(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037288
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ワイヤ材矯正装置及びワイヤ材矯正方法
(51)【国際特許分類】
B21F 1/02 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
B21F1/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143941
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山田 直哉
(72)【発明者】
【氏名】川合 有
(72)【発明者】
【氏名】小林 幸弘
(72)【発明者】
【氏名】井上 喬文
【テーマコード(参考)】
4E070
【Fターム(参考)】
4E070AB14
4E070AC01
4E070BB01
(57)【要約】
【課題】簡単な構成でもって、ワイヤ材につけられたムラのある曲がり癖を均一に矯正する。
【解決手段】ワイヤ材矯正装置1は、送られてくるワイヤ材Wを複数のテーパローラ10に沿わせることによって矯正する。ワイヤ材矯正装置1は、テーパローラ10がワイヤ送り方向Xに複数配列される矯正部4を、備える。ワイヤ材Wは、矯正部4において、テーパローラ10に、ローラ軸方向Oに対して斜めに沿う。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
送られてくるワイヤ材を複数のテーパローラに沿わせることによって矯正するワイヤ材矯正装置であって、
前記テーパローラが前記ワイヤ材のワイヤ送り方向に複数配列される矯正部を備え、
前記ワイヤ材は、前記矯正部において、前記テーパローラに、該テーパローラのローラ軸方向に対して斜めに沿う、ワイヤ材矯正装置。
【請求項2】
請求項1に記載のワイヤ材矯正装置において、
前記矯正部よりも前記ワイヤ送り方向の一方側に配置され、前記矯正部に送られる前の前記ワイヤ材を案内する第1案内部と、
前記矯正部よりも前記ワイヤ送り方向の他方側に配置され、前記矯正部から送られてきた後の前記ワイヤ材を案内する第2案内部と、を備え、
前記第1案内部と前記第2案内部とは、前記ローラ軸方向において、互いに異なる位置に配置されており、
前記第1案内部と前記第2案内部との対向方向と、前記ローラ軸方向とは、互いに斜めに交差しており、
前記ワイヤ材は、前記第1案内部と前記第2案内部との間で、前記テーパローラに、前記ローラ軸方向に対して斜めに沿う、ワイヤ材矯正装置。
【請求項3】
請求項2に記載のワイヤ材矯正装置において、
前記テーパローラは、前記ローラ軸方向の一方側から他方側に向かうに従って、半径が小さくなるように構成されており、
前記第2案内部は、前記第1案内部よりも、前記ローラ軸方向の他方側に配置されている、ワイヤ材矯正装置。
【請求項4】
請求項3に記載のワイヤ材矯正装置において、
前記矯正部よりも前記ワイヤ送り方向の一方側且つ前記第1案内部及び前記第2案内部よりも前記ローラ軸方向の他方側に配置された第3案内部を備え、
前記第2案内部と前記第3案内部との対向方向と、前記ローラ軸方向とは、互いに斜めに交差しており、
前記第2案内部は、前記矯正部から送られてきた後の前記ワイヤ材を前記矯正部に向けて前記ワイヤ送り方向の一方側に送り返すように構成されており、
前記ワイヤ材は、前記第2案内部と前記第3案内部との間で、前記テーパローラに、前記ローラ軸方向に対して斜めに沿い、
前記第3案内部は、前記矯正部から送られてきた後の前記ワイヤ材を案内する、ワイヤ材矯正装置。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか1つに記載のワイヤ材矯正装置において、
前記第1案内部及び前記第2案内部のうちの少なくとも一方は、前記ローラ軸方向に可動である、ワイヤ材矯正装置。
【請求項6】
請求項1又は2に記載のワイヤ材矯正装置において、
前記ローラ軸方向の一方側から他方側に向かうに従って半径が小さくなるように構成された前記テーパローラと、前記ローラ軸方向の他方側から一方側に向かうに従って半径が小さくなるように構成された前記テーパローラと、が前記ワイヤ送り方向に交互に配列されている、ワイヤ材矯正装置。
【請求項7】
請求項1に記載のワイヤ材矯正装置において、
前記テーパローラは、前記ワイヤ送り方向を螺旋軸とした螺旋状に配列されている、ワイヤ材矯正装置。
【請求項8】
請求項1から7のいずれか1つに記載のワイヤ材矯正装置において、
前記テーパローラは、前記ローラ軸方向に見て、並列配置又は千鳥配置されており、
前記ワイヤ材は、前記ローラ軸方向に見て、前記テーパローラを外回りする、ワイヤ材矯正装置。
【請求項9】
送られてくるワイヤ材を複数のテーパローラに沿わせることによって矯正するワイヤ材矯正方法であって、
前記ワイヤ材を、該ワイヤ材のワイヤ送り方向に複数配列された前記テーパローラに、該テーパローラのローラ軸方向に対して斜めに沿わせる、ワイヤ材矯正方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ワイヤ材矯正装置及びワイヤ材矯正方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ワイヤ材の曲がり癖を矯正するための装置や方法として、種々の技術が開示されている。例えば、特許文献1に係る電線曲がり矯正装置は、交互に対向させた複数のローラの間に電線を挿通圧送させる。電線曲り矯正装置は、ローラを円錐形状に形成し、電線挟持方向に対向するローラを相互に反転して配置させ、且つ、電線送り方向に対向するローラを相互に反転して配置させる。各ローラの円錐斜面の傾斜角を、45°に設定する。
【0003】
かかる構成によれば、電線は、挟持方向に対向するローラ及び送り方向に対向するローラに囲まれた形で形成される矩形状空間内に挿通されるとともに、各ローラにより四方向から押圧されることによって、自動調芯されるとともに精度良く曲がり矯正される。特に、ローラの傾斜面角度を45°に設定することによって、当該矩形状空間が正方形になり、電線に対して押圧力が直交する四方向から均等に作用する。これにより、電線は、四方向均等に曲がり矯正される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ワイヤ材につけられる曲がり癖の曲がり径は、一定ではなく、ムラがある。特許文献1に係るワイヤ材矯正装置では、円錐形状のローラにおけるワイヤ材が沿う部分の半径に相当する曲がり径にしか、対応していない。したがって、特許文献1に係るワイヤ材矯正装置では、ワイヤ材につけられたムラのある曲がり癖を、均一に矯正することができない。
【0006】
本開示は斯かる諸点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、簡単な構成でもって、ワイヤ材につけられたムラのある曲がり癖を均一に矯正する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示に係るワイヤ材矯正装置は、送られてくるワイヤ材を複数のテーパローラに沿わせることによって矯正するワイヤ材矯正装置であって、上記テーパローラが上記ワイヤ材のワイヤ送り方向に複数配列される矯正部を備え、上記ワイヤ材は、上記矯正部において、上記テーパローラに、上記テーパローラのローラ軸方向に対して斜めに沿う。
【0008】
本開示に係るワイヤ材矯正方法は、送られてくるワイヤ材を複数のテーパローラに沿わせることによって矯正するワイヤ材矯正方法であって、上記ワイヤ材を、上記ワイヤ材のワイヤ送り方向に複数配列された上記テーパローラに、上記テーパローラのローラ軸方向に対して斜めに沿わせる。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、簡単な構成でもって、ワイヤ材につけられたムラのある曲がり癖を均一に矯正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本開示の第1の実施形態に係るワイヤ材矯正装置を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、
図1のII矢視におけるワイヤ材矯正装置を示す平面図である。
【
図3】
図3は、
図1のIII矢視におけるワイヤ材矯正装置を示す側面図である。
【
図4】
図4は、ボビンの芯に巻かれたワイヤ材を示す図である。
【
図5】
図5は、
図4のV矢視図であって、ワイヤ材の曲がり径を示す図である。
【
図6】
図6は、ワイヤ材の曲がり癖の矯正メカニズムを示す図である。
【
図7】
図7は、ワイヤ材のねじれ癖の矯正メカニズムを示す図であって、ワイヤ材を円柱ローラにローラ軸方向に対して斜めに沿わせた状態を示す図である。
【
図9】
図9は、ワイヤ材のねじれ癖の矯正メカニズムを示す図であって、ワイヤ材をテーパローラにローラ軸方向に対して垂直に沿わせた状態を示す図である。
【
図11】
図11は、第2の実施形態に係る
図2相当図であって、ワイヤ材矯正装置を示す平面図である。
【
図12】
図12は、第3の実施形態に係る
図2相当図であって、ワイヤ材矯正装置を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第4の実施形態に係る
図2相当図であって、ワイヤ材矯正装置を示す平面図である。
【
図14】
図14は、第5の実施形態に係る
図1相当図であって、ワイヤ材矯正装置を示す斜視図である。
【
図15】
図15は、第6の実施形態に係る
図3相当図であって、ワイヤ材矯正装置を示す側面図である。
【
図16】
図16は、実施例及び比較例におけるワイヤ材の振れ幅を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本開示、その適用物あるいはその用途を制限することを意図するものでは全くない。
【0012】
<第1の実施形態>
(ワイヤ材矯正装置)
図1~3はワイヤ材矯正装置1を示しており、
図1は斜視図、
図2は
図1のII矢視における平面図、
図3は
図1のIII矢視における側面図である。
【0013】
図1に示すように、ワイヤ材矯正装置1は、送られてくるワイヤ材Wを複数のテーパローラ(円錐状のローラ)10に沿わせることによって、ワイヤ材Wの曲がり癖及びねじれ癖を矯正する。ワイヤ材Wは、横断面円形状の金属線材であり、後述するボビン5(
図4,5参照)の芯5aに巻かれている。ワイヤ材矯正装置1は、矯正部4と、第1案内部21と、第2案内部22と、を備える。
【0014】
図2に示すように、矯正部4には、テーパローラ10が、ワイヤ材Wのワイヤ送り方向X(ワイヤ材Wの長さ方向)に複数個、具体的には5個配列されている。各テーパローラ10は、板状のブラケット3の片面に固定されている。ブラケット3は、ベース2に固定されている。各テーパローラ10の回転軸(中心軸)10aの延びるローラ軸方向Oは、互いに平行している。各テーパローラ10のローラ軸方向Oと、ワイヤ送り方向Xとは、同じ傾斜角度θ(<90°)で互いに斜めに交差している。傾斜角度θは、45°以上であることが好ましい。なお、以下の説明において、ワイヤ送り方向X及びローラ軸方向Oに直交する方向(
図2における紙面垂直方向)を、単に上下方向という。
【0015】
ワイヤ送り方向Xの一方側(
図2における左側)から順に、第1テーパローラ11、第2テーパローラ12、第3テーパローラ13、第4テーパローラ14及び第5テーパローラ15という。各テーパローラ11~15は、全て同じ形状・サイズである。ワイヤ材Wは、ボビン5から矯正部4に送られる。
【0016】
図2に示すように、各テーパローラ10は、ローラ軸方向Oの一方側(ブラケット3側)から他方側(ブラケット3から離れる側)に向かうに従って、ローラ半径rが小さくなるように構成されている。各テーパローラ10は、ブラケット3に対して、回転可能である。各テーパローラ10の最大半径(最もブラケット3側の部分における半径)は、ボビン5の芯5aの半径R0(
図5参照)よりも小さい。各テーパローラ10のテーパ角度は、ワイヤ材Wがテーパローラ10の外周面10bから滑り落ちないようにするために、20°以下であることが好ましい。同様の理由で、各テーパローラ10は、摩擦係数の大きな材料(例えば金属)で、形成されることが好ましい。
【0017】
図2に示すように、第1案内部21は、矯正部4(詳細には第1テーパローラ11)よりもワイヤ送り方向Xの一方側(上流側、入口側)に配置されており、ボビン5から矯正部4(第1テーパローラ11)に送られる前のワイヤ材Wを案内する。第2案内部22は、矯正部4(詳細には第5テーパローラ15)よりもワイヤ送り方向Xの他方側(下流側、出口側)に配置されており、矯正部4(第5テーパローラ15)から送られてきた後のワイヤ材Wを案内する。
【0018】
図2に示すように、第1案内部21と第2案内部22とは、ローラ軸方向Oにおいて、互いに異なる位置に配置されている。詳細には、第2案内部22は、第1案内部21よりも、ローラ軸方向Oの他方側に配置されている。より詳細には、第1案内部21は、各テーパローラ10のローラ軸方向Oにおける中央位置よりも、ローラ軸方向Oの一方側に配置されている。第2案内部22は、各テーパローラ10のローラ軸方向Oにおける中央位置よりも、ローラ軸方向Oの他方側に配置されている。
【0019】
第1案内部21と第2案内部22との対向方向は、ワイヤ送り方向Xに一致している。すなわち、第1案内部21と第2案内部22との対向方向と、ローラ軸方向Oとは、傾斜角度θで互いに斜めに交差している。
【0020】
図2,3に示すように、第1案内部21は、第1テーパローラ11におけるローラ軸方向Oの一端部近傍(最大半径の部分近傍)と略同一平面上に、配置されている。一方、第2案内部22は、第5テーパローラ15におけるローラ軸方向Oの他端部近傍(最小半径の部分近傍)と略同一平面上に、配置されている。
【0021】
図2,3に示すように、第1案内部21及び第2案内部22は、それぞれ、ローラ軸方向Oに隣り合い且つ上下方向に延びる一対の円柱部材23と、一対の円柱部材23をブラケット3の片面に連結する連結部材24と、で構成されている。一対の円柱部材23同士の間隔は、ワイヤ材Wの外径よりも若干大きい。
【0022】
図2に示すように、ワイヤ材Wは、矯正部4において、すなわち第1案内部21と第2案内部22との間で、各テーパローラ10の外周面(テーパ面)10bに、ローラ軸方向Oに対して傾斜角度θで斜めに、沿う。詳細には、ボビン5(
図4,5参照)から送られてきたワイヤ材Wは、先ず、第1案内部21における一対の円柱部材23同士の間を通って、矯正部4に送られる。次に、ワイヤ材Wは、矯正部4において、第1テーパローラ11、第2テーパローラ12、第3テーパローラ13、第4テーパローラ14及び第5テーパローラ15に、順に沿う。最後に、矯正部4から送られてきたワイヤ材Wは、第2案内部22における一対の円柱部材23同士の間を通って、目的位置に送られる。
【0023】
なお、ワイヤ材Wは、
図3に示すように、矯正部4において、奇数番目の第1テーパローラ11,第3テーパローラ13及び第5テーパローラ15における上側の外周面10bに沿う一方、偶数番目の第2テーパローラ12及び第4テーパローラ14における下側の外周面10bに沿う。各テーパローラ10は、ワイヤ材Wとの摩擦によって、ブラケット3に対して回転する。各テーパローラ10の回転方向は、ワイヤ材Wをワイヤ送り方向Xの他方側(第2案内部22側)に押し出す方向である。奇数番目のテーパローラ11,13,15の回転方向と偶数番目のテーパローラ12,14の回転方向とは、互いに逆である。
【0024】
(ワイヤ材の曲がり癖及びねじれ癖)
図4は、ボビン5の芯5aに巻かれたワイヤ材Wを、ボビン5の径方向外側から見た状態で示す。
図5は、
図4におけるV矢視図であって、ワイヤ材Wの曲がり径Rを、ボビン5の軸方向に見た状態で示す。
図5に示すように、ボビン5及びその芯5aはともに、横断面円形状である。
【0025】
図4に示すように、ワイヤ材Wは、ボビン5の芯5aの軸方向に複数列となるように、芯5aに巻かれている。
図5に示すように、ワイヤ材Wは、ボビン5の芯5aに巻かれることによって、ボビン5の径方向への曲がり癖(巻き癖)がついている。ボビン5の芯5aの半径をR0、ボビン5の芯5aに巻かれたワイヤ材Wの任意の列における巻き数をN、ワイヤ材Wの厚み(直径)をtとすると、ワイヤ材Wの任意の部位waにおける曲がり径(巻き径)Rは、理論的には以下の式で表される。R=R0+N×t。
【0026】
このように、ワイヤ材Wの曲がり径Rは、部位waによって異なる。さらに、ワイヤ材Wは、常に一定の方向に巻かれるのではなく、折り返しが発生したり、隣接するワイヤ材Wの上に乗り上げたりすることがある。また、ワイヤ材Wは、ボビン5の芯5aの軸方向に複数列となるように巻かれている。
【0027】
このため、ワイヤ材Wの曲がり径Rは、一様ではなく、ムラがある。さらに、ワイヤ材Wには、横断面周方向へのねじれ癖もついている。
【0028】
(ワイヤ材の曲がり癖の矯正メカニズム)
図6は、ワイヤ材Wの曲がり癖の矯正メカニズムを示す。
図6に示すように、ボビン5の芯5aに巻かれたワイヤ材Wには、曲がり径Rの曲がり癖がついている。なお、
図6では、ワイヤ材Wを、任意の長さ(本実施形態ではπR)切り取った状態で、示している。
【0029】
先ず、曲がり径Rのワイヤ材Wを第1テーパローラ11の外周面10bに沿わせると、
図3に示すように、第1テーパローラ11の外周面10bにおけるローラ半径r1の部分が、ワイヤ材Wを押圧する。これにより、ワイヤ材Wは、
図6に示すように、ローラ半径r1の影響を受けて、曲がり癖が上書き(修正)されて、反り量(振れ幅)が小さくなる。
【0030】
ここで、反り量(振れ幅)は、ワイヤ材Wを任意の長さ(例えばπR)切り取った場合における、ワイヤ材Wの長さ方向に直交する方向への基準位置からの変位量である。反り量が小さければ小さいほど、ワイヤ材Wはより真直ぐになる。
【0031】
上述したように、各テーパローラ10は、ローラ軸方向Oの一方側から他方側に向かうに従って、ローラ半径rが小さくなるように構成されている。また、第2案内部22は、第1案内部21よりも、ローラ軸方向Oの他方側に配置されている。そして、第1案内部21と第2案内部22との対向方向(ワイヤ送り方向X)と、ローラ軸方向Oとは、傾斜角度θで互いに斜めに交差している。
【0032】
したがって、第1テーパローラ11により曲がり癖が上書きされたワイヤ材Wを第2テーパローラ12の外周面10bに沿わせると、
図3に示すように、第2テーパローラ12の外周面10bにおけるローラ半径r1よりも小さなローラ半径r2の部分が、ワイヤ材Wを押圧する。これにより、ワイヤ材Wは、
図6に示すように、ローラ半径r1よりも小さなローラ半径r2の影響を受けて、曲がり癖がさらに上書きされて、反り量がさらに小さくなる。
【0033】
以下同様に、第2テーパローラ12により曲がり癖が上書きされたワイヤ材Wを第3テーパローラ13の外周面10bに沿わせると、
図3に示すように、第3テーパローラ13の外周面10bにおけるローラ半径r2よりも小さなローラ半径r3の部分が、ワイヤ材Wを押圧する。第3テーパローラ13により曲がり癖が上書きされたワイヤ材Wを第4テーパローラ14の外周面10bに沿わせると、
図3に示すように、第4テーパローラ14の外周面10bにおけるローラ半径r3よりも小さなローラ半径r4の部分が、ワイヤ材Wを押圧する。第4テーパローラ14により曲がり癖が上書きされたワイヤ材Wを第5テーパローラ15の外周面10bに沿わせると、
図3に示すように、第5テーパローラ15の外周面10bにおけるローラ半径r4よりも小さなローラ半径r5の部分が、ワイヤ材Wを押圧する。
【0034】
このように、ワイヤ材Wは、順次小さくなるローラ半径r1,r2,r3,r4,r5の影響を受けて、曲がり癖が順次上書きされて、反り量が順次小さくなる。これにより、ワイヤ材Wにつけられたムラのある曲がり癖が、均一に矯正される。
【0035】
(ワイヤ材のねじれ癖の矯正メカニズム)
図7~10は、ワイヤ材Wのねじれ癖の矯正メカニズムを示す。ワイヤ材Wのねじれ癖は、ワイヤ材Wを各テーパローラ10にローラ軸方向Oに対して斜めに沿わせること(作用1)、及び、各テーパローラ10自体がテーパ状であること(作用2)、の2つの作用によって、矯正される。
【0036】
先ず、ワイヤ材Wを各テーパローラ10にローラ軸方向Oに対して斜めに沿わせること(作用1)によって、ねじれ癖が矯正されるメカニズムを、
図7,8を参照しながら説明する。なお、
図7,8では、簡単のため、テーパ状ではなく円柱状のローラ30(以下、「円柱ローラ30」という)を用いて説明する。
図7は、ワイヤ材Wを円柱ローラ30にローラ軸方向Oに対して斜めに沿わせた状態を示す。
図8は、
図7におけるワイヤ材Wの横断面(VIII断面)を示す。
【0037】
図7に示すように、ワイヤ材Wは、円柱ローラ30の外周面31に、ローラ軸方向O(円柱ローラ30の回転軸32の延びる方向)に対して傾斜角度θで斜めに、沿う。このとき、
図8に示すように、ワイヤ材Wは、ワイヤ材Wを円柱ローラ30にローラ軸方向Oに対して垂直に沿わせた状態(
図7,8の二点鎖線参照)から傾斜角度θだけ傾いた面(実線)から、押圧力Fを受ける。このため、ワイヤ材Wには、横断面周方向に、90°-θのねじれT1が発生すると考えられる。
【0038】
次に、各テーパローラ10自体がテーパ状であること(作用2)によって、ねじれ癖が矯正されるメカニズムを、
図9,10を参照しながら説明する。なお、
図9,10では、簡単のため、ワイヤ材Wをテーパローラ10にローラ軸方向Oに対して斜めではなく垂直に沿わせた状態を用いて、説明する。
図9は、ワイヤ材Wをテーパローラ10にローラ軸方向Oに対して垂直に沿わせた状態を示す。
図10は、
図9におけるワイヤ材Wの横断面(X断面)を示す。
【0039】
図9に示すように、ワイヤ材Wは、テーパローラ10の外周面10bに、ローラ軸方向Oに対して垂直に、沿う。このとき、
図10に示すように、ワイヤ材Wは、その一部分Wb(詳細には、テーパローラ10の大径側に臨む部分Wb)のみが、テーパローラ10の外周面10bに当接して、押圧される。このため、ワイヤ材Wには、横断面周方向に、ねじれT2が発生すると考えられる。
【0040】
(第1の実施形態の効果)
以上の通り、本実施形態によれば、ワイヤ材Wが、互いに異なるローラ半径r1,r2,r3,r4,r5の影響を受けるので、ワイヤ材Wにつけられたムラのある曲がり癖を、均一に矯正することができる。
【0041】
ここで、例えば、ワイヤ材Wにつけられたムラのある曲がり癖を複数の円柱ローラ30によって矯正しようとすると、異なる半径の円柱ローラ30を複数用意しなければならない。一方、本実施形態によれば、異なる半径のテーパローラ10を複数用意する必要はなく、ワイヤ材Wを各テーパローラ10にローラ軸方向Oに対して斜めに沿わせるだけでよいので、ワイヤ材矯正装置1の構成を簡単にすることができる。
【0042】
以上、簡単な構成でもって、ワイヤ材Wにつけられたムラのある曲がり癖を均一に矯正することができる。
【0043】
さらに、ワイヤ材Wを各テーパローラ10にローラ軸方向Oに対して斜めに沿わせること(作用1)、及び、各テーパローラ10自体がテーパ状であること(作用2)、の2つの作用によって、ワイヤ材Wのねじれ癖を、矯正することもできる。
【0044】
第1案内部21及び第2案内部22を、ローラ軸方向Oにおいて互いに異なる位置に配置することによって、簡単に、ワイヤ送り方向X(第1案内部21と第2案内部22との対向方向)を、ローラ軸方向Oに対して斜めに交差させることができる。
【0045】
各テーパローラ10が、ローラ軸方向Oの一方側から他方側に向かうに従ってローラ半径rが小さくなるように構成されるとともに、第2案内部22が、第1案内部21よりもローラ軸方向Oの他方側に配置されているので、ワイヤ材Wは、順次小さくなるローラ半径r1,r2,r3,r4,r5の影響を受けて、曲がり癖が順次上書きされて、反り量が順次小さくなる。これにより、ワイヤ材Wを、より真直ぐに矯正することができる。
【0046】
本実施形態に係るワイヤ材矯正装置1によって曲がり癖及びねじれ癖が矯正されたワイヤ材Wは、種々の用途に適用され得る。ワイヤ材Wは、例えば、太陽電池、自動車用のワイヤハーネス、又は電力供給のための送電線用電線、等に適用される。ワイヤ材Wの曲がり癖及びねじれ癖を矯正することによって、各用途において、製品としての性能及び寿命の向上、製造段階における生産性の向上、等を図ることができる。
【0047】
例えば、ワイヤ材Wを太陽電池に適用する場合、ボビン5の芯5aに巻かれたワイヤ材Wを、所定長さ引き出して切断した後に、接着材(接着剤又は接着テープ等)によって、シリコンからなるセルの上にマウントする。マウントに際して、ワイヤ材Wにおける接着材(セル)と接する面とは反対側部分が、吸着ツールによって吸着保持される。
【0048】
ワイヤ材Wの曲がり径Rが大きいと、ワイヤ材Wを吸着ツールによって適切に吸着保持することが難しく、ワイヤ材Wが吸着ツールから脱落してしまうおそれがある。吸着ツールからのワイヤ材Wの脱落は、セル上へのマウント不良の原因となり、生産性の観点から好ましくない。
【0049】
吸着ツールからのワイヤ材Wの脱落を防ぐために、吸着ツールの吸引口の面積を広げて、ワイヤ材Wに対する吸引力を上げることが考えられる。しかしながら、太陽電池に適用されるワイヤ材Wの断面幅は通常1mm以下と小さいので、吸入口面積を単に広げると、ワイヤ材Wが吸着ツールに吸い込まれてしまう。吸着ツール自体の吸引能力を単に上げることも考えられるが、コストの観点から好ましくない。
【0050】
本実施形態に係るワイヤ材矯正装置1により曲がり癖及びねじれ癖が矯正されたワイヤ材Wを、太陽電池に適用することによって、吸着ツールに特別な処置を施すことなく、吸着ツールからのワイヤ材の脱落を防止することができる。これにより、ワイヤ材Wのセル上へのマウント不良を防いで、太陽電池の生産性を向上させることができる。
【0051】
<第2の実施形態>
第2の実施形態に係るワイヤ材矯正装置1について、
図11を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0052】
ワイヤ材矯正装置1は、第3案内部25を備える。第3案内部25は、矯正部4(詳細には、第1テーパローラ11)よりもワイヤ送り方向Xの一方側(第1案内部21側)且つ第1案内部21及び第2案内部22よりもローラ軸方向Oの他方側(小径側)に、配置されている。本実施形態では、第1の実施形態に比較して、各テーパローラ10の軸方向長さが、長くなっている。
【0053】
第2案内部22と第3案内部25との対向方向(ワイヤ送り方向X)と、ローラ軸方向Oとは、傾斜角度θで互いに斜めに交差している。第2案内部22は、プーリ等の回転機構で構成されている。第3案内部25は、第1案内部21と同様に、一対の円柱部材23と、連結部材24と、で構成されている。
【0054】
第2案内部22は、矯正部4(詳細には、第5テーパローラ15)から送られてきた後のワイヤ材Wを、再び矯正部4(第5テーパローラ15)に向けてワイヤ送り方向Xの一方側に送り返すように構成されている。ワイヤ材Wは、第2案内部22と第3案内部25との間で、各テーパローラ10の外周面10bに、ローラ軸方向Oに対して傾斜角度θで斜めに、沿う。第3案内部25は、矯正部4(第1テーパローラ11)から送られてきた後のワイヤ材Wを、案内する。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0055】
本実施形態によれば、ワイヤ材Wを第2案内部22で折り返すことによって、第1の実施形態に比較して、各テーパローラ10を、ローラ軸方向Oにより長く利用することができる。例えば、各テーパローラ10のテーパ角度が第1の実施形態と同じであれば、ワイヤ材Wは、第1の実施形態の場合に比較して、より多くの異なる半径rの影響を受けることになる。これにより、ワイヤ材Wにつけられたムラのある曲がり癖を、第1の実施形態の場合に比較して、より均一に矯正することができる。
【0056】
また、ワイヤ材Wを第2案内部22で折り返すことによって、単にテーパローラ10を増加してワイヤ送り方向Xに配列する場合に比較して、ワイヤ材矯正装置1のワイヤ送り方向Xにおける寸法を、小さくすることができる。
【0057】
<第3の実施形態>
第3の実施形態に係るワイヤ材矯正装置1について、
図12を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0058】
本実施形態では、ローラ軸方向Oの一方側から他方側に向かうに従って半径rが小さくなるように構成されたテーパローラ11,13,15と、ローラ軸方向Oの他方側から一方側に向かうに従って半径rが小さくなるように構成されたテーパローラ12,14と、がワイヤ送り方向Xに交互に配列されている。第1テーパローラ11、第3テーパローラ13及び第5テーパローラ15と第2テーパローラ12及び第4テーパローラ14とは、ローラ軸方向Oにおいて逆向きに配置されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0059】
本実施形態によれば、各テーパローラ10のテーパ方向(半径rが小さくなる方向)を、ワイヤ送り方向Xにおいて交互に変化させることによって、異なる方向のねじれ癖を矯正し得る。また、ワイヤ材Wに対して小さな半径rの影響を与えた後に、ワイヤ材Wに対して大きな半径rの影響を与えることができる。
【0060】
<第4の実施形態>
第4の実施形態に係るワイヤ材矯正装置1について、
図13を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0061】
本実施形態では、第1案内部21は、ローラ軸方向Oに可動である。第2案内部22は、定位置に固定されている。詳細には、第1案内部21は、ガイドレール26に沿ってローラ軸方向Oにスライド可能なガイド部材27で構成されている。その他の構成は、第1の実施形態と同様である。
【0062】
本実施形態によれば、第1案内部21をローラ軸方向Oに移動させることによって、傾斜角度θを任意に変更することができる。これにより、例えば、第1案内部21の円柱部材23とワイヤ材Wとの接触によって生じる、ワイヤ材Wへの余計な応力の発生を、抑制することができる。
【0063】
<第5の実施形態>
第5の実施形態に係るワイヤ材矯正装置1について、
図14を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0064】
本実施形態では、矯正部4は、8つのテーパローラ11~18を含む。各テーパローラ10は、ワイヤ送り方向Xを螺旋軸とした螺旋状に配列されている。
【0065】
本実施形態によれば、ワイヤ材Wに対して、横断面周方向における様々な方向から、三次元的に、テーパローラ11~18を当てることができる。
【0066】
<第6の実施形態>
第6の実施形態に係るワイヤ材矯正装置1について、
図15を参照しながら説明する。以下の説明において、上記実施形態と同様の構成については同じ符号を付し、詳細な説明を省略する場合がある。
【0067】
本実施形態では、矯正部4は、9つのテーパローラ11~19を含む。各テーパローラ10は、ローラ軸方向Oに見て、2列で千鳥配置されている。そして、ワイヤ材Wは、ローラ軸方向Oに見て、各テーパローラ10の外周面10bを外回りする。
【0068】
本実施形態によれば、ワイヤ材Wが、千鳥配置された各テーパローラ10の外周面10bを外回りするので、ワイヤ材Wが複数のテーパローラ10の外周面10bに接する長さ(時間)を、長くすることができる。
【0069】
<その他の実施形態>
以上、本発明を好適な実施形態により説明してきたが、こうした記述は限定事項ではなく、勿論、種々の改変が可能である。
【0070】
第4の実施形態(
図13参照)において、第2案内部22がローラ軸方向Oに可動であるとともに、第1案内部21が定位置に固定されてもよい。また、第1案内部21及び第2案内部22の両方が、ローラ軸方向Oに可動であってもよい。この場合、第1案内部21と第2案内部22とが、ローラ軸方向Oにおいて、互いに異なる位置に配置されるように調整する必要がある。また、第1案内部21及び第2案内部22は、ワイヤ送り方向Xや上下方向(
図13における紙面垂直方向)に可動であってもよい。
【0071】
第6の実施形態(
図15参照)において、各テーパローラ10は、ローラ軸方向Oに見て、並列配置されてもよい。
【0072】
ワイヤ送り方向Xとローラ軸方向Oとの傾斜角度θは、テーパローラ10毎に異なってもよい。すなわち、各テーパローラ10の回転軸10aの延びるローラ軸方向Oは、互いに平行しなくてもよい。各テーパローラ10のテーパ径・半径等は、互いに異なってもよい。テーパローラ10の外周面10bは、テーパ角度が途中で段階的に変化したり、テーパ面のないフラット面を有したりしてもよい。
【0073】
第1案内部21及び第2案内部22は、一対の円柱部材23を必ずしも含む必要はなく、ワイヤ材Wを案内するという目的を達するならば、いかなる構成でもよい。例えば、第1案内部21及び第2案内部22は、円筒の中心孔にワイヤ材Wを通すように構成されたり、ワイヤ送り方向Xに交差する中心軸を有するローラで構成されたりしてもよい。第1案内部21及び第2案内部22は、互いに異なる態様で構成されてもよい。第3案内部25についても同様である。
【0074】
ワイヤ材Wは、ボビン5の芯5aに複数列で巻かれる必要はなく、1列で巻かれてもよい。また、ワイヤ材Wは、ボビン5の芯5aに巻かれてなくてもよい。ワイヤ材Wの横断面形状は、円形状に限定されず、例えば楕円形状や、四角形等の多角形状、等でもよい。ワイヤ材Wは、非金属で形成されてもよい。
【0075】
本開示に係るワイヤ材矯正方法は、送られてくるワイヤ材Wを複数のテーパローラ10に沿わせることによって矯正するものである。ワイヤ材矯正方法において、ワイヤ材Wを、ワイヤ送り方向Xに複数配列された各テーパローラ10に、ローラ軸方向Oに対して斜めに沿わせる。
【実施例0076】
<設定条件>
ワイヤ材Wとして、直径0.4mmの錫メッキ銅線を用いた。ワイヤ材Wがボビン5の芯5aに巻かれた状態を、初期条件とした。当該初期条件において、ワイヤ送り方向Xにおけるワイヤ材Wの、長さ50mmあたりの振れ幅(反り量)は、21.518mmであった。なお、振れ幅は、測定用の治具を製作(KEYENCE社製ファイバセンサFU-58を使用)して、測定した。
【0077】
(実施例)
第1の実施形態に係るワイヤ材矯正装置1を用いた。ワイヤ送り方向Xにおける各テーパローラ10間の寸法を、40mmとした。テーパローラ10の底面直径を30mm、頂面直径を2mm、テーパ高さを56mm、テーパ角度を14°、傾斜角度θを76°とした。テーパローラ10の個数を、5個とした。
(比較例1)
ワイヤ材Wを、円柱(円筒)ローラ30に、ローラ軸方向Oに対して垂直に沿わせた(
図7の二点鎖線参照)。円柱ローラ30の高さを60mm、直径を30mmとした。その他の条件は、実施例と同様である。
(比較例2)
ワイヤ材Wを、円柱ローラ30に、ローラ軸方向Oに対して傾斜角度76°で斜めに、沿わせた(
図7参照)。円柱ローラ30の高さを60mm、直径を30mmとした。その他の条件は、実施例と同様である。
【0078】
<測定条件>
ワイヤ材Wを矯正した後の、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅を、測定した。そして、初期条件におけるワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅21.518mmを100%、振れ幅0mmを0%として、矯正された後のワイヤ材Wの振れ幅を、%表示した。なお、振れ幅は、測定用の治具を製作(KEYENCE社製ファイバセンサFU-58を使用)して、測定した。
【0079】
<測定結果>
(実施例)
実施例において、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅は、8.446mmであった。得られた結果を、
図16に示す。なお、
図16は、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅を示すグラフであり、横軸にワイヤ材Wの長さ[mm]、縦軸にワイヤ材Wの基準位置からの振れ幅[mm]を示す。
【0080】
(比較例1)
比較例1において、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅は、14.309mmであった。得られた結果を、
図16に示す。
【0081】
(比較例2)
比較例2において、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅は、比較例1と略同じであった。
【0082】
<評価>
比較例1及び比較例2を初期条件に比較すると、比較例1及び比較例2では、初期条件に対して、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅が、約33.5%減少している。実施例を初期条件に比較すると、実施例では、初期条件に対して、ワイヤ材Wの長さ50mmあたりの振れ幅が、約60.7%減少している。以上のことから、実施例では、比較例1及び比較例2に対して、約2倍の曲がり癖(振れ幅)矯正効果があることが分かる。