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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036865
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】アンチセンス核酸
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20230307BHJP
   A61K 31/711 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20230307BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20230307BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20230307BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/711
A61K31/712
A61K31/7125
A61P21/00
A61P43/00 105
A61K48/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209270
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2021058526の分割
【原出願日】2011-08-31
(31)【優先権主張番号】P 2010196032
(32)【優先日】2010-09-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】000004156
【氏名又は名称】日本新薬株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】510147776
【氏名又は名称】国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100141195
【弁理士】
【氏名又は名称】西澤 恵美子
(72)【発明者】
【氏名】渡辺 直樹
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 洋平
(72)【発明者】
【氏名】武田 伸一
(72)【発明者】
【氏名】永田 哲也
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンのスキッピングを強く誘導するアンチセンスオリゴマー及び該オリゴマーを含む、デュシェンヌ型筋ジストロフィー治療用医薬組成物を提供する。
【解決手段】ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの特定のヌクレオチド配列に相補的な塩基配列からなる、アンチセンスオリゴマーを提供する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンのスキッピングを可能にするアンチセ
ンスオリゴマーであって、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端か
ら第31~53番目、第31~54番目、第31~55番目、第31~56番目、第31~57番目、第31~58
番目、第32~53番目、第32~54番目、第32~55番目、第32~56番目、第32~57番目、第32
~58番目、第33~53番目、第33~54番目、第33~55番目、第33~56番目、第33~57番目、
第33~58番目、第34~53番目、第34~54番目、第34~55番目、第34~56番目、第34~57番
目、第34~58番目、第35~53番目、第35~54番目、第35~55番目、第35~56番目、第35~
57番目、第35~58番目、第36~53番目、第36~54番目、第36~55番目、第36~56番目、第
36~57番目又は第36~58番目のヌクレオチドからなる配列のいずれか1つに相補的な塩基
配列からなる、アンチセンスオリゴマー。
【請求項2】
オリゴヌクレオチドである、請求項1に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項3】
前記オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分及び/又はリ
ン酸結合部分が修飾されている、請求項2に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項4】
前記オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分が、2’位の
-OH基が、OR、R、R’OR、SH、SR、NH2、NHR、NR2、N3、CN、F、Cl、Br及びIからなる群よ
り選択されるいずれかの基で置換されたリボースである、請求項3に記載のアンチセンス
オリゴマー。
(上記Rは、アルキル又はアリールを示し、上記R’は、アルキレンを示す。)
【請求項5】
前記オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドのリン酸結合部分が
、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、ホ
スホロアミデート結合、及びボラノフォスフェート結合からなる群より選択されるいずれ
か1つのものである、請求項3又は4に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項6】
モルホリノオリゴマーである、請求項1に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項7】
ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである、請求項6に記載のアンチセンスオ
リゴマー。
【請求項8】
5’末端が、下記化学式(1)~(3)のいずれかの基である、請求項6又は7に記載のア
ンチセンスオリゴマー。
【化24】
【請求項9】
ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第32~56番目又は第36
~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなる、請求項1~8のいずれ
か1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項10】
配列番号2~37からなる群より選択されるいずれか1つに示す塩基配列からなる、請求項
1~8のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項11】
配列番号11、17、23、29及び35からなる群より選択されるいずれか1つの塩基配列から
なる、請求項1~8のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
【請求項12】
配列番号11又は35のいずれか1つの塩基配列からなる、請求項1~8のいずれか1項に記載
のアンチセンスオリゴマー。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー、その医薬的に許容可能な
塩又は水和物を有効成分とする、筋ジストロフィー治療用医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンのスキッピングを可能にす
るアンチセンスオリゴマー及び該オリゴマーを含む医薬組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
デュシェンヌ型筋ジストロフィー(DMD)は出生男子約3,500人に1人が発症する最も頻
度の高い遺伝性進行性筋萎縮症である。乳幼児期には正常のヒトとほとんど変わらない運
動機能を示すが、4~5歳頃から筋力低下がみられる。その後筋力低下は進行し12歳頃まで
に歩行不能になり、20歳代で心不全または呼吸器不全により死に至る重篤な疾患である。
現在、DMDに対する有効な治療法はなく、新たな治療薬の開発が強く求められている。
【0003】
DMDはジストロフィン遺伝子の変異が原因であることが知られている。ジストロフィン
遺伝子はX染色体に存在し、220万塩基対のDNAから成る巨大な遺伝子である。DNAからmRNA
前駆体に転写され、さらにスプライシングによりイントロンが除かれ79のエクソンが結合
したmRNAが合成される。このmRNAから3,685のアミノ酸に翻訳され、ジストロフィンタン
パク質が生成される。ジストロフィンタンパク質は筋細胞の膜安定性の維持に関与してお
り、筋細胞を壊れにくくするために必要である。DMD患者のジストロフィン遺伝子は変異
を有するため、筋細胞において機能を有するジストロフィンタンパク質が殆ど発現されな
い。そのため、DMD患者体内では、筋細胞の構造を維持できなくなり、多量のカルシウム
イオンが筋細胞内に流れ込む。その結果、炎症に似た反応が生じ、線維化が進むために筋
細胞が再生されにくくなる。
【0004】
ベッカー型筋ジストロフィー(BMD)もジストロフィン遺伝子の変異が原因であるが、
その症状は筋萎縮による筋力低下を呈するものの一般にDMDと比較して軽く、筋力低下の
進行も遅く、多くの場合、成人期に発症する。DMDとBMDとの臨床症状の違いは、変異によ
りジストロフィンのmRNAがジストロフィンタンパク質へと翻訳される際のアミノ酸読み取
り枠が破壊されるか、あるいは維持されるかによるものと考えられている(非特許文献1
)。つまり、DMDでは、アミノ酸読み取り枠がずれる変異を有することにより、機能を持
つジストロフィンタンパク質がほとんど発現しないが、BMDでは変異によりエクソンの一
部は欠失しているが、アミノ酸読み取り枠は維持されているために不完全ながらも機能を
有するジストロフィンタンパク質が産生される。
【0005】
DMDの治療法として、エクソンスキッピング法が期待されている。この方法は、スプラ
イシングを改変することでジストロフィンのmRNAのアミノ酸読み取り枠を修復し、部分的
に機能を回復したジストロフィンタンパク質の発現を誘導する方法である(非特許文献2
)。エクソンスキッピングの対象となるアミノ酸配列部分は失われることになる。そのた
めこの治療で発現されるジストロフィンタンパク質は正常のものより短くなるが、アミノ
酸読み取り枠が維持されるために筋細胞を安定化する機能が部分的に保持される。従って
、エクソンスキッピングにより、DMDは、より軽症のBMDと同じような症状を呈するように
なると期待されている。エクソンスキッピング法は、マウスやイヌによる動物実験を経て
、ヒトDMD患者に対する臨床試験が行われている。
【0006】
エクソンスキッピングは、5’若しくは3’スプライス部位のいずれか若しくは両方、又
はエクソンの内部を標的とするアンチセンス核酸の結合により誘導することができる。エ
クソンは両方のスプライス部位がスプライソソーム複合体によって認識された場合のみmR
NAに包含される。従って、スプライス部位をアンチセンス核酸でターゲッティングするこ
とにより、エクソンスキッピングを誘導することができる。また、エクソンがスプライシ
ングの機構に認識されるためにはエクソンスプライシングエンハンサー(ESE)へのSRタ
ンパク質の結合が必要であると考えられており、ESEをターゲッティングすることでもエ
クソンのスキッピングを誘導することができる。
【0007】
ジストロフィン遺伝子の変異はDMD患者によって異なるため、遺伝子変異の場所や種類
に応じたアンチセンス核酸が必要になる。これまでに、西オーストラリア大学のSteve Wi
ltonらによって79個全てのエクソンに対してエクソンスキッピングを誘導するアンチセン
ス核酸が作製されており(非特許文献3)、オランダのAnnemieke Aartsma-Rusらによって
39種類のエクソンに対してエクソンスキッピングを誘導するアンチセンス核酸が作られて
いる(非特許文献4)。
【0008】
全DMD患者の8%程度は、第53番目のエクソン(以下、「エクソン53」という)をスキッ
ピングすることで治療可能と考えられている。近年では、ジストロフィン遺伝子のエクソ
ン53をエクソンスキッピングのターゲットとした研究について、複数の研究機関から報告
がなされている(特許文献1~4;非特許文献5)。しかしながら、エクソン53を高効率に
スキッピングさせる技術は、いまだに確立されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】: 国際公開公報 WO 2006/000057
【特許文献2】: 国際公開公報 WO 2004/048570
【特許文献3】: 米国特許公開公報 US 2010/0168212
【特許文献4】: 国際公開公報 WO 2010/048586
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】: Monaco A. P. et al., Genomics 1988; 2: p. 90-95
【非特許文献2】: Matsuo M., Brain Dev 1996; 18: p. 167-172
【非特許文献3】: Wilton S. D., e t al., Molecular Therapy 2007: 15: p. 1288-96
【非特許文献4】: Annemieke Aartsma-Rus et al., (2002) Neuromuscular Disorders 12: S71-S77
【非特許文献5】: Linda J. Popplewell et al., (2010) Neuromuscular Disorders , vol. 20, no. 2, p. 102-10
【発明の開示】
【0011】
上記のような状況において、ジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピングを強く
誘導するアンチセンスオリゴマー及びそのオリゴマーを含む筋ジストロフィー治療薬が望
まれている。
本発明者らは、ジストロフィン遺伝子の構造を詳細に研究した結果、ジストロフィン遺
伝子のmRNA前駆体(以下、「pre-mRNA」という)のうちエクソン53の5’末端から第32~5
6番目周辺のヌクレオチドからなる配列をアンチセンスオリゴマーでターゲッティングす
ることにより、高効率にエクソン53のスキッピングを誘導できることを見出した。本発明
者らは、この知見に基づき、本発明を完成させた。
【0012】
即ち、本発明は、以下のとおりである。
[1] ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンのスキッピングを可能にするアン
チセンスオリゴマーであって、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末
端から第31~53番目、第31~54番目、第31~55番目、第31~56番目、第31~57番目、第31
~58番目、第32~53番目、第32~54番目、第32~55番目、第32~56番目、第32~57番目、
第32~58番目、第33~53番目、第33~54番目、第33~55番目、第33~56番目、第33~57番
目、第33~58番目、第34~53番目、第34~54番目、第34~55番目、第34~56番目、第34~
57番目、第34~58番目、第35~53番目、第35~54番目、第35~55番目、第35~56番目、第
35~57番目、第35~58番目、第36~53番目、第36~54番目、第36~55番目、第36~56番目
、第36~57番目又は第36~58番目のヌクレオチドからなる配列のいずれか1つに相補的な
塩基配列からなる、アンチセンスオリゴマー。
[2] オリゴヌクレオチドである、前記[1]に記載のアンチセンスオリゴマー。
[3] 前記オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分及び/又
はリン酸結合部分が修飾されている、前記[2]に記載のアンチセンスオリゴマー。
[4] 前記オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドの糖部分が、2’
位の-OH基が、OR、R、R’OR、SH、SR、NH2、NHR、NR2、N3、CN、F、Cl、Br及びIからなる
群より選択されるいずれかの基で置換されたリボースである、前記[3]に記載のアンチセ
ンスオリゴマー。
(上記Rは、アルキル又はアリールを示し、上記R’は、アルキレンを示す。)
[5] 前記オリゴヌクレオチドを構成する少なくとも1つのヌクレオチドのリン酸結合部分
が、ホスホロチオエート結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、
ホスホロアミデート結合、及びボラノフォスフェート結合のからなる群より選択されるい
ずれか1つのものである、前記[3]又は[4]に記載のアンチセンスオリゴマー。
[6] モルホリノオリゴマーである、前記[1]に記載のアンチセンスオリゴマー。
[7] ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマーである、前記[6]に記載のアンチセンス
オリゴマー。
[8] 5’末端が、下記化学式(1)~(3)のいずれかの基である、前記[1]~[7]のいずれ
か1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
【化1】
[9] ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの5’末端から第32~56番目又は第
36~56番目のヌクレオチドからなる配列に相補的な塩基配列からなる、前記[1]~[8]のい
ずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
[10] 配列番号2~37からなる群より選択されるいずれか1つの塩基配列からなる、前記[1
]~[8]のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
[11] 配列番号11、17、23、29及び35からなる群より選択されるいずれか1つの塩基配列
からなる、前記[1]~[8]のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー。
[12] 配列番号11又は35のいずれか1つの塩基配列からなる、前記[1]~[8]のいずれか1項
に記載のアンチセンスオリゴマー。
[13] 前記[1]~[12]のいずれか1項に記載のアンチセンスオリゴマー、その医薬的に許容
可能な塩又は水和物を有効成分とする、筋ジストロフィー治療用医薬組成物。
【0013】
本発明のアンチセンスオリゴマーにより、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のス
キッピングを高効率に誘導することが可能である。また、本発明の医薬組成物を投与する
ことにより、デュシェンヌ型筋ジストロフィーの症状を、効果的に軽減することができる
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】ヒト横紋筋肉腫細胞株(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子エクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図2】ヒト正常組織由来線維芽細胞(TIG-119細胞)にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図3】ヒトDMD患者由来線維芽細胞(5017細胞)にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図4】ヒトDMD患者(エクソン45-52欠失)由来線維芽細胞にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図5】ヒトDMD患者(エクソン48-52欠失)由来線維芽細胞にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図6】ヒトDMD患者(エクソン48-52欠失)由来線維芽細胞にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図7】ヒトDMD患者(エクソン45-52欠失またはエクソン48-52欠失)由来線維芽細胞にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図8】ヒトDMD患者(エクソン45-52欠失)由来線維芽細胞にヒトmyoD遺伝子を導入して筋肉細胞に分化誘導した細胞におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率を示す図である。
図9】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図10】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図11】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図12】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図13】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図14】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図15】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図16】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図17】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピング効率(2’-OMe-S-RNA)を示す図である。
図18】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のオリゴマー濃度別のスキッピング効率を示す図である。
図19】ヒト横紋筋肉腫細胞(RD細胞)におけるヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のオリゴマー濃度別のスキッピング効率を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明を詳細に説明する。以下の実施の形態は、本発明を説明するための例示で
あり、本発明をこの実施の形態のみに限定する趣旨ではない。本発明は、その要旨を逸脱
しない限り、様々な形態で実施をすることができる。
なお、本明細書において引用した全ての文献、および公開公報、特許公報その他の特許
文献は、参照として本明細書に組み込むものとする。また、本明細書は、2010年9月1日に
出願された本願優先権主張の基礎となる日本国特許出願(特願2010-196032号)の明細書
及び図面に記載の内容を包含する。
【0016】
1.アンチセンスオリゴマー
本発明は、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンのスキッピングを可能にす
るアンチセンスオリゴマーであって、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンの
5’末端から第31~53番目、第31~54番目、第31~55番目、第31~56番目、第31~57番目
、第31~58番目、第32~53番目、第32~54番目、第32~55番目、第32~56番目、第32~57
番目、第32~58番目、第33~53番目、第33~54番目、第33~55番目、第33~56番目、第33
~57番目、第33~58番目、第34~53番目、第34~54番目、第34~55番目、第34~56番目、
第34~57番目、第34~58番目、第35~53番目、第35~54番目、第35~55番目、第35~56番
目、第35~57番目、第35~58番目、第36~53番目、第36~54番目、第36~55番目、第36~
56番目、第36~57番目又は第36~58番目のヌクレオチドからなる配列(以下、「標的配列
」ともいう。)のいずれか1つに相補的な塩基配列からなる、アンチセンスオリゴマー(
以下、「本発明のオリゴマー」という)を提供する。
【0017】
[ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソン]
本発明において、「遺伝子」には、ゲノム遺伝子以外に、cDNA、mRNA前駆体及びmRNAも
含まれる。好ましくは、遺伝子は、mRNA前駆体、即ち、pre-mRNAである。
ヒトゲノムにおいて、ヒトジストロフィン遺伝子は遺伝子座Xp21.2に存在する。ヒトジ
ストロフィン遺伝子は、3.0 Mbpのサイズを有しており、既知のヒト遺伝子としては最大
の遺伝子である。但し、ヒトジストロフィン遺伝子のコード領域はわずか14kbに過ぎず、
該コード領域は79個のエクソンとしてジストロフィン遺伝子内に分散している(Roberts,
RG., et al., Genomics, 16: 536-538 (1993))。ヒトジストロフィン遺伝子の転写物で
あるpre-mRNAは、スプライシングを受けて14kbの成熟mRNAを生成する。ヒトの野生型ジス
トロフィン遺伝子の塩基配列は公知である(GenBank Accession No. NM_004006)。
ヒトの野生型ジストロフィン遺伝子のエクソン53の塩基配列を配列番号1に示す。
【0018】
本発明のオリゴマーは、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピングにより
、DMD型ジストロフィン遺伝子でコードされるタンパク質を、BMD型ジストロフィンタンパ
ク質に改変することを目的として作製されたものである。従って、本発明のオリゴマーの
エクソンスキッピングの対象となるジストロフィン遺伝子のエクソン53には、野生型だけ
ではなく、変異型も含まれる。
変異型のヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53は、具体的には、以下の(a)又は(b
)に記載のポリヌクレオチドである。
(a)配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドとストリンジェ
ントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド;
(b)配列番号1の塩基配列に対して、90%以上の同一性を有する塩基配列からなるポリヌ
クレオチド
【0019】
本明細書中、「ポリヌクレオチド」とは、DNA又はRNAを意味する。
本明細書中、「ストリンジェントな条件下でハイブリダイズするポリヌクレオチド」と
は、例えば、配列番号1の塩基配列と相補的な塩基配列からなるポリヌクレオチドの全部
又は一部をプローブとして、コロニーハイブリダイゼーション法、プラークハイブリダイ
ゼーション法又はサザンハイブリダイゼーション法などを用いることにより得られるポリ
ヌクレオチドをいう。ハイブリダイゼーションの方法としては、例えば、"Sambrook & R
ussell, Molecular Cloning: A Laboratory Manual Vol. 3, Cold Spring Harbor, La
boratory Press 2001"及び"Ausubel, Current Protocols in Molecular Biology, John W
iley & Sons 1987-1997"などに記載されている方法を利用することができる。
【0020】
本明細書中、「相補的な塩基配列」とは、対象となる塩基配列とワトソン・クリック対
を形成する塩基配列に限定されるものではなく、揺らぎ塩基対(Wobble base pair)を形
成する塩基配列も含む。ここで、ワトソン・クリック対とは、アデニン-チミン、アデニ
ン-ウラシル及びグアニン-シトシン間に水素結合が形成される塩基対を意味し、揺らぎ塩
基対とは、グアニン-ウラシル、イノシン-ウラシル、イノシン-アデニン及びイノシン-シ
トシン間に水素結合が形成される塩基対を意味する。また、「相補的な塩基配列」とは、
対象となる塩基配列と100%の相補性を有していなくてもよく、例えば、対象となる塩
基配列に対して、1~3個、1~2個又は1個の非相補的塩基が含まれていてもよい。
【0021】
本明細書中、「ストリンジェントな条件」とは、低ストリンジェントな条件、中ストリ
ンジェントな条件及び高ストリンジェントな条件のいずれでもよい。「低ストリンジェン
トな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、32
℃の条件である。また、「中ストリンジェントな条件」は、例えば、5×SSC、5×デンハ
ルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、42℃又は5×SSC、1% SDS、50 mM Tris-HCl(
pH7.5)、50%ホルムアミド、42℃の条件である。「高ストリンジェントな条件」は、例
えば、5×SSC、5×デンハルト溶液、0.5%SDS、50%ホルムアミド、50℃又は0.2×SSC、0
.1% SDS、65℃の条件である。これらの条件において、温度を上げるほど高い同一性を有
するポリヌクレオチドが効率的に得られることが期待できる。ただし、ハイブリダイゼー
ションのストリンジェンシーに影響する要素としては温度、プローブ濃度、プローブの長
さ、イオン強度、時間、塩濃度等の複数の要素が考えられ、当業者であればこれらの要素
を適宜選択することで同様のストリンジェンシーを実現することが可能である。
【0022】
なお、ハイブリダイゼーションに市販のキットを用いる場合は、例えばAlkphos Direct
Labelling and Detection System(GE Healthcare)を用いることができる。この場合は
、キットに添付のプロトコールにしたがい、標識したプローブとのインキュベーションを
一晩行った後、メンブレンを55℃の条件下で0.1%(w/v)SDSを含む1次洗浄バッファーで
洗浄後、ハイブリダイズしたポリヌクレオチドを検出することができる。あるいは、配列
番号1の塩基配列と相補的な塩基配列の全部又は一部に基づいてプローブを作製する際に
、市販の試薬(例えば、PCRラベリングミックス(ロシュ・ダイアグノス社)等)を用い
て該プローブをジゴキシゲニン(DIG)ラベルした場合には、DIG核酸検出キット(ロシュ
・ダイアグノス社)を用いてハイブリダイゼーションを検出することができる。
【0023】
上記のハイブリダイズ可能なポリヌクレオチド以外のポリヌクレオチドとしては、相同
性検索ソフトウェアであるBLASTにより、デフォルトのパラメーターを用いて計算したと
きに、配列番号1のポリヌクレオチドと90%以上、91%以上、92%以上、93%以上、94%
以上、95%以上、96%以上、97%以上、98%以上、99%以上、99.1%以上、99.2%以上、
99.3%以上、99.4%以上、99.5%以上、99.6%以上、99.7%以上、99.8%以上、又は99.9
%以上の同一性を有するポリヌクレオチドをあげることができる。
【0024】
なお、塩基配列の同一性は、カーリン及びアルチュールによるアルゴリズムBLAST (Bas
ic Local Alignment Search Tool)(Proc. Natl. Acad. Sci. USA 872264-2268, 1990; P
roc Natl Acad Sci USA 90: 5873, 1993)を用いて決定できる。BLASTのアルゴリズムに
基づいたBLASTNやBLASTXと呼ばれるプログラムが開発されている(Altschul SF, et al:
J Mol Biol 215: 403, 1990)。BLASTNを用いて塩基配列を解析する場合は、パラメータ
ーは、例えばscore = 100、wordlength = 12とする。BLASTとGapped BLASTプログラムを
用いる場合は、各プログラムのデフォルトパラメーターを用いる。
【0025】
エクソン53の5’末端から第31~53番目、第31~54番目、第31~55番目、第31~56番目
、第31~57番目、第31~58番目、第32~53番目、第32~54番目、第32~55番目、第32~56
番目、第32~57番目、第32~58番目、第33~53番目、第33~54番目、第33~55番目、第33
~56番目、第33~57番目、第33~58番目、第34~53番目、第34~54番目、第34~55番目、
第34~56番目、第34~57番目、第34~58番目、第35~53番目、第35~54番目、第35~55番
目、第35~56番目、第35~57番目、第35~58番目、第36~53番目、第36~54番目、第36~
55番目、第36~56番目、第36~57番目及び第36~58番目のヌクレオチドからなる配列に相
補的な塩基配列の例を以下の表に示す。
【0026】
【表1-A】
【表1-B】
【0027】
本発明のオリゴマーは、好ましくは、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソン
の5’末端から第32~56番目、第33~56番目、第34~56番目、第35~56番目又は第36~56
番目のヌクレオチドからなる配列のいずれか1つに相補的な塩基配列(例えば、配列番号1
1、配列番号17、配列番号23、配列番号29又は配列番号35)からなる。
好ましくは、本発明のオリゴマーは、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソン
の5’末端から第32~56番目又は第36~56番目のヌクレオチドからなる配列のいずれか1つ
に相補的な塩基配列(例えば、配列番号11又は配列番号35)からなるものである。
【0028】
「ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエクソンのスキッピングを可能にする」とは
、ヒトジストロフィン遺伝子の転写物(例えば、pre-mRNA)のエクソン53に相当する部位
に本発明のオリゴマーが結合することにより、該転写物がスプライシングを受けた際に、
例えばエクソン52が欠失したDMD患者の場合、エクソン51の3’末端に相当する塩基配列の
3’側にエクソン54の5’末端に相当する塩基配列が連結し、コドンのフレームシフトが起
こっていない成熟mRNAが形成されることを意味する。
従って、本発明のオリゴマーは、ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピン
グを可能にする限り、ターゲット配列に対して100%相補的な塩基配列を有していなくて
もよい。例えば、本発明のオリゴマーには、ターゲット配列に対して、1~3個、1~2個又
は1個の非相補的塩基が含まれていてもよい。
ここで、前記「結合」は、本発明のオリゴマーとヒトジストロフィン遺伝子の転写物と
を混合した場合に、生理的条件下で両者がハイブリダイズして二本鎖を形成することを意
味する。上記「生理的条件下」とは、生体内と類似のpH、塩組成、温度に調節された条件
を意味する。例えば、25~40℃、好ましくは37℃、pH 5~8、好ましくは、pH 7.4であっ
て、塩化ナトリウム濃度が150 mMの条件が挙げられる。
【0029】
ヒトジストロフィン遺伝子のエクソン53のスキッピングが生じたか否かは、ジストロフ
ィン発現細胞(例えば、ヒト横紋筋肉腫細胞)に本発明のオリゴマーを導入し、前記ジス
トロフィン発現細胞のtotal RNAから、ヒトジストロフィン遺伝子のmRNAのエクソン53の
周辺領域をRT-PCR増幅し、該PCR増幅産物に対してnested PCR又はシークエンス解析を行
うことにより確認することができる。
スキッピング効率は、ヒトジストロフィン遺伝子のmRNAを被検細胞から回収し、該mRNA
のうち、エクソン53がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53が
スキップしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定し、これら「A」及び「B」
の測定値に基づき、以下の式に従って計算することができる。

スキッピング効率(%)= A /( A + B )x 100
【0030】
本発明のオリゴマーとしては、例えば、18~28 塩基の長さを有する、オリゴヌクレオ
チド、モルホリノオリゴマー、又はペプチド核酸(Peptide Nucleic Acid:PNA)オリゴマ
ーを挙げることができる。21~25塩基の長さが好ましく、モルホリノオリゴマーが好まし
い。
【0031】
前記オリゴヌクレオチド(以下、「本発明のオリゴヌクレオチド」という)は、ヌクレ
オチドを構成単位とする本発明のオリゴマーであり、かかるヌクレオチドは、リボヌクレ
オチド、デオキシリボヌクレオチド又は修飾ヌクレオチドのいずれであってもよい。
修飾ヌクレオチドとは、リボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを構成する核
酸塩基、糖部分、及びリン酸結合部分の全部又は一部が修飾されているものをいう。
【0032】
核酸塩基としては、例えば、アデニン、グアニン、ヒポキサンチン、シトシン、チミン
、ウラシル又はそれらの修飾塩基を挙げることができる。かかる修飾塩基としては、例え
ば、シュードウラシル、3-メチルウラシル,ジヒドロウラシル、5-アルキルシトシン(例
えば、5-メチルシトシン)、5-アルキルウラシル(例えば、5-エチルウラシル)、5-ハロ
ウラシル(5-ブロモウラシル)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(6-メチルウ
ラシル)、2-チオウラシル、4-チオウラシル、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシヒド
ロキシメチル) ウラシル、5'-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウラシル、5-カルボ
キシメチルアミノメチルウラシル、1-メチルアデニン、1-メチルヒポキサンチン、2,2-ジ
メチルグアニン、3-メチルシトシン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、N6-メチル
アデニン、7-メチルグアニン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、5-メチルアミ
ノメチルウラシル、5-メチルカルボニルメチルウラシル、5-メチルオキシウラシル、5-メ
チル-2-チオウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢
酸、2-チオシトシン、プリン、2,6-ジアミノプリン、2-アミノプリン、イソグアニン、イ
ンドール、イミダゾール、キサンチン等が挙げられるが、これらに限定されるものではな
い。
【0033】
糖部分の修飾としては、例えば、リボースの2’位の修飾及び糖のその他の部分の修飾
を挙げることができる。リボースの2’位の修飾としては、例えば、リボースの2’位の-O
H基をOR、R、R’OR、SH、SR、NH2、NHR、NR2、N3、CN、F、Cl、Br、Iに置換する修飾を挙
げることができる。ここで、Rはアルキル又はアリールを表す。R’はアルキレンを表す。
糖のその他の部分の修飾としては、例えば、リボース又はデオキシリボースの4’位のO
をSに置換したもの、糖の 2' 位と 4' 位を架橋したもの、例えば、LNA(Locked Nucleic
Acid)又はENA(2'-O,4'-C-Ethylene-bridged Nucleic Acids)などが挙げられるが、これ
らに限定されるものではない。
【0034】
リン酸結合部分の修飾としては、例えば、ホスホジエステル結合をホスホロチオエート
結合、ホスホロジチオエート結合、アルキルホスホネート結合、ホスホロアミデート結合
、ボラノフォスフェート結合(Enya et al: Bioorganic & Medicinal Chemistry ,2008,
18, 9154-9160 )に置換する修飾を挙げることができる(例えば、特許再公表公報第2006
/129594号及び第2006/038608号を参照)。
【0035】
アルキルとしては、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~6のアルキルが好ましい。具体的
には、例えば、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、se
c-ブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert-ペンチル、n-
ヘキシル、イソヘキシルが挙げられる。当該アルキルは置換されていてもよく、かかる置
換基としては、例えば、ハロゲン、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、こ
れらが1~3個置換されていてもよい。
【0036】
シクロアルキルとしては、炭素数5~12のシクロアルキルが好ましい。具体的には、例
えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロデシ
ル、シクロドデシルが挙げられる。
【0037】
ハロゲンとしては、フッ素、塩素、臭素、ヨウ素を挙げることができる。
【0038】
アルコキシとしては、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~6のアルコキシ、例えば、メト
キシ、エトキシ、n-プロポキシ、イソプロポキシ、n-ブトキシ、イソブトキシ、sec-ブト
キシ、tert-ブトキシ、n-ペンチルオキシ、イソペンチルオキシ、n-ヘキシルオキシ、イ
ソヘキシルオキシ等を挙げることができる。とりわけ、炭素数1~3のアルコキシが好まし
い。
【0039】
アリールとしては、炭素数6~10のアリールが好ましい。具体的には、例えば、フェニ
ル、α-ナフチル、β-ナフチルを挙げることができる。とりわけフェニルが好ましい。当
該アリールは置換されていてもよく、かかる置換基としては、例えば、アルキル、ハロゲ
ン、アルコキシ、シアノ、ニトロを挙げることができ、これらが1~3個置換されていても
よい。
【0040】
アルキレンとしては、直鎖状または分枝鎖状の炭素数1~6のアルキレンが好ましい。具
体的には、例えば、メチレン、エチレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレ
ン、ヘキサメチレン、2-(エチル)トリメチレン、1-(メチル)テトラメチレンを挙げる
ことができる。
【0041】
アシルとしては、直鎖状若しくは分枝鎖状のアルカノイル、又はアロイルを挙げること
ができる。アルカノイルとしては、例えば、ホルミル、アセチル、2-メチルアセチル、
2,2-ジメチルアセチル、プロピオニル、ブチリル、イソブチリル、ペンタノイル、2
,2-ジメチルプロピオニル、ヘキサノイル等が挙げられる。アロイルとしては、例えば
、ベンゾイル、トルオイル、ナフトイルを挙げることができる。かかるアロイルは置換可
能な位置において置換されていてもよく、アルキルで置換されていてもよい。
【0042】
本発明のオリゴヌクレオチドは、好ましくは、リボースの2’位の-OH基がメトキシで置
換され、リン酸結合部分がホスホロチオエート結合である、下記一般式で表される基を構
成単位とする本発明のオリゴマーである。
【化2】

(式中、Baseは、核酸塩基を表す。)
【0043】
本発明のオリゴヌクレオチドは、各種自動合成装置(例えば、AKTA oligopilot plus 1
0 / 100(GE Healthcare))を用いて容易に合成することが可能であり、あるいは、第三
者機関(例えば、Promega社又はTakara社)等に委託して作製することもできる。
【0044】
本発明のモルホリノオリゴマーは、下記一般式で表される基を構成単位とする本発明の
オリゴマーである。
【化3】

(式中、Baseは、前記と同義であり;
Wは、以下のいずれかの式で表わされる基を表す。
【化4】

(式中、Xは、-CH2R1、-O-CH2R1、-S-CH2R1、-NR2R3又はFを表し;
R1は、H、アルキルを表し;
R2及びR3は、同一又は異なって、H、アルキル、シクロアルキル、又は、アリールを表
し;
Y1は、0、S、CH2又はNR1を表し;
Y2は、0、S又はNR1を表し;
Zは、0又はSを表す。))
【0045】
モルホリノオリゴマーは、好ましくは、以下の式で表わされる基を構成単位とするオリ
ゴマー(ホスホロジアミデートモルホリノオリゴマー(以下、「PMO」という))である

【化5】

(式中、Base、R2、R3は、前記と同義である。)
【0046】
モルホリノオリゴマーは、例えば、国際公開公報第1991/009033号、又は国際公開公報
第2009/064471号に従って製造することができる。特に、PMOは、国際公開公報第2009/064
471号に記載の方法に従って製造するか、又は以下に示す方法に従って製造することがで
きる。
【0047】
[PMOの製法]
PMOの1つの態様として、例えば、次の一般式(I)で表される化合物(以下、PMO(I)とい
う)を挙げることができる。
【化6】

[式中、各Base、R2、R3は、前記と同義であり;
nは、1~99の範囲内にある任意の整数であり、好ましくは、18~28の範囲内にある任意
の整数である。]
【0048】
PMO(I)は、公知の方法に従い製造することができるが、例えば、下記工程の操作を実
施することにより製造することができる。
下記工程に使用されている化合物及び試薬は、PMOの製造に一般的に使用されているも
のであれば特に限定されない。
【0049】
また、下記のすべての工程は、液相法又は固相法(マニュアル又は市販の固相自動合成
機を用いる)で実施することができる。固相法でPMOを製造する場合、操作手順の簡便化
及び合成の正確性の点から自動合成機を用いる方法が望ましい。
【0050】
(1)工程A:
次の一般式(II)で表される化合物(以下、化合物(II)という)に酸を作用させるこ
とによって、次の一般式(III)で表される化合物(以下、化合物(III)という。)を製
造する工程。
【化7】

[式中、n、R2、R3は、前記と同義であり;
各BPは,独立して、保護されていてもよい核酸塩基を表し;
Tは、トリチル基、モノメトキシトリチル基、又はジメトキシトリチル基を表し;
Lは、水素、アシル、又は次の一般式(IV)で表される基(以下、基(IV)という。)
を表す。]
【化8】
【0051】
BPに係る「核酸塩基」としては、Baseと同じ「核酸塩基」を挙げることができる。但し
、BPに係る核酸塩基のアミノ基又は水酸基は保護されていてもよい。
かかるアミノ基の保護基としては、核酸の保護基として使用されるものであれば特に制
限されず、具体的には、例えば、ベンゾイル、4-メトキシベンゾイル、アセチル、プロピ
オニル、ブチリル、イソブチリル、フェニルアセチル、フェノキシアセチル、4-tert-ブ
チルフェノキシアセチル、4-イソプロピルフェノキシアセチル、(ジメチルアミノ)メチレ
ンを挙げることができる。水酸基の保護基としては、例えば、2-シアノエチル、4-ニト
ロフェネチル、フェニルスルホニルエチル、メチルスルホニルエチル、トリメチルシリル
エチル、置換可能な任意の位置で1~5個の電子吸引性基で置換されていてもよいフェニル
、ジフェニルカルバモイル、ジメチルカルバモイル、ジエチルカルバモイル、メチルフェ
ニルカルバモイル、1-ピロリジニルカルバモイル、モルホリノカルバモイル、4-(tert-
ブチルカルボキシ)ベンジル、4-[(ジメチルアミノ)カルボキシ]ベンジル、4-(フェニル
カルボキシ)ベンジルを挙げることができる(例えば、国際公開公報第2009/064471号公報
参照)。
【0052】
「固相担体」としては、核酸の固相反応に使用しうる担体であれば特に制限されないが
、例えば、(i)モルホリノ核酸誘導体の合成に使用しうる試薬(例えば、ジクロロメタ
ン、アセトニトリル、テトラゾール、N-メチルイミダゾール、ピリジン、無水酢酸、ルチ
ジン、トリフルオロ酢酸)にほとんど溶解せず、(ii)モルホリノ核酸誘導体の合成に使
用しうる試薬に対して化学的に安定であり、(iii)化学修飾ができ、(iv)望ましいモ
ルホリノ核酸誘導体の装填ができ、(v)処理中にかかる高圧に耐える十分な強度をもち
、(vi)一定の粒径範囲と分布であるものが望ましい。具体的には、膨潤性ポリスチレン
(例えば、アミノメチルポリスチレン樹脂 1%ジベンジルベンゼン架橋(200~400メッシ
ュ)(2.4~3.0mmol/g)(東京化成社製)、Aminomethylated Polystyrene Resin・HCl[
ジベンジルベンゼン1%,100~200メッシュ](ペプチド研究所社製))、非膨潤性ポリス
チレン(例えば、Primer Support(GE Healthcare社製))、PEG鎖結合型ポリスチレン(
例えば、NH2-PEG resin(渡辺化学社製)、TentaGel resin)、定孔ガラス(controlled
pore glass;CPG)(例えば、CPG社製)、オキサリル化-定孔ガラス(例えば、Alulら,N
ucleic Acids Research,Vol.19,1527(1991)を参照)、TentaGel支持体-アミノポリエチ
レングリコール誘導体化支持体(例えば、Wrightら,Tetrahedron Letters,Vol.34,3373(
1993)を参照)、Poros-ポリスチレン/ジビニルベンゼンのコポリマーを挙げることができ
る。
【0053】
「リンカー」としては、通常核酸やモルホリノ核酸誘導体を連結するために使用される
公知のものを用いることができるが、例えば、3-アミノプロピル、スクシニル、2,2’-ジ
エタノールスルホニル、ロングチェーンアルキルアミノ(LCAA)を挙げることができる。
【0054】
本工程は、化合物(II)に酸を作用させることにより実施することができる。
本工程に使用しうる「酸」としては、例えば、トリフルオロ酢酸、ジクロロ酢酸又はト
リクロロ酢酸を挙げることができる。酸の使用量としては、例えば、化合物(II)1モル
に対して0.1モル当量~1000モル当量の範囲内が適当であり、好ましくは1モル当量~100
モル当量の範囲内である。
また、前記酸と一緒に、有機アミンを使用することができる。有機アミンとしては、特
に限定されるものではないが、例えば、トリエチルアミンを挙げることができる。有機ア
ミンの使用量は、例えば、酸1モルに対して、0.01モル当量~10モル当量の範囲内が適当
であり、好ましくは、0.1モル当量~2モル当量の範囲内である。
【0055】
本工程において酸と有機アミンとの塩又は混合物を使用する場合には、例えば、トリフ
ルオロ酢酸とトリエチルアミンの塩又は混合物を挙げることができ、より具体的には、ト
リフルオロ酢酸2当量に対してトリエチルアミン1当量を混合したものを挙げることができ
る。
本工程に使用しうる酸は、0.1%~30%の範囲内の濃度になるように適当な溶媒で希釈し
て使用することもできる。溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、例
えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、アルコール類(エタノール、イソプロパノール
、トリフルオロエタノールなど)、水又はこれらの混合物を挙げることができる。
【0056】
上記反応における反応温度は、例えば、10℃~50℃の範囲内が好ましく、より好ましく
は、20℃~40℃の範囲内であり、さらに好ましくは、25℃~35℃の範囲内である。
反応時間は、使用する酸の種類、反応温度によって異なるが、通常0.1分~24時間の範
囲内が適当である。好ましくは、1分~5時間の範囲内である。
【0057】
また、本工程が終了した後、必要に応じて、系中に存在する酸を中和するために塩基を
添加することができる。「塩基」としては、特に限定されないが、例えば、ジイソプロピ
ルアミンが挙げられる。塩基は、0.1%(v/v)~30%(v/v)の範囲内の濃度になるように
適当な溶媒で希釈して使用することもできる。
本工程に用いる溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、ジクロロメ
タン、アセトニトリル、アルコール類(エタノール、イソプロパノール、トリフルオロエ
タノールなど)、水又はこれらの混合物を挙げることができる。反応温度は、例えば、10
℃~50℃の範囲内が好ましく、より好ましくは、20℃~40℃の範囲内であり、さらに好ま
しくは、25℃~35℃の範囲内である。
反応時間は、使用する塩基の種類、反応温度によって異なるが、通常0.1分~24時間の
範囲内が適当であり、好ましくは、1分~5時間の範囲内である。
【0058】
なお、化合物(II)において、n=1であって、Lが基(IV)である、次の一般式(IIa)
で表される化合物(以下、化合物(IIa)という)は、以下の方法に従って製造すること
ができる。
【化9】

[式中、BP、T、リンカー、固相担体は、前記と同義である。]
【0059】
工程1:
次の一般式(V)で表される化合物にアシル化剤を作用させることによって、次の一般
式(VI)で表される化合物(以下、化合物(VI)という。)を製造する工程。
【化10】

[式中、BP、T、リンカーは、前記と同義であり;
R4は、水酸基、ハロゲン、又は、アミノを表す。]
【0060】
本工程は、化合物(V)を出発原料として、公知のリンカーの導入反応により実施する
ことができる。
特に、次の一般式(VIa)で表される化合物は、化合物(V)と無水コハク酸とを用いて
エステル化反応として知られた方法を実施することにより製造することができる。
【化11】

[式中、BP、Tは、前記と同義である。]
【0061】
工程2:
化合物(VI)に縮合剤等を作用させることによって、固相担体と反応させ、化合物(II
a)を製造する工程。
【化12】

[式中、BP、R4、T、リンカー、固相担体は、前記と同義である。]
【0062】
本工程は、化合物(VI)と固相担体とを用いて縮合反応として知られた方法により製造す
ることができる。
【0063】
化合物(II)において、n=2~99であって、Lが基(IV)である、次の一般式(IIa2)で表され
る化合物は、化合物(IIa)を出発原料とし、本明細書に記載のPMOの製法にかかる工程A及
び工程Bを所望の回数繰り返し実施することにより製造することができる。
【化13】

[式中、BP、R2、R3、T、リンカー、固相担体は、前記と同義であり;
n’は、1~98を表す。]
【0064】
また、化合物(II)において、n=1であって、Lが水素である、次の一般式(IIb)で表され
る化合物は、例えば、国際公開公報第1991/009033号に記載の方法により製造することが
できる。
【化14】

[式中、BP、Tは、前記と同義である。]
【0065】
化合物(II)において、n=2~99であって、Lが水素である、次の一般式(IIb2)で表さ
れる化合物は、化合物(IIb)を出発原料とし、本明細書に記載のPMOの製法にかかる工程
A及び工程Bを所望の回数繰り返し実施することにより製造することができる。
【化15】

[式中、BP、n’、R2、R3、Tは、前記と同義である。]
【0066】
また、化合物(II)において、n=1であって、Lがアシルである、次の一般式(IIc)で
表される化合物は、化合物(IIb)に対してアシル化反応として知られた方法を実施する
ことにより製造することができる。
【化16】

[式中、BP、Tは、前記と同義であり;
R5は、アシルを表す。]
【0067】
化合物(II)において、n=2~99であって、Lがアシルである、次の一般式(IIc2)で表
される化合物は、化合物(IIc)を出発原料とし、本明細書に記載のPMOの製法にかかる工
程A及び工程Bを所望の回数繰り返し実施することにより製造することができる。
【化17】

[式中、BP、n’、R2、R3、R5、Tは、前記と同義である。]
【0068】
(2)工程B:
化合物(III)に塩基存在下にモルホリノモノマー化合物を作用させることによって、
次の一般式(VII)で表される化合物(以下、化合物(VII)という。)を製造する工程。
【化18】

[式中、各BP、L、n、R2、R3、Tは、前記と同義である。]
【0069】
本工程は、化合物(III)に塩基存在下にモルホリノモノマー化合物を作用させること
により実施することができる。
【0070】
モルホリノモノマー化合物としては、例えば、次の一般式(VIII)で表される化合物を
挙げることができる。
【化19】

[式中、BP、R2、R3、Tは前記と同義である。]
【0071】
本工程に使用しうる「塩基」としては、例えば、ジイソプロピルアミン、トリエチルア
ミン、又は、N-エチルモルホリンを挙げることができる。塩基の使用量としては、例えば
、化合物(III)1モルに対して、1モル当量~1000モル当量の範囲内が適当であり、好ま
しくは10モル当量~100モル当量の範囲内である。
本工程に使用しうるモルホリノモノマー化合物および塩基は、0.1%~30%の濃度になる
ように適当な溶媒で希釈して使用することもできる。溶媒としては、反応に関与しなけれ
ば特に限定されないが、例えば、N,N-ジメチルイミダゾリドン、N-メチルピペリドン、DM
F、ジクロロメタン、アセトニトリル、テロラヒドロフラン、又はこれらの混合物を挙げ
ることができる。
【0072】
反応温度は、例えば、0℃~100℃の範囲内が好ましく、より好ましくは、10℃~50℃の
範囲内である。
反応時間は、使用する塩基の種類、反応温度によって異なるが、通常1分~48時間の範
囲内が適当であり、好ましくは、30分~24時間の範囲内である。
【0073】
さらに本工程の終了後、必要に応じて、アシル化剤を添加することができる。「アシル
化剤」としては、例えば、無水酢酸、酢酸クロライド、フェノキシ酢酸無水物を挙げるこ
とができる。アシル化剤は、例えば、0.1%~30%の範囲内の濃度になるように適当な溶媒
で希釈して使用することもできる。溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されな
いが、例えば、ジクロロメタン、アセトニトリル、アルコール類(エタノール、イソプロ
パノール、トリフルオロエタノールなど)、水又はこれらの混合物を挙げることができる

また、必要であれば、アシル化剤と一緒に、例えば、ピリジン、ルチジン、コリジン、
トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N-エチルモルホリン等の塩基を使用す
ることができる。アシル化剤の使用量としては、0.1モル当量~10000モル当量の範囲内が
好ましく、1モル当量~1000モル当量の範囲内がより好ましい。塩基の使用量としては、
例えば、アシル化剤1モルに対して、0.1モル当量~100モル当量の範囲内が適当であり、
好ましくは1モル当量~10モル当量の範囲内である。
【0074】
本反応の反応温度は、10℃~50℃の範囲内が好ましく、より好ましくは、10℃~50℃の
範囲内が好ましく、より好ましくは、20℃~40℃の範囲内であり、さらに好ましくは、25
℃~35℃の範囲内である。反応時間は、例えば、使用するアシル化剤の種類、反応温度に
よって異なるが、通常0.1分~24時間の範囲内が適当であり、好ましくは、1分から5時間
の範囲内である。
【0075】
(3)工程C:
工程Bにおいて製造される化合物(VII)において、脱保護剤を用いて保護基を脱離し、
一般式(IX)で表される化合物を製造する工程。
【化20】

[式中、Base、BP、L、n、R2、R3、Tは、前記と同義である。]
【0076】
本工程は、化合物(VII)に脱保護剤を作用させることにより実施することができる。
【0077】
「脱保護剤」としては、例えば、濃アンモニア水、メチルアミンを挙げることができる
。本工程に使用しうる「脱保護剤」は、例えば、水、メタノール、エタノール、イソプロ
ピルアルコール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、DMF、N,N-ジメチルイミダゾリ
ドン、N-メチルピペリドン又はこれらの混合溶媒で希釈して使用することもできる。なか
でも、エタノールが好ましい。脱保護剤の使用量としては、例えば、化合物(VII)1モル
に対して、例えば、1モル当量~100000モル当量の範囲内が適当であり、好ましくは10モ
ル当量~1000モル当量の範囲内である。
【0078】
反応温度は、例えば、15℃~75℃の範囲内が適当であり、好ましくは40℃~70℃の範囲
内であり、より好ましくは50℃~60℃の範囲内である。脱保護反応時間は、化合物(VII
)の種類、反応温度等によって異なるが、10分~30時間の範囲内が適当であり、好ましく
は30分~24時間の範囲内であり、より好ましくは5時間~20時間の範囲内である。
【0079】
(4)工程D:
工程Cにおいて製造される化合物(IX)に酸を作用させることによって、PMO(I)を製
造する工程。
【化21】

[式中、Base、n、R2、R3、Tは、前記と同義である。]
【0080】
本工程は、化合物(IX)に酸を加えることによって実施することができる。
【0081】
本工程において使用しうる「酸」としては、例えば、トリクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、
酢酸、リン酸及び塩酸等を挙げることができる。酸の使用量としては、例えば、溶液のpH
が0.1~4.0の範囲内になるように使用するのが適当であり、より好ましくは1.0~3.0の範
囲内になるように使用する。溶媒としては、反応に関与しなければ特に限定されないが、
例えば、アセトニトリル、水、又はこれらの混合溶媒を挙げることができる。
【0082】
反応温度は、10℃~50℃の範囲内が好ましく、より好ましくは、20℃~40℃の範囲内で
あり、さらに好ましくは、25℃~35℃の範囲内である。脱保護反応時間は、化合物(IX)
の種類、反応温度等によって異なるが、0.1分~5時間の範囲内が適当であり、好ましくは
1分~1時間の範囲内であり、より好ましくは1分~30分の範囲内である。
【0083】
PMO(I)は、本工程で得られた反応混合物から通常の分離精製手段、例えば、抽出、濃縮
、中和、濾過、遠心分離、再結晶、C8からC18の逆相カラムクロマトグラフィー、陽イオ
ン交換カラムクロマトグラフィー、陰イオン交換カラムクロマトグラフィー、ゲルろ過カ
ラムクロマトグラフィー、高速液体クロマトグラフィー、透析、限界ろ過などの手段を単
独若しくは組み合わせて用いることにより得ることができ、所望のPMO(I)を単離精製する
ことができる(例えば、国際公開公報WO1991/09033を参照)。
逆相クロマトグラフィーを用いてPMO(I)を精製する場合には、溶出溶媒として、例えば
20mMのトリエチルアミン/酢酸緩衝液とアセトニトリルの混合溶液を使用することができ
る。
また、イオン交換クロマトグラフィーを用いてPMO(I)を精製する場合には、例えば、1M
の食塩水と10mMの水酸化ナトリウム水溶液の混合溶液を使用することができる。
【0084】
ペプチド核酸は、下記一般式で表される基を構成単位とする本発明のオリゴマーである

【化22】

(式中、Baseは、前記と同義である。)
【0085】
ペプチド核酸は、例えば、以下の文献に従って製造することができる。
1)P. E. Nielsen, M. Egholm, R. H. Berg, O. Buchardt,Science, 254, 1497 (1991)
2)M. Egholm, O. Buchardt, P. E. Nielsen, R. H. Berg,Jacs., 114, 1895 (1992)
3)K. L. Dueholm, M. Egholm, C. Behrens, L. Christensen, H. F. Hansen, T. Vulpi
us, K. H. Petersen, R. H. Berg, P. E. Nielsen, O. Buchardt,J. Org. Chem., 59, 5
767 (1994)
4)L. Christensen, R. Fitzpatrick, B. Gildea, K. H. Petersen, H. F. Hansen, T.
Koch, M. Egholm,O. Buchardt, P. E. Nielsen, J.
Coull, R. H. Berg, J. Pept. Sci., 1, 175 (1995)
5)T. Koch, H. F. Hansen, P. Andersen, T. Larsen, H. G. Batz, K. Otteson, H. Or
um, J. Pept. Res., 49, 80 (1997)
【0086】
また、本発明のオリゴマーは、5’末端が、下記化学式(1)~(3)のいずれかの基で
あってもよい。好ましくは(3)-OHである。
【化23】

以下、上記(1)、(2)及び(3)で示される基を、それぞれ「基(1)」、「基(2)」及び「基(
3)」と呼ぶ。
【0087】
2.医薬組成物
本発明のオリゴマーは、従来技術に係るアンチセンスオリゴマーと比較して、高効率に
エクソン53のスキッピングを可能にする。従って、本発明のオリゴマーを含む医薬組成物
をDMD患者に投与することにより、高効率に筋ジストロフィーの症状を緩和することがで
きると予測される。例えば、本発明のオリゴマーを含む医薬組成物を用いる場合、従来技
術に係るオリゴマーと比べて少量の投与量でも同程度の治療効果を得られるため、副作用
を軽減することができ、かつ経済的である。
そこで、別の実施態様として、本発明のオリゴマー、その医薬的に許容可能な塩又は水
和物を有効成分とする、筋ジストロフィー治療用医薬組成物(以下、「本発明の組成物」
という)を提供する。
【0088】
本発明の組成物に含まれる本発明のオリゴマーの医薬的に許容可能な塩の例としては、
ナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩のようなアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネ
シウム塩のようなアルカリ土類金属塩;アルミニウム塩、鉄塩、亜鉛塩、銅塩、ニッケル
塩、コバルト塩などの金属塩;アンモニウム塩;t-オクチルアミン塩、ジベンジルアミン
塩、モルホリン塩、グルコサミン塩、フェニルグリシンアルキルエステル塩、エチレンジ
アミン塩、N-メチルグルカミン塩、グアニジン塩、ジエチルアミン塩、トリエチルアミン
塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N, N' -ジベンジルエチレンジアミン塩、クロロプロカ
イン塩、プロカイン塩、ジエタノールアミン塩、N-ベンジル-フェネチルアミン塩、ピペ
ラジン塩、テトラメチルアンモニウム塩、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン塩のよ
うな有機アミン塩;弗化水素酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、沃化水素酸塩のようなハロゲ
ン化水素酸塩;硝酸塩、過塩素酸塩、硫酸塩、リン酸塩などの無機酸塩;メタンスルホン
酸塩、トリフルオロメタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩のような低級アルカンスル
ホン酸塩;ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩のようなアリールスルホン酸
塩;酢酸塩、りんご酸塩、フマール酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、酒石酸塩、シュウ酸
塩、マレイン酸塩などの有機酸塩;グリシン塩、リジン塩、アルギニン塩、オルニチン塩
、グルタミン酸塩、アスパラギン酸塩のようなアミノ酸塩などが挙げられる。これらの塩
は、公知の方法で製造することができる。あるいは、本発明の組成物に含まれる本発明の
オリゴマーは、その水和物の形態にあってもよい。
【0089】
本発明の組成物の投与形態は、医薬的に許容可能な投与形態であれば特に制限されず、
治療方法に応じて選択することができるが、筋組織への送達容易性の観点から、静脈内投
与、動脈内投与、筋肉内投与、皮下投与、経口投与、組織内投与、経皮投与等が好ましい
。また、本発明の組成物が取り得る剤型としては、特に制限されないが、例えば、各種の
注射剤、経口剤、点滴剤、吸入剤、軟膏剤、ローション剤等を挙げることができる。
【0090】
本発明のオリゴマーを筋ジストロフィー患者に投与する場合、本発明の組成物は、該オ
リゴマーの筋組織への送達を促進する担体を含むことが好ましい。このような担体は、医
薬的に許容可能なものであれば特に制限されず、その例として、カチオン性リポソーム、
カチオン性ポリマー等のカチオン性担体、またはウイルスエンベロープを利用した担体を
挙げることができる。カチオン性リポソームとしては、例えば、2-O-(2-ジエチルアミノ
エチル)カルバモイル-1,3-O-ジオレオイルグリセロールとリン脂質とを必須構成成分と
して形成されるリポソーム(以下、「リポソームA」という)、オリゴフェクトアミン(
登録商標)(Invitrogen社製)、リポフェクチン(登録商標)(Invitrogen社製)、リポ
フェクトアミン(登録商標)(Invitrogen社製)、Lipofectamine 2000(登録商標)(In
vitrogen社製)、DMRIE-C(登録商標)(Invitrogen社製)、GeneSilencer(登録商標)
(Gene Therapy Systems社製)、TransMessenger(登録商標)(QIAGEN社製)、TransIT
TKO(登録商標)(Mirus社製)、Nucleofector II(Lonza)を挙げることができる。それ
らの中で、リポソームAが好ましい。カチオン性ポリマーとしては、例えば、JetSI(登録
商標)(Qbiogene社製)、Jet-PEI(登録商標)(ポリエチレンイミン、Qbiogene社製)
を挙げることができる。ウイルスエンベロープを利用した担体としては、例えば、Genome
One(登録商標)(HVJ-Eリポソーム、石原産業社製)を挙げることができる。あるいは、
特許2924179号に記載の医薬デバイス、特許再公表公報第2006/129594号及び特許再公表公
報第2008/096690号に記載のカチオン性担体を用いることもできる。
【0091】
本発明の組成物に含まれる本発明のオリゴマーの濃度は、担体の種類等によって異なる
が、0.1 nM~100 μMの範囲内が適当であり、1 nM~10 μMの範囲内が好ましく、10 nM~
1 μMの範囲内がより好ましい。また、本発明の組成物に含まれる本発明のオリゴマーと
担体との重量比(担体/本発明のオリゴマー)は、該オリゴマーの性質及び該担体の種類
等によって異なるが、0.1~100の範囲内が適当であり、1~50の範囲内が好ましく、10~2
0の範囲内がより好ましい。
【0092】
本発明の組成物には、本発明のオリゴマーと上述した担体以外に、任意に医薬的に許容
可能な添加剤を配合することができる。かかる添加剤として、例えば、乳化補助剤(例え
ば、炭素数6~22の脂肪酸やその医薬的に許容可能な塩、アルブミン、デキストラン)、
安定化剤(例えば、コレステロール、ホスファチジン酸)、等張化剤(例えば、塩化ナト
リウム、グルコース、マルトース、ラクトース、スクロース、トレハロース)、pH調整剤
(例えば、塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエタノ
ールアミン)を挙げることができる。これらを一種又は二種以上使用することができる。
本発明の組成物中の当該添加剤の含有量は、90重量%以下が適当であり、70重量%以下が
好ましく、50重量%以下がより好ましい。
【0093】
本発明の組成物は、担体の分散液に本発明のオリゴマーを加え、適当に攪拌することに
より調製することができる。また、添加剤は、本発明のオリゴマーの添加前でも添加後で
も適当な工程で添加することができる。本発明のオリゴマーを添加させる際に用い得る水
性溶媒としては、医薬的に許容可能なものであれば特に制限されず、例えば、注射用水、
注射用蒸留水、生理食塩水等の電解質液、ブドウ糖液、マルトース液等の糖液を挙げるこ
とができる。また、かかる場合のpH及び温度等の条件は、当業者が適宜選択することがで
きる。
【0094】
本発明の組成物は、例えば、液剤やその凍結乾燥製剤とすることができる。当該凍結乾
燥製剤は、常法により、液剤の形態を有している本発明の組成物を凍結乾燥処理すること
により調製することができる。例えば、液剤の形態を有している本発明の組成物を適当な
滅菌を行った後、所定量をバイアル瓶に分注し、約-40~-20℃の条件で予備凍結を2時
間程度行い、約0~10℃で減圧下に一次乾燥を行い、次いで、約15~25℃で減圧下に二次
乾燥して凍結乾燥することができる。そして、一般的にはバイアル内部を窒素ガスで置換
し、打栓して本発明の組成物の凍結乾燥製剤を得ることができる。
【0095】
本発明の組成物の凍結乾燥製剤は、一般には任意の適当な溶液(再溶解液)の添加によ
って再溶解し使用することができる。このような再溶解液としては、注射用水、生理食塩
水、その他一般輸液を挙げることができる。この再溶解液の液量は、用途等によって異な
り特に制限されないが、凍結乾燥前の液量の0.5~2倍量、又は500 mL以下が適当である。
【0096】
本発明の組成物を投与する際の用量としては、含有される本発明のオリゴマーの種類、
剤形、年齢や体重等の患者の状態、投与経路、疾患の性質と程度を考慮した上で調製する
ことが望ましいが、成人に対して本発明のオリゴマーの量として、1日当たり0.1mg~10g/
ヒトの範囲内が、好ましくは1 mg~1 g/ヒトの範囲内が一般的である。この数値は標的と
する疾患の種類、投与形態、標的分子によっても異なる場合がある。従って、場合によっ
てはこれ以下でも十分であるし、また逆にこれ以上の用量を必要とするときもある。また
1日1回から数回の投与又は1日から数日間の間隔で投与することができる。
【0097】
本発明の組成物の別の態様として、本発明のオリゴヌクレオチドを発現し得るベクター
と上述した担体とを含む医薬組成物を挙げることができる。かかる発現ベクターは、複数
の本発明のオリゴヌクレオチドを発現し得るものであってもよい。当該組成物には、本発
明のオリゴマーを含有する本発明の組成物と同様に、医薬的に許容可能な添加剤を添加す
ることができる。当該組成物中に含まれる発現ベクターの濃度は、担体の種類等によって
異なるが、0.1 nM~100 μMの範囲内が適当であり、1 nM~10 μMの範囲内が好ましく、1
0 nM~1 μMの範囲内がより好ましい。当該組成物中に含まれる発現ベクターと担体との
重量比(担体/発現ベクター)は、発現ベクターの性質、担体の種類等によって異なるが
、0.1~100の範囲内が適当であり、1~50の範囲内が好ましく、10~20の範囲内がより好
ましい。また、当該組成物中に含まれる担体の含有量は、本発明のオリゴマーを含有する
本発明の組成物の場合と同様であり、その調製方法等に関しても、本発明の組成物の場合
と同様である。
【0098】
以下に、実施例及び試験例を掲げて、本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は実施
例に示される範囲に限定されるものではない。
【実施例0099】
[参考例1]
アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド
-2-オキソピリミジン-1-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4
-オキソブタン酸
工程1:4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イ
ル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸の製造
アルゴン雰囲気下、N-{1-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモ
ルホリン-2-イル]-2-オキソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミド2
2.0gと4-ジメチルアミノピリジン(4-DMAP)7.04gをジクロロメタン269mLに懸濁し、無
水コハク酸5.76gを加え、室温で3時間撹拌した。反応液にメタノール40mLを加え、減圧濃
縮した。残渣に酢酸エチルと0.5Mのリン酸二水素カリウム水溶液を用いて抽出操作を行っ
た。得られた有機層を0.5Mのリン酸二水素カリウム水溶液、水、飽和食塩水の順で洗浄し
た。得られた有機層を硫酸ナトリウムで乾燥し、減圧濃縮し、25.9gの目的物を得た。
【0100】
工程2:アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズ
アミド-2-オキソピリミジン-1-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ
}-4-オキソブタン酸の製造
4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)
-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキシ}-4-オキソブタン酸23.5gをピリジン(
脱水)336mLに溶解し、4-DMAP4.28g、1-エチル-3‐(3-ジメチルアミノプロピル)カ
ルボジイミド塩酸塩40.3gを加えた。次いで、アミノメチルポリスチレン樹脂 1%DVB架
橋(東京化成工業社製、A1543)25.0g、トリエチルアミン24mLを加え、室温で4日間振と
うした。反応後、樹脂をろ取した。得られた樹脂をピリジン、メタノール、ジクロロメタ
ンの順で洗浄し、減圧乾燥した。得られた樹脂にテトラヒドロフラン(脱水)150mL、無
水酢酸15mL、2,6-ルチジン15mLを加え、室温で2時間振とうした。樹脂をろ取し、ピリ
ジン、メタノール、ジクロロメタンの順で洗浄し、減圧乾燥し、33.7gの目的物を得た。
当該目的物のローディング量は、公知の方法を用いて、樹脂1g当たりのトリチルのモル
量を409nmにおけるUV吸光度を測定することにより決定した。樹脂のローディング量は、3
97.4μmol/gであった。
【0101】
UV測定条件
機器:U-2910(日立製作所)
溶媒:メタンスルホン酸
波長:265 nm
ε値:45000
【0102】
[参考例2]
アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-オキソ-4-{[(2S,6R)-6-(6-オ
キソ-2-[2-フェノキシアセタミド]-1H-プリン-9-イル)-4-トリチルモルホリ
ン-2-イル]メトキシ}ブタン酸
工程1:N2-(フェノキシアセチル)グアノシンの製造
グアノシン100gを80℃で減圧下、24時間乾燥した。ピリジン(脱水)500mL、ジクロロ
メタン(脱水)500mLを加え、アルゴン雰囲気下、0℃にてクロロトリメチルシラン401mL
を滴下し室温で3時間撹拌した。再度氷冷し、フェノキシアセチルクロライド66.3gを滴下
し、氷冷下、更に3時間撹拌した。反応液にメタノール500mlを加え、室温で終夜撹拌後、
減圧下溶媒を留去した。残渣にメタノール500mLを加え、減圧下濃縮することを3回行った
。残渣に水4Lを加え氷冷下1時間撹拌し、析出物をろ取した。このものを、水、次いで、
冷メタノールで洗浄し、乾燥して目的化合物を150.2g得た(収率:102%)(参考:Org.
Lett.(2004),Vol.6,No.15,2555-2557)。
【0103】
工程2:N-{9-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-モルホリン-2-イル]-
6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-2-フェノキシアセタミド p-ト
ルエンスルホン酸塩
工程1で得られた化合物30gをメタノール480mLに懸濁し、氷冷下、2N塩酸130mLを加えた
。次いで、四ほう酸アンモニウム4水和物56.8g、過ヨウ素酸ナトリウム16.2gをこの順で
加え、室温で3時間撹拌した。反応液を氷冷し、不溶物をろ過して除き、これをメタノー
ル100mLで洗浄した。ろ液と洗浄液を合わせて氷冷し、2-ピコリンボラン11.52gを加えて
20分間撹拌後、p-トルエンスルホン酸・1水和物54.6gをゆっくり加えて、4℃で終夜撹拌
した。析出物をろ取し、冷メタノール500mLで洗浄後、乾燥して目的化合物を17.7g得た(
収率:43.3%)。
1H NMR(δ,DMSO-d6):9.9-9.2(2H,br)、8.35(1H,s)、7.55(2H,m)、7.35(
2H,m)、7.10(2H,d, J=7.82Hz)、7.00(3H,m)、5.95(1H,dd, J=10.64,2.42H
z)、4.85(2H,s)、4.00(1H,m)、3.90-3.60(2H,m)、3.50-3.20(5H,m)、2.9
0(1H,m)、2.25(3H,s)
【0104】
工程3:N-{9-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-
イル]-6-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-2-フェノキシアセタミ
ドの製造
工程2で得られた化合物2.0gをジクロロメタン30mLに懸濁し、氷冷下、トリエチルアミ
ン13.9g、トリチルクロリド18.3gを加えて、室温で1時間撹拌した。反応液を飽和重曹水
、次いで水で洗浄後乾燥し、有機層を減圧濃縮した。残渣に0.2Mクエン酸ナトリウム緩衝
液(pH3)/メタノール(1:4(v/v))40mLを加えて撹拌し、次いで水40mLを加えて氷冷
下1時間撹拌した。これをろ取し、冷メタノールで洗浄、乾燥して目的化合物を1.84g得た
(収率:82.0%)。
【0105】
工程4:アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-オキソ-4-{[(2S,6R)-6-
(6-オキソ-2-[2-フェノキシアセタミド]-1H-プリン-9-イル)-4-トリチル
モルホリン-2-イル]メトキシ}ブタン酸の製造
参考例1と同様の方法で標記化合物を製造した。但し、参考例1の工程1で用いたN-{1
-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]-2-オ
キソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミドの代わりに、本工程では、N-
{9-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]-6
-オキソ-6,9-ジヒドロ-1H-プリン-2-イル}-2-フェノキシアセタミドを使用し
た。
【0106】
[参考例3]
アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-{[(2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-
ジオキソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メ
トキシ}-4-オキソブタン酸
参考例1と同様の方法で標記化合物を製造した。但し、参考例1の工程1で用いたN-{1
-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]-2-オ
キソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミドの代わりに、本工程では、1-
[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]-5-メチ
ルピリミジン-2,4(1H,3H)-ジオンを使用した。
【0107】
[参考例4]
アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された1,12-ジオキソ-1-(4-トリチルピペラ
ジン-1-イル)-2,5,8,11-テトラオキサ-15-ペンタデカン酸
参考例1と同様の方法で標記化合物を製造した。但し、参考例1の工程1で用いたN-{1
-[(2R,6S)-6-(ヒドロキシメチル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]-2-オ
キソ-1,2-ジヒドロピリミジン-4-イル}ベンズアミドの代わりに、本工程では、2-
[2-(2-ヒドロキシエトキシ)エトキシ]エチル 4-トリチルピペラジン-1-カルボ
ン酸(国際公開公報第2009/064471号に記載の化合物)を使用した。
【0108】
以下の実施例1~12、比較例1~3の記載に従い、表2 PMO No.1-11, 13-16に示す各種PMO
を合成した。合成したPMOを注射用水(大塚製薬工場社製)で溶解した。なお、PMO No.12
はジーンツールズ社から購入した。
【表2】
【0109】
[実施例1]
PMO No.8
アミノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-{[(2S,6R)-6-(4-ベンズアミ
ド-2-オキソピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル]メトキ
シ}-4-オキソブタン酸(参考例1)2g(800μmol)を反応槽に移し入れ、ジクロロメタ
ン30mLを添加し、30分間静置した。さらに、ジクロロメタン30mLで2回洗浄した後、下記
合成サイクルを開始した。標記化合物の塩基配列になるよう、各サイクルにおいて所望の
モルホリノモノマー化合物を添加した。
【表3】
【0110】
なお、デブロック溶液としては、トリフルオロ酢酸(2当量)とトリエチルアミン(1当
量)の混合物を3%(w/v)になるように、1%(v/v)のエタノールと10%(v/v)の2,2
,2-トリフルオロエタノールを含有するジクロロメタン溶液で溶解したものを用いた。
中和溶液としては、N,N-ジイソプロピルエチルアミンを5%(v/v)になるように、25%
(v/v)の2-プロパノールを含有するジクロロメタン溶液で溶解したものを用いた。カッ
プリング溶液Aとしては、モルホリノモノマー化合物を0.15Mになるように、10%(v/v)
のN,N-ジイソプロピルエチルアミンを含有する1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン
で溶解したものを用いた。カップリング溶液Bとしては、N,N-ジイソプロピルエチルア
ミンを10%(v/v)になるように、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノンで溶解したもの
を用いた。キャッピング溶液としては、ジクロロメタンに対して20%(v/v)の無水酢酸
と30%(v/v)の2,6-ルチジンを溶解したものを使用した。
【0111】
上記で合成したPMOが担持されたアミノメチルポリスチレン樹脂を反応容器から回収し
、2時間以上室温で減圧乾燥した。乾燥したアミノメチルポリスチレン樹脂に担持されたP
MOを反応容器に入れ、28%アンモニア水-エタノール(1/4)200mLを加え、55℃で15時間
撹拌した。アミノメチルポリスチレン樹脂をろ別し、水-エタノール(1/4)50mLで洗浄
した。得られたろ液を減圧濃縮した。得られた残渣を20mMの酢酸-トリエチルアミン緩衝
液(TEAA緩衝液)とアセトニトリルの混合溶媒(4/1)100mLに溶解し、メンブレンフィル
ターでろ過した。得られたろ液を逆相HPLCにて精製した。使用した条件は、以下の通りで
ある。
【表4】

各フラクションを分析して、アセトニトリル-水(1/1)100mLで目的物を回収し、エタ
ノール200mLを添加し、減圧濃縮した。さらに、減圧乾燥し、白色固体を得た。得られた
固体に10mMのリン酸水溶液300mLを加え、懸濁させた。2Mのリン酸水溶液10mLを加え、15
分間攪拌した。さらに、2Mの水酸化ナトリウム水溶液15mLを加えて中和した。さらに、2M
の水酸化ナトリウム水溶液15mLを加えてアルカリ性とし、メンブレンフィルター(0.45μ
m)でろ過した。10mMの水酸化ナトリウム水溶液100mLで洗いこみ、水溶液として目的物を
得た。
得られた目的物を含有する水溶液を陰イオン交換樹脂カラムで精製した。使用した条件
は下記の通りである。
【表5】

各フラクションを分析(HPLC)し、目的物を水溶液として得た。得られた水溶液に0.1M
のリン酸緩衝液(pH 6.0)225mLを添加し中和した。メンブレンフィルター(0.45μm)で
ろ過した。次いで、下記条件で限外ろ過を行い脱塩した。
【表6】
【0112】
ろ液を濃縮し、約250mLの水溶液を得た。得られた水溶液をメンブレンフィルター(0.4
5μm)でろ過した。得られた水溶液を凍結乾燥して、白色綿状固体として1.5gの目的化合
物を得た。
ESI-TOF-MS 計算値:6924.82
測定値:6923.54
【0113】
[実施例2]
PMO.No.1
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

MALDI-TOF-MS 計算値:8291.96
測定値:8296.24
【0114】
[実施例3]
PMO.No.2
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:7310.13
測定値:7309.23
【0115】
[実施例4]
PMO.No.3
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:8270.94
測定値:8270.55
【0116】
[実施例5]
PMO.No.4
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。但し、出発原料として、アミ
ノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-(((2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオ
キソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル)
メトキシ)-4-オキソブタン酸(参考例3)を使用した。

ESI-TOF-MS 計算値:7310.13
測定値:7310.17
【0117】
[実施例6]
PMO.No.5
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。但し、出発原料として、アミ
ノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-(((2S,6R)-6-(5-メチル-2,4-ジオ
キソ-3,4-ジヒドロピリミジン-1(2H)-イル)-4-トリチルモルホリン-2-イル)
メトキシ)-4-オキソブタン酸(参考例3)を使用した。

ESI-TOF-MS 計算値:8270.94
測定値:8270.20
【0118】
[実施例7]
PMO.No.6
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:5964.01
測定値:5963.68
【0119】
[実施例8]
PMO.No.7
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:6609.55
測定値:6608.85
【0120】
[実施例9]
PMO.No.9
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。但し、出発原料として、アミ
ノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-オキソ-4-(((2S,6R)-6-(6-オキソ
-2-(2-フェノキシアセタミド)-1H-プリン-9(6H)-イル)-4-トリチルモルホ
リン-2-イル)メトキシ)ブタン酸(参考例2)を使用した。

ESI-TOF-MS 計算値:7280.11
測定値:7279.42
【0121】
[実施例10]
PMO.No.10
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。但し、出発原料として、アミ
ノメチルポリスチレン樹脂に担持された4-オキソ-4-(((2S,6R)-6-(6-オキソ
-2-(2-フェノキシアセタミド)-1H-プリン-9(6H)-イル)-4-トリチルモルホ
リン-2-イル)メトキシ)ブタン酸(参考例2)を使用した。

ESI-TOF-MS 計算値:8295.95
測定値:8295.91
【0122】
[実施例11]
PMO.No.13
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。但し、出発原料としてアミノ
メチルポリスチレン樹脂に担持された1,12-ジオキソ-1-(4-トリチルピペラジン-1
-イル)-2,5,8,11-テトラオキサ-15-ペンタデカン酸(参考例4)を使用した。

ESI-TOF-MS 計算値:7276.15
測定値:7276.69
【0123】
[実施例12]
PMO.No.14
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。但し、出発原料としてアミノ
メチルポリスチレン樹脂に担持された1,12-ジオキソ-1-(4-トリチルピペラジン-1
-イル)-2,5,8,11-テトラオキサ-15-ペンタデカン酸(参考例4)を使用した。

ESI-TOF-MS 計算値:8622.27
測定値:8622.29
【0124】
[比較例1]
PMO.No.11
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:10274.63
測定値:10273.71
【0125】
[比較例2]
PMO.No.15
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:9941.33
測定値:9940.77
【0126】
[比較例3]
PMO.No.16
実施例1と同様の方法に従って、標記化合物を製造した。

ESI-TOF-MS 計算値:8238.94
測定値:8238.69
【0127】
[試験例1]
In vitroアッセイ
RD細胞(ヒト横紋筋肉腫細胞株)4×105個に対して、PMO No. 1~8の本発明のオリゴマ
ー及びPMO No. 11のアンチセンスオリゴマー10 μMをAmaxa Cell Line Nucleofector Kit
Lを用いてNucleofector II(Lonza)により導入した。プログラムはT-030を用いた。
【0128】
導入後、細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)(インビトロジェン社製)を含むEagle's m
inimal essential medium(EMEM)培地(シグマ社製、以下同じ) 2mL中、37℃、5%CO2
件下で一晩培養した。細胞をPBS(ニッスイ社製、以下同じ)で2回洗浄した後、ISOGEN
(ニッポンジーン社製)500 μl を細胞に添加し、数分間室温に放置して細胞を溶解させ
、該溶解物をEppendorfチューブに回収した。ISOGENに添付のプロトコールに従ってtotal
RNAを抽出した。抽出したtotal RNAの濃度はNanoDrop ND-1000(エル・エム・エス社製
)を用いて測定した。
【0129】
抽出したtotal RNA 400 ngに対し、Titan One Tube RT-PCR Kit(ロシュ社製)を用い
てOne-Step RT-PCRを行った。キットに添付のプロトコールに従って、反応液を調製した
。サーマルサイクラーはPTC-100(MJ Research社製)を用いた。用いたRT-PCRのプログラ
ムは、以下の通りである。

50℃、30分間:逆転写反応
94℃、2分間:熱変性
[94℃、10秒間;58℃、30秒間;68 ℃、45秒間]x 30サイクル:PCR増幅
68℃、7分間:ポリメラーゼの熱失活
【0130】
RT-PCRに使用したフォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列は以下の通り
である。

フォワードプライマー:5’-AGGATTTGGAACAGAGGCGTC-3’ (配列番号40)
リバースプライマー:5’-GTCTGCCACTGGCGGAGGTC-3’ (配列番号41)
【0131】
次に、上記RT-PCRの増幅産物に対し、Taq DNA Polymerase(ロシュ社製)を用いてnest
ed PCRを行った。用いたPCRプログラムは、以下の通りである。

94℃、2分間:熱変性
[94℃、15秒間;58℃、30秒間;68 ℃、45秒間]x 30サイクル:PCR増幅
68℃、7分間:ポリメラーゼの熱失活
【0132】
上記nested PCRに使用したフォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列は以
下の通りである。

フォワードプライマー:5’-CATCAAGCAGAAGGCAACAA-3’ (配列番号42)
リバースプライマー:5’-GAAGTTTCAGGGCCAAGTCA-3’ (配列番号43)
【0133】
上記nested PCRの反応産物1 μlをBioanalyzer(アジレント社製)を用いて解析した。
エクソン53 がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53がスキッ
プしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定した。これら「A」及び「B」の測
定値に基づき、以下の式に従って、スキッピング効率を求めた。

スキッピング効率(%)= A /( A + B )x 100
【0134】
実験結果
結果を図1に示す。本実験により、PMO No. 1~8の本発明のオリゴマーは、いずれもPMO
No. 11のアンチセンスオリゴマーと比べて、著しく高い効率でエクソン53をスキッピン
グさせることが判明した。特に、PMO No. 3及び8の本発明のオリゴマーは、PMO No. 11の
アンチセンスオリゴマーと比べて、4倍以上高いエクソンスキッピング効率を示す。
【0135】
[試験例2]
ヒト線維芽細胞を用いたIn vitroアッセイ
ZsGreen1共発現レトロウイルスベクターによりTIG-119細胞(ヒト正常組織由来線維芽
細胞、医薬基盤研究所)又は5017細胞(ヒトDMD患者由来線維芽細胞、Coriell Institute
for Medical Research)にヒトmyoD遺伝子(配列番号44)を導入した。
4から5日間インキュベートした後に、FACSによりZsGreen陽性のMyoD転換線維芽細胞を
回収し、5×104個/cm2になるように12穴プレートに播種した。増殖培地は10%FCS及び1%
Penicillin/Streptomycin(P/S)(シグマ アルドリッチ社)を含むDulbecco's Modified
Eagle Medium:Nutrient Mixture F-12(DMEM・F-12)(インビトロジェン社)を1 mL使用し
た。
24時間後に分化培地(2%ウマ血清(インビトロジェン社)、1%P/S及びITS Liquid Medi
a Supplement(シグマ社)含有DMEM/F-12)に交換した。2、3日ごとに培地交換を行い12
から14日間インキュベートし、筋管細胞に分化させた。
その後、分化培地を6 μMのEndo-Porter(ジーンツール社)含有分化培地に交換し、終
濃度10μMになるようにモルホリノオリゴマーを添加した。48時間インキュベート後に、T
RIzol (インビトロジェン社製)により、細胞からtotal RNAを抽出した。抽出したtotal
RNA 50 ngに対し、QIAGEN OneStep RT-PCR Kitを用いてRT-PCRを行った。添付のプロト
コールに従って、反応液を調製した。サーマルサイクラーはiCycler(Bio-Rad社製)を用
いた。用いたRT-PCRのプログラムは、以下の通りである。

50℃、30分間:逆転写反応
95℃、15分間:熱変性
[94℃、1分間;60℃、1分間;72 ℃、1分間]x 35サイクル:PCR増幅
72℃、7分間:ポリメラーゼの熱失活
【0136】
プライマーはhEX51F及びhEX55Rを使用した。

hEX51F:5’-CGGGCTTGGACAGAACTTAC-3’ (配列番号45)
hEx55R:5’-TCCTTACGGGTAGCATCCTG-3’ (配列番号46)
【0137】
上記RT-PCR反応の反応産物を2%アガロースゲル電気泳動によって分離し、 GeneFlash
(Syngene社)によりゲル写真を撮影した。Image J(アメリカ国立衛生研究所製)により
、エクソン53 がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53がスキッ
プしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定した。これら「A」及び「B」の測
定値に基づき、以下の式に従って、スキッピング効率を求めた。

スキッピング効率(%)= A /( A + B )x 100
【0138】
実験結果
結果を図2及び図3に示す。本実験により、PMO No. 3、8及び9の本発明のオリゴマー(
図2)は、TIG-119細胞において、いずれもPMO No. 12のアンチセンスオリゴマーと比べて
、高い効率でエクソン53をスキッピングさせることが判明した(図2)。特に、PMO No. 3
及び8の本発明のオリゴマーは、PMO No. 12のアンチセンスオリゴマーと比べて、2倍以上
高いエクソンスキッピング効率を示す(図2)。
また、本実験により、PMO No. 3及び8~10の本発明のオリゴマー(図3)は、5017細胞
において、いずれもPMO No. 12のアンチセンスオリゴマーと比べて、高い効率でエクソン
53をスキッピングさせることが判明した(図3)。特に、PMO No. 3及び8の本発明のオリ
ゴマーは、PMO No. 12のアンチセンスオリゴマーと比べて、7倍以上高いエクソンスキッ
ピング効率を示す(図3)。
【0139】
[試験例3]
ヒト線維芽細胞を用いたIn vitroアッセイ
エクソン45から52が欠失したDMD患者またはエクソン48から52が欠失したDMD患者の左上
腕内側より生検し、皮膚線維芽細胞株(ヒトDMD患者(エクソン45-52またはエクソン48-5
2)由来線維芽細胞)を樹立した。ZsGreen1共発現レトロウイルスベクターにより線維芽
細胞にヒトmyoD遺伝子(配列番号44)を導入した。
4から5日間インキュベートした後に、FACSによりZsGreen陽性のMyoD転換線維芽細胞を
回収し、5×104個/cm2になるように12穴プレートに播種した。増殖培地は10%FCS及び1%
Penicillin/Streptomycin(P/S)(シグマ アルドリッチ社)を含むDulbecco's Modified
Eagle Medium: Nutrient Mixture F-12(DMEM/F-12)(インビトロジェン社)を1 mL使用し
た。
24時間後に分化培地(2%ウマ血清(インビトロジェン社)、1%P/S及びITS Liquid Medi
a Supplement(シグマ社)含有DMEM/F-12)に交換した。2、3日ごとに培地交換を行い12
、14または20日間インキュベートし、筋管細胞に分化させた。
その後、分化培地を6 μMのEndo-Porter(ジーンツール社)含有分化培地に交換し、終
濃度10μMになるようにモルホリノオリゴマーを添加した。48時間インキュベート後に、T
RIzol (インビトロジェン社製)により、細胞からtotal RNAを抽出した。抽出したtotal
RNA 50 ngに対し、QIAGEN OneStep RT-PCR Kitを用いてRT-PCRを行った。添付のプロト
コールに従って、反応液を調製した。サーマルサイクラーはiCycler(Bio-Rad社製)を用
いた。用いたRT-PCRのプログラムは、以下の通りである。

50℃、30分間:逆転写反応
95℃、15分間:熱変性
[94℃、1分間;60℃、1分間;72 ℃、1分間]x 35サイクル:PCR増幅
72℃、7分間:ポリメラーゼの熱失活
【0140】
プライマーはhEx44F及びh55Rを使用した。
hEx44F:5’- TGTTGAGAAATGGCGGCGT-3’ (配列番号48)
hEx55R:5’- TCCTTACGGGTAGCATCCTG-3’ (配列番号46)
【0141】
上記RT-PCR反応の反応産物を2%アガロースゲル電気泳動によって分離し、 GeneFlash
(Syngene社)によりゲル写真を撮影した。Image J(アメリカ国立衛生研究所製)により
、エクソン53 がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53がスキッ
プしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定した。これら「A」及び「B」の測
定値に基づき、以下の式に従って、スキッピング効率を求めた。

スキッピング効率(%)= A /( A + B )x 100
【0142】
実験結果
結果を図4及び図5に示す。本実験により、PMO No. 3及び8の本発明のオリゴマーは、エ
クソン45-52欠失(図4)またはエクソン48-52欠失(図5)DMD患者由来細胞において、80%
以上の高い効率でエクソン53をスキッピングさせることが判明した。また、PMO No. 3及
び8の本発明のオリゴマーは、エクソン45-52欠失DMD患者由来細胞において、PMO No.15の
アンチセンスオリゴマーと比較して高い効率でエクソン53をスキッピングさせることが判
明した(図4)。
【0143】
[試験例4]
ウェスタンブロッティング
PMO No.8の本発明のオリゴマーを10μMの濃度で細胞に添加し、72時間後の細胞からCom
plete Mini (Roche Applied Science社製)含有RIPA buffer (Thermo Fisher Scientific
社製) でタンパク質を抽出し、BCA protein assay kit (Thermo Fisher Scientific社製)
でタンパク質を定量した。NuPAGE Novex Tris-Acetate Gel 3-8% (Invitrogen社製) で15
0 V、75分間電気泳動、セミドライブロッターでPVDF膜 (Millipore社製)へ転写した。PVD
F膜を5% ECL Blocking agent(GE Healthcare社製) でブロッキング後、抗ジストロフィン
抗体 (NCL-Dys1, Novocastra社製)溶液中で膜をインキュベートした。さらに、peroxidas
e-conjugated goat-antimouse IgG (型番、Bio-Rad)溶液中でインキュベートした後、 EC
L Plus Western blotting system (GE Healthcare社製)により発色した。
【0144】
免疫染色
PMO No.3またはNo.8の本発明のオリゴマーを細胞に添加し、72時間後の細胞を3% paraf
ormaldehyde、10分間で固定化した。10% Triton-Xで10分間インキュベートした。10%ヤギ
血清含有PBSでブロッキング、抗ジストロフィン抗体(NCL-Dys1, Novocastra)溶液中で膜
をインキュベート、さらに抗マウスIgG抗体(Invitrogen社製)溶液中で膜をインキュベー
トした。Pro Long Gold Antifade reagent (Invitrogen社製)でマウントし、蛍光顕微鏡
で観察した。
【0145】
実験結果
結果を図6及び図7に示す。本実験により、PMO No.3及び8の本発明のオリゴマーはジス
トロフィンタンパク質の発現を誘導することがウェスタンブロッティング(図6)及び免
疫染色(図7)により確認できた。
【0146】
[試験例5]
ヒト線維芽細胞を用いたIn vitroアッセイ
試験例3と同様の方法で実験を行った。
【0147】
実験結果
結果を図8に示す。本実験により、PMO No. 3及び8の本発明のオリゴマーは、エクソン4
5-52欠失DMD患者由来細胞において、PMO No. 13及び14の本発明のオリゴマーよりも高い
効率でエクソン53をスキッピングさせることが判明した(図8)。
【0148】
[試験例6]
In vitroアッセイ
配列番号49~123に記載の2’-O-メトキシ-ホスホロチオエート体(2’-OMe-S-RNA)の
アンチセンスオリゴマーを用いて実験を行った。アッセイに用いた各種アンチセンスオリ
ゴマーは日本バイオサービス社より購入した。各種アンチセンスオリゴマーの配列を以下
に示す。
【表7-A】
【表7-B】
【表7-C】
【0149】
RD細胞(ヒト横紋筋肉腫細胞株)3×105個を6穴プレートに播種し、10%ウシ胎児血清
(FCS)(インビトロジェン社製)を含むEagle's minimal essential medium(EMEM)培地
(シグマ社製、以下同じ)2mL中、37℃、5%CO2条件下で一晩培養した。上記のエクソン5
3スキッピング用の各種アンチセンスオリゴマー(日本バイオサービス社製)(1 μM)と
Lipofectamine2000(インビトロジェン社製)の複合体を作成し、1.8mLで培地交換したR
D細胞に、200μl添加し、終濃度100 nMとした。
添加後、一晩培養した。細胞をPBS(ニッスイ社製、以下同じ)で2回洗浄した後、ISOG
EN (ニッポンジーン社製)500 μl を細胞に添加し、数分間室温に放置して細胞を溶解
させ、該溶解物をEppendorfチューブに回収した。ISOGENに添付のプロトコールに従ってt
otal RNAを抽出した。抽出したtotal RNAの濃度はNanoDrop ND-1000(エル・エム・エス
社製)を用いて測定した。
抽出したtotal RNA 400 ngに対し、Titan One Tube RT-PCR Kit(ロシュ社製)を用い
てOne-Step RT-PCRを行った。キットに添付のプロトコールに従って、反応液を調製した
。サーマルサイクラーはPTC-100(MJ Research社製)を用いた。用いたRT-PCRのプログラ
ムは、以下の通りである。

50℃、30分間:逆転写反応
94℃、2分間:熱変性
[94℃、10秒間;58℃、30秒間;68 ℃、45秒間]x 30サイクル:PCR増幅
68℃、7分間:ポリメラーゼの熱失活
【0150】
RT-PCRに使用したフォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列は以下の通り
である。

フォワードプライマー:5’-CATCAAGCAGAAGGCAACAA-3’ (配列番号42)
リバースプライマー:5’-GAAGTTTCAGGGCCAAGTCA-3’ (配列番号43)

次に、上記RT-PCRの増幅産物に対し、Taq DNA Polymerase(ロシュ社製)を用いてnest
ed PCRを行った。用いたPCRプログラムは、以下の通りである。

94℃、2分間:熱変性
[94℃、15秒間;58℃、30秒間;68 ℃、45秒間]x 30サイクル:PCR増幅
68℃、7分間:ポリメラーゼの熱失活
【0151】
上記nested PCRに使用したフォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列は以
下の通りである。

フォワードプライマー:5’-AGGATTTGGAACAGAGGCGTC-3’ (配列番号40)
リバースプライマー:5’-GTCTGCCACTGGCGGAGGTC-3’ (配列番号41)
【0152】
上記nested PCRの反応産物1 μlをBioanalyzer(アジレント社製)を用いて解析した。
エクソン53 がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53がスキッ
プしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定した。これら「A」及び「B」の測
定値に基づき、以下の式に従って、スキッピング効率を求めた。

スキッピング効率(%)= A /( A + B )x 100
【0153】
実験結果
結果を図9から図17に示す。本実験により、ヒトジストロフィン遺伝子の第53番目のエ
クソンの5’末端から第31~61番目にアンチセンスオリゴマーを設計した場合、高い効率
でエクソン53をスキッピングさせることが判明した。
【0154】
[試験例7]
RD細胞(ヒト横紋筋肉腫細胞株)3.5×105個に対して、アンチセンスオリゴマー0.3~3
0 μMをAmaxa Cell Line Nucleofector Kit Lを用いてNucleofector II(Lonza)により
導入した。プログラムはT-030を用いた。
導入後、細胞を、10%ウシ胎児血清(FCS)(インビトロジェン社製)を含むEagle's m
inimal essential medium(EMEM)培地(シグマ社製、以下同じ) 2mL中、37℃、5%CO2
件下で一晩培養した。細胞をPBS(ニッスイ社製、以下同じ)で2回洗浄した後、ISOGEN
(ニッポンジーン社製)500 μl を細胞に添加し、数分間室温に放置して細胞を溶解させ
、該溶解物をEppendorfチューブに回収した。ISOGENに添付のプロトコールに従ってtotal
RNAを抽出した。抽出したtotal RNAの濃度はNanoDrop ND-1000(エル・エム・エス社製
)を用いて測定した。
抽出したtotal RNA 400 ngに対し、QIAGEN OneStep RT-PCR Kit(キアゲン社製)を用
いてOne-Step RT-PCRを行った。キットに添付のプロトコールに従って、反応液を調製し
た。サーマルサイクラーはPTC-100(MJ Research社製)を用いた。用いたRT-PCRのプログ
ラムは、以下の通りである。

50℃、30分間:逆転写反応
95℃、15分間:熱変性
[94℃、30秒間;60℃、30秒間;72 ℃、1分間]x 35サイクル:PCR増幅
72℃、10分間:ポリメラーゼの熱失活
【0155】
RT-PCRに使用したフォワードプライマーとリバースプライマーの塩基配列は以下の通り
である。

フォワードプライマー:5’-CATCAAGCAGAAGGCAACAA-3’ (配列番号42)
リバースプライマー:5’-GAAGTTTCAGGGCCAAGTCA-3’ (配列番号43)
【0156】
上記PCRの反応産物1 μlをBioanalyzer(アジレント社製)を用いて解析した。
エクソン53 がスキップしたバンドのポリヌクレオチド量「A」と、エクソン53がスキッ
プしなかったバンドのポリヌクレオチド量「B」を測定した。これら「A」及び「B」の測
定値に基づき、以下の式に従って、スキッピング効率を求めた。

スキッピング効率(%)= A /( A + B )x 100
【0157】
実験結果
結果を図18及び19に示す。本実験により、PMO No.8の本発明のオリゴマーは、PMO No.
15及び16のアンチセンスオリゴマーと比べて、著しく高い効率でエクソン53をスキッピン
グさせることが判明した(図18)。また、PMO No. 3及び8の本発明のオリゴマーは、PMO No
. 13及び14の本発明のオリゴマーよりも著しく高い効率でエクソン53をスキッピングさせ
ることが判明した(図19)。この結果から、同一配列であっても、5’末端が-OH基である方
が、スキッピング効率が高いことが示される。
【産業上の利用可能性】
【0158】
試験例に示す実験結果から、本発明のオリゴマー(PMO No. 1~10)は、従来技術に係
るオリゴマー(PMO No. 11、12、15及び16)と比べ、いずれの細胞環境においても、著し
く高い効率でエクソン53をスキッピングさせることが示された。また、試験例2で用いた5
017細胞は、DMD患者から採取した細胞であり、さらに、試験例3及び5で用いた線維芽細胞
もDMD患者由来のエクソン53スキッピング対象細胞である。特に、試験例3及び5において
、本発明のオリゴマーは、エクソン53スキッピング対象となるDMD患者由来の細胞におい
て、90%以上のエクソン53スキッピング効率を示すため、本発明のオリゴマーは、実際に
DMD患者に投与した場合にも、高効率にエクソン53をスキッピングさせるといえる。
従って、本発明のオリゴマーは、DMDの治療において、非常に有用である。
【配列表フリーテキスト】
【0159】
配列番号2:合成核酸
配列番号3:合成核酸
配列番号4:合成核酸
配列番号5:合成核酸
配列番号6:合成核酸
配列番号7:合成核酸
配列番号8:合成核酸
配列番号9:合成核酸
配列番号10:合成核酸
配列番号11:合成核酸
配列番号12:合成核酸
配列番号13:合成核酸
配列番号14:合成核酸
配列番号15:合成核酸
配列番号16:合成核酸
配列番号17:合成核酸
配列番号18:合成核酸
配列番号19:合成核酸
配列番号20:合成核酸
配列番号21:合成核酸
配列番号22:合成核酸
配列番号23:合成核酸
配列番号24:合成核酸
配列番号25:合成核酸
配列番号26:合成核酸
配列番号27:合成核酸
配列番号28:合成核酸
配列番号29:合成核酸
配列番号30:合成核酸
配列番号31:合成核酸
配列番号32:合成核酸
配列番号33:合成核酸
配列番号34:合成核酸
配列番号35:合成核酸
配列番号36:合成核酸
配列番号37:合成核酸
配列番号38:合成核酸
配列番号39:合成核酸
配列番号40:合成核酸
配列番号41:合成核酸
配列番号42:合成核酸
配列番号43:合成核酸
配列番号45:合成核酸
配列番号46:合成核酸
配列番号47:合成核酸
配列番号48:合成核酸
配列番号49:合成核酸
配列番号50:合成核酸
配列番号51:合成核酸
配列番号52:合成核酸
配列番号53:合成核酸
配列番号54:合成核酸
配列番号55:合成核酸
配列番号56:合成核酸
配列番号57:合成核酸
配列番号58:合成核酸
配列番号59:合成核酸
配列番号60:合成核酸
配列番号61:合成核酸
配列番号62:合成核酸
配列番号63:合成核酸
配列番号64:合成核酸
配列番号65:合成核酸
配列番号66:合成核酸
配列番号67:合成核酸
配列番号68:合成核酸
配列番号69:合成核酸
配列番号70:合成核酸
配列番号71:合成核酸
配列番号72:合成核酸
配列番号73:合成核酸
配列番号74:合成核酸
配列番号75:合成核酸
配列番号76:合成核酸
配列番号77:合成核酸
配列番号78:合成核酸
配列番号79:合成核酸
配列番号80:合成核酸
配列番号81:合成核酸
配列番号82:合成核酸
配列番号83:合成核酸
配列番号84:合成核酸
配列番号85:合成核酸
配列番号86:合成核酸
配列番号87:合成核酸
配列番号88:合成核酸
配列番号89:合成核酸
配列番号90:合成核酸
配列番号91:合成核酸
配列番号92:合成核酸
配列番号93:合成核酸
配列番号94:合成核酸
配列番号95:合成核酸
配列番号96:合成核酸
配列番号97:合成核酸
配列番号98:合成核酸
配列番号99:合成核酸
配列番号100:合成核酸
配列番号101:合成核酸
配列番号102:合成核酸
配列番号103:合成核酸
配列番号104:合成核酸
配列番号105:合成核酸
配列番号106:合成核酸
配列番号107:合成核酸
配列番号108:合成核酸
配列番号109:合成核酸
配列番号110:合成核酸
配列番号111:合成核酸
配列番号112:合成核酸
配列番号113:合成核酸
配列番号114:合成核酸
配列番号115:合成核酸
配列番号116:合成核酸
配列番号117:合成核酸
配列番号118:合成核酸
配列番号119:合成核酸
配列番号120:合成核酸
配列番号121:合成核酸
配列番号122:合成核酸
配列番号123:合成核酸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
【配列表】
2023036865000001.app
【手続補正書】
【提出日】2023-01-25
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本願明細書に記述された発明。