(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003680
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】表示装置
(51)【国際特許分類】
G09F 9/00 20060101AFI20230110BHJP
F16M 11/08 20060101ALI20230110BHJP
E02F 9/20 20060101ALI20230110BHJP
H04N 5/64 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
G09F9/00 351
F16M11/08 Z
E02F9/20 Z
H04N5/64 581
G09F9/00 362
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104903
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000246273
【氏名又は名称】コベルコ建機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】澤田 祐介
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 均
(72)【発明者】
【氏名】的野 晶高
(72)【発明者】
【氏名】奥田 賢司郎
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 洋一郎
【テーマコード(参考)】
2D003
5G435
【Fターム(参考)】
2D003BA06
5G435AA01
5G435BB12
5G435EE14
5G435EE16
5G435EE50
5G435LL17
5G435LL18
(57)【要約】
【課題】第1モニタ装置に対する第2モニタ装置の角度を変更した場合であっても、モニタ同士の前面の隙間が極力ない状態を保つことが可能な表示装置を提供する。
【解決手段】
表示装置20は、第1固定具71と第2固定具81とを回転可能に保持する蝶番91と、第1前面22を有し第1固定具71に保持される第1モニタ装置21と、第2前面32を有し蝶番91との距離を可変に第2固定具81に保持される第2モニタ装置31とを備える。第1前面22に対し仮想第2前面のなす角が第1角度a~第3角度cのそれぞれにおいて仮想第2前面から後側に所定距離離間する平行な面を第1~第3仮想平面E~Gとする。蝶番91の回転軸X1に平行な方向視で、回転軸X1はこれら3つの何れかの仮想平面上又は3つの仮想平面で形成される空間内に配置され、回転軸X1から第2モニタ装置31の前側に所定距離離間した位置に第2前面32が配置される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1固定具、第2固定具、及び前記第1固定具と前記第2固定具とを回転可能に保持する蝶番を有する開閉装置と、
第1前面を有し前記第1固定具に保持されている第1モニタ装置と、
第2前面を有し前記蝶番の回転軸に対する距離を調整可能に前記第2固定具に保持されている第2モニタ装置と、を備える表示装置であって、
前記第1前面の幅方向端部を通る平面を仮想第2前面とするとき、前記第1前面に対し前記仮想第2前面のなす角が、第1角度、前記第1角度より大きい第2角度、及び前記第1角度と前記第2角度との略中間の第3角度のそれぞれの状態において、前記仮想第2前面から後ろ側に所定距離に離間する平行な面を、第1仮想平面、第2仮想平面、及び第3仮想平面とし、前記蝶番の回転軸に平行な方向視において、前記蝶番の回転軸は前記第1仮想平面、前記第2仮想平面、及び前記第3仮想平面から形成される空間における前記第1仮想平面から前記第3仮想平面の平面上、又は前記空間内に配置され、
前記第2モニタ装置は、前記蝶番の回転軸から前記第2モニタ装置の前側に向かって前記所定距離だけ離間した位置に前記第2前面を配置する、
表示装置。
【請求項2】
前記第1仮想平面、前記第2仮想平面、及び前記第3仮想平面のそれぞれが前記第1固定具と交差しないように、前記仮想第2前面から後ろ側に前記所定距離に離間される、
請求項1に記載の表示装置。
【請求項3】
前記第1前面に対し、前記第2前面のなす角を固定する角度固定手段を有する、
請求項1又は2に記載の表示装置。
【請求項4】
前記第1モニタ装置に固定され、前記蝶番の回転軸を中心とする円弧状の第1孔を有する第1規制部と、
前記第2モニタ装置に固定され、前記第1孔に貫通するように配置可能な連結部を有する第2規制部と、を備える、
請求項3に記載の表示装置。
【請求項5】
前記連結部は、前記第1孔に対して相通している位置を固定する位置固定手段を有しており、
前記第1孔、及び前記連結部により前記角度固定手段を形成する、
請求項4に記載の表示装置。
【請求項6】
前記第1固定具と前記第2固定具とは、前記第1前面と前記第2前面とが平行かつそれぞれの面が離間する位置まで、前記蝶番により回転可能である、
請求項1~5のいずれか1項に記載の表示装置。
【請求項7】
前記第1孔は、前記回転軸の後方を除く前記第1固定具の後方に位置する、
請求項4又は5に記載の表示装置。
【請求項8】
前記第1孔は、前記第1前面と前記第2前面とが平行かつそれぞれの面が離間する位置まで、前記蝶番により回転させられた場合に、前記第1前面の位置する平面と前記第2前面の位置する平面の間に位置する、
請求項4、5、7のいずれか1項に記載の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のモニタ装置と、モニタ装置を開閉可能に保持する開閉装置とを備える表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、特許文献1に開示されているように、作業現場の作業機械を遠隔操作することにより操作する遠隔操作装置が開発されている。遠隔操作装置は、設置場所まで搬送されて組み立てられ、必要に応じて設置後に別な場所に移動される。そのため、遠隔操作装置は、搬送性がいいように容易に分解組立てできるように構成されている。特許文献1の遠隔操作システムでは、操作者の前面にモニタ装置が配置されており、実車から送られてくる周囲の映像を見ながら作業機械を操縦することができる。上記遠隔操作装置では、広い視野を映すために、中央モニタ装置の両側に左モニタ装置及び右モニタ装置が隣接して配置されている。両側のモニタ装置は、開閉自在な開閉装置で中央モニタ装置に接続され、操作者が見やすいように、中央モニタ装置に対してそれぞれ角度をつけて設置される。遠隔操作装置を搬送する時は、各々のモニタ装置と、開閉装置とは、個々に外された状態で運ばれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
死角をなくし、操作者が見やすく、かつ実車搭乗の臨場感を得るために、中央モニタ装置と両側のモニタ装置間の隙間を小さくすることが好ましい。また、中央モニタ装置に対する両側のモニタ装置の角度は、設置場所、操縦者の好み、等により、一定の範囲内で調整可能に構成されることが好ましい。したがって、中央モニタ装置に対する両側のモニタ装置の角度が調整可能に構成すること、及び、両側のモニタ装置の角度が任意に調整された場合にモニタ装置の前面の隣接する角部同士ができるだけ接近した状態を保つことの両立を図ることが望まれる。
【0005】
しかし、従来の開閉装置を備える表示装置は、中央モニタ装置に対する両側のモニタ装置の角度が調整可能には構成されておらず、両立を図るという期待に応えることができない。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、中央モニタ装置に対する両側のモニタ装置の角度が調整された場合においても、隣接するモニタ装置同士の隙間が極力無い状態にすることが可能な表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明による表示装置は、第1固定具、第2固定具、及び前記第1固定具と前記第2固定具とを回転可能に保持する蝶番を有する開閉装置と、第1前面を有し前記第1固定具に保持されている第1モニタ装置と、第2前面を有し前記蝶番の回転軸に対する距離を調整可能に前記第2固定具に保持されている第2モニタ装置と、を備える表示装置であって、前記第1前面の幅方向端部を通る平面を仮想第2前面とするとき、前記第1前面に対し前記仮想第2前面のなす角が、第1角度、前記第1角度より大きい第2角度、及び前記第1角度と前記第2角度との略中間の第3角度のそれぞれの状態において、前記仮想第2前面から後ろ側に所定距離に離間する平行な面を、第1仮想平面、第2仮想平面、及び第3仮想平面とし、前記蝶番の回転軸に平行な方向視において、前記蝶番の回転軸は前記第1仮想平面、前記第2仮想平面、及び前記第3仮想平面から形成される空間における前記第1仮想平面から前記第3仮想平面の平面上、又は前記空間内に配置され、前記第2モニタ装置は、前記蝶番の回転軸から前記第2モニタ装置の前側に向かって前記所定距離だけ離間した位置に前記第2前面を配置している。
【0008】
本発明では、蝶番の回転軸は第1仮想平面、第2仮想平面、及び第3仮想平面から形成される空間における第1仮想平面から第3仮想平面の平面上、又は前記空間内に配置されている。各仮想平面は、第1前面の幅方向端部を通る仮想第2前面が第1前面に対してなす角度が第1角度、第2角度、第3角度となるときの仮想第2前面の後ろ側に所定距離に離間する平行な面である。第2モニタ装置は、蝶番の回転軸から第2モニタ装置の前側に向かって所定距離だけ離間した位置に第2前面を配置するようにしている。
【0009】
したがって、蝶番の回転軸を第1仮想平面、第2仮想平面、及び第3仮想平面から形成される空間における第1仮想平面から第3仮想平面のうちの任意の仮想平面に配置した場合には、第1前面に対する第2前面のなす角が、任意の仮想平面のなす角度(第1角度、第2角度、第3角度のいずれか)になるときに、第1前面に対してなす角度が任意の仮想平面のなす角度(第1角度、第2角度、第3角度のいずれか)である仮想第2前面に第2前面が位置することになるので、第2前面を蝶番の回転軸側に移動させることで第1前面と第2前面との隙間を最も小さくすることができる。また、第1角度から第2角度までの角度調整範囲における第1前面に対する第2前面のなす角がいずれの角度になるときにおいても、 第2前面を蝶番の回転軸側に移動させることでの第1前面と第2前面との隙間を極力小さい状態に保つことができる。
【0010】
蝶番の回転軸を第1仮想平面から第3仮想平面のうちの任意の仮想平面に配置しない場合には、蝶番の回転軸と任意の仮想平面とが離れるほど、第1前面に対する第2前面のなす角が任意の仮想平面のなす角度(第1角度、第2角度、第3角度のいずれか)になるときに、第1前面に対してなす角度が任意の仮想平面のなす角度(第1角度、第2角度、第3角度のいずれか)である仮想第2前面に対してずれた位置に第2前面が位置することになるので、第2前面32を仮想第2前面に平行に並べることはできても、仮想第2前面に第2前面32を位置させることはできず、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させていったとしても、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23とを当接させることはできない。その結果第1前面と第2前面との隙間は最小にならない。しかしながら、蝶番の回転軸をすべての仮想平面に近い領域である第1仮想平面、第2仮想平面、及び第3仮想平面から形成される空間内に配置しているため、第1角度から第2角度までの角度調整範囲における第1前面に対する第2前面のなす角がいずれの角度になるときにおいても、第2前面を蝶番の回転軸側に移動させることでの第1前面と第2前面との隙間を極力小さい状態に保つことができる。
【0011】
本発明において、前記第1仮想平面、前記第2仮想平面、及び前記第3仮想平面のそれぞれが前記第1固定具と交差しないように、前記仮想第2前面から後ろ側に前記所定距離に離間されることが好ましい。
【0012】
本構成によれば、第1仮想平面、第2仮想平面、及び第3仮想平面のそれぞれが第1固定具と交差しないように仮想第2前面から後ろ側に前記所定距離に離間される。したがって、蝶番の回転軸が第1固定具と干渉する位置に配置されることを防止することができる。
【0013】
本発明において、前記第1前面に対し、前記第2前面のなす角を固定する角度固定手段を有することが好ましい。
【0014】
本構成によれば、第1固定具に対して第2固定具を回転させたときに第1前面に対して第2前面のなす角が固定される。したがって、表示装置が揺れや傾いた場合においても第1前面に対して第2前面のなす角が変化せず、表示装置を見るオペレータの表示画面の確認の支障にならない。
【0015】
本発明において、前記第1モニタ装置に固定され、前記蝶番の回転軸を中心とする円弧状の第1孔を有する第1規制部と、前記第2モニタ装置に固定され、前記第1孔に貫通するように配置可能な連結部を有する第2規制部と、を備えることが好ましい。
【0016】
本構成によれば、第1固定具に対して第2固定具を回転させたときに第1モニタ装置に固定された円弧状の第1孔を第2モニタ装置に固定された連結部が貫通する。連結部は第1前面に対して第2前面のなす角に応じて円弧状の第1孔に対する位置を移動する。したがって、連結部が配置されている場合においては第1前面に対して第2前面のなす角の角度調整範囲は第1孔の円弧によって規制される。これによって、第1前面に対して第2前面のなす角度が極端に大きい角度や小さい角度にならないようにすることができる。
【0017】
本発明において、前記連結部は、前記第1孔に対して相通している位置を固定する位置固定手段を有しており、前記第1孔、前記連結部、前記位置固定手段により前記固定手段を形成することが好ましい。
【0018】
本構成によれば、位置固定手段により連結部が第1孔に対して挿通している位置に対して連結部を固定することが可能である。位置固定手段により連結部が第1孔に対して固定されると、第1前面に対して第2前面のなす角が固定される。すなわち、第1孔、連結部、位置固定手段を用いることで固定手段を実現することができる。
【0019】
本発明において、前記第1固定具と前記第2固定具とは、前記第1前面と前記第2前面とが平行かつそれぞれの面が離間する位置まで、前記蝶番により回転可能であることが好ましい。
【0020】
本構成によれば、第1固定具と第2固定具とが平行かつそれぞれの面が離間する状態にすることができる。この状態では、第1固定具と第2固定具とが横並びの状態と比較して幅方向の長さを短縮することができ、表示装置を搬送性に優れた状態に折り畳むことができる。
【0021】
本発明において、前記第1孔は、前記回転軸の後方を除く前記第1固定具の後方に位置することが好ましい。
【0022】
本構成によれば、第1孔は、回転軸の後方を除く第1固定具の後方に位置する。回転軸の後方に第1孔を形成すると第1モニタ装置の第1前面から後端部までの厚みが第1孔を形成する分だけ大きくなってしまうが、回転軸の後方を除く第1固定具の後方に第1孔を形成するようにしているので、第1規制部の厚みを小さく抑えることができる。
【0023】
本発明において、前記第1孔は、前記第1前面と前記第2前面とが平行かつそれぞれの面が離間する位置まで、前記蝶番により回転させられた場合に、前記第1前面の位置する平面と前記第2前面の位置する平面の間に位置することが好ましい。
【0024】
本構成によれば、第1固定具と第2固定具とが平行かつそれぞれの面が離間する状態にしたときに、第1孔は第1前面の位置する平面と第2前面の位置する平面の間に位置する。この状態において、第1孔は第1前面の位置する平面と第2前面の位置する平面の間に収まるので、表示装置の折り畳み時の搬送性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【
図1】本発明の実施の形態にかかる表示装置を備える遠隔操作装置を示す斜視図である。
【
図2】
図1における表示装置の背面側を示す背面図である。
【
図5】
図4において、第2固定具を回転させた状態を示す上面図である。
【
図6】
図4において、第1モニタ装置に対する第2モニタ装置の角度を変化させた状態を示した概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
図1を参照して、本発明に係る表示装置20を備える遠隔操作装置1を説明する。遠隔操作装置1は、図示しない車両を無線により遠隔で操作する装置である。車両はその種類を限定されず、乗用車、トラック、バス等の商用車、建設機械、等、車両であれば、遠隔操作装置1は何れにも利用可能である。建設機械は、例えば、クローラショベルが挙げられる。以下に、一実施例としてクローラショベルを遠隔操作する場合について説明する。
【0027】
クローラショベルは、図示しないが、クローラ式の下部走行体と、旋回機構を介して下部走行体に搭載されている上部旋回体とを備えている。上部旋回体には、キャブと、バケットを有するアームを備えた作業アタッチメントが設けられている。キャブには、操作レバー等を遠隔操作可能な制御機構と、キャブのフロントウィンドウ越しに周囲環境を撮像する撮像装置とが設けられている。撮像装置により撮像された画像は、遠隔操作装置1に無線送信されて表示され、操作者が視認することができる。操作者は、送信された画像を見ながら遠隔操作装置1を操作し、遠隔操作装置1から制御信号が送信されて、建設機械が遠隔操作される。建設機械には3軸方向の加速度を検出するジャイロセンサ等の加速度センサが搭載されており、検出された加速度信号は遠隔操作装置1に無線送信される。
【0028】
遠隔操作装置1は、第1筐体11、第2筐体12、シート13、操作装置14、回転装置16、振動装置17、及び表示装置20を備えている。第1筐体11、及び第2筐体12は、遠隔操作装置1の基台部分である。第1筐体11の上には、シート13、及び操作装置14が載置されている。また、図示されていないが、第1筐体11と第2筐体12との内部には、遠隔操作装置1の制御を行う演算処理ユニット、遠隔する建設機械と通信するための通信装置、シート13の作動を制御するシートコントローラ、等が配置されている。第1筐体11と第2筐体12とは、2つに分割された構成とされている。そのため、遠隔操作装置1を別な場所に移動する時には、第1筐体11と第2筐体12とに分割できるようになっており、搬送性に優れた構成になっている。
【0029】
シート13には遠隔操作する操作者が座り、前面の表示装置20を見ながら建設機械を遠隔操作する。シート13の周囲には、液晶パネル等の情報表示及び操作パネル、操作者が操作するレバー、等を含む操作装置14が配置されている。遠隔操作装置1は、実車搭乗時の臨場感を再現するために、シート13を動作させる回転装置16、及び振動装置17を備えている。これにより、遠隔操作する建設機械に装備された加速度センサが検出する加速度に応じて、シート13に回転力、及び振動が再現される。遠隔操作装置1では、シート13に再現される回転力、及び振動を体感するとともに、後述する表示装置20に表示される周囲環境の画像を視認することにより、実車に搭乗しているような臨場感を体感することができる。
【0030】
図1及び
図2を参照して、表示装置20を説明する。表示装置20は、第1モニタ装置21、第2モニタ装置31、第3モニタ装置41、開閉装置61、及びモニタ支持装置131を有している。第1モニタ装置21~第3モニタ装置41はシート13の前方に配置されており、シート13に着座した操作者が容易に視認できるようになっている。なお、各モニタ装置の幅寸法及び高さ寸法は、表示する視野に合わせて適宜変更可能である。
【0031】
シート13の前方中央には、第1モニタ装置21が配置されている。第1モニタ装置21は、画像が表示される第1前面22と、第1前面22の幅方向両側の端部である第1幅方向端部23、23と、後面である第1後面24と、を有している。第1モニタ装置21の前面の上部中央には、シート13に向けたカメラ25が配置されている。カメラ25は、シート13に着座している操作者の顔を含む体を撮像する。それにより、操作者の表示装置20の視認状態、操作者の着座姿勢、等を判断して、遠隔操作装置1の作動モード等の制御を行うよう構成されている。
【0032】
第2モニタ装置31、31は、第1モニタ装置21の左側及び右側のそれぞれに配置されており、第1モニタ装置21が表示するシート13の前方視野の左側、及び右側の視野を表示して、第1モニタ装置21の両側方の視野を補っている。左側及び右側の第2モニタ装置31、31は、シート13に対して正対して配置されている第1モニタ装置21に対して、シート13に向けて少し角度をつけて配置されている。すなわち、シート13に着座する操作者が第1モニタ装置21より左、又は右を見た時に操作者と正対するような角度で配置されている。第2モニタ装置31は、画像が表示される第2前面32と、第2前面32の幅方向両側の端部である第2幅方向端部33、33と、後面である第2後面34と、を有している。第2モニタ装置31の高さ方向寸法は、第1モニタ装置21の高さ方向寸法と略同じ、幅方向寸法は、第1モニタ装置21の幅方向寸法の約1/3である。
【0033】
第3モニタ装置41は、第1モニタ装置21と左右の第2モニタ装置31、31の上方において、第1モニタ装置21と左右の第2モニタ装置31、31とに渡って配置されており、第1モニタ装置21と左右の第2モニタ装置31、31の上方の視野を補っている。第3モニタ装置41は、同じ大きさの3つのモニタ装置である、第3中央モニタ装置42、第3左モニタ装置43、及び第3右モニタ装置44を有している。それらの3つのモニタ装置の長手方向を水平方向にして、隙間なく接した状態で水平方向に連続して配置されている。第3中央モニタ装置42、第3左モニタ装置43、及び第3右モニタ装置44はそれぞれ、画像が表示される第3前面45と、第3前面45の幅方向両側の端部である第3幅方向端部46、46と、後面である第3後面47と、を有している。
【0034】
図1~
図2を参照して、第1モニタ装置21~第3モニタ装置41の支持構造を説明する。
図2には、表示装置20の後面が示されている。第1モニタ装置21、第2モニタ装置31、及び第3モニタ装置41は、モニタ支持装置131により支持されている。モニタ支持装置131は、2本の中空管の第1支持部材132と、第1支持部材132にそれぞれ固定されている中空管で形成された第2支持部材133と、第1支持部材132のそれぞれの下端部付近に第2支持部材133のそれぞれの上端部を固定している接続具135と、2本の第1支持部材132を所定箇所にそれぞれ固定している接続具134、136、及び137とを有している。
【0035】
2本の第1支持部材132、132は、それぞれの下端部で第1筐体の前方の側面に接続具134、134により固定されている。2本の第1支持部材132、132の接続具134、134の直上には、第2支持部材133、133のそれぞれの上端部が接続具135、135により固定されている。
図1に示されているように、第2支持部材133、133は、接続具135、135の固定部の直下の折れ部で曲がっている。第2支持部材133、133のそれぞれの下端部は、下方かつ遠隔操作装置1の前方、すなわち斜め前方に向けて床まで伸びて床に接している。表示装置20は、第1支持部材132、132の中央から上端の間で、それぞれ第1支持部材132、132に固定されている。
【0036】
まず、第3モニタ装置41の支持構造について説明する。3つの第3モニタ装置42~44の各後面には、第3左モニタ装置43から、第3中央モニタ装置42、及び第3右モニタ装置44までに渡る長さの第3モニタ装置支持板51が取り付けられている。第3モニタ装置支持板51は板状部材であり、強度向上のために、上端部と下端部とには幅方向の全長に渡って折り曲げて形成された上部縁部52と下部縁部53とが設けられている。
【0037】
第3中央モニタ装置42、第3左モニタ装置43、及び第3右モニタ装置44の各第3後面47の中央部周辺には、図示しないモニタ後面固定孔が複数設けられている。モニタ後面固定孔は、第3後面47の中央部において、第3モニタ装置41のモニタ幅方向に平行な上下の辺を有し、高さ方向の辺の長さが各第3モニタ装置の高さ方向寸法の略半分である仮想の正方形を配置した場合の各頂点の位置に計4つ設けられている。モニタ後面固定孔は、第3中央モニタ装置42、第3左モニタ装置43、及び第3右モニタ装置44の各第3後面47に、同様の配置でそれぞれ4か所ずつ設けられている。
【0038】
第3モニタ装置支持板51には、そのモニタ装置固定孔の各々に対応する位置、すなわち仮想した略正方形の各頂点の位置に支持板固定孔54が設けられており、第3モニタ装置支持板51全体では、3つの第3モニタ装置42~44用に計12ケ所設けられている。第3モニタ装置支持板51は、2本の第1支持部材132、132のそれぞれの上端部付近の同じ高さ位置に、接続具134、134でそれぞれ固定されている。また、第3モニタ装置支持板51の支持板固定孔54が形成されている領域以外の箇所には、質量軽減のために、略正方形状の肉抜き孔が複数設けられている。
【0039】
図2に示されているように、第3モニタ装置支持板51に形成されている支持板固定孔54は、丸孔部55と、丸孔部55に対して下方に延びる直線孔部56とを有して形成されている。第3モニタ装置42~44の各モニタ後面固定孔には、直線状の軸部と、軸部より外径が大きい頭部とを有する図示しない締結具が挿入されており、丸孔部55の孔径は、その締結具の頭部より若干大きく形成されている。また、直線孔部56の長手方向に直交する幅寸法は、軸部の外形より若干大きく形成されている。締結具は、例えばボルトであり、第3モニタ装置42~44の各モニタ後面固定孔は、例えばボルトに対応するボルト孔である。3つの第3モニタ装置42~44は、第3モニタ装置支持板51の対応するそれぞれの支持板固定孔54に締結具でそれぞれ固定されている。
【0040】
次に、第1モニタ装置21の支持構造について説明する。第1モニタ装置21、及び第2モニタ装置31は、開閉装置61で支持されている。開閉装置61は、第1固定具71、第2固定具81、蝶番91、及び角度固定装置101を有している。第1モニタ装置21の後面24には、第1モニタ装置21の幅方向全長に渡る長さの第1固定具71が取り付けられている。第1固定具71は板状部材であり、強度向上のために、上端部と下端部とには、幅方向の全長に渡って折り曲げて形成された上部縁部72と下部縁部73とが設けられている。
【0041】
第1モニタ装置21の第1後面24の中央部周辺には、図示しないモニタ後面固定孔が複数設けられている。モニタ後面固定孔は、第1後面24の中央部において、第1モニタ装置21のモニタ幅方向に平行な上下の辺を有し、高さ方向の辺の長さが第1モニタ装置21の高さ方向寸法の略半分である仮想の正方形を配置した場合の各頂点の位置に計4つ設けられている。
【0042】
第1固定具71は、第1モニタ装置21のモニタ装置固定孔の各々に対応する位置、すなわち仮想した略正方形の各頂点の位置に第1固定孔74が計4ケ所設けられている。第1固定具71は、2本の第1支持部材132、132のそれぞれの中央部付近、かつ第3モニタ装置41の直下の、同じ高さ位置に接続具136、136でそれぞれ固定されている。また、第1固定具71の支持板固定孔74が形成されている領域以外の箇所には、質量軽減のために略正方形状の肉抜き孔が複数設けられている。
【0043】
図2に示されているように、第1固定具71に形成されている第1固定孔74は、第3モニタ装置支持板51に形成されている支持板固定孔54と同じ形状である。すなわち、第1固定孔74は、丸孔部75と、丸孔部75に対して下方に延びる直線孔部76とを有して形成されている。第1モニタ装置のモニタ後面固定孔には、第3モニタ装置のモニタ後面固定孔の場合と同じである、直線状の軸部と、軸部より外径が大きい頭部とを有する図示しない締結具が挿入されている。丸孔部75の孔径は、その締結具の頭部より若干大きく形成されている。また、直線孔部76の長手方向に直交する幅寸法は、軸部の外形より若干大きく形成されている。図示しない締結具は、例えばボルトであり、第1モニタ装置21のモニタ後面固定孔は、例えばボルトに対応するボルト孔である。第1モニタ装置21は、第1固定具71の対応するそれぞれの第1固定孔74に締結具でそれぞれ固定されている。
【0044】
図2及び
図3を参照して、次に、第2モニタ装置31の支持構造について説明する。
図3は
図2のJ部拡大図であり、第1固定具71と第2固定具81との接続部分が拡大して示されている。第2モニタ装置31の後面34には、第2モニタ装置31の幅方向全長に渡る長さの第2固定具81が取り付けられている。第2固定具81は板状部材であり、強度向上のために、上端部、下端部、及び第1モニタ装置21側の側端部には、幅方向の全長に渡って折り曲げて形成された上部縁部82と下部縁部83、及び上部縁部82と下部縁部83とのそれぞれの隣接する端部に連続して形成された側部縁部84とが設けられている。第2固定具81は開閉装置61を構成する一部材である。なお、第2モニタ装置31は、第1モニタ装置21の両方の幅方向側部にそれぞれ配置されており、以下で説明する第2固定具81は、第1モニタ装置21を中心として左右対称に形成されている。
【0045】
第2モニタ装置31の第2後面34の中央部周辺には、図示しないモニタ後面固定孔が複数設けられている。モニタ後面固定孔は、第2後面34の中央部において、第2モニタ装置31のモニタ幅方向に平行な上下の辺を有し、高さ方向の辺の長さが第2モニタ装置31の高さ方向寸法の略半分である仮想の正方形を配置した場合の各頂点の位置に、1つの第2モニタ装置31について計4つ設けられている。
【0046】
第2固定具81は、第2モニタ装置31のモニタ装置固定孔の各々に対応する位置、すなわち仮想した略正方形の各頂点の位置に第2固定孔85が、1つの第2固定具81について計4ケ所設けられている。第2固定具81は、第1固定具71の両側の幅方向端部に、後述する蝶番91を介してそれぞれ接続されている。また、第2固定具81の4つの第2固定孔85に囲まれた領域には、質量軽減のために、略正方形状の肉抜き孔が設けられている。
【0047】
図3に拡大して示されているように、第2固定具81に形成されている第2固定孔85は、丸孔部86と、丸孔部86に対して下方に延びる第1直線孔部87と、第1直線孔部87の下端部から第1モニタ装置21側に水平方向に形成された第2直線孔部88とを有して形成されている。第2モニタ装置31のモニタ後面固定孔には、直線状の軸部と、軸部より外径が大きい頭部とを有する図示しない締結具が挿入されている。丸孔部86の孔径は、その締結具の頭部より若干大きく形成されている。また、第1直線孔部87、及び第2直線孔部88の各々の長手方向に直交する幅寸法は、軸部の外形より若干大きく形成されている。締結具は、例えばボルトであり、第2モニタ装置31のモニタ後面固定孔は、例えばボルトに対応するボルト孔である。第2モニタ装置31は、第2固定具81の対応するそれぞれの第2固定孔85に締結具でそれぞれ固定されている。
【0048】
図3~
図6を参照して、蝶番91を説明する。蝶番91は、第1固定具71と、第2固定具81とを回転可能に保持する部材である。蝶番91は、第1固定具71に固定されている第1部材92、第2固定具81に固定されている第2部材96、第1部材92と第2部材96とを接続しているシャフト89を有している。蝶番91は、第1固定具71と、一方の第2固定具81との間において、上下方向に離間して計2つ設けられている。蝶番91は、第1固定具71と、他方の第2固定具81との間において、同様に上下方向に離間して計2つ設けられている。一方の第2固定具81側に設けられている2つの蝶番91と、他方の第2固定具81側に設けられている2つの蝶番91とは、同じものであり、第1固定具71を中心に左右対称に配置されている。
【0049】
蝶番91は、回転軸X1に平行な方向視において、
図6、
図7に示されるように、回転軸X1が第1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fから形成される空間Sにおける第1仮想平面Eから第3仮想平面Fのいずれかの平面上、又は空間S内に配置される。
【0050】
第1仮想平面Eは、第1モニタ装置21が有する第1前面22上の第2モニタ装置31側の第1幅方向端部23を通り第1前面22に対してなす角が第1角度aである仮想の平面である仮想第2前面321に対して後ろ側に所定距離に離間する平行な面である。
【0051】
第2仮想平面Gは、第1モニタ装置21が有する第1前面22上の第2モニタ装置31側の第1幅方向端部23を通り第1前面22に対してなす角が第1角度aよりも大きい第2角度cである仮想の平面である仮想第2前面322に対して後ろ側に所定距離に離間する平行な面である。
【0052】
第3仮想平面Fは、第1モニタ装置21が有する第1前面22上の第2モニタ装置31側の第1幅方向端部23を通り第1前面22に対してなす角が第1角度aと第2角度cの中間の第3角度bである仮想の平面である仮想第2前面323に対して後ろ側に所定距離に離間する平行な面である。
【0053】
第1仮想平面E、第3仮想平面F、及び第2仮想平面Gのそれぞれを仮想第2前面321、322、323から後ろ側に所定距離に離間しているのは、第1仮想平面E、第3仮想平面F、及び第2仮想平面Gのそれぞれが第1固定具71と交差しないようにするためである。
【0054】
図6の要部Lを示す図である
図7に示されるように、第1仮想平面E、第3仮想平面F、及び第2仮想平面Gは互いに交差している。A点は、第1仮想平面Eと第3仮想平面Fの交点である。B点は、第1仮想平面Eと第2仮想平面Gの交点である。C点は、第1仮想平面Eと第2仮想平面Gの交点である。D点は、A点とC点との中間点である。
【0055】
第1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fから形成される空間Sは、
図7におけるA点、B点、C点を頂点とする三角形として表せられる。蝶番91は、この空間Sに配置される。なお、本実施形態では蝶番91をD点に配置した例を示している。
【0056】
第1角度a、第2角度c、第3角度bは、第1モニタ装置21に対して第2モニタ装置31がなす角度がこれら3つの角度のいずれかになるときに、第1モニタ装置21が有する第1前面22の第1幅方向端部23と第2モニタ装置31が有する第2前面32の第2幅方向端部33同士ができるだけ接近した状態となるべく設定された角度である。本実施形態では、第1角度aは25[deg]、第2角度cは45[deg]、第3角度bは30[deg]に設定されているが、他の角度に設定されてもよい。
【0057】
第1部材92は、板状部材から形成されている第1板状部93、及び第1筒状部95を2つ有している。第1板状部93の第1固定具71側の端部には、第1板状部93に連続した平面状に形成されており、第1固定具71に取付られる第1取付部94が備えられている。また、第1板状部93の第2固定具81側の端部の上端部と下端部には、それぞれ第1筒状部95、95が互いに離間して備えられている。
【0058】
図3と
図4とを参照しながら、第2部材96を説明する。第2部材96は、板状部材から形成されている第2板状部97、及び第2筒状部99を有している。第2板状部97の第2固定具81側の端部には、第2板状部97に対し直角に接続されており、第2固定具81の側部縁部84に固定されている第2取付部98が備えられている。
図4には、第2板状部97に対し直角に接続されている第2取付部98が示されている。また、第2板状部97の第1固定具71側の端部の中央部には、第2筒状部99が備えられている。第2筒状部99は、2つの第1筒状部95、95の間にわずかな隙間を介して挟まれた状態で、第2筒状部99、及び2つの第1筒状部95、95の中心軸を一致させて配置されている。第2筒状部99、及び2つの第1筒状部95、95には、シャフト89が貫通して配置されている。このような構成により、第2板状部97は、蝶番91の回転軸から第2モニタ装置31の前側に向かって前記所定距離だけ離間した位置に第2前面32が配置されるように第2モニタ装置31を支持している。
【0059】
図3を参照しながら、開閉装置61が備える角度固定装置101を説明する。角度固定装置101は、第1固定具71と第2固定具81とを、所定の角度状態で保持する装置である。角度固定装置101は、第1固定具71に固定され、円弧状の第1孔113を有する第1規制部111と、第2固定具81に固定され、円形の第2孔125と、第1孔113に貫通するように配置可能な連結部とを有する第2規制部121とを備えている。
図3に示されているように、第1規制部111、及び第2規制部121は、第1固定具71の幅方向両端部のそれぞれと第2固定具81との間、かつ上下方向に2つある蝶番91の間に1つずつ配置されている。第1規制部111は第1固定具71に、第2規制部121は第2固定具81に、それぞれ固定されている。
【0060】
以下の説明では、第1規制部111、及び第2規制部121の一端部と他端部との位置について、それぞれの第1固定具71側を一端部、第2固定具81側を他端部として説明する。第1規制部111は板状部材であり、第1規制部111の一方端側には、板状部材であり一方端に対し直角下方向きに延在して、第1固定具71に平行に取り付けられた第1端部112が設けられている。第1端部112は第1固定具71に互いの面を合わせて固定されている。また、第2規制部121は板状部材であり、第2規制部121の他方端側には、板状部材であり他方端に対し直角上向きに延在して、第2固定具81に平行に取り付けられた第2端部122が設けられている。第2端部122は第2固定具81に互いの面を合わせて固定されている。
【0061】
図4を参照しながら、第1規制部111、及び第2規制部121のそれぞれの細部を説明する。
図4は
図3におけるK-K断面図であり、角度固定装置101の上面が示されている。
図4では、表示装置20が所定の角度に固定されている状態を示している。第1規制部111の他端部側には、第1孔113が設けられている。第1孔113は、蝶番91の回転軸X1を中心とする所定の半径の仮想円の円弧を長手方向とした円弧状の長孔である。第1孔113は、回転軸X1の後方を除く第1固定具71の後方に位置している。
【0062】
第2規制部121の一端部側には、連結部が設けられている。連結部は、棒状部材が挿通されて、ねじ溝を有して互いのねじ溝により締結可能な中心孔を有する締結手段123と、位置固定手段124とを有している。締結手段123の中心位置は、第1孔113が位置する仮想円の半径と同じ半径の円周上に設けられている。すなわち、締結手段123の中心位置は第1孔113の長手方向中心線上に位置する。締結手段123は、例えば、第2規制部121上に溶接等で固定されたナットである。また、第2規制部121の締結手段123の中心孔の位置には、締結手段123の中心孔と略同径で同軸に第2孔125が設けられている。第2孔125は、
図4では締結手段123に隠れているが、
図5では締結手段123が省略されており、第2孔125が示されている。後述するように、位置固定手段124は第1孔113、及び第2孔125を貫通して、締結手段123に締結される。
【0063】
上記の構成により、回転軸X1の後方に第1孔113を形成した場合では、第1モニタ装置21の第1前面22から第1規制部111の後端部までの厚みが回転軸X1の厚みに加えて第1孔113を形成する分だけ大きくなってしまうところ、回転軸X1の後方を除く第1固定具71の後方に第1孔113を形成したので、第1規制部111の厚みを小さく抑えることができ、薄い開閉装置61とすることができる。なお、締結手段123は、第2規制部121上に固定せずに別体としてもよい。また、棒状部材が挿通されて締結可能な中心孔を有する締結手段123は、ナット等の別部材として構成して第2規制部121に固定する他に、第2規制部121の所定位置に締結手段123を直接設けてもよい。その場合は、
図5に示されている第2孔125の位置に締結手段123が形成され、位置固定手段124は第1孔113を貫通して、締結手段123に締結される。
【0064】
位置固定手段124は、第1固定具71、及び第2固定具81が所定の角度位置の時に、第1孔113と、締結手段123の中心孔とに挿通されて、第1固定具71、及び第2固定具81が所定の角度に保持される。位置固定手段124は、ねじが形成された軸部と、軸部を回転させる操作部を有する部材である。位置固定手段124は、例えば、
図3に示されているように蝶ねじである。位置固定手段124である蝶ねじは、軸部先端が締結手段123に挿入され、締め込まれることにより、第1規制部111と第2規制部121とが挟み込まれて固定される。第1孔113、及び連結部により角度固定手段126が形成されている。又は、第1孔113、第2孔125、及び連結部により角度固定手段126が形成されている。すなわち、表示装置20は、第1前面22に対し、第2前面32のなす角を固定する角度固定手段126を有している。
【0065】
図5は、遠隔操作装置1を搬送するために第1モニタ装置21と第2モニタ装置31を取り外した状態の第1固定具71、及び第2固定具81を示している。第2固定具81は、第2規制部121に接続されている蝶番91の回転軸X1を中心に、第2モニタ装置31の後面34を取り付けている側の面が後ろ側を向く角度になるまで、矢印H方向に180°以上回転した状態にされている。
図5に示されているとおり、第1固定具71と第2固定具81とは、第1前面22と第2前面32とが平行かつそれぞれの面が離間する位置まで、蝶番91により回転可能である。この状態において、第1孔113は、第1前面22と第2前面32とが平行かつそれぞれの面が離間する位置まで、蝶番91により回転させられた場合には、第1前面22の位置する平面と第2前面32の位置する平面との間に位置している。そのため、表示装置20をコンパクトに折り畳むことができ搬送性を高めることができる。
【0066】
次に、遠隔操作装置1を設置する際の組み立て手順を以下に説明する。
【0067】
(1)第1筐体11等の組み立て
設置場所に、第1筐体11、第2筐体12、シート13、操作装置14、回転装置16、及び振動装置17を配置し、各信号線及び電源線を接続する。
【0068】
(2)モニタ支持装置131の取り付け
2本の第1支持部材132、132を第2筐体12へ接続具134、134で各々取り付け、第1支持部材132、132に第2支持部材133、133を接続具135、135で各々取り付ける。
【0069】
(3)第1固定具71、及び第3モニタ装置支持板51の取り付け
第2固定具81、蝶番91、及び角度固定装置101が取り付けられた状態の第1固定具71を、第1支持部材132、132の中央付近の所定箇所に接続具136、136で各々固定する。第3モニタ装置支持板51を、第1支持部材132、132の上端付近の所定箇所に接続具137、137で各々固定する。
【0070】
(4)第1モニタ装置21の取り付け
まず、第1モニタ装置21の第1後面24の全てのモニタ装置固定孔に、締結具を締結具のねじ長さの約50%~70%程度締め込む。第1モニタ装置21を持ち上げ、第1後面24に締め込まれている全ての締結具の頭部を、第1固定具71の対応する第1固定孔74の丸孔部75に通す。第1モニタ装置21を下方にずらしながら締結具の軸部を直線孔部76内に移動させる。締結具の軸部が直線孔部76の下端に到達したら手を離して仮保持状態とする。その後、締結具を締め込んでしっかり固定する。
【0071】
(5)第3モニタ装置41の取り付け
3つの第3モニタ装置42~44の各第3後面47の全てのモニタ後面固定孔に締結具をそれぞれ挿入し、締結具のねじ長さの約50%~70%程度締め込む。まず、第3中央モニタ装置42を持ち上げて、第3中央モニタ装置42の後面に締め込まれている全ての締結具の頭部を、第3モニタ装置支持板51の対応する全ての支持板固定孔54の丸孔部55に通す。第3中央モニタ装置42を下方にずらしながら締結具の軸部を直線孔部56内に移動させる。締結具の軸部が直線孔部56の下端に到達したら手を離して、仮保持状態とする。その後、締結具を締め込んでしっかり固定する。左右の第3左モニタ装置43、及び第3右モニタ装置44も、第3中央モニタ装置42と同様に取り付ける。
【0072】
(6)第2モニタ装置31の取り付け
まず、作業しやすいように、第2固定具81を第1固定具71とほぼ平行に開いた状態で、角度固定装置101の締結手段123に位置固定手段124をねじ込んで締め込み、第1固定具71に対して第2固定具81が動かないようにする。2つの第2モニタ装置31、31の第2後面34の全てのモニタ後面固定孔に締結具をそれぞれ挿入し、締結具のねじ長さの約50%~70%程度締め込む。まず、左右何れか一方の第2モニタ装置31を持ち上げ、第2後面34に締め込まれている全ての締結具の頭部を、第2固定具81の対応する全ての第2固定孔85の丸孔部86に通す。第2モニタ装置31を下方にずらしながら締結具の軸部を第1直線孔部87内に移動させる。締結具の軸部が第1直線孔部87の下端に到達したら手を離して、仮保持状態とする。その後、締結具を締め込んでしっかり固定する。もう一方の第2モニタ装置31も同様に取り付ける。
【0073】
以上の方法で遠隔操作装置1を設置する。なお、搬送の際の取り外しは、基本的に上記と逆の手順で行う。
【0074】
次に、角度固定装置101による第1固定具71と第2固定具81との角度を変更する手順を以下に説明する。
【0075】
まず、第1直線孔部87の下端の締結具を緩める。このとき、締結具が第2直線孔部88に沿って蝶番91側に移動している場合には、第2モニタ装置31を蝶番91から離れる側に移動させて、締結具をスライドさせて第1直線孔部87の下端に位置させる。次に、位置固定手段124による締め付けを緩め、第1固定具71に対して蝶番91の回転軸X1を中心に第2固定具81が回動できるようにする。そして、第2モニタ装置31の第1モニタ装置21に対する角度を調整し、再び位置固定手段124を確実に締め込む。その後、第2直線孔部88に沿って締結具を蝶番91側に移動させることで第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23の隙間が小さくなる位置まで移動させていき、移動させ終わったら第2直線孔部88に対して締結具を確実に締め込む。
【0076】
以上の方法で、第2モニタ装置31の第1モニタ装置21に対する角度調整を行うことができる。
【0077】
表示装置20が備える開閉装置61の効果について説明する。
【0078】
開閉装置61において、蝶番91の回転軸X1を第1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fから形成される空間における第1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fの任意の平面上に配置した場合には、第1前面22に対する第2前面32のなす角が、E~Gのうちの任意の仮想平面のなす角度(第1角度a、第2角度c、第3角度bのいずれか)になるときに、第1前面22に対してなす角度がE~Gのうちの任意の仮想平面のなす角度(第1角度a、第2角度c、第3角度bのいずれか)である仮想第2前面に第2前面32が位置することになる。そして、第1前面22に対してなす角度がE~Gの任意の仮想平面のなす角度である仮想第2前面に第2前面32が位置する状態において、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させていくと、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23とは当接し隙間を最小とすることができる。
【0079】
具体的に、本実施形態では、蝶番91の回転軸X1を空間S内の第3仮想平面F上のD点に配置し、第3仮想平面Fから第2モニタ装置31の前側に向かって前記所定距離だけ離間した位置に第2前面32を配置している。第1固定具71と第2固定具81との角度を変更することで、仮想第2前面323に第2前面32が位置する状態とすることができる。すなわち、任意の仮想平面として第3仮想平面Fを選択した場合に、仮想第2前面323に第2前面32が位置する状態とすることができる。この状態で、第2前面32を第2モニタ装置31に対して蝶番91側に移動させていくと、第2前面32は仮想第2前面323上を移動することになる。そして、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23とが当接する位置まで移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を最小とすることができる。
【0080】
このように、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第3仮想平面F上に配置される場合には、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更して仮想第2前面323に第2前面32が位置する状態とし、同様に第2前面32を移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を最小とすることができる。
【0081】
また、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第1仮想平面E上に配置される場合には、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更して仮想第2前面321に第2前面32が位置する状態とし、同様に第2前面32を移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を最小とすることができる。
【0082】
また、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第2仮想平面G上に配置される場合には、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更して仮想第2前面322に第2前面32が位置する状態とすることで、同様に第2前面32を移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を最小とすることができる。
【0083】
なお、蝶番91の回転軸X1をA点に配置した場合、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第1仮想平面E上かつ第3仮想平面F上に配置されることになり、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更することで仮想第2前面321または仮想第2前面323に第2前面32が位置する状態とすることができる。
【0084】
また、蝶番91の回転軸X1をB点に配置した場合、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第1仮想平面E上かつ第2仮想平面G上に配置されることになり、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更することで仮想第2前面321または仮想第2前面322に第2前面32が位置する状態とすることができる。
【0085】
また、蝶番91の回転軸X1をC点に配置した場合、蝶番91が空間S内の第1仮想平面E上かつ第2仮想平面G上に配置されることになり、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更することで仮想第2前面322または仮想第2前面323に第2前面32が位置する状態とすることができる。
【0086】
また、蝶番91の回転軸X1を第1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fの任意の平面上に配置した場合であって、第1前面22に対する第2前面32のなす角を第1前面22に対してなす角度がE~Gのうちの任意の仮想平面のなす角度(第1角度a、第2角度c、第3角度bのいずれか)と異なる角度となる場合であっても、第1前面22に対する第2前面32のなす角が第1角度aから第2角度cまでの範囲であれば、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を極力小さくすることができる。
【0087】
一方、蝶番91の回転軸X1をE~Gの内の任意の仮想平面に配置しない場合には、蝶番91の回転軸X1と任意の仮想平面とが離れるほど、第1前面22に対する第2前面32のなす角がE~Gの任意の仮想平面のなす角度(第1角度a、第2角度c、第3角度bのいずれか)になるときに、第1前面22に対してなす角度が任意の仮想平面のなす角度(第1角度、第2角度、第3角度のいずれか)である仮想第2前面に対してずれた位置に第2前面32が位置することになる。すると、第1前面22に対してなす角度がE~Gの任意の仮想平面のなす角度である仮想第2前面に対して、第2前面32を平行に並べることはできても、仮想第2前面に第2前面32を位置させることはできず、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させていったとしても、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23とを当接させることはできない。
【0088】
しかしながら、蝶番91の回転軸を1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fの全ての仮想平面に近い空間S内に配置しているため、第1角度aから第2角度cまでの角度調整範囲における第1前面22に対する第2前面32のなす角がいずれの角度になるときにおいても、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を極力小さくすることができる。
【0089】
具体的に、本実施形態では、蝶番91の回転軸X1を空間S内の第3仮想平面F上のD点に配置している。任意の仮想平面として第1仮想平面E又は第2仮想平面Gを考えると、蝶番91の回転軸X1は空間S内において任意の仮想平面から離れた位置に配置している。ここで、第1固定具71と第2固定具81との角度を変更しても、仮想第2前面321又は仮想第2前面322に対して第2前面32を平行に並べることは可能であるが、仮想第2前面321又は仮想第2前面322に第2前面32を位置させることはできない。しかし、仮想第2前面321又は仮想第2前面322に対して第2前面32を平行に並べた状態において、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を極力小さくすることができる。
【0090】
また、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第2仮想平面G上に配置される場合には、仮想第2前面321又は仮想第2前面323に対して第2前面32を平行に並べた状態において、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を極力小さくすることができる。
【0091】
また、蝶番91の回転軸X1が空間S内の第1仮想平面E上に配置される場合には、仮想第2前面322又は仮想第2前面323に対して第2前面32を平行に並べた状態において、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を極力小さくすることができる。
【0092】
また、蝶番91の回転軸X1が第1仮想平面E、第2仮想平面G、及び第3仮想平面Fを除く空間S内のいずれかの位置に配置される場合には、仮想第2前面321、322、323のいずれかに対して第2前面32を平行に並べた状態において、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させることで、第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間を極力小さくすることができる。
【0093】
本実施形態では、蝶番91の回転軸X1をD点に配置しているが、この理由は次のとおりである。
蝶番91の回転軸X1をA点に配置した場合に第1前面22に対する第2前面32のなす角を仮想第2前面322と平行にしたときに第2前面32と仮想第2前面322との間に生じるずれ量と、蝶番91の回転軸X1をC点に配置した場合に第1前面22に対する第2前面32のなす角を仮想第2前面321と平行にしたときに第2前面32と仮想第2前面322との間に生じるずれ量と比較して、蝶番91の回転軸X1をD点に配置した場合に第1前面22に対する第2前面32のなす角を仮想第2前面322又は仮想第2前面322と平行にしたときに第2前面32と仮想第2前面322又は仮想第2前面322との間に生じるずれ量を小さくすることができ、第2モニタ装置31を蝶番91側に移動させた場合に第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との間に生じる隙間を極力小さくすることができる。したがって、操作者が1前面22に対する第2前面32のなす角を調整した際に、生じるに第2モニタ装置31の第2幅方向端部33と第1モニタ装置21の第1幅方向端部23との隙間の大きさの変化を極力小さく抑えることができる。
【0094】
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、本実施形態では、蝶番91の回転軸X1をD点に配置しているが、空間S内に配置されればどの位置に配置されてもよい。
【符号の説明】
【0095】
1 遠隔操作装置
20 表示装置
21 第1モニタ装置
22 第1前面
23 第1幅方向端部
24 第1後面
31 第2モニタ装置
32 第2前面
33 第2幅方向端部
34 第2後面
71 第1固定具
81 第2固定具
91 蝶番
111 第1規制部
113 第1孔
121 第2規制部
123 締結手段
124 位置固定手段
126 角度固定手段
321,322,323 仮想第2前面
E,F,G 第1~第3仮想平面