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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037161
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】インクジェット記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
B41J2/01 129
B41J2/01 305
B41J2/01 209
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143731
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000107907
【氏名又は名称】セーレン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100135448
【弁理士】
【氏名又は名称】北川 泰隆
(72)【発明者】
【氏名】北嶋 廣視
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA05
2C056EA08
2C056EA12
2C056FA13
2C056FD20
2C056HA44
(57)【要約】
【課題】記録媒体に柄を高品質に記録することができるインクジェット記録装置を提供する。
【解決手段】複数のインクジェットヘッドは、第一方向の第一側から第二側に順次設けられる。発生機は、インクを記録媒体に定着させるエネルギーを発する。搬送機は、複数のインクジェットヘッド及び発生機に対して記録媒体を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる。ライン型の第一インクジェットヘッドは、複数の第一ノズルから第一色の第一インクを吐出する。ライン型の第二インクジェットヘッドは、複数の第二ノズルから第一インクを吐出する。発生機の第一発生機は、第一インクを記録媒体に定着させるエネルギーを発する。第一インクジェットヘッド及び第二インクジェットヘッドは、第一方向の第一側から第二側にこの順で設けられる。第一発生機は、第一インクジェットヘッドの第一方向の第二側で且つ第二インクジェットヘッドの第一方向の第一側に設けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第一方向の第一側から第二側に順次設けられる複数のインクジェットヘッドと、
インクを記録媒体に定着させるエネルギーを発する発生機と、
前記複数のインクジェットヘッド及び前記発生機に対して前記記録媒体を前記第一方向の第一側から第二側に相対移動させる搬送機と、を備え、
前記複数のインクジェットヘッドは、
前記第一方向に直交する第二方向に配置された複数の第一ノズルから第一色の第一インクを吐出する、ライン型の第一インクジェットヘッドと、
前記第二方向に配置された複数の第二ノズルから前記第一インクを吐出する、ライン型の第二インクジェットヘッドと、を含み、
前記発生機は、前記複数の第一ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第一インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第一発生機を含み、
前記第一インクジェットヘッド及び前記第二インクジェットヘッドは、前記第一方向の第一側から第二側に前記第一インクジェットヘッド及び前記第二インクジェットヘッドの順で設けられ、
前記第一発生機は、前記第一インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側で且つ前記第二インクジェットヘッドの前記第一方向の第一側に設けられる、インクジェット記録装置。
【請求項2】
複数の前記発生機を備え、
前記複数のインクジェットヘッドは、前記第二方向に配置された複数の第三ノズルから第二色の第二インクを吐出する、ライン型の第三インクジェットヘッドを含み、
前記複数の発生機は、
前記複数の第二ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第一インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第二発生機と、
前記複数の第三ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第二インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第三発生機と、を含み、
前記第一インクジェットヘッド、前記第二インクジェットヘッド及び前記第三インクジェットヘッドは、前記第一方向の第一側から第二側に前記第一インクジェットヘッド、前記第二インクジェットヘッド及び前記第三インクジェットヘッドの順で設けられ、
前記第二発生機は、前記第二インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側で且つ前記第三インクジェットヘッドの前記第一方向の第一側に設けられ、
前記第三発生機は、前記第三インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側に設けられる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項3】
複数の前記発生機を備え、
前記複数のインクジェットヘッドは、前記第二方向に配置された複数の第三ノズルから第二色の第二インクを吐出する、ライン型の第三インクジェットヘッドを含み、
前記複数の発生機は、
前記複数の第二ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第一インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第二発生機と、
前記複数の第三ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第二インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第三発生機と、を含み、
前記第一インクジェットヘッド、前記第二インクジェットヘッド及び前記第三インクジェットヘッドは、前記第一方向の第一側から第二側に前記第三インクジェットヘッド、前記第一インクジェットヘッド及び前記第二インクジェットヘッドの順で設けられ、
前記第二発生機は、前記第二インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側に設けられ、
前記第三発生機は、前記第三インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側で且つ前記第一インクジェットヘッドの前記第一方向の第一側に設けられる、請求項1に記載のインクジェット記録装置。
【請求項4】
前記第一インクジェットヘッドは、前記複数の第一ノズルから前記第一インクとしてブラックのインクを吐出し、
前記第二インクジェットヘッドは、前記複数の第二ノズルから前記第一インクとしてブラックのインクを吐出する、請求項1から請求項3の何れか1項に記載のインクジェット記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ライン型のインクジェットヘッドを備えるインクジェット記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
インクジェット記録装置に関する技術が提案されている。例えば、特許文献1は、画像記録装置を開示する。画像記録装置としてのインクジェット記録装置は、複数の印字ヘッドと、ヘッドドライバと、搬送部と、定着手段とを有する。印字ヘッドは、インクの色毎に設けられる。ヘッドドライバは、印字ヘッドの駆動制御を行う。搬送部は、給紙部から記録紙を印字ヘッドへ搬送する。定着手段は、記録紙上に吐出されたインクを定着させる。定着手段は、複数の印字ヘッドのそれぞれの後段に設置される。定着手段は、インクの滲み及び混色を防止する。インクジェット記録装置は、相対搬送速度、インク吐出量及び定着エネルギーのうち少なくとも1つを可変制御する。インクジェット記録装置は、記録紙に着弾したインクの滲みを防止して高品質の画像記録を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第3903073号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
インクジェット記録装置が複数のライン型のインクジェットヘッドを備える場合、複数のライン型のインクジェットヘッドは、第一方向の第一側から第二側に順次設けられる。ライン型のインクジェットヘッドは、第二方向に配置された複数のノズルを含む。第二方向は、第一方向に直交する。インクジェット記録装置は、記録媒体への柄の記録時、複数のライン型のインクジェットヘッドに対して記録媒体を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる。この相対移動は、連続的に行うことができる。
【0005】
記録媒体に記録される柄が第一色で着色された領域を含むとする。この領域は、第一方向に沿った第一色のドット列を第二方向に複数列含む。1列のドット列は、第一色のインクを第一方向に続けて着弾させて形成される。即ち、1列のドット列は、第一方向に沿って配置された複数の第一色のインクドットによって形成される。
【0006】
インクジェットヘッド及び記録媒体を第一方向に相対移動させて柄を記録する場合、インクは、記録媒体に着弾後、第一方向に滲むことがある。第一方向に沿って配置された複数の第一色のインクドットは、このような滲みの発生によって第一方向に繋がることがある。これに対して、発明者は、第二方向に隣り合う第一色のインクドットが記録媒体への着弾後のインクの滲みによって第二方向に繋がらない又は繋がり難いことを知っている。即ち、第二方向に隣り合うドット列間には、第一方向に沿った隙間が生じることがある。発明者は、第一方向に沿って配置された複数の第一色のインクドットが第一方向に繋がった場合、この隙間は第一方向に沿った縞又は筋として視認され易いことを知っている。特に、この隙間は、ブラックのインクで着色された領域において視認され易い。この隙間は、柄の記録品質の低下の原因となる。
【0007】
本発明は、記録媒体に柄を高品質に記録することができるインクジェット記録装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の一側面は、第一方向の第一側から第二側に順次設けられる複数のインクジェットヘッドと、インクを記録媒体に定着させるエネルギーを発する発生機と、前記複数のインクジェットヘッド及び前記発生機に対して前記記録媒体を前記第一方向の第一側から第二側に相対移動させる搬送機と、を備え、前記複数のインクジェットヘッドは、前記第一方向に直交する第二方向に配置された複数の第一ノズルから第一色の第一インクを吐出する、ライン型の第一インクジェットヘッドと、前記第二方向に配置された複数の第二ノズルから前記第一インクを吐出する、ライン型の第二インクジェットヘッドと、を含み、前記発生機は、前記複数の第一ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第一インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第一発生機を含み、前記第一インクジェットヘッド及び前記第二インクジェットヘッドは、前記第一方向の第一側から第二側に前記第一インクジェットヘッド及び前記第二インクジェットヘッドの順で設けられ、前記第一発生機は、前記第一インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側で且つ前記第二インクジェットヘッドの前記第一方向の第一側に設けられる、インクジェット記録装置である。
【0009】
このインクジェット記録装置によれば、第一手順、第二手順及び第三手順を実行することができる。第一手順は第一インクジェットヘッドによる動作であり、第二手順は第一発生機による動作であり、第三手順は第二インクジェットヘッドによる動作である。搬送機は、第一手順、第二手順及び第三手順の実行時、第一インクジェットヘッド、第一発生機及び第二インクジェットヘッドに対して記録媒体を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる。第一手順で第一インクジェットヘッドは、第一方向及び第二方向の両方向に一定間隔で間引いた状態で複数の第一ノズルから第一色のインクを吐出する。第二手順で第一発生機は、複数の第一ノズルから吐出された第一色のインクを記録媒体に定着させるエネルギーを発する。これに伴い、第一色のインクは、着弾直後に記録媒体に定着する。第三手順で第二インクジェットヘッドは、複数の第二ノズルのうち、第二方向の位置が第一手順で間引かれた位置に配置された第二ノズルから第一色のインクを吐出する。
【0010】
第一手順及び第三手順によって、複数の第一色のインクを第一方向及び第二方向の両方向に続けて着弾させ、複数の第一色のインクドットを第一方向及び第二方向の両方向に続けて配置することができる。第二手順によって、第一手順の複数の第一色のインクが第一方向に滲むことを抑制することができる。更に、第二手順によって、第一手順の複数の第一色のインクが第二方向に滲むことを抑制することができる。
【0011】
インクジェット記録装置は、複数の前記発生機を備え、前記複数のインクジェットヘッドは、前記第二方向に配置された複数の第三ノズルから第二色の第二インクを吐出する、ライン型の第三インクジェットヘッドを含み、前記複数の発生機は、前記複数の第二ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第一インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第二発生機と、前記複数の第三ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第二インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第三発生機と、を含み、前記第一インクジェットヘッド、前記第二インクジェットヘッド及び前記第三インクジェットヘッドは、前記第一方向の第一側から第二側に前記第一インクジェットヘッド、前記第二インクジェットヘッド及び前記第三インクジェットヘッドの順で設けられ、前記第二発生機は、前記第二インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側で且つ前記第三インクジェットヘッドの前記第一方向の第一側に設けられ、前記第三発生機は、前記第三インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側に設けられる、ようにしてもよい。
【0012】
インクジェット記録装置は、複数の前記発生機を備え、前記複数のインクジェットヘッドは、前記第二方向に配置された複数の第三ノズルから第二色の第二インクを吐出する、ライン型の第三インクジェットヘッドを含み、前記複数の発生機は、前記複数の第二ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第一インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第二発生機と、前記複数の第三ノズルから吐出され前記記録媒体に着弾した前記第二インクを前記記録媒体に定着させるエネルギーを発する第三発生機と、を含み、前記第一インクジェットヘッド、前記第二インクジェットヘッド及び前記第三インクジェットヘッドは、前記第一方向の第一側から第二側に前記第三インクジェットヘッド、前記第一インクジェットヘッド及び前記第二インクジェットヘッドの順で設けられ、前記第二発生機は、前記第二インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側に設けられ、前記第三発生機は、前記第三インクジェットヘッドの前記第一方向の第二側で且つ前記第一インクジェットヘッドの前記第一方向の第一側に設けられる、ようにしてもよい。
【0013】
上述の構成によれば、第一色及び第二色の混色を抑制することができる。
【0014】
前記第一インクジェットヘッドは、前記複数の第一ノズルから前記第一インクとしてブラックのインクを吐出し、前記第二インクジェットヘッドは、前記複数の第二ノズルから前記第一インクとしてブラックのインクを吐出する、ようにしてもよい。
【0015】
この構成によれば、ブラックのインクで着色された領域の記録品質を向上することができる。ブラックは、柄の品質を決定する上で重要な要素の一つである。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、記録媒体に柄を高品質に記録することができるインクジェット記録装置を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】インクジェット記録装置の概略構成の一例を示す斜視図である。
図2】ライン型のインクジェットヘッド及び発生機の概略構成の一例を示す底面図である。ライン型のインクジェットヘッドの第二方向に配置された複数のノズル及び発生機のエネルギーの出力範囲を示す。
図3】ブラックの紫外線硬化型インクの吐出パターンの一例を示す図である。複数のノズルの第二方向の図示範囲は、記録媒体の第二方向の寸法に対応する。
図4】インクジェット記録装置の概略構成の他の例を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明を実施するための実施形態について、図面を用いて説明する。本発明は、以下に記載の構成に限定されるものではなく、同一の技術的思想において種々の構成を採用することができる。例えば、以下に示す構成の一部は、省略し又は他の構成に置換してもよい。本発明は、他の構成を含んでもよい。図面は、所定の構成を模式的に示す。各図面は、他の図面との対応が正確ではない場合もある。二点鎖線は、想像線である。
【0019】
<インクジェット記録装置10>
インクジェット記録装置10について、図1,2を参照して説明する。実施形態では、インクジェット記録装置10を特定する方向として、第一方向、第二方向及び第三方向を用いる。第二方向は、第一方向に直交する。第三方向は、第一方向及び第二方向の両方向に直交する。第一方向の一方側を「第一側」といい、第一方向の他方側を「第二側」という。第二方向の一方側を「第三側」といい、第二方向の他方側を「第四側」という。第三方向の一方側を「第五側」といい、第三方向の他方側を「第六側」という。実施形態では、第一方向及び第二方向を水平方向とし、第三方向を鉛直方向とし、第三方向の第五側を鉛直方向の上側とし、第三方向の第六側を鉛直方向の下側とする。
【0020】
インクジェット記録装置10は、各種の記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に搬送し、記録媒体90に柄を記録する(図1参照)。図1で記録媒体90の次の部分に付した模様は、記録媒体90に記録された柄に対応する。前述の部分は、記録媒体90のうち、後述するキャリッジ50より第一方向の第二側となる。実施形態では、記録媒体90として短尺の記録媒体を例示する。但し、記録媒体は、長尺であってもよい。
【0021】
記録媒体90の形態の例としては、フィルム、シート及びボードが挙げられる。記録媒体90は、単層体及び積層体の何れであってもよい。記録媒体90の材質の例としては、布帛、樹脂、木材及び金属が挙げられる。記録媒体90は、単一材及び複合材の何れであってもよい。記録媒体90の用途の例としては、建築用資材及び車両用内装材が挙げられる。
【0022】
インクジェット記録装置10は、柄の記録に紫外線硬化型インクを用いる。実施形態では、インク色は、ブラック、シアン、マゼンタ及びイエローの4色とする。インクジェット記録装置10は、記録媒体90にフルカラーの柄を記録することができる。但し、インクジェット記録装置10は、柄の記録にブラック、シアン、マゼンタ及びイエローとは異なる色の紫外線硬化型インクを用いてもよい。前述の4色とは異なる色の例としては、ライトシアン、ライトマゼンタ、ライトイエロー及びクリアが挙げられる。インク色数は、3色以下又は5色以上としてもよい。
【0023】
インクジェット記録装置10は、複数のインクジェットヘッド20と、複数の発生機40と、キャリッジ50と、搬送機60とを備える(図1参照)。インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド20と同数の発生機40を備える。実施形態では、インクジェット記録装置10は、5個のインクジェットヘッド20と、5個の発生機40とを備える。5個のインクジェットヘッド20を区別する場合、「インクジェットヘッド21,22,23,24,25」という。インクジェットヘッド21,22,23,24,25を区別しない場合又はこれらを総称する場合、「インクジェットヘッド20」という。5個の発生機40を区別する場合、「発生機41,42,43,44,45」という。発生機41,42,43,44,45を区別しない場合又はこれらを総称する場合、「発生機40」という。インクジェットヘッド21,22,23,24,25は同様の構成を有し、発生機41,42,43,44,45は同様の構成を有する(図1,2参照)。
【0024】
インクジェットヘッド20は、ライン型のインクジェットヘッドである。インクジェットヘッド20は、第三方向の第六側の面で記録媒体90に対向する(図1参照)。インクジェットヘッド20は、第三方向の第六側の面に複数のノズル30を有する(図2参照)。複数のノズル30は、第二方向に配置される。複数のノズル30は、1列のノズル列を形成する。但し、このような複数のノズル30の配置は例示である。複数のノズル30は、図2とは異なる配置としてもよい。複数のノズル30の配置は、次の態様としてもよい。前述の態様では、ノズル列が2列設けられる。1列のノズル列は、1個のインクジェットヘッド20が有する複数のノズル30の半数を第二方向に配置して形成される。2列のノズル列は、第二方向に所定量だけずれた状態で第一方向に並んで設けられる。この場合、1個のインクジェットヘッド20で複数のノズル30は、千鳥状に配置される。
【0025】
実施形態では、インクジェットヘッド21のノズル30を「ノズル31」といい、インクジェットヘッド22のノズル30を「ノズル32」といい、インクジェットヘッド23のノズル30を「ノズル33」といい、インクジェットヘッド24のノズル30を「ノズル34」といい、インクジェットヘッド25のノズル30を「ノズル35」という。ノズル31,32,33,34,35を区別しない場合又はこれらを総称する場合、「ノズル30」という。
【0026】
インクジェットヘッド21,22,23,24,25は、第一方向の第一側から第二側に順次設けられる(図1,2参照)。インクジェットヘッド21,22,23,24,25の第一方向の順序は、次の通りとされる。インクジェットヘッド22は、インクジェットヘッド21の第一方向の第二側でインクジェットヘッド21の次に設けられる。インクジェットヘッド23は、インクジェットヘッド22の第一方向の第二側でインクジェットヘッド22の次に設けられる。インクジェットヘッド24は、インクジェットヘッド23の第一方向の第二側でインクジェットヘッド23の次に設けられる。インクジェットヘッド25は、インクジェットヘッド24の第一方向の第二側でインクジェットヘッド24の次に設けられる。即ち、インクジェットヘッド21,22,23,24,25は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21,22,23,24,25の順で設けられる。
【0027】
発生機41,42,43,44,45は、インクジェットヘッド21,22,23,24,25に対して次の態様で設けられる(図1,2参照)。即ち、発生機41は、インクジェットヘッド21の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド22の第一方向の第一側に設けられる。発生機42は、インクジェットヘッド22の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド23の第一方向の第一側に設けられる。発生機43は、インクジェットヘッド23の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド24の第一方向の第一側に設けられる。発生機44は、インクジェットヘッド24の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド25の第一方向の第一側に設けられる。発生機45は、インクジェットヘッド25の第一方向の第二側に設けられる。
【0028】
キャリッジ50には、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45が上述した順序で搭載される(図1,2参照)。即ち、キャリッジ50には、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45が第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22、発生機42、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25及び発生機45の順で設けられる。
【0029】
発生機40は、インクを記録媒体90に定着させるエネルギーを発する。実施形態では、インクジェット記録装置10は、柄の記録に紫外線硬化型インクを用いる。この場合、前述のエネルギーは、紫外線である。即ち、発生機40は、紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。記録媒体90に着弾した紫外線硬化型インクは、紫外線の照射に伴い記録媒体90上で硬化する。紫外線硬化型インクは、記録媒体90上でインクドットを形成する。実施形態では、柄の記録に用いる紫外線硬化型インクに対応させ、前述のエネルギーを紫外線とする。
【0030】
搬送機60は、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45に対して記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる。インクジェット記録装置10がライン型のインクジェットヘッド21,22,23,24,25を備える場合、この相対移動は一定の速度で連続的に行うことが好ましい。実施形態では、この相対移動の速度を「V」という。
【0031】
インクジェット記録装置10は、搬送機60として公知のベルトコンベアを採用する。搬送機60は、記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に移動させる。更に、搬送機60は、記録媒体90を第一方向に沿って移動する。但し、搬送機60は、ベルトコンベアでなくてもよい。搬送機60による相対移動経路は、第一方向に沿ってなくてもよい。搬送機60の型式及び搬送機60による相対移動経路は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0032】
インクジェット記録装置10では、記録媒体90は、搬送機60による第一方向の第一側から第二側への移動途中、インクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22、発生機42、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25及び発生機45を順次通過する。
【0033】
ライン型のインクジェットヘッド21は、第二方向に配置された複数のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出する。発生機41は、紫外線を発する。この紫外線は、複数のノズル31から吐出され記録媒体90に着弾したブラックの紫外線硬化型インクに照射され、ブラックの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させる。ブラックの紫外線硬化型インクは、記録媒体90上で硬化してブラックのインクドットを形成する。
【0034】
ライン型のインクジェットヘッド22は、第二方向に配置された複数のノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出する。発生機42は、紫外線を発する。この紫外線は、複数のノズル32から吐出され記録媒体90に着弾したブラックの紫外線硬化型インクに照射され、ブラックの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させる。ブラックの紫外線硬化型インクは、記録媒体90上で硬化してブラックのインクドットを形成する。
【0035】
ライン型のインクジェットヘッド23は、第二方向に配置された複数のノズル33からシアンの紫外線硬化型インクを吐出する。発生機43は、紫外線を発する。この紫外線は、複数のノズル33から吐出され記録媒体90に着弾したシアンの紫外線硬化型インクに照射され、シアンの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させる。シアンの紫外線硬化型インクは、記録媒体90上で硬化してシアンのインクドットを形成する。
【0036】
ライン型のインクジェットヘッド24は、第二方向に配置された複数のノズル34からマゼンタの紫外線硬化型インクを吐出する。発生機44は、紫外線を発する。この紫外線は、複数のノズル34から吐出され記録媒体90に着弾したマゼンタの紫外線硬化型インクに照射され、マゼンタの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させる。マゼンタの紫外線硬化型インクは、記録媒体90上で硬化してマゼンタのインクドットを形成する。
【0037】
ライン型のインクジェットヘッド25は、第二方向に配置された複数のノズル35からイエローの紫外線硬化型インクを吐出する。発生機45は、紫外線を発する。この紫外線は、複数のノズル35から吐出され記録媒体90に着弾したイエローの紫外線硬化型インクに照射され、イエローの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させる。イエローの紫外線硬化型インクは、記録媒体90上で硬化してイエローのインクドットを形成する。
【0038】
一対のインクジェットヘッド20及び発生機40で第一寸法W1及び第二寸法W2の関係は、「W1>W2」とすることが好ましく(図2参照)、又は「W1≧W2」とすることが好ましい。一対のインクジェットヘッド20及び発生機40は、発生機40が第一方向の第二側となる状態で第一方向に隣り合う。インクジェット記録装置10は、一対のインクジェットヘッド20及び発生機40として、インクジェットヘッド21及び発生機41、インクジェットヘッド22及び発生機42、インクジェットヘッド23及び発生機43、インクジェットヘッド24及び発生機44、及びインクジェットヘッド25及び発生機45を含む。
【0039】
第一寸法W1は、発生機40がエネルギーとしての紫外線を発する出力範囲の第二方向の寸法である(図2参照)。発生機40は、第三方向の第六側の面に出力範囲を含み、この面で記録媒体90に対向する(図1,2参照)。図2では、発生機41,42,43,44,45の出力範囲に網点模様を付し、これらの出力範囲を明らかにする。第二寸法W2は、次のノズルAの第二方向の第三側端及び次のノズルBの第二方向の第四側端の間の寸法である(図2参照)。ノズルAは、1個のインクジェットヘッド20の複数のノズル30で最も第二方向の第三側に設けられる。ノズルBは、1個のインクジェットヘッド20の複数のノズル30で最も第二方向の第四側に設けられる。
【0040】
第一寸法W1を第二寸法W2以上に設定することで、発生機40は、紫外線硬化型インクが着弾し得る第二方向の最大範囲以上の範囲に紫外線を出力することができる。即ち、発生機40は、次の全ての紫外線硬化型インクに紫外線を照射することができる。前述の全ての紫外線硬化型インクは、この発生機40と対をなすインクジェットヘッド20から吐出され、記録媒体90に着弾する。第二寸法W2は、記録媒体90の第二方向の第三寸法W3より広くすることが好ましい。記録媒体90の第二方向の全体に柄を記録することができる。
【0041】
発生機41は、柄の記録時、連続的に紫外線を発してもよく、又は第一タイミングに応じた間隔で紫外線を発してもよい。第一タイミングは、インクジェットヘッド21及び発生機41に対して記録媒体90が第一方向の第一側から第二側に距離L1を相対移動するのに要する時間に応じて決定してもよい。距離L1は、インクジェットヘッド21及び発生機41の第一方向の間隔である(図2参照)。前述の時間は、「L1/V」となる。
【0042】
発生機42は、柄の記録時、連続的に紫外線を発してもよく、又は第二タイミングに応じた間隔で紫外線を発してもよい。第二タイミングは、インクジェットヘッド22及び発生機42に対して記録媒体90が第一方向の第一側から第二側に距離L2を相対移動するのに要する時間に応じて決定してもよい。距離L2は、インクジェットヘッド22及び発生機42の第一方向の間隔である(図2参照)。前述の時間は、「L2/V」となる。
【0043】
発生機43は、柄の記録時、連続的に紫外線を発してもよく、又は第三タイミングに応じた間隔で紫外線を発してもよい。第三タイミングは、インクジェットヘッド23及び発生機43に対して記録媒体90が第一方向の第一側から第二側に距離L3を相対移動するのに要する時間に応じて決定してもよい。距離L3は、インクジェットヘッド23及び発生機43の第一方向の間隔である(図2参照)。前述の時間は、「L3/V」となる。
【0044】
発生機44は、柄の記録時、連続的に紫外線を発してもよく、又は第四タイミングに応じた間隔で紫外線を発してもよい。第四タイミングは、インクジェットヘッド24及び発生機44に対して記録媒体90が第一方向の第一側から第二側に距離L4を相対移動するのに要する時間に応じて決定してもよい。距離L4は、インクジェットヘッド24及び発生機44の第一方向の間隔である(図2参照)。前述の時間は、「L4/V」となる。
【0045】
発生機45は、柄の記録時、連続的に紫外線を発してもよく、又は第五タイミングに応じた間隔で紫外線を発してもよい。第五タイミングは、インクジェットヘッド25及び発生機45に対して記録媒体90が第一方向の第一側から第二側に距離L5を相対移動するのに要する時間に応じて決定してもよい。距離L5は、インクジェットヘッド25及び発生機45の第一方向の間隔である(図2参照)。前述の時間は、「L5/V」となる。
【0046】
インクジェット記録装置10で距離L1,L2,L3,L4,L5は、同一値に設定される。距離L1,L2,L3,L4,L5に関し、インクジェットヘッド20の基準位置は複数のノズル30で最も第一方向の第二側に設けられるノズル30の第一方向の中心としてもよく、発生機40の基準位置は出力範囲の第一方向の中心としてもよい(図2参照)。実施形態では、複数のノズル30は、全てのインクジェットヘッド20で第二方向に1列で配置される。この場合、複数のノズル30の全てが前述した「最も第一方向の第二側に設けられるノズル30」に該当する。
【0047】
実施形態では、インクジェットヘッド20は紫外線硬化型インクを第三方向の第五側から第六側に吐出し、発生機40は紫外線を第三方向の第五側から第六側に発する。上記では説明を省略したが、インクジェット記録装置10は、複数のインクタンクと、複数のインク流路とを備える。例えば、インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド21,22,23,24,25に対応させて5個のインクタンク及び5本のインク流路を備える。この場合、1本のインク流路は、一端で1個のインクタンクと繋がり、他端で1個のインクジェットヘッド20と繋がる。このような1組のインクタンク、インク流路及びインクジェットヘッド20では、インクタンクはインク流路を介して接続されるインクジェットヘッド20から吐出される色の紫外線硬化型インクを貯留し、インク流路はインクタンクから流出した紫外線硬化型インクをインクジェットヘッド20に流す。即ち、1組のインクタンク、インク流路及びインクジェットヘッド20では、紫外線硬化型インクがインク流路を介してインクタンクからインクジェットヘッド20に供給される。
【0048】
インクタンクの数は、4個としてもよい。この場合、ブラックの紫外線硬化型インクを貯留するインクタンクの数が1個とされる。このインクタンクには、インクジェットヘッド21,22にそれぞれ繋がる2本のインク流路が繋がる。ブラックの紫外線硬化型インクは、2本のインク流路を介して1個のインクタンクからインクジェットヘッド21,22にそれぞれ供給される。この他、インクジェット記録装置10は、上述した各部の他、公知のインクジェット記録装置と同様の構成を備える。実施形態では、複数のインクタンク、複数のインク流路及び前述の構成の図示は省略されている。
【0049】
<実施形態の効果>
実施形態によれば、次のような効果を得ることができる。
【0050】
(1)インクジェット記録装置10は、複数のインクジェットヘッド20と、発生機40と、搬送機60とを備える(図1参照)。複数のインクジェットヘッド20は、第一方向の第一側から第二側に順次設けられる(図1,2参照)。発生機40は、紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。搬送機60は、複数のインクジェットヘッド20及び発生機40に対して記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる(図1参照)。
【0051】
複数のインクジェットヘッド20は、ライン型のインクジェットヘッド21,22を含む(図1,2参照)。インクジェットヘッド21は第二方向に配置された複数のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出し、インクジェットヘッド22は第二方向に配置された複数のノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出する(図2参照)。発生機40は、発生機41を含む(図1,2参照)。発生機41は、複数のノズル31から吐出され記録媒体90に着弾したブラックの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。
【0052】
インクジェットヘッド21,22は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21,22の順で設けられる(図1,2参照)。発生機41は、インクジェットヘッド21の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド22の第一方向の第一側に設けられる。
【0053】
インクジェット記録装置10によれば、第一手順、第二手順及び第三手順を実行することができる。第一手順は、インクジェットヘッド21による動作である。インクジェットヘッド21は、第一手順を次のノズル31を対象として実行する。前述のノズル31は、第二方向の位置が記録媒体90の第三寸法W3の範囲に含まれる(図2で第二方向の第三側から3~16番目に配置された「ノズル31」参照)。第二手順は、発生機41による動作である。第三手順は、インクジェットヘッド22による動作である。インクジェットヘッド22は、第三手順を次のノズル32を対象として実行する。前述のノズル32は、第二方向の位置が記録媒体90の第三寸法W3の範囲に含まれる(図2で第二方向の第三側から3~16番目に配置された「ノズル32」参照)。搬送機60は、第一手順、第二手順及び第三手順の実行時、インクジェットヘッド21、発生機41及びインクジェットヘッド22に対して記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる。
【0054】
第一手順でインクジェットヘッド21は、第一方向及び第二方向の両方向に一定間隔で間引いた状態で複数のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出する。例えば、インクジェットヘッド21は、次の態様でブラックの紫外線硬化型インクの吐出を繰り返す(図3参照)。前述の態様では、1回目の吐出でインクジェットヘッド21は、「○」の位置のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出し、「●」の位置のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出しない。2回目の吐出でインクジェットヘッド21は、「●」の位置のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出し、「○」の位置のノズル31からブラックの紫外線硬化型インクを吐出しない。3回目以降、インクジェットヘッド21は、1,2回目と同様の吐出及び不吐出とを順次繰り返す。
【0055】
第二手順で発生機41は、第一手順の各回の吐出で複数のノズル31から吐出されたブラックの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。これに伴い、ブラックの紫外線硬化型インクは、着弾直後に記録媒体90に定着する。
【0056】
第三手順でインクジェットヘッド22は、複数のノズル32のうち、第二方向の位置が第一手順で間引かれた位置に配置されたノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出する。例えば、上述した図3に基づく第一手順に基づくと、インクジェットヘッド22は、次の態様でブラックの紫外線硬化型インクの吐出を繰り返す。前述の態様では、1回目の吐出でインクジェットヘッド22は、「●」の位置のノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出し、「○」の位置のノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出しない。2回目の吐出でインクジェットヘッド22は、「○」の位置のノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出し、「●」の位置のノズル32からブラックの紫外線硬化型インクを吐出しない。3回目以降、インクジェットヘッド22は、1,2回目と同様の吐出及び不吐出を順次繰り返す。
【0057】
第一手順及び第三手順によって、複数のブラックの紫外線硬化型インクを第一方向及び第二方向の両方向に続けて着弾させ、複数のブラックのインクドットを第一方向及び第二方向の両方向に続けて配置することができる。第二手順によって、第一手順の複数のブラックの紫外線硬化型インクが第一方向に滲むことを抑制することができる。更に、第二手順によって、第一手順の複数のブラックの紫外線硬化型インクが第二方向に滲むことを抑制することができる。ブラックの紫外線硬化型インクで着色された領域の記録品質を向上することができる。ブラックは、柄の品質を決定する上で重要な要素の一つである。インクジェット記録装置10は、記録媒体90に柄を高品質に記録することができる。
【0058】
発明者は、次の状態は柄の記録品質を向上させる要素の一つであると考える。前述の状態では、複数のブラックのインクドットは第一方向に隣り合うインクドットと繋がらない。更に、前述の状態では、第一方向に沿って配置された複数のブラックのインクドットは第二方向に隣り合うインクドットと繋がらない。発明者は、このような状態又はこれに近い状態を実現することが好ましいと考える。
【0059】
(2)複数のインクジェットヘッド20は、インクジェットヘッド21,22に加え、ライン型のインクジェットヘッド23,24,25を含む(図1,2参照)。インクジェットヘッド23は第二方向に配置された複数のノズル33からシアンの紫外線硬化型インクを吐出し、インクジェットヘッド24は第二方向に配置された複数のノズル34からマゼンタの紫外線硬化型インクを吐出し、インクジェットヘッド25は第二方向に配置された複数のノズル35からイエローの紫外線硬化型インクを吐出する(図2参照)。
【0060】
インクジェット記録装置10は、複数の発生機40を備える(図1,2参照)。複数の発生機40は、発生機41に加え、発生機42,43,44,45を含む。発生機42は、複数のノズル32から吐出され記録媒体90に着弾したブラックの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。発生機43は、複数のノズル33から吐出され記録媒体90に着弾したシアンの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。発生機44は、複数のノズル34から吐出され記録媒体90に着弾したマゼンタの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。発生機45は、複数のノズル35から吐出され記録媒体90に着弾したイエローの紫外線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして紫外線を発する。
【0061】
インクジェットヘッド21,22,23,24,25は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21,22,23,24,25の順で設けられる(図1,2参照)。発生機42は、インクジェットヘッド22の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド23の第一方向の第一側に設けられる。発生機43は、インクジェットヘッド23の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド24の第一方向の第一側に設けられる。発生機44は、インクジェットヘッド24の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド25の第一方向の第一側に設けられる。発生機45は、インクジェットヘッド25の第一方向の第二側に設けられる。
【0062】
この構成によれば、ブラック及びシアンの混色を抑制することができる。シアン及びマゼンタの混色を抑制することができる。マゼンタ及びイエローの混色を抑制することができる。
【0063】
<変形例>
実施形態は、次のようにすることもできる。以下に示す変形例のうちの幾つかの構成は、適宜組み合わせて採用することもできる。以下では、上記とは異なる点を説明することとし、同様の点についての説明は適宜省略する。
【0064】
(1)インクジェット記録装置10は、柄の記録に紫外線硬化型インクを用いる。柄の記録に用いるインクは、紫外線硬化型インクでなくてもよい。インクジェット記録装置10は、柄の記録に公知のインクを用いることができる。例えば、インクジェット記録装置10は、柄の記録に電子線硬化型インクを用いてもよい。電子線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーは、電子線である。即ち、発生機40は、電子線硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして電子線を発する。記録媒体90に着弾した電子線硬化型インクは、電子線の照射に伴い記録媒体90上で硬化する。電子線硬化型インクは、記録媒体90上でインクドットを形成する。
【0065】
紫外線硬化型インク及び電子線硬化型インクは、総称して活性エネルギー硬化型インクと称される。この場合、活性エネルギー硬化型インクを記録媒体90に定着させるエネルギーは、活性化エネルギーと称される。
【0066】
この他、インクジェット記録装置10は、柄の記録に水性インク又は溶剤インクを用いてもよい。水性インク又は溶剤インクを記録媒体90に定着させるエネルギーの例としては、熱及び風が挙げられる。即ち、発生機40は、記録媒体90に着弾した水性インク又は溶剤インクを記録媒体90に定着させるエネルギーとして熱及び風の一方又は両方を発する。記録媒体90に着弾した水性インク又は溶剤インクは、加熱及び送風の一方又は両方に伴い記録媒体90上で乾燥する。水性インク又は溶剤インクは、記録媒体90上でインクドットを形成する。
【0067】
(2)インクジェットヘッド21,22で実行されるブラックの紫外線硬化型インクの吐出及び不吐出は、図3の吐出パターンとは異なる態様としてもよい。例えば、インクジェットヘッド21は、第一手順を次の態様で実行してもよい。前述の態様では、第一手順でインクジェットヘッド21は、1回目の吐出で図3に基づく第一手順の1回目と同様の吐出及び不吐出を実行し、2回目の吐出で図3に基づく第一手順の1回目と同様の吐出及び不吐出を実行し、3回目の吐出で図3に基づく第一手順の2回目と同様の吐出及び不吐出を実行し、4回目の吐出で図3に基づく第一手順の2回目と同様の吐出及び不吐出を実行する。5回目以降、インクジェットヘッド21は、1~4回目と同様の吐出及び不吐出を順次繰り返す。
【0068】
この場合、インクジェットヘッド22は、第二手順を次の態様で実行してもよい。前述の態様では、第二手順でインクジェットヘッド22は、1回目の吐出で図3に基づく第二手順の1回目と同様の吐出及び不吐出を実行し、2回目の吐出で図3に基づく第二手順の1回目と同様の吐出及び不吐出を実行し、3回目の吐出で図3に基づく第二手順の2回目と同様の吐出及び不吐出を実行し、4回目の吐出で図3に基づく第二手順の2回目と同様の吐出及び不吐出を実行する。5回目以降、インクジェットヘッド22は、1~4回目と同様の吐出及び不吐出を順次繰り返す。
【0069】
(3)搬送機60は、柄の記録時、記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に移動させる(図1参照)。これに伴い、搬送機60は、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45に対して記録媒体90を第一方向の第一側から第二側に相対移動させる。このような相対移動は、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45を第一方向の第二側から第一側に移動させて行うようにしてもよい。この場合、搬送機は、キャリッジ50を第一方向の第二側から第一側に移動させてもよい。搬送機は、載置台を含んでもよい。記録媒体90は、載置台に載せ置かれる。搬送機は、移動機と、ガイドとを備えてもよい。移動機は第二方向の第三側及び第四側の一方側でキャリッジ50を支持し、ガイドは第二方向の第三側及び第四側の他方側でキャリッジ50を支持する。移動機は、キャリッジ50を第一方向に移動させる駆動力を発生する。ガイドは、キャリッジ50の第一方向への移動をガイドする。移動機の例としては、リニアモータが挙げられる。この他、移動機は、ボールねじ及びモータの組み合わせであってもよい。ガイドの例としては、リニアガイドが挙げられる。この他、ガイドは、リニアブッシュ及びリニアシャフトの組み合わせであってもよい。搬送機の構造は、諸条件を考慮して適宜決定される。
【0070】
(4)インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22、発生機42、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25及び発生機45の順で設けられる(図1,2参照)。インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45の第一方向の順序は、図1,2とは異なるようにしてもよい。この説明では、上述の実施形態との対応を明らかにするため、各部に対する符号は上記同様とする。
【0071】
例えば、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22、発生機42、インクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25、発生機45、インクジェットヘッド23及び発生機43の順で設けられてもよく、又は第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22、発生機42、インクジェットヘッド25、発生機45、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド24及び発生機44の順で設けられてもよい。
【0072】
この他、インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25、発生機45、インクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22及び発生機42の順で設けられてもよく、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25、発生機45、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22及び発生機42の順で設けられてもよく(図4参照)、又は第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド25、発生機45、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22及び発生機42の順で設けられてもよい。
【0073】
インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45が第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド24、発生機44、インクジェットヘッド25、発生機45、インクジェットヘッド23、発生機43、インクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22及び発生機42の順で設けられるとする(図4参照)。この場合、インクジェットヘッド21,22,23,24,25は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド24,25,23,21,22の順で設けられる。発生機44は、インクジェットヘッド24の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド25の第一方向の第一側に設けられる。発生機45は、インクジェットヘッド25の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド23の第一方向の第一側に設けられる。発生機43は、インクジェットヘッド23の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド21の第一方向の第一側に設けられる。発生機41は、インクジェットヘッド21の第一方向の第二側で且つインクジェットヘッド22の第一方向の第一側に設けられる。発生機42は、インクジェットヘッド22の第一方向の第二側に設けられる。
【0074】
インクジェットヘッド21,22,23,24,25及び発生機41,42,43,44,45の第一方向の順序は、諸条件を考慮して適宜決定される。但し、インクジェットヘッド21,22及び発生機41,42は、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド21、発生機41、インクジェットヘッド22及び発生機42の順で設けられる。インクジェットヘッド23,24,25及び発生機43,44,45は、発生機42の第一方向の第二側又はインクジェットヘッド21の第一方向の第一側で、第一方向の第一側から第二側にインクジェットヘッド20及び発生機40の順で交互に設けられる。この場合、インクジェットヘッド20の第一方向の第二側には、このインクジェットヘッド20と対をなす発生機40が設けられる。
【0075】
(5)インクジェット記録装置10は、インクジェットヘッド21,22,23,24,25と、発生機41,42,43,44,45と、搬送機60とを備える(図1,2,4参照)。インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド23,24,25及び発生機42,43,44,45、又はインクジェットヘッド23,24,25及び発生機43,44,45を省略してもよい。インクジェット記録装置は、ブラックの紫外線硬化型インクを用いて記録媒体90に柄を記録する。インクジェットヘッド23,24,25及び発生機42,43,44,45が省略される場合、インクジェット記録装置は、複数のインクジェットヘッドとして2個のインクジェットヘッド21,22を備え、発生機として1個の発生機41を備える。インクジェットヘッド23,24,25及び発生機43,44,45が省略される場合、インクジェット記録装置は、複数のインクジェットヘッドとして2個のインクジェットヘッド21,22を備え、複数の発生機として2個の発生機41,42を備える。
【0076】
インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド23,24,25のうちの2個のインクジェットヘッドと、次の2個の発生機とを省略してもよい。前述の2個の発生機は、発生機43,44,45のうち、省略されるインクジェットヘッドと対をなす。例えば、インクジェットヘッド24,25及び発生機44,45が省略される場合、インクジェット記録装置は、ブラック及びシアンの紫外線硬化型インクを用いて記録媒体90に柄を記録する。インクジェットヘッド23,25及び発生機43,45が省略される場合、インクジェット記録装置は、ブラック及びマゼンタの紫外線硬化型インクを用いて記録媒体90に柄を記録する。インクジェットヘッド23,24及び発生機43,44が省略される場合、インクジェット記録装置は、ブラック及びイエローの紫外線硬化型インクを用いて記録媒体90に柄を記録する。この他、説明は省略するが、インクジェット記録装置は、インクジェットヘッド23,24,25のうちの1個のインクジェットヘッドと、この省略されるインクジェットヘッドと対をなす1個の発生機とを省略してもよい。
【0077】
インクジェットヘッド23,24,25の全部又は一部及び発生機42,43,44,45の全部又は一部を省略した上述のインクジェット記録装置は、インクジェット記録装置10(図1,4参照)と同様、搬送機60を備える。搬送機60は、複数のインクジェットヘッド及び1個又は複数の発生機に対して記録媒体90を相対移動させる。
【符号の説明】
【0078】
10 インクジェット記録装置
20,21,22,23,24,25 インクジェットヘッド
30,31,32,33,34,35,A,B ノズル
40,41,42,43,44,45 発生機、 50 キャリッジ、 60 搬送機
90 記録媒体、 L1,L2,L3,L4,L5 距離、 W1 第一寸法
W2 第二寸法、 W3 第三寸法
図1
図2
図3
図4