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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036818
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】真空掃除機
(51)【国際特許分類】
   A47L 9/28 20060101AFI20230307BHJP
   A47L 9/04 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A47L9/28 L
A47L9/04 A
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022206310
(22)【出願日】2022-12-23
(62)【分割の表示】P 2020552334の分割
【原出願日】2019-02-25
(31)【優先権主張番号】1805267.0
(32)【優先日】2018-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】500024469
【氏名又は名称】ダイソン・テクノロジー・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100211395
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 裕貴
(72)【発明者】
【氏名】マーク・テイラー
(72)【発明者】
【氏名】アンドリュー・チャドウィック
(72)【発明者】
【氏名】ノーラン・マッカン
(72)【発明者】
【氏名】メフディ・サレヒファー
(72)【発明者】
【氏名】トーマス・リチャーズ
(72)【発明者】
【氏名】アンヘル・イシドロ・ニエト
(57)【要約】      (修正有)
【課題】様々な床タイプに適合することにより清掃性能を最大化できる真空掃除機を提供する。
【解決手段】真空掃除機は、吸引チャンバを画成しかつ撹拌器モータによって回転されるように構成された撹拌器を有する掃除機ヘッドと、塵埃分離器と、吸引チャンバ内にそして塵埃分離器内に空気を引き込むように構成された真空モータと、コントローラと、を備える。コントローラは、撹拌器モータの電気的負荷を観測し、電気的負荷の大きさを閾値と比較し、真空モータに送られる電力を選択的に調整するように構成されている。コントローラは、電気的負荷が閾値より大きい場合に、真空モータに送られる電力をあらかじめ決定した上電力レベルまで増加させ、または、電気的負荷が閾値より小さい場合に、真空モータに送られる電力をあらかじめ決定した下電力レベルまで減少させるように、構成されている。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引チャンバを画成しかつ撹拌器モータによって回転されるように構成された撹拌器を有する掃除機ヘッドと、
塵埃分離器と、
空気を前記吸引チャンバ内へそして前記塵埃分離器内へ引き込むように構成された真空モータと、
前記撹拌器モータの電気的負荷を観測し、前記電気的負荷の大きさを閾値と比較し、前記真空モータに送られる電力を選択的に調整するように構成されたコントローラと、を備え、
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力を、前記電気的負荷が前記閾値よりも大きい場合に所定の上電力レベルへ増加させ、前記電気的負荷が前記閾値より小さい場合に所定の下電力レベルへ減少させることを特徴とする真空掃除機。
【請求項2】
前記コントローラが、前記電気的負荷が前記閾値より大きい場合、前記真空モータに送られる電力を前記上電力レベルへ増加させ、かつ、前記電気的負荷が前記閾値より小さい場合、前記真空モータに送られる電力を前記下電力レベルへ減少させる、ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の真空掃除機。
【請求項3】
前記コントローラが、前記上電力レベル及び前記下電力レベル以外の他の電力レベルを前記真空モータに供給しないように設定されることが可能であることを特徴とする請求項2に記載の真空掃除機。
【請求項4】
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力への調整をした後に前記撹拌器の前記電気的負荷を観測し続けるように、かつ、前記撹拌器モータの前記電気的負荷が前記閾値を跨いだことを検出するとさらなる調整をするように、構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の真空掃除機。
【請求項5】
前記コントローラが、電気モータの電流引込の観点で前記撹拌器モータの前記電気的負荷を観測し、検出した電力を電流閾値と比較するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項6】
前記コントローラが、当該真空掃除機を最後にオフにしたときに前記真空モータに送られている電力レベルの記録を保持するように構成されており、かつ、当該真空掃除機を次にオンにしたときに前記真空モータにその電力レベルを送ることを再開するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項7】
前記コントローラが、当該真空掃除機をオフにしてその後再びオンにしたときに、前記上電力レベル及び前記下電力レベルに対応していないあらかじめ設定された初期電力レベルを前記真空モータへ送るように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項8】
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力を前記上電力レベルまたは前記下電力レベルまで漸次的に調整するように構成されていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項9】
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力を前記上電力レベルまたは前記下電力レベルまで少なくとも0.5秒の期間にわたって調整するように構成されていることを特徴とする請求項8に記載の真空掃除機。
【請求項10】
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力を前記上電力レベルまたは前記下電力レベルまで6秒以下の期間にわたって調整するように構成されていることを特徴とする請求項8または9に記載の真空掃除機。
【請求項11】
前記コントローラが、前記電気的負荷の大きさをスパイク状閾値であって前記閾値よりも高いスパイク状閾値と比較するように、かつ、前記電気的負荷が前記スパイク状閾値より大きい場合に前記真空モータに送られる電力を減少させるように、さらに構成されていることを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項12】
前記コントローラが、前記電気的負荷が前記スパイク状閾値より大きいことに応じて、ステップ状の変化として、前記真空モータに送られる電力を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の真空掃除機。
【請求項13】
前記閾値が、一の不連続な値であることを特徴とする請求項1から12のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項14】
前記コントローラが、当該コントローラが第1モードにあると、上記態様で前記真空モータに送られる電力を調整するように構成され、前記コントローラが、第2モードを有することを特徴とする請求項1から13のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項15】
前記コントローラが、当該コントローラが前記第2モードにあるときに、単一のあらかじめ決定した電力レベルを前記真空モータに供給するように構成されていることを特徴とする請求項14に記載の真空掃除機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、真空掃除機に関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、任意の特定のタイプの真空掃除機に限定されない。例えば、本発明は、アプライト型真空掃除機、シリンダ型真空掃除機または手持型すなわち「スティック型」真空掃除機で利用され得る。
【0003】
いくつかの公知の真空掃除機は、モータ駆動型回転撹拌器が設けられた吸引チャンバを画成する掃除機ヘッドを有する。このような撹拌器は、しばしば、毛状体を有するブラシバーの形態をとり、ブラシバーの回転中にカーペットの繊維を撹拌しそれにより塵埃をカーペットの繊維から解すように構成されている。しかしながら、一般的に、このような撹拌器の作動は、真空が積層床材の部分のような「硬質フロア」を清掃する場合に冗長である。実際に、いくつかの場合において、撹拌器の回転作動は、このようなフロアに跡を付け得るまたは傷を付け得る。撹拌器が硬質フロアを傷付けることを回避するように設計されていたとしても、一部のユーザは、撹拌器が十分な力で硬質フロアを擦ることが望ましくないと考える。
【0004】
真空チャンバ及び回転撹拌器を有する掃除機ヘッドは、一般的に、吸引チャンバに至り、掃除機ヘッドの下面にある底プレートに設けられた吸引開口部を有する。使用時において、塵埃を取り込んだ空気は、その後塵埃分離器へダクト搬送される前に、吸引開口部を通って吸引チャンバ内に引き込まれる。底プレートは、一般的に、清掃中の表面に接触するようにまたは短距離だけ表面から間隔をあけるように位置付けられており、それにより、表面にある塵埃が吸引開口部を通過する気流に取り込まれる程度を増加させる。吸引チャンバ内の低圧に起因して、その結果、掃除機ヘッドが清掃中の表面上へ吸い付けられる傾向となる。この作動は、多くの掃除機ヘッドにおいて固有であり、実際に、いくつかの場合において、積極的に促進され、それにより、撹拌器は、床面に当接するように下方へ吸い付けられ、そのため、より強い撹拌作用を提供する。いずれの場合も、撹拌器が硬質フロアを傷付ける問題を(考えられる傷リスクを)悪化させ得る。
【0005】
いくつかの真空掃除機は、ユーザが撹拌器モータのスイッチを切ることを可能とすることによって、この問題に取り組んでいる。しかしながら、これは、カーペットと硬質フロアとの間で変わる際に撹拌器をオンオフすることをユーザが覚えていなければならずかつオンオフする時間を取る点で、一部のユーザに著しい負担をかける。この欠点は、手持型またはスティック型真空掃除機で特に面倒であり得る。これら掃除機は、しばしば、バッテリ駆動型であり、真空掃除機をオンのままとするために保持されなければならないオン/オフスイッチ(デッドマンハンドルの態様で)を有する。これらは、通常、「ポイント・ショット」態様で使用される、すなわち、オン/オフスイッチをオンで保持して床面の小領域を清掃し、そして、真空掃除機を床面の別の領域に向けてオン/オフスイッチを再び保持する前に、オン/オフスイッチを解放して真空掃除機を持ち上げる。真空掃除機をこのような態様で使用する場合、ユーザは、ユーザがオン/オフスイッチを保持するとき毎に撹拌器モータを作動/作動停止させるか選択する必要があり、これは、特に面倒で時間がかかり、かつ/または、忘れがちである。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、上記欠点を緩和させるまたは取り除くこと、及び/または、改良したもしくは代替の吸引ノズルもしくは真空掃除機を提供すること、である。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明によれば、真空掃除機が提供され、この真空掃除機は、吸引チャンバを画成しかつ撹拌器モータによって回転されるように構成された撹拌器を有する掃除機ヘッドと、塵埃分離器と、空気を吸引チャンバ内へそして塵埃分離器内へ引き込むように構成された真空モータと、撹拌器モータの電気的負荷を観測し、電気的負荷の大きさを閾値と比較し、真空モータに送られる電力を選択的に調整するように構成されたコントローラと、を備え、コントローラが、真空モータに送られる電力を、電気的負荷が閾値よりも大きい場合に所定の上電力レベルへ増加させ、電気的負荷が閾値より小さい場合に所定の下電力レベルへ減少させる。
【0008】
これにより、真空掃除機は、様々な床タイプに適合することが可能となり得、それにより、全体の清掃性能を最大化する。例えば、閾値は、掃除機ヘッドがカーペット上にあるときに(カーペット繊維がかける撹拌器の回転に対する増加した摩擦抵抗に起因して)撹拌器モータの電気的負荷が閾値よりも上であり、掃除機ヘッドが硬質床上にあるときに閾値未満であるように、選択され得る。このような場合において、真空モータに送られる電力は、掃除機ヘッドがカーペット上にあると増加し(これはカーペットから塵埃を取り上げることを改善し得る)、かつ/または、掃除機ヘッドが硬質床上にあると減少する(この点において、硬質床における十分な取り上げに必要な吸引が一般に低いので、撹拌器が表面に押し付けられて表面を傷付ける実際のまたは考えられる危険性を低減し、清掃性能における過剰な損失なく電力消費を低減する)。
【0009】
掃除機ヘッドがカーペットにあると吸引力が増加するかつ/または掃除機ヘッドが硬質床にあると吸引力が低減するこの挙動は、反直感的である。上述のように、掃除機ヘッドは、吸引チャンバ内の圧力が低いと(すなわち、吸引レベルが高いと)、これら掃除機ヘッドを下へ吸い付ける傾向を有する。カーペット状面において、これは、底プレートとカーペットとの間の封止レベルを増加させ得、これは、(吸引開口部内への気流が減少することに起因して)吸引チャンバ内の圧力をさらに低減させ、これは、掃除機ヘッドを下へさらに沈め、カーペットと底プレートとの間の封止レベルを増加させるなどする。これにより、「しがみ付き」として公知の現象を引き起こし、このとき、掃除機ヘッドは、ユーザにとって移動させることが困難であるこのような力で掃除機ヘッド自体をカーペット上へ吸い付ける。したがって、この時点で、通常望ましいとみなされることは、掃除機ヘッドがカーペット上にあるときに吸引を低減してそれによりしがみ付きの危険性を低減すること、及び/または、硬質床へのしがみ付きの危険性が一般的に低いので、掃除機ヘッドが硬質床上にあるときに吸引を増加させ(それにより取り上げを改善す)ること、である。
【0010】
コントローラは、電気的負荷が閾値より大きい場合に、真空モータに送られる電力を上電力レベルに増加させ、電気的負荷が閾値より低い場合に、真空モータに送られる電力を下電力レベルに減少させる、ように構成されている。
【0011】
これは、上述した機能性(カーペット床上での取り上げを改善すること、並びに、電力消費及び硬質床を傷付ける危険性を低減すること)双方を提供し得る点で、有益であり得る。
【0012】
この二重機能性が好ましい一方、本発明にかかる真空掃除機は、それにもかかわらず、真空モータに送られる電力を選択的に増加させるようにのみ構成されたまたは真空モータに送られる電力を選択的に減少させるようにのみ構成された、コントローラを有し得る。
【0013】
好ましくは、コントローラは、上電力レベル及び下電力レベル以外の他の電力レベルを真空モータに供給しないように設定され得る。
【0014】
これにより、真空掃除機の挙動がユーザによって有利に容易に理解されることを可能とし得る(例えば、ユーザは、真空掃除機が「硬質床モード」と「カーペットモード」との間で切り替わることを容易に理解し得る一方、より複雑な挙動は、紛らわしくなり得る)。その替わりにまたはその上、これにより、コントローラがコンピュータ的に安価なプログラム構造を利用することが可能となり得、真空掃除機のコストを低減し得る。
【0015】
コントローラは、上電力レベル及び下電力レベルのみを供給するように恒久的に設定され得る、または、一のモードでそのように設定されるが他のモードにあるときに1以上の別のもしくは追加の電力レベルを供給するように設定され得る。
【0016】
コントローラは、真空掃除機に送られる電力への調整をした後に撹拌器の電気的負荷を観測し続け、撹拌器モータの電気的負荷が閾値を跨いだことを検出するとさらなる調整をするように構成され得る。これは、一度だけ調整するよりも、掃除機ヘッドが変化する状況に対して繰返し適合することを可能とする点で、有益であり得る。
【0017】
例えば、コントローラは、(撹拌器モータの負荷が閾値よりも上であることに起因して)真空モータに送られる電力を上電力レベルに増加させ、そしてその後、撹拌器モータの電気的負荷が閾値を跨いで閾値よりも下へ降下した後に、供給される電力を下電力レベルに減少させるように構成され得る。別の例において、上記機能性の替わりにまたは好ましくは上記機能性に加えて、コントローラは、(撹拌器モータの負荷が閾値未満であることに起因して)真空モータに送られる電力を下電力レベルに減少させ、そしてその後、撹拌器モータの電気的負荷が閾値を跨いで閾値の上方へ上昇した後に、真空モータに供給される電力を上電力レベルに増加させるように、構成され得る。
【0018】
コントローラは、電気モータの電流引込に関してする撹拌器モータの電気的負荷を観測し、検出した電流を電流閾値と比較するように構成されている。
【0019】
これは、撹拌器モータの電流引込が撹拌器が受けるトルクに全体としてほぼ比例する点で、有益であり得、したがって、床面によって撹拌器にかかる抵抗の特に容易に解釈される指標(ひいては、そのタイプの床面)を提供し得る。
【0020】
対照的に、例えばコントローラが電力引き込みに関して撹拌器モータの電気的負荷を観測している場合には、これは、(例えば主供給源における変動に起因して、または、真空掃除機に給電するバッテリパックの充電状態の変化に起因して、)電圧の変動の影響を受け得る。したがって、電気的負荷の解釈は、より困難となりかつ信頼性が低くなり得る。
【0021】
コントローラは、真空掃除機を最後にオフしたときに真空モータに送られていた電力レベルの記録を保持するように構成されており、かつ、真空掃除機を次にオンにするときに、その電力レベルを真空モータに送ることを再開するように構成され得る。
【0022】
すなわち、真空掃除機は、真空掃除機のスイッチを切ってその後再び入れたときに真空モータに送られる電力に関して「やめたところから再開する」ように構成され得る。これは、真空掃除機をオフにしてその後オンにするときそれぞれで電力レベルを再調整する必要がない点で、単一の清掃セッション中に真空掃除機をオフにして再びオンにする可能性がある配置において特に有益であり得る。
【0023】
真空掃除機は、真空掃除機をオンにし続けるために保持されなければならないオン/オフスイッチを備え得る。例えば、オン/オフスイッチは、引くと真空掃除機をオンにして解放すると自動的に初期化されて真空掃除機をオフにするトリガの形態を取り得る。
【0024】
「やめたところから再開する」真空掃除機は、(例えば真空掃除機を持ち上げて真空掃除機を床面の別の部分に向けて方向付けるときなど、)単一の床面を清掃する間にこのような真空掃除機を一般的に複数回オフにするので、このようなオン/オフスイッチを使用する場合に、特に有益であり得る。
【0025】
コントローラは、真空掃除機をオフにしてその後オンにするときに、上電力レベルまたは下電力レベルに対応しないあらかじめ決定された初期電力レベルを真空モータに送るように構成され得る。
【0026】
すなわち、コントローラは、真空掃除機を最後にオフにしたときに送られていた電力レベルにかかわらず、真空掃除機をオンにしたときはすぐ、初期電力レベルを真空モータに送るように構成され得る。これは、真空掃除機を最後に使用したときのように同じタイプの表面上にあるとコントローラが推定しない点で、部屋を清掃するまでに電気掃除機をオフにしてその後再びオンにする可能性がある配置において、特に有益であり得る。
【0027】
初期電力レベルは、例えば、下電力レベルよりも高くかつ上電力レベルよりも低いことがある。これは、上及び下電力レベル間の「折衷」である電力レベルで真空掃除機が動作を開始し得る点で、有益であり得る。例えば、これは、真空モータに上電力レベルを送りかつ掃除機ヘッドが硬質床上にある状態で真空掃除機をオンにする(するとすぐに、上述のように、床を傷付けることが結果として生じ得る)ことを回避し得る、かつ/または、真空モータに下電力レベルを送りかつ真空掃除機ヘッドがカーペット上にある状態で真空掃除機をオンにする(するとすぐに、初期取り上げが受け入れ不能な程度で弱くなり得る)ことを回避し得る。
【0028】
代替として、初期電力レベルは、下電力レベルより低くなり得る(これは、傷付けることを引き起こすのに十分な程度で掃除機ヘッドが硬質床に吸い付けられる危険性を除去し得る)、または、高電力レベルよりも高くなり得る(これは、初期取り上げが受け入れ不能な程度で低くなる危険性を除去し得る)。
【0029】
別の代替として、コントローラは、真空掃除機を最後にオフにしたときに送られていた電力レベルにかかわらず、真空掃除機をオンにするとすぐに、真空モータに上電力レベルを送るように構成され得る、または、真空掃除機をオフにするとすぐに、真空モータに下電力レベルを送るように構成され得る。
【0030】
コントローラは、真空モータに送られる電力を上電力レベルまたは下電力レベルへ漸次的に調整するように構成され得る。
【0031】
真空掃除機の真空モータに送られる電力における変化は、しばしば、結果として、真空掃除機が発生させる雑音の音程における認識可能な変化を引き起こし得る。このような変化は、ユーザによって認識可能であり得、このユーザは、音程の急激な変化をエラーを示すものとして解釈し得る。したがって、電力レベルにおける漸次的な変化は、音程における十分に漸次的な変化を認識不能とし得る、または、エラーではなくむしろ挙動における意図的な変化により明確に関連付けられ得る。
【0032】
この機能性が好ましいが、いくつかの形態において、コントローラは、真空モータに送られる電力を上電力レベルまたは下電力レベルまでステップ状の変化として調整するように構成され得る。
【0033】
真空モータに送られる電力を漸次的に調整する場合において、コントローラは、真空モータに送られる電力を少なくとも0.1秒または少なくとも0.2秒の期間にわたって上電力レベルまたは下電力レベルへ調整するように構成され得る。例えば、コントローラは、真空モータに送られる電力を少なくとも0.5秒の期間にわたって上電力レベルまたは下電力レベルへ調整するように構成され得る。
【0034】
コントローラは、好ましくは、真空モータに送られる電力を少なくとも0.1秒または少なくとも0.2秒の期間にわたって上電力レベルまたは下電力レベルへ調整するように少なくとも構成されている。
【0035】
この電力レベルにおける比較的長期間の変化は、変化をユーザによって気づかれずに進めるまたはユーザによって意図的に認識される機会を改善し得る。
【0036】
コントローラは、真空モータに送られる電力を10秒以下のまたは8秒以下の期間にわたって上電力レベルまたは下電力レベルへ調整するように構成され得る。例えば、コントローラは、真空モータに送られる電力を6秒以下の期間にわたって調整するように構成され得る。
【0037】
コントローラは、好ましくは、真空モータに送られる電力を5秒以下または4秒以下の期間にわたって上電力レベルまたは下電力レベルへ調整するように構成され得る。
【0038】
これにより、真空掃除機は、床タイプにおける変化に対して比較的素早く適応する一方でそれにもかかわらず電力レベルを漸次的に調整することを可能とし得る。
【0039】
コントローラは、電気的負荷の大きさを上記閾値よりも高いスパイク状閾値と比較するように、かつ、電気的負荷がスパイク状閾値よりも大きい場合に真空モータに送られる電力を減少させるように、さらに構成され得る。
【0040】
いくつかの状況において、掃除機ヘッドの撹拌器は、(例えば、ユーザがラグの角部を吸引する場合に、または、掃除機ヘッドがしがみ付いて撹拌器が大きな力でカーペットに対して押し付けられた場合に)絡んで強制的に停止され得る危険性がある。これは、結果として、撹拌器モータ及び関連する配線を流れる電流におけるピークを引き起こし、このピークは、掃除機ヘッドを傷付けることを引き起こすのに十分高くなることがある。保護回路は、(例えば、撹拌器モータの内側に)設けられており、この保護回路は、電流が十分に高くなると、撹拌器モータへの給電を切断し、それにより、このような傷が発生する危険性を低減する。これは、撹拌器が「行き詰った」として公知である。撹拌器が行き詰ることが傷が発生することよりもよい一方、この行き詰まりは、なぜ撹拌器が止まったかというような混乱を一部のユーザに引き起こし得る、または、撹拌器が回転していない(したがって、清掃性能を低減した)状態でユーザが真空掃除機の使用を継続することを招き得る。
【0041】
撹拌器モータの電気的負荷がスパイク状閾値よりも上にある場合に、真空モータに送られる電力を低減することによって、撹拌器が行き詰る(または、過剰電流に起因して傷が発生する)機会を低減し得る。真空モータに送られる電量を低減することにより、吸引力を低減し得、吸引チャンバ内の圧力における上昇を引き起こす。順に、これは、掃除機ヘッドを若干持上げることを可能とし、それにより、撹拌器モータの電流におけるピークが撹拌器を床面に対して押し付けることに起因している場合に、この問題を軽減する。その替わりにまたはその上、吸引力における減少は、ユーザがラグの角部を引くことをより容易にし、それにより、撹拌器が再び自由に移動することを可能とする。
【0042】
コントローラは、電気的負荷がスパイク状閾値よりも大きい場合に、真空モータに送られる電力を下電力レベル以下である電力レベルまで減少させるように構成され得る。これは、以上の理由から、撹拌器が行き詰ること(または、過剰な電流が傷を引き起こすこと)を回避する機会をさらに増加させ得る。
【0043】
一の代替として、コントローラは、真空モータに送られる電力を下電力レベルよりも上であるが上電力レベルよりも下である電力レベルまで減少させるように構成され得る。
【0044】
コントローラは、電気的負荷がスパイク状閾値よりも大きいことに応じて、真空モータに送られる電力をステップ状の変化として減少させるように構成され得る。
【0045】
このような真空モータに送られる電力におけるステップ状の変化は、吸引力における迅速な低減を引き起こし得、それにより、上記機構の有利な素早い推進を可能とし、これにより、行き詰り(または傷)を防止し得る。
【0046】
代替として、送られる電力における減少は、漸次的であり、この場合にいて、減少は、比較的短期間(例えば1秒未満または0.5秒未満)にわたって行われる。
【0047】
閾値は、一の不連続な値であり得る。
【0048】
これにより、コントローラが測定した撹拌器モータの負荷を単一の閾値と比較するのみが必要であるので、コントローラの構成及びプログラムを比較的簡素にすることが可能となり得る。順に、これは、真空掃除機の全体コストを低減し得る。
【0049】
代替として、閾値は、数値範囲であり得、コントローラは、電気的負荷が閾値範囲の上限よりも大きい場合に、電力を上電力レベルまで増加させるように、かつ/または、電気的負荷が閾値範囲の下限よりも小さい場合に、電力をあらかじめ決定した下電力レベルまで減少させるように、構成され得る。これは、コントローラが電力レベルを調整し得る点間の「緩衝範囲」を提供し得る点で、有益であり得る。順に、これは、真空掃除機が撹拌器の電気的負荷における変動に耐える能力を増加させ得、この変動は、コントローラが電力レベルを変更することなく、掃除機ヘッドが単一表面タイプ上にある間に発生する。
【0050】
コントローラは、コントローラが第1モードにあると、上記態様で真空モータに送られる電力を調整するように構成され得、かつ、コントローラは、第2モードを有し得る。
【0051】
これにより、ユーザは、必要に応じて、上述した機能性を無効にする。
【0052】
コントローラは、コントローラが第2モードにあると、単一のあらかじめ決定した電力レベルを真空モータに供給するように構成され得る。
【0053】
これにより、ユーザは、特定の使用に従って真空モータに送られる電力レベルを設定することを可能とし得る。例えば、ユーザは、積層床のような硬質床を清掃したいことがあり、真空モータは、最大吸引(すなわち、真空モータに送られる最大電力)を付与し、それにより、隣接する積層板間から塵埃を取り上げることを最大化する。別の例において、ユーザは、特有の敏感なラグを清掃したいことがあり、真空モータが低レベルの吸引を付与する。
【0054】
代替として、コントローラは、第2モードにあると、真空モータに送られる電力を調整し得るが、上述したモードとは異なる態様で調整し得る。
【0055】
コントローラは、第3モードをさらに有し得る。例えば、コントローラは、「中間」モードにあるときに上述した態様で真空モータに送られる電力を調整するように構成され得る、または、コントローラは、真空モータに供給される電力レベルが比較的低い(例えば下電力レベルと同じまたは下電力レベルより低い)「最小」モードと、真空モータに供給される電力レベルが比較的高い(例えば、高電力レベルと同じまたは高電力レベルよりも高い)「最大」モードと、を有し得る。
【0056】
真空掃除機は、好ましくは、電力を真空モータに供給するように構成された1以上のセルを有するバッテリパックを備える。本発明は、上述した電力使用における低減がより長いバッテリ寿命と同等とみなされるので、バッテリ駆動型の真空掃除機に適用されると、特に有利であり得る。
【0057】
代替として、真空掃除機は、主供給源に接続するための電力ケーブルを備え得る。
【0058】
撹拌器モータは、好ましくは、撹拌器の内側に部分的にまたは完全に位置付けられている。これは、有利に小型な配置を提供し得る、かつ/または、有利に簡素なもしくは丈夫な伝達機構を使用してモータから撹拌器にトルクを伝達することを可能とし得る。
【0059】
コントローラは、撹拌器モータの電気的負荷を継続的に観測するように構成され得る。あるいは、コントローラは、撹拌器モータの電気的負荷を定期的に観測するように構成され得る。後者の場合において、コントローラは、5秒以下の時間間隔で、例えば2秒以下の時間間隔で、または、1秒以下の時間間隔で、電気的負荷を測定し得る。この比較的頻繁な観測は、真空モータの電力レベルを真空掃除機の調整における反応時間を改善し得る。
【0060】
コントローラは、PCBのような単一ユニットであり得る。あるいは、コントローラは、複数のサブユニットから形成され得る。例えば、コントローラは、真空モータに供給される電力レベルを制御するように構成されたサブユニットと、撹拌器モータの電気引き込みを観測するように構成された別個のサブユニットと、上記サブユニットから信号を受信して命令を送信するさらなるサブユニットと、を備える。
【0061】
コントローラは、撹拌器モータに電力を供給するように構成され得る、または、代替として、電力は、別個の構成部材(例えば、第2コントローラ)によって撹拌器モータに供給され得、コントローラは、コントローラによって供給されるモータの電気的負荷を単独で測定するように構成され得る。
【0062】
コントローラは、真空掃除機の主本体に設けられ得る(例えば、コントローラは、真空モータに装着され得る)。これにより、同じコントローラを複数の交換可能な掃除機ヘッドと共に使用することが可能となり得る。
【0063】
添付の図面を参照しながら、例のみとして本発明の実施形態を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0064】
図1】本発明の第1実施形態にかかる真空掃除機を示す斜視図である。
図2図1の真空掃除機の掃除機ヘッドを示す下方からの図である。
図3図1の真空掃除機の電気構成部材を示す概略図である。
図4図1の真空掃除機のコントローラによって実行される制御動作を示す概略フローチャートである。
図5】本発明の第2実施形態にかかる真空掃除機のコントローラによって実行される制御動作を示す概略フローチャートである。
図6】本発明の第3実施形態にかかる真空掃除機のコントローラによって実行される制御動作を示す概略フローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0065】
説明及び図面にわたって、対応する参照符号は、対応する機能部を示している。
【0066】
図1は、本発明の第1実施形態にかかる真空掃除機2を示す。この実施形態の真空掃除機2は、「スティック型」真空掃除機である。この掃除機は、ほぼ管状の細長いワンド8によって主本体6に接続された掃除機ヘッド4を有する。掃除機ヘッド4は、同様に、主本体6に直接接続可能であり、真空掃除機2を手持型真空掃除機に変換する。
【0067】
主本体6は、この場合においてサイクロン型分離器である塵埃分離器10を備える。サイクロン型分離器は、単一のサイクロンを備える第1サイクロン段12と、並列に配列された複数のサイクロン16を備える第2サイクロン段14と、を有する。主本体6は、同様に、空気を真空掃除機2から排出し得る通気口20が設けられた取り外し可能なフィルタ組立体18を有する。
【0068】
この場合において、真空掃除機2の主本体6は、ユーザが保持するように位置付けられたピストル型グリップ22を有する。ピストル型グリップ22の上端部には、トリガ(図示略)の形態にあるオン/オフスイッチがあり、このトリガは、真空掃除機をオンにし続けるために保持される(すなわち、「引かれる」)必要がある。ユーザがトリガを解放するとすぐに、真空掃除機は、オフになる。ピストル型グリップ22の下端部の下方には、複数の充電可能なセル(図示略)を備えるバッテリパック26が位置付けられている。PBC(図示略)の形態にあるコントローラと電気モータによって駆動されるファンを備える真空モータ(図示略)とは、塵埃分離器10の後方で主本体6内に設けられている。
【0069】
掃除機ヘッド4は、図2において下方から示されている。掃除機ヘッド4は、吸引チャンバ32及び底プレート34を画成するケース30を有する。底プレート34は、空気が吸引チャンバ32に入り得る吸引開口部36と、床面に係合するためのホイール37と、を有する。ケース30は、出口38を画成しており、この出口を通って、空気は、吸引チャンバ32を追加してワンド8内に入り得る。
【0070】
吸引チャンバ32内には、ブラシバーの形態にある撹拌器40が位置付けられている。撹拌器40は、駆動され、撹拌器モータ(図示略)によって吸引チャンバ32の内側で回転し得る。この実施形態の撹拌器モータは、撹拌器40の内側に、より具体的には完全に内側に、受けられている。撹拌器40は、溝部42から突出する螺旋状アレイの毛状体(図示略)を有し、毛状体が吸引開口部36を通して吸引チャンバ32から外へ突出するように吸引チャンバに位置付けられている。
【0071】
図3は、真空掃除機2の電気構成部材の概略的な説明であり、この図3では、トリガ24、バッテリパック26のセル27、撹拌器40の毛状体43、コントローラ50、真空モータ52及び撹拌器モータ54が視認可能である。ここで、図1及び図2と共に図3を参照して、真空掃除機の基本動作を説明する。
【0072】
ユーザがトリガ24を引くと、コントローラ50は、バッテリパック26のセル27から真空モータ52に電力を供給する。これは、機械を通る気流を形成し、それにより、吸引を発生させる。塵埃が取り込まれている空気は、吸引開口部36を通って、掃除機ヘッド4へ、吸引チャンバ32内へ吸引される。ここから、空気は、掃除機ヘッド4の出口38を通って、ワンド8に沿い、塵埃分離器10内へ吸引される。取り込まれた塵埃は、塵埃分離器10によって取り除かれ、その後、比較的清浄な空気は、真空モータ及びフィルタ組立体18を通って引き込まれ、通気口20を通って真空掃除機2から外へ出る。
【0073】
さらに、トリガ24を引くと、コントローラ50は、ワンドの内側に沿って延在するワイヤ56を通してバッテリパック26からの電力を撹拌器モータ54に供給し、それにより、撹拌器40を回転させる。掃除機ヘッド4が硬質床上にあると、掃除機ヘッドは、ホイール37によって支持されており、底プレート34及び撹拌器40は、床面から間隔をあけている。掃除機ヘッド4がカーペット状面上に載置されていると、ホイール37は、カーペットのパイル内に沈み、したがって、底プレート34(掃除機ヘッド4の残りの部分と共に)さらに下方に位置付けられている。これにより、カーペットの繊維は、吸引開口部36に向けて(場合によっては吸引開口部を通って)突出することが可能となり、そうするとすぐに、これら繊維は、回転している撹拌器40の毛状体43によって乱され、それにより、塵埃及びゴミを繊維から解す。
【0074】
コントローラ50は、撹拌器モータ54の電気的負荷を観測し、電気的負荷の大きさを閾値と比較し、その結果として、真空モータ52に送られる電力を選択的に調整する。この場合において、コントローラは、撹拌器モータ54の電流引込に関して電気的負荷を観測し、これを電流閾値と比較する。この実施形態における電流閾値は、1.5Aから2Aの範囲である。ここで、図4と共に図1から図3を参照して、コントローラ50の動作を詳細に説明し、この図4は、コントローラ50によって実行される決定ステップ及び作動を示すフローチャートである。
【0075】
トリガ24を引くことによって真空掃除機2をオンにすると、コントローラ50は、初期電力レベルで電力を真空モータ52に供給する。これをブロックAに示す。この場合において、初期電力レベルは、130Wである。
【0076】
上述のように、トリガ24を引くと、コントローラ50は、同様に、電力を撹拌器モータ54に供給する。しかしながら、この実施形態において、コントローラ50は、撹拌器モータ54に送られる電力を調整しない。したがって、撹拌器モータ54への電力供給は、図4に示されていない。
【0077】
真空モータ52及び撹拌器モータ54に電力を供給した後、コントローラは、撹拌器モータ54の電流引込を検出する(ブロックB)。そして、コントローラは、測定値を閾値範囲と比較する。より詳しくは、ブロックCに示すように、コントローラ50は、検出した電流引込が閾値範囲よりも大きいか(すなわち、2Aより大きいか)問い合わせる。そして、検出した電流引込が電流閾値よりも大きい場合、コントローラ50は、真空モータ52に送られる電力を初期電力レベルから上電力レベルまで増加させる(ブロックD)。この場合において、上電力でベルは、180Wである。
【0078】
検出した電流引込が閾値範囲より大きくない場合、コントローラは、再び、検出した電流引込を閾値と比較し、この場合において、撹拌器モータ54の検出した電流引込が閾値範囲より小さいか(すなわち、1.5A未満か)否かを問い合わせる。これをブロックEに示す。そして、そうである場合には、コントローラ50は、真空モータ52に送られる電力を初期電力レベルから下電力レベルまで減少させる(ブロックF)。この実施形態において、下電力レベルは、80Wである。
【0079】
検出した電流引込が閾値より大きくも閾値未満でもない(すなわち、1.5Aと2Aとの間である)場合、コントローラ50は、調整を行わず、初期電力レベルを真空モータに送ることを続ける。そして、電力引き込みと閾値との間の上記比較を実行した後に電力レベルの調整を行うか否かにかかわらず、コントローラは、撹拌器モータ54の電流引込を再び検出する(ブロックA)前に時間遅延を実施する(ブロックG)。この実施形態における時間遅延は、0.3秒である。すなわち、コントローラ50は、0.3秒の時間期間で周期的に電流引込を観測する。しかしながら、他の実施形態において、時間遅延を省略し得、それにより、コントローラは、撹拌器モータ54の電流引込を継続的に観測する(ブロックB~Fを実施するコントローラが引き起こしたごくわずかな時間遅延にかかわらず)。
【0080】
時間遅延を実行して(ブロックG)、撹拌器モータの電流引込を測定した(ブロックB)後、コントローラ50は、同様に、新たな値を閾値と比較する(ブロックC及びE)。測定値が閾値範囲に対して同じ位置にある(すなわち、閾値範囲よりも上、閾値範囲より下または閾値範囲内)場合、その後、調整を行わず、時間遅延(ブロックG)を実施してサイクルを同様に繰り返す。しかしながら、測定した電流引込が閾値に対する位置を変化させた場合、その後、調整を行い得る。例えば、電流引込が以前は閾値内にあったが閾値よりも上へ移動した場合、その後、コントローラ50は、真空モータに送られる電流を初期電力レベルから上電力レベルに増加させる。別の例のように、電流引込が以前は閾値よりも上にあったが閾値よりも下へ移動した場合、その後、コントローラ50は、真空モータ52に送られる電力レベルを上電力レベルから下電力レベルに減少させる。他方、電流引込が以前は閾値よりも上または閾値よりも下であったが閾値内へ移動した場合、調整を行わず、真空モータ52に送られる電力は、同じ電力レベル(すなわち、上電力レベルまたは下電力レベル)のままである。
【0081】
図4から理解することは、機械をオンにした後に撹拌器モータ54の電力引き込みが閾値内のままである限り、真空モータに送られる電力レベルは、初期電力レベルである。しかしながら、このシナリオを実際には起こりそうもないように閾値及び電力レベルを選択した。コントローラ50は、(図4に示すステップの第1サイクル中にではないにせよ)比較的迅速に電力レベルを上電力レベルまたは下電力レベルへ調整することが期待されている。理解されることは、いったんコントローラ50によって電力レベルへの第1調整をしたら、コントローラは、下電力レベル及び上電力レベル以外の他の電力レベルを真空モータ52に供給しないように設定される。すなわち、コントローラは、設定されて80Wまたは180Wのみを真空モータ52に供給する。
【0082】
注目すべきことは、この実施形態において、コントローラが真空モータ52に供給する電力レベルの調整をなし、この調整が電力レベルへのステップ状変化をなすよりも漸次的であること、である。より詳しくは、コントローラは、約2秒の期間にわたって電力レベルを調整する。これにより、(供給される電力の急変によって引き起こされる)ユーザを混乱させ得る真空モータ52の速度の急変を回避する。
【0083】
図5は、本発明の第2実施形態にかかる真空掃除機のコントローラが実行する決定ステップ及び作動を示すフローチャートである。第2実施形態は、第1実施形態とほぼ同じであり、したがって、本明細書では、差異のみを説明する。
【0084】
第2実施形態において、各サイクルにおいて、コントローラ50は、電流引込を上述した閾値と比較する(ブロックC及びE)前に、撹拌器モータ54の検出した電流引込をスパイク状閾値(ブロックH)と比較する。この場合において、スパイク状閾値は、一の不連続な値、すなわち5Aである。電流引込がスパイク状閾値を越える(すなわち、5Aより大きい)場合、その後、コントローラ50は、真空モータ52に送られる電力を減少させ、この場合において、この電力を下電力レベル(すなわち、80W)へ減少させる。これをブロックIに示す。ブロックD及びFでなす調整が漸次的である一方、ブロックIでなす調整は、ステップ状である、すなわち、電力は、コントローラが達成し得る限り迅速に、下電力レベルへ降下する。
【0085】
ステップIで電力レベルを調整した後、コントローラは、時間遅延を実施し(ブロックG)、その後、電流引込を再測定し(ブロックB)、サイクルを再び開始する。電流引込がスパイク状閾値より大きくかつ大きいままである場合、その後、(電流引込がスパイク状閾値よりも上から閾値未満まで(すなわち、5Aよりも上から1.5A未満まで)降下する際に、)コントローラ50は、真空モータ52に下電力レベルを送り続ける。しかしながら、電流引込がここで閾値とスパイク状閾値との間にある場合、その後、コントローラ50は、上電力レベルを真空モータ52に送る。
【0086】
疑義を避けるため、撹拌器モータ54の電流引込がスパイク状閾値未満のままである間、第2実施形態にかかる真空掃除機2は、第1実施形態の真空掃除機2と同じ態様で挙動する。
【0087】
図6は、本発明の第3実施形態にかかる真空掃除機のコントローラによって実行される決定ステップ及び作動を示すフローチャートである。この実施形態は、同様に、第1実施形態と同様であり、したがって、同様に、差異のみを説明する。
【0088】
この実施形態において、コントローラ50は、メモリを有しており、このメモリは、真空掃除機2を最後にオフにしたときに真空モータ52に送られている電力レベルの記録を保存する。さらに、真空掃除機2を最初にオンにしたときに真空モータ52に初期電力レベルを送るのではなく、コントローラ50は、真空掃除機を最後にオフにしたときに送られていた電力を送る。
【0089】
コントローラ50が調整をなしているかにかかわらず、コントローラは、今送られている電力レベルの記録をメモリに書き込む(または、上書きする)(ブロックJ及びK)。このため、真空掃除機2をオフにすると、メモリは、設定された最後の電力レベル(上電力レベルまたは下電力レベル)の記録を含む。真空掃除機2を再びオンにすると、コントローラは、メモリからその記録を読み込み(ブロックL)、関連する電力レベルを真空モータ52に送る(ブロックM)。
【0090】
この実施形態ではコントローラ50が初期電力レベルを送るのではなく上電力レベルまたは下電力レベルを早急に送るので、コントローラは、下電力レベルまたは上電力レベル以外の他の電力レベルを真空モータ52に供給しないようにあらかじめ設定されているとみなされ得る。
【0091】
そうはいっても、第3実施形態において、上述したコントローラの挙動は、コントローラが第1モードにあるときに行われるのみである。コントローラ50は、同様に、「最小」モードである第2モードと、「最大」モードである第3モードと、を有する。コントローラ50が最小モードにあると、コントローラは、下電力レベル未満(この場合は70W)の一定の電力レベルを真空モータ52に供給する。同様に、コントローラ50が最大モードにあると、コントローラは、上電力レベルより上(この場合、190W)である一定の電力レベルを真空モータ52に供給する。コントローラ50のモードは、主本体6にある三位置スライダを用いて設定され得、このスライダの一例は、図1に視認可能である。
【0092】
想定されることは、添付の特許請求に範囲に規定されるように本発明の範囲から逸脱することなく、上述した実施形態への多数の改変をなし得ること、である。例えば、第3実施形態の改変において、コントローラ50が最小モードにあるときに真空モータ52に送られる電力レベルは、下電力レベルよりも上(例えば、90W)であり得、かつ/または、コントローラ50が最大モードにあるときに真空モータ52に送られる電力レベルは、上電力レベル未満(例えば、170W)であり得る。
【符号の説明】
【0093】
2 真空掃除機、4 掃除機ヘッド、10 塵埃分離器、32 吸引チャンバ、40 撹拌器、50 コントローラ、52 真空モータ、54 撹拌器モータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【手続補正書】
【提出日】2023-01-11
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸引チャンバを画成しかつ撹拌器モータによって回転されるように構成された撹拌器を有する掃除機ヘッドと、
塵埃分離器と、
空気を前記吸引チャンバ内へそして前記塵埃分離器内へ引き込むように構成された真空モータと、
前記撹拌器モータの電気的負荷を観測し、前記電気的負荷の大きさを閾値と比較し、前記真空モータに送られる電力を選択的に調整するように構成されたコントローラと、
を備え、
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力を、前記電気的負荷が前記閾値を超えて上昇するときに所定の上電力レベルへ漸次的に増加させ、あるいは、前記電気的負荷が前記閾値を超えて下降するときに所定の下電力レベルへ漸次的に減少させるように構成され、
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力を前記上電力レベルまたは前記下電力レベルまで少なくとも0.5秒でかつ6秒以下の期間にわたって調整するように構成されていることを特徴とする真空掃除機。
【請求項2】
前記コントローラが、前記電気的負荷が前記閾値より大きい場合、前記真空モータに送られる電力を前記上電力レベルへ増加させ、かつ、前記電気的負荷が前記閾値より小さい場合、前記真空モータに送られる電力を前記下電力レベルへ減少させる、ように構成されていることを特徴とする請求項1に記載の真空掃除機。
【請求項3】
前記コントローラが、前記上電力レベル及び前記下電力レベル以外の他の電力レベルを前記真空モータに供給しないように設定されることが可能であることを特徴とする請求項2に記載の真空掃除機。
【請求項4】
前記コントローラが、前記真空モータに送られる電力への調整をした後に前記撹拌器の前記電気的負荷を観測し続けるように、かつ、前記撹拌器モータの前記電気的負荷が前記閾値を跨いだことを検出するとさらなる調整をするように、構成されていることを特徴とする請求項2または3に記載の真空掃除機。
【請求項5】
前記コントローラが、電気モータの電流引込の観点で前記撹拌器モータの前記電気的負荷を観測し、検出した電流を電流閾値と比較するように構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項6】
前記コントローラが、当該真空掃除機を最後にオフにしたときに前記真空モータに送られている電力レベルの記録を保持するように構成されており、かつ、当該真空掃除機を次にオンにしたときに前記真空モータにその電力レベルを送ることを再開するように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項7】
前記コントローラが、当該真空掃除機をオフにしてその後再びオンにしたときに、前記上電力レベル及び前記下電力レベルに対応していないあらかじめ設定された初期電力レベルを前記真空モータへ送るように構成されていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項8】
前記コントローラが、前記電気的負荷の大きさをスパイク状閾値であって前記閾値よりも高いスパイク状閾値と比較するように、かつ、前記電気的負荷が前記スパイク状閾値より大きい場合に前記真空モータに送られる電力を減少させるように、さらに構成されていることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項9】
前記コントローラが、前記電気的負荷が前記スパイク状閾値より大きいことに応じて、ステップ状の変化として、前記真空モータに送られる電力を減少させるように構成されていることを特徴とする請求項に記載の真空掃除機。
【請求項10】
前記閾値が、単一の値であることを特徴とする請求項1からのいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項11】
前記コントローラが、当該コントローラが第1モードにあると、上記態様で前記真空モータに送られる電力を調整するように構成され、前記コントローラが、第2モードを有することを特徴とする請求項1から10のいずれか1項に記載の真空掃除機。
【請求項12】
前記コントローラが、当該コントローラが前記第2モードにあるときに、単一のあらかじめ決定した電力レベルを前記真空モータに供給するように構成されていることを特徴とする請求項11に記載の真空掃除機。
【外国語明細書】