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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003746
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】ガイド装置
(51)【国際特許分類】
   E05D 15/06 20060101AFI20230110BHJP
   E06B 3/46 20060101ALI20230110BHJP
   E05D 13/00 20060101ALI20230110BHJP
【FI】
E05D15/06 101A
E06B3/46
E05D13/00 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105010
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】592062725
【氏名又は名称】株式会社システックキョーワ
(74)【代理人】
【識別番号】100104134
【弁理士】
【氏名又は名称】住友 慎太郎
(74)【代理人】
【識別番号】100156225
【弁理士】
【氏名又は名称】浦 重剛
(74)【代理人】
【識別番号】100168549
【弁理士】
【氏名又は名称】苗村 潤
(74)【代理人】
【識別番号】100200403
【弁理士】
【氏名又は名称】石原 幸信
(74)【代理人】
【識別番号】100206586
【弁理士】
【氏名又は名称】市田 哲
(72)【発明者】
【氏名】高橋 徹
【テーマコード(参考)】
2E014
2E034
【Fターム(参考)】
2E014AA02
2E014FA04
2E014FA10
2E014FB05
2E014FB08
2E014FB10
2E014FB11
2E034BA15
2E034BE00
2E034CA01
2E034DA14
(57)【要約】
【課題】 上吊引戸の開閉方向の移動の際の接触による破損を抑制し得るガイド装置を提供する。
【解決手段】 床面Fから上下方向zに離間した状態で開閉方向xに移動可能な上吊引戸Dに用いられるガイド装置1である。床面Fに設けられるガイドピン2と、上吊引戸Dの下面Daに設けられるガイド溝3と、ガイド溝3に隣接して設けられるガイド受け4とを含んでいる。ガイド溝3は、ガイドピン2を開閉方向xに摺動可能な溝部31を有している。ガイド受け4は、上吊引戸Dの下面Daに固定される本体部材41と、磁力によりガイドピン2を床面Fから突出させることでガイド溝3の溝部31に誘導するホルダー部材42とを含んでいる。ホルダー部材42は、本体部材41に上下方向にスライド自在に配されている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
床面から上下方向に離間した状態で開閉方向に移動可能な上吊引戸に用いられるガイド装置であって、
前記床面に設けられるガイドピンと、前記上吊引戸の下面に設けられるガイド溝と、前記ガイド溝に隣接して設けられるガイド受けとを含み、
前記ガイド溝は、前記ガイドピンを開閉方向に摺動可能な溝部を有し、
前記ガイド受けは、前記上吊引戸の前記下面に固定される本体部材と、磁力により前記ガイドピンを前記床面から突出させることで前記ガイド溝の前記溝部に誘導するホルダー部材とを含み、
前記ホルダー部材は、前記本体部材に上下方向にスライド自在に配される、
ガイド装置。
【請求項2】
前記ホルダー部材は、少なくとも一部が前記本体部材よりも下方向に突出可能な下端面を有する、請求項1に記載のガイド装置。
【請求項3】
前記本体部材は、上下方向に延びる摺動部を有する、請求項1又は2に記載のガイド装置。
【請求項4】
前記摺動部は、前記本体部材の開閉方向において、前記ガイド溝の側に設けられた第1摺動部と、その反対側に設けられた第2摺動部とを含む、請求項3に記載のガイド装置。
【請求項5】
前記第1摺動部の長さは、前記第2摺動部の長さに等しい、請求項4に記載のガイド装置。
【請求項6】
前記ホルダー部材は、前記摺動部内を移動する突起部を有する、請求項3ないし5のいずれか1項に記載のガイド装置。
【請求項7】
前記ホルダー部材は、開閉方向から視たときの下端面が上方向に凹となる凹曲面である、請求項1ないし6のいずれか1項に記載のガイド装置。
【請求項8】
前記ガイドピンは、頂面が上方向に凸となる凸曲面であり、
前記ホルダー部材の前記凹曲面の曲率半径は、前記ガイドピンの前記凸曲面の曲率半径よりも大きい、請求項7に記載のガイド装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上吊引戸用のガイド装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、床面から上下方向に離間した状態で開閉方向に移動可能な上吊引戸用のガイド装置が知られている。例えば、下記特許文献1は、磁力によりガイド突起を突出させる磁着手段が、揺動自在に片持ちされた吸着台を備える引戸ガイド装置を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-043693
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の引戸ガイド装置は、吸着台が揺動自在に片持ちされているので、支点となる基端側の動きが制限され、磁着手段とガイド突起との接触状態によっては、吸着台が揺動せずに破損するという問題があった。
【0005】
本発明は、以上のような実状に鑑み案出されたもので、上吊引戸の開閉方向の移動の際の接触による破損を抑制し得るガイド装置を提供することを主たる目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、床面から上下方向に離間した状態で開閉方向に移動可能な上吊引戸に用いられるガイド装置であって、前記床面に設けられるガイドピンと、前記上吊引戸の下面に設けられるガイド溝と、前記ガイド溝に隣接して設けられるガイド受けとを含み、前記ガイド溝は、前記ガイドピンを開閉方向に摺動可能な溝部を有し、前記ガイド受けは、前記上吊引戸の前記下面に固定される本体部材と、磁力により前記ガイドピンを前記床面から突出させることで前記ガイド溝の前記溝部に誘導するホルダー部材とを含み、前記ホルダー部材は、前記本体部材に上下方向にスライド自在に配されることを特徴とする。
【0007】
本発明のガイド装置において、前記ホルダー部材は、少なくとも一部が前記本体部材よりも下方向に突出可能な下端面を有するのが望ましい。
【0008】
本発明のガイド装置において、前記本体部材は、上下方向に延びる摺動部を有するのが望ましい。
【0009】
本発明のガイド装置において、前記摺動部は、前記本体部材の開閉方向において、前記ガイド溝の側に設けられた第1摺動部と、その反対側に設けられた第2摺動部とを含むのが望ましい。
【0010】
本発明のガイド装置において、前記第1摺動部の長さは、前記第2摺動部の長さに等しいのが望ましい。
【0011】
本発明のガイド装置において、前記ホルダー部材は、前記摺動部内を移動する突起部を有するのが望ましい。
【0012】
本発明のガイド装置において、前記ホルダー部材は、開閉方向から視たときの下端面が上方向に凹となる凹曲面であるのが望ましい。
【0013】
本発明のガイド装置において、前記ガイドピンは、頂面が上方向に凸となる凸曲面であり、前記ホルダー部材の前記凹曲面の曲率半径は、前記ガイドピンの前記凸曲面の曲率半径よりも大きいのが望ましい。
【発明の効果】
【0014】
本発明のガイド装置は、ホルダー部材が、本体部材の内部に上下方向にスライド自在に配されるので、ホルダー部材とガイドピンとが接触したとしても、その接触状態によらずホルダー部材を上方向に移動させることができる。このため、本発明のガイド装置は、上吊引戸の開閉方向の移動の際の接触による破損を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明のガイド装置の一実施形態を示す斜視図である。
図2】床面と上吊引戸との間隔が第1距離であるときのガイド装置の断面図である。
図3】床面と上吊引戸との間隔が第2距離であるときのガイド装置の断面図である。
図4図2の上吊引戸が閉方向に移動したときのガイド装置の断面図である。
図5図3の上吊引戸が閉方向に移動したときのガイド装置の断面図である。
図6】ガイド受けの分解斜視図である。
図7】ガイド装置を閉方向から視たときの側面図である。
図8】ガイドピンの分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の一形態が図面に基づき詳細に説明される。
図1は、本実施形態のガイド装置1を示す斜視図である。図1に示されるように、本実施形態のガイド装置1は、床面Fから上下方向zに離間した状態で開閉方向xに移動可能な上吊引戸Dに好適に用いられる。
【0017】
ここで、本明細書において、開閉方向xは、上吊引戸Dが開閉動作されたときに動く方向であり、図1において符号xで示される方向に相当する。また、戸厚方向yは、上吊引戸Dの厚さ方向であり、図1において、符号yで示される方向に相当する。また、上下方向zは、重力が作用する方向であり、図1において、符号zで示される方向に相当する。なお、開閉方向xと戸厚方向yと上下方向zとは、互いに直交する方向である。
【0018】
本明細書において、開閉方向xは、閉方向x1と開方向x2とを含んでいる。また、上下方向zは、上方向z1と下方向z2とを含んでいる。さらに、ガイド装置1を構成する部材において特定される方向は、それぞれ、ガイド装置1が上吊引戸D及び床面Fに取り付けられたときの方向に相当する。
【0019】
このような上吊引戸Dは、予め定められた寸法で形成されている。このため、上吊引戸Dと床面Fとの間の上下方向zの間隔は、上吊引戸Dの取り付け位置の施工状態に応じてその距離が変動することがある。
【0020】
図2は、床面Fと上吊引戸Dとの間隔が第1距離L1であるときのガイド装置1の断面図であり、図3は、床面Fと上吊引戸Dとの間隔が第1距離L1よりも小さい第2距離L2であるときのガイド装置1の断面図である。図2及び図3に示されるように、本実施形態のガイド装置1は、床面Fに設けられるガイドピン2と、上吊引戸Dの下面Daに設けられるガイド溝3と、ガイド溝3に隣接して設けられるガイド受け4とを含んでいる。
【0021】
本実施形態のガイドピン2は、床面Fから上方向z1に突出可能に設けられている。ガイドピン2は、例えば、床面Fの内部に固定される固定部材21と、固定部材21に上下方向zに移動自在に保持された第1部材22と、第1部材22に上下方向zに移動自在に保持された第2部材23とを含んでいる。このようなガイドピン2は、上吊引戸Dに係合しないときに床面F内に収容されるので、上吊引戸Dを開放したときには、床面Fをフラットにすることができる。
【0022】
本実施形態のガイド溝3は、ガイドピン2の第2部材23を開閉方向xに摺動可能な溝部31を有している。ガイド溝3は、例えば、樹脂又は非磁性体の金属から形成されている。ガイド溝3が樹脂から形成される場合には、例えば、ABS樹脂が挙げられる。ガイド溝3が非磁性体の金属から形成される場合には、チタン、アルミニウム等から選択されるのが望ましい。このようなガイド溝3は、ガイドピン2と係合することで、上吊引戸Dの開閉方向xの移動を妨げることなく、上吊引戸Dの戸厚方向yの移動を抑制することができる。
【0023】
本実施形態のガイド受け4は、上吊引戸Dの下面Daに固定される本体部材41と、磁力によりガイドピン2の第2部材23を床面Fから突出させることでガイド溝3の溝部31に誘導するホルダー部材42とを含んでいる。
【0024】
本実施形態のホルダー部材42は、本体部材41に上下方向zにスライド自在に配されている。このようなガイド装置1は、ホルダー部材42とガイドピン2とが接触したとしても、その接触状態によらずホルダー部材42を上方向z1に移動させることができる。このため、本実施形態のガイド装置1は、上吊引戸Dの開閉方向xの移動の際の接触による破損を抑制することができる。
【0025】
より好ましい態様として、ホルダー部材42は、少なくとも一部が本体部材41よりも下方向z2に突出可能な下端面42aを有している。このようなホルダー部材42は、図2に示されるような床面Fと上吊引戸Dとの上下方向zの間隔が大きい場合にも、本体部材41よりも下方向z2に突出していることで、ホルダー部材42とガイドピン2との距離を小さくすることができる。
【0026】
このため、本実施形態のガイド装置1は、床面Fと上吊引戸Dとの上下方向zの間隔が大きい場合にも、ホルダー部材42とガイドピン2との間に磁力が作用することで、ガイドピン2の第2部材23を床面Fから確実に突出させることができる。
【0027】
本実施形態のホルダー部材42は、図3に示されるような床面Fと上吊引戸Dとの上下方向zの間隔が小さい場合であっても、下端面42aの少なくとも一部が本体部材41よりも下方向z2n突出している。
【0028】
ホルダー部材42は、例えば、上吊引戸Dの閉方向x1への移動に伴い、ガイド受け4がガイドピン2の上方向z1に位置したときに、ホルダー部材42とガイドピン2との接触により持ち上げられ、本体部材41の上方向z1に移動することができる。本実施形態のホルダー部材42は、上下方向zにスライド自在であることから、ガイドピン2に対する接触状態によらずスムーズに上下方向zに移動させることができる。
【0029】
このため、本実施形態のガイド装置1は、床面Fと上吊引戸Dとの上下方向zの間隔が小さい場合にも、ホルダー部材42が上方向z1へ移動することで、ホルダー部材42とガイドピン2との接触による破損を抑制することができる。
【0030】
図4は、図2の上吊引戸Dが閉方向x1に移動したときのガイド装置1の断面図である。図2及び図4に示されるように、本実施形態のホルダー部材42は、戸厚方向yから視たときの下端面42aが、ガイド溝3の側に向けて上下方向zの高さが高くなる傾斜面である。このようなガイド装置1は、上吊引戸Dの閉方向x1の移動に伴い、ガイドピン2の第2部材23をホルダー部材42の下端面42aに沿って徐々に上方向z1に突出させ、ガイド溝3の溝部31に係合可能な高さに誘導することができる。
【0031】
ガイドピン2は、第2部材23の突出高さが第2部材23の可動範囲を超える場合、図4に示されるように、第1部材22が上方向z1に突出するのが望ましい。第1部材22は、第1部材22と第2部材23とが異物の噛み込み等により一時的に固着しているときにも、上方向z1に突出するのが望ましい。このようなガイドピン2は、上吊引戸Dと床面Fとの間の上下方向zの間隔の許容値が大きく、第1部材22と第2部材23とが一時的に固着したときにも第2部材23の少なくとも一部が第1部材22から突出していれば上吊引戸Dのガイド装置1として機能させることができる。
【0032】
図5は、図3の上吊引戸Dが閉方向x1に移動したときのガイド装置1の断面図である。図3及び図5に示されるように、本実施形態のガイド装置1は、床面Fと上吊引戸Dとの上下方向zの間隔が小さい場合にも、上吊引戸Dの閉方向x1の移動に伴い、ガイドピン2の第2部材23をホルダー部材42の下端面42aに沿って徐々に上方向z1に突出させ、ガイド溝3の溝部31に係合可能な高さに誘導することができる。本実施形態のホルダー部材42は、ガイド溝3の側の端部も上方向z1に移動可能であることから、ガイドピン2の第2部材23の形状に対する許容値も大きい。
【0033】
図6は、ガイド受け4の分解斜視図である。図2ないし図6に示されるように、本実施形態のガイド受け4の本体部材41は、上吊引戸Dの下面Daに固定されたときに少なくとも下方向z2に開口する凹部43を有している。凹部43は、例えば、上吊引戸Dの下面Daに固定される前の単品状態では、上下方向zに貫通していてもよい。このような凹部43は、ホルダー部材42を上下方向zにスライド自在に収容することができる。
【0034】
本実施形態の本体部材41は、上下方向zに延びる摺動部44を有している。このような摺動部44は、ホルダー部材42が上下方向zに移動するときのホルダー部材42の姿勢を維持するのに役立つ。
【0035】
摺動部44は、本体部材41の開閉方向xにおいて、ガイド溝3の側に設けられた第1摺動部44Aと、その反対側に設けられた第2摺動部44Bとを含むのが望ましい。このような摺動部44は、開閉方向xに長さが戸厚方向yの幅よりも大きいホルダー部材42の姿勢を安定して維持することができる。
【0036】
図2に示されるように、第1摺動部44Aの長さL3は、第2摺動部44Bの長さL4に等しいのが望ましい。このような摺動部44は、ホルダー部材42を平行に上下方向zにスライドさせることに役立つ。
【0037】
図6に示されるように、本体部材41は、ガイド溝3と係合する少なくとも1つの、本実施形態で2つの係合部45を有している。このような係合部45は、ガイド溝3とのズレやガタを抑制し、ガイド受け4とガイド溝3との連結作業を容易化することに役立つ。
【0038】
本体部材41は、例えば、樹脂又は非磁性体の金属から形成されている。本体部材41が樹脂から形成される場合には、ポリアセタール、ポリアミド等から選択されるのが望ましい。本体部材41の樹脂には、例えば、強化繊維が含まれていてもよい。本体部材41が非磁性体の金属から形成される場合には、チタン、アルミニウム等から選択されるのが望ましい。このような本体部材41は、磁力の影響を受けるおそれがなく、複雑な形状への加工も容易である。
【0039】
図2ないし図6に示されるように、本実施形態のホルダー部材42は、下端面42aを構成するホルダー本体46と、ホルダー本体46に収容される磁石47とを含んでいる。 磁石47は、本体部材41の開閉方向xにおいて、ガイド溝3の側に収容される第1磁石47Aと、第1磁石47Aに隣接してガイド溝3から離れた側に収容される第2磁石47Bとを含むのが望ましい。
【0040】
第2磁石47Bは、第1磁石47Aよりも強力な磁力を有するのが望ましい。第1磁石47Aは、例えば、フェライト磁石である。第2磁石47Bは、例えば、ネオジム磁石である。このような磁石47は、ガイドピン2との距離が離れていても、第2磁石47Bの強力な磁力により、ガイドピン2の第2部材23を確実に突出させることができる。
【0041】
ホルダー本体46は、例えば、樹脂又は非磁性体の金属から形成されている。ホルダー本体46が樹脂から形成される場合には、ポリアセタール、ポリアミド等から選択されるのが望ましい。ホルダー本体46の樹脂には、例えば、強化繊維が含まれていてもよい。ホルダー本体46が非磁性体の金属から形成される場合には、チタン、アルミニウム等から選択されるのが望ましい。このようなホルダー本体46は、磁力の影響を受けるおそれがなく、本体部材41の凹部43内でのスライド移動もスムーズである。
【0042】
本実施形態のホルダー部材42のホルダー本体46は、本体部材41の摺動部44内を移動する突起部48を有している。突起部48は、本体部材41の開閉方向xにおいて、ガイド溝3の側に設けられた第1突起部48Aと、その反対側に設けられた第2突起部48Bとを含むのが望ましい。
【0043】
第1突起部48Aは、例えば、第1摺動部44A内を移動する。第2突起部48Bは、例えば、第2摺動部44B内を移動する。このような突起部48は、摺動部44との摩擦を低減しつつ、ホルダー部材42の姿勢を維持するのに役立つ。
【0044】
図6に示されるように、ホルダー部材42のホルダー本体46は、本体部材41の凹部43に接触する複数の突状部49を有するのが望ましい。突状部49は、例えば、上下方向zに延びている。このような突状部49は、ホルダー部材42と本体部材41との接触面積を低減することで、本体部材41との摩擦を低減しつつ、ホルダー部材42の姿勢を維持するのに役立つ。このため、本実施形態のホルダー部材42は、本体部材41の内部での上下方向zのスライド移動を、安定した姿勢でスムーズにすることができる。
【0045】
図2ないし図6に示されるように、ホルダー本体46は、例えば、磁石47を保持するための保持部50を有している。保持部50は、第1磁石47Aを保持する第1保持部50Aと、第2磁石47Bを保持する第2保持部50Bとを含むのが望ましい。本実施形態の第1保持部50A及び第2保持部50Bは、それぞれ、戸厚方向yに一対ずつ設けられている。このような保持部50は、ホルダー部材42が本体部材41の内部で激しく移動したときにも、磁石47を確実に保持することができる。
【0046】
図2ないし図5に示されるように、本実施形態の本体部材41は、凹部43の下端に形成され、第2部材23をガイド溝3に誘導するときに第2部材23の少なくとも一部の下側に位置する誘導部51を有している。このような誘導部51は、第1部材22と第2部材23とが一時的に固着したときにも第2部材23の少なくとも一部が第1部材22から突出していれば、ガイドピン2をガイド溝3に誘導することができる。
【0047】
誘導部51は、本体部材41の下端において、ガイド溝3の側から凹部43の内側に向けて鋭角に突出するのが望ましい。このような誘導部51は、第2部材23の第1部材22からの突出量が微小であっても、ガイドピン2をガイド溝3に誘導することができる。
【0048】
本実施形態の誘導部51は、下方向z2に突出する押下部51aを有している。このような押下部51aは、ガイドピン2の第1部材22と接触して、第1部材22を下方向z2に押し下げることができる。このため、本実施形態のガイド装置1は、第1部材22と第2部材23とが一時的に固着したときには、第2部材23も押し下げることができる。これにより、本実施形態のガイド装置1は、第2部材23が第1部材22から十分に突出していないときにも、第2部材23と誘導部51との接触による破損を抑制することができる。
【0049】
図7は、ガイド装置1を閉方向x1から視たときの側面図である。図7に示されるように、本実施形態のホルダー部材42は、開閉方向xから視たときの下端面42aが上方向z1に凹となる凹曲面である。このようなホルダー部材42は、ガイドピン2を突出させたときに、磁力により凹曲面の中央に向ける力が作用するため、ホルダー部材42とガイドピン2との戸厚方向yの中央位置を整列させることができる。
【0050】
ガイドピン2は、ホルダー部材42と接触する頂面2aが上方向z1に凸となる凸曲面であるのが望ましい。本実施形態のホルダー部材42の凹曲面の曲率半径R1は、ガイドピン2の凸曲面の曲率半径R2よりも大きい。このようなガイド装置1は、凹曲面の中央に向ける力を効率よく作用させることができ、ホルダー部材42とガイドピン2との戸厚方向yの中央位置をより確実に整列させることができる。
【0051】
ガイドピン2の第2部材23の戸厚方向yの最大幅W2は、ホルダー部材42の戸厚方向yの幅W1よりも小さいのが望ましい。このようなガイド装置1は、ホルダー部材42とガイドピン2との戸厚方向yのズレに対する許容値が大きく、上吊引戸Dが戸厚方向yにズレた位置で開閉方向xに移動したときにもホルダー部材42とガイドピン2とを整列させることができる。
【0052】
図8は、ガイドピン2の分解斜視図である。図8に示されるように、本実施形態のガイドピン2の固定部材21は、上下方向zに延びる固定孔21aを有する略円筒状の固定軸部21bを含んでいる。固定部材21は、固定軸部21bの周囲を覆う略円筒状のケース部24を含むのが望ましい。ケース部24は、例えば、固定軸部21bが配されるケース孔24aを有している。
【0053】
固定軸部21bは、例えば、樹脂又は非磁性体の金属から形成されている。固定軸部21bが樹脂から形成される場合には、ポリアセタール、ポリアミド等から選択されるのが望ましい。固定軸部21bの樹脂には、例えば、強化繊維が含まれていてもよい。固定軸部21bが非磁性体の金属から形成される場合には、チタン、アルミニウム等から選択されるのが望ましい。
【0054】
ケース部24は、例えば、樹脂又は非磁性体の金属から形成されている。ケース部24が樹脂から形成される場合には、ポリアセタール、ポリアミド等から選択されるのが望ましい。ケース部24の樹脂には、例えば、強化繊維が含まれていてもよい。ケース部24が非磁性体の金属から形成される場合には、チタン、アルミニウム等から選択されるのが望ましい。ケース部24は、固定軸部21bと同じ材質で形成されていてもよく、異なる材質で形成されていてもよい。
【0055】
ガイドピン2は、例えば、床面Fの内部に設置される際に、まず、床面Fに形成された取付孔にケース部24が配される。その後、固定軸部21bと第1部材22と第2部材23とが予め組み合わされた状態で、ケース部24のケース孔24aに嵌め込まれるのが望ましい。このようなガイドピン2は、床面Fへの設置作業が容易であり、作業効率を向上させることができる。
【0056】
固定部材21は、床面Fに対し、回動不能かつ上下方向zの移動不能にケース部24が固定されるのが望ましい。固定軸部21bは、ケース部24に対し、回動不能かつ上下方向zの移動不能に固定されるのが望ましい。このような固定部材21は、ガイドピン2の向きが変動することを抑制し、ガイドピン2に外力が作用したときにも固定状態を強固に維持することができる。なお、固定部材21は、例えば、固定軸部21bとケース部24とが一体的に形成されていてもよい。
【0057】
本実施形態のガイドピン2の第1部材22は、固定軸部21bの固定孔21aに上下方向zに移動自在に配された第1軸部22aと、第1軸部22aの上端に形成された第1頂部22bとを有している。第1軸部22aは、固定孔21aに対して、回動不能に配されるのが望ましい。このような第1部材22は、ガイドピン2に外力が作用したときにも回転することがなく、固定部材21に対して上下方向zにスムーズに移動することができる。
【0058】
第1部材22は、第2部材23を保持するための第1孔22cを有するのが望ましい。本実施形態の第1孔22cは、第1軸部22aの中心位置からオフセットした位置に設けられている。このようなガイドピン2は、床面Fに形成された取付孔が戸厚方向yにずれていた場合にも、第1部材22の固定孔21aへの取付角度を調整することで対応することができる。
【0059】
第1部材22は、例えば、樹脂又は非磁性体の金属から形成されている。第1部材22が樹脂から形成される場合には、ポリアセタール、ポリアミド等から選択されるのが望ましい。第1部材22の樹脂には、例えば、強化繊維が含まれていてもよい。第1部材22が非磁性体の金属から形成される場合には、チタン、アルミニウム等から選択されるのが望ましい。
【0060】
第2部材23は、第1部材22の第1孔22cに上下方向zに移動自在に配された第2軸部23aと、第2軸部23aの上端に形成された第2頂部23bとを有している。ホルダー部材42と接触するガイドピン2の頂面2a(図7に示す)は、第2頂部23bに形成されるのが望ましい。
【0061】
第2部材23は、例えば、磁性体から形成されている。本実施形態の第2部材23は、鉄製である。第2部材23は、例えば、第2軸部23aの下端に設けられた第2溝23cにワッシャ25が係合することで、第1孔22cから抜け出すことを抑制している。このような第2部材23は、ホルダー部材42の磁力により、上方向z1に突出させるのに適している。
【0062】
なお、上述の実施態様では、ガイド装置1がガイド溝3の閉方向x1の側に設けられたものが例示されているが、ガイド溝3の開方向x2の側にも設けられていてもよい。また、ガイドピン2は、床面Fに少なくとも1つ設けられていればよく、複数のガイドピン2が設けられていてもよい。
【0063】
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は、上述の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施され得る。
【符号の説明】
【0064】
1 ガイド装置
2 ガイドピン
3 ガイド溝
31 溝部
4 ガイド受け
41 本体部材
42 ホルダー部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8