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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003716
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】包装箱
(51)【国際特許分類】
   B65D 5/52 20060101AFI20230110BHJP
   B65D 5/54 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
B65D5/52 K
B65D5/54 301F
B65D5/54 301E
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021104962
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】000115980
【氏名又は名称】レンゴー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】橋本 章
(72)【発明者】
【氏名】田邉 智昭
【テーマコード(参考)】
3E060
【Fターム(参考)】
3E060AA03
3E060AB05
3E060BA05
3E060BC02
3E060BC04
3E060CB02
3E060CB16
3E060CE04
3E060CE13
3E060CE14
3E060CE18
3E060CE22
3E060CE23
3E060CE26
3E060CF05
3E060DA14
3E060DA17
3E060EA13
3E060EA14
(57)【要約】
【課題】ラップアラウンド形式の包装箱の開封性を向上する。
【解決手段】包装箱1は、天板11と、底板12と、一対の側板13A,13Bと、4つの内フラップ21と、4つの外フラップ22と、第1側板13Aに設けられて第2方向Yへ延びる第1破断線31と、第1側板13Aに連なる第1内フラップ21Aに設けられて第1方向Xに延びる第2破断線32と、第1側板13Aに設けられて第3方向Zへ延びる第3破断線33と、天板11に連なる第1外フラップ22Aに設けられて第3方向Zへ延びる第4破断線34と、第1側板13Aと第1外フラップ22Aによって画定された角部30Aと対向する第1折曲線35Aとを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向、及び前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる天板と、
前記天板に対して前記第1方向と前記第2方向の双方に交差する第3方向に間隔をあけて設けられた底板と、
前記天板及び前記底板それぞれの前記第1方向の端にそれぞれ連なり、前記第2方向及び前記第3方向に延びる一対の側板と、
前記一対の側板それぞれの前記第2方向の端にそれぞれ連なり、前記第1方向及び前記第3方向に延びる4つの内フラップと、
前記天板及び前記底板それぞれの前記第2方向の端にそれぞれ連なり、前記内フラップの外側に配置された4つの外フラップと、
前記一対の側板のうちの第1側板に設けられ、前記第2方向の一方側の第1端から他方側へ延びる第1破断線と、
前記4つの内フラップのうち、前記第1側板の前記第1端に連なる第1内フラップに設けられ、前記第1破断線と隣接して前記第1方向に延びる第2破断線と、
前記第1側板の前記第1破断線よりも前記天板側に設けられ、前記第3方向へ延びる第3破断線と、
前記4つの外フラップのうち、前記天板の前記第2方向の前記一方側の端に連なる第1外フラップに設けられ、前記第1内フラップと前記第1内フラップに対して前記第1方向に対向する第2内フラップとの間に位置し、前記第3方向へ延びる第4破断線と、
前記第3破断線の前記天板側の端と前記第4破断線の前記天板側の端との間に位置するように前記天板に設けられ、前記第1側板と前記第1外フラップによって画定された角部と対向する第1折曲線と
を備える、包装箱。
【請求項2】
前記第1破断線と前記第3破断線は、前記一対の側板のうちの第2側板にも設けられ、
前記第2破断線は、前記第2内フラップにも設けられ、
前記天板には、前記第2側板と前記第1外フラップによって画定された角部と対向する第2折曲線が設けられている、
請求項1に記載の包装箱。
【請求項3】
前記天板のうち、前記第1折曲線の前記第1側板側の端と、前記第2折曲線の前記第2側板側の端との間に、前記第1方向へ延びる折曲線が設けられている、請求項2に記載の包装箱。
【請求項4】
前記第1破断線は、前記一対の側板の前記第1端から前記他方側の第2端まで延び、
前記第3破断線は、前記一対の側板の前記第2方向の中央領域にそれぞれ設けられ、
前記第2破断線は、前記4つの内フラップのうち、前記一対の側板の前記第2端にそれぞれ連なる一対の内フラップにもそれぞれ設けられ、
前記第4破断線は、前記4つの外フラップのうち、前記天板の前記第2方向の前記他方側の端に連なる第2外フラップにも設けられ、
前記天板には、前記一対の側板と前記第2外フラップによってそれぞれ画定された一対の角部と対向する第3折曲線がそれぞれ設けられている、
請求項2又は3に記載の包装箱。
【請求項5】
前記第1側板には、前記天板側へ操作される開封操作部が設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項6】
前記第1外フラップの前記第4破断線よりも前記第1内フラップ側には、前記天板側へ操作される開封操作部が設けられている、請求項1から4のいずれか1項に記載の包装箱。
【請求項7】
前記開封操作部の前記天板側には、前記第3方向へ延びる一対の補助折曲線が設けられており、
前記一対の補助折曲線は、前記開封操作部から前記天板に向けて互いに離れるように傾斜している、請求項5又は6に記載の包装箱。
【請求項8】
前記第1折曲線は、前記天板を破断可能な破断線としての機能を兼ね備える、請求項1から7のいずれか1項に記載の包装箱。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、包装箱に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、トレイ状の下側部分と上側部分に分離して開封できるようにしたラップアラウンド形式の包装箱が開示されている。この包装箱は、一対の側板それぞれに設けられた破断線と、合計で4つの内フラップそれぞれに設けられた破断線とを備える。側板の破断線は正対する方向から見て凹凸を有する波形状に形成され、この破断線のうち天板から離れた凹み部分には開封操作部が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-152397号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の包装箱では、側板の破断線の形状と開封操作部の配置によって、開封操作部の操作による破断線への操作力の伝達性向上を図っている。しかし、操作力の伝達性は開封操作部から離れるに従って低減するため、側板に連なる一対の内フラップを一緒に破断するのは困難である。よって、特許文献1の包装箱には、開封操作部の操作による開封性について、改良の余地がある。
【0005】
本発明は、ラップアラウンド形式の包装箱の開封性を向上することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1方向、及び前記第1方向に対して交差する第2方向に延びる天板と、前記天板に対して前記第1方向と前記第2方向の双方に交差する第3方向に間隔をあけて設けられた底板と、前記天板及び前記底板それぞれの前記第1方向の端にそれぞれ連なり、前記第2方向及び前記第3方向に延びる一対の側板と、前記一対の側板それぞれの前記第2方向の端にそれぞれ連なり、前記第1方向及び前記第3方向に延びる4つの内フラップと、前記天板及び前記底板それぞれの前記第2方向の端にそれぞれ連なり、前記内フラップの外側に配置された4つの外フラップと、前記一対の側板のうちの第1側板に設けられ、前記第2方向の一方側の第1端から他方側へ延びる第1破断線と、前記4つの内フラップのうち、前記第1側板の前記第1端に連なる第1内フラップに設けられ、前記第1破断線と隣接して前記第1方向に延びる第2破断線と、前記第1側板の前記第1破断線よりも前記天板側に設けられ、前記第3方向へ延びる第3破断線と、前記4つの外フラップのうち、前記天板の前記第2方向の前記一方側の端に連なる第1外フラップに設けられ、前記第1内フラップと前記第1内フラップに対して前記第1方向に対向する第2内フラップとの間に位置し、前記第3方向へ延びる第4破断線と、前記第3破断線の前記天板側の端と前記第4破断線の前記天板側の端との間に位置するように前記天板に設けられ、前記第1側板と前記第1外フラップによって画定された角部と対向する第1折曲線とを備える、包装箱を提供する。
【0007】
本態様では、第1側板と第1内フラップの間の稜部には破断線がないため、開封操作によって天板、第1側板、及び第1外フラップが展開されることはない。よって、第1側板と第1外フラップによって画定される角部を天板側へ開封操作すると、天板、第1側板、及び第1外フラップが立体状態を維持したまま、第1破断線及び第3破断線の順で第1側板が破断されるとともに、第2破断線及び第4破断線の順で第1内フラップと第1外フラップが破断され、第1折曲線に沿って天板が折り曲げられる。このように、角部が立体状態のまま操作されるため、隣り合う第1側板と第1内フラップそれぞれの破断線に力が伝わり易い。また、シート状の側板、内フラップ、及び外フラップを破断線に沿って個別に破断する場合と比較して、破断線の延び方向とは異なる向きに破断が進む(脱線する)ことを大幅に抑制できる。そのため、包装箱の開封性を飛躍的に向上できるうえ、開封後の包装箱の外観を向上できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明では、ラップアラウンド形式の包装箱の開封性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の第1実施形態に係る包装箱の斜視図。
図2】包装箱のブランクを示す平面図。
図3図2のIII部分の拡大平面図。
図4】1つの角部を開封した状態を示す斜視図。
図5】4つの角部を開封した状態を示す斜視図。
図6】第1実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図。
図7】第2実施形態に係る包装箱の斜視図。
図8】包装箱のブランクを示す平面図。
図9】2つの角部を開封した状態を示す斜視図。
図10】中央の折曲線で1つの角部を開封した状態を示す斜視図。
図11】第2実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図。
図12】第3実施形態に係る包装箱の斜視図。
図13】包装箱のブランクを示す平面図。
図14】第3実施形態の包装箱の開封状態を示す斜視図。
図15】第4実施形態に係る包装箱の斜視図。
図16】包装箱のブランクを示す平面図。
図17】1つの角部を開封した状態を示す斜視図。
図18】第5実施形態に係る包装箱の斜視図。
図19】包装箱のブランクを示す平面図。
図20】1つの角部を開封した状態を示す斜視図。
図21】第6実施形態に係る包装箱の斜視図。
図22】包装箱のブランクを示す平面図。
図23】1つの角部を分離した状態を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面に従って説明する。
【0011】
(第1実施形態)
図1は、本発明の第1実施形態に係る包装箱1を示す。この包装箱1は、四角筒状の外周壁10と、外周壁10の両端開口をそれぞれ塞ぐ一対の蓋部20とを備えるラップアラウンドケースである。本実施形態の包装箱1は、4種の破断線31~34に沿って外周壁10の一部と蓋部20をそれぞれ破断し、折曲線35A~35Dに沿って天板11を折り曲げることで、包装箱1が備える4つの角部30A~30Dのうちの希望箇所を開封できる(図4参照)。
【0012】
以下の説明で参照する個々の図面に記載したX方向は包装箱1の幅方向であり、Y方向は包装箱1の長さ方向であり、Z方向は包装箱1の高さ方向である。幅方向Xが本発明における第1方向であり、長さ方向Yが本発明における第2方向であり、高さ方向Zが本発明における第3方向である。長さ方向Yにおいて、矢印が示す向きが本発明における第2方向の一方側であり、矢印とは逆向きが本発明における第2方向の他方側である。
【0013】
図1を参照すると、包装箱1は、長さ方向Yの寸法が幅方向Xの寸法よりも長く、幅方向Xの寸法が高さ方向Zの寸法よりも長い直方体状である。但し、包装箱1の幅方向Xの寸法、長さ方向Yの寸法、及び高さ方向Zの寸法は、内部に収容する物品に応じて変更される。
【0014】
具体的には、長さ方向Yの寸法は250mm以上に設定され、高さ方向Zの寸法は200mm以下に設定され、幅方向Xの寸法は高さ方向Zの寸法以上に設定される。つまり、長さ方向Yの寸法を基準とすると、高さ方向Zの寸法は長さ方向Yの寸法の80%以下に設定され、幅方向Xの寸法は長さ方向Yの寸法の80%以上に設定される。
【0015】
より具体的には、本実施形態の包装箱1では、長さ方向Yの寸法が487mmに設定され、幅方向Xの寸法が387mmに設定され、高さ方向Zの寸法が110mmに設定されている。このように、高さが低くて長細い直方体状の包装箱1の長側面は破断し難く、破断線31の延び方向とは異なる向きに破断が進む(脱線する)ことがある。また、内部に軽量の物品が収容された場合、開封操作によって包装箱1全体が持ち上がるため、開封性が悪くなる。本実施形態では、このような包装箱1の開封性向上を図る。
【0016】
以下、包装箱1の構成を具体的に説明する。
【0017】
(包装箱の概要)
図1に示す包装箱1は、図2に示す一枚のブランクを、所定部位で折り曲げて所定部位を固着することで形成されている。ブランクは、周知の紙器打抜装置によって、紙製段ボールシートを打ち抜いて形成されている。段ボールシートは、表ライナ(包装箱1の外面)と裏ライナ(包装箱1の内面)の間に波状の中しんを配設した構成である。
【0018】
図2に一点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように裏ライナの方から罫を入れて形成した汎用罫線である。図2に二点鎖線で示す部分は、肉厚を圧縮するように表ライナの方から罫を入れて形成した逆罫線である。図2に実線で示す部分は、裏ライナから表ライナにかけて刃を入れて形成した切断線、及び打ち抜きによる形状線(辺)である。
【0019】
図1を参照すると、外周壁10は、高さ方向Zに間隔をあけて位置する天板11と底板12、及び幅方向Xに間隔をあけて位置する側板13A,13Bを備える。そのうち、側板13Aは、側板本体14と付代部15を備え、これらを例えば熱溶融樹脂(ホットメルト)等の接着剤によって貼着(固着)した構成である。
【0020】
天板11と底板12は、概ね同一の四角形状に形成され、XY平面に沿って延びている。一対の側板13A,13Bは、概ね同一の四角形状に形成され、YZ平面に沿って延びている。側板13A,13Bは、天板11の幅方向Xの両端に、長さ方向Yに延びる折曲部16を介してそれぞれ連続している。また、側板13A,13Bは、底板12の幅方向Xの両端に、長さ方向Yに延びる折曲部17を介してそれぞれ連続している。
【0021】
図2を参照すると、側板本体14、天板11、側板13B、底板12、及び付代部15は、この順で上側から下側へ連設されている。天板11の上下には、折曲部16を構成する折曲線16aを介して、側板本体14と側板13Bがそれぞれ連設されている。底板12の上下には、折曲部17を構成する折曲線17aを介して、側板13Bと付代部15がそれぞれ連設されている。折曲線16aは汎用罫線からなり、折曲線17aはリード罫からなる。リード罫とは、折曲性を汎用罫線よりも向上するために、汎用罫線上に間隔をあけて複数の切断線を設けた構成である。付代部15は、突出寸法が短くてブランクの端に位置するため、底板12と付代部15の間のリード罫(折曲線17a)の切断線数は、底板12と側板15Aの間のリード罫(折曲線17a)の切断線数よりも多い。
【0022】
天板11に対して側板本体14を折り曲げた後、側板13Bに対して底板12を折り曲げ、側板本体14の外面側に付代部15を貼着する(外グルア)。これにより、側板本体14と付代部15が側板13Aとして一体化され、連続した無端状の外周壁10が形成される。
【0023】
なお、付代部15を天板11に連設し、側板本体14を底板12に連設してもよい。また、図2に破線で示すように、付代部15は、側板13Aに連設され、底板本体に貼着されてもよいし、側板13Bに連設され、天板本体に貼着されてもよい。また、付代部15は、貼着対象の外面側に貼着される構成(外グルア)に限られず、貼着対象の内面側に貼着されてもよい(内グルア)。
【0024】
図1を参照すると、一対の蓋部20は、長さ方向Yに間隔をあけて設けられ、XZ平面に沿って延びている。個々の蓋部20は、四角形状であり、天板11、底板12及び一対の側板13A,13Bそれぞれに連なっている。具体的には、蓋部20は、幅方向Xに間隔をあけて位置する一対の内フラップ21と、高さ方向Zに間隔をあけて位置する一対の外フラップ22とを備える。一対の内フラップ21の外面に一対の外フラップ22が配置され、これらの重畳部分が側板13Aと同様に熱溶融樹脂等の接着剤によって貼着されることで、蓋部20が形成されている。
【0025】
一対の内フラップ21は、図2に示すブランクの状態で、先端が外フラップ22の先端と直線上に位置する寸法の四角形状である。一対の外フラップ22は、図1に示す封緘状態で、互いの先端が突き合う寸法の四角形状である。図1を参照すると、合計で4枚(二対)の内フラップ21は、側板13A,13Bそれぞれの長さ方向Yの端に、高さ方向Zに延びる折曲部23を介してそれぞれ連続している。合計で4枚(二対)の外フラップ22は、天板11及び底板12それぞれの長さ方向Yの端に、幅方向Xに延びる折曲部24を介してそれぞれ連続している。
【0026】
図2を参照すると、4枚の内フラップ21のうち、2枚は側板本体14の両側に折曲部23を構成する折曲線23aを介して連設され、残りの2枚は側板13Bの両側に折曲線23aを介して連設されている。4枚の外フラップ22のうち、2枚は天板11の両側に折曲部24を構成する折曲線24aを介して連設され、残りの2枚は底板12の両側に折曲線24aを介して連設されている。折曲線23a,24aはいずれも汎用罫線からなり、概ね直線上に配置されている。
【0027】
(開封用破断線構造)
図1及び図2を参照すると、包装箱1を開封するために、側板13A,13Bにはそれぞれ2種の破断線31,33が設けられ、一対の蓋部20にはそれぞれ2種の破断線32,34が設けられている。また、天板11には4本の折曲線35A~35Dが設けられ、側板13A,13Bにはそれぞれ一対の開封操作部(以下「操作部」と略す。)36が設けられている。これらによって、包装箱1の天板11側の4つの角部30A~30Dのうち、1つ(図4参照)から全部(図5参照)を開放可能としている。
【0028】
以下の説明では、一対の側板13A,13Bのうち、図1において手前側に位置する方を第1側板13A、図1において奥側に位置する方を第2側板13Bということがある。また、4つの内フラップ21のうち、第1側板13Aの長さ方向Yの一方側の第1端13aに連なる1つを第1内フラップ21A、第2側板13Bの長さ方向Yの一方側の第1端13aに連なる1つを第2内フラップ21B、第1側板13Aの長さ方向Yの他方側の第2端13bに連なる1つを第3内フラップ21C、第2側板13Bの長さ方向Yの他方側の第2端13bに連なる1つを第4内フラップ21Dということがある。また、4つの外フラップ22のうち、天板11の長さ方向Yの一方側の第1端11aに連なる1つを第1外フラップ22A、天板11の長さ方向Yの他方側の第2端11bに連なる1つを第2外フラップ22Bということがある。
【0029】
図1及び図2を参照すると、第1破断線31は、側板13A,13Bにそれぞれ設けられ、いずれも第1端13aから第2端13bまで長さ方向Yに延びている。ここで、第1端13aから第2端13bまでとは、幾何学的に厳密な意味での第1端13aから第2端13bまでに限られず、第1端13a及び第2端13bに対して破断可能な間隔をあけて位置する構成が含まれる。破断可能な間隔とは、外力を加えることによって、隣り合う切断線(この例では第2破断線32)と繋がるように、非切断部(連続部)を破断できる距離を意味する。本実施形態では、第1破断線31のうち、長さ方向Yの一端は側板13A,13Bの第1端13a上に配置され、長さ方向Yの他端は側板13A,13Bの第2端13b上に配置されている。
【0030】
第1破断線31は、側板13A,13Bの高さ方向Zの概ね中央に設けられている。第1側板13Aの第1破断線31については、側板本体14のうち付代部15と重ならない位置に設けられている。
【0031】
図1及び図3を参照すると、本実施形態の第1破断線31は、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線によって構成されている。また、本実施形態の第1破断線31上には一対の操作部36が設けられており、この操作部36内に第1破断線31は設けられていない。また、本実施形態の第1破断線31には、長さ方向Yの中央に天板11側へ湾曲した湾曲部31aが設けられている。但し、第1破断線31は、一端から他端まで直線状に延びる形状であってもよい。
【0032】
図1及び図2を参照すると、第2破断線32は、第1破断線31に隣接するように4つの内フラップ21にそれぞれ設けられ、いずれも幅方向Xに延びている。個々の内フラップ21には、側板13A,13Bから最も離れた先端部分に切欠部21aが設けられており、第2破断線32は、内フラップ21の基端(幅方向Xの外側端)から切欠部21aまで延びている。基端から切欠部21aまでとは、幾何学的に厳密な意味での基端から切欠部21aまでに限られず、基端及び切欠部21aに対して破断可能な間隔をあけて位置する構成が含まれる。
【0033】
図1及び図3を参照すると、本実施形態の第2破断線32は、幅方向Xに間隔をあけて設けられた複数の第1切断線32aと、第1切断線32aの端に連なる第2切断線32bとを備える片ジッパーによって構成されている。第2切断線32bは、第1切断線32aのうち側板13A,13B側に位置する外端に連なり、側板13A,13Bに近づくに従って天板11に近づく向きへ傾斜している。これは、操作部36が天板11側へ操作されるためである。第2切断線32bのうち、第1切断線32aに連ならない方の端は、隣に位置する第1切断線32aに対して破断可能な間隔をあけて位置する。複数の第2切断線32bのうち、幅方向Xの最も外側に位置する1つは、第1破断線31の長さ方向Yの外側端に対して破断可能な間隔をあけて位置している。
【0034】
図1及び図2を参照すると、第3破断線33は、側板13A,13Bの第1破断線31よりも天板11側にそれぞれ設けられ、高さ方向Zに延びている。より具体的には、第3破断線33は、側板13A,13Bの長さ方向Yの中央に設けられている。但し、第3破断線33は、幾何学的に厳密な意味での中央に限られず、第1破断線31よりも天板11側で、側板13A,13Bを長さ方向Yに三等分したときの中央領域に設けられていればよい。
【0035】
図1及び図3を参照すると、第3破断線33の下端33aは、第1破断線31を構成する切断線上に配置され、第3破断線33の上端33bは、折曲線16aに対して間隔をあけて配置されている。但し、第3破断線33の下端33aは、第1破断線31を構成する切断線に対して破断可能な間隔をあけて配置されてもよいし、第3破断線33の上端33bは、折曲線16a上に配置されてもよい。
【0036】
本実施形態の第3破断線33は、高さ方向Zに延びる第1切断線と、第1切断線の下端から二又に分岐したYジッパーによって構成されている。全体として第3破断線33は、垂直方向に延びる直線状としているが、長さ方向Yの一方側又は他方側に傾斜していてもよいし、湾曲していてもよい。
【0037】
図1及び図2を参照すると、第4破断線34は、天板11に連なる外フラップ22A,22Bにそれぞれ設けられ、高さ方向Zに延びている。より具体的には、第4破断線34は、蓋部20を構成する内フラップ21A,21B間と21C,21D間に位置するように、外フラップ22A,22Bの幅方向Xの中央にそれぞれ設けられている。但し、第4破断線34は、幾何学的に厳密な意味での中央に限られず、X方向に対向する内フラップ21A,21B間と21C,21D間で、外フラップ22A,22Bを幅方向Xに三等分したときの中央領域に設けられていればよい。
【0038】
第4破断線34の下端34aは、外フラップ22A,22Bの先端に配置され、第4破断線34の上端34bは、折曲線24aに対して間隔をあけて配置されている。但し、第4破断線34の下端34aは、外フラップ22A,22Bの先端に対して破断可能な間隔をあけて配置されてもよいし、第4破断線34の上端34bは、折曲線24a上に配置されてもよい。
【0039】
本実施形態の第4破断線34は、第3破断線33と同様に、高さ方向Zに延びる第1切断線と、第1切断線の下端から二又に分岐したYジッパーによって構成されている。全体として第4破断線34は、垂直方向に延びる直線状としているが、幅方向Xの一方側又は他方側に傾斜していてもよいし、湾曲していてもよい。
【0040】
図1及び図2を参照すると、折曲線35A~35Dは、いずれも逆罫線からなり、それぞれ4つの角部30A~30Dと対向するように天板11に設けられている。折曲線35A~35Dは、一対の第3破断線33それぞれの上端33bと一対の第4破断線34それぞれの上端34bのうち、隣り合う2つの間に位置するように設けられ、全体として菱形状を呈している。
【0041】
折曲線(第1折曲線)35Aは、第1側板13Aと第1外フラップ22Aによって画定された第1の角部30Aと対向するように設けられている。折曲線35Aの一端は、第1側板13Aの第3破断線33の上端33bに隣接し、折曲線35Aの他端は、第1外フラップ22Aの第4破断線34の上端34bに隣接している。より具体的には、折曲線35Aの一端は折曲部16に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Aの延長線と第3破断線33の延長線とが折曲部16上で交差する。折曲線35Aの他端は折曲部24に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Aの延長線と第4破断線34の延長線とが折曲部24上で交差する。
【0042】
折曲線(第2折曲線)35Bは、第2側板13Bと第1外フラップ22Aによって画定された第2の角部30Bと対向するように設けられている。折曲線35Bの一端は、第2側板13Bの第3破断線33の上端33bに隣接し、折曲線35Bの他端は、第1外フラップ22Aの第4破断線34の上端34bに隣接している。より具体的には、折曲線35Bの一端は折曲部16に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Bの延長線と第3破断線33の延長線とが折曲部16上で交差する。折曲線35Bの他端は折曲部24に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Bの延長線と第4破断線34の延長線とが折曲部24上で交差する。
【0043】
折曲線(第3折曲線)35Cは、第1側板13Aと第2外フラップ22Bによって画定された第3の角部30Cと対向するように設けられている。折曲線35Cの一端は、第1側板13Aの第3破断線33の上端33bに隣接し、折曲線35Cの他端は、第2外フラップ22Bの第4破断線34の上端34bに隣接している。より具体的には、折曲線35Cの一端は折曲部16に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Cの延長線と第3破断線33の延長線とが折曲部16上で交差する。折曲線35Cの他端は折曲部24に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Cの延長線と第4破断線34の延長線とが折曲部24上で交差する。
【0044】
折曲線(第3折曲線)35Dは、第2側板13Bと第2外フラップ22Bによって画定された第4の角部30Dと対向するように設けられている。折曲線35Dの一端は、第2側板13Bの第3破断線33の上端33bに隣接し、折曲線35Dの他端は、第2外フラップ22Bの第4破断線34の上端34bに隣接している。より具体的には、折曲線35Dの一端は折曲部16に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Dの延長線と第3破断線33の延長線とが折曲部16上で交差する。折曲線35Dの他端は折曲部24に対して間隔をあけて配置されており、折曲線35Dの延長線と第4破断線34の延長線とが折曲部24上で交差する。
【0045】
図1及び図2を参照すると、操作部36は、開封操作の起点であり、天板11側への操作によって4つの角部30A~30Dをそれぞれ開封するために、一対の側板13A,13Bにそれぞれ一対設けられている。
【0046】
具体的には、操作部36は、側板13A,13Bのうち、第1端13aと第3破断線33の間と第2端13bと第3破断線33の間に、それぞれ設けられている。言い換えると、操作部36は、側板13A,13Bを長さ方向Yに三等分したときの中央領域以外にそれぞれ設けられている。また、操作部36は、側板13A,13Bの高さ方向Zの概ね中央に設けられている。第1側板13Aの操作部36については、側板本体14のうち付代部15と重ならない位置である。
【0047】
図1及び図3を参照すると、操作部36は、折曲部37、折曲部37の両端に連なる一対の第1破断部38、及び一対の第1破断部38の長さ方向Yの外側端にそれぞれ連なる第2破断部39によって画定されている。但し、操作部36は、打ち抜きによって形成された開口部であってもよい。
【0048】
折曲部37は、汎用罫線からなり、第1破断線31よりも天板11側で長さ方向Yへ延びている。
【0049】
一対の第1破断部38は、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、折曲部37の端から長さ方向Yの外側に向かうに従って下向きに湾曲している。個々の第1破断部38の長さ方向Yの外側端が、第1破断線31に連なっている。
【0050】
第2破断部39は、破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線からなり、一対の第1破断部38の長さ方向Yの外側端から下向きに突出するように湾曲している。第2破断線32の両端は第1破断線31に連なり、第1破断線31よりも下側(底板12側)で長さ方向Yへ延びている。
【0051】
このように構成された操作部36では、折曲部37と破断部38,39で囲まれた内側部分を幅方向Xの外側から内側へ押すことで、破断部38,39に沿って側板13A,13Bを破断できる。そして、内側部分を折曲部37に沿って山折りすることで、無端状の操作部36を開口させることができる。
【0052】
図1及び図2を参照すると、側板13A,13Bのうち操作部36の天板11側には、高さ方向Zへ延びる一対の補助折曲線40が設けられている。一対の補助折曲線40は、いずれも汎用罫線からなり、操作部36から天板11に向けて互いに離れる向きに傾斜している。図3を参照すると、一対の補助折曲線40の下端は、それぞれ折曲部37の両端近傍に位置し、折曲部37に対して間隔をあけて配置されている。一対の補助折曲線40の上端は、折曲線16Aに対して間隔をあけて配置されている。
【0053】
次に、このように構成された包装箱1の開封方法の一例を説明する。
【0054】
包装箱1の角部30Aを開封する場合、図1において左側に位置する操作部36を幅方向Xの外側から内側へ押し、操作部36を開口させる。続いて、第1側板13Aのうち操作部36の上側を一方の手で持ち、天板11のうち4本の折曲線35A~35Dで囲まれた領域を他方の手で押さえる。この状態で、操作部36を高さ方向Zの上方へ操作する。これにより、包装箱1内に収容された物品が軽量であっても、操作部36の操作によって包装箱1が持ち上がることはない。
【0055】
ここで、本実施形態の包装箱1には、側板13A,13Bと内フラップ21の間の稜部には破断線がない。そのため、操作部36の操作によって天板11、第1側板13A,13B、及び外フラップ22が平坦に展開されることはない。よって、前述のように操作部36を操作すると、天板11、第1側板13A、及び第1外フラップ22Aが立体状態を維持したまま、第1破断線31及び第3破断線33の順で第1側板13Aが破断されるとともに、第2破断線32及び第4破断線34の順で第1内フラップ21Aと第1外フラップ22Aが破断され、折曲線35Aに沿って天板11が折り曲げられる。
【0056】
具体的には、図4に示すように、第1破断線31に沿って第1側板13Aが破断されるとともに、第2破断線32に沿って第1内フラップ21Aが破断される。この際、操作部36の天板11側に設けた補助折曲線40に沿って第1側板13Aが山折れするため、第1破断線31に沿った第1側板13Aの破断を促進できるとともに、第1側板13Aに連なる第1内フラップ21Aへの操作力の伝達性を向上できる。
【0057】
第1側板13Aの破断が第3破断線33の形成位置まで進むと、操作部36の操作方向に延びる第3破断線33に沿って第1側板13が破断される。一方、第2破断線32に沿った第1内フラップ21Aの破断が完了すると、操作部36の操作方向に延びる第4破断線34に沿って第1外フラップ22Aが破断される。また、折曲線35Aに沿って天板11が谷折れする。
【0058】
このように、角部30Aが立体状態のまま操作されるため、隣り合う第1側板13Aと第1内フラップ21Aそれぞれの破断線31,33に力が伝わり易い。また、シート状の側板、内フラップ、及び外フラップを破断線に沿って個別に破断する場合と比較して、破断線31,33の延び方向とは異なる向きに破断が進む(脱線する)ことを大幅に抑制できる。そのため、包装箱1の開封性を飛躍的に向上できるうえ、開封後の包装箱1の外観を向上できる。
【0059】
包装箱1を天板11側と底板12側に分離する場合、前述した角部30Aの開封と同様にして、残りの角部30B~30Dも開封する。これにより、図5に示すように、包装箱1の4つの角部30A~30Dを全て開封できる。その結果、図6に示すように、物品が収容された底板12側から天板11側を分離できる。
【0060】
このように構成した包装箱1は、以下の特徴を有する。
【0061】
側板13A,13Bと内フラップ21の間の稜部に破断線がないため、角部30A~30Dが立体状態を維持したまま、第1破断線31及び第3破断線33の順で側板13A,13Bを破断できるとともに、第2破断線32及び第4破断線34の順で内フラップ21と外フラップ22を破断できる。また、隣り合う側板13A,13Bと内フラップ21それぞれの破断線31,33に力が伝わり易い。よって、破断線31,33の延び方向とは異なる向きに破断が進む(脱線する)ことを大幅に抑制できる。そのため、包装箱1の開封性を飛躍的に向上できるうえ、開封後の包装箱1の外観を向上できる。また、折り返した角部上に物品を配置し、陳列販売に用いることもできる。
【0062】
しかも、一方の手で操作部36を操作する際、天板11のうち4本の折曲線35A~35Dで囲まれた領域を他方の手で押さえることができる。よって、内部に収容された物品が軽量であっても、操作部36の操作によって包装箱1が持ち上がることはなく、第1破断線31に沿って側板13A,13Bを破断できるとともに、第3破断線33に沿って内フラップ21を破断できる。また、本実施形態のように、高さが低くて側板13A,13Bが長細い直方体状の包装箱1であっても、第1破断線31の延び方向とは異なる向きに破断が進むことなく、第1破断線31に沿って側板13A,13Bを確実に破断できる。
【0063】
一対の側板13A,13Bに第1破断線31と第3破断線33がそれぞれ設けられ、全ての内フラップ21に第2破断線32が設けられ、天板11に連なる外フラップ22A,22Bに第4破断線34が設けられているため、4つの角部30A~30Dを希望に応じて開封できる。よって、包装箱1内の物品の取出性を飛躍的に向上できる。
【0064】
側板13A,13Bに開封操作部36が設けられているため、第1破断線31に沿った側板13A,13Bの破断を起点とし、包装箱1の角部30A~30Dを容易に開封できる。
【0065】
開封操作部36の天板11側には一対の補助折曲線40が設けられている。これにより、開封操作部36の操作によって側板13A,13Bが折れ曲がるため、第1破断線31に沿った側板13A,13Bの破断、及び第2破断線32に沿った内フラップ21の破断を確実に行うことができる。
【0066】
以下、本発明の他の実施形態並びに種々の変形例を説明するが、これらの説明において、特に言及しない点は第1実施形態と同様である。以下で言及する図面において、第1実施形態と同一の要素には同一の符号を付している。
【0067】
(第2実施形態)
図7は第2実施形態の包装箱1を示す。第2実施形態の包装箱1では、長さ方向Yの一方側の角部30A,30Bを部分的に開放可能とし、長さ方向Yの他方側の角部30C,30Dは角部30A,30Bと一体に分離可能とした点で、第1実施形態の包装箱1と相違する。つまり、角部30A,30Bを単独で開放可能とし、角部30C,30Dは単独では開封できない構成としている。
【0068】
図7及び図8を参照すると、第1破断線31と第3破断線33は、第1実施形態と同様に側板13A,13Bにそれぞれ設けられている。操作部36と補助折曲線40は、側板13A,13Bのうち、角部30A,30Bを有する第1端13a側だけに設けられ、第2端13b側には設けられていない。第2破断線32は、4つの内フラップ21にそれぞれ設けられている。第4破断線34は、天板11の第1端11aに連なる第1外フラップ22Aだけに設けられ、他の外フラップ22には設けられていない。天板11には、角部30A,30Bと対向する折曲線35A,35Bが設けられ、角部30C,30Dと対向する折曲線は設けられてない。
【0069】
第2実施形態の天板11には更に、長さ方向Yの中央に幅方向Xへ延びる折曲線45が設けられている。折曲線45は、逆罫線からなり、第1の折曲線35Aの第1側板13A側の端と、第2の折曲線35Bの第2側板13B側の端との間に設けられている。より具体的には、折曲線45は、折曲線35Aの延長線及び第1側板13Aの第3破断線33の延長線の交点と、折曲線35Bの延長線及び第2側板13Bの第3破断線33の延長線の交点との間に設けられ、直線状に延びている。折曲線45の両端は、本実施形態では天板11と側板13A,13Bの間の折曲線16a上にそれぞれ配置されているが、折曲線16aに対して間隔をあけてそれぞれ配置されてもよい。
【0070】
このように構成した第2実施形態の包装箱1では、第1実施形態と同様に操作部36を操作することで、図9に示すように2つの角部30A,30Bを開封できるし、2つの角部30A,30Bのうちの一方だけを開封できる。よって、包装箱1内の物品の取出性を向上できる。
【0071】
また、図9に示す開封状態で、折曲線45に沿って天板11を谷折りすることで、図10に示すように、包装箱1のうち、長さ方向Yの一方側の半分を開封できる。よって、包装箱1内の物品の取出性を更に向上できる。
【0072】
また、図10に示す開封状態で、例えば天板11のうち折曲線45に沿って折り曲げた部分を持ち、高さ方向Zの上側かつ長さ方向Yの他方側へ操作することで、図11に示すように、側板13A,13Bの残りと内フラップ21C,21Dを、それぞれ第1破断線31と第2破断線32に沿って破断できる。これにより、包装箱1を天板11側と底板12側に分離できるため、物品の取出性を飛躍的に向上できる。
【0073】
(第3実施形態)
図12は第3実施形態の包装箱1を示す。第3実施形態の包装箱1では、第1側板13と第1外フラップ22によって画定された角部30Aだけを開放可能とし、他の角部30B~30Dは開封不可能とした点で、第1実施形態の包装箱1と相違する。
【0074】
図12及び図13を参照すると、第1破断線31は、第1側板13Aだけに設けられ、第2側板13Bには設けられていない。第1破断線31は、第1側板13の第1端13aから第2端13bに向けて延びている。第1破断線31の第2端13b側の端は、第2端13b(折曲線23a)とは間隔をあけて配置されている。
【0075】
第2破断線32は、第1側板13Aの第1端13aに連なる第1内フラップ21Aだけに設けられ、その他の内フラップ21B~21Dには設けられていない。
【0076】
第3破断線33は、第1側板13Aだけに設けられ、第2側板13Bには設けられていない。第3破断線33は、第1破断線31のうち第1側板13の第2端13b側の端に連なり、天板11に向けて高さ方向Zへ延びている。第3破断線33は、概ね第1側板13Aを長さ方向Yに三等分したときの中央領域のうち、中央よりも第1側板13の第2端13b側へ片寄った位置、つまり第1内フラップ21A(角部30A)から離れた位置に形成されている。
【0077】
第4破断線34は、第1外フラップ22Aだけに設けられ、第2外フラップ22Bには設けられていない。勿論、第4破断線34は、底板12に連なる外フラップ22にも設けられていない。第4破断線34は、第1外フラップ22Aのうち、幅方向Xに対向する内フラップ21A,21B間、かつ、幅方向Xの中央よりも第2内フラップ21B側に設けられている。つまり第4破断線34は、第1内フラップ21A(角部30A)から離れた位置に形成されている。
【0078】
天板11には、第1の角部30Aと対向する折曲線35Aは設けられているが、他の角部30B~30Dに対向する折曲線は設けられていない。折曲線35Aの一端は、第1側板13Aの第3破断線33の上端33bに隣接し、折曲線35Aの他端は、第1外フラップ22Aの第4破断線34の上端34bに隣接している。折曲線35Aの両端は、本実施形態ではそれぞれ折曲線16a,24a上に配置されているが、それぞれ折曲線16a,24aに対して間隔をあけて配置されてもよい。
【0079】
操作部36は、第1側板13Aのうち、長さ方向Yの中央よりも第1端13a側だけに設けられ、第2端13b側及び第2側板13Bには設けられていない。
【0080】
このように構成した第3実施形態の包装箱1では、他の実施形態の包装箱1のように、天板11側と底板12側に分離することはできない。しかし、角部30Aだけを開封可能とするため、第3破断線33と第4破断線34は、角部30Aから離れた位置に形成できる。そのため、図14に示すように、角部30Aの開封面積を大きく確保できる。よって、包装箱1内の物品の取出性を向上できる。
【0081】
なお、第3実施形態の包装箱1については、第3破断線33を折曲部23上に設けてもよい。このようにすれば、角部30Aの開口面積を最大限に拡張できる。
【0082】
(第4実施形態)
図15は第4実施形態の包装箱1を示す。この第4実施形態の包装箱1は、第1実施形態の包装箱1と同様に全ての角部30A~30Dを開封可能としているが、第3破断線33の形成位置を変更し、長さ方向Yのうちの一方側の角部30A,30Bと他方側の角部30C,30Dとで、開封面積が異なるようにした点で、第1実施形態の包装箱1と相違する。
【0083】
図15及び図16を参照すると、第1破断線31は、一対の側板13A,13Bにそれぞれ設けられている。本実施形態の第1破断線31は、湾曲部31aを備えておらず、側板13A,13Bの第1端13aから第2端13Bまで直線状に設けられている。
【0084】
第3破断線33は、側板13A,13Bの両方に設けられている。但し、第4実施形態の第3破断線33は、第3実施形態と同様に、概ね側板13A,13Bを長さ方向Yに三等分したときの中央領域のうち、中央よりも第2端13b側へ片寄った位置、つまり内フラップ21A,21B(角部30A,30B)から離れた位置に形成されている。
【0085】
第2破断線32と第4破断線34については、第1実施形態と同様に設けられている。つまり、第2破断線32は、内フラップ21A~21Dにそれぞれ設けられ、第4破断線34は、外フラップ22A,22Bの幅方向Xの中央にそれぞれ設けられている。
【0086】
天板11には、角部30A~30Dと対向する折曲線35A~35Dがそれぞれ設けられている。但し、折曲線35A,35Bと折曲線35C,35Dは、天板11の幅方向Xの中央を通り長さ方向Yに延びる基準線(図示せず)に対して異なる傾斜角度で傾斜しており、全体として凧形状を呈している。具体的には、第1の折曲線35Aは、第1側板13Aの第3破断線33の上端33bと第1外フラップ22Aの第4破断線34の上端34bとの間に設けられている。第2の折曲線35Bは、第2側板13Bの第3破断線33の上端33bと第1外フラップ22Aの第4破断線34の上端34bとの間に設けられている。第3の折曲線35Cは、第1側板13Aの第3破断線33の上端33bと第2外フラップ22Bの第4破断線34の上端34bとの間に設けられている。第4の折曲線35Dは、第2側板13Bの第3破断線33の上端33bと第2外フラップ22Bの第4破断線34の上端34bとの間に設けられている。
【0087】
操作部36は、側板13A,13Bのうち、第1端13aと第3破断線33の間と第2端13bと第3破断線33の間に、それぞれ設けられている。これにより、第2端13bと第3破断線33の間の操作部36、つまり長さ方向Yの他方側の操作部36は、側板13A,13Bの第2端13b側の片寄った位置に形成されている。また、本実施形態の操作部36の天板11側には、補助折曲線は設けられていない。
【0088】
このように構成した第4実施形態の包装箱1では、基本的に第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。しかも、第4実施形態の包装箱1では、第3破断線33を角部30A,30Bから離れた位置に形成している。そのため、図17に示すように、角部30A,30Bの開封面積を大きく確保できる。逆に、角部30C,30Dの開封面積を小さくできる。よって、角部30A又は30Bを開封した場合、1度に複数の物品を取り出すことができ、角部30C又は30Dを開封した場合、物品を1個ずつ取り出すことができる。このように、使用者の希望に応じて開封面積を選択できるため、使用者の利便性を向上できる。
【0089】
(第5実施形態)
図18は第5実施形態の包装箱1を示す。この第5実施形態の包装箱1は、操作部36を外フラップ22A,22Bに設けた点でのみ、第1実施形態の包装箱1と相違する。なお、第2実施形態から第4実施形態の包装箱1についても、操作部36を外フラップ22A,22Bに形成してもよい。
【0090】
図18及び図19を参照すると、操作部36は、4つの角部30A~30Dをそれぞれ開封するために、天板11に連なる外フラップ22A,22Bにそれぞれ一対設けられている。具体的には、操作部36は、外フラップ22A,22Bのうち、幅方向Xの一側(第1側板13A側)と第4破断線34の間、及び幅方向Xの他側(第2側板13B側)と第4破断線34の間に、それぞれ設けられている。また、操作部36は、外フラップ22A,22Bのうち、天板11から最も離れた先端に設けられている。操作部36は、X方向に延びる折曲部37と、折曲部37の両端に連なる一対の第1破断部38とによって画定されている。
【0091】
但し、操作部36は、外フラップ22A,22Bのうち高さ方向Zの中央領域に第1実施形態と同様に設けられてもよい。また、操作部36は、打ち抜きによって形成された開口部であってもよい。また、操作部36の天板11側には、本実施形態では補助折曲線が設けられていないが、第1実施形態と同様に補助折曲線を設けてもよい。
【0092】
このように構成した第5実施形態の包装箱1では、操作部36の操作によって第1実施形態と同様の作用及び効果を得ることができる。
【0093】
(第6実施形態)
図21は第6実施形態の包装箱1を示す。この第6実施形態の包装箱1は、天板11に形成する折曲線35A~35Dに、破断線としての機能を兼ね備えさせた点で、第1実施形態の包装箱1と相違する。なお、第2実施形態から第5実施形態の包装箱1についても、天板11に形成する折曲線に破断線としての機能を兼ね備えさせてもよい。
【0094】
図21及び図22を参照すると、折曲線35A~35Dは、ミシン目状をなすように破断可能な間隔をあけて設けた複数の切断線によって構成されている。
【0095】
このように構成した第6実施形態の包装箱1では、例えば図4に示す第1実施形態と同様に、角部30Aを開封した後、折曲線35Aに沿って天板11を破断することで、図23に示すように角部30Aを分離できる。よって、包装箱1内の物品の取出性を更に向上できる。また、4つの角部30A~30Dのうち、幅方向X又は長さ方向Yに隣り合う2つを開封するとともに、折曲線35A~35Dで囲まれた部分を分離することで、一部のみを閉鎖したトレイ状に開封することもできるため、使用者の利便性を向上できる。
【0096】
なお、本発明は、前記実施形態の構成に限定されず、種々の変更が可能である。
【0097】
例えば、破断線31~34の構成、第6実施形態に示す破断線として機能する折曲線35の構成は、対象部分を破断可能であれば、必要に応じて変更が可能である。
【0098】
4種の破断線31~34と1種の折曲線35によって画定される開封部は、4つの角部30A~30Dのうち、第3実施形態に示すように1つに設けられてもよいし、第2実施形態に示すように2つに設けられてもよし、3つに設けられてもよい。また、4つの角部30A~30Dのうちの2つに設ける場合でも、第2実施形態のように長さ方向Yの一方側のみに設ける構成に限られず、幅方向Xの一方側のみに設けられてもよいし、対角に設けられてもよい。
【0099】
第2実施形態に示す折曲線45を、第1実施形態、第4実施形態、第5実施形態、及び第6実施形態の包装箱1に設けてもよい。第6実施形態の包装箱1に折曲線45を設ける場合、折曲線45に破断線としての機能を兼ね備えさせてもよい。
【0100】
包装箱1は、紙製段ボールシートに限らず、単層の厚紙によって形成されてもよい。
【0101】
包装箱1の外周壁10は、四角筒状に限られず、八角筒状であってもよい。つまり、側板13A,13Bは、面取り板を介して天板11と底板12にそれぞれ連なっていてもよい。
【符号の説明】
【0102】
1 包装箱
10 外周壁
11 天板
11a 第1端
11b 第2端
12 底板
13A,13B 側板
13a 第1端
13b 第2端
14 側板本体
15 付代部
16 折曲部
16a 折曲線
17 折曲部
17a 折曲線
20 蓋部
21 内フラップ
21A 第1内フラップ
21B 第2内フラップ
21C 第3内フラップ
21D 第4内フラップ
21a 切欠部
22 外フラップ
22A 第1外フラップ
22B 第2外フラップ
23 折曲部
23a 折曲線
24 折曲部
24a 折曲線
30A~30D 角部
31 第1破断線
31a 湾曲部
32 第2破断線
32a 第1切断線
32b 第2切断線
33 第3破断線
33a 下端
33b 上端
34 第4破断線
34a 下端
34b 上端
35A 折曲線(第1折曲線)
35B 折曲線(第2折曲線)
35C,35D 折曲線(第3折曲線)
36 開封操作部
37 折曲部
38 第1破断部
39 第2破断部
40 補助折曲線
45 折曲線
X 幅方向(第1方向)
Y 長さ方向(第2方向)
Z 高さ方向(第3方向)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23