(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036868
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】クロスリンカーおよびそれらの使用
(51)【国際特許分類】
A61K 39/395 20060101AFI20230307BHJP
A61K 47/68 20170101ALI20230307BHJP
A61K 31/537 20060101ALI20230307BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230307BHJP
C07K 4/00 20060101ALN20230307BHJP
C07K 5/00 20060101ALN20230307BHJP
C07K 7/00 20060101ALN20230307BHJP
【FI】
A61K39/395 Y
A61K47/68
A61K31/537
A61P35/00
C07K4/00
C07K5/00
C07K7/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209429
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2021114005の分割
【原出願日】2009-04-30
(31)【優先権主張番号】61/049,291
(32)【優先日】2008-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】61/147,966
(32)【優先日】2009-01-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504039155
【氏名又は名称】イミュノジェン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】チャリ,ラビ・ヴイ・ジェイ
(72)【発明者】
【氏名】チャオ,ロバート・ヨンシン
(72)【発明者】
【氏名】コヴトゥン,エレーナ
(72)【発明者】
【氏名】シン,ラジーヴァ
(72)【発明者】
【氏名】ウィディソン,ウェイン・チャールズ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】より大きな水溶性を有する細胞結合剤-薬物コンジュゲートを提供する。
【解決手段】式(II)で示される、荷電またはプロ荷電クロスリンク部分ならびにその荷電またはプロ荷電クロスリンク部分を含む特定構造の細胞結合剤-薬物コンジュゲートである。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の細胞結合剤-薬物コンジュゲートであって、
【化1】
[式中:
CBは細胞結合剤を表し;
Dはジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ペプチド、ヒドラゾン、エステル、エーテル、カルバメート、またはアミド結合により細胞結合剤に連結した薬物を表し;
R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、およびR
10は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニル、SO
3
-、X-SO
3
-、OPO
3
2-、X-OPO
3
2-、PO
3
2-、X-PO
3
2-、CO
2
-から選択される陰イオン、ならびに窒素を含む複素環、N
+R
11R
12R
13およびX-N
+R
11R
12R
13から選択される陽イオンから選択される荷電した置換基、またはフェニルであり、ここで:
R
11、R
12およびR
13は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝または環状アルキルであり、Xはフェニルまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルを表し;
l、mおよびnは0または1から4までの整数であり;
Aはフェニルまたは置換されたフェニルであり、ここでその置換基は、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、またはSO
3
-、X-SO
3
-、OPO
3
2-、X-OPO
3
2-、PO
3
2-、X-PO
3
2-、CO
2
-から選択される陰イオン、ならびに窒素を含む複素環、N
+R
11R
12R
13およびX-N
+R
11R
12R
13から選択される陽イオンから選択される荷電した置換基であり、ここでXは上記と同じ定義を有し、ここでgは0または1であり;
Zは式(OCH
2CH
2)
pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、またはF1-E1-P-E2-F2単位であり、ここでE1およびE2は同じもしくは異なっており、それはC=O、O、もしくはNR14であり、ここでR
14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニルであり;Pは2~20アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1もしくはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じもしくは異なっており、それは式(OCH
2CH
2)
pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、ZがF1-E1-P-E2-F2では無いならば、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、およびR
10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり、またはgが1である場合、A、R
1、R
2、R
3、R
4、R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、およびR
10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり;
Yはカルボニル、チオエーテル、アミド、ジスルフィド、またはヒドラゾン基を表し;qは1から20までの整数を表す]
である、前記コンジュゲート。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は2008年4月30日に出願された米国仮出願第61/049,291号に対する、および2009年1月28日に出願された米国仮出願第61/147,966号に対する優先権を主張する。
【0002】
[01] 本発明は、新規の荷電したクロスリンカーおよび標的細胞により処理されて荷電した部分を与えることができるクロスリンカーの合成に関する。本発明は、細胞結合剤(cell-binding agent)のこれらのクロスリンカーを用いた修飾、それに続く薬物との反応、またはその薬物のこれらのクロスリンカーを用いた修飾、それに続く細胞結合剤との反応を含む、細胞結合剤-薬物コンジュゲートを作る方法にも関する。コンジュゲートを作るその向上した方法は、細胞結合剤ごとにより多い数の薬物分子を連結させ、結果的により大きな効力をもたらし、そのコンジュゲートにより大きな水溶性を与える能力を提供する。
【背景技術】
【0003】
[02] 二官能性修飾試薬N-スクシンイミジル 3-(2-ピリジルジチオ)プロピオネート(SPDP)は、2個のタンパク質をジスルフィド結合を通して連結するために用いられてきた。その試薬は、修飾工程において第1のタンパク質と反応して活性なジスルフィドを含む基を導入する。次いでコンジュゲーション工程において遊離のチオール基を含む第2のタンパク質を添加して2個のタンパク質の間にジスルフィド結合を形成する。SPDPの多くの誘導体およびSPDPのイミド型が記述されている(米国特許第4,5
63,304号;J. Carlsson et al. 173 Biochem. J. 723-737 (1978);Goff D. A., Carroll, S. F. 1 BioConjugate Chem. 381-386 (1990);L. Delprino et al. 82 J. Pharm. Sci. 506-512 (1993);S. Arpicco et al., 8 BioConjugate Chem 327-337 (1997))。
【0004】
[03] 細胞結合剤の、高度に細胞毒性の薬物とのコンジュゲートが記述されている(米
国特許第5,208,020号、第5,416,064号;第5,475,092号、第5,585,499号、第6,436,931号、第6,372,738号、および第6,340,701号;R.V.J. Chari et al., 52 Cancer Res. 127-131 (1992))。これら
のコンジュゲートでは、まず細胞結合剤を二官能性薬剤、例えばSPDP、SPPまたはSMCCにより修飾して活性なジスルフィドまたはマレイミド部分を導入する。チオールを含む細胞毒性薬物との反応は、細胞結合剤、例えばモノクローナル抗体および薬物がジスルフィド結合またはチオエーテル結合を通して連結されたコンジュゲートを与える。
【0005】
[04] ニトロピリジルジチオ、ジニトロピリジルジチオ、N,N-ジアルキルカルボキサミドピリジルジチオまたはジ-(N,N-ジアルキルカルボキサミド)ピリジルジチオ基および反応性カルボキシルエステル基、例えばN-スクシンイミジルエステル基またはN-スルホスクシンイミジルエステル基を含むヘテロ二官能性(Heterobifunctional)クロスリンカーが記述されている(米国特許第6,913,748号)。N-スルホスクシンイミジル基の存在はこれらのクロスリンカーにより高い水溶性を与えると主張された。しかし、一度その細胞結合剤がこれらのクロスリンカーと反応すると、そのN-スルホスクシンイミジル基は置き換えられ、修飾された細胞結合剤およびその薬物コンジュゲートの両方に関して、水溶性の利点は失われる。細胞結合剤-薬物コンジュゲートにおいて用いられる細胞毒性薬物はしばしば水溶液中でごくわずかしか溶けないため、十分な数の薬物分子を細胞結合剤に連結させてなお水溶性を維持するのはしばしば困難である。加えて、反応は希釈溶液中で実施されなければならず、それは大量の溶液を用いる必要があるためスケールアップしにくい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許第4,563,304号
【特許文献2】米国特許第5,208,020号
【特許文献3】米国特許第5,416,064号
【特許文献4】米国特許第5,475,092号
【特許文献5】米国特許第5,585,499号
【特許文献6】米国特許第6,436,931号
【特許文献7】米国特許第6,372,738号
【特許文献8】米国特許第6,340,701号
【特許文献9】米国特許第6,913,748号
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】J. Carlsson et al. 173 Biochem. J. 723-737 (1978)
【非特許文献2】Goff D. A., Carroll, S. F. 1 BioConjugate Chem. 381-386 (1990)
【非特許文献3】L. Delprino et al. 82 J. Pharm. Sci. 506-512 (1993)
【非特許文献4】S. Arpicco et al., 8 BioConjugate Chem 327-337 (1997)
【非特許文献5】R.V.J. Chari et al., 52 Cancer Res. 127-131 (1992)
【発明の概要】
【0008】
[05] 本発明は荷電したリンカーを提供し、ここでその電荷は細胞結合剤の修飾の後および結果として得られた薬物コンジュゲートの両方において保持される。より具体的には、本発明は薬物を細胞結合剤(例えば抗体)に連結させるための荷電したリンカーの使用に関する。本発明の1観点において、その荷電したリンカーは細胞結合剤を修飾してそれらを薬物に連結させるために用いられる。本発明の別の観点において、その荷電したリンカーは薬物を修飾してそれらを細胞結合剤に連結させるために用いられる。本発明のさらに別の観点において、その荷電したリンカーは薬物および細胞結合剤を同時に連結させるために用いられる。全ての場合において、好ましい最終結果は薬物-荷電したリンカー-細胞結合剤コンジュゲートであり、それは式CB-(-Lc-D)qにより表すことができ、ここでCBは細胞結合剤であり、Lcは荷電したリンカーであり、Dは薬物分子であり、qは1から20までの整数である。細胞結合剤-薬物コンジュゲート中のリンカー中の荷電した基(単数又は複数)の存在は、いくつかの利点、例えばi)最終産物のより大きな水溶性、ii)水溶液中でより高い濃度において作動する能力、iii)結果としてより高い効力をもたらす、細胞結合剤の分子ごとにより大きな数の薬物分子を連結させる能力、iv)結果としてより高い効力をもたらす、荷電したコンジュゲート種が標的細胞内部に維持される可能性、およびv)荷電した薬物種を細胞から排出することができないであろう、多剤耐性細胞の向上した感受性を提供する。本発明は、薬物および細胞結合剤に結び付けて、細胞内で代謝されて1個以上の荷電した部分を含む薬物代謝産物を生成することができるコンジュゲートを与えることができるリンカーも記述する。これらのリンカーをプロ荷電(pro-charged)リンカーと呼ぶことにする。そのリンカーの、細胞による処理の後に荷電した状態になるであろう部分を、プロ荷電部分と呼ぶことにする。
【0009】
[06] 本発明の1観点において、荷電またはプロ荷電クロスリンカーは式(I)により表され、ここでY’は細胞結合剤と反応することができ、Qは細胞毒性薬物と反応することができる:
【0010】
【0011】
ここで:
Y’は細胞結合剤との反応を可能にする官能基を表し;
Qはジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ペプチド、ヒドラゾン、エーテル、エステル、カルバメートまたはアミド結合を通した細胞毒性薬物の連結を可能にする官能基を表し;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニル、陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、および陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13、またはフェニルであり、ここで:
R11、R12およびR13は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルであり、Xはフェニルまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルを表し;
l、mおよびnは0または1から4までの整数であり;ならびに
Aはフェニルまたは置換されたフェニルであり、ここでその置換基は、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、または陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、および陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13から選択される荷電した置換基であり、ここでXは上記と同じ定義を有し、ここでgは0または1であり;
Zは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、またはF1-E1-P-E2-F2単位であり、ここでE1およびE2は同じもしくは異なっており、それはC=O、O、もしくはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニルであり;Pは2~20アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1もしくはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じもしくは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、ZがF1-E1-P-E2-F2では無いならば、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり、またはgが1である場合、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基である。
【0012】
[07] 別の観点において、本発明は式(II)の細胞結合剤-薬物コンジュゲートを提供し、ここでその細胞結合剤、CB、およびその薬物、D、はその荷電またはプロ荷電クロスリンカーの2つの末端において反応しており:
【0013】
【0014】
ここで:
CBは細胞結合剤を表し;
Dはジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ペプチド、ヒドラゾン、エーテル、エステル、カルバメート、またはアミド結合により細胞結合剤に連結した薬物を表し;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニル、陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13、またはフェニルであり、ここで:
R11、R12およびR13は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルであり、Xはフェニルまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルを表し;
l、mおよびnは0または1から4までの整数であり;ならびに
Aはフェニルまたは置換されたフェニルであり、ここでその置換基は、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、または陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13から選択される荷電した置換基であり、ここでXは上記と同じ定義を有し、ここでgは0または1であり;
Zは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、またはF1-E1-P-E2-F2単位であり、ここでE1およびE2は同じもしくは異なっており、それはC=O、O、もしくはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニルであり;Pは2~20アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1もしくはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じもしくは異なっており、それは式(OC
H2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、ZがF1-E1-P-E2-F2では無いならば、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり、またはgが1である場合、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり;
Yはカルボニル、チオエーテル、アミド、ジスルフィド、またはヒドラゾン基を表し;qは1から20までの整数を表す。
【0015】
[08] さらなる観点において、本発明は式(III)の修飾された細胞結合剤を提供し、ここでその細胞結合剤、CBは、細胞毒性薬物と反応することができる基であるQをまだ有しているクロスリンカーと反応する:
【0016】
【0017】
ここでその置換基は上記で定義されたものである。
[09] さらに別の観点において、本発明は式(IV)の修飾された薬物を提供し、ここで薬物、Dは、細胞結合剤と反応することができる基であるY’をまだ有しているクロスリンカーと反応する:
【0018】
【0019】
ここでその置換基は上記で定義されたものである。
[10] 本発明はさらに式(II)の細胞結合剤薬物コンジュゲートを作る方法に関し、ここでその薬物は荷電またはプロ荷電リンカーを通して細胞結合剤に連結する。
【0020】
[11] 本発明は式(III)の修飾された細胞結合剤を作る方法にも関し、ここでその細胞結合剤は荷電またはプロ荷電リンカーと反応する。
[12] 本発明は式(IV)の修飾された薬物を作る方法にも関し、ここでその薬物は荷電またはプロ荷電リンカーと反応する。
【0021】
[13] 本発明はコンジュゲートまたはその誘導体(および/またはそれらの溶媒和物、水和物および/または塩類)およびキャリヤー(医薬的に許容できるキャリヤー)を含む
組成物(例えば医薬組成物)を含む。本発明は、コンジュゲートまたはその誘導体(および/またはそれらの溶媒和物、水和物および/または塩類)およびキャリヤー(医薬的に許容できるキャリヤー)を含み、さらに第2の療法薬を含む組成物(例えば医薬組成物)も含む。本組成物は、哺乳類(例えばヒト)において異常な細胞増殖を阻害する、または増殖性障害を処置するのに有用である。
【0022】
[14] 本発明は、哺乳類(例えばヒト)において異常な細胞増殖を阻害する、または増殖性障害を処置する方法であって、前記哺乳類に療法上有効量のコンジュゲートもしくはその誘導体(および/またはそれらの溶媒和物および塩類)またはそれらの組成物を、単独または第2の療法薬との組み合わせで投与することを含む方法を含む。
【0023】
[15] この発明の化合物、その誘導体、またはそのコンジュゲート、およびそれらを含む組成物は、例えば細胞の異常な増殖により特性付けられる障害(例えば癌)を処置する、またはその重症度を和らげるのに有用である。この発明の化合物またはコンジュゲートに関する他の適用には、骨粗鬆症、抑うつ、不安、ストレス、恐怖症、パニック、精神不安、精神障害、ならびに痛みの処置、または抗てんかん薬、抗細菌薬、利尿薬および降圧薬、脂質低下薬、ならびに抗うつ薬としての適用が含まれるがそれらに限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】[16]
図1は、ニトロピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。まずヒドロキシアルカノエートエステルを示したようにジブロモアルカノエートエステルに変換し、続いてα-ブロモ置換基をスルホン酸に変換する。
【
図2】[17]
図2は、ピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図3】[18]
図3、4および5は、反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド置換基を有し、チオエーテル結合を通した連結を可能とする荷電したクロスリンク試薬の合成のための様々な経路を示す。
【
図4】[18]
図3、4および5は、反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド置換基を有し、チオエーテル結合を通した連結を可能とする荷電したクロスリンク試薬の合成のための様々な経路を示す。
【
図5】[18]
図3、4および5は、反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド置換基を有し、チオエーテル結合を通した連結を可能とする荷電したクロスリンク試薬の合成のための様々な経路を示す。
【
図6】[19]
図6および7は、ピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図7】[19]
図6および7は、ピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図8】[20]
図8は、ニトロピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図9】[21]
図9および10は、反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド置換基を有し、チオエーテル結合を通した連結を可能とする、ホスフェートを含む荷電したクロスリンク試薬の合成のための異なる経路を示す。
【
図10】[21]
図9および10は、反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド置換基を有し、チオエーテル結合を通した連結を可能とする、ホスフェートを含む荷電したクロスリンク試薬の合成のための異なる経路を示す。
【
図11】[22]
図11は、スルホネート置換基が分枝アルキル基に結合している、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。これらの試薬はピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルも有する。
【
図12】[23]
図12は、スルホネート置換基が分枝アルキル基に結合している、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド基も有しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図13】[24]
図13は、ピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、第四級アミンを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図14】[25]
図14は、反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド置換基を有し、チオエーテル結合を通した連結を可能とする、第四級アミンクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図15】[26]
図15は、ピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。これらの化合物では、そのスルホネート置換基はカルボキシルエステルに対してβ位にある炭素原子上にある。
【
図16】[27]
図16は、ピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルを含む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。これらの化合物では、そのホスフェート置換基はカルボキシルエステルに関してβ位にある。
【
図17】[28]
図17、18および19は、ニトロピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルに加えてポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む、様々なスルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図18】[28]
図17、18および19は、ニトロピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルに加えてポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む、様々なスルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図19】[28]
図17、18および19は、ニトロピリジルジスルフィド基および反応性カルボン酸エステルに加えてポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む、様々なスルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図20】[29]
図20および21は、マレイミド基および反応性カルボン酸エステルに加えてポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む、様々なスルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図21】[29]
図20および21は、マレイミド基および反応性カルボン酸エステルに加えてポリエチレングリコール(PEG)鎖を含む、様々なスルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図22】[30]
図22は、ホスフェート置換基が芳香族基に結合している、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびニトロピリジルジチオ基も有しており、それはジスルフィド結合を通した連結を可能にする。
【
図23】[31]
図23は、ホスフェート置換基が分枝アルキル基に結合している、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびニトロピリジルジチオ基も有しており、それはジスルフィド結合を通した連結を可能にする。
【
図24】[32]
図24~31は、酸不安定性(acid-labile)結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図25】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図26】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図27】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図28】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図29】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図30】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図31】[32]
図24~31は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、スルホネートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図32】[33]
図32~36は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図33】[33]
図32~36は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図34】[33]
図32~36は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図35】[33]
図32~36は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図36】[33]
図32~36は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、ホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図37】[34]
図37~38は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、第四級アミンを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図38】[34]
図37~38は、酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分も組み込む、第四級アミンを含むクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図39】[35]
図39~42は、ポリエチレングリコール(PEG)部分も組み込む、荷電したクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図40】[35]
図39~42は、ポリエチレングリコール(PEG)部分も組み込む、荷電したクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図41】[35]
図39~42は、ポリエチレングリコール(PEG)部分も組み込む、荷電したクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図42】[35]
図39~42は、ポリエチレングリコール(PEG)部分も組み込む、荷電したクロスリンク試薬の合成を示す。
【
図43】[36]
図43~44はホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示しており、そのホスフェート置換基は芳香族残基に、またはアルキル基に結合している。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびニトロピリジルジチオ基も有しており、それはジスルフィド結合を通した連結を可能にする。
【
図44】[36]
図43~44はホスフェートを含むクロスリンク試薬の合成を示しており、そのホスフェート置換基は芳香族残基に、またはアルキル基に結合している。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびニトロピリジルジチオ基も有しており、それはジスルフィド結合を通した連結を可能にする。
【
図45】[37]
図45~49は、反応性カルボン酸エステルおよびハロアセチル置換基を有する荷電したクロスリンク薬剤の合成を示しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図46】[37]
図45~49は、反応性カルボン酸エステルおよびハロアセチル置換基を有する荷電したクロスリンク薬剤の合成を示しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図47】[37]
図45~49は、反応性カルボン酸エステルおよびハロアセチル置換基を有する荷電したクロスリンク薬剤の合成を示しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図48】[37]
図45~49は、反応性カルボン酸エステルおよびハロアセチル置換基を有する荷電したクロスリンク薬剤の合成を示しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図49】[37]
図45~49は、反応性カルボン酸エステルおよびハロアセチル置換基を有する荷電したクロスリンク薬剤の合成を示しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図50】[38]
図50は、負に荷電したカルボキシレート代謝産物を生成するであろうプロ荷電リンカーの合成を示す。
【
図51】[39]
図51は、リンカー158の薬物およびモノクローナル抗体へのコンジュゲートならびにそのコンジュゲートが標的細胞のリソソーム中でどのように処理されて負に荷電したカルボキシレートを有する薬物を含む代謝産物を与えるかを示す。
【
図52】[40]
図52は、正に荷電したアミンを含む代謝産物を生成するであろうプロ荷電リンカーの合成を示す。
【
図53】[41]
図53は、プロ荷電リンカーの薬物およびモノクローナル抗体へのコンジュゲートならびにそのコンジュゲートが標的細胞のリソソーム中でどのように処理されて正に荷電したアミンを有する薬物の代謝産物を与えるかを示す。
【
図54】[42]
図54は、荷電したカルボキシレート代謝産物を生成するであろうプロ荷電リンカーの合成を示す。
【
図55】[43]
図55は、リンカー172の薬物およびモノクローナル抗体へのコンジュゲートならびにそのコンジュゲートが標的細胞のリソソーム中でどのように処理されてカルボン酸およびリシン残基を有する薬物を含む代謝産物を与えるかを示す。
【
図56】[44]
図56は、細胞結合剤の修飾および荷電したリンカーを有する細胞結合剤-薬物コンジュゲートの生成における荷電したリンカーの使用を示す。
【
図57A】[45]
図57(A)、(B)および(C)は、荷電したクロスリンカーが組み込まれている細胞結合剤-薬物コンジュゲートのインビトロでの効力を示す。
【
図57B】[45]
図57(A)、(B)および(C)は、荷電したクロスリンカーが組み込まれている細胞結合剤-薬物コンジュゲートのインビトロでの効力を示す。
【
図57C】[45]
図57(A)、(B)および(C)は、荷電したクロスリンカーが組み込まれている細胞結合剤-薬物コンジュゲートのインビトロでの効力を示す。
【
図58】[46]
図58は、荷電したクロスリンカーを有する細胞結合剤-薬物コンジュゲートのインビトロでの効力および標的選択性を示す。
【
図59】[47]
図59は、荷電したクロスリンカーを有する細胞結合剤-薬物コンジュゲートの質量スペクトルを示す。
【
図60】[48]
図60は、抗CanAg(huC242)-スルホネートリンカー-マイタンシノイド(maytansinoid)コンジュゲートの、マイタンシノイドのロード(load)(E:A)の増大に伴う、COLO205細胞に対する細胞毒性を示す。
【
図61】[49]
図61は、抗CanAg(huC242)-スルホネートリンカー-マイタンシノイドコンジュゲートの、マイタンシノイドのロード(E:A)の増大に伴う、多剤耐性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性を示す。
【
図62】[50]
図62は、リンカー中にスルホネート基を有する、または有しない抗CanAg(huC242)-マイタンシノイドコンジュゲートの、多剤耐性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性を比較する。
【
図63】[51]
図63は、リンカー中にスルホネート基を有する、または有しない抗EpCAM(B38.1)-マイタンシノイドコンジュゲートの、多剤耐性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性を比較する。
【
図64】[52]
図64は、リンカー中にスルホネート基を有する、または有しない抗EpCAM(B38.1)-マイタンシノイドコンジュゲートの、多剤耐性HCT15細胞に対する細胞毒性を比較する。
【
図65】[53]
図65は、リンカー中にスルホネート基を有する、または有しない抗EpCAM(B38.1)-マイタンシノイドコンジュゲートの、多剤耐性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性を比較する。
【
図66】[54]
図66は、抗EpCAM抗体-マイタンシノイドコンジュゲートのCOLO205 mdr異種移植片(別個の腫瘍)に対するインビボでの抗腫瘍活性を示す。
【
図67】[55]
図67は、抗EpCAM抗体-マイタンシノイドコンジュゲートのCOLO205異種移植片(別個の腫瘍)に対するインビボでの抗腫瘍活性を示す。
【
図68】[56]
図68~70は、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成の方法を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド基を有しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図69】[56]
図68~70は、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成の方法を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド基を有しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図70】[56]
図68~70は、スルホン酸を含むクロスリンク試薬の合成の方法を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびマレイミド基を有しており、それはチオエーテル結合を通した連結を可能にする。
【
図71】[57]
図71は、第四級アミンを含むクロスリンク試薬の合成の方法を示す。これらの試薬は反応性カルボン酸エステルおよびピリジルジチオ基も有しており、それはジスルフィド結合を通した連結を可能にする。
【
図72A】[58]
図72(A)および(B)は、CD-1マウスにおいてそれぞれ12.9mg/kgおよび7.9mg/kg(静脈内)で投与された、3.5DM4/Abまたは6.4DM4/AbでのhuC242抗体-スルホ-Mal-[
3H標識]-DM4コンジュゲートの血漿薬物動態を示す。A.Ab濃度(ELISAにより、または3Hの計数により測定した)対投与後の時間。B.マイタンシノイド(DM4)/抗体(Ab)比対投与後の時間。
【
図72B】[58]
図72(A)および(B)は、CD-1マウスにおいてそれぞれ12.9mg/kgおよび7.9mg/kg(静脈内)で投与された、3.5DM4/Abまたは6.4DM4/Abを有するhuC242抗体-スルホ-Mal-[
3H標識]-DM4コンジュゲートの血漿薬物動態を示す。A.Ab濃度(ELISAにより、または3Hの計数により測定した)対投与後の時間。B.マイタンシノイド(DM4)/抗体(Ab)比対投与後の時間。
【0025】
[59]
図1~71において、適用可能な場合、nは0または1から10までの整数を表し、mは0または1から2000までの整数を表す。
【発明を実施するための形態】
【0026】
[60] 本明細書で開示される新規コンジュゲートは、荷電またはプロ荷電クロスリンカーを用いる。いくつかの適切なクロスリンカーおよびそれらの合成の例を
図1~10において示す。好ましくは、荷電またはプロ荷電クロスリンカーは、スルホネート、ホスフェート、カルボキシルまたは第四級アミン置換基を含むクロスリンカーであり、それは修飾された細胞結合剤および細胞結合剤-薬物コンジュゲートの溶解性を、特に2~20薬物/抗体が連結されたモノクローナル抗体-薬物コンジュゲートに関して、著しく増大させる。プロ荷電部分を含むリンカーから調製したコンジュゲートは、そのコンジュゲートが細胞内で代謝された後に1個以上の荷電した部分を生成するであろう。
【0027】
クロスリンカー
[61] 本発明の荷電したクロスリンカーを生成するための合成経路を
図1~49において示す。プロ荷電部分を有するリンカーを生成するための合成経路を
図50、52、および54において示す。
図51、53および55は、それぞれのプロ荷電リンカーと薬物とモノクローナル抗体のそれぞれのコンジュゲートおよびどのようにこれらのコンジュゲートが標的細胞内で代謝されて荷電した代謝産物を与えるであろうかを示す。そのクロスリンカーは3種類の要素を有する:a)荷電した、またはこれらのリンカーを用いているコンジュゲートが細胞内で代謝される際に荷電した状態になるであろう置換基。その電荷は陰イオン性、例えば、それらに限定されるわけではないが、カルボキシレート、スルホネートもしくはホスフェート、または陽イオン性、例えば、それらに限定されるわけではないが、第三級、第四級、もしくは第一級アミンもしくは窒素を含む複素環のどちらかであろう、b)細胞結合剤と反応することができる基、例えばN-ヒドロキシスクシンイミド
(N-hydroxysuccimimide)エステル、マレイミド基、ハロアセチル基、およびヒドラジド、ならびにc)薬物と反応することができる基、例えば、それらに限定されるわけではないが、ジスルフィド、マレイミド、ハロアセチル、およびヒドラジド。その荷電またはプロ荷電置換基は、本明細書で記述される方法により導入することができる。例えば、スルホネートの電荷は、まず商業的に入手可能なハロエステル化合物をチオアセテートで処理してチオアセチル化合物を生成し、続いてそのチオアセチル基を過酸化水素を用いて酸化してスルホネート基にすることにより導入することができる。ホスフェートを含むクロスリンカーは、本明細書で記述される方法により合成することができる。まず、望まれる反応性の基、例えば、それらに限定されるわけではないが、チオール、マレイミド、ハロアセチルおよびヒドラジドを、
図6~10において示した反応により導入し、続いてホスフェートエステルを加水分解してホスフェートを有する荷電したクロスリンカーを与える。正に荷電した第四級アミン置換基は、アミンのα,β-不飽和ケトンとの反応によりクロスリンカー中に導入することができる(例えば
図13および37を参照)。あるいは、荷電したアミン置換基は、選択されたアミンまたは窒素を含む複素環を用いてハロゲンを置き換えることにより導入することができる。
【0028】
[62] 好ましくは、そのクロスリンカーは下記の式(I)の化合物である:
【0029】
【0030】
ここで、Y’は細胞結合剤との反応を可能にする官能基を表し;
Qはジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ペプチド、ヒドラゾン、エステル、エーテル、カルバメートまたはアミド結合を通した薬物の連結を可能にする官能基を表し;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニル、陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13、またはフェニルであり、ここで:
R11、R12およびR13は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルであり、Xはフェニルまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルを表し;
l、mおよびnは0または1から4までの整数であり;
Aはフェニルまたは置換されたフェニルであり、ここでその置換基は、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、または陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-
、CO2
-、および陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13から選択される荷電した置換基であり、ここでXは上記と同じ定義を有し、ここでgは0または1であり;
Zは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、またはF1-E1-P-E2-F2単位であり、ここでE1およびE2は同じもしくは異なっており、それはC=O、O、もしくはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニルであり;Pは2~20アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1もしくはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じもしくは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、ZがF1-E1-P-E2-F2では無いならば、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり、またはgが1である場合、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基である。
【0031】
[63] 細胞結合剤との反応を可能にする官能基Y’の例には、アミン反応性薬剤、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、N-ヒドロキシスクシンイミド(N-hydroxysuccinmide)エステル類、p-ニトロフェニルエステル類、ジニトロフェニルエステル類、ペンタフルオロフェニルエステル類;チオール反応性薬剤、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、ピリジルジスルフィド類、ニトロピリジルジスルフィド類、マレイミド類、ハロアセテート類およびカルボン酸クロリド類が含まれる。
【0032】
[64] 細胞毒性薬物の連結を可能にする官能基Qの例には、ジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ペプチド、ヒドラゾン、エステル、カルバメート、またはアミド結合を通した連結を可能にする基が含まれる。その官能基には、チオール、ジスルフィド、アミノ、カルボキシ、アルデヒド類、マレイミド、ハロアセチル、ヒドラジン類、およびヒドロキシが含まれるが、それらに限定されない。
【0033】
[65] 直鎖アルキル類の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよびヘキシルが含まれる。3~6個の炭素原子を有する分枝または環状アルキル類の例には、イソプロピル、sec-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、およびシクロヘキシルが含まれる。
【0034】
[66] 2~6個の炭素原子を有する直鎖アルキル類の例には、エテニル、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、ヘキセニルが含まれる。2~6個の炭素原子を有する分枝または環状アルケニル類の例には、イソブテニル、イソペンテニル、2-メチル-1-ペンテニル、2-メチル-2-ペンテニルが含まれる。
【0035】
[67] 2~6個の炭素原子を有する直鎖アルキニル類の例には、エチニル、プロピニル、ブチニル、ペンチニル、ヘキシニルが含まれる。6個までの炭素原子を有する分枝または環状アルキニル類の例には、3-メチル-1-ブチニル、3-メチル-1-ペンチニル、4-メチル-2-ヘキシニルが含まれる。
【0036】
[68] 好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネート、ホスフェートまたはトリアルキルアンモニウムから選択される荷電した置換基であり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、QおよびY’はそれぞれ独立してジスルフィド置換基、マレイミド、ハロアセチル基、またはN
-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。別のより好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Qはジスルフィド、マレイミドまたはハロアセチル部分であり、Y’はマレイミド部分またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。さらにもっと好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Qはピリジルジチオまたはニトロピリジルジチオ基、マレイミドまたはハロアセチル部分であり、Y’はN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0037】
[69] 式(I)の2-ジチオニトロピリジルおよび2-ジチオ-ジニトロピリジルを含むクロスリンカーの合成は、例えば
図1、2において示されており、対応する式(I)の4-ジチオニトロピリジルおよび4-ジチオ-ジニトロピリジルを含むクロスリンカーの合成は、例えば
図6において示されている。スルホネート基を有する式(I)のマレイミドを含む荷電したクロスリンカーの合成は、例えば
図3、4および5において示されている。ホスフェート基を有する式(I)のマレイミドを含む荷電したクロスリンカーの合成は、例えば
図9および10において示されている。式(I)の第四級アミンを含む荷電したクロスリンカーの合成は、例えば
図13および14において示されている。式(I)のポリエチレングリコールを含む荷電したクロスリンカーの合成は、例えば
図17~21において示されている。酸不安定性結合を通した連結を可能にするヒドラジド部分を有する式(I)の荷電したクロスリンカーの合成は、例えば
図24~36において示されている。
【0038】
細胞結合剤薬物コンジュゲート
[70] 荷電またはプロ荷電クロスリンカーを用いて、高い数(>6)の薬物分子を導入することができる。限定的で無い例において、
図57は、本発明の荷電したクロスリンカーを用いて調製された細胞結合剤-薬物コンジュゲートが高い効力を示すことを例証している。加えて、高い数の薬物分子の連結の後でさえもそのコンジュゲートは標的細胞に対して非常に効力が強いが非標的細胞に対しては遥かに効力が弱いため、その効力は標的選択的である(例えば
図58を参照)。
図59において例証されているように、質量スペクトル分析はその薬物が細胞結合剤に荷電したクロスリンカーを通して共有結合により連結されていることを示している。
【0039】
[71] 本発明のコンジュゲートは次の式、CB-(-Lc-D)qにより表すことができ、ここでCBは細胞結合剤であり、Lcは荷電またはプロ荷電リンカーであり、Dは薬物分子であり、qは1から20までの整数である。
【0040】
[72] 好ましくは、コンジュゲートは次の式(II)を有する:
【0041】
【0042】
ここで、CBは細胞結合剤を表し、
Dはジスルフィド、チオエーテル、チオエステル、ペプチド、ヒドラゾン、エステル、カルバメート、またはアミド結合により細胞結合剤に連結された薬物を表し;
R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニル、陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13、またはフェニルであり、ここで:
R11、R12およびR13は同じまたは異なっており、それはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝または環状アルキルであり、Xはフェニルまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキルを表し;
l、mおよびnは0または1から4までの整数であり;
Aはフェニルまたは置換されたフェニルであり、ここでその置換基は、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、または3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、または陰イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、SO3
-、X-SO3
-、OPO3
2-、X-OPO3
2-、PO3
2-、X-PO3
2-、CO2
-、陽イオン、例えば、それらに限定されるわけでは無いが、窒素を含む複素環、N+R11R12R13もしくはX-N+R11R12R13から選択される荷電した置換基であり、ここでXは上記と同じ定義を有し、ここでgは0または1であり;
Zは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、またはF1-E1-P-E2-F2単位であり、ここでE1およびE2は同じもしくは異なっており、それはC=O、O、もしくはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝もしくは環状アルキル、2個から6個までの炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルケニルもしくはアルキニルであり;Pは2~20アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1もしくはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じもしくは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0もしくは2から約1000までの整数であり、ZがF1-E1-P-E2-F2では無いならば、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり、またはgが1である場合、A、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、およびR10の内の少なくとも1個は荷電した置換基であり;
Yはカルボニル、チオエーテル、アミド、ジスルフィド、またはヒドラゾン基を表し;qは1から20までの整数を表す。
【0043】
[73] 下記でより詳細に記述するように、その薬物は多くの小さい分子の薬物の内のいずれかであることができ、それにはマイタンシノイド類、CC-1065類似体、モルホリノ類(morpholinos)、ドキソルビシン類、タキサン類(taxanes)、クリプトフィシン類(cryptophycins)、エポチロン類(epothilones)、カリケアマイシン類(calicheamicins)、アウリスタチン類(auristatins)、およびピロロベンゾジアゼピン(pyrrolobenzodiazepine)二量体類が含まれるがそれらに限定されない。
【0044】
[74] 好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネート、ホスフェート、カルボキシレートまたはトリアルキルアンモニウムから選択
される荷電した置換基であり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Dはマイタンシノイド、CC-1065類似体またはピロロベンゾジアゼピン二量体である。別のより好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Dはジスルフィド、チオエステル、もしくはチオエーテル結合を通して連結されたマイタンシノイド、CC-1065類似体またはピロロベンゾジアゼピン二量体である。さらにもっと好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Qはマイタンシノイド、CC-1065類似体、またはタキサンである。
【0045】
[75] 好ましい態様において、ZがF1-E1-P-E2-F2単位である場合、E1およびE2は同じまたは異なっており、それはC=OまたはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝または環状アルキルであり、Pは2~8アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1またはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ、好ましいアミノ酸残基はグリシン(gly)、アラニン(ala)、ロイシン(leu)、グルタミン酸(glu)、またはリシン(lys)であり、それはあらゆる組み合わせまたはあらゆる順序(例えば、gly-gly-glyまたはala-leu-ala-leu等)で用いることができ;ならびにF1およびF2は同じまたは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0または2から約1000までの整数である。
【0046】
[76] より好ましい態様において、ZがF1-E1-P-E2-F2単位である場合、E1およびE2は同じまたは異なっており、それはC=OまたはNR14であり、ここでR14はHまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキルであり、Pは2~5アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1またはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じまたは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0または2から24までの整数である。
【0047】
[77] 好ましくは、それぞれの細胞結合剤に結合している薬物の数であるqは1~20、より好ましくは2~18、さらにもっと好ましくは2~16、最も好ましくは2~10である。
【0048】
[78] そのコンジュゲートを合成するため、その細胞結合剤を本発明のクロスリンカーを用いて修飾して反応性ジスルフィド基、マレイミド、ハロアセチルまたはヒドラジド基を導入することができる。ジスルフィド結合を通して連結された細胞結合剤-薬物コンジュゲートの合成は、修飾された細胞結合剤中のジスルフィド結合と遊離のチオール基を含む薬物の間のジスルフィド交換により成し遂げられる。チオエーテルを通して連結された細胞結合剤-薬物コンジュゲートの合成は、マレイミドまたはハロアセチルで修飾された細胞結合剤と遊離のチオール基を含む薬物の反応により成し遂げられる。酸不安定性ヒドラゾン結合を有するコンジュゲートの合成は、当分野で既知の方法(例えば、P. Hamann et al., BioConjugate Chem., 13; 40-46, 2002; B. Laguzza et al., J.Med. Chem., 32; 548-555, 1959; P. Trail et al., Cancer Res., 57; 100-105, 1997を参照)により、カルボニル基とリンカー中のヒドラジド部分の反応により成し遂げることができる。
【0049】
[79] あるいは、その薬物は本発明のクロスリンカーを用いて修飾して細胞結合剤と反
応することができる官能性を有する式(IV)の修飾された薬物を与えることができる。例えば、チオールを含む薬物は、マレイミド置換基を有する式(I)の荷電またはプロ荷電クロスリンカーと水性緩衝液中で中性pHにおいて反応して、チオエーテル結合を通してその荷電したリンカーにつながった薬物を与えることができる。チオールを含む薬物は、ピリジルジチオ部分を有する荷電したリンカーとのジスルフィド交換を経て、ジスルフィド結合を通してその荷電したクロスリンカーに結合した修飾された薬物を与えることができる。ヒドロキシル基を有する薬物は、ハロゲンを有する荷電またはプロ荷電クロスリンカーと穏やかな塩基の存在下で反応してエーテル結合を有する修飾された薬物を与えることができる。ヒドロキシル基を含む薬物は、カルボキシル基を有する式(I)の荷電したクロスリンカーと脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で縮合してエステル結合を与えることができる。アミノ基を含む薬物は、同様に式(I)の荷電またはプロ荷電クロスリンカー上のカルボキシル基との縮合を経てアミド結合を与えることができる。
【0050】
[80] そのコンジュゲートは、標準的な生化学的手段、例えばSephadex G25もしくはSephacryl S300カラム上でのゲル濾過、吸着クロマトグラフィー、およびイオン交換により、または透析により、以前に記述されたようにして精製されてよい。ある場合(例えば葉酸、メラニン細胞刺激ホルモン、EGF等)では、その細胞結合剤-薬物コンジュゲートはクロマトグラフィーにより、例えばHPLC、中圧カラムクロマトグラフィーまたはイオン交換により精製することができる。
【0051】
修飾された細胞結合剤
[81] 本発明のクロスリンカーとの反応により修飾された細胞結合剤は好ましくは式(III)により表され:
【0052】
【0053】
ここで、その置換基は荷電またはプロ荷電リンカーおよび細胞結合剤薬物コンジュゲートに関して上記で記述されたものである。
[82] 好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネート、ホスフェート、カルボキシルまたはトリアルキルアンモニウムから選択される荷電した置換基であり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Qはジスルフィド置換基、マレイミド、ハロアセチル基、またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルであり、Yはチオエーテル、アミド、またはジスルフィドである。別のより好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Qはジスルフィド、マレイミドまたはハロアセチル部分であり、Yはチオエーテル、アミド、またはジスルフィドである。さらにもっと好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Qはピリジルジチオまたはニトロピリジルジチオ基であり、Yはチオエーテル、アミド、またはジスルフィドである。
【0054】
[83] 好ましい態様において、ZがF1-E1-P-E2-F2単位である場合、E1およびE2は同じまたは異なっており、それはC=OまたはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝または環状アルキルであり、Pは2~8アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1またはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ、好ましいアミノ酸残基はグリシン(gly)、アラニン(ala)、ロイシン(leu)、グルタミン酸(glu)、またはリシン(lys)であり、それはあらゆる組み合わせまたはあらゆる順序(例えば、gly-gly-glyまたはala-leu-ala-leu等)で用いることができ;ならびにF1およびF2は同じまたは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0または2から約1000までの整数である。
【0055】
[84] より好ましい態様において、ZがF1-E1-P-E2-F2単位である場合、E1およびE2は同じまたは異なっており、それはC=OまたはNR14であり、ここでR14はHまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキルであり、Pは2~5アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1またはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じまたは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0または2から24までの整数である。
【0056】
[85] 修飾された細胞結合剤は、細胞結合剤を当分野で他のクロスリンカーに関して既知の方法により荷電したクロスリンカーと反応させることにより調製することができる(米国特許第6,340,701 B1号、第5,846,545号、第5,585,499号、第5,475,092号、第5,414,064号、第5,208,020号、および第4,563,304号;R.V.J. Chari et al. Cancer Research 52, 127-131, 1992; R.V.J. Chari et al. Cancer Research 55, 4079-4084, 1995; J. Carlsson et al. 173 Biochem. J. (1978) 723-737(1978); Goff, D. A., Carroll, S. F. 1 BioConjugate Chem. 381-386 (1990); L. Delprino et al. 82 J. Pharm. Sci. 506-512 (1993); S. Arpicco et al., 8 BioConjugate Chem 327-337 (1997))。好都合なことに、そのクロスリンカー基は水溶性であり、または水溶液中で可溶性を維持するのにごく小さな百分率の有機溶媒しか必要としないため、その細胞結合剤とそのクロスリンカーの間の反応は水溶液中で実施することができる。そのクロスリンク試薬を、場合により水と混和性の少量(典型的には<10体積%)の極性有機溶媒、例えば様々なアルコール類、例えばメタノール、エタノール、およびプロパノール、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、またはジメチルスルホキシドを含む水性緩衝液中で高濃度で、例えば1~100mMで溶解させ、次いで適切な分割量(aliquot)を細胞結合剤の緩衝された水溶液に添加する。適切な分割量は、細胞結合剤あたり1~10個のクロスリンク基、好ましくは1~5個の基を導入する溶液の量であり、添加される体積は細胞結合剤溶液の体積の10%、好ましくは5%、最も好ましくは0~3%を超えるべきでは無い。細胞結合剤のための水溶液は、pH6~9、好ましくは6.5~7.5で緩衝されており、これらのpH範囲に関して有用なあらゆる非求核性緩衝塩類を含むことができる。典型的な緩衝液にはホスフェート、トリエタノールアミンHCl、HEPES、およびMOPS緩衝液が含まれ、それは追加の構成要素、例えばスクロースおよび塩類、例えばNaClを含むことができる。添加の後、反応を4℃から40℃までの温度で、好ましくは周囲温度で保温する。反応の進行は、495nmまたは別の適切な波長における吸収の増大を測定することにより監視することができる。反応が完了した後、修飾された細胞結合剤の単離を、型にはまった方法で、例えばゲル濾過クロマトグラフィーまたは吸着クロマトグラフィーを用いて行うこ
とができる。
【0057】
[86] 修飾の程度は、放出されたニトロピリジン チオン、ジニトロピリジン ジチオン、カルボキサミドピリジン ジチオンまたはジカルボキサミドピリジン ジチオン基の吸収を測定することにより評価することができる。限定的で無い例において、
図56は細胞結合剤であるC242抗体の本発明のスルホネートクロスリンカーを用いた修飾の結果を示す。リンカー/抗体(L/A)組み込みの時間経過を、例えば連結された薬物/抗体(D/A)と共に示す。本明細書で記述される荷電またはプロ荷電クロスリンカーは、適切な置換基を有するあらゆる細胞結合剤と反応することができる様々な官能基を有する。例えば、アミノまたはヒドロキシル置換基を有する細胞結合剤はN-ヒドロキシスクシンイミドエステルを有するクロスリンカーと反応することができ、チオール置換基を有する細胞結合剤はマレイミドまたはハロアセチル基を有するクロスリンカーと反応することができる。加えて、カルボニル置換基を有する細胞結合剤はヒドラジドを有するクロスリンカーと反応することができる。当業者は、細胞結合剤上の利用可能な官能基の既知の反応性に基づいて、どのクロスリンカーを使用すべきかをすぐに決定することができる。
【0058】
[87] 正電荷を有するクロスリンカー(例えば化合物214、
図71)は、場合により有機性共溶媒(例えば1~20%ジメチルアセトアミドまたはエタノール)を含むpH5~9の水性緩衝液中で細胞結合剤と直接反応して正電荷およびチオール基を有する修飾された細胞結合剤を与えることができる。その細胞結合剤のチオール基は、マレイミド、ハロアセトアミドまたは活性なジスルフィド(例えばピリジルジチオ、ニトロピリジルジチオ基)のいずれかを有する細胞毒性薬物と反応してコンジュゲートを与えることができる。そのコンジュゲートは上記の方法により精製することができる。
【0059】
[88] あるいは、正電荷および反応性エステルを有するクロスリンカー(例えば化合物216、
図71)を細胞結合剤と(例えば、そのリシンのアミノ基を通して)直接反応させて正電荷および活性なジスルフィドを導入することができる。上記のようなチオールを含む細胞毒性薬物との反応は、正電荷を有するコンジュゲートを与えることができる。
【0060】
修飾された細胞毒性薬物
[89] 本発明のクロスリンカーとの反応により修飾された細胞毒性薬物は、好ましくは式(IV)により表され:
【0061】
【0062】
ここで、その置換基は荷電またはプロ荷電リンカーおよび細胞結合剤薬物コンジュゲートに関して上記で記述されたものである。
[90] 好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネート、ホスフェート、カルボキシルまたはトリアルキルアンモニウムから選択される荷電した置換基であり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1
であり、Y’はジスルフィド置換基、マレイミド、ハロアセチル基、またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。別のより好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Y’はマレイミド部分またはN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。さらにもっと好ましい態様において、R1、R2、R3、R4、R9、R10の内の1個はスルホネートであり、残りはHであり、l、gおよびmはそれぞれ0であり、n=1であり、Y’はN-ヒドロキシスクシンイミドエステルである。
【0063】
[91] 好ましい態様において、ZがF1-E1-P-E2-F2単位である場合、E1およびE2は同じまたは異なっており、それはC=OまたはNR14であり、ここでR14はH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3個から6個までの炭素原子を有する分枝または環状アルキルであり、Pは2~8アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1またはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ、好ましいアミノ酸残基はグリシン(gly)、アラニン(ala)、ロイシン(leu)、グルタミン酸(glu)、またはリシン(lys)であり、それはあらゆる組み合わせまたはあらゆる順序(例えば、gly-gly-glyまたはala-leu-ala-leu等)で用いることができ;ならびにF1およびF2は同じまたは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0または2から約1000までの整数である。
【0064】
[92] より好ましい態様において、ZがF1-E1-P-E2-F2単位である場合、E1およびE2は同じまたは異なっており、それはC=OまたはNR14であり、ここでR14はHまたは1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキルであり、Pは2~5アミノ酸長のペプチド単位であり、ここでE1またはE2は末端の窒素、末端の炭素を通して、またはペプチドのアミノ酸の内の1つの側鎖を通してペプチドに連結されていることができ;ならびにF1およびF2は同じまたは異なっており、それは式(OCH2CH2)pの任意のポリエチレンオキシ単位であり、ここでpは0または2から24までの整数である。
【0065】
[93] その修飾された薬物は、その薬物を本発明のクロスリンカーと反応させて、細胞結合剤と反応することができる官能性を有する式(IV)の修飾された薬物を与えることにより調製することができる。例えば、チオールを含む薬物は、マレイミド置換基を有する式(I)の荷電またはプロ荷電クロスリンカーと水性緩衝液中で中性pHにおいて反応して、チオエーテル結合を通してその荷電またはプロ荷電リンカーにつながった薬物を与えることができる。チオールを含む薬物は、ピリジルジチオ部分を有する荷電またはプロ荷電リンカーとのジスルフィド交換を経て、ジスルフィド結合を通してその荷電またはプロ荷電リンカーに結合した修飾された薬物を与えることができる。ヒドロキシル基を有する薬物は、ハロゲンを有する荷電したクロスリンカーと穏やかな塩基の存在下で反応してエーテル結合を有する修飾された薬物を与えることができる。ヒドロキシル基を含む薬物は、カルボキシル基を有する式(I)の荷電したクロスリンカーと脱水剤、例えばジシクロヘキシルカルボジイミドの存在下で縮合してエステル結合を与えることができる。アミノ基を含む薬物は、同様に式(I)の荷電またはプロ荷電クロスリンカー上のカルボキシル基との縮合を経てアミド結合を与えることができる。その修飾された薬物は、標準的な方法、例えばシリカゲルもしくはアルミナ上でのカラムクロマトグラフィー、結晶化、分取薄層クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーまたはHPLCにより精製することができる。
【0066】
細胞結合剤
[94] 本発明のコンジュゲートおよび修飾された細胞結合剤を構成する細胞結合剤は、
現在既知である、または既知になったあらゆる種類のものであってよく、ペプチド類および非ペプチド類を含む。その細胞結合剤は、特異的または非特異的な方式のどちらかで細胞に結合することができるあらゆる化合物であってよい。一般に、これらは抗体(特にモノクローナル抗体および抗体断片)、adnectin類(米国公開番号:20070082365)、インターフェロン類、リンフォカイン類、ホルモン類、成長因子類、ビタミン類、栄養素輸送分子類(例えばトランスフェリン)、またはあらゆる他の細胞結合性の分子または物質であることができる。
【0067】
[95] 細胞結合剤が抗体(例えば、マウス、ヒト、ヒト化(humanized)、表面再構成(resurfaced)またはキメラまたは当業者に既知のあらゆる他の抗体)である場合、それは抗原に結合し、それはポリペプチドであり、膜貫通型分子(例えば受容体)またはリガンド、例えば成長因子であってよい。代表的な抗原には、例えば次の分子が含まれる:レニン;ヒトの成長ホルモンおよびウシの成長ホルモンを含む成長ホルモン;成長ホルモン放出因子;副甲状腺ホルモン;甲状腺刺激ホルモン;リポタンパク質類;アルファ-1-アンチトリプシン;インスリンA鎖;インスリンB鎖;プロインスリン;濾胞刺激ホルモン;カルシトニン;黄体形成ホルモン;グルカゴン;凝固因子、例えば因子vmc、第IX因子、組織因子(TF)、およびフォン・ヴィレブランド因子;抗凝固因子、例えばプロテインC;心房性ナトリウム利尿因子;肺表面活性物質;プラスミノゲン活性化因子、例えばウロキナーゼまたはヒトの尿もしくは組織型プラスミノゲン活性化因子(t-PA);ボンベシン;トロンビン;造血成長因子;腫瘍壊死因子アルファおよびベータ;エンケファリナーゼ;RANTES(活性化の際に制御される、通常T細胞で発現され、分泌される(regulated on activation normally T-cell expressed and secreted));ヒトマクロファージ炎症性タンパク質(MIP-1-アルファ);血清アルブミン、例えばヒト血清アルブミン;ミュラー管抑制物質;リラキシンA鎖;リラキシンB鎖;プロリラキシン;マウスゴナドトロピン関連ペプチド;微生物のタンパク質、例えばベータラクタマーゼ;DNアーゼ;IgE;細胞傷害性Tリンパ球関連抗原(CTLA)、例えばCTLA-4;インヒビン;アクチビン;血管内皮増殖因子(VEGF);ホルモンまたは増殖因子の受容体;プロテインAまたはD;リウマチ因子;神経栄養因子、例えば骨由来神経栄養因子(BDNF)、ニューロトロフィン-3、-4、-5、もしくは-6(NT-3、NT4、NT-5、もしくはNT-6)、または神経成長因子、例えばNGF-β;血小板由来成長因子(PDGF);線維芽細胞成長因子、例えばaFGFおよびbFGF;上皮成長因子(EGF);トランスフォーミング成長因子(TGF)、例えばTGF-アルファおよびTGF-ベータ、これにはTGF-β1、TGF-β2、TGF-β3、TGF-β4、またはTGF-β5が含まれる;インスリン様成長因子-Iおよび-II(IGF-IおよびIGF-II);des(1-3)-IGF-I(脳IGF-I)、インスリン様成長因子結合タンパク質類、EpCAM、GD3、FLT3、PSMA、PSCA、MUC1、MUC16、STEAP、CEA、TENB2、EphA受容体、EphB受容体、葉酸受容体、メソテリン(mesothelin)、cripto、アルファvベータ6(alphavbeta6)、インテグリン類、VEGF、VEGFR、トランスフェリン(tarnsferrin)受容体、IRTA1、IRTA2、IRTA3、IRTA4、IRTA5;CDタンパク質、例えばCD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD8、CD11、CD14、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD25、CD26、CD28、CD30、CD33、CD36、CD37、CD38、CD40、CD44、CD52、CD55、CD56、CD59、CD70、CD79、CD80、CD81、CD103、CD105、CD134、CD137、CD138、CD152または米国公開番号20080171040もしくは米国公開番号20080305044において開示されている1種類以上の腫瘍関連抗原もしくは細胞表面受容体に結合する抗体、それらをそのまま援用する;エリスロポエチン;骨誘導因子(osteoinductive factors);免疫毒素;骨形成タンパク質(BM
P);インターフェロン、例えばインターフェロン-アルファ、-ベータ、および-ガンマ;コロニー刺激因子類(CSFs)、例えばM-CSF、GM-CSF、およびG-CSF;インターロイキン類(ILs)、例えばIL-1~IL-10;スーパーオキシドジスムターゼ;T細胞受容体;表面膜タンパク質;崩壊促進因子;例えばHIVのエンベロープの一部のようなウイルス抗原;輸送タンパク質;ホーミング受容体;アドレシン類(addressins);調節タンパク質;インテグリン類、例えばCD11a、CD11b、CD11c、CD18、ICAM、VLA-4、EpCAMおよびVCAM;腫瘍関連抗原、例えばHER2、HER3またはHER4受容体;ならびに上記で列挙したポリペプチドの内のいずれかの断片。
【0068】
[96] 本発明に含まれる抗体に関する好ましい抗原には、次のものも含まれる:CDタンパク質、例えばCD3、CD4、CD8、CD19、CD20、CD34、およびCD46;ErbB受容体ファミリーのメンバー、例えばEGF受容体、HER2、HER3またはHER4受容体;細胞接着分子、例えばLFA-1、Mac1、p150.95、VLA-4、ICAM-1、VCAM、EpCAM、アルファ4/ベータ7インテグリン、およびアルファv/ベータ3インテグリン、それらのアルファまたはベータサブユニットのどちらかを含む(例えば抗CD11a、抗CD18または抗CD11b抗体);成長因子、例えばVEGF;組織因子(TF);TGF-β;アルファインターフェロン(アルファ-IFN);インターロイキン、例えばIL-8;IgE;血液型抗原Apo2、デスレセプター;flk2/flt3受容体;肥満(OB)受容体;mpl受容体;CTLA-4;プロテインC等。用いることができる好ましい抗体は、CD2、CD3、CD4、CD5、CD6、CD11、CD19、CD20、CD22、CD26、CD30、CD33、CD37、CD38、CD40、CD44、CD56、CD79、CD105、CD138、EphA受容体(例えば、EphA2受容体)、EphB受容体、EGFr、EGFRvIII、HER2、HER3、トラスツズマブ(trastuzumab)、ペルツズマブ(pertuzumab) メソテリン、cripto、アルファvベータ6、インテグリン類、VEGF、VEGFR、葉酸受容体(例えば、FOLR1)、トランスフェリン受容体、GD3、EpCAMに対する抗体、または米国公開番号20080171040もしくは米国公開番号20080305044において開示されている1種類以上の腫瘍関連抗原もしくは細胞表面受容体に結合する抗体であり、それらをそのまま援用する。
【0069】
[97] 用いることができる細胞結合剤の追加の例には次のものが含まれる:
-表面再構成抗体(米国特許第5,639,641号);
-次のものから選択されるが、それらに限定されない、ヒト化、または完全なヒトの抗体:huMy9-6、huB4、huC242、huN901、DS6、CD38、IGF-IR、CNTO 95、B-B4、トラスツズマブ、ペルツズマブ、ビバツズマブ(bivatuzumab)、シブロツズマブ(sibrotuzumab)、およびリツキシマブ(rituximab)(例えば米国特許第5,639,641号、第5,665,357号;および第7,342,110号、米国仮特許出願第60/424,332号、国際特許出願WO 02/16,401、米国特許公開番号20060045877、米国特許公開番号20060127407、米国特許公開番号20050118183、Pedersen et al., (1994) J. Mol. Biol. 235, 959-973、Roguska et al., (1994) Proceedings of the National Academy of Sciences, Vol 91, 969-973、上記、Colomer et al., Cancer Invest., 19: 49-56 (2001)、Heider et al., Eur. J. Cancer, 31A: 2385-2391 (1995)、Welt et al., J. Clin. Oncol., 12: 1193-1203 (1994)、およびMaloney et al., Blood, 90: 2188-2195 (1997)を参照);ならびに -抗体のエピトープ結合断片、例えばsFv、Fab、Fab’、およびF(ab’)2(Parham, J. Immunol. 131:2895-2902 (1983); Spring et al, J. Immunol. 113:470-478 (1974); Nisonoff et al, Arch. Biochem. Biophys. 89:230-244 (1960))。
【0070】
追加の細胞結合剤には、次のものにより例示される他の細胞結合タンパク質およびポリペプチドが含まれるが、それらに限定されない:
-アンキリンリピートタンパク質(DARPin類;Zahnd et al., J. Biol. Chem., 281, 46, 35167-35175, (2006); Binz, H.K., Amstutz, P. & Pluckthun, A. (2005) Nature Biotechnology, 23, 1257-1268)または例えば米国特許公開番号20070238667;米国特許第7,101,675号;およびWO/2007/147213;WO/2007/062466)において記述されているアンキリン様リピートタンパク質もしくは合成ペプチド;
-インターフェロン類(例えばα、β、γ);
-リンフォカイン類、例えばIL-2、IL-3、IL-4、IL-6;
-ホルモン類、例えばインスリン、TRH(サイロトロピン放出ホルモン類)、MSH(メラニン細胞刺激ホルモン)、ステロイドホルモン類、例えばアンドロゲン類およびエストロゲン類;
-ビタミン類、例えば葉酸;
-成長因子類およびコロニー刺激因子類、例えばEGF、TGF-α、G-CSF、M-CSFおよびGM-CSF(Burgess, Immunology Today 5:155-158 (1984));ならびに
-トランスフェリン(O’Keefe et al, J. Biol. Chem. 260:932-937 (1985))。
【0071】
[98] モノクローナル抗体の技法は、モノクローナル抗体の形の特異的な細胞結合剤の生産を可能にする。当分野で特によく知られているものは、マウス、ラット、ハムスターまたはいずれかの他の哺乳類を、興味のある抗原、例えば完全な標的細胞、標的細胞から単離した抗原、ウイルス全体、弱毒化したウイルス全体、およびウイルスタンパク質、例えばウイルスのコートタンパク質を用いて免疫することにより産生されるモノクローナル抗体を作るための技法である。感作したヒト細胞を用いることもできる。モノクローナル抗体を作る別の方法は、sFv(単鎖可変領域)、特にヒトのsFvのファージライブラリーの使用である(例えばGriffithsら、米国特許第5,885,793号;McCaffertyら、WO 92/01047;およびLimingら、WO 99/06587を参照)。
【0072】
[99] 適切な細胞結合剤の選択は、標的とする個々の細胞集団に依存する選択の問題であるが、一般には、適切なものが利用できるならば、モノクローナル抗体およびそのエピトープ結合断片が好まれる。
【0073】
[100] 例えば、モノクローナル抗体My9は急性骨髄性白血病(AML)細胞上で見
つかったCD33抗原に特異的なマウスIgG2a抗体であり(Roy et al. Blood 77:2404-2412 (1991))、AMLの患者を処置するのに用いることができる。同様に、モノクローナル抗体抗B4はマウスIgG1であり、それはB細胞上のCD19抗原に結合し(Nadler et al, J. Immunol. 131:244-250 (1983))、標的細胞がB細胞、または非ホジキンリンパ腫もしくは慢性リンパ芽球性白血病におけるようなこの抗原を発現する罹病細胞である場合に用いることができる。同様に、抗体N901は、小細胞肺癌腫細胞上で、および神経内分泌由来の他の腫瘍の細胞上で見つかったCD56に結合するマウスのモノクローナルIgG1抗体であり(Roy et al. J. Nat. Cancer Inst. 88:1136-1145 (1996))
、C242抗体はCanAg抗原に結合し、ペルツズマブ、トラスツズマブはHER2/neuに結合し、抗EGF受容体抗体である。
【0074】
[101] 加えて、骨髄細胞に結合するGM-CSFは、急性骨髄性白血病からの罹病細
胞に対する細胞結合剤として用いることができる。活性化されたT細胞に結合するIL-2は、移植片拒絶の予防に、移植片対宿主疾患の療法および予防に、ならびに急性T細胞
白血病の処置に用いることができる。メラニン細胞に結合するMSHは、メラノーマの処置に用いることができる。卵巣癌および他の癌で発現している葉酸受容体を標的とする葉酸も適切な細胞結合剤である。
【0075】
[102] 乳房および精巣の癌は、それぞれエストロゲン(またはエストロゲン類似体)
またはアンドロゲン(またはアンドロゲン類似体)を細胞結合剤として用いてうまく標的とすることができる。
【0076】
薬物
[103] 本発明において用いることができる薬物には、化学療法薬が含まれる。“化学
療法薬”は、癌の処置において有用な化合物である。化学療法薬の例には次のものが含まれる:アルキル化剤、例えばチオテパ(thiotepa)およびシクロホスファミド(CYTOXAN(商標));アルキルスルホネート類、例えばブスルファン(busulfan)、インプロスルファン(improsulfan)およびピポスルファン(piposulfan);アジリジン類(aziridines)、例えばベンゾドーパ(benzodopa)、カルボコン(carboquone)、メツレドーパ(meturedopa)、およびウレドーパ(uredopa);エチレンイミン類およびメチルアメラミン類(methylamelamines)、アルトレタミン(altretamine)、トリエチレンメラミン(triethylenemelamine)、トリエチレンホスホルアミド(trietylenephosphoramide)、トリエチレンチオホスホルアミド(triethylenethiophosphaoramide)およびトリメチローロメラミン(trimethylolomelamine)を含む;アセトゲニン類(acetogenins)(特にブラタシン(bullatacin)およびブラタシノン(bullatacinone));カンプトテシン(camptothecin)(合成類似体であるトポテカンを含む);ブリオスタチン(bryostatin);カリスタチン(callystatin);CC-1065(そのアドゼレシン(adozelesin)、カルゼレシン(carzelesin)およびビゼレシン(bizelesin)合成類似体を含む);クリプトフィシン類(cryptophycins)(特に、クリプトフィシン1およびクリプトフィシン8);ドラスタチン(dolastatin);デュオカルマイシン(duocarmycin)(その合成類似体であるKW-2189およびCBI-TMIを含む));エレウテロビン(eleutherobin);パンクラチスタチン(pancratistatin);サルコディクチン(sarcodictyin);スポンジスタチン(spongistatin);ナイトロジェンマスタード類、例えばクロラムブシル(chlorambucil)、クロルナファジン(chlornaphazine)、コロホスファミド(cholophosphamide)、エストラムスチン(estramustine)、イホスファミド(ifosfamide)、メクロレタミン(mechlorethamine)、メクロレタミンオキシド塩酸塩、メルファラン(melphalan)、ノベムビチン(novembichin)、フェネステリン(phenesterine)、プレドニムスチン(prednimustine)、トロホスファミド(trofosfamide)、ウラシルマスタード;ニトロソ尿素類(nitrosureas)、例えばカルムスチン(carmustine)、クロロゾトシン(chlorozotocin)、フォテムスチン(fotemustine)、ロムスチン(lomustine)、ニムスチン(nimustine)、ラニムスチン(ranimustine);抗生物質、例えばエネジイン(enediyne)抗生物質(例えばカリケアマイシン(calicheamicin)、特に、カリケアマイシンガンマ1およびカリケアマイシンシータI、例えばAngew Chem Intl. Ed. Engl. 33:183-186 (1994)を参照;ダイネマイシン(dynemicin)、ダイネマイシンAを含む;エスペラマイシン(esperamicin);ならびに、ネオカルジノスタチンクロモフォア(neocarzinostatin chromophore)および関連する色素タンパク質エネジイン抗生物質クロ
モモフォア類)、アクラシノマイシン類(aclacinomysins)、アクチノマイシン、オースラマイシン(authramycin)、アザセリン(azaserine)、ブレオマイシン類(bleomycins)、カクチノマイシン(cactinomycin)、カラビシン(carabicin)、カルミノマイシン(carminomycin)、カルジノフィリン(carzinophilin);クロモマイシン類(chromomycins)、ダクチノマイシン(dactinomycin)、ダウノルビシン(daunorubicin)、デトルビシン(detorubicin)、6-ジアゾ-5-オキソ-L-ノルロイシン、ドキソルビシン(モルホリノ-ドキソルビシン、シアノモルホリノ-ドキソルビシン、2-ピロリノ-ドキソルビシンおよびデオキシドキソルビシンを含む)、エピルビシン(epirubicin)、エソルビシン(esorubicin)、イダルビシン(idarubicin)、マルセロマイシン(marcellomycin)、ナイトマイシン類(nitomycins)、ミコフェノール酸(mycophenolic acid)、ノガラマイシン(nogalamycin)、オリボマイシン類(olivomycins)、ペプロマイシン(peplomycin)、ポトフィロマイシン(potfiromycin)、ピューロマイシン、クエラマイシン(quelamycin)、ロドルビシン(rodorubicin)、ストレプトニグリン(streptonigrin)、ストレプトゾシン(streptozocin)、ツベルシジン(tubercidin)、ウベニメクス(ubenimex)、ジノスタチン(zinostatin)、ゾルビシン(zorubicin);代謝拮抗剤、例えば、メトトレキセートおよび5-フルオロウラシル(5-FU);葉酸類似体、例えばデノプテリン、メトトレキセート、プテロプテリン、トリメトレキセート;プリン類似体、例えばフルダラビン(fludarabine)、6-メルカプトプリン、チアミプリン(thiamiprine)、チオグアニン;ピリミジン類似体、例えばアンシタビン、アザシチジン、6-アザウリジン、カルモフール、シタラビン、ジデオキシウリジン、ドキシフルリジン(doxifluridine)、エノシタビン、フロクスウリジン、5-FU;アンドロゲン類、例えばカルステロン、ドロモスタノロンプロピオネート、エピチオスタノール、メピチオスタン、テストラクトン;抗副腎薬(anti-adrenals)、例えばアミノグルテチミド、ミトタン、トリロスタン;葉酸補充薬、例えばフロリン酸(frolinic acid);アセグラトン;アルドホスファミドグリコシド(aldophosphamide glycoside);アミノレブリン酸;アムサクリン(amsacrine);ベストラブシル(bestrabucil);ビサントレン(bisantrene);エダトラキセート(edatraxate);デフォファミン(defofamine);デメコルシン(demecolcine);ジアジコン(diaziquone);エルフォミチン(elfomithine);エリプチニウムアセテート(elliptinium acetate);エポチロン(epothilone);エトグルシド(etoglucid);硝酸ガリウム;ヒドロキシウレア;レンチナン(lentinan);ロニダミン(lonidamine);マイタンシノイド類、例えばマイタンシン(maytansine)およびアンサミトシン類(ansamitocins);ミトグアゾン(mitoguazone);ミトキサントロン(mitoxantrone);モピダモール(mopidamol);ニトラクリン(nitracrine);ペントスタチン(pentostatin);フェナメット(phenamet);ピラルビシン(pirarubicin);ポドフィリン酸(podophyllinic acid);2-エチルヒドラジド;プロカルバジン;PSK(登録商標);ラゾキサン;リゾキシン(rhizoxin);シゾフィラン(sizofiran);スピロゲルマニウム(spirogermanium);テヌアゾン酸(tenuazonic acid);トリアジクオン(triaziquone);2,2’,2’’-トリクロロトリエチルアミン;トリコテセン類(trichothecenes)、(特にT-2トキシン、ベラクリン(verracurin)A、ロリジン(roridin)Aおよびアングイジン(anguidine));ウレタン;ビンデシン;ダカルバジン;マンノムスチン;ミトブロニトール(mitobron
itol);ミトラクトール(mitolactol);ピポブロマン(pipobroman);ガシトシン(gacytosine);アラビノシド(arabinoside)(“Ara-C”);シクロホスファミド;チオテパ;タキソイド類(taxoids)、例えばパクリタキセル(paclitaxel)(TAXOL(登録商標)、Bristol-Myers Squibb Oncology、ニュージャージー州プリンストン)およびドキセタキセル(doxetaxel)(TAXOTERE(登録商標)
、Rhone-Poulenc Rorer、フランス、アントニー);クロラムブシル;ゲムシタビン(gemcitabine);6-チオグアニン;メルカプトプリン;メトトレキセート;プラチナ類似体、例えばシスプラチンおよびカルボプラチン;ビンブラスチン;プラチナ;エトポシド(VP-16);イホスファミド;マイトマイシンC;ミトキサントロン;ビンクリスチン;ビノレルビン(vinorelbine);ナベルビン(navelbine);ノバントロン(novantrone);テニポシド(teniposide);ダウノマイシン(daunomycin);アミノプテリン;ゼローダ(xeloda);イバンドロネート(ibandronate);CPT-11;トポイソメラーゼ阻害剤RFS2000;ジフルオロメチルオミチン(difluoromethylomithine)(DMFO);レチノイン酸;カペシタビン(capecitabine);ならびに上記のいずれかの医薬的に許容できる塩類、酸類、または誘導体。腫瘍に対するホルモンの作用を調節または阻害するように作用する抗ホルモン剤、例えば次のものもこの定義に含まれる:例えばタモキシフェン、ラロキシフェン(raloxifene)、アロマターゼを阻害する4(5)-イミダゾール類、4-ヒドロキシタモキシフェン、トリオキシフェン(trioxifene)、ケオキシフェン(keoxifene)、LY117018、オナプリストン(onapristone)、およびトレミフェン(toremifene)(ファレストン(Fareston))を含む抗エストロゲン薬;ならびに抗アンドロゲン薬、例えばフルタミド(flutamide)、ニルタミド(nilutamide)、ビカルタミド(bicalutamide)、ロイプロリド(leuprolide)、およびゴセレリン(goserelin);siRNAならびに上記のいずれかの医薬的に許容できる塩類、酸類、または誘導体。本発明と共に用いることができる他の化学療法薬が、米国公開番号20080171040または米国公開番号20080305044において開示されており、それらをそのまま援用する。
【0077】
[104] 好ましい態様において、化学療法薬は本質的に小さい分子の薬物である。“小
さい分子の薬物”は、本明細書において、例えば100~1500、より適切には120から1200まで、好ましくは200から1000までの分子量を有していてよい、および典型的には約1000未満の分子量を有する有機、無機、または有機金属化合物を指して広く用いられる。本発明の小さい分子の薬物は、約1000未満の分子量を有するオリゴペプチドおよび他の生体分子を含む。小さい分子の薬物は当分野において、例えばとりわけWO05058367A2、欧州特許出願第85901495号および第8590319号において、ならびに米国特許第4,956,303号においてよく特性付けされており、それらをそのまま援用する。
【0078】
[105] 好ましい小さい分子の薬物は、細胞結合剤への連結を可能にする小さい分子の
薬物である。本発明には、既知の薬物および既知になる可能性がある薬物が含まれる。特に好ましい小さい分子の薬物には細胞毒性薬剤が含まれる。
【0079】
[106] その細胞毒性薬剤は、結果として細胞の死をもたらす、または細胞死を誘導す
る、またはある方式で細胞の生存度を減少させるあらゆる化合物であってよく、ここでそれぞれの細胞毒性薬剤はチオール部分を含む。
【0080】
[107] 好ましい細胞毒性薬剤はマイタンシノイド化合物、タキサン化合物、CC-1
065化合物、ダウノルビシン化合物およびドキソルビシン化合物、ピロロベンゾジアゼピン二量体類、カリケアマイシン類である。アウリスタチン類ならびにその類似体および誘導体、そのいくつかを下記で記述する。
【0081】
[108] 必ずしも小さい分子では無い他の細胞毒性薬剤、例えばsiRNAも、本発明
の範囲内に含まれる。例えば、siRNA類は本発明のクロスリンカーに、オリゴヌクレオチド類の修飾に関して一般的に用いられる方法により連結させることができる(例えば、米国特許公開20050107325および20070213292を参照)。従って、その3’または5’-ホスホラミダイト(phosphoromidite)の形のsiRNAはヒドロキシル官能性を有するクロスリンカーの1つの末端と反応してsiRNAとクロスリンカーの間にエステル結合を与える。同様に、siRNAホスホラミダイトと末端アミノ基を有するクロスリンカーの反応は、結果としてそのクロスリンカーのsiRNAへのアミンを通した連結をもたらす。siRNAは米国特許公開番号:20070275465、20070213292、20070185050、20070161595、20070054279、20060287260、20060035254、20060008822、20050288244、20050176667において詳細に記述されており、それらをそのまま本明細書に援用する。
【0082】
マイタンシノイド類
[109] 本発明において用いることができるマイタンシノイド類は当分野で周知であり
、既知の方法に従って天然の源から単離する、または既知の方法に従って合成により調製することができる。
【0083】
[110] 適切なマイタンシノイド類の例には、マイタンシノール(maytansin
ol)およびマイタンシノール類似体が含まれる。適切なマイタンシノール類似体の例には、修飾された芳香環を有するマイタンシノール類似体および他の位置に修飾を有するマイタンシノール類似体が含まれる。
【0084】
[111] 修飾された芳香環を有するマイタンシノールの適切な類似体の具体的な例には
次のものが含まれる:
(1)C-19-脱クロロ(米国特許第4,256,746号)(アンサミトシンP2のLAH還元により調製される);
(2)C-20-ヒドロキシ(またはC-20-脱メチル)+/-C-19-脱クロロ(米国特許第4,361,650号および第4,307,016号)(ストレプトマイセス(Streptomyces)またはアクチノマイセス(Actinomyces)を用いる脱メチルまたはLAHを用いる脱塩素により調製される);および
(3)C-20-脱メトキシ、C-20-アシルオキシ(-OCOR)、+/-脱クロロ(米国特許第4,294,757号)(アシルクロリド類を用いるアシル化により調製される)。
【0085】
[112] 他の位置の修飾を有するマイタンシノールの適切な類似体の具体的な例には次
のものが含まれる:
(1)C-9-SH(米国特許第4,424,219号)(マイタンシノールのH2SまたはP2S5との反応により調製される);
(2)C-14-アルコキシメチル(脱メトキシ/CH2OR)(米国特許第4,331,598号);
(3)C-14-ヒドロキシメチルまたはアシルオキシメチル(CH2OHまたはCH2OAc)(米国特許第4,450,254号)(ノカルジア(Nocardia)から調製される);
(4)C-15-ヒドロキシ/アシルオキシ(米国特許第4,364,866号)(ス
トレプトマイセスによるマイタンシノールの変換により調製される);
(5)C-15-メトキシ(米国特許第4,313,946号および第4,315,929号)(トレビア・ヌーディフロラ(Trewia nudiflora)から単離された);
(6)C-18-N-脱メチル(米国特許第4,362,663号および第4,322,348号)(ストレプトマイセスによるマイタンシノールの脱メチルにより調製される);
(7)4,5-脱オキシ(米国特許第4,371,533号)(マイタンシノールの3塩化チタン/LAH還元により調製される)。
【0086】
[113] 本発明において有用なチオールを含むマイタンシノイド類の合成は、米国特許
第5,208,020号、第5,416,064号、および米国特許出願番号20040235840において完全に開示されている。
【0087】
[114] C-3位、C-14位、C-15位またはC-20位においてチオール部分を
有するマイタンシノイド類は、全て有用であると予想される。C-3位が好ましく、マイタンシノールのC-3位が特に好ましい。N-メチル-アラニンを含むC-3チオール部分マイタンシノイド、およびN-メチル-システインを含むC-3チオール部分マイタンシノイド、ならびにそれぞれの類似体も好ましい。
【0088】
[115] 本発明において有用なN-メチル-アラニンを含むC-3チオール部分マイタ
ンシノイド誘導体の具体的な例は、式M1、M2、M3、M6およびM7により表される。
【0089】
【0090】
ここで:
lは1から10までの整数であり;および
mayはマイタンシノイドである。
【0091】
【0092】
ここで:
R1およびR2はH、CH3またはCH2CH3であり、同じまたは異なっていてよく;
mは0、1、2または3であり;ならびに
mayはマイタンシノイドである。
【0093】
【0094】
ここで:
nは3から8までの整数であり;および
mayはマイタンシノイドである。
【0095】
【0096】
ここで:
lは1、2または3であり;
Y0はClまたはHであり;および
X3はHまたはCH3である。
【0097】
【0098】
ここで:
R1、R2、R3、R4はH、CH3またはCH2CH3であり、同じまたは異なっていてよく;
mは0、1、2または3であり;および
mayはマイタンシノイドである。
【0099】
[116] 本発明において有用なN-メチル-システインを含むC-3チオール部分マイ
タンシノイド誘導体の具体的な例は、式M4およびM5により表される。
【0100】
【0101】
ここで:
oは1、2または3であり;
pは0~10の整数であり;および
mayはマイタンシノイドである。
【0102】
【0103】
ここで:
oは1、2または3であり;
qは0から10までの整数であり;
Y0はClまたはHであり;および
X3はHまたはCH3である。
【0104】
好ましいマイタンシノイド類は、米国特許第5,208,020号;第5,416,064号;第6,333,410号;第6,441,163号;第6,716,821号;第RE39,151号および第7,276,497号において記述されているマイタンシノイド類である。
【0105】
タキサン類
[117] 本発明に従う細胞毒性薬剤はタキサンであってもよい。
[118] 本発明において用いることができるタキサン類は、チオール部分を含むように
修飾されている。本発明において有用ないくつかのタキサン類は、下記に示した式T1を有する:
【0106】
【0107】
[119] これらの新規のタキサン類の4種類の態様を下記で記述する。
[120] 態様(1)、(2)、(3)、および(4)において、R1、R1’およびR
1’’は同じまたは異なっており、それらはH、電子求引基、例えばF、NO2、CN、Cl、CHF2、もしくはCF3または電子供与基、例えば-OCH3、-OCH2CH3、-NR7R8、-OR9であり、ここでR7およびR8は同じまたは異なっており、それらは1~10個の炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキル基または1~10個の炭素原子を有する単純な、もしくは置換されたアリールである。好ましくは、R7およびR8に関する炭素原子の数は1~4である。また、好ましくはR7およびR8は同じである。好ましい-NR7R8基の例には、ジメチルアミノ、ジエチルアミノ、ジプロピルアミノ、およびジブチルアミノが含まれ、ここでそのブチル部分は第一級、第二級、第三級またはイソブチルのいずれかである。R9は1~10個の炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキルである。
【0108】
[121] R1は好ましくはOCH3、F、NO2、またはCF3である。
[122] また、好ましくは、R1はメタ位にあり、R1’およびR1’’はHまたはO
CH3である。
【0109】
[123] 態様(1)、(2)および(4)におけるR2は、H、1個から10個までの
炭素原子を有する複素環式、直鎖、分枝、もしくは環状エステルまたは1個から10個までの炭素原子を有する複素環式、直鎖、分枝、もしくは環状エーテルまたは式-CONR10R11のカルバメートであり、ここでR10およびR11は同じまたは異なっており、それらはH、1個から6個までの炭素原子を有する直鎖アルキル、3~10個の原子を有する分枝もしくは環状アルキル、または6~10個の炭素原子を有する単純な、もしくは置換されたアリールである。エステル類に関して、好ましい例には-COCH2CH3および-COCH2CH2CH3が含まれる。エーテル類に関して、好ましい例には-CH2CH3および-CH2CH2CH3が含まれる。カルバメート類に関して、好ましい例には-CONHCH2CH3、-CONHCH2CH2CH3、-CO-モルホリノ、-CO-ピペラジノ、-CO-ピペリジノ、または-CO-N-メチルピペラジノが含まれる。
【0110】
[124] 態様(3)におけるR2はチオールを含む部分である。
[125] 態様(1)、(3)および(4)におけるR3はアリールであり、または1~
10個の炭素原子を有する直鎖、分枝もしくは環状アルキルであり、好ましくは-CH2CH(CH3)2である。
【0111】
[126] 態様(2)におけるR3は-CH=C(CH3)2である。
[127] 4種類全ての態様におけるR4は-OC(CH3)3または-C6H5である
。
【0112】
[128] 態様(1)および(2)におけるR5はチオールを含む部分であり、R6は上
記の態様(1)、(2)および(4)に関するR2に関するものと同じ定義を有する。
[129] 態様(3)におけるR5およびR6は同じまたは異なっており、上記の態様(
1)、(2)および(4)に関するR2に関するものと同じ定義を有する。
【0113】
[130] 態様(4)におけるR5は上記の態様(1)、(2)および(4)に関するR
2に関するものと同じ定義を有し、R6はチオール部分である。
[131] チオールを含む部分の導入に好ましい位置はR2およびR5であり、R2が最
も好ましい。
【0114】
[132] そのチオール部分を有する側鎖は直鎖または分枝、芳香族または複素環式であ
ることができる。当業者は適切な側鎖をすぐに同定することができる。チオール部分の具体的な例には次のものが含まれる:-(CH2)nSH、-CO(CH2)nSH、-(CH2)nCH(CH3)SH、-CO(CH2)nCH(CH3)SH、-(CH2)nC(CH3)2SH、-CO(CH2)nC(CH3)2SH、-CONR12(CH2)nSH、-CONR12(CH2)nCH(CH3)SH、または-CONR12(CH2)nC(CH3)2SH、-CO-モルホリノ-XSH、-CO-ピペラジノ-XSH、-CO-ピペリジノ-XSH、および-CO-N-メチルピペラジノ-XSH、ここで
Xは1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキルまたは分枝アルキルである。
【0115】
R12は1~10個の炭素原子を有する直鎖アルキル、分枝アルキルもしくは環状アルキル、または1個から10個までの炭素原子を有する単純な、もしくは置換されたアリールまたは複素環式であり、Hであることができ、
nは0~10の整数である。
【0116】
[133] 直鎖アルキル類の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよ
びヘキシルが含まれる。
[134] 分枝アルキル類の例には、イソプロピル、イソブチル、sec.-ブチル、t
ert.-ブチル、イソペンチルおよび1-エチル-プロピルが含まれる。
【0117】
[135] 環状アルキル類の例には、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチルお
よびシクロヘキシルが含まれる。
[136] 単純なアリール類の例には、フェニルおよびナフチルが含まれる。
【0118】
[137] 置換されたアリール類の例には、アルキル基で置換された、ハロゲン類、例え
ばCl、Br、F、ニトロ基、アミノ基、スルホン酸基、カルボン酸基、ヒドロキシ基またはアルコキシ基で置換された、上記で記述したアリール類のようなアリール類が含まれる。
【0119】
[138] 複素環式化合物の例は、複素原子がO、N、およびSから選択される化合物で
あり、それはモルホリノ、ピペリジノ、ピペラジノ、N-メチルピペラジノ、ピロリル(pyrrollyl)、ピリジル、フリルおよびチオフェンを含む。
【0120】
[139] チオール部分を有するタキサン類は、既知の方法に従って合成することができ
る。その合成のための出発物質は、商業的に入手可能である10-デアセチルバッカチンIII(10-deacetylbaccatin III)である。様々な置換基を導
入するための化学がいくつかの刊行物において記述されている(Ojima et al, J. Med. Chem. 39:3889-3896 (1996); Ojima et al., J. Med. Chem. 40:267-278 (1997); Ojima et al., Proc. Natl. Acad. Sci., 96:4256-4261 (1999);米国特許第5,475,011
号および米国特許第5,811,452号)。
【0121】
[140] フェニル環上の置換基R1およびその置換基R1の位置は、望まれる毒性の化
合物が得られるまで変更することができる。さらに、そのフェニル環上の置換の程度は、望まれる毒性を達成するために変更することができる。すなわち、そのフェニル環は、望まれる毒性を得るための別の手段を提供する1個以上の置換基(例えば、フェニル環のモノ-、ジ-、またはトリ-置換)を有することができる。当業者はR1に関する適切な化学的部分およびR1に関する適切な位置を、型にはまった実験のみを用いて決定することができる。
【0122】
[141] 例えば、メタ位にある電子吸引基は細胞毒性の効力を増大させ、一方でパラ位
における置換は親であるタキサンと比較してその効力を増大させるとは予想されない。典型的には、異なる位置(オルト、メタおよびパラ)に置換基を有する少数の代表的なタキサン類が最初に調製され、インビトロでの細胞毒性に関して評価されるであろう。
【0123】
[142] そのチオール部分は、ヒドロキシル基が既に存在する位置の内の1箇所におい
て導入することができる。様々なヒドロキシル基を保護する一方で望まれる1個を反応させる化学は、以前に記述されている(例えば上記で引用した参考文献を参照)。その置換基は、単に遊離のヒドロキシル基をジスルフィドを含むエーテル、ジスルフィドを含むエステル、またはジスルフィドを含むカルバメートに変換することにより導入される。この変換は下記のようにして達成される。望まれるヒドロキシル基を、上記のOjima et al. (1999)において記述されたように、テトラヒドロフラン中での-40℃における商業的に
入手できる試薬であるヘキサメチルジシラザンリチウム(1.2当量)を用いる処理により脱プロトン化する。次いで、得られたアルコキシド陰イオンを過剰量のジハロ化合物、例えばジブロモエタンと反応させてハロエーテルを得る。そのハロゲンのチオールによる置換(チオ酢酸カリウムとの反応および穏やかな塩基またはヒドロキシルアミンを用いる処理による)は、望まれるチオールを含むタキサンを与えるであろう。
【0124】
[143] あるいは、望まれるヒドロキシル基をアシルハライド、例えば3-ブロモプロ
ピオニルクロリドとの反応により直接エステル化してブロモエステルを得ることができる。チオ酢酸カリウムを用いた処理および上記のようなさらなる処理によるそのブロモ基の置換は、チオールを含むタキサンエステルを与えるであろう。好ましいタキソイド類は、米国特許第6,340,701号;第6,372,738号;第6,436,931号;第6,596,757号;第6,706,708号;第7,008,942号;第7,217,819号および第7,276,499号において記述されているタキソイド類である。
【0125】
CC-1065類似体
[144] 本発明に従う細胞毒性薬剤はCC-1065類似体であってもよい。
[145] 本発明によると、CC-1065類似体はAサブユニットおよびBまたはB-
Cサブユニットを含む。Aサブユニットは、その天然の閉環したシクロプロピル型である、もしくはその開環したクロロメチル型であるCPI(シクロプロパピロロインドール単位)であり、または閉環したシクロプロピル型もしくは開環したクロロメチル型の、密接に関連したCBI単位(シクロプロピルベンゾインドール単位)である。CC-1065類似体のBおよびCサブユニットは非常に類似しており、それらは2-カルボキシ-インドールおよび2-カルボキシ-ベンゾフラン誘導体である。活性のために、CC-1065の類似体は少なくとも1個のその2-カルボキシ-インドールサブユニットまたは2-
カルボキシ-ベンゾフランサブユニットを必要とするが、2個のサブユニット(すなわちB-C)はその類似体をより強力なものにする。天然のCC-1065から、および公表された類似体(例えば、Warpehoski et al, J. Med. Chem. 31:590-603(1988), D. Boger
et al., J. Org. Chem; 66; 6654-6661, 2001;米国特許第5,739,350号;第6
,060,608号;第6,310,209号)から明らかであるように、BおよびCサブユニットは、インドールまたはベンゾフラン環上の異なる位置に異なる置換基を有することもできる。
【0126】
[146] チオール部分を含むCC-1065類似体は、Aサブユニットのピロール部分
の第2級アミノ基からのアミド結合を通して式F-1のBサブユニットまたは式F-3もしくはF-7のB-CサブユニットのどちらかのC-2カルボキシ基に共有結合により連結された次の式A-1{CPI(シクロプロピル型)}、A-2{CPI(クロロメチル型)}、A-3{CBI(シクロプロピル型)}、およびA-4{CBI(クロロメチル型)}のAサブユニットの内のいずれかであることができる。
【0127】
Aサブユニット
【0128】
【0129】
【0130】
Bならびに共有結合したBおよびCサブユニット
【0131】
【0132】
【0133】
ここで、それぞれのW1およびW2は同じまたは異なっていてよく、OまたはNHであってよく;ならびに
ここで、式F-1においてR4はチオール部分であり、式F-3においてRまたはR4の一方はチオール部分であり、式F-7においてR’またはR4の一方はチオールを含む部分であり;RまたはR’がチオール部分である場合、同じまたは異なっていてよいR1~R6は水素、C1~C3直鎖アルキル、メトキシ、ヒドロキシル、第一級アミノ、第二級アミノ、第三級アミノ、またはアミドであり;R4がチオール部分である場合、同じまたは異なっていてよいR、R1、R2、R3、R4、R5およびR6は水素、C1~C3直鎖アルキル、メトキシ、ヒドロキシル、第一級アミノ、第二級アミノ、第三級アミノ、またはアミドであり、R’はNH2、アルキル、O-アルキル、第一級アミノ、第二級アミノ、第三級アミノ、またはアミドである。加えて、A-2およびA-4サブユニット中の塩素原子は別の適切なハロゲンで置き換えることができる。
【0134】
[147] 好ましい態様において、RおよびR’はチオール部分であり、R1およびR2
はそれぞれ水素である。別の好ましい態様において、RおよびR’はチオール部分であり、R1~R6はそれぞれ水素である。
【0135】
[148] 特に好ましい態様において、RまたはR4は-NHCO(CH2)lSH、-
NHCOC6H4(CH2)lSH、または-O(CH2)lSHであり、R’は-(CH2)lSH、-NH(CH2)lSHまたは-O(CH2)lSHであり、ここでlは1~10の整数である。
【0136】
[149] 第一級アミンの例には、メチルアミン、エチルアミンおよびイソプロピルアミ
ンが含まれる。
[150] 第二級アミンの例には、ジメチルアミン、ジエチルアミンおよびエチルプロピ
ルアミンが含まれる。
【0137】
[151] 第三級アミンの例には、トリメチルアミン、トリエチルアミン、およびエチル
-イソプロピル-メチルアミンが含まれる。
[152] アミド基の例には、N-メチルアセトアミド、N-メチル-プロピオンアミド
、N-アセトアミド、およびN-プロピオンアミドが含まれる。
【0138】
[153] R’により表されるアルキルの例には、R’が連結基(linking gr
oup)では無い場合、C1~C5直鎖または分枝アルキルが含まれる。
[154] R’により表されるO-アルキルの例には、R’が連結基では無い場合、アル
キル部分がC1~C5直鎖または分枝アルキルである化合物が含まれる。
【0139】
[155] 上記のCC-1065類似体は天然の源から単離することができ、それに続く
修飾を含むそれらの調製、合成での調製、または両方の組み合わせに関する方法は、十分
に記述されている(例えば米国特許第5,475,092号、第5,585,499号および第5,846,545号を参照)。好ましいCC-1065類似体は、米国特許第5,475,092号;第5,585,499号;第5,846,545号;6,534,660号;第6,586,618号;第6,756,397号および第7,049,316号において記述されているCC-1065類似体である。
【0140】
ダウノルビシン/ドキソルビシン類似体
[156] 本発明に従う細胞毒性薬剤は、ダウノルビシン類似体またはドキソルビシン類
似体であってもよい。
【0141】
[157] 本発明のダウノルビシンおよびドキソルビシン類似体は、チオール部分を含む
ように修飾されていることができる。
[158] 本発明において有用な修飾されたドキソルビシン/ダウノルビシン類似体は、
下記に示した式D1を有する:
【0142】
【0143】
ここで、
XはHまたはOHであり;
YはOまたはNR2であり、ここでR2は1~5個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキルであり;
Rはチオール部分、H、または1~5個の炭素原子を有する直鎖もしくは分枝アルキルであり;および
R’はチオール部分、H、または-OR1であり、ここでR1は1~5個の炭素原子を有する直鎖または分枝アルキルであり;
RおよびR’は同時にチオール部分では無いという条件がある。
【0144】
[159] 好ましい態様において、NR2はNCH3である。別の好ましい態様において
、R’は-Oである。
[160] 特に好ましい態様において、チオール部分は-(CH2)nSH、-O(CH
2)nSH、-(CH2)nCH(CH3)SH、-O(CH2)nCH(CH3)SH、-(CH2)nC(CH3)2SH、または-O(CH2)nC(CH3)2SHであり、ここでnは0~10の整数である。
【0145】
[161] R、R1およびR2により表される、1~5個の炭素原子を有する直鎖もしく
は分枝アルキルの例には、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、
イソブチル、sec.-ブチル、tert.-ブチル、およびその8種類の異性体の配列(arrangements)のいずれかであるペンチルが含まれる。
【0146】
[162] R1およびR2は好ましくはメチルである。
[163] 直鎖アルキル類の例には、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチルおよ
びヘキシルが含まれる。
【0147】
[164] 分枝アルキル類の例には、イソプロピル、イソブチル、sec.-ブチル、t
ert.-ブチル、イソペンチルおよび1-エチル-プロピルが含まれる。
[165] RまたはR’のどちらも連結基ではない場合、その位置にある置換基は、望ま
れる毒性の化合物が得られるまで変更することができる。高い毒性は、72時間の曝露時間の際に1×10-12~1×10-9Mの範囲の培養された癌細胞に対するIC50を有するものと定義される。置換基の代表的な例は、H、上記のようなアルキル、およびO-アルキルである。当業者は、RおよびR’に関する適切な化学的部分を、型にはまった実験のみを用いて決定することができる。
【0148】
[166] 例えば、メチルおよびメトキシ置換基は細胞毒性の効力を増大させると予想さ
れ、一方で水素は親であるダウノルビシンと比較してその効力を増大させるとは予想されず、様々な位置に置換基を有する類似体が最初に調製され、インビトロでの細胞毒性に関して評価されるであろう。
【0149】
[167] チオール部分を有する本発明の修飾されたドキソルビシン/ダウノルビシン類
似体は、WO 01/38318において記述されている。その修飾されたドキソルビシン/ダウノルビシン類似体は、既知の方法に従って合成することができる(例えば米国特許第5,146,064号参照)。
【0150】
[168] アウリスタチンはアウリスタチンE、アウリスタチンEB(AEB)、アウリ
スタチンEFP(AEFP)、モノメチルアウリスタチンE(MMAE)を含み、それらは米国特許第5,635,483号、Int. J. Oncol. 15:367-72 (1999); Molecular Cancer Therapeutics, vol. 3, No. 8, pp. 921-932 (2004); U.S. Application Number 11/134826、米国特許公開番号20060074008、2006022925において記述されている。
【0151】
[169] 本発明に従う細胞毒性薬剤には、当分野で既知であるピロロベンゾジアゼピン
二量体類が含まれる(米国特許第7,049,311号;第7,067,511号;第6,951,853号;第7,189,710号;第6,884,799号;第6,660,856号。
【0152】
類似体および誘導体
[170] 細胞毒性薬剤の当業者は、本明細書で記述された細胞毒性薬剤のそれぞれを、
結果として得られる化合物が出発化合物の特異性および/または活性をなお維持しているような方式で修飾することができることをすぐに理解するであろう。当業者は、これらの化合物の多くを本明細書で記述された細胞毒性薬剤の代わりに用いることができることも理解するであろう。従って、本発明の細胞毒性薬剤には本明細書で記述された化合物の類似体および誘導体が含まれる。
【0153】
療法的使用
[171] この発明の細胞結合剤薬物コンジュゲート(例えば免疫コンジュゲート類)は
、他の化学療法薬との組み合わせで用いることもできる。その化学療法薬は、上記で列挙されている、または米国特許第7,303,749号において記述されている。
【0154】
[172] 本発明の細胞結合剤薬物コンジュゲート(例えば免疫コンジュゲート類)は、
患者を処置するために、および/または選択された細胞集団の増殖を調節するために、インビトロ、インビボおよび/またはエキソビボで投与することができ、それは例えば次のものを含む:肺、血液、血漿、乳房、結腸、前立腺、腎臓、膵臓、脳、骨、卵巣、精巣、およびリンパ器官の癌;自己免疫疾患、例えば全身性狼瘡、リウマチ性関節炎、および多発性硬化症;移植片拒絶、例えば腎移植片拒絶、肝移植片拒絶、肺移植片拒絶、心移植片拒絶、および骨髄移植片拒絶;移植片対宿主疾患;ウイルス感染症、例えばCMV感染、HIV感染、およびAIDS;ならびに寄生虫感染症、例えばジアルジア症、アメーバ症、住血吸虫症および同様のもの。好ましくは、本発明の免疫コンジュゲート類および化学療法剤は、患者における癌を処置するために、および/または癌細胞の増殖を調節するためにインビトロ、インビボおよび/またはエキソビボで投与され、それは例えば次のものを含む:血液、血漿、肺、乳房、結腸、前立腺、腎臓、膵臓、脳、骨、卵巣、精巣、およびリンパ器官の癌;より好ましくは、肺、結腸、前立腺、血漿、血液または結腸癌。
【0155】
[173] “選択された細胞集団の増殖を調節すること”には、選択された細胞集団(例
えば、多発性骨髄腫の細胞集団、例えばMOLP-8細胞、OPM2細胞、H929細胞、および同様のもの)の増殖を阻害すること、それが分裂してより多くの細胞を生じるのを阻害すること;例えば処置していない細胞と比較して細胞分裂の増大の速度を低減すること;選択された細胞集団を殺すこと;および/または選択された細胞集団(例えば癌細胞)が転移するのを防ぐことが含まれる。選択された細胞集団の増殖は、インビトロ、インビボ、またはエキソビボで調節することができる。
【0156】
[174] 本発明の方法において、細胞結合剤薬物コンジュゲート(例えば免疫コンジュ
ゲート類)は、インビトロ、インビボ、またはエキソビボで投与することができる。細胞結合剤薬物コンジュゲート(例えば免疫コンジュゲート類)は、適切な医薬的に許容できるキャリヤー、希釈剤、および/または賦形剤と共に用いることができ、それらは周知であり、当業者は臨床状況を根拠として(as clinical situation warrants)それらを決定することができる。適切なキャリヤー、希釈剤、および/または賦形剤の例には次のものが含まれる:(1)ダルベッコリン酸緩衝生理食塩水、pH約6.5、それは約1mg/ml~25mg/mlのヒト血清アルブミンを含むであろう、(2)0.9%生理食塩水(0.9% w/v NaCl)、および(3)5%(w/v)デキストロース。
【0157】
[175] 本明細書で記述された化合物および組成物は、適切な形で、好ましくは非経口
で、より好ましくは静脈内で投与されてよい。非経口投与に関して、その化合物または組成物は水性または非水性の無菌の溶液、懸濁液または乳濁液であることができる。プロピレングリコール、植物油および注射可能な有機エステル類、例えばオレイン酸エチルを溶媒またはビヒクルとして用いることができる。その組成物は、アジュバント、乳化剤または分散剤を含むこともできる
[176] その組成物は、滅菌水またはいずれかの他の注射可能な無菌の媒体中で溶解ま
たは分散させることができる無菌の固体組成物の形であることもできる。
【0158】
[177] 本明細書で記述される細胞結合剤薬物コンジュゲート(例えば免疫コンジュゲ
ート類)の“療法上有効量”は、選択された細胞集団の増殖を調節する、および/または患者の疾患を処置するための投薬計画を指し、それは患者の年齢、体重、性別、食事および医学的条件、その疾患の重症度、投与の経路、ならびに薬理学的な考慮すべき事柄、例えば用いられる個々の化合物の活性、有効性、薬物動態学的および毒物学的プロフィールを含む様々な要素に従って選択される。“療法上有効量”は、標準的な医学的テキスト、例えばPhysicians Desk Reference 2004を参照すること
により決定することもできる。患者は好ましくは動物、より好ましくは哺乳類、最も好ましくはヒトである。患者は男性または女性であり、乳児、小児または成人であることができる。
【0159】
[178] 細胞結合剤薬物コンジュゲート(例えば免疫コンジュゲート)の投与の適切な
プロトコルの例は、次のようなものである。そのコンジュゲートは、約5日間毎日、約5日間のそれぞれの日に静脈内、大量瞬時投与(bolus)のどちらかとして、または約5日間の継続的な注入として与えることができる。
【0160】
[179] あるいは、そのコンジュゲートは6週間以上の間週1回投与することができる
。別の代替案として、そのコンジュゲートは2または3週間ごとに1回投与することができる。大量瞬時投与量は、約50~約400mlの通常の生理食塩水中で与えられ、それに約5~約10mlのヒト血清アルブミンを添加することができる。継続的な注入は、24時間の期間ごとに約250~約500mlの通常の生理食塩水中で与えられ、それに約25~約50mlのヒト血清アルブミンを添加することができる。投薬量は1人あたり静脈内で約10pg~約1000mg/kgであろう(約100ng~約100mg/kgの範囲)。
【0161】
[180] 処置の約1~約4週間後、その患者は処置の第2クールを受けることができる
。当業者は投与の経路、賦形剤、希釈剤、投薬量、および時間に関する具体的な臨床プロトコルを臨床状況を根拠として決定することができる。
【0162】
[181] 本発明は、1種類以上の免疫コンジュゲートおよび1種類以上の化学療法薬を
含む本発明の医薬的化合物および/または組成物の成分の1種類以上が入った1個以上の入れ物を含む医薬的キットも提供する。そのキットは、例えば、他の化合物および/または組成物、その化合物および/または組成物を投与するための道具(単数又は複数)、および医薬または生物学的製品の製造、使用または販売を統制する政府機関により規定された形で書かれた説明書を含んでいることもできる。
【0163】
[182] その化合物およびコンジュゲート類(例えば免疫コンジュゲート類は、例えば
細胞の異常な増殖により特性付けられる障害(例えば癌)を処置する、またはその重症度を低下させるのに有用な医薬の製造のために用いることもできるであろう。
【0164】
[183] 癌の療法およびそれらの投薬量、投与の経路および推奨される使用法は当分野
で既知であり、Physician’s Desk Reference(PDR)のような文献において記述されている。PDRは様々な癌の処置において用いられてきた薬剤の投薬量を開示している。療法上有効であるこれらの前記の化学療法薬およびコンジュゲートの投与計画および投薬量は、処置される個々の癌、その疾患の程度および当分野の熟練した医師に馴染みの他の要素に依存すると考えられ、医師はそれを決定することができる。例えば、Physician’s Desk Referenceの2006年版は、Taxotere(p2947参照)はチューブリン脱重合の阻害剤であり;ドキソルビシン(p786参照)、Doxil(p3302参照)およびオキサリプラチン(oxaliplatin)(p2908参照)はDNAと相互作用する薬剤であり、イリノテカル(Irinotecal)(p2602参照)はトポイソメラーゼI阻害剤であり、Erbitux(p937参照)およびTarceva(p2470参照)は上皮成長因子受容体と相互作用することを開示している。PDRの内容を、特にそのまま本明細書に援用する。当業者は、PDRを見直して、下記のパラメーターの内の1種類以上を用いて、この発明の教えに従って用いることができる化学療法薬およびコンジュゲートの投与計画および投薬量を決定することができる。これらのパラメーターは次のものを含む:
1.総合的な索引
a)製造業者による
b)製品(会社の、または商標登録された薬物の名前による)
c)カテゴリー索引(例えば、“抗ヒスタミン剤”、“DNAアルキル化剤”タキサン類等)
d)属による/化学的な索引(商標ではない一般的な薬物名)
2.投薬の色のイメージ
3.FDAのラベル付け(labeling)と一致する製品情報
a)化学的な情報
b)機能/作用
c)適応および禁忌
d)試験研究、副作用、警告。
【0165】
[184] 本明細書において、および下記の実施例において引用される全ての参考文献を
特にそのまま援用する。
【実施例0166】
[185] ここで、本発明を限定的で無い実施例を参照することにより記述する。別途明
記しない限り、全てのパーセントおよび比率は体積によるものである。
実施例1:材料および方法
メチル 2-(アセチルチオ)-4-ブロモブタノエート
【0167】
【0168】
[186] 20℃における100mlの乾燥THF中の10.0g(38.4mmol)
のメチル 2,4-ジブロモブタノエートに、8.5ml(48.9mmol)のDIPEAおよび50mlの乾燥THF中の2.75ml(38.5mmol)のチオール酢酸の混合物を、1.5時間で滴加した。-20℃で一夜、次いで0℃で2時間、Arの下で攪拌した後、混合物を濃縮し、EtAc/ヘキサンで希釈し、1.0M NaH2PO4で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー(1:12~1:10 EtAc/ヘキサン)で精製して、9.5g(96%)の表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3) 4.38 (1H, t, J = 7.1Hz), 3.74 (s, 3H), 3.40 (m, 2H), 2.57
~ 2.47 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.36 ~ 2.21 (m, 1H); 13C NMR 193.24, 171.36, 53.15, 44.45, 34.67, 30.46, 29.46; MS m/z+ 276.9 (M+Na), 278.9 (M+2+Na)。
【0169】
4-ブロモ-1-メトキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸
【0170】
【0171】
[187] 80mlの酢酸中の9.2g(36.3mmol)のメチル 2-(アセチル
チオ)-4-ブロモブタノエートに、40mlの過酸化水素(水中35%)を添加した。
混合物を一夜攪拌し、次いで蒸発させ、水で希釈し、NaHCO3で中和し、1:1ヘキサン/EtAcで洗浄した。水溶液を蒸発させ、メタノール中で溶解し、濃縮し、メタノール/トルエンを用いて結晶化すると、8.6g(収率90%)の表題化合物が得られた。m.p.=288~293(分解);1H NMR (D2O) 4.12 (dd, 1H, J = 4.8, 9.3 Hz),
3.83 (s, 3H), 3.64 (m, 1H), 3.53 (m, 1H), 2.54 (m, 2H); 13C NMR 172.16, 66.73, 55.66, 33.39, 32.70; MS m/z- 260.8 (M-1)。
【0172】
4-(アセチルチオ)-1-メトキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸
【0173】
【0174】
[188] 100mlのTHF中の5.0g(19.2mmol)の4-ブロモ-1-メ
トキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸に、100mlのTHF中の3.0mlのチオ酢酸および9.0mlのDIPEAを添加した。混合物を一夜攪拌し、次いで70℃で1時間還流し、蒸発させ、NaHCO3でpH7に中和した後3×100mlの水を用いて共蒸発させた(co-evaporated)。混合物をメタノール中で再溶解し、セライトを通して濾過し、濃縮し、SiO2クロマトグラフィーにより、CH3OH/CH2Cl2/HCOOH 37.5:250:1~50:250:1)を用いて溶離して精製すると4.4g(収率90%)の表題化合物が得られた。1H NMR(D2O) 3.95 (dd, 1H, J = 4.1, 10.3 Hz), 3.83 (s, 3H), 3.74 (m, 2H), 3.22 (dd, 2H, J = 7.4, 14.9 Hz), 2.39 (s, 3H); 13C NMR 203.88, 172.91, 67.32, 56.17, 29.04, 20.61; MS m/z- 254.8 (M-H)。
【0175】
4-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)-2-スルホブタン酸
【0176】
【0177】
[189] 100mlの水中の3.0g(11.7mmol)の4-(アセチルチオ)-
1-メトキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸に、50mlの3M NaOHを添加した。Arの下で3時間攪拌した後、混合物をArの下で1M H2PO4を用いてpH7.2に中和した。混合物を、200mlのDMA中の10.0g(32.2mmol)の1,2-ビス(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファンの溶液に滴加した。Arの下で4時間攪拌した後、混合物を濃縮し、水で希釈し、濾過し、蒸発させ、C-18 4.0×20cmカラムを用いて、水/メタノール(95:5)で溶離して精製すると、3.1g(収率75%)の表題化合物が得られた。m.p.=288~291℃(分解)
1H NMR (DMF-d7) 9.29 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 8.63 (dd, 1H, J = 2.7, 8.9 Hz), 8.17
(d, 1H, J = 8.9 Hz), 3.73 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 3.22~3.17 (m, 1H), 3.15~3.10 (m, 1H), 2.41~2.33 (m, 2H); 13C NMR 170.92, 169.10, 146.04, 143.67, 133.65, 120.72, 64.22, 37.82, 29.26; MS m/z- 352.8 (M-H)。
【0178】
1-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-4-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)-1-オキソブタン-2-スルホン酸
【0179】
【0180】
[190] 15DMA中の220mg(0.62mmol)の4-((5-ニトロピリジ
ン-2-イル)ジスルファニル)-2-スルホブタン酸に、130mg(1.13mmol)のNHSおよび480mg(2.50mmol)のEDCを添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上で、CH2CH2/CH3OH/HCOOH(10000:1000:1~10000:1500:1)で溶離して精製すると、227mg(収率82%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMSO-d6) 9.25 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 8.57 (dd, 1H, J = 2.5, 8.9 Hz), 8.04 (t, 1H, J = 8.0 + 8.9 Hz), 3.86 (dd, 1H, J = 4.9, 9.7 Hz), 3.13~3.12 (m, 2H), 2.76 (s, 4H), 2.36~2.30 (m, 1H), 2.25~2.21 (m, 1H); 13C NMR 166.96, 165.01, 144.93, 142.26, 132.63,
119.61, 61.00, 35.03, 29.30, 25.39; MS m/z- 449.8 (M-H)。
【0181】
メチル 2-(アセチルチオ)-4-ブロモブタノエート
【0182】
【0183】
[191] -20℃における100mlの乾燥THF中の10.0g(38.4mmol
)のメチル 2,4-ジブロモブタノエートに、8.5ml(48.9mmol)のDIPEAおよび50mlの乾燥THF中の2.75ml(38.5mmol)のチオール酢酸の混合物を、1.5時間で滴加した。-20℃で一夜、次いで0℃で2時間、Arの下で攪拌した後、混合物を濃縮し、EtAc/ヘキサンで希釈し、1.0M NaH2PO4で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー(1:12~1:10 EtAc/ヘキサン)で精製して、9.5g(96%)の表題化合物を得た。1H NMR (CDCl3) 4.38 (1H, t, J = 7.1Hz), 3.74 (s, 3H), 3.40 (m, 2H), 2.57~2.47 (m, 1H), 2.37 (s, 3H), 2.36~2.21 (m, 1H); 13C NMR 193.24, 171.36, 53.15, 44.45, 34.67, 30.46, 29.46; MS m/z+ 276.9 (M+Na), 278.9 (M+2+Na)。
【0184】
4-ブロモ-1-メトキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸
【0185】
【0186】
[192] 80mlの酢酸中の9.2g(36.3mmol)のメチル 2-(アセチル
チオ)-4-ブロモブタノエートに、40mlの過酸化水素(水中35%)を添加した。混合物を一夜攪拌し、次いで蒸発させ、水で希釈し、NaHCO3で中和し、1:1ヘキサン/EtAcで洗浄した。水溶液を蒸発させ、メタノール中で溶解し、濃縮し、メタノール/トルエンを用いて結晶化すると、8.6g(収率90%)の表題化合物が得られた。m.p.=288~293(分解);1H NMR (D2O) 4.12 (dd, 1H, J = 4.8, 9.3 Hz),
3.83 (s, 3H), 3.64 (m, 1H), 3.53 (m, 1H), 2.54 (m, 2H); 13C NMR 172.16, 66.73, 55.66, 33.39, 32.70; MS m/z- 260.8 (M-1)。
【0187】
4-(アセチルチオ)-1-メトキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸
【0188】
【0189】
[193] 100mlのTHF中の5.0g(19.2mmol)の4-ブロモ-1-メ
トキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸に、100mlのTHF中の3.0mlのチオ酢酸および9.0mlのDIPEAを添加した。混合物を一夜攪拌し、次いで70℃で1時間還流し、蒸発させ、NaHCO3でpH7に中和した後3×100mlの水を用いて共蒸発させた。混合物をメタノール中で再溶解し、セライトを通して濾過し、濃縮し、SiO2クロマトグラフィーにより、CH3OH/CH2Cl2/HCOOH 37.5:250:1~50:250:1)を用いて溶離して精製すると4.4g(収率90%)の表題化合物が得られた。1H NMR(D2O) 3.95 (dd, 1H, J = 4.1, 10.3 Hz), 3.83 (s, 3H), 3.74 (m, 2H), 3.22 (dd, 2H, J = 7.4, 14.9 Hz), 2.39 (s, 3H); 13C NMR 203.88, 172.91, 67.32, 56.17, 29.04, 20.61; MS m/z- 254.8 (M-H)。4-((5-ニトロピリ
ジン-2-イル)ジスルファニル)-2-スルホブタン酸
【0190】
【0191】
[194] 100mlの水中の3.0g(11.7mmol)の4-(アセチルチオ)-
1-メトキシ-1-オキソブタン-2-スルホン酸に、50mlの3M NaOHを添加した。Arの下で3時間攪拌した後、混合物をArの下で1M H2PO4を用いてpH7.2に中和した。混合物を、200mlのDMA中の10.0g(32.2mmol)の1,2-ビス(5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファンの溶液に滴加した。Arの下で4時間攪拌した後、混合物を濃縮し、水で希釈し、濾過し、蒸発させ、C-18 4.0×20cmカラムを用いて、水/メタノール(95:5)で溶離して精製すると、3.1g(収率75%)の表題化合物が得られた。m.p.=288~291℃(分解)
1H NMR (DMF-d7) 9.29 (d, 1H, J = 2.2 Hz), 8.63 (dd, 1H, J = 2.7, 8.9 Hz), 8.17
(d, 1H, J = 8.9 Hz), 3.73 (t, 1H, J = 7.2 Hz), 3.22~3.17 (m, 1H), 3.15~3.10 (m, 1H), 2.41~2.33 (m, 2H); 13C NMR 170.92, 169.10, 146.04, 143.67, 133.65, 120.72, 64.22, 37.82, 29.26; MS m/z- 352.8 (M-H)。
【0192】
1-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-4-((5-ニトロピリジン-2-イル)ジスルファニル)-1-オキソブタン-2-スルホン酸
【0193】
【0194】
[195] 15DMA中の220mg(0.62mmol)の4-((5-ニトロピリジ
ン-2-イル)ジスルファニル)-2-スルホブタン酸に、130mg(1.13mmol)のNHSおよび480mg(2.50mmol)のEDCを添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上で、CH2CH2/CH3OH/HCOOH(10000:1000:1~10000:1500:1)で溶離して精製すると、227mg(収率82%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMSO-d6) 9.25 (d, 1H, J = 5.2 Hz), 8.57 (dd, 1H, J = 2.5, 8.9 Hz), 8.04 (t, 1H, J = 8.0 + 8.9 Hz), 3.86 (dd, 1H, J = 4.9, 9.7 Hz), 3.13~3.12 (m, 2H), 2.76 (s, 4H), 2.36~2.30 (m, 1H), 2.25~2.21 (m, 1H); 13C NMR 166.96, 165.01, 144.93, 142.26, 132.63,
119.61, 61.00, 35.03, 29.30, 25.39; MS m/z- 449.8 (M-H)。
【0195】
4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)-2-スルホブタン酸
【0196】
【0197】
[196] 1.5g(5.85mmol)の4-(アセチルチオ)-1-メトキシ-1-
オキソブタン-2-スルホン酸を、100mlの0.5M NaOH溶液に添加した。Arの下で3時間撹拌した後、混合物を約50mlまで濃縮し、Arの下で1M H2PO4を用いてpH7.2に中和した。混合物を、60mlのDMA中の4.0g(18.1mmol)の2,2’-ジチオジピリジンの溶液に滴加した。Arの下で4時間撹拌した後、混合物を濃縮し、水で希釈し、濾過し、蒸発させ、C-18 4.0×20cmカラムを用いて、水/メタノール(99:1~90:10)で溶離して精製すると、1.32g(収率73%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMF-d7) 8.39 (dd, 1H, J = 3.5, 4.8 Hz), 7.86 (m, 2H), 7.25 (m, 1H), 3.59 (dd, 1H, J = 5.2, 9.4 Hz), 2.90 (m, 2H), 2.28 (m, 2H); 13C NMR 172.60, 159.16, 148.93, 138.09, 121.03, 119.38, 67.49, 36.39, 28.666; MS m/z- 307.8 (M-H)。
【0198】
1-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-1-オキソ-4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)ブタン-2-スルホン酸
【0199】
【0200】
[197] 50 DMA中の680mg(2.20mmol)の4-(ピリジン-2-イ
ルジスルファニル)-2-スルホブタン酸に、300mg(2.60mmol)のNHSおよび800mg(4.16mmol)のEDCを添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上で、CH2CH2/CH3OH/HCOOH(10000:1000:1~10000:1500:1)で溶離して精製すると、720mg(収率80%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMSO-d6) 8.40 (dd, 1H, J
= 3.5, 4.7 Hz), 7.85 (m, 2H), 7.24 (m, 1H), 3.58 (dd, 1H, J = 5.1, 9.4 Hz), 2.94~2.90 (m, 2H), 2.74 (s, 4H), 2.31~2.27 (m, 2H); 13C NMR 168.16, 161.11, 147.91, 139.22, 121.63, 119.31, 66.80, 36.30, 28.36, 25.42; MS m/z- 404.9 (M-H)。
【0201】
3,6-エンドオキソ-Δ-テトラヒドロフタルヒド(3,6-endoxo-Δ-tetrahydrophthalhide)
【0202】
【0203】
[198] エチルエーテル(200ml)中のマレイミド(5.0g,51.5mmol
)に、フラン(5.5ml,75.6mmol)を添加した。混合物を1Lのオートクレーブボンベ(autoclave bomb)の中で100℃において8時間加熱した。ボンベを室温まで冷まし、中の固体をメタノールですすぎ、濃縮し、酢酸エチル/ヘキサン中で結晶化すると、8.4g(99%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMF-d7): 11.08 (s, 1H) (NH), 6.60 (m, 2H), 5.16 (m, 2H), 2.95 (m, 2H). 13C NMR 178.84, 137.69, 82.00, 49.92. MS m/z+ 188.4 (MW + Na)。
【0204】
メチル 4-N-(3,6-エンドオキソ-Δ-テトラヒドロフタリド)-2-スルホ-ブチレート
【0205】
【0206】
[199] DMA(20ml)中の3,6-エンドオキソ-Δ-テトラヒドロフタルヒド
(3,6-endoxo-Δ-tetrahydrophthalhide)(0.80g,4.85mmol)に、K2CO3(1.4g,10.13mmol)およびKI(0.19g,1.14mmol)を添加した。Arの下で1時間攪拌した後、DMA(10ml)中のメチル 4-ブロモ-2-スルホ-ブチレート(0.98g,3.77mmol)を添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、蒸発させ、メタノール中1%HAc
中で再溶解し、濾過し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィーにより、1:5:0.01~1:4:0.01 CH3OH/CH2Cl2/HAcで溶離して精製すると、0.98(75%)gの表題化合物が得られた。1H NMR (DMF-d7): 6.59 (m, 2H), 5.16 (dd,
2H, J = 0.8, 7.8 Hz), 3.65-3.63 (m, 3H), 3.47 (m, 2H), 3.01 (s, 3H), 2.83 (m, 2H). 13C NMR 172.94, 162.86, 137.68, 81.98, 52.39, 49.91, 48.58, 36.01, 21.97. MS
m/z- 343.9 (MW - H)。
【0207】
メチル 4-N-マレイミド-2-スルホ-ブチレート
【0208】
【0209】
[200] ふたの無い丸底フラスコ中で、20mlの1:1DMA/100mM NaH
2PO4、pH7.0中のメチル 4-N-(3,6-エンドオキソ-Δ-テトラヒドロフタリド)-2-スルホ-ブチレート(0.30g,0.87mmol)を120~140℃で4時間加熱した。反応時間の間、5×10mlの水を徐々に添加して反応体積をおよそ15mlに保った。混合物を濃縮して乾燥させ、SiO2クロマトグラフィーにより、1:5:0.01~1:4:0.01 CH3OH/CH2Cl2/HAcで溶離して精製すると、0.230g(95%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMF-d7): 6.60 (s, 2H), 4.06 (d, 1H), 3.60 (m, 3H), 3.47 (m, 2H), 2.43 (m, 2H); 13C NMR 171.59,
164.96, 136.10, 66.20, 51.71, 34.82, 22.10. MS m/z- 276.6 (MW - H)。
【0210】
メチル 4-アジド-2-スルホ-ブチレート
【0211】
【0212】
[201] DMF(50ml)中のメチル 4-ブロモ-2-スルホ-ブチレート(1.
07g,4.11mmol)およびアジ化ナトリウム(0.70g(10.7mmol)を、一夜攪拌した。混合物を蒸発させ、SiO2クロマトグラフィーにより、1:5:0.01 CH3OH/CH2Cl2/HAcで溶離して精製し、CH3OH/トルエン/ヘキサンを用いて結晶化すると、1.00g(95%)の表題化合物が得られた。m.p=267~272℃(分解)。1H NMR (DMF-d7): 12.06 (br, 1H), 3.65 (s, 3H), 3.59 (dd, 1H, J = 5.4, 8.9 Hz), 3.47 (m, 2H), 2.24 (m, 2H). 13C NMR 171.10, 64.29, 52.24, 50.64, 21.35. ESI MS m/z+ 267.9 (M + 2Na-H), m/z- 222.0 (M-H). HRMS m/z- (C5H9N3O5S -H) 計算値222.0185、実測値222.0179。
【0213】
4-アジド-2-スルホ-酪酸
【0214】
【0215】
[202] HCl(50ml,1.0M)およびHAC(5ml)の混合物中のメチル
4-アジド-2-スルホ-ブチレート(1.00g,4.08mmol)を、100℃で8時間加熱した。混合物を蒸発させ、3×50mlの水で共蒸発させ、水/アセトンを用いて結晶化すると、1.0g(99%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMF-d7): 3.60 (m, 2H), 3.52 (m, 1H), 2.24 (m, 2H). 13C NMR 170.96, 63.04, 50.66, 29.12. ESI MS m/z- 207.7 (MW -H); HRMS m/z- (C4H7N3O5S -H) 計算値208.0028、実測値208.0021。
【0216】
4-アミノ-2-スルホ-酪酸
【0217】
【0218】
[203] 4-アジド-2-スルホ-酪酸(500mg,2.40mmol)、水(20
ml)およびPd/C(110mg,10%Pd,50%水に基づく)を、250ml水素化振とうボトルの中に入れた。ボトル中の空気をバキュームにより吸い出した後、20psiの水素をボトルの中に入れた。混合物を8時間振とうし、次いでセライトを通して濾過し、DMFで洗浄し、蒸発させ、乾燥DMFを用いて共蒸発させると、476mg(91% HCl塩)の表題生成物が得られた。ESI MS m/z- 181.8 (MW -H)。この生成物
を、それ以上精製せずに直接用いた。
【0219】
(Z)-4-(3-カルボキシ-3-スルホプロピルアミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸
【0220】
【0221】
[204] 乾燥DMF(20ml)中の上記の4-アミノ-2-スルホ-酪酸、HCl塩
(476mg,2.16mmol)に、無水マレイン酸(232mg,2.36mmol)を添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、蒸発させ、自分で詰めた(self packed)c-18、Φ1.0×25cmカラム上で、水で溶離して精製した。生成物を含んでいた画分を集め、蒸発させ、H2O/アセトンを用いて結晶化すると、552mg(91%)の表題生成物が得られた。1H NMR (DMF-d7): 9.70 (br, 1H), 6.73 (d, 1H,
J = 12.8 Hz), 6.32 (d, 1H, J = 12.8 Hz), 3.69 (m, 1H), 3.47 (m, 2H), 2.27 (m, 2H). 13C NMR 171.47, 167.32, 165.87, 135.44, 133.07, 63.82, 39.13, 27.62. ESI MS m/z- 279.8 (MW -H); HRMS m/z- (C8H11NO8S -H) 計算値280.0127、実測値280.0121。
【0222】
4-N-マレイミド-2-スルホ-ブタン酸
【0223】
【0224】
[205] 乾燥DMA(5ml)および乾燥トルエン(20ml)の混合物中の(Z)-
4-(3-カルボキシ-3-スルホプロピルアミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸(310mg,1.10mmol)を加熱した。温度が80℃に達した後、HMDS(ヘキサメチルジシラザン)(1.40ml,6.71mmol)およびZnCl2(1.85ml、ジエチルエーテル中1.0M、1.85mmol)を添加した。混合物を115~125℃まで続けて加熱し、ディーン・スタークトラップを通してトルエンを集めた。反応混合物を120℃で6時間流した(fluxed)。この期間の間、2×20mlの乾燥トルエンを添加して混合物の体積をおよそ8~10mlに保った。次いで混合物を冷却し、1mlの1:10 HCl(濃縮)/CH3OHを添加し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上でCH3OH/CH2Cl2/HAc(1:5:0.01~1:4:0.01)で溶離して精製すると、260mg(92%)の表題生成物が得られた。1H NMR (DMF-d7): 10.83(br, 1H), 6.95 (s, 2H) , 1H, J = 12.8 Hz), 3.65 (m, 1H), 3.54 (m, 2H), 2.27 (m, 2H). 13C NMR 173.61, 172.04, 135.47, 64.18, 37.1, 27.89. ESI MS m/z- 261.8 (MW -H). HRMS m/z- (C8H9NO7S -H) 計算値262.0021、実測値262.0027。
【0225】
スクシンイミジル 4-N-マレイミド-2-スルホ-ブチレート
【0226】
【0227】
[206] DMA(10ml)中の4-N-マレイミド-2-スルホ-ブタン酸(260
mg,0.99mmol)を、NHS(220mg,1.91mmol)およびEDC(500mg,2.60mmol)に添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上でCH2CH2/CH3OH/HAc(10000:1000:1~10000:2000:1)で溶離して精製し、次いでDMA/EtAc/ヘキサンを用いて結晶化すると、285mg(収率81%)の表題化合物が得られた。1H
NMR (DMF-d7) 6.99 (s, 1H), 3.83 (m, 1H), 3.64 (m, 2H), 2.75 (s, 4H), 2.34(m, 2H); 13C NMR 171.97, 171.82, 166.64, 135.58, 62.00, 36.66, 26.62; ESI MS m/z- 358.9 (M-H); HRMS m/z- (C12H12N2O9S -H) 計算値359.0185、実測値359.0178。
【0228】
(E)-メチル 4-アジドブタ-2-エノエート
【0229】
【0230】
[207] -20℃における100mlのDMF中のNaN3(2.80g,43.01
mmol)の溶液に、メチル 4-ブロモクロトネート(5.00ml,85%,36.10mmol)を添加した。-20℃で30分間攪拌した後、混合物を0℃で4時間攪拌
し、蒸発させ、EtAc/ヘキサン(1:1)で懸濁し、濾過し、蒸発させ、SiO2カラム上でEtAc/ヘキサン(1:25~1:10)で溶離してクロマトグラフィー精製し、4.08g(80%)の表題生成物に関するHRMSを得た。1H NMR (CDCl3) 6.88 (m, 1H), 6.06 (ddd, 1H, J -= 1.7, 3.4, 15.6 Hz), 3.97 (dd, 2H, J = 1.2, 4.96 Hz), 3.73 (s, 3H); 13C NMR 166.23, 140.86, 123.49, 51.95, 51.36; ESI MS m/z+ 182.5 (M+ Na + H2O); HRMS m/z+ (C5H7N3O2+ H2O + Na) 計算値182.0542、実測値182.0548。
【0231】
メチル 3-(アセチルチオ)-4-アジドブタノエート
【0232】
【0233】
[208] 0℃における60mlのTHF中の(E)-メチル 4-アジドブタ-2-エ
ノエート(4.00g,28.37mmol)の溶液に、60mlのTHF中のチオール酢酸(3.0ml,42.09mmol)およびDIPEA(8.0ml,45.92mmol)の混合物を、20分間で添加した。0℃で1時間攪拌した後、混合物を室温で一夜攪拌し、蒸発させ、CH2Cl2中で再溶解し、NaHCO3(飽和)および1M NaH2PO4/NaCl(飽和)、pH4でそれぞれ洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させ、SiO2カラム上でEtAc/ヘキサン(1:8~1:4)で溶離してクロマトグラフィー精製し、4.98g(81%)の表題生成物に関するHRMSを得た。1H NMR (CDCl3) 3.66 (m, 1H), 3.62 (s, 3H), 3.40 (dd, 1H, J = 7.5, 12.7 Hz), 3.31 (m, 1H), 2.78 (m, 1H), 2.60 (m, 1H), 2.32 (s, 3H); 13C NMR (DMF-d7) 192.20, 172.48, 56.56, 53.60, 51.31, 34.58, 30.56; ESI MS m/z+ 240.0 (M+ Na), 255.9 (M+ K); HRMS m/z+ (C7H11N3O3S+ Na) 計算値240.0419、実測値240.0415。
【0234】
アジド-4-メトキシ-4-オキソブタン-2-スルホン酸
【0235】
【0236】
[209] 75mlの酢酸中のメチル 3-(アセチルチオ)-4-アジドブタノエート
(4.00g,18.43mmol)に、25mlのH2O2(30%)を添加した。混合物を一夜攪拌し、蒸発させ、EtOH/トルエンを用いて共蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上でCH3OH/CH2Cl2/HAc(100:800:1~100:500:1)で溶離して精製すると、3.85(93%)gの表題化合物が得られた。1H NMR (CD3OD) 3.78 (dd, 1H, J = 5.0, 12.7 Hz), 3.62 (s, 3H), 3.44 (dd, 1H, J = 7.5,
12.7 Hz), 3.33 (m, 1H), 2.84 (dd, 1H, J = 5.6, 16.5 Hz), 2.57 (dd, 1H, J = 7.5,
16.5 Hz); 13C NMR (DMF-d7) 173.37, 57.31, 52.54, 52.49, 34.51; ESI MS m/z- 221.7 (M+ H)。
【0237】
4-アジド-3-スルホブタン酸
【0238】
【0239】
[210] 150mlの1.0M HCl中のアジド-4-メトキシ-4-オキソブタン
-2-スルホン酸(3.80g,17.04mmol)に、8.0mlのHAcを添加した。混合物を120℃で一夜還流し、蒸発させ、水、EtOH、EtOH/トルエンを用いてそれぞれ共蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上でCH3OH/CH2Cl2/HAc(100:500:1~100:400:1)で溶離して精製すると、3.02(85%)gの表題化合物が得られた。1H NMR (CD3OD) 3.77 (dd, 1H, J = 5.1, 12.8 Hz), 3.45 (dd, 1H, J = 7.0, 12.8 Hz), 3.31 (m, 1H), 2.86 (dd, 1H, J = 4.7, 16.7 Hz), 2.51 (dd, 1H, J = 8.4, 16.7 Hz); 13C NMR (DMF-d7) 173.98, 67.50, 59.78, 27.82;
ESI MS m/z- 207.7 (M -H)。
【0240】
4-アミノ-3-スルホブタン酸
【0241】
【0242】
[211] 500mlの水素化ボトル中に、4-アジド-3-スルホブタン酸(3.00
g,14.35mmol)、150mlのメタノールおよび0.32gのPd/C(10%Pd,50%水(wet))を入れた。空気を吸い出した後、30psiのH2を導入し、混合物を一夜振とうし、セライトを通して濾過し、蒸発させ、乾燥EtOHを用いて共蒸発させると、約2.50g(95%)の4-アミノ-3-スルホブタン酸が得られた。1H NMR (CD3OD) 3.24 (m, 1H), 3.17 (m, 1H), 2.90 (dd, 1H, J = 2.6, 16.5 Hz), 2.33 (dd, 1H, J = 10.1, 16.5 Hz), ESI MS m/z- 181.60 (M-H)。得られた化合物は不安定であり、それ以上精製せずに直接用いた。
【0243】
(Z)-4-(3-カルボキシ-2-スルホプロピルアミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸
【0244】
【0245】
[212] 100mlのDMA中の4-アミノ-3-スルホブタン酸(約2.50g,1
3.66mmol)の溶液に、無水マレイン酸(1.48g,15.10mmol)を添加し、混合物を一夜攪拌し、蒸発させ、C-18カラム(2×30cm)上で、水中1%HAcで溶離して精製し、MeOH/アセトン/トルエンを用いて結晶化すると、3.34g(83%)の(Z)-4-(3-カルボキシ-2-スルホプロピルアミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸が得られた。1H NMR (CD3OD) 6.33 (d, 1H, J = 12.6 Hz), 6.10 (d, 1H, J = 12.6 Hz), 3.64 (dd, 1H, J = 5.8, 14.0 Hz), 3.54 (m, 1H), 3.30 (m, 1H), 2.78 (dd, 1H, J = 4.9, 16.8 Hz), 2.39 (m, 1H); 13C NMR 173.52, 168.68, 167.98,
135.59, 127.79, 57.31, 40.56, 34.52; ESI MS m/z- 279.7 (M -H)。
【0246】
4-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-3-スルホブタン酸
【0247】
【0248】
[213] 10mlの乾燥DMAおよび50mlの乾燥トルエンの混合物中の(Z)-4
-(3-カルボキシ-2-スルホプロピルアミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸(450mg,1.60mmol)を加熱した。温度が80℃に達した後、HMDS(ヘキサメチルジシラザン,1.80ml,8.63mmol,)およびZnCl2(3.2ml、ジエチルエーテル中1.0M)を添加した。混合物を115~125℃まで続けて加熱し、ディーン・スタークトラップを通してトルエンを集めた。反応混合物を120℃で6時間流した。この期間の間、2×20mlの乾燥トルエンを添加して混合物の体積をおよそ8~10mlに保った。次いで混合物を冷却し、1mlの1:10 HCl(濃縮)/CH3OHを添加し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上で1:5:0.01 CH3OH/CH2Cl2/HAcで溶離して精製すると、315mg(75%)の表題生成物が得られた。1H NMR (DMF-d7) 6.96 (s, 2H), 4.04 (dd, 1H, J = 4.3, 13.8 Hz), 3.47 (m, 1H), 3.23 (dd, 1H, J = 7.4, 14.7Hz), 2.99 (dd, 1H, J = 3.3 , 16.8 Hz), 2.35 (dd, 1H, J = 8.1, 16.9 Hz); 13C NMR 173.58, 172.18, 135.54, 54.61, 40.24, 32.43, ESI MS m/z- 261.70 (M -H)。
【0249】
1-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-4-(2,5-ジオキソピロリジン-1-イルオキシ)-4-オキソブタン-2-スルホン酸
【0250】
【0251】
[214] 4-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ-1H-ピロール-1-イル)-
3-スルホブタン酸(110mg,0.418mmol)、EDC(240mg,1.25mmol)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(58mg,0.504mmol)を、10mlのDMA中で一夜攪拌し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー上でCH3OH/CH2Cl2/HAc(100:900:1~100:600:1)で溶離して精製すると、112mg(75%)の表題生成物が得られた。1H NMR (DMF-d7) 6.93 (s, 2H), 4.06 (dd, 1H, J = 4.8, 13.1 Hz), 3.80 (dd, 1H, J = 10.7, 13.9 Hz), 3.35 (dd,
1H J = 3.3, 17.8 Hz), 3.25 (m, 1H), 3.10 (dd, 1H, J = 2.2, 16.4 Hz), 2.87 (m, 4H); 13C NMR 172.27, 170.88, 169.29, 135.55, 55.28, 40.22, 32.69, 26.66; ESI MS m/z- 261.70 (M -H)。
【0252】
エチル 3-(アセチルチオ)-3-シアノプロパノエート
【0253】
【0254】
[215] -20℃における80mlのTHF中の(Z)-エチル 3-シアノアクリレ
ート(5.01g,40.00mmol)に、20mlのTHF中のチオール酢酸(5.0ml,70.15mmol)およびDIPEA(16.0ml,92.03mmol)の溶液を30分間で添加した。反応物を-20℃で4時間、次いで室温で一夜保った。混合物を濃縮し、CH2Cl2で希釈し、飽和NaHCO3で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、蒸発させ、SiO2クロマトグラフィー(1:4 EtAC/ヘキサン)により精製すると、5.22g(65%)の表題化合物が得られた。Rf=0.25(1:4 EtAC/ヘキサン);1H NMR (CDCl3), 4.44 (m, 1H), 4.11 (dd, 2H, J = 7.1, 14.3 Hz), 3.38 (m, 1H), 3.15 (m, 1H), 2.17 (s, 3H), 1.19 (t, 3H, J = 7.2 Hz); 13C
NMR 194.12, 173.21, 119.82, 61.35, 33.52, 30.08, 14.62; MS m/z+ 225.9 (MW + Na), m/z- 201.7 (MW-H)。
【0255】
シアノ-3-エトキシ-3-オキソプロパン-1-スルホン酸
【0256】
【0257】
[216] 酢酸(40ml)中のエチル 3-(アセチルチオ)-3-シアノプロパノエ
ート(2.00g,9.95mmol)に、H2O2(12ml,30%)を添加した。混合物を一夜攪拌し、蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー上でメタノール/ジクロロメタン/酢酸(1:8:0.01~1:5:0.01)で溶離して精製すると、1.72g(84%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMSO), 4.63 (m, 1H), 4.12 (dd, 2H,
J = 7.1, 14.3 Hz), 3.27 (m, 1H), 3.05 (m, 1H), 1.28 (t, 3H, J = 7.2 Hz); 13C NMR 173.15, 113.85, 61.38, 48.32, 26.33, 14.15; MS m/z- 205.7 (MW-H)。
【0258】
1-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-4-エトキシ-4-オキソブタン-2-スルホン酸
【0259】
【0260】
[217] 水素化ボトル中に、シアノ-3-エトキシ-3-オキソプロパン-1-スルホ
ン酸(2.50g,12.06mmol)、エタノール(80ml)、新しく濾過したラネーニッケル(0.40g)およびBOC無水物(3.30g,15.12mmol)を入れた。ボトル内部の空気をバキュームにより吸い出した後、20psiの水素をボトルに導入した。ボトルを一夜振とうし、セライトを通して濾過し、蒸発させ、シリカゲルクロマトグラフィー上でメタノール/ジクロロメタン/酢酸(1:6:0.01)で溶離して精製すると、3.18g(85%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMSO), 6.82 (s, 1H), 4.26 (m, 1H), 4.11 (dd, 2H, J = 7.1, 14.3 Hz), 3.53 (dd, 1H, J = 4.2, 13.4 Hz), 3.36 (m, 1H), 2.86 (m, 1H), 2.51 (m, 1H), 1.38 (s, 9H), 1.22 (t, 3H, J = 7.2 Hz); 13C NMR 173.35, 155.72, 80.44, 62.05, 52.55, 41.61, 34.50, 28.85, 14.52; MS m/z- 309.8 (MW-H)。
【0261】
4-(tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-スルホブタン酸
【0262】
【0263】
[218] THF/H2O(1:2,60ml)の混合物中の1-(tert-ブトキシ
カルボニルアミノ)-4-エトキシ-4-オキソブタン-2-スルホン酸(402mg,1.29mmol)に、水酸化リチウム一水和物(2.0g,47.6mmol)を添加した。混合物をArの下で一夜攪拌し、濃縮し、C-18カラム(2×30cm)上で、100%水から水中10%メタノールまでで溶離して精製すると、328mg(90%)の表題化合物が得られた。1H NMR (DMSO), 6.78 (s, 1H), 4.03 (m, 1H), 3.57 (dd, 1H,
J = 4.2, 13.4 Hz), 3.41 (m, 1H), 2.89 (m, 1H), 2.61 (m, 1H), 1.39 (s, 9H); 13C NMR 174.21, 155.82, 79.85, 59.95, 42.06, 32.52, 28.88, 14.55; ESI MS 281.8 (M-H)。
【0264】
(Z)-4-(3-カルボキシ-2-スルホプロピルアミノ)-4-オキソブタ-2-エン酸
【0265】
【0266】
[219] 4-(Tert-ブトキシカルボニルアミノ)-3-スルホブタン酸(321
mg,1.13mmol)を、HCl(濃縮)/ジオキサン(1:4,15ml)の混合物中で30分間攪拌し、蒸発させ、EtOH/トルエン(1:1,4×20ml)を用いて共蒸発させ、乾燥させた。乾燥した物質に無水マレイン酸(121mg,1.23mmol)およびDMA(20ml)を添加し、混合物を一夜攪拌し、蒸発させ、C-18カラムを通し、水で溶離し、EtOH/ヘキサンを用いて結晶化すると、263mg(83%)の表題化合物が得られた。ESI MS 279.8 (M- H)。そのNMRデータは、4-アジド
-3-スルホブタン酸を用いる経路を通ったものと同じである。
【0267】
N,N,N-トリメチル-2-オキソテトラヒドロチオフェン-3-アミニウム
【0268】
【0269】
[220] 3-アミノジヒドロチオフェン-2(3H)-オン 塩酸塩(6.00g,3
9.1mmol)、炭酸水素ナトリウム(3.28g,39.1mmol)およびヨードメタン(13ml,209mmol)を、乾燥メタノール(100ml)中で一夜攪拌し、セライトを通して濾過し、蒸発させ、SiO2カラム上でMeOH/CH2Cl2/HAc(1:5:0.01)で溶離して精製し、EtOH/ヘキサンを用いて結晶化すると、5.25g(84%)の表題生成物が得られた。mp 228~231℃。1H NMR (CD
3OD) 4.27 (m, 1H), 3.25 (s, 9H), 2.56 - 2.47 (m, 2H), 2.34 (m, 1H), 2.26 (m, 1H); 13C NMR 168.97, 75.06, 53.25, 30.85, 16.46; ESI MS m/z+ 160.0 (M+)。
【0270】
1-カルボキシ-N,N,N-トリメチル-3-(ピリジン-2-イルジスルファニル)プロパン-1-アミニウム
【0271】
【0272】
[221] N,N,N-トリメチル-2-オキソテトラヒドロチオフェン-3-アミニウ
ムアセテート(2g,9.13mmol)を、75mlの1M NaOH(75ml H2O中3g NaOH)中で45分間攪拌した。4M H3PO4でpH7.4に中和し、濃縮し、200mlのMeOH中の1,2-ジ(ピリジン-2-イル)ジスルファン(11g,49.9mmol)に添加した。混合物を一夜攪拌し、EtAcで抽出した。水溶液を蒸発させ、MeOHで懸濁し、塩を濾過し、蒸発させ、C-18カラム(2cm×30cm)上で水/メタノール(100水~20%メタノール/水)で溶離して精製すると、2.6g(75%)の表題生成物が得られた。ESI MS m/z+ 309.1 (M +Na-H)。
【0273】
1.抗体のスルホリンカーによる修飾
[222] 8mg/mL抗体、15倍モル過剰のスルホリンカー(DMA中約30mMの
ストック溶液)において、huC242をスルホリンカーにより修飾する。反応は、DMAを含む(5% v/v)100mM NaPi、pH8.0の緩衝液中で、25℃において15、30、120、および200分間実施する。修飾されたhuC242を、G25カラムにより、50mM NaPi、50mM NaCl、および2mM EDTA、pH6.5を用いて精製して、過剰なスルホリンカーを除去した。
【0274】
2.修飾されたhuC242の放出可能なSpy-NO2および抗体の濃度の測定
[223] そのアッセイおよびスペクトルの測定は、100mM NaPi、pH7.5
中で室温において実施した。1モルのhuC242抗体につき放出されるSpy-NO2のモル比を、試料のA280、次いでDTT(50μLの1M DTT/試料のmL)の添加の後の試料のA394の増大を測定することにより計算した。DTTにより放出された2-メルカプトピリジンの濃度は、14,205M-1cm-1のε394nmを用いて計算される。次いで、抗体の濃度は、DTT添加の前に測定された全A280nmからSpy-NO2の280nmにおける吸光度の寄与(DTT後のA394nm×3344/14205)を引算した後に217,560M-1cm-1のε280nmを用いて計算することができる。次いで、Spy-NO2:Abのモル比を計算することができる。huC242のmg/mL(g/L)濃度は、147,000g/モルの分子量を用いて計算される。
【0275】
3.コンジュゲーション反応
[224] 修飾されたhuC242を、Spy-NO2に対して1.7倍モル過剰のDM
4(DM4ストックのSH濃度に基づく)と反応させた。反応は50mM NaPi、50mM NaCl、2mM EDTA、pH6.5およびDMA(5% v/v)中2.5mg/mL抗体で実施する。DM4の添加の後、反応物を25℃で約20時間保温した。最終的なコンジュゲートを、G25カラムにより、10mMヒスチジン、130mMグリシン、5%スクロース、pH5.5を用いて精製して、過剰なDM4薬物を除去した。
【0276】
4.huC242およびDM4濃度の計算
[225] huC242およびDM4は共にそれぞれの構成要素を別々に測定するのに用
いられる2種類の波長、すなわち280および252nmを吸収する。huC242に関する280nmにおける吸光係数は217,560、DM4に関する280nmにおける吸光係数は5180M-1である。huC242およびDM4の252nm/280nmの吸光度の比はそれぞれ0.368および5.05である。濃度は次の方程式を用いて計算された:
【0277】
【0278】
結果
【0279】
【0280】
C242-スルホ-DM4リンカータイトレーション
【0281】
【0282】
コンジュゲーションのプロトコル:
[226] 修飾は、pH8.0、緩衝液Aおよび5% DMAにおいて室温で90分間行
われ、抗体濃度は7mg/mLである。修飾された抗体を、NAPカラムにより、緩衝液A pH6.5を用いて精製した。コンジュゲーションは、5~10% DMAを含む緩衝液A、pH6.5において、室温で一夜行った(down)。薬物対リンカー比は、添加された薬物の総量に依存して1.3から1.7の範囲であった。
【0283】
実施例2:コンジュゲートの合成。
[227] SPPまたはSSNPPリンカーをエタノール中でおおよそ10mMの濃度で
溶解した。抗体を、緩衝液A(50mM KPi、50mM NaCl、2mM EDT
A、pH6.5)中に透析した。リンカー反応に関して、抗体は8mg/mlであり、7当量のリンカーを5%(v/v)エタノールの存在下で攪拌しながら添加した。反応を周囲温度で90分間進行させた。未反応のリンカーを抗体から、示したようにpH6.5の緩衝液Aまたは100mM NaClを含む150mMリン酸カリウム緩衝液、pH7.4で平衡化したSephadex G25カラムを用いるSephadex G25ゲル濾過により除去した。SPPリンカーに関して、修飾の程度は下記のような50mM DTTを用いるピリジン-2-チオンの放出および343nmにおける吸光度の測定により評価された(遊離のピリジン-2-チオンに関してε343=8080M-1cm-1)。SSNPPに関して、修飾は325nmにおける吸光度の測定により直接評価された(抗体に連結された4-ニトロピリジル-2-ジチオ基に関してε325=10,964M-1cm-1)。コンジュゲーション反応のため、チオールを含む薬物(DM1またはDC4のどちらか)をDMA(N,N-ジメチルアセトアミド)中でおおよそ10mMの濃度で溶解した。薬物(示したように、抗体あたりのリンカー分子の数と比較して0.8~1.7倍モル過剰)を、緩衝液A(pH6.5またはpH7.4)中2.5mg/mlの濃度である抗体に、攪拌しながらゆっくりと添加し、DMAの終濃度は3%(v/v)であった。その反応を、周囲温度において示した時間の間進行させた。薬物とコンジュゲートした抗体を、緩衝液B(PBS、pH6.5)で平衡化したSephadex G25カラムを用いて精製した。DMLに関して、抗体に対する薬物のコンジュゲーションの程度を、下記のようにコンジュゲートのA252およびA280を測定することにより評価した。類似のアプローチをDC4に関して用いた(下記参照)。
【0284】
SPPで修飾されたAbの放出可能なピリジン-2-チオンおよびAb濃度の測定。
[228] 抗体1モルにつき放出されるピリジン-2-チオンのモル比は、試料のA28
0、次いでDTT(50μLの1M DTT/試料のmL)の添加の後の試料のA343の増大を測定することにより計算される。DTTにより放出されたピリジン-2-チオンの濃度は、8080M-1cm-1のε343を用いて計算される。次いで、抗体の濃度は、DTT添加の前に測定された全A280nmからピリジン-2-チオンの280nmにおける吸光度の寄与(DTT後のA343nm×5100/8080)を引算した後に194,712M-1cm-1のε280を用いて計算することができる。次いで、ピリジン-2-チオン:Abのモル比を計算することができる。Abのmg/mL(g/L)濃度は、147,000g/モルの分子量を用いて計算される。
【0285】
SSNPPで修飾されたAbの、抗体と連結された5-ニトロピリジル-2-ジチオ基およびAb濃度の測定。
[229] 抗体1モルにつき連結された4-ニトロピリジル-2-ジチオ基のモル比は、
DTT処理無しの試料のA280およびA325を測定することにより計算される。抗体に結合した4-ニトロピリジル-2-ジチオ基の数は、10,964M-1cm-1のε325nmを用いて計算される。次いで、抗体の濃度は、測定された全A280nmから5-ニトロピリジル-2-ジチオ基の280nmにおける吸光度の寄与(A325nm×3344/10964)を引算した後に194,712M-1cm-1のε280nmを用いて計算することができる。次いで、4-ニトロピリジル-2-ジチオ基:Abのモル比を計算することができる。Abのmg/mL(g/L)濃度は、147,000g/モルの分子量を用いて計算される。
【0286】
Ab-DM1のAbおよびDM1構成要素の濃度の計算。
[230] AbおよびDM1は共に、それぞれの構成要素を別々に測定するのに用いられ
る2種類の波長、すなわち280および252nmを吸収する。その構成要素は、それぞれの波長におけるそれぞれの構成要素の寄与を説明する次の代数式を用いて定量される(CAbはAbのモル濃度であり、CDはDM1のモル濃度である):
1)全A280=194,712CAb+5,700CD
2)全A252=(194,712×0.37)CAb+(4.7×5,700)CD
それぞれの方程式をCAbに関して解く:
【0287】
【0288】
【0289】
等式を立て(an equality is set up)(方程式1a=方程式2a)、CDに関して解く:
【0290】
【0291】
[231] 一度CDを計算したら、その値を用いて上記の方程式1a(または2a)にお
いてCAbに関して解く。次いで、DM1:Abの比率を計算することができる。抗体のmg/mL(g/L)濃度は、147,000g/モルの分子量を用いて計算され、DM1の濃度は736.5g/モル(連結されたDM1)の分子量を用いて計算される。
【0292】
ジスルフィド交換の効率がSSNPPにより増大する。
[232] 表1において示されているように、コンジュゲーションの効率は、SSNPP
がクロスリンカーとして用いられる反応において、SPPを用いる反応と比較して増進される。そのパーセント効率は、抗体あたりのDM1に関する値を抗体あたりのリンカーに関する値により割った比を100倍することにより計算された。SSNPPを用いたN901抗体のコンジュゲーションは、結果としてpH6.5および7.4の両方において93%のクロスリンク効率をもたらした。これらの実験におけるSPPを用いたN901のコンジュゲーションの効率は、pH6.5において70%およびpH7.4において77%であった。SSNPPによる効率の増大は、目標のDM1対抗体比を、低減された数のリンカー分子を用いて修飾された抗体を用いて達成することができることを示している。事実、SSNPPを用いて導入された抗体あたり4.2個の(5-ニトロピリジル-2-ジチオ)-基を有する抗体調製物を用いた最終的なコンジュゲートにおいて、SPPを用いて導入された5.6個のピリジル-2-ジチオ基を有する抗体と比較して、類似の薬物対抗体比(4.3)が達成された(表2)。従って、同程度のコンジュゲーション結果を得るのに必要な薬物の量は、これらの条件下で、SSNPPで修飾された抗体に関して、SPPで修飾された抗体よりも25%少なかった。SSNPPによる効率の増大の、さらなる利益の可能性は、低減されたモル過剰量のDM1をコンジュゲーション反応において用いてよいことである。その反応におけるある範囲の薬物の当量(0.8~1.7倍過剰)とのコンジュゲーション後の抗体あたりのDM1の比率の比較は、1.1倍モル過剰はSSNPPクロスリンカーを用いた100%のコンジュゲーション効率を達成するのに十分であることを示している(
図7)。DM1とSSNPPまたはSPPを用いて修飾された抗体の反応の時間経過の比較は、例えば
図8において示されている。それぞれの場合において、修飾された抗体を、組み込まれたリンカー1モルあたり1.1倍モル過剰のDM1で処理した。SSNPPで修飾された抗体を用いた反応は、SPPで修飾された抗体を
用いた反応よりもかなり速い(
図8)。1.7倍のモル過剰ですら、SPPを用いて類似の効率を達成するのに十分ではない。SPPの代わりにSSNPPをクロスリンカーとして用いる場合、1)より低いモル過剰のDM1および2)抗体あたりより少ないリンカーを用いる能力は、目標のDM1対抗体比を達成するのに必要な薬物の量を50%も減らすことを可能にする。
【0293】
[233] SSNPPリンカーを用いて増大したコンジュゲーションの効率は、コンジュ
ゲートの単量体的特徴における、およびその抗体コンジュゲートと関係するコンジュゲートしていない(遊離の)薬物の量における妥協無しに成し遂げられる。単量体、二量体、三量体、またはより高い分子量の集合体(aggregates)の量を決定するために、SEC分析が用いられる。表1に示したように、どちらのリンカーを用いても、単量体が90%を超える典型的な結果が得られた。コンジュゲートしていない薬物のレベルを、コンジュゲート試料の逆相HPCL分析により測定した。それぞれの反応に関する遊離の薬物のパーセントは2%未満であった。加えて、SSNPPを用いると、SPPと比較してより短いコンジュゲーション反応時間が可能であり(米国特許第6,913,748号)、それはコンジュゲーション反応において必要な有機溶媒に長くさらされることに影響を受けやすい一部の抗体の喪失を減少させる可能性がある。より短い反応時間は、コンジュゲーションの間の競合する副反応であるDM1の二量体化による薬物の喪失も減少させるはずである。結果として得られる収率の増大および副反応の低減は、DM1の必要量の低減にさらに貢献するはずである。
【0294】
[234] SSNPPを用いる場合の増進されたコンジュゲーションの速度および効率は
、異なる薬物をその抗体にコンジュゲートさせる際にも観察され、これはこの新規のリンカー試薬の広い適用可能性を示している。N901抗体をDNAアルキル化剤、DC4、CC-1065類似体とコンジュゲートする際の、SSNPPおよびSPPを用いたコンジュゲーション効率の比較が、例えば表3において示されている。2時間までにSSNPPクロスリンク試薬を用いた反応は完了したが、一方でSPP試薬を用いた反応は2時間までに73%の完了度しか示さず、2時間を過ぎても薬物のかなりの組み込みを示した(18時間後に91%)。大きく延長された反応時間のみが100%の完了度に至る可能性がある。
【0295】
実施例3.スルホネート基を含むチオエーテル(切断可能で無い)およびジスルフィドリンカー類を有する抗体のマイタンシノイドコンジュゲートのインビトロ細胞毒性の評価:
[235] スルホネート基を含むチオエーテルおよびジスルフィドリンカー類を有する抗
体-マイタンシノイドコンジュゲートの細胞毒性作用は、典型的には癌細胞をそのコンジュゲートと共に4~5日間継続的に培養した後にWST-8細胞生存度アッセイを用いて評価された。抗原を発現する癌細胞(ウェルあたり約1000~5000細胞)を96ウェルプレートにおいてウシ胎仔血清を含む通常の増殖培地中で、様々な濃度の抗体-マイタンシノイドコンジュゲートと共に約5日間培養した。次いでWST-8試薬を添加し、約2~5時間後に、プレートの吸光度を450nmにおいて測定した。生存の割合をコンジュゲート濃度に対してプロットし、そのコンジュゲートのIC50値(50%の細胞を殺す濃度)を決定した。
【0296】
[236]
図60および61は、6.0~7.6マイタンシノイド/Abを有する、スル
ホネートを含むジスルフィド結合したリンカーを有する抗CanAg(huC242)-マイタンシノイドコンジュゲート(huC242-スルホ-SPDB-DM4)の、3.3マイタンシノイド/Abを有するコンジュゲートと比較した、CanAg陽性COLO205およびCOLO205-MDR細胞に対する細胞毒性の増進を示す。高いマイタンシノイド類のロードを有するコンジュゲートの効力は、8個までのマイタンシノイド分子
による抗体の装飾は標的のCOLO205細胞へのそのコンジュゲートの結合に影響を与えなかったことを示している。
【0297】
[237]
図64は、類似のマイタンシノイドのロードを有する抗CanAg Ab-マ
イタンシノイドコンジュゲートの、CanAg抗原陽性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性活性を示す。ジスルフィドリンカー中のスルホネート基の存在は、これらの多剤耐性細胞に対するコンジュゲートの効力を著しく増進させた。スルホネートで連結されたコンジュゲートのその増進された効力は新しい発見であり、療法的適用に関して非常に期待できる可能性がある。
【0298】
[238]
図63は、類似のマイタンシノイドのロードを有する抗EpCAM Ab-マ
イタンシノイドコンジュゲートの、EpCAM抗原陽性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性活性を示す。ジスルフィドリンカー中のスルホネート基の存在は、これらの多剤耐性細胞に対するコンジュゲートの効力を著しく増進させた。スルホネートで連結されたコンジュゲートのその増進された効力は新しい発見であり、療法的適用に関して非常に期待できる可能性がある。
【0299】
[239]
図64は、類似のマイタンシノイドのロードを有する抗EpCAM Ab-マ
イタンシノイドコンジュゲートの、EpCAM抗原陽性HCT細胞に対する細胞毒性活性を示す。ジスルフィドリンカー中のスルホネート基の存在は、これらの多剤耐性細胞に対するコンジュゲートの効力を著しく増進させた。スルホネートで連結されたコンジュゲートのその増進された効力は新しい発見であり、療法的適用に関して非常に期待できる可能性がある。
【0300】
[240]
図65は、類似のマイタンシノイドのロードを有する抗EpCAM Ab-マ
イタンシノイドコンジュゲートの、EpCAM抗原陽性COLO205-MDR細胞に対する細胞毒性活性を示す。チオエーテルリンカー中のスルホネート基の存在は、これらの多剤耐性細胞に対するコンジュゲートの効力を著しく増進させた。スルホネートで連結されたコンジュゲートのその増進された効力は新しい発見であり、療法的適用に関して非常に期待できる可能性がある。
【0301】
実施例4.抗EpCAM-マイタンシノイドコンジュゲート、B38.1-SPDB-DM4およびB38.1-スルホ-SPDB-DM4の、結腸癌、COLO205およびCOLO205-MDR、異種移植片に対するインビボでの抗腫瘍活性の比較:
[241] B38.1-SPDB-DM4およびB38.1-スルホ-SPDB-DM4
コンジュゲートの抗腫瘍作用を、ヒト結腸癌腫の異種移植片モデルであるCOLO205およびP糖タンパク質を過剰発現するように設計されたCOLO205-MDRにおいて評価した。その細胞をSCIDマウスの右肩の下の領域中に皮下注射した。その腫瘍の体積がおおよそ200mm3の大きさに達した時に、そのマウスを腫瘍の体積によりランダム化し、3個のグループに分けた。それぞれのグループをB38.1-SPDB-DM4(10mgコンジュゲートタンパク質/kg)、B38.1-スルホ-SPDB-DM4(10mgコンジュゲートタンパク質/kg)またはリン酸緩衝生理食塩水(ヒビクル対照)のいずれかの1回の静脈内大量瞬時投与で処理した。腫瘍の成長を、週に2回腫瘍の大きさを測定することにより監視した。腫瘍の大きさは、次の式により計算された:長さ×幅×高さ×1/2。
【0302】
[242] 個々のCOLO205-MDR腫瘍の体積の変化を
図66において示す。どち
らかのコンジュゲートを用いた処理は、結果として腫瘍の成長の有意な遅延をもたらした。B38.1-スルホ-SPDB-DM4はこのヒト結腸癌の異種移植片モデルにおいてB38.1-スルホ-SPDB-DM4よりも有効であった。
【0303】
[243] 個々のCOLO205腫瘍の体積の変化を
図67において示す。どちらかのコ
ンジュゲートを用いた処理は、結果として腫瘍の成長の有意な遅延をもたらした。B38.1-スルホ-SPDB-DM4で処理された6匹の動物の内の2匹は、完全な腫瘍の退縮を示した。従って、このモデルにおいてB38.1-スルホ-SPDB-DM4はB38.1-スルホ-SPDB-DM4よりも有意に有効であった。
【0304】
実施例5.プロ荷電リンカー類(CX1-1)の合成:
Z-Gly-Gly-Gly-β-Ala-OtBu
【0305】
【0306】
[244] 1.3g(4.0mmol)のZ-Gly-Gly-Gly-OH、0.58
3g(4.0mmol)のtert-ブチル-3-アミノプロピオネート、0.651g(4.25mmol)のヒドロキシベンゾトリアゾールおよび0.81g(4.23mmol)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を、50mLフラスコの中に量り取り、次いで20mLのジメチルホルムアミド中で窒素雰囲気下での電磁式攪拌により溶解した。3時間後、反応混合物を5mL部分において5.0cm×25cm C18カラムを用いた逆相HPLCにより精製した。カラムを100mL/分で、0.3%ギ酸、5%アセトニトリルを含む脱イオン水で10分間、続いて5%アセトニトリルから90%アセトニトリルまでの15分間の直線勾配を用いて流した(run)。生成物の画分(19分の保持時間)を合わせ、真空下でのロータリーエバポレーションにより溶媒を除去すると、1.35g(75%)の表題化合物が得られた。1H NMR
(d6-DMSO) 8.16 (t, J = 5.2 Hz,1H), 8.10 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 7.82 (t, J = 5.2 Hz, 1H), 7.25 - 7.4 (m, 5H), 5.04 (s, 2H), 3.74 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.67 (t, J =
6.4 Hz, 4H), 3.25 (q, J = 6.1 Hz, 2H), 2.35 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.39 (s, 9H). 13C NMR (d6-DMSO) 170.45, 169.61, 169.00, 168.63, 156.49, 136.94, 128.30, 127.76, 127.69, 79.89, 65.51, 43.56, 42.10, 41.90, 34.89, 34.78, 27.70. HRMS ( M +Na+)
計算値473.2012 実測値473.1995。
【0307】
H-Gly-Gly-Gly-β-Ala-OtBu
【0308】
【0309】
[245] 1.3g(2.89mmol)のZ-Gly-Gly-Gly-β-Ala-
OtBuを、250mLパールシェーカー(parr shaker)フラスコ中で80mLの95:5 メタノール:脱イオン水中で溶解し、それに0.12gの炭素上10%パラジウムを添加した。そのフラスコを水素雰囲気下(42PSI)で7時間振とうした。混合物をセライト濾過助剤を通して真空濾過し、濾液を真空下でのロータリーエバポレーションにより濃縮すると、0.88g(96%)の表題化合物が得られた。1H NMR (d6-DMSO) 8.12 (t, J = 1.6Hz 2H), 8.08 (t, J =1.6 Hz, 1H), 3.75 (s,2H), 3.64 (d, J = 5.9 2H), 3.28 (bs, 2H), 3.24 (q, J = 6.0 Hz, 2H), 3.13 (s, 2H), 2.35 (t, J = 6.8 Hz, 2H), 1.39 (s, 9H). 13C NMR (d6-DMSO) 173.38, 170.46, 169.18, 168.70, 79.8
9, 44.65, 41.95, 34.88, 34.78, 27.71. HRMS (M + H+) 計算値317.1825、実測値317.1801。
【0310】
Mal-Gaba-Gly-Gly-Gly-β-Ala-OtBu
【0311】
【0312】
[246] 513mg(2.8mmol)の4-(2,5-ジオキソ-2,5-ジヒドロ
-1H-ピロール-1-イル)ブタン酸、800mg(0.2.8mmol)のtert-ブチル 3-(2-(2-(2-アミノアセトアミド)アセトアミド)アセトアミド)プロパノエートおよび583mg(3.0mmol)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を、12mLのジメチルホルムアミド中で溶解し、3時間攪拌した。反応混合物を、4つの同量の部分において、5.0cm×25cm
C18カラムを用いた逆相HPLCにより精製した。カラムを100mL/分で、0.3%ギ酸および5%アセトニトリルを含む脱イオン水で10分間、続いて5%アセトニトリルから33%アセトニトリルまでの13分間の直線勾配により溶離した。生成物の画分(21分の保持時間)を合わせ、真空下でのロータリーエバポレーションにより溶媒を除去すると、832mg(62%)の表題化合物が得られた。1H NMR (d6-DMSO) 8.10-8.16
(m, 2H), 8.07 (t, J = 4.8 Hz, 1H), 7.0 - 7.15(m, 1H), 3.747 (t, J = 6.0 Hz, 3H), 3.64 (d, J = 5.6 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 6.8, 2H), 3.1-3.33 (m, 1H), 3.19-3.26 (m, 2H), 2.348 (t, J = 6.8, 2H), 2.132 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 1.67 - 1.76 (m, 2H), 1.39 (s, 9H). 13C NMR (d6-DMSO) 171.80, 170.98, 170.39, 169.48, 168.96, 168.56, 134.37, 79.83, 42.05, 41.83, 37.38, 34.82, 34.71, 32.26, 27.83, 23.95. HRMS (M +
Na+) 計算値504.2070 実測値504.2046。
【0313】
Mal-Gaba-Gly-Gly-Gly-β-Ala-OH
【0314】
【0315】
[247] 820mg(1.7mmol)のMal-Gaba-Gly-Gly-Gly
-β-Ala-OtBuを、9.0mlの95:5 トリフルオロ酢酸:脱イオン水中で溶解し(disolved)、3時間電磁式攪拌した。真空下でのロータリーエバポレーションにより溶媒を除去すると、730mg(100%)の表題化合物が得られた。1H NMR (d6-DMSO) 12.1 (bs, 1H), 8.05-8.20 (m, 3H), 7.82 (t, J = 6.0 Hz, 1H), 7.00 (s, 2H), 3.71 (t, J = 6.0 Hz, 4H), 3.65 (d, J = 6.0 Hz, 2H), 3.41 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 3.26 (q, J = 5.6 Hz, 2H), 2.38 (t, J = 7.2 Hz, 2H,), 2.14 (q, J = 8.0 Hz, 2H), 1.67-1.77 (m, 2H). 13C NMR (d6-DMSO) 172.70, 171.83, 171.01, 169.50, 168.99,
168.51, 134.38, 42.07, 41.84, 36.75, 34.70, 33.69, 32.28, 23.97 HRMS (M + Na+) 計算値448.1444 実測値448.1465。
【0316】
Mal-Gaba-Gly-Gly-Gly-β-Ala-ONHS(CX1-1)
【0317】
【0318】
[248] 76mg(0.18mmol)のMal-Gaba-Gly-Gly-Gly
-β-Ala-OH、72mg(0.376mmol)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩および66mg(0.575mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドを、1.0mLのジメチルホルムアミド中で、電磁式攪拌により溶解した(disolved)。2時間後、反応混合物を2つの同量の部分において1.9cm×10cm C8カラムを用いる逆相HPLCにより精製した。カラムを18mL/分で、0.3%ギ酸および5%1,4-ジオキサンを含む脱イオン水で3分間、続いて5%1,4-ジオキサンから30%1,4-ジオキサンまでの15分間の直線勾配により溶離した。生成物の画分(保持時間6.5分)をフラスコ中に集め、ドライアイスアセトン浴中で急速凍結させた。周囲温度における凍結乾燥により溶媒を除去すると、40mg(42%)の表題化合物が得られた。1H NMR (d6-DMSO) 8.08-8.11 (m, 3H), 7.99 (t, J = 6.4 Hz,1H), 7.00 (s, 2H), 3.6-3.75 (m, 6H), 3.0-3.2 (m, 4H), 2.84 ( s, 4H), 2.13 (t, J = 7.6 Hz), 1.83-1.93 (m, 2H), 1.69-1.72 (m, 2H). HRMS (M + Na+) 計算値545.1608 実測値545.1638。
【0319】
Z-Glu(OtBu)-Gly-Gly-NH2
【0320】
【0321】
[249] 40mlのジメチルホルムアミドを、2.52g(7.47mmol)のZ-
Glu(OtBu)-OH、1.3g(8.49mmol)のヒドロキシベンゾトリアゾール、1.3g(7.76mmol)のH-Gly-GlyNH2、および1.52g(7.93mmol)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩に添加した。2.5ml(14.3mmol)のジイソプロピルエチルアミンを添加し、反応物を一夜攪拌した。反応混合物を、3つの同量の部分において、分取5cm×25cm C18 HPLCカラムへの直接注入により精製した。カラムを100mL/分で、0.3%ギ酸および5%アセトニトリルを含む脱イオン水で10分間、続いて5%アセトニトリルから90%アセトニトリルまでの15分間の直線勾配を用いて流した(run)。生成物の画分(保持時間18~20分)を合わせ、真空下でのロータリーエバポレーションにより溶媒を除去すると、2.9g(83%)の表題化合物が得られた。1H
NMR (400 MHz, CDCl3) δ 7.79 - 7.68 (m, 1H), 7.64 (s, 1H), 7.27 (q, J = 4.9, 5H), 6.90 (s, 1H), 6.42 (s, 1H), 6.35 (d, J = 6.8, 1H), 5.08 (d, J = 12.0, 1H), 4.98 (d, J = 12.2, 1H), 4.20 (dd, J = 12.9, 7.6, 1H), 3.84-3.95 (m, 2H), 3.83 (d, J = 5.0, 2H), 2.42 - 2.19 (m, 2H), 2.07 (d, J = 6.9, 1H), 1.96 - 1.83 (m, 1H), 1.39 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 171.79, 171.65, 170.82, 168.87, 163.04, 156.08, 136.86, 128.31, 127.74, 79.64, 65.58, 53.96, 42.17, 41.81, 31.25, 27.73,
27.01。
【0322】
H-Glu(OtBu)-Gly-Gly-NH2
【0323】
【0324】
[250] 940mg(2.09mmol)のZ-Glu(OtBu)-Gly-Gly
NH2を、250mLガラスPARR水素化シェーカーフラスコ(flak)中の40mlの95:5 メタノール:脱イオン水中で溶解した。222mgの10%炭素上パラジウムをフラスコに添加し、内容物を水素(40PSI)の下で4時間振とうして水素化した。混合物をセライト濾過助剤を通して真空濾過し、ロータリーエバポレーションにより溶媒を濾液から除去すると、640mg(94%)の表題化合物が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 4.03 (s, 1H), 3.75 (d, J = 3.3, 2H), 3.63 (s, 2H), 3.30 - 3.22 (m, J = 3.6, 1H), 3.14 - 3.10 (m, 1H), 2.27 (t, J = 7.9, 2H), 1.84 (td, J = 13.6,
7.4, 1H), 1.63 (td, J = 15.0, 7.5, 1H), 1.39 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, MeOD)
δ 176.53, 174.24, 172.00, 170.32, 81.82, 55.21, 43.64, 43.16, 40.44, 32.31, 30.45, 28.41. HRMS (M + H+) 計算値317.1825 実測値317.1800。
【0325】
E001008-28 Mal-Gaba-Glu(OtBu)-Gly-Gly-NH2
【0326】
【0327】
[251] 603mg(1.9mmol)のH-Glu(OtBu)-Gly-Gly-
NH2、372mg(2.03mmol)のMal-Gaba-OHおよび430mg(2.24mmol)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を、4.5mlのジメチルホルムアミドおよび800μLのジクロロメタン中で溶解した。反応物を周囲温度で3時間攪拌した。反応混合物を、2つの同量の部分において、分取5cm×25cm C18 HPLCカラムへの直接注入により精製した。カラムを100mL/分で、0.3%ギ酸および5%アセトニトリルを含む脱イオン水で10分間、続いて5%アセトニトリルから90%アセトニトリルまでの15分間の直線勾配を用いて流した(run)。生成物の画分(保持時間17.4~19.2分)を合わせ、真空下でのロータリーエバポレーションにより溶媒を除去すると、2.9g(83%)の表題化合物が得られた。1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.16 (t, J = 5.7, 1H), 8.06 (d, J
= 7.4, 1H), 7.99 (t, J = 5.8, 1H), 7.19 (s, 1H), 7.06 (s, 2H), 4.18 (dd, J = 13.4, 7.9, 1H), 3.70 (d, J = 5.7, 2H), 3.62 (d, J = 5.8, 2H), 3.42 - 3.37 (m, 2H),
2.23 (t, J = 8.0, 2H), 2.12 (dd, J = 8.1, 6.4, 2H), 1.87 (dt, J = 14.2, 7.9, 1H), 1.70 (dt, J = 13.7, 6.8, 2H), 1.38 (s, 9H). 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 173.12, 171.77, 171.65, 171.03, 170.79, 168.89, 134.43, 79.62, 52.02, 42.14, 41.81, 36
.80, 32.29, 31.22, 27.73, 26.95, 24.02. HRMS (M + Na+) 計算値504.2070 実測値504.2053。
【0328】
Mal-Gaba-Glu(OH)-Gly-Gly-NH2
【0329】
【0330】
[252] 105mg(0.218mmol)のMal-Gaba-Glu(OtBu)
-Gly-Gly-NH2を、5mlの95:5トリフルオロ酢酸:脱イオン水中で溶解し、2時間電磁式攪拌した。溶媒をロータリーエバポレーションにより除去し、残留物を6mLアセトニトリル+1.5mLトルエン中で回収して(taken up)懸濁液を得た。溶媒を懸濁液から真空下でのロータリーエバポレーションにより蒸発させると、92mg(100%)の表題化合物が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 6.99 (s, 2H), 4.18 (dd, J = 8.2, 5.7, 1H), 3.70 (s, 2H), 3.61 (s, 2H), 3.40 (t, J = 6.8, 2H), 2.26 (t, J = 7.8, 2H), 2.19 - 2.05 (m, 2H), 1.90 (dt, J = 13.7, 7.4, 1H), 1.73
(dt, J = 14.2, 7.5, 3H). 13C NMR (101 MHz, DMSO) δ 173.76, 171.72, 170.99, 170.70, 168.81, 134.37, 52.00, 41.97, 41.63, 36.75, 32.19, 29.95, 26.79, 23.93。
【0331】
Mal-Gaba-Glu(ONHS)-Gly-Gly-NH2
【0332】
【0333】
[253] 94mg(0.22mmol)のMal-Gaba-Glu(OH)-Gly
-Gly-NH2、75mg(0.65mmol)のN-ヒドロキシスクシンイミドおよび110mg(0.57mmol)のN-(3-ジメチルアミノプロピル)-N’-エチルカルボジイミド塩酸塩を、1mlのジメチルホルムアミド中で3時間電磁式攪拌した。粗製の反応混合物を、3つの同量の部分において、1.9cm×10cm C8カラムへの直接注入により精製した。カラムを18mL/分で、0.3%ギ酸および5%1,4-ジオキサンを含む脱イオン水で3分間、続いて5%1,4-ジオキサンから30%1,4-ジオキサンまでの18分間の直線勾配を用いて流した。生成物の画分(保持時間7.3分)をフラスコ中に集め、ドライアイス/アセトン浴中で急速凍結させた。凍結した物質を合わせて凍結乾燥すると、80mg(70%)の表題化合物が得られた。1H NMR (400 MHz, DMSO) δ 8.20 (t, J = 5.4, 1H), 8.13 (d, J = 7.3, 1H), 8.03 (t, J = 5.6, 1H), 7.21 (s, 1H), 7.06 (s, 1H), 7.01 (s, 2H), 4.29 (dd, J = 13.7, 6.5, 1H), 3.84 - 3.69 (m, 2H), 3.63 (d, J = 5.7, 2H), 3.57 (s, 2H), 3.41 (t, J = 6.8, 2H), 2.81
(s, 3H), 2.78 - 2.69 (m, 2H), 2.15 (dd, J = 9.1, 6.2, 1H), 2.10 - 1.95 (m, 1H),
1.88 (dt, J = 17.0, 7.5, 1H), 1.73 (dd, J = 14.0, 6.9, 2H). HRMS (M + Na+) 計算値545.1608 実測値545.1627。
【0334】
実施例6.正に荷電したリンカーの合成
【0335】
【0336】
3-(ジメチルアミノ)ジヒドロチオフェン-2(3H)-オン(217). [254]
メタノール中の3-アミノジヒドロチオフェン-2(3H)-オン塩酸塩(213)(1.0g,6.51mmol)およびホルムアルデヒド(3ml,40.3mmol)に、シアノ水素化ほう素ナトリウム(sodium cynoboronhydride)(0.409g,6.51mmol)を5つの部分で1時間で添加した。2時間攪拌した後、混合物を蒸発させ、EtAc中で再溶解し、1M NaH2PO4で洗浄し、MgSO4で乾燥させ、濾過し、濃縮し、SiO2カラムにより、MeOH/DCM(1:30)で溶離して精製すると、0.812g(86%)の表題化合物が得られた。1H
NMR (CDCl3) 3.49 (dd, 1H, J = 6.3, 12.1 Hz), 3.24 (m, 2H), 2.42 (s, 6H), 2.38 (m, 1H), 2.21 (m, 1H); 13C NMR 206.58, 73.24, 41.62, 27.47, 25.51; ESI MS m/z+146.0 (M +H), 168.0 (M +Na)。
【0337】
2-(ジメチルアミノ)-4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)ブタン酸(218).
[255] 3-(ジメチルアミノ)ジヒドロチオフェン-2(3H)-オン(217)(
0.95g,6.54mmol)を、15mLの0.5M NaOHおよび10mlのメタノール溶液中で30分間攪拌し、H3PO4でpH7.2に中和し、50mlのメタノール中の1,2-ジ(ピリジン-2-イル)ジスルファン(5.76g,26.2mmol)を添加した。混合物を一夜攪拌し、濃縮し、EtAcで洗浄し、水溶液をC-18カラム上に入れ、0.01%ギ酸中5%メタノールから0.01%ギ酸中30%メタノールまで溶離して表題生成物を得た(368mg,収率20.65%)。1H NMR (CDl3OD) 8.31 (dd, 1H, J = 0.7, 4.7 Hz), 7.77 (m, 2H), 7.15 (dd, 1H, J = 0.8, 5.8 Hz), 3.22
(m, 1H), 2.85 (m, 2H), 2.51 (s, 6H), 2.05 (m, 2H); 13C NMR 175.00, 161.28, 150.46, 139.40, 122.60, 121.49, 71.20, 42.46, 36.29, 29.88; ESI MS m/z+ 272.9 (M + H), 295.0 (M+Na)。
【0338】
2,5-ジオキソピロリジン-1-イル 2-(ジメチルアミノ)-4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)ブタノエート(219)
[256] 2-(ジメチルアミノ)-4-(ピリジン-2-イルジスルファニル)ブタン
酸(218)(92mg,0.338mmol)、1-ヒドロキシピロリジン-2,5-ジオン(65mg,0.565mmol)およびEDC(185mg,0.965mmol)を、3mlのDMA中で50℃において一夜攪拌した。混合物を蒸発させ、SiO2カラム上で1:10~1:4のメタノール/CH2Cl2で溶離して精製すると、43mg(35%)の表題生成物が得られた。1H NMR (CDl3OD) 8.40 (m, 1H), 7.83 (m, 2H),
7.22 (m, 1H), 3.34 (m, 1H), 2.82 (m, 2H), 2.75 (s, 4H), 2.66 (s, 6H), 1.98 (m, 2H); 13C NMR 177.21, 161.78, 161.12, 150.68, 139.37, 122.70, 121.66, 70.80, 44.16, 43.15, 36.06, 27.38; ESI MS m/z+ 369.2 (M + H)。
【0339】
実施例7.huMy9-6-CX1-1-DM1プロ荷電リンカーコンジュゲートの調製:
[257] 次のストック溶液を用いた:DMA中39.6mM DM1;(2)CX1-
1リンカーのDMA中17.8mM溶液;(3)2mM EDTAを含む200mMコハク酸緩衝液、pH5.0。抗体に対して8、12または16の間の当量のリンカーを含む反応混合物を、90%リン酸緩衝液pH6.5)/10%DMA中4mg/mlの抗体の溶液に添加し、25℃、pH5.0で2時間反応させ、続いてDM1と反応させた。
【0340】
[258] Abコンジュゲートを、過剰な低分子反応物から、PBS pH7.4中で平
衡化したG25カラムを用いて分離した。精製されたコンジュゲートを25℃で2日間保ち、あらゆる不安定な薬物の連結を加水分解させ、次いでそのコンジュゲートを、PBS中で一夜、次いで10mMヒスチジン/130mMグリシン緩衝液pH5.5(1×o/n)中で透析して遊離の薬物からさらに精製した。透析したコンジュゲートを0.2umフィルターを用いて濾過し、UV/Visにより分析して、マイタンシノイドおよび抗体に関する252および280nmにおける既知の吸光係数を用いてAbあたりのマイタンシノイドの数を計算した。回収率は約70%であり、それぞれのコンジュゲートに関して測定されたマイタンシノイド/抗体の数は、用いられたリンカーの過剰度に依存して3.7から6.8までの範囲であった。
【0341】
実施例8.インビボでの薬物動態:
[259] ヒト化抗体C242の、
3H標識DM4との荷電したスルホ-Malリンカー
コンジュゲート(3.5および6.4DM4/Ab)の、CD-1マウスにおける血漿薬物動態を、抗体ELISAにより、および
3Hの計数により分析した(
図72)。3.5および6.4D/Aを有するAb-スルホ-Mal-[
3H]-DM4コンジュゲートを、それぞれ12.9および7.9mg/kg(抗体の用量)で静脈内投与した。血漿試料の抗体価を(ヤギ抗huIgG抗体を用いた捕捉およびロバ抗huIgG抗体-ホースラディッシュペルオキシダーゼコンジュゲートを用いた検出に基づく)ELISAにより、および
3Hの計数(シンチレーション計数)により測定した。
図72Aは、ELISAによる、および
3Hの計数による、コンジュゲート濃度のこれら2種類の測定が、それぞれのコンジュゲートに関して類似の値を示したことを示している。3.5および6.4D/Aの抗体-スルホ-Mal-DM4コンジュゲートは両方とも4週間にわたって優れた血漿安定性を示し、半減期はそれぞれおおよそ14.9日および9.7日であり、それはコンジュゲートしていない抗体に関するおおよそ11.8日の半減期に類似している。2種類のAb-スルホ-Mal-DM4コンジュゲートのDM4/Ab比(最初は3.5および6.4D/A)も、血漿循環中での4週間にわたって、重要なことに比較的高い6.4D/Aのロードにおいてさえも安定であった(
図72B)。12mg/kgで投与された、類似した4.2D/Aのロードを有する、SMCCで連結されたhuC242 Ab-SMCC-DM1コンジュゲートに関する半減期の12.6日(AUC=25910時間μg/mL)と比較して、12.9mg/kgで投与された、3.5D/Aのロードを有する、スルホ-Malで連結されたhuC242 Ab-スルホ-Mal-DM4コンジュゲートの半減期は14.9日(AUC=38449時間μg/mL)であり、このようにSMCCコンジュゲートのそれを超えて大きく向上した(
図38B)。
【0342】
表1.N901抗体のDM1とのコンジュゲーションにおけるSSNPPおよびSPPリンカーの比較。コンジュゲーションは、示したpHにおいてリンカーあたり1.7倍モル過剰のDM1を用いて2時間実施した。
【0343】
【0344】
表2.SSNPPをリンカーとして用いて低減された、目標のDM1対抗体比に達するのに必要なリンカー対抗体比。コンジュゲーションは、pH7.4においてリンカーあたり1.1倍モル過剰のDM1を用いて2時間実施した。
【0345】
【0346】
表3.N901抗体のDC4とのコンジュゲーションにおける、SSNPPおよびSPPリンカーの比較。コンジュゲーションは、pH7.4においてリンカーあたり1.4倍モル過剰のDC4を用いて示した時間実施した。
【0347】