係な標的とは交差反応しない。いったん特定されると、抗体のアミノ酸配列及び抗体をコードする遺伝子配列を単離する、及び/または決定することができる。
【0076】
結合ドメインの代替供給源には、ランダムペプチドライブラリをコードする配列またはscTCR(たとえば、Lake,et al.,1999,Int.Immunol.11:745;Maynard,et al.,2005,J.Immunol.Methods,306:51;米国特許第8,361,794号を参照のこと)、フィブリノーゲンドメイン(たとえば、Weisel,et al.,1985,Science230:1388を参照のこと)、Kunitzドメイン(たとえば、米国特許第6,423,498号を参照のこと)、設計されたアンキリン反復タンパク質(DARPins;Binz,et al.,2003,J.Mol.Biol.332:489及びBinz,et al.,2004,Nat.Biotechnol.22:575)、フィブロネクチン結合ドメイン(アドネクチンまたはモノボディ;Richards,et al.,2003,J.Mol.Biol.326:1475;Parker,et al.,2005,Protein Eng.Des.Selec.18:435及びHackel,et al.,2008,J.Mol.Biol.381:1238-1252)、システイン-ノットミニタンパク質(Vita,et al.,1995,Proc.Nat′l.Acad.Sci.(USA)92:6404-6408;Martin,et al.,2002,Nat.Biotechnol.21:71及びHuang,et al.,2005,Structure,13:755)、テトラトリコペプチド反復ドメイン(Main,et al.,2003,Structure,11:497及びCortajarena,et al.,2008,ACS Chem.Biol.3:161)、ロイシン-リッチ反復ドメイン(Stumpp,et al.,2003,J.Mol.Biol.332:471)、リポカリンドメイン(たとえば、WO2006/095164;Beste,et al.,1999,Proc.Nat′l.Acad.Sci.(USA)96:1898;及びSchonfeld,et al.,2009,Proc.Nat′l.Acad.Sci.(USA)106:8198を参照のこと)、V-様ドメイン(たとえば、米国特許出願公開番号2007/0065431を参照のこと)、C-型レクチンドメイン(Zelensky及びGready,2005,FEBS J.272:6179;Beavil,et al.,1992,Proc.Nat′l.Acad.Sci.(USA)89:753;及びSato,et al.,2003,Proc.Nat′l.Acad.Sci.(USA)100:7779)、mAb2またはFcab(商標)(たとえば、WO2007/098934及びWO2006/072620を参照のこと)、アルマジロ反復タンパク質(たとえば、Madhurantakam,et al.,2012 Protein Sci.21:1015;WO2009/040338を参照のこと)、アフィリン(Ebersbach,et al.,2007,J.Mol.Biol.372:172)、アフィボディ、アビマー、ノッチン、フィノマー、アトリマー、細胞傷害性Tリンパ球関連タンパク質-4(Weidle,et al.,2013,Cancer Gen.Proteo.10:155)、等(Nord,et al.,1995,Protein Eng.8:601;Nord,et al.,1997,Nat.Biotechnol.15:772;Nord,et al.,2001,Euro.J.Biochem.268:4269;Binz,et al.,2005,Nat.Biotechnol.23:1257;Boersma及びPluckthun,2011,Curr.Opin.Biotechnol.22:849)のような代わりの非抗体足場のループ領域におけるアミノ酸の操作された多様性をコードする配列が挙げられる。
【0077】
特定の実施形態では、結合ドメインは、Vα/β及びCα/β鎖(たとえば、Vα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβ)を含む、または対象とする細胞マーカー(たとえば、ペプチド-MHC複合体)に特異的なVα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβの対を含む単鎖T細胞受容体(scTCR)である。
【0078】
ペプチドアプタマーには、両端でタンパク質足場に連結された(細胞マーカーに特異的である)ペプチドループが挙げられる。この二重構造の制約はペプチドアプタマーの結合親和性を抗体に匹敵するレベルまで高める。可変ループの長さは通常8~20アミノ酸であり、足場は安定であり、可溶性であり、小さく、且つ非毒性であるタンパク質であることができる。ペプチドアプタマーの選択は、たとえば、酵母2ハイブリッド系(たとえば、Gal4酵母2ハイブリッド系)またはLexA相互作用トラップ系のような様々な系を用いて行うことができる。
【0079】
特定の実施形態では、結合ドメインは、細胞マーカーCD19を結合する抗体であることができる。特定の実施形態では、結合ドメインは、CD19に特異的なVH及びVLを含む単鎖Fv断片(scFv)である。特定の実施形態では、VH及びVLの領域はヒトである。例となるVH及びVLの領域には抗CD19特異的モノクローナル抗体FMC63のセグメントが含まれる。特定の実施形態では、scFvはヒトであり、またはヒト化され、それには、RASQDISKYLN(配列番号108)のCDRL1配列、SRLHSGV(配列番号111)のCDRL2配列及びGNTLPYTFG(配列番号104)のCDRL3配列を含む可変軽鎖が含まれる。他の実施形態では、scFvは、DYGVS(配列番号103)のCDRH1配列、VTWGSETTYYNSALKS(配列番号114)のCDRH2配列、及びYAMDYWG(配列番号115)のCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvである。
【0080】
結合ドメインをコードする遺伝子配列は、たとえば、FMC63のようなCD19を特異的に結合する抗体に由来するscFvとして
図1で示されている。アミノ酸GSTSGSGKPGSGEGSTKG(配列番号30)を含む柔軟性のリンカーをコードする遺伝子配列はscFvにてVH鎖及びVL鎖を分離する。リンカーを含むscFvのアミノ酸配列は
図2で示される(配列番号34)。たとえば、SJ25C1(Bejcek,et al.,2005,Cancer Res.,1;55(11):2346-51,PMID7538901)及びHD37(Pezutto,et al.,J.Immun.1987,1;138(9):2793-9,PMID2437199)のようなCD19を標的とする他の抗体が知られている。配列番号10は抗CD19scFv(VH-VL)のDNA配列を提供し、配列番号9は抗CD19scFv(VH-VL)のアミノ酸配列を提供している。
【0081】
特定の実施形態では、結合ドメインは細胞マーカーROR1を結合する。特定の実施形態では、scFvは、ASGFDFSAYYM(配列番号101)のCDRL1配列、TIYPSSG(配列番号112)のCDRL2配列、及びADRATYFCA(配列番号100)のCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvである。特定の実施形態では、scFvは、DTIDWY(配列番号102)のCDRH1配列、VQSDGSYTKRPGVPDR(配列番号113)のCDRH2配列、及びYIGGYVFG(配列番号117)のCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvである。
【0082】
特定の実施形態では、結合ドメインは細胞マーカーROR1を結合する。特定の実施形態では、scFvは、SGSDINDYPIS(配列番号109)のCDRL1配列、INSGGST(配列番号105)のCDRL2配列、及びYFCARGYS(配列番号116)のCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvである。特定の実施形態では、scFvは、SNLAW(配列番号110)のCDRH1配列、RASNLASGVPSRFSGS(配列番号107)のCDRH2配列、及びNVSYRTSF(配列番号106)のCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvである。ROR1に特異的な多数の追加の抗体が当業者に既知である。
【0083】
特定の実施形態では、結合ドメインは細胞マーカーHer2を結合する。Her2に特異的な多数の抗体が当業者に既知であり、配列、エピトープ結合及び親和性について容易に特徴付けることができる。特定の実施形態では、結合ドメインにはハーセプチン抗体に由来するscFv配列が含まれる。特定の実施形態では、結合ドメインは、ハーセプチン抗体のCDRL1配列、CDRL2配列及びCDRL3配列を含む可変軽鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvを含む。特定の実施形態では、scFvは、ハーセプチン抗体のCDRH1配列、CDRH2配列及びCDRH3配列を含む可変重鎖を含むヒトscFvまたはヒト化scFvである。CDRの配列はハーセプチンのアミノ酸配列から容易に決定することができる。Her2結合ドメインをコードする例となる遺伝子配列は配列番号39及び40にて見いだされる。
【0084】
特定の実施形態では、CDR領域は、以下:軽鎖については、CDRL1はアミノ酸24~34であり;CDRL2はアミノ酸50~56であり;CDRL3はアミノ酸89~97であり、重鎖については、CDRH1はアミノ酸31~35であり;CDRH2はアミノ酸50~65であり;CDRH3はアミノ酸95~102であるようなKabatによって番号付けられたような抗体領域の範囲内に見いだされる。
【0085】
他の抗体は周知であり、市販されている。たとえば、抗PSMA抗体及び抗PSCA抗体はAbcam plcから入手できる(それぞれ、ab66912及びab15168)。メソテリン及びWT1の抗体はSanta Cruz Biotechnology,Inc.から入手できる。リツキシマブ(商品名リツキサン、マブセラ及びジックス)のような抗CD20抗体はIDEC Pharmaceuticalsによって開発されている。
【0086】
示されるように、結合ドメインはT細胞受容体(TCR)も含むことができる。TCRは、CD3との関連で主要組織適合性複合体(MHC)分子に結合した抗原を認識するのに一般に関与する、T細胞(またはTリンパ球)の表面上に見いだされる分子を指す。TCRは、ほとんどのT細胞にて高度に可変性のα鎖とβ鎖(それぞれTCRα及びTCRβとしても知られる)のジスルフィド結合したヘテロ二量体を有する。T細胞の小さなサブセットでは、TCRは可変γ鎖及びδ鎖(それぞれTCRγ及びTCRδとしても知られる)のヘテロ二量体で構成される。TCRの各鎖は免疫グロブリンスーパーファミリーのメンバーであり、N末端免疫グロブリン可変ドメインを1つと、免疫グロブリン定常ドメインを1つと、膜貫通領域と、C末端に短い細胞質尾部を持つ(Janeway,et al.,1997,Immunobiology:The Immune System in Health and Disease,3rd Ed.,Current Biology Publications,p.4:33を参照のこと)。TCRは、ヒト、マウス、ラット、ネコ、イヌ、ヤギ、ウマまたは他の哺乳類を含む種々の動物種に由来してもよい。TCRは細胞に結合した(すなわち、膜貫通の領域またはドメインを有する)形態であってもよいし、または可溶性の形態であってもよい。
【0087】
主要組織適合性複合体分子(MHC分子)は、ペプチド抗原を細胞表面に送達する糖タンパク質を指す。MHCクラスI分子は、膜貫通α鎖(3つのαドメインを持つ)と非共有結合したβ2ミクログロブリンから成るヘテロ二量体である。MHCクラスII分子は、2つの膜貫通糖タンパク質α及びβで構成され、双方とも膜を貫通する。各鎖は2つのドメインを有する。MHCクラスI分子は、細胞質ゾルを起源とするペプチドを細胞表面に送達し、その際、ペプチド:MHCの複合体はCD8+T細胞によって認識される。MHCクラスII分子は血管系を起源とするペプチドを細胞表面に送達し、その際、それらはCD4+T細胞によって認識される。MHC分子は、ヒト、マウス、ラット、または他の哺乳類を含む種々の動物種に由来してもよい。
【0088】
スペーサー領域はキメラ分子の結合ドメインの相互作用を円滑にするので、得られるポリペプチド構造は細胞マーカーとの特異的な結合親和性を維持する、またはシグナル伝達活性(たとえば、エフェクタードメインの活性)を維持する、または双方である。
【0089】
したがって、特定の実施形態では、スペーサー領域は、結合ドメインと発現されたキメラ分子の細胞内成分との間で見いだされる。特定の実施形態では、スペーサー領域は発現されたキメラ分子の細胞外成分の一部である。
【0090】
望ましくない細胞上の個々の細胞マーカーについてスペーサー領域の長さをカスタマイズして望ましくない細胞の認識及び破壊を最適化することができる。特定の実施形態では、スペーサー領域の長さは、細胞マーカーのエピトープの位置、エピトープに対する結合ドメインの親和性、及び/または分子を発現している操作された細胞の、細胞マーカーの認識に応答して試験管内で、生体内で及び/または生体外で増殖する能力に基づいて選択することができる。
【0091】
通常、スペーサー領域は、結合ドメインと発現されたキメラ分子の疎水性部分との間で見いだされる。スペーサー領域は結合ドメインの柔軟性を提供し、操作された細胞にて高い発現レベルを可能にすることができる。特定の実施形態では、スペーサー領域は、少なくとも10~250のアミノ酸、少なくとも10~200のアミノ酸、少なくとも10~150のアミノ酸、少なくとも10~100のアミノ酸、少なくとも10~50のアミノ酸、または少なくとも10~25のアミノ酸を有することができる。さらなる実施形態では、スペーサー領域は、250以下のアミノ酸;200以下のアミノ酸、150以下のアミノ酸;100以下のアミノ酸;50以下のアミノ酸;40以下のアミノ酸;30以下のアミノ酸;20以下のアミノ酸;または10以下のアミノ酸を有する。
【0092】
特定の実施形態では、スペーサー領域は、免疫グロブリン様分子のヒンジ領域、たとえば、ヒトのIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4に由来するヒンジ領域の全部または一部を含むことができ、またはそれに由来することができる。ヒンジ領域を操作して、たとえば、二量体化のような望ましくない構造的な相互作用を回避することができる。特定の実施形態では、ヒンジ領域の全部または一部を免疫グロブリンの定常領域の1以上のドメインと組み合わせることができる。たとえば、ヒンジ領域の一部をCH2またはCH3のドメインの全部または一部と組み合わせることができる。特定の実施形態では、スペーサー領域は、CD8αに由来する47~48アミノ酸のヒンジ領域配列を含まない。
【0093】
特定の実施形態では、スペーサー領域は、CH2領域の全部もしくは一部;CH3領域の全部もしくは一部;またはCH2領域の全部もしくは一部とCH3領域の全部もしくは一部との組み合わせでIgG1、IgG2、IgG3またはIgG4に由来するヒンジ領域配列を含む群から選択される。
【0094】
特定の実施形態では、短いスペーサー領域は12以下のアミノ酸を有し、IgG4のヒンジ領域配列(たとえば、配列番号50によってコードされるタンパク質)の全部または一部を含み、中間のスペーサー領域は119以下のアミノ酸を有し、IgG4のヒンジ領域配列とCH3領域(たとえば、配列番号52)の全部または一部を含み、長いスペーサー領域は229以下のアミノ酸を有し、IgG4のヒンジ領域配列とCH2領域とCH3領域(たとえば、配列番号50)の全部または一部を含む。
【0095】
特定の実施形態では、結合ドメインが望ましくない細胞の膜の極めて近傍にある細胞マーカーの一部に結合する場合、長いスペーサー(たとえば、229以下のアミノ酸で且つ119を超えるアミノ酸)が選択される。望ましくない細胞の膜の極めて近傍は、細胞マーカーの最初の100の細胞外アミノ酸の範囲内を意味する。
【0096】
特定の実施形態では、結合ドメインが望ましくない細胞の膜に対して遠位にある細胞マーカーの一部に結合する場合、中間のまたは短いスペーサーが選択される(たとえば、119以下のアミノ酸または12以下のアミノ酸)。
【0097】
細胞マーカーの結合部分が膜に対して近傍にあるか、または遠位であるかは、三次元構造をモデル化することによって、または結晶構造の解析に基づいて決定することもできる。
【0098】
特定の実施形態では、発現されたキメラ分子は、Ig/Frizzledドメインに対して遠位である膜に位置するROR1エピトープに結合するscFvを含む結合ドメインと15以下のアミノ酸であるスペーサーとを含む。特定の実施形態では、発現されたキメラ分子は、Kringleドメインに対して近傍である膜に位置するROR1エピトープを結合するscFvを含む結合ドメインと15アミノ酸より長いスペーサーとを含む。特定の実施形態では、発現されたキメラ分子は、CD19を結合するscFvを含む結合ドメインと15以下のアミノ酸であるスペーサーとを含む。
【0099】
特定の実施形態では、結合ドメインが、(i)RASQDISKYLN(配列番号108)のCDRL1配列とSRLHSGV(配列番号111)のCDRL2配列とGNTLPYTFG(配列番号104)のCDRL3配列とを含む可変軽鎖及びDYGVS(配列番号:103)のCDRH1配列とVTWGSETTYYNSALKS(配列番号114)のCDRH2配列とYAMDYWG(配列番号115)のCDRH3配列とを含む可変重鎖を、または(ii)ASGFDFSAYYM(配列番号101)のCDRL1配列とTIYPSSG(配列番号112)のCDRL2配列とADRATYFCA(配列番号100)のCDRL3配列とを含む可変軽鎖及びDTIDWY(配列番号102)のCDRH1配列とVQSDGSYTKRPGVPDR(配列番号113)のCDRH2配列とYIGGYVFG(配列番号117)のCDRH3配列とを含む可変重鎖を含む場合、スペーサーは12以下のアミノ酸であることができ、さらに特定の実施形態では、配列番号47を含むことができる。
【0100】
特定の実施形態では、結合ドメインが、(i)SGSDINDYPIS(配列番号109)のCDRL1配列とINSGGST(配列番号105)のCDRL2配列とYFCARGYS(配列番号116)CDRL3配列とを含む可変軽鎖及びSNLAW(配列番号110)のCDRH1配列とRASNLASGVPSRFSGS(配列番号107)のCDRH2配列とNVSYRTSF(配列番号106)のCDRH3配列とを含む可変重鎖を、または(ii)ハーセプチン抗体のCDRL1の配列とCDRL2の配列とCDRL3の配列とを含む可変軽鎖及びハーセプチン抗体のCDRH1の配列とCDRH2の配列とCDRH3の配列とを含む可変重鎖を含む場合、スペーサーは229以下のアミノ酸であることができ、さらに特定の実施形態では、配列番号61を含むことができる。
【0101】
特定の実施形態では、「ヒンジ領域」または「ヒンジ」は、(a)免疫グロブリンのヒンジ配列(たとえば、上部及びコアの領域で構成される)もしくはその機能的断片もしくはその変異体、(b)II型C-レクチンのドメイン間(ストーク)領域もしくはその機能的断片もしくはその変異体、または(c)分化抗原群(CD)分子のストーク領域もしくはその機能的変異体を指す。「野生型の免疫グロブリンのヒンジ配列」は、抗体の重鎖で見いだされるCH1ドメインとCH2ドメインとの間に入れられ、それらを接続する(たとえば、IgG、IgA及びIgDについて)、またはCH1ドメインとCH3ドメインとの間に入れられ、それらを接続する(たとえば、IgE及びIgMについて)天然に存在する上部及び中部のヒンジのアミノ酸配列を指す。特定の実施形態では、ヒンジ領域はヒトであり、特定の実施形態では、ヒトIgGのヒンジ領域を含む。
【0102】
II型C-レクチンまたはCD分子の「ストーク領域」は、C型レクチン様ドメイン(CTLD、たとえば、ナチュラルキラー細胞受容体のCTLDに類似する)と疎水性部分(たとえば、膜貫通ドメイン)との間に位置するII型C-レクチンまたはCD分子の細胞外ドメインの部分を指す。たとえば、ヒトCD94(GenBank受入番号AAC50291.1)の細胞外ドメインはアミノ酸残基34~179に相当するが、CTLDはアミノ酸残基61~176に相当するので、ヒトCD94分子のストーク領域はアミノ酸残基34~60を含み、それは疎水性部分(たとえば、膜貫通ドメイン)とCTLDとの間に位置する(Boyington,et al.,1999,Immunity10:75を参照のこと;他のストーク領域の記載については、Beavil,et al.,1992,Proc.Nat’l.Acad.Sci.USA,89:753;及びFigdor,et al.,2002,Nat.Rev.Immunol.2:77も参照のこと)。これらII型C-レクチンまたはCD分子は、ストーク領域と膜貫通領域またはCTLDとの間で接合アミノ酸も有してもよい。別の例では、233アミノ酸のヒトNKG2Aタンパク質(GenBank受入番号P26715.1)はアミノ酸71~93の範囲での疎水性部分(たとえば、膜貫通ドメイン)及びアミノ酸94~233の範囲での細胞外ドメインを有する。CTLDはアミノ酸119~231を含み、ストーク領域はアミノ酸99~116を含み、それは追加の接合アミノ酸が隣接してもよい。他のII型C-レクチンまたはCD分子は、その細胞外結合ドメイン、ストーク領域、及びCTLDと同様に当該技術で既知である(たとえば、ヒトCD23、CD69、CD72、NKG2A及びNKG2Dの配列及びそれらの説明についてはそれぞれGenBank受入番号NP_001993.2;AAH07037.1;NP_001773.1;AAL65234.1;CAA04925.1を参照のこと)。
【0103】
II型C-レクチンまたはCD分子のストーク領域ヒンジまたはその断片の「誘導体」は、野生型のII型C-レクチンまたはCD分子のストーク領域の1、2、または3のアミノ酸が欠失、挿入、置換またはそれらの組み合わせを有する8~150のアミノ酸の配列を含む。たとえば、誘導体は1以上のアミノ酸の置換及び/またはアミノ酸の欠失を含むことができる。特定の実施形態では、たとえば、NKG2A、NKG2D、CD23、CD64、CD72、またはCD94の8~20アミノ酸に由来するもののようなストーク領域の誘導体は、野生型のストーク領域の配列に比べてタンパク分解性切断にさらに耐性である。
【0104】
特定の実施形態では、ストーク領域ヒンジは7~18のアミノ酸を含んでもよく、αらせんのコイル状にしたコイル構造を形成することができる。特定の実施形態では、ストーク領域ヒンジは0、1、2、3、または4つのシステインを含有する。例となるストーク領域ヒンジには、たとえば、CD69、CD72、CD94、NKG2A及びNKG2Dのストーク領域に由来する10~150のアミノ酸を含む部分のようなストーク領域の断片が挙げられる。
【0105】
キメラ分子で使用することができる代わりのヒンジは、免疫グロブリンV様ドメインまたは免疫グロブリンC様ドメインを接続する細胞表面受容体(ドメイン間領域)の部分に由来する。細胞表面受容体が複数のIgV様ドメインを直列に含有するIgV様ドメイン間の領域及び細胞表面受容体が複数の直列のIgC様領域を含有するIgC様ドメイン間の領域もキメラ分子にて有用なヒンジとして熟考される。特定の実施形態では、細胞表面受容体のドメイン間領域を含むヒンジ配列はさらに、天然に存在するまたは付加されるモチーフ、たとえば、IgGのコアヒンジ配列を含有して1以上のジスルフィド結合を提供し、キメラ分子の二量体形成を安定化する。ヒンジの追加の例には、CD2、CD4、CD22、CD33、CD48、CD58、CD66、CD80、CD86、CD150、CD166、及びCD244のIgV様領域とIgC様領域の間でのドメイン間領域が挙げられる。
【0106】
特定の実施形態では、ヒンジ配列は、5~150のアミノ酸、5~10のアミノ酸、10~20のアミノ酸、20~30のアミノ酸、30~40のアミノ酸、40~50のアミノ酸、50~60のアミノ酸、5~60のアミノ酸、5~40のアミノ酸、たとえば、8~20のアミノ酸または10~15のアミノ酸を含む。ヒンジは主として柔軟性であってもよいが、さらに剛性の特徴を提供してもよく、最小限のβシートを伴ったαらせん構造を主として含有してもよい。
【0107】
特定の実施形態では、ヒンジ配列は血漿及び血清にて安定であり、タンパク分解性の切断に耐性である。たとえば、IgG1の上部ヒンジ領域における最初のリジンを変異させ、または欠失させてタンパク分解性の切断を出来るだけ抑えてもよく、ヒンジは接合アミノ酸を含んでもよい。一部の実施形態では、ヒンジ配列は、たとえば、1つのジスルフィド結合または複数のジスルフィド結合を形成して二量体形成を安定化する能力を付与する免疫グロブリンのヒンジコア構造CPPCP(配列番号125)のような天然に存在するまたは付加されるモチーフを含有してもよい。
【0108】
「リンカー配列」は、2~500までのアミノ酸を有するアミノ酸配列であることができ、それは、リンカーによって接続された2つの領域、ドメイン、モチーフ、カセットまたはモジュールの間での立体的な動きのための柔軟性及び空間を提供することができる。例となるリンカー配列には、GlyxSeryの1~10の反復を有するものが挙げられ、その際、x及びyは、それら双方ともが0になることはないという条件で独立して0~10の整数である(たとえば、(Gly4Ser)2(配列番号122)、(Gly3Ser)2(配列番号123)、Gly2Ser、または(Gly3Ser)2Gly2Ser)(配列番号124)のようなそれらの組み合わせ)。特定の他の実施形態では、リンカー配列は、たとえば、CH3のみまたはCH2CH3の配列のような1以上の免疫グロブリン重鎖定常領域を含むことができる。
【0109】
リンカー配列は接合アミノ酸を提供することが多い。接合アミノ酸は、ポリペプチドの2つの隣接したモチーフ、領域またはドメインの間での、たとえば、結合ドメインと疎水性部分と隣接するエフェクタードメインの間での、または2つのモチーフ、領域またはドメインを連結するリンカー領域の一方の末端もしくは双方の末端における1以上の(たとえば、2~20)アミノ酸残基を指す(たとえば、リンカーと隣接する結合ドメインとの間及び/またはリンカーと隣接するヒンジとの間)。接合アミノ酸は融合タンパク質の構築物の設計から生じてもよい(たとえば、融合タンパク質をコードする核酸分子の構築の間に制限酵素部位の使用から生じるアミノ酸残基)。たとえば、単一の接合アミノ酸であるアスパラギンは、配列番号58によって示される核酸配列によってコードされるキメラ分子における分泌シグナル配列(配列番号126)をコードする核酸配列とタグカセット(配列番号127)をコードする配列との間で見いだされるAATコドンによってコードされる。同様に、アスパラギン(N)接合アミノ酸は、配列番号130で示されるアミノ酸配列を有するキメラ分子にて見いだされるGGSGSG(配列番号129)の柔軟なリンカーのアミノ酸配列とWSHPQFEK(配列番号118)のアミノ酸タグ配列との間で見いだされる。
【0110】
特定の実施形態では、細胞外成分はヒンジと1以上のリンカー配列とを含むことができ、または細胞外成分はヒンジと1以上のリンカー配列と1以上のタグカセットとを含むことができる。
【0111】
キメラ分子の構造内では、タグカセットは、(a)スペーサー領域へのアミノ末端にすぐ接して位置してもよく、(b)リンカー配列間に及びそれを接続して置かれてもよく、(c)結合ドメインに対するC末端にすぐ接して位置してもよく、(d)結合ドメイン(たとえば、scFv)とエフェクタードメインの間に及びエフェクタードメインに結合ドメインを接続して置かれてもよく、(e)結合ドメインのサブセット間に及びそれを接続して置かれてもよく、または(f)キメラ分子のアミノ末端に位置してもよい。特定の実施形態では、1以上の接合アミノ酸は、タグカセットと疎水性部分の間及びそれらを接続して配置されてもよく、またはタグカセットとスペーサー領域の間に及びそれらを接続して配置されてもよく、またはタグカセットとリンカー配列の間に及びそれらを接続して配置されてもよく、またはタグカセットと結合ドメインの間及びそれらを接続して配置されてもよい。
【0112】
さらなる実施形態では、2以上の第1のタグカセットはキメラ分子の異なる領域に位置してもよい。特定の実施形態では、第1のタグカセットは、1以上のスペーサー領域を含むコネクター領域に位置し、第2のタグカセットは、キメラ分子のアミノ末端またはカルボキシ末端またはその双方に位置する(たとえば、
図38Hを参照のこと)。
【0113】
特定の実施形態では、タグカセットは、本開示の融合タンパク質の1以上のスペーサー領域を含むコネクター領域の中に位置する。特定の実施形態では、細胞外成分はタグカセットに隣接するリンカー配列を含むことができ、その際、タグカセットを伴ったリンカー配列は、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号139)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号140)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号141)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号142)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号143)、またはTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号144)のアミノ酸配列を有する。
【0114】
キメラ分子の融合タンパク質の実施形態では、融合タンパク質と同族結合分子との間でタンパク質複合体が生じることができ、それはタグカセットと同族結合分子との間での結合の結果である。特定の実施形態では、キメラ分子はタグカセットが可変領域リンカーの中(結合ドメインのサブユニット間)に位置するscFvまたはscTCR結合ドメインを含む。特定の実施形態では、キメラ分子は、結合ドメインのアミノ末端に位置するタグカセットを有する。そのようなタンパク質複合体または融合タンパク質の構造では、キメラ分子の結合ドメインはその細胞マーカーの特異性またはその特異的な細胞マーカーの結合親和性を保持するであろう。
【0115】
「可変領域リンカー」は具体的には、重鎖免疫グロブリン可変領域を軽鎖免疫グロブリン可変領域に接続する、またはT細胞受容体Vα/β鎖とCα/β鎖を接続する(たとえば、Vα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβ)、または各Vα-Cα、Vβ-Cβ、Vα-Vβの対をヒンジ又は疎水性部分に接続する5~35のアミノ酸の配列を指し、それは、得られる単鎖ポリペプチドが抗体またはT細胞受容体と同じ細胞マーカーに対して特異的な結合親和性を保持するように、2つのサブ結合ドメインの相互作用に十分なスペーサー機能及び柔軟性を提供する。特定の実施形態では、可変領域リンカーは10~30のアミノ酸または15~25のアミノ酸を含む。特定の実施形態では、可変領域リンカーペプチドはGlyxSeryの1~10の反復を含み、その際、x及びyは、それら双方ともが0になることはないという条件で独立して0~10の整数であり(たとえば、Gly4Ser(配列番号145)、Gly3Ser(配列番号146)、Gly2Ser、または(Gly3Ser)n(Gly4Ser)1(配列番号147)、(Gly3Ser)n(Gly2Ser)n(配列番号148)、(Gly3Ser)n(Gly4Ser)n(配列番号147)、または(Gly4Ser)n(配列番号145))、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、または10の整数であり、連結された可変領域は機能的な免疫グロブリン様の結合ドメイン(たとえば、scFv、scTCR)を形成する。例となる可変領域リンカーには、配列番号30、129、149~152、及び146~148、及び(Gly4Ser)n(配列番号145)で示されるそれらのアミノ酸配列が挙げられ、その際、nは、配列番号150で示されるアミノ酸配列を有するキメラ分子にて見いだされるように3である。
【0116】
疎水性部分(たとえば、膜貫通ドメイン)。「疎水性部分」は、細胞膜にて熱力学的に安定であり、一般に15アミノ酸から30アミノ酸の長さの範囲である三次元構造を有するアミノ酸配列を意味する。疎水性部分の構造はアルファらせん、ベータバレル、ベータシート、ベータらせん、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。疎水性部分は膜貫通ドメインであることができ、逆もまた同様である。
【0117】
キメラ分子に含有される疎水性部分は、融合タンパク質の一部が細胞外に位置する(たとえば、タグカセット、コネクタードメイン、結合ドメイン)、且つ一部が細胞内に位置する(たとえば、エフェクタードメイン)ように融合タンパク質が細胞膜と会合するようにするであろう。疎水性部分は一般に細胞膜のリン脂質二重層の中に配置されるであろう。特定の実施形態では、1以上の接合アミノ酸は、疎水性部分とエフェクタードメインの間に及び疎水性部分をエフェクタードメインに接続して配置されてもよく、または疎水性部分と細胞外成分の一部の間に及び疎水性部分を細胞外成分の一部に接続して配置されてもよく、または疎水性部分とタグカセットの間に及び疎水性部分をタグカセットに接続して配置されてもよい。
【0118】
特定の実施形態では、疎水性部分は膜貫通ドメインである。
【0119】
したがって、本明細書で開示されている発現されたキメラ分子は膜貫通ドメインを含むこともでき、少なくともその一部は細胞外成分と細胞内成分の間に位置する。膜貫通ドメインは操作された細胞の膜にて発現されたキメラ分子を係留することができる。膜貫通ドメインは天然の供給源及び/または合成の供給源のいずれかに由来することができる。供給源が天然である場合、膜貫通ドメインは膜に結合したタンパク質または膜貫通タンパク質に由来することができる。特定の例は、内在性膜タンパク質(たとえば、受容体、分化抗原群(CD)の分子、酵素、トランスポータ、細胞接着分子等)に由来することができる。膜貫通ドメインは、T細胞受容体のアルファ鎖、ベータ鎖またはゼータ鎖、CD8、CD27、CD28、CD3、CD45、CD4、CD5、CD9、CD16、CD22;CD33、CD37、CD64、CD80、CD86、CD134、CD137及びCD154の少なくとも膜貫通領域(複数可)を含むことができる。膜貫通ドメインには
図2または
図6で示されたものを挙げることができる。
【0120】
特定の実施形態では、膜貫通ドメインは
図2で示されるようなCD28の膜貫通ドメインのアミノ酸配列、またはCD4の膜貫通ドメインのアミノ酸配列を含む。CD28の膜貫通ドメインをコードする代表的な遺伝子配列は
図1に示される(配列番号12)。配列番号118はCD4の膜貫通ドメインをコードする代表的な遺伝子配列である。
【0121】
細胞内成分。発現されたキメラ分子の細胞内成分はエフェクタードメインを含むことができる。エフェクタードメインは、機能的なシグナルを細胞に伝達することができる。特定の実施形態では、エフェクタードメインは、細胞性の応答を直接促進し、または細胞性の応答を直接促進する1以上の他のタンパク質と会合することによって間接的に促進するであろう。エフェクタードメインは、望ましくない細胞上で発現された細胞マーカーに結合する際、操作された細胞の少なくとも1つの機能の活性化を提供することができる。操作された細胞の活性化には、分化、増殖及び/または他のエフェクター機能の活性化の1以上を挙げることができる。
【0122】
エフェクタードメインには、1、2、3以上の受容体シグナル伝達ドメイン、細胞内シグナル伝達ドメイン(たとえば、細胞質シグナル伝達配列)、共刺激ドメインまたはそれらの組み合わせを挙げることができる。例となるエフェクタードメインには、4-1BB、CARD11、CD3ガンマ、CD3デルタ、CD3イプシロン、CD3ζ、CD27、CD28、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LRP、NKG2D、NOTCH1、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、Zap70、またはそれらの組み合わせから選択されるシグナル伝達ドメイン及び刺激ドメインが挙げられる。
【0123】
刺激方式で作用する一次細胞質シグナル伝達配列は、受容体チロシンに基づく活性化のモチーフまたはiTAMとして知られるシグナル伝達モチーフを含有してもよい。iTAMを含有する一次細胞質シグナル伝達配列には、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD5、CD22、CD66d、CD79a、CD79b、及びFeRガンマに由来するものが挙げられる。特定の実施形態では、CD3ζの変異体は
図7で示されるような少なくとも1、2、3またはすべてのiTAM領域を保持する。
【0124】
特定の実施形態では、エフェクタードメインには細胞質シグナル伝達タンパク質と会合する細胞質部分が含まれ、その際、細胞質シグナル伝達タンパク質は、リンパ球の受容体もしくはそのシグナル伝達ドメイン、複数のiTAMを含むタンパク質、共刺激ドメイン、またはそれらの組み合わせである。
【0125】
細胞内シグナル伝達ドメインの例には、CD3ζ鎖、及び/または結合ドメインの結合に続いてシグナル伝達を開始するように協調して作用する共受容体の細胞質配列が含まれる。
【0126】
特定の実施形態では、操作された細胞によって発現させた分子の細胞内シグナル伝達ドメインは、他の所望の細胞質ドメイン(複数可)と組み合わせられた細胞内シグナル伝達ドメインを含むように設計することができる。たとえば、分子の細胞内シグナル伝達ドメインは細胞内シグナル伝達ドメインと、たとえば、共刺激シグナル伝達領域のような共刺激ドメインとを含むことができる。
【0127】
共刺激シグナル伝達領域は、共刺激ドメインの細胞内ドメインを含む分子の一部を指す。共刺激ドメインは、細胞マーカーの結合に対するリンパ球の応答に必要とされ得る発現された細胞マーカー結合ドメイン以外の細胞表面分子である。そのような分子の例には、CD27、CD28、4-1BB(CD137)、OX40、CD30、CD40、リンパ球機能関連抗原-1(LFA-1)、CD2、CD7、LIGHT、NKG2C、B7-H3、及びCD83と特異的に結合するリガンドが挙げられる。
【0128】
特定の実施形態では、
図2で提供されているようなCD3ζの変異体及び4-1BB細胞内シグナル伝達ドメインの一部を含む細胞内シグナル伝達ドメインのアミノ酸配列。代表的な遺伝子配列は
図1にて提供されている(配列番号16、配列番号1)。
【0129】
特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインには、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部または一部、(ii)CD28のシグナル伝達ドメインの全部または一部、(iii)4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部または一部、(iv)CD3ζ、CD28及び/または4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部または一部が挙げられる。
【0130】
本開示のキメラ分子にて有用な追加の例となるエフェクタードメインは、Wntシグナル伝達経路(たとえば、LRP、Ryk、ROR2)、NOTCHシグナル伝達経路(たとえば、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4)、Hedgehogシグナル伝達経路(たとえば、PTCH、SMO)、受容体チロシンキナーゼ(RTKs)(たとえば、表皮増殖因子(EGF)受容体ファミリー、線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体ファミリー、肝細胞増殖因子(HGF)受容体ファミリー、インスリン受容体(IR)ファミリー、血小板由来増殖因子(PDGF)受容体ファミリー、血管内皮増殖因子(VEGF)受容体ファミリー、トロポマイシン受容体キナーゼ(Trk)受容体ファミリー、エフリン(Eph)受容体ファミリー、AXL受容体ファミリー、白血球チロシンキナーゼ(LTK)受容体ファミリー、免疫グロブリン様及びEGF様ドメイン1(TIE)受容体ファミリーを伴ったチロシンキナーゼ、受容体チロシンキナーゼ様オーファン(ROR)受容体ファミリー、ジスコイジンドメイン(DDR)受容体ファミリー、形質移入の間に再構成された(RET)受容体ファミリー、チロシン-タンパク質キナーゼ-様(PTK7)受容体ファミリー、受容体チロシンキナーゼ(RYK)受容体ファミリーに関連した、筋肉特異的キナーゼ(MuSK)受容体ファミリー);G-タンパク質共役受容体、GPCRs(Frizzled、Smoothened);セリン/スレオニンキナーゼ受容体(BMPR、TGFR);またはサイトカイン受容体(IL1R、IL2R、IL7R、IL15R)のタンパク質に由来してもよい。
【0131】
発現されたキメラ分子の細胞内シグナル伝達ドメインの配列は無作為なまたは特定された順序で互いに連結することができる。任意で、好ましくは長さ2~10アミノ酸の間での短いオリゴリンカーまたはタンパク質リンカーが結合を形成してもよい。
【0132】
したがって、キメラ分子に含有されるエフェクタードメインは、細胞内成分であり、細胞に機能的なシグナルを伝達することができる。特定の実施形態では、単鎖キメラ分子は第2の単鎖キメラ分子とそれぞれ二量体化するであろうが、その際、二量体化は、エフェクタードメインを含む細胞内成分が非常に近接し、適切なシグナルに曝露するとシグナル伝達を促進するようにする。示されるように、そのような二量体タンパク質の複合体を形成することに加えて、エフェクタードメインはさらに、共刺激因子のような他のシグナル伝達因子と会合して細胞内シグナルを生じる多重タンパク質の複合体を形成してもよい。特定の実施形態では、エフェクタードメインは細胞性の応答を直接促進する1以上の他のタンパク質と会合することによって細胞性の応答を間接的に促進するであろう。エフェクタードメインには、1、2、3以上の受容体シグナル伝達ドメイン、共刺激ドメイン、またはそれらの組み合わせが挙げられてもよい。種々のシグナル伝達分子(たとえば、シグナル伝達受容体)に由来するエフェクタードメイン、共刺激ドメインまたはその双方を含む細胞内成分は本開示の融合タンパク質で使用されてもよい。
【0133】
操作された細胞によって発現される特定の分子の設計は、タグカセット、標的とされる細胞マーカー、細胞マーカーに対する結合ドメインの親和性、細胞マーカー結合ドメインに必要とされる柔軟性、及び/または細胞内シグナル伝達ドメインの種類に応じてカスタマイズすることができる。特定の実施形態では、多数の構築物を試験管内及び生体内のモデルで調べて操作された細胞の培養で増殖する及び/または望ましくない細胞を殺傷する能力を判定する。特定の実施形態では、試験管内で少なくとも2世代をとおして増殖する及び/または生体内での導入後72時間以内に増殖する操作されたエフェクター(たとえば、分化した操作されたHSPC)の少なくとも30%の能力を提供する分子が選択される。特定の実施形態では、免疫欠損マウスにて生体内で72時間以内に活性化が誘導した細胞死(AICD)を受ける細胞が50%を超える、及び腫瘍細胞の存在を減らすことができない分子は選択されない。
【0134】
以下の開示は、発現されたキメラ分子及び関連するベクターのさらに詳細な例を提供する。
【0135】
「キメラ抗原受容体」または「CAR」は、エフェクタードメインに連結される望ましくない細胞に優先的に関連する細胞マーカーに結合する結合ドメインを含む合成で設計された受容体を指す。結合ドメインとエフェクタードメインは、スペーサードメイン、膜貫通ドメイン、タグカセット及び/またはリンカー配列を介して連結することができる。
【0136】
特定の実施形態では、2A2、R12、及びR11のmAhs(ROR1)ならびにFMC63のmAb(CD19)のVL鎖とVH鎖のセグメントを用いてROR1に特異的なCAR及びCD19に特異的なCARを構築することができる。R11及びR12の可変領域の配列は、Yang,et al,Plos One,6(6):e21018,June,15,2011にて提供されている。「ヒンジ-CH2-CH3」(229AA、配列番号61)、「ヒンジ-CH3」(119AA、配列番号52)または「ヒンジ」のみ(12AA、配列番号47)の配列のいずれかを含むIgG4-Fc(Uniprotデータベース:P0186l、配列番号92)に由来するスペーサードメインに各scFvを(Gly
4Ser)
3(配列番号60)タンパク質によって連結することができる。(
図1)。スペーサーはすべて、ネイティブのIgG4-Fcタンパク質の108位に位置する「ヒンジ」ドメイン内でS→Pの置換を含有することができ、ヒトCD28(Uniprot:P10747、配列番号93)の27AAの膜貫通ドメインに連結することができ、且つ(i)ネイティブCD28タンパク質(配列番号93)の186~187位に位置するLL→GGの置換を伴うヒトCD28の41AAの細胞質ドメイン、または(ii)ヒト4-1BB(Uniprot;Q07011、配列番号95)の42AAの細胞質ドメインのいずれかを含むエフェクタードメインのシグナル伝達モジュールに連結することができ、そのそれぞれはヒトCD3ζ(Uniprot:P20963、配列番号94)のアイソフォーム3の112AAの細胞質ドメインに連結することができる。構築物は、T2Aリボソームスキップ要素(配列番号88)とキメラ受容体の下流のtEGFR配列(配列番号27)をコードする。tEGFRは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。各導入遺伝子をコードし、コドンが最適化された遺伝子配列は合成することができ(Life Technologies)、NheI及びNot1制限部位を用いてepHIV7レンチウイルスベクターにクローニングすることができる。epHIV7レンチウイルスベクターは、pHIV7のサイトメガロウイルスプロモータをEF-1プロモータで置き換えることによってpHIV7ベクターに由来することができる。ROR1キメラ受容体、CD19キメラ受容体、tEGFRまたはタグカセットをコードするレンチウイルスは、パッケージングベクターpCHGP-2、pCMV-Rev2及びpCMV-G、ならびにCALPHOS(登録商標)形質移入試薬(Clontech)を用いて293T細胞にて産生され得る。
【0137】
HER2に特異的なキメラ受容体は、HER2上の膜近傍のエピトープを認識するHER2に特異的なmAbのVL鎖及びVH鎖のセグメントを用いて構築することができ(
図12A)、scFvはIgG4ヒンジ/CH2/CH3、IgG4ヒンジ/CH3、及びIgG4ヒンジのみの細胞外スペーサードメインに、ならびにCD28の膜貫通ドメイン、4-1BB及びCD3ζのシグナル伝達ドメインに連結することができる(
図12B)。
【0138】
示されるように、各CD19のキメラ受容体は、CD19に特異的なmAbであるFMC63(scFv:VL-VH)の配列に相当する単鎖可変断片と、「ヒンジ-CH2-CH3」ドメイン(229AA、長いスペーサー)または「ヒンジ」のみ(12AA、短いスペーサー)のいずれかを含むIgG4-Fcに由来するスペーサーと、膜近傍のCD28または4-1BBの共刺激ドメインを伴ったCD3ζのシグナル伝達モジュールとを単独でまたは直列で含むことができる(
図13A)。導入遺伝子のカセットはキメラ受容体遺伝子から下流で短縮型EGFR(tEGFR)を含むことができ、切断可能なT2A要素によって分離されて、キメラ受容体で操作される細胞についての形質導入、選択、及び生体内での追跡のためにタグ配列として役立つことができる。tEGFRは、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【0139】
特定の実施形態は、疎水性部分によって接続された細胞外成分と細胞内シグナルとを含むキメラ分子を発現している操作された細胞(たとえば、操作されたHSPCまたは操作された非Tエフェクター細胞)を含み、その際、細胞外成分は、細胞マーカー、タグカセット、及びヒンジを含むスペーサー領域を特異的に結合する結合ドメインを含み、細胞内成分はエフェクタードメインを含む。
【0140】
特定の実施形態は、(a)細胞外結合ドメインのアミノ末端に位置する、(b)細胞外結合ドメイン内に埋め込まれた、または(c)細胞外結合ドメインとエフェクタードメインを含む細胞内成分との間に及びそれらを接続して配置される1以上の細胞外タグカセットを有する融合タンパク質を含むキメラ抗原受容体分子を発現している操作された細胞を含む。
【0141】
特定の実施形態は、細胞外成分と細胞内成分との間に及びそれらを接続して配置される疎水性部分を含むキメラ分子を発現している操作されたHSPCを含み、その際、細胞外成分はタグカセットとヒンジを含むスペーサー領域とを含み、細胞内成分はエフェクタードメインを含む。
【0142】
特定の実施形態は、細胞によって発現されるタグカセットに対して特異的なExoCBM分子に細胞を接触させることを含む操作された細胞、たとえば、操作されたHSPC細胞を標的とする(たとえば、特定、単離、増殖のために)方法を含み、その際、細胞は、タグカセットを発現する融合タンパク質をコードする核酸分子を含み、タグカセットに特異的なExoCBMは、固体表面に連結される。
【0143】
特定の実施形態は、(i)細胞によって発現されるタグカセットに特異的なExoCBMと、(ii)増殖因子サイトカインが細胞を増殖させるのに十分な時間、細胞に接触させることを含む、操作された細胞の増殖、たとえば、操作されたHSPCの増殖を促進する方法を含み、その際、細胞はタグカセットを含む核酸分子を含み、タグカセットに特異的なExoCBMは、固体表面に連結される。
【0144】
特定の実施形態は、タグカセットに特異的なExoCBMが検出可能部分を含む、操作された細胞によって発現されるタグカセットに対して特異的なExoCBMに操作された細胞を含む試料を接触させることと、操作された細胞の存在を検出することとを含む、操作された細胞、たとえば、操作されたHSPCを検出する方法を含む。
【0145】
特定の実施形態は、タグカセットに特異的なExoCBMが検出可能部分を含む、操作された細胞によって発現されるタグカセットに対して特異的なExoCBMに操作された細胞を含む試料を接触させることと、試料にてタグカセットを発現していない他の細胞から操作された細胞を選別することとを含む、操作された細胞を選別する方法を含む。
【0146】
特定の実施形態は、タグカセットに特異的なExoCBMが検出可能部分を含む、操作された細胞によって発現されるタグカセットに対して特異的なExoCBMに操作された細胞を含む試料を接触させることと、試料にてタグカセットを発現していない他の細胞からタグカセットを発現している操作された細胞を濃縮するまたは単離することとを含む、操作された細胞を濃縮するまたは単離する方法を含む。
【0147】
特定の態様では、本開示は、疎水性部分によって接続された細胞外成分と細胞内成分とを含む、キメラ分子と呼ばれる単鎖融合タンパク質を提供し、その際、細胞外成分はタグカセットとヒンジを含むスペーサー領域とを含み、細胞内成分はエフェクタードメインを含む。特定の実施形態では、コネクター領域はさらにリンカー配列を含み、または1以上のタグカセットはコレクター領域内に位置する。特定の他の実施形態では、1以上のタグカセットはリンカー配列によってコネクター領域に連結される。コネクター配列は一般に細胞外成分の1を超える部分を含む(たとえば、スペーサー領域とリンカー配列;リンカー配列と接合アミノ酸)。
【0148】
さらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質は、アミノ末端からカルボキシ末端までにて、タグカセットと、ヒンジを含むコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む(たとえば、
図38A及び38Bを参照のこと)。その上さらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、第1のコネクター領域と、タグカセットと、ヒンジを含む第2のコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む。一層さらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、第1のタグカセットと、第1のコネクター領域と、第2のタグカセットと、ヒンジを含む第2のコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む(たとえば、
図38Cを参照のこと)。さらにさらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、第1のタグカセットと、第1のコネクター領域と、第2のタグカセットと、第2のコネクター領域と、第3のタグカセットと、ヒンジを含む第3のコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む(たとえば、
図38Dを参照のこと)。
【0149】
特定の他のキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はさらに、非共有結合した結合ドメイン、たとえば、タグカセットに会合した結合ドメイン(すなわち、多重鎖キメラ分子)を含む。さらに他のキメラ分子の実施形態では、非共有結合した結合ドメインは二重特異性であり、その際、第1の結合末端はタグカセットに特異的であり、第2の結合末端はタグカセット以外の細胞マーカーに特異的であり、または第1と第2の結合末端は双方ともタグカセットに対して特異的である。さらに他のキメラ分子の実施形態では、非共有結合した結合ドメインは多重特異性であり、その際、第1の結合末端はタグカセットに結合し、第2の末端はタグカセット以外の1以上の細胞マーカーに特異的である。そのような実施形態では、キメラ分子は多量体タンパク質を含む。一部の実施形態では、1以上の非共有結合した結合ドメインを含むそのようなキメラ分子はヘテロ多量体を含む。
【0150】
他の態様では、本開示は、疎水性部分によって接続された細胞外成分と細胞内成分とを含む単鎖融合キメラ分子を提供し、その際、細胞外成分は、細胞マーカーを特異的に結合する結合ドメインと、タグカセットと、ヒンジを含むコネクター領域とを含み、細胞内成分はエフェクタードメインを含む。特定の実施形態では、キメラ分子の結合ドメインは、scFv、scTCR、受容体の細胞外ドメイン、またはリガンドである。
【0151】
さらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、タグカセットと、ヒンジを含むコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む(たとえば、
図38Eを参照のこと)。その上さらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のコネクター領域と、タグカセットと、ヒンジを含む第2のコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む。一層さらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のタグカセットと、第1のコネクター領域と、第2のタグカセットと、ヒンジを含む第2のコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む。さらにさらなるキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のタグカセットと、第1のコネクター領域と、第2のタグカセットと、第2のコネクター領域と、第3のタグカセットと、ヒンジを含む第3のコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む。
【0152】
特定の他のキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、タグカセットと、細胞外結合ドメインと、ヒンジを含むコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む(たとえば、
図38Fを参照のこと)。さらに他のキメラ分子の実施形態では、融合タンパク質はアミノ末端からカルボキシ末端までにて、可変領域間に配置される(たとえば、可変領域リンカーのN末端にてもしくはその近傍での、可変領域リンカーのC末端にてもしくはその近傍での、または可変領域リンカーの中間の近傍に埋め込まれた)タグカセットを含有する可変領域リンカーを含む細胞外scFvまたはscTCR結合ドメインと、ヒンジを含むコネクター領域と、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む。可変領域リンカーに埋め込まれる例となるタグカセットには、GGSGSG(X)nWSHPQFEKGSGSG(配列番号152)が挙げられ、式中、Xは任意であり、アミノ酸であってもよく、nは0、1、2、3、4、または5である。配列番号130では、埋め込まれたタグを有するそのような可変領域リンカーが存在し、その際、nは1であり、Xはアスパラギン(N)である。
【0153】
キメラ分子は、細胞に結合された形態であってもよく(たとえば、細胞表面上で発現される)または可溶性の形態であってもよい。特定の実施形態では、キメラ分子融合タンパク質をコードする核酸分子は、コドンが最適化されて、たとえば、T細胞のような特定の種類の細胞での発現を高めてもよく、または最大化してもよい(Scholten,et al.,2006,Clin.Immunol.119:135)。
【0154】
他の実施形態では、キメラ分子はさらに、細胞傷害性成分(たとえば、抗有糸分裂剤(たとえば、ビンデシン)のような化学療法剤、抗葉酸、アルキル化剤(たとえば、テモゾロミド)、細菌性毒素、リシン、抗ウイルス剤、放射性同位元素、放射性金属)を含んでもよく、それらは癌細胞、感染細胞または他の病んだ細胞を特異的に殺傷するまたは無効にするのに有用である。さらなる実施形態では、キメラ分子はさらに、検出可能な成分(たとえば、ビオチン、蛍光部分、放射性核種)を含んでもよく、それらは癌細胞、感染細胞または他の組織(たとえば、自己免疫性の攻撃のもとでの組織)を追跡するまたは画像化するのに有用である。さらにさらなる実施形態では、キメラ分子はさらに、機能的な成分(たとえば、免疫調節性の部分、サイトカイン、免疫モジュレータ、免疫グロブリンタンパク質等)を含んでもよい。
【0155】
操作されたHSPCはさらに正の選択及び/または負の選択のマーカーを利用することができる。たとえば、正の選択可能マーカーは遺伝子によってコードされてもよく、それは操作された細胞に導入される際、遺伝子を運んでいる細胞の正の選択を可能にする優性の表現型を発現する。この種の遺伝子には、ハイグロマイシンBに対する耐性を付与するハイグロマイシンBホスホトランスフェラーゼ遺伝子(hph)、抗生剤である0418に対する耐性をコードするTn5に由来するアミノグリコシドホスホトランスフェラーゼ遺伝子(neoまたはaph)、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)遺伝子、アデノシンデアミナーゼ遺伝子(ADA)、及び多剤耐性(MDR)遺伝子が挙げられる。
【0156】
特定の実施形態では、機能的な遺伝子を操作されたHSPCに導入して生体内での負の選択を可能にすることができる。「負の選択」は投与された細胞が対象の生体内での状態の変化の結果として除去されることを意味する。負の選択可能な表現型は、投与された作用物質に対する感受性を付与する遺伝子の挿入から生じることができる。負の選択可能な遺伝子には、ガンシクロビル感受性を付与する単純性ヘルペスウイルスI型チミジンキナーゼ(HSV-I TK)遺伝子、細胞性ヒポキサンチンホスホリボシルトランスフェラーゼ(HPRT)遺伝子、細胞性アデノシンホスホリボシルトランスフェラーゼ(APRT)遺伝子、及び細菌性シトシンデアミナーゼが挙げられる。負の選択に関してさらに裏付ける開示については、Lupton,S.D.,et al.,1991,Mol.及びCell Biol.11:6;Riddell,et al.,1992,Human Gene Therapy,3:319-338;WO1992/008796及びWO1994/028143及び米国特許第6,040,177号のカラム14-17を参照のこと。
【0157】
操作されるHSPCは、組換え遺伝子の配列をHSPCに導入することによって組換えにすることができる。遺伝子操作されたHSPCの記載は米国特許第7,399,633号のセクション5.1にて見いだすことができる。操作された細胞にてその発現が所望である遺伝子は、それが細胞及び/またはその子孫によって発現可能であるようにHSPCに導入される。
【0158】
形質移入、エレクトロポレーション、微量注入、リポフェクション、リン酸カルシウム介在性の形質移入、遺伝子配列を含有するウイルスベクターまたはバクテリオファージベクターによる感染、細胞融合、染色体が介在する遺伝子導入、ミクロ細胞が介在する遺伝子導入、スフェロプラスト融合等を含む当該技術で既知の方法によって所望の遺伝子をHSPCに導入することができる。外来遺伝子の細胞への導入について多数の技法が当該技術で既知であり(たとえば、Loeffler及びBehr,1993,Meth.Enzymol.217:599-618;Cohen,et al.,1993,Meth. Enzymol.217:618-644;Cline,1985,Pharmac.Ther.29:69-92を参照のこと)、レシピエント細胞の必要な発生上の及び生理的な機能が破壊されないという条件で使用されてもよい。技法は遺伝子の細胞への安定な導入を提供するはずであるので、遺伝子は細胞によって発現可能であり、好ましくはその細胞の子孫によって遺伝でき、且つ発現できる。示されるように、特定の実施形態では、導入の方法は細胞への選択可能なタグカセットの導入を含む。次いで細胞は選択のもとに置かれ、導入された遺伝子を取り込み、発現しているそれらの細胞を単離する。
【0159】
用語「遺伝子」は、本明細書に記載されているようなキメラ分子をコードする核酸配列(ポリヌクレオチドまたはヌクレオチド配列と相互交換可能に使用される)を指す。この定義は、種々の配列の多型、変異、及び/また配列変異体を包含し、そのような変更はコードされたキメラ分子の機能には実質的に影響を与えない。用語「遺伝子」は、コーディング配列だけでなく、たとえば、プロモータ、エンハンサ、及び終結領域のような調節性領域も含んでもよい。その用語はさらに、選択的スプライス部位から生じる変異体と共に、イントロンのすべて、及びmRNAの転写物からスプライスされた他のDNA配列を含むことができる。分子をコードしている遺伝子配列はキメラ分子の発現を指図するDNAまたはRNAであることができる。これらの核酸配列は、RNAに転写されるDNA鎖配列であってもよいし、またはタンパク質に翻訳されるRNA配列であってもよい。核酸配列は、完全長の核酸配列と同様に完全長のタンパク質に由来する非完全長の核酸配列の双方を含む。配列はまた、導入されてもよいネイティブの配列(単数)または配列(複数)の縮重コドンを含んで特定の細胞型にてコドン選択を提供することもできる。当業者によって理解されるように、本開示の全体を通して完全な遺伝子配列の一部が参照される。
【0160】
タグカセット、結合ドメイン、エフェクタードメイン、スペーサー領域、リンカー配列、疎水性部分、または本明細書に記載されている他のタンパク質配列またはペプチド配列をコードする遺伝子配列は、合成法または組換え法によって関連するアミノ酸配列から容易に調製することができる。実施形態では、配列をコードする遺伝子配列の容易な切り出し及び配列をコードする遺伝子配列の異なる配列をコードする別の遺伝子配列による置き換えを提供するために、これらの配列のいずれかをコードする遺伝子配列は、コーディング配列の5’及び/または3’末端にて1以上の制限酵素部位を有することもできる。実施形態では、配列をコードする遺伝子配列は、哺乳類細胞での発現のためにコドンを最適化することができる。
【0161】
「コードすること」は、cDNAまたはmRNAのような遺伝子におけるヌクレオチドの特定の配列のアミノ酸の、定義された配列のような他の高分子の合成のための鋳型として役立つ特性を指す。したがって、遺伝子に相当するmRNAの転写及び翻訳が細胞または他の生物系でタンパク質を産生するのであれば、その遺伝子はそのタンパク質をコードしている。「タンパク質をコードする遺伝子配列」は、互いの縮重版であり、実質的に類似の形態及び機能の同じアミノ酸配列(単数)またはアミノ酸配列(複数)をコードするヌクレオチド配列すべてを含む。
【0162】
発現されたキメラ分子の1を超える部分をコードするポリヌクレオチド遺伝子配列は、互いに及び関連する調節性配列に操作可能に連結することができる。たとえば、調節性配列と外来性の核酸配列との間に機能的な結合があり、後者の発現を生じることができる。別の例については、第1の核酸配列が第2の核酸配列と機能的な関係で配置される場合、第1の核酸配列は第2の核酸配列と操作可能に連結することができる。たとえば、プロモータがコーディング配列の転写または発現に影響を与えるのであれば、プロモータはコーディング配列に操作可能に連結される。一般に、操作可能に連結されたDNA配列は隣接しており、必要または有益であれば、コーディング領域を同一の読み取りフレームに接合する。
【0163】
「ベクター」は別の核酸を輸送することができる核酸分子である。ベクターは、たとえば、プラスミド、コスミド、ウイルスまたはファージであってもよい。「発現ベクター」は、それが適当な環境に存在する場合、ベクターによって運ばれる1以上の遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を指図することができるベクターである。
【0164】
「レトロウイルス」はRNAゲノムを有するウイルスである。「ガンマレトロウイルス」はレトロウイルス科の属を指す。例となるガンマレトロウイルスにはマウス幹細胞ウイルス、マウス白血病ウイルス、ネコ白血病ウイルス、ネコ肉腫ウイルス、及びトリ細網内皮症ウイルスが挙げられる。
【0165】
レトロウイルスベクター(Miller,et al.,1993,Meth.Enzymol.217:581-599)を使用することができる。そのような実施形態では、発現される遺伝子はHSPCへの送達のためにレトロウイルスベクターにクローニングされる。特定の実施形態では、レトロウイルスベクターは、ウイルスゲノムのパッケージングと組込みに必要なシス作用性の配列のすべて、すなわち、(a)ベクターの各末端での長い末端反復(LTR)またはその一部、(b)マイナス鎖及びプラス鎖DNAの合成のためのプライマー結合部位、及び(c)ゲノムRNAのビリオンへの組込みに必要なパッケージングシグナルを含有する。レトロウイルスベクターについてのさらなる詳細は、Boesen,et al.,1994,Biotherapy,6:291-302;Clowes,et al.,1994,J.Clin.Invest.93:644-651;Kiem,et al.,1994,Blood,83:1467-1473;Salmons及びGunzberg,1993,Human Gene Therapy,4:129-141;ならびにGrossman及びWilson,1993,Curr.Opin.in Genetics and Devel.3:110-114にて見いだすことができる。アデノウイルス、アデノ関連ウイルス及びアルファウイルスも使用することができる。Kozarsky及びWilson,1993,Current Opinion in Genetics and Development,3:499-503,Rosenfeld,et al.,1991,Science,252:431-434;Rosenfeld,et al.,1992,Cell,68:143-155;Mastrangeli,et al.,1993,J.Clin.Invest.91:225-234;Walsh,et al.,1993,Proc.Soc.Exp.Bioi.Med.204:289-300;ならびにLundstrom,1999,J.Recept.Signal Transduct.Res.19:673-686を参照のこと。遺伝子送達の他の方法には、哺乳類の人工染色体(Vos,1998,Curr.Op.Genet.Dev.8:351-359);リポソーム(Tarahovsky及びIvanitsky,1998,Biochemistry,(Mosc)63:607-618);リボザイム(Branch及びKlotman,1998,Exp.Nephrol.6:78-83);及びトリプレットDNA(Chan及びGlazer,1997,J.Mol.Med.75:267-282)の使用が挙げられる。
【0166】
「レンチウイルス」は、分裂している細胞及び分裂していない細胞を感染させることができるレトロウイルスの属を指す。レンチウイルスの幾つかの例には、HIV(ヒト免疫不全症ウイルス:HIV1型及びHIV2型を含む)、ウマ感染性貧血ウイルス、ネコ免疫不全症ウイルス(FIV)、ウシ免疫不全症ウイルス(BIV)、及びサル免疫不全症ウイルス(SIV)が挙げられる。
【0167】
ヒトの遺伝子療法への応用のために特定されたものを含む、本開示の範囲内で好適な多数の利用できるウイルスベクターがある(Pfeifer及びVerma,2001,Ann.Rev.GenomicsHum.Genet.2:177を参照のこと)。好適なウイルスベクターには、RNAウイルスに基づくベクター、たとえば、レトロウイルスに由来するベクター、たとえば、Moloneyマウス白血病ウイルス(MLV)に由来するベクターが挙げられ、さらに複雑なレトロウイルスに由来するベクター、たとえば、レンチウイルスに由来するベクターが挙げられる。HIV-1に由来するベクターはこのカテゴリーに属する。他の例には、HIV-2、FIV、ウマ感染性貧血ウイルス、SIV、及びMaedi-Visnaウイルス(ヒツジのレンチウイルス)に由来するレンチウイルスベクターが挙げられる。レトロウイルスベクター及びレンチウイルスベクターを用い、キメラ抗原受容体の導入遺伝子を含有するウイルス粒子で哺乳類宿主細胞に形質導入するために細胞をパッケージングする方法は、たとえば、米国特許第8,119,772号;Walchli,et al.,2011,PLoS One,6:327930;Zhao,et al.,2005,J.Immunol.174:4415;Engels,et al.,2003,Hum.Gene Ther.14:1155;Frecha,et al.,2010,Mol.Ther.18:1748;及びVerhoeyen,et al.,2009,Methods Mol.Biol.506:97にて記載されている。レトロウイルス及びレンチウイルスのベクター構築物及び発現系も市販されている。
【0168】
「核酸分子」またはポリヌクレオチドは、cDNA、ゲノムDNA、及び合成DNAを含むRNAまたはDNAの形態であってもよい。核酸分子は、二本鎖または一本鎖であってもよく、一本鎖であれば、コーディング鎖または非コーディング鎖(アンチセンス鎖)であってもよい。コーディング分子は、当該技術で既知のコーディング配列と同一のコーディング配列を有してもよく、または異なるコーディング配列を有してもよく、それは、遺伝子コードの冗長性もしくは縮重の結果として、またはスプライシングによって、同じポリペプチドをコードすることができる。
【0169】
追加の実施形態は、本明細書で開示されている遺伝子、タンパク質またはペプチドの配列に対して70%の配列同一性;80%の配列同一性;81%の配列同一性;82%の配列同一性;83%の配列同一性;84%の配列同一性;85%の配列同一性;86%の配列同一性;87%の配列同一性;88%の配列同一性;89%の配列同一性;90%の配列同一性;91%の配列同一性;92%の配列同一性;93%の配列同一性;94%の配列同一性;95%の配列同一性;96%の配列同一性;97%の配列同一性;98%の配列同一性;または99%の配列同一性を有する配列を含む。
【0170】
「%配列同一性」は、配列を比較することによって決定されるような2以上の配列間の関係を指す。当該技術では、「同一性」はまた、そのような配列の鎖間の一致によって決定されるようなタンパク質配列間の配列関係性の程度も意味する。「同一性」(「類似性」と呼ばれることが多い)は、コンピュータ分子生物学(Lesk,A.M.,ed.)Oxford University Press,NY(1988);バイオコンピューティング:インフォマティクス及びゲノムプロジェクト(Smith,D.W.,ed.)Academic Press,NY(1994);配列データのコンピュータ解析、パートI(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.)HumanaPress,NJ(1994);分子生物学における配列解析(Von Heijne, G., ed.)Academic Press(1987);及び配列解析プライマー(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.)Oxford University Press,NY(1992)にて記載されているものを含む既知の方法によって容易に計算することができる。配列同一性を決定する好まれる方法は、調べられる配列間で最良の一致を与えるように設計される。配列の同一性及び類似性を決定する方法は公的に利用可能なコンピュータプログラムにて体系化される。配列の配列比較及び同一性百分率の計算は、LASERGENEバイオインフォマティクスコンピューティングスイート(DNASTAR,Inc.,Madison,Wisconsin)のMegalignプログラムを用いて実施されてもよい。配列の複数の配列比較も初期設定のパラメータ(ギャップペナルティ=10、ギャップ長さペナルティ=10)と共に配列比較のClustal法(Higgins及びSharp,CABIOS,5,151-153(1989)を用いて実施することもできる。関連するプログラムには、プログラムのGCGスイート(Wisconsin Package Version,9.0、Genetics Computer Group(GCG)、Madison、Wisconsin);BLASTP、BLASTN、BLASTX(Altschul、et al.、1990、J.Mol.Biol.215:403-410;DNASTAR(登録商標)(DNASTAR、Inc.、Madison、Wisconsin);及びFASTAプログラムを組み込んだSmith-Watermanアルゴリズム(Pearson、Comput.Methods Genome Res.、[Proc.Int.Symp.](1994)、Meeting Date 1992、111-20.Editor(s):Suhai、Sandor.Publisher:Plenum、New York、N.Y.が挙げられる。本開示の文脈の範囲内で、配列解析ソフトウエアを解析に使用する場合、解析の結果は参照されたプログラムの「初期設定値」に基づくことが理解されるであろう。「初期設定値」は、最初に初期化されたとき、ソフトウエアに元々ロードされる一連の値またはパラメータを意味する。
【0171】
前述を限定することなく、本明細書で開示されている配列に対して配列同一性を有するタンパク質またはペプチドには、その変異体及びD置換された類似体が含まれる。
【0172】
本明細書で開示されている配列の「変異体」には、本明細書で開示されている配列に比べて1以上の付加、欠失、停止位置、または置換を有する配列が含まれる。
【0173】
アミノ酸の置換は保存的置換または非保存的置換であることができる。本明細書で開示されているタンパク質またはペプチドの配列の変異体には、1以上の保存的なアミノ酸置換を有するものを挙げることができる。「保存的置換」には、以下の保存的置換の群:第1群:アラニン(AlaまたはA)、グリシン(GlyまたはG)、Ser、Thr;第2群:アスパラギン酸(AspまたはD)、Glu;第3群:アスパラギン(AsnまたはN)、グルタミン(GlnまたはQ);第4群:Arg、リジン(LysまたはK)、ヒスチジン(HisまたはH);第5群:Ile、ロイシン(LeuまたはL)、メチオニン(MetまたはM)、バリン(ValまたはV);及び第6群:Phe、Tyr、Trpの1つに見いだされる置換が関与する。
【0174】
さらに、アミノ酸は、類似の機能、化学構造または組成(たとえば、酸性、塩基性、脂肪族、芳香族、イオウ含有)によって保存的置換の群にグループ分けすることができる。たとえば、脂肪族のグループ分けには、置換の目的でGly、Ala、Val、Leu及びIleが含まれてもよい。互いに保存的置換と見なされるアミノ酸を含有する他の群には、イオウ含有:Met及びCys;酸性:Asp、Glu、Asn、及びGln;小型脂肪族、非極性またはやや極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、及びGly;極性、負に荷電した残基及びそのアミド:Asp、Asn、Glu、及びGln;極性、正に荷電した残基:His、Arg、及びLys;大型脂肪族、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、及びCys;ならびに大型芳香族残基:Phe、Tyr、及びTrpが挙げられる。追加の情報はCreighton(1984),Proteins,W.H.Freeman and Companyにて見いだされる。
【0175】
「D-置換類似体」には、1以上のD-アミノ酸で置換された1以上のL-アミノ酸を有する本明細書で開示されているタンパク質またはペプチドが挙げられる。D-アミノ酸は参照配列で見いだされるものと同じアミノ酸型であることができ、または異なるアミノ酸であることができる。したがって、D-類似体は変異体であることもできる。
【0176】
前述を限定することなく、例となる目的のみのために。
【0177】
特定の実施形態では、タグカセットには、Strepタグ、Hisタグ、Flagタグ、Xpressタグ、Aviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸塩タグ、HAタグ、Mycタグ、Nusタグ、Sタグ、Xタグ、SBPタグ、Sofタグ、V5タグ、CBP、GST、MBP、GFP、チオレドキシンタグの配列に対して少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有する配列が含まれる。
【0178】
特定の実施形態では、結合ドメインには、本明細書で開示されている軽鎖可変領域(VL)のアミノ酸配列または重鎖可変領域(VH)に対して少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有する配列が含まれ、その際、各CDRは、対象とする細胞マーカーを特異的に結合するモノクローナル抗体またはその断片からゼロの変化、または多くても1、2または3の変化を含む。
【0179】
「特異的に結合する」は、試料における他の分子または成分とは有意に会合または結合しない一方で、タグカセットまたは結合ドメインまたはその融合タンパク質がそれぞれ同族結合分子または細胞マーカーに105M-1以上の親和性またはKaで(すなわち、1/Mの単位での特定の結合相互作用の平衡会合定数)会合するまたは結合することを指す。タグカセットまたは結合ドメイン(またはその融合タンパク質)は「高親和性」または「低親和性」として分類されてもよい。「高親和性」のタグカセットまたは結合ドメインは、少なくとも107M-1、少なくとも108M-1、少なくとも109M-1、少なくとも1010M-1、少なくとも1011M-1、少なくとも1012M-1、または少なくとも1013M-1のKaを持つタグカセットまたは結合ドメインを指す。「低親和性」のタグカセットまたは結合ドメインは、107M-1までの、106M-1までの、105M-1までのKaを持つタグカセットまたは結合ドメインを指す。或いは、親和性は、Mの単位(たとえば、10-5M~10-13M)を持つ特定の結合相互作用の平衡解離定数(Kd)として定義されてもよい。特定の実施形態では、タグカセットまたは結合ドメインは、野生型(または親)のタグカセットまたは結合ドメインよりもそれぞれ同族結合分子または細胞マーカーとの強い結合を持つ選択されたまたは操作されたタグカセットまたは結合ドメインを指す「高められた親和性」を有してもよい。たとえば、高められた親和性は、それぞれ同族結合分子または細胞マーカーに対するKa(平衡会合定数)、野生型のタグカセットまたは結合ドメインより高い細胞マーカーのKaのせいであってもよく、または野生型のタグカセットまたは結合ドメインのそれより低い、それぞれ同族結合分子または細胞マーカーに対するKd(解離定数)のせいであってもよく、または野生型のタグカセットまたは結合ドメインのそれより低い、それぞれ同族結合分子または細胞マーカーに対するオフ速度(Koff)のせいであってもよい。たとえば、ウエスタンブロット、ELISA、及びBIACORE(登録商標)解析(たとえば、Scatchard,et al.,1949,Ann.N.Y.Acad.Sci.51:660;及び米国特許第5,283,173号、同第5,468,614号、または同等物も参照のこと)のような、それぞれ同族結合分子または細胞マーカーを特異的に結合するタグカセットまたは結合ドメインを特定すると共に、タグカセットまたは結合ドメインまたは融合タンパク質の親和性を決定するための種々のアッセイは既知である。
【0180】
特定の実施形態では、結合ドメインには、TCR Vα、Vβ、Cα、またはCβのアミノ酸配列に対して少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有する配列が挙げられ、その際、各CDRは、対象とする細胞マーカーに特異的に結合するTCRまたはその断片からのゼロの変化または多くても1、2または3の変化を含む。
【0181】
特定の実施形態では、結合ドメインVα、Vβ、CαまたはCβの領域は既知のTCR(たとえば、高親和性TCR)のVα、Vβ、Cα、またはCβに由来するまたは基づくことができ、既知のTCRのVα、Vβ、Cα、またはCβと比べると、1以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、1以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、1以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(たとえば、保存的なアミノ酸置換または非保存的なアミノ酸置換)、または上記の変化の組み合わせを含有する。各CDRがゼロの変化または多くても1、2または3の変化を含むという条件で、及び操作されたVα、Vβ、CαまたはCβの領域を含有する結合ドメインが野生型と類似した親和性で依然として特異的にその標的細胞マーカーを結合することができるという条件で、挿入、欠失または置換は、Vα、Vβ、CαまたはCβの領域のアミノ末端またはカルボキシ末端または両端を含む、これらの領域のどこにあってもよい。
【0182】
特定の実施形態では、結合ドメインのVHまたはVLの領域は既知のモノクローナル抗体のVHまたはVLに由来するまたは基づくことができ、既知のモノクローナル抗体のVHまたはVLと比べると、1以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の挿入、1以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)の欠失、1以上(たとえば、2、3、4、5、6、7、8、9、10)のアミノ酸置換(たとえば、保存的なアミノ酸置換または非保存的なアミノ酸置換)、または上記の変化の組み合わせを個々にまたはまとめて含有することができる。各CDRがゼロの変化または多くても1、2または3の変化を含むという条件で、及び操作されたVHまたはVLの領域を含有する結合ドメインが野生型結合ドメインと類似した親和性で依然として特異的にその標的細胞マーカーを結合することができるという条件で、挿入、欠失または置換は、VHまたはVLの領域のアミノ末端またはカルボキシ末端または両端を含む、これらの領域のどこにあってもよい。
【0183】
特定の実施形態では、結合ドメインには、(i)FMC63についてのscFv、(ii)R12についてのscFv;(iii)R11についてのscFv;または(iv)ハーセプチンについてのscFvの配列に対して少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有する配列が含まれる。
【0184】
特定の実施形態では、細胞内シグナル伝達ドメインは、
図2で提供されている配列を有するCD3ζに対して少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有することができる。
【0185】
特定の実施形態では、共刺激シグナル伝達ドメインは、
図5で示されるようなCD28の細胞内ドメインまたは
図2で提供されている配列を有する4-1BBに対して少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有することができる。特定の実施形態では、CD28の細胞内ドメインの変異体は186~187位にてアミノ酸置換を含み、その際、LLがGGによって置換される。
【0186】
特定の実施形態では、膜貫通ドメインはアミノ酸置換(複数可)によって、同一または異なる表面膜タンパク質の膜貫通ドメインへのそのようなドメインの結合を回避するように選択され、または操作されて受容体複合体の他のメンバーとの相互作用を出来るだけ抑えることができる。さらなる特定の実施形態では、合成のまたは変異体の膜貫通ドメインは、ロイシン及びバリンのような疎水性の残基を優勢に含む。変異体の膜貫通ドメインは好ましくはKyte Doolittleによって算出されたような少なくとも50の疎水性スコアを有する。特定の実施形態では、膜貫通ドメインは
図2または6の配列との少なくとも80%;81%;82%;83%;84%;85%;86%;87%;88%;89%;90%;91%;92%;93%;94%;95%;96%;97%;98%;または99%の配列同一性を有することができる。
【0187】
本明細書で明白に開示されているものと同じ機能的能力を有するタンパク質またはペプチドも包含される。
【0188】
ここで明白に提供されていない場合、公的なデータベースによって提供されている配列情報及び当業者の知識を用いて関係する及び関連するタンパク質及びペプチドの配列ならびにそのようなタンパク質及びペプチドをコードする遺伝子配列を特定することができる。
【0189】
分化。特定の実施形態では、操作されたHSPCは対象への投与の前に操作された非Tエフェクター細胞に分化させられる。操作されたHSPCの分化が所望である場合、非Tエフェクター細胞への分化を促進する1以上の増殖因子にHSPCを曝露することができる。分化を促進する増殖因子及び培養条件は当該技術で既知である(たとえば、米国特許第7,399,633号のセクション5.2及びセクション5.5を参照のこと)。たとえば、GM-SCFまたはIL-7との組み合わせでSCFを用いてHSPCをそれぞれ骨髄系幹細胞/前駆細胞またはリンパ系幹細胞/前駆細胞に分化させることができる。特定の実施形態では、HSPCをそれぞれ100ng/mlのSCFとGM-SCFまたはIL-7に曝露することによってHSPCをリンパ系幹細胞/前駆細胞に分化させることができる。特定の実施形態では、レチノイン酸受容体(RAR)アゴニストまたは好ましくは全トランスレチノイン酸(ATRA)を用いてHSPCの分化を促進する。ナチュラルキラー細胞への分化は、たとえば、ヒト血清、50U/mlでのIL-2及び500ng/mlでのIL-15で補完されたRPMI培地に培養されたHSPCを曝露することによって達成することができる。追加の実施形態では、RPMI培地はL-グルタミンでも補完され得る。
【0190】
特定の実施形態では、操作されたHSPCをナチュラルキラー(NK)細胞または好中球を含む非Tエフェクター細胞に分化させることができる。NK細胞は、2つの主要な機能:(i)腫瘍細胞及び他のウイルスに感染した細胞を認識し、殺傷することと、(ii)CCL3、CCL4、CCL5及び/またはXCL1のケモカイン、または、たとえば、顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子、腫瘍壊死因子-α、またはIFN-γのようなサイトカインを分泌することによって自然免疫及び養子免疫の応答を調節することとを実行する。好中球は一般に、それらが異常な細胞型を標的とし、破壊する炎症の部位にそれらが移動するまで血流にて循環する。
【0191】
組成物及び製剤。細胞及び操作された細胞を対象への投与のための組成物及び/または製剤として調製することができる。組成物は対象への投与のために薬学上許容できるキャリアと共に調製された細胞または操作された細胞を指す。製剤は対象への投与のための薬学上許容できるキャリア(以後、キャリア)の範囲内での少なくとも2つの細胞型を指す。
【0192】
組成物または製剤の調製の間での種々の時点で、細胞を凍結保存することが必要であるまたは有益であることができる。用語「凍結された/凍結すること」及び「凍結保存された/凍結保存すること」は相互交換可能に使用することができる。凍結することには凍結乾燥することが含まれる。
【0193】
当業者によって理解されるように、細胞の凍結は破壊的であり得る(Mazur,P.,1977,Cryobiology,14:251-272)が、そのような損傷を防ぐのに利用できる多数の手順がある。たとえば、損傷は、(a)凍結防止剤の使用、(b)凍結速度の制御、及び/または(c)変性反応を出来るだけ抑えるのに十分低い温度での保存によって回避することができる。例となる凍結防止剤には、ジメチルスルホキシド(DMSO)(Lovelock及びBishop,1959,Nature,183:1394-1395;Ashwood-Smith,1961,Nature,190:1204-1205)、グリセロール、ポリビニルピロリドン,(Rinfret,1960,Ann.N.Y.Acad.Sci.85:576)、ポリエチレングリコール(Sloviter及びRavdin,1962,Nature,196:548)、アルブミン、デキストラン、スクロース、エチレングリコール、i-エリスリトール、D-リビトール、D-マンニトール(Rowe,et al.,1962,Fed.Proc.21:157)、D-ソルビトール、i-イノシトール、D-ラクトース、塩化コリン(Bender,et al.,1960,J.Appl.Physiol.15:520)、アミノ酸(Phan The Tran and Bender,1960,Exp.Cell Res.20:651)、メタノール、アセトアミド、モノ酢酸グリセロール(Lovelock,1954,Biochem.J.56:265)、及び無機塩(Phan The Tran and Bender,1960,Proc.Soc.Exp.Biol.Med.104:388;Phan The Tran and Bender,1961,in Radiobiology,Proceedings of the Third Australian Conference on Radiobiology,Ilbery ed.,Butterworth,London,p.59)が挙げられる。特定の実施形態では、DMSOを使用することができる。血漿の添加(たとえば、20~25%の濃度)はDMSOの保護効果を増強することができる。DMSOの添加の後、1%のDMSOの濃度は4℃を超える温度では毒性であり得るので、凍結まで細胞を0℃で保持することができる。
【0194】
細胞の凍結保存では、緩慢な制御された冷却速度が決定的であり得、様々な凍結防止剤(Rapatz,et al.,1968,Cryobiology,5(1):18-25)及び様々な細胞型が様々な最適な冷却速度を有する(幹細胞の生存及びその移植潜在力に対する冷却速度の効果については、たとえば、Rowe及びRinfret,1962,Blood,20:636;Rowe,1966,Cryobiology,3(1):12-18;Lewis,et al.,1967,Transfusion,7(1):17-32;ならびにMazur,1970,Science,168:939- 949を参照のこと)。水が氷に変わる溶融相の熱は最小であるべきである。たとえば、プログラム可能な凍結装置またはメタノール槽法を用いて冷却手順を実行することができる。プログラム可能な凍結装置は最適な冷却速度の決定を可能にし、標準の再現できる冷却を促す。
【0195】
特定の実施形態では、DMSOで処理した細胞を氷上で予備冷却し、次に-80℃の機械式冷凍庫(たとえば、HarrisまたはRevco)に入れる冷却されたメタノールを含有するトレイに移す。メタノール槽と試料の熱電対測定が1℃~3℃/分の冷却速度を示すことが好まれ得る。少なくとも2時間後、検体は-80℃の温度に到達することができており、液体窒素(-196℃)に直接入れることができる。
【0196】
十分な凍結の後、細胞を長期の低温保存容器に迅速に移すことができる。好まれる実施形態では、試料は液体窒素(-196℃)または蒸気(-1℃)にて凍結して保存することができる。そのような保存は効率の高い液体窒素冷凍庫の可用性によって促される。
【0197】
細胞の操作、凍結保存及び長期保存に関するさらなる検討及び手順は、以下の例となる参考文献:米国特許第4,199,022号;同第3,753,357号;及び同第4,559,298号;Gorin,1986,Clinics In Haematology,15(1):19-48;Bone-Marrow Conservation, Culture and Transplantation,Proceedings of a Panel,Moscow,July,22-26,1968,International Atomic Energy Agency,Vienna,pp.107-186;Livesey及びLinner,1987,Nature,327:255;Linner,et al.,1986,J.Histochem.Cytochem.34(9):1123-1135;Simione,1992,J.Parenter.Sci.Technol.46(6):226-32にて見いだすことができる。
【0198】
凍結保存に続いて、凍結細胞は当業者に既知の方法にしたがって使用のために融解することができる。凍結細胞は好ましくは迅速に融解され、融解の際直ちに冷却される。特定の実施形態では、凍結細胞を含有するバイアルを温水槽でその首まで浸すことができ;穏やかな回転はそれが融解するにつれて細胞浮遊液の混合を保証し、内部の氷塊への温水からの熱移動を増やすであろう。氷が融けると直ちにバイアルを速やかに氷上に置くことができる。
【0199】
特定の実施形態では、方法を用いて、融解の間での細胞の凝集を防ぐことができる。例となる方法には、凍結の前及び/または後でのDNA分解酵素(Spitzer,et al.,1980,Cancer,45:3075-3085)、低分子量のデキストラン及びクエン酸塩、ヒドロキシエチルデンプン(Stiff,et al.,1983,Cryobiology,20:17-24)等の添加が挙げられる。
【0200】
当業者によって理解されるように、ヒトにとって毒性である凍結防止剤が使用されるのであれば、治療上の使用に先立ってそれが取り除かれるべきである。DMSOは深刻な毒性を有さない。
【0201】
細胞の投与の例となるキャリア及び様式は、米国特許公開番号2010/0183564の14~15ページに記載されている。追加の医薬キャリアはRemington:The Science and Practice of Pharmacy,21st Edition,David,B.Troy,ed.,Lippicott Williams & Wilkins(2005)にて記載されている。
【0202】
特定の実施形態では、細胞を培養培地から回収し、洗浄し、治療上有効な量でキャリアにて濃縮することができる。例となるキャリアには、生理食塩水、緩衝化生理食塩水、生理的生理食塩水、水、ハンクス溶液、リンガー溶液、Nonnosol-R(Abbott Labs)、PLASMA-LYTE A(登録商標)(Baxter Laboratories,Inc.,Morton Grove,IL)、グリセロール、エタノール、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0203】
特定の実施形態では、キャリアはヒト血清アルブミン(HSA)またはヒト血清成分またはウシ胎児血清によって補完することができる。特定の実施形態では、点滴用のキャリアには、5%のHASまたはデキストロースを伴う緩衝化生理食塩水が含まれる。追加の等張剤には、たとえば、グリセリン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトールまたはマンニトールのような三価以上の糖アルコールを含む多価の糖アルコールが挙げられる。
【0204】
キャリアには、たとえば、クエン酸緩衝液、コハク酸緩衝液、酒石酸緩衝液、フマル酸緩衝液、グルコン酸緩衝液、シュウ酸緩衝液、乳酸緩衝液、酢酸緩衝液、リン酸緩衝液、ヒスチジン緩衝液、及び/またはトリメチルアミン塩のような緩衝剤を挙げることができる。
【0205】
安定剤は、容器壁への細胞の接着を防ぐのに役立つ増量剤から添加剤までの機能に幅があり得る広いカテゴリーの賦形剤を指す。典型的な安定剤には、多価糖アルコール;たとえば、アルギニン、リジン、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アラニン、オルニチン、L-ロイシン、2-フェニルアラニン、グルタミン酸、及びスレオニンのようなアミノ酸;たとえば、ラクトース、トレハロース、スタキロース、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、リビトール、ミオイニシトール、ガラクチトール、グリセロール、及びシクリトール、たとえば、イノシトールのような有機糖または糖アルコール;PEG;アミノ酸ポリマー;たとえば、尿素、グルタチオン、チオクト酸、チオグリコール酸ナトリウム、チオグリセロール、アルファ-モノチオグリセロール、及びチオ硫酸ナトリウムのようなイオウ含有還元剤;低分子量ポリペプチド(すなわち、<10の残基);たとえば、HSA、ウシ血清アルブミン、ゼラチンまたは免疫グロブリンのようなタンパク質;たとえば、ポリビニルピロリドンのような親水性ポリマー;たとえば、キシロース、マンノース、フルクトース及びグルコースのような単糖類;たとえば、ラクトース、マルトース及びスクロースのような二糖類;たとえば、ラフィノースのような三糖類、ならびにたとえば、デキストランのような多糖類を挙げることができる。
【0206】
必要でありまたは有益である場合、組成物または製剤は、注射の部位で疼痛を軽減するリドカインのような局所麻酔剤を含むことができる。
【0207】
例となる保存剤には、フェノール、ベンジルアルコール、メタ-クレゾール、メチルパラベン、プロピルパラベン、オクタデシルメチルベンジル塩化アンモニウム、ベンザルコニウムハロゲン化物、塩化ヘキサメトニウム、たとえば、メチルパラベンまたはプロピルパラベンのようなアルキルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール及び3-ペンタノールが挙げられる。
【0208】
組成物または製剤の中での治療上有効な量の細胞は、102を超える細胞、103を超える細胞、104を超える細胞、105を超える細胞、106を超える細胞、107を超える細胞、108を超える細胞、109を超える細胞、1010を超える細胞、または1011を超えるものであることができる。
【0209】
本明細書で開示されている組成物及び製剤では、細胞は一般に1リットル以下、500ml以下、250ml以下または100ml以下の容量である。したがって、投与される細胞の密度は通常104個の細胞/ml、107個の細胞/mlまたは108個の細胞/mlを超える。
【0210】
示されるように、組成物は1つの細胞型(たとえば、操作されたHSPCまたは操作されたエフェクター)を含む。製剤は、HSPC、操作されたHSPC及び/または操作されたエフェクター(たとえば、操作されたNK細胞)を組み合わせて含むことができる。特定の実施形態では、操作されたHSPCと同じ結合ドメインを持つ操作されたエフェクターの組み合わせが組み合わせられる。他の実施形態では、操作されたHSPCと異なる結合ドメインを持つ操作されたエフェクターが組み合わせられる。同様に、発現されたキメラ分子の他の態様すべて(たとえば、タグカセット、エフェクタードメイン成分、スペーサー領域等)は、製剤の中での操作されたHSPCと操作されたエフェクターとの間での種々の組み合わせで同じであることができ、または異なることができる。さらに、異なるキメラ分子またはその成分を発現している操作されたHSPCを製剤の中に一緒に含むことができ、異なるキメラ分子またはその成分を発現している操作されたエフェクターを製剤の中に一緒に含むことができる。特定の実施形態では、製剤は異なるキメラ分子を発現している少なくとも2つの操作されたHSPCと異なるキメラ分子を発現している少なくとも2つの操作されたエフェクターとを含むことができる。
【0211】
HSPC、操作されたHSPC及び操作されたエフェクターを様々な比、たとえば、1:1:1の比、2:1:1の比、1:2:1の比、1:1:2の比、5:1:1の比、1:5:1の比、1:1:5の比、10:1:1の比、1:10:1の比、1:1:10の比、2:2:1の比、1:2:2の比、2:1:2の比、5:5:1の比、1:5:5の比、5:1:5の比、10:10:1の比、1:10:10の比、10:1:10の比、等で組み合わせることができる。これらの比は同じまたは異なるキメラ分子の成分を発現している細胞の数に適用することもできる。細胞型の2つのみが製剤で組み合わせられる、または発現されたキメラ分子の成分の2つの組み合わせのみが製剤に含まれるのであれば、比は、上記で提供された3の数の組み合わせから作り出すことができる2の数の組み合わせを含むことができる。実施形態では、組み合わせた細胞集団を試験管内、生体内及び/または生体外での有効性及び/または細胞増殖について調べ、有効性及び/または細胞の増殖を提供する細胞の比が選択される。
【0212】
本明細書で開示されている組成物及び製剤は、たとえば、注射、点滴、潅流または洗浄による投与のために調製することができる。組成物及び製剤は、骨髄、静脈内、皮内、動脈内、結節内、リンパ内、腹腔内、病変内、前立腺内、膣内、直腸内、局所、クモ膜下、腫瘍内、筋肉内、水疱内、及び皮下の注射のためにさらに製剤化することができる。
【0213】
キット。キットは、本明細書に記載されている細胞、組成物または製剤の1以上を含む1以上の容器を含むことができる。特定の実施形態では、キットは、他の細胞、組成物または製剤との組み合わせで使用される1以上の細胞、組成物または製剤、及び/または組成物を含有する1以上の容器を含むことができる。そのような容器(複数可)に関連するのは、医薬品または生物学的製剤の製造、使用または販売を規制する政府機関によって指示された形態の通知書であることができ、その通知書はヒトへの投与についての製造、使用または販売の当局による認可を反映する。通知書は、免疫学的適合がなくても提供される細胞、組成物または製剤を対象に投与できることを述べてもよい。キットはさらに、キットを使用するための指示書、たとえば、投与のための細胞、組成物及び/または製剤の調製;関連する廃棄物の適正な廃棄;等に関する指示書を含むことができる。指示書はキットの中で提供される印刷された指示書の形態であることができ、または指示書はキット自体の一部に印刷することができる。指示書は、シート、パンフレット、冊子、CDロム、もしくはコンピュータで読み取れる装置の形態であってもよく、または遠隔地、たとえばウェブサイトで指示書に対する指示を提供することができる。特定の実施形態では、キットは、キットを効果的に使用するのに必要とされる必要な医療用品、たとえば、注射器、アンプル、管類、フェイスマスク、針無し流体移動装置、注入キャップ、スポンジ、無菌の接着性細片、Chloraprep、手袋、等の一部または全部を含むこともできる。本明細書に記載されているキットのいずれかの内容の変化を作り出すことができる。
【0214】
使用の方法。本明細書で開示されている方法は、対象(ヒト、獣医学動物(イヌ、ネコ、爬虫類、鳥類等)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、ニワトリ等)及び実験動物(サル、ラット、マウス、サカナ等))を本明細書で開示されている細胞で治療することを含む。対象を治療することには治療上有効な量を送達することが含まれる。治療上有効な量には、有効な量、予防上の処置及び/または治療上の処置を提供するものが含まれる。
【0215】
「有効な量」は、対象にて所望の生理的な変化を生じるのに必要な細胞の数である。有効な量は研究目的で投与されることが多い。本明細書で開示されている有効な量は、(i)免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を軽減すること(たとえば、免疫系の細胞を再構成すること)によって血液サポートを提供する、及び(ii)抗癌効果を有する、の1以上を実施する。
【0216】
「予防上の処置」には、治療される状態の兆候もしくは症状を示していない、または治療される状態の初期の兆候もしくは症状のみを示している対象に、その状態を減らす、防ぐ、またはその状態の発生のリスクを減らす目的で治療が投与されるように、投与される治療が含まれる。したがって、予防上の処置は状態に対する予防的治療として機能する。
【0217】
「治療上の処置」は、状態の症状または兆候を示している対象に投与される治療を含み、且つ状態の重症度または進行を減らす目的で対象に投与される。
【0218】
特定の対象に投与される実際の用量の量は、たとえば、細胞マーカー;体重;状態の種類;状態の重症度;分かった場合の次に来る関連事象;以前のまたは現在の治療上の介入;対象の特発性疾患;及び投与の経路を含む物理的な及び生理的な因子のようなパラメータを考慮して内科医、獣医または研究者によって決定され得る。加えて、試験管内、生体内及び/または生体外のアッセイを任意で採用して最適な投与量範囲を特定するのに役立てることができる。
【0219】
投与するのに治療上有効な量には、102を超える細胞、103を超える細胞、104を超える細胞、105を超える細胞、106を超える細胞、107を超える細胞、108を超える細胞、109を超える細胞、1010を超える細胞、または1011を超えるものを挙げることができる。
【0220】
示されるように、本明細書で開示されている組成物及び製剤は、たとえば、注射、点滴、潅流または洗浄によって投与することができ、さらに詳しくは、1以上の骨髄、静脈内、皮内、動脈内、結節内、リンパ内、腹腔内、病変内、前立腺内、膣内、直腸内、局所、クモ膜下、腫瘍内、筋肉内、水疱内、及び/または皮下の点滴、及び/またはボーラス注射を介した投与を含むことができる。
【0221】
操作されていないHSPCの使用は米国特許第7,399,633号のセクション5.6.1及びWO2013/086436にて記載されている。HSPC及び操作されたHSPCは同じ目的で、または異なる目的で投与することができる。共通する目的には、それを必要とする対象にて造血機能を提供すること;及び/または免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症(周期性好中球減少症及び特発性好中球減少症を含む)の1以上を治療することが挙げられる(まとめて、「目的」)。対照の血液細胞のレベルに比べて低下した血液細胞のレベルを有する、または低下した血液細胞のレベルを発生するリスクがある対象にHSPC及び操作されたHSPCを投与することができる。特定の実施形態では、対象は貧血を有する、または貧血を発症するリスクがある。
【0222】
目的のための治療は、アルキル化剤、Ara-C、アザチオプリン、カルボプラチン、シスプラチン、クロラムブシル、クロファラビン、サイクロホスファミド、イフォスファミド、メクロレタミン、メルカプトプリン、オキサリプラチン、タキサン、及びビンカアルカロイド(たとえば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビノレルビン及びビンデシン)の1以上への曝露を含む、強化化学療法計画への曝露に基づいて必要とされ得る。
【0223】
目的のための治療は、造血細胞移植(HCT)のための骨髄機能廃絶計画への曝露に基づいて必要とされ得る。特定の実施形態では、枯渇した骨髄のリスクまたは枯渇したもしくは限定された血液細胞のレベルのリスクがある骨髄ドナーにHSPC及び/または操作されたHSPCが投与される。投与は骨髄の採取に先立って、及び/またはその後で生じることができる。骨髄移植のレシピエントにHSPC及び/または操作されたHSPCを投与することもできる。
【0224】
目的のための治療は、急性イオン化放射線照射への曝露、及び/または抗生剤、ペニシリン、ガンシクロビル、ダウノマイシン、サルファ剤、フェノチアゾン、精神安定剤、メプロバメート、鎮痛剤、アミノプリン、ジピロン、抗痙攣剤、フェニトイン、カルバマゼピン、抗甲状腺薬、プロピルチオウラシル、メチマゾール及び利尿剤を含む、骨髄抑制または造血欠損を引き起こすことができる他の薬剤への曝露に基づいても必要され得る。
【0225】
目的のための治療は、ウイルス(たとえば、HIVI、HIVII、HTLVI、HTLVII、HTLVIII)、微生物もしくは寄生虫の感染に基づいて、及び/または腎疾患もしくは腎不全の治療、たとえば、透析の結果としても必要とされ得る。たとえば、T及び/またはBリンパ球における種々の免疫不全症、または免疫疾患、たとえば、関節リウマチもHSPCまたは操作されたHSPCによる治療によっても有益に影響されてもよい。免疫不全症はまた、他の薬物療法の結果であってもよい。
【0226】
HSPCまたは操作されたHSPCは、再生不良性貧血、セディアック・ヒガシ症候群、全身性エリテマトーデス(SLE)、白血病、骨髄異形成症候群、骨髄線維症または血小板減少症を治療するのにも使用することができる。重度の血小板減少症は、Fanconiの貧血、Wiscott-Aldrich症候群またはMay-Hegglin症候群のような遺伝的欠損の結果生じてもよい。後天性血小板減少症は、免疫血小板減少性紫斑病、全身性エリテマトーデス、溶血性貧血または胎児母体組織不適合のような自己抗体または同種抗体から生じてもよい。加えて、脾腫、播種性血管内凝固、血栓性血小板減少性紫斑病、感染及び/または人工心臓弁は血小板減少症を生じてもよい。血小板減少症は、癌腫、リンパ腫、白血病または線維症による骨髄浸潤の結果生じてもよい。
【0227】
特定の実施形態では、対象は、たとえば、外傷による失血を有する、または失血のリスクがある。特定の実施形態では、対象は、たとえば、骨髄の損失または枯渇した骨髄を特徴とする先天的な、遺伝的なまたは後天的な症候群に関連する枯渇した骨髄を有する。特定の実施形態では、対象は造血を必要とする。
【0228】
骨髄ドナーに関連して示されるように、対象に対するHSPCまたは操作されたHSPCの投与は、投与する専門家によって有益であると思われた治療投薬計画の範囲内でいつでも生じることができる。非限定例として、HSPC及び/または操作されたHSPCは、たとえば、化学療法、放射線療法または骨髄移植の前に、それと同時に、またはその後で対象に投与することができる。HSPC及び/または操作されたHSPCの対象への投与の後、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10日を超えてもしくはそれ未満)で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10週を超えてもしくはそれ未満)で、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヵ月(または1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12ヵ月を超えてもしくはそれ未満)で、または1、2、3、4、5年(または1、2、3、4、5年を超えてもしくはそれ未満)でアッセイした場合、HSPC及び/または操作されたHSPCは、生着を提供するのに有効であることができる。特定の実施形態では、HSPC及び/または操作されたHSPCは、HSPC及び/またはCAR-HSPCの対象への投与の後、10日、2週間、3週間、4週間、6週間、または13週間でアッセイした場合、生着を提供するのに有効である。
【0229】
HSPC、操作されたHSPC及び操作されたエフェクター。HSPC、操作されたHSPC及び操作されたエフェクターは治療投薬計画の範囲内にて異なる目的で投与することができる。血液サポートを提供するためのHSPC及び操作されたHSPC、ならびにALLの治療における移植片対白血病効果を提供するための操作されたHSPC及び操作されたエフェクターの使用は上記で記載されている。血液サポートを提供するのに及び/または望ましくない癌細胞を標的とするのに、及び化学療法または放射線療法に対する付加治療として類似のアプローチを使用することができる。
【0230】
操作されたHSPC及び操作されたエフェクターで治療することができる例となる癌には、副腎癌、膀胱癌、血液癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、耳、鼻及び喉(ENT)の癌、子宮内膜癌、食道癌、消化器癌、頭頚部の癌、ホジキン病、腸癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、リンパ節の癌、リンパ腫、肺癌、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞型、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、精上皮腫、皮膚癌、胃癌、奇形腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、血管腫瘍、及びそれらの転移が挙げられる。
【0231】
癌の文脈では、治療上有効な量は抗癌効果を有する。抗癌効果は、腫瘍細胞の数の低下、転移の数の低下、腫瘍容積の低下、平均余命の増加、癌細胞のアポトーシスの誘導、癌細胞死の誘導、癌細胞の増殖の抑制、腫瘍増殖の抑制、転移の防止、対象の命の延長、及び/または治療に続く癌の再発または再発生の低下を観察することによって定量することができる。
【0232】
血液サポートの文脈では、治療上有効な量は、対象の循環における所望の細胞の数を増やすことによって免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を治療する。対象の循環にて細胞の所望の数を増やすことは、免疫系細胞及び/または免疫系細胞の前駆細胞の数を増やすことによって対象の免疫系を再構成することができる。
【0233】
操作されたHSPC及び操作されたエフェクターを利用する特定の実施形態では、対象の癌細胞は細胞マーカーの存在を特徴とすることができる。操作されたHSPCまたは操作されたエフェクターによって発現される結合ドメインは細胞マーカーの特徴に基づいて選択することができる。特定の実施形態では、予め生成された操作されたHSPC及び操作されたエフェクターは、特定の対象の癌細胞上で優先的に発現される細胞マーカーを結合する能力に基づいて対象の治療のために選択される。
【0234】
癌を治療するように製剤化される場合、開示されている組成物及び製剤は、p53、RB、BRCA1、E1A、bcl-2、MDR-1、p21、p16、bax、bcl-xs、E2F、IGF-I VEGF、アンギオスタチン、オンコスタチン、エンドスタチン、GM-CSF、IL-12、IL-2、IL-4、IL-7、IFN-γ、TNF-α及び/またはHSV-tkから選択される1以上の抗癌遺伝子を運ぶプラスミドDNAも含むことができる。組成物及び製剤は、アドリアマイシン、アンギオスタチン、アザチオプリン、ブレオマイシン、ブスルファン、カンプトテシン、カルボプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、クロロメタミン、クロロキノキサリンスルホンアミド、シスプラチン、サイクロホスファミド、シクロプラタム、シタラビン、ダカルバジン、ダクチノマイシン、ダウノルビシン、ジドックス、ドキソルビシン、エンドスタチン、エンロプラチン、エストラムスチン、エトポシド、エクストラムスチンホスフェート、フルシトシン、フルオロデオキシウリジン、フルオロウラシル、硝酸ガリウム、ヒドロキシ尿素、イドクスリジン、インターフェロン、インターロイキン、リュープロリド、ロバプラチン、ロムスチン、マンノムスチン、メクロレタミン、メクロレタミノキシド、メルファラン、メルカプトプリン、メソトレキセート、ミトラマイシン、ミトブロニトール、マイトマイシン、ミコフェノール酸、ノコダゾール、オンコスタチン、オキサリプラチン、パクリタキセル、ペンタムスチン、白金-トリアミン錯体、プリカマイシン、プレドニゾロン、プレドニゾン、プロカルバジン、タンパク質キナーゼC阻害剤、プロマイシン、セムスチン、シグナル伝達阻害剤、スピロプラチン、ストレプトゾトシン、ストロメリシン阻害剤、タキソール、テガフール、テロメラーゼ阻害剤、テニポシド、タリドミド、チアミプリン、チオグアニン、チオテパ、チアミプリン、テトラミン、トリアジクオン、トリフォスファミド、チロシンキナーゼ阻害剤、ウラムスチン、ビダラビン、ビンブラスチン、ビンカアルカロイド、ビンクリスチン、ビンデシン、ボロゾール、ゼニプラチン、ゼニプラチンまたはジノスタチンを含む1以上の抗腫瘍薬を含むこともでき、またはそれとの併用で投与することもできる。
【0235】
操作されたHSPC及び操作されたエフェクター。造血機能を提供する治療または免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を治療する治療が所望ではないまたは必要ではない場合、HSPCがなくても操作されたHSPC及び/または操作されたエフェクターを使用することができる。
【0236】
当業者によって理解されるように、様々な血液疾患及び癌の動物モデルが周知であり、必要または都合に応じてそれを用いて特定の治療の範例の有効性を評価することができる。
【0237】
特定の実施形態では、本開示は、タグカセットに特異的で且つ固体表面に連結されたまたは生体適合性マトリクス(たとえば、アルギネート、基底膜マトリクス(MATRIGEL(登録商標)、バイオポリマー)の一部としての同族結合分子にキメラ分子を発現している操作された細胞(たとえば、操作された幹細胞または非Tエフェクター細胞)を接触させることによって操作された細胞を選択的に活性化する方法を提供する。たとえば、キメラ分子を発現している操作された細胞は、タグカセットに特異的な同族結合分子(たとえば、抗体)で被覆されたまたはそれに結合されたビーズによって活性化されてもよい。たとえば、タグカセットがStrepタグであるならば、そのときはStrepTactinで被覆したビーズまたは抗Strepタグ抗体を結合したビーズを用いて操作された細胞の活性化を誘導することができる。特定の実施形態では、方法は、本開示のキメラ分子を発現している操作された細胞を試験管内または生体外で活性化することを含み、任意でさらにキメラ抗原受容体(CAR)を発現している。そのような活性化された操作された細胞は本明細書に記載されている疾患の治療方法で有用である。
【0238】
別の態様では、本開示は本開示のキメラ分子を発現している操作された幹細胞の増殖を選択的に促進する方法を提供する。特定の実施形態では、方法は、たとえば、抗体のようなタグの結合相手を用いたキメラ分子を発現している操作された細胞の選択的な試験管内または生体外の増殖を含む。さらなる実施形態では、方法は、タグの結合相手によって操作された細胞を増殖させることを含む。特定の実施形態では、抗タグ結合相手を用いて、キメラ分子(たとえば、WntまたはNotchのキメラ分子)を形質導入した造血幹細胞、胚性幹細胞または組織幹細胞(たとえば、神経幹細胞)を活性化し、自己再生させてもよく、増殖させてもよく、または治療上の使用のための1以上の所望の表現型に分化させてもよい。
【0239】
その上さらなる実施形態では、キメラ分子は、本開示のキメラ分子を発現している場合、操作された細胞の生体内での増殖の選択的促進を可能にする。特定の実施形態では、タグカセットを含むCARを発現している操作された細胞は、リガンドを発現している細胞に接触すると生体内でのCAR細胞の増殖を可能にする。そのような増殖させた操作された細胞は本明細書に記載されている疾患の治療法で有用である。特定の実施形態では、本明細書で開示されているようなキメラ分子を発現している細胞を増殖させることまたは増やすことが生体内で誘導され、それはタグカセットの結合相手(たとえば、抗タグカセット抗体)によって誘導されてもよい。
【0240】
示されるように、本明細書で開示されている操作された細胞は製造において及び/または研究ツールとして重要な用途を有する。研究ツールとしての用途に関して、操作された細胞を投与し、追跡することができる。特定の実施形態では、生体内での活性化に続いて操作された細胞を追跡することができる。投与に続く種々の時点で細胞を枯渇させるまたは除去する効果も評価することができる。これらの例は、本明細書で開示されている操作された細胞の潜在的な研究用途のほんの小さな一部である。
【0241】
例となる実施形態
1.造血幹細胞前駆細胞(HSPC)または非Tエフェクター細胞であって、外来性の同族結合分子(ExoCBM)を特異的に結合するタグカセットを含む細胞外成分を含むキメラ分子を発現するように遺伝子操作されるHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
2.細胞外成分が1、2、3、4または5のタグカセットを有する実施形態1のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
3.少なくとも1つのタグカセットが、Strepタグ、Hisタグ、Flagタグ、Xpressタグ、Aviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸塩タグ、HAタグ、Mycタグ、Nusタグ、Sタグ、Xタグ、SBPタグ、Sofタグ、V5タグ、CBP、GST、MBP、GFP、チオレドキシンタグ、またはそれらの組み合わせである、またはそれを含む実施形態1または2のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
4.少なくとも1つのタグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を含むStrepタグであるまたはそれを含む実施形態1~3のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
5.細胞外成分が疎水性部分を介して細胞内成分に連結される実施形態1~4のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
6.細胞外成分が、(i)細胞マーカーを特異的に結合する結合ドメインと、(ii)ヒンジとを含み、その際、細胞内成分がエフェクタードメインを含む実施形態5のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
7.少なくとも1つのタグカセットが、結合ドメインに対してアミノ末端または結合ドメインに対してカルボキシ末端に位置する実施形態5または6のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
8.タグカセットが、結合ドメインに対してアミノ末端、結合ドメインに対してカルボキシ末端に位置する、または少なくとも1つのタグカセットが結合ドメインに対してアミノ末端に位置し、且つ少なくとも1つのタグカセットが結合ドメインに対してカルボキシ末端に位置する、2以上の細胞外タグカセットを含む実施形態5~7のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
9.結合ドメインが1以上のタグカセットを含む実施形態5~8のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
10.結合ドメインがscFv、scTCR、受容体の細胞外ドメインまたはリガンドである実施形態5~9のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
11.scFvまたはscTCRが、1以上のタグカセットを含む可変領域リンカーを含む実施形態10のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
12.細胞マーカーが、CD3、CEACAM6、c-Met、EGFR、EGFRvIII、ErbB2、ErbB3、ErbB4、EphA2、IGF1R、GD2、O-アセチルGD2、O-アセチルGD3、GHRHR、GHR、FLT1、KDR、FLT4、CD44v6、CD151、CA125、CEA、CTLA-4、GITR、BTLA、TGFBR2、TGFBR1、IL6R、gp130、LewisA、LewisY、TNFR1、TNFR2、PD1、PD-L1、PD-L2、HVEM、MAGE-A、メソテリン、NY-ESO-1、PSMA、RANK、ROR1、TNFRSF4、CD40、CD137、TWEAK-R、HLA、HLAに結合した腫瘍もしくは病原体に関連するペプチド、HLAに結合したhTERTペプチド、HLAに結合したチロシナーゼペプチド、HLAに結合したWT-1ペプチド、LTβR、LIFRβ、LRP5、MUC1、OSMRβ、TCRα、TCRβ、CD19、CD20、CD22、CD25、CD28、CD30、CD33、CD52、CD56、CD80、CD81、CD86、CD123、CD171、CD276、B7H4、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robo1、α-フェトプロテイン(AFP)、Frizzled、OX40、またはCD79b、B7H4、TLR7、TLR9、PTCH1、WT-1、Robo1、α-フェトプロテイン(AFP)、Frizzled、OX40、またはCD79bを含む実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
13.細胞マーカーが、CD19、ROR1、PSMA、PSCA、メソテリン、CD20、WT1、またはHer2を含む実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
14.リガンド結合ドメインがCD19を結合し;細胞外成分がヒトIgG4のヒンジ領域を含むスペーサー領域を含み;細胞内成分がCD28または4-1BBの細胞質ドメインを含むエフェクタードメインを含み;疎水性部分がヒトの膜貫通ドメインを含む実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
15.リガンド結合ドメインが、RASQDISKYLN(配列番号108)のCDRL1配列と、SRLHSGV(配列番号111)のCDRL2配列と、GNTLPYTFG(配列番号104)のCDRL3配列と、DYGVS(配列番号103)のCDRH1配列と、VTWGSETTYYNSALKS(配列番号114)のCDRH2配列と、YAMDYWG(配列番号115)のCDRH3配列とを含む単鎖Fv断片(scFv)である実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
16.細胞外成分が、12未満のアミノ酸のスペーサー領域を含む実施形態15のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
17.スペーサー領域が配列番号47を含む実施形態16のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
18.配列番号34、53、54、55、56、57または58を含むキメラ抗原受容体(CAR)を発現するように遺伝子操作される実施形態1~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
19.リガンド結合ドメインがROR1を結合する実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
20.リガンド結合ドメインが、ASGFDFSAYYM(配列番号101)のCDRL1配列と、TIYPSSG(配列番号112)のCDRL2配列と、ADRATYFCA(配列番号100)のCDRL3配列と、DTIDWY(配列番号102)のCDRH1配列と、VQSDGSYTKRPGVPDR(配列番号113)のCDRH2配列と、YIGGYVFG(配列番号117)のCDRH3配列とを含むscFvである実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
21.リガンド結合ドメインが、SGSDINDYPIS(配列番号109)のCDRL1配列と、INSGGST(配列番号105)のCDRL2配列と、YFCARGYS(配列番号116)のCDRL3配列と、SNLAW(配列番号110)のCDRH1配列と、RASNLASGVPSRFSGS(配列番号107)のCDRH2配列と、NVSYRTSF(配列番号106)のCDRH3配列とを含むscFvである実施形態6~11のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
22.細胞外成分が、229以下のアミノ酸のスペーサー領域を含む実施形態21のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
23.スペーサー領域が配列番号61を含む実施形態22のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
24.細胞内成分が、4-1BB、B7-H3、CARD11、CD2、CD3γ、CD3δ、CD3ε、CD3ζ、CD7、CD25、CD27、CD28、CD30、CD40、CD79A、CD79B、DAP10、FcRα、FcRβ、FcRγ、Fyn、HVEM、ICOS、LAG3、LAT、Lck、LFA-1、LIGHT、LRP、NKG2C、NKG2D、NOTCH1、NOTCH2、NOTCH3、NOTCH4、pTα、PTCH2、OX40、ROR2、Ryk、SLAMF1、Slp76、TCRα、TCRβ、TRIM、Wnt、及びZap70から選択される1以上のシグナル伝達ドメイン、刺激ドメインまたは共刺激ドメインを含むエフェクタードメインを含む実施形態5~17または19~23のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
25.細胞内成分が、(i)CD3ζのシグナル伝達ドメインの全部または一部、(ii)CD28のシグナル伝達ドメインの全部または一部、(iii)4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部または一部、または(iv)CD3ζ、CD28及び/または4-1BBのシグナル伝達ドメインの全部または一部を含む細胞内シグナル伝達ドメインを含むエフェクタードメインを含む実施形態5~17または19~23のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
26.細胞内成分が、CD3ζの変異体及び/または4-1BBの細胞内シグナル伝達ドメインの一部を含むエフェクタードメインを含む実施形態5~17または19~23のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
27.細胞外成分がスペーサー領域を含む実施形態1~26のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
28.スペーサー領域が、ヒト抗体のヒンジ領域の一部を含む実施形態27のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
29.スペーサー領域が、ヒンジ領域と、CH1、CH2、CH3またはそれらの組み合わせから選択されるヒト抗体のFcドメインの少なくとも1つの他の部分とを含む実施形態27または28のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
30.スペーサー領域が、Fcドメインと、ヒトIgG4重鎖のヒンジとを含む実施形態27または28のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
31.スペーサー領域が、12未満のアミノ酸、119未満のアミノ酸、または229未満のアミノ酸から選択される長さのものである実施形態27~30のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
32.スペーサー領域が、配列番号47、配列番号52または配列番号61である実施形態27のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
33.疎水性部分がヒトの膜貫通ドメインを含む実施形態5~32のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
34.膜貫通ドメインが、CD28の膜貫通ドメイン、CD4の膜貫通ドメイン、CD8の膜貫通ドメイン、またはCD27の膜貫通ドメインである実施形態33のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
35.細胞外成分がさらに、内在性の同族結合分子(EndoCBM)を結合するタグ配列を含む実施形態1~34のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
36.タグ配列が、細胞内シグナル伝達ドメインを欠いているEGFRである実施形態35のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
37.キメラ分子がリンカー配列を含む実施形態1~36のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
38.リンカー配列が(GlyxSery)nの配列を含み、nは1~10の整数であり、x及びyは双方ともが0になることはないという条件で独立して0~10の整数である実施形態37のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
39.リンカー配列がCH2CH3またはCH3である実施形態37のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
40.リンカー配列が、Gly-Gly-Gly-Gly-Ser(配列番号145)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号122)、または(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser(配列番号156)のアミノ酸配列を有する実施形態37のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
41.キメラ分子が、1以上のタグカセットに隣接するリンカー配列を含み、リンカー配列及び隣接するタグカセットがまとめて、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号139)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号140)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号141)、Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号142)、(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号143)、またはTrp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Ser)2-Gly-Gly-Ser-Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys-(Gly-Gly-Gly-Gly-Ser)2(配列番号144)のアミノ酸配列を有する実施形態1~37のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
42.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、タグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む実施形態1~6または9~41のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
43.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のタグカセットと、第2のタグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む実施形態1~6または9~41のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
44.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、第1のタグカセットと、第2のタグカセットと、第3のタグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む実施形態1~6または9~41のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
45.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、タグカセットと、細胞外結合ドメインと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む実施形態1~6または9~41のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
46.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外結合ドメインと、2~5のタグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含む実施形態1~6または9~41のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
47.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、可変領域間に配置される可変領域リンカーを含み、タグカセットを含有する細胞外scFvまたはscTCR結合ドメインと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含有する実施形態1~6または9~41のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
48.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、細胞外scFvまたはscTCR結合ドメインと、タグカセットと、IgGヒンジと、膜貫通ドメインと、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含み、その際、エフェクタードメインが、4-1BBとCD3ζ、CD27とCD3ζ、CD28とCD3ζ、OX40とCD3ζ、CD28と4-1BBとCD3ζ、OX40と4-1BBとCD3ζ、またはCD28とOX40とCD3ζを含む実施形態1のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
49.キメラ分子がアミノ末端からカルボキシ末端までにて、受容体細胞外ドメインを含む細胞外結合ドメインと、タグカセットと、ヒンジと、疎水性部分と、エフェクタードメインを含む細胞内成分とを含み、エフェクタードメインが、4-1BB、CD27、CD28またはOX40を含む実施形態1のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
50.キメラ分子がさらに、細胞傷害剤、放射性同位元素、放射性金属または検出可能因子を含む実施形態1~49のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
51.細胞外成分がさらに細胞傷害剤、放射性同位元素、放射性金属または検出可能因子を含む実施形態1~49のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
52.HSPCがCD34+HSPCであり、及び/または非Tエフェクター細胞がナチュラルキラー細胞である実施形態1~51のHSPCまたは非Tエフェクター細胞。
53.薬学上許容できるキャリアと、実施形態1~52のいずれか1つの遺伝子操作されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞とを含む組成物。
54.組成物内のHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMをさらに含む実施形態53の組成物。
55.組成物内のHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMをさらに含む実施形態53の組成物。
56.さらに、組成物内のHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、組成物内のHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMとを含む実施形態53の組成物。
57.点滴または注射のために製剤化される実施形態53~56の組成物。
58.薬学上許容できるキャリアと、実施形態1~52のいずれか1つの遺伝子操作されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞とを含む製剤。
59.さらに、組成物内のHSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMをさらに含む実施形態58の製剤。
60.さらに、組成物内のHSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMとを含む実施形態58の製剤。
61.さらに、組成物内のHSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、組成物内のHSPC及び/または非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMとを含む実施形態58の製剤。
62.点滴または注射のために製剤化される実施形態58~61の製剤。
63.実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMを含む組成物。
64.さらに、HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMを含む実施形態63の組成物。
65.実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を活性化する方法であって、HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMにHSPCまたは非Tエフェクター細胞を接触させ、それによってHSPCまたは非Tエフェクター細胞を活性化することを含む、方法。
66.HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激分子を特異的に結合するEndoCBMにHSPCまたは非Tエフェクター細胞を接触させることをさらに含む実施形態65の方法。
67.EndoCBMが、Notchアゴニスト、アンギオポエチン様タンパク質、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF);及びトロンボポエチン(TPO)から選択される実施形態65の方法。
68.EndoCBMが、SCF、Flt-3L、TPO、IL-6及びIL-3である実施形態67の方法。
69.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである実施形態65~68の方法。
70.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態65~69の方法。
71.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態65~70の方法。
72.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態65~71の方法。
73.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態65~72の方法。
74.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態65~73の方法。
75.活性化することが試験管内、生体内または生体外で実施される実施形態65~74の方法。
76.実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞の増殖を促進する方法であって、HSPCまたは非Tエフェクター細胞を(i)HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、(ii)HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激因子を特異的に結合するEndoCBMとにHSPCまたは非Tエフェクター細胞の増殖を促進するのに十分な時間、接触させることを含む、方法。
77.EndoCBMが、Notchアゴニスト、アンギオポエチン様タンパク質、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF);及びトロンボポエチン(TPO)から選択される実施形態76の方法。
78.EndoCBMが、SCF、Flt-3L、TPO、IL-6及びIL-3である実施形態77の方法。
79.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである実施形態76~78の方法。
80.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態76~79の方法。
81.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態76~80の方法。
82.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態76~81の方法。
83.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態76~82の方法。
84.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態76~83の方法。
85.活性化することが試験管内、生体内または生体外で実施される実施形態76~84の方法。
86.HSPCまたは非Tエフェクター細胞を検出する方法であって、実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を含む試料を、HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMに接触させ、ExoCBMは検出可能部分を含むことと、検出可能部分を含むExoCBMの特異的な結合に基づいて試料におけるHSPCまたは非Tエフェクター細胞の存在を検出することとを含む、方法。
87.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである実施形態86の方法。
88.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態86または87の方法。
89.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態86~88の方法。
90.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態86~89の方法。
91.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態86~90の方法。
92.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態86~91の方法。
93.検出することが試験管内、生体内または生体外で実施される実施形態86~92の方法。
94.検出可能部分が蛍光マーカーである実施形態86~93の方法。
95.検出可能部分がAPC、PE、パシフィックブルー、アレクサフルオル、またはFITCである実施形態86~94の方法。
96.検出がフローサイトメトリーを用いて生じる実施形態86~95の方法。
97.実施形態1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を濃縮するまたは単離する方法であって、HSPCまたは非Tエフェクター細胞を含む試料を、HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMに接触させることと、試料にてタグカセットを発現していない他の細胞からHSPCまたは非Tエフェクター細胞を濃縮することまたは単離することとを含む、方法。
98.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグ-scFvである実施形態97の方法。
99.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態97または98の方法。
100.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態97~99の方法。
101.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態9~100の方法。
102.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態97~101の方法。
103.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態97~102の方法。
104.HSPCまたは非Tエフェクター細胞が磁気カラムクロマトグラフィによって濃縮されるまたは単離される実施形態97~103の方法。
105.濃縮されたまたは単離されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMにHSPCまたは非Tエフェクター細胞を接触させ、ExoCBMは検出可能部分を含むことと、検出可能部分を含むExoCBMの特異的な結合に基づいて試料におけるHSPCまたは非Tエフェクター細胞の存在を検出することとによって、濃縮されたまたは単離されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞を検出することを含む実施形態97~104の方法。
106.検出可能部分が蛍光マーカーである実施形態105の方法。
107.検出可能部分がAPC、PE、パシフィックブルー、アレクサフルオル、またはFITCである実施形態105または106の方法。
108.検出がフローサイトメトリーを用いて生じる実施形態105~107の方法。
109.実施形態1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を枯渇させるまたは除去する方法であって、HSPCまたは非Tエフェクター細胞を含む試料を、HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMに接触させることを含み、その際、ExoCBMのタグカセットへの結合がタグカセットを発現しているHSPCまたは非Tエフェクター細胞の細胞死をもたらす、方法。
110.ExoCBMが二重特異性結合ドメインを含み、第1の結合ドメインがタグカセットに対して特異的であり、第2の結合ドメインがCD3に対して特異的である実施形態109の方法。
111.ExoCBMが細胞傷害剤、放射性同位元素または放射性金属剤を含む実施形態109または110の方法。
112.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体、抗タグscFv、またはその細胞表面上に抗タグ結合ドメインを持つ細胞を含む実施形態109~111の方法。
113.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態109~112の方法。
114.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態109~113の方法。
115.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態109~114の方法。
116.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態109~115の方法。
117.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態109~116の方法。
118.投与された、実施形態1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を追跡する方法であって、ExoCBMが検出可能部分を含む、HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMを対象に投与することと、検出可能部分を含むExoCBMの特異的な結合に基づいて対象内でのHSPCまたは非Tエフェクター細胞の存在を検出することとを含む、方法。
119.HSPCまたは非Tエフェクター細胞とExoCBMとが同時に投与される実施形態118の方法。
120.HSPCまたは非Tエフェクター細胞とExoCBMとが組成物または製剤として投与される実施形態118または119の方法。
121.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグscFvである実施形態118~120の方法。
122.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態118~121の方法。
123.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態118~122の方法。
124.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態118~123の方法。
125.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態118~124の方法。
126.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態118~125の方法。
127.検出可能部分が蛍光マーカーを含む実施形態118~126の方法。
128.検出可能部分がAPC、PE、パシフィックブルー、アレクサフルオル、またはFITCを含む実施形態118~127の方法。
129.検出可能部分が、磁気粒子、超常磁性イオン酸化物(SPIO)、フルオロデオキシグルコース(18F)、蛍光化合物、またはそれらの組み合わせを含む実施形態118~128の方法。
130.追跡することが、MRI、PETまたは近赤外線画像診断を含む実施形態118~129の方法。
131.投与された、実施形態1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を活性化する方法であって、対象に(i)HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMと、(ii)HSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現される刺激因子を特異的に結合するEndoCBMとを投与することを含み、その際、ExoCBMとEndoCBMの特異的な結合がHSPCまたは非Tエフェクター細胞を生体内で活性化する、方法。
132.EndoCBMが、Notchアゴニスト、アンギオポエチン様タンパク質、エリスロポエチン、線維芽細胞増殖因子-1(FGF-1);Flt-3リガンド(Flt-3L);顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF);顆粒球/マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF);インスリン増殖因子-2(IFG-2);インターロイキン-3(IL-3);インターロイキン-6(IL-6);インターロイキン-7(IL-7);インターロイキン-11(IL-11);幹細胞因子(SCF);及びトロンボポエチン(TPO)から選択される実施形態131の方法。
133.EndoCBMが、SCF、Flt-3L、TPO、IL-6及びIL-3である実施形態132の方法。
134.HSPCまたは非Tエフェクター細胞と、ExoCBMと、EndoCBMとが同時に投与される実施形態131~133の方法。
135.HSPCまたは非Tエフェクター細胞と、ExoCBMと、EndoCBMとが組成物または製剤として投与される実施形態131~134の方法。
136.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体及び/または抗タグscFvである実施形態131~135の方法。
137.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態131~136の方法。
138.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態131~137の方法。
139.投与された、実施形態1~52のいずれかのHSPCまたは非Tエフェクター細胞を枯渇させる方法であって、投与されたHSPCまたは非Tエフェクター細胞によって発現されるタグカセットを特異的に結合するExoCBMを投与することを含み、その際、ExoCBMのタグカセットへの結合がタグカセットを発現しているHSPCまたは非Tエフェクター細胞の細胞死をもたらす、方法。
140.ExoCBMが二重特異性結合ドメインを含み、第1の結合ドメインがタグカセットに対して特異的であり、第2の結合ドメインがCD3に対して特異的である実施形態139の方法。
141.ExoCBMが細胞傷害剤、放射性同位元素または放射性金属剤を含む実施形態139または140の方法。
142.ExoCBMが、同族受容体、抗タグ抗体、抗タグscFv、またはその細胞表面上に抗タグ結合ドメインを持つ細胞を含む実施形態139~141の方法。
143.タグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を有するStrepタグである実施形態139~142の方法。
144.タグカセットを特異的に結合するExoCBMがビオチン結合タンパク質または抗Strepタグ抗体である実施形態139~143の方法。
145.ExoCBMが固体表面に連結される実施形態139~144の方法。
146.ExoCBMが、平面、アガロース、樹脂、3D構造マトリクス、またはビーズに連結される実施形態139~145の方法。
147.ExoCBMがマイクロビーズまたはナノビーズに連結される実施形態139~146の方法。
148.対象における状態を治療する方法であって、対象に治療上有効な量の実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞、治療上有効な量の実施形態53~57、63もしくは64のいずれか1つの組成物、または治療上有効な量の実施形態58~62のいずれか1つの製剤を投与し、それによって対象における状態を治療することを含む、方法。
149.投与の前に対象との免疫学的適合が必要とされない実施形態148の方法。
150.対象が、再発した小児急性リンパ芽球性白血病患者である実施形態148または149の方法。
151.方法がさらに、タグカセットを特異的に結合するExoCBMを投与した後、対象にてサイトカインのレベルをモニターすることを含む実施形態148~150の方法。
152.状態が、免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症である実施形態148~151の方法。
153.免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTのための骨髄機能廃絶計画及び/または急性イオン化放射線照射のせいである実施形態152の方法。
154.状態が枯渇した免疫系である実施形態148~151の方法。
155.枯渇した免疫系が、ウイルス感染、微生物感染、寄生虫感染、腎疾患及び/または腎不全のせいで生じた実施形態154の方法。
156.枯渇した免疫系が、骨髄抑制または造血欠損を引き起こす薬剤への曝露のせいで生じた実施形態154または155の方法。
157.枯渇した免疫系が、ペニシリン、ガンシクロビル、ダウノマイシン、メプロバメート、アミノプリン、ジピロン、フェニトイン、カルバマゼピン、プロピルチオウラシル、及び/またはメチマゾールへの曝露のせいで生じた実施形態154~156の方法。
158.枯渇した免疫系が、透析への曝露のせいで生じた実施形態154~157の方法。
159.さらに、対象に遺伝子操作していないHSPCを投与することを含む実施形態148~158の方法。
160.実施形態118~147の方法のいずれかにしたがって、投与されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞を活性化すること、追跡することまたは枯渇させることをさらに含む実施形態148~159の方法。
161.それを必要とする対象にて免疫系を再構成する方法であって、対象に治療上有効な量の実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞、治療上有効な量の実施形態53~57、63もしくは64のいずれか1つの組成物、または治療上有効な量の実施形態58~62のいずれか1つの製剤を投与し、それによって対象の免疫系を再構成することを含む、方法。
162.投与の前に対象との免疫学的適合が必要とされない実施形態161の方法。
163.対象に治療上有効な量の実施形態1~52のいずれか1つの遺伝子操作されたHSPC及び/または遺伝子操作された非Tエフェクター細胞を投与し、それにより癌細胞を標的とすることによって、対象にて細胞マーカーを発現している癌細胞を標的とすることをさらに含む実施形態161または162の方法。
164.癌細胞が、副腎癌、膀胱癌、血液癌、骨癌、脳腫瘍、乳癌、癌腫、子宮頸癌、結腸癌、結腸直腸癌、子宮体癌、耳、鼻及び喉(ENT)の癌、子宮内膜癌、食道癌、消化器癌、頭頚部の癌、ホジキン病、腸癌、腎臓癌、喉頭癌、白血病、肝臓癌、リンパ節癌、リンパ腫、肺癌、黒色腫、中皮腫、骨髄腫、鼻咽頭癌、神経芽細胞型、非ホジキンリンパ腫、口腔癌、卵巣癌、膵臓癌、陰茎癌、咽頭癌、前立腺癌、直腸癌、肉腫、精上皮腫、皮膚癌、胃癌、奇形腫、精巣癌、甲状腺癌、子宮癌、膣癌、血管腫瘍、及び/またはそれらの転移に由来する実施形態163の方法。
165.癌細胞の細胞マーカー(複数可)が、A33;BAGE;Bcl-2;β-カテニン;B7H4;BTLA;CA125;CA19-9;CD5;CD19;CD20;CD21;CD22;CD33;CD37;CD44v6;CD45;CD123;CEA;CEACAM6;c-Met;CS-1;サイクリンB1;DAGE;EBNA;EGFR;エフリンB2;ErbB2;ErbB3;ErbB4;EphA2;エストロゲン受容体;FAP;フェリチン;α-フェトプロテイン(AFP);FLT1;FLT4;葉酸結合タンパク質;Frizzled;GAGE;G250;GD-2;GHRHR;GHR;GM2;gp75;gp100(Pmel17);gp130;HLA;HER-2/neu;HPV E6;HPVE7;hTERT;HVEM;IGF1R;IL6R;KDR;Ki-67;LIFRβ;LRP;LRP5;LTβR;メソテリン;OSMRβ;p53;PD1;PD-L1;PD-L2;PRAME;プロゲステロン受容体;PSA;PSMA;PTCH1;MAGE;MART;メソテリン;MUC;MUC1;MUM-1-B;myc;NYESO-1;RANK;ras;Robo1;RORl;サバイビン;TCRα;TCRβ;テネイシン;TGFBR1;TGFBR2;TLR7;TLR9;TNFR1;TNFR2;TNFRSF4;TWEAK-R;TSTAチロシナーゼ;VEGF;及びWT1から選択される実施形態163の方法。
166.癌が白血病/リンパ腫であり、細胞マーカー(複数可)がCD19、CD20、CD22、ROR1、CD33及びWT1の1以上である;癌が多発性骨髄腫であり、細胞マーカーがBCMAである;癌が前立腺癌であり、細胞マーカー(複数可)がPSMA、WT1、PSCA及びSV40Tの1以上である;癌が乳癌であり、細胞マーカー(複数可)がHER2、ERBB2及びROR1の1以上である;癌が幹細胞癌であり、細胞マーカーがCD133である;癌が卵巣癌であり、細胞マーカー(複数可)がL1-CAM、MUC-CD、葉酸受容体、ルイスY、ROR1、メソテリン及びWT-1の1以上である;癌が中皮腫であり、細胞マーカーがメソテリンである;癌が腎細胞癌であり、細胞マーカーがCAIXである;癌が黒色腫であり、細胞マーカーがGD2である;癌が膵臓癌であり、細胞マーカー(複数可)がメソテリン、CEA、CD24及びROR1の1以上である;または癌が肺癌であり、細胞マーカーがROR1である実施形態163の方法。
167.癌細胞が、CD19を発現している急性リンパ芽球性白血病細胞である実施形態163の方法。
168.癌が急性リンパ芽球性白血病であり、対象が小児患者である実施形態163の方法。
169.実施形態118~147の方法のいずれかにしたがって、投与されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞を活性化すること、追跡すること、または枯渇させることをさらに含む実施形態163~168の方法。
170.CD19を優先的に発現している細胞を破壊のために標的とする方法であって、それを必要とする対象に治療上有効な量の遺伝子操作されたHSPC及び/または遺伝子操作された非Tエフェクター細胞を投与することを含み、その際、遺伝子操作された細胞は、(i)少なくとも1つのタグカセットとCD19リガンドの結合ドメインとを含む細胞外成分と、(ii)エフェクタードメインを含む細胞内成分とを発現し、それによってCD19を優先的に発現している細胞を標的とし、破壊する、方法。
171.投与の前に対象との免疫学的適合が必要とされない実施形態170の方法。
172.CD19を優先的に発現している細胞が急性リンパ芽球性白血病細胞である実施形態170または171の方法。
173.対象が、再発した小児急性リンパ芽球性白血病患者である実施形態170~172の方法。
174.少なくとも1つのタグカセットが、Strepタグ、Hisタグ、Flagタグ、Xpressタグ、Aviタグ、カルモジュリンタグ、ポリグルタミン酸塩タグ、HAタグ、Mycタグ、Nusタグ、Sタグ、Xタグ、SBPタグ、Sofタグ、V5タグ、CBP、GST、MBP、GFP、チオレドキシンタグ、またはそれらの組み合わせである、またはそれを含む実施形態170~173の方法。
175.少なくとも1つのタグカセットが、アミノ酸配列Trp-Ser-His-Pro-Gln-Phe-Glu-Lys(配列番号118)またはTrp-Arg-His-Pro-Gln-Phe-Gly-Gly(配列番号137)を含むStrepタグであるまたはそれを含む実施形態170~174の方法。
176.治療上有効な量のHSPCを対象に投与することによって対象にて免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症を治療することをさらに含む実施形態170~175の方法。
177.免疫不全症、汎血球減少症、好中球減少症、及び/または白血球減少症が、化学療法、放射線療法、及び/またはHCTのための骨髄機能廃絶計画のせいである実施形態176の方法。
178.実施形態118~147の方法のいずれかにしたがって、投与されたHSPC及び/または非Tエフェクター細胞を活性化すること、追跡すること、または枯渇させることをさらに含む実施形態170~177の方法。
179.対象にて癌細胞を標的とする方法であって、対象に由来する癌細胞上で優先的に発現される少なくとも1つの細胞マーカーを特定することと、特定された少なくとも1つの細胞マーカーに基づいて、対象に治療上有効な量の実施形態1~52のいずれか1つのHSPCまたは非Tエフェクター細胞、治療上有効な量の実施形態53~57、63もしくは64のいずれか1つの組成物、または治療上有効な量の実施形態58~62のいずれか1つの製剤を投与することとを含む、方法。
180.実施形態53~57、63もしくは64のいずれか1つの組成物を含むキットであって、キットが、免疫学的適合がなくても組成物を対象に投与することができることを通知する指示書を含む、キット。
181.実施形態58~62のいずれか1つの製剤を含むキットであって、キットが、免疫学的適合がなくても製剤を対象に投与することができることを通知する指示書を含む、キット。
182.実施形態53~57、63もしくは64のいずれか1つの組成物及び実施形態58~62のいずれか1つの製剤を含むキットであって、キットが、免疫学的適合がなくても組成物または製剤を対象に投与することができることを通知する指示書を含む、キット。
【0242】
以下の実施例及び例となる実施形態は、本開示の特定の実施形態を実証するように含められる。当業者は本開示の観点から、本明細書で開示されている具体的な実施形態に対して多数の変更を行うことができ、それは本開示の精神及び範囲から逸脱することなく類似のまたは同様の結果をそれでもやはり得ることを理解するべきである。
【実施例0243】
例となる実施形態
実施例1.
CD19-CARとhuEGFRtの選択/自殺構築物の協調的発現のための2つの第3世代レンチウイルスベクターの設計及びcGMP生成を行った。双方について、CD19特異的なCARと細胞内シグナル伝達ドメインを含有しない切り詰めたヒトEGFRタンパク質であるhuEGFRtとをコードするcGMP条件下でのSIN水疱性口内炎ウイルスG(VSV-G)偽型レンチウイルスベクターを開発した。CD19に特異的なscFvFc-CD3ζCD28 CARとhuEGFRtのベクターは、U3領域がCMVプロモータで置き換えられているハイブリッド5’LTRと、シス作動性の調節性配列がU3領域から完全に取り除かれている3’LTRを含有する。その結果、5’及び3’のLTRは双方とも、プロウイルスが生成され、染色体に組み込まれると不活化される。CD19CARは、ヒトのGMCSFRα鎖のリーダー配列と、CD19に特異的なマウスIgG1mAb(FMC63)に由来するVL及びVHの配列と、ヒトのIgG4重鎖のFc及びヒンジの領域と、ヒトCD28の膜貫通領域と、CD3ζ及びCD28の細胞質ドメインとを含む。この構築物は、CMVプロモータがヒトEF-1αプロモータと交換された修飾されたpHIV7にクローニングされた(
図29A)。ベクターはT2A要素の使用を介してCD19CARとhuEGFRtのほぼ1:1の発現を可能にする。第2は、表面発現を指示するためのヒトGMCSF受容体α鎖シグナル配列のN末端リーダーペプチドと、IgG1マウスモノクローナル抗体(FMC63)に由来するCD19に特異的なscFvと、ヒトIgG4のヒンジと、ヒトCD28の膜貫通領域と、ヒトCD3ζの細胞質尾部を伴った4-1BBの共刺激要素とをコードするCD19に特異的なscFv-4-1BB/CD3ζ CAR断片である(
図29B)。再び、ベクターはT2A要素の使用を介してCD19CARとhuEGFRtのほぼ1:1の発現を可能にする。
【0244】
huEGFRtの発現は、形質導入効率の簡単な検査を可能にする第2の細胞表面マーカーを提供する。ビオチン化されたアービタックスは細胞表面に発現されたhuEGFRtに結合し、フローサイトメトリーによる解析のための蛍光色素で標識することができる。さらに、アービタックスの治療による臨床設定にてそれは自殺遺伝子として使用することができる。CARの代わりにeGFP伴う類似のベクターも生成した。huEGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【0245】
実施例2.CB HSPCのNotchが介在する生体外の増殖は、十分に認容されている臨床的に検証された細胞療法用の製品であり、HLAの一致がなくても即納で提供することができ、HCT及び強化化学療法の設定の双方で一時的な骨髄の生着を提供する。即納の増殖させた単位は、>85人の対象に点滴されており、DMSOに起因するアレルギー反応の1例を除いて重篤な有害事象は指摘されていない。さらに、HCTの設定で180日目を超える及び化学療法の設定での点滴後14日を超える持続する生着は今までにない。
【0246】
方法。臍帯血/胎盤血の単位(複数可)を出産時のヒト(複数可)から採取した。採取した血液を抗凝固剤と混合して凝固を防ぎ、保存した。増殖培養の予定した開始に先立って、組織培養容器を先ず、4℃で一晩または37℃で最低2時間、リン酸緩衝生理食塩水(PBS)における2.5μg/mlのDelta1ext-IgGと5μg/mlのRETRONECTIN(登録商標)(組換えヒトフィブロネクチン断片)(Clontech Laboratories,Inc.,Madison,Wl)で被覆した。次いでフラスコをPBSで洗浄し、PBS/2%ヒト血清アルブミン(HSA)でブロックした。新鮮な臍帯血単位を赤血球溶解し、AUTOMACS(登録商標)細胞分離システム(Miltenyi Biotec GmbH,Gladbach,Germany)を用いてCD34+細胞について選択するように処理した。濃縮の後、試料におけるCD34+細胞の比率は、濃縮の前の試料におけるCD34+細胞の比率に比べて増加する。濃縮したCD34+細胞分画を最終培養培地に再浮遊したが、それは、rhIL-3(10ng/ml)とrhIL-6(50ng/ml)とrhTPO(50ng/ml)とrhFlt-3L(50ng/ml)とrhSCF(50ng/ml)によって補完されたSTEMSPAN(商標)無血清増殖培地(StemCell Technologies,Vancouver,British Columbia)から成る。
【0247】
CD19に特異的なscFvFc:CD28:ζキメラ抗原受容体とhuEGFRt選択自殺構築物との同時発現を指図するSINレンチウイルスベクターを、レンチウイルス上清(MOI3)と4μg/mlの硫酸プロタミンと共に32℃で800×gにて45分間遠心することを介して、3または4日目のNotchで増殖させたCB幹細胞に形質導入した。或いは、SINレンチウイルスベクターは4-1BBの共刺激をコードした(図の短い説明を参照のこと)。潜在的なシグナル伝達能を持つHSPC上でのCARの発現の懸念のために、放射線照射したLCLを1:1の比で培養7日目に加えて抗原刺激を提供した。huEGFRtは、たとえば、STREPタグ(登録商標)II(配列番号118)、Mycタグ(配列番号119)、V5タグ(配列番号120)、FLAG(登録商標)タグ(配列番号121)、Hisタグ、または本明細書で開示されているような他のペプチドもしくは分子のようなExoCBMを結合しているタグカセットによって置き換えることができ、または補完することができる。
【0248】
増殖培養の終了時、NK細胞及び好中球はいまだに未成熟である。溶解能を完全に評価するために、培養方法を工夫して成熟性を高めた。NK細胞については、培養のさらに1週間、ヒト血清、50U/mLのIL-2及び500ng/mLのIL-15で補完されたRPMI培地またはヒト血清、L-グルタミン、50U/mLのIL-2及び500ng/mLのIL-15で補完されたRPMI培地に培養物を入れ替えた。
【0249】
NOD/SCID IL2Rヌル(NOG)マウスモデルを用いて増殖させたCB細胞の生着を評価した。半致死量の放射線照射を受けた後、マウスは増殖させたCB細胞を確実に生着させることができる。形質導入した増殖させたCB細胞による生着を見るために、線形加速装置によって325cGyの線量にてNOGマウスに放射線照射し、Delta-1ext-IgGで培養したCD34+CB細胞10,000~30,000個から生成された子孫細胞を尾静脈注射を介して注入した。
【0250】
結果。形質導入効率は10%から>50%に及び、CD34+細胞とCD34-細胞の間では一般に同等の形質導入があった。コピー数の解析は、検証されたリアルタイム定量PCR解析によって決定されたように1~4コピー/細胞を明らかにしたが、それは臨床遺伝子治療の細胞製品に対するFDAの要件に合致する。
【0251】
Notchリガンドで培養したCD34+CB細胞は種々の細胞型を含有し、それは免疫表現型検査に基づいて特定することができる。CD19CARレンチウイルスによって形質導入した培養物を同じ臍帯血単位に由来する形質導入しなかった培養物と比べたところ、回収時点の最終的な免疫表現型検査、またはCD34の増殖倍率及びTNCの増殖倍率を含む培養における細胞の増殖全体に関して有意な差異は検出されていない。
【0252】
導入遺伝子の発現は14日での最終的な培養の表現型には影響を与えなかったが、導入遺伝子の発現は細胞のサブセットすべてに見られ、培養期間にわたって相対的に安定であると思われる。
【0253】
細胞培養物をCD19
+LCLに曝露して抗原への曝露が培養物に対して悪影響を引き起こすかどうかを判定する追加の実験を行った。7日目の培養物に対して1:1の比で放射線照射したLCLを加えることは厄介な結末を有さず、実際、形質導入した及び形質導入しなかった培養物の双方にて増殖及び生存率を高めた。LCLがCAR+集団を増やすとは思われなかったということは、抗原はCARを発現している未成熟細胞の増殖を高めないことを示唆している。さらに、導入遺伝子は最終製品の細胞の表現型サブセットのすべてで同等に検出されている。これらの結果のグラフでの説明については、
図30A、30B、31、32及び33を参照のこと。
【0254】
CD19CARの発現を介してCD19に遭遇する際のエフェクター機能の導入は、操作されたCB HSPC細胞の最終的な抗癌(たとえば、抗白血病)活性にとって重要である。分化培養条件はNK細胞の増加を生じた(
図34)。CD56
+細胞の分画を選別し、K562及びLCLの標的細胞によるCRAで使用した。予想どおり、形質導入しなかった細胞及び形質導入した細胞は双方ともK562を殺傷することができ、LCLも双方によって殺傷されたが、LCLの溶解はCARの発現を介して有意に増強された。さらに詳しくは、CD19-CARを発現しているNK細胞は形質導入しなかったNK細胞に比べて高い細胞傷害活性を有した(50%対30%)のに対して双方はK562標的を同等に殺傷した(75%対80%)。
図35を参照のこと。
【0255】
増殖させたCB細胞を移植した場合NOGモデルは、移植後4~5週目ころから始まってCD19
+細胞の大きな集団の発生をもたらした。形質導入した細胞の早期の生着には影響はなかったが、形質導入しなかった細胞に比べてCD19CARを発現している細胞を移植したマウスではCD19の生着で実質的な低下があり、CD19集団が生着細胞の>20%だったということは抗CD19活性を示している。放射線照射し、3週目で開始して週当たり3回皮下に注射したNS0-IL15分泌細胞を用いてNK細胞集団を増やし、高いエフェクター機能を提供した。この効果は生体内でのCD56
+細胞の量を高める。
図36及び37を参照のこと。
【0256】
データは、CD19に特異的なCARを発現させるための不動化されたDelta1ext-IgGの存在下での培養の間の増殖させたCB細胞の形質導入は、増殖の質及び量に対してもマウスモデルにおけるその再構成能に対しても検出できる影響を有さないことを示している。これらの結果は、臍帯血移植に対する移植片対癌(たとえば、白血病)効果を操作する方法として有望である。さらに、万能供血者の増殖させたCB HSPCへのCD19CARの形質導入は、治療を臨床的に必要とする対象、たとえば、再発または持続MRDの対象の特定の直後(たとえば、投与の前に免疫学的適合を必要としない)に与えられる抗CD19細胞製剤の点滴を可能にする。同時に抗CD19活性を操作しながら、培養全体にも生体内での生着能にも影響を与えることなく、Notchリガンドにて増殖させたCD34+臍帯血細胞の確実な形質導入が実証されている。増殖させた臍帯血細胞は即納物としてすでに臨床的に使用されているので、記載されている実施例であるHLA非一致細胞療法は、自己T細胞製剤を得ることができず、操作することができなくても患者が免疫療法を受けることを可能にする即納細胞療法としての追加の用途を示している。
【0257】
示されるように、本開示の実践は、特に示されない限り、当該技術の普通の技量の範囲内でのウイルス学、微生物学、分子生物学、及び組換えDNA技法の従来の方法を採用することができる。そのような技法は、文献にて完全に説明されている;たとえば、そのそれぞれが、それに関するその教示について参照によって本明細書に組み入れられるSambrook,et al.,“Molecular Cloning:A Laboratory Manual(Current Edition)”;DNA Cloning:A Practical Approach,vol.I & II(D.Glover,ed.);Oligonucleotide Synthesis(N.Gait,ed.,Current Edition);Nucleic Acid Hybridization(B.Hames & S.Higgins,eds.,Current Edition);Transcription and Translation(B.Hames & S.Higgins,eds.,Current Edition);CRC Handbook of Parvoviruses,vol.I & II(P.Tijessen,ed.);Fundamental Virology,2nd Edition,vol.I & II(B.N.Fields and D.M.Knipe,eds.)を参照のこと。
【0258】
当業者によって理解されるように、本明細書で開示されている各実施形態は、その特定の述べられた要素、工程、成分または構成成分を含むことができ、それから本質的に成ることができ、または成ることができる。「includes」または「including」は「comprises、consists essentially of、またはconsists of」を意味する。移行用語「comprise」または「comprises」はincludeを意味するが、多量でさえ未特定の要素、工程、成分または構成成分の包含に限定されず、それを可能にする。移行句「consisting of」は特定されていないどんな要素、工程、成分または構成成分も排除する。移行句「consisting essentially of」は実施形態の範囲を特定された要素、工程、成分または構成成分及び実施形態に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。重大な影響は、(i)対象にて抗癌効果を作り出す細胞投与の有効性での統計的に有意な低下、及び/または(ii)対象の免疫系を再構成する細胞投与の有効性での統計的に有意な低下を生じることになる。
【0259】
特に指示されない限り、明細書及びクレームで使用される成分、分子量のような特性、反応条件等の量を表す数はすべて、すべての例で用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。したがって、それとは反対に示されない限り、明細書及び添付のクレームで述べられている数的パラメータは本発明によって得られるように求められる所望の特性に応じて変化してもよい近似値である。少なくとも、及びクレームの範囲に同等の原理の適用を限定する試みとしてではなく、そのような数的パラメータは、報告された有意な数字の数の観点で、及び普通の四捨五入法を適用することによって少なくとも解釈されるべきである。さらなる明瞭さが必要とされる場合、用語「約」は、述べられた数値または範囲と併せて使用される場合、当業者によって合理的にそれと見なされる意味、すなわち、述べられた値または範囲よりも幾分多いまたは幾分少ないを示す、述べられた値の±20%;述べられた値の±19%;述べられた値の±18%;述べられた値の±17%;述べられた値の±16%;述べられた値の±15%;述べられた値の±14%;述べられた値の±13%;述べられた値の±12%;述べられた値の±11%;述べられた値の±10%;述べられた値の±9%;述べられた値の±8%;述べられた値の±7%;述べられた値の±6%;述べられた値の±5%;述べられた値の±4%;述べられた値の±3%;述べられた値の±2%;または述べられた値の±1%の範囲の範囲内と見なされる意味を有する。
【0260】
本発明の広い範囲を述べている数的な範囲及びパラメータが近似値であるにもかかわらず、具体的な実施例で述べられる数値は出来るだけ正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、その各試験測定で見いだされる標準偏差から必然的に生じる特定の誤差を本質的に含有する。
【0261】
本発明の記載の文脈で(特に以下のクレームの文脈で)使用される用語「a」、「an」、「the」及び類似の指示対象は、本明細書で特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、単数及び複数の双方を網羅するように解釈されるべきである。本明細書での値の範囲の引用は、範囲の中に入る各別々の値を個々に参照する簡単な方法として役立つように単に意図される。本明細書で特に指示されない限り、各個々の値はそれが個々に本明細書で引用されたかのように明細書に組み込まれる。本明細書に記載されている方法はすべて、本明細書で特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、好適な順序で実施することができる。本明細書で提供されている実施例のいずれか及びすべて、または例となる文体(たとえば、「たとえば」)の使用は、本発明をさらに良好に明らかにするように単に意図され、さもなければ請求される本発明の範囲に対する限定を提示するものではない。本明細書における文体は、本発明の実践に必須である請求されない要素を示すと解釈されるべきではない。
【0262】
本明細書で開示されている本発明の代替の要素または実施形態のグループ分けは限定として解釈されるべきではない。各群のメンバーは、個々に、または群の他のメンバーもしくは本明細書で見いだされる他の要素と組み合わせて参照されてもよく、且つ請求されてもよい。群の1以上のメンバーが好都合及び/または特許性の理由で群に含められてもよいし、または群から削除されてもよいことが予測される。そのような包含または削除が生じる場合、明細書は、修正されたような群を含有すると見なされるので、添付のクレームで使用されるマーカッシュ群すべての書面による記載を満たす。
【0263】
本発明を実施するための本発明者らに知られる最良の方法を含む本発明の特定の実施形態が本明細書に記載されている。当然、前述の記載を読む際、これらの記載された実施形態における変化が当業者に明らかになるであろう。本発明者らは、技量のある熟練者が適宜そのような発明を採用することを期待し、本発明者らは本明細書に具体的に記載されている以外に実践される発明を意図する。したがって、本発明は、適用法令によって許容されるような本明細書に添付されるクレームにて引用されている主題の改変及び同等物のすべてを包含する。さらに、考えられるその変化のすべてにおける上述の要素の任意の組み合わせは、本明細書で特に指示されない限り、または文脈によって明瞭に否定されない限り、本発明によって包含される。
【0264】
さらに、本明細書全体を通して多数の参照が、書籍、雑誌の論文、論文、特許、印刷された出版物等に対して行われている(まとめて「参照」)。上記で引用された参照のそれぞれはその引用された教示について参照によって個々に本明細書に組み入れられる。
【0265】
最後に、本明細書で開示されている本発明の実施形態は本発明の原理の説明に役に立つことが理解されるべきである。採用されてもよい他の改変は本発明の範囲の中にある。したがって、限定ではなく例として、本明細書の教示にしたがって、本発明の代替の構成が利用されてもよい。したがって、本発明は正確に示され、記載されるようなものに限定されない。
【0266】
本明細書で示される事項は、本発明の好まれる実施形態の説明に役立つ議論の例としての、及びそれを目的とするだけのものであり、本発明の種々の実施形態の原理及び概念的態様の最も有用で且つ容易に理解される記載であると考えられるものを提供するという大義名分のもとで提示される。この点で、本発明の基本的な理解、本発明の幾つかの形態が実践にてどのように具体化されてもよいかを当業者に明らかにする図面及び/または実施例と共に理解される記載の基本的な理解に必要なものより詳細に本発明の構造的詳細を示す試みは行われない。
【0267】
本開示で使用されている定義及び説明は、以下の実施例にて明瞭に且つ曖昧さを残さずに改変されない限り、または意味の適用が構成を無意味にするまたは本質的に無意味にする場合、将来の構成の管理であることにし、且つそれを意図する。用語の構成がそれを無意味にするまたは本質的に無意味にする場合、定義は、Webster’s Dictionary 3rd Edition、またはOxford Dictionary of Biochemistry and Molecular Biology(Ed.Anthony Smith,Oxford University Press,Oxford,2004)のような当業者に既知の辞書から解釈されるべきである。
造血幹細胞前駆細胞(HSPC)または非Tエフェクター細胞であって、外来性の同族結合分子(ExoCBM)を特異的に結合するタグカセットを含む細胞外成分を含むキメラ分子を発現するように遺伝子操作される前記HSPCまたは非Tエフェクター細胞。