(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036874
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化を防止する方法
(51)【国際特許分類】
A61K 47/68 20170101AFI20230307BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20230307BHJP
A61K 31/5513 20060101ALI20230307BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20230307BHJP
C12N 15/13 20060101ALI20230307BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61K47/68
A61K47/20
A61K31/5513
A61P35/00
C12N15/13
C07K16/00
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022209534
(22)【出願日】2022-12-27
(62)【分割の表示】P 2020516662の分割
【原出願日】2018-09-21
(31)【優先権主張番号】62/562,049
(32)【優先日】2017-09-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/573,322
(32)【優先日】2017-10-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/712,584
(32)【優先日】2018-07-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】504039155
【氏名又は名称】イミュノジェン・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(72)【発明者】
【氏名】フレミング,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】ゲンガー,アミット
(72)【発明者】
【氏名】ユッダー,ニコラス・シー
(72)【発明者】
【氏名】バイ,チェン
(72)【発明者】
【氏名】ヒルダブランド,スコット・アラン
(72)【発明者】
【氏名】ハッチンズ,ベンジャミン・エム
(57)【要約】 (修正有)
【課題】メチオニン酸化の量が最小限に抑えられるイムノコンジュゲートの医薬組成物を提供する。
【解決手段】イムノコンジュゲートと、0.1mM~20mMのメチオニンと、を含む医薬組成物とする。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
イムノコンジュゲートと、0.1mM~20mMのメチオニンと、を含む医薬組成物であって、前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化1】
(CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化2】
によって表される)によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化3】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化4】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
Cys上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数である、前記医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の参照
本出願は、米国特許法第119(e)条の下、2017年9月22日出願の米国仮出願第62/562,049号、2017年10月17日出願の米国仮出願第62/573,322号、及び2018年7月31日出願の米国仮出願第62/712,584号の優先権を主張する。上記の参照出願の各々の全内容は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化を防止する方法に関する。本発明は、メチオニン酸化の量が最小限に抑えられるイムノコンジュゲートの医薬組成物にも関する。
【背景技術】
【0003】
細胞結合剤-薬物コンジュゲート(抗体-薬物コンジュゲート(ADC)など)は、様々ながんにわたって有効性を有する抗腫瘍剤の強力なクラスとなっている。細胞結合剤-薬物コンジュゲート(ADCなど)は、一般的に3つの異なる要素:細胞結合剤(例えば、抗体)、リンカー、及び細胞毒性部分から構成される。細胞毒性薬物部分は、抗体上のリジンと共有結合することができ、抗体分子上の異なる位置で結合される様々な数の薬物を保有するADCの不均一な混合物であるコンジュゲートをもたらす。あるいは、細胞毒性薬物部分は、マレイミド基などのチオール反応性基を介して抗体上のシステインチオール基と共有結合して、部位特異的ADCを形成することができる。
【0004】
ピロロベンゾジアゼピン(PBD)などの三環系ベンゾジアゼピン及びインドリノベンゾジアゼピンなどの四環系ベンゾジアゼピンを含むベンゾジアゼピン化合物は、抗体と連結してADCを生成する細胞毒性薬物として用いられ、有望な抗腫瘍活性を示している。これらのベンゾジアゼピン化合物は、イミン結合を含有し、これは、DNAの副溝に結合し、DNA機能に干渉し、細胞死をもたらすことができる。
【0005】
したがって、細胞結合剤及びイミン含有ベンゾジアゼピン薬物のコンジュゲートを調製するための新しい方法、ならびに製造プロセス及び/または保管中に安定性のあるこれらのコンジュゲートの新しい医薬組成物を開発する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、ベンゾジアゼピン細胞毒性薬物を含むイムノコンジュゲートが、特に光の存在下で、メチオニン酸化しやすい可能性があるという驚くべき知見に基づく。ネイキッド抗体との比較データは、メチオニン酸化が少なくとも一部、ベンゾジアゼピン細胞毒性薬物の存在によって誘導されることを示唆する。驚くべきことに、抗体-ベンゾジアゼピンイムノコンジュゲートの医薬組成物におけるメチオニンの存在が観察されたメチオニン酸化の量を低減し得ることが分かっている。加えて、抗体とベンゾジアゼピン細胞毒性薬物との間のコンジュゲーション反応におけるメチオニン抗酸化剤の存在は、産生されたイムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を大幅に減少させることができる。
【0007】
本発明の一態様は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートと、0.1mM~20mMのメチオニンと、を含む医薬組成物を提供する。
【0008】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物中のイムノコンジュゲートは、次式:
【化1】
(CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化2】
によって表される)によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化3】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化4】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
Cys上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数である。
【0009】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物中のイムノコンジュゲートは、次式:
【化5】
によって表され、式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化6】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化7】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
xは、独立して、(C
1-C
6)アルキルであり、
W’は、-NR
eであり、
R
eは、-(CH
2-CH
2-O)
n1-R
kであり、
n1は、2~6の整数であり、
R
kは、-Hまたは-Meであり、
Z
sは、次式:
【化8】
のうちのいずれか1つから選択されるか、
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、qは、1~5の整数である。
【0010】
ある特定の実施形態では、本発明は、1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化9】
によって表されるイムノコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物を提供し、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD123抗体である。
【0011】
ある特定に実施形態では、本発明は、1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化10】
によって表されるイムノコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩と、を含む医薬組成物を提供し、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である。
【0012】
本発明の別の態様は、イムノコンジュゲートを、0.1mM~20mMのメチオニンと混合して、イムノコンジュゲート及びメチオニンを含む医薬組成物を得ることを含む、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する方法を提供する。
【0013】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、上述の式(IA)によって表される。
【0014】
ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲートは、上述の式(IB)によって表される。
【0015】
また別の態様では、本発明は、細胞結合剤(CBA)を、抗酸化剤の存在下で、本明細書に記載される細胞毒性薬物または細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減することを含む、本明細書に記載されるイムノコンジュゲートを調製する方法を提供する。
【0016】
ある特定の実施形態では、本発明は、次式:
【化11】
によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法を提供し、CBAを、抗酸化剤の存在下で、次式:
【化12】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化13】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化14】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化15】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
C1上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数であり、
L
C’は、
【化16】
によって表される。
【0017】
ある特定の実施形態では、本発明は、次式:
【化17】
式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化18】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化19】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
xは、独立して、(C
1-C
6)アルキルであり、
W’は、-NR
eであり、
R
eは、-(CH
2-CH
2-O)
n1-R
kであり、
n1は、2~6の整数であり、
R
kは、-Hまたは-Meであり、
Z
sは、次式:
【化20】
のうちのいずれか1つから選択され、
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、qは、1~5の整数である)によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法であって、
(a)次式:
【化21】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩を、次の:
【化22】
から選択される二官能性架橋剤と反応させて、
細胞毒性薬物-リンカー化合物を形成するステップであって、式中、Xは、ハロゲン、J
D-SH、-SSR
d、または-SC(=O)R
gであり、R
dは、フェニル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、カルボキシニトロフェニル、ピリジル、またはニトロピリジルであり、R
gは、アルキルであり、qは、1~5の整数であり、Uは、-HまたはSO
3Hである、該ステップと、
(b)CBAを、抗酸化剤の存在下で、細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、イムノコンジュゲートを形成するステップと、を含む、該方法である。
【0018】
ある特定の実施形態では、本発明は、次式:
【化23】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法を提供し、CBAを、抗酸化剤の存在下で、次式:
【化24】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD123抗体である。
【0019】
ある特定の実施形態では、本発明は、次式:
【化25】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法を提供し、
(a)次式:
【化26】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩を、次式:
【化27】
によって表される二官能性架橋剤N-スクシンイミジル-4-(2-ピリジルジチオ)-2-スルホブタノエート(スルホ-SPDB)と反応させて、次式:
【化28】
によって表される細胞毒性薬物-リンカー化合物またはその薬学的に許容される塩を形成するステップと、
(b)CBAを、抗酸化剤の存在下で、細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、イムノコンジュゲートを形成するステップと、を含み、式中、
Yは、-SO
3Hであり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である。
【0020】
本発明の一態様にのみ記載されるもの(他で記載されていない、または他で繰り返されていないが)及び実施例にのみ記載されるものを含む、本明細書に記載される任意の1つの実施形態は、明示的に否定されているか、または不適切でない限り、本発明の任意の1つ以上の他の実施形態と組み合わせることができることが企図される。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】72時間にわたる、メチオニンを含むまたは含まないIMGN632試料におけるメチオニン酸化のパーセンテージを示す。
【
図2】72時間にわたる、メチオニンを含むまたは含まないIMGN632試料中の単量体のパーセンテージを示す。
【
図3】72時間にわたる、メチオニンを含むまたは含まないIMGN632試料中の高分子量種のパーセンテージを示す。
【
図4】72時間にわたる、メチオニンを含むまたは含まないIMGN632試料中の遊離薬物の量を示す。
【
図5】
図5A及び5Bは、UPLC質量分析(A)及びUV検出(B)により検出された酸化及び未変性トリプシンペプチドのクロマトグラムを示す。Met酸化%(位置252(EU番付)で測定された)は、[100×酸化領域/(酸化領域+未変性領域)]として計算される。
【
図6】7日間にわたる、メチオニンを含むまたは含まないIMGN632及びIMGN779試料におけるメチオニン酸化のパーセンテージを示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
1.定義
本発明の理解を容易にするために、いくつかの用語及び語句を以下に定義する。
【0023】
本明細書で互換的に使用される「(ヒト)IL-3Rα」、「インターロイキン-3受容体アルファ」、または「CD123」という用語は、特に明記しない限り、任意の天然(ヒト)IL-3RαまたはCD123を指す。CD123タンパク質は、ヘテロ二量体サイトカイン受容体(IL-3受容体またはIL-3R)のインターロイキン3特異的サブユニットである。IL-3Rは、リガンド特異的アルファサブユニット、ならびにインターロイキン3(IL3)、コロニー刺激因子2(CSF2/GM-CSF)、及びインターロイキン5(IL5)の受容体によって共有されるシグナル伝達共通ベータサブユニ
ット(CD131としても知られる)から構成される。CD123/IL-3RαのIL3への結合は、ベータサブユニットに依存する。ベータサブユニットは、リガンド結合によって活性化され、IL3の生物活性に必要である。
【0024】
上記のCD123のこれらの用語のすべては、本明細書に示されるタンパク質または核酸配列のいずれかを指すことができる。「CD123/IL-3Rα」という用語は、「完全長」の非プロセス型CD123/IL-3Rαならびに細胞内でプロセシングによって生じるCD123/IL-3Rαの任意の形態を包含する。本用語は、CD123/IL-3Rαタンパク質または核酸の天然に存在する変異型、例えば、スプライス変異型、対立遺伝子変異型、及びアイソフォームも包含する。本明細書に記載されるCD123/IL-3Rαポリペプチド及びポリヌクレオチドは、ヒト組織型または別の源からなどの様々な源から単離されるか、または組換え法もしくは合成法によって調製され得る。CD123/IL-3Rα配列の例としては、限定されないが、NCBI参照番号NP_002174&NM_002183(ヒトCD123変異型1のタンパク質及び核酸配列)及びNP_001254642 & NM_001267713(ヒトCD123変異型2のタンパク質及び核酸配列)が挙げられる。
【0025】
「抗体」という用語は、免疫グロブリン分子の可変領域内の少なくとも1つの抗原認識部位を介して、タンパク質、ポリペプチド、ペプチド、炭水化物、ポリヌクレオチド、脂質、または前述の組み合わせなどの標的を認識し、特異的に結合する免疫グロブリン分子を意味する。本明細書で使用される「抗体」という用語は、抗体が所望の生物活性を示す限り、無傷のポリクローナル抗体、無傷のモノクローナル抗体、抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片など)、単鎖Fv(scFv)変異体、多重特異性抗体、例えば、二重特異性抗体、キメラ抗体、ヒト化抗体、ヒト抗体、抗体の抗原決定部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。抗体は、免疫グロブリンの5つの主要クラス:IgA、IgD、IgE、IgG、及びIgM、またはそのサブクラス(アイソタイプ)(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)のうちのいずれかのものであり得、それぞれアルファ、デルタ、イプシロン、ガンマ、及びミューと称されるそれらの重鎖定常ドメインの同一性に基づく。免疫グロブリンの異なるクラスは、異なる及び周知のサブユニット構造ならびに三次元配置を有する。抗体は、ネイキッドであり得るか、または毒素、放射性同位体などの他の分子にコンジュゲートされ得る。
【0026】
いくつかの実施形態では、抗体は、天然に存在しない抗体である。いくつかの実施形態では、抗体は、天然の成分から精製される。いくつかの実施形態では、抗体は、組換え産生される。いくつかの実施形態では、抗体は、ハイブリドーマによって産生される。
【0027】
「遮断」抗体または「アンタゴニスト」抗体は、CD123/IL-3Rαなどの、それが結合する抗原の生物活性を阻害または低減するものである。ある特定の実施形態では、遮断抗体またはアンタゴニスト抗体は、実質的に、または完全に、抗原の生物活性を阻害する。望ましくは、生物活性は、10%、20%、30%、50%、70%、80%、90%、95%、またはさらには100%低減される。
【0028】
「抗CD123抗体」、「抗IL-3Rα抗体」、または「CD123/IL-3Rαに(特異的に)結合する抗体」という用語は、抗体がCD123/IL-3Rαを標的とする診断剤及び/または治療剤として有用であるように、十分な親和性でCD123/IL-3Rαに結合可能な抗体を指す。特に明記しない限り、無関係な非CD123/IL-3Rαタンパク質への抗CD123/IL-3Rα抗体の結合の程度は、例えば、放射イムノアッセイ(RIA)によって測定される抗体のCD123/IL-3Rαへの結合の約10%未満である。ある特定の実施形態では、CD123/IL-3Rαに結合する
抗体は、≦0.5nΜ、≦0.3nM、≦0.1nM、≦0.05nM、または≦0.01nMの解離定数(Kd)を有する。一実施形態では、抗CD123/IL-3Rα抗体は、共通ベータ鎖CD131に結合しない。一実施形態では、抗CD123/IL-3Rα抗体は、7G3(マウスIgG2a)、6H6(マウスIgG1)、及び9F5(マウスIgG1)などの既知及び市販のCD123抗体により結合されるCD123の同じエピトープに結合しない(Sun et al.,Blood 87(1):83-92,1996)。
【0029】
本発明の抗CD123/IL-3Rα抗体及びその抗原結合断片の配列が本明細書に提供される。本発明の様々な抗体及びイムノコンジュゲートの命名法が以下に別個に提供される。
【0030】
「抗体断片」という用語は、無傷の抗体の一部分を指し、無傷の抗体の抗原決定可変領域を指す。抗体断片の例には、限定されないが、Fab、Fab’、F(ab’)2、及びFv断片、直鎖状抗体、単鎖抗体、ならびに抗体断片から形成された多重特異性抗体が含まれる。抗体の「抗原結合断片」という用語は、抗原に特異的に結合する能力を保持する抗体の1つ以上の断片を含む。抗体の抗原結合機能は完全長抗体のある特定の断片によって行われ得ることが示されている。抗体の「抗原結合断片」という用語内に包含される結合断片の例としては、(限定されない)、(i)Fab断片、VL、VH、CL、及びCH1ドメインからなる一価の断片(例えば、パパインによって消化された抗体は、3つの断片:2つの抗原結合Fab断片と、抗原に結合しない1つのFc断片をもたらす)、(ii)F(ab’)2断片、ヒンジ領域でジスルフィド架橋によって連結された2つのFab断片を含む二価の断片(例えば、ペプシンによって消化された抗体は、2つの断片:二価の抗原結合F(ab’)2断片、及び抗原に結合しないpFc’断片をもたらす)、及びその関連F(ab’)の一価単位、(iii)VH及びCH1ドメインからなるFd断片(すなわち、Fabに含まれる重鎖のその部分)、(iv)抗体の単一アームのVL及びVHドメインからなるFv断片、ならびに関連するジスルフィド連結Fv 、(v)VHドメインからなるdAb(ドメイン抗体)またはsdAb(単一ドメイン抗体)断片(Ward et al.,Nature 341:544-546,1989)、ならびに(vi)単離された相補性決定領域(CDR)が挙げられる。
【0031】
「モノクローナル」抗体は、単一の抗原決定基またはエピトープの高度に特異的な認識及び結合に関与する均一な抗体集団を指す。これは、典型的に、異なる抗原決定基に向けられる異なる抗体を含む、ポリクローナル抗体とは対照的である。「モノクローナル」抗体という用語は、無傷及び完全長両方のモノクローナル抗体、ならびに抗体断片(Fab、Fab’、F(ab’)2、Fvなど)、単鎖(scFv)変異体、抗体部分を含む融合タンパク質、及び抗原認識部位を含む任意の他の修飾免疫グロブリン分子を包含する。さらに、「モノクローナル」抗体は、限定されないが、ハイブリドーマ、ファージ選択、組換え発現、及びトランスジェニック動物を含む任意の数の様式で作製された、そのような抗体を指す。
【0032】
「ヒト化抗体」という用語は、最小の非ヒト(例えば、マウス)配列を含有する具体的な免疫グロブリン鎖、キメラ免疫グロブリン、またはその断片である非ヒト(例えば、マウス)抗体の形態を指す。典型的には、ヒト化抗体は、相補性決定領域(CDR)からの残基が、所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種(例えば、マウス、ラット、ウサギ、ハムスター)のCDRからの残基で置き換えられるヒト免疫グロブリンである(Jones et al.,Nature 321:522-525,1986、Riechmann et al.,Nature 332:323-327,1988、Verhoeyen et al.,Science 239:1534-1536,1988)。
【0033】
いくつかの事例では、ヒト免疫グロブリンのFvフレームワーク領域(FR)残基は、所望の特異性、親和性、及び能力を有する非ヒト種からの抗体の対応する残基で置き換えられる。ヒト化抗体は、抗体の特異性、親和性、及び/または能力を洗練及び最適化するために、Fvフレームワーク領域において及び/または置き換えられた非ヒト残基内のいずれかの追加の残基の置換によりさらに修飾され得る。一般に、ヒト化抗体は、FR領域のすべてまたは実質的にすべてが、ヒト免疫グロブリンコンセンサス配列のものであるのに対し、非ヒト免疫グロブリンに対応するCDR領域のすべてまたは実質的にすべてを含有する少なくとも1つ、典型的には2つまたは3つの実質的にすべての可変ドメインを含む。ヒト化抗体は、免疫グロブリン定常領域またはドメイン(Fc)の少なくとも一部分、典型的にはヒト免疫グロブリンのものを含むこともできる。ヒト化抗体を生成するために使用される方法の例は、米国特許第5,225,539号及び同第5,639,641号、Roguska et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 91(3):969-973,1994、ならびにRoguska et al.,Protein Eng.9(10):895-904,1996(すべて参照により本明細書に組み込まれる)に記載されている。いくつかの実施形態では、「ヒト化抗体」は、再表面化抗体である。いくつかの実施形態では、「ヒト化抗体」は、CDRグラフト抗体である。
【0034】
抗体の「可変領域」は、抗体軽鎖の可変領域または抗体重鎖の可変領域の、単独または組み合わせのいずれかを指す。重鎖及び軽鎖の可変領域は各々、超可変領域としても知られる3つの相補性決定領域(CDR)によって接続された4つのフレームワーク領域(FR)からなる。各鎖におけるCDRは、FRにより近接して一緒に保持され、他の鎖のCDRと共に、抗体の抗原結合部位の形成に寄与する。CDRを決定するための少なくとも2つの技法が存在する:(1)異種間配列可変性に基づくアプローチ(すなわち、Kabat et al.Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th ed.,1991,National Institutes of Health,Bethesda Md.)、及び(2)抗原-抗体複合体の結晶学的研究に基づくアプローチ(Al-lazikani et al.,J.Molec.Biol.273:927-948,1997)。加えて、これらの2つのアプローチの組み合わせは、CDRを決定するために当該技術分野で時おり使用される。
【0035】
可変ドメインにおける残基を参照する場合(軽鎖のおよそ残基1~107及び重鎖の残基1~113)、Kabat番付システムが一般的に使用される(例えば、Kabat et al.,Sequences of Immunological Interest,5th Ed.,Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991))。
【0036】
Kabatのようなアミノ酸位置の番付は、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.,Public Health Service,National
Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)(参照により本明細書に組み込まれる)における抗体の編集の重鎖可変ドメインまたは軽鎖可変ドメインに使用される番付システムを指す。この番付システムを使用すると、実際の直鎖状アミノ酸配列は、可変ドメインのFRまたはCDRの短縮または挿入に対応する、より少ないまたは追加のアミノ酸を含有することができる。例えば、重鎖可変ドメインは、H2の残基52の後に単一のアミノ酸挿入物(Kabatによる残基52a)、及び重鎖FR残基82の後に挿入される残基(例えば、Kabatによる残基82a、82b
、及び82cなど)を含むことができる。残基のKabat番付は、「標準的な」Kabat番付された配列を伴う抗体の配列の相同性領域のアラインメントにより、所与の抗体について決定され得る。Chothiaは、代わりに、構造ループの位置を指す(Chothia and Lesk,J.Mol.Biol.196:901-917,1987)。Kabat番付規定を使用して番付された場合のChothia CDR-H1ループの終わりは、ループの長さに応じてH32~H34の間で異なる。これは、Kabat番付案が挿入をH35A及びH35Bに配置するためであり、35Aも35Bも存在しない場合、ループは32で終了し、35Aのみが存在する場合、ループは33で終了し、35A及び35Bの両方が存在する場合、ループは34で終了する。AbM超可変領域は、Kabat CDRとChothia構造ループとの間の妥協点を表し、Oxford
MolecularのAbM抗体モデリングソフトウェアで使用される。
【表1】
【0037】
「ヒト」抗体という用語は、ヒトにより産生された抗体、または当該技術分野で知られている任意の技法を使用して作製された、ヒトにより産生された抗体に対応するアミノ酸配列を有する抗体を意味する。ある特定の実施形態では、ヒト抗体は非ヒト配列を有しない。このヒト抗体の定義は、無傷もしくは完全長抗体またはその抗原結合断片を含む。
【0038】
「キメラ抗体」という用語は、免疫グロブリン分子のアミノ酸配列が2つ以上の種に由来する抗体を指す。典型的には、軽鎖及び重鎖の両方の可変領域は、所望の特異性、親和性、及び能力を有する哺乳動物(例えば、マウス、ラット、ウサギなど)の1種に由来する抗体の可変領域に対応し、一方、定常領域は、その種における免疫応答を誘発する可能性を避ける、または低減するために、別(通常はヒト)に由来する抗体の配列と相同である。ある特定の実施形態では、キメラ抗体は、例えば、マウス軽鎖及びヒト重鎖ポリペプチドを含む抗体などの、少なくとも1つのヒト重鎖及び/または軽鎖ポリペプチドを含む抗体またはその抗原結合断片を含み得る。
【0039】
「エピトープ」または「抗原決定基」という用語は、本明細書で互換的に使用され、特定の抗体によって認識され、特異的に結合され得る抗原のその部分を指す。抗原がポリペプチドである場合、エピトープは、タンパク質の三次折り畳みによって並置される隣接するアミノ酸及び非隣接アミノ酸からの両方を形成し得る。隣接するアミノ酸から形成されるエピトープは典型的に、タンパク質の変性時に保持されるが、三次折り畳みによって形成されるエピトープは典型的に、タンパク質の変性時に欠失する。エピトープは、典型的に、独特の空間的高次構造において少なくとも3、より一般的には少なくとも5、または8~10のアミノ酸を含む。
【0040】
「結合親和性」は、一般的に、分子の単一結合部位(例えば、抗体)と、その結合パートナー(例えば、抗原)との間の非共有相互作用の合計の強度を指す。特に明記されない限り、本明細書で使用される「結合親和性」は、結合対のメンバー(例えば、抗体及び抗
原)間の1:1相互作用を反映する固有の結合親和性を指す。分子XのそのパートナーYに対する親和性は、一般的に解離定数(Kd)または最大半量効果濃度(EC50)によって表すことができる。親和性は、本明細書に記載されるものを含む、当該技術分野で知られている一般的な方法によって測定することができる。低親和性抗体は一般的に抗原にゆっくりと結合し、容易に解離する傾向がある一方で、高親和性抗体は一般的に抗原により速く結合し、より長く結合したままである傾向がある。結合親和性を測定する様々な方法が当該技術分野で知られており、そのいずれも本発明の目的に使用することができる。具体的な例示的な実施形態が本明細書に記載される。
【0041】
結合親和性を指すために本明細書で使用される場合の「またはより良い」とは、分子とその結合パートナーとの間のより強い結合を指す。本明細書で使用される場合の「またはより良い」とは、より小さな数値のKd値によって表される、より強い結合を指す。例えば、抗原に対して「0.3nMまたはより良い」親和性を有する抗体の、抗原に対する抗体の親和性は≦0.3nM、例えば、0.29nM、0.28nM、0.27nMなど、または0.3nM以下の任意の値である。一実施形態では、Kdによって決定される抗体の親和性は、約10-3~約10-12M、約10-6~約10-11M、約10-6~約10-10M、約10-6~約10-9M、約10-6~約10-8M、または約10-6~約10-7Mであろう。
【0042】
「特異的に結合する」とは、一般的に、抗体がその抗原結合ドメインを介してエピトープに結合し、結合が抗原結合ドメインとエピトープとの間にある相補性を伴うことを意味する。この定義により、抗体は、ランダムな無関係のエピトープに結合するであろうよりも容易にその抗原結合ドメインを介してそのエピトープに結合する場合、エピトープに「特異的に結合する」と言われる。「特異性」という用語は、本明細書において、ある特定の抗体がある特定のエピトープに結合する相対親和性を限定するために使用される。例えば、抗体「A」は、所与のエピトープに対して抗体「B」よりも高い特異性を有するとみなすことができるか、または抗体「A」は、関連エピトープ「D」に対して有するよりも高い特異性でエピトープ「C」に結合すると言うことができる。
【0043】
ある特定の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合断片は、非CD123抗原に対する結合特異性よりもCD123抗原(任意の種から)に対して高い結合特性を有するという点で、CD123抗原に「特異的に結合する」。ある特定の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合断片は、非ヒトCD123抗原(例えば、マウスまたはラットCD123)に対する結合特異性よりもヒトCD123抗原に対して高い結合特異性を有するという点で、ヒトCD123抗原に「特異的に結合する」。
【0044】
「優先的に結合する」とは、抗体が、関連の、同等の、相同の、または類似のエピトープに結合するであろうよりも容易にエピトープに特異的に結合することを意味する。よって、所与のエピトープに「優先的に結合する」抗体は、そのような抗体が関連エピトープと交差反応することができても、関連エピトープよりもそのエピトープに結合する可能性が高いであろう。例えば、ある特定の実施形態では、本発明の抗体または抗原結合断片は、マウスCD123よりもヒトCD123抗原に「優先的に結合する」。
【0045】
抗体は、参照抗体のエピトープとの結合を、ある程度遮断する範囲でそのエピトープと優先的に結合する場合に、参照抗体の所与のエピトープとの結合を「競合的に阻害する」と言われる。競合的阻害は、例えば競合ELISAアッセイなどの当該技術分野で知られている任意の方法によって決定され得る。抗体は、参照抗体の所与のエピトープとの結合を競合的に少なくとも90%、少なくとも80%、少なくとも70%、少なくとも60%、または少なくとも50%阻害すると言うことができる。
【0046】
本明細書で使用される「実質的に同等」または「実質的に同じ」という語句は、2つの数値の間の十分に高い程度の同等性を示し(一般に、一方は本発明の抗体に関連し、他方は参照/比較抗体に関連する)、そのため、当業者は、2つの値の間の差が、該値(例えば、Kd値)によって測定される生物学的特性の状況下で生物学的及び/または統計的有意性が低いまたは無いと考えるであろう。該2つの値の間の差は、参照/比較抗体に対する値の関数として、約50%未満、約40%未満、約30%未満、約20%未満、または約10%未満である。
【0047】
本明細書で使用される「イムノコンジュゲート」、「コンジュゲート」、または「ADC」という用語は、細胞結合剤(すなわち、抗CD123/IL-3Rα抗体またはその断片)に連結され、一般式:A-L-Cによって定義され、式中、C=細胞毒、L=リンカー、及びA=細胞結合剤(CBA)、例えば、抗CD123/IL-3Rα抗体または抗体断片である。イムノコンジュゲートは、逆の順番の一般式:C-L-Aによっても定義することができる。
【0048】
「リンカー」は、化合物、通常は薬物(本明細書に記載される細胞毒性薬物など(例えば、IGN(インドリノベンゾジアゼピン)化合物))を、安定した共有結合様式で細胞結合剤(抗体またはその断片など)に連結することができる任意の化学部分である。リンカーは、化合物または抗体が活性を維持する条件下で、酸誘導切断、光誘導切断、ペプチダーゼ誘導切断、エステラーゼ誘導切断、及びジスルフィド結合切断に対して感受性または実質的に耐性であり得る。好適なリンカーは当該技術分野で周知であり、例えば、ジスルフィド基、チオエーテル基、酸解離性基、光解離性基、ペプチダーゼ解離性基、及びエステラーゼ解離性基を含む。リンカーは、本明細書で記載される、荷電リンカー及びその親水性形態も含み、当該技術分野で知られている。
【0049】
「がん」及び「がん性」という用語は、細胞の集団が無秩序な細胞成長を特徴とする、哺乳動物における生理学的な状態を指すか、または説明する。「腫瘍」及び「新生物」は、前がん性病変を含む良性(非がん性)または悪性(がん性)のいずれかの過剰な細胞の成長または増殖からもたらされる、1つ以上の細胞を指す。
【0050】
がんの例には、リンパ腫及び白血病が含まれる。本発明の方法及び試薬(例えば、抗CD123抗体、その抗原結合断片、またはそのイムノコンジュゲート)によって治療及び/または予防することができるがんまたは腫瘍原性疾患の例には、AML、CML、ALL(例えば、B-ALL)、CLL、骨髄異形成症候群、一般的な形質細胞様DC新生物(BPDCN)白血病、B細胞リンパ腫(非ホジキンリンパ腫(NHL)、前駆Bリンパ芽球性白血病リンパ腫/リンパ腫、及び成熟B細胞新生物、例えば、B細胞慢性リンパ球性白血病(B-CLL)/小リンパ球性リンパ腫(SLL)、B細胞前リンパ球性白血病を含む)、リンパ形質細胞性リンパ腫、マントル細胞リンパ腫(MCL)、濾胞性リンパ腫(FL)(低悪性度、中悪性度、及び高悪性度FLを含む)、皮膚濾胞中心リンパ腫、辺縁帯B細胞リンパ腫(MALT型、結節型、及び脾臓型)、有毛細胞白血病(HCL)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、バーキットリンパ腫、形質細胞腫、形質細胞性骨髄腫、移植後リンパ増殖性障害、ワルデンストレーム高ガンマグロブリン血症、未分化大細胞リンパ腫(ALCL)、ならびにホジキン白血病(HL)が含まれる。
【0051】
「対象」という用語は、限定されないが、特定の治療のレシピエントとなるヒト、非ヒト霊長類、齧歯類などを含む、任意の動物(例えば、哺乳動物)を指す。典型的には、「対象」及び「患者」という用語は、ヒト対象に関連して、本明細書では互換的に使用される。
【0052】
「医薬製剤」という用語は、活性成分の生物活性を有効にするような形態であり、製剤
が投与されるであろう対象にとって許容できない毒性である追加構成成分を含有しない調製物を指す。そのような製剤は、滅菌であり得る。
【0053】
本明細書で開示される抗体またはイムノコンジュゲートの「有効量」は、具体的に言及された目的を実施するのに十分な量である。「有効量」は、言及された目的との関連で、経験的に、及び通例の様式で、決定されることができる。
【0054】
本明細書で使用される「アルキル」は、1~20個の炭素原子の飽和直鎖状または分岐状鎖一価の炭化水素ラジカルを指す。アルキルの例には、限定されないが、メチル、エチル、1-プロピル、2-プロピル、1-ブチル、2-メチル-1-プロピル、-CH2CH(CH3)2)、2-ブチル、2-メチル-2-プロピル、1-ペンチル、2-ペンチル3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル1-ヘキシル)、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、1-ヘプチル、1-オクチルなどが挙げられる。好ましくは、アルキルは、1~10個の炭素原子を有する。より好ましくは、アルキルは、1~4個の炭素原子を有する。
【0055】
基の炭素原子の数は、本明細書で、接頭辞「Cx-xx」(式中、x及びxxは整数である)で指定することができる。例えば、「C1-4アルキル」は、1~4個の炭素原子を有するアルキル基である。
【0056】
「化合物」または「細胞毒性化合物」という用語は、互換的に使用される。それらは、構造もしくは式またはそれらの任意の誘導体が本発明に開示されている化合物、あるいは参照により組み込まれている構造もしくは式またはそれらの任意の誘導体を含むことが意図される。本用語は、本発明に開示される式すべての化合物の立体異性体、幾何異性体、互変異性体、溶媒和物、代謝物、及び塩(例えば、薬学的に許容される塩)も含む。本用語は、任意の溶媒和物、水和物、及び前述の任意の多形も含む。本出願に記載される発明のある特定の態様における「立体異性体」、「幾何異性体」、「互変異性体」、「溶媒和物」、「代謝物」、「塩」、「コンジュゲート」、「コンジュゲートの塩」、「溶媒和物」、「水和物」、または「多形」の具体的な列挙は、「化合物」という用語がこれらの他の形態を列挙することなく使用される本発明の他の態様において、これらの形態の意図した省略と解釈されるべきではない。
【0057】
「キラル」という用語は、鏡像パートナーの重ね合わせることができない特性を有する分子を指す一方で、「アキラル」という用語は、それらの鏡像パートナーに重ね合わせることができる分子を指す。
【0058】
「立体異性体」という用語は、同一の化学構造及び結合性を有するが、単結合の周りの回転により相互変換することができない空間においてそれらの原子の異なる配向を有する化合物を指す。
【0059】
「ジアステレオマー」は、2つ以上の不斉中心を有する立体異性体を指し、その分子は互いの鏡像ではない。ジアステレオマーは、異なる物理特性、例えば、融点、沸点、分光特性、及び反応性を有する。ジアステレオマーの混合物は、結晶化、電気泳動、及びクロマトグラフィーなどの高分解能分析手順により分離することができる。
【0060】
「エナンチオマー」は、互いに重ね合わせることができない鏡像である化合物の2つの立体異性体を指す。
【0061】
本明細書で使用される立体化学の定義及び規定は、一般に、S.P.Parker,Ed.,McGraw-Hill,Dictionary of Chemical Terms(1984)McGraw-Hill Book Company,New York、及びEliel,E.and Wilen,S.,Stereochemistry of Organic Compounds,John Wiley & Sons,Inc.,New York,1994に従う。本発明の化合物は、非対称またはキラル中心を含有することができ、したがって、異なる立体異性形態で存在する。限定されないが、ジアステレオマー、エナンチオマー、及びアトロプ異性体、ならびにそれらの混合物、例えば、ラセミ混合物を含む、本発明の化合物のすべての立体異性体が本発明の一部を形成することが意図される。多くの有機化合物は、光学的活性形態で存在する、すなわち、それらは、直線偏光の平面を回転する能力を有する。光学的活性化合物を説明する際に、接頭辞D及びL、またはR及びSを使用して、そのキラル中心(複数可)の周りの分子の絶対配置を表す。接頭辞d及びIまたは(+)及び(-)を用いて、化合物による直線偏光の回転のサインを示し、(-)または1は、化合物が左旋性であることを意味する。(+)またはdの接頭辞が付いた化合物は右旋性である。所与の化学構造について、これらの立体異性体は、それらが互いに鏡像であることを除いて、同一である。具体的な立体異性体は、エナンチオマーとも称され得、そのような異性体の混合物は、時おりエナンチオマー混合物と呼ばれる。エナンチオマーの50:50混合物は、ラセミ混合物またはラセミ体と称され、これは、化学反応またはプロセスにおいて立体選択または立体特異性がなかった場合に生じ得る。「ラセミ混合物」及び「ラセミ体」という用語は、光学活性がない、2つのエナンチオマー種の等モル混合物を指す。
【0062】
「互変異性体」または「互変異性形態」という用語は、低エネルギー障壁を介して相互変換可能な異なるエネルギーの構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(プロトトロピー互変異性体としても知られる)は、ケト-エノール及びイミン-エナミン異性化などの、プロトンの転位を介した相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子のいくつかの再編成による相互変換を含む。
【0063】
本明細書で使用される「薬学的に許容される塩」という語句は、本発明の化合物の薬学的に許容される有機塩または無機塩を指す。例示的な塩には、限定されないが、硫酸塩、クエン酸塩、酢酸塩、シュウ酸塩、塩化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸水素塩、リン酸塩、酸性リン酸塩、イソニコチン酸塩、乳酸塩、サリチル酸塩、酸性クエン酸塩、酒石酸塩、オレイン酸塩、タンニン酸塩、パントテン酸塩、重酒石酸塩、アスコルビン酸塩、コハク酸塩、マレイン酸塩、ゲンチシン酸塩、フマル酸塩、グルコン酸塩、グルクロン酸塩、糖酸塩、ギ酸塩、安息香酸塩、グルタミン酸塩、メタンスルホン酸塩「メシレート」、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、パモ酸塩(すなわち、1,1’-メチレン-ビス-(2-ヒドロキシ-3-ナフトエ酸塩))、アルカリ金属(例えば、ナトリウム及びカリウム)塩、アルカリ土類金属(例えば、マグネシウム)塩、及びアンモニウム塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、酢酸イオン、コハク酸イオン、または他の対イオンなどの別の分子の包含を伴い得る。対イオンは、親化合物上の電荷を安定させる任意の有機または無機部分であり得る。さらに、薬学的に許容される塩は、その構造に2つ以上の荷電原子を有し得る。複数の荷電原子が薬学的に許容される塩の一部である場合は、複数の対イオンを有し得る。よって、薬学的に許容される塩は、1つ以上の荷電原子及び/または1つ以上の対イオンを有し得る。
【0064】
本発明の化合物が塩基性である場合、所望の薬学的に許容される塩は、当該技術分野で利用可能な任意の好適な方法、例えば、無機酸、例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、メタンスルホン酸、リン酸などを用いて、または有機酸、例えば、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サ
リチル酸、ピラノシジル酸、例えば、グルクロン酸もしくはガラクツロン酸、アルファヒドロキシ酸、例えば、クエン酸もしくは酒石酸、アミノ酸、例えば、アスパラギン酸もしくはグルタミン酸、芳香族酸、例えば、安息香酸もしくはケイ皮酸、スルホン酸、例えば、p-トルエンスルホン酸もしくはエタンスルホン酸などを用いて遊離塩基を処理することによって調製することができる。
【0065】
本発明の化合物が酸性である場合、所望の薬学的に許容される塩は、任意の好適な方法、例えば、無機もしくは有機塩基、例えば、アミン(一級、二級、または三級)、アルカリ金属水酸化物、またはアルカリ土塁金属水酸化物などを用いて遊離酸を処理することによって調製することができる。好適な塩の例示的な例には、限定されないが、アミノ酸、例えば、グリシン及びアルギニン、アンモニア、一級、二級、及び三級アミン、ならびに環状アミン、例えば、ピペリジン、モルホリン、及びピペラジンに由来する有機塩、ならびにナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、及びリチウムに由来する無機塩が挙げられる。
【0066】
本明細書で使用される、「溶媒和物」という用語は、非共有結合の分子間力によって結合される、水、イソプロパノール、アセトン、エタノール、メタノール、DMSO、酢酸エチル、酢酸、及びエタノールアミンジクロロメタン、2-プロパノールなどの溶媒の化学量論量または非化学量論量をさらに含む化合物を意味する。本化合物の溶媒和物または水和物は、メタノール、エタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、または水などの少なくとも1モル当量のヒドロキシル溶媒を化合物に添加して、イミン部分の溶媒和または水和をもたらすことにより容易に調製される。
【0067】
「薬学的に許容される」という語句は、物質または組成物が、製剤を含む他の成分、及び/またはそれによって治療される哺乳動物と、化学的及び/または毒物学的に適合性でなければならないことを示す。
【0068】
「アミノ酸」という用語は、天然に生じるアミノ酸または天然に生じないアミノ酸を指す。一実施形態では、アミノ酸は、NH2-C(Raa’Raa)-C(=O)OHによって表され、式中、Raa及びRaa’は各々、独立して、H、1~10個の炭素原子を有する任意選択で置換されている直鎖状、分岐状、もしくは環状アルキル、アルケニル、またはアルキニル、アリール、ヘテロアリール、もしくはヘテロシクリルであるか、またはRaa及びN末端窒素原子は複素環式環(例えば、プロリンにあるような)を一緒に形成することができる。「アミノ酸残基」という用語は、-NH-C(Raa’Raa)-C(=O)O-などの、1個の水素原子がアミン及び/またはアミノ酸のカルボキシ端から除去されるときの対応する残基を指す。
【0069】
「カチオン」という用語は、正の荷電イオンを指す。カチオンは、一価(例えば、Na+、K+、NH4
+など)、二価(例えば、Ca2+、Mg2+など)、または多価(例えば、Al3+など)であり得る。好ましくは、カチオン一価である。
【0070】
「メチオニン酸化」という用語は、細胞結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)上に位置する1つ以上のメチオニン残基の酸化を指す。ある特定の実施形態では、酸化は、抗体のFc領域(例えば、EU番付によるMet252、Met358、Met428)に位置する1つ以上のメチオニン残基で生じる。ある特定の実施形態では、メチオニン酸化、特に、抗体のFc領域でのメチオニン酸化は、新生児Fc受容体(FcRn)への抗体結合を低減し得るが、抗体の循環半減期に影響を及ぼす可能性がある。
【0071】
実施形態が「含む(comprising)」という言語と共に本明細書に記載される箇所はどこでも、「からなる(consisting of)」及び/または「本質的に
~からなる(consisting essentially of)」という用語で記載される別の類似の実施形態も提供されることが理解される。
【0072】
本明細書で「A及び/またはB」のような語句で使用される、「及び/または」という用語は、「A及びB」、「AまたはB」、「A」、ならびに「B」の両方を含むように意図されている。同様に、A、B、及び/またはC」のような語句で使用される、「及び/または」という用語は、以下の実施形態:A、B、及びC;A、B、またはC;AまたはC;AまたはB;BまたはC;A及びC;A及びB;B及びC;A(単独);B(単独);及びC(単独)のそれぞれを包含するように意図されている。
【0073】
抗体、化合物、及びイムノコンジュゲートの命名法
本明細書で使用される、抗体、細胞毒性化合物、及びそれらのイムノコンジュゲートに使用される命名法は一般に、以下の意味を採用する。
【0074】
本発明の例示的な抗体またはその抗原結合断片を下の表に示す。例えば、G4723A抗体は、配列番号8の重鎖完全長配列及び配列番号10の軽鎖完全長配列を有する、EU番付位置442にシステインを有するヒト化抗CD123抗体である。
【表2】
【表3】
【0075】
本発明の抗体またはその抗原結合断片は、Lys側鎖アミノ基またはCys側鎖チオール基との連結のいずれかを介して、ある特定の細胞毒性薬物にコンジュゲートされ得る。本明細書に記載される(実施例を含む)ある特定の代表的(非限定)な細胞毒性薬物及びイムノコンジュゲートが、例示の目的のため以下に列記される。DGN462、DGN549-C、及びDGN549-Lなどの大半の化合物はスルホン化され得る(それぞれ、sDGN462及びsDGN549-Cのように示される)ことに留意する。
【表4】
【表5】
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、W
Cは、2であり、W
Lは、1~10の整数である。
【0076】
2.医薬組成物
第1の態様では、本発明は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)と、0.1m
M~20mMのメチオニンと、を含む医薬組成物を提供する。驚くべきことに、かなりの量のメチオニン酸化が本発明のイムノコンジュゲートの調製及び/または保管中に生じることが分かっている。特に、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、24、48、72時間以上にわたってなど、長期間にわたる露光が、イムノコンジュゲートにおける大量のメチオニン酸化をもたらす。同等の条件下で、対応するネイキッド抗体に関しては、かなりの量のメチオニン酸化は、露光及び/または保管時に観察されない。本明細書に記載されるイムノコンジュゲートを含む本発明の医薬組成物におけるメチオニンの存在は、特に露光時に、メチオニンを含まない医薬組成物と比較して、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0077】
第1の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、式(IA)、(IB)、もしくは(IC)のイムノコンジュゲート、または以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)と、0.1mM~10mMのメチオニンと、を含む。
【0078】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、式(IA)、(IB)、もしくは(IC)のイムノコンジュゲート、または以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)と、0.5mM~5mMメチオニンと、を含む。
【0079】
ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、式(IA)、(IB)、もしくは(IC)のイムノコンジュゲート、または以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)と、1.0mM~4.0mMのメチオニンと、を含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物におけるメチオニン濃度は、3mMである。
【0080】
ある特定の実施形態では、上述の本発明の医薬組成物が室温で6時間以上露光される場合、イムノコンジュゲートは、50%未満、40%未満、35%未満、30%、25%未満、20%未満、または15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のメチオニン酸化を有する。
【0081】
第2の実施形態では、本発明の医薬組成物は、1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化29】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩と、を含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD12
3抗体である。
【0082】
第3の実施形態では、本発明の医薬組成物は、1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化30】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩と、を含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である。
【0083】
第4の実施形態では、第1、第2、または第3の実施形態の医薬組成物は、3mMのメチオニンを含む。
【0084】
第5の実施形態では、第1、第2、第3、または第4の実施形態の医薬組成物が室温で6時間露光される場合、イムノコンジュゲートは、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のメチオニン酸化を有する。
【0085】
第6の実施形態では、第1、第2、第3、第4、または第5の実施形態の医薬組成物は、露光から医薬組成物を保護する容器に入っている。任意の好適な容器(例えば、バイアルまたはシリンジ)が使用され得る。例えば、耐光性(例えば、琥珀色、黄緑色、または青色)容器、例えば、色ガラスまたは着色プラスチック容器(例えば、バイアルまたはシリンジ)を使用して、露光を最小限に抑えることができる。あるいは、紙箱、プラスチック箱、またはアルミ箔などの耐光性の不透明被覆により保護される場合、無色または半透明の容器を使用してもよい。加えて、400~435nmより下の光を遮断して、細胞毒性ペイロード(例えば、DGN462、DGN549)の吸収スペクトルと同等の波長の光が医薬組成物に入るのを防止する任意の容器、フィルタ、またはバイアルは、本発明に有用である。加えて、露光された場合に医薬組成物を保護するために、光吸収添加剤が製剤に添加され得る。
【0086】
第7の実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5、または第6の実施形態の医薬組成物は、1mg/mL~10mg/mL、1mg/mL~5mg/mL、1mg/mL~3mg/mL、または1.5mg/mL~2.5mg/mLのイムノコンジュゲートを含む。ある特定の実施形態では、第2、第3、第4、第5、または第6の実施形態の医薬組成物は、2mg/mLのイムノコンジュゲートを含む。
【0087】
第8の実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の実施形態の医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の亜硫酸水素ナトリウムの濃度は、10μM~100μM、20μM~90μM、3
0μM~80μM、30μM~70μM、40μM~60μM、または45μM~55μMの亜硫酸水素ナトリウムである。ある特定の実施形態では、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の実施形態の医薬組成物は、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む。
【0088】
第9の実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体、賦形剤)(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing,2000)をさらに含む。好適な薬学的に許容されるビヒクルには、限定されないが、非毒性緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、コハク酸、ヒスチジン、及び他の有機酸:塩、例えば、塩化ナトリウム;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール、及びm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、約10未満のアミノ酸残基;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0089】
ある特定の実施形態では、第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態の医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウム、緩衝液、糖、及び非イオン性界面活性剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、本発明の医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウム、コハク酸またはヒスチジン緩衝液、トレハロース、及びポリソルベート20をさらに含む。
【0090】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の緩衝液(例えば、コハク酸またはヒスチジン)濃度は、5mM~50mM、5mM~25mM、5mM~15mM、10mM~25mM、または15mM~25mMの範囲である。ある特定の実施形態では、緩衝液濃度は、10mMまたは20mMである。
【0091】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の糖(例えば、トレハロース)濃度は、5~10%、6~8%、6.5~7.5%、7.0~7.4%、7.1~7.3%(w/v)の範囲である。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の糖(例えば、トレハロース)濃度は、7.2%(w/v)である。
【0092】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)濃度は、0.01~0.1%、0.01~0.05%、または0.01~0.03%(w/v)の範囲である。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)濃度は、0.02%(w/v)である。
【0093】
第10の実施形態では、第1、第2、第4、第5、第6、第7、第8、または第9の実施形態の医薬組成物は、4~5、4~4.5、4~4.4、または4.1~4.3のpHを有する。ある特定の実施形態では、pHは、4.2である。
【0094】
第11の実施形態では、第1、第3、第4、第5、第6、第7、第8、または第9の実施形態の医薬組成物は、5.5~6.5、5.9~6.3、または6.0~6.2のpHを有する。ある特定の実施形態では、pHは、6.1である。
【0095】
第12の実施形態では、本発明の医薬組成物は、2mg/mLの式(IIA)のイムノコンジュゲート、3mMのメチオニン、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース(または8.0%(w/v)のトレハロース二水和物)、及び0.01%(w/v)のポリソルベート20を含み、医薬組成物のpHは、4.2である。
【0096】
第13の実施形態では、本発明の医薬組成物は、2mg/mLの式(IIB)のイムノコンジュゲート、3mMのメチオニン、20mMのヒスチジン、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース(または8.0%(w/v)のトレハロース二水和物)、0.02%(w/v)のポリソルベート20を含み、医薬組成物のpHは、6.1である。
【0097】
3.メチオニン酸化の低減方法
第2の態様では、本発明は、イムノコンジュゲートを、0.1mM~20mMのメチオニンと混合して、イムノコンジュゲート及びメチオニンを含む医薬組成物を得ることを含む、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、式(IA)、(IB)、もしくは(IC)のイムノコンジュゲート、または以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)におけるメチオニン酸化の量を低減する方法を提供する。
【0098】
第1の実施形態では、第2の態様の方法は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、式(IA)、(IB)、もしくは(IC)のイムノコンジュゲート、または以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)を、0.5mM~5mMのメチオニンと混合することを含む。
【0099】
ある特定の実施形態では、第2の態様の方法は、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、式(IA)、(IB)、もしくは(IC)のイムノコンジュゲート、または以下に記載される第1~第26の具体的な実施形態のイムノコンジュゲート)を、1.0mM~4.0mMのメチオニンと混合することを含む。
【0100】
ある特定の実施形態では、上述の本発明の第2の態様の方法によって調製された医薬組成物が室温で6時間以上露光される場合、イムノコンジュゲートは、50%未満、40%未満、35%未満、30%、25%未満、20%未満、または15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のメチオニン酸化を有する。
【0101】
第2の実施形態では、第2の態様の方法は、1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化31】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩と、を混合して、イムノコンジュゲート及びメチオニンを含む医薬組成物を得ることを含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD123抗体である。
【0102】
第3の実施形態では、第2の態様の方法は、1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化32】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩と、を混合することを含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である。
【0103】
第4の実施形態では、第2の態様の第1、第2、または第3の実施形態の方法は、3mMメチオニンをイムノコンジュゲートと混合することを含む。
【0104】
第5の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、または第4の実施形態の方法によって調製された医薬組成物が室温で6時間露光される場合、イムノコンジュゲートは、15%未満、10%未満、5%未満、4%未満、3%未満、2%未満、または1%未満のメチオニン酸化を有する。
【0105】
第6の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、または第5の実施形態の
方法によって調製された医薬組成物は、露光から医薬組成物を保護する容器に入っている。任意の好適な容器(例えば、バイアルまたはシリンジ)が使用され得る。例えば、耐光性(例えば、琥珀色、黄緑色、または青色)容器、例えば、色ガラスまたは着色プラスチック容器(例えば、バイアルまたはシリンジ)を使用して、露光を最小限に抑えることができる。あるいは、紙箱またはプラスチック箱などの耐光性の不透明被覆により保護される場合、無色または半透明の容器を使用してもよい。
【0106】
第7の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、または第6の実施形態によって調製された医薬組成物は、1mg/mL~10mg/mL、1mg/mL~5mg/mL、1mg/mL~3mg/mL、または1.5mg/mL~2.5mg/mLのイムノコンジュゲートを含む。ある特定の実施形態では、第2の態様の第2、第3、第4、第5、または第6の実施形態の方法によって調製された医薬組成物は、2mg/mLのイムノコンジュゲートを含む。
【0107】
第8の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の実施形態の方法によって調製された医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の亜硫酸水素ナトリウムの濃度は、10μM~100μM、20μM~90μM、30μM~80μM、30μM~70μM、40μM~60μM、または45μM~55μMの亜硫酸水素ナトリウムである。ある特定の実施形態では、第2の態様の第2、第3、第4、第5、第6、または第7の実施形態の方法によって調製された医薬組成物は、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む。
【0108】
第9の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態の方法によって調製された医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体、賦形剤)(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing,2000)をさらに含む。好適な薬学的に許容されるビヒクルには、限定されないが、非毒性緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、コハク酸、ヒスチジン、及び他の有機酸;塩、例えば、塩化ナトリウム;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール、及びm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、約10未満のアミノ酸残基);タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0109】
ある特定の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態の方法により調製された医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウム、緩衝液、糖、及び非イオン性界面活性剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、または第8の実施形態の方法による医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウム、コハク酸またはヒスチジン緩衝液、トレハロース、及びポリソルベート20をさらに含む。
【0110】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の緩衝液(例えば、コハク酸またはヒスチジン
)濃度は、5mM~50mM、5mM~25mM、5mM~15mM、10mM~25mM、または15mM~25mMの範囲である。ある特定の実施形態では、緩衝液濃度は、10mMまたは20mMである。
【0111】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の糖(例えば、トレハロース)濃度は、5~10%、6~8%、6.5~7.5%、7.0~7.4%、7.1~7.3%(w/v)の範囲である。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の糖(例えば、トレハロース)濃度は、7.2%(w/v)である。
【0112】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)濃度は、0.01~0.1%、0.01~0.05%、または0.01~0.03%(w/v)の範囲である。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)濃度は、0.02%(w/v)である。
【0113】
第10の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8、または第9の実施形態の方法による医薬組成物は、4~5、4~4.5、4~4.4、または4.1~4.3のpHを有する。ある特定の実施形態では、pHは、4.2である。
【0114】
第11の実施形態では、第2の態様の第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、もしくは第8、または第9の実施形態の方法による医薬組成物は、5.5~6.5、5.9~6.3、または6.0~6.2のpHを有する。ある特定の実施形態では、pHは、6.1である。
【0115】
第12の実施形態では、第2の態様の第2、第4、第5、第6、第7、もしくは第8、または第9の実施形態の方法により調製された医薬組成物は、2mg/mLの式(IIA)のイムノコンジュゲート、3mMのメチオニン、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース(または8.0%(w/v)のトレハロース二水和物)、及び0.01%(w/v)のポリソルベート20を含み、医薬組成物のpHは、4.2である。
【0116】
第13の実施形態では、第2の態様の第3、第4、第5、第6、第7、第8、または第9の実施形態の方法により調製された医薬組成物は、2mg/mLの式(IIB)のイムノコンジュゲート、3mMのメチオニン、20mMのヒスチジン、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース(または8.0%(w/v)のトレハロース二水和物)、0.02%(w/v)のポリソルベート20を含み、医薬組成物のpHは、6.1である。
【0117】
4.イムノコンジュゲートの調製方法
第3の態様では、本発明は、CBAを、抗酸化剤の存在下で、細胞毒性薬物または細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させることを含む、本発明のイムノコンジュゲートを調製する方法を提供する。
【0118】
第3の態様の第1の実施形態では、本発明は、次式:
【化33】
によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法を提供し、CBAを、抗酸化剤の
存在下で、次式:
【化34】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、L
C’は、
【化35】
によって表され、残りの変数は、式(IA)に関して上述される通り、または上述の第1~第13の具体的な実施形態の通りである。
【0119】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0120】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アミン及び/またはカルボキシル保護基(例えば、N-アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びカルボキシベンジル(Cbz))を有するメチオニン誘導体、水溶性非求核性チオエーテル、または硫化ジメチルである。
【0121】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルメチオニンである。
【0122】
第3の態様の第2の実施形態では、本発明は、次式:
【化36】
によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法を提供し、
(a)次式:
【化37】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩を、次の:
【化38】
から選択される二官能性架橋剤と反応させて、
細胞毒性薬物-リンカー化合物を形成するステップであって、式中、Xは、ハロゲン、J
D-SH、-SSR
d、または-SC(=O)R
gであり、R
dは、フェニル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、カルボキシニトロフェニル、ピリジル、またはニトロピリジルであり、R
gは、アルキルであり、qは、1~5の整数であり、Uは、-HまたはSO
3Hである、ステップと、
(b)CBAを、抗酸化剤の存在下で、細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、イムノコンジュゲートを形成するステップと、を含み、残りの変数は、式(IB)または第14~第19の具体的な実施形態に関して上述される通りである。
【0123】
ある特定の実施形態では、細胞毒性薬物-リンカー化合物は、ステップ(b)でCBAと反応する前に精製されない。
【0124】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0125】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アミン及び/またはカルボキシル保護基(例えば、N-アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びカルボキシベンジル(Cbz))を有するメチオニン誘導体、水溶性非求核性チオエーテル、または硫化ジメチルである。
【0126】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルメチオニンメチルエステルである。
【0127】
第3の態様の第3の実施形態では、本発明は、次式:
【化39】
によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法を提供し、CBAを、次式:
【化40】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、C(=O)Eは、反応性エステル基、例えば、N-ヒドロキシスクシンイミドエステル、N-ヒドロキシスルホスクシンイミドエステル、ニトロフェニル(例えば、2または4-ニトロフェニル)エステル、ジニトロフェニル(例えば、2,4-ジニトロフェニル)エステル、スルホ-テトラフルロフェニル(例えば、4-スルホ-2,3,5,6-テトラフルオロフェニル)エステル、またはペンタフルオロフェニルエステル、好ましくは、N-ヒドロキシスクシンイミドエステルであり、残りの変数は、第20~第26の具体的な実施形態に上述される通りである。
【0128】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0129】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アミン及び/またはカルボキシル保護基(例えば、N-アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びカルボキシベンジル(Cbz))を有するメチオニン誘導体、水溶性非求核性チオエーテル、または硫化ジメチルである。
【0130】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルメチオニンメチルエステルである。
【0131】
第3の態様の第4の実施形態では、本発明は、次式:
【化41】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法を提供し、CBAを、抗酸化剤の存在下で、次式:
【化42】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8の免疫グロブリン重鎖完全配列と、b)配列番号10の免疫グロブリン軽鎖完全配列と、を含む、抗CD123抗体である。
【0132】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0133】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アミン及び/またはカルボキシル保護基(例えば、N-アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びカルボキシベンジル(Cbz))を有するメチオニン誘導体、水溶性非求核性チオエーテル、または硫化ジメチルである。
【0134】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルメチオニンである。
【0135】
第3の態様の第5の実施形態では、本発明は、次式:
【化43】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法を提供し、
(a)次式:
【化44】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩を、次式:
【化45】
によって表される二官能性架橋剤スルホ-SPDBと反応させて、次式:
【化46】
によって表される細胞毒性薬物-リンカー化合物またはその薬学的に許容される塩を形成するステップと、
(b)CBAを、抗酸化剤の存在下で、細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、イムノコンジュゲートを形成するステップと、を含み、式中、
Yは、-SO
3Hであり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である。
【0136】
ある特定の実施形態では、細胞毒性薬物-リンカー化合物は、ステップ(b)でCBAと反応する前に精製されない。
【0137】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0138】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アミン及び/またはカルボキシル保護基(例えば、N-アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びカルボキシベンジル(Cbz))を有するメチオニン誘導体、水溶性非求核性チオエーテル、または硫化ジメチルである。
【0139】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルメチオニンメチルエステルである。
【0140】
第6の実施形態では、本発明は、次式:
【化47】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法を提供し、CBAを、次式:
【化48】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、
Yは、-SO
3Hであり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片である。
【0141】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する。
【0142】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、アミン及び/またはカルボキシル保護基(例えば、N-アセチル、フルオレニルメチルオキシカルボニル(Fmoc)、tert-ブチルオキシカルボニル(Boc)、及びカルボキシベンジル(Cbz))を有するメチオニン誘導体、水溶性非求核性チオエーテル、または硫化ジメチルである。
【0143】
ある特定の実施形態では、抗酸化剤は、N-アセチルメチオニンメチルエステルである。
【0144】
第7の実施形態では、第3の態様の第1、第2、第3、第4、第5、または第6の実施形態の方法は、イムノコンジュゲートを製剤緩衝液中に精製して、イムノコンジュゲートと、0.1mM~20mM、0.1mM~10mM、0.5mM~5mM、または1mM~4mMのメチオニンと、を含む医薬組成物を得ることをさらに含む。ある特定の実施形態では、製剤緩衝液は、3mMのメチオニンを含む。
【0145】
第8の実施形態では、第3の態様の第7の実施形態の医薬組成物は、亜硫酸ナトリウムをさらに含む。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の亜硫酸水素ナトリウムの濃度は
、10μM~100μM、20μM~90μM、30μM~80μM、30μM~70μM、40μM~60μM、または45μM~55μMの亜硫酸水素ナトリウムである。いくつかの実施形態では、医薬組成物中の亜硫酸水素ナトリウムの濃度は、50μMである。
【0146】
第9の実施形態では、第3の態様の第7または第8の実施形態の医薬組成物は、1つ以上の薬学的に許容されるビヒクル(例えば、担体、賦形剤)(Remington,The Science and Practice of Pharmacy 20th Edition Mack Publishing,2000)をさらに含む。好適な薬学的に許容されるビヒクルには、限定されないが、非毒性緩衝液、例えば、リン酸、クエン酸、コハク酸、ヒスチジン、及び他の有機酸;塩、例えば、塩化ナトリウム;防腐剤(例えば、オクタデシルジメチルベンジル塩化アンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム;塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、またはベンジルアルコール;アルキルパラベン、例えば、メチルまたはプロピルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール、及びm-クレゾール);低分子量ポリペプチド(例えば、約10未満のアミノ酸残基;タンパク質、例えば、血清アルブミン、ゼラチン、または免疫グロブリン;親水性ポリマー、例えば、ポリビニルピロリドン;アミノ酸、例えば、グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギニン、またはリジン;炭水化物、例えば、単糖、二糖、グルコース、マンノース、またはデキストリン;キレート剤、例えば、EDTA;糖類、例えば、スクロース、マンニトール、トレハロース、またはソルビトール;塩形成対イオン、例えば、ナトリウム;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);ならびに非イオン性界面活性剤、例えば、TWEEN(登録商標)またはポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。
【0147】
ある特定の実施形態では、第3の態様の第9の実施形態の医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウム、緩衝液、糖、及び非イオン性界面活性剤をさらに含む。ある特定の実施形態では、第3の態様の第9の実施形態の医薬組成物は、亜硫酸水素ナトリウム、コハク酸またはヒスチジン緩衝液、トレハロース、及びポリソルベート20をさらに含む。
【0148】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の緩衝液(例えば、コハク酸またはヒスチジン)濃度は、5mM~50mM、5mM~25mM、5mM~15mM、10mM~25mM、または15mM~25mMの範囲である。ある特定の実施形態では、緩衝液濃度は、10mMまたは20mMである。
【0149】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の糖(例えば、トレハロース)濃度は、5~10%、6~8%、6.5~7.5%、7.0~7.4%、7.1~7.3%(w/v)の範囲である。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の糖(例えば、トレハロース)濃度は、7.2%(w/v)である。
【0150】
ある特定の実施形態では、医薬組成物中の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)濃度は、0.01~0.1%、0.01~0.05%、または0.01~0.03%(w/v)の範囲である。ある特定の実施形態では、医薬組成物中の非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート20)濃度は、0.02%(w/v)である。
【0151】
第10の実施形態では、第3の態様の第7、第8、または第9の実施形態の方法に関して、医薬組成物中のイムノコンジュゲート濃度は、1mg/mL~10mg/mL、1mg/mL~5mg/mL、1mg/mL~3mg/mL、または1.5mg/mL~2.5mg/mLの範囲である。ある特定の実施形態では、イムノコンジュゲート濃度は、2mg/mLである。
【0152】
第11の実施形態では、第3の態様の第7、第8、第9、または第10の実施形態の方法に関して、医薬組成物は、4~5、4~4.5、4~4.4、または4.1~4.3のpHを有する。ある特定の実施形態では、pHは、4.2である。
【0153】
第12の実施形態では、第3の態様の第7、第8、第9、または第10の実施形態の方法に関して、医薬組成物は、5.5~6.5、5.9~6.3、または6.0~6.2のpHを有する。ある特定の実施形態では、pHは、6.1である。
【0154】
第13の実施形態では、第3の態様の第7、第8、または第9の実施形態の方法に関して、医薬組成物は、2mg/mLの式(IIA)のイムノコンジュゲート、3mMのメチオニン、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース(または8.0%(w/v)のトレハロース二水和物)、及び0.01%(w/v)のポリソルベート20を含み、医薬組成物のpHは、4.2である。
【0155】
第14の実施形態では、第3の態様の第7、第8、または第9の実施形態の方法により調製された医薬組成物は、2mg/mLの式(IIB)のイムノコンジュゲート、3mMのメチオニン、20mMのヒスチジン、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース(または8.0%(w/v)のトレハロース二水和物)、0.02%(w/v)のポリソルベート20を含み、医薬組成物のpHは、6.1である。
【0156】
ある特定の実施形態では、上述の方法に関して、任意の好適な量の抗酸化剤が、CBAと、細胞毒性薬物または細胞毒性薬物-リンカー化合物との反応において使用され得る。ある特定の実施形態では、CBAに対して過剰量の抗酸化剤が使用され得る。抗酸化剤とCBAとの例示的なモル比は、200:1~1.5:1、150:1~1.5:1、100:1~1.5:1、50:1~1.5:1、20:1~2:1、15:1~2:1、10:1~2:1、または10:1~5:1の範囲である。ある特定の実施形態では、抗酸化剤とCBAとの比率は、10:1である。
【0157】
ある特定の実施形態では、CBAと、細胞毒性薬物または細胞毒性薬物-リンカー化合物との反応は、好適な溶媒(複数可)中で行われる。ある特定の実施形態では、溶媒(複数可)は、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)及び/またはプロピレングリコールを含む。ある特定の実施形態では、CBAと、細胞毒性薬物または細胞毒性薬物-リンカー化合物との反応は、DMA、プロピレングリコール、及び水性緩衝溶液中で行われる。任意の好適な水性緩衝液を使用することができる。例示的な緩衝液としては、限定されないが、リン酸、クエン酸、コハク酸、及びヒスチジンが挙げられる。
【0158】
ある特定の実施形態では、CBAと、細胞毒性薬物または細胞毒性薬物-リンカー化合物との反応は、好適な温度で行われる。ある特定の実施形態では、反応は、15℃~25℃、5℃~15℃、20℃~25℃の温度で行われる。ある特定の実施形態では、反応は、室温で行われる。
【0159】
5.細胞結合剤
本発明のイムノコンジュゲートの細胞結合剤は、任意の種類の現在知られているもの、または知られるようになるものであり得、ペプチド及び非ペプチドを含む。一般に、これらは、抗体(ポリクローナル抗体及びモノクローナル抗体、特にモノクローナル抗体など)、リンホカイン、ホルモン、成長因子、ビタミン(その細胞表面受容体に結合することができる葉酸など、例えば、葉酸受容体)、栄養輸送分子(トランスフェリンなど)、または任意の他の細胞結合分子もしくは物質であり得る。
【0160】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤は、抗体、単鎖抗体、標的細胞に特異的に結合す
る抗体断片、モノクローナル抗体、単鎖モノクローナル抗体、標的細胞に特異的に結合するモノクローナル抗体断片(または「抗原結合部分」)、キメラ抗体、標的細胞に特異的に結合するキメラ抗体断片(または「抗原結合部分」)、ドメイン抗体(例えば、sdAb)、または標的細胞に特異的に結合するドメイン抗体断片である。
【0161】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤は、ヒト化抗体、ヒト化単鎖抗体、またはヒト化抗体断片(または「抗原結合部分」)である。
【0162】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤は、再表面化抗体、再表面化単鎖抗体、または再表面化抗体断片(または「抗原結合部分」)である。
【0163】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤が抗体またはその抗原結合部分(抗体の誘導体を含む)場合、CBAは、細胞表面リガンド(細胞表面受容体を含む)などの標的細胞上のリガンドに結合し得る。
【0164】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤は、(a)ヒトCD123/IL3-Rα抗原のアミノ酸101~346内のエピトープに結合し、(b)抗原陽性TF-1細胞におけるIL3依存増殖を阻害する抗体またはその抗原結合断片である(WO2017/004026を参照されたい、参照によりそれらの全体が本明細書に組み込まれる)。
【0165】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤は、WO2017/004026(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される抗CD123抗体またはその抗原結合断片である。
【0166】
ある特定の実施形態では、抗CD123抗体またはその抗原結合断片は、a)それぞれ、3つの連続的な相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3(CDR1は、配列番号4のアミノ酸配列を有し、CDR2は、配列番号5のアミノ酸配列を有し、CDR3は、配列番号6のアミノ酸配列を有する)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域またはその断片と、b)それぞれ、3つの連続的な相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3(CDR1は、配列番号1のアミノ酸配列を有し、CDR2は、配列番号2のアミノ酸配列を有し、CDR3は、配列番号3のアミノ酸配列を有する)を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域またはその断片と、を含み得る。
【0167】
ある特定の実施形態では、抗CD123抗体またはその抗原結合断片は、配列番号7のアミノ酸配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号9のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0168】
ある特定の実施形態では、抗CD123抗体は、配列番号8の重鎖完全長配列、及び配列番号10の軽鎖完全長配列を有する。
【0169】
ある特定の実施形態では、細胞結合剤は、米国特許第7,342,110号及び同第7,557,189号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される抗CD33抗体またはその抗原結合断片である。
【0170】
ある特定の実施形態では、抗CD33抗体またはその抗原結合断片は、a)それぞれ、3つの連続的な相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3(CDR1は、配列番号14のアミノ酸配列を有し、CDR2は、配列番号15のアミノ酸配列を有し、CDR3は、配列番号16のアミノ酸配列を有する)を含む少なくとも1つの重鎖可変領域またはその断片と、b)それぞれ、3つの連続的な相補性決定領域(CDR)CDR1、CDR2、及びCDR3(CDR1は、配列番号11のアミノ酸配列を有し、CDR2は、配列番号12のアミノ酸配列を有し、CDR3は、配列番号13のアミノ酸配列
を有する)を含む少なくとも1つの軽鎖可変領域またはその断片と、を含み得る。
【0171】
ある特定の実施形態では、抗CD33抗体またはその抗原結合断片は、配列番号17のアミノ配列を有する重鎖可変領域、及び配列番号19のアミノ酸配列を有する軽鎖可変領域を含む。
【0172】
ある特定の実施形態では、抗CD33抗体は、配列番号18の重鎖完全長配列、及び配列番号20の軽鎖完全長配列を有する。
【0173】
ある特定の実施形態では、抗CD33抗体は、huMy9-6抗体である。
【0174】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載される抗体は、マウス、非ヒト哺乳動物、キメラ、ヒト化、またはヒト抗体である。例えば、ヒト化抗体は、CDRグラフト化抗体または再表面化抗体であり得る。ある特定の実施形態では、抗体は、完全長抗体である。ある特定の実施形態では、その抗原結合断片は、Fab、Fab’、F(ab’)2、Fd、単鎖FvもしくはscFv、ジスルフィド連結Fv、V-NARドメイン、IgNar、イントラボディ、IgGΔCH2、ミニボディ、F(ab’)3、テトラボディ、トリアボディ、ダイアボディ、単一ドメイン抗体、DVD-Ig、Fcab、mAb2、(scFv)2、またはscFv-Fcである。
【0175】
6.イムノコンジュゲート
本発明のイムノコンジュゲートは、本明細書に記載される細胞毒性薬物の1つ以上の分子と共有結合した、本明細書に記載される細胞結合剤(例えば、抗体またはその抗原結合断片)を含む。
【0176】
ある特定の実施形態では、細胞毒性薬物は、ベンゾジアゼピン化合物、例えば、ピロロベンゾジアゼピン(PBD)またはインドリノベンゾジアゼピン(IGN)化合物である。
【0177】
本明細書で使用される「ベンゾジアゼピン」化合物は、ベンゾジアゼピンコア構造を有する化合物である。ベンゾジアゼピンコアは、非置換であるかまたは置換され、かつ/または1つ以上の環構造と縮合され得る。それは、リンカーによって連結された2つのベンゾジアゼピンコアを有する化合物も含む。ベンゾジアゼピンコアの一部としてのイミン官能性(-C=N-)は低減され得る。
【0178】
本明細書で使用される「ピロロベンゾジアゼピン」(PBD)化合物は、ピロロベンゾジアゼピンコア構造を有する化合物である。ピロロベンゾジアゼピンは、非置換であるかまたは置換され得る。それは、リンカーによって連結された2つのピロロベンゾジアゼピンコアを有する化合物も含む。インドリノベンゾジアゼピンコアの一部としてのイミン官能性(-C=N-)は低減され得る。
【0179】
ある特定の実施形態では、ピロロベンゾジアゼピン化合物は、任意選択で置換され得る、
【化49】
によって表されるコア構造を含む。
【0180】
ある特定の実施形態では、ピロロベンゾジアゼピン化合物は、任意選択で置換され得る、
【化50】
によって表されるコア構造を含む。
【0181】
本明細書で使用される「インドリノベンゾジアゼピン」(IGN)化合物は、インドリノベンゾジアゼピンコア構造を有する化合物である。インドリノベンゾジアゼピンは、置換または非置換され得る。それは、リンカーによって連結された2つのインドリノベンゾジアゼピンコアを有する化合物も含む。インドリノベンゾジアゼピンコアの一部としてのイミン官能性(-C=N-)は低減され得る。
【0182】
ある特定の実施形態では、インドリノベンゾジアゼピン化合物は、任意選択で置換され得る、
【化51】
によって表されるコア構造を含む。
【0183】
いくつかの実施形態では、インドリノベンゾジアゼピン化合物は、任意選択で置換され得る、
【化52】
によって表されるコア構造を含む。
【0184】
ある特定の実施形態では、本発明のイムノコンジュゲートは、細胞結合剤(以下の第1~第13の具体的な実施形態に記載されるものなど)上に位置する1つ以上のシステイン残基のチオール基(-SH)を介して、本明細書に記載される細胞毒性薬物と共有結合した、本明細書に記載される細胞結合剤(抗体またはその抗原結合断片を含む)を含む。
【0185】
第1の具体的な実施形態では、イムノコンジュゲートは、次式:
【化53】
によって表され、CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、式中、CBAは、CBA上に位置する1つ以上のシステイン残基のチオール基を介してCy
Cysに連結され、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化54】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化55】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化56】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
Cys上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数である。
【0186】
第2の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、Ra及びRbは、両方ともHであり、R1は、HまたはMeであり、残りの変数は、第1の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0187】
第3の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N9-トシル-Arg、Phe-N9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号21)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号22)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号23)、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D
-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、及びMet-Alaから選択され、残りの変数は、第1または第2の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0188】
第4の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、Pは、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaであり、残りの変数は、第1または第2の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0189】
第5の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、Qは、-SO3Hであり、残りの変数は、第1、第2、第3、または第4の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0190】
第6の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、Qは、Hであり、残りの変数は、第1、第2、第3、または第4の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0191】
第7の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、R3及びR4は、両方ともHであり、nは、1~6の整数であり、残りの変数は、第1、第2、第3、第4、第5、または第6の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0192】
第8の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、-L
C-は、次式:
【化57】
によって表され、残りの変数は、第1、第2、第3、第4、第5、第6、または第7の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0193】
第9の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、イムノコンジュゲートは、次式:
【化58】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、NとCとの間の二重線
【化59】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3H
であることを条件とし、残りの変数は、第1の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0194】
ある特定の実施形態では、NとCとの間の二重線
【化60】
は、単結合を表し、Xは、-Hであり、Yは、-SO
3Hである。
【0195】
第10の具体的な実施形態では、第1~第9の具体的な実施形態のイムノコンジュゲートに関して、CBAは、(a)ヒトCD123/IL3-Rα抗原のアミノ酸101~346内のエピトープに結合し、(b)抗原陽性TF-1細胞におけるIL3依存増殖を阻害する抗体またはその抗原結合断片である。
【0196】
第11の具体的な実施形態では、第1~第10の具体的な実施形態のイムノコンジュゲートに関して、CBAは、
a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、
b)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、を含む抗CD123抗体またはその抗原結合断片である。
【0197】
第12の具体的な実施形態では、第1~第11の具体的な実施形態のイムノコンジュゲートに関して、CBAは、配列番号7のVH配列、及び配列番号9のVL配列を含む抗CD123抗体またはその抗原結合断片である。
【0198】
第13の具体的な実施形態では、第1~第11の具体的な実施形態のイムノコンジュゲートに関して、CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む抗CD123抗体である。
【0199】
ある特定の実施形態では、上記の第1~第13の具体的な実施形態に記載されるイムノコンジュゲートに関して、wCは、2である。
【0200】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、上述の第1~第13の具体的な実施形態に記載されるイムノコンジュゲート)に関して、イムノコンジュゲートを含む組成物中の抗体分子当たりのCyCysによって表される細胞毒性薬物の数の平均比(すなわち、wCの平均値、「DAR」とも称される)は、1.5~2.1、1.6~2.1、1.7~2.1、1.8~2.1、1.5~2.0、1.6~2.0、1.7~2.0、または1.8~2.0の範囲である。ある特定の実施形態では、DARは、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、または2.1である。
【0201】
ある特定の実施形態では、本発明のイムノコンジュゲートは、細胞結合剤(CBA)(以下の第14~第26の具体的な実施形態に記載されるイムノコンジュゲートなど)上に位置する1つ以上のリジン残基のε-アミノ基を介して、本明細書に記載される細胞毒性薬物と共有結合した、本明細書に記載される細胞結合剤(抗体またはその抗原結合断片を含む)を含む。
【0202】
第14の具体的な実施形態では、イムノコンジュゲートは、次式:
【化61】
によって表され、式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化62】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化63】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
xは、独立して、(C
1-C
6)アルキルであり、
W’は、-NR
eであり、
R
eは、-(CH
2-CH
2-O)
n1-R
kであり、
n1は、2~6の整数であり、
R
kは、-Hまたは-Meであり、
Z
sは、次式:
【化64】
のうちのいずれか1つから選択され、
式中、
qは、1~5の整数であり、
M
+は、-H
+またはカチオンである。
【0203】
第15の具体的な実施形態では、式(IB)のイムノコンジュゲートに関して、Rxは、独立して、-(CH2)p-(CRfRg)-であり、式中、Rf及びRgは各々、独立して、-Hまたは(C1-C4)アルキルであり、pは、0、1、2、または3であり、残りの変数は、第14の具体的な実施形態に記載される。
【0204】
第16の具体的な実施形態では、式(IB)のイムノコンジュゲートに関して、Rf及びRgは、同一であるか、または異なり、かつ-H及び-Meから選択され、残りの変数は、第15の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0205】
第17の具体的な実施形態では、式(IB)のイムノコンジュゲートに関して、イムノコンジュゲートは、
【化65】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、W
Lは、1~10の整数であり、NとCとの間の二重線
【化66】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、残りの変数は、第14の具体的な実施形態に記載される。
【0206】
ある特定の実施形態では、NとCとの間の二重線
【化67】
は、単結合を表し、Xは、-Hであり、Yは、-SO
3Hである。
【0207】
第18の具体的な実施形態では、式(IB)のイムノコンジュゲートに関して、イムノコンジュゲートは、
【化68】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、変数は、第13の具体的な実施形態に記載される。
【0208】
第19の具体的な実施形態では、第14~第18の具体的な実施形態のイムノコンジュゲートに関して、CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む抗CD33抗体である。
【0209】
第20の具体的な実施形態では、イムノコンジュゲートは、次式:
【化69】
によって表され、式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、式中、CBAは、CBA上に位置する1つ以上のリジン残基のε-アミノ基を介してCy
Lys1に連結され、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化70】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化71】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数である。
【0210】
第21の具体的な実施形態では、式(IC)のイムノコンジュゲートに関して、Ra及びRbは、両方ともHであり、R1は、HまたはMeであり、残りの変数は、第20の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0211】
第22の具体的な実施形態では、式(IC)のイムノコンジュゲートに関して、Pは、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N9-トシル-Arg、Phe-N9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号21)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号22)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号23)、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、及びMet-Alaから選択され、残りの変数は、第20または第21の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0212】
第23の具体的な実施形態では、式(IC)のイムノコンジュゲートに関して、Pは、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaであり、残りの変数は、第20または第21の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0213】
第24の具体的な実施形態では、式(IC)のイムノコンジュゲートに関して、Qは、-SO3Hであり、残りの変数は、第20、第21、第22、または第23の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0214】
第25の具体的な実施形態では、式(IA)のイムノコンジュゲートに関して、Qは、Hであり、残りの変数は、第20、第21、第22、または第23の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0215】
第26の具体的な実施形態では、式(IC)のイムノコンジュゲートに関して、イムノコンジュゲートは、次式:
【化72】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、NとCとの間の二重線
【化73】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、残りの変数は、第20の具体的な実施形態に記載される通りである。
【0216】
ある特定の実施形態では、NとCとの間の二重線
【化74】
は、単結合を表し、Xは、-Hであり、Yは、-SO
3Hである。ある特定の実施形態では、CBAは、抗体またはその抗原結合断片である。
【0217】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載されるイムノコンジュゲート(例えば、上述の第14~第26の具体的な実施形態に記載されるイムノコンジュゲート)に関して、イムノコンジュゲートを含む組成物中の抗体分子当たりのCyLys1またはCyLys2によって表される細胞毒性薬物の数の平均比(すなわち、wLの平均値)(「DAR」とも称される)は、1.0~5.0、1.5~4.0、2.0~3.5、または2.5~3.0の範囲である。ある特定の実施形態では、DARは、2.0、2.1、2.2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0である。ある特定の実施形態では、DARは、2.8または2.7である。
【0218】
一実施形態では、第19の具体的な実施形態に記載されるイムノコンジュゲートのDAR値は、2.4~3.0の範囲である。一実施形態では、DARは、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、または3.0である。別の実施形態では、DAR値は、2.8である。
【0219】
7.使用方法
本明細書に記載される医薬組成物は、局所または全身治療のいずれかのために任意の数の方法で投与され得る。投与は、経皮パッチ、軟膏、ローション、クリーム、ゲル、液滴、坐剤、スプレー、液体、及び粉末などの局所(膣及び直腸送達を含む粘膜になど);肺(例えば、ネブライザーによるものを含む、粉末もしくはエアロゾルの吸入または吹送により;気管内、鼻腔内、表皮、及び経皮);経口;または静脈内、動脈内、皮下、腹腔内、もしくは筋肉内注射または注入を含む非経口;あるいは頭蓋内(例えば、くも膜下腔内または脳室内)投与であり得る。いくつかの特定の実施形態では、投与は静脈内である。本明細書に記載される医薬組成物は、インビトロまたはエクスビボでも使用され得る。
【0220】
本発明の医薬組成物は、併用療法として、第2の化合物、例えば、関心の疾患または障害の治療に有効であることが知られているものと共に使用することができる。いくつかの実施形態では、第2の化合物は、抗がん剤である。いくつかの実施形態では、本方法は、医薬組成物単独の投与と比較してより良い効力をもたらす第2の化合物及び本発明の医薬組成物の投与を包含する。第2の化合物は、例えば、局所、肺、経口、非経口、または頭蓋内投与を含む、任意の数の方法により投与され得る。いくつかの実施形態では、投与は経口である。いくつかの実施形態では、投与は静脈内である。いくつかの実施形態では、投与は、経口及び静脈内の両方である。
【0221】
本発明の医薬組成物は、鎮痛薬または他の薬物と共に、医薬組み合わせ製剤、または併用療法としての投与レジメンにおいて組み合わせることもできる。
【0222】
本発明の医薬組成物は、抗がん特性を有する第2の化合物と共に、医薬組み合わせ製剤、または併用療法としての投与レジメンにおいて組み合わせることもできる。医薬組み合わせ製剤または投与レジメンの第2の化合物は、それらが互いに悪影響を及ぼさないように、組み合わせのADCに対して相補的な活性を有し得る。
【0223】
本発明は、哺乳動物(例えば、ヒト)における異常な細胞成長を阻害するか、または増殖障害を治療する方法を含み、該哺乳動物に、治療有効量の本発明の医薬組成物を、単独でまたは第2の治療薬と組み合わせて投与することを含む。
【0224】
ある特定の実施形態では、哺乳動物における異常な細胞成長または増殖障害は、血液癌、白血病、またはリンパ腫を含むがんである。ある特定の実施形態では、増殖障害は、リンパ器官のがんまたは血液悪性腫瘍である。
【0225】
例えば、がんは、急性骨髄性白血病(AML、CD33低AML、P糖タンパク質陽性AML、再発AML、または不応性AMLを含む)、慢性骨髄性白血病(CML)(CMLの急性転化及びCMLに関連するエーベルソンがん遺伝子(Bcr-ABL転座)を含む)、骨髄異形成症候群(MDS)、急性リンパ芽球性白血病(ALL)(限定されないが、急性Bリンパ芽球性白血病またはB細胞急性リンパ芽球性白血病(B-ALL)を含む)、慢性リンパ球性白血病(CLL)(リヒター症候群またはCLLのリヒター形質転換、有毛細胞白血病(HCL)を含む)、急性前骨髄球性白血病(APL)、B細胞慢性リンパ増殖性疾患(B-CLPD)、非定型慢性リンパ球性白血病(好ましくは顕著なCD11c発現を伴う)、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)、芽球性形質細
胞様樹状細胞新生物(BPDCN)、非ホジキンリンパ腫(NHL)(マントル細胞白血病(MCL)及び小リンパ球性リンパ腫(SLL)を含む)、ホジキンリンパ腫、全身性肥満細胞症、及びバーキットリンパ腫からなる群から選択され得る。
【0226】
ある特定の実施形態では、B-ALLは、CD19陽性B-ALLである。ある特定の他の実施形態では、B-ALLは、CD19陰性B-ALLである。
【0227】
ある特定の実施形態では、がんは、少なくとも1つの負の予後因子、例えば、P糖タンパク質の過剰発現、EVI1の過剰発現、p53の変化、DNMT3A変異、FLT3遺伝子内縦列重複を有する。
【0228】
がん療法、ならびにそれらの投薬量、投与経路、及び推奨使用法は、当該技術分野で知られており、Physician’s Desk Reference(PDR)などの文献に記載されている。PDRは、様々ながんの治療に使用されている薬剤の投薬量を開示する。治療上有効である投与レジメン及びそれらの前述の化学療法薬の投薬量は、治療される特定のがん、疾患の程度、及び当該技術分野の医師に知られている他の要因に依存し、医師によって決定され得る。PDRの内容は、参照によりその全体が本明細書に明示的に組み込まれる。当業者は、次のパラメータのうちの1つ以上を使用して、本発明の教示に従い使用され得る投与レジメンならびに化学療法薬及びコンジュゲートの投薬量を決定するためにPDRを見直してもよい。これらのパラメータは、総合索引;製造業者;製品(会社名または商標薬物名);カテゴリー索引;ジェネリック/化学索引(非商標の一般的な薬物名);薬物の色画像;製品情報、FDA表示と一致;化学情報;機能/作用;兆候&禁忌;治験研究、副作用、警告を含む。
【0229】
インビトロ使用の例には、疾患細胞もしくは悪性細胞を殺傷するために、同じ患者に移植する前に自家骨髄を治療する;コンピテントT細胞を殺傷し、移植片対宿主病(GVHD)を予防するために、移植前に骨髄を治療する;標的抗原を発現しない所望の変異型を除くすべての細胞を殺傷するために、または望ましくない抗原を発現する変異型を殺傷するために、細胞培養物を治療することが含まれる。
【0230】
非臨床のインビトロ使用の条件は、当業者によって容易に決定される。
【0231】
臨床のエクスビボ使用の例は、がん治療または自己免疫疾患の治療において、自家移植前に腫瘍細胞もしくはリンパ球細胞を骨髄から除去すること、またはGVHDを予防するために、移植前にT細胞及び他のリンパ球細胞を自家もしくは同種骨髄または組織から除去することである。治療は次のように行うことができる。骨髄は、患者または他の個体から採取され、次いで、約37℃で約30分間~約48時間、10μΜ~1pMの範囲のイムノコンジュゲートの濃度で、本発明の医薬組成物を添加される血清を含有する培地中でインキュベートされる。濃度及びインキュベーション時間の正確な条件、すなわち、用量は、当業者により容易に決定される。インキュベーション後、骨髄細胞を、血清を含有する培地で洗浄し、既知の方法に従い、静脈内に患者に戻される。患者が骨髄の採取時と治療した細胞の再注入時との間に一連の切除化学療法または全身照射などの他の治療を受ける場合、治療した骨髄細胞は標準的な医療器具を使用して、液体窒素中で冷凍保存される。
【0232】
臨床のインビボ使用に関して、本発明の細胞毒性化合物またはコンジュゲートは、減菌及び内毒素レベルに関して試験される溶液または凍結乾燥粉末として供給される。
【0233】
選択された細胞集団における細胞死を誘導するための、細胞成長を阻害するための、及び/またはがんを治療するための本発明の方法は、インビトロ、インビボ、またはエクス
ビボで実施され得る。
【実施例0234】
実施例1.IMGN632コンジュゲーション反応におけるメチオニンベースの抗酸化剤の添加
還元状態で2つの操作されたシステイン残基(重鎖CH3領域のC442位置で)を保有するG4723A抗体は、既知の方法による鎖間ジスルフィド結合の完全還元及び再酸化により調製された。50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウムpH6.0中のこの中間体の溶液に、10モル当量のN-アセチルメチオニン、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)、プロピレングリコール、及び10モル当量のsDGN549-Cを添加して、50mMのリン酸カリウム、50mMの塩化ナトリウムpH6.0中2%v/vのDMA及び38%v/vのプロピレングリコールの最終溶媒組成物の反応混合物を得た。25℃で一晩、反応を進行させた。
【0235】
コンジュゲートを、Sephadex G25脱塩カラムを使用して、10mMのコハク酸、8%のトレハロース二水和物、1mMのメチオニン、0.01%のTween-20、50μMの亜硫酸水素ナトリウムpH4.2製剤緩衝液中に精製し、10kDa分子量カットオフの再生セルロース膜を通して限外濾過により濃縮し、0.22μmのシリンジフィルタを通して濾過した。10kDa分子量カットオフの透析カセットを使用して、コンジュゲートを同じ製剤緩衝液に対して透析し、0.22μmのシリンジフィルタを通して再度濾過した。
【0236】
精製したコンジュゲートは、UV-Visにより平均2molのsDGN549/mol抗体、SECにより97.7%の単量体、及びタンデム型SEC-C18 RPLCにより0.7%のコンジュゲートしていないDGN549を有することが分かった。表1に示されるように、メチオニン添加剤は、添加剤なしのコンジュゲーション反応と比較して、コンジュゲーションの収率及びコンジュゲートの品質に影響を及ぼさない。加えて、反応にメチオニン添加剤及び製剤にメチオニンを含むことにより、Met256(免除番付またはEU番付においてMet252)の酸化パーセンテージが低減されるように思われる。
【0237】
抗体の細胞毒性薬物へのリジン連結コンジュゲーションは、10モル当量のN-アセチルメチオニンエステル及び5モル当量のDGN549-L(25℃で4時間、DMA及び50mMのコハク酸pH5.5の95:5混合物において5倍過剰の亜硫酸水素ナトリウムにより調製された)が使用されることを除き、同等の反応条件に従う。
表1.反応におけるIMGN632コンジュゲーション+/- N-アセチルメチオニン及び製剤における+/-メチオニン
【表6】
【0238】
実施例2.IMGN632のメチオニン酸化及び光安定性研究
IMGN632試料において観察された高レベルのメチオニン酸化の原因をさらに検証
し、メチオニン酸化レベルを低減するための方法を決定するために、3つの実験を行った:1)凍解及び安定性研究、2)メチオニンスパイク研究、ならびに3)白色光実験研究。
【0239】
研究1では、酸化レベルに対する保存バイアルの種類の影響の可能性を評価し、窒素オーバーレイを使用した酸化レベルの低減を決定し、酸化に対する温度の影響を評価し、異なる光波長への曝露を評価し、凍解サイクルの影響を評価した。表2に見られるように、初期の実験傾向は、メチオニン酸化レベルに対してバイアルの種類の明らかな大きな影響はなかったことを示す。窒素オーバーレイは保護的であり得るが、これらの実験の結果は決定的ではなかった。メチオニン酸化に対する温度の大きな影響もなかった。表3は、メチオニン酸化レベルに対するUV及び卓上光への曝露の結果を提供する。卓上光またはUV光への曝露は、6時間後に高レベルのメチオニン酸化を生じさせる。これらの結果は、アルミ箔にバイアルを包むことによって光から保護することが経時的な酸化レベルを抑える有効な方法であり得ることを示唆する。表4は、凍解(2時間/サイクル)中の光への曝露は酸化を生じさせるが、光保護による凍解自体はメチオニン酸化に大きな影響はないことを示す。
表2.バイアルの種類及び窒素オーバーレイ
【表7】
表3.UV及び卓上光への曝露
【表8】
表4.凍解結果
【表9】
【0240】
研究2では、IMGN632及び抗体単独(G4723A)の製剤における異なる濃度のメチオニンのスパイク及び酸化に対するその効能を、室温で6時間のUV曝露により試験した。表5に見られるように、製剤緩衝液における1~3mMのレベルでのメチオニンスパイクは、イムノコンジュゲート製剤においてメチオニン酸化を防止することができる。驚くべきことに、イムノコンジュゲート製剤緩衝液に希釈され、露光されたG4723A抗体単独は、酸化を受けず、抗体におけるメチオニン酸化が、コンジュゲーションプロセス、または抗体が溶液中でイムノコンジュゲートとして存在する場合、ペイロードの存在に関連することを示唆する。
表5.メチオニンスパイク及び抗体対照
【表10】
【0241】
研究3では、イムノコンジュゲート試料を、製剤中0mM、1mM、または3mMのメチオニンと共に、25℃で72時間、4kLuxの白色光に曝露した。メチオニン酸化パーセント、単量体パーセント、高分子量パーセント、遊離薬物濃度、及びDARを測定した。
【0242】
図1は、製剤において少なくとも1mMのメチオニンの添加が、溶液が露光されるときに、経時的なメチオニン酸化レベルを低減し得ることを示す。これらの結果は、DGN549などのDNAアルキル化ペイロードを含有するイムノコンジュゲートの製剤におけるメチオニン(1mM~3mMのメチオニン)の添加をさらに支持する。
図2及び3は、経時的な露光により、製剤中のメチオニンの存在または不在下の単量体パーセントがわずかに減少し、製剤中のメチオニンの存在または不在下の高分子量種のパーセントが増加することを示す。
図4は、露光によりペイロード(DGN549)が分解され、遊離薬物を増加させることを示す。しかしながら、表6に見られるように、濃度/DARに対する露光の影響は最小~影響なしである。
表6.濃度(mg/mL)及びDAR結果
【表11】
【0243】
実施例3.UV検出によるイムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の監視
UV検出による2つの操作されたシステイン残基(重鎖CH3領域の位置442)を保有するG4723A抗体のメチオニン酸化を監視するための分析方法を開発した。質量分析検出法によるプラットホームペプチドマッピングの条件を最適化して、質量分析検出ステップをUV検出に置き換えた。
図5A及び5Bに見られるように、酸化及び未変性トリプシンペプチドは、原理上、質量分析ならびにUV検出法を使用して特定することができ、したがって、プラットホーム方法の最適化は、メチオニン酸化を監視するためのUV検出の互換的な使用を可能にするはずである。プラットホーム方法の最適化条件は、次のステップからなる:
●70℃で10~15分間、4.5MのグアニジンHCl、1.2Mのトリス、10mMのEDTA、7mMのDTT、pH7.8を使用する、試料変性
●DTTクエンチすることなく、室温の暗所で45分間、7μLの1Mのインドール-3-酢酸(IAA)を使用する、試料アルキル化
●最大反応体積(507μL)を充填し、400μLで洗浄し、50MMのトリス、10mMの塩化カルシウム、5mMのメチオニン、pH8.0の300μLで溶出する、Illustra NAP-5精製カラムを用いた、緩衝液交換
●37℃で1時間、1:33のトリプシン:抗体比でのトリプシンの消化、TFAでの試料のクエンチ、及びHPLCバイアルへの移動
●UV検出によるUPLCでの試料分析
【0244】
上記ステップを使用して、メチオニン酸化は、関心の酸化範囲において、ペプチドマッピング-質量分析検出法と同等の結果で、UPLC-UV検出により良好に定量化され得る。特に、ペプチドマッピングステップは、試料調製及び試料実行時間に関して最適化された(すなわち、調製及び実行時間の短縮)。さらに、UV検出ステップの感度は、緩衝液交換溶出/収集体積を最適化し(すなわち、より濃縮された回収された試料)、試料注入体積を増加させる(すなわち、10~50μLの注入体積)ことにより改善された。
【0245】
実施例4.IMGN632及びIMGN779の光安定性研究
メチオニンを含むまたは含まないIMGN632及びIMGN779のイムノコンジュゲート試料を、経時的に室温で、約1000luxの白色光に曝露した。Met252でのメチオニン酸化のパーセンテージを経時的に測定した。次のイムノコンジュゲート試料の光安定性を試験した:
(1)メチオニンを含まないIMGN779:2mg/mlのIMGN779、20mMのヒスチジン、8.0%(w/v)のトレハロース二水和物(7.2%w/vのトレハロースとも称される)、0.02%(w/v)のポリソルベート20、及び50μMの亜硫酸水素ナトリウム、pH6.1
(2)メチオニンを含むIMGN779:2mg/mlのIMGN779、20mMのヒスチジン、8.0%(w/v)のトレハロース二水和物(7.2%w/vのトレハロースとも称される)、0.02%(w/v)のポリソルベート20、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、及び3mMのメチオニン、pH6.1。
(3)メチオニンを含まないIMGN632:2mg/mLのIMGN632、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、8.0%(w/v)のトレハロース二水和物(7.2%(w/v)のトレハロースとも称される)、及び0.01%(w/v)のポリソルベート20、pH4.2。
(4)メチオニンを含むIMGN632:2mg/mLのIMGN632、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、8.0%(w/v)のトレハロース二水和物(7.2%(w/v)のトレハロースとも称される)0.01%(w/v)のポリソルベート20、及び3mMのメチオニン、pH4.2。
【0246】
図6に示されるように、IMGN779製剤(3mMのメチオニンを含まない)が室温で約1000luxの白色光に曝露されるとき、Met252残基の酸化が7日間にわたって18~74%に増加した。同等の条件下で、3mMのメチオニンを含有するIMGN779製剤に関して、メチオニン酸化の増加はほとんどまたは全く観察されなかった。同等の結果がIMGN632イムノコンジュゲートに関して観察された。
[態様1]
イムノコンジュゲートと、0.1mM~20mMのメチオニンと、を含む医薬組成物であって、前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化1A】
(CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化2A】
によって表される)によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化3A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化4A】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
Cys上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数である、前記医薬組成物。
[態様2]
R
a及びR
bが、両方ともHであり、R
1が、HまたはMeである、態様1に記載の医薬組成物。
[態様3]
Pが、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N
9-トシル-Arg、Phe-N
9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号21)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号22)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号23)、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、及びMet-Alaから選択される、態様1または2に記載の医薬組成物。
[態様4]
Pが、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaである、態様3に記載の医薬組成物。
[態様5]
Qが、-SO
3Hである、態様1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様6]
Qが、Hである、態様1~4のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様7]
R
3及びR
4が、両方ともHであり、nが、1~6の整数である、態様1~6のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様8]
-L
C-が、次式:
【化5A】
によって表される、態様1~7のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様9]
前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化6A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、NとCとの間の二重線
【化7A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とする、態様1に記載の医薬組成物。
[態様10]
CBAが、(a)ヒトCD123/IL3-Rα抗原のアミノ酸101~346内のエピトープに結合し、(b)抗原陽性TF-1細胞におけるIL3依存増殖を阻害する抗体またはその抗原結合断片である、態様1~9のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様11]
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、
b)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、を含む、態様10に記載の医薬組成物。
[態様12]
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7のV
H配列と、配列番号9のV
L配列と、を含む、態様10に記載の医薬組成物。
[態様13]
前記抗体が、
a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、
b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、態様
10に記載の医薬組成物。
[態様14]
イムノコンジュゲートと、0.1mM~20mMのメチオニンと、を含む医薬組成物であって、前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化8A】
(式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化9A】
によって表される)によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化10A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
xは、独立して、(C
1-C
6)アルキルであり、
W’は、-NR
eであり、
R
eは、-(CH
2-CH
2-O)
n1-R
kであり、
n1は、2~6の整数であり、
R
kは、-Hまたは-Meであり、
Z
sは、次式:
【化11A】
のうちのいずれか1つから選択されるか、
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、qは、1~5の整数である、前記医薬組成物。
[態様15]
R
xが、独立して、-(CH
2)
p-(CR
fR
g)-であり、式中、R
f及びR
gは各々、独立して、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、pは、0、1、2、または3である、態様14に記載の医薬組成物。
[態様16]
R
f及びR
gが、同一であるか、または異なり、かつ-H及び-Meから選択される、態様15に記載の医薬組成物。
[態様17]
前記イムノコンジュゲートが、
【化12A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、W
Lは、1~10の整数であり、NとCとの間の二重線
【化13A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とする、態様14に記載の医薬組成物。
[態様18]
前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化14A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、態様17に記載の医薬組成物。
[態様19]
前記抗体が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である、態様14~18のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様20]
NとCとの間の二重線
【化15A】
が、単結合を表し、Xが、-Hであり、Yが、-SO
3Hである、態様1~19のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様21]
Yが、-SO
3H、またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩である、態様1~20のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様22]
前記医薬組成物が、0.1mM~10mMのメチオニンを含む、態様1~21のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様23]
前記医薬組成物が、0.5mM~5mMのメチオニンを含む、態様22に記載の医薬組成物。
[態様24]
前記医薬組成物が、1.0mM~4.0mMのメチオニンを含む、態様22に記載の医薬組成物。
[態様25]
前記医薬組成物が、3.0mMのメチオニンを含む、態様24に記載の医薬組成物。
[態様26]
前記医薬組成物が室温で6時間以上露光される場合、前記イムノコンジュゲートが、40%未満、35%未満、30%、25%未満、20%未満、または15%未満のメチオニン酸化を有する、態様1~25のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様27]
前記医薬組成物が、前記医薬組成物を露光から保護する容器に入っている、態様1~26のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様28]
前記医薬組成物が、1mg/mL~10mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様1~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様29]
前記医薬組成物が、1mg/mL~5mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様1~27のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様30]
亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様1~29のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様31]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様30に記載の医薬組成物。
[態様32]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様30に記載の医薬組成物。
[態様33]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様30に記載の医薬組成物。
[態様34]
1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化16A】
によって表されるイムノコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD123抗体である、前記医薬組成物。
[態様35]
前記医薬組成物が、3mMのメチオニンを含む、態様34に記載の医薬組成物。
[態様36]
前記医薬組成物が室温で6時間露光される場合、前記イムノコンジュゲートが、15%未満のメチオニン酸化を有する、態様34または35に記載の医薬組成物。
[態様37]
前記医薬組成物が、前記医薬組成物を露光から保護する容器に入っている、態様34~36のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様38]
前記医薬組成物が、1mg/mL~5mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様34~37のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様39]
前記医薬組成物が、1mg/mL~3mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様38に記載の医薬組成物。
[態様40]
前記医薬組成物が、1.5mg/mL~2.5mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様38に記載の医薬組成物。
[態様41]
前記医薬組成物が、2mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様38に記載の医薬組成物。
[態様42]
亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様34~41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様43]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様42に記載の医薬組成物。
[態様44]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様43に記載の医薬組成物。
[態様45]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様43に記載の
医薬組成物。
[態様46]
前記医薬組成物が、トレハロース、ポリソルベート20、及びコハク酸をさらに含む、態様34~45のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様47]
前記医薬組成物が、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース、及び0.01%(w/v)のポリソルベート20をさらに含む、態様34~41のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様48]
前記医薬組成物が、4~4.5のpHを有する、態様34~47のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様49]
前記医薬組成物が、4.2のpHを有する、態様48に記載の医薬組成物。
[態様50]
1mM~4mMのメチオニンと、次式:
【化17A】
によって表されるイムノコンジュゲート、またはその薬学的に許容される塩を含む医薬組成物であって、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である、前記医薬組成物。
[態様51]
前記医薬組成物が、3mMのメチオニンを含む、態様50に記載の医薬組成物。
[態様52]
前記医薬組成物が室温で6時間露光される場合、前記イムノコンジュゲートが、15%未満のメチオニン酸化を有する、態様50または51に記載の医薬組成物。
[態様53]
前記医薬組成物が、前記医薬組成物を露光から保護する容器に入っている、態様50~52のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様54]
前記医薬組成物が、1mg/mL~5mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様50~53のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様55]
前記医薬組成物が、1mg/mL~3mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様54に記載の医薬組成物。
[態様56]
前記医薬組成物が、1.5mg/mL~2.5mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様55に記載の医薬組成物。
[態様57]
前記医薬組成物が、2mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様56に記載の医薬組成物。
[態様58]
亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様50~57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様59]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様58に記載の医薬組成物。
[態様60]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様59に記載の医薬組成物。
[態様61]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様59に記載の医薬組成物。
[態様62]
前記医薬組成物が、ヒスチジン、トレハロース、及びポリソルベート20をさらに含む、態様50~61のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様63]
前記医薬組成物が、20mMのヒスチジン、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース、0.02%(w/v)のポリソルベート20をさらに含む、態様50~57のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様64]
前記医薬組成物が、5.5~6.5のpHを有する、態様50~63のいずれか1項に記載の医薬組成物。
[態様65]
前記医薬組成物が、6.1のpHを有する、態様64に記載の医薬組成物。
[態様66]
イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する方法であって、前記イムノコンジュゲートを0.1mM~20mMのメチオニンと混合して、前記イムノコンジュゲートと、メチオニンと、を含む医薬組成物を得ることを含み、前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化18A】
(CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化19A】
によって表される)によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化20A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化21A】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
C1上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数である、前記方法。
[態様67]
R
a及びR
bが、両方ともHであり、R
1が、HまたはMeである、態様66に記載の方法。
[態様68]
Pが、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N
9-トシル-Arg、Phe-N
9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号21)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号22)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号23)、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、及びMet-Alaから選択される、態様66または67に記載の方法。
[態様69]
Pが、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaである、態様68に記載の方法。
[態様70]
Qが、-SO
3Hである、態様66~69のいずれか1項に記載の方法。
[態様71]
Qが、Hである、態様66~69のいずれか1項に記載の方法。
[態様72]
R
3及びR
4が、両方ともHであり、nが、1~6の整数である、態様66~71のい
ずれか1項に記載の方法。
[態様73]
-L
C-が、次式:
【化22A】
によって表される、態様66~72のいずれか1項に記載の方法。
[態様74]
前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化23A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、NとCとの間の二重線
【化24A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とする、態様66に記載の方法。
[態様75]
CBAが、(a)ヒトCD123/IL3-Rα抗原のアミノ酸101~346内のエピトープに結合し、(b)抗原陽性TF-1細胞におけるIL3依存増殖を阻害する抗体またはその抗原結合断片である、態様66~74のいずれか1項に記載の方法。
[態様76]
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、
b)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、を含む、態様75に記載の方法。
[態様77]
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7のV
H配列と、配列番号9のV
L配列と、を含む、態様75に記載の方法。
[態様78]
前記抗体が、
a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、
b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、態様75に記載の方法。
[態様79]
イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する方法であって、前記イムノコンジュゲートを0.1mM~20mMのメチオニンと混合して、前記イムノコンジュゲートと、メチオニンと、を含む医薬組成物を得ることを含み、前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化25A】
(式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化26A】
によって表される)によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化27A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
xは、独立して、(C
1-C
6)アルキルであり、
W’は、-NR
eであり、
R
eは、-(CH
2-CH
2-O)
n1-R
kであり、
n1は、2~6の整数であり、
R
kは、-Hまたは-Meであり、
Z
sは、次式:
【化28A】
のうちのいずれか1つから選択され、
式中、
qは、1~5の整数であり、
M
+は、-H
+またはカチオンである、前記方法。
[態様80]
R
xが、独立して、-(CH
2)
p-(CR
fR
g)-であり、式中、R
f及びR
gは各々、独立して、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、pは、0、1、2、または3である、態様79に記載の方法。
[態様81]
R
f及びR
gが、同一であるか、または異なり、かつ-H及び-Meから選択される、態様80に記載の方法。
[態様82]
前記イムノコンジュゲートが、
【化29A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、W
Lは、1~10の整数であり、NとCとの間の二重線
【化30A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とする、態様79に記載の方法。
[態様83]
前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化31A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩である、態様82に記載の方法。[態様84]
前記抗体が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である、態様79~83のいずれか1項に記載の方法。
[態様85]
NとCとの間の二重線
【化32A】
が、単結合を表し、Xが、-Hであり、Yが、-SO
3Hである、態様66~84のいずれか1項に記載の方法。
[態様86]
Yが、-SO
3H、またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩である、態様66~85のいずれか1項に記載の方法。
[態様87]
前記医薬組成物が、0.1mM~10mMのメチオニンを含む、態様66~86のいずれか1項に記載の方法。
[態様88]
前記医薬組成物が、0.5~5mMのメチオニンを含む、態様87に記載の方法。
[態様89]
前記医薬組成物が、1.0~4.0mMのメチオニンを含む、態様87に記載の方法。[態様90]
前記医薬組成物が、3.0mMのメチオニンを含む、態様89に記載の方法。
[態様91]
前記医薬組成物が室温で6時間以上露光される場合、前記イムノコンジュゲートが、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満、または15%未満のメチオニン酸化を有する、態様66~90のいずれか1項に記載の方法。
[態様92]
前記医薬組成物が、前記医薬組成物を露光から保護する容器に入っている、態様66~91のいずれか1項に記載の方法。
[態様93]
前記医薬組成物が、1mg/mL~10mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様66~92のいずれか1項に記載の方法。
[態様94]
前記医薬組成物が、1mg/mL~5mg/mLの前記イムノコンジュゲートを含む、態様66~92のいずれか1項に記載の方法。
[態様95]
亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様66~94のいずれか1項に記載の方法。
[態様96]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様95に記載の方法。
[態様97]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様95に記載の方法。
[態様98]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様95に記載の方法。
[態様99]
次式:
【化33A】
によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法であって、CBAを、抗酸化剤の存在下で、次式:
【化34A】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Cは、1または2であり、
Cy
Cysは、次式:
【化35A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化36A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
1は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
P
1は、アミノ酸残基または2~5個のアミノ酸残基を含有するペプチドであり、
R
a及びR
bは、各出現において、独立して、-H、(C
1-C
3)アルキル、または荷電置換基もしくはイオン化基Qであり、
mは、1~6の整数であり、
L
Cは、
【化37A】
によって表され、s1は、CBAと共有結合する部位であり、s2は、Cy
C1上の-C(=O)-基と共有結合する部位であり、
R
2は、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
R
3及びR
4は、各出現において、独立して、-Hまたは(C
1-C
3)アルキルであり、
nは、1~10の整数であり、
L
C’は、
【化38A】
によって表される、前記方法。
[態様100]
前記抗酸化剤が、前記イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する、態様99に記載の方法。
[態様101]
前記抗酸化剤が、N-アセチルメチオニンである、態様99に記載の方法。
[態様102]
R
a及びR
bが、両方ともHであり、R
1が、HまたはMeである、態様99~101のいずれか1項に記載の方法。
[態様103]
Pが、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N
9-トシル-Arg、Phe-N
9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号21)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号22)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号23)、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、及びMet-Alaから選択される、態様99~102のいずれか1項に記載の方法。
[態様104]
Pが、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、またはD-Ala-D-Alaである、態様103に記載の方法。
[態様105]
Qが、-SO
3Hである、態様99~104のいずれか1項に記載の方法。
[態様106]
Qが、Hである、態様99~104のいずれか1項に記載の方法。
[態様107]
R
3及びR
4が、両方ともHであり、nが、1~6の整数である、態様99~106のいずれか1項に記載の方法。
[態様108]
-L
C-が、次式:
【化39A】
によって表され、
-L
C’が、次式:
【化40A】
によって表される、態様99~107のいずれか1項に記載の方法。
[態様109]
前記イムノコンジュゲートが、次式:
【化41A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、NとCとの間の二重線
【化42A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とする、態様99~101のいずれか1項に記載の方法。
[態様110]
CBAが、(a)ヒトCD123/IL3-Rα抗原のアミノ酸101~346内のエピトープに結合し、(b)抗原陽性TF-1細胞におけるIL3依存増殖を阻害する抗体またはその抗原結合断片である、態様99~109のいずれか1項に記載の方法。
[態様111]
前記抗体またはその抗原結合断片が、
a)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号5に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号6に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン重鎖可変領域と、
b)配列番号1に記載のアミノ酸配列を有するCDR1、配列番号2に記載のアミノ酸配列を有するCDR2、及び配列番号3に記載のアミノ酸配列を有するCDR3を含む免疫グロブリン軽鎖可変領域と、を含む、態様110に記載の方法。
[態様112]
前記抗体またはその抗原結合断片が、配列番号7のV
H配列と、配列番号9のV
L配列と、を含む、態様110に記載の方法。
[態様113]
前記抗体が、
a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、
b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、態様110に記載の方法。
[態様114]
次式:
【化43A】
式中、
CBAは、抗体またはその抗原結合断片であり、
W
Lは、1~20の整数であり、
Cy
Lys1は、次式:
【化44A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、
NとCとの間の二重線
【化45A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、単結合である場合、Xは、-Hまたはアミン保護部分であり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とし、
R
xは、独立して、(C
1-C
6)アルキルであり、
W’は、-NR
eであり、
R
eは、-(CH
2-CH
2-O)
n1-R
kであり、
n1は、2~6の整数であり、
R
kは、-Hまたは-Meであり、
Z
sは、次式:
【化46A】
のうちのいずれか1つから選択されるか、
またはその薬学的に許容される塩であり、式中、qは、1~5の整数である)によって表されるイムノコンジュゲートを調製する方法であって、
(a)次式:
【化47A】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩を、次の:
【化48A】
から選択される二官能性架橋剤と反応させて、
細胞毒性薬物-リンカー化合物を形成するステップであって、式中、Xは、ハロゲン、J
D-SH、-SSR
d、または-SC(=O)R
gであり、R
dは、フェニル、ニトロフェニル、ジニトロフェニル、カルボキシニトロフェニル、ピリジル、またはニトロピリジルであり、R
gは、アルキルであり、qは、1~5の整数であり、Uは、-HまたはSO
3Hである、前記ステップと、
(b)前記CBAを、抗酸化剤の存在下で、前記細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、前記イムノコンジュゲートを形成する前記ステップと、を含む前記方法。
[態様115]
前記細胞毒性薬物-リンカー化合物が、ステップ(b)で前記CBAと反応する前に精製されない、態様114に記載の方法。
[態様116]
前記抗酸化剤が、前記イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する、態様114または115に記載の方法。
[態様117]
前記抗酸化剤が、N-アセチルメチオニンメチルエステルである、態様116に記載の方法。
[態様118]
R
xが、独立して、-(CH
2)
p-(CR
fR
g)-であり、式中、R
f及びR
gは各々、独立して、-Hまたは(C
1-C
4)アルキルであり、pは、0、1、2、または3である、態様114~117のいずれか1項に記載の方法。
[態様119]
R
f及びR
gが、同一であるか、または異なり、かつ-H及び-Meから選択される、態様118に記載の方法。
[態様120]
前記イムノコンジュゲートが、
【化49A】
によって表されるか、またはその薬学的に許容される塩であり、式中、W
Lは、1~10の整数であり、NとCとの間の二重線
【化50A】
は、単結合または二重結合を表すが、但し、二重結合である場合、Xは、不在であり、Yは、-Hであり、単結合である場合、Xは、-Hであり、Yは、-OHまたは-SO
3Hであることを条件とする、態様114~117のいずれか1項に記載の方法。
[態様121]
前記抗体が、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である、態様114~120のいずれか1項に記載の方法。
[態様122]
NとCとの間の二重線
【化51A】
が、単結合を表し、Xが、-Hであり、Yが、-OHまたは-SO
3Hである、態様99~121のいずれか1項に記載の方法。
[態様123]
Yが、-SO
3H、またはそのナトリウム塩もしくはカリウム塩である、態様99~122のいずれか1項に記載の方法。
[態様124]
前記方法が、前記イムノコンジュゲートを製剤緩衝液中に精製して、前記イムノコンジュゲートと、0.1mM~10mMのメチオニンと、を含む医薬組成物を得ることをさらに含む、態様99~123のいずれか1項に記載の方法。
[態様125]
前記医薬組成物が、0.5mM~5mMのメチオニンを含む、態様124に記載の方法。
[態様126]
前記医薬組成物が、1mM~4mMのメチオニンを含む、態様124に記載の方法。
[態様127]
前記医薬組成物が、3mMのメチオニンを含む、態様124に記載の方法。
[態様128]
前記医薬組成物が、亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様124~127のいずれか1項に記載の方法。
[態様129]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様128に記載の方法。
[態様130]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様129に記載の方法。
[態様131]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様129に記載の方法。
[態様132]
次式:
【化52A】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、CBAを、抗酸化剤の存在下で、次式:
【化53A】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩と反応させることを含み、式中、
Yは、-SO
3Hまたはそのナトリウム塩であり、
W
Cは、2であり、
CBAは、a)配列番号8に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、b)配列番号10に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD123抗体である、前記方法。
[態様133]
前記抗酸化剤が、前記イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する、態様131に記載の方法。
[態様134]
前記抗酸化剤が、N-アセチルメチオニンである、態様131に記載の方法。
[態様135]
前記方法が、前記イムノコンジュゲートを製剤緩衝液中に精製して、前記イムノコンジュゲートと、1mM~4mMのメチオニンと、を含む医薬組成物を得ることをさらに含む、態様131~134のいずれか1項に記載の方法。
[態様136]
前記医薬組成物が、3mMのメチオニンを含む、態様135に記載の方法。
[態様137]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様135または136に記載の方法。
[態様138]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様137に記載の方法。
[態様139]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様138に記載の方法。
[態様140]
前記医薬組成物が、10mMのコハク酸、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース、及び0.01%(w/v)のポリソルベート20をさらに含む、態様135に記載の方法。
[態様141]
次式:
【化54A】
によって表されるイムノコンジュゲートまたはその薬学的に許容される塩を調製する方法であって、
(a)次式:
【化55A】
によって表される細胞毒性薬物またはその薬学的に許容される塩を、次式:
【化56A】
によって表される二官能性架橋剤スルホ-SPDBと反応させて、次式:
【化57A】
によって表される細胞毒性薬物-リンカー化合物またはその薬学的に許容される塩を形成するステップと、
(b)CBAを、抗酸化剤の存在下で、前記細胞毒性薬物-リンカー化合物と反応させて、前記イムノコンジュゲートを形成するステップと、を含み、式中、
Yは、-SO
3Hであり、
W
Lは、1~10の整数であり、
CBAは、配列番号18に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン重鎖と、配列番号20に記載のアミノ酸配列を有する免疫グロブリン軽鎖と、を含む、抗CD33抗体である、前記方法。
[態様142]
前記細胞毒性薬物-リンカー化合物が、ステップ(b)で前記CBAと反応する前に精製されない、態様141に記載の方法。
[態様143]
前記抗酸化剤が、前記イムノコンジュゲートにおけるメチオニン酸化の量を低減する、態様141または142に記載の方法。
[態様144]
前記抗酸化剤が、N-アセチルメチオニンメチルエステルである、態様141または142に記載の方法。
[態様145]
前記方法が、前記イムノコンジュゲートを製剤緩衝液中に精製して、前記イムノコンジュゲートと、1mM~4mMのメチオニンと、を含む医薬組成物を得ることをさらに含む、態様141~144のいずれか1項に記載の方法。
[態様146]
前記医薬組成物が、3mMのメチオニンを含む、態様145に記載の方法。
[態様147]
前記医薬組成物が、10μM~100μM、20μM~90μM、または30μM~80μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様145または146に記載の方法。
[態様148]
前記医薬組成物が、40μM~60μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様147に記載の方法。
[態様149]
前記医薬組成物が、50μMの亜硫酸水素ナトリウムをさらに含む、態様148に記載の方法。
[態様150]
前記医薬組成物が、20mMのヒスチジン、50μMの亜硫酸水素ナトリウム、7.2%(w/v)のトレハロース、0.02%(w/v)のポリソルベート20をさらに含む、態様145に記載の方法。
(i)Pが、Gly-Gly-Gly、Ala-Val、Val-Ala、Val-Cit、Val-Lys、Phe-Lys、Lys-Lys、Ala-Lys、Phe-Cit、Leu-Cit、Ile-Cit、Trp、Cit、Phe-Ala、Phe-N9-トシル-Arg、Phe-N9-ニトロ-Arg、Phe-Phe-Lys、D-Phe-Phe-Lys、Gly-Phe-Lys、Leu-Ala-Leu、Ile-Ala-Leu、Val-Ala-Val、Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号21)、β-Ala-Leu-Ala-Leu(配列番号22)、Gly-Phe-Leu-Gly(配列番号23)、Val-Arg、Arg-Val、Arg-Arg、Val-D-Cit、Val-D-Lys、Val-D-Arg、D-Val-Cit、D-Val-Lys、D-Val-Arg、D-Val-D-Cit、D-Val-D-Lys、D-Val-D-Arg、D-Arg-D-Arg、Ala-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、D-Ala-D-Ala、Ala-Met、及びMet-Alaから選択されるか、または(ii)PがAla-Ala、Ala-D-Ala、D-Ala-Ala、もしくはD-Ala-D-Alaである、請求項1に記載の医薬組成物。
前記医薬組成物が室温で6時間以上露光される場合、前記イムノコンジュゲートが、40%未満、35%未満、30%、25%未満、20%未満、または15%未満のメチオニン酸化を有する、請求項1に記載の医薬組成物。
前記医薬組成物が、ポリソルベート20をさらに含み、任意選択で、前記医薬組成物中の前記ポリソルベート20の濃度が、0.01~0.1%、0.01~0.05%、または0.01~0.03%(w/v)の範囲である、請求項1に記載の医薬組成物。
前記医薬組成物が、2mg/mLの前記イムノコンジュゲートと、3mMのメチオニンと、10mMのコハク酸と、50μMの亜硫酸水素ナトリウムと、7.2%(w/v)のトレハロースと、0.01%(w/v)のポリソルベート20とを含み、前記医薬組成物のpHが4.2である、請求項1に記載の医薬組成物。
前記医薬組成物が、ポリソルベート20をさらに含み、任意選択で、前記医薬組成物中の前記ポリソルベート20の濃度が、0.01~0.1%、0.01~0.05%、または0.01~0.03%(w/v)の範囲である、請求項19に記載の医薬組成物。
前記医薬組成物が、2mg/mLの前記イムノコンジュゲートと、3mMのメチオニンと、10mMのコハク酸と、50μMの亜硫酸水素ナトリウムと、7.2%(w/v)のトレハロースと、0.01%(w/v)のポリソルベート20とを含み、前記医薬組成物のpHが4.2である、請求項20に記載の医薬組成物。