(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037207
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】撹拌処理方法及び装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/75 20220101AFI20230308BHJP
B01F 27/95 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/10 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20230308BHJP
A47J 27/14 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B01F15/02 C
B01F7/30 Z
B01F15/00 D
B01F15/06 Z
A47J27/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143819
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】500148592
【氏名又は名称】株式会社カジワラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 秀浩
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 勝利
(72)【発明者】
【氏名】清遠 匡章
(72)【発明者】
【氏名】中村 正直
【テーマコード(参考)】
4B054
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AA16
4B054AB11
4B054AB20
4B054AC01
4B054AC03
4B054AC14
4B054AC20
4B054BA16
4B054CC01
4B054CC12
4B054CD02
4B054CE02
4B054CE07
4B054CE12
4B054CG08
4G037AA11
4G037CA03
4G037CA12
4G037DA14
4G037DA15
4G037EA03
4G037EA04
4G078AA17
4G078AB09
4G078BA01
4G078BA05
4G078BA07
4G078BA09
4G078CA09
4G078DA01
4G078DB04
4G078EA10
(57)【要約】 (修正有)
【課題】装置の洗浄を簡単に行わせることで、製造時間の増大抑制を可能にする撹拌処理方法及び装置を提供する。
【解決手段】第1の攪拌容器7に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部3と第2の攪拌容器11に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部5とを別々に備え、第1の攪拌容器7で粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴い第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、中間処理物を第1の攪拌処理部3から第2の攪拌処理部5に移し冷却を伴い前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせ、後段の攪拌処理により粒状又は塊状の固形物に粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を得ることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、
前記第1の攪拌容器で粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴い前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、
前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移し冷却を伴い前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせ、
前記後段の攪拌処理により前記粒状又は塊状の固形物に前記粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を得る、
撹拌処理方法。
【請求項2】
請求項1記載の撹拌処理方法であって、
前記第1、第2の攪拌処理部は、隣接して配置され、
前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器に向けた移送態様と第2の攪拌容器の反対側に向けた洗浄態様とに転傾動作可能であり、
前記第1の攪拌容器の移送態様で前記前段の攪拌処理による中間処理物を前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記第2の攪拌容器へ移送し、
前記第1の攪拌容器の洗浄態様で前記第1の攪拌容器内の洗浄水を排出可能にする、
撹拌処理方法。
【請求項3】
請求項1記載の撹拌処理方法であって、
前記第1、第2の攪拌処理部は、隣接して配置され、
前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器に向けた移送態様に転傾動作可能であり、
前記第1、第2の攪拌処理部間に前記移送態様の第1の攪拌容器と前記第2の攪拌容器との間に連携して配置されたシュートを備え、
前記前段の攪拌処理を行って製造した中間処理物の前記第2の攪拌容器への移送を、前記シュートを介して行う、
撹拌処理方法。
【請求項4】
請求項1記載の撹拌処理方法であって、
前記第1、第2の攪拌処理部は、隣接して配置され、
前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方は、走行レール上に移動可能に支持されて前記第1、第2の攪拌処理部間を接近離反可能とし、
前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌処理部に向けて転傾動作可能であり、
前記第1、第2の攪拌処理部間の接近状態で前記転傾動作により前記前段の攪拌処理による中間処理物を前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記第2の攪拌容器へ移送し、
前記第1、第2の攪拌処理部間の離反状態で前記転傾動作により前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記第1の攪拌容器内の洗浄水を排出可能にする、
撹拌処理方法。
【請求項5】
請求項2記載の撹拌処理方法に用いる攪拌処理装置であって、
前記第1の攪拌処理部は、前記第1の攪拌容器が前記第2の攪拌容器に向けた移送態様と第2の攪拌容器の反対側に向けた洗浄態様とに転傾動作可能である、
撹拌処理装置。
【請求項6】
請求項3記載の撹拌処理方法に用いる攪拌処理装置であって、
前記シュートは、前記移送態様での第1の攪拌容器と前記第2の攪拌容器との間に連携して配置された、
撹拌処理装置。
【請求項7】
請求項4記載の撹拌処理方法に用いる攪拌処理装置であって、
前記走行レールは、前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方を他方に対して移動可能に支持し、
前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌処理部に向けて転傾動作可能である、
撹拌処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固形物に粘着性材を被覆して固形物ごとにほぐすように撹拌処理する撹拌処理方法及び装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撹拌処理装置として、特許文献1のようなものがある。この撹拌処理装置は、ナッツ粒等の固形物にカラメル等の粘着性材を被覆し、固形物ごとにほぐすように撹拌処理してカラメルをコーティングした焙煎ナッツ等を製品化するものである。
【0003】
この撹拌処理装置は、羽根状撹拌子及び棒状撹拌子を備えた縦型の自転公転型攪拌装置であり、撹拌駆動軸の自転及び公転により羽根状撹拌子及び棒状撹拌子が撹拌容器に対して横方向に自転及び公転するように構成されている。
【0004】
そして、一例として撹拌容器に投入した粒状ナッツの焙煎とグラニュー糖のカラメル化とを撹拌容器の加熱と羽根状撹拌子及び棒状撹拌子の自転及び公転とを伴うことで行わせる。
【0005】
次いで、撹拌容器の冷却を伴ってカラメルを固化させながら羽根状撹拌子及び棒状撹拌子の自転及び公転を行わせる。
【0006】
この結果、一粒一粒ほぐした状態でカラメルコーティングが行われた焙煎ナッツを得ることができる。
【0007】
しかし、かかる撹拌処理装置は、粒状ナッツの焙煎とグラニュー糖のカラメル化との中間処理物を製造する前段の撹拌処理とカラメルを固化させながら一粒一粒ほぐした状態でカラメルコーティングが行われた焙煎ナッツを得る後段の撹拌処理とを単一の装置で行うため、洗浄の観点から製造時間の増大を招くという問題があった。
【0008】
つまり、前段の加熱を伴う撹拌処理後にカラメルとナッツの一部とが攪拌容器、羽根状撹拌子等に付着し、続いて後段の冷却を伴う撹拌処理でカラメルコーティングが行われた焙煎ナッツを得るため、製品としての焙煎ナッツを取り出した後に撹拌容器内面や掻取羽根等に残るカラメルやナッツの一部等の付着物が冷却固化された状態となる。
【0009】
このような状態でバッチ製造を繰り返すと固化した付着物が再度加熱されてカラメル化及び焙煎化が進みすぎることになる。
【0010】
このため、バッチ製造を繰り返すと前段の加熱を伴う撹拌処理での中間処理物に再加熱されたカラメル等が混ざり込み、品質に影響を及ぼすことになる。
【0011】
かかる影響を抑制するためには、後段の撹拌処理において製品としての焙煎ナッツを取り出した後、撹拌容器内面や掻取羽根等に付着し固化したカラメル等を洗浄により除去することが肝要となる。
【0012】
しかし、後段の攪拌処理後は、固化した後のカラメル等の除去に多くの時間を必要とし、清掃時間が長くなって製造時間が増大するという問題があった。
【0013】
また、かかる付着物の成長は、高融点粘着性材を他の攪拌装置等に移送してその後の処理を行う場合に、ガス加熱等の熱が届き難い移送用のシュート等でも同様に起こり得るため、同様に付着物の成長を抑制することが肝要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
解決しようとする問題点は、洗浄の観点から製造時間の増大を招いていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本願発明は、洗浄の観点から製造時間の増大抑制を可能にするため、第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、前記第1の攪拌容器で粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴い前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、前記中間処理物を前記第1の攪拌部から前記第2の攪拌部に移し冷却を伴い前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせ、前記後段の攪拌処理により前記粒状又は塊状の固形物に前記粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を得ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本願発明は、上記構成であるから、粒状又は塊状の固形物と粘着性材との前段の加熱を伴った攪拌処理による中間処理物の製造と後段の中間処理物の冷却を伴った攪拌処理とを第1,第2の攪拌処理部で分けて行うことができる。このため、粘着性材等が主に付着する第1の攪拌処理部で粘着性材等が固化する前にこれらを洗浄除去することができ、処理物の製造を連続バッチで行う場合等でも、第1の攪拌処理部の第1の攪拌容器等の洗浄をごく簡単に行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】実施例1に係り、第1、第2の攪拌処理部を備えた攪拌処理装置の概略平面図である。
【
図2】実施例1に係り、第1、第2の攪拌処理部を備えた攪拌処理装置の概略側面図である。
【
図3】実施例1に係り、第1の攪拌処理部の背面図である。
【
図4】実施例1に係り、第1の攪拌処理部を正面側から見た一部省略の概略断面図である。
【
図5】実施例1に係り、第2の攪拌処理部の一部を断面にした概略正面図である。
【
図6】実施例2に係り、(A)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた中間処理物移送時における攪拌処理装置の概略平面図であり、(B)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた中間処理物移送時における攪拌処理装置の概略側面図である。
【
図7】実施例2に係り、(A)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた排水時における攪拌処理装置の概略平面図であり、(B)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた排水時における攪拌処理装置の概略側面図である。
【
図8】実施例3に係り、第1、第2の攪拌処理部間が接近した状態での攪拌処理装置の概略平面図である。
【
図9】実施例3に係り、第1、第2の攪拌処理部間が接近した状態で第1の攪拌容器の転傾動作及び第2の攪拌容器の傾斜動作を示した攪拌処理装置の概略側面図である。
【
図10】実施例3に係り、第1、第2の攪拌処理部間が離反した状態の攪拌処理装置の概略平面図である。
【
図11】実施例3に係り、第1、第2の攪拌処理部間が離反した状態で第1の攪拌容器の転傾動作を示した攪拌処理装置の概略側面図である。
【
図12】実施例3に係り、第2の攪拌処理部の開閉格子蓋を開いた状態の概略正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本願発明は、洗浄の観点から製造時間の増大抑制を可能にするという目的を以下のように実現した。
【0020】
第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、前記第1の攪拌容器で粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴い前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、前記中間処理物を前記第1の攪拌部から前記第2の攪拌部に移し冷却を伴い前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせ、前記後段の攪拌処理により前記粒状又は塊状の固形物に前記粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を得ることで実現した。
【0021】
前記粒状又は塊状の固形物としては、粘着性材をコーティングできるものであればよく、例えばナッツ、ポップコーン、納豆などである。粘着性材としては、攪拌により固形物をコーティングできるものであればよく、例えばカラメル、チョコレート、飴などである。
【0022】
但し、粒又は塊ごとにほぐした処理物を得るものであればその他の食品、さらには食品に限らず、医薬、医薬部外品、漢方薬、各種材料などの攪拌処理で実現することもできる。
【0023】
前記第1の攪拌処理部は、粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴い前段の撹拌処理により中間処理物を得ることができればよく、前記第1の攪拌処理部は、第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が自転公転により横方向に旋回する縦型加熱攪拌装置で実現した。第1の攪拌部が自転のみにより旋回する縦型攪拌装置で実現することもできる。
【0024】
前記第1の攪拌処理部は、特許文献1に記載の羽根状撹拌子及び棒状撹拌子を備えた撹拌処理装置で実現することもできる。また、撹拌軸が横方向に配置された横型撹拌装置、或は撹拌軸が斜めに配置された斜軸撹拌機などで実現することもできる。
【0025】
前記第1の攪拌容器の加熱は、ガス加熱、電気加熱、電磁加熱、蒸気加熱、及びこれらの任意の組み合わせで実現できる。
【0026】
前記第2の攪拌処理部は、中間処理物に冷却を伴い後段の攪拌処理を行なわせ、粒状又は塊状の固形物に粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を得ることができればよく、第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が上下方向に旋回する横型攪拌装置で実現した。第2の攪拌部は、上下方向又は傾斜方向に旋回する掻取羽根で実現できる。第2の攪拌部は、掻取羽根に棒状撹拌子を追加配置した構成で実現することもできる。第2の攪拌処理部は、斜軸撹拌機などで実現することもできる。第2の攪拌処理部は、特許文献1に記載の羽根状撹拌子及び棒状撹拌子を備えた撹拌処理装置等の縦型攪拌処理装置でも実現できる。
【0027】
前記第2の攪拌処理部での冷却を伴う撹拌処理は、第2の攪拌容器の底部外面に冷却用のミストを吹き付ける、第2の攪拌容器に流体ジャケットを設けて冷却水を供給する、さらには、第2の攪拌容器の上方から中間処理物に空気を吹き付ける、或は空気の吹付と前記ミスト冷却との組み合わせ、空気の吹付と流体ジャケットによる冷却水の供給との組み合わせで実現できる。
【0028】
前記粒又は塊ごとにほぐした状態は、粒の一粒一粒にほぐされた状態、粒が一定数の塊になったもので塊ごとにほぐされた状態の双方を意味する。これらの各状態は、第2の攪拌処理部での撹拌処理の調整により実現できる。
【0029】
前記第1、第2の攪拌処理部は、隣接して配置され、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器に向けた移送態様と第2の攪拌容器の反対側に向けた洗浄態様とに転傾動作可能であり、前記第1の攪拌容器の移送態様で前記前段の攪拌処理による中間処理物を前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記第2の攪拌容器へ移送し、前記第1の攪拌容器の洗浄態様で前記第1の攪拌容器内の洗浄水を排出可能にする形態でも実現できる。
【0030】
前記第1の攪拌容器からの洗浄水の排水を真空吸引等で行わせることで第1の攪拌容器の転傾動作を第2の攪拌容器に向けた移送態様のみとする構成でも実現できる。
【0031】
前記第1、第2の攪拌処理部は、隣接して配置され、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器に向けた移送態様に転傾動作可能であり、前記第1、第2の攪拌処理部間に前記移送態様の第1の攪拌容器と前記第2の攪拌容器との間に連携して配置されたシュートを備え、前記前段の攪拌処理を行って製造した中間処理物の前記第2の攪拌容器への移送を、前記シュートを介して行う形態でも実現できる。
【0032】
前記第1、第2の攪拌処理部は、隣接して配置され、前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方は、走行レール上に移動可能に支持されて前記第1、第2の攪拌処理部間を接近離反可能とし、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌処理部に向けて転傾動作可能であり、前記第1、第2の攪拌処理部間の接近状態で前記転傾動作により前記前段の攪拌処理による中間処理物を前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記第2の攪拌容器へ移送し、前記第1、第2の攪拌処理部間の離反状態で前記転傾動作により前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記第1の攪拌容器内の洗浄水を排出可能にする形態でも実現できる。
【0033】
例えば、第1の攪拌処理部に対して第2の攪拌処理部を移動可能に支持し、接地固定の第1の攪拌処理部に対して第2の攪拌処理部を接近離反可能とし、第1の攪拌処理部に対して第2の攪拌処理部を接近させた状態で前記中間処理物の移送を行わせ、第1の攪拌処理部に対して第2の攪拌処理部を離反させた状態で洗浄水の排出を行わせることができる。
【0034】
但し、前記走行レールは、第1、第2の攪拌処理部間を接近離反可能にできればよく、第1、第2の攪拌処理部の双方を移動可能に支持して実現することもできる。
【0035】
前記走行レールで移動可能な第2の攪拌処理部に対して前記第1の攪拌処理部は、前記第1の攪拌容器が前記第2の攪拌容器に向けた移送態様と第2の攪拌容器の反対側に向けた洗浄態様とに転傾動作可能である撹拌処理装置としても実現できる。
【0036】
前記転傾動作とは、攪拌容器が正面側と背面側とへ軸周りの回転により傾斜動作することを意味する。転傾動作の駆動は油圧シリンダーの制御等で実現できる。
【0037】
前記シュートは、前記移送態様での第1の攪拌容器と前記第2の攪拌容器との間に連携して配置されて実現できる。
【0038】
前記シュートは、前段の攪拌処理を行った粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを第2の攪拌容器へ移送できればよく、材質の設定は自由である。ステンレスなどの金属製のシュートにフッ素樹脂ライニングを設定しても実現できる。
【0039】
前記走行レールは、前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方を他方に対して移動可能に支持し、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌処理部に向けて転傾動作可能として実現できる。
【0040】
前記走行レールは、前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方を他方に対して移動可能に支持できればよく、固定レール部とスライドレール部との組み合わせで実現するが、固定された1本のレールで実現することもできる。
【0041】
前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方の走行レール上の移動は、油圧シリンダーの制御で行わせている。但し、電動モーター、リニアモーターなどで移動を実現することもできる。移動は、手押しにより実現することもできる。
【0042】
前記第1、第2の攪拌処理部間に前記移送態様の第1の攪拌容器と前記第2の攪拌容器との間に連携して配置され前記第1の攪拌容器から前記第2の攪拌容器へ中間処理物を移送させるためのシュートを備えた撹拌処理装置として実現できる。
【0043】
前記第1、第2の攪拌処理部の少なくとも一方は、前記第1、第2の攪拌処理部間を接近離反可能に支持する走行レールを備え、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌処理部に向けて転傾動作可能である撹拌処理装置として実現できる。
【実施例0044】
[攪拌処理方法及び攪拌処理装置]
図1は、実施例1に係り、第1、第2の攪拌処理部を備えた攪拌処理装置の概略平面図である。
図2は、実施例1に係り、第1、第2の攪拌処理部を備えた攪拌処理装置の概略側面図である。
図3は、実施例1に係り、第1の攪拌処理部の背面図である。
図4は、実施例1に係り、第1の攪拌処理部を正面側から見た一部省略の概略断面図である。
図5は、実施例1に係り、第2の攪拌処理部の一部を断面にした概略正面図である。
【0045】
図1、
図2の攪拌処理装置1は、粒状又は塊状の固形物に粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を得るものである。粒状又は塊状の固形物としては、粘着性材をコーティングできるものであればよく、例えばナッツ、ポップコーン、納豆などである。粘着性材としては、攪拌により固形物をコーティングできるものであればよく、例えばカラメルなどである。
【0046】
図1、
図2のように攪拌処理装置1は、第1、第2の攪拌処理部3、5を備えている。第1の攪拌処理装置3は、縦型加熱攪拌装置で構成され、第2の攪拌処理部5は、横型攪拌装置で構成されている。
【0047】
前記第1、第2の攪拌処理部3、5は、隣接して配置されている。第1の攪拌処理部3は、第1の攪拌容器7に対し第1の攪拌部9が横(水平)方向に旋回する構成となっている。第2の攪拌処理部5は、第2の攪拌容器11に対し第2の攪拌部13が上下(垂直)方向に旋回する構成となっている。
【0048】
前記第1の攪拌容器7で粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴って前記第1の攪拌部9により前段の攪拌処理を行なわせることで中間処理物を製造する。前記中間処理物を前記第1の攪拌部9から前記第2の攪拌部13に移し冷却を伴って前記第2の攪拌部13により上下方向での後段の攪拌処理を行なわせる。前記後段の攪拌処理により前記粒状又は塊状の固形物に前記粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぼほぐした処理物を得る。
【0049】
前記第1の攪拌容器7は、前記第2の攪拌容器11に向けた移送態様と第2の攪拌容器11の反対側に向けた洗浄態様とに転傾動作可能である。第1の攪拌容器7の移送態様で前段の攪拌処理による中間処理物を第1の攪拌容器7の傾斜を利用して第2の攪拌容器11へ移送し、第1の攪拌容器7の洗浄態様で第1の攪拌容器7内の洗浄水を排出可能にする。
【0050】
[縦型加熱攪拌装置]
図1~
図4のように、第1の攪拌処理部3は、粒状又は塊状の固形物である例えばナッツの焙煎と糖のカラメル化との加熱を伴う前段の攪拌処理により中間処理物を製造する。
【0051】
前記第1の攪拌処理部3の第1の攪拌容器7は、鉄、ステンレス、銅などで鍋型に形成され、下部に球面状の底部を備えている。第1の攪拌容器7の上部一側には、注ぎ口15が設けられている。第1の攪拌容器7は、注ぎ口15側に軸支持ブラケット16を備えている。
【0052】
前記第1の攪拌容器7は、ベースフレーム17に転傾動作可能に支持されている。ベースフレーム17は略矩形に組まれ、四隅に脚部を備えている。ベースフレーム17には、第2の攪拌処理部5側において左右の第1の回転支持部19が設けられている。第1の回転支持部19は、ボールベアリングなどを含んで形成されている。第1の回転支持部19には、回転軸21が軸支されている。回転軸21には、サブフレーム23の一側が取り付けられている。サブフレーム23はベースフレーム17上に配置されている。サブフレーム23には、前記第1の攪拌容器7の底部を収容する円形の孔が設けられている。
【0053】
前記ベースフレーム17上には、ガス加熱装置25が設けられ、前記第1の攪拌容器7の下部に配置された構成となっている。第1の攪拌容器7の底部は、制御ボックス26の制御によるガス加熱装置25によって加熱可能となっている。
【0054】
前記サブフレーム23は、ガス加熱装置25のケース上に配置されている。このサブフレーム23上には、注ぎ口15側において第2の回転支持部27が左右両側に設けられている。第2の回転支持部27は、例えばボールベアリングなどによって構成されている。第2の回転支持部27には、支持軸29が回転自在に支持されている。支持軸29には、第1の攪拌容器7の注ぎ口15側が軸支持ブラケット16を介して回転自在に結合されている。
【0055】
前記ベースフレーム17とサブフレーム23との間には、第1の油圧シリンダー装置30が支持されている。第1の油圧シリンダー装置30は、制御ボックス26により駆動制御される。この第1の油圧シリンダー装置30の駆動により
図2のようにサブフレーム23が回転軸21周りに起き上がり回動する。この回動により第1の攪拌容器7が第2の攪拌容器11側へ鎖線図示のように転傾動作するようになっている。
【0056】
前記サブフレーム23と第1の攪拌容器7との間には、第2の油圧シリンダー装置32が支持されている。第2の油圧シリンダー装置32は、制御ボックス26により駆動制御される。この第2の油圧シリンダー装置32の駆動により
図2のように第1の攪拌容器7が支持軸29周りに注ぎ口15側へ鎖線図示のように転傾動作するようになっている。
【0057】
前記第1の攪拌部9は、
図4のように撹拌主駆動軸31と、公転ボックス33と、撹拌駆動軸35とを備えている。
【0058】
前記撹拌主駆動軸31は、第1の攪拌容器7の上部に備えられて撹拌ヘッド37の先端部に支持されている。撹拌主駆動軸31は、撹拌ヘッド37内の駆動部であるギヤードモータ39により回転駆動され、自転する構成となっている。ギヤードモータ39は、制御ボックス26により駆動制御される。
【0059】
前記公転ボックス33は、平面から見てほぼ長円形状に形成されたボックス形状をなし、撹拌主駆動軸31に基端側が支持され、撹拌主駆動軸31の回転と共に先端側が撹拌主駆動軸31回りに旋回する。
【0060】
前記撹拌駆動軸35は、前記公転ボックス33の先端側に軸支持筒40により回転自在に支持され、撹拌主駆動軸31に対してギヤ結合により連動構成されている。
【0061】
前記撹拌駆動軸35には、撹拌旋回部41が取り付けられ、この撹拌旋回部41に羽根パイプ43、45を介してフッ素樹脂製等の掻取羽根47、49が取り付けられている。前記軸支持筒40には、屈曲した羽根パイプ51を介してフッ素樹脂製等の掻取羽根53が取り付けられている。掻取羽根47、49、53は、ステンレス製等の掻取羽根にフッ素樹脂コーティングしたもので構成することもできる。
【0062】
前記掻取羽根53は、第1の攪拌容器7の側壁部の縦断面形状に倣う形状で底部から胴部にかけて羽根先縁が立ち上げ形成されている。掻取羽根53は、第1の攪拌容器7の側壁部に付着している固形物を掻き落とすために第1の攪拌容器7の側壁部に倣った形状で、アームのスプリングにより、側壁部に押付けられている。
【0063】
前記公転ボックス33の旋回と共に公転する軸支持筒40により羽根パイプ51を介して掻取羽根53が公転し、第1の攪拌容器7の側壁部に粘着性材により付着する固形物を底部方向に掻き落とす。同時に撹拌駆動軸35の自転及び公転により、羽根パイプ43、45を介して掻取羽根47、49が底部で旋回して掻取動作を行う。こうして第1の攪拌容器7全体で固形物及び粘着性材を効果的に撹拌混合することができる。
【0064】
前記撹拌ヘッド37は、
図3のようにベースフレーム17側のヘッド支持ブラケット55に回転自在に支持されている。撹拌ヘッド37とベースフレーム17側との間には、第3の油圧シリンダー装置57が支持されている。第3の油圧シリンダー装置57は、制御ボックス26により駆動制御される。第3の油圧シリンダー装置57の駆動により撹拌ヘッド37を回動により上方へ退避させ、第1の攪拌容器7の転傾動作を許容する。
【0065】
[横型撹拌装置]
図1、
図2、
図5のように、第2の攪拌処理部5は、横型撹拌装置で構成され、前記第1の攪拌処理部3から前記第2の攪拌処理部11に中間処理物を移し、冷却を伴って前記第2の攪拌処理部11により上下方向での後段の攪拌処理を行なわせる。この後段の攪拌処理により例えばナッツにカラメルをコーティングした状態でナッツ粒をほぼ粒ごとにほぐした処理物を得る。
【0066】
前記第2の攪拌処理部5の第2の攪拌容器11は、第1の撹拌容器7から中間処理物を受け入れるものであり、鉄、ステンレス、銅などで形成されている。前記第2の攪拌容器11は、横置きの円筒部59の上部にホッパー部61を一体に備えたものである。ホッパー部61は、第2の攪拌容器11の上部開口を形成する。この第2の攪拌容器11は、ベースフレーム62に軸周りで双方向に傾斜動作可能に支持されている。この傾斜動作は制御ボックス69での油圧シリンダーの制御等により行われる。
【0067】
前記円筒部59の軸心部には、第2の攪拌部13の回転軸63が横方向に配置され回転自在に支持されている。回転軸63は、制御ボックス69側の駆動モーターによって回転駆動されるようになっている。回転軸63には、所定間隔で撹拌アーム64が取り付けられ、各撹拌アーム64の先端に掻取羽根65が取り付けられている。
【0068】
前記第2の攪拌容器11内の軸方向中間部に位置する掻取羽根65は、第2の攪拌容器11の円筒部59を掻取り回転する配置となっている。この掻取羽根65は、羽根先が第2の攪拌容器11内の軸方向に沿って配置されており、羽根先縁は直線的となっている。
【0069】
前記第2の攪拌容器11内の軸方向両側の掻取羽根65は、第2の攪拌容器11の軸方向両側の曲面を回転軸63周りで掻取り回転する配置となっている。この掻取羽根65は、第2の攪拌容器11の軸方向両側の曲面に応じて羽根先縁が直線的となっている。
【0070】
つまり、これら掻取羽根65は、第1の攪拌処理部3から移送された中間処理物を冷却を伴って撹拌処理し、ナッツ粒等の固形物に被覆されたカラメル等の粘着性材を固化させ、固形物ごとにほぐすように撹拌処理する形状、配置となっている。
【0071】
前記第2の攪拌容器11のホッパー部61の開口には、開閉格子蓋66が開閉可能に取り付けられている。開閉格子蓋66は、油圧制御などによる開閉駆動機構67により制御ボックス69側に支持されている。
【0072】
前記第2の攪拌容器11の円筒部59は、下部外周に冷却用の流体ジャケット71を備えている。流体ジャケット71は給水配管73により給水部に接続され、制御ボックス69による制御で給水部から流体ジャケット71に冷却水が給水制御できるようになっている。冷却水の温度は、制御ボックス69の制御で変更できるようになっている。
【0073】
[第1の攪拌処理部の撹拌駆動等]
前記第1の攪拌処理部3の第1の攪拌容器7は、第1の攪拌部9の稼働時にガス加熱装置により加熱制御する。前記第1の攪拌処理部3では、第1の撹拌部9の撹拌ヘッド37を介して回転駆動力が撹拌主駆動軸31に伝達される。撹拌主駆動軸31が回転すると公転ボックス33が撹拌主駆動軸31の軸心回りに一体的に旋回する。この旋回により撹拌駆動軸35が撹拌主駆動軸31の軸心回りである第1の攪拌容器7の中心回りに公転する。
【0074】
同時に公転ボックス33内部の歯車の噛み合いを介して撹拌主駆動軸31から撹拌駆動軸35に回転駆動力が伝達される。この回転伝達により撹拌駆動軸35が軸心回りに自転駆動される。
【0075】
すなわち、撹拌駆動軸35は、撹拌主駆動軸31の軸心回りで自転、公転駆動され、公転ボックス33の旋回を介して掻取羽根47、49が第1の攪拌容器7の底部を掻き取り移動する。また、外周の掻取羽根53は、軸支持筒40と共に公転して第1の攪拌容器7の側壁部を掻き取り移動する。
【0076】
前記2枚の掻取羽根47、49は、第1の攪拌容器7の底部に掻取羽根47、49の樹脂羽根部を押付けられた状態で、自転しながら移動する公転運動に従い、底部を掻き取りながら内容物の攪拌混合を行なう。第1の攪拌容器7の底部は、加熱の直接的な伝熱面であり、掻き取りにより伝熱が促進される。特に、底部の粘着性材を更新し、焦げの発生防止に大きな効果がある。
【0077】
前記掻取羽根47、49の第1の攪拌容器7の底部と接触する部分の長さは、2枚の掻取羽根47、49の運動で底部の大部分(中央部分)が掻取られる長さとされている。掻取羽根47、49の軌跡を第1の攪拌容器7の側面と少し距離を取ることで、第1の攪拌容器7側面と掻取羽根47、49で固形物を挟み込むことによる破損を防止することができる。
【0078】
前記掻取羽根53は進行方向で第1の攪拌容器7に対し鋭角となっており、第1の攪拌容器7の側壁部に付着している固形物を底部方向に掻き落とす機能を有している。
【0079】
本実施例1では、混合を良くするため、掻取羽根47、49は交互に掻き取り方向に傾きを持って取り付けられているが、傾きはなくとも基本性能は発揮される。
【0080】
前記掻取羽根47、49の自転公転運動の軌跡はハイポサイクロイドが好ましい。これにより掻取羽根47、49の軌跡は、第1の攪拌容器7の底部を横断する大きな動きとなり、粘着する固形物を引き離す動きとなり、混合が促進される。但し、掻取羽根47、49の自転公転運動の軌跡はハイポサイクロイドに限らない。
【0081】
実施例1において、撹拌駆動軸35は、第1の攪拌容器7の底部の中心軸に平行で、傾斜しない構成としているが、混合は十分可能である。但し、撹拌駆同軸35は、第1の攪拌容器7の底部の中心軸に平行ではなく、傾斜させると底部に対し掻取羽根47、49の接触する角度が大きく変化し、混合に好ましい効果がでる。
【0082】
前記第1の攪拌容器7の側壁部周辺の底部は、公転する掻取羽根53で掻取られ、掻取範囲は、掻取羽根47、49と少し重なる。
【0083】
公転運動する掻取羽根53と自転公転運動する掻取羽根47、49とがすれ違う時に混合が促進される。
【0084】
図3のように、前記第3の油圧シリンダー装置57の駆動により撹拌ヘッド37を回動により上方へ回転移動させると第1の撹拌部9を第1の攪拌容器7の上方一側へ退避させることができる。
【0085】
この退避状態において、転傾動作用の第1の油圧シリンダー装置30が駆動されると
図2左側鎖線図示のように回転軸21周りのサブフレーム23の起き上がり回動により第1の攪拌容器7が第2の攪拌容器11側へ転傾動作する。転傾動作用の第2の油圧シリンダー装置32が駆動されたときは、
図2右側鎖線図示のように第1の攪拌容器7が支持軸29周りに注ぎ口15側へ転傾動作する。
【0086】
[第2の攪拌処理部の撹拌駆動等]
前記第2の攪拌処理部5の第2の攪拌容器11は、第2の攪拌部13の稼働時等に制御ボックス69での制御により給水配管73を介して流体ジャケット71に温度制御された冷却水を給水する。
【0087】
前記回転軸63が回転制御されると、掻取羽根65が回転軸63周りで上下に旋回し第2の攪拌容器11内の固形物及び粘着性材を掻取撹拌する。
【0088】
前記第2の攪拌容器11の開閉格子蓋66は、油圧制御などによる開閉駆動機構67により開閉動作する。前記第1の攪拌容器7から中間処理物の移送を受けるとき、第2の攪拌容器11は、制御ボックス69による油圧シリンダーの制御により第1の攪拌容器7側へ指向するように傾斜動作する。第2の攪拌容器11は、処理物取り出し時には、油圧シリンダーの制御等により第1の攪拌容器7の反対側へ指向するように傾斜動作する。
【0089】
[処理物の製造]
始めに粒状又は塊状の固形物と粘着性材との原料を第1の攪拌容器7に投入する。
【0090】
このとき、第1の攪拌容器7の注ぎ口15の方向から原料の投入ができるから第1の攪拌容器7への原料の投入を容易に行わせることができる。
【0091】
前記第1の攪拌部9が駆動制御されると掻取羽根47、49が自転公転し、掻取羽根53が公転する。同時に制御ボックス26の制御によりガス加熱装置が稼働され、第1の攪拌容器7が加熱制御される。この状態で第1の攪拌部9が駆動制御され第1の攪拌容器7内の原料が加熱を伴って撹拌処理され、中間処理物が製造される。
【0092】
次に、第1の攪拌容器7の加熱制御、第1の攪拌部9の駆動制御が停止され、撹拌ヘッド37の回動により第1の撹拌部9が第1の攪拌容器7の上方一側へ退避される。
【0093】
次に、第1の油圧シリンダー装置30の駆動により
図2のようにサブフレーム23が回転軸21周りに起き上がり回動する。この回動により第1の攪拌容器7が第2の攪拌容器11側へ鎖線図示のように転傾動作する。
【0094】
このとき、第2の攪拌処理部5では、第2の攪拌容器11がベースフレーム62に対して第1の攪拌容器7側へ指向するように予め傾斜動作している。かかる傾斜動作は、制御ボックス26、69の連係により行わせている。但し、手動操作により第2の攪拌容器11を予め傾斜動作させるようにすることもできる。
【0095】
これら第1の攪拌容器7の転傾動作、第2の攪拌容器11の傾斜動作により第1の攪拌容器7の開口が傾斜した第2の攪拌容器11のホッパー部61上に位置することになる。この位置で第1の攪拌容器7は、第2の攪拌容器11に向かって若干の下降傾斜状態となる。
【0096】
この第1の攪拌容器7の下降傾斜により第1の攪拌容器7内の高融点で流動性の有る中間処理物がホッパー部61から円滑に受け入れられ、第2の攪拌容器11内へ移送される。
【0097】
次いで、第1の攪拌容器7の転傾及び第2の攪拌容器11の傾斜が戻され、給水部から給水配管73を通して流体ジャケット71へ冷却水が供給される。この状態で第2の攪拌部13が駆動され、第2の攪拌容器11では、後段の攪拌処理として中間処理物が冷却を伴って撹拌処理される。
【0098】
出願人が提案した特許文献1の従来の専用機では、加熱にガス加熱を伴うため冷却には冷却水を用いる冷却方法(ジャケット冷却法)ではなくミスト冷却法を採用している。このミスト冷却法は、冷却水を用いる冷却方法に比べて伝熱速度が小さい。
【0099】
これに対し、本実施例1の前記第2の攪拌容器11は、流体ジャケット71へ冷却水の給水を行って冷却するジャケット冷却法であるため伝熱速度が大きく的確な冷却を行わせることができる。
【0100】
この第2の攪拌容器11での撹拌処理では、掻取羽根65の撹拌回転により中間処理物が上下方向に撹拌回転され、固形物にコーティングされた粘着性材が冷却、固化され、粒又は塊ごとにほぐした処理物を得ることができる。
【0101】
このとき、第2の攪拌容器11での撹拌回転が横方向ではなく、重力方向であるため、掻取羽根65で掻き上げられた固形物が第2の攪拌容器11内で落下し、表面のコーティングが次第に固化する固形物相互の分離を促進させることができる。
【0102】
連続したバッチ生産を行う時は、同様の操作を続けて行うことになる。
【0103】
生産終了後は第1、第2の攪拌処理部3、5の何れも洗浄する。特に第1の攪拌処理部3では、第1の攪拌容器7の容器内部或は第1の攪拌部9への粘着性材及び固形物の付着を除去して清浄にする必要がある。
【0104】
この洗浄に際しては、粘着性材が固化していないので熱水により簡単に短時間で溶解除去することができる。
【0105】
前記洗浄により第1の攪拌容器7内に残る洗浄水は、第1の攪拌容器7を
図2の鎖線図示のように注ぎ口15側へ転傾動作させて無理なく排水させることができる。
【0106】
つまり、前記第1の攪拌容器7の第2の攪拌容器11に向けた転傾動作による移送態様と第2の攪拌容器11の反対側の注ぎ口15側に向けた洗浄態様とに交互に切り換えることで第1の攪拌容器7から第2の攪拌容器11への中間処理物の移送と第1の攪拌容器7からの洗浄水の排水とを行わせることができる。
【0107】
前記第2の攪拌処理部5では、冷却を伴う攪拌処理であるから処理物を取り出した後、第2の攪拌容器11及び第2の攪拌部13等に対する粘着性材等の付着、固化は殆ど無く、簡単な拭取り清掃後、次回の冷却・固化処理に備えることができる。
【0108】
前記第1の攪拌処理部3の洗浄は、前記第2の攪拌処理部5での攪拌処理中に行わせることも可能であり、第1の攪拌処理部3での洗浄時間を製造時間に影響しないようにすることもできる。但し、第2の攪拌処理部5での攪拌処理により処理物の製造が完了した後に第1、第2の攪拌処理部3、5の洗浄を行わせることもできる。
【0109】
[撹拌調理]
つぎに、本実施例1の撹拌処理方法によりアーモンドを用いたカラメルナッツの製造を説明する。
【0110】
<撹拌鍋の仕様>
<第1の攪拌処理部:カラメル化・焙煎撹拌釜の仕様>
第1の攪拌容器:ガス加熱機能付き撹拌鍋
撹拌鍋の鍋径:1200mm
撹拌鍋の内容積:350L(満水)
第1の攪拌部:自転公転型多軸攪拌機
【0111】
<第2の攪拌処理部:冷却・固化機の仕様>
型式 横型レオニーダー(レオニーダーは、登録商標)(梶原工業株式会社製)
第2の攪拌容器:冷却水によるジャケット冷却機能付き撹拌槽
胴の径:550mm
撹拌槽の内容積:300L(満水)
第2の攪拌部:壁面掻取り型横軸攪拌機
【0112】
<レシピ>
・ナッツ20kg(常温:20℃)
・グラニュー糖
・水
・添加物
【0113】
<手順>
<カラメル化・焙煎>
(1)カラメル化・焙煎撹拌鍋にグラニュー糖、水投入
(2)ガス加熱装置の点火、自転公転型多軸撹拌機による撹拌開始
グラニュー糖を溶解し煮詰める。
(3)カラメル化・焙煎撹拌鍋に固形物であるナッツを追加投入する。
(4)撹拌鍋の壁温を火力調整し、ナッツの焙煎と糖のカラメル化を行う。
(5)消火する(余熱でカラメル化とナッツの焙煎を進める)。
(6)撹拌停止し、掻取羽根等を跳ね上げ、撹拌鍋を傾動させる。
(7)中間処理物を冷却・固化機へ移送する。
【0114】
以下、後段の冷却・固化の処理中に前段の撹拌鍋の清掃作業を行わせ、(1)の操作に戻る。撹拌鍋の清掃作業に際しては、撹拌鍋に熱水を入れ、残存中間処理物を溶解除去する。この溶解除去は、カラメル等が固化していない状態で行われるから、攪拌鍋内のカラメル等が熱水に短時間で溶解する。攪拌鍋内の洗浄水は、攪拌鍋の転傾動作により排水し、簡単に洗浄することができる。即ち、第1の攪拌処理部3を高温状態で洗浄すると洗浄が容易である。
【0115】
<冷却・固化>
(8)(7)に連携して移送される中間処理物を冷却・固化機へ受け入れる。
(9)冷却・固化機の攪拌を起動する。
(10)冷却・固化機のジャケットに冷却水を徐々に流し、飴(カラメル)の温度及び冷却・固化機の壁温をゆっくりと下げる。(ゆっくりの程度は、予め実験で求めた。)
(11)冷却・固化機に添加物を適宜投入(ジャケット側から冷却しながら)する。
(12)冷却が終了したら、冷却水の供給と攪拌とを停止し、冷却・固化機を傾動させ、冷却・固化機より、冷却されたカラメルナッツを取出す。
(13)冷却・固化機の清掃を行う。但し、壁面への製品の付着は少なく、次回の使用が可能な状態である。処理物(製品)の断片等の微少な固形物が器壁、掻取羽根上に残留しているので、拭取り清掃後、次回の冷却・固化操作に備える。
【0116】
こうした手順により、大部分が粒状のナッツで、カラメルでコーティングされた焙煎ナッツが得られた。
前記シュート75は、前記第1の攪拌容器7と前記第2の攪拌容器11との間に連携して配置されている。シュート75は、例えばステンレスなどの金属により形成され、フッ素樹脂でライニングされている。シュート75は、平板状のシュート底部に対してシュート側壁を両側に備えている。シュート75は、回転軸76によりシュートフレーム78に回転可能に支持されている。シュートフレーム78は、第1の攪拌処理部3のベースフレーム17の第1の回転支持部19間に対向している。
前記シュートフレーム78は、第1、第2の攪拌処理部3、5のベースフレーム17、62に対して独立している。シュートフレーム78は、第1、第2の攪拌処理部3、5に対し、移動させることも可能である。
前記第1の攪拌容器7には、支持アーム77が取り付けられ、この支持アーム77が、ベースフレーム17の第1の回転支持部19により回転軸21周りに回転可能に支持されている。第1の攪拌容器7は、シュート状の前記注ぎ口79を備えている。撹拌ヘッド37は、ベースフレーム17側に回転自在に支持されている。撹拌ヘッド37は、制御ボックス26の制御による第3の油圧シリンダー装置57の駆動により上方へ退避され、第1の攪拌容器7の移送状態への転傾動作を許容する。
そして、中間処理物の移送に際し、第1の油圧シリンダー装置の駆動により第1の攪拌容器7の支持アーム77を回転軸21回りに回転させる。この回転により第1の攪拌容器7が第2の攪拌容器11側へ転傾動作する。
前記シュート75上に移動した中間処理物は、シュート75の傾斜により第2の攪拌容器11側に移動し、ホッパー部61から第2の攪拌容器11内へ円滑に受け入れられ移送が完了する。
本実施例2では、中間処理物の移送にシュート75を用いることで第1の攪拌容器7から第2の攪拌容器11への中間処理物の移送を確実に行わせながら、第1、第2の攪拌処理部3、5の配置関係の自由度を広げることができる。
前記シュート75は、フッ素樹脂でライニングされているため、粘着性材である中間処理物の移送を無理なく行わせることができる。また、高融点の中間処理物の温度がシュート75の金属部分に直接触れないからシュート75上で中間処理物の温度が奪われることが抑制され、中間処理物の流動性を保持し、確実な移送を維持できる。