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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037316
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】自然石類含有舗装の形成方法
(51)【国際特許分類】
   E01C 5/02 20060101AFI20230308BHJP
   E01C 7/12 20060101ALI20230308BHJP
   E01C 7/26 20060101ALI20230308BHJP
   E01C 7/30 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
E01C5/02
E01C7/12
E01C7/26
E01C7/30
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143976
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000201515
【氏名又は名称】前田道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】高 謙
(72)【発明者】
【氏名】牧野 幹
(72)【発明者】
【氏名】越 健太郎
【テーマコード(参考)】
2D051
【Fターム(参考)】
2D051AF01
2D051AF03
2D051AF17
2D051AG05
2D051AH01
2D051AH02
2D051EA01
2D051EA06
2D051EB06
(57)【要約】      (修正有)
【課題】圧縮強度、曲げ強度、ねじり抵抗性および耐久性に優れ、自然石類による優れた意匠性を有する自然石類含有舗装を、比較的容易に形成可能な自然石類含有舗装の形成方法を提供する。
【解決手段】自然石類含有舗装を形成する方法であって、無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで、自然石類含有舗装材混合物を得る工程と、前記自然石類含有舗装材混合物を、路盤または路床上に流し込むことで、硬化前混合物層を形成する工程と、前記硬化前混合物層の表面に、自然石類を散布する工程とを備える自然石類含有舗装の形成方法を提供する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
自然石類含有舗装を形成する方法であって、
無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで、舗装材混合物を得る工程と、
前記舗装材混合物を、路盤または路床上に流し込むことで、硬化前混合物層を形成する工程と、
前記硬化前混合物層の表面に、自然石類を散布する工程とを備える自然石類含有舗装の形成方法。
【請求項2】
無収縮モルタルが、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび膨張材を含有する混和材と、セメントと、細骨材とを混合してなるものである請求項1に記載の自然石類含有舗装の形成方法。
【請求項3】
前記自然石類を、少なくとも一部が前記硬化前混合物層の表面から露出した状態として、前記硬化前混合物層を硬化させる工程をさらに備える請求項1または2に記載の自然石類含有舗装の形成方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧縮強度、曲げ強度、ねじり抵抗性および耐久性に優れ、自然石類による優れた意匠性を有する自然石類含有舗装を、比較的容易に形成可能な自然石類含有舗装の形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば、歩道、公園の遊歩道、駐車場等では、通常のコンクリート舗装や、通常のアスファルト舗装の他、自然石舗装などの意匠性が付与された景観舗装が行われることが多い。
【0003】
たとえば、特許文献1では、液状のバインダー樹脂に10~15重量%の蓄光顔料が混合され、このバインダー樹脂と1~4mmの範囲内の大きさの平均粒径を有する粒状主骨材が50容量%以上を占める骨材とが混合され、舗装面に敷設されていることを特徴とする景観舗装に係る技術が開示されている。この特許文献1は、蓄光顔料を含有させることで、舗装面を十分に光らせることを目的とする技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006-83680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
一方で、上記特許文献1の技術では、形成される景観舗装は、圧縮強度や、曲げ強度、耐久性が必ずしも十分なものではなく、これらの改善が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者等は、上記課題を解決するために鋭意検討を行った結果、自然石類含有舗装を形成する際に、無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することにより得られる舗装材混合物を用い、これを路盤または路床上に流し込むことで、硬化前混合物層を形成し、このようにして形成した硬化前混合物層の表面に、自然石類を散布することで、圧縮強度、曲げ強度および耐久性に優れ、自然石類による優れた意匠性を有する自然石類含有舗装を、比較的容易に形成できることを見出し、本発明を完成させるに至った。
【0007】
すなわち、本発明によれば、自然石類含有舗装を形成する方法であって、無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで、舗装材混合物を得る工程と、前記舗装材混合物を、路盤または路床上に流し込むことで、硬化前混合物層を形成する工程と、前記硬化前混合物層の表面に、自然石類を散布する工程とを備える自然石類含有舗装の形成方法が提供される。
【0008】
本発明の自然石類含有舗装の形成方法において、無収縮モルタルが、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび膨張材を含有する混和材と、セメントと、細骨材とを混合してなるものであることが好ましい。
また、本発明の自然石類含有舗装の形成方法は、前記自然石類を、少なくとも一部が前記硬化前混合物層の表面から露出した状態として、前記硬化前混合物層を硬化させる工程をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、圧縮強度、曲げ強度、ねじり抵抗性および耐久性に優れ、自然石類による優れた意匠性を有する自然石類含有舗装を、比較的容易に形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態に係る自然石類含有舗装の形成方法を説明するための工程図である。
図2図2は、実施例1に係る自然石類含有舗装の圧縮強度および曲げ強度の測定結果を示すグラフである。
図3図3(A)~図3(C)は、実施例において形成した自然石類含有舗装の表面写真である。
図4図4は、実施例1に係る自然石類含有舗装、および比較例1に係る自然石類含有舗装のねじり抵抗性の測定結果を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の自然石類含有舗装の形成方法は、
無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで、舗装材混合物を得る工程と、
前記舗装材混合物を、路盤または路床上に流し込むことで、硬化前混合物層を形成する工程と、
前記硬化前混合物層の表面に、自然石類を散布する工程とを備える。
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る自然石類含有舗装の形成方法を、図1に基づいて説明する。なお、本発明の自然石類含有舗装の形成方法は、以下に説明する、図1に示す一実施形態に係る自然石類含有舗装の形成方法に特に限定されるものではない。
【0013】
まず、本実施形態においては、グランドミキサーに、必要量の水を投入する(図1の(A))。なお、ここにおいては、混合装置として、グランドミキサーを使用する方法を例示するが、グランドミキサーに特に限定されず、ハンドミキサーなどの各種混合装置を制限なく用いることができる。
【0014】
次いで、水を投入したグランドミキサーに、必要量の無収縮モルタルを投入し、水と、無収縮モルタルとを混合する(図1の(B))。
【0015】
本実施形態においては、無収縮モルタルとして、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび膨張材を含有する混和材と、セメントと、細骨材とを混合してなるものを用いることが好ましく、これにより、本実施形態の形成方法により形成される自然石類含有舗装を、圧縮強度、曲げ強度および耐久性により優れたものとすることができる。
【0016】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとは、置換度が1.0以下であるヒドロキシプロピルセルロースであり、置換度は、好ましくは0.1~0.7、より好ましくは0.2~0.4である。ここで、置換度とはセルロースのピラノース環1個あたりに付加したプロピレンオキサイドの平均モル数をいう。また、ヒドロキシプロポキシ基として付加しているのが好ましい。また、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとしては、300~1000個のピラノース環が重合したものであることが好ましく、500~6000個のピラノース環が重合したものであることがより好ましい。
【0017】
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースの使用量は、セメント100重量部に対し、好ましくは0.01~0.5重量部であり、より好ましくは0.01~0.1重量部である。
【0018】
また、膨張材としては、水和反応を起こして結晶を生成することで膨張する無機物質であれば特に限定されず、たとえば、カルシウムサルファアルミネート系、石膏系または石灰系等の膨張材を使用することができる。膨張材の含有量は、セメント100重量部に対し、好ましくは3~8重量部であり、より好ましくは4~7重量部である。
【0019】
また、無収縮モルタルを構成する混和材は、減水剤および/または発泡剤をさらに含有していることが好ましい。
【0020】
減水剤は、減水効果を奏させるものであって、モルタル用として使用できるものであれば特に限定されず、高性能減水剤や高性能AE減水剤と称されるものであってもよい。一例として、ナフタレンスルホン酸系、メラミンスルホン酸系、リグニンスルホン酸系、ポリカルボン酸系等の減水剤類を挙げることができる。これらのうち、ナフタレンスルホン酸系またはポリカルボン酸系の高性能減水剤が好適に用いられる。減水剤の含有量は、その成分、種類によって、所定の水/セメント重量比とした時に流動性が発現される範囲で適宜選定すればよく、たとえば、ナフタレンスルホン酸系の高性能減水剤を用いる場合は、セメント100重量部に対し、好ましくは0.5~1.5重量部であり、より好ましくは0.8~1.2重量部である。
【0021】
発泡剤は、金属アルミニウム、アルミニウム合金等の金属アルミニウム類がセメントのアルカリと容易に反応して水素気泡を効率的に発泡することから、これを使用することが好適である。発泡剤は、モルタルの主に硬化までの初期段階の膨張に寄与する。発泡剤の含有量は、セメント100重量部に対し、好ましくは0.001~0.003重量部であり、より好ましくは0.001~0.002重量部である。
【0022】
無収縮モルタルを構成する混和材は、消泡剤、保水剤、収縮低減剤、AE剤、界面活性剤、撥水剤、白華防止剤その他一般にセメントと共に使用できる各種混和剤の何れか1種以上を含有したものでもよい。
【0023】
また、本実施形態で用いる無収縮モルタルは、上記した混和材に加えて、セメント、および細骨材を含有する。混和材の含有量は、セメント100重量部に対し、好ましくは5~15重量部、より好ましくは8~10重量部である。また、細骨材の含有量は、セメント100重量部に対し、好ましくは80~200重量部、より好ましくは100~140重量部である。また、本実施形態で用いる無収縮モルタルは、水をさらに含有していてもよく、水の含有量は、セメント100重量部に対し、好ましくは30~50重量部、より好ましくは35~45重量部である。
【0024】
セメントとしては、特に限定されず、普通、早強、超早強または中庸熱等の各種ポルトランドセメント、高炉セメント、アルミナセメント、フライアッシュセメント、燐酸セメント、エコセメント等の他、各種の混合セメントが使用でき、またこれらのうち何れか2種以上を配合に用いてもよい。また、細骨材は、粒径5mm以下のものであれば微粉含有の有無や成分等特に限定されず、たとえば、一般に使用されている川砂、砕石、珪石、珪砂、珪石粉、石灰石、スラグ骨材、クリンカ骨材、各種人工骨材等を挙げることができる。
【0025】
また、無収縮モルタルとしては、たとえば、ポルトランドセメントを、好ましくは15~35重量%、より好ましくは20~30重量%の割合で含有し、石英を、好ましくは35~55重量%、より好ましくは40~50重量%の割合で含有し、硫酸カルシウムを、好ましくは0.5~12重量%、より好ましくは1~10重量%の割合で含有するものを好適に用いることができる。
【0026】
次いで、水と、無収縮モルタルとを混合した後、これらを投入したグランドミキサーに、必要量の骨材を投入し、水と、無収縮モルタルとの混合物ともに混合することで、舗装材混合物を得る(図1の(C))。骨材としては、特に限定されないが、たとえば、平均粒径が3~6mm(乾式ふるい分け法)であるものを用いることができる。また、骨材としては、意匠性をより高めるという観点より、自然石類(小粒径自然石類;硬化前混合物層の表面に散布する自然石類よりも粒子径の小さなもの)を用いることが好適である。
【0027】
本実施形態において、無収縮モルタルと、骨材と、水との混合割合は、次の通りとすることが好ましい。すなわち、無収縮モルタル100重量部に対する、骨材の使用量を25~100重量部とすることが好ましく、35~75重量部とすることがより好ましく、40~60重量部とすることがさらに好ましい。また、無収縮モルタル100重量部に対する、水の使用量を10~30重量部とすることが好ましく、13~24重量部とすることがより好ましく、15~22重量部とすることがさらに好ましい。
【0028】
また、水と、無収縮モルタルと、骨材とを混合することにより得られた舗装材混合物には、意匠性をより高めるという観点より、必要に応じて、着色顔料等を添加してもよい。
【0029】
次いで、水と、無収縮モルタルと、骨材とを混合することにより得られた舗装材混合物を、路盤または路床上に流し込むことで、硬化前混合物層を形成する(図1の(D))。硬化前混合物層の厚みは、特に限定されず、最終的に得られる自然石類含有舗装の厚みに応じた厚みとすればよい。
【0030】
次いで、路盤または路床上に形成した硬化前混合物層の表面に、自然石類を散布することで、自然石類を、その一部が、硬化前混合物層表面に露出し、残部が、硬化前混合物層中に埋まった状態にて、硬化前混合物層の表面に分散させる(図1の(E))。そして、これにより、硬化前混合物層が硬化することにより、自然石類を、自然石類含有舗装表面に適切に保持された状態としながら、その一部が、自然石類含有舗装表面から露出することで、良好な意匠性を実現することができる。
【0031】
自然石類としては、得ようとする自然石類含有舗装の意匠性に応じて、適宜選択すればよいが、鹿嶋砂利や、さなげ、大磯、紅などが挙げられる。また、自然石類の使用量は、使用する自然石類の粒径や、得ようする自然石類含有舗装の意匠性に応じて、適宜選択すればよいが、たとえば、硬化前混合物層の表面に、好ましくは5~15kg/mの量にて散布することが好ましい。また、自然石類の粒径は、好ましくは5~13mm(乾式ふるい分け法)である。
【0032】
次いで、自然石類を散布した硬化前混合物層について、必要に応じて、コテなどを用いて、表面調製を行った後(図1の(F))、表面のブラシ磨き、および、表面におけるモルタルの除去を行った後(図1の(G))、硬化させることで、自然石類含有舗装を形成することができる(図1の(H))。自然石類含有舗装の厚みは、歩道・軽交通道路として供用する場合には、4cm以上とすることが好ましく、また、車道・重交通道路として供用する場合には、7cm以上とすることが好ましい。自然石類含有舗装の厚みの上限は、特に限定されないが、好ましくは10cm以下である。
【0033】
そして、このようにして得られる自然石類含有舗装は、無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで、舗装材混合物を用いて形成されたものであるため、圧縮強度、曲げ強度および耐久性に優れるものであり、また、自然石類が、自然石類含有舗装表面に適切に保持され、かつ、その一部が、自然石類含有舗装表面から露出することで、自然石類による、良好な意匠性を実現することができるものである。
【0034】
加えて、本発明の自然石類含有舗装によれば、無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで、舗装材混合物を得るものであり、ハンドミキサーやグランドミキサーなどにより混合が可能であり、施工機械を用いる必要がなく、そのため、高い生産性にて、自然石類含有舗装を形成することができる。また、本発明によれば、舗装材混合物を得る際に、無収縮モルタルを使用するものであり、これにより、舗装材混合物を、十分な可使時間の確保ができるプレミックス型の混合物とすることができ、たとえば、4~8(J14ロート)sec程度の流動性や、スランプフロー55~66cm程度の流動性を確保でき、良好な作業性を確保できるものである。
【0035】
また、本発明においては、無収縮モルタルと、骨材と、水とを混合することで得られる舗装材混合物は、常温(5~35℃)での施工が可能なものであり、製造、施工時に、二酸化炭素などの炭酸ガスを排出せず、さらには、脱色アスファルトのような匂いも発生しないため、良好な沿道環境および作業環境を実現できるものである。
【実施例0036】
以下、本発明を、さらに詳細な実施例に基づき説明するが、本発明は、これら実施例に限定されない。
【0037】
<実施例1>
まず、グランドミキサーに、水4.5重量部を投入し(図1の(A))、次いで、超速硬型無収縮モルタル(商品名「プレユーロックススーパーType10」、太平洋マテリアル社製)25重量部を投入し、1.5分間混合した(図1の(B))。次いで、グランドミキサーに、骨材12.5重量部を投入し、1.0分間混合することで(図1の(C))、舗装材混合物を得た。
【0038】
なお、超速硬型無収縮モルタル(商品名「プレユーロックススーパーType10」、太平洋マテリアル社製)は、混和材と、セメントと、細骨材とを含有するものであり、ポルトランドセメントの含有割合が20~30重量%であり、石英の含有割合が40~50重量%であり、硫酸カルシウムの含有割合が1~10重量%である。また、超速硬型無収縮モルタル(商品名「プレユーロックススーパーType10」、太平洋マテリアル社製)は、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースおよび膨張材を含有する混和材と、セメントと、細骨材とを上記所定量含むものであると想定される。
【0039】
また、骨材としては、通過質量百分率が、19.0mm:100.0%、13.2mm:100%、4.75mm:50~100%、2.36mm:0%、600μm:0%、300μm:0%、150μm:0%、75μm:0%、平均粒径3~6mm(乾式ふるい分け法)である小粒径自然石類を用いた。得られた舗装材混合物は、JSCE-F 541に準拠して測定される流動性が7(J14ロート)secであり、優れた流動性を有するものであった。
【0040】
次いで、得られた舗装材混合物を用いて、30cm×30cm×5cmの硬化物供試体を得て、舗装調査・試験法便覧(B005)に準拠して、曲げ試験を行い、破断ひずみ(-10℃)の測定を行ったところ、4.4(×10-3)であった。
また、圧縮強度、および曲げ強度の測定を行った。圧縮強度、および曲げ強度の測定結果を図2に示す。図2からも明らかなように、得られた舗装材混合物は、圧縮強度および曲げ強度に優れた硬化物を与えることができるものであった。なお、圧縮強度は、JIS A 1108(寸法:内径10cm×高さ20cm)に準拠して測定し、曲げ強度は、JIS A 1106 (寸法:長さ40cm×幅10cm×高さ10cm)に準拠して測定した。
【0041】
そして、上記にて得られた舗装材混合物を、縦4.5m×横2.4mの路面上に、流し込むことで(施工後温度:20℃)、硬化前混合物層を形成し(図1の(D))、次いで、自然石類を硬化前混合物層の表面に、10kg/mにて散布した後(図1の(E))、コテで表面調整を行い(図1の(F))、表面のブラシ仕上げおよび表面のモルタル除去を行った後(図1の(G))、硬化させることで、厚さ10cmの自然石類含有舗装を形成した。なお、本試験においては、施工1時間後に交通開放した。その結果、施工から2年経過した後も、自然石類含有舗装の破損は確認されず、優れた耐久性を示すものであることが確認された。なお、本試験においては、自然石類として、平均粒径の異なるものを使用し(すなわち、平均粒径が5~13mm(乾式ふるい分け法)の範囲にある、平均粒径の異なる複数種類の自然石類を使用)、平均粒径の異なる自然石類を含む、複数の自然石類含有舗装を形成した。図3(A)~図3(C)に、本試験において形成した自然石類含有舗装の表面写真の一例を示す。
【0042】
また、得られた自然石類含有舗装について、骨材の飛散損失率(ねじり抵抗性試験)を行った。得られた測定結果を後述の比較例1における結果とともに、図4にグラフ化して示す。図4に示すように、実施例1の自然石類含有舗装によれば、優れたねじり抵抗性を備えるものであった。なお、骨材の飛散損失率(ねじり抵抗性試験)は、舗装調査・試験法便覧[第3分冊]「ねじりによる骨材飛散試験方法」に準拠して、測定した。
【0043】
<実施例2>
超速硬型無収縮モルタル(商品名「プレユーロックススーパーType10」、太平洋マテリアル社製)に代えて、超速硬型無収縮モルタル(商品名「プレユーロックススーパー」、太平洋マテリアル社製)を使用した以外は、実施例1と同様にして、舗装材混合物および自然石類含有舗装を得て、同様に評価を行ったところ、実施例1と同等の効果が得られることが確認された。
【0044】
<比較例1>
石油樹脂系バインダ6重量部と、平均粒径5~10mm(乾式ふるい分け法)である小粒径自然石類45重量部と平均粒径0~2.5mm(乾式ふるい分け法)である天然砂類44重量部と、石粉5重量部とを実機プラントにて加熱混合することで、加熱舗装材混合物を得た。得られた舗装材混合物を、縦4.5m×横2.4mの路面上に、敷き均し、転圧することで、厚さ10cmの自然石類含有舗装を形成し、実施例1と同様にして、骨材の飛散損失率(ねじり抵抗性試験)を行った。得られた測定結果を実施例1における結果とともに、図4にグラフ化して示す。
図1
図2
図3
図4