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特開2023-37250深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システム
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  • 特開-深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037250
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システム
(51)【国際特許分類】
   G01V 1/02 20060101AFI20230308BHJP
   G01V 1/00 20060101ALI20230308BHJP
   G01V 1/20 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G01V1/02 D
G01V1/00 C
G01V1/20
【審査請求】有
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143887
(22)【出願日】2021-09-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2021-11-17
(71)【出願人】
【識別番号】505378714
【氏名又は名称】株式会社アーク・ジオ・サポート
(74)【代理人】
【識別番号】100190274
【弁理士】
【氏名又は名称】山下 滋之
(72)【発明者】
【氏名】池田 克彦
(72)【発明者】
【氏名】森 裕之
(72)【発明者】
【氏名】門元 之郎
【テーマコード(参考)】
2G105
【Fターム(参考)】
2G105AA02
2G105BB01
2G105CC01
2G105DD02
2G105EE02
2G105LL01
2G105NN01
(57)【要約】
【課題】ストリーマケーブルにおけるアクティブケーブルの深度を調整し保持する深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システムを提供すること。
【解決手段】船舶によって曳航されるストリーマケーブルにおける複数の受振器を備えたアクティブケーブルの海中での深度を保持する深度保持部材。深度保持部材は、同形状である2つの浮体と、2つの浮体が間隔をあけて固定される固定部材と、固定部材における2つの浮体間の中間の位置に連結され、一端部がアクティブケーブルに連結される深度調整部と、を有している。深度調整部は、固定部材との連結箇所から一端部までの長さが、アクティブケーブルの目標深度に基づいて設定されている。
【選択図】図3

【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶によって曳航されるストリーマケーブルにおける複数の受振器を備えたアクティブケーブルの海中での深度を保持する深度保持部材であって、
同形状である2つの浮体と、
2つの前記浮体が間隔をあけて固定される固定部材と、
前記固定部材における2つの前記浮体間の中間の位置に連結され、一端部が前記アクティブケーブルに連結される深度調整部と、を有し、
前記深度調整部は、
前記固定部材との連結箇所から前記一端部までの長さが、前記アクティブケーブルの目標深度に基づいて設定されている、深度保持部材。
【請求項2】
船舶によって曳航されるストリーマケーブルにおける複数の受振器を備えたアクティブケーブルの海中での深度を保持する深度保持部材であって、
一方向に延伸する同形状の2つの浮体と、2つの前記浮体が向きを揃え間隔をあけて固定される固定部材と、を備えた双胴形状の浮体部と、
前記固定部材における2つの前記浮体間の中間の位置に連結され、一端部が前記アクティブケーブルに連結される深度調整部と、を有し、
前記深度調整部は、
前記固定部材との連結箇所から前記一端部までの長さが、前記アクティブケーブルの目標深度に基づいて設定されている、深度保持部材。
【請求項3】
前記深度調整部は、
前記固定部材に他端部が連結され、該他端部から前記一端部まで延伸する棒状の調整部材を含む、請求項1又は2に記載の深度保持部材。
【請求項4】
前記深度調整部は、
前記固定部材に他端部が連結され、該他端部から前記一端部まで延伸する棒状の調整部材を2つ有し、
2つの前記調整部材は、
前記アクティブケーブルの軸方向に沿うように所定距離を隔てて前記固定部材に連結されるものである、請求項1又は2に記載の深度保持部材。
【請求項5】
前記深度調整部は、
棒状の部材が長方形状に接続され、前記固定部材に連結される枠部を有し、
前記固定部材は、
棒状又は板状に形成され、2つの前記浮体をつなぐ一対の外部材を有し、
一対の前記外部材は、所定距離を隔てて平行に配置されており、
前記枠部は、
前記固定部材との連結箇所から前記一端部に向かう方向が前記長方形状における長手方向となるように配置されると共に、一対の前記外部材に固定されるものである、請求項1又は2に記載の深度保持部材。
【請求項6】
前記枠部は、
前記長方形状における長手方向に沿う2本の長棒部と、
前記長方形状における短手方向に沿う2本の短棒部と、を有し、
前記一端部に対応する一方の前記短棒部は、
前記長方形状における短手方向が前記アクティブケーブルの軸方向と平行になるよう前記アクティブケーブルに連結されるものである、請求項5に記載の深度保持部材。
【請求項7】
前記枠部は、前記固定部材への連結箇所が可変となっている、請求項5又は6に記載の深度保持部材。
【請求項8】
前記深度調整部の前記一端部に設けられたウエイトを有する、請求項1~7の何れか一項に記載の深度保持部材。
【請求項9】
請求項3又は4に記載の深度保持部材と、
前記アクティブケーブルに設けられ、前記アクティブケーブルに対し前記調整部材を回動自在とする回動部材と、を有し、
前記調整部材は、
前記一端部が前記回動部材に固定されるものである、深度保持ユニット。
【請求項10】
請求項5~7の何れか一項に記載の深度保持部材と、
前記アクティブケーブルに設けられ、前記アクティブケーブルに対し前記枠部を回動自在とする回動部材と、を有し、
前記枠部は、
前記一端部が前記回動部材に固定されるものである、深度保持ユニット。
【請求項11】
船舶の左右の舷のうちの少なくとも一方に設けられる震源ユニットと、
請求項1~8の何れか一項に記載の2つの深度保持部材と、を有し、
前記震源ユニットは、
前記舷の前後方向における中央の箇所に取り付けられる棒状の支持部材と、
前記支持部材の一方の端部に取り付けられる震源装置と、を有し、
2つの前記深度保持部材は、
前記アクティブケーブルの両端部に設けられる、海底地質探査システム。
【請求項12】
前記舷の前後方向における中央の箇所に設けられ、該箇所に前記支持部材を連結する連結部材を有し、
前記連結部材は、
前記支持部材の連結箇所を中心として、前記支持部材を回動可能に連結するものである、請求項11に記載の海底地質探査システム。
【請求項13】
請求項1~8の何れか一項に記載の深度保持部材であって、前記アクティブケーブルの前端部に取り付けられる第1深度保持部材と、
請求項1~8の何れか一項に記載の深度保持部材であって、前記アクティブケーブルの後端部に取り付けられる第2深度保持部材と、
船舶の船尾と前記第1深度保持部材とをつなぐ第1ロープと、
前記アクティブケーブルと前記第2深度保持部材とをつなぐ第2ロープと、を有する、海底地質探査システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶によって曳航されるストリーマケーブルの深度を保持する深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
船舶により曳航されるストリーマケーブルに備わる複数の受振器によって、震源から発せられる音波の海底面及び地層境界面等からの反射波を受振する海底地質探査システムが知られている。こうした海底地質探査システムは、受振した反射波を解析して地質構造や活断層分布などを探査するようになっている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1の海底地質探査システムは、船舶にて曳航される発振ケーブルに複数の震源が設けられており、ストリーマケーブルの受振器が受振した合成波を複数の反射波に分離して解析するようになっている。ここで、ストリーマケーブルにおいて、複数の受振器が所定の間隔を隔てて設けられている部分をアクティブケーブルという。海底地質探査システムにおいて、精度のよい解析結果を得るためには、曳航時のアクティブケーブルの深さが予め設定された目標深度となるように調整し、保持する必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2018-185206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のような従来のシステムにおいて、曳航時のアクティブケーブルの深度は、その自重に依拠するため調整が困難である。また、従来のシステムでは、ストリーマケーブルが海面の波浪などの影響をダイレクトに受けるため、アクティブケーブルの深度を保持することも容易ではない。
【0006】
本発明は、上述のような課題を解決するためになされたものであり、曳航時のストリーマケーブルにおけるアクティブケーブルの深度を調整し保持する深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一態様に係る深度保持部材は、船舶によって曳航されるストリーマケーブルにおける複数の受振器を備えたアクティブケーブルの海中での深度を保持する深度保持部材であって、同形状である2つの浮体と、2つの浮体が間隔をあけて固定される固定部材と、固定部材における2つの浮体間の中間の位置に連結され、一端部がアクティブケーブルに連結される深度調整部と、を有し、深度調整部は、固定部材との連結箇所から一端部までの長さが、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。
【0008】
本発明の一態様に係る深度保持ユニットは、固定部材に他端部が連結され、該他端部から一端部まで延伸する棒状の調整部材を含む、上記の深度保持部材と、アクティブケーブルに設けられ、アクティブケーブルに対し調整部材を回動自在とする回動部材と、を有し、調整部材は、一端部が回動部材に固定されるものである。
本発明の一態様に係る深度保持ユニットは、棒状の部材が長方形状に接続された枠部を有する、上記の深度調整部と、アクティブケーブルに設けられ、アクティブケーブルに対し枠部を回動自在とする回動部材と、を有し、枠部は、一端部が回動部材に固定されるものである。
【0009】
本発明の一態様に係る海底地質探査システムは、船舶の左右の舷のうちの少なくとも一方に設けられる震源ユニットと、上記の2つの深度保持部材と、を有し、震源ユニットは、舷の前後方向における中央の箇所に取り付けられる棒状の支持部材と、支持部材の一端部に取り付けられる震源装置と、を有し、2つの深度保持部材は、アクティブケーブルの両端部に設けられるものである。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、固定部材における2つの浮体間の中間の位置に連結される深度調整部の、固定部材との連結箇所から一端部までの長さが、アクティブケーブルの目標深度に基づいて設定されている。そのため、ストリーマケーブルにおけるアクティブケーブルの深度を調整し保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施の形態1に係る海底地質探査システムの全体的な構成例を示す説明図である。
図2】本発明の実施の形態1に係る海底地質探査システムの概要を例示した概略構成図である。
図3図1の深度保持部材を例示した斜視図である。
図4図1及び図2の震源ユニットとその周辺構成を例示した斜視図である。
図5図1の探査制御装置の機能的構成を例示したブロック図である。
図6】本発明の実施の形態1の変形例に係る深度保持ユニットを例示した斜視図である。
図7】本発明の実施の形態2に係る深度保持部材を例示した斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
実施の形態1.
図1及び図2を参照して、本実施の形態1における海底地質探査システム100の全体的な構成例について説明する。海底地質探査システム100は、震源から発生され、海底下の物性境界で反射した弾性波をストリーマケーブルで検知し、検知した振動を電気信号に変換して海底下の地層や地質構造などを探査する、いわゆる三次元物理探査を実現するものである。
【0013】
図1に示すように、海底地質探査システム100は、船舶500の左右の舷のうちの少なくとも一方に設けられる震源ユニット50と、船舶500によって曳航されるストリーマケーブル60と、を有している。本実施の形態1において、海底地質探査システム100は、2つの震源ユニット50を有しており、これらはそれぞれ船舶500の左右の舷に1つずつ設けられている。
【0014】
震源ユニット50は、船舶500における舷の前後方向における中央の箇所に取り付けられる棒状の支持部材51と、支持部材51の一端部に取り付けられる震源装置52と、を有している。支持部材51は、船舶500の上下方向と平行になるよう取り付けられる。三次元物理探査のためのデータ収集を行う際(以下、探査時ともいう。)、震源装置52は海中に配置される。以降では、船舶500における舷のことを単に「舷」ともいう。震源ユニット50の詳細については後述する。なお、図1及び図2の例では、震源ユニット50の支持部材51と後ろ側の深度保持部材10とのそれぞれに、GNSS(Global Navigation Satellite System/全球測位衛星システム)に係るGNSSアンテナ66が取り付けられている。
【0015】
ストリーマケーブル60は、一端部が船舶500の船尾側に連結されるリードインケーブル61と、リードインケーブル61の他端部に接続され、複数の受振器62aを備えたアクティブケーブル62と、を有している。受振器62aは、例えば、音圧変化を電圧変化などに変換するハイドロフォンにより構成される。アクティブケーブル62において、複数の受振器62aは、水平分解能等をもとに設定された間隔をあけて配置されている。
【0016】
ここで、図2に示すように、船舶500により曳航されている状態のアクティブケーブル62において、リードインケーブル61側の端部から他方の端部に向かう方向、つまりアクティブケーブル62の中心軸が延びる方向のことを軸方向という。アクティブケーブル62では、複数の受振器62aが、軸方向に沿って連なっている。以降では、アクティブケーブル62の、リードインケーブル61側の端部を前端部ともいい、他方の端部を後端部ともいう。以下、アクティブケーブル62の軸方向を単に「軸方向」ともいう。
【0017】
海底地質探査システム100は、ストリーマケーブル60におけるアクティブケーブル62の海中での深度を調整し保持する深度保持部材10を有している。本実施の形態1の海底地質探査システム100は、1本のストリーマケーブル60に対し、2つの深度保持部材10が設けられる。図1のように、船舶500によって2本のストリーマケーブル60が曳航される場合、海底地質探査システム100は、計4つの深度保持部材10を有する。1本のストリーマケーブル60に対応する2つの深度保持部材10は、該アクティブケーブル62の両端部に設けられる。ここで、アクティブケーブル62の前端部は、最も前側に搭載された受振器62aの前端からリードインケーブル61との接続箇所までの所定の部分である。アクティブケーブル62の後端部は、最も後ろ側に搭載された受振器62aの後端から終端62zまでの所定の部分である。アクティブケーブル62は、前端部及び後端部のそれぞれに深度保持部材10が取り付けられた状態で海中に投入されると、その全域が目標深度まで沈む。
【0018】
海底地質探査システム100は、船舶500の船尾と前側の深度保持部材10とをつなぐロープ64aを有している。ロープ64aは、例えば、固定部材22における2つの浮体21間の中間の位置に取り付けられる。ロープ64aは、固定部材22の前方の外部材22a又は内部材22bにつなげるとよい。もっとも、ロープ64aは、固定部材22の後方の外部材22aにつなげてもよい。また、海底地質探査システム100は、アクティブケーブル62と後ろ側の深度保持部材10とをつなぐロープ64bを有している。ロープ64bは、アクティブケーブル62における前側の深度保持部材10と後ろ側の深度保持部材10との間の位置と、固定部材22における2つの浮体21間の中間の位置に取り付けられる。ロープ64aは、固定部材22の前方の外部材22a又は内部材22bにつなげるとよい。もっとも、ロープ64bは、固定部材22の後方の外部材22aにつなげてもよい。ここで、前側の深度保持部材10は「第1深度保持部材」に相当し、後ろ側の深度保持部材10は「第2深度保持部材」に相当する。また、ロープ64aは「第1ロープ」に相当し、ロープ64bは「第2ロープ」に相当する。
【0019】
図3に例示するように、深度保持部材10は、同形状である2つの浮体21と、2つの浮体21が間隔をあけて固定される固定部材22と、を備えた浮体部20を有している。また、深度保持部材10は、固定部材22における2つの浮体21間の中間の位置に連結され、一端部がアクティブケーブル62に連結される深度調整部30を有している。そして、深度調整部30は、固定部材22との連結箇所から一端部までの長さが、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。目標深度は、震源装置52の震源52sとの位置関係及び探査領域の水深などに基づいて設定される。本実施の形態1では、目標深度を1m~2m程度に設定した上で、深度保持部材10の全体的な構成が決定される。
【0020】
ここで、図3のようにx軸方向、y軸方向、及びz軸方向を定義し、x軸正側に位置する船舶500によってストリーマケーブル60が曳航されるものとする。深度保持部材10について、x軸方向を前後方向とし、y軸方向を左右方向とし、z軸方向を上下方向とし、特にx軸正側を前側とする。x軸方向は、アクティブケーブル62の軸方向に対応する。すなわち、深度保持部材10の前後方向は、アクティブケーブル62に取り付けられた状態において軸方向と平行になる。
【0021】
各浮体21は、一方向に延伸する形状を採っており、向きを揃えた状態で固定部材22に固定されている。すなわち、2つの浮体21は、延伸方向が前後方向と平行となるように固定部材22に固定されるため、深度保持部材10をアクティブケーブル62に取り付けると、延伸方向が軸方向に平行となる。各浮体21は、広義には、平面視楕円状もしくは平面視長円状に形成される。各浮体21は、進行方向側(前側)における少なくとも前方の部分を、船首状又は球体状に形成するとよい。2つの浮体21は、側面が真っ直ぐに対向するよう配置されている。すなわち、2つの浮体21は、前後方向における位置、つまり前端部と後端部の位置が等しくなるよう固定部材22に固定されている。
【0022】
各浮体21は、例えば繊維強化プラスチック(FRP:Fiber Reinforced Plastics)により形成される。各浮体21は、ABS樹脂などの他の樹脂により形成されてもよい。各浮体21は、中空構造であってもよく、全体が密な構造であってもよく、中空構造と密な構造とを組み合わせたものであってもよい。
【0023】
図3に例示する浮体21は、概ね左右対称となるように形成されており、かつ概ね前後対称となるように形成されている。浮体21は、上部から下部に向けて先細りとなるように形成されている。より具体的に、浮体21は、延伸方向を含む平面、つまりx-y平面における断面の面積が、上部から下部に向けて徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、浮体21は、左右方向の幅が、上部から下部に向けて徐々に短くなるように形成されている。
【0024】
また、浮体21は、延伸方向に垂直な平面、つまりy-z平面における断面の面積(中空構造の場合は中空部分も含む)が、延伸方向における中央部からx軸正側及びx軸負側に向けて徐々に小さくなるように形成されている。すなわち、浮体21は、前方及び後方が流線形となるように形成されている。そのため、船舶500に対する追従性、直進性、及び波浪による影響を低減することができる。また、造波や泡の発生を抑制することができるため、受振器62aが受振する合成波のノイズ成分を低減することができる。このように、浮体部20は、つながった2つの浮体21を含んで構成される双胴形状となっている。したがって、曳航時の安定性が高く、造波抵抗を減らすことができるため、アクティブケーブル62の深度を精度よく保持することができる。
【0025】
固定部材22は、複数の組立部材と、ボルトなどの連結具と、により構成される。複数の組立部材は、1又は複数の棒状の部材、もしくは1又は複数の板状の部材、又はこれらの組み合わせにより構成される。図3では、棒状の部材を主として構成された固定部材22を例示している。固定部材22を構成する棒状の部材は、アルミパイプや塩ビ管などのように、比較的軽量な材料で形成されたものが好ましい。板状の部材の材料も同様である。少なくとも固定部材22は、棒状又は板状に形成され、2つの浮体21をつなぐ一対の外部材22aを有している。一対の外部材22aは、所定距離を隔てて平行に配置されている。所定距離は、探査時の船舶500の速度、浮体21の形状・構造、アクティブケーブル62を他端部31nで支持する際の安定性などを考慮して予め設定される。図3の固定部材22は、一対の外部材22aの間に、これらに平行に配置される内部材22bを有している。固定部材22における各組立部材の形状、数、及び配置の他、2つの浮体21を固定する手法などは、図3の例に限らず、種々のバリエーションを選択することができる。
【0026】
本実施の形態1における深度調整部30は、棒状に形成された2つの調整部材31を有している。調整部材31の長さは、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。各調整部材31は、それぞれ、棒状部31aと、一端部31mと、他端部31nと、を有している。各調整部材31は、固定部材22との連結箇所である他端部31nから一端部31mまでの長さが、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。つまり、深度調整部30の一端部は、一方の調整部材31の一端部31mと、他方の調整部材31の一端部31mと、により構成される。図3では、比較的太く且つ重量のある1本のワイヤーからなり、両端部のそれぞれをリング状に曲げて固定することで一端部31m及び他端部31nを形成した調整部材31を例示している。調整部材31は、例えば炭素鋼により形成される。
【0027】
各調整部材31は、固定部材22に他端部32bが連結され、該他端部32bから一端部32aまで延伸する棒状の部材である。2つの調整部材31は、アクティブケーブル62の軸方向に沿うように、つまり軸方向と平行に並ぶように、所定距離を隔てて固定部材22に連結される。より具体的に、前側の調整部材31は、他端部31nが連結具41により前側の外部材22aに連結され、後ろ側の調整部材31は、他端部31nが連結具41により後ろ側の外部材22aに連結される。
【0028】
各調整部材31は、互いに平行となるように、それぞれの一端部31mが連結具42によりアクティブケーブル62に取り付けられる。図3では、連結具41及び連結具42の構造を簡易的に例示しているが、連結具41及び連結具42としては、例えばシャックルなど、周知な種々の連結具を採用することができる。
【0029】
図3では、1本のワイヤーからなる調整部材31を例示したが、調整部材31の形状等は、図3の例に限定されない。例えば、調整部材31は、ワイヤーの下方に配置される端部だけがリング状に曲げられ固定された一端部31mを有するものであってよい。つまり、調整部材31は、他方の端部に何ら加工が施されていないものであってもよい。このようにすれば、一端部31mが他端部31nに比べて重くなり、重心の位置が下方に下がるため、アクティブケーブル62の深度をより安定的に保持することができる。調整部材31は、棒状部31aのような1本の棒状の部材により構成してもよい。
【0030】
図3では、深度調整部30が2つの調整部材31を有する例を示したが、これに限定されない。深度調整部30は、1つの調整部材31により構成されてもよい。ただし、アクティブケーブル62を安定的に支持する観点からは、深度調整部30が2つの調整部材31を有する方が好ましい。もっとも、深度調整部30は3つ以上の調整部材を有していてもよい。
【0031】
深度保持部材10は、調整部材31における一端部31m、あるいは棒状部31aの一端部31m側の端部に設けられるウエイト(図示せず)を有していてもよい。この場合、深度調整部30の一端部は、調整部材31における一端部31m、あるいは棒状部31aの一端部31m側の端部に相当する。ウエイトとしては、鉛シートや棒状の鉛塊など、鉛を含んだものを好適に使用することができる。例えば、鉛シートは、一端部31mや棒状部31aに巻き付けて使用し、棒状の鉛塊は、1個又は複数個を結束バンド等で一端部31mや棒状部31aに固定するとよい。二分割構造のウエイトを採用してもよい。
【0032】
ところで、図3に示すように、船舶500による曳航開始と同時に、アクティブケーブル62に固定された深度調整部30の一端部には、ストリーマケーブル60の曳航に起因した張力Tが作用する。一方、深度保持部材10には、海水の抵抗に起因した抗力Dが、張力Tとは反対向きに作用する。したがって、深度保持部材10には、後方に傾けようとする力、すなわちアクティブケーブル62への取付箇所を中心に後方へ回転させようとする転覆モーメントが働くことも想定される。したがって、前側の調整部材31における一端部31m、あるいは棒状部31aの一端部31m側の端部にウエイトを設け、転覆モーメントを打ち消す向きの力を加えてもよい。
【0033】
次に、図4を参照して、図1及び図2の震源ユニット50とその周辺構成について具体的に説明する。支持部材51の一端部には、固定部材53を介して震源装置52が取り付けられている。震源装置52は、海洋環境にやさしい非爆破型の震源52sを含み、連続波を発生させる機能を有する。震源52sは、圧電素子(ピエゾ素子)、超磁歪素子、水中スピーカ、電磁バイブレータ、又は油圧式バイブレータなどを含んで構成される。特に圧電素子型の震源装置52は、エアガンなどの爆破型震源に比べ、小型かつ軽量に構成できる。震源52sは、周波数、位相、及び振幅のうちの少なくとも1つが連続的に或いはランダムに変化する波(非パルス波)を出力するものであってよい。各震源ユニット50のそれぞれの震源52sは、互いに異なる波形の音波を出力するように構成される。各震源52sは、同時に音波を発振する設定にしてもよく、所定の時間差で音波を発振する設定にしてもよい。
【0034】
海底地質探査システム100は、舷の前後方向における中央の箇所に設けられ、該箇所に支持部材51を連結する連結部材55を有している。つまり、支持部材51は、連結部材55によって舷に取り付けられる。支持部材51は、上下方向に延伸するように配置される。連結部材55の構造及び形状は、図4の例に限らず、種々の構造及び形状を採ることができる。連結部材55は、例えばクランプのような構成としてもよい。また、海底地質探査システム100は、複数の連結部材55を有する構成としてもよい。この場合、例えば舷に、上下方向に沿って複数の連結部材55を設けてもよい。このようにすれば、震源ユニット50を舷に対し、より強固に固定することができる。
【0035】
ここで、探査時の船舶500は比較的低速であるが、探査ポイントへ向かうときなどの移動時には、船舶500を比較的高速で進める。よって、震源装置52に負担をかけないためにも、移動時には震源装置52を海上に上げる必要がある。この点、海底地質探査システム100は、震源ユニット50を支持部材51と震源装置52とにより構成すると共に、連結部材55によって支持部材51を舷に固定するようにしたため、震源ユニット50の舷への取り付け及び舷からの取り外しが容易となり、作業効率を高めることができる。
【0036】
連結部材55は、支持部材51の連結箇所を中心として、該支持部材51を回動可能に連結する構成を採ってもよい。すなわち、連結部材55は、震源ユニット50を連結箇所を中心として回動させる回動機構を有していてもよい。より具体的に、連結部材55は、図4の船尾側の白抜き矢印の向き、もしくは図4の船首側の白抜き矢印の向き、又はこれら双方の向きに、震源ユニット50を回動可能に連結する構成を採ってもよい。この場合、連結部材55は、回動機構による震源ユニット50の回動を停止させるロック機構を有するようにしてもよく、他の部材により回動機構による震源ユニット50の回動を停止し、震源ユニット50を船舶500の舷に固定させてもよい。
【0037】
例えば、海底地質探査システム100が2つの連結部材55を有する場合、一方の連結部材55を、自在型クランプと同様の回動機構を有するように構成し、他方の連結部材55を、図4のような固定する機能だけをもつものにしてもよい。このように、連結部材55に回動機構を採用すれば、曳航時には支持部材51を海面に垂直な状態とすることで、震源装置52を海中に沈めることができ、移動時には支持部材51を回動させて海面に平行な状態等にすることで、震源装置52を海中から容易に上げることができる。すなわち、かかる構成を採ることにより、作業性の更なる向上を図ると共に、三次元物理探査の効率を高めることができる。
【0038】
海底地質探査システム100は、複数の受振器62aが受振する反射波に解析処理を施す探査制御装置70を有している。図5を参照して、図1の探査制御装置70の機能的な構成例について説明する。図5に示すように、探査制御装置70は、通信部71と、制御部72と、記憶部73と、入力部74と、表示部75と、を有している。通信部71は、複数の受振器62aなどの外部機器との間で制御部72が有線又は無線により通信を行うためのインタフェースである。記憶部73には、制御部72の動作プログラムの他、種々の情報が記憶される。記憶部73は、RAM(Random Access Memory)及びROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Drive)、又はHDD(Hard Disk Drive)などにより構成される。入力部74は、例えば、キーボードと、マウス又はトラックボールなどのポインティングデバイスと、を含んで構成される。入力部74は、ユーザによる入力操作を受け付け、受け付けた操作の内容に応じた操作信号を制御部72へ出力する。表示部75は、例えば液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)からなり、制御部72からの指示により種々の情報を表示する。
【0039】
制御部72は、三次元物理探査に関連する処理を実行するものである。制御部72は、入力処理手段72aと、出力処理手段72bと、発振処理手段72cと、解析処理手段72dと、を有している。入力処理手段72aは、入力部74から取得する操作信号に応じた処理を実行する。例えば、入力処理手段72aは、ユーザによる入力操作に応じて、操作の内容を示す制御信号を出力処理手段72b、発振処理手段72c、及び解析処理手段72dのうちの少なくとも1つに出力する。出力処理手段72bは、入力処理手段72aからの制御信号に応じて表示部75に種々の情報を表示させる。例えば、出力処理手段72bは、表示部75の表示画面への情報の追加や、表示画面上の情報の変更を行ったり、表示画面を遷移させたりする。ユーザは、表示部75の表示画面を視認しながら、入力部74を介してデータ入力や設定処理などを行うことができる。出力処理手段72bは、解析処理手段72dが生成した三次元データを表示部75に表示させる機能を有していてもよい。
【0040】
発振処理手段72cは、2台の震源装置52の震源52sから、交互に一定間隔で音波を発振させる機能を有している。発振処理手段72cは、ユーザによる操作に応じて、あるいは設定されたタイミングで、震源装置52の震源52sから連続波を発振させ、その発振を停止させる。発振処理手段72cは、各震源装置52それぞれの震源52sから異なる波形の音波を発振させてもよく、同じ波形の音波を発振させてもよい。発振処理手段72cは、各震源52sから同時に音波を発振させてもよいが、この場合は、各震源52sから異なる波形の音波を発振させるとよい。
【0041】
解析処理手段72dは、複数の受振器62aの受振波から震源装置52に対応する反射波を抽出する。受振器62aの受振波は、震源装置52の震源から出力され、海底面又は地層境界面等で反射された音波成分以外に、船舶500の推進装置などから発せられる音波成分、波浪やストリーマケーブル60の曳航時の雑音成分などの周囲環境成分を含む合成波となっている。本実施の形態1の海底地質探査システム100は、震源装置52の震源52sからチャープ波を発振しており、解析処理手段72dは、受振波とチャープ波の相互相関処理により、受振した合成波から反射波成分を抽出する。
【0042】
より具体的に、解析処理手段72dは、ストリーマケーブル60における受振器62aが受振した合成波の波形信号を取得すると、該波形信号と震源装置52から出力された発振波との相互相関を演算する相互相関処理により、該発振波の反射波を抽出する。本実施の形態1では、船舶500に設けられたストリーマケーブル60に対し、右舷側又は左舷側に設けられた震源装置52からの発振波に対応する反射波を、左右両方のストリーマケーブル60における受振器62aの合成波から抽出する。そして、 解析処理手段72dは、抽出した反射波をもとに、海底地質に係る三次元データを生成する。制御部72は、CPU(Central Processing Unit)又はGPU(Graphics Processing Unit)などの演算装置と、こうした演算装置と協働して上記の各種機能を実現させるプログラムとにより構成することができる。探査制御装置70は、デスクトップ型PC(Personal Computer)もしくはノートPCなどにより構成される。
【0043】
以上のように、本実施の形態1の深度保持部材10は、固定部材22における2つの浮体21間の中間の位置に連結され、一端部がアクティブケーブル62に連結される深度調整部30を有している。そして、深度調整部30は、固定部材22との連結箇所から一端部までの長さが、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。より具体的に、深度調整部30は、固定部材22に他端部32bが連結され、該他端部32bから一端部32aまで延伸する棒状の調整部材31を2つ有している。そして、2つの調整部材31は、アクティブケーブル62の軸方向に沿うように所定距離を隔てて固定部材22に連結される。かかる構成により、深度調整部30の長さをアクティブケーブル62の深度に直結させることができるため、アクティブケーブル62の深度を目標深度に調整し、保持することができる。また、調整部材31の長さを変えることにより、アクティブケーブル62の深度を柔軟に調整することができる。
【0044】
すなわち、従来の構成において、ストリーマケーブル60の深度調整を行うには、深度制御機能をもつ複数の制御装置(バード等)をストリーマケーブル60に装着する必要がある。このような制御装置は、複雑な構成であると共に煩雑な処理を伴い、コストもかさむため、簡易な構造の部材により、アクティブケーブル62の深度を調整し保持することが望まれている。この点、本実施の形態1の深度保持部材10は、上記のような構成を採っていることから、アクティブケーブル62の深度を調整し保持することができるため、ユーザの作業負担を軽減し、コストを抑えることができる。
【0045】
本実施の形態1における海底地質探査システム100は、船舶500の左右の舷のうちの少なくとも一方に設けられる震源ユニット50と、上記のうちの何れかの構成を採った2つの深度保持部材10と、を有している。2つの深度保持部材10は、アクティブケーブル62の両端部に設けられる。よって、アクティブケーブル62の深度を前端部と後端部との双方で調整し保持することができるため、アクティブケーブル62の全体の深度を、より確実に目標深度に近づけることができる。
【0046】
そして、震源ユニット50は、舷の前後方向における中央の箇所に取り付けられる棒状の支持部材51と、支持部材51の一方の端部に取り付けられる震源装置52と、を有している。よって、舷に設けられた連結部材55を用いることで、支持部材51を舷に容易に取り付け、舷から容易に取り外すことができるため、作業の効率化を図ることができる。また、震源ユニット50は、船舶500の種類や大きさにかかわらず、取り付け及び取り外しを容易に行うことができるため、利便性の向上を図ることができる。さらに、震源ユニット50は、支持部材51の連結部材55との連結箇所を調整することにより、震源52sの上下方向の位置が可変となるため、探査海域の水深やアクティブケーブル62の目標深度などに応じて、震源52sの水深位置を柔軟に調整することができる。そして、震源ユニット50は、舷から簡単に取り外すことができるため、震源装置52の洗浄やメンテナンスなどの作業を容易に且つ安価で行うことができる。さらに、船舶500に震源装置52を固定することにより、震源52sの位置が確実に決まる。すなわち、従来のような船尾から震源を曳航する方式と比べ、震源52sの位置が安定するため、解析時の演算処理を減らし、探査精度の向上を図ることができる。そして、ノイズの原因となる、プロペラ後流などによる気泡の影響を低減することができる。
【0047】
図1のように、船舶500によって2本のストリーマケーブル60が曳航される場合、船舶500の左右の舷の双方に震源ユニット50を設け、各ストリーマケーブル60それぞれのアクティブケーブル62の両端部に深度保持部材10を取り付けてもよい。船舶500の前後方向における中央部の、横方向に広がった位置に一対の震源52sを配置し、アクティブケーブル62の深度が調整し保持された一対のストリーマケーブル60の各々が、船尾の左右から間隔をあけて海中に投入されることにより、探査原理上、一度の計測幅を増大させることができる。
【0048】
海底地質探査システム100は、浅海(探査海域の水深が100m以浅程度)用としても使用可能であることから、狭い海域において、比較的短いストリーマケーブル60を曳航することも想定される。よって、深度保持部材10及び震源ユニット50には、作業性や運用コスト等の観点からも、全体構成の簡便さが求められる。この点、本実施の形態1の深度保持部材10及び震源ユニット50は、上記のように簡易な構成を採っているため、作業性を高め、運用コスト等の低減を図ることができる。
【0049】
<変形例>
図6を参照して、本実施の形態1の変形例に係る深度保持ユニット150について説明する。深度保持ユニット150は、上述した深度保持部材10と、アクティブケーブル62に設けられ、アクティブケーブル62に対し調整部材31を回動自在とする回動部材90と、を有している。
【0050】
図6に例示する回動部材90は、回動機構部91と、台座部92と、を有している。回動機構部91は、例えば分割型のベアリングにより構成される。回動機構部91は、アクティブケーブル62に固定される内輪部5aと、内輪部5aとの間に設けられた複数のローラ又はボール(図示せず)により内輪部5aの周りを回転可能な外輪部5bと、を有している。台座部92は、外輪部5bに固定され、又は外輪部5bと一体的に形成されている。
【0051】
調整部材31は、一端部32aが取付具45により回動部材90に固定される。図6に例示する台座部92は、前後方向の両端部に、U字状の取付具45に対応する穴が設けられている。一端部31mの輪をくぐった取付具45の各端部が、台座部92の各穴に挿入され、ナットなどの締結具により締結されることで、調整部材31が回動部材90に固定される。回動機構部91は、二つ割れの構造となっているため、アクティブケーブル62の任意の箇所に容易に取り付けることができる。回動部材90及び取付具45の構造は図6の例に限定されないが、このような構造により、アクティブケーブル62に取り付けた調整部材31が、アクティブケーブル62を中心に回動自在となる。
【0052】
ストリーマケーブル60を船舶500へ搭載する前後では、ストリーマケーブル60の捩れを取る作業が行われる。ただし、捻れを完全に解消することは困難であり、ストリーマケーブル60が長尺になると尚更である。そして、捻れが残ったストリーマケーブル60を海中に入れると、曳航時に捻れの分布が変化し、特定の箇所に集中することも考えられる。そのため、深度保持部材10がストリーマケーブル60の捻れトルクに起因した方向に傾くことも想定される。この点、変形例における深度保持ユニット150は、回動部材90を有することから、アクティブケーブル62に対して回動自在に取り付けることができる。よって、ストリーマケーブル60に捩れが残っていたとしても、その捻れに起因して調整部材31に加わる力を、回動部材90の作用により逃がすことができる。したがって、調整部材31を向きを、固定部材22に対し垂直な状態で維持することができるため、アクティブケーブル62の深度をより安定的に保持することができる。
【0053】
実施の形態2.
図7を参照して、本発明の実施の形態2に係る深度保持部材110の構成例について説明する。海底地質探査システム100の全体的な構成は、図1及び図2に基づく実施の形態1の例と同様である。震源ユニット50の構成は、図4に基づく実施の形態1の例と同様である。探査制御装置70の構成は、図5に基づく実施の形態1の例と同様である。上述した実施の形態1と同様の構成部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。x軸方向、y軸方向、及びz軸方向の定義等は、図3と同様である。
【0054】
深度保持部材110は、同形状である2つの浮体21と、2つの浮体21が間隔をあけて固定される固定部材22と、固定部材22における2つの浮体21間の中間の位置に連結され、一端部がアクティブケーブル62に連結される深度調整部130と、を有している。深度調整部130は、固定部材22との連結箇所から一端部までの長さが、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。
【0055】
図7に示すように、固定部材22は、棒状又は板状に形成され、2つの浮体21をつなぐ一対の外部材22aを有している。一対の外部材22aは、所定距離を隔てて平行に配置されている。図7の固定部材22は、一対の外部材22aの間に、これらに平行に配置される内部材22bを有している。固定部材22における各組立部材の形状、数、及び配置の他、2つの浮体21を固定する手法などは、図7の例に限らず、種々のバリエーションを選択することができる。
【0056】
深度調整部130は、棒状の部材が長方形状に接続された枠部35を有している。枠部35は、連結具48によって固定部材22に連結されている。枠部35は、固定部材22との連結箇所から下方に配置される端部である一端部35mに向かう方向が長方形状における長手方向となるように配置される。枠部35は、長手方向に沿う2本の長棒部材35aと、短手方向に沿う2本の短棒部材35bと、を有している。枠部35は、一対の外部材22aに対し、これらとの連結箇所から一端部35mまでの長さ、つまり該連結箇所から下方に配置される短棒部材35bまでの長さが調整可能に連結されている。一端部35mに対応する一方の短棒部材31bは、長方形状における短手方向がアクティブケーブル62の軸方向と平行になるよう、アクティブケーブル62に連結される。
【0057】
図7の深度調整部130は、一対の長棒部材35aをつなぐ支持部材36を有している。図7では、3本の支持部材36を有する深度調整部130を例示しているが、これに限らず、支持部材36の本数は適宜変更することができる。図7の深度調整部130は、一方の長棒部材35aと短棒部材35bとの連結箇所と、他方の長棒部材35aと上記の短棒部材35bに隣接する短棒部材35bとの連結箇所とをつなぐ補強部材37を有している。図7では、2本の補強部材37を有する例を示しているが、これに限らず、補強部材37の本数は適宜変更することができる。枠部35、支持部材36、及び補強部材37は、アルミパイプや塩ビ管などにより形成してもよいが、アクティブケーブル62を沈める必要があるため、ステンレス製や鉄製のパイプなど、ある程度重量のあるものにするとよい。
【0058】
深度保持部材110は、枠部35における一端部35mに設けられるウエイト(図示せず)を有していてもよい。より具体的に、ウエイトは、下方に配置される短棒部材35b及び各長棒部材35aの下端部のうちの少なくとも一箇所に設けるとよい。ウエイトとしては、上記同様、鉛シートや棒状の鉛塊など、鉛を含んだものを好適に使用することができる。2つの長棒部材35aの下端部の双方にウエイトを設ける場合、各長棒部材35aの下端部に同じ重さのウエイトを設けると、前後のバランスが好適となる。もっとも、前側の長棒部材35aの下端部にだけウエイトを設けたり、前側の長棒部材35aの下端部のウエイトの重量を大きくしたりすることにより、転覆モーメントを打ち消す向きの力を加えてもよい。下方に配置される短棒部材35bにウエイトを設ける場合、前後の位置調整により、前後方向のバランス調整を行ってもよい。
【0059】
他の構成及び代替構成などは、前述した実施の形態1と同様である。実施の形態1の変形例の構成は、実施の形態2の構成にも適用することができる。すなわち、深度保持部材110と、アクティブケーブル62に設けられ、アクティブケーブル62に対し枠部35を回動自在とする回動部材90とにより、深度保持ユニットを構成してもよい。この場合、枠部35は、一端部35mつまり下方に配置される短棒部材35bが、取付具45により回動部材90に固定される。
【0060】
以上のように、本実施の形態2の深度保持部材110において、2つの浮体21をつなぐ一対の外部材22aは、所定距離を隔てて平行に配置されている。枠部35は、固定部材22との連結箇所から一端部32aに向かう方向が長方形状における長手方向となるように配置されると共に、一対の外部材22aに連結される。そして、枠部35は、外部材22aとの連結箇所から一端部35mまでの長さが、アクティブケーブル62の目標深度に基づいて設定されている。そのため、ストリーマケーブル60におけるアクティブケーブル62の深度を調整し保持することができる。
【0061】
また、枠部35は、長手方向に沿う2本の長棒部材35aと、短手方向に沿う2本の短棒部材35bと、を有し、一端部35mに対応する一方の短棒部材35bは、長方形状における短手方向がアクティブケーブル62の軸方向と平行になるよう、アクティブケーブル62に連結される。そのため、アクティブケーブル62を短棒部材35bに沿わせて安定的に固定することができる。なお、短棒部材35bとアクティブケーブル62とを連結する連結具42の数は、図7の例に限らず、適宜変更することができる。連結具42としては、締結バンドなど、周知な種々の連結具を採用することができる。連結具42は、短棒部材35bの全域に亘ってアクティブケーブル62を固定するものであってよく、ウエイトとしての機能を併せ持つものであってもよい。深度保持部材110は、深度調整部130の一端部35mに設けられたウエイトを有していてもよい。このようにすれば、アクティブケーブル62の深度保持の安定性を高めることができる。
【0062】
深度保持部材110は、固定部材22に対する枠部35の取り付け位置が可変な構成としてもよい。つまり、枠部35は、固定部材22への連結箇所が可変となっていてもよい。より具体的に、深度保持部材110は、枠部35と一対の外部材22aとの連結箇所から該枠部35の一端部35mまでの長さが調整可能な構成としてもよい。ここで、深度保持部材110は、該連結箇所から一端部35mまでの距離が、アクティブケーブル62の深度に直結するように構成されているため、枠部35の取り付け位置を可変とすることにより、アクティブケーブル62の深度調整をより柔軟に行うことができる。
【0063】
さらに、深度保持部材110と回動部材90とにより構成された深度保持ユニットによれば、ストリーマケーブル60に捩れが残っていたとしても、その捻れに起因して深度調整部130に加わる力を、回動部材90の作用により逃がすことができる。したがって、深度調整部130を向きを、固定部材22に対し垂直な状態で維持することができるため、アクティブケーブル62の深度をより安定的に保持することができる。他の効果等は、上述した実施の形態1と同様である。
【0064】
ここで、上述した各実施の形態は、深度保持部材、深度保持ユニット、及び海底地質探査システムの具体例であり、本発明の技術的範囲は、これらの態様に限定されるものではない。例えば、各浮体21は、一方向に延伸する形状に限らず、種々の形状を採ることができる。すなわち、各浮体21は、平面視円形状のような前後と左右の長さが概ね等しいものであってもよい。各浮体21は、進行方向側における少なくとも前方の部分を、平面視円形状又は平面視楕円形状のような流線形状にするとよく、後ろ側の形状は問わない。
【0065】
上記各実施の形態では、探査制御装置70が船舶500に設置された例を示したが、これに限定されない。探査制御装置70は、陸上の施設内などに設けられてもよい。この場合、複数の受振器62aと探査制御装置70とが中継器などを介して無線による通信を行うようにしてもよい。探査制御装置70は、クラウドコンピューティングに基づくクラウドサーバ、もしくはオンプレミス型の物理サーバ、又はこれらを組み合わせたシステムなどにより構成してもよい。解析処理手段72dは、合成波から反射波を抽出する抽出機能だけを有するものであってよい。この場合、陸上の施設内などに設けられたデータ生成装置により、海底地質に係る三次元データを生成するとよい。データ生成装置は、デスクトップ型PC、ノートPC、タブレット端末のようなモバイル端末などにより構成するとよい。なお、ストリーマケーブル60は、探査制御装置70の抽出機能を実行するマイコンなどを実装したもの、或いはA/D変換器を内蔵したデジタルストリーマーなどであってもよい。
【符号の説明】
【0066】
5a 内輪部、5b 外輪部、10、110 深度保持部材、20 浮体部、21 浮体、22 固定部材、22a 外部材、22b 内部材、30、130 深度調整部、31 調整部材、31a 棒状部、31b 短棒部材、31m 一端部、31n 他端部、32a 一端部、32b 他端部、35 枠部、35a 長棒部材、35b 短棒部材、35m 一端部、36 支持部材、37 補強部材、41 連結具、42 連結具、45 取付具、48 連結具、50 震源ユニット、51 支持部材、52 震源装置、52s 震源、53 固定部材、55 連結部材、60 ストリーマケーブル、61 リードインケーブル、62 アクティブケーブル、62a 受振器、62z 終端、64a ロープ、64b ロープ、66 GNSSアンテナ、70 探査制御装置、71 通信部、72 制御部、72a 入力処理手段、72b 出力処理手段、72c 発振処理手段、72d 解析処理手段、73 記憶部、74 入力部、75 表示部、90 回動部材、91 回動機構部、92 台座部、100 海底地質探査システム、150 深度保持ユニット、500 船舶。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7