IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 鈴木 洋一の特許一覧

<>
  • 特開-口腔ケア用具及び口腔ケア方法 図1
  • 特開-口腔ケア用具及び口腔ケア方法 図2
  • 特開-口腔ケア用具及び口腔ケア方法 図3
  • 特開-口腔ケア用具及び口腔ケア方法 図4
  • 特開-口腔ケア用具及び口腔ケア方法 図5
  • 特開-口腔ケア用具及び口腔ケア方法 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037272
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】口腔ケア用具及び口腔ケア方法
(51)【国際特許分類】
   A61C 17/00 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
A61C17/00 T
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143919
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】521391427
【氏名又は名称】鈴木 洋一
(74)【代理人】
【識別番号】110001612
【氏名又は名称】弁理士法人きさらぎ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 洋一
(57)【要約】
【課題】 歯の表面及び歯の裏面を同時にクリーニングすることが可能な口腔ケア用具及び口腔ケア方法を提供する。
【解決手段】 本発明に係る口腔ケア用具は、使用者の複数の指に装着可能な口腔ケア用具本体を備え、口腔ケア用具本体は、一端に閉塞部を有し、他端に開口部を有する有底筒状の指収容部を複数備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の複数の指に装着可能な口腔ケア用具本体を備え、
前記口腔ケア用具本体は、一端に閉塞部を有し、他端に開口部を有する有底筒状の指収容部を複数備える
ことを特徴とする口腔ケア用具。
【請求項2】
前記複数の指収容部は、前記閉塞部側が分離して形成されており、前記開口部側が一体的に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の口腔ケア用具。
【請求項3】
前記口腔ケア用具本体は、前記指収容部の前記開口部側に設けられ、使用者の指と手のひらで挟持される挟持片部を更に備える
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の口腔ケア用具。
【請求項4】
前記指収容部は、指の手のひら側を覆う部分の厚みが指の甲側を覆う部分の厚みよりも薄い
ことを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の口腔ケア用具。
【請求項5】
クリーニング対象の上歯と下歯の間に挟まれ、使用者の指を口腔内に挿入することができる程度にクリーニング対象の口を開かせることが可能なクリーニング補助具を更に備える
ことを特徴とする請求項1~4のいずれか1項に記載の口腔ケア用具。
【請求項6】
請求項1に記載の口腔ケア用具を用いた口腔ケア方法であって、
使用者の複数の指に前記口腔ケア用具本体を装着する装着工程と、
前記複数の指でクリーニング対象の歯の表面及び裏面を挟んだ状態において、前記歯に沿う方向に使用者の手を動作させて前記歯のクリーニングを行うクリーニング工程とを含む
ことを特徴とする口腔ケア方法。
【請求項7】
前記クリーニング工程の前に、請求項5に記載のクリーニング補助具をクリーニング対象の上歯と下歯の間に挟むクリーニング補助工程を更に含む
ことを特徴とする請求項6に記載の口腔ケア方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、口腔ケア用具及び口腔ケア方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、歯をクリーニングするための口腔ケア用具として、使用者の1又は複数本の指を収容可能な指収容部を1つ備える口腔ケア用具が知られている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2017-500074号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の口腔ケア用具では、指収容部が1つしか備えられていないため、歯のクリーニングをする際には歯の表面又は歯の裏面のいずれか一方ずつしか磨くことができなかった。そのため、歯のクリーニングを完了させるまで長時間口を開けておく必要があり、長時間口を開けることが困難な高齢者や幼児にとって、適するものではなかった。
【0005】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、その目的は、歯の表面及び歯の裏面を同時にクリーニングすることが可能な口腔ケア用具及び口腔ケア方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するため、本発明に係る口腔ケア用具は、使用者の複数の指に装着可能な口腔ケア用具本体を備え、前記口腔ケア用具本体は、一端に閉塞部を有し、他端に開口部を有する有底筒状の指収容部を複数備えることを特徴とする。
【0007】
本発明に係る口腔ケア用具において、前記複数の指収容部は、前記閉塞部側が分離して形成されており、前記開口部側が一体的に形成されていることが好ましい。
【0008】
本発明に係る口腔ケア用具において、前記口腔ケア用具本体は、前記指収容部の前記開口部側に設けられ、使用者の指と手のひらで挟持される挟持片部を更に備えていても良い。
【0009】
本発明に係る口腔ケア用具において、前記指収容部は、指の手のひら側を覆う部分の厚みが指の甲側を覆う部分の厚みよりも薄いことが好ましい。
【0010】
本発明に係る口腔ケア用具は、クリーニング対象の上歯と下歯の間に挟まれ、使用者の指を口腔内に挿入することができる程度にクリーニング対象の口を開かせることが可能なクリーニング補助具を更に備えていても良い。
【0011】
本発明に係る口腔ケア方法は、上述した口腔ケア用具を用いた口腔ケア方法であって、使用者の複数の指に前記口腔ケア用具本体を装着する装着工程と、前記複数の指でクリーニング対象の歯の表面及び裏面を挟んだ状態において、前記歯に沿う方向に使用者の手を動作させて前記歯のクリーニングを行うクリーニング工程とを含むことを特徴とする。
【0012】
本発明に係る口腔ケア方法は、前記クリーニング工程の前に、上述したクリーニング補助具をクリーニング対象の上歯と下歯の間に挟むクリーニング補助工程を更に含んでいても良い。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、歯の表面及び歯の裏面を同時にクリーニングすることが可能な口腔ケア用具及び口腔ケア方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】本実施形態に係る口腔ケア用具を示す平面図である。
図2】本実施形態に係る口腔ケア用具本体を示す平面図である。
図3】本実施形態に係る口腔ケア用具本体を示す低面図である。
図4】本実施形態に係る口腔ケア用具本体を指に装着させた状態を示す図である。
図5】本実施形態に係る口腔ケア用具の使用例を示す図である。
図6】本実施形態に係る口腔ケア用具の使用例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を用いて説明する。なお、以下の実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。また、本実施形態においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や、一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0016】
[口腔ケア用具の全体構成]
本発明に係る口腔ケア用具1は、例えば、家庭内や介護施設等でクリーニング対象の歯のクリーニングをするために用いられる。また、図1及び図6に示すように、口腔ケア用具1は、使用者の複数の指に装着可能な口腔ケア用具本体10と、クリーニング対象の上歯と下歯の間に挟まれ、使用者の指を口腔内に挿入することができる程度にクリーニング対象の口を開かせることが可能なクリーニング補助具20とを備えている。
【0017】
なお、本実施形態において、口腔ケア用具1は、歯のクリーニングに用いられるものとして説明するが、これに限定されず、歯のクリーニング以外の用途、例えば、歯茎や舌等の口腔内のクリーニングにも用いることができる。また、本実施形態において、口腔ケア用具本体10の内、後述する閉塞部11aが形成される側を前方、後述する開口部11bが形成される側を後方とする。さらに、本実施形態において、クリーニング対象には、口腔ケア用具本体10を装着した使用者と、該使用者によって歯をクリーニングされる者の双方が含まれる。
【0018】
[口腔ケア用具本体の構成]
図1及び図2に示すように、口腔ケア用具本体10は、使用者の複数の指をそれぞれ収容可能な複数の指収容部11と、使用者の指と手のひらで挟持される挟持片部12とを備えている。また、口腔ケア用具本体10は、使用者の指の甲側(上側)を覆う第1シート部10aと、指の手のひら側(下側)を覆う第2シート部10bとを備えている。図1及び図2に示すように、第1シート部10a及び第2シート部10bは、長尺状に形成されており、第2シート部10bは、長手方向において、第1シート部10aよりも長い長さで形成されている。なお、第1シート部10a及び第2シート部10bは、第2シート部10bが長手方向において、第1シート部10aよりも長い長さで形成されている点を除いて同形同大である。
【0019】
図1及び図2に示すように、複数の指収容部11は、一端に閉塞部11aを有し、他端に開口部11bを有する有底筒状に形成されている。具体的には、複数の指収容部11は、第2シート部10bに第1シート部10aを重ねた状態において、開口部11bを除く周縁部を相互に結合させることによって、使用者の指を収容可能な中空空間を形成するように構成されている。
【0020】
第1シート部10a及び第2シート部10bを結合させる手段は、縫合、接着及び圧着等の様々な結合手段を採用することができ、本実施形態においては、第1シート部10a及び第2シート部10bは、縫合されることによって相互に結合される。なお、第1シート部10a及び第2シート部10bを相互に結合させる態様に代えて、第1シート部10a及び第2シート部10bが当初から一体的に形成される態様であっても良い。
【0021】
また、第1シート部10a及び第2シート部10bは、ガーゼ等の繊維シートからなる。ただし、第1シート部10a及び第2シート部10bを構成する材料は、歯の表面又は裏面と第1シート部10a又は第2シート部10bとの間において、歯の汚れや歯垢を除去するのに十分な摩擦を発生させることができる材料であるとともに、口腔ケア用具本体10に装着された使用者の指を折り曲げることができる程度の可撓性を有する材料であれば、その種類は制限されない。例えば、天然ゴムや合成ゴムを材料として用いることもできる。
【0022】
図1図3に示すように、複数の指収容部11は、指収容部11の側縁から閉塞部11aにかけて、アール状に形成されている。指収容部11がこのように形成されていることにより、指収容部11が口腔内に挿入され、唇の裏側や粘膜等に接触したときに、クリーニング対象に痛みや不快感を与えることを防止することができる。
【0023】
図1図3に示すように、複数の指収容部11は、閉塞部11a側が分離して形成されており、開口部11b側が一体的に形成されている。具体的には、複数の指収容部11は、分離された部分と接続された部分とを有する第1シート部10a及び第2シート部10bを相互に結合させることによって、閉塞部11a側が分離し、開口部11b側が一体的に形成されるように構成されている。
【0024】
なお、本実施形態において、複数の指収容部11は、開口部11b側が一体的に形成されているものとして説明したが、これに限定されず、独立して形成された個々の指収容部11を開口部11b側で縫合、接着等の手段によって、連結させる態様であっても良い。
【0025】
複数の指収容部11は、指の手のひら側を覆う部分の厚みが指の甲側を覆う部分の厚みよりも薄くなるように形成されている。具体的には、指の手のひら側を覆う第2シート部10bの厚みが指の甲側を覆う第1シート部10aの厚みよりも薄くなるように形成されている。
【0026】
厚みの厚い第1シート部10aは、指から歯に加わる力を軽減することができるため、歯を不用意に傷つけることを防止することができ、歯の汚れが付着していない部分をクリーニングするのに適している。このような観点から、第1シート部10aの厚みは、1mm以上であることが好ましい。
【0027】
また、厚みの薄い第2シート部10bは、指の力を殆どそのまま歯に伝えることができるため、歯に付着した強固な汚れや歯垢を除去するのに適している。一方で、第2シート部10bは、該歯に付着した強固な汚れや歯垢を除去するのに十分な厚み(硬さ)を有している必要がある。このような観点にから、第2シート部10bの厚みは、0.5mm以上1mm以下であることが好ましい。
【0028】
図1~3に示すように、複数の指収容部11は、長手方向において異なる長さで形成されている。また、複数の指収容部11は、隣接して設けられており、使用者の指の内、隣接する指を収容するように構成されている。具体的には、複数の指収容部11は、隣接して2つ設けられており、使用者の指の内、隣接する2本の指を収容するように構成されている。より具体的には、指収容部11は、人差し指を収容可能な人差し指収容部13と、中指を収容可能な中指収容部14とを備えている。
【0029】
なお、本実施形態において、複数の指収容部11は、使用者の指の内、隣接する指を収容するように構成されているとしたが、これに限定されず、使用者の隣接しない指(例えば、親指と中指)を収容可能な態様であっても良い。また、本実施形態において、複数の指収容部11は、使用者の指の内、2本の指を収容するように構成されているとしたが、これに限定されず、使用者の2本以上の指(例えば、5本)の指を収容するように構成されても良い。さらに、本実施形態において、指収容部11は、人差し指を収容可能な人差し指収容部13と、中指を収容可能な中指収容部14であるとしたが、これに限定されず、例えば、親指を収容可能な親指収容部であっても良いし、薬指を収容可能な薬指収容部であっても良い。また、小指を収容可能な小指収容部であっても良い。
【0030】
図1図3に示すように、人差し指収容部13は、長手方向において、中指収容部14よりも短い長さで形成されている。具体的には、図2に示すように、人差し指収容部13の長手方向の長さL1(閉塞部11aの頂点部分から第1シート部10aの後縁までの長さ)は、中指収容部14の長手方向の長さL2(閉塞部11aの頂点部分から第1シート部10aの後縁までの長さ)の90%以下であることが好ましい。
【0031】
また、人差し指収容部13の長手方向の長さL1は、使用者の人差し指を覆うのに十分な長さを有している。具体的には、人差し指収容部13の長手方向の長さL1は、唾液等の付着により指が汚れないように、少なくとも人差し指の先から付け根までを覆わせる観点から8cm以上であることが好ましく、唾液等の付着をより防止する観点から10cm以上であることがより好ましい。
【0032】
さらに、人差し指収容部13の長手方向の長さL1は、人差し指収容部13の幅方向の長さL3(人差し指収容部13の一方の側縁の内、直線的に形成された部分から、他方の側縁の内、直線的に形成された部分までの長さ)の300%以上であることが好ましい。
【0033】
人差し指収容部13の幅方向の長さL3は、歯のクリーニングを行う部分の面積を大きくする観点から2cm以上であることが好ましく、より広範囲に亘る歯のクリーニングを可能にする観点から3cm以上であることがより好ましい。
【0034】
中指収容部14の長手方向の長さL2は、使用者の中指を覆うのに十分な長さを有している。具体的には、中指収容部14の長手方向の長さL2は、唾液等の付着により指が汚れないように、少なくとも中指の先から付け根までを覆わせる観点から9cm以上であることが好ましく、唾液等の付着をより防止する観点から11cm以上であることがより好ましい。
【0035】
さらに、中指収容部14の長手方向の長さL2は、中指収容部14の幅方向の長さL4(中指収容部14の一方の側縁の内、直線的に形成された部分から、他方の側縁の内、直線的に形成された部分までの長さ)の333%以上であることが好ましい。
【0036】
中指収容部14の幅方向の長さL4は、歯のクリーニングを行う部分の面積を大きくする観点から2cm以上であることが好ましく、より広範囲に亘る歯のクリーニングを可能にする観点から3cm以上であることがより好ましい。
【0037】
なお、本実施形態においては、使用者の指の形状に合致させる観点から人差し指収容部13が中指収容部14よりも短い長さで形成されているが、これに限定されず、人差し指収容部13が中指収容部14よりも長い長さで形成されても良く、人差し指収容部13と中指収容部14が同じ長さで形成されていても良い。また、人差し指収容部13の長手方向の長さL1及び幅方向の長さL3と、中指収容部14の長手方向の長さL2及び幅方向の長さL4は、指の長さに応じて適宜変更されて良い。すなわち、子供用、女性用及び男性用のように異なる指の長さに合わせて、異なる大きさの指収容部11を備える口腔ケア用具本体10を形成しても良い。
【0038】
図1及び図2に示すように、挟持片部12は、第2シート部10bの内、長手方向において、第1シート部10aよりも長い長さで形成された部分である。具体的には、挟持片部12は、第2シート部10bの内、第1シート部10aの後縁と対向する位置から第2シート部10bの後縁までの部分である。また、図3に示すように、挟持片部12は、第2シート部10bの一部である。
【0039】
挟持片部12は、第2シート部10bの内、第1シート部10aの後縁と対向する位置から第2シート部10bの後縁にかけて窄んだ略逆台形状に形成されている。また、挟持片部12は、使用者が使用者の親指と手のひらで挟持するのに十分な大きさを有している。
【0040】
具体的には、挟持片部12の長手方向の長さL5(第2シート部10bの内、第1シート部10aの後縁と対向する位置から第2シート部10bの後縁までの長さ)は、使用者に挟持させる観点から3cm以上であることが好ましく、より簡易に挟持させる観点から5cm以上であることがより好ましい。
【0041】
また、挟持片部12の後縁の幅方向の長さL6(直線の長さ)は、使用者が挟持片部12挟持する面を大きくする観点から6cm以上であることが好ましく、より簡易に挟持させる観点から8cm以上であることがより好ましい。なお、挟持片部12の後縁の幅方向の長さL6は、第2シート部10bの内、第1シート部10aの後縁と対向する部分の長さと同一であっても良い。
【0042】
挟持片部12の外縁は、その他の部分の厚みよりも厚く形成されている。このように形成されていることにより、挟持片部12が使用者に挟持された際に該厚み部分がストッパーとして機能するため、口腔ケア用具本体10が使用者の指から脱落するのをより効果的に防止することができる。
【0043】
[クリーニング補助具の構成]
クリーニング補助具20は、略円柱状に形成されており、クリーニング補助具20の周面部分をクリーニング対象に噛ませ、口を自動的に開かせる用途で使用される。よって、クリーニング補助具20の直径が長ければ長いほど大きく口を開かせることができる。なお、クリーニング補助具20は、使用者の指を口腔内に挿入させるのに必要な隙間分だけクリーニング対象の口を開かせるのに十分な大きさを有している。具体的には、クリーニング補助具20の直径の長さは、2cm以上であることが好ましい。
【0044】
なお、クリーニング補助具20は、口を大きく開かせた状態を維持する観点から、上の歯と下の歯との噛み合いによって変形しない程度の剛性を有していることが好ましい。また、クリーニング補助具20は、繰り返し使用させる観点から複数回の使用に耐えられる程度の耐久性を有していることが好ましい。さらに、クリーニング補助具20は、クリーニング時にクリーニング対象の口から分泌される唾液を吸収させる観点から、吸収性に優れた材料(例えば、ガーゼ等)で形成されていることが好ましい。
【0045】
[口腔ケア用具の使用方法]
次に、本実施形態に係る口腔ケア用具1を用いて行う口腔ケア方法(歯のクリーニング方法)について、図4図6を用いて説明する。図4に示すように、使用者の複数の指に口腔ケア用具本体10を装着する(装着工程)。具体的には、使用者は、開口部11bを介して人差し指を人差し指収容部13に挿入し、開口部11bを介して中指を中指収容部14に挿入することで、使用者の人差し指及び中指を人差し指収容部13及び中指収容部14にそれぞれ収容させる。また、挟持片部12を使用者の親指と手のひらによって挟持させる(挟持工程)。図5に示すように、使用者の人差し指及び中指が人差し指収容部13及び中指収容部14にそれぞれ収容された状態において、歯の表面側に人差し指収容部13の第2シート部10b側が位置し、歯の裏面側に中指収容部14の第1シート部10a側が位置するように挟む。この状態において、使用者の手をクリーニング対象の歯に沿う方向(図5に示す矢印の方向)に動作させることにより、歯の表面及び裏面を同時にクリーニングすることができる(クリーニング工程)。下側の歯についても同様の動作により、クリーニングを行うことができる。なお、歯の表面側に中指収容部14の第2シート部10b側が位置し、歯の裏面側に人差し指収容部13の第1シート部10a側が位置するように挟んでも良い。また、奥歯まで正確にクリーニングをするために適宜手の角度を変えて使用しても良いし、人差し指収容部13又は中指収容部14のいずれか一方のみを用いても良い。口腔ケア用具1は、洗浄することによって繰り返し使用することができる。
【0046】
また、図6を用いて、クリーニング補助具20を用いて行う歯のクリーニング方法について説明する。使用者の指を口腔ケア用具本体10に装着する方法については、既述のとおりである。本実施形態に係るクリーニング補助具20は、例えば、高齢者や幼児等、長時間口を開けること及び自身で歯のクリーニングを行うことが困難な者に使用することでより効果を発揮する。また、クリーニング補助具20を用いることで、高齢者や幼児等に口腔内に挿入した指を噛まれる事態を回避することもできる。図6に示すように、クリーニング補助具20をクリーニング対象の上歯と下歯の間に挟むこと(噛ませること)でクリーニング対象の口を大きく開かせることができる(クリーニング補助工程)。そして、クリーニング補助具20をクリーニング対象に噛ませることでできた隙間に使用者の指を挿入し、上述した方法により、使用者の手を動作させることにより、歯をクリーニングすることができる。なお、クリーニング補助工程は、クリーニング工程の前に行われればよく、装着工程よりも前にクリーニング補助工程を行っても良いし、装着工程よりも後にクリーニング補助工程を行っても良い。
【0047】
[本実施形態に係る口腔ケア用具の利点]
以上、説明したように、本実施形態に係る口腔ケア用具1は、使用者の複数の指に装着可能な口腔ケア用具本体10を備え、該口腔ケア用具本体10は、一端に閉塞部11aを有し、他端に開口部11bを有する有底筒状の指収容部11を複数備えている。
【0048】
このような口腔ケア用具1によれば、指収容部11を複数備えているため、歯の表面及び歯の裏面を同時にクリーニングすることができ、指収容部11が1本の場合と比較して大幅に歯のクリーニングの時間を短縮することができる。
【0049】
また、本実施形態に係る口腔ケア用具1は、複数の指収容部11の閉塞部11a側が分離して形成されており、開口部11b側が一体的に形成されている。このような口腔ケア用具1によれば、複数の指収容部11の閉塞部11a側が分離して形成されているため、歯のクリーニング時の操作性を向上することができる。
【0050】
さらに、本実施形態に係る口腔ケア用具1は、口腔ケア用具本体10が指収容部11の開口部11b側に設けられ、使用者の指と手のひらで挟持される挟持片部12を更に備えている。このような口腔ケア用具1によれば、挟持片部12が使用者の指と手のひらで挟持されることにより、口腔ケア用具本体10が使用者の指に固定されるため、歯のクリーニング中に口腔ケア用具本体10が使用者の指から脱落するのを防止することができる。
【0051】
また、本実施形態に係る口腔ケア用具1は、指収容部11の指の手のひら側を覆う部分の厚みが指の甲側を覆う部分の厚みよりも薄くなっている。このような口腔ケア用具1によれば、歯の汚れ度合いによって、厚みの薄い部分及び厚みの厚い部分を使い分けることができるため、クリーニング時の利便性が向上する。
【0052】
さらに、本実施形態に係る口腔ケア用具1は、クリーニング対象の上歯と下歯の間に挟まれ、使用者の指を口腔内に挿入することができる程度にクリーニング対象の口を開かせることが可能なクリーニング補助具20を更に備えている。このような口腔ケア用具1によれば、高齢者や幼児等が口を開ける際の負担を軽減することができるとともに、高齢者や幼児等の口腔内に挿入された指が噛まれる事態を防止することができる。
【0053】
[変形例]
上述した実施形態では、複数の指収容部11は、閉塞部11a側が分離して形成されており、開口部11b側が一体的に形成されているものとして説明したが、これに限定されず、閉塞部11a側及び開口部11b側がともに一体的に形成されていても良い。
【0054】
また、上述した実施形態では、口腔ケア用具本体10は、指収容部11の開口部11b側に設けられ、使用者の指と手のひらで挟持される挟持片部12を備えているものとして説明したが、これに限定されず、挟持片部12を備えない構成であっても良い。
【0055】
さらに、上述した実施形態では、指収容部11は、指の手のひら側を覆う部分の厚みが指の甲側を覆う部分の厚みよりも薄いものとして説明したが、これに限定されず、指の甲側を覆う部分の厚みが指の手のひら側を覆う部分の厚みよりも薄く形成されていても良いし、指の手のひら側を覆う部分の厚みと指の甲側を覆う部分の厚みが同じに形成されていても良い。
【0056】
また、上述した実施形態では、クリーニング補助具20は、略円柱状に形成されているものとして説明したが、これに限定されず、例えば、直方体形状であっても良いし、形状が特に限定されるものでもない。
【0057】
上記のような変形例が本発明の範囲に含まれることは、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0058】
1 :口腔ケア用具
10 :口腔ケア用具本体
10a :第1シート部
10b :第2シート部
11 :指収容部
11a :閉塞部
11b :開口部
12 :挟持片部
13 :指収容部
14 :中指収容部
20 :クリーニング補助具
図1
図2
図3
図4
図5
図6