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特開2023-36925改良された音響波面を伴う高速パルス電気水圧(EH)ショックウェーブ発生装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036925
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】改良された音響波面を伴う高速パルス電気水圧(EH)ショックウェーブ発生装置
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/00 20060101AFI20230307BHJP
   A61B 17/225 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
A61B17/00 700
A61B17/225
【審査請求】有
【請求項の数】21
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023000156
(22)【出願日】2023-01-04
(62)【分割の表示】P 2019538392の分割
【原出願日】2018-01-17
(31)【優先権主張番号】62/447,191
(32)【優先日】2017-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515245583
【氏名又は名称】ソリトン, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】クリストファー シー. カペッリ
(72)【発明者】
【氏名】ジェレマイア パルマー
(72)【発明者】
【氏名】アリ ジャジー
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル マッセ
(72)【発明者】
【氏名】ウォルター クレンプ
(72)【発明者】
【氏名】デイビッド ロバートソン
(72)【発明者】
【氏名】ロバート クロウリー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】改良された音響波面を伴う治療用圧縮音響波(例えば、衝撃波)を発生させるための装置および方法を提供すること。
【解決手段】筐体1004が、チャンバ1008およびショックウェーブ出口1012によって画定され、チャンバは、液体で充填されるように構成され、1つ以上のスパーク間隙200を画定する複数の電極および音響反射器1020が、チャンバ内に配置されることができ、パルス発生システムが、電圧パルスを10Hz~5MHzの率で電極に印加するように構成される。改良された音響波面は、自由形態音響反射器および/または安定したスパーク間隙場所を介して達成される。自由形態音響反射器は、定義された変数に基づくスプライン補間を使用して反射器形状を反復するステップを含む、開示される方法に従って設計される。加えて、安定したスパーク間隙場所は、両方の電極を同時に調節する単一のサーボモータ1024を介して達成される。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本明細書に記載の発明。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2017年1月17日に出願された米国仮特許出願第62/447,191号に対する優先権の利益を主張するものであり、該米国仮特許出願は、その全体が参照により本明細書中に援用される。
【0002】
(1.発明の分野)
本発明は、概して、衝撃波またはショックウェーブの治療的使用に関する。より具体的には、限定ではないが、本開示は、改良された音響波面を伴う治療用衝撃波またはショックウェーブ(治療的使用を伴う衝撃波)を発生させるための装置および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
(2.関連技術の説明)
音響ショックウェーブが、数年にわたってある治療のために使用されている。「衝撃波」または「ショックウェーブ」は、概して、圧力の突然かつ急激な変化を生じさせる、(例えば、爆発または雷光からもたらされる)音響現象を指すために使用される。これらの急激な圧力変化は、強力なエネルギー波を産出することができ、該エネルギー波は、空気、水、ヒト軟組織等の弾性媒体または骨等のある固体物質を通して進行し得る、および/または、そのような弾性媒体において非弾性応答を誘発し得る。治療的使用のための衝撃波を生成するための方法は、(1)電気水圧(EH)またはスパーク間隙、(2)電磁またはEMSE、および(3)圧電を含む。各方法は、その独自のユニークな物理的原理に基づく。
【0004】
(A.ショックウェーブ発生のためのデバイスおよびシステム)
本発明者らのうちの1人による、第US 2014/0276722号として公開された米国特許出願第13/574,228号は、トランスデューサを使用して、高いパルス繰り返し数において衝撃波を産出するためのデバイスを開示している。そのデバイスは、1MHz~1,000MHzの少なくとも1つの周波数を有する音響波を放出するように構成される、音響波発生器と、音響波発生器に結合される、ショックウェーブ筐体と、ショックウェーブ筐体内に配置される、ショックウェーブ媒体とを含み、装置は、音響波発生器が音響波を放出する場合、音響波の少なくとも一部が、ショックウェーブ媒体を通して進行し、衝撃波を形成するであろうように構成される。そのデバイスは、患者内の粒子に患者の1つ以上の細胞を破裂させるように構成される、衝撃波を形成するように作動されることができ、衝撃波は、衝撃波が粒子に細胞のうちの1つ以上のものを破裂させるように、患者の細胞に指向されることができる。本音響トランスデューサデバイスは、高い周波数またはパルス繰り返し数において高出力ショックウェーブを産出することができる。
【0005】
加えて、同様に本発明者らによる、第US 2014/0257144号として公開された米国特許出願第13/798,710号は、チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する、筐体と、チャンバ内に配置される、液体と、チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される、(例えば、スパークヘッドまたはモジュール内の)複数の電極と、電圧パルスを10Hz~5MHzの率で電極に印加するように構成される、パルス発生システムとを備える、10Hz~5MHzの率におけるショックウェーブの電気水圧発生のための装置および方法を開示している。
【0006】
ショックウェーブを産出するための他のシステムは、電気水圧(EH)波発生器を含むことができる。EHシステムは、概して、他の方法と類似するレベルのエネルギーを送達することができるが、より広い面積にわたってそのエネルギーを送達し、したがって、より短い時間周期にわたって、より多くの量の衝撃波エネルギーを標的組織に送達するように構成されてもよい。EHシステムは、概して、衝撃波を開始するために、電極(すなわち、スパークプラグ)を組み込む。EHシステムでは、高エネルギー衝撃波が、封入体内に含有された処理済み水に浸漬された電極に電気が印加されたときに発生させられる。電荷が発射されると、少量の水が、電極の先端において蒸発させられ、蒸発した水の急速でほぼ瞬時の膨張が、液体水を通して外向きに伝搬する衝撃波を生成する。いくつかの実施形態では、水は、楕円体封入体内に含有される。これらの実施形態では、衝撃波は、楕円体封入体の側から跳ね返り、処置されるべき面積の場所と一致する焦点に収束し得る。
【0007】
例えば、米国特許第7,189,209号(第‘209号特許)は、音響衝撃波を印加することによって、骨および筋骨格環境および軟組織と関連付けられる病的状態を処置する方法を説明している。第‘209号特許は、ショックウェーブが、微小破壊を含む、その中の局所的外傷および細胞アポトーシスを誘発し、および、細胞動員等の造骨性応答を誘発し、分子骨、軟骨、腱、筋膜、および軟組織モルフォゲンおよび成長因子の形成を刺激し、血管新生を誘発することを説明している。第‘209号特許は、その方法のいくつかの具体的実装を請求している。例えば、第‘209号特許は、ヒト患者における糖尿病による足潰瘍または褥瘡の部位または疑わしい部位を位置特定するステップと、音響衝撃波を発生させるステップと、位置特定された部位全体を通して音響衝撃波を集束させるステップと、微小損傷および血管新生の増加を誘発するために、位置特定された部位への処置あたり500~約2,500発を上回る音響衝撃波を印加し、それによって、治癒を誘発または加速するステップとを含む、糖尿病による足潰瘍または褥瘡を処置する方法を請求している。第‘209号特許は、約0.5Hz~4Hzの周波数範囲と、処置部位毎の処置持続時間および/または不都合に大きい全ての部位に対する「処置あたり合計時間」をもたらし得る、処置部位あたり約300~2,500発または約500~8,000発の音響衝撃波の印加とを開示している。例えば、第‘209号特許は、20分~3時間の範囲に及ぶ、異なる実施例に対する処置あたり合計時間を開示している。
【0008】
米国特許第5,529,572号(第‘572号特許)は、組織への治療効果を産出するための電気水圧で発生させられたショックウェーブの使用の別の実施例を含む。第‘572号特許は、(骨粗鬆症を処置するために)骨の密度および強度を増加させる方法を説明しており、該方法は、衝撃波源からの距離の関数として実質的に一定の強度を有する、略平面的なコリメートされた圧縮衝撃波を該骨に受けさせるステップを含み、該コリメートされた衝撃波は、50~500気圧の強度で骨に印加される。第‘572号特許は、骨への動的な反復荷重を産出し、平均骨密度を増加させ、それによって、骨折に対して骨を強化するための非集束衝撃波の印加を説明している。第‘572号特許に説明されるように、「非集束衝撃波は、好ましくは、例えば、10~150cmの面積を被覆するように、処置される骨の比較的に広い表面にわたって印加される。衝撃波の強度は、50~500気圧であってもよい。各衝撃波は、従来の砕石器のように、数マイクロ秒の持続時間のものであり、好ましくは、各処置において5~30分の周期にわたって1秒あたり1~10発の衝撃波の頻度で印加される。処置の回数は、特定の患者に依存する。」
【0009】
第US 2004/0006288号としても公開されている、米国特許出願第10/415,293号(第‘293号出願)は、組織への治療効果を提供するためのEH発生ショックウェーブの使用の別の実施形態を開示している。第‘293号出願は、血管構造から堆積物を少なくとも部分的に分離するための治療用音響衝撃波の発生のためのデバイス、システム、および方法を開示している。第‘293号出願は、デバイスが、1cmあたり(処置されている血管単位の長さあたりに関して)処置部位あたり約100~約5,000のパルス数を用いて、1分あたり約50~約500発のパルスのパルス繰り返し数(すなわち、0.83~8.33Hz)においてショックウェーブを産出し得ることを説明している。
【0010】
(B.ショックウェーブ率)
従来技術の文献は、ショックウェーブを提供するためにEHシステムを使用する、より速いパルス繰り返し数が、組織損傷につながり得ることを示している。例えば、ある研究(Delius, Jordan, & et al, 1988)[1]では、その腎臓が3,000発のショックウェーブに暴露されたイヌの群において、正常なイヌ腎臓への衝撃波の影響が、検査された。群は、それぞれ、100Hz~1Hzであったショックウェーブ投与率においてのみ異なっていた。剖検が、24~30時間後に実施された。肉眼的かつ組織学的に、ショックウェーブが(1Hzと対比して)100Hzの率で投与された場合、有意に多くの出血が、腎実質において起こった。結果は、腎臓損傷がショックウェーブ投与率に依存していることを示した。
【0011】
別の研究(Madbouly & et al, 2005)[3]では、緩慢なショックウェーブ砕石率(SWL)が、急速なショックウェーブ砕石率と比較して、より少ない数の総ショックウェーブにおける有意により高い成功率と関連付けられた。本論文では、著者らは、人体実験がまた、SWL誘発性腎損傷の発生の減少、またはより緩慢な試験SWL率が使用されたときの麻酔の必要性を示した様子を議論した。
【0012】
さらに別の研究(Gillitzer & et al, 2009)[2]では、1分あたり60発から30発のショックウェーブに送達率を減速させることもまた、ブタモデルにおいて実際の血管系の完全性への劇的な保護効果を提供する。これらの所見は、体外ショックウェーブ砕石術の安全性および有効性を改良するための低減されたパルス繰り返し数周波数の潜在的方略を支持する。
【0013】
軟組織は、1Hz~10Hzのパルス繰り返し数(PR)に関して、弾性から粘性の挙動に遷移し得る。その結果、1Hz~10HzのPRにおけるショックウェーブからの組織への潜在的損傷は、典型的な砕石術出力レベルが使用されるときに予測不可能である。おそらく、その結果、従来技術は、より緩慢なPR、および処置あたりの多くの合計時間(TTPT)を教示する。例えば、現在公知のEHショックウェーブシステムは、概して、10Hz未満のPRを送達し、処置あたりの多くの合計時間(例えば、単一の処置部位に対してさえも数分またはさらに数時間のTTPT周期)を要求する。典型的であり得るように、処置が複数の処置部位においてデバイスの再位置付けを要求するとき、TTPTは、多くなり、多くの患者および処置必要性にとって潜在的に非実用的なものになる。
【0014】
長い処置時間が、体外ショックウェーブ砕石術のために許容可能であり得るが、医療設定における組織への非砕石術治療効果を提供するためのショックウェーブの使用は、非実用的ではないにしても最適ではない。例えば、処置の費用は、多くの場合、(例えば、処置の投与に分配される労働、設備、および他の資源の費用に起因して)処置を投与するために必要とされる時間とともに増加する。さらに、費用に加えて、ある時点で、処置を患者に提供する持続時間は、処置を受ける患者および処置を提供する医療スタッフにとって耐え難くなる。
【0015】
(C.放物型反射器)
放物型反射器の使用は、比較的に長い距離にわたってピーク圧力を維持する平面波の発生を可能にする。したがって、平面波は、有益なこととして、深部組織において使用されている。しかしながら、放物型反射器はまた、課題も提示し得る。
【0016】
第1に、処置のために標的化された組織が浅い(例えば、皮膚の真皮)とき、平面波のピーク圧力は、放物型反射器を使用するとき、標的化された組織を越えて持続する。そのような波は、標的化された処置部位を越えた遠くの組織部位に不要な損傷効果および痛みをもたらし得る。例えば、真皮を処置するとき、比較的に平面の波は、下層骨構造に影響を及ぼすために十分なピーク圧力を維持し、患者に有意な痛みをもたらすであろう。放物型反射器を使用する電気水圧ショックウェーブ発生器によって産出される持続的平面音響波ピーク圧力の形成は、異なる組織深度における音響波面の圧力マップを検査することによって実証される。例えば、図1は、標準的放物型反射器を使用するショックウェーブ発生器からの音響波面圧力マップを描写する。見られ得るように、音響波面ピーク圧力マップは、ピーク圧力の持続的性質を例証する。50mm深度において、音響波面ピーク圧力は、非常に高く、本質的に、30mm深度における波面ピーク圧力から変化しない。
【0017】
第2に、電気水圧ショックウェーブ発生器における放物型反射器の使用を通して発生される平面音響波は、多くの場合、均一ではない。具体的には、電気水圧ショックウェーブ発生器における放物型反射器は、より高いピーク圧力(すなわち、「ホットスポット」)またはより低いピーク圧力(すなわち、「シャドウ」)の両方を有する音響波面を産出し得る。音響波面における本非均一性は、少なくとも2つの主要な原因、すなわち、(1)チャンバ内に発生される異常な音響波反射と、(2)チャンバ内の電極間隙場所の不安定性とを有する。
【0018】
異常な音響波反射は、典型的には、チャンバ内に見出されるハードウェア(すなわち、電極、電極ブリッジ等)、ポート、縁等によって引き起こされる。これらの異常な反射は、多くの場合、より高いピーク圧力およびより低いピーク圧力の面積を有する音響波面の形成をもたらすであろう。
【0019】
チャンバ内の電極間隙場所の不安定性は、電気水圧ショックウェーブ発生器内の電極の間の間隙内にスパークを産出する電極の対からもたらされる。本電気スパークは、音響波を産出するように崩壊するプラズマ泡をもたらす。電極が放物型反射器内の適切な焦点場所に設置されると、反射された音響波は、比較的に平面の波面の形成をもたらすことができる。しかしながら、音響波面の非均一性は、電極間隙の焦点場所(「f場所」または「焦点場所」)が変化するときに起こり得る。スパーク事象からの電極の浸食は、放物型反射器内のスパーク事象の焦点場所の変化につながる。焦点場所の本不安定性は、出力された音響波の非均一性をもたらす。図2Aおよび2Bは、種々の電極間隙焦点場所200の効果を示す、放物型反射器202から発する圧力線のグラフ表現を描写する。図2Aでは、電極間隙200の焦点場所は、f=0.93にあり、中心において集束する圧力線をもたらす。これらの圧力線の本収束は、組織内のより深くにピーク圧力ホットスポット204をもたらし、過剰な組織損傷、処置不快感、および痛みをもたらすであろう。同様に、図2Bでは、電極間隙200の焦点場所は、f=0.6にあり、処置面積の円周の周囲に収束する圧力線をもたらす。処置面積の円周の周囲の圧力線の収束は、組織内のより深くにピーク圧力ホットスポット204をもたらし、過剰な組織損傷、処置不快感、および痛みをもたらすであろう。
【0020】
したがって、放物型反射器の使用は、選択した処置状況において安定した音響波を産出し得るが、音響波ピーク圧力持続性および音響波非均一性(すなわち、ホットスポットおよびシャドウ)に起因して、従来技術のアプローチは、均一な音響波面を一貫して提供する際に最適ではない。その結果、これらの音響波面持続性およびホットスポットは、患者にとって苦痛かつ有害の両方である処置をもたらし得る。
【0021】
(D.自由形態反射器)
自由形態反射器は、純粋に放物型ではない反射器である。照明分野では、光源上の自由形態反射器が、均一な円形照明を提供することを補助するために使用されている。その高い設計自由度に起因して、自由形態表面は、光学システムの構造を簡略化し、複雑な照明要件を満たすことができる。過去数年における自由形態表面の設計および機械加工の開発によって、本技法は、道路または探索照明、プロジェクタにおける照明、液晶ディスプレイ(LCD)背面照明、自動車ヘッドランプ、および光学リソグラフィシステム、およびその他等の多くの分野において適用されている(Liu & et al, 2005)[4]。照明のために自由形態反射器を設計することは、困難である。近年では、いくつかのアプローチが、説明されている[4]。これらのアプローチは、光の使用に特有である特別なアルゴリズムおよび最適化技法を利用していると考えられる。光学出力のための自由形態反射器の実施例が、(1)米国特許第5,790,305号、(2)米国特許出願公開第US 2010/0208467号、(3)米国特許第5,675,495号、および(4)米国特許第5,204,820号に見出されることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0022】
【特許文献1】米国特許出願公開第2014/0276722号明細書
【特許文献2】米国特許出願公開第2014/0257144号明細書
【特許文献3】米国特許第7,189,209号明細書
【特許文献4】米国特許第5,529,572号明細書
【特許文献5】米国特許出願公開第2004/0006288号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0023】
本開示は、改良された音響波面を伴う高速音響パルスの電気水圧発生のための装置および方法の実施形態を含む。ある実施形態では、これらの改良された音響波面は、定義された距離後に迅速に分散する、標的化された処置面積の近傍の場における本質的に平面の音響波面を備える。そのような波面は、標的化された面積を越える組織損傷および痛みを限定しながら、標的化された面積内に効果的な音響治療を提供する。別の実施形態では、改良された音響波面は、定義された距離後に迅速に分散する、標的化された処置面積の近傍の場における本質的に平面の非集束音響波面を備え、音響波面は、ピーク圧力の観点から本質的に均一である。そのような波面は、高濃度のピーク圧力(すなわち、「ホットスポット」)および低濃度のピーク圧力(すなわち、「シャドウ」)を最小限にする、標的化された面積内の効果的な音響治療を提供する。これらの本質的に均一な非集束音響波面は、標的化された処置面積にわたってより一貫した治療を提供する。
【0024】
ある実施形態では、音響波の電気水圧発生のための装置は、チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する、筐体と、チャンバ内に配置される、液体と、チャンバ内の音響反射器と、チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される、(例えば、スパークヘッドまたはモジュール内の)複数の電極と、電圧パルスを10Hz~5MHzの率で電極に印加するように構成される、パルス発生システムとを備える。一実施形態では、改良された音響波面は、チャンバ内の音響反射器を使用して達成される。別の実施形態では、改良された音響波面は、チャンバ内の音響自由形態反射器を使用して達成される。さらに別の実施形態では、改良された音響波面は、チャンバ内に安定したスパーク間隙場所を提供することによって達成される。さらに別の実施形態では、改良された音響波面は、チャンバ内の音響自由形態反射器および安定したスパーク間隙場所の使用を通して達成される。
【0025】
(例えば、治療用音響波を発生させるための)本装置のいくつかの実施形態は、チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する、筐体と、液体を受容するように構成される、チャンバと、チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される、複数の電極と、チャンバ内に配置される、音響反射器と、複数の電極に機械的に結合される、単一のサーボモータとを備え、スパーク間隙は、スパーク間隙サイズと、スパーク間隙場所とを有し、単一のサーボモータは、電極のそれぞれを調節し、一貫したスパーク間隙サイズおよびスパーク間隙場所を維持するように構成される。いくつかの実施形態では、音響反射器は、自由形態音響反射器である。いくつかの実施形態では、複数の電極は、第1の電極と、第2の電極とを備え、単一のサーボモータは、第1の電極および第2の電極に機械的に結合される。いくつかの実施形態はさらに、第2の電極に機械的に結合される複数の枢動アームを備える。いくつかの実施形態では、複数の枢動アームは、単一のサーボモータが作動されると、第2の電極を第1の電極に向かって前進させるように構成される。いくつかの実施形態はさらに、閉ループ制御を介して単一のサーボモータに信号伝達し、複数の電極を移動させ、スパーク間隙を一貫した長さに維持するように構成される、コントローラを備える。いくつかの実施形態では、コントローラはさらに、識別された充電電圧における複数の電極の放電のパルス時間を測定し、測定されたパルス時間に基づいて、単一のサーボモータに移動させるように信号伝達し、それによって、スパーク間隙を一貫した長さに維持することによって、閉ループ制御を介して単一のサーボモータに信号伝達するように構成される。いくつかの実施形態はさらに、(i)筐体がパルス発生システムに対して移動可能であり、(ii)パルス発生システムが複数の電極と電気連通するように、複数の電極に結合されるように構成される、パルス発生システムを備える。
【0026】
(例えば、治療用音響波を発生させるための)本装置のいくつかの実施形態は、チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する、筐体と、チャンバ内に配置される、液体と、チャンバおよびショックウェーブ出口を画定し、チャンバは、液体を受容するように構成される、筐体と、チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される、複数の電極と、チャンバ内に配置される、自由形態音響反射器とを備え、スパーク間隙は、スパーク間隙サイズと、スパーク間隙場所とを有する。いくつかの実施形態では、音響反射器は、筐体と一体である。
【0027】
(例えば、自由形態音響反射器を設計するための)本方法のいくつかの実施形態は、音響パルスの起点、患者の標的処置面積、および安全深度を定義するステップと、指定された標的処置面積および安全深度と一貫するエネルギー分布をもたらすことが可能な反射器形状が達成されるまで、反射器形状を反復するステップと、最終反射器形状に基づいて、エネルギー密度を概算するステップと、最終反射器形状を検証するステップとを含む。いくつかの実施形態では、音響パルスの起点を定義するステップはさらに、複数の電極が電気水圧音響波発生器内で位置する場所を定義するステップを含む。いくつかの実施形態では、患者の標的処置面積を定義するステップはさらに、均一な圧力密度を送達する組織深度を指定するステップを含む。いくつかの実施形態では、安全深度を定義するステップはさらに、非集束音響波が50パーセントだけ放散される患者の組織内の深度を決定するステップを含む。いくつかの実施形態では、反射器形状を反復するステップはさらに、スプライン補間を使用するステップを含む。いくつかの実施形態では、エネルギー密度を概算するステップはさらに、レイトレーシングを実施するステップを含む。いくつかの実施形態では、最終反射器形状を検証するステップはさらに、有限要素法(FEM)シミュレーションを使用するステップを含む。
【0028】
用語「結合される」は、必ずしも直接的にではなく、そして必ずしも機械的にではなく、接続されるとして定義され、すなわち、「結合される」2つのアイテムは、相互に一体であり得る。用語「a」および「an」は、本開示が別様に明示的に要求しない限り、1つ以上のものとして定義される。用語「略」は、当業者によって理解されるように、必ずしも全体的ではないが、大部分が規定されるものとして定義される(および規定されるものを含む。例えば、略90度は、90度を含み、略平行は、平行を含む)。任意の開示される実施形態では、用語「略」、「およそ」、および「約」は、規定されるもの「の[あるパーセンテージ]以内」を用いて代用されてもよく、パーセンテージは、0.1、1、5、および10パーセントを含む。開示される実施形態では、用語「隣接する」は、概して、同一の離散チャンバ、筐体、またはモジュール内に位置すると定義される。
【0029】
用語「~を備える(comprise)」(および「~を備える(comprises)」および「~を備える(comprising)」等の~を備える(comprise)の任意の形態)、「~を有する(have)」(および「~を有する(has)」および「~を有する(having)」等の~を有する(have)の任意の形態)、「~を含む(include)」(および、「~を含む(includes)」および「~を含む(including)」等の~を含む(include)の任意の形態)、および「~を含有する(contain)」(および「~を含有する(contains)」および「~を含有する(containing)」等の~を含有する(contain)の任意の形態)は、非限定的連結動詞である。その結果、1つ以上の要素を「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」システムまたは装置は、それらの1つ以上の要素を保有するが、それらの要素のみを保有することに限定されない。同様に、1つ以上のステップを「備える」、「有する」、「含む」、または「含有する」方法は、それらの1つ以上のステップを保有するが、それらの1つ以上のステップのみを保有することに限定されない。
【0030】
さらに、ある方法で構成される構造(例えば、装置の構成要素)は、少なくともその方法で構成されるが、これはまた、具体的に説明されるもの以外の方法で構成されることができる。
【0031】
本システム、装置、および方法のうちのいずれかの任意の実施形態は、説明されるステップ、要素、および/または特徴のうちのいずれかを備える/含む/含有する/有するのではなく、それから成る、または本質的にそれから成ることができる。したがって、請求項のうちのいずれかにおいて、用語「~から成る」または「本質的に~から成る」は、所与の請求項の範囲を非限定的連結動詞を使用して別様にあろうものから変更するために、上記に列挙される非限定的連結動詞のうちのいずれかに代用されることができる。
【0032】
上記に説明される実施形態およびその他と関連付けられる詳細が、下記に提示される。
本発明は、例えば、以下の項目を提供する。
(項目1)
治療用音響波を発生させるための装置であって、
チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する筐体であって、前記チャンバは、液体を受容するように構成される、筐体と、
前記チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される複数の電極と、
前記チャンバ内に配置される音響反射器と、
前記複数の電極に機械的に結合される単一のサーボモータと
を備え、
前記スパーク間隙はそれぞれ、スパーク間隙サイズと、スパーク間隙場所とを有し、
前記単一のサーボモータは、前記複数の電極の各電極を調節し、一貫したスパーク間隙サイズおよびスパーク間隙場所を維持するように構成される、装置。
(項目2)
前記音響反射器は、自由形態音響反射器を備える、項目1に記載の装置。
(項目3)
前記複数の電極は、第1の電極と、第2の電極とを備え、
前記単一のサーボモータは、前記第1の電極および前記第2の電極に機械的に結合される、項目1に記載の装置。
(項目4)
前記第2の電極に機械的に結合される複数の枢動アームをさらに備える、項目3に記載の装置。
(項目5)
前記複数の枢動アームは、前記単一のサーボモータが作動されることに応答して、前記第2の電極を前記第1の電極に向かって前進させるように構成される、項目4に記載の装置。
(項目6)
コントローラをさらに備え、前記コントローラは、閉ループ制御を介して前記単一のサーボモータに信号伝達することにより、前記複数の電極を移動させ、前記スパーク間隙を一貫した長さに維持するように動作するように構成される、項目1に記載の装置。
(項目7)
前記コントローラはさらに、前記閉ループ制御を介して前記単一のサーボモータに信号伝達するように構成され、前記単一のサーボモータに信号伝達するために、前記コントローラは、
識別された充電電圧における前記複数の電極の放電のパルス時間を測定することと、
前記測定されたパルス時間に基づいて、前記単一のサーボモータに移動させるように信号伝達し、それによって、前記スパーク間隙を一貫した長さに維持することと
を行うように構成される、項目6に記載の装置。
(項目8)
パルス発生システムであって、前記パルス発生システムは、(i)前記筐体がパルス発生システムに対して移動可能であり、(ii)前記パルス発生システムが前記複数の電極と電気連通するように、前記複数の電極に結合されるように構成される、パルス発生システム
をさらに備える、項目1に記載の装置。
(項目9)
治療用音響波を発生させるための装置であって、
チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する筐体であって、前記チャンバは、液体を受容するように構成される、筐体と、
前記チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される複数の電極と、
前記チャンバ内に配置される自由形態音響反射器と
を備え、
1つ以上の前記スパーク間隙はそれぞれ、スパーク間隙サイズと、スパーク間隙場所とを有する、装置。
(項目10)
前記音響反射器は、前記筐体と一体である、項目9に記載の装置。
(項目11)
自由形態音響反射器を設計するための方法であって、
音響パルスの起点、患者の標的処置面積、および安全深度を定義することと、
前記定義された標的処置面積および前記定義された安全深度と一貫するエネルギー分布をもたらすことが可能な反射器形状が達成されるまで、反射器形状を反復することと、
最終反射器形状に基づいて、エネルギー密度を概算することと、
前記最終反射器形状を検証することと
を含む、方法。
(項目12)
音響パルスの起点を定義することはさらに、複数の電極が電気水圧音響波発生器内で位置する場所を定義することを含む、項目11に記載の方法。
(項目13)
患者の標的処置面積を定義することはさらに、均一な圧力密度を送達する組織深度を指定することを含む、項目11に記載の方法。
(項目14)
安全深度を定義することはさらに、非集束音響波が50パーセントだけ放散される前記患者の組織内の深度を決定することを含む、項目11に記載の方法。
(項目15)
反射器形状を反復することはさらに、スプライン補間を使用することを含む、項目11に記載の方法。
(項目16)
エネルギー密度を概算することはさらに、レイトレーシングを実施することを含む、項目11に記載の方法。
(項目17)
前記最終反射器形状を検証することはさらに、有限要素法(FEM)シミュレーションを使用することを含む、項目11に記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0033】
以下の図面は、限定ではなく、実施例として図示される。簡潔化および明確化のために、所与の構造の全ての特徴が、その構造が出現する全ての図において必ずしも標識化されるわけではない。同じ参照番号は、必ずしも同じ構造を示すわけではない。むしろ、同一の参照番号は、同じではない参照番号であり得るような類似する特徴または類似する機能性を伴う特徴を示すために使用され得る。図は、(別様に留意されない限り)縮尺通りに描かれ、描写される要素のサイズが、少なくとも図に描写される実施形態に関して相互に対して正確であることを意味する。
【0034】
図1図1は、標準的放物型反射器を使用する従来技術のショックウェーブ発生器からの音響波面圧力マップを描写する。
【0035】
図2A図2Aおよび2Bは、放物型反射器から発する圧力線のグラフ表現を描写する。
図2B図2Aおよび2Bは、放物型反射器から発する圧力線のグラフ表現を描写する。
【0036】
図3図3は、定義された音響波面を有する自由形態音響反射器を設計するための最適化プロセスのためのフローチャートを描写する。
【0037】
図4図4は、自由形態反射器から反射された音響波のレイトレーシングのグラフ表現を描写する。
【0038】
図5図5は、スプライン補間を使用して設計された自由形態反射器のFEMシミュレーションを描写する。
【0039】
図6A図6Aおよび6Bは、それぞれ、装置のスパークヘッド部分の等角図および断面図を描写する。
図6B図6Aおよび6Bは、それぞれ、装置のスパークヘッド部分の等角図および断面図を描写する。
【0040】
図7図7は、標準的放物型反射器を使用する従来技術のショックウェーブ発生器からの音響波面圧力マップである。
【0041】
図8図8は、放物型反射器および自由形態反射器の音響波面圧力マップの並列比較である。
【0042】
図9図9は、カソードおよびアノード電極浸食率比に関する実験データを提供するグラフである。
【0043】
図10図10は、改良された音響波面を有する音響波の電気水圧発生のための装置の一実施形態の断面図を描写する。
【0044】
図11図11は、図10の装置のある構成要素の斜視図を描写する。
【0045】
図12A図12A-12Cは、図11の構成要素の機能を図示する3つの図を描写する。
図12B図12A-12Cは、図11の構成要素の機能を図示する3つの図を描写する。
図12C図12A-12Cは、図11の構成要素の機能を図示する3つの図を描写する。
【発明を実施するための形態】
【0046】
本システムおよび装置のある実施形態は、改良された音響波面を有する高周波数衝撃波を発生させるように構成される。いくつかの実施形態では、発生されたEH音響パルスは、医療および/または審美的治療用途で(例えば、患者の標的組織に指向および/または送達されるときに)使用されることができる。本システムが使用され得る医療および/または審美的治療用途の実施例は、(1)第US 2013/0046207号として公開された米国特許出願第13/574,228号、(2)第US 2013/0018287号として公開された米国特許出願第13/547,995号、および(3)第US 2014/0257144号として公開された米国特許出願第13/798,710号(そのそれぞれが、その全体として本明細書に組み込まれる)に開示されている。
【0047】
一実施形態では、ショックウェーブの電気水圧発生のための装置は、チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する、筐体と、チャンバ内に配置される、液体と、チャンバ内に配置され、1つ以上のスパーク間隙を画定するように構成される、(例えば、スパークヘッドまたはモジュール内の)複数の電極と、電圧パルスを10Hz~5MHzの率において電極に印加するように構成される、パルス発生システムとを備える。電圧パルスの率は、例証的非限定的実施例として、25Hz、50Hz、75Hz、100Hz、150Hz、200Hz、250Hz、300Hz、400Hz、500Hz、600Hz、700Hz、800Hz、900Hz、1KHz、5KHz、10KHz、25KHz、50KHz、100KHz、200KHz、300KHz、400KHz、500KHz、600KHz、700KHz、800KHz、900KHz、1MHz、2MHz、3MHz、および4MHzの率であってもよい。
【0048】
いくつかの実施形態では、パルス発生システムは、改良された音響波面を伴う一連の音響ショックウェーブを産出するように構成される。改良された音響波面は、定義された距離後に迅速に分散する、標的化された処置面積の近傍の場における本質的に平面の音響波面を含む。そのような波面は、標的化された処置面積内に効果的な音響治療を提供するが、標的化された面積を越える組織損傷および痛みを限定する。いくつかの実施形態では、改良された音響波面は、定義された距離後に迅速に分散する、標的化された処置面積の近傍の場における本質的に平面の非集束音響波面を含み、音響波面は、ピーク圧力の観点から本質的に均一である。そのような波面は、高濃度のピーク圧力(すなわち、「ホットスポット」)および低濃度のピーク圧力(すなわち、「シャドウ」)を最小限にする、標的化された面積内の効果的な音響治療を可能にする。本質的に均一の非集束音響波面を有することは、標的化された処置面積にわたってより一貫した治療を提供する。
【0049】
ある実施形態では、改良された音響波形(例えば、音響波面)は、チャンバ内の音響反射器を使用して達成される。より具体的には、ある実施形態は、所望の波面を達成するために自由形態音響反射器を使用する。なおもさらなる実施形態では、改良された音響波面は、チャンバ内に安定したスパーク間隙場所を提供することによって達成される。安定化された音響波面は、複数の電極から形成されたスパーク間隙をチャンバ内の一定の焦点場所に維持することによって達成される。一実施形態では、複数の電極は、スパーク間隙をチャンバ内の一定の焦点場所に維持するために使用される単一のサーボモータを備える、焦点安定化ユニットを介して自動的に調節される。開示される装置のある実施形態は、自由形態音響反射器および焦点安定化ユニットの両方を備える。
【0050】
(A.自由形態反射器)
自由形態反射器が照明目的のために使用されているが、音響出力のために自由形態反射器を使用することは、困難であり、かつ非実用的である。例えば、光波は、音響波よりも有意に小さく、したがって、光の自由形態反射器を設計するための現在のアプローチは、より長い波の音響出力のために使用されるとき、さらにより困難となるであろう。加えて、フィラメントランプまたはLED等の光源と異なり、音響源は、典型的には、大きく(例えば、必ずしも「点源」ではなく)、自由形態非平面音響反射器の設計をさらにより困難にする。
【0051】
放物型反射器を使用する音響波の電気水圧発生に対する現在のアプローチは、いくつかの事例では、準最適である。例えば、放物型反射器は、音響波非均一性を軽減しない場合があり、それによって、ホットスポットおよびシャドウをもたらす。上記に議論されるように、音響波非均一性の2つの主要な原因は、(1)チャンバ内に発生される異常な音響波反射および(2)電極間隙の変化する焦点場所(「f場所」)である。
【0052】
異常な反射は、典型的には、チャンバ内に見出されるハードウェア(すなわち、電極、電極ブリッジ等)、ポート、縁等によって引き起こされる。これらの異常な音響波反射は、より高いピーク圧力の面積およびより低いピーク圧力の面積を有する音響波面の形成をもたらすであろう。電極間隙の焦点場所の変化は、スパーク事象から引き起こされる電極の浸食からもたらされ得る。
【0053】
実践では、音響波面の非均一性は、問題となり得る。異常な音響波および変化する電極間隙場所の両方は、高圧の面積(ホットスポット)および低圧の面積(シャドウ)をもたらす処置面積内の波面集束および発散を引き起こす。これらの音響波面ホットスポットは、標的処置面積の内外の両方における局所化された高圧面積につながり、組織損傷および/または痛みをもたらし得る。音響波面シャドウは、治療量以下の音響波送達の面積を引き起こす。
【0054】
上記に議論されるように、自由形態反射器が、現在、照明および光学の分野における類似する問題を緩和するために使用されている。しかしながら、同様に上記に議論されるように、音響出力のために自由形態反射器を使用することは、現在、光波と音響波との間の本質的な差異に起因して、困難であり、かつ非実用的である。これらの課題にもかかわらず、本発明のいくつかの実施形態によると、自由形態反射器が、より深い深度における音響波持続性を最小限にしながら、定義された処置深度における改良された音響波面出力均一性を提供するように設計され得る。これらの自由形態反射器は、チャンバ内に位置する構造(すなわち、電極、電極ブリッジ、水ポート、チャンバ縁等)を考慮しながら、音響ホットスポットを最小限にするように設計される。
【0055】
ここで図面を参照すると、図3は、定義された音響波面を有する自由形態音響反射器を設計するための最適化プロセスを描写する。実施例として、自由形態音響反射器は、スプライン補間を使用して設計および/または改良(例えば、最適化)されることができる。図3のプロセスは、メモリに結合され、プロセッサに図3のプロセスを実行するための動作を実施させるようにメモリに記憶される命令を実行するように構成される、プロセッサ等によってコンピュータ実装されてもよい。
【0056】
示される実施形態では、定義された波面を有する自由形態音響反射器を設計するための最適化プロセスは、(1)音響パルスの起点を定義するステップ300と、(2)処置面積を定義するステップ302と、(3)安全深度を定義するステップ304と、(4)所望の形状が達成されるまで、スプライン補間を使用して反射器形状を反復するステップ306と、(5)エネルギー密度を概算するためにレイトレーシングを実施するステップ308と、(6)有限要素法(FEM)シミュレーションを使用して結果として生じる構造を検証するステップ310とを含む。
【0057】
示される実施形態では、音響パルスの起点300が、識別または定義される。例えば、音響パルスの起点は、典型的には、電気水圧音響波発生器のチャンバ内の1つ以上のスパーク間隙を画定する電極に、またはその間にある。そのような電気水圧発生器では、対向する電極が、多くの場合、パルスを発生させるために使用される。電極が平坦面を有するとき、音響パルスの起点は、典型的には、それらの中心ではなく、電極の縁にある。これは、多くの場合、音響波が、それらが縁に到達するまで平行な電極面の間で前後に反射するであろうため、放電事象の場所にかかわらず当てはまる。他の実施形態では、音響パルスの起点は、電磁音響波発生器または圧電音響波発生器にあってもよい。
【0058】
示される実施形態では、標的処置面積302が、次いで、均一な圧力密度が所望される組織深度を定義することを含め、定義または規定される。例えば、タトゥーを処置する状況では、均一な圧力密度を有するための標的処置面積400は、深度が(例えば、患者の皮膚の表面から)2mm未満である。他の状況では、均一な圧力面積を有するための標的処置面積は、患者の皮膚の表面から深度が1mm、3mm、4mm、5mm、または1cmであってもよい。
【0059】
次に、ある実施形態によると、患者の組織内の安全深度304が、定義される。安全深度は、患者への組織損傷および痛みを最小限にするために、非集束音響波が2分の1に放散される必要がある点または深度である。本安全深度402は、患者の標的面積に特有の要因に基づいて、患者の皮膚の表面に対して定義される。例えば、処置される皮膚と下層骨組織との間に1cm以上の筋肉または他の軟組織を伴う面積を覆う皮膚を処置するとき、安全深度は、5mmであり得る。いくつかの実施形態では、安全深度402は、例えば、標的深度の200%、250%、300%、400%、500%、600%、700%、800%、900%、1,000%、またはそれを上回るもののうちのいずれか1つに等しい、またはそれを上回る、またはそのうちの任意の2つの間等の標的深度400のパーセンテージとして定義されてもよい。
【0060】
示される実施形態では、安全深度が識別または別様に定義された後、反射器形状が、所望の(例えば、実質的に均一な)エネルギー分布を達成するために、スプライン補間306を使用して改変される。スプライン補間は、補間式がスプラインと呼ばれる区分多項式である補間の形態を指す。3次元においてスプライン補間を使用して反復することは、反射器形状が、反射器における障害物を補償しながら「逆問題」を解くことによって定義されることを可能にする。曲率の連続性および曲率変曲点なし等の具体的スプライン補間要件は、入力条件として使用される。
【0061】
一実施例では、スプライン補間ステップは、(測定の単位としてインチを使用する)以下の方程式によって定義された自由形態反射器形状を生成した。
y=0.236x+0.2948x+0.1141x-0.3689
別の実施形態では、スプライン補間ステップは、(測定の単位としてミリメートルを使用する)以下の方程式によって定義された自由形態反射器形状を生成した。
y=0.0004x+0.0116x+0.1141x-9.3707
【0062】
示される実施形態では、反射器形状が定義された後、レイトレーシング308が、反射器によって反射されるであろうエネルギー密度を概算するために使用される。伝統的に、レイトレーシングは、光の経路を追跡し、仮想物体とのその遭遇の効果をシミュレートすることによって画像を生成するための技法を指す。ここでは、図4に描写されるように、レイトレーシングは、スプライン補間によって定義された反射器形状からエネルギー密度を概算するために実施されることができる。図4では、音響波(ベクトル404として描写される)が、電極間隙200において発生され、自由形態反射器406から反射される。これらの音響波は、理想的には、いったんそれらが標的組織深度400に到達すると、均一な圧力密度を有し、それらが安全深度402に到達する時間までに少なくとも2分の1に放散されている。図4では、波404が、標的組織深度400においてほぼ均一に離間され、反射器の外形を横断してほぼ均一なエネルギー分布を示す。しかしながら、安全深度402において、レイは、さらに離れ(例えば、実質的に非均一なエネルギー分布を有する)、より低いエネルギー密度を示す。標的組織深度における均一な圧力密度が理想的であるが、発生された波からの、次いで、自由形態反射器による他のピーク圧力読取値を上回る1、3、5、または10パーセントのピーク圧力変動もまた、限定された悪影響を伴う、またはいかなる悪影響も伴わず、所望の治療機能を実施し得る。
【0063】
示される実施形態では、結果として生じる反射器形状が、例えば、音響有限要素法(FEM)シミュレーションを使用して、モデル化されることができる(310)。FEMは、境界値問題の近似解を求めるための数値技法を指す。図5は、上記に説明されるスプライン補間のプロセスを使用して設計される自由形態反射器のFEMシミュレーションを描写する。FEMシミュレーションが、自由形態音響反射器が実行可能であると決定する場合、物理的プロトタイプが、次いで、作製され、所望される場合、物理的に試験されることができる。
【0064】
図6Aおよび6Bは、治療用波発生器の実施形態を描写する。図6Aは、自由形態反射器406を備える、開示される治療用波発生器のスパークヘッド部分の等角図を描写する。加えて、図6Bは、自由形態反射器406を備える、治療用波発生器の一実施形態のスパークヘッド部分の断面を描写する。
【0065】
図7は、上記に説明される一般的最適化プロセスに基づいて設計される自由形態反射器を使用するショックウェーブ発生器から作製される音響波面圧力マップを描写する。音響マップは、音響波面ピーク圧力が真皮の浅い深度(約2mm)に限定されることを実証し、それによって、音響波面ピーク圧力が深度50mmにおいても依然として持続的である図1に示されるように、放物型反射器に優る実質的な改良を実証する。
【0066】
図8は、放物型反射器(800、図1)の音響マップの自由形態反射器(802、図7)のものとの比較を描写する。図8に示されるように、自由形態反射器の使用は、放物型反射器を使用して生成されるものと比較したとき、音響圧力ホットスポットを最小限にするための手段を提供する。図8の放物型反射器部分800は、深い組織深度まで持続する円周ホットスポット804を実証する。これらの音響ホットスポットは、組織損傷および処置不快感をもたらし得る。異なることとして、自由形態反射器802の音響マップは、自由形態反射器設計の使用によって遂行される深度における円周ホットスポットの効果的な排除806を示す。したがって、自由形態反射器を使用する処置は、より苦痛がなく、付帯的組織損傷の潜在性がより低い処置を提供する。
【0067】
(B.焦点安定化)
電気水圧発生器によって発生させられる音響波面形成の議論が、2016年7月21日に出願され、「Rapid Pulse Electrohydraulic (EH)
Shockwave Generator Apparatus With Improved Electrode Life」と題された米国仮特許出願第62/365,009号(参照することによってその全体として組み込まれる)に見出されることができる。
【0068】
改良された音響波面を提供するための自由形態音響反射器の使用は、効果的な無痛処置を提供することを補助することができる。しかしながら、そのような自由形態反射器の設計は、チャンバ内の音響源の安定した焦点場所とともに最適化され得る。従来技術の音響波発生器は、安定した焦点場所を提供することにおいて準最適であり、これは、音響用途のための自由形態反射器を設計する際に困難をもたらし得る。
【0069】
チャンバ内に安定した音響焦点場所を維持するために、具体的電極間隙サイズが、維持される必要があるだけではなく、また、反射器チャンバ内の具体的電極間隙場所も、一定のままであるべきである。電極は、種々の率において浸食されるため、チャンバ内に安定した間隙サイズおよび間隙場所を維持することは、困難である。本問題を克服するために、各電極は、定期的に調節されなければならない。
【0070】
電極のうちの一方または両方の手動調節が、音響焦点場所および電極間隙サイズを調節することに対する1つの潜在的解決策である。そのような手動アプローチは、例えば、ねじ様機構を介して電極を移動させることを伴い得る。これらの手動アプローチは、非常に緩慢な率で音響パルスを産出する電気水圧衝撃波発生器において許容可能であり得るが、多数のパルスを迅速に産出する電気水圧衝撃波発生器は、電極を急速に浸食し得、したがって、ほぼ不断の調節を要求し、電極の手動調節では満たすことが困難な要件を要求する。
【0071】
加えて、チャンバ内に安定した間隙場所を維持するために、いずれの調節方法も、電極の間に具体的間隙サイズを維持するだけではなく、また、筐体内に具体的間隙場所も維持するべきである。電極サイズが安定して保たれるが、チャンバ内の間隙場所が偏移する場合、結果として生じる音響波面は、安定していないであろう。その結果、両方の電極の調節が、間隙サイズおよび間隙場所(すなわち、チャンバ内の焦点場所)の両方を維持するために要求される。両方の電極の手動調節を使用して商業的に実行可能な方法でこれを達成することは、困難であり、かつ非実用的である。
【0072】
したがって、自動化電極調節方法が、チャンバ内に安定した電極間隙サイズおよび場所を提供する際に有用であろう。チャンバ内に具体的電極間隙サイズおよび間隙場所を維持するための従来の自動化電極調節アプローチの一実施例が、第US 2006/0036168号としても公開されている、米国特許出願第10/896,040号(第’040号出願)に記されている。第’040号出願は、間隙制御ユニットが2つのサーボモータと、サーボモータを駆動するための2つのサーボモータドライバとを含む、自動的間隙調節を伴う電気水圧衝撃波発生システムを説明している。各電極が異なる率で浸食されるため、2つのサーボモータが、第’040号出願のシステムにおいて使用される。したがって、具体的間隙場所を維持するために、各電極は、電極間隙サイズおよび間隙場所を維持するために異なる量を調節される必要がある。
【0073】
反射器内で電極間隙場所を維持するための2つのサーボモータの使用は、電極を含有する電気水圧装置に費用および工学設計複雑性を追加する。その結果、自動化調節可能電極を伴う単純な音響ヘッドを含む低費用な商業的に実行可能な電気水圧衝撃波発生システムを建造することは、非実用的であった。使い捨てであるものを建造することも、同様に非実用的であり、商業的に適していなかった。
【0074】
電気水圧音響波発生器において使用される2つの電極は、異なる率で浸食され得るが、これらの浸食率は、定義された電力レベルにおいて比較的に類似するはずであり、浸食率の比率は、定義された電力レベルにおいて比較的に類似するはずである。図9は、その後で別個の電極毎の浸食が測定された、325nFの電力レベルにおいてある時間周期にわたっていくつかの異なる電気水圧発生器を起動させた実験結果を描写する。結果は、全ての試行において、両方の電極が浸食を被り、電極対における両方の電極が異なる率の浸食を被ったことを示している。加えて、結果は、各電極対における両方の電極に関する浸食率が、2つの電極に関する浸食率の比率のように、比較的に一定であったことを示している。図9に示されるように、平均摩耗率は、2.62であった。
【0075】
これらの結果に基づいて、両方の電極を調節することは、ここでは、電気水圧発生器チャンバ内の具体的間隙サイズおよび焦点場所を維持するために単一のサーボモータ(および適切な伝動装置)を使用して遂行されることができる。これは、商業的に実行可能な電気水圧発生器を作製するために設計および費用を簡略化し、自動化調節電極を有する、単純で安価な使い捨て電気水圧ヘッドを生産することを可能にする。
【0076】
(実施例)
図10は、改良された音響波面を有する音響波の電気水圧発生のための装置の一実施形態の断面図を描写する。図10に示されるように、音響波の電気水圧発生のための装置1000は、チャンバ1008およびショックウェーブ出口1012を画定する、筐体1004と、チャンバ1008内に配置される、液体と、チャンバ1008内の音響反射器1020と、チャンバ1008内に配置され、1つ以上のスパーク間隙200を画定するように構成される、(例えば、スパークヘッドまたはモジュール内の)複数の電極1016a、1016bと、電圧パルスを10Hz~5MHzの率において電極1016a、1016bに印加するように構成される、パルス発生システムとを備える。示される実施形態では、音響反射器1020は、自由形態反射器である、またはそれを備える一方、他の実施形態では、音響反射器は、放物型であってもよい。
【0077】
本実施形態では、安定化された音響波面が、音響反射器から一定の焦点場所に維持される、複数の電極から形成されるスパーク間隙を有する自由形態音響反射器を使用して達成される。
【0078】
本実施形態のうちのいくつかでは、複数の(例えば、2つの)電極の間のスパーク間隙が、スパーク間隙を反射器から略一定の焦点場所に維持するために単一のサーボモータを使用して、自動的に調節される。例えば、図10-12に示される実施形態では、単一のサーボモータは、電極間隙のサイズおよび場所が略一定に維持されるように電極の対を移動させるために使用される。図10は、衝撃波を電気水圧的に発生させるために電源に接続され得る装置またはプローブ1000の一部の斜視断面図を描写し、図11は、電極の調節がスパーク間隙のサイズおよび場所を維持することを可能にするプローブ1000の構成要素の斜視図を描写し、図12A-12Cは、スパーク間隙の維持を図示する3つの異なる位置における図11の構成要素を描写する。
【0079】
示される実施形態では、装置1000は、チャンバ1008およびショックウェーブ出口1012を画定する、筐体1004を含み、チャンバは、水等の液体を受容する(例えば、それを充填される)ように構成される。示されるように、装置1000はまた、チャンバ1008内に配置される(例えば、その境界の一部を画定する)複数の電極1016a、1016bと、音響反射器1020とを備える。示されるように、電極1016は、チャンバ1008内に配置され、あるサイズ(すなわち、電極1016aおよび1016bの端面の間の距離)およびある場所を有する1つ以上のスパーク間隙200を画定するように構成される。示される実施形態では、反射器1020は、自由形態反射器である。
【0080】
示される実施形態では、装置1000は、複数の電極1016a、1016bに機械的に結合され、電極のそれぞれを調節し、スパーク間隙200のサイズおよび場所を略一定に維持するように構成される、単一のサーボモータ1024を備える。本実施形態では、サーボモータ1024は、親ねじ1036の回転がプッシャ1040の縦方向移動をもたらすように、ねじ山を介してシャトルまたはプッシャ1040に結合される親ねじ1036にシャフト1028を結合するチャックまたはカプラ1032を伴う出力シャフト1028を有する。一次電極1016aが、プッシャ1040に結合され(例えば、それによって押動されるように構成され)、例えば、示される実施形態では、一次電極キャリア1044が、示されるように一次電極1016aに延在する/それを担持し、プッシャ1040まで延在する。他の実施形態では、電極キャリア1044および一次電極116aは、一体であってもよい(例えば、材料の単一の断片から形成される)。示されるように、スプレッダバー1048が、固定関係において一次電極キャリア1044に結合され、スプレッダバー1048は、スプレッダバー1048から延在し、2つの個別の枢動アーム1056a、1056bと相互作用するように構成される、2つのプッシャロッド1052a、1052bを担持する。示されるように、枢動アーム1056a、1056bは、それぞれ、プッシャロッド1052a、1052bが方向1064に前進するように、個別の枢動点1060a、1060bにおいて筐体1004に(例えば、ピンを介して)枢動可能に結合される。
【0081】
本実施形態では、二次電極1016bが、二次電極キャリア1064に結合される(およびそれによって担持される)。示されるように、二次電極キャリア1064は、逆U形状を有し、筐体1004に摺動可能に結合される(例えば、スロットまたは軌道1068内に摺動可能に配置される)。加えて、ばねまたは他の付勢部材(図示せず)が、二次キャリア1064および二次電極1016bを一次電極1016aから離れる方向1072に付勢する。
【0082】
本構成では、図12A-12Cに連続して示されるように、モータ1024が作動されると、シャフト1028は、親ねじ1036を回転させ、これは、順に、シャトル1040、一次電極キャリア1044、一次電極1016a、スプレッダバー1048、およびプッシャロッド1052a、1052bを方向1072において縦方向に前進させる。これらの構成要素が前進するにつれて、プッシャロッド1052a、1052bは、枢動アーム1056a、1056bの個別の第1の端部1076a、1076bに接触し、それに方向1072における力を付与する。第1の端部1076a、1076bへの(図12A-12Cに描写される配向における)上向きの力は、枢動アーム1056a、1056bをそれらの個別の枢動点1060a、1060bの周囲で枢動させ、枢動アームの個別の第2の端部1080a、1080bを下向きに移動させ、二次電極キャリア1064に方向1084における力を付与し、二次電極1016bを一次電極1016aに向かって移動させる。このように、電極が使用の間に浸食される際、単一のサーボモータは、同時に、一次電極1016aを上向きに移動させ、二次電極1016bを下向きに移動させ、電極1016a、1016bの端部の間の電極間隙のサイズおよび位置の両方を維持することができる。
【0083】
示される実施形態では、筐体1004はまた、米国仮特許出願第62/365,009号(上記に組み込まれる)に説明されるように、外部パルス発生システム(図示せず)から電圧を受電し、電圧パルスを一次電極1016aに、および/またはそれを通して送達し、電極の間にスパークを発生させ、それによって、ショックウェーブを発生させるように構成される、回路基板アセンブリ1100を格納する。示される実施形態では、コントローラ1104が、コントローラが電極の間のスパークの測定値に基づいてモータ1024を制御し得るように、接続1108を介して電極のうちの一方または両方と(例えば、示されるような回路基板アセンブリ1100を介して、または他の実施形態では、直接)電気連通して結合され、接続1112を介してモータ1024と電気連通して結合される。例えば、一定の電極間隙サイズおよび場所を維持するために、閉ループ制御が、モータ1124に信号伝達し、電極を前方にフィードし、間隙200を所望のサイズに維持するために使用される。本閉ループ制御は、特定の充電電圧における放電のパルス時間を測定することによって実施されてもよい。放電の特性は、電極間隙200の距離と非常に密接に相関する。これらの特性を測定することによって、閉ループ制御は、モータ1024に移動させるように信号伝達することによって実施され、それによって、電極の間の間隙を維持し、ひいては、放電の所望の電気特性を維持することができる。いくつかの実施形態では、コントローラ1104は、スパーク発生システムの構成要素である(例えば、コントローラ1104に関して説明される機能性は、スパーク発生システムの一次放電コントローラによって実行される命令またはコードに組み込まれる)。例えば、モータ1024は、延長導線を用いてモータ巻線に直接電気パルスを印加することによって、スパーク発生システムの主要放電コントローラから直接駆動されることができる。他の実施形態では、コントローラ1104は、別個の調節機能を伴う第2の、および/または独立したコントローラである。例えば、コントローラ1104は、筐体内に搭載されることができ、スパーク発生システムの一次コントローラからアナログまたはデジタル信号(例えば、電気、光学、および/または同等物)を受信することができる。
【0084】
本明細書に開示される電気水圧ショックウェーブ発生器は、改良された音響波面均一性を有する音響波面を産出する。一実施形態によると、本改良された音響波面均一性は、自由形態音響反射器および単一のサーボモータ電極調節システムを使用する電気水圧発生器の使用を通して達成される。その結果、本明細書に開示される電気水圧装置は、患者を処置するために使用されるとき、より安全でより快適な音響波治療を提供する。
【0085】
上記の仕様および実施例は、例示的実施形態の構造および使用の説明を提供する。ある実施形態が、ある程度具体的に、または1つ以上の個々の実施形態を参照して、上記に説明されているが、当業者は、本発明の範囲から逸脱することなく、開示される実施形態に多数の改変を行い得る。したがって、本デバイスの種々の例証的実施形態は、開示される特定の形態に限定されることを意図していない。むしろ、それらは、請求項の範囲内に該当する全ての修正および代替を含み、示されるもの以外の実施形態は、描写される実施形態の特徴のうちのいくつかまたは全てを含んでもよい。例えば、構成要素は、一体構造として組み合わせられてもよい。さらに、適切な場合、上記に説明される実施例のうちのいずれかの側面は、同等または異なる性質を有し、同一または異なる問題に対処する、さらなる実施例を形成するように、説明される他の実施例のうちのいずれかの側面と組み合わせられてもよい。同様に、上記に説明される利益および利点は、1つの実施形態に関し得る、またはいくつかの実施形態に関し得ることを理解されたい。
【0086】
請求項は、そのような限定が、それぞれ、語句「~のための手段」または「~のためのステップ」を使用して、所与の請求項に明示的に列挙されない限り、手段プラスまたはステッププラス機能の限定を含むことを意図せず、そのように解釈されるべきではない。
【化1】
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10
図11
図12A
図12B
図12C
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
治療用音響波を発生させるための装置であって、
チャンバおよびショックウェーブ出口を画定する筐体であって、前記チャンバは、液体を受容するように構成される、筐体と、
前記チャンバ内に配置され、スパーク間隙を画定するように構成される複数の電極と、
前記チャンバ内に配置される自由形態音響反射器と
を備える装置。
【請求項2】
前記自由形態音響反射器は、前記筐体と一体である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記複数の電極は、前記スパーク間隙においてスパークを発生させるように構成され、
前記チャンバが液体で充填され、かつ、前記複数の電極が前記スパークを発生させるとき、複数の音響波が、前記自由形態音響反射器から、波の経路に沿って前記筐体の外に出るように反射され、
前記自由形態音響反射器は、前記複数の音響波が標的区域において、均一な非集束圧力密度を有するように、前記複数の音響波を反射するように構成され、
前記標的区域は、第1の深度によって前記筐体から離間された前記波の経路に沿った区域である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記自由形態音響反射器は、前記複数の音響波が前記標的区域において10%未満の平均ピーク圧力変動を有するように、前記複数の音響波を反射するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記自由形態音響反射器は、前記複数の音響波が前記標的区域において5%未満の平均ピーク圧力変動を有するように、前記複数の音響波を反射するように構成されている、請求項3に記載の装置。
【請求項6】
前記第1の深度は、10mm未満である、請求項3に記載の装置。
【請求項7】
前記第1の深度は、30mm未満である、請求項3に記載の装置。
【請求項8】
前記第1の深度は、50mm未満である、請求項3に記載の装置。
【請求項9】
前記装置は、複数の音響波が第1の深度において第1の平均ピーク圧力を有し、前記ハウジングから前記第1の深度よりも遠くの第2の深度において第2の平均ピーク圧力を有するように、波の経路に沿って前記複数の音響波を生成するように構成され、
前記第2の平均ピーク圧力は、前記第1の平均ピーク圧力の50%未満である、請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記第2の深度は、前記第1の深度の700%以下である、請求項9に記載の装置。
【請求項11】
前記複数の音響波は、前記第1の深度において10%未満の平均ピーク圧力変動を有する、請求項9に記載の装置。
【請求項12】
前記第1の深度は、5mm未満である、請求項9に記載の装置。
【請求項13】
前記第1の深度は、前記筐体の出口から2mmの5%以内であり、
前記複数の音響波の前記第1の平均ピーク圧力は、4.5MPaよりも大きい、請求項9に記載の装置。
【請求項14】
前記第2の深度は、前記筐体の出口から30mmの5%以内であり、
前記複数の音響波の前記第2の平均ピーク圧力は、3.0MPa未満である、請求項13に記載の装置。
【請求項15】
自由形態音響反射器を設計するための方法であって、
音響パルスの起点、患者の標的処置面積、および安全深度を定義することと、
前記定義された標的処置面積および前記定義された安全深度と一貫するエネルギー分布をもたらすことが可能な反射器形状が達成されるまで、反射器形状を反復することと、
最終反射器形状に基づいて、エネルギー密度を概算することと、
前記最終反射器形状を検証することと
を含む方法。
【請求項16】
音響パルスの起点を定義することはさらに、複数の電極が電気水圧音響波発生器内で位置する場所を定義することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
患者の標的処置面積を定義することはさらに、均一な圧力密度を送達する組織深度を指定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
安全深度を定義することはさらに、非集束音響波が50パーセントだけ放散される前記患者の組織内の深度を決定することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
反射器形状を反復することはさらに、スプライン補間を使用することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
エネルギー密度を概算することはさらに、レイトレーシングを実施することを含む、請求項15に記載の方法。
【請求項21】
前記最終反射器形状を検証することはさらに、有限要素法(FEM)シミュレーションを使用することを含む、請求項15に記載の方法。
【外国語明細書】