(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037320
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】生産管理システム、生産管理方法
(51)【国際特許分類】
G05B 19/418 20060101AFI20230308BHJP
G06Q 50/04 20120101ALI20230308BHJP
【FI】
G05B19/418 Z
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021143983
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】517012534
【氏名又は名称】i Smart Technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000028
【氏名又は名称】弁理士法人明成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木村 哲也
【テーマコード(参考)】
3C100
5L049
【Fターム(参考)】
3C100AA29
3C100AA57
3C100AA68
3C100BB14
3C100BB33
5L049CC03
(57)【要約】
【課題】部品点数の増加を抑制しつつ、生産設備による処理中の状況を把握することができる生産管理システムを提供する。
【解決手段】生産管理システムは、生産設備またはその近傍に配置され、生産設備による処理の開始に対応する第一信号および処理の停止に対応する第二信号を生成する検出部、および第一信号および第二信号を送信するための送信部を有する稼働状態取得装置と、第一信号および第二信号を用いて生産設備が処理を完了したか否かを判定する処理完了判定部を有する生産管理装置とを備える。処理完了判定部は、第一信号を受信してから第二信号を受信するまでの処理時間を取得し、処理時間が基準処理時間以上である場合に生産設備が処理を完了したと判定し、取得した処理時間が基準処理時間未満である場合には、連続する処理時間を積算し、連続する処理時間の積算値が基準処理時間以上となった場合に生産設備が処理を完了したと判定する。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
製造ラインの生産状況を管理するための生産管理システムであって、
前記製造ラインに含まれる生産設備または前記生産設備の近傍に配置される検出部であって、前記生産設備による処理対象品に対する処理の開始に対応する第一信号、および前記処理の停止に対応する第二信号を生成する検出部と、前記第一信号および前記第二信号を送信するための送信部と、を有する稼働状態取得装置と、
前記稼働状態取得装置から送信された前記第一信号および前記第二信号を受信する生産管理装置であって、前記第一信号および前記第二信号を用いて、前記生産設備が前記処理を完了したか否かを判定する処理完了判定部を有する生産管理装置と、を備え、
前記処理完了判定部は、
前記第一信号を受信してから前記第二信号を受信するまでの処理時間を取得し、
取得した前記処理時間が予め定められた基準処理時間以上である場合に、前記生産設備が前記処理を完了したと判定し、
取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合には、さらに、連続する前記処理時間を積算し、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、前記生産設備が前記処理を完了したと判定する、
生産管理システム。
【請求項2】
請求項1に記載の生産管理システムであって、
前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間以上である場合に、さらに、前記第一信号から前記第二信号までの取得間隔を、前記生産設備が前記処理を開始してから完了するまでのマシンサイクルタイムとして取得し、
取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合であって、さらに、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、連続する前記処理時間において、最初に前記第一信号を受信してから最後に前記第二信号を受信するまでを前記マシンサイクルタイムとして取得する、
生産管理システム。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の生産管理システムであって、
前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間以上である場合に、さらに、連続する前記第一信号の取得間隔を、前記生産設備が前記処理を開始してから次の前記処理を開始するまでのサイクルタイムとして取得し、
取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合であって、さらに、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、連続する前記処理時間において、最初に前記第一信号を受信してから、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった後に前記第一信号を受信するまでを前記サイクルタイムとして取得する、
生産管理システム。
【請求項4】
請求項3に記載の生産管理システムであって、
前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合に、さらに、前記サイクルタイムに異常ありと判定する、
生産管理システム。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記処理完了判定部は、前記生産設備が前記処理を完了してから前記生産設備が次の前記処理を開始するまでの間隔時間が予め定められた基準間隔時間を超えた場合に、前記製造ラインが停止していると判定する、
生産管理システム。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記処理完了判定部は、前記生産設備が前記処理を完了したと判定した場合に、さらに、前記生産設備が前記処理を完了した処理対象品の総数を計数する、
生産管理システム。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合に、さらに、連続する前記処理時間の間の停止時間が発生した回数を計数する、
生産管理システム。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか一項に記載の生産管理システムであって、
前記生産設備は、光によって前記生産設備の稼働状態を示す表示部を有し、
前記検出部は、前記表示部に装着され、前記表示部により示される前記稼働状態を取得して、前記第一信号および前記第二信号を生成する光センサである、
生産管理システム。
【請求項9】
製造ラインの生産状況を管理するための生産管理方法であって、
前記製造ラインに含まれる生産設備または前記生産設備の近傍に後付けにて配置される検出部であって、前記生産設備による処理対象品に対する処理の開始、および前記処理の停止を検出するための検出部を準備し、
前記処理の開始を検出してから、前記処理の停止を検出するまでの処理時間が予め定められた基準処理時間以上である場合に、前記生産設備が前記処理を完了したと判定し、
前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合には、さらに、連続する前記処理時間を積算し、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、前記生産設備が前記処理を完了したと判定する、
生産管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、生産管理システム、生産管理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
生産設備から処理対象品の払い出しごとにセンサから出力されるパルス信号を検出し、パルス信号のHighポジションから、次のパルス信号のHighポジションまでをサイクルタイムとして計測する生産管理システムが知られている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の技術では、処理対象品の払い出しのタイミングしか計測することができない。そのため、例えば、生産設備が部品に対する処理を開始してから処理対象品が払い出されるまでの停止の有無や回数など、生産設備による処理中の状況を把握することができないといった問題がある。生産設備による処理中の状況を把握するためには、さらに、生産設備の処理の開始を検出するセンサと、処理の停止を検出するためのセンサとを設けることができるが、部品点数が増加する。そのため、部品点数の増加を抑制しつつ、生産設備による処理中の状況を把握することができる技術が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示は、以下の形態として実現することが可能である。
【0006】
(1)本開示の一形態によれば、製造ラインの生産状況を管理するための生産管理システムが提供される。この生産管理システムは、前記製造ラインに含まれる生産設備または前記生産設備の近傍に配置される検出部であって、前記生産設備による処理対象品に対する処理の開始に対応する第一信号、および前記処理の停止に対応する第二信号を生成する検出部、および前記第一信号および前記第二信号を送信するための送信部を有する稼働状態取得装置と、前記稼働状態取得装置から送信された前記第一信号および前記第二信号を受信する生産管理装置であって、前記第一信号および前記第二信号を用いて前記生産設備が前記処理を完了したか否かを判定する処理完了判定部を有する生産管理装置と、を備える。前記処理完了判定部は、前記第一信号を受信してから前記第二信号を受信するまでの処理時間を取得し、取得した前記処理時間が予め定められた基準処理時間以上である場合に、前記生産設備が前記処理を完了したと判定する。前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合には、さらに、連続する前記処理時間を積算し、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、前記生産設備が前記処理を完了したと判定する。
この形態の生産管理システムによれば、一つの検出部によって、生産設備の処理中の停止の有無などの生産設備による処理中の状況を把握することができる。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、生産設備による処理中の状況を把握することができる。
(2)上記形態の生産管理システムにおいて、前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間以上である場合に、さらに、前記第一信号から前記第二信号までの取得間隔を、前記生産設備が前記処理を開始してから完了するまでのマシンサイクルタイムとして取得してもよく、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合であって、さらに、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、連続する前記処理時間において、最初に前記第一信号を受信してから最後に前記第二信号を受信するまでを前記マシンサイクルタイムとして取得してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、一つの検出部によって、生産設備のマシンサイクルタイムを取得することができる。
(3)上記形態の生産管理システムにおいて、前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間以上である場合に、さらに、連続する前記第一信号の取得間隔を、前記生産設備が前記処理を開始してから次の前記処理を開始するまでのサイクルタイムとして取得してもよく、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合であって、さらに、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった場合に、連続する前記処理時間において、最初に前記第一信号を受信してから、連続する前記処理時間の積算値が前記基準処理時間以上となった後に前記第一信号を受信するまでを前記サイクルタイムとして取得してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、一つの検出部によって、生産設備のサイクルタイムを取得することができる。
(4)上記形態の生産管理システムにおいて、前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合に、さらに、前記サイクルタイムに異常ありと判定してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、サイクルタイムの算出が完了するよりも早期にサイクルタイムの異常を判定することができる。
(5)上記形態の生産管理システムにおいて、前記処理完了判定部は、前記生産設備が前記処理を完了してから前記生産設備が次の前記処理を開始するまでの間隔時間が予め定められた基準間隔時間を超えた場合に、前記製造ラインが停止していると判定してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、一つの検出部によって、製造ラインの停止を検出することができる。
(6)上記形態の生産管理システムにおいて、前記処理完了判定部は、前記生産設備が前記処理を完了したと判定した場合に、さらに、前記生産設備が前記処理を完了した処理対象品の総数を計数してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、一つの検出部によって、生産設備の生産数を取得することができる。
(7)上記形態の生産管理システムにおいて、前記処理完了判定部は、取得した前記処理時間が前記基準処理時間未満である場合に、さらに、連続する前記処理時間の間の停止時間が発生した回数を計数してもよい。
この形態の生産管理システムによれば、一つの検出部によって、生産設備の停止回数を取得することができる。
(8)上記形態の生産管理システムにおいて、前記生産設備は、光によって前記生産設備の稼働状態を示す表示部を有してよい。前記検出部は、前記表示部に装着され、前記表示部により示される前記稼働状態を取得して、前記第一信号および前記第二信号を生成する光センサであってよい。
この形態の生産管理システムによれば、汎用的なセンサを検出部として用いることができる。
本開示は、生産管理システム以外の種々の形態で実現することも可能である。例えば、稼働状態取得装置、生産管理装置、生産管理方法、製造ラインや生産設備、生産管理システムの制御方法、稼働状態取得装置の制御方法、生産管理装置の制御方法、その制御方法を実現するコンピュータプログラム、そのコンピュータプログラムを記録した一時的でない記録媒体等の形態で実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本開示の第1実施形態に係る生産管理システムを示す概略構成図。
【
図2】生産管理装置の内部機能構成を示すブロック図。
【
図3】稼働状態取得装置の機能構成を示すブロック図。
【
図4】検出部としての光センサを備える第一稼働状態取得装置の配置例を示す説明図。
【
図5】稼働状態取得装置が生産設備に装着して用いられる場合の説明図。
【
図6】第一稼働状態取得装置によって実行される処理ルーチンを示すフローチャート。
【
図7】生産管理装置によって実行される処理ルーチンを示すフローチャート。
【
図8】稼働状態取得装置からの検出信号と、処理完了判定部による処理ルーチンとの関係を示す第1のタイムチャート。
【
図9】稼働状態取得装置からの検出信号と、処理完了判定部による処理ルーチンとの関係を示す第2のタイムチャート。
【
図10】稼働状態取得装置からの検出信号と、処理完了判定部による処理ルーチンとの関係を示す第3のタイムチャート。
【
図11】表示装置に表示される生産状況情報の例を示す説明図。
【
図12】表示装置に表示される第一生産設備の稼働状況の詳細表示の例を示す説明図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
A.第1実施形態:
図1は、本開示の第1実施形態に係る生産管理システム100を示す概略構成図である。生産管理システム100は、生産管理装置10と、稼働状態取得装置20a,20bとを備えている。生産管理装置10は、稼働状態取得装置20a,20bと協働して、第一製造ラインL1および第二製造ラインL2の生産状況を管理する。なお、製造ラインは、2つには限定されず、1つであってもよく、3つ以上であってもよい。
【0009】
製造ラインL1,L2は、生産設備31~36と、搬送機構41とを含んでいる。生産設備31~36は、搬送機構41上に配置されている。搬送機構41は、例えば、製造ラインL1,L2を流動する部品やワークなどの生産設備31~36による処理の対象品(以下、「処理対象品」とも呼ぶ。)を搬送する。本開示において、「処理」とは、例えば、加工など、製品に特定の作業を施すことを意味する。搬送機構41には、たとえば、ベルトコンベア、予め定められた軌道上を移動する搬送機などが含まれる。
【0010】
生産設備31~36は、たとえば、金属加工機、溶接機、樹脂成形機、塗装機、熱間鍛造機、完成品回収機、加工部品供給機などの設備である。生産設備31~36には、処理対象品に対する生産処理や加工処理を実行するためのプログラマブルロジックコントローラ(PLC)と、光電センサやエリアセンサなどのPLCに接続されている各種センサとが備えられている。各種センサは、製造ラインL1,L2および生産設備31~36を作動させるために、製造ラインL1,L2および生産設備31~36を設置・配置する際に予め配置されている。
【0011】
図1に示すように、第一製造ラインL1には、第一生産設備31、第二生産設備32、ならびに第三生産設備33が配置されている。第二製造ラインL2には、第四生産設備34、第五生産設備35、ならびに第六生産設備36が配置されている。
【0012】
稼働状態取得装置20a,20bは、後付けにより生産設備31,34に装着されている。本開示において、「後付け」とは、生産設備の設置・配置の時点において生産設備に装着もしくは組み込まれておらず、生産設備の動作を制御するPLCに接続されておらず、生産設備の稼働・制御とは無関係に生産設備に装着・配置されることを意味する。稼働状態取得装置20a,20bは、後付けにより生産設備31,34の近傍に配置されていてもよい。
図1の例では、第一生産設備31に対して第一稼働状態取得装置20aが装着され、第四生産設備34に対して第二稼働状態取得装置20bが装着されている。
【0013】
図1に示すように、生産管理装置10と、稼働状態取得装置20a,20bとは、無線通信によって相互にデータを送受信することが可能である。例えば、生産管理装置10は、端末装置PD1,PD2からの要求に応じて、生成した生産状況情報を、無線通信により端末装置PD1,PD2に送信する。生産状況情報とは、生産設備の稼働状態に関わる情報を意味する。生産状況情報には、例えば、生産設備の稼働時間、生産数、単位時間あたりの出来高、サイクルタイム可動率(%)、サイクルタイム(以下、「サイクルタイムCT」とも呼ぶ。)、マシンサイクルタイム(以下、「マシンサイクルタイムMCT」とも呼ぶ。)、処理時間、停止時間、間隔時間、遅延時間などが含まれる。
【0014】
稼働時間とは、生産設備の始動後における生産設備が稼働している時間の累積時間を意味する。生産数は、生産設備によって処理された処理対象品の総数を意味する。なお、生産設備による一回あたりに処理できる処理対象品の個数を、「処理数」とも呼ぶ。本実施形態において、第一生産設備31による処理数は、1である。単位時間当たりの出来高は、例えば1時間などの単位時間あたりに処理される処理対象品の個数を意味する。サイクルタイム可動率は、予め定められた設定時間に対して、生産設備が処理を正常に実行している時間が占める割合を意味する。設定時間は、例えば、1時間などの所定の単位時間、操業時間、稼働時間などを用いて設定することができる。処理時間とは、生産設備が処理対象品に対して処理を行っている時間を意味する。停止時間とは、生産設備が処理対象品に対する処理を開始してから完了するまでの期間において、生産設備による処理が停止している期間を意味する。停止時間は、処理時間には含まれない。停止時間には、例えば、生産設備による処理対象品に対する処理が異常により停止してから再開されるまでの時間、ならびに作業者による生産設備の復旧やメンテナンスを実行する期間など、生産設備が一時的に停止する期間などが含まれる。間隔時間とは、生産設備が処理対象品に対する処理を完了した時点から次の処理を開始するまでの時間を意味する。間隔時間を、「インターバル期間」とも呼ぶ。遅延時間とは、予め計画された処理時間に対する実際の処理時間が遅延した時間を意味する。マシンサイクルタイムMCTとは、生産設備が処理対象品に対する一回あたりの処理に必要な時間を意味し、処理対象品に処理を開始してから当該処理を完了するまでの時間を意味する。マシンサイクルタイムMCTは、処理時間と停止時間との合算値であり、停止時間が発生しない場合には、処理時間と略一致する。サイクルタイムCTとは、生産設備が処理対象品に対する処理を開始してから次の処理対象品に対する処理を開始するまでの期間を意味する。サイクルタイムCTは、マシンサイクルタイムMCTと、間隔時間との合計と略一致する。
【0015】
生産管理装置10は、ローカルサーバとして工場内に配置されていてもよく、リモートサーバとして工場以外の場所に配置されていてもよい。生産管理装置10がリモートサーバとして設置される場合には、後付けの稼働状態取得装置20a,20bからの検出信号、端末装置PD1,PD2およびローカルコンピュータへの生産状況情報は、工場内の無線アクセスポイントおよびイントラネットまたはインターネットといったネットワークを介して生産管理装置10によって送受信される。稼働状態取得装置20a,20bからの検出信号には、後述するように、生産設備31,34による処理対象品に対する処理の開始に対応する第一信号と、生産設備31,34による処理対象品に対する処理の停止に対応する第二信号とが含まれる。
【0016】
図2は、生産管理装置10の内部機能構成を示すブロック図である。生産管理装置10は、中央演算処理装置であるCPU11と、記憶装置12と、送信・受信部13と、表示装置14と、入力装置15と、時間計測のためのタイマ16とを備えており、これらは、バス17を介して相互に通信可能に接続されている。CPU11、記憶装置12、送信・受信部13は、互いに双方向に通信可能である。生産管理装置10は、生産設備31~36の動作を制御するPLCとは異なる装置であり、生産設備31~36は、生産管理装置10が用いられなくてもPLCによって動作制御される。
【0017】
CPU11は、記憶装置12に格納されている各種プログラムを実行することによって処理完了判定部110として機能する。処理完了判定部110は、例えば、稼働状態取得装置20a,20bから送信された第一信号および第二信号を用いて、生産設備が処理を完了したか否かを判定する。記憶装置12は、たとえば、RAM、ROM、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)などである。HDD、SSDまたはROMには、本実施形態において提供される機能を実現するための各種プログラムが格納されている。HDDまたはROMから読み出された各種プログラムは、RAM上に展開されて、CPU11によって実行される。記憶装置12の読み書き可能な領域には、生成された生産状況情報などが格納される。具体的には、取得した処理時間および処理時間の積算値を格納する処理時間記憶部120と、取得したサイクルタイムCTを格納するサイクルタイム記憶部121と、取得したマシンサイクルタイムMCTを格納するマシンサイクルタイム記憶部122と、生産数の計数結果を格納する生産数記憶部124と、取得した停止時間および停止時間の積算値を格納する停止時間記憶部125と、停止回数の計数結果を格納する停止回数記憶部126と、予め定められた基準処理時間を格納する基準処理時間記憶部128と、が備えられている。
【0018】
送信・受信部13は、製造ラインL1,L2上の生産設備31,34に装着されている、もしくは生産設備31,34近傍に配置されている稼働状態取得装置20a,20bから、無線通信を介して、第一信号および第二信号を受信する。送信・受信部13は、稼働状態取得装置20a,20bに対して各種の実行命令を送信する。送信・受信部13は、さらに、端末装置PD1,PD2に対して生産状況情報を送信してもよく、端末装置PD1,PD2からの各種処理の実行を要求する指令信号を受信してもよい。
【0019】
送信・受信部13は、稼働状態取得装置20a,20bに対して有線接続されることなく、稼働状態取得装置20a,20bからの第一信号および第二信号を取得することができる。このように構成することによって、生産設備31,34に対して稼働状態取得装置20a,20bを後付けで装着または配置するという簡易な方法を用いて、本実施形態の生産管理システム100を既存の工場に導入することができる。例えば、送信・受信部13が無線通信機能を有する入出力I/Fである場合には、送信・受信部13は工場内に設置されている図示しない無線中継器(アクセスポイント)を介して、稼働状態取得装置20a,20bからの無線電波を受信してもよく、あるいは、送信・受信部13自身が無線アクセスポイントとして稼働状態取得装置20a,20bから無線電波を受信可能な場所に配置されていてもよい。また、送信・受信部13は、無線中継器に対して有線接続されていてもよい。無線通信は、たとえば、IEEE802.11規格に準拠した無線ローカルネットワーク(LAN)を通じた無線接続やBluetooth(登録商標)を用いた無線通信などによって実現され得る。
【0020】
表示装置14は、生産管理システム100を操作する際の処理内容、サイクルタイムCTやマシンサイクルタイムMCTなどの生産状況情報を表示するためのディスプレイである。表示装置14は、生産管理装置10とは別体で備えられていてもよい。例えば、生産管理装置10がリモートサーバであり、生産状況情報を生成するために備えられている場合には、表示装置14は備えられなくてもよい。入力装置15は、生産管理システム100に対して入力を行うために用いられる装置である。入力装置15は、たとえば、キーボード、マウスである。入力装置15は、表示装置14の画面上に備えられるタッチパネルであってもよい。
【0021】
図3は、稼働状態取得装置20a,20bの機能構成を示すブロック図である。
図3においては、第一稼働状態取得装置20aを用いて例示的に説明するが、第二稼働状態取得装置20bも同様の構成を有している。稼働状態取得装置20a,20bは、後付けにて製造ラインL1,L2または生産設備に装着または配置される。第一稼働状態取得装置20aは、検出部25aと、第一送受信部21aと、第二送受信部22aと、コントローラ23aとを備えている。検出部25aと、第一送受信部21aと、第二送受信部22aとは、コントローラ23aに対して通信可能に接続されている。
【0022】
検出部25aは、後付けにて第一生産設備31に対して装着あるいは第一生産設備31の近傍に配置される各種センサである。検出部25aは、プログラマブルロジックコントローラ(PLC)に接続されている既存のセンサとは異なるセンサである。なお、検出部25aは、第一稼働状態取得装置20aと一体に備えられていてもよく、第一稼働状態取得装置20aとは別体であってもよい。検出部25aは、第一稼働状態取得装置20aとは別体である場合には、第一稼働状態取得装置20aと信号線を介して接続される。検出部25aは、検出用の素子のみを備えアナログ信号を出力する検出部であってもよく、あるいは、検出用の素子に加え、検出用の素子から出力される信号をデジタル信号に変換して出力する回路を備える検出部であってもよい。
【0023】
検出部25aとして用いられるセンサとしては、光センサ、音センサ、熱センサ、電流センサ、距離センサ、気圧センサ、加速度センサ、回転速度センサ、湿度センサ、磁気センサ、ならびに圧力センサなどが用いられる。各センサはいずれも生産設備の稼働状態を検出するためのセンサである。なお、本実施形態において、稼働状態とは、生産設備による処理中の状況を意味する。稼働状態には、製造ラインおよび生産設備における処理対象品に対する処理の開始および処理の停止が含まれる。稼働状態には、そのほか、処理に関わる動作・操作、当該動作・操作の開始、実行中、停止、完了といった状態が含まれてもよい。
【0024】
検出部25aは、第一生産設備31による処理対象品に対する処理の開始と、第一生産設備31による処理対象品に対する処理の停止とを検出し、パルス信号を生成する。検出部25aは、例えば、第一生産設備31による処理の開始を検出すると、基準状態から立ち上がり(オン)、第一生産設備31による処理の停止を検出すると、オン状態から立ち下がる(オフ)パルス信号を生成する。生成されたパルス信号は、コントローラ23aに出力される。検出部25aは、第一生産設備31による処理の開始を検出すると、オン状態から基準状態へ立ち下がり(オフ)、第一生産設備31による処理の停止を検出すると、基準状態からの立ち上がる(オン)パルス信号を生成してもよい。
【0025】
コントローラ23aは、図示しない中央演算処理装置(CPU)と記憶装置とを備えている。コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号を用いて、生産管理装置10が識別可能な識別子を付した第一信号および第二信号を生成し、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aにそれぞれ出力する。本実施形態では、コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号の立ち上がり(オン)を検出して、第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、検出部25aから受信したパルス信号の立ち下がり(オフ)を検出すると、第二信号を生成して第二送受信部22aに出力する。なお、第一生産設備31による処理の開始を検出すると、オン状態から基準状態へ立ち下がり(オフ)、第一生産設備31による処理の停止を検出すると、基準状態から立ち上がる(オン)パルス信号を検出部25aが生成する場合には、パルス信号の立ち下がりの検出により第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、パルス信号の立ち上がりを検出により第二信号を生成して第二送受信部22aに出力してもよい。コントローラ23aに代えて検出部25aが第一信号および第二信号を生成してコントローラ23aに出力してもよい。コントローラ23aは、検出部25aから入力される信号がアナログ信号である場合には、信号値が既定値以上、規定値未満、または任意の範囲にある場合に、アクティブHighロジックにおいてはHigh(1)、アクティブLowロジックにおいてはLow(1)を採るデジタル信号に変換し、第一信号および第二信号を生産管理装置10に対して送信する。
【0026】
第一送受信部21aおよび第二送受信部22aは、任意の通信プロトコルに従い無線通信によって生産管理装置10に対して第一信号および第二信号を送信する送信部として機能する。より具体的には、第一送受信部21aは、第一信号を生産管理装置10に送信する第一送信部として機能し、第二送受信部22aは、第二信号を生産管理装置10に送信する第二送信部として機能する。なお、検出部25aからのパルス信号を受信したコントローラ23aからの指令に従って、第一送受信部21aおよび第二送受信部22aが第一信号および第二信号を生成してもよい。第一送受信部21aおよび第二送受信部22aは、生産管理装置10からの実行命令を受信してもよい。
【0027】
図4は、検出部25aとしての光センサを備える第一稼働状態取得装置20aの配置例を示す説明図である。第一稼働状態取得装置20aは、第一製造ラインL1のうち、第一生産設備31に備えられている。第一生産設備31には、PLCを収容する筐体310が隣接して配置されている。筐体310には第一生産設備31の稼働状態を三色の信号灯で示すシグナルタワー40が備えられている。信号灯は、第一生産設備31の稼働状態を示す表示部の一例である。シグナルタワー40によって示される稼働状態は、例えば、緑色が処理中、黄色が処理の停止中、赤色が異常停止である。
【0028】
検出部25aとしての光センサには、信号灯の点灯または消灯を検出することができる光電変換素子、例えば、フォトダイオード、フォトトランジスタを用いることができる。検出部25aは、例えば、シグナルタワー40の緑色の信号灯の発光面に装着される。検出部25aをシグナルタワー40に装着することによって、シグナルタワー40によって示される第一生産設備31による処理対象品の処理の開始もしくは処理の停止を容易に検出することができる。検出部25aは、緑色の信号灯が点灯した場合には、第一生産設備31による処理の開始を検出し、緑色の信号灯が消灯した場合には、第一生産設備31による処理の停止を検出する。第一生産設備31による処理の開始を検出した場合には、コントローラ23aは、検出部25aからのパルス波形を用いて第一信号を生成して第一送受信部21aに出力する。第一生産設備31による処理の停止を検出した場合には、コントローラ23aは、検出部25aからのパルス波形を用いて第二信号を生成して第二送受信部22aに出力する。検出部25aが第一信号および第二信号を生成してコントローラ23aに出力してもよい。検出部25aは、受光した光量に応じた電流をコントローラ23aに出力してもよい。この場合には、受光した光量が所定の光量以上となると第一信号としてのパルス波形がコントローラ23aによって生成され、受光した光量が所定の光量未満となると第二信号としてのパルス波形がコントローラ23aによって生成される。
【0029】
図5は、稼働状態取得装置が生産設備に装着して用いられる場合の説明図である。第四生産設備34には、第二稼働状態取得装置20bが装着されている。第一送受信部21b、第二送受信部22b、ならびにコントローラ23bは、第四生産設備34に備えられた開閉ドア341の近傍に取り付けられている。開閉ドア341は、第四生産設備34による処理対象品の処理の開始時に閉じられ、第四生産設備34による処理対象品の処理の停止時および処理の完了時には開けられる。
【0030】
第二稼働状態取得装置20bは、検出部25bとしての磁気センサを備えている。検出部25bは、第四生産設備34の稼働状態を示す情報として開閉ドア341の動きを検出する。本実施形態では、検出部25bは、第四生産設備34に装着された磁石342との距離の変化による磁力の変化を用いて、開閉ドア341の開閉を検出し、開閉ドア341の開閉から処理対象品に対する処理の開始と処理の停止とを検出することができる。
【0031】
コントローラ23bは、第四生産設備34による処理の開始を検出した場合には、検出部25bからのパルス波形を用いて第一信号を生成して第一送受信部21bに出力し、第四生産設備34による処理の停止を検出した場合には、検出部25bからのパルス波形を用いて第二信号を生成して第二送受信部22bに出力する。
【0032】
図6は、第一稼働状態取得装置20aによって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。本フローは、第一稼働状態取得装置20aの起動時から、第一稼働状態取得装置20aが稼働終了されるまでの間、繰り返し実行され得る。なお、第二稼働状態取得装置20bにおいても同様の処理が実行され得る。
【0033】
ステップS200では、第一稼働状態取得装置20aは、検出部25aからのパルス信号の入力を確認する。コントローラ23aは、検出部25aからパルス信号が入力されない場合には(S200:NO)、パルス信号の入力を待機する。
【0034】
コントローラ23aは、検出部25aからのパルス信号が入力されると(ステップS200:Yes)、検出したパルス信号の立ち上がり(オン)、または立ち下がり(オフ)を検出する(ステップS210)。本実施形態では、コントローラ23aは、パルス信号の立ち上がり(オン)を検出した場合には(S210:YES)、第一生産設備31による処理対象品に対する処理の開始を示す第一信号を生成して第一送受信部21aに出力し、第一送受信部21aは、取得した第一信号を生産管理装置10に送信する(ステップS211)。コントローラ23aは、パルス信号の立ち下がり(オフ)を検出した場合には(S210:NO)、生産設備による処理対象品に対する処理の停止に対応する第二信号を第二送受信部22aに出力し、第二送受信部22aは、取得した第二信号を生産管理装置10に送信する(ステップS212)。
【0035】
図7は、生産管理装置10によって実行される処理ルーチンを示すフローチャートである。本フローは、生産管理装置10の起動時から、生産管理装置10が稼働終了されるまでの間、繰り返し実行され得る。本フローの開始とともに、生産管理装置10は、検出信号の受信を待機し、タイマ16を用いた計時が開始される。なお、本フローは、生産管理装置10が第一信号を受信したことによって開始されてもよい。以下の説明において、第一製造ラインL1における第一生産設備31に設置された第一稼働状態取得装置20aを例に説明するが、第二製造ラインL2における第四生産設備34に設置された第二稼働状態取得装置20bにおいても同様である。
【0036】
ステップS10では、処理完了判定部110は、第一稼働状態取得装置20aからの第一信号を、無線通信を介して、送信・受信部13で受信する。受信された第一信号は、記憶装置12に格納される。ステップS20では、処理完了判定部110は、第一稼働状態取得装置20aからの第二信号の受信を待機する。処理完了判定部110は、無線通信を介して送信・受信部13により第二信号を受信すると(S20:YES)、ステップS30に移行する。
【0037】
ステップS30では、処理完了判定部110は、処理時間Tkおよび処理時間Tkの積算値ATkを算出する。処理時間Tkは、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を行っている時間であり、第一信号を受信した時点から第二信号を受信した時点までの期間に相当する。処理完了判定部110は、第一信号を受信した時点から第二信号を受信した時点までの時間を処理時間Tkとして取得する。処理完了判定部110は、さらに、取得した処理時間Tkを、処理時間記憶部120に格納されている処理時間Tkの積算値ATkに積算して、処理時間記憶部120に格納し、積算値ATkを更新する。
【0038】
ステップS40では、処理完了判定部110は、処理時間Tkの積算値ATkと、基準処理時間Tsとを比較する。基準処理時間Tsは、予め定められた任意の設定値として基準処理時間記憶部128に格納されている。基準処理時間Tsは、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を正常に完了させるために必要な時間を用いて設定される。基準処理時間Tsは、例えば、第一生産設備31における処理時間の最短値、第一生産設備31における処理時間の平均値、第一生産設備31の処理時間の上限値などを用いて予め設定することができる。
【0039】
ステップS40において、処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Ts未満である場合(S40:NO)、処理完了判定部110は、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を完了していないと判定し、ステップS50に移行する。積算値ATkが基準処理時間Ts未満である場合としては、例えば、第一生産設備31が異常停止した場合、ならびに作業員による停止操作を第一生産設備31が受け付けた場合などが該当し、第一生産設備31による処理が完了する前に一時的に停止されること等によって第二信号を受信した場合が該当する。
【0040】
ステップS50では、処理完了判定部110は、停止回数を計数するとともに、停止時間の計時を開始する。「停止回数」とは、第一生産設備31による処理対象品に対する処理が完了するまでに停止時間が発生した回数を意味する。処理完了判定部110は、停止回数記憶部126に格納された停止回数の積算値に、1を積算して、停止回数記憶部126に格納し、停止回数の計数結果を更新する。
【0041】
ステップS60では、処理完了判定部110は、第一信号の受信を待機する。送信・受信部13により第一信号を受信すると(S60:YES)、ステップS70に移行する。ステップS70では、処理完了判定部110は、停止時間Tmおよび停止時間Tmの積算値ATmを算出する。停止時間Tmは、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を停止している期間であり、本フローではステップS20で第二信号を受信した時点からステップS60で第一信号を受信した時点までの期間に相当する。処理完了判定部110は、第二信号を受信した時点から第一信号を受信した時点までの時間を停止時間Tmとして取得する。処理完了判定部110は、取得した停止時間Tmを、停止時間記憶部125に格納されている停止時間Tmの積算値ATmに積算して、停止時間記憶部125に格納し、積算値ATmを更新する。
【0042】
ステップS80では、処理完了判定部110は、サイクルタイムCTに異常ありと判定する。このように設定されているのは、停止時間Tmが発生した時点でサイクルタイムCTが正常時のサイクルタイムCTに対して遅延すると予測できることに基づく。ただし、この形態には限定されず、例えば、処理時間Tkの積算値ATkと停止時間Tmの積算値ATmとの合算値と、予め定められた閾値との比較結果に基づいて、サイクルタイムCTの異常の有無が判定されてもよい。また、停止時間Tmもしくは停止時間Tmの積算値ATmが予め定められた閾値よりも長い場合に、サイクルタイムCTに異常ありと判定されてもよい。処理完了判定部110は、サイクルタイムCTに異常ありと判定すると、その判定結果を記憶装置12に格納して、ステップS20に戻る。
【0043】
ステップS40において、処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Ts以上である場合(S40:YES)、処理完了判定部110は、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を完了したと判定し、ステップS100に移行する。「積算値ATkが基準処理時間Ts以上である場合」には、例えば、以下の(1)および(2)のように、停止時間Tmが発生しない場合と、停止時間Tmが発生する場合との2つのケースが含まれる。
(1)停止時間Tmが発生せず、処理時間Tkが基準処理時間Ts以上となる場合
(2)停止時間Tmが発生し、処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となる場合
(1)では、第一生産設備31が処理中に停止することなく正常に処理を完了させた場合に相当する。すなわち、ステップS50~S80の処理を実行することなく、ステップS100の処理を実行する場合に相当する。この場合において、積算値ATkと、処理時間Tkとは、互いに等しい。(2)では、第一生産設備31が処理中に停止し、複数の処理時間Tkが発生し、積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった場合に相当する。この場合において、第一生産設備31による処理に必要な時間が経過したことから、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を完了したと予測することができる。
【0044】
ステップS100では、処理完了判定部110は、第一生産設備31が処理を開始してから完了するまでのマシンサイクルタイムMCTを取得する。処理完了判定部110は、停止時間Tmの発生の有無に応じた算出方法によりマシンサイクルタイムMCTを取得する。停止時間Tmが発生していない場合には、処理完了判定部110は、処理時間TkをマシンサイクルタイムMCTとして取得する。具体的には、処理完了判定部110は、ステップS10で第一信号を受信した時点からステップS20で第二信号を受信した時点までの取得間隔を、マシンサイクルタイムMCTとして取得する。
【0045】
停止時間Tmが発生した場合、すなわち、連続する処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった場合には、処理完了判定部110は、連続する処理時間Tkにおいて、最初に第一信号を受信した時点から最後に第二信号を受信した時点までをマシンサイクルタイムMCTとして取得する。「連続する処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった場合」とは、ステップS50~S80の処理が少なくとも一回実行された後に、ステップS100の処理が実行される場合に相当する。この場合のマシンサイクルタイムMCTは、停止時間Tmを含み、処理時間Tkの積算値ATkおよび停止時間Tmの積算値ATmの合計値と略一致する。処理完了判定部110は、取得したマシンサイクルタイムMCTをマシンサイクルタイム記憶部122に格納する。
【0046】
ステップS110では、処理完了判定部110は、第一生産設備31が処理を完了した処理対象品の総数、すなわち生産数を計数する。処理完了判定部110は、生産数記憶部124に格納された生産数に、第一生産設備31の処理数(本実施形態において、1)を積算して、生産数記憶部124に格納し、生産数の計数結果を更新する。
【0047】
ステップS120では、処理完了判定部110は、間隔時間Tiと、予め定められた基準間隔時間Trとを比較する。間隔時間Tiは、第一生産設備31が処理対象品に対する処理を完了した時点から第一生産設備31が次の処理を開始するまでの時間である。
【0048】
基準間隔時間Trは、間隔時間Tiの異常の有無を判定するために用いられる。間隔時間Tiが基準間隔時間Trを超えた場合とは、間隔時間Tiが正常時に対して遅延する場合に相当する。基準間隔時間Trは、例えば、間隔時間Tiの最短値、平均値、上限値、ならびに第一生産設備31によるいわゆる段取り替えに必要な時間、もしくはこれらの時間よりも長い時間などを用いて、予め設定することができる。
【0049】
間隔時間Tiは、例えば、第一生産設備31の後工程の第二生産設備32または第三生産設備33が異常停止すること等によって第一生産設備31が処理対象品を第二生産設備32へと払い出しできない場合や、第一生産設備31の異常停止などにより第一生産設備31の処理が開始できない場合など、生産設備31~33による処理が正常に実行できない場合に、基準間隔時間Trを超えることがある。生産設備31~33による処理が正常に実行できない場合とは、第一生産設備31を含む第一製造ラインL1が停止している場合に相当する。
【0050】
本実施形態では、処理完了判定部110は、最後に第二信号を受信した時点からの経過期間が基準間隔時間Trを超えた場合には、間隔時間Tiが基準間隔時間Trを超えていると判定し(S120:YES)、ステップS160に移行する。すなわち、ステップS130で第一信号を受信して間隔時間Tiを算出する前に、間隔時間Tiが基準間隔時間Trを超えていると判定する。これにより、第一信号の受信を待つことなく第一製造ラインL1の停止の有無を判定することができる。ただし、処理完了判定部110は、ステップS130で第一信号を受信して間隔時間Tiを取得し、取得した間隔時間Tiと、予め定められた基準間隔時間Trとを比較してもよい。
【0051】
ステップS160では、処理完了判定部110は、第一生産設備31を含む第一製造ラインL1が停止していると判定し、処理を終了する。処理完了判定部110は、さらに、第一製造ラインL1の停止を報知してもよい。
【0052】
ステップS130では、処理完了判定部110は、第一稼働状態取得装置20aからの第一信号の受信を待機する。本実施形態では、基準間隔時間Tr以前に第一信号を受信すると(S130:YES)、ステップS140に移行し、処理完了判定部110は、サイクルタイムCTを取得する。
図7の例では、処理完了判定部110は、最初に第一信号を受信した時点、すなわちステップS10で第一信号を受信した時点から、最後に第二信号を受信してから次の第一信号を受信した時点、すなわち、ステップS130で第一信号を受信した時点までの期間をサイクルタイムCTとして取得する。サイクルタイムCTは、マシンサイクルタイムMCTと間隔時間Tiとの積算値を用いてもよく、処理時間Tkもしくは積算値ATk、停止時間Tmもしくは積算値ATmとの合算値に間隔時間Tiを積算した結果を用いてもよい。サイクルタイムCTを取得すると、ステップS150に移行し、処理完了判定部110は、記憶装置12の処理時間記憶部120に格納された処理時間Tkの積算値ATkと、停止時間記憶部125に格納された停止時間Tmの積算値ATmとをリセットし、本フローを完了する。
【0053】
図8~
図10を参照して生産管理装置10によって実行される処理ルーチンについて説明する。
図8は、稼働状態取得装置20aからの検出信号と、処理完了判定部110による処理ルーチンとの関係を示す第1のタイムチャートである。
図8~
図10において、横軸は時間軸であり、縦軸は、検出部25aによるオン信号とオフ信号との生成タイミングを模式的に示している。
【0054】
図8に示すタイムチャートは、第一生産設備31が処理中に停止することなく正常に処理を完了させた場合でのタイムチャートの例である。停止時間Tmは発生せず、積算値ATkと、処理時間Tkとは、互いに等しい。なお、
図8の例において、処理時間Tkは、基準処理時間Tsよりも長い。
【0055】
図8の例において、時間T1では、検出部25aが第一生産設備31による処理の開始を検出し、コントローラ23aにより基準状態から立ち上がるオン信号としての第一信号が生成される。時間T1から基準処理時間Tsを経過した後の時間T2では、検出部25aが第一生産設備31による処理の停止を検出し、オン状態から立ち下がるオフ信号としての第二信号が生成される。時間T2から間隔時間Tiを経過した時間T3では、第一生産設備31による次の処理対象品に対する処理が開始され、検出部25aによって第一信号が生成されている。
【0056】
図8に示すように、時間T1に第一信号を受信してから時間T2に第二信号を受信するまでの期間、すなわち処理時間Tkは、基準処理時間Ts以上である。したがって、処理完了判定部110は、処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Ts以上であると判定して、処理時間TkをマシンサイクルタイムMCTとして取得するとともに、生産数を積算する。
【0057】
図8に示すように、時間T2から時間T3までの経過時間、すなわち、間隔時間Tiは、基準間隔時間Tr未満である。したがって、処理完了判定部110は、最初に第一信号を検出した時間T1から次に第一信号を検出した時間T3までの時間を、サイクルタイムCTとして取得する。
【0058】
図9は、稼働状態取得装置20a,20bからの検出信号と、処理完了判定部110による処理ルーチンとの関係を示す第2のタイムチャートである。
図9に示すタイムチャートは、第一生産設備31が処理中に(n-1)回だけ停止したのちに、積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった場合でのタイムチャートの例である。ただし、nは2以上の自然数である。
【0059】
図9に示すように、時間T10に第一信号を受信してから時間T11に第二信号を受信するまでの処理時間Tk1は、基準処理時間Ts未満である。したがって、処理完了判定部110は、停止回数記憶部126に格納された停止回数を1だけ積算し、第一信号の検出を待機する。時間T12に第一信号が検出されると、処理完了判定部110は、時間T11から時間T12までの時間を停止時間Tm1として取得する。
【0060】
次に、処理完了判定部110は、時間T12から、次に第二信号が検出される時間T13までの時間を処理時間Tk2として取得する。また、処理完了判定部110は、処理時間Tk1に処理時間Tk2を積算して、積算値ATkを算出する。
図9の例では、時間T13において、積算値ATkは、基準処理時間Ts未満である。したがって、処理完了判定部110は、停止回数をさらに1だけ積算し、第一信号の検出を待機する。
【0061】
図9に示すように、第一生産設備31は、(n-1)回だけ停止している。時間T14に第一信号が検出され時間T15に第二信号が検出されると、処理完了判定部110は、時間T14から時間T15までの時間を処理時間Tknとして取得する。なお、処理時間Tk1から処理時間Tknまでは、連続する処理時間Tkに該当する。時間T15において、連続する処理時間Tk1~Tknの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となる。処理完了判定部110は、連続する処理時間Tk1~Tknにおいて、最初に第一信号を受信した時間T10から最後に第二信号を受信した時間T15までをマシンサイクルタイムMCTとして取得する。なお、
図9の例において、停止回数記憶部126に格納される停止回数は、(n-1)回である。
【0062】
時間T15から次の処理が開始される時間T16までの間隔時間Tiは、基準間隔時間Tr未満である。したがって、処理完了判定部110は、最初に第一信号を検出した時間T1から、最後に第二信号を受信して次の第一信号を検出した時間T16までの時間を、サイクルタイムCTとして取得する。
【0063】
生産管理システム100が、例えば、第一生産設備31による処理対象品に対する処理の開始を検出するセンサと、処理の完了を検出するセンサとを含む複数のセンサを有する場合には、第一生産設備31による処理の開始と完了とを検出することができる。しかしながら、この場合には、第一生産設備31による処理中の一時的な停止を検出することができない場合がある。また、例えば、シグナルタワー40のように、処理対象品の処理中もしくは処理の停止が示され、処理対象品に対する処理が完了したか否かが示されない場合には、検出部が単にシグナルタワー40の信号灯の点灯または消灯を検出するだけでは、処理対象品に対する処理が完了したか否かを検出できないことがある。本実施形態の生産管理システム100では、処理完了判定部110によって、一回あたりの処理時間Tkが基準処理時間Tsに達したか否かを判定することにより、シグナルタワー40の信号灯の点灯または消灯を検出することにより、第一生産設備31の処理が完了したか否かを判定することができる。また、一回あたりの処理時間Tkが基準処理時間Tsに達していない場合には、第一生産設備31の処理中の停止を検出することができ、また、処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Tsに達したか否かを判定することによって、第一生産設備31の処理が完了したか否かを判定することができる。
【0064】
図10は、稼働状態取得装置20a,20bからの検出信号と、処理完了判定部110による処理ルーチンとの関係を示す第3のタイムチャートである。
図10に示すように、第一生産設備31は、時間T20から時間T21において、処理中に停止することなく処理を完了させている。時間T22では、時間T21からの経過時間が基準間隔時間Trを超えている。処理完了判定部110は、時間T22において、最後に第二信号を受信した時間T21からの経過期間が基準間隔時間Trを超えたため、間隔時間Tiが基準間隔時間Trを超えたと判定する。処理完了判定部110は、第一生産設備31を含む第一製造ラインL1が停止していると判定し、処理を終了する。
【0065】
図11は、表示装置14に表示される生産状況情報の例を示す説明図である。
図11の例では、製造ライン起動後、最初に第一信号が入力された時刻T0、製造ラインL1,L2の停止回数、生産効率(%)、製造ラインL1,L2に配置されている生産設備31~36それぞれのサイクルタイムCTの異常の発生回数、停止回数の総計、ライン停止回数の総計が表示されている。「ライン停止回数」の項目には、処理完了判定部110によって第一生産設備31を含む第一製造ラインL1が停止していると判定された回数が表示されている。本実施形態では、製造ラインならびに生産設備の項目について、更に詳細な内容を表示させるための詳細表示ボタンB1が配置されている。なお、これらの情報は、生産管理装置10が備える表示装置14に代えて、端末装置PD1,PD2の表示部に表示するようにしてもよい。詳細表示ボタンB1が操作されると、表示装置14の画面が切り替わり詳細表示へと切り替わる。
【0066】
図12は、表示装置14に表示される第一生産設備31の稼働状況の詳細表示の例を示す説明図である。
図12に示すように、詳細表示ボタンB1が操作された後の詳細表示では、所定回数(図の例では10回)にわたって受信順に、サイクルタイムCT、間隔時間Tiとしてのインターバル期間、マシンサイクルタイムMCT、処理時間、停止時間、停止回数、遅延時間の詳細が表示されている。遅延時間とは、予め設定される目標サイクルタイムに対して、サイクルタイムCTの実績値が遅れた時間を意味する。
図12に示す「処理時間」の項目には、処理時間Tkの積算値ATkが表示され、「停止時間」の項目には、停止時間Tmの積算値ATmが表示されている。「停止回数」の項目には、停止回数記憶部126に格納された停止回数の積算値が表示されている。なお、「処理時間」には、さらに、
図9で示した処理時間Tk1~Tkn等、処理時間Tkの積算値ATkの内訳が表示されてもよく、「停止時間」には、
図9で示した停止時間Tm1~Tm(n-1)等、停止時間Tmの積算値ATmの内訳が表示されてもよい。本実施形態の生産管理システム100によれば、製造ラインL1,L2、および生産設備31~36のそれぞれにおける稼働状況の異常の有無を詳細に把握することが可能となり、サイクルタイム可動率が低い原因の解明に資することができる。
【0067】
以上、説明したように、本実施形態の生産管理システム100は、第一製造ラインL1に含まれる第一生産設備31に配置される検出部25aであって第一信号および第二信号を生成する検出部25a、および第一信号および第二信号を送信するための13を有する稼働状態取得装置20aと、稼働状態取得装置20aから送信された第一信号および第二信号を受信する生産管理装置10であって第一信号および第二信号を用いて生産設備31が処理を完了したか否かを判定する処理完了判定部110を有する生産管理装置10と、を備えている。処理完了判定部110は、第一信号を受信した時点から第二信号を受信した時点までの処理時間Tkを取得し、取得した処理時間Tkが予め定められた基準処理時間Ts以上である場合に、第一生産設備31が処理を完了したと判定する。算出した処理時間Tkが基準処理時間Ts未満である場合には、連続する処理時間Tkの積算値ATkが、基準処理時間Ts以上となった場合に、第一生産設備31が処理を完了したと判定する。本実施形態の生産管理システム100によれば、第一信号と第二信号を生成する一つの検出部25aによって、第一生産設備31が部品に対する処理を開始してから処理対象品が払い出されるまでの停止の有無や回数など、生産設備による処理中の状況を把握することができる。また、処理完了判定部110によって、一回あたりの処理時間Tkが基準処理時間Tsに達したか否かを判定することにより、第一生産設備31による処理が完了したか否かを判定できる。また、一回あたりの処理時間Tkが基準処理時間Tsに達していない場合であっても、処理時間Tkの積算値ATkが基準処理時間Tsに達したか否かを判定することによって、第一生産設備31による処理が完了したか否かを判定できる。したがって、部品点数の増加を抑制しつつ、生産設備による処理中の状況を把握することができる。
【0068】
本実施形態の生産管理システム100によれば、処理完了判定部110は、取得した処理時間Tkが基準処理時間Ts以上である場合に、さらに、第一信号から第二信号までの取得間隔をマシンサイクルタイムMCTとして取得する。処理完了判定部110は、処理時間Tkが基準処理時間Ts未満である場合であって、連続する処理時間Tk1~Tknの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった場合に、連続する処理時間Tk1~Tknにおいて、最初に第一信号を受信した時点から最後に第二信号を受信した時点までをマシンサイクルタイムMCTとして取得する。したがって、一つの検出部25aによって、第一生産設備31のマシンサイクルタイムMCTを取得することができる。
【0069】
本実施形態の生産管理システム100によれば、処理完了判定部110は、取得した処理時間Tkが基準処理時間以上である場合に、さらに、連続する第一信号の取得間隔をサイクルタイムCTとして取得する。処理完了判定部110は、処理時間Tkが基準処理時間Ts未満である場合であって、連続する処理時間Tk1~Tknの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった場合に、連続する処理時間Tk1~Tknのうち、最初に第一信号を受信した時点から、連続する処理時間Tk1~Tknの積算値ATkが基準処理時間Ts以上となった後に第一信号を受信した時点までをサイクルタイムCTとして取得する。したがって、一つの検出部25aによって、第一生産設備31のサイクルタイムCTを取得することができる。
【0070】
本実施形態の生産管理システム100によれば、処理完了判定部110は、処理時間Tkが基準処理時間Ts未満である場合に、さらに、サイクルタイムCTに異常ありと判定する。したがって、サイクルタイムCTの算出が完了するよりも早期にサイクルタイムCTの異常を判定することができる。
【0071】
本実施形態の生産管理システム100によれば、処理完了判定部110は、第一生産設備31が処理を完了した時点から第一生産設備31が次の処理を開始する時点までの間隔時間Tiが予め定められた基準間隔時間Trを超えた場合に、第一製造ラインL1が停止していると判定する。したがって、一つの検出部25aによって、第一製造ラインL1全体の停止を検出することができる。
【0072】
本実施形態の生産管理システム100によれば、処理完了判定部110は、第一生産設備31が処理を完了したと判定した場合に、さらに、第一生産設備31が処理を完了した処理対象品の総数を計数する。したがって、一つの検出部25aによって、第一生産設備31による生産数を取得することができる。
【0073】
本実施形態の生産管理システム100によれば、処理完了判定部110は、さらに、連続する処理時間Tkの間の停止時間Tmが発生した回数を計数する。したがって、一つの検出部25aによって、マシンサイクルタイムMCT中の第一生産設備31の停止回数を取得することができる。
【0074】
本実施形態の生産管理システム100によれば、第一生産設備31は、光によって第一生産設備31の稼働状態を示す表示部として機能する信号灯を有するシグナルタワー40を備えている。検出部25aは、表示部に装着され、表示部により示される稼働状態を取得して、第一信号および第二信号を生成する光センサである。したがって、汎用的なセンサを検出部25aとして用いることができる。
【0075】
B.他の実施形態:
(B1)上記実施形態では、生産管理システム100は、2つの製造ラインL1,L2の第一生産設備31および第四生産設備34に稼働状態取得装置20a,20bを備えている例を示した。これに対して、稼働状態取得装置20a,20bは、生産設備31~36のいずれの生産設備に備えられてもよい。
【0076】
(B2)上記実施形態では、検出部25aのみが検出部として機能する例を示した。これに対して、検出部25aとコントローラ23aとによって検出部が実現されてもよい。コントローラ23aは、検出部25aから受信したパルス信号を記憶装置に格納しておき、生産管理装置10から受信した実行命令に応じて、第一信号および第二信号を生産管理装置10に対して送信する処理を実行してもよい。
【0077】
(B3)上記実施形態においては、生産管理装置10および各稼働状態取得装置20a,20bは、無線通信にて通信を行っているが、有線通信によって行われてもよい。例えば、生産設備31~36の近傍に有線ローカルエリアネットワーク(LAN)接続ポートが備えられている場合には、接続ポートを利用することによって新たな配線の手間を省くことができ、無線通信と同様にして簡易に第1の実施形態に係る生産管理システム100を導入することができる。
【0078】
(B4)上記実施形態では、稼働状態検出装置20a~20fは、PLCに接続されておらず、生産設備31~36に後付けにより装着されている例を示した。これに対して、稼働状態検出装置20a~20fは、後付けによらず、PLCに接続されてもよい。この場合には、例えば、検出部25aがPLCに接続される。稼働状態検出装置20a~20fでは、取得部としての送信・受信部13が、設備の動作を制御するためにPLCから出力される指令信号を受信し、受信したPLCからの指令信号に基づいて、設備による処理の開始タイミングと、処理の停止タイミングとを取得する。
【0079】
本開示に記載の制御部及びその手法は、コンピュータプログラムにより具体化された一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。あるいは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ以上の専用ハードウェア論理回路によってプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。もしくは、本開示に記載の制御部及びその手法は、一つ乃至は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと一つ以上のハードウェア論理回路によって構成されたプロセッサとの組み合わせにより構成された一つ以上の専用コンピュータにより、実現されてもよい。また、コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。
【0080】
本開示は、上述の実施形態に限られるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲において種々の構成で実現することができる。例えば、発明の概要の欄に記載した各形態中の技術的特徴に対応する実施形態中の技術的特徴は、上述の課題の一部又は全部を解決するために、あるいは、上述の効果の一部又は全部を達成するために、適宜、差し替えや、組み合わせを行うことが可能である。また、その技術的特徴が本明細書中に必須なものとして説明されていなければ、適宜、削除することが可能である。
【符号の説明】
【0081】
10…生産管理装置、11…CPU、12…記憶装置、13…送信・受信部、14…表示装置、15…入力装置、16…タイマ、17…バス、20a…第一稼働状態取得装置、20b…第二稼働状態取得装置、21a,21b…第一送受信部、22a,22b…第二送受信部、23a,23b…コントローラ、25a,25b…検出部、31…第一生産設備、32…第二生産設備、33…第三生産設備、34…第四生産設備、35…第五生産設備、36…第六生産設備、40…シグナルタワー、41…搬送機構、100…生産管理システム、110…処理完了判定部、120…処理時間記憶部、121…サイクルタイム記憶部、122…マシンサイクルタイム記憶部、124…生産数記憶部、125…停止時間記憶部、126…停止回数記憶部、128…基準処理時間記憶部、310…筐体、341…開閉ドア、342…磁石、B1…詳細表示ボタン、L1…第一製造ライン、L2…第二製造ライン、PD1,PD2…端末装置