(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037446
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】無線受信装置及びその方法
(51)【国際特許分類】
H04B 7/0452 20170101AFI20230308BHJP
H04B 7/06 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
H04B7/0452
H04B7/06 102
【審査請求】未請求
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144215
(22)【出願日】2021-09-03
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.3GPP
(71)【出願人】
【識別番号】000004237
【氏名又は名称】日本電気株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】504176911
【氏名又は名称】国立大学法人大阪大学
(71)【出願人】
【識別番号】503027931
【氏名又は名称】学校法人同志社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】土井 隆暢
(72)【発明者】
【氏名】村岡 一志
(72)【発明者】
【氏名】石井 直人
(72)【発明者】
【氏名】高橋 拓海
(72)【発明者】
【氏名】衣斐 信介
(57)【要約】 (修正有)
【課題】Radio Unit(RU)とDistributed Unit(DU)の間のフロントホールの帯域を低減しつつ、DUでのマルチユーザ検出の処理時間を低減する無線受信装置、方法、プログラム、RU及びDUを提供する。
【解決手段】無線受信装置は、推定されたN’×M’チャネル行列を、各列が直交するN’×B’ウェイト行列W(B’はN’-1以下M’以上の整数)と各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’行列に分解し、ウェイト行列Wを生成するか又はそれらの積がウェイト行列Wに等しいN’×B’サブ・ウェイト行列W
1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成し、ウェイト行列W又はサブ・ウェイト行列W
1を用いてN’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行い、受信ビームフォーミング後の信号を用いて、BPアルゴリズムを実行する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線受信装置であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成された少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器と、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うよう構成された第1のビームフォーマと、
前記第1のビームフォーマから出力され且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行するよう構成されたBP検出器と、
を備える無線受信装置。
【請求項2】
前記フロントホールを介して接続されたRadio Unit (RU) およびDistributed Unit (DU) を備え、
前記第1のビームフォーマが前記RUに含まれ、
前記BP検出器が前記DUに含まれ、
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器が前記RUおよび前記DUの少なくとも一方に含まれる、
請求項1に記載の無線受信装置。
【請求項3】
前記受信ビームフォーミングは、前記ウェイト行列Wのエルミート共役または前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることを含む、
請求項1又は2に記載の無線受信装置。
【請求項4】
第2のビームフォーマをさらに備え、
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、それらの積が前記ウェイト行列Wに等しい前記サブ・ウェイト行列W1とB’×B’のサブ・ウェイト行列W2の組み合わせを生成し、前記サブ・ウェイト行列W1を前記第1のビームフォーマへ供給し、前記サブ・ウェイト行列W2を第2のビームフォーマへ供給するよう構成され、
前記第1のビームフォーマは、前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることで受信ビームフォーミングを行うよう構成され、
前記第2のビームフォーマは、前記サブ・ウェイト行列W2のエルミート共役と前記第1のビームフォーマから出力されて前記フロントホールを介して伝送された信号との積を取ることで受信ビームフォーミングを行い、ビームフォームされた信号を前記BP検出器へ供給するよう構成され、
前記BP検出器は、前記第2のビームフォーマから供給される信号に対して前記BPアルゴリズムを実行するよう構成される、
請求項1~3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項5】
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、前記N’×M’のチャネル行列をK個のN’k×M’の部分行列に分け、N’kとM’のうち小さい値をB’kとして各部分行列を各列が直交するN’k×B’kの行列Wkと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’k×M’の行列とに分解し、前記行列Wkを対角成分に持つブロック対角行列を前記ウェイト行列Wとして出力するよう構成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項6】
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、前記N’×M’のチャネル行列をQR分解することで得られるN’×M’のQ行列とM’次ユニタリ行列との積を前記ウェイト行列Wとして出力する、又は前記Q行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記M’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力するよう構成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項7】
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、前記N’×M’のチャネル行列を特異値分解することで得られる左特異ベクトルからなるN’×M’の行列、若しくは前記N’×M’の行列とM’次ユニタリ行列との積を、前記ウェイト行列Wとして出力する、又は前記N’×M’の行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記M’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力するよう構成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項8】
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、
(a)前記N’×M’のチャネル行列と前記N’×M’のチャネル行列のグラム行列の-1/2乗との積を前記ウェイト行列Wとして出力する、
(b)前記チャネル行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記グラム行列の-1/2乗をサブ・ウェイト行列W2として出力する、
(c)前記チャネル行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記グラム行列の-1/2乗とM’次ユニタリ行列との積をサブ・ウェイト行列W2として出力する、または
(d)前記チャネル行列と前記グラム行列の-1/2乗との積を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つM’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力する、よう構成される、
請求項1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項9】
複数のスケーリング係数および複数のダンピング係数を含む第1のパラメータセットまたは複数のスケーリング係数および複数の重み係数を含む第2のパラメータセットを格納するよう構成された少なくとも1つのメモリをさらに備え、
前記BP検出器は、前記第1のパラメータセットまたは前記第2のパラメータセットを用いて Gaussian Belief Propagation (GaBP) アルゴリズムを実行するよう構成され、
前記BP検出器は、
第t-1回目の反復で生成された第m’送信信号を除くすべての送信信号のレプリカを用いて、前記第m’送信信号の成分を除く前記すべての送信信号の成分を複数の受信信号のうちの第m受信信号から減算し、これよりキャンセレーション後の第m受信信号を生成するよう構成されたソフト干渉キャンセラと、
前記ダンピング係数または前記重み係数と前記キャンセレーション後の第m受信信号とに少なくとも基づいて、前記第m受信信号に関連付けられたビリーフを生成するよう構成されたビリーフ生成器と、
前記スケーリング係数と前記ビリーフとに少なくとも基づいて、第t回目の反復における前記第m’送信信号のレプリカを生成するよう構成されたソフトレプリカ生成器と、を備える、
請求項1~8のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項10】
前記第1のパラメータセット及び前記第2のパラメータセットの少なくとも一方は、受信ビームフォーミングされた受信信号および送信信号に基づいて深層学習技術を用いて一緒に学習されたパラメータを含む、
請求項9に記載の無線受信装置。
【請求項11】
前記BP検出器は、初期値生成器を含み、
前記初期値生成器は、ソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力としてB’×M’の初期値生成行列のエルミート共役と前記第1のビームフォーマから供給された受信ビームフォーミング後の受信信号との積に対する軟判定値を生成し、前記BP検出器で実行されるBPアルゴリズムの繰り返し1回目の処理へソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力を供給するよう構成される、
請求項1~10のいずれか1項に記載の無線受信装置。
【請求項12】
前記初期値生成行列が受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列H’cのエルミート共役と前記行列H’cの積の逆行列と前記行列H’cのエルミート共役の積である、
請求項11に記載の無線受信装置。
【請求項13】
前記サブ・ウェイト行列W1が前記N’×M’のチャネル行列を特異値分解することで得られる左特異ベクトルからなるN’×M’の行列であり、
前記サブ・ウェイト行列W2が任意のM’次ユニタリ行列であり、
前記初期値生成行列が前記特異値分解で得られる特異値の逆数が対角成分であるM’次対角行列と、右特異ベクトルからなるM’次正方行列のエルミート共役と、の積である、
請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項11に記載の無線受信装置。
【請求項14】
前記サブ・ウェイト行列W1が前記N’×M’のチャネル行列であり、
前記サブ・ウェイト行列W2が前記チャネル行列のエルミート共役と前記チャネル行列との積の-1/2乗であり、
前記初期値生成行列が前記チャネル行列のエルミート共役と前記チャネル行列との積の逆行列である、
請求項4を直接的又は間接的に引用する請求項11に記載の無線受信装置。
【請求項15】
無線受信装置により行われる方法であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列に分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する第1の受信ビームフォーミングを行うこと、および、
前記第1の受信ビームフォーミングが行われ且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP)アルゴリズムを実行すること、
を備える方法。
【請求項16】
無線受信装置のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列に分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する第1の受信ビームフォーミングを行うこと、および、
前記第1の受信ビームフォーミングが行われ且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP)アルゴリズムを実行すること、
を備える、プログラム。
【請求項17】
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDistributed Unit (DU)にフロントホールを介して結合されるRadio Unit (RU)であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成された少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器と、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行い、ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供するよう構成された第1のビームフォーマと、
を備えるRU。
【請求項18】
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDistributed Unit (DU)にフロントホールを介して結合されるRadio Unit (RU)により行われる方法であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うこと、及び
ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供すること、
を備える方法。
【請求項19】
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDistributed Unit (DU)にフロントホールを介して結合されるRadio Unit (RU)のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うこと、及び
ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供すること、
を備える、プログラム。
【請求項20】
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRadio Unit (RU)にフロントホールを介して結合されるDistributed Unit (DU)であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成された少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器と、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行するよう構成されたBP検出器と、
を備えるDU。
【請求項21】
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRadio Unit (RU)にフロントホールを介して結合されるDistributed Unit (DU)により行われる方法であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を前記RUに提供すること、及び
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行すること、
を備える方法。
【請求項22】
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRadio Unit (RU)にフロントホールを介して結合されるDistributed Unit (DU) のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を前記RUに提供すること、及び
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行すること、
を備える、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は無線通信システムに関し、特に、受信信号処理に関する。
【背景技術】
【0002】
大容量通信を実現させる手法として、多数のアンテナを有する基地局を用いて複数のユーザとの無線通信を行う大規模マルチユーザMulti-Input Multi-Output (MIMO) が知られている。大規模マルチユーザMIMOは、massive MIMOとも呼ばれる。大規模マルチユーザMIMOは、例えば、第5世代移動通信 (5G) システム等のマルチプルアクセス・セルラーシステムの上り回線(アップリンク)に使用されることができる。大規模マルチユーザMIMOの受信機は、受信した信号からマルチユーザ信号 (signals) を分離するためにマルチユーザ検出を行う必要がある。5Gの基地局は、主にデジタルベースバンド信号処理を担うDistributed Unit (DU) 及びCentral Unit (CU) と、主に無線信号の送受信のためのRadio Frequency (RF) 信号処理を担うRadio Unit (RU) とから構成される。一般的に、マルチユーザ検出はDUで実行される。このとき、RUにて受信された受信信号は、RUとDUを接続するフロントホールを介してDUへ伝送される必要がある。しかしながら、大規模マルチユーザMIMOでは、無線信号が多数のアンテナによって受信されるため、フロントホールを介して伝送する受信信号数が多く、RUとDUを接続するフロントホール帯域が広帯域であることが必要となる。
【0003】
知られたマルチユーザ検出アルゴリズムの1つにGaussian Belief Propagation (ガウス確率伝搬(伝播)またはガウス信念伝搬(伝播))(GaBP) アルゴリズムがある(例えば非特許文献1および2を参照)。GaBPアルゴリズムは、検出シンボルの信頼度を表す品質値(ビリーフ (belief) と呼ばれる)を反復 (iteration) 処理の間で伝搬し、これにより徐々に検出精度を改善する。GaBPアルゴリズムは大システムを仮定した中心極限定理によるガウス近似を用いるため、低演算量な検出アルゴリズムである。GaBPアルゴリズムを用いる検出器は、ソフト干渉キャンセラ (Soft Interference Canceller (IC))、ビリーフ生成器 (Belief Generator (BG))、およびソフトレプリカ生成器 (Soft Replica Generator (RG)) を含む。ソフト干渉キャンセラは、一つ前の反復処理で得られた各送信シンボルのレプリカを用いて、受信信号から干渉成分をキャンセルする。ビリーフ生成器は、キャンセル後の信号に基づいてビリーフを生成する。ソフトレプリカ生成器は、ビリーフに基づいて送信信号のレプリカを生成する。
【0004】
GaBPアルゴリズムを使用する軟判定 (soft decision) 検出または復号の性能を向上する技術に、ダンピング(制振)、スケーリング、およびノード選択がある。ダンピングは、過去の反復処理で生成されたビリーフと現在の反復処理で生成されたビリーフの重み付け平均を新たなビリーフとし、これにより収束不良をもたらすビリーフの振動を抑制する(非特許文献1を参照)。ダンピング係数は、ダンピングにおける重み付け平均の重みを定める。スケーリングは、反復初期におけるビリーフの信頼性が低いことを考慮し、反復が増えるにつれて徐々にビリーフの絶対値が大きくなるよう調整する(非特許文献2を参照)。スケーリング係数はスケーリングにおいてビリーフの絶対値を調整するためのパラメータである。MIMO検出の場合、ノード選択は、フェージング空間相関(受信アンテナ間相関)への対策として用いられる(非特許文献2を参照)。具体的には、ノード選択では、受信アンテナ素子のセットが複数のサブセットに分割される。各サブセットは、空間的に離れた(相関が低い)受信アンテナ素子から構成される。ノード選択を伴うGaBPアルゴリズムは、1回のGaBP反復で1つのサブセットのビリーフのみを更新し、続くGaBP反復で他のサブセットのビリーフを順次更新する。
【0005】
GaBPアルゴリズムは、優れた検出特性を持つ一方で、送信信号の検出には全ての受信信号の知識を必要とする。そのため、RUの全受信アンテナで受信された全ての無線信号を、RUからDUに伝送するため、広いフロントホール帯域が必要になる。
【0006】
他の知られたマルチユーザ検出アルゴリズムの1つにQR-decomposed Gaussian Belief Propagation (QR-GA-BP) アルゴリズムがある(非特許文献3を参照)。QR-GA-BPは、1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと、無線受信装置のN’個の受信アンテナとの間で定義されるN’×M’(i.e., N’行M’列)のチャネル行列をQR分解により各列が直交するN’×M’の行列QとM’次上三角行列とに分解する。さらに、QR-GA-BPは、生成された行列Qのエルミート共役とN’個の受信アンテナの受信信号からなるN’×1の受信信号ベクトルとの行列積を取ることで受信ビームフォーミングを行う。そして、QR-GA-BPは、ビームフォーミング後の受信信号からGaBPアルゴリズムを応用して送信信号を検出する。QR-GA-BPは、受信ビームフォーミング後のチャネル行列が上三角行列となることを利用して、含まれる送信信号成分が少ない受信信号から逐次的にビリーフを生成する。初めのステップでは、1つの送信信号成分のみが含まれる受信信号に対してGaBPアルゴリズムを用いてビリーフおよびレプリカが生成される。以降のm回目のステップでは、(m-1) 回目のステップで用いた (m-1) 個の受信信号と、m個の送信信号成分を持つ受信信号と、(m-1) 回目のステップで生成したビリーフおよびレプリカとを用いて、GaBPアルゴリズムによりビリーフおよびレプリカが生成される。
【0007】
上三角行列の性質により、第m受信信号は第1~m送信信号成分のみを含むため、mが小さい場合には中心極限定理によるガウス近似の精度が劣化する。したがって、すべての受信信号に対して同時にビリーフを生成する方法では、精度のよいビリーフを得ることができない。そこで、QR-GA-BPは、干渉成分を含まない第1受信信号から逐次的に検出することで精度よく生成された第1~第 (m-1) 送信信号成分を用いて、第m送信信号成分の干渉成分をキャンセルする。これにより、第1~第 (m-1) 送信信号成分を精度よく干渉がキャンセルされ、QR-GA-BPは、第m送信信号成分のビリーフおよびレプリカを精度よく生成できる。QR-GA-BPは、全ての受信信号に対して上記のステップを行い、これらのステップのセットを繰り返すことで徐々に検出精度を改善する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0008】
【非特許文献1】P. Som, T. Datta, A. Chockalingam and B. S. Rajan, "Improved large-MIMO detection based on damped belief propagation," 2010 IEEE Information Theory Workshop on Information Theory (ITW 2010, Cairo), pp.1-5, 2010
【非特許文献2】T. Takahashi, S. Ibi and S. Sampei, "Design of criterion for adaptively scaled belief in iterative large MIMO detection," IEICE Transaction on Communications, vol. E102.B, no.2, pp.285-297, 2019
【非特許文献3】田邊 将吾、石橋 功至、“大規模MIMOのためのSorted QR分解を用いた低計算量確率伝搬復調法に関する一検討”、信学技報、pp.83-88、2016
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
QR-GA-BPは、受信ビームフォーミングを行った後にマルチユーザ検出を行うことで、検出に用いる受信信号の数を受信アンテナ数から送信信号数に削減しつつ、高精度な検出を行う。これは、RUからDUへ伝送する信号数を減らすことができ、したがって所要フロントホール帯域を削減できる。一方で、QR-GA-BPは、通常のGaBPに比べて長い処理時間を要する。これは、受信信号毎に逐次的に干渉キャンセルとビリーフおよびレプリカ生成を行うため、前述したGaBPのようにすべての受信信号に対して同時に干渉キャンセルとビリーフおよびレプリカ生成を行うことができないためである。なお、QR-GA-BPでは、受信信号毎に逐次的にビリーフを生成する構成の代わりに、通常のGaBPを適用することはできない。この理由は、受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列が上三角行列であるため、受信ビームフォーミング後の複数の受信信号は、それぞれ異なる数の送信信号(成分)を含むためである。言い換えると、複数の受信信号は、それらが包含する送信信号(成分)の数において異なる。これにより、一部の受信信号に関して、中心極限定理によるガウス近似の精度が劣化する。したがって、もしGaBPを用いて全ての受信信号に対して同時にビリーフを生成すると、生成された複数ビリーフの間で精度にばらつきが生じてしまい、アルゴリズムが正しく収束しない。
【0010】
GaBPアルゴリズムは、多数のアンテナを用いる大規模マルチユーザMIMOのためにRUとDUの間の広帯域なフロントホールを必要とする。一方、QR-GA-BPには、逐次的な処理であるためマルチユーザ検出に長い処理時間を必要とするという問題がある。
【0011】
すなわち、GaBPアルゴリズムは、全ての受信信号について同時にビリーフを更新することができ、短い処理時間でマルチユーザ検出が可能である。しかしながら、GaBPアルゴリズムは、受信アンテナ数に等しい数の受信信号を用いてマルチユーザ検出を行うため、フロントホールの所要帯域が広くなる。一方で、QR-GA-BPアルゴリズムは、チャネル行列をQR分解した際のQ行列を用いて受信ビームフォーミングすることで、マルチユーザ検出に用いる受信信号の数を送信信号数まで削減することができる。これは、フロントホールの所要帯域を削減できるが、マルチユーザ検出に逐次的な干渉キャンセルとビリーフおよびレプリカ生成が必要であるために長い処理時間が必要となる。
【0012】
ここに開示される実施形態が達成しようとする目的の1つは、RUとDUの間のフロントホールの所要帯域を低減しつつ、DUでのマルチユーザ検出に必要な処理時間を低減することに寄与する装置、方法、及びプログラムを提供することである。なお、この目的は、ここに開示される複数の実施形態が達成しようとする複数の目的の1つに過ぎないことに留意されるべきである。その他の目的又は課題と新規な特徴は、本明細書の記述又は添付図面から明らかにされる。
【課題を解決するための手段】
【0013】
第1の態様では、無線受信装置は、少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器、第1のビームフォーマ、およびBP検出器を含む。前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’ (i.e. N’行M’列) のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成するよう構成される。あるいは、前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、それらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成される。前記第1のビームフォーマは、前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うよう構成される。前記BP検出器は、前記第1のビームフォーマから出力され且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、BPアルゴリズムを実行するよう構成される。
【0014】
第2の態様では、無線受信装置により行われる方法は、以下を含む:
(a)1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列に分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
(b)前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する第1の受信ビームフォーミングを行うこと、および、
(c)前記第1の受信ビームフォーミングが行われ且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、BPアルゴリズムを実行すること。
【0015】
第3の態様では、無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDUにフロントホールを介して結合されるRUは、少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器および第1のビームフォーマを含む。前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成するよう構成される。あるいは、前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、それらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成される。前記第1のビームフォーマは、前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行い、ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供するよう構成される。
【0016】
第4の態様では、無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDUにフロントホールを介して結合されるRUにより行われる方法は以下を含む:
(a)1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
(b)前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うこと、及び
(c)ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供すること。
【0017】
第5の態様では、無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRUにフロントホールを介して結合されるDUは、少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器、およびBP検出器を含む。前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成するよう構成される。あるいは、前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、それらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成される。前記BP検出器は、前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、BPアルゴリズムを実行するよう構成される。
【0018】
第6の態様では、無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRUにフロントホールを介して結合されるDUにより行われる方法は以下を含む:
(a)1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
(b)前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を前記RUに提供すること、及び
(c)前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、BPアルゴリズムを実行すること。
【0019】
第7の態様では、プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、第2、第4、又は第6の態様に係る方法をコンピュータに行わせるための命令群(ソフトウェアコード)を含む。
【発明の効果】
【0020】
上述の態様によれば、RUとDUの間のフロントホールの所要帯域を低減しつつ、DUでのマルチユーザ検出に必要な処理時間を低減することに寄与する装置、方法、及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1の実施形態に係る無線通信システムを示す図である。
【
図2】第1の実施形態に係るシステムモデルを示す図である。
【
図3】第1の実施形態に係る基地局の構成例を示す図である。
【
図4】第1実施形態に係る基地局のプロセッサの構成例を示す図である。
【
図5】第1実施形態に係る基地局のプロセッサの構成例を示す図である。
【
図6】第1実施形態に係る基地局のプロセッサの構成例を示す図である。
【
図7】第1実施形態に係る基地局のプロセッサの構成例を示す図である。
【
図8】第1実施形態に係る基地局のプロセッサの構成例を示す図である。
【
図9】第1の実施形態に係るBP検出器の構成例を示す図である。
【
図10】第1の実施形態に係るルックアップテーブルの一例を示す図である。
【
図11】第1の実施形態に係るルックアップテーブルの一例を示す図である。
【
図12】第1の実施形態に係る基地局の動作の一例を示すフローチャートである。
【
図13】第2の実施形態に係る初期値生成器を含むBP検出器の構成例を示す図である。
【
図14】第2の実施形態に係る初期値生成の一例を示すフローチャートである。
【
図15】第3の実施形態に係るBP検出器の深層展開を示す概念図である。
【
図16】第3の実施形態に係るパラメータ学習器の構成例を示す図である。
【
図17】第3の実施形態に係るコンピュータシステムの一例を示す図である。
【
図18】第3の実施形態に係るパラメータの学習の一例を示すフローチャートである。
【
図19】第3の実施形態に係るBP検出器のビット誤り率性能を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下では、具体的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。各図面において、同一又は対応する要素には同一の符号が付されており、説明の明確化のため、必要に応じて重複説明は省略される。
【0023】
<第1の実施形態>
図1は、本実施形態を含む複数の実施形態にかかる無線通信システムの構成例を示している。
図1を参照すると、基地局1は、複数の無線端末2に無線アクセスを提供する。基地局1はアクセスポイント、transmission/reception point (TRP)、またはその他の名称で参照されてもよい。基地局1は、例えば5GシステムのgNBであってもよく、RUおよびDUを含むシステムであってもよい。RUは、RF信号処理及び一部の物理レイヤ又はレイヤ1(e.g., Low PHY)信号処理を行ってもよい。RUにより行われる物理レイヤ信号処理は、例えば、デジタルビームフォーミングを含んでもよい。DUは、残りの物理レイヤ(e.g., High PHY)信号処理及びレイヤ2信号処理を行ってもよい。RUとDUの間はフロントホールを介して接続される。フロントホールは、モバイル・フロントホール又は(モバイル)フロントホール・ネットワークとも呼ばれる。例えば、フロントホールは、1又はそれ以上の光ファイバを使用する有線フロントホールであってもよく、ミリ波無線伝送を用いる無線フロントホールであってもよい。
【0024】
いくつかの実装では、無線通信システムは、複数の無線端末2から基地局1へのアップリンク送信のためにマルチユーザMIMO技術を利用してもよい。この場合、基地局1は、複数の無線端末2から参照信号を受信し、受信した参照信号を用いて複数の無線端末2と基地局1の間のMIMOチャネルを推定し、複数の無線端末2から受信したデータ信号および推定されたチャネルを用いて送信信号を検出してもよい。すなわち、基地局1は、複数の無線端末2のマルチユーザ信号を分離するためにMIMO検出を行ってもよい。
【0025】
図2は、アップリンク・マルチユーザMIMO送信のシステムモデルの一例を示している。
図2では、複数の無線端末2の複数の送信機20がチャネル(伝搬路)30を介して基地局1の受信機10と通信する。
図2の例では、M’個の送信機20の各々は1つの送信アンテナを持つ。これに代えて、各送信機20は2つ以上の送信アンテナを有してもよい。基地局1の受信機10は、N’個の受信アンテナを有する。送信アンテナの合計数M’は受信アンテナの合計数N’より小さいとする。
【0026】
以降の説明では、簡潔化のために、各無線端末2(ユーザ)からの送信信号はシングルキャリア伝送であり、各無線端末2と基地局1との間の伝搬路はフラットフェージングであるとみなす。一方で、各ユーザからの送信信号がOrthogonal Frequency Division Multiplexing (OFDM) またはSingle Carrier-Frequency Division Multiple Access (SC-FDMA) 等を使用する場合のマルチパスフェージング環境においても、適切な長さのサイクリックプリフィックスを送信信号に挿入することで、各サブキャリア単位では伝送路はフラットフェージングと見なせる。したがって、本実施形態は、OFDMおよびSC-FDMAに適用されてもよい。
【0027】
複数の無線端末2の合計M’個の送信アンテナからQuadrature Amplitude Modulation (QAM) 変調された送信信号が伝送され、N’個の受信アンテナを具備する基地局1において受信されることとする。このとき、等価低域表現による複素数の信号モデルは式1で表される:
【数1】
ここで、y
cはN’個のアンテナの受信信号で構成されるN’×1の複素受信信号ベクトル、H
cはN’×M’の複素MIMOチャネル行列、z
cはN’×1の複素加法性白色雑音ベクトル、x
cはM’×1の複素送信信号ベクトルである。
【0028】
QAM変調の変調シンボル数をQ’とし、例えばQuadrature Phase Shift Keying (QPSK) のときにQ’は4であり、16QAMのときにQ’は16である。変調シンボルの振幅については、I軸及びQ軸それぞれの振幅がQPSKの時に{+c, -c}であり、16QAMのときに{+c, -c, +3c, -3c} であるとする。ここで、cは以下の式2で表される。E
sは平均信号電力である。各受信アンテナにおける複素雑音の電力はN
0とする。
【数2】
【0029】
図3は、基地局1の構成例を示している。
図3を参照すると、基地局1はRU11-1とDU11-2を含む。RU11-1は、Radio Frequency (RF) トランシーバ13、プロセッサ14-1、メモリ15-1を含み、アンテナアレイ12に接続される。DU11-2は、プロセッサ14-2、メモリ15-2、ネットワークインタフェース16を含む。
【0030】
RFトランシーバ13は、複数の無線端末2と通信するためにアナログRF信号処理を行う。RFトランシーバ13は、複数のトランシーバを含んでもよい。RFトランシーバ13は、アンテナアレイ12、RU11-1内のプロセッサ14-1およびDU11-2内のプロセッサ14-2と結合される。RFトランシーバ13は、変調シンボルデータをRU11-1内のプロセッサ14-1から受信し、送信RF信号を生成し、送信RF信号をアンテナアレイ12に供給する。また、RFトランシーバ13は、アンテナアレイ12によって受信された受信RF信号に基づいてベースバンド受信信号を生成し、受信信号が参照信号の場合はDU11-2内のプロセッサへ、受信信号がデータ信号の場合はRU11-1内のプロセッサ14-1へ受信信号を供給する。
【0031】
プロセッサ14-1および14-2は無線通信のためのデジタルベースバンド通信処理(データプレーン処理)とコントロールプレーン処理を行う。プロセッサ14-1および14-2は複数のプロセッサを含んでもよい。例えば、プロセッサ14-1および14-2は、デジタルベースバンド信号処理を行うモデム・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit (CPU)、Graphics Processing Unit (GPU)、またはDigital Signal Processor (DSP))とコントロールプレーン処理を行うプロトコルスタック・プロセッサ(e.g., Central Processing Unit (CPU)またはMicro Processing Unit (MPU))を含んでもよい。
【0032】
例えば、プロセッサ14-1および14-2によるデジタルベースバンド信号処理は、Service Data Adaptation Protocol (SDAP) レイヤ、Packet Data Convergence Protocol (PDCP) レイヤ、Radio Link Control (RLC) レイヤ、Medium Access Control (MAC) レイヤ、およびPhysical (PHY) レイヤの信号処理を含んでもよい。また、プロセッサ14-1および14-2によるコントロールプレーン処理は、Non-Access Stratum (NAS) messages、Radio Resource Control (RRC) messages、Medium Access Control (MAC) Control Elements (CEs)、およびDownlink Control Information (DCI) の処理を含んでもよい。
【0033】
ネットワークインタフェース16は、ネットワークノード(e.g., 他の基地局、Centralized Unit (CU)、およびコアネットワークノード)と通信するために用いられる。ネットワークインタフェース16は、例えば、IEEE 802.3 seriesに準拠したネットワークインタフェースカード (NIC) を含んでもよい。
【0034】
メモリ15-1及び15-2の各々は、揮発性メモリおよび不揮発性メモリの組み合わせによって構成される。揮発性メモリは、例えば、Static Random Access Memory (SRAM) もしくはDynamic RAM (DRAM) またはこれらの組み合わせである。不揮発性メモリは、マスクRead Only Memory (MROM)、Electrically Erasable Programmable ROM (EEPROM)、フラッシュメモリ、もしくはハードディスクドライブ、またはこれらの任意の組み合わせである。メモリ15-1及び15-2は、プロセッサ14-1および14-2から離れて配置されたストレージを含んでもよい。この場合、プロセッサ14-1および14-2は、ネットワークインタフェース16またはその他のI/Oインタフェースを介してメモリ15-1及び15-2それぞれにアクセスしてもよい。
【0035】
メモリ15-1及び15-2は、基地局1による処理の少なくとも一部を行うための命令群およびデータを含む1つまたはそれ以上のソフトウェアモジュール(コンピュータプログラム)を格納したコンピュータ読み取り可能な媒体を含んでもよい。幾つかの実装において、プロセッサ14-1および14-2は、当該ソフトウェアモジュールをメモリ15-1及び15-2それぞれから読み出して実行することで、上述の実施形態で説明された基地局1による処理の少なくとも一部を行うように構成されてもよい。
【0036】
本実施形態に従うと、プロセッサ14-1および14-2は、受信ビームフォーミングおよびマルチユーザ検出(MIMO検出)のための受信信号処理を基地局1に行わせることができる。そのために、
図4に示すように、RU11-1内のプロセッサ14-1はビームフォーマ143-1を含むことができ、DU11-2内のプロセッサ14-2はチャネル推定器141、ビームフォーミングウェイト生成器142、およびBP検出器144を含むことができる。さらに又はこれに代えて、
図5、
図6および
図7に示すように、プロセッサ14-1はビームフォーミングウェイト生成器142を含んでもよく、
図7および
図8に示すように、プロセッサ14-2はビームフォーマ143-2を含んでもよい。
【0037】
チャネル推定器141は、RFトランシーバ13から受信した参照信号に基づき、ビームフォーミングウェイトを生成するためのMIMOチャネルを推定する。チャネル推定器141はビームフォーミングウェイト生成器142と結合され、推定したチャネル行列Hcをビームフォーミングウェイト生成器142へ供給する。
【0038】
ビームフォーミングウェイト生成器142は、チャネル推定器141から受信したチャネル行列H
cに基づきデジタルビームフォーミングに用いるウェイト行列Wを生成する。ビームフォーミングウェイト生成器142はビームフォーマ143-1と結合され、ウェイト行列Wをビームフォーマ143-1へ供給する。式3に示すように、N’×M’のチャネル行列H
cは、N’×B’の行列WとB’×M’の行列H’
cとに分解されることができ、Wがウェイト行列、H’
cが受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列である。B’は受信ビームフォーミング後の受信信号数であり、N’-1以下M’以上の整数である。ウェイト行列Wは受信ビームフォーミング後の受信信号ベクトルの各要素に対応する各列が直交する行列であり、正方行列H’
cは後述するBP検出器144の性質により各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含む行列でなければならない。各列が直交する行列Wは式4に示すように、行列Wのエルミート共役と行列Wの積が単位行列となる。さらに、ウェイト行列Wは、それらの積がウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W
1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列の組み合わせであってもよい。例えば、式5に示すように、ウェイト行列WはN’×B’のサブ・ウェイト行列W
1とB’次正方行列(サブ・ウェイト行列W
2)の積であってもよい。この場合、RU11-1内のビームフォーマ143-1へサブ・ウェイト行列W
1が供給され、DU11-2内のビームフォーマ143-2へサブ・ウェイト行列W
2が供給される。
【数3】
【数4】
【数5】
【0039】
ビームフォーミングウェイト生成器142の第1の実装例では、B’がM’と等しいとし、チャネル行列H
cがQR分解によって式6に示すようにN’×M’の行列QとM’×M’の上三角行列Rとに分解される。QR分解の定義より行列Qの各列は直交する。このとき、式7に示すように行列Wは行列QとM’次ユニタリ行列U’との積、行列H’
cは行列U’のエルミート共役と上三角行列Rの積とする。ここで、ユニタリ行列U’は1列目に2つ以上のゼロでない行列要素を持つユニタリ行列でなければならない。これは、正方行列H’
cの各列に2つ以上のゼロでない行列要素を持たなければならないためである。例えば、Discrete Fourier Transform (DFT) 行列をユニタリ行列として用いることができる。また、後述するBPアルゴリズムの一つであるGaBPアルゴリズムは、観測雑音の白色性が動作前提であるため、ウェイト行列Wの各列が直交することにより、受信ビームフォーミング後の雑音も白色のままであり、GaBPアルゴリズムによる検出が可能となる。
【数6】
【数7】
また、式8に示すように、行列Qがサブ・ウェイト行列W
1、ユニタリ行列U’がサブ・ウェイト行列W
2であってもよい。
【数8】
【0040】
第2の実装例では、B’がM’と等しいとし、チャネル行列H
cが特異値分解によって式9に示すように、M’個の左特異ベクトルからなるN’×M’の行列Uと、i行i列目の行列要素がi番目の特異値となるM’次対角行列Σと、M’個の右特異ベクトルからなるM’次ユニタリ行列Vのエルミート共役とに分解される。このとき、左特異ベクトルの性質により行列Uの各列は直交し、行列Σと行列Vのエルミート共役との積はM’次正方行列となる。このとき、式9に示すように、行列Uがウェイト行列W、行列Σと行列Vのエルミート共役との積が正方行列H’
cとなる。また、式10に示すように、行列Wは特異値分解によって得られた行列Uと任意のM’次ユニタリ行列U’との積であってもよい。この場合、正方行列H’
cはユニタリ行列U’のエルミート共役、行列Σ、および行列Vのエルミート共役の積となる。
【数9】
【数10】
【0041】
また、式11に示すように、左特異ベクトルからなる行列Uがサブ・ウェイト行列W
1、ユニタリ行列U’がサブ・ウェイト行列W
2であってもよい。
【数11】
【0042】
第3の実装例では、B’がM’と等しいとし、チャネル行列H
cが式12に示すように行列H
cと行列H
cのグラム行列の-1/2乗との積と、行列H
cのグラム行列の1/2乗と、に分解される。グラム行列は行列H
cのエルミート共役と行列H
cとの積である。このとき、式13に示すように、行列H
cと行列H
cのグラム行列の-1/2乗との積が行列W、行列H
cのグラム行列の1/2乗が行列H’
cとなる。式14に示すように、確かにウェイト行列Wの各列は直交し、行列Wのエルミート共役と行列Wの積が単位行列となることが確認できる。
【数12】
【数13】
【数14】
【0043】
また、式15に示すように、チャネル行列H
cがサブ・ウェイト行列W
1、チャネル行列H
cのグラム行列の-1/2乗がサブ・ウェイト行列W
2であってもよい。
【数15】
【0044】
また、式16に示すように、行列Wは、行列H
cと行列H
cのグラム行列の-1/2乗と任意のM’次ユニタリ行列U’との積であってもよい。
【数16】
【0045】
また、式17に示すように、チャネル行列H
cがサブ・ウェイト行列W
1、チャネル行列H
cのグラム行列の-1/2乗と任意のM’次ユニタリ行列U’との積がサブ・ウェイト行列W
2であってもよい。さらに、式18に示すように、チャネル行列H
cとH
cのグラム行列の-1/2乗との積がサブ・ウェイト行列W
1、任意のM’次ユニタリ行列U’がサブ・ウェイト行列W
2であってもよい。
【数17】
【数18】
【0046】
第4の実装例では、チャネル行列H
cが式19に示すようにK個のN’
k×M’の部分行列H
c
kからなるとし、各部分行列H
c
kが式20に示すように各列が直交するN’
k×B’
kの行列W
kと、B’
k×M’の行列H’
c
kとに分解され、式21に示すようにW
kを部分行列とするブロック対角行列Wをウェイト行列とする。ここで、kは1からKの整数、B’
kはN’
kとM’のうち小さい値である。このとき、ウェイト行列WはN’×B’の行列であり、B’は式23に示すようにB’
1からB’
Kの和である。また、受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列は式22に示すように部分行列H’
c
kからなり、行列H
c、W、H’
cは式3および4に示す関係にある。式20の行列の分解は前述の実装例1~3の分解を用いてもよい。
【数19】
【数20】
【数21】
【数22】
【数23】
【0047】
これらはビームフォーミングウェイト生成器142の実装例の一部であり、これらの実装例に限られるわけではない。
【0048】
ビームフォーマ143-1は、RFトランシーバ13から供給されたN’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルy
cに対して、受信ビームフォーミングを行う。受信ビームフォーミングは、ビームフォーミングウェイト生成器142から受信したウェイト行列W又はサブ・ウェイト行列W
1を用いる。より具体的には、受信ビームフォーミングは、式24に示すようにウェイト行列Wのエルミート共役と受信信号ベクトルy
cとの積を取ることで行われてもよい。ビームフォーマ143-1はBP検出器144へ結合され、フロントホールを介して信号ベクトルy’
cを供給する。また、DU11-2がビームフォーマ143-2を含む場合、RU11-1内のビームフォーマ143-1はDU11-2内のビームフォーマ143-2へフロントホールを介して信号を供給し、DU11-2内のビームフォーマ143-2はBP検出器144へ信号ベクトルy’
cを供給する。
【数24】
【0049】
BP検出器144は、ビームフォーマ143-1または143-2から供給された受信ビームフォーミング後の受信信号ベクトルy’
cに対して、総反復回数TのBPアルゴリズムを実行する。ここで、BPアルゴリズムは、送信信号のレプリカを用いた干渉除去処理を含み、干渉除去後の受信信号に含まれる残留干渉雑音成分が中心極限定理によりガウス分布に近似するとして構築されたアルゴリズムとする。BPアルゴリズムとして、GaBPや一般化近似メッセージ伝搬法 (GAMP: Generalized Approximate Message Passing)、期待値伝搬法 (Expectation Propagation) などが考えられる。また、送信信号の検出は式25に示す受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列H’
cを用いる。
【数25】
【0050】
受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列H’
cはビームフォーミングウェイトの生成に用いた参照信号とは別に受信した復調用参照信号を用いて、推定されてもよい。
以降説明の簡略化のために、複素数の等価低域表現は式26~30に示す等価な実数の信号モデルに置き換えた受信信号モデルで表される:
【数26】
【数27】
【数28】
【数29】
【数30】
ここで、y’はB×1の受信ビームフォーミング後の等価実数受信信号ベクトルであり、H’はB×Mの受信ビームフォーミング後の等価実数MIMOチャネル行列であり、z’はB×1の受信ビームフォーミング後の等価実数雑音ベクトルであり、xはM×1の等価実数送信信号ベクトルである。Mは2M’に等しく、Bは2B’に等しい。各送信信号は変調シンボル数QであるPulse Amplitude Modulation (PAM) 変調シンボルと等価であり、平均信号電力はEs/2である。QはQ’の平方根である。また、受信ビームフォーミング後の複素雑音ベクトルz
c’とN’個の受信アンテナの雑音からなる雑音ベクトルz
cとは式31の関係にあり、受信ビームフォーミング後の等価実数雑音ベクトルz’の各要素に含まれる雑音電力はN
0/2である。
【数31】
【0051】
以下では、等価実数モデルを用いて説明する。
【0052】
BP検出器144はBPアルゴリズムの一つであるGaBPアルゴリズムを実行し、GaBPアルゴリズムはパラメータセットを使用してもよい。当該パラメータセットは、スケーリング係数、ダンピング係数、及び重み係数のうち少なくとも1つを含んでもよい。いくつかの実装では、GaBPアルゴリズムは第1のパラメータセットを用いる。第1のパラメータセットは、複数のスケーリング係数および複数のダンピング係数を含む。BP検出器144は、これら複数のスケーリング係数を、GaBPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用する。同様に、BP検出器144は、これら複数のダンピング係数をGaBPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用する。したがって、複数のスケーリング係数の総数および複数のダンピング係数の総数は、GaBPアルゴリズムの総反復回数と等しくてもよい。
【0053】
他の実装では、BP検出器144が実行するGaBPアルゴリズムは、第2のパラメータセットを用いる。第2のパラメータセットは、複数のスケーリング係数および複数の重み係数を含む。BP検出器144は、これら複数のスケーリング係数を、GaBPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用する。同様にBP検出器144は、これら複数の重み係数をGaBPアルゴリズムの異なる反復でそれぞれ使用する。なお、後述するように、GaBPアルゴリズムは、反復ごとに複数の重み係数を使用してもよい。この場合、第2のパラメータセットは、反復ごとの重み係数のセットを含んでもよい。
【0054】
第1のパラメータセット(または第2のパラメータセット)は、基地局1のメモリ15-1及び15-2の一方又は両方に格納される。
図4、
図5、
図6、
図7、および
図8に示されるように、第1のパラメータセット(または第2のパラメータセット)は、ルックアップテーブル(Lookup Table (LUT))151としてメモリ15-2に保存されてもよい。
【0055】
続いて以下では、BP検出器144の構成例が説明される。
図9は、GaBPアルゴリズムを実行するBP検出器144の構成例を示している。
図9を参照すると、BP検出器144はB個のソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-B、ビリーフ生成器1442、およびB個のソフトレプリカ生成器1443-1~1443-Bを含む。ソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-Bは、ビームフォーマ143-1または143-2から受信信号y’
1~y’
Bをそれぞれ受信する。例えば、ソフト干渉キャンセラ1441-1は、受信ビームフォーミング後の第1受信信号y
1’を受信する。加えて第t回目の反復を行うために、ソフト干渉キャンセラ1441-1は、1つ前(第t-1回目)の反復で生成されたすべての送信信号のソフトレプリカxハット
1,1
(t-1)~xハット
1,M
(t-1)を受信する。ここでxハットは、文字xに上付きの^を意味する。そして、ソフト干渉キャンセラ1441-1は、キャンセレーション後の受信信号y’チルダ
1,1
(t)~y’チルダ
1,M
(t)を生成する。ここで、y’チルダは、文字y’に上付きの~を意味する。
【0056】
ビリーフ生成器1442は、上述の第1のパラメータセット(または第2のパラメータセット)に含まれる複数のダンピング係数(または重み係数の複数のセット)をLUT151から読み出す。ビリーフ生成器1442は、キャンセル後の受信信号y’チルダ1,1
(t)~y’チルダ1,M
(t)をソフト干渉キャンセラ1441-1から受信する。同様に、ビリーフ生成器1442は、他のソフト干渉キャンセラ1441-b(ここで、bは2からB)からも、生成されたキャンセル後の受信信号y’チルダb,1
(t)~y’チルダb,M
(t)を受信する。そして、ビリーフ生成器1442は、第t回目の反復のためのダンピング係数(または重み係数のセット)を使用し、第1受信信号に関連付けられたビリーフr1,1
(t)~r1,M
(t)を生成する。同様に、ビリーフ生成器1442は、残りの第2~第B受信信号に関連付けられたビリーフを生成する。
【0057】
ソフトレプリカ生成器1443-1は上述の第1のパラメータセット(または第2のパラメータセット)に含まれる複数のスケーリング係数をLUT151から読み出す。ソフトレプリカ生成1443-1は第1受信信号に関連付けられたビリーフr1,1
(t)~r1,M
(t)をビリーフ生成器1442から受信する。そして、ソフトレプリカ生成器1443-1は、第t回目の反復のためのスケーリング係数を使用し、ソフトレプリカxハット1,1
(t)~xハット1,M
(t)およびソフトレプリカ電力p1,1
(t)~p1,M
(t)を生成する。
【0058】
総反復回数TのGaBP処理の完了後に、ビリーフ生成器1442は、分離されたM個の送信信号の推定値r1
(T)~rM
(T)を判定および復調器145に供給する
【0059】
以下では、ソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-B、ビリーフ生成器1442、およびソフトレプリカ生成器1443-1~1443-Bにより行われる処理をさらに詳細に説明する。
【0060】
(1)ソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-B
初回の反復では、ソフトレプリカがまだ生成されていない。したがって、ソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-Bは、キャンセル処理を行わずに第1から第B受信信号をビリーフ生成器1442に供給する。2回目以降のt回目の反復では、第b受信信号に関連付けられたソフト干渉キャンセラ1441―bは、第b受信信号から第m送信信号以外のM-1個の送信信号成分をキャンセルし、キャンセル後の受信信号y’チルダ
b,m
(t)を生成する。キャンセル後の受信信号y’チルダ
b,m
(t)は以下の式32で表される:
【数32】
ここで、y’
bは受信ビームフォーミング後の第b受信信号であり、h’
b,jは第j送信信号と受信ビームフォーミング後の第b受信信号間のチャネル応答であり、xハット
b,j
(t-1)は第(t-1)回目の反復処理で得られた第j送信信号のソフトレプリカである。上述したように、基地局1は、無線端末2から送信される参照信号を用いてチャネル応答を推定できる。キャンセル処理後の受信信号y’チルダ
b,m
(t)は、ビリーフ生成器1442に供給される。
【0061】
(2)ビリーフ生成器1442
ビリーフ生成器1442は、キャンセル処理後の受信信号を用いてビリーフを生成する。まず、ビリーフ生成器1442は、第b受信信号y’
bに対するキャンセル処理後の受信信号y’チルダ
b,m
(t)を用いて以下の式33で表される処理を行い、これにより第t回目の反復における送信信号成分s
b,m
(t)を得る。
【数33】
ここで、ψ
b,m
(t)はキャンセル処理における残留干渉雑音電力である。残留干渉雑音電力ψ
b,m
(t)は、式34及び35に従って得られる:
【数34】
【数35】
ここで、p
b,j
(t-1)はソフトレプリカ電力である。上述したように、ソフトレプリカ電力は、ソフトレプリカ生成器1443-1~1443-Bによって生成される。
【0062】
送信信号成分s
b,m
(t)に含まれる真の送信信号x
mに対する等化利得ω
b,m
(t)は式36で表され、スケーリング処理を行う際の規格化のために使用される:
【数36】
【0063】
ここで、式33および36は、大システムを仮定してキャンセル処理における残留干渉雑音成分をガウス近似することで求められる。そのため、残留干渉成分に含まれる送信信号数が少ない場合には、ガウス近似の精度が劣化し、ビリーフの精度が劣化する。このことから、ビームフォーミング後のチャネル行列H’cの各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むことが望まれる。
【0064】
次に、ビリーフ生成器1442は、送信信号成分s
b,m
(t)を用いてビリーフr
b,m
(t)を生成する。ビリーフ生成器1442は、ダンピング処理またはノード選択処理を用いる。まず、ダンピング処理について説明する。ダンピング処理は、式37に示すようにダンピング係数η
(t)を用いて1つ前の第(t-1)回目の反復で得られた送信信号成分と現在の第t回目の反復で得られた送信信号成分とを重み付け平均する:
【数37】
ここで、s’
b,m
(t)はダンピング処理後の送信信号成分である。このダンピング処理により、s’
b,m
(t)に含まれる等価利得は次の式38で表される:
【数38】
【0065】
次に、ノード選択処理について説明する。ノード選択処理は、式39に従って、直近K回分の反復における各ビーム領域の受信信号に関連する送信信号成分を合成したs’
b,m
(t)を得る:
【数39】
ここで、η
i,t-k
(t)は、t回目の反復において送信信号成分s
i,m
(t-k)の反映度を表す重み係数である。既存のノード選択処理では重み係数η
i,t-k
(t)の値は0または1であり、ノードi(観測ノード、ビームフォーミング後の受信信号)を考慮するか否かの二者択一であった。これとは対照的に、式39は、0から1までの間の実数値(0以上かつ1以下の実数値)を取る重み係数η
i,t-k
(t)を用いる。これにより、重み係数η
i,t-k
(t)は、i番目のビーム領域の受信信号y’
iに関連する送信信号成分s
i,m
(t-k)の反映度を細かく調整できる。式39でK=tとした場合には、過去すべての反復で得られた送信信号成分が考慮される。
【0066】
重み係数η
i,t-k
(t)を用いて、s’
b,m
(t)に含まれる等化利得は式40で表される:
【数40】
【0067】
ビリーフ生成器1442は、いずれかの処理によって得られたs’
b,m
(t)をω’
b,m
(t)で規格化し、規格化後のビリーフr
b,m
(t)を生成し、これをソフトレプリカ生成器1443-1~1443-Bに供給する。規格化後のビリーフr
b,m
(t)は以下の式41で表される:
【数41】
【0068】
(3)ソフトレプリカ生成器1443-1~1443-B
ソフトレプリカ生成器1443-1~1443-Bは、スケーリング係数a
(t)によってビリーフr
b,m
(t)をスケーリングし、以下の式42及び43に従ってソフトレプリカxハット
b,m
(t)およびソフトレプリカ電力p
b,m
(t)を生成する:
【数42】
【数43】
ここでE
s
maxは送信信号が取り得る最大のPAMシンボルの電力であり、s’はPAM変調の判定閾値である。E
s
maxは以下の式44で表される:
【数44】
【0069】
判定閾値s’は、判定閾値の集合SQのいずれかの値を取ることができる。集合SQは、QPSKの場合には{0}であり、16QAMの場合には{0, +2c, -2c}である。tanh関数は、ハイパボリックタンジェント関数である。これらの式は、判定閾値s’の周辺におけるビリーフ情報を合成することによって、ソフトレプリカxハットb,m
(t)およびソフトレプリカ電力pb,m
(t)が生成されることを表している。
【0070】
(4)BP検出器144の出力
T回の反復が終了すると、ビリーフ生成器は、分離されたM個の送信信号の推定値r
m
(T)を判定および復調器145に供給する。推定値r
m
(T)は以下の式45で表される:
【数45】
【0071】
図10は、第1のパラメータセット、つまりスケーリング係数とダンピング係数のセットの一例を示している。これらのパラメータは、LUT151としてメモリ15-2に格納されてもよい。
図10に示されたテーブルは、3つの値(i.e., 3、8、および16)の総GaBP反復回数Tのためのパラメータを格納している。この場合、基地局1のプロセッサ14-2(e.g., BP検出器144)は、設定された(または選択された)反復回数Tに対応するパラメータのサブセットをGaBPアルゴリズムにおいて使用してもよい。反復回数Tのためのパラメータは、反復ごとのスケーリング係数a
T
(t)およびダンピング係数η
T
(t)を含む。これらのパラメータの下付き添え字は総反復回数を表す。例えば総反復回数Tが3である場合、パラメータは第1回反復のためのスケーリング係数a
3
(1)およびダンピング係数η
3
(1)のセット、第2回反復のためのスケーリング係数a
3
(2)及びダンピング係数η
3
(2)のセット、並びに第3回反復のためのスケーリング係数a
3
(3)及びダンピング係数η
3
(3)のセットを含む。
【0072】
図11は、第2のパラメータセット、つまりスケーリング係数と重み係数の組み合わせの一例を示している。
図10のそれと同様に、
図11に示されたテーブルは、総GaBP反復回数Tが3,8,および16であるときのパラメータを格納している。反復回数Tのためのパラメータは、反復ごとのスケーリング係数a
T
(t)と、重み係数のセット{η
T,t-k
(t)}とを含む。
【0073】
図10および
図11に示された例は一例である。例えば、BP検出器144は固定された1つの値の総反復回数でのみ動作されてもよい。この場合、この値の総反復回数のためのパラメータのみが基地局1に供給されてもよい。これに代えて、4以上の値の総反復回数のためのパラメータが基地局1に供給されてもよい。
【0074】
図12は基地局1の動作の一例を示している。ステップ41では、DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., チャネル推定器141) は、RFトランシーバ13を介してアンテナにより受信された参照信号を受信する。ステップ42では、DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., ビームフォーミングウェイト生成器142) は、推定されたN’×M’のチャネル行列H
cをN’×B’の行列WとB’×M’の行列H’
cとに分解し、行列Wをビームフォーミングウェイトとする。ここで、ウェイト行列Wは受信ビームフォーミング後の受信信号ベクトルの各要素に対応する各列が直交する行列であり、行列H’
cは各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含む行列でなければならない。
【0075】
ステップ43では、RU11-1内のプロセッサ14-1 (e.g., ビームフォーマ143-1) は、RFトランシーバ13を介してアンテナにより受信されたデータ信号を受信し、生成されたビームフォーミングウェイトWを用いて受信ビームフォーミングを行い、ビームフォームされた信号をDU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., BP検出器144) へフロントホールを介して伝送する。DU11-2内のプロセッサ14-2(e.g., ビームフォーマ143-2)は受信ビームフォーミングを行ってもよい。この場合、プロセッサ14-1および14-2はそれぞれビームフォーミングウェイトW1およびW2を用いて受信ビームフォーミングを行う。
【0076】
ステップ44では、DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., BP検出器144) は、ビームフォームされた信号に対してGaBPアルゴリズムを行い、分離されたM個の送信信号の推定値r1~rMを生成する。一例では、DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., BP検出器144) は、スケーリング係数およびダンピング係数(またはスケーリング係数および重み係数)をメモリ15-2から呼び出してもよい。そして、DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., BP検出器144) は、スケーリング係数およびダンピング係数(またはスケーリング係数および重み係数)を用いてGaBPアルゴリズムを行い、分離されたM個の送信信号の推定値r1~rMを生成してもよい。DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., BP検出器144) は、スケーリング係数およびダンピング係数(またはスケーリング係数および重み係数)を反復ごとに更新しながらGaBPアルゴリズムを行ってもよい。その後に、DU11-2内のプロセッサ14-2 (e.g., 判定および復調器) は、推定値r1~rMに基づいて、すべてのM’ユーザの送信信号にデコードする。
【0077】
本実施形態は、以下の効果をもたらすことができる。第1に、本実施形態では、基地局1は、上述したウェイト行列Wを用いて受信ビームフォーミングする。これにより、フロントホールで伝送される受信信号数が削減され、所要フロントホール帯域を削減できる。第2に、受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列が各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含む正方行列であるため、BPアルゴリズムで生成される複数のビリーフ間の精度のばらつきが抑えられる。これは、全ての受信信号に対してビリーフを同時に更新することを可能にし、処理時間を削減できる。
【0078】
また、本実施形態においてGaBPアルゴリズムが用いられる場合に以下の効果が得られる。GaBPアルゴリズムは白色雑音を前提としているため、ウェイト行列Wの各列が直交することで受信ビームフォーミング後の雑音が白色となることにより、GaBPアルゴリズムによる検出が可能となる。
【0079】
<第2の実施形態>
第2の実施形態では、第1の実施形態に加えてBP検出器144は初期値生成器 (initial value generator) 1444を含む。
図13は第2の実施形態におけるBP検出器144の構成例を示している。
図13によると、初期値生成器1444は、ソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-Bおよびビリーフ生成器1442と結合され、ソフト干渉キャンセラへソフトレプリカxハット
b,m
(0)およびビリーフ生成器へソフトレプリカ電力p
b,m
(0)を供給する。ソフトレプリカxハット
b,m
(0)およびソフトレプリカ電力p
b,m
(0)は、ビームフォーマ143-1または143-2から供給された受信ビームフォーミング後の受信信号ベクトルy’から生成される。
図7および
図8に示すように、DU11-2内のプロセッサ14-2がビームフォーマ143-2を含んでもよい。この場合、初期値生成器1444は、式46に示すRU11-1内のプロセッサ14-1内のビームフォーマ143-1から供給された受信信号ベクトルy’
RUを用いて、ソフトレプリカxハット
b,m
(0)およびソフトレプリカ電力p
b,m
(0)を生成してもよい。
【数46】
【0080】
ソフトレプリカxハットb,m
(0)およびソフトレプリカ電力pb,m
(0)は、B’×M’の初期値生成行列Winitを用いて生成される。ソフトレプリカxハットb,m
(0)およびソフトレプリカ電力pb,m
(0)は、初期値生成行列Winitのエルミート共役と受信ビームフォーミング後の受信信号ベクトル(y’またはy’RU)との積に対する軟判定値であってもよい。ここで、ソフトレプリカxb,m
(0)およびソフトレプリカ電力pb,m
(0)は等価実数モデルで表される。繰り返し1回目のソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-Bは、初期値生成器1444から供給されたソフトレプリカxハットb,m
(0)を用いて干渉キャンセルを行う。また、繰り返し1回目のビリーフ生成器は、初期値生成器1444から供給されたソフトレプリカ電力およびソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-Bから供給されたキャンセル後の受信信号y’チルダb,m
(1)を用いてビリーフを生成する。
【0081】
初期値生成器1444の実装例として、以下に詳細に説明される第1~4の実装例が考えられる。第1の実装例では、ビームフォーマ143-1または143-2が、ビームフォームされた受信信号ベクトルy’を初期値生成器1444に供給する。第2~4の実装例では、DU11-2内のプロセッサ14-2がビームフォーマ143-2を含み、ビームフォーマ143-1が受信信号ベクトルy’RUを初期値生成器1444に供給する。実装例1~3はB’がM’と等しい場合の実装例であり、実装例4はB’がN’-1以下M’以上の任意の整数である場合の実装例である。
【0082】
第1の実装例では、初期値生成行列W
initは式47に示される行列である。
【数47】
ここで、行列Wはビームフォーミングウェイト生成器142で生成されたウェイト行列であり、各列が直交する行列である。行列Wは、限定されないが例えば、チャネル行列をQR分解して生成された行列QとDFT行列との積、又はチャネル行列を特異値分解して生成された行列Uとユニタリ行列との積であってもよい。
【0083】
第2の実装例では、初期値生成行列W
initは式48に示される行列である。
【数48】
ここで、行列W
1はRU11-1内のプロセッサ14-1に含まれるビームフォーマ143-1で用いられるサブ・ウェイト行列である。第1の実装例のウェイト行列Wとは異なり、サブ・ウェイト行列W
1は各列が直交する行列に限られない。サブ・ウェイト行列W
1は、限定されないが例えば、チャネル行列、チャネル行列をQR分解して生成された行列Q、又はチャネル行列を特異値分解して生成された左特異ベクトルからなる行列Uであってもよい。このとき、DU11-2内のプロセッサ14-2に含まれるビームフォーマ143-2で用いられるサブ・ウェイト行列W
2は、式49で示すサブ・ウェイト行列W
1のグラム行列の-1/2乗が用いられる。このようなサブ・ウェイト行列W
2を用いることで、W
1とW
2と積は各列が直交するN’×M’の行列となる。また、行列Qや行列Uなどの各列が直交する行列を用いる場合には、サブ・ウェイト行列W
2はM’次のユニタリ行列であってもよい。すると、ビームフォーマ143-2からBP検出器144に供給される受信信号に含まれる雑音は白色となる。
【数49】
【0084】
本実装例において、チャネル行列を特異値分解して生成された左特異ベクトルからなる行列Uがサブ・ウェイト行列W
1として用いられる場合、初期値生成行列W
initのエルミート共役は、式50に示すように、右特異ベクトルからなる行列Vと特異値からなる行列Σの逆行列との積となる。
【数50】
ここで、行列Σは対角行列であるため、逆行列は各行列要素の逆数からなる対角行列である。そのため、初期値生成行列は、逆行列演算を用いることなく生成されることができる。
【0085】
チャネル行列をQR分解して生成された行列Qがサブ・ウェイト行列W
1として用いられる場合、初期値生成行列Winitのエルミート共役は、式51に示すように、上三角行列Rの逆行列となる。
【数51】
ここで、上三角行列Rの逆行列は、後退代入により通常の逆行列演算よりも少ない演算量で求めることができる。
【0086】
サブ・ウェイト行列W
1としてチャネル行列を用いる場合、初期値生成行列W
initのエルミート共役およびサブ・ウェイト行列W
2は、式52及び53に示すように、それぞれチャネル行列のグラム行列の逆数およびチャネル行列のグラム行列の-1/2乗となる。
【数52】
【数53】
ここで、式53に示すように、チャネル行列の-1/2乗は、逆行列と行列の平方根とで求められる。すると、チャネル行列のグラム行列の逆行列が初期値生成行列W
initおよびサブ・ウェイト行列W
2の両方で用いられる。このため、一度の逆行列演算により、初期値生成行列W
initのエルミート共役およびサブ・ウェイト行列W
2の生成に用いる逆行列を生成できる。そのため、初期値生成行列W
initを得るための逆行列演算の回数を削減することができる。
【0087】
第3の実装例では、サブ・ウェイト行列W1はZero Forcing (ZF) ウェイトであり、初期値生成行列Winitは単位行列である。サブ・ウェイト行列W1はMMSEウェイトであってもよい。このとき、DU11-2内のプロセッサ14-2に含まれるビームフォーマ143-2は、サブ・ウェイト行列W2として式49に示す行列を用いる。
【0088】
第4の実装例では、初期値生成行列W
initは式54に示す行列である。
【数54】
このとき、初期値生成行列W
initはB’×M’のZFウェイトである。また、初期値生成行列としてMMSEウェイトを用いることもできる。
【0089】
初期値生成器1444の実装は、これらの実装例に限られない。
【0090】
図14は初期値生成器1444の動作の一例を示している。ステップ51では、初期値生成器1444は、ビームフォーマ143-1または143-2から受信ビームフォーミング後の受信信号を受信する。ステップ52では、初期値生成器1444は、受信ビームフォーミング後の受信信号に基づいてソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力を生成する。ソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力は、初期値生成行列と受信ビームフォーミング後の受信信号との積の軟判定値であってもよい。ステップ53では、初期値生成器1444は、生成されたソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力をそれぞれBPアルゴリズムの一つであるGaBPアルゴリズムの繰り返し1回目のソフト干渉キャンセラおよびビリーフ生成器へ供給する。
【0091】
本実施形態は、以下の効果をもたらすことができる。第1に、本実施形態では、受信ビームフォーミング後の受信信号を用いて、初期値生成器1444がソフトレプリカxハットb,m
(0)およびソフトレプリカ電力pb,m
(0)を生成し、繰り返し1回目のビリーフ生成を行う。DUでは受信ビームフォーミング後の受信信号のみを用いるため、RUからDUに対して受信ビームフォーミング後の受信信号を伝送すればよいので所要フロントホール帯域を削減することができる。第2に、初期値生成器1444は、GaBPアルゴリズムの繰り返し1回目のために精度の良いビリーフを生成できる。したがって、基地局1は、少ない繰り返し回数のGaBPアルゴリズムで高精度な検出ができる。
【0092】
また、本実施形態においてGaBPアルゴリズムが用いられる場合に以下の効果が得られる。ビームフォーマ143-1または143-2からソフト干渉キャンセラ1441-1~1441-Bに供給される受信信号に含まれる雑音が白色雑音であることで、GaBPアルゴリズムの性能劣化を避けることができる。
【0093】
<第3の実施形態>
第3の実施形態では、基地局1は、第1の実施形態または第2の実施形態の構成に加えてパラメータ学習器17を有する。パラメータ学習器17はプロセッサ14-2に含まれてもよい。パラメータ学習器17は、深層展開 (deep unfolding) を用いて第1のパラメータセット(または第2のパラメータセット)を一緒に学習し、一緒に学習されたパラメータセットを出力する。出力されたパラメータセットはメモリ15-2内に格納されてもよい。
【0094】
図15は、BPアルゴリズムの一例であるGaBPアルゴリズムに基づくマルチユーザ検出のための深層展開を示す概念図である。深層展開は、反復型のアルゴリズムを反復方向に展開し、得られた処理フローグラフを深層ニューラルネットワーク (Deep Neural Network (DNN)) と見なし、深層学習のスキームを適用する手法である。BP検出器144で実行されるGaBPアルゴリズムを反復方向に展開すると、
図15に示すGaBPネットワークが与えられる。各GaBP反復はDNNの1つの層に対応する。これにより、GaBPネットワークに含まれるパラメータの学習が可能となる。具体的には、学習(訓練)可能なパラメータは、各反復(各層)のスケーリング係数a
(t)およびダンピング係数η
(t)(または各反復(各層)のスケーリング係数a
(t)および重み係数のセット{η
i,t-k
(t)})である。例えば、学習は勾配法に基づいて行われ、パラメータは設定したコストが小さくなる方向に一緒に調整される。
【0095】
図16は、パラメータ学習器17の一例を示している。学習データセット171は、送信信号データセット1711および受信ビームフォーミング後の受信信号データセット1712を含む。送信信号データセット1711はランダムに生成されてもよい。複数の受信アンテナで受信される受信信号データセットは、送信信号データセット1711に対応し、送信信号データセット1711および与えられたチャネル行列を用いて生成される。チャネル行列は、ランダムに生成されてもよいし、3rd Generation Partnership Project (3GPP) 仕様書などに規定された伝搬路モデルに基づいて生成されてもよい。これに代えて、チャネル行列は、基地局1が設置される実環境での測定結果に基づいて生成されてもよい。受信ビームフォーミング後の受信信号データセット1712は、基地局1において用いられる受信ビームフォーミングと同じ実装により、複数の受信アンテナで受信される複数の受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことで生成される。具体的な受信ビームフォーミングの実装としては、第1の実施形態に記載した方法を用いることができる。
【0096】
パラメータ学習システム172は、BP検出器モジュール1721および学習モジュール1722を含む。BP検出器モジュール1721は、第1の実施形態または第2の実施形態に記載の基地局1のプロセッサ14-2またはBP検出器144をエミュレートする。BP検出器モジュール1721は、基地局1に実装されるBPアルゴリズムを実行することができる。学習モジュール1722は、学習データセット171を用いてBP検出器モジュール1721を訓練する。学習モジュール1722は、1またはそれ以上の深層学習アルゴリズムを適用してもよい。
【0097】
一例では、学習モジュール1722は、勾配法に従う更新アルゴリズムを用いてもよい。使用される勾配法の更新アルゴリズムは、例えば、Adaptive moment estimation (Adam) optimizerアルゴリズムであってもよい。加えて、学習モジュール1722は、ミニバッチ学習を用いてもよい。学習回数は訓練データに対する過学習を考慮して適切な回数とされればよい。学習率の更新のために、学習回数に対して徐々に更新幅を狭めるStepアルゴリズムが利用されてもよい。コスト関数は、平均二乗誤差 (Mean Square Error (MSE)) であってもよい。
【0098】
学習モジュール1722は、深層学習により一緒に学習されたパラメータセット173を出力する。一緒に学習されたパラメータセット173は、複数のスケーリング係数および複数のダンピング係数(または複数のスケーリング係数および複数の重み係数)を含む。出力されたパラメータセット173は
図8および
図9と同様にLUT151としてメモリ15-2に格納されてもよい。
【0099】
パラメータ学習器17は、
図17に示されるようなコンピュータシステムであってもよい。
図17は、コンピュータシステムの構成例を示している。コンピュータシステムは、命令のセットを含むコンピュータプログラムを実行し、これにより例えばパラメータ学習器17のための方法を行うことができる。パラメータ学習器17は、スタンドアロンなコンピュータであってもよいし、ネットワーク化 (networked) された1またはそれ以上のコンピュータを含んでもよい。コンピュータシステムでは、サーバークライアント環境におけるサーバもしくはクライアントまたは両方であってもよい。コンピュータシステムは、パーソナルコンピュータ、タブレットコンピュータ、またはスマートフォンであってもよい。
【0100】
図17の例では、コンピュータシステムは、1またはそれ以上のプロセッサ61、メモリ62、およびマスストレージ63を含み、これらはバス67を介して互いに通信する。1またはそれ以上のプロセッサ61は、例えば、Central Processing Unit (CPU) もしくはGraphics Processing Unit (GPU) または両方を含んでもよい。コンピュータシステムは、1又はそれ以上の出力デバイス64、1またはそれ以上の入力デバイス65、および1又はそれ以上の周辺機器 (Peripherals) 66といった他のデバイスを含んでもよい。1またはそれ以上の出力デバイス64は、例えば、映像ディスプレイ、スピーカを含む。1またはそれ以上の入力デバイス65は、例えば、キーボード、マウス、キーパッド、タッチパッド、もしくはタッチスクリーン、またはこれらの任意の組み合わせを含む。1またはそれ以上の周辺機器66は、プリンタ、モデム、もしくはネットワークアダプタ、またはこれらの任意の組み合わせを含む。
【0101】
メモリ62およびマスストレージ63の一方または両方は、1またはそれ以上の命令セットを格納したコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。これらの命令は、部分的にまたは完全にプロセッサ内のメモリ62に配置されてもよい。これらの命令は、プロセッサ61において実行されたときに、例えば
図18に示されるプロセスを行うことをプロセッサ61に引き起こす。
【0102】
図18は、パラメータ学習器17の動作の一例を示している。この例では、BPアルゴリズムとしてGaBPアルゴリズムが用いられる。ステップ71では、パラメータ学習システム172は、学習データセット171を受信する。ここで、学習データセット171は、送信信号1711と基地局1で実装されるビームフォーミングウェイトによる受信ビームフォーミング後の受信信号1712を含む。ステップ72では、パラメータ学習システム172は、スケーリング係数およびダンピング係数を使用するGaBPアルゴリズムを学習データセット171において実行し、深層学習技術を用いてGaBPアルゴリズムを訓練する。訓練可能なパラメータは、スケーリング係数およびダンピング係数である。ステップ73では、パラメータ学習システム172は、訓練されたスケーリング係数およびダンピング係数173をメモリ(e.g. メモリ15-2)に格納する。
【0103】
これに代えて、ステップ72では、パラメータ学習システム172は、スケーリング係数および重み係数を使用するGaBPアルゴリズムを学習データセット171において実行してもよい。訓練可能なパラメータは、スケーリング係数および重み係数である。この場合、ステップ53では、パラメータ学習システム172は、訓練されたスケーリング係数および重み係数173をメモリ(e.g. メモリ15-2)に格納する。
【0104】
図19は、本実施形態にかかる受信ビームフォーミングを行った後のGaBP検出器と既存の受信ビームフォーミングを行わないlinear Minimum Mean Square Error (MMSE) 検出器やGaBP検出器との間のビット誤り率 (Bit Error Rate (BER)) 性能の比較を示している。既存手法では、受信ビームフォーミングは行われない。これらは、端末数をM’、受信アンテナ素子数をN’とし、(N’, M’) = (64, 16) のマルチユーザMIMO構成についてのシミュレーション結果である。なお、本実施形態および既存手法のGaBP検出器の総反復回数 (T) は32とし、誤り訂正符号として符号化率が約0.6のLow-Density Parity-Check (LDPC)符号が用いられる。グラフ81は、第1の実施形態の第1の実装例として説明されたQ行列とユニタリ行列の積を用いて受信ビームフォーミングした後に、学習したスケーリング係数および重み係数のパラメータセットを用いるGaBP検出器のBERを示している。ここでは、ユニタリ行列はDFT行列とした。グラフ82は、比較例であり、受信ビームフォーミングを行わない場合の、学習したスケーリング係数および重み係数のパラメータセットを用いるGaBP検出器のBERを示している。グラフ83は、比較例であり、受信ビームフォーミングを行わない場合の、MMSE検出器のBERを示している。これによると、本実施形態のGaBP検出器は既存手法のGaBP検出器から劣化せずに所要フロントホール帯域の削減ができることが確認できる。また、本実施形態のGaBP検出器は既存手法のMMSE検出器と比較して、BER=10
-3において約5dB以上の改善がみられる。
【0105】
本実施形態では、深層展開により第1のパラメータセットまたは第2のパラメータセットを受信ビームフォーミング後の受信信号を用いて学習することで、受信ビームフォーミングおよびBP検出器144の特性を考慮した準最適なパラメータ値を用いてBP検出器144によりマルチユーザ検出を行うことができる。このことより、BP検出器144の検出特性を向上させることができる。
【0106】
<その他の実施形態>
上述されたように、いくつかの実装では、基地局1が有するプロセッサ14-1および14-2は、本実施形態で説明されたアルゴリズムをコンピュータに行わせるための命令群を含む1または複数のプログラムを実行する。加えて、パラメータ学習器17は、深層学習をコンピュータに行わせるための命令群を含む1または複数のプログラムを実行する。プログラムは、コンピュータに読み込まれた場合に、実施形態で説明された1又はそれ以上の機能をコンピュータに行わせるための命令群(又はソフトウェアコード)を含む。プログラムは、非一時的なコンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体に格納されてもよい。限定ではなく例として、コンピュータ可読媒体又は実体のある記憶媒体は、random-access memory(RAM)、read-only memory(ROM)、フラッシュメモリ、solid-state drive(SSD)又はその他のメモリ技術、CD-ROM、digital versatile disk(DVD)、Blu-ray(登録商標)ディスク又はその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージ又はその他の磁気ストレージデバイスを含む。プログラムは、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体上で送信されてもよい。限定ではなく例として、一時的なコンピュータ可読媒体又は通信媒体は、電気的、光学的、音響的、またはその他の形式の伝搬信号を含む。
【0107】
第1及び第2の実施形態においてGaBPアルゴリズムに使用されるパラメータセット(e.g., スケーリング係数、ダンピング係数、及び重み係数のうち少なくとも1つ)は、深層学習で得られたものでなくてもよい。幾つかの実装では、反復毎のスケーリング係数は、全ての反復で同じ値であってもよい。さらに又はこれに代えて、反復毎のダンピング係数は、全ての反復で同じ値であってもよい。さらに又はこれに代えて、反復毎の重み係数のセットは、受信アンテナのサブセットの周期的な選択パターンに従ってもよい。この場合、重み係数のとり得る値は、0又は1であってもよい。
【0108】
上述した実施形態は本件発明者により得られた技術思想の適用に関する例に過ぎない、すなわち、当該技術思想は、上述した実施形態にのみに限定されるものではなく、種々の変更が可能であることは勿論である。
【0109】
例えば、上記の実施形態の一部または全部は、以下の付記のようにも記載され得るが、以下には限られない。
【0110】
(付記1)
無線受信装置であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成された少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器と、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うよう構成された第1のビームフォーマと、
前記第1のビームフォーマから出力され且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行するよう構成されたBP検出器と、
を備える無線受信装置。
(付記2)
前記フロントホールを介して接続されたRadio Unit (RU) およびDistributed Unit (DU) を備え、
前記第1のビームフォーマが前記RUに含まれ、
前記BP検出器が前記DUに含まれ、
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器が前記RUおよび前記DUの少なくとも一方に含まれる、
付記1に記載の無線受信装置。
(付記3)
前記受信ビームフォーミングは、前記ウェイト行列Wのエルミート共役または前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることを含む、
付記1又は2に記載の無線受信装置。
(付記4)
第2のビームフォーマをさらに備え、
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、それらの積が前記ウェイト行列Wに等しい前記サブ・ウェイト行列W1とB’×B’のサブ・ウェイト行列W2の組み合わせを生成し、前記サブ・ウェイト行列W1を前記第1のビームフォーマへ供給し、前記サブ・ウェイト行列W2を第2のビームフォーマへ供給するよう構成され、
前記第1のビームフォーマは、前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることで受信ビームフォーミングを行うよう構成され、
前記第2のビームフォーマは、前記サブ・ウェイト行列W2のエルミート共役と前記第1のビームフォーマから出力されて前記フロントホールを介して伝送された信号との積を取ることで受信ビームフォーミングを行い、ビームフォームされた信号を前記BP検出器へ供給するよう構成され、
前記BP検出器は、前記第2のビームフォーマから供給される信号に対して前記BPアルゴリズムを実行するよう構成される、
付記1~3のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記5)
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、前記N’×M’のチャネル行列をK個のN’k×M’の部分行列に分け、N’kとM’のうち小さい値をB’kとして各部分行列を各列が直交するN’k×B’kの行列Wkと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’k×M’の行列とに分解し、前記行列Wkを対角成分に持つブロック対角行列を前記ウェイト行列Wとして出力するよう構成される、
付記1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記6)
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、前記N’×M’のチャネル行列をQR分解することで得られるN’×M’のQ行列とM’次ユニタリ行列との積を前記ウェイト行列Wとして出力する、又は前記Q行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記M’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力するよう構成される、
付記1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記7)
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、前記N’×M’のチャネル行列を特異値分解することで得られる左特異ベクトルからなるN’×M’の行列、若しくは前記N’×M’の行列とM’次ユニタリ行列との積を、前記ウェイト行列Wとして出力する、又は前記N’×M’の行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記M’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力するよう構成される、
付記1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記8)
前記少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器は、
(a)前記N’×M’のチャネル行列と前記N’×M’のチャネル行列のグラム行列の-1/2乗との積、若しくは前記N’×M’のチャネル行列と前記N’×M’のチャネル行列のグラム行列の-1/2乗とM’次ユニタリ行列との積を前記ウェイト行列Wとして出力する、
(b)前記チャネル行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記グラム行列の-1/2乗をサブ・ウェイト行列W2として出力する、
(c)前記チャネル行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記グラム行列の-1/2乗とM’次ユニタリ行列との積をサブ・ウェイト行列W2として出力する、または
(d)前記チャネル行列と前記グラム行列の-1/2乗との積を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つM’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力する、よう構成される、
付記1~4のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記9)
複数のスケーリング係数および複数のダンピング係数を含む第1のパラメータセットまたは複数のスケーリング係数および複数の重み係数を含む第2のパラメータセットを格納するよう構成された少なくとも1つのメモリをさらに備え、
前記BP検出器は、前記第1のパラメータセットまたは前記第2のパラメータセットを用いて Gaussian Belief Propagation (GaBP) アルゴリズムを実行するよう構成され、
前記BP検出器は、
第t-1回目の反復で生成された第m’送信信号を除くすべての送信信号のレプリカを用いて、前記第m’送信信号の成分を除く前記すべての送信信号の成分を複数の受信信号のうちの第m受信信号から減算し、これよりキャンセレーション後の第m受信信号を生成するよう構成されたソフト干渉キャンセラと、
前記ダンピング係数または前記重み係数と前記キャンセレーション後の第m受信信号とに少なくとも基づいて、前記第m受信信号に関連付けられたビリーフを生成するよう構成されたビリーフ生成器と、
前記スケーリング係数と前記ビリーフとに少なくとも基づいて、第t回目の反復における前記第m’送信信号のレプリカを生成するよう構成されたソフトレプリカ生成器と、を備える、
付記1~8のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記10)
前記第1のパラメータセット及び前記第2のパラメータセットの少なくとも一方は、受信ビームフォーミングされた受信信号および送信信号に基づいて深層学習技術を用いて一緒に学習されたパラメータを含む、
付記9に記載の無線受信装置。
(付記11)
前記BP検出器は、初期値生成器を含み、
前記初期値生成器は、ソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力としてB’×M’の初期値生成行列のエルミート共役と前記第1のビームフォーマから供給された受信ビームフォーミング後の受信信号との積に対する軟判定値を生成し、前記BP検出器で実行されるBPアルゴリズムの繰り返し1回目の処理へソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力を供給するよう構成される、
付記1~10のいずれか1項に記載の無線受信装置。
(付記12)
前記初期値生成行列が受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列H’cのエルミート共役と前記行列H’cの積の逆行列と前記行列H’cのエルミート共役の積である、
付記11に記載の無線受信装置。
(付記13)
前記サブ・ウェイト行列W1が前記N’×M’のチャネル行列を特異値分解することで得られる左特異ベクトルからなるN’×M’の行列であり、
前記サブ・ウェイト行列W2が任意のM’次ユニタリ行列であり、
前記初期値生成行列が前記特異値分解で得られる特異値の逆数が対角成分であるM’次対角行列と、右特異ベクトルからなるM’次正方行列のエルミート共役と、の積である、
付記4を直接的又は間接的に引用する付記11に記載の無線受信装置。
(付記14)
前記サブ・ウェイト行列W1が前記N’×M’のチャネル行列であり、
前記サブ・ウェイト行列W2が前記チャネル行列のエルミート共役と前記チャネル行列との積の-1/2乗であり、
前記初期値生成行列が前記チャネル行列のエルミート共役と前記チャネル行列との積の逆行列である、
付記4を直接的又は間接的に引用する付記11に記載の無線受信装置。
(付記15)
無線受信装置により行われる方法であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列に分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する第1の受信ビームフォーミングを行うこと、および、
前記第1の受信ビームフォーミングが行われ且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP)アルゴリズムを実行すること、
を備える方法。
(付記16)
前記第1の受信ビームフォーミングを行うことは、Radio Unit (RU)において前記第1の受信ビームフォーミングを行うことを含み、
前記BPアルゴリズムを実行することは、前記フロントホールを介して前記RUに結合されたDistributed Unit (DU)において前記BPアルゴリズムを実行することを含む、
付記15に記載の方法。
(付記17)
前記第1の受信ビームフォーミングは、前記ウェイト行列Wのエルミート共役または前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることを含む、
付記15又は16に記載の方法。
(付記18)
第2の受信ビームフォーミングを行うことをさらに備え、
前記生成することは、それらの積が前記ウェイト行列Wに等しい前記サブ・ウェイト行列W1とB’×B’のサブ・ウェイト行列W2の組み合わせを生成することを含み、
前記第1の受信ビームフォーミングを行うことは、前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることを含み、
前記第2の受信ビームフォーミングを行うことは、前記サブ・ウェイト行列W2のエルミート共役と前記第1の受信ビームフォーミングにより生成された信号ベクトルとの積を取ることを含み、
前記BPアルゴリズムを実行することは、前記第2の受信ビームフォーミングにより得られた信号に対して前記BPアルゴリズムを実行することを含む、
付記15~17のいずれか1項に記載の方法。
(付記19)
前記生成することは、前記N’×M’のチャネル行列をK個のN’k×M’の部分行列に分け、N’kとM’のうち小さい値をB’kとして各部分行列を各列が直交するN’k×B’kの行列Wkと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’k×M’の行列とに分解し、前記行列Wkを対角成分に持つブロック対角行列を前記ウェイト行列Wとして出力することを含む、
付記15~18のいずれか1項に記載の方法。
(付記20)
前記生成することは、前記N’×M’のチャネル行列をQR分解することで得られるN’×M’のQ行列とM’次ユニタリ行列との積を前記ウェイト行列Wとして出力すること、又は前記Q行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記M’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力することを含む、
付記15~18のいずれか1項に記載の方法。
(付記21)
前記生成することは、前記N’×M’チャネル行列を特異値分解することで得られる左特異ベクトルからなるN’×M’の行列、若しくは前記N’×M’の行列とM’次ユニタリ行列との積を、前記ウェイト行列Wとして出力すること、又は前記N’×M’の行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記M’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力することを含む、
付記15~18のいずれか1項に記載の方法。
(付記22)
前記生成することは、
(a)前記N’×M’のチャネル行列と前記N’×M’のチャネル行列のグラム行列の-1/2乗との積を前記ウェイト行列Wとして出力すること、
(b)前記チャネル行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記グラム行列の-1/2乗をサブ・ウェイト行列W2として出力すること、
(c)前記チャネル行列を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つ前記グラム行列の-1/2乗とM’次ユニタリ行列との積をサブ・ウェイト行列W2として出力すること、または
(d)前記チャネル行列と前記グラム行列の-1/2乗との積を前記サブ・ウェイト行列W1として出力し且つM’次ユニタリ行列をサブ・ウェイト行列W2として出力すること、を含む、
付記15~18のいずれか1項に記載の方法。
(付記23)
前記BPアルゴリズムを実行することは、
複数のスケーリング係数および複数のダンピング係数を含む第1のパラメータセットまたは複数のスケーリング係数および複数の重み係数を含む第2のパラメータセットをメモリから読み出すこと、及び
前記第1のパラメータセットまたは前記第2のパラメータセットを用いてGaBPアルゴリズムを実行すること、を含む、
付記15~22のいずれか1項に記載の方法。
(付記24)
前記第1のパラメータセット及び前記第2のパラメータセットの少なくとも一方は、受信ビームフォーミングされた受信信号および送信信号に基づいて深層学習技術を用いて一緒に学習されたパラメータを含む、
付記23に記載の方法。
(付記25)
ソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力として、B’×M’の初期値生成行列のエルミート共役と供給された受信ビームフォーミング後の受信信号との積に対して軟判定値を生成すること、
生成したソフトレプリカおよびソフトレプリカ電力をBPアルゴリズムの繰り返し1回目の処理へ供給すること、をさらに備える、
付記15~24のいずれか1項に記載の方法。
(付記26)
前記初期値生成行列が受信ビームフォーミング後の等価チャネル行列H’cのエルミート共役と前記行列H’cの積の逆行列と前記行列H’cのエルミート共役の積である、
付記25に記載の方法。
(付記27)
前記サブ・ウェイト行列W1が前記N’×M’のチャネル行列を特異値分解することで得られる左特異ベクトルからなるN’×M’の行列であり、
前記サブ・ウェイト行列W2が任意のM’次ユニタリ行列であり、
前記初期値生成行列が前記特異値分解で得られる特異値の逆数が対角成分であるM’次対角行列と、右特異ベクトルからなるM’正方行列のエルミート共役と、の積である、
付記18を直接的又は間接的に引用する付記25に記載の方法。
(付記28)
前記サブ・ウェイト行列W1が前記N’×M’のチャネル行列であり、
前記サブ・ウェイト行列W2が前記チャネル行列のエルミート共役と前記チャネル行列との積の-1/2乗であり、
前記初期値生成行列が前記チャネル行列のエルミート共役と前記チャネル行列との積の逆行列である、
付記18を直接的又は間接的に引用する付記25に記載の方法。
(付記29)
無線受信装置のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列に分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する第1の受信ビームフォーミングを行うこと、および、
前記第1の受信ビームフォーミングが行われ且つフロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP)アルゴリズムを実行すること、
を備える、プログラム。
(付記30)
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDistributed Unit (DU)にフロントホールを介して結合されるRadio Unit (RU)であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成された少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器と、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行い、ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供するよう構成された第1のビームフォーマと、
を備えるRU。
(付記31)
前記ビームフォームされた信号は、前記ビームフォームされた信号を用いてBelief Propagation (BP) アルゴリズムを実行するために前記DUにより使用される、
付記30に記載のRU。
(付記32)
前記受信ビームフォーミングは、前記ウェイト行列Wのエルミート共役または前記サブ・ウェイト行列W1のエルミート共役と前記N’個の受信アンテナの受信信号で構成される受信信号ベクトルとの積を取ることを含む、
付記30又は31に記載のRU。
(付記33)
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDistributed Unit (DU)にフロントホールを介して結合されるRadio Unit (RU)により行われる方法であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うこと、及び
ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供すること、
を備える方法。
(付記34)
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のDistributed Unit (DU)にフロントホールを介して結合されるRadio Unit (RU)のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成すること、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対する受信ビームフォーミングを行うこと、及び
ビームフォームされた信号を前記DUに前記フロントホールを介して提供すること、
を備える、プログラム。
(付記35)
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRadio Unit (RU)にフロントホールを介して結合されるDistributed Unit (DU)であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成するよう構成された少なくとも1つのビームフォーミングウェイト生成器と、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行するよう構成されたBP検出器と、
を備えるDU。
(付記36)
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRadio Unit (RU)にフロントホールを介して結合されるDistributed Unit (DU)により行われる方法であって、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を前記RUに提供すること、及び
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行すること、
を備える方法。
(付記37)
無線受信装置に含まれ且つ前記無線受信装置のRadio Unit (RU)にフロントホールを介して結合されるDistributed Unit (DU) のための方法をコンピュータに行わせるプログラムであって、前記方法は、
1または複数の無線送信装置のM’個の送信アンテナと前記無線受信装置に結合されたN’個の受信アンテナとの間で定義される推定されたN’×M’のチャネル行列を、B’をN’-1以下M’以上の整数として各列が直交するN’×B’のウェイト行列Wと各列に2つ以上のゼロでない行列要素を含むB’×M’の行列とに分解することで、前記ウェイト行列Wを生成する、又はそれらの積が前記ウェイト行列Wに等しいN’×B’のサブ・ウェイト行列W1と少なくとも1つの第2のサブ・ウェイト行列との組み合わせを生成すること、
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を前記RUに提供すること、及び
前記ウェイト行列Wまたは前記サブ・ウェイト行列W1を用いて前記N’個の受信アンテナの受信信号に対して受信ビームフォーミングを行うことにより前記RUによって生成され且つ前記フロントホールを介して伝送された信号を用いて、Belief Propagation (BP) アルゴリズムを実行すること、
を備える、プログラム。
【符号の説明】
【0111】
1 基地局
2 無線端末
10 受信機
11-1 Radio Unit (RU)
11-2 Distributed Unit (DU)
12 アンテナアレイ
13 RFトランシーバ
14 プロセッサ
15 メモリ
16 ネットワークインタフェース
141 チャネル推定器
142 ビームフォーミングウェイト生成器
143-1 RU内のビームフォーマ
143-2 DU内のビームフォーマ
144 Belief Propagation (BP) 検出器
145 判定および復調器
151 ルックアップテーブル
1441-m ソフト干渉キャンセラ
1442 ビリーフ生成器
1443-m ソフトレプリカ生成器
1444 初期値生成器
17 パラメータ学習器
171 学習データセット
1711 送信信号
1712 受信信号
172 パラメータ学習システム
1721 BP検出器モジュール
1722 学習モジュール
173 学習されたパラメータセット
20 送信機
30 チャネル(伝送路)