IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニーの特許一覧

特開2023-36908液晶相を含む液体洗剤組成物の製造プロセス
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036908
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】液晶相を含む液体洗剤組成物の製造プロセス
(51)【国際特許分類】
   C11D 17/08 20060101AFI20230307BHJP
   C11D 1/14 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 1/29 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 1/22 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 1/04 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 3/34 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 3/33 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 3/36 20060101ALI20230307BHJP
   C11D 3/22 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C11D17/08
C11D1/14
C11D1/29
C11D1/22
C11D1/04
C11D3/34
C11D3/33
C11D3/36
C11D3/22
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022212257
(22)【出願日】2022-12-28
(62)【分割の表示】P 2020134126の分割
【原出願日】2016-06-21
(31)【優先権主張番号】15173053.8
(32)【優先日】2015-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】16163137.9
(32)【優先日】2016-03-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】590005058
【氏名又は名称】ザ プロクター アンド ギャンブル カンパニー
【氏名又は名称原語表記】THE PROCTER & GAMBLE COMPANY
【住所又は居所原語表記】One Procter & Gamble Plaza, Cincinnati, OH 45202,United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137523
【弁理士】
【氏名又は名称】出口 智也
(74)【代理人】
【識別番号】100141830
【弁理士】
【氏名又は名称】村田 卓久
(74)【代理人】
【識別番号】100152423
【弁理士】
【氏名又は名称】小島 一真
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(72)【発明者】
【氏名】セルジュ、オメール、アルフォンス、ジャン、トーフト
(72)【発明者】
【氏名】ヤン-セバスティアーン、オイタースプロット
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高濃度の溶媒を必要とせずに、差別化された液体洗剤組成物を共通の安定な基本混合物から製造できるプロセスを提供する。
【解決手段】液体洗剤組成物の製造プロセスは、等方性基本混合物を準備する工程であって、該基本混合物が、i.15重量%超の界面活性剤と、ii.0.1~1.2重量%の非界面活性剤塩と、iii.1~7重量%の脂肪酸と、iv.キシレンスルホン酸ナトリウム等のヒドロトロープを含む、工程と、非界面活性剤塩を前記等方性基本混合物に添加する工程であって、得られる液体洗剤組成物が、少なくとも15%の液晶相と、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)等の非界面活性剤塩とを含む、工程と、を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体洗剤組成物の製造プロセスであって、
a)等方性基本混合物を準備する工程であって、前記基本混合物が、
i. 15重量%超の、アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されるアニオン性界面活性剤を含む界面活性剤と、
ii. 0.1~1.2重量%の非界面活性剤塩と、
iii. 1~7重量%の脂肪酸と、
iv. キシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、キシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム、トルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム、クメンスルホン酸アンモニウム、及びこれらの混合物からなる群から選択されるヒドロトロープ
を含む、工程と、
b)非界面活性剤塩を前記等方性基本混合物に添加する工程であって、得られる液体洗剤組成物が、少なくとも15%の液晶相と、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩(HEDP)、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される非界面活性剤塩とを含む、工程と、
を含み、
得られる液体洗剤組成物が、液体洗剤組成物の重量を基準として12~30重量%の界面活性剤をさらに含む、プロセス。
【請求項2】
工程(b)で前記等方性基本混合物に添加される前記非界面活性剤塩が、前記液体洗剤組成物において、少なくとも1.5重量%の非界面活性剤塩の濃度をもたらすように添加される、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
工程a)における基本混合物が非イオン性界面活性剤をさらに含む、請求項1または2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記基本混合物が、15体積%未満の液晶相を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
c)非高分子結晶性のヒドロキシル官能性構造化剤、微小繊維状セルロース、非帯電性ヒドロキシエチルセルロース、非帯電性疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性エトキシ化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択される、外部構造化剤を添加する工程
を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
高液晶相画分を有する、安定で構造化された液体洗剤組成物、特に液体洗濯洗剤組成物の製造プロセス。
【背景技術】
【0002】
特に家庭用及び洗濯用の洗剤組成物に対しては、異なる消費者による異なる好みやニーズがある。家庭内の表面や洗濯物を洗浄した後、全ての消費者は、家庭内や洗濯物が清潔で洗い立ての匂いを有することを望む。しかしながら、どの香料が「洗い立て」であるかについては、異なる消費者には異なる考えがある。加えて、色に対しては異なる要望がある。更に、機能性成分の特定の種類や濃度を有する、様々な洗剤組成物を持つことも望んでいる。例えば、洗剤組成物は、特定の汚れ除去ポリマーを含んで微粒子やグリース洗浄のレベルを改善させ、又は、香料マイクロカプセルを含んで洗い立て感をより長く存続させる。
【0003】
製造を簡略にするには、このような各消費者に合わせた液体組成物を、共通の基本混合物から作ることが望ましい。このような基本混合物は、異なる配合物の種類に共通する成分を含む。最終洗剤組成物にするためには、差別化成分及びその他成分を所望の濃度で加え、所望の外観及び性能を有する洗剤組成物をもたらす。基本混合物へのかかる成分の混合を容易にするため、粘度が低い基本混合物が望まれる。
【0004】
保存及び輸送を容易にするには、高濃度の界面活性剤を有する基本混合物を配合し、その後、その基本混合物を希釈して、最終製品に所望される界面活性剤濃度を達成することが望ましい。
【0005】
しかしながら、高い界面活性剤濃度では、典型的には液晶相が形成される。洗剤組成物が構造化されない限り、このような液晶相は、液晶相を多く含む相に析出する。したがって、基本混合物中のかかる液晶相の量を制限し、かつ、基本混合物の相分離を避けるため、基本混合物は、典型的には十分な溶媒又はヒドロトロープと共に配合される。しかしながら、溶媒を使用すると、低引火点を有する基本混合物の原因となり、その結果、防爆プロセスが必要となり得る。更に、得られた最終洗剤組成物は、より高濃度の溶媒も含み、所望の粘度を達成するにはより高濃度の構造化剤を要する。
【0006】
欧州特許第1220886号は、強電解質を低濃度で含むラメラ相の液体洗浄組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許第1220886号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
このように、高濃度の溶媒を必要とせずに、差別化された液体洗剤組成物を共通の安定な基本混合物から製造できるプロセスへのニーズが残っている。加えて、消費者に望まれる粘度及び構造化レベルを達成するための外部構造化剤の必要量が少ない、又は不要である液体洗剤組成物へのニーズが残っている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、等方性基本混合物を準備する工程であって、この基本混合物が、15重量%超の界面活性剤と、1.2重量%未満の非界面活性剤塩と、を含む、工程と、得られた液体洗剤組成物が少なくとも15%の液晶相を含むように、非界面活性剤塩を等方性基本混合物に加える工程と、を含む、洗剤組成物の製造プロセスに関する。
【0010】
本発明は更に、1重量%~70重量%の界面活性剤と、10重量%未満の有機非アミノ官能性溶媒、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物と、を含む、液体洗剤組成物であって、少なくとも15%の液晶相を含む液体洗剤組成物に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
基本混合物中の非界面活性剤塩の量を制限することによって、高濃度の溶媒又はヒドロトロープを必要とせずに、液晶相の量が制限される基本混合物を提供できる。その結果、特定の種類に特有の成分を加えることによって後に加工され得る、安定的で容易に流動可能な共通の基本混合物を提供できる。更に、より低い引火点を有する基本混合物を配合できる。仕上げ工程の1つとして、非界面活性剤塩を加え、液晶相を形成する。基本混合物と続いてできる最終製品は、より低濃度の溶媒及びヒドロトロープを含むため、より多くの量の液晶相が最終製品中に存在し、所望の粘度特性を達成するために添加する構造化剤はより少なく、又は更には不要である。
【0012】
本明細書で使用するとき、「液体洗濯洗剤組成物」は、家庭用洗濯機内で衣類などの布地の湿潤及び洗浄ができる流体を含む、任意の洗濯処理組成物を指す。組成物は、固体又は気体を好適に細分された形態で含むことができるが、組成物全体は、全体として非流動性の、例えば錠剤又は顆粒の製品形態を除外する。液体洗剤組成物には、任意の固形の添加物は除外されるが、存在する場合、任意の泡は含まれ、好ましくは1立方センチメートルあたり、0.9グラム~1.3グラム、更に具体的には、1.00グラム~1.10グラムの範囲の密度を有する。
【0013】
本明細書で使用するとき、用語「外部構造化系」は、組成物の洗浄性界面活性剤の何らかの構造化効果から独立して、すなわち洗浄性界面活性剤以外により、液体洗濯洗剤組成物を安定化させるのに十分な降伏応力又は低せん断粘度のいずれかをもたらす、選択された化合物又は化合物の混合物を指す。「内部構造化」により、必要な降伏応力又は低せん断粘度を提供するために、洗濯成分の主要な部類を形成する洗剤界面活性剤に依存することを意味する。
【0014】
本明細書で用いる百分率、比率、及び割合は全て、特に断らない限りは組成物の重量%である。平均値は、全て、特に明確に断らない限りは、組成物又はその構成成分の「重量」に基づいて計算したものである。
【0015】
基本混合物:
基本混合物は、15重量%超の界面活性剤を含む。好ましくは、基本混合物は、15重量%~85重量%、より好ましくは20重量%~75重量%、更により好ましくは25~50重量%の界面活性剤を含む。好ましい実施形態では、基本混合物は、アニオン性界面活性剤、非イオン性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択される、界面活性剤を含む。
【0016】
好適なアニオン性界面活性剤は、アルキル硫酸塩、アルキルエトキシ硫酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、脂肪酸及びその塩、並びにこれらの混合物からなる群から選択されてよい。しかしながら、W.M.Linfield,Marcel Dekker編「Surfactant Science Series」、Vol.7に開示されるものなどの、洗剤組成物の技術分野において既知のあらゆるアニオン性界面活性剤を本質的に使用することができる。しかしながら、基本混合物は、好ましくは少なくともスルホン酸界面活性剤、例えば直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸を含むが、水溶性塩形態も使用できる。アニオン性界面活性剤は、典型的には、基本混合物の1.0重量%~70重量%、好ましくは5.0重量%~50重量%、より好ましくは10重量%~30重量%の濃度で存在する。
【0017】
本明細書に用いるのに好適なアニオン性スルホン酸塩又はスルホン酸界面活性剤としては、酸及び塩形態の、線状又は分岐鎖のC5~C20、より好ましくはC10~C16、より好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホン酸塩、C5~C20アルキルエステルスルホン酸塩、C6~C22一級又は二級アルカンスルホン酸塩、C5~C20スルホン化ポリカルボン酸、及びこれらの任意の混合物が挙げられるが、好ましくはC11~C13アルキルベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。上記界面活性剤は、2-フェニル異性体含有率が幅広く異なり得る。
【0018】
本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性硫酸塩としては、9~22個の炭素原子を有する又はより好ましくは12~18個の炭素原子を有する線状又は分岐鎖アルキル又はアルケニル部分を有する、第一級及び二級アルキル硫酸塩が挙げられる。(界面活性剤又は混合物の)重量平均分枝度が少なくとも50%である、β-分枝状アルキル硫酸塩界面活性剤、又は市販の物質の混合物も同様に有用である。
【0019】
中鎖分枝状アルキル硫酸塩又はスルホン酸塩もまた、本発明の組成物に使用するのに好適なアニオン性界面活性剤である。好ましいものは、C5~C22の、好ましくはC10~C20の中鎖分枝状アルキル一級硫酸塩である。混合物を使用する場合、アルキル部分の炭素原子の好適な平均合計数は、好ましくは14.5超~17.5の範囲内である。好ましいモノ-メチル-分枝状一級アルキル硫酸塩は、3-メチル~13-メチルペンタデカノール硫酸塩、対応するヘキサデカノール硫酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択される。ジメチル誘導体、又は軽度に分枝を有する他の生分解性のアルキル硫酸塩も同様に使用することができる。
【0020】
本明細書で使用するための他の好適なアニオン性界面活性剤としては、脂肪族メチルエステルスルホン酸塩及び/又はアルキルエトキシ硫酸塩(AES)及び/又はアルキルポリアルコキシル化カルボン酸塩(AEC)が挙げられる。アニオン性界面活性剤の混合物を使用することもできる(例えば、アルキルベンゼンスルホン酸塩とAESとの混合物)。
【0021】
アニオン性界面活性剤は、典型的にはアルカノールアミン又はアルカリ金属(ナトリウム及びカリウムなど)との塩形態で存在する。
【0022】
基本混合物は、好ましくは脂肪酸、脂肪酸塩、及びこれらの混合物を含む。好ましくは、基本混合物は、1重量%~10重量%、より好ましくは2重量%~7重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の脂肪酸、脂肪酸塩、及びこれらの混合物を含む。
【0023】
基本混合物は、好ましくは非イオン性界面活性剤を含む。好ましくは、基本混合物は、最大15重量%、より好ましくは1重量%~15重量%、最も好ましくは5重量%~12重量%の非イオン性界面活性剤を含む。
【0024】
好適な非イオン性界面活性剤として、いわゆるピークの狭いアルキルエトキシレートを含むC12~C18アルキルエトキシレート(「AE」)、及びC6~C12アルキルフェノールアルコキシレート(特にエトキシレート及びエトキシ/プロポキシ混合物)、C6~C12アルキルフェノールのブロック型アルキレンオキシド縮合体、C8~C22アルカノールのアルキレンオキシド縮合体、及びエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックポリマー(Pluronic、BASF Corp.)が挙げられるが、これらに限定されず、並びに、半極性の非イオン性物質(例えば、アミンオキシド及びホスフィンオキシド)を本発明の組成物に使用することができる。これらの種の界面活性剤の広範囲の開示が、米国特許第3,929,678号(Laughlinら、1975年12月30日発行)に見出される。
【0025】
米国特許第4,565,647号(Llenado)に開示されているようなアルキル多糖類もまた本発明の組成物で有用な非イオン性界面活性剤である。
【0026】
アルキルポリグルコシド界面活性剤も好適である。
【0027】
いくつかの実施形態では、有用である非イオン性界面活性剤として、式R(OCOHのものが挙げられ、式中、Rは、C10~C16アルキル基又はC8~C12アルキルフェニル基であり、nは好ましくは3~80である。いくつかの実施形態では、非イオン性界面活性剤は、アルコール1モル当たり5~20モルのエチレンオキシドとC12~C15アルコール、例えば、アルコール1モル当たり6.5モルのエチレンオキシドとC12~C13アルコールの縮合生成物であってもよい。
【0028】
別の好適な非イオン性界面活性剤としては、次式のポリヒドロキシ脂肪酸アミドが挙げられる。
【0029】
【化1】
式中、RはC9~17アルキル又はアルケニルであり、R1はメチル基であり、Zは還元糖又はそのアルコキシル化誘導体由来のグリシジルである。例としては、N-メチルN-1-デオキシグルシチルココアミド及びN-メチルN-1-デオキシグルシチルオレアミドが挙げられる。ポリヒドロキシ脂肪酸アミドの製造プロセスは既知であり、米国特許第2,965,576号(Wilson)及び同第2,703,798号(Schwartz)に見出すことができる。
【0030】
基本混合物は、両性及び/又は双極性界面活性剤、カチオン性界面活性剤、半極性界面活性剤、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものを含む、追加の界面活性剤を含んでもよい。
【0031】
好適な両性又は双極性洗浄性界面活性剤として、ヘアケア又はその他パーソナルケアクレンジングでの使用に公知のものが挙げられる。好適な双極性又は両性界面活性剤の非限定例は、米国特許第5,104,646号(Bolich Jr.ら)、同第5,106,609号(Bolich Jr.ら)に記載されている。好適な両性洗浄性界面活性剤として、脂肪族二級及び三級アミンの誘導体として幅広く記載されるものが挙げられ、この界面活性剤では、脂肪族ラジカルは直鎖状又は分枝鎖状であってよく、かつ脂肪族置換基のうちの1つは8~18個の炭素原子を含有し、1つはアニオン性の基、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含有する。本発明での使用に好適な両性洗浄性界面活性剤としては、ココアンホアセテート、ココアンホジアセテート、ラウロアンホアセテート、ラウロアンホジアセテート、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0032】
好適な双極性洗浄性界面活性剤は、当該技術分野において周知であり、脂肪族第四級アンモニウム、ホスホニウム、及びスルホニウム化合物の誘導体として幅広く記載されるものが挙げられ、この界面活性剤では、脂肪族ラジカルは直鎖状又は分枝鎖状であってよく、かつ脂肪族置換基の1つは、8~18個の炭素原子を含有し1つはアニオン性の基、例えば、カルボキシ基、スルホン酸基、硫酸基、リン酸基又はホスホン酸基を含有する。ベタインなどの双性イオン性界面活性剤は、基本混合物に好適である。
【0033】
好適な半極性界面活性剤として、アミンオキシド界面活性剤が挙げられる。R(EO)(PO)(BO)N(O)(CHR’).qHO(I)の式を有するアミンオキシド界面活性剤が、本発明の基本混合物に特に有用である。Rは、飽和又は不飽和の、直鎖又は分枝鎖であることができる比較的長鎖のヒドロカルビル部分であり、8~20個、好ましくは10~16個の炭素原子を含有することができ、より好ましくはC12~C16一級アルキルである。R’は、好ましくは水素、メチル及び-CHOHから選択される短鎖部分である。x+y+zが0とは異なる場合、EOは、エチレンオキシ、POは、プロピレンオキシ(propyleneneoxy)、BOは、ブチレンオキシである。アミンオキシド界面活性剤は、C12~14アルキルジメチルアミンオキシドで示される。
【0034】
本組成物に用いるのに好適な他のアニオン性、双性イオン性、両性、又は任意の追加の界面活性剤の非限定的な例は、McCutcheon’s,Emulsifiers and Detergents,1989 Annual(M.C.Publishing Co.出版)、及び米国特許第3,929,678号、同第2,658,072号、同第2,438,091号、同第2,528,378号に記載されている。
【0035】
本発明の目的において、非界面活性剤塩は両親媒性分子を含まない。このように、非界面活性剤塩は、帯電性基に結合する疎水性尾を有するイオンを含まない。したがって、非界面活性剤塩は、溶液の表面張力を低下させない。かかる非界面活性剤塩は、水に溶解されるとイオン化し、組成物中の液晶相形成を促進する。好適な非界面活性剤塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸塩(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸塩(HEDP)、塩化ナトリウム、クエン酸塩、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸塩、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。好ましい非界面活性剤塩は、例えば、ビルダーとして、組成物に追加の利益を提供する。本発明の目的において、ビルダー効果を与える非界面活性剤塩は、非界面活性剤塩としてまず考慮される。エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、クエン酸、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸の塩として、ナトリウム塩、カルシウム塩、及びマグネシウム塩などの金属塩が挙げられるが、ナトリウム塩が好ましい。
【0036】
好ましい実施形態では、基本混合物は、1.2重量%未満、好ましくは0.1重量%~1.2重量%、より好ましくは0.2~0.9重量%、最も好ましくは0.4重量%~0.7重量%の非界面活性剤塩を含む。より好ましい実施形態では、基本混合物は、1.2重量%未満、好ましくは0.1重量%~1.2重量%、より好ましくは0.2~0.9重量%、最も好ましくは0.4重量%~0.7重量%の、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、非界面活性剤塩を含む。
【0037】
非界面活性剤塩がプレミックスとして基本混合物に添加される場合、プレミックスの予備アルカリ度は、プレミックスを基本混合物に添加した後の基本混合物のpHの変化がわずかであるように、好ましくは十分に低い。
【0038】
低濃度の非界面活性剤塩である結果、基本混合組成物は、液晶相をわずかに含むか、又は含まない。好ましくは、基本混合物は、15体積%未満、好ましくは10体積%未満、より好ましくは5体積%未満、最も好ましくは1体積%未満の液晶相を含む。
【0039】
水性洗剤組成物は、典型的には、相当な量の界面活性剤を含む。臨界ミセル濃度(CMC)を超えると、界面活性剤は再整列し、球状、円柱状(棒状)及び円板状ミセルなどのミセルを形成する。界面活性剤濃度が上昇すると、整列した液晶相、例えばラメラ相、六方晶相、立方相、又はこれらの組み合わせが形成する。ラメラ相は、交互の界面活性剤の二層と水層からなる。これらの層は、一般的に平坦ではないが、折り畳まれて、小胞又はリポソームと呼ばれるマイクロメートル未満の球状のタマネギ様構造を形成する。一方、六方晶相は、六方格子に整列した長い円柱状ミセルからなる。一般に、多くの水性洗剤組成物の微細構造は、球状ミセル、棒状ミセル、又はラメラ相のいずれかからなる。ミセルは、球状又は棒状であり得る。球状又は棒状ミセルを有する配合物は、粘度が低い傾向があり、より容易に加工される。
【0040】
液晶相を同定する方法は当該技術分野において周知であり、顕微鏡法、例えば円錐形顕微鏡法などが挙げられる。例えば、ラメラ相組成物は、特徴的なフォーカルコニック形とoily streakテクスチャで容易に同定されるが、六方晶相は角度が付いた扇様テクスチャを示す。対照的に、ミセル相は光学的等方性であり、洗剤組成物の濁度に対する影響は小さい。
【0041】
例えば、米国特許第5,952,286号に記載されるように、液晶相が様々な界面活性剤系で形成され得ることを理解されたい。
【0042】
液晶相の特徴を明らかにする方法は当該技術分野において周知であり、顕微鏡法、特に交差偏向顕微鏡法が挙げられる。顕微鏡写真は一般に、液晶微細構造と、液晶液滴(一般に約2マイクロメートルの範囲の寸法)の最密組織を示す。液晶相を測定する別の方法は、フリーズフラクチャー電子顕微鏡を用いるものである。
【0043】
基本混合物は、好ましくは等方性である。したがって、基本混合物は、好ましくは、5NTUから3000NTU未満、好ましくは1000NTU未満、より好ましくは500NTU未満、最も好ましくは100NTU未満の濁度を有する。好ましくは、基本混合物は懸濁した物質を含まない。
【0044】
基本混合組成物は液晶相をわずかに含むか含まないため、基本混合物中に存在が必要な溶媒及びヒドロトロープの濃度も低下する。したがって、基本混合物は、好ましくは4重量%未満、より好ましくは3.0重量%未満、最も好ましくは2.0重量%未満の有機非アミノ官能性溶媒、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物を含む。誤解を避けるため、塩でもあるヒドロトロープは、かかるヒドロトロープが洗剤組成物中に液晶相を可溶化するのに大きく影響するため、本発明ではヒドロトロープであるとみなされる。基本混合物が有機非アミノ官能性溶媒、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物をより少なく含む場合、より多くの液晶相が最終液体洗剤組成物中に存在する。
【0045】
本明細書で使用するとき、「非アミノ官能性有機溶媒」は、アミノ官能基を不含で、更には窒素も不含の任意の溶媒を指す。非アミノ官能性溶媒として、例えば、C1~C5アルカノール(メタノール、エタノール及び/又はプロパノール及び/又は1-エトキシペンタノールなど)、C2~C6ジオール、C3~C8アルキレングリコール、C3~C8アルキレングリコールモノ低級アルキルエーテル、グリコールジアルキルエーテル、低分子量ポリエチレングリコール、C3~C9トリオール(グリセロールなど)、及びこれらの混合物が挙げられる。より具体的には、非アミノ官能性溶媒は、周囲温度及び圧力(すなわち、21℃及び0.1MPa(1気圧))にて液体であり、炭素、水素及び酸素を含む。
【0046】
使用する場合、有機非アミノ官能性溶媒が好ましい。かかる有機非アミノ官能性溶媒として、一価アルコール、二価アルコール、多価アルコール、グリセロール、グリコール、ポリアルキレングリコール(例えば、ポリエチレングリコールなど)、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0047】
使用する場合、極めて好ましいものは、有機非アミノ官能性溶媒の混合物、特に、プロパノール、ブタノール、イソプロパノールなどの低級脂肪族アルコール、及び/又は1,2-プロパンジオール若しくは1,3-プロパンジオールなどのジオールの混合物;ジエチレングリコール、又はこれらの混合物である。好ましいものは、プロパンジオール(特に、1,2-プロパンジオール)、又は、プロパンジオールとジエチレングリコールの混合物である。好ましい基本混合物は、2.5重量%未満、好ましくは1.5重量%未満、より好ましくは1重量%未満のメタノール又はエタノールを含む。
【0048】
高濃度の揮発性アルコールは、組成物、特に液体組成物の引火性に大きく影響する。可燃性物質は、次のNational Fire Protection Association(NFPA)の分類を用いて、密閉式引火点(CCFP)及び沸点によって分類できる。
クラスIA-CCFPが23℃(73°F)未満、かつ、沸点が38℃(100°F)未満
クラスIB-CCFPが23℃(73°F)未満、かつ、沸点が38℃(100°F)超
クラスIC-CCFPが23℃(73°F)超であるが、38℃(100°F)未満
クラスII-CCFPが38℃(100°F)以上であるが、60℃(140°F)未満
クラスIIIA-CCFPが60℃(140°F)以上であるが、93℃(200°F)未満
クラスIIIB-CCFPが93℃(200°F)以上
【0049】
引火性は、ASTM D93に記載されるペンスキーマルテンス密閉式引火点(CCFP)法に従って測定する。
【0050】
分類によって、保管場所、温度制御に関する条件を含む、液体洗剤組成物の安全な取り扱い及び保管に対する必要条件は変わる。したがって、基本混合物は、好ましくはIC、好ましくはII、より好ましくはIIIA、最も好ましくはIIIBのNFPA分類を有する。
【0051】
好適なヒドロトロープとしては、米国特許第3,915,903号に開示されているような、アニオン型のヒドロトロープ、特にキシレンスルホン酸ナトリウム、キシレンスルホン酸カリウム、及びキシレンスルホン酸アンモニウム、トルエンスルホン酸ナトリウム、トルエンスルホン酸カリウム及びトルエンスルホン酸アンモニウム、クメンスルホン酸ナトリウム、クメンスルホン酸カリウム及びクメンスルホン酸アンモニウム、並びにこれらの混合物が挙げられる。
【0052】
加工を容易にするために、基本混合物は、好ましくは、20s-1、20℃で測定するとき、0.010~2Pa.sの粘度を有する。更に、基本混合組成物は、液晶相、又は他の懸濁した物質をわずかに含むか、含まないため、基本混合物は、相分離する傾向が小さい。その結果、基本混合物中に必要とする構造化剤はわずかであるか、不要である。したがって、基本混合物は、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1重量%未満の外部構造化剤を含む。更により好ましくは、基本混合物はいかなる外部構造化剤を含まない。
【0053】
安定性の改善のため、特に基本混合物が脂肪酸を含むとき、基本混合物は、脱イオン水で希釈した10重量%溶液を25℃で測定するとき、好ましくは6.5~13、より好ましくは7~10、最も好ましくは8~9のpHを有する。安定なpHを有するため、基本混合物は、好ましくは、pH7.5で0.20~0.30g NaOH/100gの予備アルカリ度を有する。
【0054】
基本混合物は、好ましくは水を含む。水含量は、基本混合物の好ましくは1重量%~70重量%、好ましくは10重量%~65重量%、より好ましくは30重量%~55重量%である。
【0055】
基本混合物又は続いてできる液体洗剤組成物は、付着助剤ポリマー、有機ビルダー及び/又はキレート剤、酵素、酵素安定剤、洗浄ポリマー、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものなどの、追加の成分を含んでよい。
【0056】
付着助剤ポリマー:基本混合物は、0.1%~7%、より好ましくは0.2%~3%の付着助剤ポリマーを含んでよい。本明細書で使用するとき、「付着助剤ポリマー」は、洗濯時の、布地ケア有益剤の布地への付着を有意に増加させる、任意のカチオン性ポリマー又はカチオン性ポリマーの混合物を指す。好適な付着助剤ポリマーは、カチオン性多糖類及び/又はコポリマーを含むことができる。本明細書で使用するとき、「布地ケア有益剤」は、布地ケア効果をもたらすことのできる、任意の物質を指す。布地ケア有益剤の非限定的な例としては、シリコーン誘導体、油性糖誘導体、分散性ポリオレフィン、ポリマーラテックス、カチオン性界面活性剤、及びこれらの組み合わせが挙げられる。好ましくは、付着助剤は陽イオン性又は両性ポリマーである。ポリマーのカチオン電荷密度は、好ましくは0.05ミリ当量/g~6ミリ当量/gの範囲である。電荷密度は、繰り返し単位当りの正味電荷数を繰り返し単位の分子量で除算して計算される。一実施形態では、電荷密度は0.1ミリ当量/g~3ミリ当量/gの間で変化する。正電荷は、ポリマーの主鎖又はポリマーの側鎖上に存在することができる。
【0057】
有機ビルダー及び/又はキレート剤:基本混合物は、0.6重量%~10重量%、好ましくは2~7重量%の1種又は2種以上の有機ビルダー及び/又はキレート剤を含んでよい。好適な有機ビルダー及び/又はキレート剤は、MEAクエン酸塩、クエン酸、アミノアルキレンポリ(アルキレンホスホン酸塩)、アルカリ金属エタン1-ヒドロキシビスホスホン酸塩(disphosphonate)、及びニトリロトリメチレン、ホスホン酸塩、ジエチレントリアミンペンタ(メチレンホスホン酸)(DTPMP)、エチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)(DDTMP)、ヘキサメチレンジアミンテトラ(メチレンホスホン酸)、ヒドロキシ-エチレン1,1ジホスホン酸(HEDP)、ヒドロキシエタンジメチレンホスホン酸、エチレンジアミン二コハク酸(EDDS)、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ヒドロキシエチルエチレンジアミン三酢酸塩(HEDTA)、ニトリロ三酢酸塩(NTA)、メチルグリシン二酢酸塩(MGDA)、イミノ二コハク酸塩(IDS)、ヒドロキシエチルイミノ二コハク酸塩(HIDS)、ヒドロキシエチルイミノ二酢酸塩(HEIDA)、グリシン二酢酸塩(GLDA)、ジエチレントリアミン五酢酸塩(DTPA)、カテコールスルホン酸塩(Tiron(商標)など)及びこれらの混合物からなる群から選択される。
【0058】
酵素:好適な酵素は、洗浄性能及び/又は布地ケア効果をもたらす。好適な酵素の例としては、ヘミセルラーゼ、ペルオキシダーゼ、プロテアーゼ、セルラーゼ、キシラナーゼ、リパーゼ、ホスホリパーゼ、エステラーゼ、クチナーゼ、ペクチナーゼ、ケラタナーゼ、レダクターゼ、オキシダーゼ、フェノールオキシダーゼ、リポキシゲナーゼ、リグニナーゼ、プルラナーゼ、タンナーゼ、ペントサナーゼ、マラナーゼ(malanases)、β-グルカナーゼ、アラビノシダーゼ、ヒアルロニダーゼ、コンドロイチナーゼ、ラッカーゼ、及び既知のアミラーゼ、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい酵素の組み合わせは、アミラーゼと共に、プロテアーゼ、リパーゼ、クチナーゼ及び/又はセルラーゼのような従来の洗浄性酵素のカクテルを含むものである。洗浄性酵素は、米国特許第6,579,839号により詳細に記載されている。
【0059】
酵素安定剤:酵素は、カルシウム及び/又はマグネシウム化合物、ホウ素化合物及び置換されたホウ酸、芳香族ホウ酸エステル、ペプチド及びペプチド誘導体、ポリオール、低分子量カルボン酸塩、比較的疎水性の有機化合物[例えば、特定のエステル、ジアルキルグリコールエーテル、アルコール、又はアルコールアルコキシレート]、カルシウムイオン源に加えてアルキルエーテルカルボン酸塩、ベンズアミジン次亜塩素酸塩、低脂肪族アルコール及びカルボン酸、N,N-ビス(カルボキシメチル)セリン塩;(メタ)アクリル酸-(メタ)アクリル酸エステルコポリマー及びPEG;リグニン化合物、ポリアミドオリゴマー、グリコール酸又はその塩;ポリヘキサメチレンビグアニド又はN,N-ビス-3-アミノ-プロピル-ドデシルアミン又は塩;並びにこれらの混合物のような任意の既知の安定剤系を使用して安定化できる。
【0060】
洗浄ポリマー:好適な洗浄ポリマーは、表面及び布地の多種多様な汚れを洗浄し、並びに/又は汚れを懸濁するために提供される。任意の好適な洗浄ポリマーを使用することができる。有用な洗浄ポリマーは、米国特許出願公開第2009/0124528(A1)号に記載されている。有用な洗浄ポリマーの種類の非限定例として、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー、泥汚れ洗浄ポリマー、汚れ除去ポリマー、及び汚れ懸濁ポリマーが挙げられる。
【0061】
液体洗剤組成物の製造プロセス
本発明のプロセスでは、得られる液体洗剤組成物が少なくとも15%の液晶相を含むように、非界面活性剤塩が基本混合物に添加される。液晶相は、その存在が、典型的には、最終製品の所望の粘度を達成するために必要とする外部構造化剤がわずかである、又は不要であることを意味するため、最終洗剤組成物中に望まれる。
【0062】
界面活性剤が液晶相を形成する濃度は、好適な非界面活性剤塩の添加により低下する。液晶分散液、特にラメラ分散液は、高いゼロせん断粘度を有し得る(構成要素である液晶液滴の最密配置のため)ものの、これらの溶液は非常にずり減粘性があるため、球状とも棒状ミセルとも異なる。密度が異なるため、液晶相は、相分離を誘導する傾向があり、明らかに液晶が豊富な相と液晶含量が低い相をもたらす。このように、液晶相は、典型的には、最終洗剤組成物に加工する前に長期間保存し得る基本混合物には望ましくない。
【0063】
好ましくは、非界面活性剤塩は、液体洗剤組成物が15%~85%、好ましくは5%~70%、より好ましくは10%~60%の液晶相を含むまで添加される。非界面活性剤塩は、典型的には、液体洗剤組成物中において、少なくとも1.5重量%、好ましくは1.5重量%~10重量%、より好ましくは2.5重量%~7重量%、最も好ましくは3重量%~5重量%の非界面活性剤塩の濃度をもたらすように添加される。
【0064】
液晶相を形成するために基本混合物に添加される好適な非界面活性剤塩は、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0065】
好ましい実施形態では、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される非界面活性剤塩は、得られる液体洗剤の0.1重量%~10重量%、より好ましくは0.8~7重量%、最も好ましくは1.6重量%~3.5重量%の濃度で基本混合物に添加される。
【0066】
より好ましい実施形態では、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、及びこれらの混合物からなる群から選択される非界面活性剤塩は、得られる液体洗剤の0.1重量%~10重量%、より好ましくは0.8重量%~7重量%、最も好ましくは1.6重量%~3.5重量%の濃度で基本混合物に添加される。
【0067】
非界面活性剤塩は、塩プレミックスの一部として添加されてよい。かかる塩プレミックスは、典型的には、界面活性剤を含まない。好適な塩プレミックスは、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム(重炭酸ナトリウム)、塩化マグネシウム、エチレンジアミン四酢酸(EDTA)、ジエチレントリアミン五酢酸(DTPA)、ヒドロキシエタンジホスホン酸(HEDP)、クエン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、クエン酸、塩化カルシウム、ギ酸ナトリウム、ジエチレントリアミンペンタメチレンホスホン酸、及びこれらの混合物からなる群から選択される、非界面活性剤塩を含んでよい。
【0068】
基本混合物は、典型的には、所望の最終液体洗剤組成物より濃縮されている。したがって、所望の濃度の活性成分が達成されるように、典型的には水が添加される。好ましくは、典型的には、最終製品において5重量%~40重量%、好ましくは12重量%~30重量%の濃度の界面活性剤を有する液体洗濯洗剤組成物をもたらすのに十分な水が添加される。
【0069】
非界面活性剤塩を用いて、外部構造化剤を含む液体洗剤組成物の構造化又は粘度を上昇できるが、これは、かかる非界面活性剤塩が、液体洗剤組成物中に存在する液晶相の量を増加させるためである。
【0070】
このように、液体洗剤組成物は、
a)15%超の液晶相を含む液体洗剤組成物を準備する工程と、
b)外部構造化剤を添加する工程と、を有する方法によって構造化されてよい。
【0071】
好ましくは、本発明のプロセスで使用される基本混合物によって液体洗剤組成物が提供され、ここでは、液晶相が、非界面活性剤塩の添加によって形成される。液晶相は、総じて中性の帯電性であるため、好ましい外部構造化剤は、構造化効果をもたらすため、電荷-電荷相互作用に頼らないものである。したがって、特に好ましい外部構造化剤は、非高分子結晶性のヒドロキシル官能性構造化剤、例えば、硬化ヒマシ油、微小繊維状セルロース、非帯電性ヒドロキシエチルセルロース、非帯電性疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性エトキシ化ウレタン、疎水変性非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物からなる群から選択されるものなどの、非帯電性外部構造化剤である。
【0072】
望まれる所望の洗浄又は表面ケア効果に応じて、補助成分を液体洗剤組成物に添加してよい。液体洗濯洗剤組成物において、好適な補助成分は、カチオン性界面活性剤、両性及び/又は双極性界面活性剤、酵素、酵素安定剤、両親媒性アルコキシル化グリース洗浄ポリマー、泥汚れ洗浄ポリマー、汚れ除去ポリマー、汚れ懸濁ポリマー、漂白剤系、蛍光増白剤、色相染料、粒子材料、香料及び他の悪臭制御剤、ヒドロトロープ、抑泡剤、布地ケア有益剤、pH調整剤、移染防止剤、保存料、非織物直接染料、及びこれらの混合物からなる群から選択されてよい。
【0073】
好ましい実施形態では、得られた液晶相を構造化するため、液体洗剤組成物及び添加され得る任意のその他懸濁した物質に、外部構造化剤を添加する。外部構造化剤は、好ましくは、液体洗剤組成物の0.05重量%~2重量%、好ましくは0.07重量%~1重量%、より好ましくは0.1重量%~0.38重量%、最も好ましくは0.15重量%~0.3重量%の濃度で添加される。外部構造化系は、好ましくは次のi及び/又はiiからなる群から選択される:
i.非高分子結晶性のヒドロキシ-官能性構造化剤、及び/又は
ii.高分子構造化剤
【0074】
このような外部構造化系は、十分な降伏応力又は低せん断粘度を付与し、組成物の洗浄性界面活性剤の任意の構造化効果とは別に、又は外因的に流体液体洗濯洗剤組成物を安定化させるものである。好ましくは、これらは、流体洗濯洗剤組成物に、1s-1、20℃で1~6500cps、100/sで60cps超の高せん断粘度、及び、低せん断(0.05s-1、20℃)での5000cpsを超える粘度を付与する。
【0075】
好適な非高分子結晶性のヒドロキシル官能性構造化剤は当該技術分野において既知であり、一般に、最終液体洗剤組成物中への分散を補助するために、予備乳化が可能な結晶化可能グリセリドを含む。かかる予備乳化外部構造化系の非限定例は、(a)結晶化可能グリセリドと、(b)アニオン性界面活性剤と、(c)水と、任意に非アミノ官能性有機溶媒と、を含む。これらの構成成分のそれぞれについては、以下に詳細に論じる。好ましい非高分子結晶性のヒドロキシ-官能性構造化剤は、結晶化可能グリセリド、好ましくは硬化ヒマシ油、つまり「HCO」を含む。
【0076】
好適な高分子構造化剤として、天然由来及び/又は合成高分子構造化剤が挙げられる。
【0077】
本発明で使用する、天然由来の高分子構造化材の例として、微小繊維状セルロース、ヒドロキシエチルセルロース、疎水変性ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、多糖誘導体及びこれらの混合物が挙げられる。微小繊維状セルロースの非限定例は、国際公開第2009/101545(A1)号に記載されている。適切な多糖類誘導体として、ペクチン、アルギネート、アラビノガラクタン(アラビアガム)、カラギーナン、ジェランガム、キサンタンガム、グアーガム、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0078】
本発明において使用する合成ポリマー構造化剤の例としては、ポリカルボキシレート、ポリアクリレート、疎水修飾エトキシル化ウレタン、疎水修飾非イオン性ポリオール、及びこれらの混合物が挙げられる。
【0079】
好ましくはポリカルボキシレートポリマーは、ポリアクリレート、ポリメタクリレート、又はこれらの混合物である。別の好ましい実施形態では、ポリアクリレートは、不飽和モノ-又はジ-炭酸と、(メタ)アクリル酸の1~30Cアルキルエステルとのコポリマーである。そのようなコポリマーは、Noveon Incから商品名Carbopol Aqua 30で入手可能である。
【0080】
非界面活性剤塩は液晶相の大きさを増加させ、そのため液体洗剤組成物の粘度を上昇するため、外部構造化剤が存在しない場合でも、非界面活性剤塩を用いて構造化、すなわち、液体洗剤組成物の粘度を上昇させることもできる。更に、液体洗剤組成物が液晶相、特にラメラ相を、15%~85%、好ましくは5%~70%、より好ましくは10%~60%の液晶相の濃度で含むような濃度で、非界面活性剤塩が添加されるとき、非界面活性剤塩は、粘度調整剤及び/又は構造化剤として作用する。
【0081】
好ましい実施形態では、異なる成分を、連続プロセスで基本混合物に添加する。好ましい連続プロセスでは、基本混合物を好適な寸法のパイプで送液し、パイプに沿って配置された種々投入口において、異なる成分が添加される。好ましくは、最後の成分投入口の後に混合デバイスがある。より好ましく、かつ、混合を改善するため、混合デバイスをパイプに沿った様々な位置に配置する。好適な混合デバイスには、静的及び動的ミキサーデバイスが含まれ得る。動的ミキサーデバイスの例は、ホモジナイザー、ロータステータ、及び高せん断ミキサーである。混合デバイスは、必要なエネルギー散逸速度を提供するために直列又は並列に配置された複数の混合デバイスであり得る。
【0082】
本発明のプロセスにより、液晶相をより多く有する液体洗剤組成物がもたらされ、この組成物は自己構造化され、又は、少ない外部構造化剤を用いて構造化できる。
【0083】
かかる液体洗剤組成物は、好ましくは1重量%~70重量%の界面活性剤、10重量%未満の有機非アミノ官能性溶媒、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物を含み、本明細書に開示される方法を用いて測定するとき、少なくとも15%の液晶相を含む。より好ましい実施形態では、液体洗剤組成物は、15%~85%、好ましくは5%~70%、より好ましくは10%~60%の液晶相を含む。好ましい実施形態では、液体洗剤組成物は、2重量%~50重量%、より好ましくは5重量%~40重量%、最も好ましくは12重量%~30重量%の界面活性剤を含む。
【0084】
液体洗剤組成物は、好ましくは2.5重量%未満、好ましくは2重量%未満、より好ましくは1.2重量%未満の有機非アミノ官能性溶媒、ヒドロトロープ、並びに溶媒、ヒドロトロープ、及びこれらの混合物の混合物を含む。
【0085】
より好ましい実施形態では、液体洗剤組成物は、1重量%~10重量%の脂肪酸を含み、脱イオン水で希釈した10重量%溶液を25℃で測定するとき、6.5~13のpHを有する。
【0086】
液体洗剤組成物は、好ましくは液体洗剤組成物の0.05重量%~2重量%、より好ましくは0.07重量%~1重量%、更により好ましくは0.1重量%~0.38重量%の濃度の外部構造化剤を含んでよい。
【0087】
方法:
A)流体洗濯洗剤組成物の相安定性の評価方法:
組成物の相安定性は、300mLの組成物を、25℃で最大21日間にわたってガラス製ジャーに入れることによって評価する。上記期間内で、(i)2つ以上の層へと分離しない場合、あるいは(ii)複数の層に分離するが、組成物の少なくとも90体積%、好ましくは95体積%、より好ましくは99体積%を含む主要層が存在する場合、組成物は相分離に対し安定である。
【0088】
B)粘度の測定方法:
粘度は、直径40mm及びギャップサイズ500μmで、平板の鋼製スピンドルを用いるTA instruments製のAR550レオメータを使用して測定される。100s-1での高せん断粘度、及び0.05s-1での低せん断粘度は、0.05s-1~1200s-1の、3分間21℃での対数せん断速度掃引から得ることができる。
【0089】
C)濁度(NTU):
製造業者から提供された手順に従って較正されたHach 2100P濁度計を使用して、濁度(NTU:Nephelometric Turbidity Units(比濁度計濁度単位)で測定)を測定する。取扱説明書に従ってサンプルバイアルに15mLの代表サンプルを充填し、蓋をし、洗浄する。必要な場合、真空を適用するか又は超音波浴を使用することによって、サンプルを脱気してあらゆる気泡を除去する(手順に関する説明書を参照のこと)。濁度は、自動範囲選択を用いて測定される。
【0090】
D)液晶相の割合:
外部構造化剤を含まず、製品内に溶解しない微粒子又はその他固体を含まない製品を調製する。次に、製品サンプルを、最低1日間5℃で目盛り付き遠心管内で保存し、その後、1時間4400rpmにて遠心分離する。遠心分離後、液晶相の%を、遠心分離したサンプルの総高さに対する、定規で測定した液晶相の高さとして測定する。
【0091】
E)pHの測定方法:
pHは、取扱説明書に従って較正されたジェル充填プローブ(例えばToledoプローブ、部品番号52 000 100)付きのSantarius PT-10P pHメータを用いて、25℃で測定する。
【実施例0092】
本発明のプロセスで使用する基本混合物1を、単純に混合して調製した。得られた基本混合物は、液晶相を含まず、等方性であった。
【0093】
基本混合物2を同様に調製したが、1.8重量%のHEDPを含めた。HEDPは酸性であるため、0.6重量%の追加の水酸化ナトリウムを加え、標的pHに達するようにした。HEDPの添加により、混濁し、15%の液晶相を含む基本混合物が得られた。基本混合物3からわかるように、基本混合物2の液晶相を分散し、安定な等方性基本混合物を得るためには、2.3重量%の追加のエタノールが必要であった。
【0094】
同様に、基本混合物が1.5重量%のクエン酸を含む場合、液晶相を分散し、安定な等方性基本混合物を得るためには、2.1重量%の追加のエタノールが必要であった(基本混合物4及び5参照)。
【0095】
基本混合物が1.0重量%の炭酸ナトリウムを含む場合、液晶相を分散し、安定な等方性基本混合物を得るためには、2.3重量%の追加のエタノールが必要であった(基本混合物6及び7参照)。
【0096】
【表1】
比較
【0097】
上記データからわかるように、基本混合物が15重量%超の界面活性剤と、1.2重量%未満の非界面活性剤塩とを含むとき、安定で透明な基本混合物が形成される。非界面活性剤塩の量を増やすと、液晶相が形成する結果となり、基本混合物を一定に撹拌したまま維持しなければ、相分離を起こす(基本混合物2、4、及び6参照)。安定で透明な基本混合物を提供するため、エタノールを添加し、液晶相の量を無視できる程度(2重量%未満、基本混合物3、5、及び7参照)まで低下させなければならない。
【0098】
基本混合物8(本発明のプロセスで使用)及び基本混合物9(比較プロセスで使用)を、単純に混合して調製した。
【0099】
基本混合物8には、等方性と安定性の両方を目的に、合計2.3重量%のヒドロトロープ(クメンスルホン酸ナトリウム)と、有機非アミノ官能性溶媒(エタノール)と、を含めた。対照的に、安定で等方性である基本物を得るため、基本混合物9には、合計4.1重量%のヒドロトロープ(クメンスルホン酸ナトリウム)と、有機非アミノ官能性溶媒(エタノール)と、を含めた。
【0100】
【表2】
【0101】
基本混合物8及び基本混合物9(比較)を処理し、以下の成分を添加することによって、それぞれ最終製品1及び最終製品2を得た。
【0102】
【表3】
【0103】
【表4】
【0104】
基本混合物8が含有するヒドロトロープは少ないため、最終製品2よりも、顕著に多くの液晶相が最終製品1に存在した。その結果、所望の構造化及び粘度特性を有する最終製品を得るための、必要とする外部構造化剤は非常に少ない。
【0105】
基本混合物10(本発明のプロセスで使用)及び基本混合物11(比較プロセスで使用)を、単純に混合して調製した。
【0106】
基本混合物10には、等方性と安定性の両方を目的に、合計1.73重量%のヒドロトロープ(クメンスルホン酸ナトリウム)と、有機非アミノ官能性溶媒(エタノール)と、を含めた。対照的に、安定で等方性である基本物を得るため、基本混合物9には、合計3.47重量%のヒドロトロープ(クメンスルホン酸ナトリウム)と、有機非アミノ官能性溶媒(エタノール)と、を含めた。
【0107】
【表5】
【0108】
基本混合物10及び基本混合物11(比較)を処理し、以下の成分を添加することによって、最終製品3、更には比較最終製品4及び5をそれぞれ得た。
【0109】
【表6】
【0110】
【表7】
【0111】
ここでも、基本混合物10が含有するヒドロトロープは少ないため、最終製品5よりも、顕著に多くの液晶相が最終製品3及び4に存在した。その結果、所望の構造化及び粘度特性を有する最終製品を得るための、必要とする外部構造化剤は非常に少なかった。
【0112】
本明細書に開示した寸法及び値は、記載された正確な数値に厳密に限定されるものと理解されるべきではない。むしろ、特に断らない限り、そのような寸法のそれぞれは、記載された値及びその値の周辺の機能的に同等の範囲の両方を意味するものとする。例えば、「40mm」として開示される寸法は、「約40mm」を意味するものとする。