(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037413
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】フライパン及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
A47J 37/10 20060101AFI20230308BHJP
A47J 37/12 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
A47J37/10
A47J37/12 311
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144160
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】521390877
【氏名又は名称】朴 紅艶
(74)【代理人】
【識別番号】100172225
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 宏行
(72)【発明者】
【氏名】朴 紅艶
【テーマコード(参考)】
4B059
【Fターム(参考)】
4B059AA02
4B059AB02
4B059AD14
4B059BG04
4B059DA06
(57)【要約】
【課題】人体に無害で、耐久性に優れ、加熱過程中フライパンの温度を表示することができ、調理性能を向上させることができるフライパンを提供する。
【解決手段】フライパン10は、プレート100と、プレート100の上にコーティングされているプライマー層200と、プライマー層200の上にコーティングされているミッド層300と、ミッド層300の上にコーティングされている少なくとも1色以上からなるパッド層20と、パッド層20の上に形成されている示温インク層40と、示温インク層40の上に形成されるトップ層400を含む。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートと、前記プレートの上にコーティングされているプライマー層と、前記プライマー層の上にコーティングされているミッド層と、前記ミッド層の上にコーティングされている少なくとも1色以上からなるパッド層と、前記パッド層の上に形成されている示温インク層と、前記示温インク層の上に形成されるトップ層を含むことを特徴とするフライパン。
【請求項2】
プレートと、前記プレート層の上にコーティングされているプライマー層と、前記プライマー層上にコーティングされているミッド層と、前記ミッド層の上にコーティングされているパッド層と、前記パッド層の上にコーティングされているトップ層を含み、前記ミッド層と前記トップ層の間に、変温マーカーを含むことを特徴とするフライパン。
【請求項3】
前記変温マーカーは、温度ごとに異なる色で構成されている温度表示部と、前記温度表示部の色の上に塗布されている示温インクを含むことを特徴とする請求項2に記載のフライパン。
【請求項4】
前記示温インク層は黒であり、温度が上がることで、透明色になることを特徴とする請求項1に記載のフライパン。
【請求項5】
前記ミッド層はマーブル層を含むことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載のフライパン。
【請求項6】
前記マーブル層に含まれる粒子は、相互異なる色で構成されたことを特徴とする請求項5に記載のフライパン。
【請求項7】
フライパンの基本形状を形成するプレートを製造するプレートの製造工程と、
前記プレートの上面に塗布されてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
前記プライマー層の上に塗布され、粒子からなるマーブル層を含むミッド層形成工程と、
前記ミッド層上にパッド層を形成する工程と、
前記パッド層上に示温インク層を形成する工程と、
前記示温インク層上にフッ素樹脂層を含むトップ層の形成工程と、
前記フッ素樹脂層が塗布されたプレートを焼成させるプレート焼成工程と、
プレスを用いて焼成された前記プレートを圧着するプレート圧着工程と、を含むことを特徴とするフライパンの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フライパン及びその製造方法に関するもので、より詳細には、人体に無害で、耐久性が優れ、加熱過程中フライパンの温度を表示し与えることができた調理性能を向上させることができるフライパン及びその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、フライパンは、地域の文化や環境の影響で形状に多少の違いがあるが、フライパンが焦げ付かずに、おいしい調理をすることができるよう、発展のための研究が重ねられている。従来のフライパンでは、加熱して調理する際、調理物(食材)が簡単に焦げ付くという問題や、発がん性物質であるベンゾピレン、トリップ、カフボなどが生成されるといった問題が生じていた。
【0003】
このような問題を解決するため、石で成形されたフライパン、炭素で成形されたフライパン、ゲルマニウムニウム製のフライパン、土で成形されたフライパンなど天然製品等をコーティングしたものが開発されているが、価格が高く、破損時にコーティング層がはがれ、異物が出てくる恐れがあるなどの問題を抱えていた。そこで、アルミニウム製のフライパン板材とステンレス製のフライパン板材を接着剤で接着させた後、研磨させて製造したものが提案されている(例えば特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】韓国登録特許第10-0950421号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、アルミニウム、鉄、ステンレス、ホーロー、セラミックなどは価格が安いが、調理時の温度などの燃焼状態に応じて、調理物(食材)の表面が焦げ付き易く、また、コーティング部分が毀損した時にコーティング部分のはがれ及びフライパン本体の腐食が発生し、フライパンの役割を果たせない問題がある。
【0006】
さらに、特定の食材を利用して調理するとき、例えばステーキなど、フライパンにのせるために適正な温度になるまで待つ必要があるが、一般的に加熱処理中フライパンの温度を知ることができない場合がほとんどである。これにより、人体に無害で、耐久性に優れ、加熱過程中フライパンの温度の表示を与えることができ、調理性能を向上させることができるフライパンを製造する技術の開発が切実に要求されている。
【0007】
そこで、本発明者は、上記した問題点を解決するために提案されたもので、その目的は、人体に無害で、耐久性に優れ、加熱過程中フライパンの温度を表示し与えることができ、調理性能を向上させることができるフライパンの製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のフライパンは、プレートと、前記プレートの上にコーティングされているプライマー層と、前記プライマー層の上にコーティングされているミッド層と、前記ミッド層の上にコーティングされている少なくとも1色以上からなるパッド層と、前記パッド層の上に形成されている示温インク層と、前記示温インク層の上に形成されるトップ層を含む。
【0009】
本発明のフライパンは、プレートと、前記プレート層の上にコーティングされているプライマー層と、前記プライマー層上にコーティングされているミッド層と、前記ミッド層の上にコーティングされているパッド層と、前記パッド層の上にコーティングされているトップ層を含み、前記ミッド層と前記トップ層の間に、変温マーカーを含む。
【0010】
本発明のフライパンの製造方法は、フライパンの基本形状を形成するプレートを製造するプレートの製造工程と、前記プレートの上面に塗布されてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、前記プライマー層の上に塗布され、粒子からなるマーブル層を含むミッド層形成工程と、前記ミッド層上にパッド層を形成する工程と、前記パッド層上に示温インク層を形成する工程と、前記示温インク層上にフッ素樹脂層を含むトップ層の形成工程と、前記フッ素樹脂層が塗布されたプレートを焼成させるプレート焼成工程と、プレスを用いて焼成された前記プレートを圧着するプレート圧着工程と、を含む。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、人体に無害で、耐久性に優れ、加熱過程中フライパンの温度を表示することができ、調理性能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】本発明の第1の実施形態に係るフライパンの部分断面図
【
図2】本発明の第2の実施形態に係るフライパンの部分断面図
【
図3】(a)本発明の第2の実施形態に係るフライパンの平面図の一実施例を示した図(b)(c)(d)本発明の第2の実施形態に係るフライパンが備える変温マーカーの説明図
【
図4】(a)本発明に係るフライパンの製造方法を示すフローチャート(b)本発明に係るフライパンの部分断面図
【
図5】(a)(b)本発明に係るフライパンの製造方法におけるプライマー層形成段階を示すフローチャート(c)本発明に係るフライパンの部分断面図
【
図6】(a)本発明に係るフライパンの製造方法におけるよるミッド層塗布段階を示すフローチャート(b)本発明に係るフライパンの部分断面図
【
図7】本発明に係るフライパンの製造方法に係る各ミッド層塗布段階を示すフローチャート
【
図8】(a)本発明に係るフライパンの製造方法を示すフローチャート(b)本発明に係るフライパンの製造方法における底部成形段階を示すフローチャート(c)本発明に係るフライパンの部分断面図
【
図9】(a)(b)本発明に係るフライパンの製造方法における底部プライマー層成形段階を示すフローチャート(c)本発明に係るフライパンの部分断面図
【
図10】(a)本発明に係るフライパンの製造方法における底面マーブル層塗布段階を示すフローチャート(b)本発明に係るフライパンの部分断面図
【
図11】本発明に係るフライパンの製造方法における各底面マーブル層塗布段階を示すフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明に係る最良な実施の形態を添付した図面を参照して、詳細に説明する。添付された図面とともに以下に開示される詳細な説明は、本発明の例示的な実施形態を説明しようとするものであり、発明の趣旨を逸脱しない範囲で実施することができる。以下の詳細な説明は、本発明を実施するために必要な具体的な細部事項を含む。しかし、本発明が属する技術分野で通常の知識を有する者は、このような具体的な詳細がなくても本発明を実施することができる。
【0014】
本発明の概念が曖昧になることを避けるために、公知の構造及び装置は省略する。
【0015】
本明細書中には、どの部分がどのような構成要素を「含む(comprisingまたはincluding)」と表現しているが、これは特段の記載がない限り、他の構成要素を除外するのではなく、他の構成要素を含むことができることを意味する。また、明細書に記載された「...部」の用語は、少なくとも一つの機能や動作を処理する単位を意味する。また、「一(aまたはan)」、「一つ(one)」、「その(the)」と類似する関連語は、本発明を記述する文脈において(特に、以下の請求項の文脈で)本明細書に別の方法で指示したり、文脈によって明らかに反論されない限り、単数と複数の両方を含む意味で使用している。
【0016】
本発明の実施例を説明するにあたって、公知の機能や構成についての具体的な説明が本発明の要旨を不必要に濁すと判断される場合には、その詳細説明を省略する。そして後述される用語は、本発明の実施例での機能を考慮して定義された用語としてこれは、利用者、運用者の意図または慣例などによって変わることができる。したがって、その定義は、本明細書全般にわたった内容をベースとしてする。
【0017】
以下、本発明の望ましい実施例を添付された図面を参照して説明する。
図1は、本発明の第1の実施例に係るフライパン10の部分断面図である。上記本発明の第1の実施例に係るフライパン10は、フライパン10の基本形状を形成するプレート100、プライマー層200、ミッド層300、ミッド層300の上に形成されるパッド層20と示温インク層40、およびトップ層400を含んでいる。
【0018】
パッド層20にはデザインが施されており、パッド層20の上部に温度に応じて色が変わる示温インク層40が形成される。望ましくは、ミッド層300の上に形成される複数のパッド層20のそれぞれは、2色以上で印刷されていてよく、これにより様々なデザインや色を提供することができる。なお、示温インク層40は、加熱すると透明な色に変わる黒の示温インクとすることがよい。示温インク層40の形成のためにコーティング法あるいは印刷法など様々な方法が利用されることはもちろんである。
【0019】
図2は、本発明の第2の実施例に係るフライパン10Aの構成図である。フライパン10Aは、フライパン10Aの基本形状を形成するプレート100、プライマー層200、ミッド層300、およびトップ層400を含み、ミッド層300とトップ層400の間にデザインが施されたパッド層20と、変温マーカー40Aを含んでいる。
【0020】
プライマー層200に使用されるコーティング液は、フッ素樹脂を含み、望ましくは、テフロン(登録商標)を含んでいる。ミッド層300は、プライマー層200上に形成され、望ましくは、マーブル層で行われ、マーブル層は粒子状の相互異なる色の少なくとも2種以上を含むことができる。
【0021】
トップ層400に使用されるコーティング液は、プライマー層200と同様に、フッ素樹脂、望ましくはテフロンを含む。
【0022】
パッド層20は、第1パッド層あるいはより複雑な模様を形成するために、少なくとも2以上のパッド層を形成する手順を経て、様々な柄を形成することができる。
【0023】
変温マーカー40Aは、温度に応じて色が変わる示温色素を含む。
図3に示すように、本発明に係る変温マーカー40Aは、特定の形状(例えば、三角形上)の温度表示部41を含んでいる。温度表示部41は、温度に応じて色を区分して、例として、第1の温度では最下段の表示部41aに青、第2の温度では中間の表示部41bに黄色、第3の温度では最上段の表示部41cに赤色の塗料をコーティングし、塗料の上に黒色の相互温度で変色する示温インク(42a,42b,42c)をそれぞれコーティングする。
【0024】
したがって、フライパン10Aが第1の温度に達すると、第1示温インク42aが黒色から透明に変わり、青色が表示され、より加熱されて温度が第2の温度に達すると第2示温インク42bが変色して黄色が表示され、第2の温度より高く、温度が上がって第3の温度に達すると、第3示温インク42cが変色して透明に変化し、赤色が表示される。これにより、フライパン10Aの使用者は、単に色を確認するだけでフライパン10Aの現在の温度を確認することができるようになる。
【0025】
以下、本発明のフライパン10,10Aの製造過程について望ましい実施例を挙げ、より詳細に説明する。
図4は、本発明に係るフライパン製造方法を示す図であり、
図5は、本発明によるプライマー層形成工程を示した図であり、
図6は、本発明によるマーブル層塗布工程を示す図であり、
図7は、本発明に係るミッド層300における各マーブル層塗布工程の詳細な手順を示す図であり、
図9は、本発明に係る底部形成ステップがさらに含まれているフライパン10,10Aの製造方法の手順図を示す図であり、
図9は、本発明に係る底プライマー層形成工程を示す図であり、
図10は、本発明に係る底面マーベル層塗布工程を示す図であり、
図11は、本発明に係る各底面マーブル層塗布工程の詳細手順を示す図である。
【0026】
図4に示すように、本発明に係るフライパン製造方法は、プレート製造段階(ST(ステップ)10)とプライマー層形成段階(ST20)、ミッド層塗布段階(ST30)、パッド層及び示温インク層形成段階(ST40)あるいは、変温マーカー40Aとパッド層20の形成段階(ST40A)、トップ層塗布段階(ST50)、プレート焼成段階(ST60)とプレート圧着段階(ST70)を含んでいる。なお、本明細書における「段階」は「工程」と同じ意味合いである。
【0027】
プレートの製造段階(ST10)は、フライパン10,10Aの基本的な形状を形成するプレート100を製造する。プレート100は、金属または非金属のいずれで製造される。そしてプライマー層形成段階(ST20)は、プレート100の上面に塗布されプライマー層200を形成する過程を含む。
【0028】
ミッド層塗布段階(ST30)は、プライマー層200上にマーブル(粒子)を含むミッド層300を形成する過程を含む。パッド層20と示温インク層形成段階(ST40)あるいは、変温マーカー40Aとパッド層20の形成段階(ST40A)は、ミッド層300上にパッド層20と示温インク層40を順次形成するか(第1の実施例)、ミッド層300上に変温マーカー40Aとパッド層20を形成(第2の実施例)する過程を含む。
【0029】
また、トップ層塗布(形成)段階(ST50)は、パッド層20上にフッ素樹脂層になるトップ層400を塗布する過程を含んでいる。プレート焼成段階(ST60)は、トップ層400が塗布されたプレート100を焼成する過程を含んでいる。そしてプレート圧着段階(ST70)は、プレスを利用して、焼成されたプレート100を圧着する過程を含んでいる。
【0030】
ここで、プライマー層形成段階(ST20)は、
図5に示すように、望ましくは、第1プライマー層形成段階(ST21)と、第2プライマー層形成段階(ST22)で構成されている。第1プライマー層形成段階(ST21)は、コーティング液をプレート100の上面に噴射して、第1プライマー層210を形成する過程を含む。第1プライマー層形成段階(ST21)は、第1コーティング液噴射段階(ST211)と、第1コーティング液乾燥段階(ST212)で構成されている。
【0031】
第1コーティング液噴射段階(ST211)は、プレート100の上面にコーティング液を12~15ミクロンで塗布する過程を含んでいる。そして、第1コーティング液乾燥段階(ST212)は、コーティング液が噴射されたプレート100を190~200度で乾燥する過程を含んでいる。また、第2プライマー層形成段階(ST22)は、コーティング液を、第1プライマー層210上に噴射して、第2プライマー層220を形成する過程を含む。
【0032】
第2プライマー層形成段階(ST22)は、第2コーティング液噴射段階(ST221)と、第2コーティング液の乾燥段階(ST222)で構成されている。第2コーティング液噴射段階(ST221)は、第1プライマー層210上にコーティング液を12~15ミクロンで塗布する過程を含む。そして第2コーティング液の乾燥段階(ST222)は、コーティング液が噴射されたプレート100を190~200度で乾燥する過程を含んでいる。ここで、プライマー層200の形成のために使用されるコーティング液は、望ましくは、フッ素樹脂を含み、望ましくは、フッ素樹脂はテフロンである。
【0033】
また、ミッド層形成段階(ST30)を介して形成されているマーブル層300Aは、第1マーブル層310、第2マーブル層320及び第3マーブル層330で構成されている。このため、マーブル層形成段階(ST30)は、
図6に示すように、第1マーブル層塗布段階(ST31)、第2マーブル層塗布段階(ST32)と、第3マーブル層塗布段階(ST33)を含んでいる。
【0034】
第1マーブル層塗布段階(ST31)は、プライマー層200上に第1の粒子を含む第1マーブル層310を塗布する過程を含んでいる。そして第2マーブル層塗布段階(ST32)は、第1マーブル層310が塗布されたプライマー層200上に第2の粒子を含む第2マーブル層320を塗布する過程を含んでいる。第3マーブル層塗布段階(ST33)は、第1マーブル層310と第2マーブル層320が塗布されたプライマー層200上に第3の粒子を含む第3マーブル層330を塗布する過程を含んでいる。
【0035】
ここで、プライマー層200が第1プライマー層210と第2プライマー層220で構成された場合に、第1マーブル層310、第2マーブル層320、及び第3マーブル層330は、第2プライマー層220上に形成される。これらの第1マーブル層310、第2マーブル層320、及び第3マーブル層330は、それぞれの層を形成するのではなく、それぞれの粒子が混ざって塗布される。
【0036】
そして、第1マーブル層塗布段階(ST31)、第2マーブル層塗布段階(ST32)と、第3マーブル層塗布段階(ST33)は、
図7に示すように、それぞれマーブル粒子形成段階(ST301)、マーブル粒子保存段階(ST302)とマーブル粒子噴射段階(ST303)で行われる。マーブル粒子形成段階(ST301)は、液体原料を用いて公知した方法に基づいてさまざまなサイズの粒子で形成される過程を含み、マーブル粒子保存(貯蔵)段階(ST302)は、粒子を有する原料をタンクに貯蔵する過程を含んでいる。また、マーブル粒子噴射段階(ST303)は、エアコーティング件を利用して、タンクに保存された粒子を有する原料を噴射するが、飛び散る感じで噴射して塗布する過程を含んでいる。
【0037】
ここで、マーブル粒子噴射段階(ST303)で塗布された第1マーブル層310、第2マーブル層320、第3マーブル層330は、相互混合された状態で塗布される。望ましくは、各マーブル層(310,320,330)は、相互異なる色で構成され粒子を含んで、これにより、ミッド層300は、様々な色を持つようになる。これらのミッド層塗布段階(ST30)で塗布される第1マーブル層310、第2マーブル層320、及び第3マーブル層330の総厚さは、望ましくは18~20ミクロンである。
【0038】
変温マーカー40Aとパッド層20の形成段階(ST40A)は、ミッド層300上に、変温マーカー40Aとパッド層20を形成する過程を含む。パッド層20は、所望のデザインを施し、該デザインに沿って複数層のパッド層20とすることができる。パッド層20が形成された残りの領域のミッド層300上に、変温マーカー40Aを取り付ける。
【0039】
そしてトップ層塗布段階(ST50)は、プレート100の上側(必要に応じて下側にも噴射可能)にそれぞれ備えられた塗布件によってミッド層300が塗布されたプレート100の上側面(必要に応じて下側面)にフッ素樹脂(例えば、テフロン)を噴射する過程を含んでいる。トップ層形成段階(ST50)は、フッ素樹脂からなるトップ層400を10~15ミクロンの厚さに塗布する過程を含んでいる。
【0040】
また、プレート焼成段階(ST60)は、加熱炉を利用して、フッ素樹脂層(すなわちトップ層400)が塗布されたプレート100を焼成する過程を含んでいる。プレート焼成段階(ST60)は、加熱炉で400~430度で約3~7分間焼成する過程を含んでいる。
【0041】
そしてプレート圧着段階(ST70)は、焼成された状態のプライマー層200、ミッド層300、およびトップ層400の厚さを0.67~0.75倍圧着する過程を含んでいる。つまり、第1プライマー層210と第2プライマー層220がそれぞれ約12~15ミクロンに形成され、ミッド層300が、約18~20ミクロンで塗布され、トップ層400が、約10~15ミクロンで塗布される(理解の便宜上パッド層20と、変温マーカー40Aが形成された部位の厚さは省略する。以下同じである)。そこで、プライマー層200、ミッド層300、およびフッ素樹脂層400の厚さは約52~65ミクロンで塗布され、約60ミクロンで塗布されることが望ましい。
【0042】
また、
図8に示すように、フライパン10,10Aの製造方法は、底部形成段階(ST150)がさらに含まれる。
図4のST10,ST20,ST30,ST40、またはST40A,ST50,ST60およびST70は、それぞれST110,ST120,ST130,ST140,ST140A,ST160,ST170、およびST180に対応して、具体的な内容は同一なので、これらの内容をそれぞれ引用するものとし、以下、底部形成段階であるST150に限定して詳細に説明することにする。
【0043】
底部形成段階(ST150)は、プレート100の下に床部を形成する過程を含む。これらの底部形成段階(ST150)は、底部プライマー層形成段階(ST151)と、底部マーブル層塗布段階(ST152)を含んでいる。底部プライマー層形成段階(ST151)は、プレート100の下に底部プライマー層500を形成する過程を含む。底部プライマー層500は
図9に示すように、第1の底部プライマー層510と第2の底部プライマー層520で構成されている。
【0044】
底部プライマー層形成段階(ST71)は、
図9に示すように、第1底部プライマー層形成段階(ST711)と、第2底部プライマー層形成段階(ST712)で構成されている。第1底部プライマー層形成段階(ST711)は、コーティング液をプレート100に噴射して、第1底部プライマー層510を形成する過程を含む。
【0045】
第1底部プライマー層形成段階(ST711)は、第1底部コーティング液噴射段階(ST7111)と、第1底部コーティング液乾燥段階(ST7112)で構成されている。第1底部コーティング液噴射段階(ST7111)は、プレート100にコーティング液を約12~15ミクロンで塗布する過程を含んでいる。
【0046】
そして、第1底部コーティング液の乾燥段階(ST7112)は、コーティング液が噴射されたプレート100を190~200度で乾燥する過程を含んでいる。また、第2底部プライマー層形成段階(ST712)は、コーティング液を、第1底部プライマー層510の下側に噴射して第2底部プライマー層520を形成する過程を含む。この第2底部プライマー層形成段階(ST712)は、第2底部コーティング液噴射段階(ST7121)と、第2底部コーティング液の乾燥段階(ST7122)で構成されている。
【0047】
第2底部コーティング液噴射段階(ST7121)は、第1の底部プライマー層510にコーティング液を約12~15ミクロンで塗布する過程を含んでいる。そして、第2底部コーティング液の乾燥段階(ST7122)は、コーティング液が噴射されたプレート100を190~200度で乾燥する過程を含んでいる。ここで、コーティング液は、望ましくは、フッ素樹脂(例えば、テフロン)を含んでいる。
【0048】
底部マーブル層塗布段階(ST72)は、底部プライマー層500の下側に粒子を含む底部マーブル層600を形成する過程を含む。これらの底部マーブル層塗布段階(ST72)で形成される底部マーブル層600は
図10に示すように、第1底部マーブル層610と第2底部マーブル層620及び第3底部マーブル層630で構成されている。このため、底部マーブル層塗布段階(ST72)は、
図10に示すように、第1底部マーブル層塗布段階(ST721)、第2底部マーブル層塗布段階(ST722)及び第3底部マーブル層塗布段階(ST723)を含む。
【0049】
第1底部マーブル層塗布段階(ST721)は、底部プライマー層500の下側に第1の粒子を含む第1底部マーブル層610を塗布する過程を含む。そして、第2底部マーブル層塗布段階(ST722)は、第1底部マーブル層610が塗布された底部プライマー層500の下側に第2の粒子を含む第2底部マーブル層620を塗布する過程を含む。
【0050】
第3底部マーブル層塗布段階(ST723)は、第1底部マーブル層610と第2底部マーブル層620が塗布された底部プライマー層500の下側に第3の粒子を含む第3底部マーブル層630を形成する過程を含む。ここで、底部プライマー層500が第1底部プライマー層510と第2底部プライマー層520で構成された場合、第1底部マーブル層610と第2底部マーブル層620、第3底部マーブル層630が第2底部プライマー層520の下側に形成されるのは当然である。これらの第1底部マーブル層610、第2底部マーブル層620、及び第3底部マーブル層630は、それぞれの層を形成するのではなく、それぞれの粒子が混ざった混合層を形成する。
【0051】
ここで、第1底部マーブル層塗布段階(ST721)、第2底部マーブル層塗布段階(ST722)と第3底部マーブル層塗布段階(ST723)は、
図11に示すように、底部マーブル粒子形成段階(ST7211)と、底部マーブル粒子保存(貯蔵)段階(ST7212)と底部マーブル粒子噴射段階(ST7213)、で成形する。
【0052】
底部マーブル粒子形成段階(ST7211)は、液体原料を公知の方法により、様々なサイズの粒子に形成する過程を含み、底部マーブル粒子保存(貯蔵)段階(ST7212)は、粒子を有する原料をタンクに貯蔵する過程を含んでいる。また、底部マーブル粒子噴射段階(ST7213)は、エアコーティング件を利用して、タンクに保存された粒子を有する原料を噴射するが、飛び散り噴射して塗布する過程を含んでいる。ここで、底部マーブル粒子形成段階(ST7211)で塗布された第1底部マーブル層610と第2底部マーブル層620、第3底部マーブル層630は、相互に混合して塗布された混合層を形成する。
【0053】
各底部マーブル層610,620,630の粒子は、相互異なる色で構成する場合は、さまざまな色や形状で底部マーブル層600を形成することができる。これらの底部マーブル層塗布段階(ST72)で塗布される第1底部マーブル層610、第2底部マーブル層620、及び第3底部マーブル層630の総厚さは、18~20ミクロンにすることが望ましい。このように、底部マーブル層塗布段階(ST72)の後、トップ層形成段階(ST40)とプレート焼成段階(ST60)、およびプレート圧着段階(ST70)を経る。
【0054】
そこで、プレート100の下側面に塗布された底部プライマー層500と底部マーブル層600は、下側から塗布されたトップ層400と一緒に焼成された後、プレスによって圧着される。本発明の実施例では、底部プライマー層500、底部マーブル層600、およびトップ層400の厚さを0.67~0.75倍で圧着させる。プレート100の下側面には、加熱板(図示せず)が圧着されることができる。この電熱器機により加えられた熱を上側に容易に伝達させるためである。
【産業上の利用可能性】
【0055】
本発明によれば、人体に無害で、耐久性に優れ、加熱過程中フライパンの温度を表示し与えることができ、調理性能を向上させることができるフライパンの製造が可能になる。
【符号の説明】
【0056】
10,10A フライパン
20 パッド層
40 示温インク層
40A 変温マーカー
100 プレート
200 プライマー層
300 ミッド層
400 フッ素樹脂層
【手続補正書】
【提出日】2023-01-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
プレートと、前記プレートの上にコーティングされているプライマー層と、前記プライマー層上にコーティングされているミッド層と、前記ミッド層の上にコーティングされているパッド層と、前記パッド層の上にコーティングされているトップ層を含み、前記ミッド層と前記トップ層の間に、変温マーカーを含み、
前記変温マーカーは、温度ごとに異なる色で構成されている複数の温度表示部と、前記複数の温度表示部の夫々の色の上に塗布されている複数の示温インクを含み、
前記複数の温度表示部は、第1の温度表示部、第2の温度表示部、第3の温度表示部を含み、
前記第1の温度表示部、前記第2の温度表示部、前記第3の温度表示部は、この順で一の方向に沿って配置され、
前記複数の示温インクは、前記第1の温度表示部に塗布された第1の示温インクと、前記第2の温度表示部に塗布された第2の示温インクと、前記第3の温度表示部に塗布された第3の示温インクを含み、
第1の温度に達すると前記第1の示温インクが変色して前記第1の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第2の温度に達すると前記第2の示温インクが変色して前記第2の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第3の温度に達すると前記第3の示温インクが変色して前記第3の温度表示部に対応する色が表示されることを特徴とするフライパン。
【請求項2】
前記示温インク層は黒であり、温度が上がることで、透明色になることを特徴とする請求項1に記載のフライパン。
【請求項3】
前記ミッド層はマーブル層を含むことを特徴とする請求項1または2に記載のフライパン。
【請求項4】
前記マーブル層に含まれる粒子は、相互異なる色で構成されたことを特徴とする請求項3に記載のフライパン。
【請求項5】
フライパンの基本形状を形成するプレートを製造するプレートの製造工程と、
前記プレートの上面に塗布されてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、
前記プライマー層の上に塗布され、粒子からなるマーブル層を含むミッド層形成工程と、
前記ミッド層上にパッド層と変温マーカーを形成する工程と、
前記パッド層と前記変温マーカーが形成された前記ミッド層上にフッ素樹脂層を含むトップ層の形成工程と、
前記フッ素樹脂層が塗布されたプレートを焼成させるプレート焼成工程と、
プレスを用いて焼成された前記プレートを圧着するプレート圧着工程と、を含み、
前記変温マーカーは、温度ごとに異なる色で構成されている複数の温度表示部と、前記複数の温度表示部の夫々の色の上に塗布されている複数の示温インクを含み、
前記複数の温度表示部は、第1の温度表示部、第2の温度表示部、第3の温度表示部を含み、
前記第1の温度表示部、前記第2の温度表示部、前記第3の温度表示部は、この順で一の方向に沿って配置され、
前記複数の示温インクは、前記第1の温度表示部に塗布された第1の示温インクと、前記第2の温度表示部に塗布された第2の示温インクと、前記第3の温度表示部に塗布された第3の示温インクを含み、
第1の温度に達すると前記第1の示温インクが変色して前記第1の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第2の温度に達すると前記第2の示温インクが変色して前記第2の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第3の温度に達すると前記第3の示温インクが変色して前記第3の温度表示部に対応する色が表示されることを特徴とするフライパンの製造方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0008
【補正方法】削除
【補正の内容】
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0009
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0009】
本発明のフライパンは、プレートと、前記プレートの上にコーティングされているプライマー層と、前記プライマー層上にコーティングされているミッド層と、前記ミッド層の上にコーティングされているパッド層と、前記パッド層の上にコーティングされているトップ層を含み、前記ミッド層と前記トップ層の間に、変温マーカーを含み、前記変温マーカーは、温度ごとに異なる色で構成されている複数の温度表示部と、前記複数の温度表示部の夫々の色の上に塗布されている複数の示温インクを含み、前記複数の温度表示部は、第1の温度表示部、第2の温度表示部、第3の温度表示部を含み、前記第1の温度表示部、前記第2の温度表示部、前記第3の温度表示部は、この順で一の方向に沿って配置され、前記複数の示温インクは、前記第1の温度表示部に塗布された第1の示温インクと、前記第2の温度表示部に塗布された第2の示温インクと、前記第3の温度表示部に塗布された第3の示温インクを含み、第1の温度に達すると前記第1の示温インクが変色して前記第1の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第2の温度に達すると前記第2の示温インクが変色して前記第2の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第3の温度に達すると前記第3の示温インクが変色して前記第3の温度表示部に対応する色が表示される。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0010
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0010】
本発明のフライパンの製造方法は、フライパンの基本形状を形成するプレートを製造するプレートの製造工程と、前記プレートの上面に塗布されてプライマー層を形成するプライマー層形成工程と、前記プライマー層の上に塗布され、粒子からなるマーブル層を含むミッド層形成工程と、前記ミッド層上にパッド層と変温マーカーを形成する工程と、前記パッド層と前記変温マーカーが形成された前記ミッド層上にフッ素樹脂層を含むトップ層の形成工程と、前記フッ素樹脂層が塗布されたプレートを焼成させるプレート焼成工程と、プレスを用いて焼成された前記プレートを圧着するプレート圧着工程と、を含み、前記変温マーカーは、温度ごとに異なる色で構成されている複数の温度表示部と、前記複数の温度表示部の夫々の色の上に塗布されている複数の示温インクを含み、前記複数の温度表示部は、第1の温度表示部、第2の温度表示部、第3の温度表示部を含み、前記第1の温度表示部、前記第2の温度表示部、前記第3の温度表示部は、この順で一の方向に沿って配置され、前記複数の示温インクは、前記第1の温度表示部に塗布された第1の示温インクと、前記第2の温度表示部に塗布された第2の示温インクと、前記第3の温度表示部に塗布された第3の示温インクを含み、第1の温度に達すると前記第1の示温インクが変色して前記第1の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第2の温度に達すると前記第2の示温インクが変色して前記第2の温度表示部に対応する色が表示され、より加熱されて第3の温度に達すると前記第3の示温インクが変色して前記第3の温度表示部に対応する色が表示される。