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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003689
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】スライドアシスト装置
(51)【国際特許分類】
   E05F 1/16 20060101AFI20230110BHJP
   E05F 5/06 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
E05F1/16 B
E05F5/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104920
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000145895
【氏名又は名称】株式会社小林製作所
(71)【出願人】
【識別番号】000169329
【氏名又は名称】アトムリビンテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(72)【発明者】
【氏名】小林 大輔
(72)【発明者】
【氏名】吉田 尚弘
(72)【発明者】
【氏名】加藤 正利
(72)【発明者】
【氏名】▲浜▼田 幸一
【テーマコード(参考)】
2E050
【Fターム(参考)】
2E050LA03
2E050LB06
2E050LC02
2E050LD01
(57)【要約】
【課題】スライド部材が枠体に衝突する際の衝撃音を軽減することにより使い勝手の良いスライドアシスト装置を提供する。
【解決手段】枠体31と引きバネ32とスライド部材34と受け部材とを備え、引戸の開閉操作に伴いスライド部材34と受け部材とが係脱して引きバネ32に付勢力を蓄積又は開放させることにより引戸にスライドアシスト力を付与する。枠体31は、スライド部材34が摺接される角筒状の枠本体41と、嵌合ブロック60が枠本体41の内面に密接した状態で枠本体41の各端部に嵌め込まれるともに嵌合ブロック60が弾性体から構成されるエッジブロック42とを備える。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造物の開口部を開閉する引戸に設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられ前記引戸の開閉方向にスライドするスライド部材と、前記構造物に取り付けられ所定の範囲で前記スライド部材に係脱する受け部材とを備え、前記引戸の一方向へのスライド時に前記スライド部材と受け部材とが係合して前記弾性部材を伸長させることにより前記スライド部材に当該弾性部材の付勢力を蓄積させ、このスライド部材が所定の保持位置に到達したときに前記スライド部材が揺動することにより前記スライド部材と受け部材との係合が解除されて前記スライド部材が当該保持位置に保持され、前記引戸の反対方向へのスライド時に前記スライド部材と受け部材とが再係合することにより前記弾性部材の付勢力が開放されてスライドアシスト力として付与されるスライドアシスト装置であって、
前記枠体は、前記スライド部材が摺接される中空の枠本体と、少なくとも一部が前記枠本体の内面に密接した状態で前記枠本体の両端部に各々嵌め込まれるともに少なくとも前記嵌め込まれた部分が弾性体から構成されるエッジブロックとを備える、スライドアシスト装置。
【請求項2】
前記枠体は、前記引戸の開閉方向に沿って前記構造物に取り付けられたガイドレール内を転動するとともに前記エッジブロックに取り付けられたガイドローラを更に備え、
前記エッジブロックの前記嵌め込まれた部分は、ゴム弾性を示すエンジニアリングプラスチックによって構成される、請求項1記載のスライドアシスト装置。
【請求項3】
前記スライド部材は、スライド本体と、前記スライド本体に対して揺動することにより前記受け部材と係合する係合姿勢及びその係合状態を解除する解除姿勢を切換可能な状態に前記スライド本体に取り付けられるとともに前記係合姿勢において前記枠本体に対して摺接可能な係合体とを有し、
前記エッジブロックは、前記解除姿勢における前記係合体の揺動先端部が挿入されることにより当該揺動先端部に揺動抵抗を付与する溝部が設けられている、請求項1又は請求項2記載のスライドアシスト装置。
【請求項4】
前記係合体は、前記弾性部材によって前記解除姿勢に付勢されている、請求項3に記載のスライドアシスト装置。
【請求項5】
前記枠本体は、前記スライド部材を案内するガイドスリット及び前記ガイドスリットの一端に連設され前記スライド部材の前記揺動を許容する姿勢切換口を有する天壁と、前記ガイドスリット及び前記姿勢切換口の間の前記天壁から下方に舌状に垂下して前記スライド部材と係合する保持舌片とを含み、
前記エッジブロックは、前記保持舌片の先端部を支持する、請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスライドアシスト装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、戸枠内等でスライドして構造物の開口部を開閉する引戸に対し、開閉方向の少なくともいずれか一方向のスライドアシスト力を付与する引戸のスライドアシスト装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に記載されているようなドアクローザーが知られている。このドアクローザーは、引きバネの付勢力によって引戸の閉止方向のスライドをアシストする。
【0003】
具体的には、ドアクローザーは、引戸の上端側に付設された本体ボディと、この本体ボディ内に一端がフリー状態で収容される引きバネと、本体ボディ内に一端がフリー状態で収容されるエアダンパと、これらの引きバネ及びエアダンパのフリー端部に取り付けられたキャッチ体付き摺動ブロックと、戸枠に下方に突出する態様で設けられたフック体とを備える。このドアクローザーは、引戸開動作に伴いキャッチ体とフック体とが係合して引きバネを所定量延伸した時点でキャッチ体が回動することにより、このフック体とキャッチ体との係合状態が解除されるとともに、このキャッチ体が本体ボディに停止保持される。一方、ドアクローザーは、引戸閉動作に伴いキャッチ体とフック体とが再係合してキャッチ体の停止保持状態が解除される。その上で、ドアクローザーは、フック体に係合したキャッチ体を含めた摺動ブロックがスライドして、エアダンパにより引戸を減速させるとともに、引きバネの付勢力で引戸の閉方向のスライドをアシストする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008-156851号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、前記本体ボディは、ステンレスなどの鋼板や硬質の合成樹脂など硬質素材によって引戸開閉方向に長尺の中空箱状体として形成されている。このため、引戸開動作や閉動作に伴い、キャッチ体とフック体との係合が解除され、或いは再係合すると、キャッチ体が回動して本体ボディに衝突することにより衝撃音が生じる。特に、引戸を勢いよく閉めた場合には、フック体がキャッチ体の係合バーに係合するとともにキャッチ体が回動起立して、前記係合バーが一度浮き上がった上で硬質の本体ボディに勢いよく衝突する。この係合バーの衝突により、本体ボディが振動して比較的大きな衝撃音が生じることがあり、このような衝撃音を抑制して使い勝手を改善することが求められていた。
【0006】
本発明は、前記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、キャッチ体などのスライド部材が本体ボディなどの枠体に衝突する際の衝撃音を軽減することにより使い勝手の良いスライドアシスト装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、この発明に係るスライドアシスト装置は、構造物の開口部を開閉する引戸に設けられた枠体と、この枠体内に一端がフリー状態で収容される弾性部材と、この弾性部材のフリー端部に取り付けられ前記引戸の開閉方向にスライドするスライド部材と、前記構造物に取り付けられ所定の範囲で前記スライド部材に係脱する受け部材とを備え、前記引戸の一方向へのスライド時に前記スライド部材と受け部材とが係合して前記弾性部材を伸長させることにより前記スライド部材に当該弾性部材の付勢力を蓄積させ、このスライド部材が所定の保持位置に到達したときに前記スライド部材が揺動することにより前記スライド部材と受け部材との係合が解除されて前記スライド部材が当該保持位置に保持され、前記引戸の反対方向へのスライド時に前記スライド部材と受け部材とが再係合することにより前記弾性部材の付勢力が開放されてスライドアシスト力として付与されるスライドアシスト装置であって、前記枠体は、前記スライド部材が摺接される中空の枠本体と、少なくとも一部が前記枠本体の内面に密接した状態で前記枠本体の両端部に各々嵌め込まれるともに少なくとも前記嵌め込まれた部分が弾性体から構成されるエッジブロックとを備える。
【0008】
この発明によれば、前記枠体と前記弾性部材と前記スライド部材と前記受け部材とを備え、前記スライド部材が揺動することにより、前記スライド部材と受け部材とが係合し、或いはこの係合状態が解除されて前記弾性部材の付勢力が蓄積、或いは開放され、これにより前記引戸にスライドアシスト力が付与される。前記スライド部材の揺動に伴い当該スライド部材と前記枠体とが衝突することにより前記枠体が振動するなどして衝撃音が生じることがある。この発明によれば、前記枠体は、前記スライド部材が摺接される角筒状の枠本体と、少なくとも一部が前記枠本体の内面に密接した状態で前記枠本体の両端部に各々嵌め込まれるともに少なくとも前記嵌め込まれた部分が弾性体から構成されるエッジブロックとを備えるので、前記衝撃音が生じた場合でも、前記エッジブロックにより前記枠本体の振動を抑制して衝撃音を軽減することができる。これにより、スライドアシスト装置の静音性を向上させ、使い勝手を改善することができる。
【0009】
この発明において、前記枠体の具体的構成を特に限定するものではないが、前記枠体は、前記引戸の開閉方向に沿って前記構造物に取り付けられたガイドレール内を転動するとともに前記エッジブロックに取り付けられたガイドローラを更に備えるのが好ましく、この場合、前記エッジブロックの前記嵌め込まれた部分は、ゴム弾性を示すエンジニアリングプラスチックによって構成されるのが好ましい。
【0010】
前記構造物に取り付けられたガイドレールに沿って前記引戸をスライドさせる場合に円滑な当接面を有するスライドブロックによって前記ガイドレールに対して前記引戸を相対的に移動させるもの等であってもよいが、前記ガイドローラにより一層円滑に前記ガイドレールに沿って前記引戸をスライドさせることができる。このガイドローラを前記エッジブロックに取り付けることによりエッジブロックを有効に活用して前記ガイドローラを支持することができ、ガイドローラ取付用の別途部材を設ける場合に比べてコンパクトに形成することができる。一方、前記エッジブロックの前記嵌め込まれた部分が弾性体として構成されているため、前記引戸の開閉操作に伴い前記ガイドローラと前記エッジブロックとの相対的な位置関係が不安定になるおそれがある。
【0011】
しかしながら、前記のように構成すれば、エッジブロックの前記嵌め込まれた部分は、ゴム弾性を示すエンジニアリングプラスチックによって構成されているので、スライドアシスト装置の静音性の改善を維持したまま、動作安定性を担保することができる。すなわち、エッジブロックのゴム弾性としての特性に基づき、前記枠本体の振動を抑制して、前記衝撃音を効果的に軽減することができる。一方、このエッジブロックのエンジニアリングプラスチックとしての特性に基づき、前記ガイドローラと前記エッジブロックとの相対的な位置関係を安定させ、ひいてはスライドアシスト装置の動作安定性を担保することができる。
【0012】
前記スライド部材の具体的構成を特に限定するものではなく、前記スライド部材の全体がスライド及び揺動するもの等であっても良いが、前記スライド部材は、スライド本体と、前記スライド本体に対して揺動することにより前記受け部材と係合する係合姿勢及びその係合状態を解除する解除姿勢を切換可能な状態に前記スライド本体に取り付けられるとともに前記係合姿勢において前記枠本体に対して摺接可能な係合体とを有するのが好ましい。この場合、前記エッジブロックは、前記解除姿勢の前記係合体の揺動先端部が挿入されることにより当該揺動先端部に揺動抵抗を付与する溝部が設けられているのが好ましい。
【0013】
このように構成すれば、前記枠体に対して相対的にスライドする前記スライド部材を少なくとも前記スライド本体と前記係合体とに分割して構成することにより、スライド部材の全体を姿勢切換する場合に比べて、前記係合体の姿勢切換を安定して行うことができる。また、このように揺動する部材をコンパクトに構成することにより前記衝撃音を軽減することができる。しかも、前記エッジブロックは、前記解除姿勢の前記係合体の揺動先端部が挿入されることにより当該揺動先端部に揺動抵抗を付与する溝部が設けられているので、前記係合体が前記係合姿勢と前記解除姿勢との間で姿勢切換を行う場合に、前記溝部によって前記係合体の揺動に抵抗を与えて移動速度を低下させることができ、これにより衝撃音をより効果的に軽減することができる。
【0014】
この場合、前記係合体は、前記弾性部材によって前記係合姿勢に付勢されているもの等であっても良いが、前記係合体は、前記弾性部材によって前記解除姿勢に付勢されているのが好ましい。
【0015】
このように構成すれば、前記係合体を前記係合姿勢から前記解除姿勢に適正に姿勢変更させることができる。一方、前記係合体を前記解除姿勢に切り換える場合に勢いよく姿勢変更した場合でも、前記のように前記エッジブロックの消音効果を適切に発揮することができるので、この弾性部材による前記係合体の付勢による衝撃音の影響を可及的に抑制することができる。
【0016】
前記枠本体は、前記スライド部材のスライドを案内できるものであれば特に限定するものではなく、上方に開口する断面U字状に構成された角筒状等であってもよいが、前記枠本体は、前記スライド部材を案内するガイドスリット及び前記ガイドスリットの一端に連設され前記スライド部材の前記揺動を許容する姿勢切換口を有する天壁と、前記ガイドスリット及び前記姿勢切換口の間の前記天壁から下方に舌状に垂下して前記スライド部材と係合する保持舌片とを含むのが好ましい。この場合、前記保持舌片の先端部は、遊端部として構成されているものであってもよいが、前記エッジブロックにより支持されるのが好ましい。
【0017】
このように構成すれば、前記解除姿勢の前記係合体について、前記保持舌片と係合させて姿勢を安定させることができ、スライドアシスト装置の動作を安定させることができる。しかも、前記エッジブロックは、前記保持舌片の先端部を支持するので、前記スライド部材の揺動に伴い衝撃音が生じる場合であっても、前記保持舌片の振動を抑制することができ、スライドアシスト装置の動作を安定させつつも、前記衝撃音の軽減を適切に行うことができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明に係るスライドアシスト装置によれば、前記スライド部材の揺動に伴い当該スライド部材と前記枠体とが衝突して衝撃音が生じる場合であっても、前記枠本体の振動を抑制して衝撃音を軽減することができ、スライドアシスト装置の静音性を向上させ、使い勝手を改善することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本実施形態に係るスライドアシスト装置を一部断面で示す正面図である。
図2】同装置を一部拡大して示す断面図である。
図3】同装置の枠本体と第1エッジブロックとを分解した状態で示す斜視図である。
図4】第1エッジブロックを示す正面図である。
図5図2のV-V線断面図である。
図6】第2エッジブロックを示す正面図である。
図7】スライド部材、引きバネ及びダンパ部材を分解した状態で示す斜視図である。
図8】スライド部材の動作を示す概念図であり、係合ブロックが係合姿勢にある状態を示すものである。
図9】スライド部材の動作を示す概念図であり、係合ブロックが解除姿勢にある状態を示すものである。
図10】両利き用のスライドアシスト装置の他方のスライド部材を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、本実施形態のスライドアシスト装置は、建物内などの開口部に用いられる吊下式引戸に適用したものであるが、本発明のスライドアシスト装置は、建物内などの開口部に用いられる非吊下式の引戸、その他の家具等に用いられる引戸等にも適用することができる。
【0021】
図1は本実施形態に係るスライドアシスト装置を一部断面で示す正面図であり、図2は同装置を一部拡大して示す断面図である。なお、説明の便宜上、各図における+X方向を右方向、+Y方向を後方向、+Z方向を上方向として説明するが、これらの方向の表現については特に限定されるものではなく、単に本実施形態の装置内における相対的な位置関係を表したものである。
【0022】
まず、本実施形態のスライドアシスト装置1が取り付けられる引戸Dの構造について簡単に説明する。引戸Dは、建物(構造物に対応)の内部の開口部を開閉するものであり、戸枠(不図示)内をスライド移動する。戸枠は、鴨居下面に左右方向に沿って設けられ引戸Dのスライド方向をガイドするガイドレールLを含む。このガイドレールLの軸方向に直交する断面は、下方に開口するC字状に形成されている。このガイドレールLの前後一対の下部フランジL1に、引戸Dの頂部に配設された後述の第1及び第2のガイドユニット10,11が係合することにより、引戸Dは吊下状態に案内される。
【0023】
第1ガイドユニット10は、引戸Dに固定された引戸固定体2と、この引戸固定体2に連結部23を介して取り付けられ引戸Dのスライドアシスト機能を有するアシスト装置本体3(以下、単に「装置本体」という)とを備える。第2のガイドユニット11は、引戸Dに固定された第2引戸固定体12と、この第2引戸固定体12に連結部24を介して取り付けられたガイドローラユニット13とを備える。引戸固定体2及び第2引戸固定体12は、それぞれ連結部調整機構14によって各引戸固定体2,12からの連結部23,24の突出高さや、各引戸固定体2,12からの連結部23,24の前後突出位置(引戸幅方向の突出位置)を調整し得るものとなされている。この連結部調整機構14により、例えば経年によって引戸Dと戸枠(特に側部内面)との間に隙間が生じた場合でも引戸Dの上下又は前後に傾斜せしめるなどして閉め残しを解消することができる。
【0024】
そして、本実施形態のスライドアシスト装置1は、この引戸Dの頂部に配設された第1ガイドユニット10と、ガイドレールLの天面に固定される受け部材5とを備え、第1ガイドユニット10の装置本体3と受け部材5とが協働して付勢力を蓄積又は解放可能に構成され、前記解放された付勢力をスライドアシスト力として引戸Dに対して付与されるようになっている。以下、具体的に説明する。
【0025】
装置本体3は、図1及び図2に示すように、引戸固定体2に取り付けられた枠体31と、この枠体31内に一端(図例では右端)がフリー状態で収容される引きバネ32(弾性部材に対応)と、枠体31内に一端(図例では右端)がフリー状態でかつ引きバネ32と上下に並列に収容されたダンパー部材33と、この引きバネ32及びダンパー部材33のフリー端部に取り付けられたスライド部材34とを備え、前記付勢力としての引きバネ32の弾性力を蓄積又は解放可能に構成されている。
【0026】
枠体31は、左右方向(引戸Dの開閉方向)に細長い角筒状の枠本体41と、この枠本体41の長手方向一端部(右端部)に一部が嵌め込まれる第1エッジブロック42と、枠本体41の長手方向他端部(左端部)に一部が嵌め込まれる第2エッジブロック43と、第1エッジブロック42に取り付けられた第1ガイドローラユニット44と、第2エッジブロック43に取り付けられた第2ガイドローラユニット45とを備え、第1ガイドローラユニット44において引戸固定体2の連結部23に連結されている。第1ガイドローラユニット44及び第2ガイドローラユニット45は、それぞれ前後一対ないしは前後複数対のガイドローラ44a,45aを有し、ガイドローラ44a、45aがガイドレールLの下部フランジL1上を転動することにより引戸Dを円滑にスライドさせる。
【0027】
枠本体41は、図3及び図5に示すように、ステンレスや鉄などの鋼板又はエンジニアリングプラスチックなどの硬質素材からそれぞれなる上下各部枠体46、47を有し、左右両端部が開放された四角筒形に構成されている。本実施形態では、上下各部枠体46,47は、ステンレス鋼板を屈曲して形成され、上部枠体46の下端部が下部枠体47の上端部に外嵌された状態で長手方向の複数箇所において接合されることにより、筒形に一体化されている。
【0028】
上部枠体46は、左右方向に延びる細長矩形状の天壁461と、天壁461の前後幅方向対称位置から下方に舌状に垂下する一対の保持舌片462と、天壁461の前後両側縁からそれぞれ下方に垂下する上部側壁463とを備える。
【0029】
天壁461は、左右方向に延びる板状体である。この天壁461は、左右方向に延びるガイドスリット461aと、ガイドスリット461aの一端に連設された姿勢切換口461bとを有する。ガイドスリット461aは、スライド部材34を案内するものであり、枠本体41の天壁461の左右方向の中間部(本実施形態では中央部から右方に寄った位置)を始点にして右方へ延設された細長いスリットである。このガイドスリット461aの前後幅は、スライド部材34の後述する受け係合部821の前後幅よりも狭く設定されている。これにより、受け係合部821は、スリット461aの前後両側の天壁461に係合し、スライド部材34がスライドする際に天壁461上を摺接する。
【0030】
また、姿勢切換口461bは、ガイドスリット461aの右端に連設されている。この姿勢切換口461bは、ガイドスリット461aの前後幅寸法に対して前後に拡幅し、受け係合部821よりも幅広に構成されている。従って、この姿勢切換口461bは、スライド部材34の揺動を許容する。すなわち、スライド部材34がこの姿勢切換口461bに至った場合に、受け係合部821がこの姿勢切換口461bを通過することによりスライド部材34が揺動する。
【0031】
保持舌片462は、図2及び図3に示すように、ガイドスリット461aと姿勢切換口461bとの間にガイドスリット461aを挟んで前後一対設けられている。具体的には、保持舌片462は、天壁461に連設され、ガイドスリット461aの長手方向一端(図例では右端)に対応する位置において天壁461から姿勢切換口461b内に突出するとともに下方に湾曲することにより、舌状に垂下している。保持舌片462には、受け係合部821が解除姿勢において係合することにより受け係合部821(係合ブロック82)を解除姿勢で保持する。
【0032】
一方、下部枠体47は、左右方向に延び天壁461に対して上下方向に対向する底壁471と、底壁471の前後両側縁から上方に起立する下部側壁472とを備え、上部枠体46が外嵌されるように各部の寸法設定がされている。また、下部枠体47は、底壁471の前後幅方向の寸法がガイドレールLの下方開口幅よりも狭く設定され、下端部がガイドレールLから下方に僅かに突出している。これにより、枠本体41の内部容積が拡大する。更に、下部枠体47は、外面が黒色など目立たない色に着色され、下方突出部分が目立たないように工夫が施されている。なお、底壁471の両端部には、第1エッジブロック42及び第2エッジブロック43を下部枠体47に固定するためのネジ35のためのネジ穴471aがそれぞれ設けられている(図2参照)。
【0033】
次に、第1エッジブロック42について説明する。図3は枠本体と第1エッジブロックとを分解した状態で示す斜視図であり、図4は第1エッジブロックを示す正面図である。また、図5図2のV-V線断面図である。
【0034】
第1エッジブロック42は、図2及び図3に示すように、一端部が枠本体41の右端部に内嵌され、他端部に第1ガイドローラユニット44が取り付けられる。この第1エッジブロック42は、弾性体から構成されることにより防振機能を有し、枠本体41に当接することにより枠本体41の振動等を抑制、減衰して衝撃音の音圧(音量)を低下させる。この弾性体のうち、ゴム弾性を有するエンジニアリングプラスチック(エンジニアリングエラストマ)を使用することにより、第1エッジブロック42に対する第1ガイドローラ44aの相対的な位置関係が安定し、スライドアシスト装置1の動作安定性を向上させることができる。
【0035】
具体的には、第1エッジブロック42は、ゴムや熱可塑性エラストマなどのエラストマから一体成形されている。熱可塑性エラストマは、ゴム弾性を示すソフトセグメントと塑性変形を防止する架橋ゴムの架橋点の役目を果たすハードセグメントよりなるブロック共重合体であり、その材質は、特に限定されないが、ポリエステル系エラストマ、ポリスチレン系エラストマ、ポリウレタン系エラストマ、ポリアミド系エラストマ、ポリ塩化ビニル系エラストマ、オレフィン系エラストマなどが挙げられる。好ましくは、ポリエステル系エラストマを使用するのが良い。より具体的には、熱可塑性エラストマとして、例えば、東洋紡績(株)製の熱可塑性ポリエステルエラストマ「ペルプレン(登録商標)」、東レ・デュポン社製の熱可塑性ポリエーテルエステルエラストマ「ハイトレル(登録商標)」などのエンジニアリングエラストマが挙げられる。
【0036】
この第1エッジブロック42は、図3及び図4に示すように、枠本体41の一端部に内嵌される嵌合ブロック60と、嵌合ブロック60に連設され枠本体41から露出する露出ブロック61とを備え、本実施形態ではエンジニアリングエラストマによって一体成形されている。
【0037】
嵌合ブロック60は、枠本体41の内側に嵌合されることにより、外周面の少なくとも一部が枠本体41の内周面に密接するように構成されたブロック状体である。具体的には、嵌合ブロック60は、図4に示すように、露出ブロック61に連設された縮幅部63と、縮幅部63に連設される嵌合本体64と、嵌合本体64に連設される揺動受け部65とを備える。この嵌合ブロック60は、下部の前後幅寸法が下部枠体47の前後内法と同等に形成されるとともに、上部の前後幅寸法が上部枠体46の前後内法(内側面間の寸法)と同等に形成されている。これにより、嵌合ブロック60は、枠本体41に取り付けられた状態で、下部の前後側面が下側部当接面60aとして下部枠体47の内側面に密接するとともに上部の前後側面が上側部当接面60bとして上部枠体46の内側面に密接する。また、嵌合ブロック60は、左右長さ寸法が枠本体41の右端から姿勢切換口461bまでの長さ寸法よりも大きくなるように設定され、揺動受け部65が姿勢切換口461bの下方に配置されるように構成されている。なお、嵌合ブロック60(特に嵌合本体64)に適宜肉盗みを設けて、下側部当接面60a及び上側部当接面60bのヒケを抑制するように構成しても良い。
【0038】
縮幅部63は、嵌合本体64と露出ブロック61とを連結するものであり、嵌合本体64の前後幅寸法及び露出ブロック61の前後幅寸法よりも小さい寸法に設定されている。
【0039】
嵌合本体64は、枠本体41の内周面に密接し、枠本体41の振動を抑制するものである。嵌合本体64は、図5に示すように、前後幅が下部枠体47の前後内法と同等に形成された下部本体641と、前後幅が上部枠体46の前後内法と同等に形成された上部本体642とを備え、底面が下部枠体47の底壁471に密接した状態で下部枠体47に取り付けられている。下部本体641の前後側面が下側部当接面60aの一部を構成する。上部本体642の前後側面が上側部当接面60bの一部を構成する。また、嵌合本体64は、下方に開口するネジ穴64aが形成されている。このネジ穴64aにネジ35が螺入されることにより第1エッジブロック42は、枠本体41に取り付けられる。
【0040】
下部本体641は、下部枠体47の前後側壁の高さ寸法よりも大きくなるように設定され、上部本体642が下部枠体47に干渉しないように設定されている。
【0041】
上部本体642は、下部本体641に対して前後拡幅して構成されている。この上部本体642の上面は、縮幅部63の上面と面一(以下、略面一も含む)に形成されるとともに上部枠体46の天壁461に対向する水平上面642aと、水平上面642aの左端から左方に向かうに従って下方に傾斜する傾斜上面642bとを有し、傾斜上面642bが上部枠体46の姿勢切換口461bから露出するように寸法設定されている。水平上面642aは、上部枠体46の天壁461の下面に当接するものであっても良いが、本実施形態では天壁461から僅かに離間して配置されている。
【0042】
次に、揺動受け部65について説明する。揺動受け部65は、嵌合本体64の左端下部から左右方向に延びるブロック状体である。揺動受け部65は、前後幅が下部枠体47の前後内法と同等に形成されることにより側面が下側部当接面60aの一部を構成し、上端部が前後に突出しこの突出先端面が上側部当接面60bの一部を構成する。この揺動受け部65は、枠本体41の姿勢切換口461bの下方に配置され、係合ブロック82の後述する首部822を挟持するとともに保持舌片462の先端部を支持する。
【0043】
具体的には、揺動受け部65は、嵌合本体64の高さよりも低く設定されたブロック状体である。揺動受け部65は、上下方向に貫通する貫通孔651と、貫通孔651に連通するとともに左方及び上方に開口して係合ブロック82の首部822を摺動可能に挟持する溝部652と、溝部652の前後両側に設けられ、保持舌片462の先端部が挿入支持される支持溝653とを備える。
【0044】
貫通孔651は、平面視略横長矩形状の孔であり、肉盗みとしての役割を果たす。また、この貫通孔651には、解除姿勢の係合ブロック82の先端部(首部822)が配置される。
【0045】
溝部652は、貫通孔651の前後幅よりも縮幅された溝であり、係合ブロック82の首部822(揺動先端部)が挿入されることにより係合ブロック82の揺動動作に抵抗を付与する。具体的には、溝部652は、係合ブロック82の首部822の前後厚み寸法と同等の前後幅を有することにより、係合ブロック82に摺接可能に構成され、係合ブロック82の揺動に対して抵抗を付与する。
【0046】
各支持溝653は、上方に開口するとともに前後幅方向外側に開口し、上方から保持舌片462が挿入される。各支持溝653は、図4に明示するように、上部が正面視(背面視)ロート状に拡開し、保持舌片462が挿入し易くなっている。また支持溝653は、下部が保持舌片462の厚みに対応する左右溝幅を有し、保持舌片462の先端部を挟持可能に構成されている。
【0047】
一方、露出ブロック61は、枠本体41から露出し、第1ガイドローラユニット44が取り付けられるものである。露出ブロック61は、下端部が下部枠体47に応じて縮幅された略直方体状のブロック状体である。
【0048】
具体的には、露出ブロック61は、露出本体70と、露出本体70の上部に左右方向について嵌合ブロック60側に突出して設けられた抑制部71とを備える。本実施形態では、露出ブロック61は、露出本体70が枠本体41の右端面に当接した状態で枠本体41に取り付けられている。
【0049】
露出本体70は、左右方向に直交する断面が枠本体41の同断面と同等ないしは大きいブロック状体である。具体的には、露出本体70は、上面及び下面が枠本体41の上面及び下面と面一になるように形成され、前後側面が枠本体41の前後側面よりも前方又は後方に偏位突出した位置に配置されるように形成されている。露出本体70の左側面は、嵌合ブロック60の左右方向に直交する断面よりも一回り拡大して形成され、この拡大された左側面が枠本体41の右端面に当接する。この露出本体70は、図2に示すように、第1ガイドローラユニット44の一端部が嵌入される取付孔70aと、この取付孔70aに連通し、第1ガイドローラユニット44を固定するためのネジ36が挿入されるネジ穴70bとを有する。取付孔70aは、露出本体70の左端面から右方向に向かって延びる。ネジ穴70bは、露出本体70の下面から上方に向かって延び、取付孔70aに連通する。
【0050】
抑制部71は、本実施形態では、露出本体70の上面に前後一対設けられている。各抑制部71は、露出本体70よりも左方に突出する直方体状のブロックであり、第1エッジブロック42が枠本体41に取り付けられた状態で上部枠体46の天壁461の上面に当接する。これにより、前後一対の抑制部71は、枠本体41の天壁461を上方から押さえつけてその振動を効果的に抑制する。
【0051】
次に、第2エッジブロック43について説明する。図6は、第2エッジブロックを示す正面図である。第2エッジブロック43は、嵌合ブロック66と、露出ブロック61とを備え、本実施形態ではエンジニアリングエラストマによって一体成形されている。この第2エッジブロック43は、第1エッジブロック42に対して、左右反転した構成を有するとともに、揺動受け部65に代えて取付ブロック67が設けられている点を除いては第1エッジブロック42と同様に構成されている。すなわち、第2エッジブロック43の露出ブロック61や、嵌合ブロック66の縮幅部63及び嵌合本体64は、第1エッジブロック42の露出ブロック61や、嵌合ブロック66の縮幅部63及び嵌合本体64と同様に形成されている。第2エッジブロック43については、第1エッジブロック42と同様に構成されている点は符号を同じくして説明を省略し、以下異なる点を中心に説明する。
【0052】
第2エッジブロック43の嵌合ブロック66は、縮幅部63と、嵌合本体64と、嵌合本体64に連設される取付ブロック67とを備える。第2エッジブロック43の嵌合本体64は、本実施形態では第1エッジブロック42の嵌合本体64よりも左右長尺に形成されているとともに傾斜上面642bが省略され全長に亘って水平上面642aが設けられているが、第1エッジブロック42の嵌合本体64と同等に形成されても良い。
【0053】
取付ブロック67は、嵌合本体64に連設されこの嵌合本体64に対して高さが低く設定された連結部75と、連結部75に連設される取付ベース部76とを備え、下部の前後側面が下側部当接面60aの一部を構成するとともに上部の前後側面が上側部当接面60bの一部を構成する。なお、取付ブロック67に適宜肉盗みを設けて、下側部当接面60a及び上側部当接面60bのヒケを抑制するように構成しても良い。
【0054】
連結部75は、嵌合本体64と取付ベース部76とを連結するものであり、前後側面が嵌合本体64の前後側面と面一に形成され、嵌合本体64の下部本体641よりも低く形成されている。
【0055】
取付ベース部76は、引きバネ32及びダンパー部材33の一端部が取り付けられるとともに、嵌合本体64と同様に枠本体41の内周面に密接する。取付ベース部76は、前後幅が下部枠体47の前後内法と同等に形成された下部ベース部761と、前後幅が上部枠体46の前後内法と同等に形成された上部ベース部762とを備え、底面が下部枠体47の底壁471上に配置されている。すなわち、取付ベース部76は、下部ベース部761の前後側面が下側部当接面60aの一部を構成するとともに、上部ベース部762の前後側面が上側部当接面60bの一部を構成する。
【0056】
下部ベース部761は、下部枠体47の前後側壁の高さ寸法よりも大きくなるように設定され、上部ベース部762が下部枠体47に干渉しないように設定されている。下部ベース部761は、左右方向に直交する断面が下方に開口するU字状に形成され、左右方向中央部に引きバネ32の一端部を係止するバネ係止部761aが内部U字空間に突出して設けられている。このバネ係止部761aは、下方に開口する係止切欠き761bが設けられ、係止切欠き761bに引きバネ32の一端部が下方から挿入係止される。
【0057】
上部ベース部762は、下部ベース部761に対して前後拡幅して構成されている。この上部ベース部762は、上面視T字状に開口するダンパ係止部762aが設けられ、このダンパ係止部762aにダンパー部材33の一端部が係止される。
【0058】
引きバネ32は、第2エッジブロック43とスライド部材34との間に介設され、スライド部材34に付勢力を付与するためのものである。具体的には、引きバネ32の一端部は第2エッジブロック43の右端部(具体的にはバネ係止部761a)に係止されることにより枠体31に固定され、フリー端部である他端部がスライド部材34の係合ブロック82の下端部に係止され、これにより引きバネ32が各部材43,34間に張設されている。なお、この引きバネ32に代えて、天然ゴムや合成樹脂等からなる弾性部材(例えばゴムバンド)を用いても良い。
【0059】
ダンパー部材33は、シリンダと該シリンダ内に嵌め込まれるピストンロッドとを備えた直動式ダンパーであり、引きバネ32の付勢力又は引戸Dのスライド力に対して緩衝効果を付与するものである。このダンパー部材33は、第2エッジブロック43とスライド部材34の間に架設され、引きバネ32の上方において該引きバネ32と並列に配置されている。具体的には、ダンパー部材33の一端部は第2エッジブロック43の右端部のダンパ係止部762aに挿入係止されることにより枠体31に固定され、フリー端部である他端部がスライド部材34の後述するスライドブロック80の左端部に係止され、これによりダンパー部材33が各部材43,34の間に架設されている。
【0060】
次にスライド部材34について説明する。図7は、スライド部材、引きバネ、及びダンパー部材を分解して示す斜視図である。図8及び図9はスライド部材の動作を示す概念図であり、図8は係合ブロックが係合姿勢にある状態を示し、図9は係合ブロックが解除姿勢にある状態を示す。
【0061】
具体的には、スライド部材34は、ダンパー部材33のフリー端部が係止されるスライドブロック80(スライド本体に対応)と、引きバネ32のフリー端部が係止され、スライドブロック80に対して揺動可能に取り付けられた係合ブロック82(係合体に対応)とを備えている。このスライド部材34は、ガイドスリット461aの左端部に対応する初期位置と、枠体31の姿勢切換口461bに対応する所定の保持位置との間を引戸Dの開閉操作に伴って枠体31に対して相対的にスライド移動するようになされている。なお、スライド部材34が初期位置にある場合には、引戸Dは閉止位置にあるようになされている。
【0062】
スライドブロック80は、階段状に形成されたブロック状体であり、枠本体41内を摺動可能に構成されている。具体的には、スライドブロック80は、開閉方向(左右方向)に沿って延び係合ブロック82を支承する支承部801と、支承部801の一端部(図例では左端部)から上方に突設され、係合姿勢の係合ブロック82の後述する第2係合当接面823dに当接する当接部802とを備える。
【0063】
支承部801は、上壁において後述する解除姿勢にある係合ブロック82を下方から支承するものであり、下方に開口する断面U字状の枠体として構成されている。すなわち、支承部801は、左右方向に延びる上壁801aと、上壁801aの前後両縁から下方に延びる前後一対の側壁801bとを備える。上壁801aは、当接部802よりも右側の上面が平面視矩形状の平滑面であり、当接部802に隣接する一端部(図例では左端部)に上下に貫通する挿通孔801cを有する。挿通孔801cは、平面視矩形状を呈し、係合ブロック82の後述するバネ係止突部825が左右方向(引戸開閉方向)に移動可能に遊びを持たせている。これにより、係合ブロック82は、スライドブロック80に対して、揺動可能あるとともに係合ブロック82に受け部材5に再係合(後述)する場合に係合ブロック82の破損を効果的に抑制することができる。なお、支承部801における前後の側壁801bの間に係合ブロック82のバネ係止突部825と干渉しないように、一ないし複数の補強用リブが架設されているものであっても良い。
【0064】
当接部802は、支承部801の左端部において上方に突出するブロック状体であり、係合姿勢における係合ブロック82の第2係合当接面823dが当接されるとともにダンパー部材33のフリー端部が取り付けられるものである。具体的には、当接部802は、支承部801における上壁801aの左端部から上方に突出する当接基体802aと、当接基体802aの突出先端面から更に上方に突出する補強突出部802bとを備える。当接基体802aは、支承部801における上壁801aの上面に対して垂直に起立する起立当接面802cを有し、この起立当接面802cに係合姿勢時における第2係合当接面823dが当接する。また、当接基体802aは、左端部にダンパ係止溝802dが上方及び左方に開放された状態で設けられ、ダンパー部材33(ここではロッド)を上方から差し込み可能に構成されている。また。ダンパ係止溝802dは、左右方向の奥部が前後方向に拡幅してダンパー部材33を係止可能に構成されている。
【0065】
係合ブロック82は、引戸Dの開放動作に伴いスライド部材34の初期位置から保持位置に至るまでの間、受け部材5に係合し(係合姿勢)、スライド部材34が保持位置に至ることにより姿勢切換口461bを通じて枠体31内に揺動して没入することにより受け部材5との係合状態が解除される(解除姿勢)。係合ブロック82は、この解除姿勢では枠本体41の保持舌片462と係合してスライド部材34をその保持位置に停止保持させる。すなわち、係合ブロック82は、受け部材5と係合する係合姿勢及びその係合状態を解除する解除姿勢を切換可能に構成されている。
【0066】
また、係合ブロック82は、引戸Dの閉止動作に伴い受け部材5と再係合し、スライド部材34の停止保持状態を解除するとともにこの解除に伴い受け部材5と協働して引きバネ32の弾性力を引戸Dにスライドアシスト力として付与するように機能する。
【0067】
この係合ブロック82は、開閉方向に沿って延び、正面視で右方に向かって先細り状に構成された正面視略三角形状を呈し(図8参照)、スライドブロック80の支承部801に対して揺動可能に支承されている。
【0068】
具体的には、係合ブロック82は、受け部材5と係合する受け係合部821と、この受け係合部821の下方に配置された首部822と、首部822の左端部に配置された取付基体823と、首部822の左部上面に突設された緩衝突出部824と、取付基体823の左端部下面から下方に突出し、引きバネ32が係止されるバネ係止突部825と、を備え、これらが一体に成形されている。
【0069】
受け係合部821は、受け部材5に対して係脱する部材であり、右端部が先端に向かって下方に傾斜するように構成されている。この受け係合部821は、その前後幅がガイドスリット461aの前後幅よりも大きく、かつ、姿勢切換口461bの前後幅よりも小さく寸法設定されているとともに、左右寸法が姿勢切換口461bの左右寸法よりも短く設定されている。これにより、受け係合部821は、姿勢切換口461bを通じて枠本体41に対して進退揺動する。
【0070】
受け係合部821は、係合ブロック82の係合姿勢において、ガイドスリット461aから上方に突出した状態にあり、この状態で受け部材5に係合している。また、受け係合部821は、枠本体41の天壁461上を摺接して係合ブロック82が姿勢切換口461bに至ることにより、姿勢切換口461bを通じて枠本体41内に没入し、この没入に伴い受け部材5との係合状態が解除されるとともに、解除姿勢で枠本体41の保持舌片462に係合する。
【0071】
首部822は、係合ブロック82の係合姿勢において、取付基体823の上縁に対して上方で受け係合部821を支持する板状体である。この首部822は、受け係合部821に対して狭幅に構成され、その前後幅がガイドスリット461aよりも小さくなるように寸法設定されている。
【0072】
取付基体823は、スライドブロック80に対する係合ブロック82の姿勢を安定させるためのものである。具体的には、取付基体823は、首部822に対して前後に拡幅してブロック状に形成されている。本実施形態では、取付基体823は、前後にそれぞれ凹む凹部823aが一対設けられている。取付基体823は、その外周面として、前記解除姿勢においてスライドブロック80の支承部801に当接する解除当接面823bと、解除当接面823bの左端に連設された第1係合当接面823cと、第1係合当接面823cの左端に連設された第2係合当接面823dと、第2係合当接面823dの上端と解除当接面823bの右端との間を繋ぐ周囲面823eとを備える。解除当接面823bは、係合ブロック82の解除姿勢時に支承部801に当接するように、右端部に向けて上方に傾斜することにより、受け係合部821の底面に対して傾斜するものとなされている。第1係合当接面823cは、解除当接面823bに対して、姿勢切換時の係合ブロック82の揺動角度分だけ傾斜する。すなわち、第1係合当接面823cは、受け係合部821の底面と平行に配置され、前記係合姿勢において支承部801に当接する。第2係合当接面823dは、正面視において第1係合当接面823cに直交するように延び、前記係合姿勢においてスライドブロック80の当接部802に当接する。
【0073】
緩衝突出部824は、開放状態にある引戸Dの閉操作時に受け部材5と係合して係合ブロック82の姿勢を変更するとともに、引戸Dの移動速度が速い場合にダンパー部材33の緩衝効果によってその移動速度を減殺するものである。この緩衝突出部824は、その前後幅がガイドスリット461aよりも小さく構成された正面視台形板状を呈し、係合ブロック82の解除姿勢において右端面が垂直に延びて、枠本体41から上方に突出する。
【0074】
バネ係止突部825は、引きバネ32が係止されるものであり、第1係合当接面823cから下方に突出する角柱状体として構成されている。このバネ係止突部825の突出方向は、解除当接面823bの法線方向と一致する。これにより、係合ブロック82が解除姿勢にある場合に、バネ係止突部825は垂直に配置される。また、バネ係止突部825は、図7に示すように、下端部に左右方向貫通するバネ係止溝825aが設けられている。このバネ係止溝825aに引きバネ32が係止されることにより、係合ブロック82が解除姿勢に付勢される。
【0075】
以上のように構成された装置本体3は、例えば次のようにして組み立てられる。
【0076】
まず第2エッジブロック43に引きバネ32及びダンパー部材33の一端部を取り付けた上で、これら32,33の遊端部をスライド部材34に取り付ける。具体的には、第2エッジブロック43のバネ係止部761aに引きバネ32の一端部を係止するとともに、ダンパ係止部762aにダンパー部材33の一端部を係止する。そして、ダンパー部材33の遊端部をスライドブロック80のダンパ係止溝802dに係止する。その上で、スライドブロック80の挿通孔801cに、係合ブロック82のバネ係止突部825を挿通させ、このバネ係止突部825のバネ係止溝825aに引きバネ32の遊端部を係止する。
【0077】
続いて、このスライド部材34及び第2エッジブロック43に上部枠体46を仮組みする。具体的には、上部枠体46の下方から姿勢切換口461bを通じて、係合ブロック82の受け係合部821を挿入し、受け係合部821をガイドスリット461aに沿って移動させて初期位置にセットする。このとき、上部枠体46の一端部は、第2エッジブロック43の露出ブロック61の右端面に当接した状態に配置されるとともに嵌合ブロック66と抑制部71との間に緊密状態に配置される。
【0078】
そして、この上部枠体46を下部枠体47に組み付けるとともに第2エッジブロック43を下部枠体47に取り付ける。すなわち、引きバネ32、ダンパー部材33、スライド部材34のスライドブロック80及び第2エッジブロック43の嵌合ブロック66を下部枠体47に収納しつつ、上部枠体46を下部枠体47に対して外嵌し、長手方向所定箇所で両者46,47を接続する。続いて、第2エッジブロック43のネジ穴70bを下部枠体47のネジ穴471aに位置合わせした上で、ネジ35で両者を固定する。
【0079】
次に、枠本体41の他端部に第1エッジブロック42を嵌入してネジ35で両者を固定することにより装置本体3が組み立てられる。この嵌入にあたって、上部枠体46の保持舌片462が弾性変形して支持溝653に導かれ、この支持溝653で弾性回復して保持舌片462の先端部が支持溝653で支持される。
【0080】
最後に、第1及び第2エッジブロック42,43に対し第1及び第2ガイドローラユニット44,45を取り付ける。具体的には、各エッジブロック42,43の取付孔70aに各ガイドローラユニットの一端部を嵌合し、ネジ36によって両者を固定する。
【0081】
一方、受け部材5は、装置本体3、詳しくは装置本体3の受け係合部821又は緩衝突出部824に係合して、装置本体3に制動力やスライドアシスト力を付与するものである。この受け部材5は、図1に示すように左右方向に細長い板状体を曲折された形状を呈し、下方に突出する受け突部51が構成されている。この受け突部51の左右幅は、スライド部材34の受け係合部821と緩衝突出部824との間隔よりも小さく形成されている。
【0082】
以上のように構成されたスライドアシスト装置1の作用について、図8及び図9を用いて説明する。スライドアシスト装置1について、引戸Dのスライドアシスト力の作用について説明しつつ、スライド部材34、具体的には係合ブロック82の揺動に伴う枠体31への衝突音の消音効果についてもあわせて説明する。
【0083】
まず、閉止状態にある引戸Dを開放する場合の機能について説明する。
【0084】
スライド部材34は、引戸Dの閉止状態において初期位置にあり、ガイドスリット461aの左端部に位置している。この引戸Dの閉止状態において、図1及び図2に示すように、スライド部材34の係合ブロック82は、その受け係合部821がガイドスリット461aを通じて枠体31から上方に突出した係合姿勢に設定されている(図8)。この係合姿勢では、受け係合部821は、底面が枠体31の天壁461に当接した状態にあるとともに、左端面が受け部材5の受け突部51の右側面に係合した状態になっている。
【0085】
そして、この閉止状態から引戸Dを左方へ移動させて開放していくと、この開放に伴い装置本体3も左方へ移動するが、受け係合部821が受け突部51に係合しているため、スライド部材34の移動が妨げられる。このため、スライド部材34は、ガイドスリット461aに沿って枠体31に対して相対的に右方に移動する。このスライド部材34の移動に伴い引きバネ32が伸長し、これによりスライド部材34に引きバネ32の付勢力が蓄積される。
【0086】
引戸Dを継続して開放していくと、引戸Dが所定の開閉途中位置に達し、このときスライド部材34の受け係合部821が姿勢切換口461bに達する。この状態から更に引戸Dが開放されると、図2に二点鎖線で示すように、受け係合部821が受け突部51によって右方へ向かって押圧されてスライドブロック80に対して揺動し、姿勢切換口461bを通じて枠本体41内に没入する。受け係合部821が没入すると、係合ブロック82は、図9に示すように、受け突部51との係合状態が解除された解除姿勢へ姿勢変更し、この保持舌片462に係合される。これによって、スライド部材34は、姿勢切換口461bに対応する保持位置に停止保持される。
【0087】
このとき、引きバネ32によって係合ブロック82が解除姿勢に付勢されていることも相俟って、係合ブロック82は勢いよく揺動して保持舌片462に衝突し、保持舌片462を含む枠本体41が振動して衝撃音が発生する。
【0088】
本実施形態のスライドアシスト装置1は、第1及び第2エッジブロック42,43が弾性体、特に本実施形態ではゴム弾性を示すエンジニアリングプラスチックから一体成形されているとともに、各エッジブロック42,43が図5に示すように、底面、並びに下側部及び上側部の各当接面60a、60bにおいて枠本体41の内周面に密接しているので、衝撃音が生じた場合でも、これらのエッジブロック42,43によって保持舌片462を含めた枠本体41の振動を抑制するとともに振動を減衰して衝撃音を軽減することができる。
【0089】
しかも、スライド部材34をスライドブロック80と係合ブロック82とに分割して構成しているので、係合ブロック82の姿勢の切換を安定して行うことができるとともに、揺動する係合ブロック82をコンパクトに構成することにより、衝撃音を効果的に軽減することができる。加えて、係合ブロック82の首部822は、第1エッジブロック42における揺動受け部65の溝部652の内側面に摺接しながら当該溝部652に挿入されるので、係合ブロック82の揺動終期において移動速度を減速することができ、これによっても衝撃音をより効果的に軽減することができる。更に、第1エッジブロックの支持溝653に保持舌片462が挿入支持されているので、保持舌片462の振動を可及的に抑制することができ、一層効果的に衝撃音の軽減を行うことができる。
【0090】
次に、開放状態にある引戸Dを閉止する場合の機能について説明する。
【0091】
全開状態の引戸Dを右方へ移動させて閉めていくと、引戸Dは前記開閉途中位置に達する。このとき、係合ブロック82の緩衝突出部824の右側面が受け突部51に係合し、これにより係合ブロック82が上方に揺動して、受け係合部821の左端部が保持舌片462に係合されていた状態が強制的に解消される。すなわち、係合ブロック82は、解除姿勢から図8に示す係合姿勢に姿勢変更する。また、勢いよく引戸Dが移動している場合には、緩衝突出部824と受け突部51とが係合することによりダンパー部材33による制動効果が発揮される。
【0092】
このとき、係合ブロック82が係合姿勢に切り換えられることにより、係合ブロック82が揺動して枠本体41の天壁461よりも高く移動してから反転して天壁461に打ち付けられ、枠本体41が振動して衝撃音が発生する。引戸Dが勢いよく閉められた場合には、係合ブロック82が勢いよく揺動して受け係合部821が高く上がることから、この衝撃音も比較的大きくなる。
【0093】
この場合でも、本実施形態のスライドアシスト装置1では、係合ブロック82が係合姿勢から解除姿勢に姿勢が切り換えられるときと同様に、第1及び第2エッジブロック42,43の作用により衝撃音を効果的に軽減することができる。
【0094】
しかも、係合ブロック82の首部822は、第1エッジブロック42における揺動受け部65の溝部652の内側面に摺接しながら当該溝部652に抜出されるので、係合ブロック82の揺動初期において加速度を抑えることができ、これによっても衝撃音をより効果的に軽減することができる。
【0095】
また、第1及び第2ガイドローラユニット44,45が第1及び第2エッジブロック42,43に取り付けられているので、これらのエッジブロック42,43を有効に活用して各ガイドローラユニット44,45を支持することができ、省スペース化を実現することができる。加えて、この第1及び第2エッジブロック42,43がゴム弾性を有するエンジニアリングプラスチックにより形成されているので、スライドアシスト装置1の静音性の改善を維持したまま、動作安定性を担保することができる。すなわち、各エッジブロック42,43のゴム弾性としての特性に基づき、枠本体41の振動を抑制して、前記衝撃音を効果的に軽減することができる一方、これらのエッジブロック42,43のエンジニアリングプラスチックとしての特性に基づき、各ガイドローラユニット44,45と各エッジブロック42,43との相対的な位置関係を安定させ、ひいてはスライドアシスト装置1の動作安定性を担保することができる。
【0096】
このように本実施形態のスライドアシスト装置1は、装置の動作安定性を担保しつつ、動作時の静音性を向上させることにより、使い勝手を効果的に改善することができる。
【0097】
そして、この係合ブロック82の姿勢変更に伴い引きバネ32の付勢力が開放されてスライド部材34に作用し、スライド部材34は、ダンパー部材33によって一定の抵抗が付与されつつ、ガイドスリット461aに沿って枠体31に対して相対的に前記保持位置から初期位置に向かって移動する。このとき、スライド部材34は受け部材5の受け突部51に係合しているため、引きバネ32の付勢力はスライドアシスト力として引戸Dの閉止方向に作用する。
【0098】
なお、以上に説明したスライドアシスト装置1は、一実施形態であり、その具体的構成等については適宜変更可能である。以下、本実施形態の変形例を説明する。
【0099】
(1)前記実施形態では、装置本体3について単一のスライド部材34が設けられ、引戸Dの閉止方向についてアシストするスライドアシスト装置1について説明しているが、例えば装置本体3について、引戸Dの開方向についてアシストするもの、或いはそれぞれ逆方向に動作するスライド部材34を2つ備え、引戸の開閉いずれの方向についてもアシストするスライドアシスト装置(両利き用)としても良い。
【0100】
このように両利き用のスライドアシスト装置とする場合には、受け部材5についても開閉それぞれについて設けられ、各スライド部材について、それぞれ引きバネ(弾性部材)及びダンパー部材(緩衝部材)を別個に設けるようにしてもよいが、各スライド部材について引きバネ及びダンパー部材を兼用するものとしてもよい。
【0101】
このとき、図10に示すように、引きバネ32の一端部は、第2エッジブロック43に代えて、他方のスライド部材34の係合ブロック82に係止され、ダンパー部材33の一端部も、第2エッジブロック43に代えて、他方のスライド部材34のスライドブロック80に係止する。この他方のスライド部材34は、ダンパー部材33のシリンダの一端部に取り付けられ、この実施形態では、図10に示すように、シリンダの一端部に取付具133を介してスライドブロック80に係止している。
【0102】
またこの場合、第2エッジブロック43に代えて、もう一つの第1エッジブロック42を左右反転させて枠本体41の他端部にも嵌合し、係合ブロック82の解除姿勢において第1エッジブロック42の揺動受け部65の溝部に係合ブロック82の首部822を挿入させるものとなされている。
【0103】
(2)前記実施形態では、スライド部材34についてスライドブロック80と係合ブロック82とに分割して構成され、係合ブロック82が揺動するようにスライドブロック80に取り付けられているが、スライド部材の全体を揺動させるようにしても良い。この場合、例えばスライド部材に、前後に突出する揺動軸部と、前後に突出する操作軸部とを設け、枠本体41の前後側壁に、前記揺動軸部を案内する第1ガイドスリットと、前記操作軸部を案内する第2ガイドスリットとを設け、これらの各ガイドスリットをスライド部材の保持位置においてスライド部材を揺動させるように構成するようにしても良い。この場合でも、スライド部材の姿勢変更に伴い、例えば前記操作軸部が第2ガイドスリットの周囲の枠本体に衝突することにより衝撃音が発生するので、枠本体の両端部に嵌合されるエッジブロックを上記実施形態のように構成することにより消音効果を得ることができる。
【0104】
(3)前記実施形態では、第1及び第2エッジブロック42,43について、ゴム弾性を有するエンジニアリングプラスチックで一体成形しているが、嵌合ブロックと露出ブロックとを分割して構成し、嵌合ブロックについて弾性体で構成され、露出ブロック61については別途枠本体41への取付部を設けた上でエンジニアリングプラスチックなどの硬質素材で構成されるものであっても良い。また、エッジブロックの嵌合ブロックは、少なくとも枠本体41の内周面に当接する外周部について、弾性体で構成されていればよく、硬質素材で構成される露出ブロックから連設されるコア部の周りに弾性素材を成形するなどの二色成形で構成するものであっても良い。
【0105】
(4)前記実施形態では、枠本体41について、天壁461、底壁471及び側壁463,472とを有する角筒として構成されているが、枠本体41は角筒状であれば例えば上方に開放された左右方向に直交する断面がU字状のものであってもよい。この場合でもガイドスリットが側壁に設けられている場合などには、スライド部材の姿勢変更に応じて衝撃音が発生する。このため、本発明のエッジブロックを採用することにより、作動に伴う衝撃音を軽減することができる。
【0106】
(5)前記実施形態では、引きバネ32によって係合ブロック82を解除姿勢に付勢するように構成されているが、この引きバネ32によって係合ブロック82を係合姿勢に付勢するものであっても良い。
【0107】
(6)前記実施形態では、保持舌片462の先端部は揺動受け部65の支持溝653に挿入されることにより支持されているが、支持の態様を特に限定するものではなく、例えば支持溝653に代えて支持孔で支持させるようにしても良い。
【0108】
(7)前記実施形態では、第1及び第2のガイドユニット10,11について、ガイドローラが設けられたものについて説明しているが、このガイドローラに代えて、ガイドレールL内をスライドする滑り部材を設けてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 :スライドアシスト装置
3 :アシスト装置本体
5 :受け部材
31 :枠体
32 :引きバネ(弾性部材に対応)
34 :スライド部材
41 :枠本体
42 :第1エッジブロック
43 :第2エッジブロック
461 :天壁
461a :ガイドスリット
461b :姿勢切換口
462 :保持舌片
652 :溝部
653 :支持溝
80 :スライドブロック
82 :係合ブロック
D :引戸
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10