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  • 特開-圧縮機のための防汚剤配合物 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023036936
(43)【公開日】2023-03-14
(54)【発明の名称】圧縮機のための防汚剤配合物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/00 20060101AFI20230307BHJP
   C09K 23/22 20220101ALI20230307BHJP
   C10G 75/04 20060101ALI20230307BHJP
【FI】
C09K3/00 112Z
C09K23/22
C10G75/04
【審査請求】有
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023000387
(22)【出願日】2023-01-05
(62)【分割の表示】P 2019546292の分割
【原出願日】2018-02-23
(31)【優先権主張番号】62/463,790
(32)【優先日】2017-02-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】515050220
【氏名又は名称】エコラブ ユーエスエイ インク
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】カンラリ アナヒタ
(72)【発明者】
【氏名】ニールソン アンドリュー アール
(57)【要約】      (修正有)
【課題】石油化学プロセスで使用される機器におけるポリマーの形成およびポリマーの堆積を防止または低減するための方法を提供する。
【解決手段】工業プロセスで使用されるプロセス機器の汚れを防止または低減する方法は、前記プロセス機器に防汚剤組成物を導入することを含む。前記防汚剤組成物は、1つ以上の抗酸化剤、1つ以上の抗重合剤、1つ以上の分散剤、および1つ以上の溶媒の組み合わせを含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
工業プロセスで使用されるプロセス機器の汚れを防止または低減する方法であって、
前記プロセス機器に防汚剤組成物を導入することであって、前記防汚剤組成物が、
1つ以上の抗酸化剤、
1つ以上の抗重合剤、
1つ以上の分散剤、および
1つ以上の溶媒
の組み合わせを含む、導入することを含む、方法。
【請求項2】
前記導入が、前記防汚剤組成物に洗浄油を注入することである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記導入が、前記防汚剤組成物に調温水を注入することである、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記工業プロセスが、エチレン分解プロセスである、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記防汚剤組成物が、前記全防汚剤組成物中に約1重量%~約15重量%の抗酸化剤と、約1重量%~約15重量%の抗重合剤と、約50重量%~約95重量%の分散剤と、約10重量%~約50重量%の溶媒と、を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上の抗酸化剤が、1,4-フェニレンジアミン、そのアルキル化またはフェニル誘導体、およびそれらの組み合わせから選択される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記抗酸化剤が、前記防汚剤組成物の約1重量%~約10重量%を構成する、請求項1、5、または6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記抗重合剤が、前記防汚剤組成物の約1重量%~約10重量%を構成する、請求項1または5に記載の方法。
【請求項9】
前記抗重合剤が、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル、1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、および1-ヒドロキシ-4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン、またはそれらの組み合わせから選択される、請求項1、5、または8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記分散剤が、前記防汚剤組成物の50重量%~約90重量%を構成する、請求項1または5に記載の組成物。
【請求項11】
前記分散剤が、2つ以上の脂肪酸アミドのブレンドである、請求項1、5、または10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記ブレンドは、第1の脂肪酸アミドと第2の脂肪酸アミドとの比が約1:1~約1:10、または約1:1~約1:2である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記脂肪酸が、トール油およびジアミンである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項14】
前記第1の脂肪酸アミドが、脂肪酸とトリメチルアミン(TEA)との反応物であり、前記第2の脂肪酸アミドが、脂肪酸とテトラエチレンペンタミン(TEPA)との反応物である、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記溶媒が、グリコールおよび芳香族ナフサ、ならびにそれらの組み合わせから選択される、請求項1または5に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、防汚剤組成物および圧縮機でのその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
圧縮機の汚れは、エチレンプロセスの分解ガス圧縮システムなど、圧縮機を使用するプロセスでよく知られている問題である。炭化水素の水蒸気分解は、世界中で生産されるエチレンのほぼすべてを構成している。エチレンの生産プロセスでは、少量のポリマーが形成されることがある。これらのポリマーは、一般に、汚染物質と見なされており、望ましくない。
【0003】
ポリマー汚染物質は、複数のガス圧縮機および中間冷却器を含む多段システムである分解ガス圧縮システムにおいて問題を引き起こす。ポリマーは、例えば、圧縮機および中間冷却器の内面に堆積することによって機械を汚し、プロセスの効率低下をもたらし、場合によっては、流路を遮断して生産を停止させ、深刻な場合には、部品に損傷を与える。
【0004】
エチレン性不飽和モノマーの早期重合は、エチレン分解プロセスなどのモノマー製造プロセスにおける主要なポリマー形成メカニズムである。これらのプロセス流のエチレン性不飽和モノマーは反応性があり、ラジカル重合およびディールスアルダー重合により重合し、特に高温で固体堆積物を形成する傾向がある。
【0005】
頻繁な汚れおよび洗浄の必要性は、生産および作業の効率性の負担になる可能性がある。
【発明の概要】
【0006】
汚れを低減し、それによってシステムのエネルギー効率を改善し、かつ製品品質の問題を防止するための組成物および方法が開示される。
【0007】
本発明の一態様では、防汚剤組成物であって、1つ以上の抗酸化剤、1つ以上の抗重合剤、1つ以上の分散剤、および1つ以上の溶媒の組み合わせを含む、防汚剤組成物が開示される。
【0008】
本発明のさらに別の態様では、工業プロセスで使用されるプロセス機器の汚れを防止または低減する方法であって、
プロセス機器に防汚剤組成物を導入することであって、防汚剤組成物が、
1つ以上の抗酸化剤、
1つ以上の抗重合剤、
1つ以上の分散剤、および
1つ以上の溶媒の組み合わせを含む、導入すること、を含む方法が、開示される。
【0009】
開示された組成物は、エチレン分解プロセスにおけるプロセス機器の汚れを低減または防止することに用途を有する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】シミュレートされたパイガス混合物のゲル化時間に対する本発明の様々な防汚剤組成物の効果のグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本開示は、実施形態への言及を提供するが、当業者は、本発明の趣旨および範囲から逸脱することなく、形態および詳細において変更を行うことができることを認識するであろう。様々な実施形態を、図面を参照して詳細に説明するが、いくつかの図を通して同様の参照番号は同様の部品およびアセンブリを表す。様々な実施形態への言及は、添付の特許請求の範囲の範囲を限定するものではない。さらに、本明細書に記載された例は、限定を意図するものではなく、添付の請求項の範囲の多くの可能な実施形態のいくつかを単に述べるものである。
【0012】
定義
本明細書で使用されるとき、用語「防汚剤」とは、「プロセス機器」上のポリマー、プレポリマー、オリゴマーおよび/または他の材料などの材料の堆積を低減または防止する組成物を指す。この用語はまた、ラジカル重合種の形成を低減または防止する組成物を指すこともできる。
【0013】
本明細書で使用されるとき、用語「抗酸化剤」とは、水素ラジカル(H・)を酸素中心ラジカルに供与することにより、酸素中心ラジカルを除去することができる化合物(複数可)を指す。
【0014】
本明細書で使用されるとき、用語「抗重合剤」とは、カップリング反応により、炭素中心ラジカルを捕捉または除去するのに効率的な安定したフリーラジカルを指す。
【0015】
抗酸化剤および抗重合剤は、重合「連鎖停止剤」と呼ばれることもある。
【0016】
本明細書で使用されるとき、用語「プロセス機器」とは、圧縮機ファン、インペラ、ポンプ、バルブ、中間冷却器、センサなどを意味し、これらは、汚れの影響を受ける可能性があるプロセスに関連付けられている。この用語はまた、例えば、エチレン分解プロセスのガス圧縮機など、通信状態にあるコンポーネントのセットも含む。
【0017】
本明細書で使用されるとき、用語「プロセス凝縮物」とは、水に加えて、石油化学処理システム内に存在する1つ以上の熱分解副生成物を意味する。いくつかの実施形態では、プロセス凝縮物は、パイガス、パイガス副生成物、またはそれらの混合物を含む。
【0018】
本明細書で使用される場合、用語「パイガス」は、専門用語であり、「熱分解ガソリン」の略語である。パイガスは、水よりも密度が低い熱分解副生成物であり、熱分解プラントなどの工業処理プラントの希釈蒸気システムのクエンチ水塔内で、水と共に凝縮する石油系生成物の混合物である。パイガスは、炭化水素と他の副生成物との可変混合物であり、混合物の成分および量は、熱分解で使用される供給原料および条件によって決定される。文脈によって決定されるように、および/または他の方法で指定されない限り、パイガスは、1つ以上の芳香族化合物と、少なくとも5個の炭素を有するアルカンおよびアルケンの混合物と、を含み、アルカン/アルケン成分の大部分(すなわち、50重量%超)は、C~C12である。いくつかの実施形態では、パイガスは、ベンゼンが豊富である(例えば、20重量%~45重量%)。パイガスはまた、スチレン、イソプレン、ピペリレン、シクロペンタジエン、およびそれらの組み合わせなどの、高反応性オレフィンおよびジオレフィンも含有する。いくつかの実施形態では、パイガスは、C~C有機酸などの成分をさらに含む。いくつかの実施形態では、パイガスは、パイガス-熱分解タール混合物の総重量を基準として約0.01重量%~最大約20重量%までの熱分解タールを含み、熱分解タールの量は、熱分解に使用される個々の機器および供給原料に依存する。別段の指定がない限り、または文脈において、「パイガス」は、パイガス、および熱分解タール、パイガス副生成物、またはその両方とのそれらの混合物の両方が含まれる。
【0019】
本明細書で使用される場合、「パイタール」という用語は、専門用語であり、「熱分解タール」の略語である。パイタールは、水より密度が高い熱分解副生成物であり、熱分解プラントの希釈蒸気システムのクエンチ水塔内で、水と共に凝縮する石油系生成物の混合物である。この用語は、例えば、アントラセン、ナフタレン、フェナントレン、ピレン、クリセン、フルオランテンなどを含む、≧C12アルカン/アルケンおよび/または≧C10ポリ芳香族炭化水素の混合物、ならびにこれらの2つ以上の混合物、ならびにメチル、エチル、および高級アルキルまたはアルケニル置換基などの置換基のランダム分布を有する変異体を伴う類似の化合物との混合物を示す。
【0020】
本明細書で使用されるとき、用語「パイガス副生成物」とは、パイガスの1つ以上の成分(パイガス-熱分解タール混合物を含む)の化学反応の生成物として形成される任意の1つ以上の化合物を意味し、反応は、熱分解プラントの希釈蒸気システム内で生じ、さらに、反応により、反応した成分のうちの1つ以上の分子量が増加する。いくつかの実施形態では、パイガス副生成物は、スチレンのオリゴマー化もしくは重合残基、および/またはパイガスの1つ以上の不飽和およびラジカル重合性成分を含む。
【0021】
本明細書で使用されるとき、重合性種の化学名(例えば、アクリル酸、スチレンなど)は、文脈によって決定されるように、化学種自体、または1つ以上のポリマーにおけるその重合残基のいずれかを意味するように使用される。
【0022】
本明細書で使用されるとき、用語「任意の」または「任意に」は、その後に記載された事象、または状況が発生する可能性があるが発生する必要はなく、ならびにその説明に事象または状況が生じる事例および生じない事例が含まれることを意味する。
【0023】
本明細書で使用されるとき、例えば、本開示の実施形態を説明する際に用いられる、組成物中の材料の量、濃度、体積、プロセス温度、プロセス時間、収率、流速、圧力など、およびその範囲を修飾する用語「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物、または使用配合物を製造するために使用される典型的な測定および取り扱い手順により、これらの手順における偶発的な誤りにより、製造、供給源、または方法を実施するために使用される出発材料もしくは成分の純度上の違いにより、および近似考慮事項などにより生じ得る数値量の変動を指す。「約」という用語はまた、特定の初期濃度または混合物を有する配合物の劣化に起因して異なる量、および特定の初期濃度または混合物を有する配合物を混合または処理することに起因して異なる量を包含する。「約」という用語によって修飾されている場合、添付の特許請求の範囲は、これらの量と同等のものを含む。さらに、「約」が値の任意の範囲を説明するために用いられる場合、文脈によって特に限定されない限り、例えば「約1~5」は、「1~5」および「約1~約5」および「1~約5」および「約1~5」を意味する。
【0024】
本明細書で使用されるとき、例えば、本開示の実施形態を説明する際に用いられる、組成物中の成分のタイプもしくは量、特性、測定可能な量、方法、位置、値、または範囲を修飾する用語「実質的に」は、意図された組成物、特性、量、方法、位置、値、または範囲を無効にする様態で、全体的に列挙されたその組成物、特性、量、方法、位置、値、または範囲に影響を及ぼさない変動を指す。意図された特性の例には、それだけには限定されない例として、柔軟性、分配係数、割合、溶解度、温度などが含まれ、意図された値は、厚さ、収率、重量、濃度などを含む。「実質的に」によって修飾される方法への影響は、プロセスで使用される材料のタイプまたは量の変動、機械設定の変動、プロセスに対する周囲条件の影響などによって引き起こされる影響を含み、ここで、影響の様式または程度は、1つ以上の意図された特性または結果を否定するものではなく、近似考慮事項と同様である。「実質的に」という用語によって修飾されている場合、添付の特許請求の範囲は、材料のこれらのタイプおよび量の均等物を含む。
【0025】
本明細書で使用される場合、列挙された値の範囲は、範囲内のすべての値を想定し、列挙された範囲内の実数値であるエンドポイントを有する任意のサブ範囲を列挙するクレームのサポートとして解釈されるべきである。仮説上の例示的な例として、本明細書における1~5の範囲の開示は、次の範囲、すなわち1~5;1~4;1~3;1~2;2~5;2~4;2~3;3~5;3~4;および4~5のうちのいずれに対する特許請求も支持するようにみなされよう。
【0026】
検討
防汚剤組成物、および例えば、炭化水素熱分解に使用されるシステムにおける汚れを防止または低減する方法が、本明細書に開示される。防汚剤組成物は、1つ以上の抗酸化剤、1つ以上の抗重合剤、1つ以上の分散剤、1つ以上の溶媒などの成分の組み合わせを含む。抗酸化剤および抗重合剤などの成分は、重合および汚れの防止に効果的であることが別々にまたは組み合わせで示されているが、本明細書では、防汚剤組成物が相加効果よりも大きいことが示されている。換言すれば、成分の組み合わせを一緒に実施するほうが、各個々の成分を別々に実施するよりも効果が高い。
【0027】
抗酸化剤
防汚剤組成物は、例えばエチレン性不飽和モノマーに対して作用することができる1つ以上の抗酸化剤を含む。抗酸化剤は、化合物またはそのブレンドである。
【0028】
例示的な抗酸化剤は、エチレン性不飽和モノマーの望ましくない重合を防止することが知られている、フェニレンジアミンおよびそのヒンダードフェノールなどのフェノール系抗酸化剤を含む。
【0029】
いくつかの実施形態では、フェノール系抗酸化剤は、エチレン性不飽和モノマーを標的とするヒンダードおよび非ヒンダードフェノールを含むことができる。そのようなフェノール系抗酸化剤の例は、ハイドロキノン(HQ)、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT)、TBC、2,6ジ-tert-ブチルフェノール、およびハイドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)である。
【0030】
いくつかの実施形態では、フェニレンジアミンは、エチレン性不飽和モノマーを標的とする非置換フェニレンジアミン、N-置換フェニレンジアミンまたはN,N’-置換フェニレンジアミン、およびそれらの任意の組み合わせを含むことができる。フェニレンジアミンの例は、1,4-フェニレンジアミン、N,N’-ジメチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-ジブチル-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,4-ジメチルフェニル)-p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)-p-フェニレンジアミン、およびそれらの任意の組み合わせである。
【0031】
フェニレンジアミンはまた、p-またはm-フェニレンジアミン自体(PDA)、N,N’-ジプレニルフェニレンジアミン、N,N,N’,N’-テトラメチル-p-フェニレンジアミン、N,N’-ビス-(1,4-ジメチルペンチル)~-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,4-ジメチルペンチル)p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N’-(1,3-ジメチルブチル)p-フェニレンジアミン、N-フェニル-N-シクロヘキシルp-フェニレンジアミン、N,N’-ジナフチルp-フェニレンジアミン、N-イソプロピル-N’-フェニルp-フェニレンジアミン、N-アミノアルキル-N’-フェニルp-フェニレンジアミン、N-(2-メチル-2-アミノプロピル)-N’-フェニルp-フェニレンジアミン、フェニル-b-イソプロピル-アミノフェニルアミン、p-ヒドロキシジフェニルアミン、p-ヒドロキシルフェニル-b-ナフチルアミン、1,8-ナフタレンジアミンも含むことができる。
【0032】
ヒンダードフェノール化合物は、o-およびp-sec-ブチルフェノール、2,4-ジ-sec-ブチルフェノール、2,6-ジ-sec-ブチルフェノール、2,4,6-トリ-sec-ブチルフェノール、2,4,6-トリメチルフェノール、ブチル化ヒドロキシトルエン(BHT、2,6-tert-ブチル-4-メチルフェノールおよび2,6-tert-ブチルp-クレゾールとしても知られている)、2,6-ジブチル-4-メチルフェノール、ハイドロキノン、ハイドロキノンのモノメチルエーテル(MEHQ)、2,6-ビス(1,6ジメチルエチル-4-(1-メチルプロピル)フェノール)、b-ナフトキノン、N-フェニルp-アミノフェノール、ならびにその組み合わせを含むことができる。
【0033】
いくつかの実施形態では、抗酸化剤は、1,4-フェニレンジアミン、そのアルキル化またはフェニル誘導体、およびそれらの組み合わせから選択される。例示的なアルキル化またはフェニル誘導体は、N,N’-ジ-2-ブチル-1,4-フェニレンジアミン、およびN-2-ブチル、N’-フェニル-1,4-フェニレンジアミンを含む。
【0034】
いくつかの実施形態では、抗酸化剤またはそのブレンドは、防汚剤組成物の約0.5重量%~約50重量%、または約1重量%~約50重量%、約1重量%~約30重量%、約1重量%~約20重量%、1重量%~10重量%、2重量%~約30重量%、約2重量%~約20重量%、または約2重量%~10重量%で存在する。
【0035】
抗重合剤
防汚剤組成物はまた、抗重合剤も含む。適切な抗重合剤は、次の化学物質のグループを含む:ニトロキシド(例えば、ジ-tert-ブチルニトロキシド)、ヒンダードフェノキシ化合物(例えば、ガルビノキシル)、ヒドラジル化合物(例えば、ジフェニルピクリルヒドラジル)、および安定化炭化水素ラジカル(例えば、トリフェニルメチル)、およびポリラジカル、好ましくはこれらのタイプのビラジカル。加えて、インサイチュで安定したフリーラジカルを生成する特定の前駆体は、ニトロン、ニトロソ、チオケトン、ベンゾキノン、ヒドロキシルアミンのグループから選択されてもよい。
【0036】
例示的な抗重合剤は、2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル(TEMPO)、1-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(TEMPOH)、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル(HTMPO)、4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシル(OTEMPO)、1,4-ジヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(HTMPOH)、および1-ヒドロキシ-4-オキソ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン(OTEMPOH)、またはその組み合わせのうち1つ以上を含む。
【0037】
他の例示的な抗重合剤は、4-メトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシド、4-エトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシド、4-プロポキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシド、4-ブトキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジン-1-オキシド、4 4-アセテート-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノール、4-アミノ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノール、4-アセトアミド-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノール、1,2,3,6-テトラヒドロ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジノール、ビス(2,2,6,6-テトラメチルピペリジノール)セバケート、を含み、3,6-ジヒドロ-2,2,6,6-テトラメチル-1(2H)ピリジニルオキシ、またはその組み合わせを添加する。
【0038】
いくつかの実施形態では、抗重合剤は、4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル-1-オキシルである。
【0039】
抗重合剤として使用する他の適切な薬剤は、米国特許第9,399,622号に開示されており、これはその全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。
【0040】
いくつかの実施形態では、抗重合剤は、防汚剤組成物の約0.5重量%~約30重量%、または約1重量%~約30重量%、1重量%~約25重量%、約1重量%~約20重量%、1重量%~約10重量%、2重量%~約30重量%、約2重量%~約25重量%、約2重量%~約20重量%、または2重量%~約10重量%で存在する。
【0041】
分散剤
防汚剤組成物は、1つ以上の分散剤を含む。分散剤は、防汚剤組成物に1つ以上の有利な特性、例えば、不飽和種の分離の増加を与えることができ、その重合度の低下をもたらし、かつ/または反応種の浮選が増加し、圧縮機内面などの機器へのポリマーの堆積の低減をもたらす。
【0042】
防汚剤組成物中に存在する適切な分散剤は、脂肪酸のアミドを含む。分散剤を形成するために用いられる適切な脂肪酸は、不飽和脂肪酸、すなわち、トール油(トール油脂肪酸、またはTOFA)、ココナッツ油、キャノーラ油、ヤシ種子油などを含むか、それらから本質的になるか、またはそれらからなる供給源に由来するモノまたはポリ不飽和長鎖酸を含む。TOFAは、精留蒸留およびトール油で実施されるその他の精製プロセスによって取得され得る。トール油またはタロールは、主に針葉樹のパルプ化から、木材パルプ製造のクラフトプロセスの副生成物として得られる。粗トール油は、ロジン、脂肪酸、および脂肪アルコール、ステロールならびにその他のアルキル炭化水素誘導体を含有する。粗トール油の精製後のTOFAの大部分の成分は、典型的には、オレイン酸を含む。
【0043】
ジアミンは、ジアミンを含むか、それから本質的になるか、またはそれからなる。ジアミンは、少なくとも2つのアミン基を有する化合物を含むことができ、ポリアミンを含む。ジアミンは、一次、二次または三次であり得る。例示的なジアミンは、トリエタノールアミン(TEA)、ジエチレントリアミン(DETA)、トリエチレンテトラアミン(TETA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、および他のそのような化合物を含む。
【0044】
分散剤は、2つ以上の脂肪酸アミドのブレンドを含むことができる。2つ以上の脂肪酸アミドは、異なっていてもよい。いくつかの実施形態において、分散剤は、約10:1~1:10、または約1:1~1:10、または約1:1~1:2の質量比の2つ以上の脂肪酸アミドのブレンドを含むことができる。
【0045】
いくつかの実施形態では、分散剤は、トール油脂肪酸とトリメチルアミンとの反応生成物である。得られた脂肪酸アミド生成物は、本明細書ではP1と呼ばれる。分散剤はまた、トール油脂肪酸およびテトラエチルペンタミンから形成することもでき、得られる脂肪酸アミド生成物は本明細書ではP2と呼ばれる。いくつかの実施形態では、分散剤は、脂肪酸アミド生成物P1:P2を約10:1~1:10、または約1:1~1:10、または約1:1~1:2の比率で含むことができる。
【0046】
いくつかの実施形態において、分散剤は、防汚剤組成物の重量の約50重量%~約90重量%、または防汚剤組成物の60重量%~90重量%、70重量%~約90重量%、または60重量%~70重量%で存在する。
【0047】
溶媒
防汚剤組成物はまた、1つ以上の溶媒も含む。適切な溶媒は、抗重合剤、抗酸化剤、および分散剤の組み合わせが可溶性または分散性である、任意の溶媒を含む。いくつかの実施形態では、溶媒は、水溶性または混和性の溶媒のそのようなグリコール系である。いくつかの実施形態では、溶媒は、芳香族溶媒、パラフィン系溶媒などの疎水性溶媒である。いくつかの実施形態では、溶媒は、グリコール系溶媒と疎水性溶媒の混合物であり得る。
【0048】
例示的なグリコール溶媒は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、およびトリエチレングリコールなどのC-Cグリコール、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコール、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、液体ポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテルなどのそのようなグリコールのエーテル、および低分子量ポリプロピレングリコール、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。ブチルカルビトールおよびブチルセロソルブ(商標)などの市販の溶媒を使用することができ、これらはミシガン州ミッドランドのDow Chemical Companyから入手可能である。
【0049】
例示的な疎水性溶媒は、重質芳香族ナフサ、トルエン、エチルベンゼン、および異性体ヘキサン、ならびにそれらのうちの2つ以上の混合物が含まれる。
【0050】
いくつかの実施形態では、溶媒はグリコール、芳香族ナフサまたはグリコールおよび芳香族ナフサから選択される。
【0051】
防汚剤組成物中の1つ以上の溶媒の濃度は、特に限定されない。いくつかの実施形態において、1つ以上の溶媒の濃度は、防汚剤組成物の約10重量%~50重量%、約20重量%~50重量%、または約30重量%~50重量%、または約10重量%~40重量%、または約10重量%~30重量%、または約20重量%~40重量%、または約30重量%~40重量%であり得る。
【0052】
いくつかの実施形態では、防汚剤組成物は、防汚剤組成物中に、約1重量%~約15重量%の抗酸化剤と、約1重量%~約15重量%の抗重合剤と、約50重量%~約95重量%の分散剤と、約10重量%~約50重量%の溶媒と、を含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、防汚剤組成物は、約1重量%~約15重量%の1,4-フェニレンジアミン、アルキル化またはフェニル誘導体と、1重量%~約15重量%の4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジニル-1-オキシルと、約50重量%~約95重量%のトール油およびジアミンの生成物と、約10重量%~約50重量%のグリコールおよび芳香族ナフサと、を含む。
【0054】
使用される防汚剤組成物の量は、多くの要因によって異なるが、プロセス機器およびプロセス凝縮物に導入される(供給流への注入または各圧縮段階への直接注入のいずれか)例示的な量は、防汚剤組成物に基づいて、防汚剤組成物の組み合わせの約1ppm~500ppm、または約5ppm~500ppm、10ppm~500ppm、または約20ppm~500ppm、または約30ppm~500ppm、または約40ppm~500ppm、または約50ppm~500ppm、または約60ppm~500ppm、または約70ppm~500ppm、または約80ppm~500ppm、または約90ppm~500ppm、または約100ppm~500ppm、または約5ppm~450ppm、または約5ppm~400ppm、または約5ppm~350ppm、または約5ppm~300ppm、または約5ppm~250ppm、または約5ppm~200ppm、または約5ppm~150ppm、または約5ppm~100ppm、または約10ppm~300ppm、または約10ppm~250ppm、または約50ppm~250ppm、または約50ppm~200ppmの範囲である。
【0055】
プロセスおよび用途
防汚剤組成物は、ポリマーの堆積を防止または低減するのに有用であり、場合によっては、エチレン生産プロセスにおいて使用されるガス圧縮機などのプロセス機器内のポリマー形成を低減または防止するのに有用である。防汚剤組成物はまた、他の同様の用途および他の機器でも有用であり得る。例えば、防汚剤組成物は、エチレン分解ガスプロセスなど、プロセス機器がエチレン性不飽和モノマーと接触するあらゆるプロセスで使用してもよい。別の用途は、エチレンおよびアクリロニトリルのクエンチ水システムである。防汚剤組成物は、エチレン希釈蒸気発生器およびアクリロニトリル精製システムで使用してもよい。多くのポリマープロセスは、汚れの対象となるモノマー回収システムを有し、防汚剤組成物の優れた標的用途である。スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、およびエチレンプロセスなどの石油化学プロセスで使用されるプロセスストリッパーと廃水ストリッパーは、防汚剤組成物の潜在的な用途である。いくつかの実施形態では、エチレン酸ガススクラバーおよびブタジエン溶媒回収システムもまた、防汚剤組成物の最終使用用途である。防汚剤組成物は、プロセス機器上にポリマーが形成および堆積するプロセス機器を有するあらゆるプロセスで使用することができる。スチレン、ブタジエン、アクリロニトリル、およびエチレンのうちの少なくとも1つを消費または生産するプロセスに加えて、防汚剤組成物の潜在的な用途がある。
【0056】
実施形態では、防汚剤組成物は、一次精留プロセス、軽質成分精留、非芳香族ハロゲン化ビニル精留、プロセスガス圧縮、希釈蒸気システム、苛性塔、クエンチ水塔、ブタジエン抽出におけるプロセス機器上のポリマーの重合および堆積を防止することができる。いくつかの実施形態では、防汚剤組成物は、エチレン性不飽和種を含む樹脂および組成物の重合を防止し、または低減し、または遅延させることができる。
【0057】
防汚剤組成物は、プロセスの1つ以上の地点で、および1つ以上の場所で添加されてもよい。例えば、防汚組成物は、中間冷却器もしくは圧縮機で、または中間冷却器の上流もしくは同じ圧縮機の異なる段階で直接添加され得る。
【0058】
防汚剤組成物は、汚れを防止または低減するために必要なプロセス機器に、連続的または断続的に添加され得る。
【0059】
防汚剤組成物は、任意の適切な方法によって添加されてもよい。例えば、防汚剤組成物は、原液の溶液または希釈溶液で添加されてもよい。いくつかの実施形態では、防汚剤組成物は、システム内の所望の開口部に、またはプロセス機器もしくはプロセス凝縮物に、噴霧、滴下、投入、または注入される溶液、エマルジョン、または分散液として適用されてもよい。いくつかの実施形態では、防汚剤組成物に洗浄油または調温水が添加されてもよい。
【0060】
いくつかの実施形態では、防汚剤組成物は、連続的な様式で、またはシステムを洗浄するための大容量出水として、システムにポンプ輸送または注入され得る。注入地点は、圧縮機トレーンのいずれかもしくはすべての段階、および/または各最終冷却器の前の排出ラインにあり得る。
【0061】
防汚剤組成物は、処理されたプロセス機器を形成するために、プロセス機器に適用される。いくつかの実施形態では、処理されたプロセス機器は、防汚剤組成物を添加しないプロセス機器上でよりも、プロセス機器上でのポリマー堆積が少ないことが観察され得る。ポリマー形成またはポリマー堆積の低減または防止は、任意の既知の方法または試験によって評価され得る。いくつかの実施形態では、防汚剤組成物を含み、かつ含まないプロセス機器がゲル化するのにかかる時間を測定することによって、プロセス機器上のポリマー形成およびポリマー堆積の低減または防止が評価され得る。プロセス機器がゲルを形成および/または堆積するのにかかる時間が長いほど、防汚剤組成物は、プロセス機器上でのポリマーの形成およびポリマーの堆積を低減するのにより効果的である。
【0062】
防汚剤組成物の効果はまた、シミュレートされたパイガス混合物ゲルのためにかかる時間を測定するによっても評価され得る。シミュレートされたパイガスは、プラントごとのパイガス組成物のあらゆる変動を取り除く。シミュレートされたパイガス混合物は、例えば、共役ジエン(イソプレン)と、ビニルモノマー(エテニルベンゼン)と、シクロペンタジエンのダイマーと、架橋剤(ジビニルベンゼン)と、を含有することができる。いくつかの実施形態では、シミュレートされたパイガス混合物は、25重量/容量%の共役ジエン(イソプレン)と、48重量/容量%のビニルモノマー(エテニルベンゼン)と、25重量/容量%のシクロペンタジエンのダイマーと、2重量/容量%の架橋剤(ジビニルベンゼン)と、を含有する。いくつかの実施形態では、上記の測定を使用して、防汚剤組成物で処理されたプロセス機器内のポリマー形成および固体堆積は、防汚剤組成物で処理されていないプロセス機器と比較して、少なくとも50重量%低減される。いくつかの実施形態では、約50重量%~100重量%(ポリマー形成の100重量%の低減は、堆積の排除である)、または約50重量%~95重量%、または約50重量%~90重量%、または約50重量%~85重量%、または約50重量%~80重量%、または約50重量%~75重量%、または約50重量%~70重量%、または約55重量%~100重量%、または約60重量%~100重量%、または約65重量%~100重量%、または約70重量%~100重量%、または約60重量%~95重量%、または約70重量%~95重量%、または約60重量%~90重量%、または約70重量%~90重量%。
【0063】
いくつかの実施形態では、処理されたプロセス機器の汚れは、未処理のプロセス機器と比較して、24時間期間、または12時間期間、または1時間期間にわたって50重量%~100重量%低減される。防汚剤組成物で処理されたプロセス機器でのゲル形成の時間期間が長いほど、プロセス機器へのポリマーの堆積が少なくなるか、または遅くなる。
【実施例0064】
以下の実施例は、本発明の異なる態様および実施形態を例示することを意図しており、本発明の範囲を限定するものとみなされるべきではない。本明細書に説明される実験的実施形態に従うことなく、さらに特許請求の範囲から逸脱することなく、様々な改変および変更がなされ得ることが認識されるであろう。
【0065】
実施例1
使用材料:シミュレートされたパイガス混合物は、(イソプレン)25重量/容量%の共役ジエン(イソプレン)と、48重量/容量%のビニルモノマー(エテニルベンゼン)と、25重量/容量%のシクロペンタジエンのダイマーと、2重量/容量%の架橋剤(ジビニルベンゼン)と、を含有していた。
【0066】
無溶媒のN,N’-ジ-Sec-ブチル-1,4-フェニレンジアミン(PDA)および既知の濃度の4-ヒドロキシ-2,2,6,6-テトラメチルピペリジル-1-オキシル(HTMPO)のストック溶液を、芳香族ナフサで、グリコール系共溶媒でさらに希釈した。
【0067】
芳香族ナフサ(C10+)およびブチルグリコールを共溶媒として使用した。溶媒と共溶媒を、等しい重量パーセント量で使用した。
【0068】
3つの分散剤、すなわち分散剤タイプI、タイプII、およびタイプIIIを使用し、以下のように調製した。
【0069】
分散剤タイプIは、2つの脂肪酸アミドのブレンドである。トール油脂肪酸(TOFA)およびトリメチルアミン(TEA)を組み合せて、生成物1(P1)を得た。TOFAをテトラエチレンペンタミン(TEPA)と混合し、これをキシレンで希釈して、生成物2(P2)になるか、以下に示すように簡易的に示された:
・TOFA+TEA:P1
または
・TOFA+TEPA:P2
【0070】
分散剤タイプIのP1:P2の比率は3.6:1であった。
【0071】
分散剤タイプIIを、分散剤タイプ1と同様に調製したが、P1:P2の比率は7.8:1であった。
【0072】
分散剤タイプIIIは、AftoN ChemicalsからTexaco TC-8103として入手可能なパラフィン油中のメタクリル化コポリマー(メタクリル酸C4~C18ポリマー)であった。
【0073】
芳香族ナフサ中の既知濃度のHTMPOのストック溶液を、グリコール系共溶媒でさらに希釈した。PDAを分散剤タイプI、II、またはIIIと共に混合物に添加した。すべての固体が溶解し、溶液が均一になるまで、混合物を激しく混合した。
【0074】
表1に示される各配合物の500ppmを、密封された定格圧力チューブ内のシミュレートされたパイガス混合物に投与し、激しく混合した。次に、各チューブを100%窒素で1分間パージし、しっかりと蓋をした。チューブを、温度が130℃に設定された温度管理された環境に置いた。混合物の凝固の始まりであるゲル化点を、チューブを上下逆さまにして流れを監視することによって決定した。各配合物を3回試験し、報告されたデータは各サンプルの3つの試験結果の平均である。データは、シミュレートされたパイガス混合物がゲル化するのにかかった時間として報告される。最初のチューブがゲル化した後、他のサンプルを5分ごとにチェックした。
【0075】
パイガス混合物に投与された重量パーセントを有する防汚剤組成物の配合を表1に示す。各配合物についてのゲル化に要する時間の結果を表1および図1に示す。
【表1】
【0076】
表1に示されるように、対照実験Sは、最短のゲル化時間を示し、Sは、最長のゲル化時間を示した。分散剤、PDA、およびHTMPOを添加すると、S、S、およびSで示されるように、ゲル化する時間が長くなった。SおよびSの違いは、分散剤のタイプ(タイプIIIおよびタイプI)に関連していた。SおよびSのサンプルの違いは、分散剤のタイプ(I)とタイプ(II)との比率にある。分散剤成分をタイプ(I)として使用すると、ゲル化時間は150分から165分(10%)に増加した。SおよびSの違いは、抗重合剤、抗酸化剤、分散剤の累積効果を表している。Sは、ゲル化の最も長い時間を示した。この時間は、ゲル化までの時間で測定される相加効果よりも長かった。
【0077】
本明細書に例示的に開示される発明は、本明細書に具体的に開示されていない要素が存在しない場合に、適切に実施され得る。さらに、本明細書に記載される本発明の各実施形態は、単独で、または本明細書に記載された任意の他の実施形態、ならびにそれらの改変物、均等物および代替物と組み合わせてのいずれかで使用されることが意図される。様々な実施形態では、本発明は、本明細書に記載され、特許請求の範囲に記載の要素を適切に含むか、本質的にそれらからなるか、またはそれらからなる。本明細書に例示され説明される例示的な実施形態および用途に従うことなく、かつ請求項の範囲から逸脱することなく、様々な改変および変更がなされ得ることが認識されるであろう。
図1