(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037293
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】画像処理装置および画像処理方法
(51)【国際特許分類】
G01N 21/84 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
G01N21/84 Z
【審査請求】有
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143946
(22)【出願日】2021-09-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-09
(71)【出願人】
【識別番号】000115902
【氏名又は名称】レーザーテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(74)【代理人】
【識別番号】100129953
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 康弘
(72)【発明者】
【氏名】篠田 雅文
【テーマコード(参考)】
2G051
【Fターム(参考)】
2G051AA51
2G051AA56
2G051AC02
2G051BA10
2G051BA20
2G051BB03
2G051BC01
2G051CA03
2G051CA04
2G051CD01
(57)【要約】
【課題】反射率が異なる複数の領域を有する試料の観察において、輝度を調整する手間を軽減する。
【解決手段】本発明に係る画像処理装置10は、反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影する撮影制御部11と、撮影画像内の各画素の輝度が閾値を超える撮影条件を示す撮影条件マップ133を生成する生成部12と、撮影条件マップ133に基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定する決定部14と、決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する合成部15と、を備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影する撮影制御部と、
前記撮影画像内の各画素の輝度が指定値に到達する撮影条件を表す撮影条件マップを生成する生成部と、
前記撮影条件マップに基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定する決定部と、
決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する合成部と、
を備える画像処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記撮影条件マップにおける撮影条件の分布に基づいて、各領域の撮影条件を決定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、
最初に撮影した前記撮影画像をメモリ画像として記憶部に登録した後、新たに撮影した前記撮影画像内の各画素の輝度が、前記指定値以下であり、かつ前記メモリ画像内の対応する画素の輝度より大きい場合、前記メモリ画像内の対応する画素の輝度を更新し、
前記メモリ画像を用いて前記撮影条件マップを生成する、
請求項1または2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮影条件は露光時間である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮影条件は照明強度である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記試料はマルチトーンマスクである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影し、
前記撮影画像内の各画素の輝度が指定値を超える撮影条件を表す撮影条件マップを生成し、
前記撮影条件マップに基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定し、
決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する、
画像処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置および画像処理方法に関し、特に反射率が異なる複数の領域を有する試料の画像の画像処理技術に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、撮像素子の露光量を適正な値に制御する露光制御装置を開示している。また、特許文献2は、他の撮影画像の露光時間に応じて、撮影画像の画素強度を調整する技術を開示している。
【0003】
ところで、反射率が異なる複数の領域を有する試料(例えば、Multi-Toneマスク)を観察する場合がある。このような試料を観察する場合には、領域毎に輝度(明るさ)の調整を行う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2013-78108号公報
【特許文献2】特表2013-546083号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記の通り、反射率が異なる複数の領域を有する試料を観察する際、領域ごとに輝度の調整を行う必要があり煩わしいという問題がある。なお、特許文献1および特許文献2に記載された技術により、この問題を解決することはできない。
【0006】
本発明は、このような問題を解決するためになされたものであり、反射率が異なる複数の領域を有する試料の観察において、輝度を調整する手間を軽減する画像処理装置および画像処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る画像処理装置は、
反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影する撮影制御部と、
前記撮影画像内の各画素の輝度が指定値に到達する撮影条件を表す撮影条件マップを生成する生成部と、
前記撮影条件マップに基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定する決定部と、
決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する合成部と、
を備える。
【0008】
また、本発明に係る画像処理方法は、
反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影し、
前記撮影画像内の各画素の輝度が指定値に到達する撮影条件を表す撮影条件マップを生成し、
前記撮影条件マップに基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定し、
決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、反射率が異なる複数の領域を有する試料の観察において、輝度を調整する手間を軽減する画像処理装置および画像処理方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】実施形態1にかかる画像処理装置を含むシステムの模式構成図である。
【
図2】実施形態1にかかる画像処理装置の構成を示すブロック図である。
【
図3】実施形態1にかかる画像処理装置におけるメモリ画像の更新方法を示す概略図である。
【
図4】実施形態1にかかる画像処理装置が記憶する撮影画像情報、メモリ画像、および撮影条件マップを示す模式図である。
【
図5】撮影条件マップにおける撮影条件の分布を示すヒストグラムである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本実施形態の具体的構成について図面を参照して説明する。以下の説明は、本発明の好適な実施の形態を示すものであって、本発明の範囲が以下の実施の形態に限定されるものではない。以下の説明において、同一の符号が付されたものは実質的に同様の内容を示している。
【0012】
(実施形態1)
実施形態1にかかる画像処理装置10について、
図1を用いて説明する。
図1は、実施形態1に係る画像処理装置10を含むシステムを模式的に示す模式構成図である。
図1に示すシステムは、画像処理装置10、表示装置20、入力装置30、および撮像光学系40を備えている。
【0013】
図1では、説明の明確化のため、XYZの3次元直交座標系を示している。なお、Z方向が鉛直方向であり、試料50の厚さ方向と平行な方向である。したがって、Z方向が高さ方向となる。試料50の上面は、反射率が異なる複数の領域を有している。試料50は、例えばマルチトーンマスクであってもよい。なお、試料50は、フォトマスクに限られるものではなく、その他の試料(例えば、ウェーハ)であってもよい。試料50は、試料50をXY方向に移動させる駆動ステージに搭載されていてもよい。
【0014】
画像処理装置10は、プロセッサやメモリなどを備えたコンピュータである。画像処理装置10は、後述する撮像光学系40を制御する機能を備えている。画像処理装置10は、試料50の撮影画像を、撮影条件(例えば、照明強度や露光時間)を変えながら複数回撮影する。そして、画像処理装置10は、各領域の画像を組み合わせた合成画像を生成する。なお、画像処理装置10の機能の詳細については後述する。表示装置20はディスプレイ等の表示装置であり、画像処理装置10によって生成された合成画像を表示する。入力装置30はマウス、キーボード等の入力装置であり、ユーザによる操作入力を受け付ける。
【0015】
撮像光学系40は、光源41、ビームスプリッタ42、対物レンズ43、およびカメラ44を備えている。撮像光学系40は、上記の構成以外の光学素子、レンズ、光スキャナ、ミラー、フィルタ、ビームスプリッタなどが設けられていてもよい。例えば、撮像光学系40は、コンフォーカル光学系であってもよい。
【0016】
光源41は、照明光L11を発生する。光源41は、ランプ光源、LED(Light Emitting Diode)光源、レーザ光源などである。光源41からの照明光L11は、ビームスプリッタ42に入射する。ビームスプリッタ42は、例えばハーフミラーであり、照明光L11のほぼ半分を試料50の方向に反射する。ビームスプリッタ42で反射した照明光L11は、対物レンズ43に入射する。対物レンズ43は照明光L11を試料50に集光する。これにより、試料50の表面を照明できる。対物レンズ43の光軸OXは、Z方向と平行となっている。照明光L11は、例えば、X方向を長手方向とするライン状の照明領域であってもよい。
【0017】
試料50の表面で反射した反射光L12は、対物レンズ43で集光されて、ビームスプリッタ42に入射する。ビームスプリッタ42は、反射光L12のほぼ半分を透過する。ビームスプリッタ42を透過した反射光L12は、カメラ44に入射する。これにより、カメラ44が試料50を撮像できる。対物レンズ43により試料50の像がカメラ44に拡大投影される。また、反射光L12をカメラ44の受光面に結像するためのレンズなどを設けてもよい。
【0018】
カメラ44は、試料50を撮像するための撮像素子を有している。カメラ44は、CCD(Charge Coupled Device)カメラやCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)センサなどである。カメラ44は、照明光L11で照明された検出領域からの反射光L12を検出する。カメラ44は、撮影画像の画像データを画像処理装置10に出力する。
【0019】
次に、
図2を参照して、画像処理装置10の機能について詳細に説明する。画像処理装置10は、撮影制御部11、生成部12、記憶部13、決定部14、および合成部15を備えている。
【0020】
撮影制御部11は、試料50の撮影画像を、撮影画像の輝度(明るさ)に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影する。撮影条件は、例えば露光時間や照明強度である。撮影条件が露光時間の場合、撮影制御部11は、カメラ44の露光時間を変えながら撮影画像を複数回撮影する。撮影条件が照明強度の場合、撮影制御部11は、光源41の照明強度を変えながら撮影画像を複数回撮影する。撮影制御部11は、露光時間または照明強度を、最小値から最大値まで一定時間間隔で変化させてもよい。撮影制御部11は、撮影画像と撮影条件とを対応付けて記憶部13に登録する。
【0021】
生成部12は、撮影画像内の各画素の輝度が指定値(指定された明るさ)に到達する撮影条件を表すマップ(撮影条件マップと称される)を生成する。生成部12は、後述するメモリ画像132を生成し、メモリ画像132を用いて撮影条件マップ133を生成してもよい。
【0022】
記憶部13は、メモリなどの記憶媒体を含んでいる。記憶部13は、撮影画像情報131、メモリ画像132、および撮影条件マップ133を記憶している。撮影画像情報131では、撮影画像1311と撮影条件1312とが対応付けられている。撮影画像1311は、画像処理を行っていない画像(生画像)である。
【0023】
メモリ画像132は、撮影画像1311に基づいて生成される画像である。まず、メモリ画像132には、最初に撮影した撮影画像が登録される。そして、新たに撮影した撮影画像1311内の各画素の輝度が、指定値以下であり、かつメモリ画像132の対応する画素の輝度より大きい場合、生成部12は、メモリ画像132の対応する画素の輝度を更新する。換言すると、生成部12は、各画素の輝度が登録されているメモリ画像132より大きくなったときにメモリ画像132内の対応する画素の輝度(画素値)を更新するが、輝度が指定値に到達した場合には更新を停止する。
【0024】
図3は、輝度が大きくなるように撮影条件(例えば、露光時間や照明強度)を変化させたときの撮影画像1311およびメモリ画像132の変化を示している。試料50は、反射率が互いに異なる4つの領域51a、51b、51c、および51dを含んでいる。領域51aは円形の領域であり、領域51bは正方形の領域であり、領域51cは三角形の領域であり、領域51dは背景領域である。反射率の大きさは、領域51a、51b、51c、51dの順番に小さくなっている。また、
図3では、輝度の大きさをハッチングで示している。輝度は、ハッチングA1、ハッチングA2、ハッチングA3、およびハッチングA4の順に大きくなっている。ハッチングA3は、輝度の指定値に対応している。ハッチングA4は、輝度が飽和したときの値に対応している。
【0025】
露光時間または照明強度を小から大に変化させながら、複数の撮影画像1311-1、1311-2、1311-3、1311-4、1311-5、1311-6、および1311-7が撮影されている。そして、メモリ画像132は、撮影画像1311-1~1311-7の撮影に応じて更新されている。
【0026】
まず、撮影画像1311-1が撮影され、メモリ画像132として登録される。次に、撮影画像1311-2が撮影される。撮影画像1311-2では、反射率が大きい領域51aの輝度が大きくなっている。メモリ画像132において、領域51a、領域51b、領域51c、および領域51d内の各画素の輝度が、撮影画像1311-2内の対応する画素の輝度に応じて更新される。
【0027】
撮影画像1311-3では、領域51bの輝度が大きくなっており、領域51aの輝度が指定値に到達している。メモリ画像132において、領域51a、領域51b、領域51c、および領域51d内の各画素の輝度が、撮影画像1311-3内の対応する画素の輝度に応じて更新される。
【0028】
撮影画像1311-4では、領域51cの輝度が大きくなっており、領域51bの輝度が指定値に到達し、領域51aの輝度が飽和している。メモリ画像132において、領域51b、領域51c、および領域51d内の各画素の輝度が、撮影画像1311-4内の対応する画素の輝度に応じて更新される。
【0029】
撮影画像1311-5では、領域51dの輝度が大きくなっており、領域51cの輝度が指定値に到達し、領域51aおよび51bの輝度は飽和している。メモリ画像132において、領域51cおよび領域51d内の各画素の輝度が、撮影画像1311-5内の対応する画素の輝度に応じて更新される。
【0030】
撮影画像1311-6では、領域51dの輝度が指定値に到達し、領域51a、51b、および51cの輝度が飽和している。メモリ画像132において、領域51d内の各画素の輝度が、撮影画像1311-6内の対応する画素の輝度に応じて更新される。これにより、全面が均一な輝度(指定値)のメモリ画像132が得られている。
【0031】
撮影画像1311-7では、領域51a、51b、51c、および51dの輝度が飽和している。ここで、後述する合成部15が、領域51a、51b、51c、および51dの領域画像を組み合わせた合成画像を生成し、メモリ画像132に登録してもよい。これにより、各領域における輝度が指定値となっているメモリ画像132を、各領域における輝度が一定の諧調を持つメモリ画像132に変換できる。
【0032】
ここまでは、輝度が指定値と一致した場合に更新を停止するケースを中心に説明した。しかし、生成部12は、輝度が指定値を超えたことを条件としてメモリ画像132の更新の停止を判断してもよい。以下では、
図3のハッチングA3が指定値未満の輝度に対応し、ハッチングA4が指定値を超える輝度に対応しているものとする。このような場合、撮影画像1311-3における領域51a内の各画素の輝度は、指定値以下であり、かつ更新前のメモリ画像132における領域51a内の各画素の輝度より大きい。したがって、メモリ画像132における領域51a内の各画素の輝度は、撮影画像1311-3に基づいて更新される。そして、撮影画像1311-4における領域51a内の各画素の輝度は指定値を超えているため、メモリ画像132における領域51a内の各画素の輝度は更新されない。したがって、メモリ画像132における領域51a内の輝度の更新では、撮影画像1311-4についての判断をもって、撮影画像1311-3に基づく更新が最終更新となる。
【0033】
図2に戻り説明を続ける。記憶部13が記憶する撮影条件マップ133には、撮影画像1311内の各画素の輝度が指定値に到達した撮影条件を記録する。次に、
図4を参照して、撮影条件マップ133を生成する方法について説明する。
【0034】
図4は、記憶部13が記憶する情報を模式的に示す模式図である。撮影制御部11が、露光時間を変えながら撮影画像を複数回撮影したものとする。まず、露光時間ごとの撮影画像1311が、撮影画像情報131として登録される。また、既に説明した通り、撮影画像1311内の各画素の輝度が徐々に増加する場合、各画素の最新の輝度が、メモリ画像132に登録される。ただし、各画素の輝度が指定値を超えると、当該画素の輝度は更新されない。
【0035】
撮影条件マップ133には、メモリ画像132内の各画素の輝度に対応する露光時間が登録されている。生成部12は、メモリ画像132を用いて撮影条件マップ133を生成する。生成部12は、メモリ画像132内の各画素の輝度を登録または更新するとき、当該画素の撮影条件を記憶部13に登録または更新する。これにより、生成部12は、撮影条件マップ133を生成できる。
【0036】
換言すると、生成部12は、メモリ画像132を更新するたびに、そのときの照明強度または露光時間の設定値を画素単位に記録する。そうすると、メモリ画像132が完成したときに、撮影条件マップ133も生成される。撮影条件マップ133により、各領域(例えば、高反射率の領域、中反射率の領域、低反射率の領域)の平均的な露光時間または照明強度が得られる。撮影条件マップ133から、各領域における露光時間等の分布および平均露光時間等が求められる。
【0037】
撮影条件マップ133をもとに、マスク、ウェーハなどを異なる反射率面の数だけスキャンすることができる。その結果として、後述する合成部15は、全面が均一な明るさの画像を合成できる。
【0038】
図2に戻って説明を続ける。記憶部13は、実施形態1にかかる画像処理方法を実装するコンピュータプログラム(不図示)をさらに記憶していてもよい。
【0039】
決定部14は、撮影条件マップ133に基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定する。
図3の場合、決定部14は、領域51aの撮影に適した撮影条件a(例えば、撮影画像1311-3を撮影したときの撮影条件)、領域51bの撮影に適した撮影条件b(例えば、撮影画像1311-4を撮影したときの撮影条件)、領域51cの撮影に適した撮影条件c(例えば、撮影画像1311-5を撮影したときの撮影条件)、および領域51dの撮影に適した撮影条件d(例えば、撮影画像1311-6を撮影したときの撮影条件)を決定する。
【0040】
具体的には、決定部14は、撮影条件マップ133における撮影条件の分布に基づいて、各領域の撮影条件を決定してもよい。
図5は、撮影条件マップ133における露光時間の分布を示すグラフである。横軸は露光時間を示しており、縦軸は度数を示している。グラフには、領域51a、51b、51c、および51dの各々に対応するピークが含まれている。このグラフから、各領域の撮影に適した撮影条件を決定できる。例えば、撮影条件aは、領域51aに対応するピークにおける撮影条件や、領域51aにおける平均露光時間等から決定されてもよい。
【0041】
図2に戻り説明を続ける。合成部15は、決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する。
図3の場合、合成部15は、撮影条件aで撮影された撮影画像1311-3、撮影条件bで撮影された撮影画像1311-4、撮影条件cで撮影された撮影画像1311-5、および撮影条件dで撮影された撮影画像1311-6を、撮影画像情報131から選択する。そして、合成部15は、撮影画像1311-3から領域51aの領域画像を抽出し、撮影画像1311-4から領域51bの領域画像を抽出し、撮影画像1311-5から領域51cの領域画像を抽出し、撮影画像1311-6から領域51dの領域画像を抽出する。最後に、合成部15は、抽出した領域51aの領域画像、領域51bの領域画像、領域51cの領域画像、および領域51dの領域画像を組み合わせた合成画像を生成する。
【0042】
生成された合成画像をもとに、欠陥検査が行われてもよい。反射率が異なる領域が混在する箇所に欠陥が検出されたとき、露光時間等をスイープして得られるESM(Exposure Scan Memory)画像を取得することで、良好な欠陥画像を取得できる。
【0043】
最後に実施形態1にかかる画像処理装置が奏する効果について説明する。一定の照明強度、露光時間では、全面を均一な明るさで観察することが出来ない場合、領域ごとに照明強度や露光時間を設定し、観察を行う必要がある。また、HDR(High Dynamic Range)の感度を有するカメラでの観察を行うことも考えられるが、HDRでの観察を行えない場合がある。実施形態1にかかる画像処理装置によると、異なる反射率の組合せを持つ観察面について均一な明るさの画像を生成し、明るさを調整する手間を軽減できる。
【0044】
以上、本発明の実施形態を説明したが、本発明はその目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に、上記の実施形態による限定は受けない。
【符号の説明】
【0045】
10 画像処理装置
11 撮影制御部
12 生成部
13 記憶部
131 撮影画像情報
1311、1311-1~1311-7、1311a~1311d 撮影画像
1312 撮影条件
132 メモリ画像
133 撮影条件マップ
14 決定部
15 合成部
20 表示装置
30 入力装置
40 撮像光学系
41 光源
42 ビームスプリッタ
43 対物レンズ
44 カメラ
50 試料
51a、51b、51c、51d 領域
【手続補正書】
【提出日】2022-09-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影する撮影制御部と、
前記撮影画像内の各画素の輝度が指定値に到達する撮影条件を表す撮影条件マップを生成する生成部と、
前記撮影条件マップに基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定する決定部と、
決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する合成部と、
を備え、
前記生成部は、前記撮影制御部によって撮影された、前記輝度に影響する撮影条件が異なる複数の撮影画像から前記撮影条件マップを生成する
画像処理装置。
【請求項2】
前記決定部は、
前記撮影条件マップにおける撮影条件の分布に基づいて、各領域の撮影条件を決定する、
請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記生成部は、
最初に撮影した前記撮影画像をメモリ画像として記憶部に登録した後、新たに撮影した前記撮影画像内の各画素の輝度が、前記指定値以下であり、かつ前記メモリ画像内の対応する画素の輝度より大きい場合、前記メモリ画像内の対応する画素の輝度を更新し、
前記メモリ画像を用いて前記撮影条件マップを生成する、
請求項1または2のいずれかに記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記撮影条件は露光時間である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記撮影条件は照明強度である、
請求項1から3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記試料はマルチトーンマスクである、
請求項1から5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
反射率の異なる複数の領域を有する試料の撮影画像を、前記撮影画像の輝度に影響する撮影条件を変えながら複数回撮影する撮影ステップと、
前記撮影画像内の各画素の輝度が指定値を超える撮影条件を表す撮影条件マップを生成する生成ステップと、
前記撮影条件マップに基づいて、各領域の撮影に適した撮影条件を決定する決定ステップと、
決定された撮影条件に対応する撮影画像を用いて、各領域の領域画像を組み合わせた合成画像を生成する合成ステップと、
を含み、
前記生成ステップでは、前記撮影ステップで撮影された、前記輝度に影響する撮影条件が異なる複数の撮影画像から前記撮影条件マップを生成する
画像処理方法。