(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037134
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】電気機器
(51)【国際特許分類】
H02G 3/16 20060101AFI20230308BHJP
H05K 7/06 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H02G3/16
H05K7/06 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143693
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】395011665
【氏名又は名称】株式会社オートネットワーク技術研究所
(71)【出願人】
【識別番号】000183406
【氏名又は名称】住友電装株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000002130
【氏名又は名称】住友電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001036
【氏名又は名称】弁理士法人暁合同特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 宏
(72)【発明者】
【氏名】竹田 仁司
【テーマコード(参考)】
5G361
【Fターム(参考)】
5G361BA02
5G361BA03
5G361BC01
5G361BC02
(57)【要約】
【課題】電気機器を小型化する。
【解決手段】ケース11と、前記ケース11内に配設されるとともに、端子を有する電子部品16と、前記ケース11内に配設されるとともに、前記電子部品16の前記端子16Aにレーザー溶接されたバスバー26と、を有し、前記電子部品16の前記端子16Aと前記バスバー26とは重なっており、前記ケース11は開口部28を有し、前記開口部28からは前記電子部品16の前記端子16A、及び前記バスバー26の双方又は一方が前記ケース11の外部に露出しており、前記ケース11は、前記電子部品16の前記端子16A、及び前記バスバー26の一方に接触する第一挟持部30と、前記電子部品16の前記端子16A、及び前記バスバー26の他方に接触する第二挟持部32と、を有し、前記第一挟持部30と前記第二挟持部32とに挟まれることにより、前記電子部品16の前記端子16Aと前記バスバー26との相対的な位置が保持されるようになっている電気機器10。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ケースと、
前記ケース内に配設されるとともに、端子を有する電子部品と、
前記ケース内に配設されるとともに、前記電子部品の前記端子にレーザー溶接されたバスバーと、を有し、
前記電子部品の前記端子と前記バスバーとは重なっており、
前記ケースは開口部を有し、前記開口部からは前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの双方又は一方が前記ケースの外部に露出しており、
前記ケースは、前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの一方に接触する第一挟持部と、前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの他方に接触する第二挟持部と、を有し、
前記第一挟持部と前記第二挟持部とに挟まれることにより、前記電子部品の前記端子と前記バスバーとの相対的な位置が保持されるようになっている電気機器。
【請求項2】
前記第一挟持部、又は前記第二挟持部は、前記電子部品の端子、又は前記バスバーと対向する面に凹部を有する請求項1に記載の電気機器。
【請求項3】
前記ケースは、前記電子部品が取り付けられるロアケースと、前記ロアケースに取り付けられることにより前記電子部品を覆うアッパーケースと、を有し、
前記アッパーケースは前記第一挟持部を有し、前記ロアケースは前記第二挟持部を有する請求項1または請求項2に記載の電気機器。
【請求項4】
前記アッパーケースは前記電子部品を覆う上壁を有し、
前記ロアケースは前記電子部品が配設される底壁を有し、
前記アッパーケースの前記上壁には、前記電子部品に対応する位置に、前記ロアケースの前記底壁から離れる方向に突出するとともに前記電子部品が個別に収容される収容突部が設けられており、
前記第一挟持部は前記アッパーケースの前記収容突部に設けられており、前記第二挟持部は前記ロアケースの前記底壁に設けられている請求項3に記載の電気機器。
【請求項5】
前記開口部は前記アッパーケースの前記収容突部に設けられており、
前記アッパーケースの前記収容突部は、前記開口部の孔縁部の近傍の位置に、前記電子部品の前記端子又は前記バスバーに向かって突出するとともに前記電子部品の前記端子又は前記バスバーと当接する突起を有する請求項4に記載の電気機器。
【請求項6】
前記アッパーケースは、前記開口部の前記孔縁部に沿って延びるスリットを有し、
前記開口部の前記孔縁部と、前記スリットの孔縁部との間の領域に前記突起が設けられている請求項5に記載の電気機器。
【請求項7】
前記アッパーケースは、前記ロアケースに対して取り付け方向に沿って取り付けられるようになっており、
前記電子部品の前記端子の板面の法線は前記取り付け方向と直交しており、
前記バスバーの板面の法線は前記取り付け方向と直交しており、
前記第一挟持部、及び前記第二挟持部は前記取り付け方向から前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーに組み付けられるようになっている請求項3から請求項6のいずれか一項に記載の電気機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電気機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電気機器として、特開2018-206601号公報に記載のものが知られている。この電気機器は、ベース部材と、ベース部材に配設された電子部品と、電子部品の端子に接続されたバスバーと、を備える。電子部品の端子とバスバーとはボルトで締結されることにより電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子部品の端子とバスバーとを接続する手段として、例えばレーザー溶接が考えられる。電子部品の端子と、バスバーとがレーザー溶接される場合には、電子部品の端子とバスバーとが位置ずれしないように保持される。そこで、電子部品の端子とバスバーとの相対的な位置を保持するために、専用の治具が用いられることが考えられる。
【0005】
近年、電気機器の小型化が求められている。電気機器を小型化するためには、電子部品を高密度で回路基板に配置することが求められる。すると、電気機器に配された複数の電子部品の隙間が相対的に狭くなり、電子部品の端子とバスバーとを保持するための治具を配するための十分なスペースを設けることが難しくなるという問題がある。
【0006】
本開示は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、小型化された電気機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示は、ケースと、前記ケース内に配設されるとともに、端子を有する電子部品と、前記ケース内に配設されるとともに、前記電子部品の前記端子にレーザー溶接されたバスバーと、を有し、前記電子部品の前記端子と前記バスバーとは重なっており、前記ケースは開口部を有し、前記開口部からは前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの双方又は一方が前記ケースの外部に露出しており、前記ケースは、前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの一方に接触する第一挟持部と、前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの他方に接触する第二挟持部と、を有し、前記第一挟持部と前記第二挟持部とに挟まれることにより、前記電子部品の前記端子と前記バスバーとの相対的な位置が保持されるようになっている電気機器。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、電気機器を小型化できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係る電気機器を示す分解斜視図である。
【
図4】
図4は、アッパーケースの開口部を示す一部拡大斜視図である。
【
図5】
図5は、アッパーケースに設けられた突起を示す一部切欠斜視図である。
【
図6】
図6は、ヒューズの端子とバスバーの接続部との接続構造を示す一部拡大斜視図である。
【
図8】
図8は、
図4におけるVIII-VIII線断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
[本開示の実施形態の説明]
最初に本開示の実施態様を列挙して説明する。
【0011】
(1)本開示に係る電気機器は、ケースと、前記ケース内に配設されるとともに、端子を有する電子部品と、前記ケース内に配設されるとともに、前記電子部品の前記端子にレーザー溶接されたバスバーと、を有し、前記電子部品の前記端子と前記バスバーとは重なっており、前記ケースは開口部を有し、前記開口部からは前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの双方又は一方が前記ケースの外部に露出しており、前記ケースは、前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの一方に接触する第一挟持部と、前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーの他方に接触する第二挟持部と、を有し、前記第一挟持部と前記第二挟持部とに挟まれることにより、前記電子部品の前記端子と前記バスバーとの相対的な位置が保持されるようになっている。
【0012】
電子部品の端子とバスバーとは、ケースに設けられた第一挟持部と第二挟持部とによって挟まれることにより、相対的な位置が保持されるようになっている。これにより、電子部品の端子、又はバスバーに、ケースの開口部からレーザー光が照射されることによって、電子部品の端子とバスバーとを、レーザー溶接することができる。本開示によれば、電子部品の端子とバスバーとの相対的な位置を保持するための治具が必要ないので、治具を配するためのスペースを設ける必要がない。この結果、電気機器を小型化することができる。
【0013】
(2)前記第一挟持部、又は前記第二挟持部は、前記電子部品の端子、又は前記バスバーと対向する面に凹部を有することが好ましい。
【0014】
電子部品の端子とバスバーとがレーザー溶接される際に、レーザー光が電子部品の端子及びバスバーを貫通しても、第一挟持部又は第二挟持部には凹部が設けられているので、レーザー光によって第一挟持部又は第二挟持部が損傷を受けることが抑制される。
【0015】
(3)前記ケースは、前記電子部品が取り付けられるロアケースと、前記ロアケースに取り付けられることにより前記電子部品を覆うアッパーケースと、を有し、前記アッパーケースは前記第一挟持部を有し、前記ロアケースは前記第二挟持部を有することが好ましい。
【0016】
ロアケースとアッパーケースとを組み付けるという簡易な操作により、第一挟持部と第二挟持部によって電子部品の端子とバスバーとを挟持することができる。
【0017】
(4)前記アッパーケースは前記電子部品を覆う上壁を有し、前記ロアケースは前記電子部品が配設される底壁を有し、前記アッパーケースの前記上壁には、前記電子部品に対応する位置に、前記ロアケースの前記底壁から離れる方向に突出するとともに前記電子部品が個別に収容される収容突部が設けられており、前記第一挟持部は前記アッパーケースの前記収容突部に設けられており、前記第二挟持部は前記ロアケースの前記底壁に設けられていることが好ましい。
【0018】
アッパーケースに設けられた収容突部内に電子部品が個別に収容されるので、電子部品が一括してアッパーケースに覆われる場合に比べて、アッパーケースを小型化できる。これにより、電気機器を全体として小型化できる。
【0019】
(5)前記開口部は前記アッパーケースの前記収容突部に設けられており、前記アッパーケースの前記収容突部は、前記開口部の孔縁部の近傍の位置に、前記電子部品の前記端子又は前記バスバーに向かって突出するとともに前記電子部品の前記端子又は前記バスバーと当接する突起を有することが好ましい。
【0020】
突起によって電子部品の端子又はバスバーが押圧されるので、電子部品の端子とバスバーとの相対的な位置ずれが一層抑制される。
【0021】
(6)前記アッパーケースは、前記開口部の前記孔縁部に沿って延びるスリットを有し、前記開口部の前記孔縁部と、前記スリットの孔縁部との間の領域に前記突起が設けられていることが好ましい。
【0022】
アッパーケースの開口部の孔縁部と、スリットとの間の領域が弾性変形することにより、突起が電子部品の端子又はバスバーに押圧される。これにより、電子部品の端子に設定された公差と、バスバーに設定された公差に対応しつつ、電子部品の端子とバスバーとの相対的な位置ずれを一層抑制することができる。
【0023】
(7)前記アッパーケースは、前記ロアケースに対して取り付け方向に沿って取り付けられるようになっており、前記電子部品の前記端子の板面の法線は前記取り付け方向と直交しており、前記バスバーの板面の法線は前記取り付け方向と直交しており、前記第一挟持部、及び前記第二挟持部は前記取り付け方向から前記電子部品の前記端子、及び前記バスバーに組み付けられるようになっていることが好ましい。
【0024】
ロアケースとアッパーケースとを組み付けるという簡易な操作により、第一挟持部と第二挟持部によって電子部品の端子とバスバーとを挟持することができる。
【0025】
[本開示の実施形態の詳細]
以下に、本開示の実施形態について説明する。本開示はこれらの例示に限定されるものではなく、特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内での全ての変更が含まれることが意図される。
【0026】
<実施形態1>
本開示の実施形態1について、
図1から
図8を参照しつつ説明する。本実施形態に係る電気機器10は、電気自動車、ハイブリッド自動車等の車両(図示せず)に搭載されて、電源(図示せず)から供給される電流のオン・オフを実行する。以下の説明において、矢線Zで示す方向を上方とし、矢線Yで示す方向を前方とし、矢線Xで示す方向を、矢線Yを前方として向かって左方とする。また、複数の同一部材については、一部の部材にのみ符号を付し、他の部材については符号を省略する場合がある。
【0027】
[電気機器10]
図1に示されるように、電気機器10は、ケース11と、ケース11内に配設される電子部品16と、を備える。ケース11は、下側に配されるロアケース12と、ロアケース12の上側に取り付けられるアッパーケース13と、を有する。アッパーケース13は、ロアケース12に対して上方(取り付け方向の一例)から取り付けられるようになっている。
【0028】
ロアケース12は、絶縁性の合成樹脂製であって、上方に開口して形成されている。ロアケース12は、上方から見て長方形状をなしている。ロアケース12は、底壁14と、底壁14の上面から上方に延びる収容壁15と、を有する。底壁14と、収容壁15によって囲まれた空間内に、電子部品16が収容されるようになっている。
【0029】
アッパーケース13は、絶縁性の合成樹脂製であって、下方に開口して形成されている。アッパーケース13は、ロアケース12の外形状よりもやや大きく形成されている。アッパーケース13は、上壁17と、上壁17の側縁から下方に延びる側壁18と、を有する。ロアケース12とアッパーケース13とが組み付けられた状態で、アッパーケース13の側壁18は、ロアケース12の底壁14の外側に位置するようになっている。
【0030】
アッパーケース13の上壁17には、ロアケース12に取り付けられた電子部品16に対応する位置に、上方に突出するとともに電子部品16の形状に倣った形状をなす収容突部19が形成されている。
図2に示されるように、収容突部19内には、電子部品16が個別に収容されるようになっている。収容突部19には、複数のスリット20が間隔を空けて並んで形成されている。これにより、ケース11の内部と外部とが連通するようになっている。この結果、電子部品16に電流が流される際に電子部品16で発生した熱が、スリット20を通してケース11の外部に放散されるようになっている。
【0031】
図1に示されるようにロアケース12の底壁14の側面には複数のロック突部21が外方に突出している。アッパーケース13の側壁18には、ロアケース12のロック突部21に対応する位置に、ロック突部21と弾性的に係合するロック受け部22が形成されている。
図3に示されるように、ロック突部21とロック受け部22とが弾性的に係合することにより、ロアケース12とアッパーケース13とが一体に組み付けられるようになっている。
【0032】
[電子部品16]
図1に示されるように、電子部品16は端子16Aを有する。ロアケース12に取り付けられる電子部品16は、リレー23、及びヒューズ24を含む。
【0033】
リレー23は、電源に電気的に接続されて、電源から供給される電流のオン・オフを行う。リレー23は、図示しない端子(端子16Aの一例)を有する。リレー23は直方体形状をなしている。リレー23の一の側面には、上下方向に延びる仕切り壁25が突出して形成されている。リレー23の側壁18のうち仕切り壁25が設けられた側壁18には、仕切り壁25の両側に、金属板製の端子が設けられている。2つの端子の間に設けられた仕切り壁25によって2つの端子間の沿面距離が設定されるようになっている。リレー23の端子の法線は上下方向に直交している。なお、上下方向に直交しているとは、上下方向と直交する場合を含むとともに、直交していない場合であっても実質的に直交していると認定し得る場合も含む。リレー23の端子とバスバー26とがレーザー溶接されることにより、端子とバスバー26が電気的に接続されている。
【0034】
ヒューズ24に対して所定の電流よりも大きな電流が流れた場合に、ヒューズ24は溶断するようになっている。これによって、電源から過電流が流れることが、抑制されるようになっている。ヒューズ24は全体として前後方向に延びる円筒形状をなしている。ヒューズ24の前端部からは前方に延びる端子24A(端子16Aの一例)が形成されており、ヒューズ24の後端部からは後方に延びる端子24A(端子16Aの一例)が形成されている。ヒューズ24の端子24Aは金属板製であり、左右方向から見て長方形状をなしている。ヒューズ24の端子24Aの法線は上下方向に直交している。端子24Aとバスバー26とがレーザー溶接されることにより、端子24Aとバスバー26が電気的に接続されている。
【0035】
[バスバー26]
図1に示されるように、ロアケース12には複数のバスバー26が配設されている。バスバー26は、ロアケース12に対して、圧入、接着、ビス止め、熱融着等、公知の手法により固定されている。バスバー26は導電性の金属板材が所定の形状にプレス加工されることにより形成される。バスバー26を構成する金属としては、銅、銅合金等、任意の金属が選択される。
【0036】
バスバー26は、リレー23の端子、及びヒューズ24の端子24Aにそれぞれ重なっている。バスバー26は、それぞれ、リレー23の端子、及びヒューズ24の端子24Aに接続される接続部26Aを有する。バスバー26の接続部26Aの法線が上下方向に直交するように、バスバー26がロアケース12に配設されている。リレー23の端子、及びヒューズ24の端子24Aは、バスバー26の接続部26Aとレーザー溶接されている。バスバー26Aにはレーザー溶接によって溶接痕27が形成されている。溶接痕27の形状は特に限定されないが、本実施形態では略円形状に形成されている。
【0037】
[電子部品16の端子16Aとバスバー26との位置決め構造]
図2に示されるように、アッパーケース13の収容突部19には、バスバー26の接続部26Aに対応する位置に、収容突部19を貫通する開口部28が形成されている。開口部28の孔縁部の内側からは、バスバー26の接続部26Aがケース11の外部に露出している。開口部28の孔縁部の形状は特に限定されないが、本実施形態では長方形状をなしている。
【0038】
以下の説明では、ヒューズ24の端子24Aと、ヒューズ24の端子24Aに重ねられたバスバー26の接続部26Aを例にして説明する。リレー23の端子、及びリレー23の端子に重ねられたバスバー26の接続部26Aについては、同様の部材に同じ符号を付して、重複する説明を省略する。
【0039】
図4に示されるように、アッパーケース13の収容突部19には、開口部28の孔縁部からわずかに前方、及び後方に離れた位置に、上下方向に延びるスリット29が形成されている。アッパーケース13の収容突部19のうち、開口部28の孔縁部とスリット29によって区画された領域は、第一挟持部30とされる。第一挟持部30は、上下方向に細長く延びて形成されている。第一挟持部30は、左右方向に弾性変形可能で両持ち状のバネとして形成されている。第一挟持部30は、開口部28の前後両側に形成されている。
【0040】
図5に示されるように、第一挟持部30には、上下方向の中央付近であって、且つバスバー26の接続部26Aと対向する面にバスバー26の接続部26Aに向かって突出する突起31が形成されている。ロアケース12にアッパーケース13が組み付けられた状態で、突起31の先端部はバスバー26の接続部26Aに右方から当接するようになっている。
【0041】
図6に示されるように、ロアケース12の底壁14の上面には、ヒューズ24の端子24Aに対応する位置に、上方に突出するとともに壁状をなす第二挟持部32が設けられている。第二挟持部32は、ヒューズ24の端子24Aに左方から当接するようになっている。
【0042】
図7に示されるように、ヒューズ24の端子24Aに左方から第二挟持部32が当接し、ヒューズ24の端子24Aに重なるバスバー26の接続部26Aに右方から第一挟持部30が当接することにより、ヒューズ24の端子24Aとバスバー26の接続部26Aは、第二挟持部32と第一挟持部30によって挟持されるようになっている。
【0043】
図8に示されるように、第一挟持部30の突部が、バスバー26の接続部26Aに右方から当接した状態で、第一挟持部30は、右方に膨出するように撓み変形するようになっている。これにより、バスバー26の接続部26Aが、ヒューズ24の端子24Aに向かって押圧されるようになっている。これにより、ヒューズ24の端子24Aとバスバー26の接続部26Aとが相対的に位置ずれすることが抑制されるようになっている。
【0044】
図7に示されるように、第二挟持部32のうち、ヒューズ24の端子24Aと対向する面には、ヒューズ24の端子24Aから離れる方向に凹んだ凹部33が形成されている。第二挟持部32のうち凹部33が形成された部分においては、第二挟持部32と、ヒューズ24の端子24Aは離れている。
【0045】
[電気機器10の製造工程の一例]
続いて、電気機器10の製造工程の一例について説明する。電気機器10の製造工程については、以下の記載に限定されない。
【0046】
ロアケース12の上面に、リレー23、ヒューズ24等の電子部品16が固定される。続いて、ロアケース12の上面にバスバー26が固定される。この状態で、リレー23の端子と、バスバー26の接続部26Aとが重なるとともに、ヒューズ24の端子24Aと、バスバー26の接続部26Aとが重なる。
【0047】
アッパーケース13が、ロアケース12に対して、上方から組み付けられる。アッパーケース13のロック受け部22の下端部がロアケース12のロック突部21に上方から当接することにより、ロック受け部22が弾性変形する。更にアッパーケース13が下方に押されることにより、ロック受け部22がロック突部21を乗り越えて、復帰変形する。これにより、ロック受け部22がロック突部21に下方から当接する。これにより、ロアケース12に対してアッパーケース13が固定される。
【0048】
ロアケース12とアッパーケース13とが組み付けられた状態で、アッパーケース13の第一挟持部30に設けられた突起31の先端部は、ヒューズ24の端子24Aに右方から当接する。また、ロアケース12の第二挟持部32は、ヒューズ24の端子24Aに左方から当接する。これにより、第一挟持部30と第二挟持部32によって、ヒューズ24の端子24Aとバスバー26の接続部26Aとが挟持される。
【0049】
アッパーケース13の開口部28を通して、図示しない照射装置からレーザー光が照射される。これにより、ヒューズ24の端子24Aと、バスバー26の接続部26Aとがレーザー溶接される。バスバー26の接続部26Aには溶接痕27が形成される。これによりヒューズ24の端子24Aとバスバー26の接続部26Aとが電気的に接続される。
【0050】
リレー23の端子と、バスバー26の接続部26Aについても、上記と同様にレーザー溶接されるので、重複する記載を省略する。以上により、電気機器10が完成する。
【0051】
[実施形態の作用効果]
続いて、本実施形態の作用効果について説明する。本実施形態に係る電気機器10は、ケース11と、ケース11内に配設されるとともに、端子を有する電子部品16と、ケース11内に配設されるとともに、電子部品16の端子16Aにレーザー溶接されたバスバー26と、を有し、電子部品16の端子16Aとバスバー26とは重なっており、ケース11は開口部28を有し、開口部28からは電子部品16の端子16A、及びバスバー26の双方又は一方がケース11の外部に露出しており、ケース11は、電子部品16の端子16A、及びバスバー26の一方に接触する第一挟持部30と、電子部品16の端子16A、及びバスバー26の他方に接触する第二挟持部32と、を有し、第一挟持部30と第二挟持部32とに挟まれることにより、電子部品16の端子16Aとバスバー26との相対的な位置が保持されるようになっている。
【0052】
電子部品16の端子16Aとバスバー26とは、ケース11に設けられた第一挟持部30と第二挟持部32とによって挟まれることにより、相対的な位置が保持されるようになっている。これにより、電子部品16の端子16A、又はバスバー26に、ケース11の開口部28からレーザー光が照射されることによって、電子部品16の端子16Aとバスバー26とを、レーザー溶接することができる。本開示によれば、電子部品16の端子16Aとバスバー26との相対的な位置を保持するための治具が必要ないので、治具を配するためのスペースを設ける必要がない。この結果、電気機器10を小型化することができる。
【0053】
また、本実施形態によれば、第二挟持部32は、電子部品16の端子16Aと対向する面に凹部33を有する。
【0054】
電子部品16の端子16Aとバスバー26とがレーザー溶接される際に、レーザー光が電子部品16の端子16A及びバスバー26を貫通しても、第二挟持部32には凹部33が設けられているので、レーザー光によって第二挟持部32が損傷を受けることが抑制される。
【0055】
本実施形態によれば、ケース11は、電子部品16が取り付けられるロアケース12と、ロアケース12に取り付けられることにより電子部品16を覆うアッパーケース13と、を有し、アッパーケース13は第一挟持部30を有し、ロアケース12は第二挟持部32を有する。
【0056】
ロアケース12とアッパーケース13とを組み付けるという簡易な操作により、第一挟持部30と第二挟持部32によって電子部品16の端子16Aとバスバー26とを挟持することができる。
【0057】
本実施形態によれば、アッパーケース13は電子部品16を覆う上壁17を有し、ロアケース12は電子部品16が配設される底壁14を有し、アッパーケース13の上壁17には、電子部品16に対応する位置に、ロアケース12の底壁14から離れる方向に突出するとともに電子部品16が個別に収容される収容突部19が設けられており、第一挟持部30はアッパーケース13の収容突部19に設けられており、第二挟持部32はロアケース12の底壁14に設けられている。
【0058】
アッパーケース13に設けられた収容突部19内に電子部品16が個別に収容されるので、電子部品16が一括してアッパーケース13に覆われる場合に比べて、アッパーケース13を小型化できる。これにより、電気機器10を全体として小型化できる。
【0059】
本実施形態によれば、開口部28はアッパーケース13の収容突部19に設けられており、アッパーケース13の収容突部19は、開口部28の孔縁部の近傍の位置に、電子部品16の端子16A又はバスバー26に向かって突出するとともに電子部品16の端子16A又はバスバー26と当接する突起31を有する。
【0060】
突起31によって電子部品16の端子16A又はバスバー26が押圧されるので、電子部品16の端子16Aとバスバー26との相対的な位置ずれが一層抑制される。
【0061】
本実施形態によれば、アッパーケース13は、開口部28の孔縁部に沿って延びるスリット29を有し、開口部28の孔縁部と、スリット29の孔縁部との間の領域に突起31が設けられている。
【0062】
アッパーケース13の開口部28の孔縁部と、スリット29との間の領域が弾性変形することにより、突起31が電子部品16の端子16A又はバスバー26に押圧される。これにより、電子部品16の端子16Aの公差、及びバスバー26の公差に対応しつつ、電子部品16の端子16Aとバスバー26との相対的な位置ずれを一層抑制することができる。
【0063】
本実施形態によれば、アッパーケース13は、ロアケース12に対して取り付け方向に沿って取り付けられるようになっており、電子部品16の端子16Aの板面の法線は取り付け方向と直交しており、バスバー26の板面の法線は取り付け方向と直交しており、第一挟持部30、及び第二挟持部32は取り付け方向から電子部品16の端子16A、及びバスバー26に組み付けられるようになっている。
【0064】
ロアケース12とアッパーケース13とを組み付けるという簡易な操作により、第一挟持部30と第二挟持部32によって電子部品16の端子16Aとバスバー26とを挟持することができる。
【0065】
<他の実施形態>
(1)開口部28はロアケース12に設けられていてもよい。
【0066】
(2)凹部33は省略されてもよい。
【0067】
(3)収容突部19に形成されたスリット20は省略されてもよい
【0068】
(4)突起31は、第一挟持部30の全長にわたって、上下方向に細長く延びる形状としてもよい。また、複数の突起31が、第一挟持部30に設けられてもよい。
【0069】
(5)電子部品16の端子16Aが外部に露出するように配されてもよい。この場合、第一挟持部30が電子部品16の端子16Aと当接し、第二挟持部32がバスバー26の接続部26Aと当接する構成としてもよい。
【0070】
(6)第一挟持部30と第二挟持部32が、ともにロアケース12に設けられてもよく、また、ともにアッパーケース13に設けられてもよい。
【0071】
(7)開口部28の孔縁部の形状は、三角形状、五角形状、六角形状等の多角形状でもよいし、円形状、長円形状でもよく、任意の形状とすることができる。
【符号の説明】
【0072】
10: 電気機器
11: ケース
12: ロアケース
13: アッパーケース
14: 底壁
15: 収容壁
16: 電子部品
16A、24A: 端子
17: 上壁
18: 側壁
19: 収容突部
20: スリット
21: ロック突部
22: ロック受け部
23: リレー
24: ヒューズ
25: 仕切り壁
26: バスバー
26A: 接続部
27: 溶接痕
28: 開口部
29: スリット
30: 第一挟持部
31: 突起
32: 第二挟持部
33: 凹部