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  • 特開-IHコンロ用調理補助装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037172
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】IHコンロ用調理補助装置
(51)【国際特許分類】
   A47J 43/044 20060101AFI20230308BHJP
   H05B 6/12 20060101ALI20230308BHJP
   A47J 27/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A47J43/044
H05B6/12 314
H05B6/12 335
A47J27/00 103Z
A47J27/00 101E
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143751
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000100562
【氏名又は名称】アール・ビー・コントロールズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106105
【弁理士】
【氏名又は名称】打揚 洋次
(72)【発明者】
【氏名】荒木 洋一
【テーマコード(参考)】
3K151
4B053
4B055
【Fターム(参考)】
3K151AA05
3K151BA91
3K151CA61
3K151CA89
4B053AA01
4B053BA11
4B053BB01
4B053BJ12
4B053BL20
4B055AA50
4B055CD02
4B055CD59
(57)【要約】      (修正有)
【課題】調理器具内の被調理物の対流を促すことができるIHコンロ用調理補助装置を提供すること。
【解決手段】補助装置4には上部筒状部42と下部筒状部43が設けられており、上部筒状部42が調理器具2の内側に位置するように係合され、下部筒状部43が被調理物3内に没する。下部筒状部43には回転翼50が内蔵されており、回転翼50は上部筒状部42内の電動モータ5によって回転される。また、下部筒状部43内には温度センサ6が設けられており、循環する被調理物3の温度を検知し、検知された温度信号はコネクタ61に伝達され、電動モータ5を駆動する電力はコネクタ51を介して供給される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部分が磁性体で形成された鍋などの調理器具の上記底部分に対して交番する磁力線を作用させ、底部分を発熱させることによって調理器具内の液状の被調理物を加熱するIHコンロに用いられ、この被調理物を撹拌することによって調理器具内での被調理物の対流を促すIHコンロ用調理補助装置において、上記調理器具の周壁上縁部分に係合する筒状の本体を備え、この本体が上記周壁の内側に位置するように周壁上縁部分に係合された状態で、本体の下端部が上記被調理物中に没するように形成されると共に、上記調理器具の回部から有線によって供給される電力によって回転する回転翼が上記本体の下端部内に収納され、この回転翼が回転すると調理器具内の被調理物を吸引して吐出することによって被調理物の対流を促すことを特徴とするIHコンロ用調理補助装置。
【請求項2】
上記電力を供給する有線の先端はIHコンロ本体に対して着脱自在に係合して、IHコンロ本体からこの有線を介して電力が供給されることを特徴とする請求項1に記載のIHコンロ用調理補助装置。
【請求項3】
上記筒状の本体の下端部には温度センサが配設されており、この温度センサによって検知される被調理物の温度はIHコンロ本体に送信され、IHコンロによる上記磁力線の制御に用いられることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のIHコンロ用調理補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調理器具内の液状の被調理物を加熱する際に被調理物の対流を促すことによって被調理物を均一に加熱するIHコンロ用調理補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
天板の下側に誘導コイルを配置し、この誘導コイルに対して20kHzから90kHz程度の中間周波数の交流電力を供給し、この誘導コイルが発生させる交番磁界によって調理器具の主に底部分を発熱させるIHコンロが知られている。
【0003】
調理器具の少なくとも底部分は磁性体で形成されており、上記誘導コイルで発生した磁力線はこの底部分内を通過する際に、磁力線の回りに渦電流を誘導させる。この誘導された渦電流は調理器具の底部分内を流れる際にジュール熱を発生させ、結果的に調理器具の底部分が均一に加熱されることによって調理器具内の被調理物が加熱調理されることになる。
【0004】
ただし、このIHコンロでは調理器具の底部分の全体が均一に発熱するので、被調理物内に生じる対流が小さく、被調理物全体が均一に加熱されにくい傾向がある。そこで、上記誘導コイルが発生させる交番磁界によって回転する撹拌翼を調理器具内の底部分に設けるようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2015-159846号公報(図1乃至図14
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上記従来のものでは、撹拌翼を備えた専用の調理器具を用いなければならず、このような回転翼を備えていない調理器具を使用することができないという不具合がある。また、調理器具の底部を発熱させるための交番磁界によって撹拌翼を回転させることを前提としているが、交番磁界によって回転翼を回転させることはできず、また、交番磁界は調理器具の底部分内を流れるため、調理器具内部まで漏洩する量はきわめて少なく、撹拌翼を回転させるほどのエネルギを得ることはできない。
【0007】
また、上記引用文献1の図4には加熱部50と回転磁界発生部60とを別個に設ける構成が示されているが、いずれにせよ調理器具の底部分で磁力線はシールドされ、調理器具内に漏洩する量は少ない。
【0008】
そこで本発明は、上記の問題点に鑑み、確実に調理器具内の被調理物の対流を促すことができるIHコンロ用調理補助装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために本発明によるIHコンロ用調理補助装置は、底部分が磁性体で形成された鍋などの調理器具の上記底部分に対して交番する磁力線を作用させ、底部分を発熱させることによって調理器具内の液状の被調理物を加熱するIHコンロに用いられ、この被調理物を撹拌することによって調理器具内での被調理物の対流を促すIHコンロ用調理補助装置において、上記調理器具の周壁上縁部分に係合する筒状の本体を備え、この本体が上記周壁の内側に位置するように周壁上縁部分に係合された状態で、本体の下端部が上記被調理物中に没するように形成されると共に、上記調理器具の回部から有線によって供給される電力によって回転する回転翼が上記本体の下端部内に収納され、この回転翼が回転すると調理器具内の被調理物を吸引して吐出することによって被調理物の対流を促すことを特徴とする。
【0010】
上記回転翼を回転させるための電力はIHコンロの誘導コイルが発生させる磁力線からまかなうのではなく有線によって確実に供給される。なお、ガスコンロなど炎を用いて調理器具を加熱するタイプのコンロでは、この電力供給用の有線が炎によって加熱され損傷を受けるおそれがあるが、IHコンロではこのような炎が生じないので有線が損傷を受けることはない。
【0011】
なお、回転翼を回転させる電力は別途の電源装置から供給されるように構成してもよいが、上記電力を供給する有線の先端はIHコンロ本体に対して着脱自在に係合して、IHコンロ本体からこの有線を介して電力が供給されるように構成してもよい。
【0012】
ところで、一般的にIHコンロには調理器具の底部分の外側の面の温度を非接触型の温度センサで検知して調理器具内の被調理物の温度としているが、この構成ではあくまで調理器具の底部分の温度を検知しているだけで、被調理物の温度を検知しているわけではない。そこで、上記筒状の本体の下端部には温度センサが配設されており、この温度センサによって検知される被調理物の温度はIHコンロ本体に送信され、IHコンロによる上記磁力線の制御に用いられるように構成することが望ましい。
【発明の効果】
【0013】
以上の説明から明らかなように、本発明は、従来から用いている調理器具の周壁上縁部分に係合させるだけで使用でき、調理器具内の被調理物の対流を確実に促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本発明の一実施の形態の構成を示す図
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1を参照して、1はIHコンロのガラス天板である。このガラス天板1の下部には誘導コイル11と非接触型の温度センサである鍋底センサ12とが配設されている。この誘導コイル11には交流電力が供給され、この交流電力によって交番磁界が形成される。そしてその交番磁界の磁力線は磁性体材料で形成された調理器具2の底部分21内を通る。磁力線が底部分21を通ると、磁力線の周囲に渦電流が誘導され、その渦電流が底部分21内に流れることによってジュール熱が発生して底部分21が加熱される。磁力線は交番するので、交番するごとに渦電流が誘導されるので、底部分21は継続して加熱される。
【0016】
すると調理器具2内の被調理物(本実施の形態の場合には液体)が加熱調理される。なお、従来であれば被調理物3の加熱状態は底部分21の温度を鍋底センサ12で検知して誘導コイル11へ供給する電力量を増減制御する。
【0017】
本発明によるIHコンロ用調理補助装置(以下、単に補助装置という)4は調理器具2の周壁の上縁22に対して、揺動自在であって閉じる方向に付勢されたクリップ41によって係合されている。この補助装置4には筒状部42,43が設けられており、これら筒状部42,43が調理器具2の内側に位置するように係合される。すると、筒状部のうち下部筒状部43が被調理物3内に没する。下部筒状部43内には回転翼50が内蔵されており、この回転翼50は上部筒状部42内の電動モータ5によって回転される。
【0018】
回転翼50が回転すると、被調理物3を吸入口44から下部筒状部43内に吸入すると共に、その吸入した被調理物3を吐出口45から吐出する。その結果、被調理物3は撹拌され、対流が促される。また、下部筒状部43内には温度センサ6が設けられており、循環する被調理物3の温度を検知するように構成されている。そして、検知された温度信号はコネクタ61に伝達される。また電動モータ5を回転させるための電力はコネクタ51を介して供給される。
【0019】
両コネクタ51,61は共にIHコンロの図示しない本体に設けたコネクタに係合される。そして、IHコンロから電動モータ5に対して電力が供給されると共に、温度センサ6の検知した温度信号はIHコンロの図示しない制御装置に入力される。
【0020】
ところで、低温調理をする場合には調理器具2内に水を入れ、その水に水密にパックされた肉などを水没させ、60℃から80度程度の沸騰温度以下の温度で長時間加熱するが、このような低温調理に用いる水は厳密には被調理物に該当しないが、本実施の形態ではこのような水も被調理物3として扱う。
【0021】
そして、被調理物3の水温が設定された60度から80度の間の温度まで到達したことを温度センサ6によって検知すると、IHコンロは誘導コイルへ供給する交流電力量を調節して、被調理物3の温度が設定された温度に一定に保持されるように制御する。
【0022】
ところで、調理器具2は誘導コイル11が発生する磁力線によって加熱されるので、コネクタ51と電動モータ5とを繋ぐ有線部分52や温度センサ6とコネクタ61とを結ぶリード線が加熱されることはない。
【0023】
なお、IHコンロは通常時は鍋底センサ12の検知する底部分21の温度によって誘導コイル11への供給電力を制御するが、コネクタ61が接続されると、鍋底センサ12に代わって温度センサ6の検知温度を優先するように構成されている。
【0024】
なお、本発明は上記した形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもかまわない。
【符号の説明】
【0025】
1 ガラス天板
2 調理器具
3 被調理物
4 補助装置(本発明によるIHコンロ用調理補助装置)
5 電動モータ
6 温度センサ
11 誘導コイル
12 鍋底センサ
42 上部筒状部
43 下部筒状部
50 回転翼
図1