(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037109
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】タイヤ収納バッグ
(51)【国際特許分類】
A45C 3/00 20060101AFI20230308BHJP
A45C 13/26 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A45C3/00 D
A45C13/26 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143647
(22)【出願日】2021-09-03
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 1)2020年10月15日及び2020年10月21日 株式会社ボンフォームのタイヤ収納バッグ(商品名:タイヤキャリーバッグ)を展示会にて公開した。 2)2021年03月10日 株式会社ボンフォームのタイヤ収納バッグ(商品名:タイヤキャリーバッグ)をカタログの配布にて公開した。 3)2021年03月25日及び2021年04月16日 株式会社ボンフォームのタイヤ収納バッグ(商品名:タイヤキャリーバッグ)をホームページ掲載、インターネット販売にて公開した。 4)2021年04月01日、2021年04月05日、2021年04月08日、2021年04月12日、2021年04月15日、2021年05月10日及び2021年06月09日 株式会社ボンフォームのタイヤ収納バッグ(商品名:タイヤキャリーバッグ)を納品・販売にて公開した。
(71)【出願人】
【識別番号】391052585
【氏名又は名称】株式会社ボンフォーム
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西脇 保彦
(72)【発明者】
【氏名】西脇 崇史
【テーマコード(参考)】
3B045
【Fターム(参考)】
3B045AA51
3B045CE08
3B045DA00
3B045GA01
3B045GB01
3B045GC01
3B045GC02
3B045GD01
(57)【要約】
【課題】タイヤの運搬を容易とするタイヤ収納バッグを提供する。
【解決手段】タイヤ収納バッグは、第1カバー部、第2カバー部、タイヤを出し入れ可能に開口する開口部を有する、シート地からなる袋部材と、開口部を開閉自在に閉塞するファスナー部材と、袋部材の第1カバー部に結合され、収納したタイヤの運搬を可能とする持ち手を袋部材の上方に形成する長尺の第1帯部材と、を備える。第1帯部材は、第1カバー部に結合されるとともに第1カバー部の上端縁から下端縁へと延びる一対の長手部位と、一対の長手部位の上端から延在し、第1カバー部の径方向外側で延びる持ち手部位と、を備える。一対の長手部位に架け渡された帯状の架設部材が設けられている。架設部材は、袋部材のシート地表面との間に隙間を形成する把持部と、袋部材の上下方向の中心またはその下側で長手部位に結合された固定部とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タイヤを収納するためのタイヤ収納バッグであって、
収納したタイヤの一方の側面を覆う第1カバー部、収納したタイヤの他方の側面を覆う第2カバー部、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に形成され、タイヤを出し入れ可能に開口する開口部を有する、シート地からなる袋部材と、
前記袋部材に結合され、前記開口部を開閉自在に閉塞するファスナー部材と、
前記袋部材の前記第1カバー部に結合され、収納したタイヤの運搬を可能とする持ち手を前記袋部材の上方に形成する長尺の第1帯部材と、を備え、
前記第1帯部材は、前記第1カバー部に結合されるとともに前記第1カバー部の上端縁または上端縁近傍から下端縁または下端縁近傍へと延びる一対の長手部位と、前記一対の長手部位の上端から延在し、前記第1カバー部の径方向外側で延びる持ち手部位と、を備え、
前記一対の長手部位に架け渡された帯状の架設部材が設けられ、
前記架設部材は、前記袋部材のシート地表面との間に隙間を形成する把持部と、前記第1カバー部の上下方向の中心または中心よりも下側で前記長手部位に結合された固定部とを有することを特徴とするタイヤ収納バッグ。
【請求項2】
前記袋部材の前記第2カバー部に結合され、収納したタイヤの運搬を可能とする持ち手を前記袋部材の上方に形成する長尺の第2帯部材と、を備え、
前記第2帯部材は、前記第2カバー部に結合されるとともに前記第2カバー部の上端縁近傍から下端縁近傍へと互いに平行に延びる一対の長手部位と、前記一対の長手部位の上端から延在し、前記第2カバー部の径方向外側で延びる持ち手部位と、を備え、前記第1帯部材の持ち手部位および前記第2帯部材の持ち手部位が協働して持ち手を形成することを特徴とする請求項1に記載のタイヤ収納バッグ。
【請求項3】
前記第1帯部材および前記第2帯部材が、前記袋部材の下端部で一体的に結合されていることを特徴とする請求項2に記載のタイヤ収納バッグ。
【請求項4】
前記第1帯部材は、前記一対の長手部位の下端から延在し、前記第1カバー部の径方向外側で延びる第2の持ち手部位を備えることを特徴とする請求項1または2に記載のタイヤ収納バッグ。
【請求項5】
前記第1帯部材および前記架設部材は、前記袋部材のシート地の材質と異なり、前記袋部材を補強する材質で構成されていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項に記載のタイヤ収納バッグ。
【請求項6】
前記第1帯部材の前記一対の長手部位が上端から下端に亘って前記袋部材のシート地に縫着され、前記第1帯部材と前記袋部材のシート地との間に前記架設部材の前記固定部が挟み込まれていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載のタイヤ収納バッグ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タイヤを収納するためのタイヤ収納バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
自動車に取り付けられるタイヤには、スリックタイヤ、レインタイヤ、スタッドレスタイヤ、ノーマルタイヤ等、複数の種類に区分される。このように複数種類に区分されるタイヤは、その用途に応じて使い分けられる。例えば、降雪の機会の多い地域に住む人々は、シーズンが初まるとノーマルタイヤからスタッドレスタイヤへ、一方、シーズンが終了するとスタッドレスタイヤからノーマルタイヤへ交換するのである。そして、このようにタイヤを交換した場合には、タイヤの交換後、自動車から取り外したタイヤが劣化していない限り、来シーズンまで家等に保管される。しかしながら、取り外したタイヤを、保管する場合、裸の状態のまま保管しておくと、何かの拍子に、手や衣服がふれたりすると、タイヤの汚れが手や衣服に付着してしまい、汚れを落とす作業が非常に煩雑であった。また、雨風にされされたり、霜や雪がタイヤ表面に直接付着するために、タイヤがすぐ劣化してしまうという問題点があった。更には、何か鋭利なものが当たると、タイヤの表面が傷ついてしまうという問題点もあった。このため、この問題点を解決するために種々の発明又は考案が為されている。
【0003】
例えば、特許文献1は、自動車用タイヤを収容し、更には、搬送、保管可能な自動車用タイヤ搬送兼保管袋を開示する。以下、当該段落において、()内に特許文献1の符号を示す。タイヤ搬送兼保管袋(1)は、袋部材(2)と、取っ手部材(3)とを備えている。袋部材(2)は、タイヤ(50)を搬送し更には保管するために該タイヤ(50)を収容可能に形成された袋状の部材であり、柔軟性及び両面共に防汚性及び撥水性を有する2枚の生地部材(20)の裏面(20a,20a)同士の略全体が当接するように、かかる生地部材(20)の周縁端部(20b)を縫着して成るものである。この袋部材(2)の内部空間には、種々の大きさの径のタイヤ(50)が一つのみ収容されて使用されるようにされている。取っ手部材(3)は、袋部材(2)を把持させるためのものであり、可撓性を有する材質から成り、袋部材(2)の両外面、即ち、生地部材(20)の両表面(20c,20c)側の略中央部に夫々両端部の縫着された帯部材(3a)を有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の自動車用タイヤ搬送兼保管袋(以下、タイヤ収納バッグ)は、袋部材の上端から上方に延び出る取っ手部材(持ち手)をユーザーが手でつかんで、重量物であるタイヤを運搬する。しかしながら、従来のタイヤ収納バッグでは、運搬時に取っ手部材と取っ手部材の縫着部分の2点を中心として前後または左右にタイヤが振り子のようにぶらぶらと揺動し易いことから、容易に運搬することが困難であることが問題であった。
【0006】
本発明は、上記課題を解決するためになされたものであり、その目的は、収納したタイヤの運搬時の揺動を抑え、タイヤの運搬を容易とするタイヤ収納バッグを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一形態のタイヤ収納バッグは、タイヤを収納するためのタイヤ収納バッグであって、
収納したタイヤの一方の側面を覆う第1カバー部、収納したタイヤの他方の側面を覆う第2カバー部、前記第1カバー部と前記第2カバー部との間に形成され、タイヤを出し入れ可能に開口する開口部を有する、シート地からなる袋部材と、
前記袋部材に結合され、前記開口部を開閉自在に閉塞するファスナー部材と、
前記袋部材の前記第1カバー部に結合され、収納したタイヤの運搬を可能とする持ち手を前記袋部材の上方に形成する長尺の第1帯部材と、を備え、
前記第1帯部材は、前記第1カバー部に結合されるとともに前記第1カバー部の上端縁近傍から下端縁近傍へと延びる一対の長手部位と、前記一対の長手部位の上端から延在し、前記第1カバー部の径方向外側で延びる持ち手部位と、を備え、
前記一対の長手部位に架け渡された帯状の架設部材が設けられ、
前記架設部材は、前記袋部材のシート地表面との間に隙間を形成する把持部と、前記第1カバー部の上下方向の中心または中心よりも下側で前記長手部位に結合された固定部とを有することを特徴とする。
【0008】
本発明のタイヤ収納バッグによれば、袋部材の第1カバー部の上端縁または上端縁近傍から下端縁または下端縁近傍へと延在する第1帯部材が袋部材の上方で持ち手を形成し、かつ、第1カバー部(タイヤ側面)の中心位置またはそれよりも下側で、架設部材が第1帯部材に結合されて補助的な補助持ち手を形成する。ユーザーは、持ち手と補助持ち手とをそれぞれ把持することで、タイヤを収納するタイヤ収納バッグの上方位置と、タイヤの重心位置またはその下方位置の2点でタイヤを支持することが可能である。すなわち、本発明のタイヤ収納バッグは、タイヤの運搬時のタイヤの揺動を抑え、タイヤの運搬を容易とするものである。
【0009】
本発明のさらなる形態のタイヤ収納バッグは、上記タイヤ収納バッグにおいて、前記袋部材の前記第2カバー部に結合され、収納したタイヤの運搬を可能とする持ち手を前記袋部材の上方に形成する長尺の第2帯部材と、を備え、
前記第2帯部材は、前記第2カバー部に結合されるとともに前記第2カバー部の上端縁近傍から下端縁近傍へと互いに平行に延びる一対の長手部位と、前記一対の長手部位の上端から延在し、前記第2カバー部の径方向外側で延びる持ち手部位と、を備え、前記第1帯部材の持ち手部位および前記第2帯部材の持ち手部位が協働して持ち手を形成することを特徴とする。すなわち、ユーザーがタイヤの両側面から持ち手を把持することが可能であるので、より安定的にタイヤを運搬することが可能である。
【0010】
本発明のさらなる形態のタイヤ収納バッグは、上記タイヤ収納バッグにおいて、前記第1帯部材および前記第2帯部材が、前記袋部材の下端部で一体的に結合されていることを特徴とする。すなわち、タイヤの運搬時に、帯部材がタイヤを下から吊り上げるように支持することから、袋部材のシート地への荷重を軽減し、タイヤ収納バッグの全体強度を向上させることが可能である。
【0011】
本発明のさらなる形態のタイヤ収納バッグは、上記タイヤ収納バッグにおいて、前記第1帯部材は、前記一対の長手部位の下端から延在し、前記第1カバー部の径方向外側で延びる第2の持ち手部位を備えることを特徴とする。すなわち、袋部材の上側の第1の持ち手および袋部材の下側の第2の持ち手をそれぞれ把持することにより、タイヤの側面を鉛直方向に向けた姿勢で、タイヤを運搬することが可能となる。また、当該構成により、2人の運搬者が第1および第2の持ち手をそれぞれ把持してタイヤを運搬することも可能である。
【0012】
本発明のさらなる形態のタイヤ収納バッグは、上記タイヤ収納バッグにおいて、前記第1帯部材および前記架設部材は、前記袋部材のシート地の材質と異なり、前記袋部材を補強する材質で構成されていることを特徴とする。
【0013】
本発明のさらなる形態のタイヤ収納バッグは、上記タイヤ収納バッグにおいて、前記第1帯部材の前記一対の長手部位が上端から下端に亘って前記袋部材のシート地に縫着され、前記第1帯部材と前記袋部材のシート地との間に前記架設部材の前記固定部が挟み込まれていることを特徴とする。ユーザーが架設部材を把持した際、架設部材が第1帯部材から分離して損傷することを防止することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明のタイヤ収納バッグは、収納したタイヤの運搬時のタイヤの揺動を抑え、収納したタイヤの運搬を容易とすることを可能とする。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本発明の一実施形態(第1実施形態)のタイヤ収納バッグの概略斜視図。
【
図2】
図1のタイヤ収納バッグのタイヤ収納時の形態を示す概略斜視図。
【
図3】
図2のタイヤ収納時のタイヤ収納バッグの(a)正面図および(b)背面図。
【
図4】
図2のタイヤ収納時のタイヤ収納バッグの(a)平面図、(b)底面図、および(c)側面図。
【
図5】
図3のタイヤ収納バッグの第1カバー部のA-A断面図。
【
図6】
図1のタイヤ収納バッグの開口部を開口したタイヤを収納可能な形態を示す概略斜視図。
【
図7】ユーザーがタイヤ収納バッグにタイヤを収納する様子を示す模式図。
【
図8】
図2のタイヤを収納するタイヤ収納バッグをユーザーが運搬するための運搬方法を示す模式図。
【
図9】本発明の別実施形態(第2実施形態)のタイヤ収納バッグの概略斜視図。
【
図10】
図9のタイヤ収納バッグのタイヤ収納時の形態を示す概略斜視図。
【
図11】
図10のタイヤ収納時のタイヤ収納バッグの(a)正面図および(b)背面図。
【
図12】
図10のタイヤ収納時のタイヤ収納バッグの(a)平面図、(b)底面図、および(c)側面図。
【
図13】
図10のタイヤを収納するタイヤ収納バッグをユーザーが運搬するための第1の運搬方法を示す模式図。
【
図14】
図10のタイヤを収納するタイヤ収納バッグをユーザーが運搬するための第2の運搬方法を示す模式図。
【
図15】
図10のタイヤを収納するタイヤ収納バッグをユーザーが運搬するための第3の運搬方法を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照しつつ説明する。なお、以下の説明において参照する各図の形状は、好適な形状を説明する上での概念図又は概略図であり、寸法比率等は実際の寸法比率とは必ずしも一致しない。つまり、本発明は、図面における寸法比率に限定されるものではない。
【0017】
[第1実施形態]
本発明の一実施形態のタイヤ収納バッグ100について説明する。本実施形態のタイヤ収納バッグ100は、自動車用のタイヤTを個別に収納し、タイヤTの保管および運搬を可能とするものである。タイヤTは、走行時に接地するトレッド面T2、および、その両側に側面T1を備える一般的なタイヤであり、ホイールの有無は問わない。しかしながら、本発明のタイヤ収納バッグの収納物は自動車用のタイヤに限定されることはない。
【0018】
図1は、本実施形態のタイヤを収納していない状態のタイヤ収納バッグ100の概略斜視図である。
図2は、タイヤ収納時のタイヤ収納バッグ100の概略斜視図である。
図3は、タイヤ収納時のタイヤ収納バッグ100の正面図および背面図である。
図4は、タイヤ収納時のタイヤ収納バッグ100の平面図、底面図、および側面図である。
図5は、タイヤ収納バッグ100のシート地のA-A断面図である。なお、
図3の正面視において持ち手101が形成された12時の方向を上方とし、その反対の6時の方向を下方と定めた。また、タイヤ収納バッグ100の12時の位置と6時の位置とを結ぶ直線を縦軸とし、3時の位置と9時の位置とを結ぶ直線を横軸と定めた。
【0019】
図1乃至
図4に示すとおり、タイヤ収納バッグ100は、シート地(または生地)からなる袋部材110と、袋部材110に結合され、袋部材110の開口を開閉するファスナー部材120と、袋部材110の正面側に結合された長尺の第1帯部材130と、袋部材110の背面側に結合された長尺の第2帯部材150と、を備える。
【0020】
袋部材110は、タイヤTを内部に収納可能な形状を有するように、柔軟なシート地を袋状に形成したものである。袋部材110は、防汚性、撥水性および非透光性を有する素材からなることが好ましい。本実施形態では、シート地は、ポリエステル製の生地から形成された。しかしながら、本発明において、シート地の材質は実施形態に限定されることなく、任意に選択され得る。また、袋部材110は、2枚の略円形状のシート材の周縁の約半周をそれぞれ縫い合わせて形成された。シート材の径は、収納対象のタイヤTの径よりも大きく、収納時のタイヤTの幅を考慮して定められた。そして、袋部材110の各部位は、タイヤTを収納して膨らんだ状態で定められ、それらは以下に説明される。
【0021】
袋部材110は、収納したタイヤTの一方の側面T1を覆う略円形の第1カバー部111、収納したタイヤTの他方の側面T1を覆う略円形の第2カバー部112、および、第1カバー部111と第2カバー部112との間に形成されたマチ部113を有する。第1カバー部111および第2カバー部112の外周にマチ部113が連結されている。そして、
図2に示すタイヤTを収納した状態で、第1カバー部111および第2カバー部112が収納するタイヤTの両側面T1をそれぞれ覆い、マチ部113がタイヤTのトレッド面T2を覆うように構成されている。ここで、
図1に示すように、タイヤTを収納していない状態のタイヤ収納バッグ100は、2枚の周縁を貼り合わせた円形状のシート地を重ね合わせた平面形状を有している。この形態では、タイヤ収納バッグ100は、コンパクトに折り畳み可能である。そして、タイヤ収納バッグ100にタイヤTを収納する際、第1カバー部111および第2カバー部112の外周からマチ部113がタイヤTの厚みに応じて立ち上がり、
図2に示すように、袋部材110が膨らんでタイヤTを収納可能な形状に変形する。このとき、タイヤTの一方の側面T1を覆うシート地の略円形の部位が、第1カバー部111であり、他方の側面T1を覆うシート地の略円形の部位が第2カバー部112であり、トレッド面T2を覆う部位がマチ部113として定められる。
【0022】
また、袋部材110は、第1カバー部111と第2カバー部112との間に形成され、タイヤTを出し入れ可能に開口する開口部114を有する。開口部114は、マチ部113に形成されている。しかしながら、開口部114は、マチ部113と第1カバー部111との境界、または、マチ部113と第2カバー部112との境界に形成されてもよい。開口部114は、
図1に示すように、持ち手101と同じく袋部材110の上側に形成され、袋部材110の9時の方向から3時の方向に亘って延びている。本実施形態では、持ち手101と同じ側に開口部114が形成されたが、本発明はこの位置関係に限定されることはない。また、このように開口部114が大きく設けられていることにより、
図6に示すように、シート地の上半分を捲り上げて開口部114を拡げることで、タイヤTを簡単に収納することが可能である。また、開口部114の開口縁は、シート地と比べて、より厚くかつより破れにくい材質からなる補強部材によって補強されている。なお、
図6には、ユーザーがタイヤTをタイヤ収納バッグ100に収納する様子が描写されている。
【0023】
そして、開口部114には、ファスナー部材120が着設されている。このファスナー部材120は、スライドファスナーからなり、ユーザーが開口部114を自在に閉塞または開放することを可能とする。
【0024】
第1帯部材130は、袋部材110の第1カバー部111に結合され、収納したタイヤTの運搬を可能とする持ち手101を袋部材110の上方に形成するように構成されている。第1帯部材130は、長尺方向に一様な幅および厚みを有し、自在に屈曲可能な可撓性の帯状体である。第1帯部材130は、袋部材110のシート地の材質と異なり、袋部材110を補強し得る、より厚くかつより破れにくい材質で構成されている。特には、第1帯部材130の幅、厚みおよび材質は、タイヤTを収納したタイヤ収納バッグ100をユーザーが吊り下げて保持したときに、その重量に十分に耐え得る強度を発揮するように選択された。本実施形態では、第1帯部材130は、袋部材110のシート地よりも相対的に高い引張強度を有する、ナイロン製の帯または紐から形成された。そして、第1帯部材130は、第1カバー部111に結合されるとともに第1カバー部111の上端縁(または上端縁近傍)から下端縁(または下端縁近傍)へと互いに平行に延びる一対の長手部位131,131と、該一対の長手部位131,131の上端から延在し、第1カバー部111の径方向外側で延びる持ち手部位132と、を備える。各長手部位131は、直線状に延在している。各長手部位131は、袋部材110の縦軸に沿って、その上端から下端に亘って連続して、袋部材110のシート地に表面側から縫着されている。換言すると、長手部位131は、シート地に縫着された部位である。また、持ち手部位132は、上方に閉塞されたU字形状またはコ字形状を有し、袋部材110の上方で人の手が入る大きさのループ(または隙間)を形成する。持ち手部位132は、縫着部位を支点として、タイヤ収納バッグ100の手前側や奥側などに自由に変形可能である。
【0025】
袋部材110の上下方向の中心よりも下側には、一対の長手部位131,131に架け渡された帯状の架設部材140が設けられている。架設部材140は、第1帯部材130と同じ材質から形成された。本実施形態では、架設部材140は、袋部材110の上下方向の中心よりも、袋部材110の下端縁に近い位置に配置されている。また、架設部材140は、一対の長手部位131,131と直交するように横軸に沿って延びており、その両端部のみが第1帯部材130に結合されている。架設部材140の両端部の間の中央部位は、ユーザーが把持可能な形状寸法で形成された把持部141をなしている。そして、把持部141とシート地表面との間には、ユーザーの手を入れるための隙間が形成され得る。すなわち、架設部材140は、ユーザーがタイヤ運搬時に補助的に把持するための補助持ち手102を形成するものである。
【0026】
把持部141の長さは、一対の長手部位131,131の横軸方向の離間距離(すなわち、一対の長手部位131,131の間に位置するシート地の横軸に沿った長さ)と同じであるように定められた。そのため、ユーザーが補助持ち手102を使用しない場合、把持部141の裏面がシート地に接して、補助持ち手102がコンパクトな平面形状を維持する。一方で、ユーザーが補助持ち手102を使用する際、把持部141を持って引っ張ると、シート地とともに、一対の長手部位131,131が互いに近接方向に引き寄せられるように撓み変形し、把持部141がシート地から離れる(
図8参照)。そして、ユーザーが把持部141を把持することができるように、把持部141とシート地表面との間の隙間が拡張される。
【0027】
また、架設部材140の両端部は、第1帯部材130に縫合により結合された固定部142をなしている。
図5に示すとおり、第1帯部材130と袋部材110のシート地との間に架設部材140の固定部142が挟み込まれて、袋部材110のシート地に対して第1帯部材130および架設部材140が一体的に縫着されている。この固定部130の縫着は、第1カバー部111(またはタイヤ側面T1)の上下方向の中心よりも下側でなされている。固定部142の長さは、長手部位131の幅と同じである。これにより、固定部142が外面に露出されていない。そして、第1帯部材130とシート地との間に固定部142が挟み込まれることにより、架設部材140に力が付加された際、第1帯部材130から架設部材140が剥がれることが防止される。
【0028】
なお、架設部材140は、第1カバー部111にのみ設けられている。このように片面のみに架設部材140を設けることは、ユーザーが前後の架設部材140を握るといった誤った使い方をすることを未然に防止することを意図している。しかしながら、本発明において、架設部材140は、第1カバー部111側の面および第2カバー部112側の面の両方に設けられてもよい。
【0029】
第2帯部材150は、袋部材110の第2カバー部112に結合され、収納したタイヤTの運搬を可能とする持ち手101を袋部材110の上方に形成するように構成されている。第2帯部材150は、袋部材110の前後において第1帯部材130と重合する位置に設けられている。第2帯部材150は、第1帯部材130と同じ幅、厚みおよび材質から構成され、自在に屈曲可能な可撓性の帯状体である。そして、第2帯部材150は、第2カバー部112に結合されるとともに第2カバー部112の上端縁(または上端縁近傍)から下端縁(または下端縁近傍)へと互いに平行に延びる一対の長手部位151,151と、該一対の長手部位151,151の上端から延在し、第2カバー部112の径方向外側で延びる持ち手部位152と、を備える。各長手部位151は、直線状に延在している。各長手部位151は、袋部材110の縦軸に沿って、その上端から下端に亘って連続して、袋部材110のシート地に表面側から縫着されている。換言すると、長手部位151は、シート地に縫着された部位である。また、持ち手部位152は、上方に閉塞されたU字形状またはコ字形状を有し、袋部材110の上方で人の手が入る大きさのループ(または隙間)を形成する。持ち手部位152は、縫着部位を支点として、タイヤ収納バッグ100の手前側や奥側などに自由に変形可能である。
【0030】
持ち手部位152は、第1帯部材130の持ち手部位132と重なり合う位置に形成される。すなわち、第1帯部材130の持ち手部位132と、第2帯部材150の持ち手部位152とが対となって協働して、タイヤTの運搬時にユーザーが手で把持するための持ち手101を形成する。
【0031】
さらに、本実施形態では、
図4(b)に示すように、第1帯部材130の下端と、第2帯部材150の下端とが、一体的に連結されている。すなわち、第1帯部材130および第2帯部材150は、袋部材110の第1カバー部111および第2カバー部112の両面に亘って縦に延びる大きさを有する1本の環状帯からなる。そして、第1帯部材130および第2帯部材150が、袋部材110の下端部で一体的に結合されていることにより、タイヤTの運搬時に、帯部材130,150がタイヤを下から吊り上げるように支持することから、袋部材110のシート地への荷重の集中を軽減し、タイヤ収納バッグ100の耐荷重強度が向上する。
【0032】
図8は、タイヤ収納バッグ100に収納されたタイヤTをユーザーが運搬するための運搬方法を示す模式図である。
図8に示すように、ユーザーは、タイヤTの側面T1を立てた姿勢で、タイヤTを収納するタイヤ収納バッグ100を吊下げて保持している。より具体的には、ユーザーが片方の手で持ち手101を把持して、もう片方の手で補助持ち手102を把持している。補助持ち手102に力が加わることで、袋部材110のシート地が内側に撓んで、一対の長手部位131,131が部分的に近接する。その結果、架設部材140の把持部141がシート地表面から浮き上がり、ユーザーが手で把持するために適当な隙間が形成されている。そして、ユーザーが持ち手101を吊り上げるとともに、タイヤTの重心よりも下位置で手を伸ばした状態で補助持ち手102を支持している。すなわち、ユーザーは、縦軸方向の離れた2点でタイヤ収納バッグ100を支持することにより、タイヤTの揺動を抑えつつ、タイヤTを収納するタイヤ収納バッグ100を安定的に運搬可能である。
【0033】
以下、本発明の一実施形態のタイヤ収納バッグ100の作用効果について説明する。
【0034】
本発明の一実施形態のタイヤ収納バッグ100によれば、袋部材110の第1カバー部111および第2カバー部112の上端縁から下端縁へ向けて延在する第1帯部材130および第2帯部材150が袋部材110の上方で持ち手101を形成し、かつ、第1カバー部111(タイヤT側面)の中心位置よりも下側で、架設部材140が補助的な補助持ち手102を形成する。ユーザーは、持ち手101と補助持ち手102とをそれぞれ把持することで、タイヤTを収納するタイヤ収納バッグ100の上方位置と、タイヤTの重心の下方位置の2点でタイヤTを支持することが可能である。すなわち、本実施形態のタイヤ収納バッグ100は、タイヤTの運搬時のタイヤTの揺動を抑え、タイヤTの運搬を容易とするものである。
【0035】
[第2実施形態]
第2実施形態のタイヤ収納バッグ200について説明する。第2実施形態において、第1実施形態と3桁の符号のうち下2桁が共通する構成要素および2桁の符号のうち下1桁が共通する構成要素は、言及がない限り、同一又は類似の特徴を有する。共通する構成要素については、その説明を一部省略する。
【0036】
図9は、本実施形態のタイヤを収納していない状態のタイヤ収納バッグ200の概略斜視図である。
図10は、タイヤ収納時のタイヤ収納バッグ200の概略斜視図である。
図11は、タイヤ収納時のタイヤ収納バッグ200の正面図および背面図である。
図12は、タイヤ収納時のタイヤ収納バッグ200の平面図、底面図、および側面図である。なお、
図12の正面視において持ち手201が形成された12時の方向を上方とし、その反対の6時の方向を下方と定めた。また、タイヤ収納バッグ200の12時の位置と6時の位置とを結ぶ直線を縦軸とし、3時の位置と9時の位置とを結ぶ直線を横軸と定めた。
【0037】
図9乃至
図12に示すとおり、タイヤ収納バッグ200は、シート地からなる袋部材210と、袋部材210に結合され、袋部材210の開口を開閉するファスナー部材220と、袋部材210の正面側に結合された長尺の第1帯部材230と、袋部材210の背面側に結合された長尺の第2帯部材250と、を備える。ここで、袋部材210およびファスナー部材220は、第1実施形態のタイヤ収納バッグ100のものと共通していることから、その説明を省略する。他方、第1帯部材230、架設部材240および第2帯部材250の形状および設置位置が、第1実施形態のタイヤ収納バッグ100のものと相違する。
【0038】
第1帯部材230は、袋部材210の第1カバー部211に結合され、収納したタイヤTの運搬を可能とする第1の持ち手201および第2の持ち手203を袋部材210の上方および下方にそれぞれ形成するように構成されている。第1帯部材230は、第1実施形態のタイヤ収納バッグ100と同様に、長尺方向に一様な幅および厚みを有し、自在に屈曲可能な可撓性の帯状体である。そして、第1帯部材230は、第1カバー部211に結合されるとともに第1カバー部211の上端縁(または上端縁近傍)から下端縁(または下端縁近傍)へと互いに平行に延びる一対の長手部位231,231と、該一対の長手部位231,231の上端から延在し、第1カバー部211の径方向外側で延びる第1の持ち手部位232と、該一対の長手部位231,231の下端から延在し、第1カバー部211の径方向外側で延びる第2の持ち手部位233と、を備える。各長手部位231は、直線状に延在している。各長手部位231は、袋部材210の縦軸に沿って、その上端から下端に亘って連続して、袋部材210のシート地に表面側から縫着されている。換言すると、長手部位231は、シート地に縫着された部位である。また、第1および第2の持ち手部位232,233は、上方および下方に閉塞されたU字形状またはコ字形状を有し、袋部材210の上方および下方で人の手が入る大きさのループ(または隙間)を形成する。第1および第2の持ち手部位232,233は、縫着部位を支点として、タイヤ収納バッグ200の手前側や奥側などに自由に変形可能である。
【0039】
袋部材210の中心またはその近傍には、一対の長手部位231,231に架け渡された帯状の架設部材240が設けられている。架設部材240は、第1帯部材230と同じ材質から形成された。本実施形態では、架設部材240は、第1の持ち手201と第2の持ち手203の中間に配置されている。また、架設部材240は、一対の長手部位231,231と直交するように横軸に沿って延びており、その両端部のみが第1帯部材230に結合されている。架設部材240の両端部の間の中央部位は、ユーザーが把持可能な形状寸法で形成された把持部241をなしている。そして、把持部241とシート地表面との間には、ユーザーの手を入れるための隙間が形成され得る。すなわち、架設部材240は、ユーザーがタイヤ運搬時に補助的に把持するための補助持ち手202を形成するものである。補助持ち手202は、第1の持ち手201と第2の持ち手203の中間に配置されている。なお、架設部材240は、第1実施形態と同様に、第1カバー部211にのみ設けられている。
【0040】
把持部241の長さは、一対の長手部位231,231の横軸方向の離間距離(すなわち、一対の長手部位231,231の間に位置するシート地の横軸に沿った長さ)と同じであるように定められた。そのため、ユーザーが補助持ち手202を使用しない場合、把持部241の裏面がシート地に当接して、補助持ち手202がコンパクトな平面形状を維持する。一方で、ユーザーが補助持ち手202を使用する際、把持部241を持って引っ張ると、シート地とともに、一対の長手部位231,231が互いに近接方向に引き寄せられるように撓み変形し、把持部241がシート地から離れる。そして、ユーザーが把持部241を把持することができるように、把持部241とシート地表面との間の隙間が拡張される(
図14、
図15参照)。
【0041】
また、架設部材240の両端部は、第1帯部材230に縫合により結合された固定部242をなしている。
図5と同様に、第1帯部材230と袋部材210のシート地との間に架設部材240の固定部242が挟み込まれて、袋部材210のシート地に対して第1帯部材230および架設部材240が一体的に縫着されている。この固定部230の縫着は、第1カバー部211(またはタイヤ側面T1)の上下方向の中心位置でなされている。固定部242の長さは、長手部位231の幅と同じである。これにより、固定部242が外面に露出されていない。そして、第1帯部材230とシート地との間に固定部242が挟み込まれることにより、架設部材240に力が付加された際、第1帯部材230から架設部材240が剥がれることが防止される。
【0042】
第2帯部材250は、袋部材210の第2カバー部212に結合され、収納したタイヤTの運搬を可能とする第1の持ち手201および第2の持ち手203を袋部材210の上方および下方にそれぞれ形成するように構成されている。第2帯部材250は、袋部材210の前後において第1帯部材230と重合する位置に設けられている。第2帯部材250は、第1帯部材230と同じ幅、厚みおよび材質で構成され、自在に屈曲可能な可撓性の帯状体である。そして、第2帯部材250は、第2カバー部212に結合されるとともに第2カバー部212の上端縁(または上端縁近傍)から下端縁(または下端縁近傍)へと互いに平行に延びる一対の長手部位251,251と、該一対の長手部位251,251の上端から延在し、第2カバー部212の径方向外側で延びる第1の持ち手部位252と、該一対の長手部位251,251の下端から延在し、第2カバー部212の径方向外側で延びる第2の持ち手部位253と、を備える。各長手部位251は、直線状に延在している。各長手部位251は、袋部材210の縦軸に沿って、その上端から下端に亘って連続して、袋部材210のシート地に表面側から縫着されている。換言すると、長手部位251は、シート地に縫着された部位である。また、第1および第2の持ち手部位252,253は、上方および下方に閉塞されたU字形状またはコ字形状を有し、袋部材210の上方および下方で人の手が入る大きさのループ(または隙間)をそれぞれ形成する。第1および第2の持ち手部位252,253は、縫着部位を支点として、タイヤ収納バッグ200の手前側や奥側などに自由に変形可能である。
【0043】
第1および第2の持ち手部位252,253は、第1帯部材230の第1および第2の持ち手部位232,233とそれぞれ重なり合う位置に形成される。すなわち、第1帯部材230の持ち手部位232,233と、第2帯部材250の持ち手部位252,253とが対となって協働して、タイヤTの運搬時にユーザーが手で把持するための第1の持ち手201および第2の持ち手203を袋部材210の外周部の相反する側(つまり、12時の方向と6時の方向)に形成する。
【0044】
さらに、本実施形態では、第1帯部材230および第2帯部材250は、別体として独立して構成されている。すなわち、第1帯部材230は、袋部材210の第1カバー部211に亘って縦に延びる大きさを有する1本の環状帯からなり、第2帯部材250は、袋部材210の第2カバー部212に亘って縦に延びる大きさを有する1本の環状帯からなる。
【0045】
本実施形態のタイヤ収納バッグ200は、ユーザーに対して3通りの運搬方法を提供するものである。
【0046】
図13は、タイヤ収納バッグ200に収納されたタイヤTをユーザーが運搬するための第1の運搬方法を示す模式図である。
図13に示す第1の運搬方法では、ユーザーは、タイヤTの側面T1を立てた姿勢で、タイヤTを収納するタイヤ収納バッグ200を吊下げて保持している。より具体的には、ユーザーが片方の手で第1の持ち手201(または第2の持ち手203でもよい。)を把持して、もう片方の手で補助持ち手202を把持している。補助持ち手202に力が加わることで、袋部材210のシート地が内側に撓んで、一対の長手部位231,231が部分的に近接する。その結果、架設部材240の把持部241がシート地表面から浮き上がり、ユーザーが手で把持するために適当な隙間が形成されている。そして、ユーザーが第1の持ち手201を吊り上げるとともに、タイヤTの重心近くの位置で補助持ち手202を支持している。すなわち、ユーザーは、縦軸方向の離れた2点でタイヤ収納バッグ200を支持することにより、タイヤTの揺動を抑えつつ、タイヤTを収納するタイヤ収納バッグ100を安定的に運搬可能である。
【0047】
図14は、タイヤ収納バッグ200に収納されたタイヤTをユーザーが運搬するための第2の運搬方法を示す模式図である。
図14に示す第2の運搬方法では、ユーザーが、タイヤTの側面T1を鉛直方向に向けた姿勢(つまり、タイヤTを寝かせた状態)で、タイヤTを吊下げて保持している。より具体的には、ユーザーが片方の手で第1の持ち手201を把持して、もう片方の手で第2の持ち手203を把持している。このとき、第1の持ち手201および第2の持ち手203は、鉛直上方(タイヤ側面T1から離れる方向)に撓んで変形している。すなわち、ユーザーは、第1の持ち手201および第2の持ち手203を把持することによっても、タイヤTを寝かせた状態でタイヤ収納バッグ200を運搬可能である。この運搬方法は、複数のタイヤ収納バッグ200を積み重ねる際に便利である。
【0048】
図15は、タイヤ収納バッグ200に収納されたタイヤTをユーザーが運搬するための第3の運搬方法を示す模式図である。
図15に示す第3の運搬方法では、2人の運搬者が、タイヤTの側面T1を鉛直方向に向けた姿勢(つまり、タイヤTを寝かせた状態)で、タイヤTを吊下げて保持している。より具体的には、一方の運搬者が手で第1の持ち手201を把持して、他方の運搬者が手で第2の持ち手203を把持している。このとき、第1の持ち手201および第2の持ち手203は、鉛直上方(タイヤ側面T1から離れる方向)に撓んで変形している。すなわち、この第3の運搬方法は、タイヤTが大型であり、ユーザーが1人でタイヤTを運搬することが困難である場合に使用され得る。
【0049】
以下、本発明の一実施形態のタイヤ収納バッグ200の作用効果について説明する。
【0050】
本発明の一実施形態のタイヤ収納バッグ200によれば、袋部材210の第1カバー部211および第2カバー部212の上端縁から下端縁へ向けて延在する第1帯部材230および第2帯部材250が袋部材210の上方および下方で第1および第2の持ち手201,203を形成し、かつ、第1カバー部211(タイヤT側面)の中心位置近傍で、架設部材240が補助的な補助持ち手202を形成する。ユーザーは、持ち手201と補助持ち手202とをそれぞれ把持することで、タイヤTを収納するタイヤ収納バッグ200の上方位置と、タイヤTの重心の近傍位置の2点でタイヤTを支持することが可能である。すなわち、本実施形態のタイヤ収納バッグ200は、タイヤTの運搬時のタイヤTの揺動を抑え、タイヤTの運搬を容易とするものである。さらに、本実施形態のタイヤ収納バッグ200は、第1および第2の持ち手201,203を利用して、状況に応じた異なる運搬方法をユーザーに提供することができる。
【0051】
[変形例]
本発明は、上記実施形態に限定されず、種々の実施形態や変形例を取り得る。以下、本発明の複数の変形例を説明する。
【0052】
本発明のタイヤ収納バッグの形態は当該実施形態に限定されない。上記実施形態では、架設部材が、袋部材の第1カバー部側の面にのみ形成されたが、袋部材の第1カバー部および第2カバー部の両面に形成されてもよい。また、1つの架設部材だけでなく、さらなる架設部材が追加されてもよい。また、上記実施形態では、袋部材の両面、すなわち第1カバー部および第2カバー部の両方に、前後対称となる配置で帯部材が設けられている。しかしながら、本発明において、帯部材が第1カバー部のみに形成されてもよい。この場合、第2カバー部側の面に持ち手が追加されてもよい。
【0053】
本発明のタイヤ収納バッグの形態は当該実施形態に限定されない。上記実施形態では、帯部材の一対の長手部位が縦軸に沿って平行に延びるように構成され、かつ、架設部材が長手部位に直交するように構成されたが、本発明はこれに限定されない。例えば、一対の長手部位は、直線状または互いに平行でなくてもよく、ハ字形状やカーブ形状をなしてカバー部の上端縁または上端縁近傍から下端縁または下端縁近傍へと延びるように構成されてもよい。また、架設部材が、一対の長手部位と傾斜角をなして交差するように架け渡されてもよい。この場合、架設部材の固定部の一方が、少なくとも、袋部材の上下方向の中心または中心よりも下側に位置すればよく、同様に、タイヤの揺動防止という本発明の効果を発揮することができる。さらに、架設部材は、その端部が、一対の長手部位の外側からはみ出すように構成されてもよい。
【0054】
本発明のタイヤ収納バッグの形態は当該実施形態に限定されない。上記実施形態では、ファスナー部材が、スライドファスナーから構成されたが、面ファスナー等の他の手段が選択されてもよい。
【0055】
本発明は上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲に属する限りにおいて種々の態様で実施しうるものである。
【符号の説明】
【0056】
100,200 タイヤ収納バッグ
101 持ち手
102,202 補助持ち手
201 第1の持ち手
203 第2の持ち手
110,210 袋部材
111,211 第1カバー部
112,212 第2カバー部
113,213 マチ部
114,214 開口部
120,220 ファスナー部材
130,230 第1帯部材
131,231 長手部位
132 持ち手部位
232 第1の持ち手部位
233 第2の持ち手部位
140,240 架橋部材
141,241 把持部
142,242 固定部
150,250 第2帯部材
151,251 長手部位
152 持ち手部位
252 第1の持ち手部位
253 第2の持ち手部位
T タイヤ
T1 タイヤ側面
T2 トレッド面