(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037208
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】撹拌旋回装置及び撹拌装置
(51)【国際特許分類】
B01F 35/511 20220101AFI20230308BHJP
B01F 35/10 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/75 20220101ALI20230308BHJP
B01F 27/90 20220101ALI20230308BHJP
B01F 27/95 20220101ALI20230308BHJP
B01F 35/90 20220101ALI20230308BHJP
A47J 27/14 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B01F15/00 E
B01F15/00 D
B01F15/02 C
B01F7/18 B
B01F7/30 Z
B01F15/06 Z
A47J27/14 Q
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143820
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】500148592
【氏名又は名称】株式会社カジワラ
(74)【代理人】
【識別番号】100110629
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 雄一
(74)【代理人】
【識別番号】100166615
【弁理士】
【氏名又は名称】須藤 大輔
(72)【発明者】
【氏名】梶原 秀浩
(72)【発明者】
【氏名】笠原 徹
(72)【発明者】
【氏名】中村 正直
(72)【発明者】
【氏名】堀切 花織
【テーマコード(参考)】
4B054
4G037
4G078
【Fターム(参考)】
4B054AA02
4B054AA23
4B054CD03
4B054CD07
4G037AA11
4G037CA12
4G037DA12
4G037DA15
4G037EA04
4G078AA01
4G078AA26
4G078AB09
4G078AB20
4G078BA05
4G078BA09
4G078CA09
4G078DA01
4G078DB04
4G078EA10
4G078EA20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】付着物の成長を抑制可能にする撹拌旋回装置及び撹拌装置を提供する。
【解決手段】撹拌容器3内を掻取り撹拌する掻取子27、29と、掻取子27、29を回転部21に支持する金属製の支持杆23、25とを備えた撹拌旋回装置5であって、支持杆23、25の外郭を形成する支持杆被覆部59を備え、支持杆被覆部59は、支持杆23、25に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成され、金属製の支持杆23、25の外郭を相対的に熱伝導率の低い材料で形成された支持杆被覆部59で形成するため、撹拌容器3内での高融点粘着性材の加熱を伴う掻取り撹拌処理に際し、金属製の支持杆23、25への付着物の成長を抑制することができることを特徴とする。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部側から加熱を受ける撹拌容器内の粘着性材を掻取り撹拌する掻取子と、
前記掻取子を回転部に支持する金属製の支持杆と、
を備えた撹拌旋回装置であって、
前記支持杆の外郭を形成する支持杆被覆部を備え、
前記支持杆被腹部は、前記支持杆に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された、
撹拌旋回装置。
【請求項2】
請求項1記載の撹拌旋回装置であって、
前記支持杆被腹部は、前記支持杆を内包するフッ素樹脂製のカバー筒である、
撹拌旋回装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の撹拌旋回装置であって、
前記支持杆は、先端に羽根支持部を備え、
前記掻取子は、金属製の羽根取付板に支持され、
前記羽根取付板は、前記羽根支持部に結合される羽根側取付部を突出して備え、
前記支持杆被腹部は、前記羽根支持部を含めて前記羽根側取付部まで覆う、
撹拌旋回装置。
【請求項4】
請求項3記載の撹拌旋回装置であって、
前記羽根取付板を覆う取付板被腹部を備え、
前記取付板被腹部は、前記羽根取付板に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された、
撹拌旋回装置。
【請求項5】
請求項4記載の撹拌旋回装置であって、
前記取付板被腹部は、前記羽根取付板の背面を覆うフッ素樹脂製のカバー板である、
撹拌旋回装置。
【請求項6】
請求項1~4の何れか1項に記載の撹拌旋回装置を用いる撹拌装置であって、
前記回転部の回転により前記支持杆を介して前記掻取子を加熱した撹拌容器内で旋回移動させて高融点粘着物を掻取り撹拌する、
撹拌装置。
【請求項7】
底部側から加熱を受ける金属製の第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、
前記第1の攪拌容器内で粘着性材を前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、
前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移し前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせる攪拌処理装置であって、
前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移すためのシュートを備え、
前記シュートは、金属で形成されこの金属に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されたシュート被腹部を備え、又は金属に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された、
撹拌装置。
【請求項8】
底部側から加熱を受ける金属製の第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、
前記第1の攪拌容器内で粘着性材を前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、
前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移し前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせる攪拌処理装置であって、
前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器に向けた移送態様に転傾動作可能であり、
前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器側に注ぎ口を備え、
前記注ぎ口は、金属製の第1の攪拌容器に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された注ぎ口被腹部を備え、又は金属製の第1の攪拌容器に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成され、
前記第1の攪拌容器の移送態様で前記前段の攪拌処理による中間処理物を前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記注ぎ口から前記第2の攪拌容器側へ移送する、
撹拌装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、高融点粘着性材の撹拌に適した撹拌旋回装置及び撹拌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、撹拌装置として、特許文献1に記載の撹拌機のようなものがある。この撹拌機は、掻取羽根を備え、この掻取羽根の自転及び公転により加熱を伴いながら撹拌容器内の被撹拌物を掻取り撹拌処理することができる。
【0003】
かかる撹拌機により飴等、溶融状態の高融点粘着性材と粒子状固体を攪拌混合するような場合、高融点粘着性材が掻取羽根やこれを回転部に支持する軸等に付着し、時間の経過と共に付着物が成長し増大することになる。
【0004】
特に掻取羽根を回転部に支持する羽根パイプ等は、掻取り撹拌処理時に被撹拌物から撹拌による抵抗を受けるため強度を保つ必要から金属製としている。このため、羽根パイプ等に溶融状態の高融点粘着性材が付着すると付着物として成長し易くなっていた。
【0005】
そして、この付着物は加熱混合された履歴が製品に比べて不均一・不十分であり、剥離した付着物が製品に混入すると、製品の品質が不均一になるという問題があった。
【0006】
また、製造終了後に掻取羽根等からの付着物除去のための洗浄時間の増大や、付着物増大による製品収量低下という問題もあった。
【0007】
このため、高融点粘着性材の加熱を伴う掻取り撹拌処理には、付着物の成長を抑制することが肝要となる。
【0008】
また、かかる付着物の成長は、高融点粘着性材を他の攪拌装置等に移送してその後の処理を行う場合に、ガス加熱等の熱が届き難い移送用のシュート等でも同様に起こり得るため、同様に付着物の成長を抑制することが肝要となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
解決しようとする問題点は、加熱を受けて溶融状態の粘着性材が付着し付着物として成長し易くなっていた点である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本願発明は、加熱を受けて溶融状態にある粘着性材の付着物の成長を抑制可能にするため、底部側から加熱を受ける撹拌容器内で粘着性材を掻取り撹拌する掻取子と、前記掻取子を回転軸に支持する金属製の支持杆とを備えた撹拌旋回装置であって、前記支持杆の外郭を形成する支持杆被覆部を備え、前記支持杆被腹部は、前記支持杆に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本願発明は、上記構成であるから、金属製の支持杆の外郭を相対的に熱伝導率の低い材料で形成された支持杆被腹部で形成し、底部側から加熱を受ける撹拌容器内で粘着性材の掻取り撹拌処理に際し、金属製の支持杆への付着物の成長を支持杆被腹部で抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】実施例1に係り、攪拌装置を正面側から見た一部省略の概略断面図である。
【
図2】実施例1に係り、支持杆に掻取羽根を取り付けた状態の概略正面図である。
【
図3】実施例1に係り、
図2のIII-III線矢視断面図である。
【
図4】実施例1に係り、
図2のIV-IV線矢視断面図である。
【
図5】実施例1に係り、羽根取付板に取り付けた掻取羽根の背面図である。
【
図6】実施例2に係り、(A)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた中間処理物移送時における攪拌処理装置の概略平面図であり、(B)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた中間処理物移送時における攪拌処理装置の概略側面図である。
【
図7】実施例2に係り、(A)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた排水時における攪拌処理装置の概略平面図であり、(B)は、第1、第2の攪拌処理部を備えた排水時における攪拌処理装置の概略側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本願発明は、加熱を受けて溶融状態にある粘着性材の付着物の成長を抑制可能にするという目的を以下のように実現した。
【0015】
底部側から加熱を受ける撹拌容器内で粘着性材を掻取り撹拌する掻取子と、前記掻取子を回転軸に支持する金属性の支持杆とを備えた撹拌旋回装置であって、前記支持杆の外郭を形成する支持杆被覆部を備え、前記支持杆被腹部は、前記支持杆に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された形態で実現した。
【0016】
前記掻取子は、掻取羽根、棒状撹拌子などで実現できる。
【0017】
前記掻取子が攪拌する粘着性材は、加熱を受けて溶融状態となるものである。例えば、粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴って攪拌処理する場合で実現する。この攪拌処理の結果物から粘着性材を固化コーティングした状態で粒又は塊ごとにほぐした処理物を結果的に得る場合で実現する。粒状又は塊状の固形物としては、粘着性材をコーティングできるものであればよく、例えばナッツ、ポップコーン、納豆などである。粘着性材としては、攪拌により固形物をコーティングできるものであればよく、例えばカラメル、チョコレート、飴などである。
【0018】
但し、前記被撹拌物は、加熱を受けて溶融状態の粘着性材であればよく、ほぐし撹拌処理を必要とするものに限定されるものでは無く、上記処理物に限らず、その他の食品、さらには食品に限らず、医薬、医薬部外品、漢方薬、各種材料などのほぐし処理で実現することもできる。
【0019】
前記金属製の支持杆は、ステンレス製のパイプ材等で実現している。支持杆は、回転軸から掻取子に旋回力を伝達できればよく、ステンレス以外の金属によるパイプ材、中実材等で実現することもできる。
【0020】
前記支持杆の外郭を形成する支持杆被覆部は、支持杆の一部、或は全体の外郭として実現できる。
【0021】
前記相対的に熱伝導率の低いとは、支持杆に対する支持杆被腹部の関係を意味し、支持杆よりも支持杆被腹部の熱伝導率が低いことを意味する。
【0022】
前記支持杆よりも支持杆被腹部の熱伝導率が僅かに低い関係でも支持杆被腹部が存在せず支持杆が完全に露出する場合に比較して付着物成長を抑制する技術的意義はある。
【0023】
前記支持杆被腹部は、前記支持杆を内包するフッ素樹脂製のカバー筒で実現した。但し、支持杆被腹部は、支持杆に対して相対的に熱伝導率の低いフッ素樹脂以外の材料のカバー筒で実現することもできる。支持杆被腹部は、支持杆へのフッ素樹脂、その他相対的に熱伝導率の低い材料でのコーティングやライニングで実現することもできる。
【0024】
前記支持杆は、先端に羽根支持部を備え、前記掻取子は、金属製の羽根取付板に支持され、前記羽根取付板は、前記羽根支持部に結合される羽根側取付部を突出して備え、前記支持杆被腹部は、前記羽根支持部を含めて前記羽根側取付部まで覆うように実現することもできる。
【0025】
前記羽根側取付部は、羽根取付板から一体に板状に突出する形態、棒状に突出する形態等、自由に実現できる。
【0026】
前記羽根側取付部まで覆うとは、羽根支持部を覆うカバー筒にカバー舌部を形成し、羽根側取付部に対向するように覆う形態とするが、カバー筒をそのまま延長した形態で実現することもできる。
【0027】
前記羽根取付板を覆う取付板被腹部を備え、前記取付板被腹部は、前記羽根取付板に対して相対的に熱伝導率の低い材料で実現した。
【0028】
前記相対的に熱伝導率の低いとは、羽根取付板に対する取付板被腹部の関係を意味し、羽根取付板よりも取付板被腹部の熱伝導率が低いことを意味する。
【0029】
前記羽根取付板よりも取付板被腹部の熱伝導率が僅かに低い関係でも取付板被腹部が存在せず羽根取付板が完全に露出する場合に比較して付着物成長を抑制する技術的意義はある。
【0030】
前記取付板被腹部は、前記羽根取付板の背面を覆うフッ素樹脂製のカバー板で実現した。但し、取付板被腹部は、羽根取付板に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されればよく、フッ素樹脂製のカバー板に限らない。取付板被腹部は、その他相対的に熱伝導率の低いフッ素樹脂以外の材料のカバー、或は羽根取付板へのフッ素樹脂、その他相対的に熱伝導率の低い材料のコーティングやライニングで実現することもできる。
【0031】
前記撹拌旋回装置を用いる撹拌装置であって、前記回転軸の回転により前記支持杆を介して前記掻取子を加熱した撹拌容器内で旋回移動させて高融点粘着物を掻取り撹拌する撹拌装置として実現することができる。
【0032】
前記撹拌装置は、縦型の撹拌容器に上下方向の回転軸を備え、前記掻取子が前記撹拌容器に対して上下方向の軸心回りに旋回移動する縦型撹拌装置として実現できる。
【0033】
前記撹拌装置は、縦型の撹拌容器に上下斜め方向の回転軸を備え、前記掻取子が前記撹拌容器に対して上下斜め方向の軸心回りに旋回移動する斜軸撹拌機としても実現できる。
【0034】
前記撹拌装置は、横型の撹拌容器に横方向の回転軸を備え、前記掻取子が前記撹拌容器に対して横方向の軸心回りに上下方向に旋回移動する横型撹拌装置としても実現できる。
【0035】
本発明は、底部側から加熱を受ける金属製の第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、前記第1の攪拌容器内で粘着性材を前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移し前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせる攪拌処理装置であって、前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移すためのシュートを備え、前記シュートは、金属で形成されこの金属に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されたシュート被腹部を備え、又は金属に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された態様で実現した。
【0036】
前記シュート被腹部は、前記シュートを覆うフッ素樹脂製のライニングで実現した。但し、シュート被腹部は、金属に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されればよく、フッ素樹脂製のライニングに限らない。シュート被腹部は、その他相対的に熱伝導率の低いフッ素樹脂以外の材料のカバー、或はシュートへのフッ素樹脂、その他相対的に熱伝導率の低い材料のコーティングで実現することもできる。
【0037】
また、前記シュートは、そのものを金属に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成する態様でも実現できる。
【0038】
本発明は、底部側から加熱を受ける金属製の第1の攪拌容器に対し第1の攪拌部が撹拌回転する第1の攪拌処理部と第2の攪拌容器に対し第2の攪拌部が撹拌回転する第2の攪拌処理部とを別々に備え、前記第1の攪拌容器内で粘着性材を前記第1の攪拌部により前段の攪拌処理を行なわせて中間処理物を製造し、前記中間処理物を前記第1の攪拌処理部から前記第2の攪拌処理部に移し前記第2の攪拌部により後段の攪拌処理を行なわせる攪拌処理装置であって、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器に向けた移送態様に転傾動作可能であり、前記第1の攪拌容器は、前記第2の攪拌容器側に注ぎ口を備え、前記注ぎ口は、金属製の第1の攪拌容器に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された注ぎ口被腹部を備え、又は金属製の第1の攪拌容器に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成され、前記第1の攪拌容器の移送態様で前記前段の攪拌処理による中間処理物を前記第1の攪拌容器の傾斜を利用して前記注ぎ口から前記第2の攪拌容器側へ移送する態様で実現した。
【0039】
前記注ぎ口被腹部は、前記注ぎ口を覆うフッ素樹脂製のライニングで実現した。但し、注ぎ口被腹部は、金属製の第1の攪拌容器に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されればよく、フッ素樹脂製のライニングに限らない。注ぎ口被腹部は、その他相対的に熱伝導率の低いフッ素樹脂以外の材料のカバー、或は注ぎ口へのフッ素樹脂、その他相対的に熱伝導率の低い材料のコーティングで実現することもできる。
【0040】
また、前記注ぎ口は、そのものを金属製の第1の攪拌容器に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成する態様でも実現できる。
【実施例0041】
[撹拌装置]
図1は、実施例1に係り、攪拌装置を正面側から見た一部省略の概略断面図である。
【0042】
図1の撹拌装置1は、縦型加熱攪拌装置の要部を示している。この攪拌装置1は、例えば飴等、溶融状態の高融点粘着性材と粒子状固体を攪拌混合するものである。
【0043】
前記攪拌装置1は、撹拌容器3に対して撹拌旋回装置5を備えている。
【0044】
前記撹拌容器3は、鉄、ステンレス、銅などで鍋型に形成され、下部に皿状の底部を備えている。撹拌容器3は、図示しないベースフレームに支持されている。ベースフレーム上には、図示しないガス加熱装置が設けられ、撹拌容器3の下部に配置された構成となっている。撹拌容器3の底部は、制御ボックスの制御によるガス加熱装置によって加熱可能となっている。
【0045】
前記撹拌旋回装置5は、撹拌主駆動軸9と、公転ボックス11と、撹拌駆動軸13とを備えている。
【0046】
前記撹拌主駆動軸9は、撹拌容器3の上部に備えられて撹拌ヘッド15の先端部に支持されている。撹拌主駆動軸9は、撹拌ヘッド15内の駆動部であるギヤードモータ17により回転駆動され、自転する構成となっている。ギヤードモータ17は、図外の制御ボックスより駆動制御される。
【0047】
前記公転ボックス11は、平面から見てほぼ長円形状に形成されたボックス形状をなし、撹拌主駆動軸9に基端側が支持され、撹拌主駆動軸9の回転と共に先端側が撹拌主駆動軸9回りに旋回する。
【0048】
前記撹拌駆動軸13は、前記公転ボックス11の先端側に軸支持筒19により回転自在に支持され、撹拌主駆動軸9に対してギヤ結合により連動構成されている。
【0049】
前記撹拌駆動軸13には、回転部である板状の撹拌旋回部21が取り付けられ、この撹拌旋回部21に金属製の支持杆である羽根パイプ23、25を介して掻取子であるフッ素樹脂製の掻取羽根27、29が支持されている。前記軸支持筒19には、金属製の支持杆である屈曲した羽根パイプ31を介して掻取子であるフッ素樹脂製の掻取羽根33が取り付けられている。
【0050】
前記掻取羽根27、29、33は、前記撹拌容器3内を掻取り撹拌するものである。
【0051】
つまり、前記公転ボックス11の旋回と共に軸9を中心に公転する軸支持筒19により羽根パイプ31を介して掻取羽根33が公転し、撹拌容器3の側壁部に粘着性材により付着する固形物を底部方向に掻き落とす。同時に撹拌駆動軸13の自転及び公転によりには、羽根パイプ23、25を介して掻取羽根27、29が底部で旋回して掻取動作を行う。こうして撹拌容器3全体で固形物及び粘着性材を効果的に撹拌混合することができる。
【0052】
前記撹拌ヘッド15は、ベースフレーム側のヘッド支持ブラケットに回転自在に支持されている。撹拌ヘッド15とベースフレーム側との間には、図示しない油圧シリンダー装置が支持されている。油圧シリンダー装置は、図示しない制御ボックスにより駆動制御される。油圧シリンダー装置の駆動により撹拌ヘッド15を回動により上方へ退避させ、撹拌容器3の転傾動作を許容する。
【0053】
前記羽根パイプ23及び掻取羽根27と前記羽根パイプ25及び掻取羽根29との構造及び関係は、ほぼ同一であり、
図2~
図5を用いて前記羽根パイプ23及び掻取羽根27について説明し、前記羽根パイプ25及び掻取羽根29についての説明は省略する。
【0054】
図2は、実施例1に係り、支持杆に掻取羽根を取り付けた状態の概略正面図である。
図3は、実施例1に係り、
図2のIII-III線矢視断面図である。
図4は、実施例1に係り、
図3のIV-IV線矢視断面図である。
図5は、実施例1に係り、羽根取付板に取り付けた掻取羽根の背面図である。
【0055】
図2、
図3のように、羽根パイプ23の先端に掻取羽根27が結合されている。
【0056】
前記羽根パイプ23は、ステンレスなどで円筒状に形成され、上部にフッ素樹脂製の蓋部材35が取り付けられ、下部に羽根支持部としてステンレス製などのナックル部37が取り付けられている。ナックル部37の外径は、羽根パイプ23の外径と同一に設定されている。羽根パイプ23の外面軸方向の中間部には、ステンレス製のストッパーリング38が固定されている。
【0057】
前記羽根パイプ23には、ステンレス製などの取付軸39の下部が挿入され、この取付軸39は、蓋部材35を貫通して羽根パイプ23外へ突出している。取付軸39の上端部は、
図1のように撹拌旋回部21に固定された筒体41に嵌合し、ピン43が筒体41及び取付軸39を貫通して筒体41に対する取付軸39の回り止めが行われている。
【0058】
前記ナックル部37は、羽根パイプ23の先端に固定されている。ナックル部37は、掻取羽根27を支持するために二股に形成され、ボルト結合用の貫通穴及びねじ穴を二股に振り分けて備えている。
【0059】
図3,
図4のように、前記羽根パイプ23の内部には、伸縮ガイド用のガイドパイプ44が内装されている。ガイドパイプ44は、ステンレスなどで形成され、ガイド孔44aを備えている。
【0060】
前記取付軸39の下端部は、前記ガイド孔44aに嵌入しガイド孔44aに沿って移動可能となっている。取付軸39の下端には、係合用のガイド駒45が固定されている。ガイド駒45は、ガイド孔44aに嵌合して軸周りの回転が規制されつつガイド孔44aに沿って相対移動するようにガイドされる。
【0061】
前記取付軸39には、蓋部材35側においてばね受け47が固定されている。このばね受け47とガイドパイプ44との間にコイルスプリング49が配置されている。
【0062】
したがって、羽根パイプ23が掻取羽根27側からナックル部37を介して突き上げ力を受けると、ガイド孔44aがガイド駒45によりガイドを受けながら羽根パイプ23が上方へ移動する。この移動により取付軸39に対し羽根パイプ23が相対的に上方へ収縮移動する。この時、ガイドパイプ44に押圧されたコイルスプリング49がばね受け47で受けられ、コイルスプリング49が圧縮される。
【0063】
前記羽根パイプ23への突き上げ力がなくなると、コイルスプリング49の弾発力がガイドパイプ44を介して羽根パイプ23に入力され、羽根パイプ23が取付軸39に対して伸長移動することになる。
【0064】
図2、
図3、
図5の掻取羽根27は、撹拌容器3に対する摩擦係数を減少させ、ステンレス等の金属よりも熱伝導率の低い材料として、例えばフッ素樹脂で形成されている。掻取羽根27は、板状に形成され、正面から見てほぼ矩形状となっている。攪拌羽根27の羽根先縁27aは、撹拌容器3の湾曲した底部に応じて湾曲形成されている。
【0065】
前記掻取羽根27は、背面が羽根取付板51に支持されている。羽根取付板51は、掻取羽根27よりも小さく、掻取羽根27の上部背面中央部に重ねられ、2カ所のボルト53により掻取羽根27を締結固定している。
【0066】
前記羽根取付板51は、前記ナックル部37に結合される羽根側取付部55を備えている。羽根側取付部55は、羽根取付板51の上縁中央部から上方に突出している。羽根側取付部55は、ナックル部37の二股内に挿入されている。この羽根側取付部55には、ボルト57が遊嵌状態で貫通し、このボルト57がナックル部37に螺合している。前記ボルト57は、ナックル部37外において嵌合肥大部57aを備え、この嵌合肥大部57aの端面にボルト頭を備えている。
【0067】
前記羽根パイプ23は、外郭を形成する支持杆被覆部59を備えている。前記支持杆被腹部59は、前記羽根パイプ23に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されている。支持杆被腹部59の材料は、本実施例においてフッ素樹脂としている。
【0068】
前記支持杆被腹部59は、ほぼ円筒状に形成され羽根パイプ23を内包するフッ素樹脂製のカバー筒である。支持杆被腹部59の内径は、羽根パイプ23の外径とほぼ同等である。支持杆被腹部59による羽根パイプ23の内包は、羽根パイプ23の下端部から軸方向で半分程度まで行われている。但し、支持杆被腹部59により羽根パイプ23の全体を内包する構成にすることもできる。
【0069】
前記支持杆被腹部59の上端は、ストッパーリング38に突き当てられている。
【0070】
前記支持杆被腹部59の下端には、一対のカバー舌部59c、59dが一体に突設されている。カバー舌部59c、59dは、支持杆被腹部59の筒径方向内側に肉厚を増すように形成され、羽根側取付部59に平面で近接対向している。一方のカバー舌部59dには、掻取羽根27のすくい角に応じて面取59eが施されてている。なお、支持杆被腹部59の下端を有底状に形成し、底部分にスリットを形成して羽根側取付部59を貫通させる構成にすることもできる。
【0071】
前記支持杆被腹部59には、前記カバー舌部59cに隣接して径方向の貫通孔59fが形成されている。貫通孔59fには、ボルト57の嵌合肥大部57aが嵌合している。
【0072】
前記支持杆被腹部59は、前記ストッパーリング38と前記嵌合肥大部57aとにより軸方向の位置決めが行われている。
【0073】
こうして、前記支持杆被腹部59は、羽根パイプ23の外郭を形成する。この状態で支持杆被腹部59は、ナックル部37を含めて羽根側取付部55まで覆う構成となっている。
【0074】
但し、支持杆被腹部59が羽根パイプ23を覆う範囲は自由に設定することができる。
【0075】
前記羽根取付板51には、これを覆う取付板被腹部63を備えている。前記取付板被腹部63は、前記羽根取付板51に対して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されている。取付板被腹部63の材料は、本実施例においてフッ素樹脂としている。つまり、取付板被腹部63は、羽根取付板51の背面を覆うフッ素樹脂製のカバー板である。取付板被腹部63は、
図3、
図5のように羽根取付板51の背面をほぼ覆っている。取付板被腹部63の周縁には面取りが施されている。取付板被腹部63は、羽根取付板51に対し2個のビス65で締結固定されている。
【0076】
本実施例では、羽根パイプ25に
図1の支持杆被腹部59とほぼ同様の構成を備え、掻取羽根29の羽根取付板に
図3、
図5の取付板被腹部63と同様な構成を備えている。
【0077】
前記外周の掻取羽根33は、掻取羽根27、29と同様に羽根パイプ31にステンレス製等の羽根取付板により取り付けられている。したがって、掻取羽根33においても同様の構造で羽根取付板に
図3、
図5の取付板被腹部63と同様な構成を備えている。但し、掻取羽根33は、掻取羽根27、29とは異なる形状であり、羽取付板の形状も異なっている。この異なる形状の羽根取付板に取り付ける取付板被腹部は、この羽根取付板を覆う形状に形成されていることは言うまでもない。
【0078】
前記羽根パイプ31は、攪拌容器3内で比較的高い位置に配置され粘着性材等の処理物に接触しないため、支持杆被腹部を備えてはいない。但し、羽根パイプ31に処理物が付着する形態では、支持杆被腹部を備えてもよい。
【0079】
[撹拌駆動]
前記攪拌装置1の撹拌容器3は、撹拌旋回装置5の稼働時にガス加熱装置により加熱制御する。攪拌装置1では、撹拌ヘッド15を介して撹拌主駆動軸9に回転駆動力が伝達される。撹拌主駆動軸9が回転すると公転ボックス11が撹拌主駆動軸9の軸心回りに一体的に旋回する。この旋回により撹拌駆動軸13が撹拌主駆動軸9の軸心回りである撹拌容器3の中心回りに公転する。
【0080】
同時に公転ボックス11内部の歯車の噛み合いを介して撹拌主駆動軸9から撹拌駆動軸13に回転駆動力が伝達される。この回転伝達により撹拌駆動軸13が軸心回りに自転駆動される。
【0081】
すなわち、撹拌駆動軸13は、撹拌主駆動軸9の軸心回りで自転、公転駆動され、掻取羽根27,29が撹拌容器3の底部を掻き取り移動する。また、外周の掻取羽根33は、軸支持筒19と共に公転して撹拌容器3の側壁部を掻き取り移動する。
【0082】
前記撹拌容器3の底部は、加熱の直接的なえ伝熱面であり、掻取羽根27,29、33の掻き取りにより伝熱が促進される。特に、底部の粘着性材を更新し、焦げの発生防止に大きな効果がある。
【0083】
[処理物の製造]
始めに粒状又は塊状の固形物と粘着性材との原料を撹拌容器3に投入する。
【0084】
前記撹拌旋回装置5が駆動制御されると撹拌駆動軸13の自転、公転により羽根パイプ23、25、31が旋回し、掻取羽根27、29、33が掻取り攪拌動作する。同時に制御ボックスの制御によりガス加熱装置が稼働され、撹拌容器3が加熱制御される。撹拌容器3内の原料が加熱を伴って撹拌処理される。
【0085】
かかる撹拌装置1により飴等、溶融状態の高融点粘着性材と粒子状固体とを攪拌混合する場合、高融点粘着性材が掻取羽根27、29、33等やこれを支持する羽根パイプ23、25等に付着しようとする。
【0086】
このとき、羽根パイプ23及び掻取羽根27の支持杆被覆部59及び取付板被腹部63に高融点粘着性材が付着しても熱伝導率が低いために高融点粘着性材の熱が奪われるのを抑制する。且つ支持杆被覆部59及び取付板被腹部63の摩擦係数の低さから付着した高融点粘着性材がそのまま付着物として成長することが抑制される。
【0087】
この作用は、羽根パイプ25及び掻取羽根29の支持杆被覆部及び取付板被腹部、掻取羽根33の取付板被腹部においても同様である。
【0088】
したがって、成長した付着物が剥離して製品に混入することが抑制され、製品の品質を向上させることができる。
【0089】
また、製造終了後に羽根パイプ23、25、掻取羽根27、29等からの付着物除去のための洗浄時間も減少させることができ、製品収量低下も抑制できる。
前記第1、第2の攪拌処理部103、105は、隣接して配置されている。第1の攪拌処理部103は、第1の攪拌容器107に対し第1の攪拌部109が横(水平)方向に旋回する構成となっている。第2の攪拌処理部105は、第2の攪拌容器111に対し第2の攪拌部が上下(垂直)方向に旋回する構成となっている。
前記第1の攪拌容器107で粒状又は塊状の固形物と粘着性材とを加熱を伴って前記第1の攪拌部109により前段の攪拌処理を行なわせることで中間処理物を製造する。前記中間処理物を前記第1の攪拌容器107から前記第2の攪拌容器111に移し冷却を伴って前記第2の攪拌部により上下方向での後段の攪拌処理を行なわせる。前記後段の攪拌処理により前記粒状又は塊状の固形物に前記粘着性材をコーティングした状態で粒又は塊ごとにほぼほぐした処理物を得る。
前記第1の攪拌容器107は、前記第2の攪拌容器111に向けた移送態様又は洗浄態様に転傾動作可能である。第1の攪拌容器107の移送態様で前段の攪拌処理による中間処理物を第1の攪拌容器107の傾斜を利用して第2の攪拌容器111へ移送し、第1の攪拌容器107の洗浄態様で第1の攪拌容器107内の洗浄水を排出可能にする。
前記第1の攪拌処理部103の第1の攪拌容器107は、鉄、ステンレス、銅などで鍋型に形成され、下部に皿状の底部を備えている。第1の攪拌容器107の開口部一側には、注ぎ口179が設けられている。
前記注ぎ口179は、第1の攪拌容器107の外側へ第2の攪拌処理部105に向って突出形成され、若干の先細に形成されている。注ぎ口179は、底板及び底板に沿って立ち上がる左右のガイド板により樋状に形成されている。
前記注ぎ口179は、第1の攪拌容器107同様に例えばステンレスなどの金属により形成され、第1の攪拌容器107に一体的に結合されている。この注ぎ口179は、例えば表裏全体がフッ素樹脂でライニングされている。フッ素樹脂のライニングは、ステンレス製の注ぎ口179に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成された注ぎ口被腹部を構成する。なお、注ぎ口被腹部は、移送時に中間処理物が触れる範囲として底板の上面及び左右のガイド板の内面のみに備える構成にすることもできる。
前記第1の攪拌容器107は、ベースフレーム117に転傾動作可能に支持されている。ベースフレーム117は略矩形に組まれ、四隅に脚部を備えている。ベースフレーム117には、第2の攪拌処理部111側において左右の回転支持部119が設けられている。回転支持部119は、ボールベアリングなどを含んで形成されている。回転支持部119には、回転軸121が軸支されている。回転軸121は、ベースフレーム117上に配置支持されている。
前記ベースフレーム117上には、ガス加熱装置125が設けられ、前記第1の攪拌容器107の下部に配置された構成となっている。第1の攪拌容器107の底部は、制御ボックス126の制御によるガス加熱装置125によって加熱可能となっている。
前記第2の攪拌処理部105の第2の攪拌容器111は、第1の撹拌容器107から中間処理物を受け入れるものであり、鉄、ステンレス、銅などで形成されている。前記第2の攪拌容器111は、横置きの円筒部159の上部にホッパー部161を一体に備えたものである。ホッパー部161は、第2の攪拌容器111の上部開口を形成する。この第2の攪拌容器111は、ベースフレーム162に軸周りで双方向に傾斜動作可能に支持されている。この傾斜動作は制御ボックス169での油圧シリンダーの制御等により行われる。
前記円筒部159の軸心部には、第2の攪拌部の回転軸が横方向に配置され回転自在に支持されている。回転軸は、制御ボックス169側の駆動モーターによって回転駆動されるようになっている。回転軸には、所定間隔で撹拌アームが取り付けられ、各撹拌アームの先端に掻取羽根が取り付けられている。
前記第2の攪拌容器111内の軸方向中間部に位置する掻取羽根は、第2の攪拌容器111の円筒部159を掻取り回転する配置となっている。この掻取羽根は、羽根先が第2の攪拌容器111内の軸方向に沿って配置されており、羽根先縁は直線的等となっている。
つまり、これら掻取羽根は、第1の攪拌処理部103から移送された中間処理物を冷却を伴って撹拌処理し、ナッツ粒等の固形物に被覆されたカラメル等の粘着性材を固化させ、固形物ごとにほぐすように撹拌処理する形状、配置となっている。
前記第2の攪拌容器111の円筒部159は、下部外周に冷却用の流体ジャケット171を備えている。流体ジャケット171は給水配管により給水部に接続され、制御ボックス169による制御で給水部から流体ジャケット171に冷却水が給水制御できるようになっている。冷却水の温度は、制御ボックス169の制御で変更できるようになっている。
前記シュート175は、前記第1の攪拌容器107と前記第2の攪拌容器111との間に連携して配置されている。シュート175は、例えばステンレスなどの金属により形成され、フッ素樹脂でライニングされている。フッ素樹脂のライニングは、金属製のシュート175に比較して相対的に熱伝導率の低い材料で形成されたシュート被腹部を構成する。シュート被腹部は、シュート175の全体に設けられているが、移送時に中間処理物が触れる範囲のみに備える構成にすることもできる。
前記シュート175は、平板状のシュート底部に対してシュート側壁を両側に備えている。シュート175は、回転軸176によりシュートフレーム178に回転可能に支持されている。シュートフレーム178は、第1の攪拌処理部103のベースフレーム117の第1の回転支持部119間に対向している。
前記シュートフレーム178は、第1、第2の攪拌処理部103、105のベースフレーム117、162に対して独立している。シュートフレーム178は、第1、第2の攪拌処理部103、105に対し、移動させることも可能である。
前記第1の攪拌部109が駆動制御されると掻取羽根が自転公転する。同時に制御ボックス126の制御によりガス加熱装置25が稼働され、第1の攪拌容器107が加熱制御される。この状態で第1の攪拌部109が駆動制御され第1の攪拌容器107内の原料が加熱を伴って撹拌処理され、中間処理物が製造される。
このとき、第1の攪拌部109での支持杆被覆部や取付板被腹部等により、実施例1同様にして羽根パイプ等での高融点粘着性材がそのまま付着物として成長することが抑制され、同様の作用効果を奏することができる。
次に、第1の攪拌容器107の加熱制御、第1の攪拌部109の駆動制御が停止され、撹拌ヘッド137の回動により第1の撹拌部109が第1の攪拌容器107の上方一側へ退避される。
このとき、第1の攪拌容器107のガス加熱装置25での加熱は底部側から行われ、注ぎ口179やシュート175は、十分には温度上昇がなされない恐れがある。このため、注ぎ口179やシュート175がステンレス等の金属のままであれば、飴等、溶融状態の高融点粘着性材と粒子状固体とが攪拌混合された中間処理物が移動するとき冷やされて付着しようとする。
しかし、注ぎ口179は、フッ素樹脂の注ぎ口被腹部でライニングされ、シュート175は、フッ素樹脂のシュート被腹部でライニングされているので、表面の熱伝導率はステンレス等の金属よりも低くなっている。
このため、注ぎ口179やシュート175に高融点粘着性材が付着しても熱伝導率が低いために高融点粘着性材の熱が奪われるのを抑制する。且つ注ぎ口被腹部及びシュート被腹部の摩擦係数の低さから付着した高融点粘着性材がそのまま付着物として成長することが抑制される。
前記のように中間処理物が第2の攪拌容器111内へ移送されると、第1の攪拌容器107の転傾動作が戻され、給水部から給水配管を通して流体ジャケット171へ冷却水が供給される。この状態で第2の攪拌部が駆動され、第2の攪拌容器111では、後段の攪拌処理として中間処理物が冷却を伴って撹拌処理される。
この第2の攪拌容器111での撹拌処理では、掻取羽根の撹拌回転により中間処理物が上下方向に撹拌回転され、固形物にコーティングされた粘着性材が冷却、固化され、粒又は塊ごとにほぐした処理物を得ることができる。
このとき、第2の攪拌容器111での撹拌回転が横方向ではなく、重力方向であるため、掻取羽根で掻き上げられた固形物が第2の攪拌容器111内で落下し、表面のコーティングが次第に固化する固形物相互の分離を促進させることができる。
生産終了後は第1、第2の攪拌処理部103、105の何れも洗浄する。特に第1の攪拌処理部103では、第1の攪拌容器107の容器内部或は第1の攪拌部109への粘着性材及び固形物の付着を除去して清浄にする必要がある。
排水時にシュート175は、回転軸176で回転することで第1の攪拌容器107側へ下降傾斜するように切り替え設定される。この状態では、転傾動作した第1の攪拌容器107の注ぎ口179がシュート175のシュート底部の中間上に対向する。