(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037478
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】捜索システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20230308BHJP
【FI】
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144257
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】515347278
【氏名又は名称】株式会社インターネット・イノベーション
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】彌吉 伸二
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】捜索対象者の捜索情報を複数の捜索者に段階的に人数を増やして提供することで、捜索対象者の速やかな捜索と捜索対象者の捜索範囲を拡大とを両立させ、捜索対象者の発見・保護を効率よく図ることができる捜索システムを提供する。
【解決手段】捜索対象者の識別情報登録手段と、第1~第3捜索者の情報を登録する捜索者情報登録手段を備え、依頼者端末からの捜索対象者の捜索依頼を受信すると、第1捜索者が所持する捜索者端末に当該捜索対象者の識別情報及び捜索依頼からなる捜索情報を発信し、第1所定時間内に第1捜索者が捜索対象者を保護できなかった場合は、第2捜索者が所持する捜索者端末に捜索情報を発信し、第2所定時間内に第1捜索者及び第2捜索者が捜索対象者を保護できなかった場合は、第3捜索者が所持する捜索者端末に捜索情報を発信して、段階的に当該捜索対象者の捜索依頼を広げてゆく捜索システムとした。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
システムサーバと、
第1捜索者が所持する捜索者端末と、
第2捜索者が所持する捜索者端末と、
第3捜索者が所持する捜索者端末と、
捜索依頼者が管理する依頼者端末と、
が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された捜索システムであって、
前記依頼者端末は、
捜索対象者の識別情報を前記システムサーバに送信する識別情報送信手段と、
前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末の連絡先を前記システムサーバに送信する捜索者情報送信手段と、
前記捜索対象者の行方不明を検出すると、当該捜索対象者の捜索依頼を前記システムサーバに送信する捜索依頼手段と、
を備え、
前記システムサーバは、
前記依頼者端末から受信した捜索対象者の識別情報を登録する識別情報登録手段と、
前記依頼者端末から受信した前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末の情報を登録する捜索者情報登録手段と、
前記依頼者端末からの前記捜索対象者の捜索依頼を受信すると、前記第1捜索者が所持する前記捜索者端末に当該捜索対象者の識別情報及び捜索依頼とから構成される捜索情報を発信し、第1所定時間内に前記第1捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、前記第2捜索者が所持する前記捜索者端末に前記捜索情報を発信し、第2所定時間内に前記第1捜索者及び前記第2捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、前記第3捜索者が所持する前記捜索者端末に前記捜索情報を発信して、段階的に当該捜索対象者の捜索依頼を広げてゆくことを特徴とする捜索システム。
【請求項2】
前記第1捜索者は、前記捜索対象者の管理者又は保護者であり、前記第2捜索者は、前記捜索対象者の複数の関係者であり、前記第3捜索者は、前記捜索対象者の捜索に協力することを予め前記システムサーバに登録した複数の捜索協力者であり、前記システムサーバは、前記捜査協力者が任意に前記第3捜索者として登録又は抹消することができる第3捜索者登録抹消手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の捜索システム。
【請求項3】
前記捜索情報は、前記捜索対象者の住所、氏名、年齢、性別、既往歴、写真、前記捜索対象者の行方不明時の服装の特徴、身体的特徴からなる当該捜索対象者を識別可能な情報と、当該捜索対象者の行方不明を検出した時間、当該捜索対象者が頻繁に立ち寄る場所から構成されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の捜索システム。
【請求項4】
前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者のいずれかが前記捜索対象者を発見した場合、各捜索者が所持する前記捜索者端末を介して前記捜索対象者の発見情報を前記システムサーバに送信し、
前記システムサーバは、受信した前記捜索対象者の発見情報に含まれる位置情報を、当該捜索対象者が居住する地域の地図に合成することで、当該捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を作成して、当該地図情報を前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末に送信する地図情報送信手段を備えることを特徴とする請求項1~3のいずれか1項に記載の捜索システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、予め登録された捜索対象者が行方不明となった場合に、捜索者が所持する携帯端末に捜索対象者の捜索情報を送信し、捜索対象者の捜索を捜索者に依頼する捜索システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、行方不明の捜索対象者すなわち老人の徘徊や子供の迷子等を捜索する場合、捜索者は捜索対象者の家族、近親者に限定されるためその捜索範囲は狭範囲に限定されていた。このため、捜索対象者の発見・保護は難しく、結局、警察や消防等の専門家に捜索対象者の捜索を依頼することになる。
【0003】
また、近年では、スマートフォン等の携帯端末において、地図アプリケーション(以下、地図アプリ)の発達が顕著であり、携帯端末はGPS機能も備えているため、携帯端末の所持者は自身の現在の位置を地図アプリ等で容易に確認することができる。
【0004】
そこで、依頼者端末装置から捜索対象者の捜索依頼を受信した管理サーバは、捜索依頼を登録された複数の捜索協力者の携帯端末装置に対し配信し、各携帯端末装置から返信される捜索対象者が所持するRFタグのタグIDの検出又は未検出の情報及び該捜索協力者の携帯端末装置の位置情報を含む捜索結果通知を受信する。そして、捜索結果通知に捜索対象者のタグID検出情報が含まれている場合、該通知に含まれる位置情報を含む発見通報を依頼者端末装置に送信する。また、捜索結果通知にタグID未検出情報が含まれる場合、捜索マップ情報(地図アプリ)の、該通知に含まれる位置情報の位置に、未発見位置を示すマークを追加して、捜索マップ情報を更新し、該捜索マップ情報を各携帯端末装置又は依頼者端末装置に対して配信することで、捜索効率を極力高め、捜索協力者の確保も効果的に行う捜索システムが提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示す捜索システムは、捜索対象者が所持するRFタグのタグIDを検出することで捜索対象者を捜索するシステムであるため、そもそも捜索対象者がRFタグを所持していない場合は、捜索することができずシステムが成り立たない。また、常時捜索対象者が所持するように、例えば、捜索対象者の衣類(上着等)や靴にRFタグを貼付することもできるが、それでも貼付した衣類や靴を外出時に装着しているとは限らない。このため、RFタグを所持(貼付)していない捜索対象者の捜索はできなかった。
【0007】
本発明では、自身の所在を示す電波の発信機(RFタグ等)を装着していない捜索対象者が行方不明になった場合でも、捜索対象者の捜索情報を複数の捜索者に段階的に人数を増やして提供することで、捜索対象者の捜索を速やかに実行するとともに、捜索対象者の捜索範囲を拡大することにより、捜索対象者の発見・保護を効率よく図ることができる捜索システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明は、システムサーバと、第1捜索者が所持する捜索者端末と、第2捜索者が所持する捜索者端末と、第3捜索者が所持する捜索者端末と、捜索依頼者が管理する依頼者端末と、が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された捜索システムであって、前記依頼者端末は、捜索対象者の識別情報を前記システムサーバに送信する識別情報送信手段と、前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末の連絡先を前記システムサーバに送信する捜索者情報送信手段と、前記捜索対象者の行方不明を検出すると、当該捜索対象者の捜索依頼を前記システムサーバに送信する捜索依頼手段と、を備え、前記システムサーバは、前記依頼者端末から受信した捜索対象者の識別情報を登録する識別情報登録手段と、前記依頼者端末から受信した前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末の情報を登録する捜索者情報登録手段と、前記依頼者端末からの前記捜索対象者の捜索依頼を受信すると、前記第1捜索者が所持する前記捜索者端末に当該捜索対象者の識別情報及び捜索依頼とから構成される捜索情報を発信し、第1所定時間内に前記第1捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、前記第2捜索者が所持する前記捜索者端末に前記捜索情報を発信し、第2所定時間内に前記第1捜索者及び前記第2捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、前記第3捜索者が所持する前記捜索者端末に前記捜索情報を発信して、段階的に当該捜索対象者の捜索依頼を広げてゆくことを特徴とする捜索システムとした。
【0009】
また、前記第1捜索者は、前記捜索対象者の管理者又は保護者であり、前記第2捜索者は、前記捜索対象者の複数の関係者であり、前記第3捜索者は、前記捜索対象者の捜索に協力することを予め前記システムサーバに登録した複数の捜索協力者であり、前記システムサーバは、前記捜査協力者が任意に前記第3捜索者として登録又は抹消することができる第3捜索者登録抹消手段を備えていることを特徴とする。
【0010】
また、前記捜索情報は、前記捜索対象者の住所、氏名、年齢、性別、既往歴、写真、前記捜索対象者の行方不明時の服装の特徴、身体的特徴からなる当該捜索対象者を識別可能な情報と、当該捜索対象者の行方不明を検出した時間、当該捜索対象者が頻繁に立ち寄る場所から構成されていることを特徴とする。
【0011】
また、前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者のいずれかが前記捜索対象者を発見した場合、各捜索者が所持する前記捜索者端末を介して前記捜索対象者の発見情報を前記システムサーバに送信し、前記システムサーバは、受信した前記捜索対象者の発見情報に含まれる位置情報を、当該捜索対象者が居住する地域の地図に合成することで、当該捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を作成して、当該地図情報を前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末に送信する地図情報送信手段を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明は、システムサーバが依頼者端末からの捜索対象者の捜索依頼を受信すると、第1捜索者が所持する捜索者端末に当該捜索対象者の識別情報及び捜索依頼からなる捜索情報を発信し、第1所定時間内に第1捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、第2捜索者が所持する捜索者端末に前記捜索情報を発信し、第2所定時間内に第1捜索者及び第2捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、第3捜索者が所持する捜索者端末に前記捜索情報を発信して、段階的に当該捜索対象者の捜索依頼を広げてゆく捜索システムである。
【0013】
すなわち、捜索対象者の捜索情報を、第1捜索者、第2捜索者及び第3捜索者等の複数の捜索者に段階的に人数を増やして捜索を依頼することで、捜索対象者の捜索を速やかに実行するとともに、捜索対象者の捜索範囲を効率よく拡大することできる。これにより、捜索対象者の発見・保護を速やかに図ることができる。さらに、捜索対象者に起こりうる事故等の不測の事態を未然に防止することが可能となる。このように早期保護は、警察、消防、自治体職員等捜索担当者の人的資源の省力化を可能とするとともに、捜索に係る省コスト化を図ることができる。
【0014】
また、第1捜索者は、捜索対象者の管理者又は保護者であり、第2捜索者は、捜索対象者の複数の関係者であり、第3捜索者は、捜索対象者の捜索に協力することを予め前記システムサーバに登録した複数の捜索協力者である。そして、システムサーバは、捜査協力者が任意に第3捜索者として登録又は抹消することができる第3捜索者登録抹消手段を備えている。
【0015】
このように、捜索対象者に一番近く、なおかつ、日常の捜索対象者の行動を把握している管理者及び保護者を第1捜索者とすることにより速やかな捜索対象者の発見につなげることができる。また、捜索対象者の複数の関係者(捜索対象者が介護施設等に入居している場合は、施設の従員や出入り業者、家族、近隣に居住する親戚や友人等)を第2捜索者とすることにより、管理者や保護者と同様に日常の捜索対象者の行動を把握する捜索者が大人数で捜索対象者を捜索することにより、より確実な捜索対象者の発見・保護に繋げることができる。
【0016】
さらに、善意の複数の捜索協力者を第3捜索者として登録することにより、さらなる大人数の捜索者で捜索対象者を捜索することになり、例え捜索対象者の速やかな保護(確保)に繋がらなくても、第3捜索者による捜索対象者の発見情報を収集することにより、捜索対象者の行動履歴を把握することができ、第1捜索者や第2捜索者による捜索対象者の発見・保護に繋げることができる。ここで、捜査協力者とは、捜索対象者が居住する地域の周辺を移動するタクシー運転手、宅配事業者等であり、本システムの主旨(捜索対象者の早期発見)に賛同する捜査協力者である。また、第3捜索者として登録された捜査協力者は、任意のタイミングで本システムの第3捜索者に登録したり登録を抹消したりすることができる。
【0017】
また、捜索情報は、捜索対象者の住所、氏名、年齢、性別、認知症等の既往歴、写真、捜索対象者の行方不明時の服装の特徴、身体的特徴からなる当該捜索対象者を識別可能な情報と、当該捜索対象者の行方不明を検出した時間、当該捜索対象者が頻繁に立ち寄る場所から構成されていることを特徴とする。
【0018】
つまり、捜索対象者の写真(少なくとも捜索対象者を識別可能な顔写真や全身写真)スや身体的な特徴等からなる捜索対象者を確実に識別することができる捜索情報を第1~第3捜索者に提供することで、より確実な捜索対象者の発見・保護を図ることが可能となる。このとき、捜索情報には捜索対象者の個人情報が含まれているため、特に第3捜索者として登録する捜査協力者は、捜索対象者の個人情報を外部に無断で発信しないように機密保持契約(守秘義務契約)を締結することが必須である。
【0019】
また、第1捜索者、第2捜索者及び第3捜索者のいずれかが捜索対象者を発見した場合、各捜索者が所持する捜索者端末を介して捜索対象者の発見情報をシステムサーバに送信し、システムサーバは、受信した捜索対象者の発見情報に含まれる位置情報を、当該捜索対象者が居住する地域の地図に合成することで、当該捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を作成して、当該地図情報を第1捜索者、第2捜索者及び第3捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末に送信する地図情報送信手段を備えている。
【0020】
つまり、第1捜索者、第2捜索者及び第3捜索者からなる複数の捜索者が、捜索対象者を発見した場合でも、すぐに捜索対象者を保護することができるとは限らない。例えば、第3捜索者として登録した宅配業者等が捜索対象者を発見したとしても、すぐに保護できるケースはめったに起こりえない。この場合、各捜索者が所持する捜索者端末を介して捜索対象者の発見情報をシステムサーバに送信する。この発見情報には、捜索対象者の様子を書き込むコメント欄や撮像した写真や動画を貼付する機能が含まれている。捜索者は、自身の捜索端末のGPS機能を有効にするとともに、コメントや写真等を貼付して発見情報としてシステムサーバに送信する。システムサーバは、受信した発見情報の中から捜索端末のGPS機能による位置情報を、当該捜索対象者が居住する地域の地図に受信した順番で合成することで、当該捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を作成し、各捜索者が所持する捜索者端末に送信する。
【0021】
これにより、捜索対象者の速やかなる保護を目的とした第1捜索者又は第2捜索者は、捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報に示されている地域を重点的に捜索することで、確実な捜索対象者の発見・保護を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態の捜索システムの構成を示す図である。
【
図2】本実施形態の捜索システムのシステムサーバの電気的構成を示すブロック図である。
【
図3】本実施形態の捜索システムの各種登録処理を説明するフローチャートである。
【
図4】本実施形態の捜索システムの捜索処理を説明するフローチャートである。
【
図5】本実施形態の捜索システムの捜索情報を説明する図である。
【
図6】本実施形態の捜索システムの地図情報を説明する図である。
【
図7】本実施形態の捜索システムの地図情報を説明する図である。
【
図8】本実施形態の捜索システムの地図情報を説明する図である。
【
図9】本実施形態の捜索システムの地図情報を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は、システムサーバと、第1捜索者が所持する捜索者端末と、第2捜索者が所持する捜索者端末と、第3捜索者が所持する捜索者端末と、捜索依頼者が管理する依頼者端末と、が公衆通信回線網で互いに通信可能に接続された捜索システムであって、前記依頼者端末は、捜索対象者の識別情報を前記システムサーバに送信する識別情報送信手段と、前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末の連絡先を前記システムサーバに送信する捜索者情報送信手段と、前記捜索対象者の行方不明を検出すると、当該捜索対象者の捜索依頼を前記システムサーバに送信する捜索依頼手段と、を備え、前記システムサーバは、前記依頼者端末から受信した捜索対象者の識別情報を登録する識別情報登録手段と、前記依頼者端末から受信した前記第1捜索者、前記第2捜索者及び前記第3捜索者がそれぞれ所持する前記捜索者端末の情報を登録する捜索者情報登録手段と、前記依頼者端末からの前記捜索対象者の捜索依頼を受信すると、前記第1捜索者が所持する前記捜索者端末に当該捜索対象者の識別情報及び捜索依頼とから構成される捜索情報を発信し、第1所定時間内に前記第1捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、前記第2捜索者が所持する前記捜索者端末に前記捜索情報を発信し、第2所定時間内に前記第1捜索者及び前記第2捜索者が前記捜索対象者を保護できなかった場合は、前記第3捜索者が所持する前記捜索者端末に前記捜索情報を発信して、段階的に当該捜索対象者の捜索依頼を広げてゆくことを特徴とする捜索システムに関する。
【0024】
以下、本実施形態に係る捜索システムの一例について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態の捜索システムの構成を示す図である。
図2は、本実施形態の捜索システムのシステムサーバの電気的構成を示すブロック図である。
図3は、本実施形態の捜索システムの各種登録処理を説明するフローチャートである。
図4は、本実施形態の捜索システムの捜索処理を説明するフローチャートである。
図5は、本実施形態の捜索システムの捜索情報を説明する図である。
図6~
図9は、本実施形態の捜索システムの地図情報を説明する図である。なお、以下の説明では、介護を必要とする高齢者が入居している介護施設において、本システムに登録されている捜索対象者が行方不明となった場合に、この捜索対象者を捜索して発見・保護するための捜索システムの流れを一例として説明する。
【0025】
[1.捜索システムの構成]
図1に示すように、捜索システム1は、この捜索システム1を運用するシステム事業者100が管理するシステムサーバ10と、この捜索システム1を利用する介護施設の捜索依頼者200が管理する依頼者端末30と、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500から構成される複数の捜索者がそれぞれ所持する複数の捜索者端末20とにより構成され、システムサーバ10、捜索者端末20及び依頼者端末30は、公衆通信回線網60を介してそれぞれ相互に通信可能に接続されている。
【0026】
システムサーバ10としては、周知のコンピュータ(サーバやデスクトップパソコン等)が好適に用いられるが、公衆通信回線網60を介して捜索者端末20及び依頼者端末30と相互に通信可能な機能を備えたものであればよい。また、捜索者端末20及び依頼者端末30は、公衆通信回線網60を介してシステムサーバ10と相互に通信可能な機能を備えた周知のデスクトップパソコン、ノートパソコン、スマートフォン、タブレット端末等であり、特に捜索者端末20は、位置情報を発信可能なGPS機能を備え、携帯に優れたスマートフォンが好適に用いられる。また、公衆通信回線網60は、周知のインターネット回線、携帯電話通信回線、電話回線、通信衛星回線等である。
【0027】
上記構成において、捜索システム1を利用する捜索依頼者200が所属する介護施設は、予めシステムサーバ10に捜索対象者の氏名、年齢、性別、既往歴(認知症の有無等)、写真、身体的特徴からなる当該捜索対象者を識別可能な識別情報を登録しておく。さらに、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500から構成される複数の捜索者がそれぞれ所持する複数の捜索者端末20の連絡先(電話番号、メールアドレス等)もシステムサーバ10に登録される。
【0028】
つまり、捜索依頼者200が所属する介護施設が捜索システム1と契約する場合は、予めシステムサーバ10への各種情報の登録が必要となる。このため、契約時に捜索依頼者200が依頼者端末30によりシステムサーバ10にアクセスすると、依頼者端末30に対してシステムサーバ10から専用のユーザIDとパスワードが発行される。このユーザIDやパスワードにより、捜索依頼者200が依頼者端末30からシステムサーバ10にアクセスすることで、各種データ(捜索対象者の識別情報、複数の捜索者がそれぞれ所持する複数の捜索者端末20の電話番号、メールアドレス等)が登録されて捜索システム1の利用が開始される。
【0029】
介護施設が捜索システム1と契約する際に、捜索依頼者200の依頼者端末30に、専用のアイコンがシステムサーバ10からダウンロードされ、この専用のアイコンを選択することでシステムサーバ10とのアクセスが可能なように構成してもよい。これにより、捜索依頼者200は、依頼者端末30を介して予めシステムサーバ10に登録された各種データ(捜索対象者の識別情報、複数の捜索者がそれぞれ所持する複数の捜索者端末20の電話番号、メールアドレス等)に変更または更新の必要が生じた場合に任意のタイミングで更新することができる。
【0030】
システムサーバ10は、依頼者端末30から行方不明となった捜索対象者の捜索依頼を受信すると、第1捜索者300が所持する捜索者端末20に当該捜索対象者の識別情報及び捜索依頼からなる捜索情報を発信し、第1所定時間内(例えば、30分)に第1捜索者300が捜索対象者を保護できなかった場合は、第2捜索者400が所持する捜索者端末20に捜索情報を発信し、第2所定時間内(例えば、1時間)に第1捜索者300及び第2捜索者400が捜索対象者を保護できなかった場合は、第3捜索者500が所持する捜索者端末20に捜索情報を発信することで段階的に当該捜索対象者の捜索依頼を広げてゆく。
【0031】
このように、捜索対象者の捜索情報を、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500等の複数の捜索者に段階的に人数を増やして提供して捜索を依頼することで、捜索対象者の捜索を速やかに実行するとともに、捜索対象者の捜索範囲を効率よく拡大することできる。これにより、捜索対象者の発見・保護を速やかに図ることができ、さらに不測の事態を未然に防止することが可能となる。
【0032】
また、第1捜索者300は、捜索対象者に一番近く、なおかつ、日常の捜索対象者の行動を把握している管理者及び保護者である。第2捜索者400は、捜索対象者の複数の関係者(捜索対象者が介護施設等に入居している場合は、施設の従員や出入り業者、家族、近隣に居住する親戚や友人等)である。第3捜索者500は、善意の複数の捜索協力者である。複数の捜査協力者は、捜索対象者が居住する地域の周辺を移動するタクシー運転手、宅配事業者等であり、本システムの主旨(捜索対象者の早期発見)に賛同する協力者である。システムサーバ10は、捜査協力者が任意に第3捜索者500として登録又は抹消することができる第3捜索者登録抹消手段を備えている。
【0033】
このように、捜索対象者に一番近く、なおかつ、日常の捜索対象者の行動を把握している管理者及び保護者を第1捜索者300とすることにより速やかな捜索対象者の発見につなげることができる。また、捜索対象者の複数の関係者(捜索対象者が介護施設等に入居している場合は、施設の従員や出入り業者、家族、近隣に居住する親戚や友人等)を第2捜索者400とすることにより、管理者や保護者と同様に日常の捜索対象者の行動を把握しているより大人数の捜索者で捜索対象者を捜索することができ、より確実な捜索対象者の発見・保護に繋げることができる。
【0034】
善意の複数の捜索協力者を第3捜索者500として登録することにより、さらなる大人数の捜索者で捜索対象者を捜索することになり、速やかな保護に繋がらなくても第3捜索者500による捜索対象者の発見情報を収集することにより、捜索対象者の行動履歴を把握することができ、第1捜索者や第2捜索者による捜索対象者の発見・保護に繋げることができる。
【0035】
また、捜索情報は、予めシステムサーバ10に登録された捜索対象者の住所、氏名、年齢、性別、既往歴、写真(少なくとも捜索対象者の顔を識別可能な顔写真や全身写真等)、身体的特徴からなる当該捜索対象者を識別可能な識別情報と、捜索依頼者が当該捜索対象者の行方不明を検出した時間、捜索依頼者200が確認した捜索対象者の行方不明時の服装の特徴、当該捜索対象者が頻繁に立ち寄る場所から構成されている。
【0036】
また、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500のいずれかが捜索対象者を発見した場合、各捜索者が所持する捜索者端末20を介して捜索対象者の発見情報としてシステムサーバ10に送信する。この発見情報には、捜索対象者の様子を書き込むコメントや撮像した写真や動画を貼付することができるようにしている。各捜索者は、自身の捜索者端末20のGPS機能を有効にするとともに、コメントや写真等を貼付して発見情報としてシステムサーバ10に送信する。システムサーバ10は、受信した発見情報の中から捜索端末のGPS機能による位置情報を、捜索対象者が居住する地図に受信した順番で合成することで、行方不明となっている捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を作成し、各捜索者が所持する捜索者端末20に作成した地図情報を送信する(地図情報送信手段)。
【0037】
これにより、捜索対象者の速やかなる保護を目的とした第1捜索者300又は第2捜索者400は、捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報に示されている地域を重点的に捜索することで、確実な捜索対象者の発見・保護を図ることが可能となる。
【0038】
[2.システムサーバの電気的構成]
以下、
図2を参照して、本実施形態の捜索システム1におけるシステムサーバ10の電気的構成を説明する。
図2に示すように、システムサーバ10は、記憶部11、入出力制御部12、制御部13、外部通信制御部14などから構成されている。
【0039】
記憶部11は、HDD(Hard Disk Drive)やフラッシュメモリ等の大容量記憶装置により構成されている。また、記憶部11は、捜索依頼者200の依頼者端末30から登録された当該介護施設の捜索対象者の捜索の為に識別情報を記憶する識別情報記憶領域、複数の捜索者がそれぞれ所持する複数の捜索者端末20の電話番号、メールアドレス等を、それぞれ第1捜索者300の情報、第2捜索者400の情報及び第3捜索者500の情報として記憶する捜索者情報記憶領域と、捜索対象者が行方不明となった場合に、各捜索者が所持する捜索者端末20を介して捜索対象者を発見した位置情報を含む発見情報を、該当する地域の地図に合成することで作成した捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を記憶する地図情報記憶領域が設けられている。
【0040】
入出力制御部12は、システムサーバ10に接続されている図示しない液晶表示装置や、キーボード/マウスなどの外部入出力装置との通信を制御する。
【0041】
制御部13は、図示しないCPU(中央演算装置)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリなどで構成されている。また、この制御部13のCPUは、ROM又は記憶部11に予め記憶されている各種プログラムを実行することにより、本実施形態における各種処理(識別情報登録処理、捜索処理等)として機能することになる。
【0042】
外部通信制御部14は、外部の公衆通信回線網60と接続され、制御部13の指示に基づいて、捜索システム1における複数の捜索者端末20や依頼者端末30との通信を制御する。すなわち、外部通信制御部14は、詳細は後述するが、制御部13の指示に基づいて、各捜索者が所持する捜索者端末20への捜索対象者の識別情報及び捜索依頼からなる捜索情報を送信し、各捜索者の捜索者端末20からの捜索対象者の発見情報の受信等を制御する。
【0043】
[3.捜索システムの各種データ登録処理]
以下、
図3を参照して、本実施形態の捜索システム1のシステムサーバ10と依頼者端末30との間で実行される各種情報(捜索者情報及び捜索対象者の識別情報)の登録処理を説明する。
【0044】
最初に、捜索依頼者200は、依頼者端末30により公衆通信回線網60(例えば、インターネット回線)を介して、システムサーバ10にアクセス(接続)する(ステップS1)。本実施形態の捜索システム1を利用する捜索依頼者200は、予めシステムサーバ10に登録されており、登録時にシステムサーバ10から専用のユーザID及びパスワードが発行される。捜索依頼者200は依頼者端末30からユーザID及びパスワードを入力してシステムサーバ10にアクセス(所謂、ログイン)する。以後、システムサーバ10と依頼者端末30とが公衆通信回線網60(例えば、インターネット回線)を介して接続状態となる。なお、依頼者端末30からシステムサーバ10へのアクセスは、捜索依頼者200のシステムサーバ10への登録時に、専用のアイコンがシステムサーバ10から依頼者端末30にダウンロードされ、以後、捜索依頼者200は依頼者端末30の表示手段(液晶表示装置等)に表示される専用のアイコンを選択(所謂、クリック)するだけで、システムサーバ10にアクセスできるようにしてもよい。
【0045】
依頼者端末30からアクセス(ログイン)されたシステムサーバ10は、捜索依頼者200を認識して、捜索依頼者200が所属する障害施設において、徘徊(行方不明)の不安がある捜索対象者の識別情報を登録するために所定の識別情報入力フォーマットを依頼者端末30に送信する(ステップS2)。
【0046】
識別情報入力フォーマットを受信した捜索依頼者200は、依頼者端末30により捜索対象者の識別情報を入力してシステムサーバ10に送信する(ステップS3)。この処理が本実施形態における識別情報送信手段として機能する。捜索対象者の識別情報は、当該施設における複数の居住者を捜索対象者として登録可能としている。識別情報は捜索対象者の住所、氏名、年齢、性別、既往歴(認知症の有無等)、写真、捜索対象者の身体的特徴等から構成されている。
【0047】
システムサーバ10は、依頼者端末30から受信した捜索対象者の識別情報を、記憶部11の識別情報記憶領域に設けられた捜索対象者の識別情報として記憶する(ステップS4)。このステップS2~S4の処理が本実施形態の識別情報登録手段として機能する。
【0048】
システムサーバ10は、捜索依頼者200が所属する障害施設において、徘徊(行方不明)の不安がある捜索対象者の複数の捜索者(第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500)がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報(連絡先である電話番号、メールアドレス等)を登録するための所定の第1~第3捜索者情報入力フォーマットを依頼者端末30に送信する(ステップS5)。
【0049】
第1~第3捜索者情報入力フォーマットを受信した捜索依頼者200は、依頼者端末30により各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報(連絡先である電話番号、メールアドレス等)を入力してシステムサーバ10に送信する(ステップS6)。この処理が本実施形態における捜索者情報送信手段として機能する。システムサーバ10は、受信した各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報を、記憶部11の捜索者情報記憶領域に第1捜索者の情報、第2捜索者の情報及び第3捜索者の情報としてそれぞれ記憶する(ステップS7)。このステップS5~S7の処理が本実施形態の捜索者情報登録手段として機能する。なお、この捜索者情報登録手段で登録される第1捜索者の情報、第2捜索者の情報及び第3捜索者の情報は、各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報(連絡先である電話番号、メールアドレス等)だけではなく、各捜索者の住所、氏名、性別、年齢、捜索対象者との関係、業種なども登録される。
【0050】
システムサーバ10は、受信した捜索対象者の識別情報と各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報の登録完了を依頼者端末30に送信する(ステップS8)。捜索依頼者200は、依頼者端末30に受信した各種データの登録完了を確認すると、依頼者端末30によるシステムサーバ10へのアクセス(接続)を切断する(ステップS9)。
【0051】
上述したように、本実施形態においては、捜索対象者の捜索に必要な各種情報(捜索者情報及び捜索対象者の識別情報)の登録は、システムサーバ10と依頼者端末30との通信により行われる。なお、一旦登録された捜索対象者の捜索に必要な各種情報は、変更(更新)の必要が生じた場合、上述したステップS1~S9を、捜索依頼者200が任意のタイミングで実行することで変更(更新)することができる。
【0052】
上記ステップS5~S7の捜索者情報登録手段で登録される第3捜索者500は、介護施設が所属する地域(例えば、市町村)において通常取引のある配送業者やタクシー業者に、捜索依頼者200(又は、施設の管理者)が第3捜索者500としての協力を依頼し、捜索システム1の主旨に賛同して協力を承諾した捜索協力者である。ここで登録される第3捜索者500は、捜索対象者の個人情報を外部に無断で発信しないように機密保持契約(守秘義務契約)を締結した捜索協力者である。
【0053】
以下、捜索システム1の主旨(捜索対象者の早期発見)に賛同する複数の捜索協力者が第3捜索者500として登録又は登録の抹消を行う手順を説明する。本実施形態の捜索システム1を運用するシステム事業者100は、自身が開設しているホームページやチラシ等の広告媒体において、善意の複数の捜索協力者を募集している。この場合、ホームページやチラシ等の広告媒体に二次元バーコード(所謂、QRコード(登録商標))を記載し、二次元バーコードを捜索協力者が所持する携帯端末(所謂、スマートフォン)で読み取ることで、システムサーバ10に容易にアクセス(接続)可能としている。
【0054】
図3に示すように、第3捜索者500として登録又は登録の削除を所望する捜査協力者(以下、第3捜索者500という)は、例えば、ホームページやチラシ等の広告媒体に記載(印刷)されている二次元バーコードを捜索者端末20により読み取ることで、公衆通信回線網60(例えば、インターネット回線)を介して、システムサーバ10にアクセス(接続)する(ステップS10)。システムサーバ10は、捜索システム1に第3捜索者500として登録するための、第3捜索者500がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報(連絡先である電話番号、メールアドレス等)を登録するための所定の第3捜索者情報入力フォーマットを捜索者端末20に送信する(ステップS11)。このとき、第3捜索者500が本システムに既に登録されている場合は、登録されている第3捜索者500の第3捜索者情報入力フォーマットを捜索者端末20に送信する。
【0055】
第3捜索者情報入力フォーマットを受信した第3捜索者500は、捜索者端末20により、新規登録の場合は自身が所持する捜索者端末20の情報(連絡先である電話番号、メールアドレス等)を入力する。また、既に登録している場合は、第3捜索者500の第3捜索者情報入力フォーマットの内容を変更する。このとき、登録した内容を初期化(空白とする)することで、第3捜索者500としての登録を抹消することができる。第3捜索者500は、第3捜索者情報入力フォーマットをシステムサーバ10に送信する(ステップS12)。このとき、本実施形態の捜索システム1に第3捜索者500として登録される捜索者端末20の情報は、連絡先である電話番号、メールアドレス以外にも、第3捜索者500の住所、氏名、年齢、職業等も併せて登録される。さらに、ここで登録される第3捜索者500は、捜索対象者の個人情報を外部に無断で発信しない旨の機密保持契約(守秘義務契約)を締結した捜索協力者だけが第3捜索者500として登録される。
【0056】
システムサーバ10は、受信した第3捜索者500がそれぞれ所持する捜索者端末20の情報を、記憶部11の所定の領域に設けられた捜索者情報記憶手段に第3捜索者の情報としてそれぞれ記憶する(ステップS13)。このとき、第3捜索者情報入力フォーマットが初期化されていた場合は、当該第3捜索者500の登録を抹消する。システムサーバ10は、第3捜索者500の登録(変更を含む)又は登録抹消の完了を捜索者端末20に送信する(ステップS14)。
【0057】
第3捜索者500は、捜索者端末20に受信した第3捜索者500としての登録(変更を含む)又は登録抹消の完了を確認すると、捜索者端末20によるシステムサーバ10へのアクセス(接続)を切断する(ステップS15)。このステップS10~S15の処理が本実施形態の捜査協力者が任意に第3捜索者500として登録又は抹消することができる第3捜索者登録抹消手段又は捜索者情報登録手段として機能する。
【0058】
[4.捜索対象者の捜索処理]
以下、
図4を参照して、本実施形態の捜索システム1における捜索対象者の捜索処理を説明する。この処理は上述したシステムサーバ10と各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20とが協働して実行される処理である。また、この捜索処理は、捜索依頼者200が所属する介護施設において、捜索対象者の居所が不明(つまり、行方不明)であると認識した場合に、捜索依頼者200が依頼者端末30を介してシステムサーバ10に捜索依頼を送信したことを契機として実行される処理である。
【0059】
図4に示すように、捜索依頼者200は、捜索対象者の不在を検出すると、依頼者端末30によりシステムサーバ10に当該捜索対象者の捜索依頼を送信する(ステップS19)。この処理が捜索システム1における捜索依頼手段として機能する。システムサーバ10は、捜索依頼者200の依頼者端末30から捜索対象者の捜索依頼を受信すると、第1捜索者300の捜索者端末20に捜索依頼を送信する(ステップS20)。捜索依頼を受信した第1捜索者300は、捜索対象者の捜索を開始する(ステップS21)。
【0060】
以下、
図5を参照して、依頼者端末30からシステムサーバ10を介して第1捜索者300の捜索者端末20に送信された捜索依頼を説明する。
図5に示す捜索依頼は、捜索者端末20の表示装置(液晶等)に表示された状態を示している。
図5に示すように、捜索依頼は最上段に「捜索対象者情報」が表示され、その右欄には、「不明日時」としての(2021-8-3 AM10:00)が表示されている。以下下段に向かって、捜索対象者の「氏名」その右欄に「日本太郎」、「読み仮名」その右欄に「にほんたろう」、「年齢」その右欄に「75歳」、「性別」その右欄に「男性」、既往歴としての「認知症の有無」その右欄に「有」、「徘徊歴の有無」その右欄に「有」、捜索対象者の「特徴」その右欄に「中肉中背 短髪」、「服装」その右欄に「紺色のジャケット ズボン」、「よく行く場所」その右欄に「大濠公園」、「備考」その右欄に「杖を突いて歩く」、「ID」その右欄に「001」が一段ずつ順に下段に連続して表示されている。
【0061】
そして、最下段には少なくとも捜索対象者の顔が識別できる写真PH(全体写真、上半身の写真等)が表示されている。この
図5に示す「捜索対象者情報」は、上述した識別情報登録手段により、予め捜索依頼者200がシステムサーバ10に登録した識別情報に加え、例えば、行方不明時の服装「紺色のジャケット ズボン」は、当日、捜索依頼者200の記憶により追加されたデータで構成されている。なお、捜索依頼者200が捜索対象者の行方不明時の服装を記憶していない場合は、服装の段は空白が表示される。また、「ID」は捜索システム1で複数の捜索対象者の行方不明の捜索依頼が捜索依頼者200から届出られた順番で付されている番号である。つまり、捜索システム1においては、複数の行方不明の捜索対象者を捜索する場合がある。
【0062】
捜索対象者が所属する介護施設には、出入口近傍にカメラを設置して、入退出者を常時撮像する場合がある。この場合は、捜索依頼者200が出入口近傍に設置されたカメラの動画により捜索対象者が外出した際に当日の服装をチェックすることができる。なお、近年では顔認証の機能を備えたカメラで捜索対象者の顔認証を行い、捜索対象者として登録された居住者の無断外出を検出した場合に、自動的に捜索依頼者200にその旨が伝達され、依頼者端末30から自動的にシステムサーバ10に捜索依頼を送信するようにしてもよい。
【0063】
このように、捜索対象者を確実に識別できる識別情報を、第1捜索者300の捜索者端末20に送信することで、第1捜索者300はこの識別情報を頼りに速やかに捜索活動を行うことができる。以下、
図4を参照した捜索対象者の捜索処理の説明に戻る。
【0064】
第1捜索者300は当該捜索対象者を発見・保護したか否かを判断(ステップS22)し、発見・保護した場合(ステップS22:Yes)は、システムサーバ10に捜索対象者の発見・保護を送信する(ステップS23)。発見・保護していない場合(ステップS22:No)は、引き続き捜索対象者の捜索を継続する。
【0065】
システムサーバ10は、第1捜索者300からの捜索対象者の発見・保護情報を受信したか否かを判断(ステップS24)し、受信していないと判別(ステップS24:No)した場合は、ステップS26へ処理を移す。一方、受信したと判別(ステップS24:Yes)した場合は、依頼者端末30に捜索対象者の発見・保護したことを送信(ステップS25)して捜索処理を終了する。捜索対象者の保護を受信した依頼者端末30を確認した捜索依頼者200は、当該捜索対象者の捜索依頼を取り消す。
【0066】
システムサーバ10は、捜索開始から第1所定時間(例えば、30分)を経過したか否かを判断(ステップS26)し、経過していないと判別(ステップS26:No)した場合は、ステップS24へ処理を移す。一方、経過したと判別(ステップS26:Yes)した場合は、第2捜索者400の捜索者端末20に捜索依頼を送信する(ステップS27)。捜索依頼を受信した第2捜索者400は、捜索対象者の捜索を開始する(ステップS28)。このとき、第2捜索者400の捜索者端末20に送信された捜索依頼は、第1捜索者300の捜索者端末20に送信された
図5に示す捜索対象者情報と同じである。捜索依頼を受信した第2捜索者400は、捜索対象者の捜索を開始する(ステップS28)。
【0067】
第2捜索者400は当該捜索対象者を発見・保護したか否かを判断(ステップS29)し、発見・保護した場合(ステップS29:Yes)は、システムサーバ10に捜索対象者の発見・保護を送信する(ステップS30)。発見・保護していない場合(ステップS29:No)は、第2捜索者400は引き続き捜索対象者の捜索を継続する。
【0068】
システムサーバ10は、第1捜索者300及び第2捜索者400からの捜索対象者の発見・保護情報を受信したか否かを判断(ステップS31)し、受信していないと判別(ステップS31:No)した場合は、ステップS33へ処理を移す。一方、受信したと判別(ステップS31:Yes)した場合は、依頼者端末30に捜索対象者の発見・保護したことを送信(ステップS32)して捜索処理を終了する。捜索対象者の保護を受信した依頼者端末30を確認した捜索依頼者200は、当該捜索対象者の捜索依頼を取り消す。そして、当該捜索対象者を発見保護した以外の第1捜索者300及び第2捜索者400に対して捜索対象者の発見を発信する。
【0069】
システムサーバ10は、捜索開始から第2所定時間(例えば、1時間)を経過したか否かを判断(ステップS33)し、経過していないと判別(ステップS33:No)した場合は、ステップS31へ処理を移す。一方、経過したと判別(ステップS33:Yes)した場合は、第3捜索者500の捜索者端末20に捜索依頼を送信する(ステップS34)。このとき、第3捜索者500の捜索者端末20に送信された捜索依頼は、
図5に示す第1捜索者300及び第2捜索者400の捜索者端末20に送信された捜索対象者情報と同じである。捜索依頼を受信した第3捜索者500は、捜索対象者の捜索を開始する(ステップS35)。
【0070】
第3捜索者500は当該捜索対象者を発見(保護も含む)したか否かを判断(ステップS36)し、発見(保護も含む)した場合(ステップS36:Yes)は、システムサーバ10に捜索対象者の発見情報(保護情報も含む)を送信する(ステップS37)。発見(保護も含む)していない場合(ステップS36:No)は、第3捜索者500は引き続き捜索対象者の捜索を継続する。
【0071】
システムサーバ10は、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500からの捜索対象者の発見情報を受信したか否かを判断(ステップS38)し、受信していないと判別(ステップS38:No)した場合は、ステップS39へ処理を移す。一方、受信したと判別(ステップS38:Yes)した場合は、ステップS43へ処理を移す。
【0072】
システムサーバ10は、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500からの捜索対象者の保護情報を受信したか否かを判断(ステップS39)し、受信していないと判別(ステップS39:No)した場合は、ステップS41へ処理を移す。一方、受信したと判別(ステップS39:Yes)した場合は、依頼者端末30に捜索対象者の保護したことを送信(ステップS40)して捜索処理を終了する。捜索対象者の保護を受信した依頼者端末30を確認した捜索依頼者200は、当該捜索対象者の捜索依頼を取り消す。そして、当該捜索対象者を保護した以外の第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500に対して捜索対象者の発見を発信する。このとき、協力してくれた全ての捜索者に対して、無事捜索対象者を保護した旨の御礼のメール等を発信してもよい。
【0073】
システムサーバ10は、捜索開始から捜索時間(例えば、5時間)を経過したか否かを判断(ステップS41)し、経過していないと判別(ステップS41:No)した場合は、ステップS38へ処理を移す。一方、経過したと判別(ステップS41:Yes)した場合は、専門機関である警察や消防に行方不明となった捜索対象者の捜索を依頼する(ステップS42)。この後、捜索システム1による捜索対象者の捜索は、継続して行ってもよいし一旦終了してもよい。
【0074】
本実施形態における捜索システム1は、あくまで捜索対象者の関係者(第1捜索者300や第2捜索者400)や善意の捜索協力者(第3捜索者500)が行うものである。しかしながら、捜索活動の専門家ではないため、捜索対象者の発見・保護が難しい場合がある。このため、捜索システム1の捜索活動には制限時間である捜索時間を設け、この捜索時間を経過した場合は、速やかに専門機関である警察や消防に行方不明となった捜索対象者の捜索を依頼する。なお、制限時間である捜索時間の設定は、季節や時間帯により適宜設定される。また、捜索対象者が重度の既往症(糖尿病や喘息等の定期的に投薬が必要な病気)を煩い、緊急の保護が必要である場合は、捜索処理のステップS1の第1捜索者300に捜索依頼を送信するタイミングと同時に、専門機関である警察や消防に行方不明となった捜索対象者の捜索を依頼してもよい。
【0075】
システムサーバ10は、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500からの捜索対象者の発見情報を受信すると、発見情報を捜索対象者の居住する地域の地図にマッピングして合成する(ステップS43)。発見情報には、捜索対象者の様子を書き込むコメント欄や撮像した写真や動画を貼付する機能が含まれている。各捜索者(第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500)は、捜索対象を保護はできなかったものの発見した場合は、自身の捜索者端末20のGPS機能を有効にするとともに、コメントや写真等を貼付して発見情報としてシステムサーバに送信する。システムサーバ10は、受信した発見情報順に、捜索者端末20のGPS機能による位置情報と地図と合成(マッピング)することで、当該捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を作成する。
【0076】
システムサーバ10は、捜索者端末20のGPS機能による位置情報と地図と合成(マッピング)ここで作成された地図情報は、第1捜索者300、第2捜索者400及び第3捜索者500がそれぞれ所持する捜索者端末20に送信される(ステップS44)。このステップS43、ステップS44の処理が本実施形態における地図情報送信手段として機能する。各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20に地図情報を受信する(ステップS45)すると、各捜索者は、捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報に示されている地域を重点的に捜索する。これにより、確実な捜索対象者の発見・保護を図ることが可能となる。
【0077】
ここで、
図6を参照して、捜索者端末20のGPS機能による位置情報と地図と合成(マッピング)して作成された捜索対象者の移動の履歴を示す地図情報を説明する。
図6に示すように、各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20の表示装置21(液晶表示装置等)には、上部に捜索対象者を発見した位置情報と地図情報とが合成された地図情報MPが表示される。地図情報MPには、最初の発見情報には番号D1が付され、続いて受信した発見情報の順に番号D2、D3が付されている。各発見情報の番号D1、D2、D3間は、矢印ARで連結されている。
【0078】
地図情報MPの下方には、左から右に、発見情報の受信順の「番号」、発見情報を受信した「日時」、位置情報の「住所」、捜索対象者の様子が書き込まれた「コメント」、撮像した「写真(動画も含む)」の貼付の有無で構成された発見情報JDが表示されている。捜索対象者の様子が書き込まれたコメント及び撮像した写真や動画の貼付の有無は必ずしもあるわけではなく。データがない場合は空欄が表示される。
【0079】
このように、捜索対象者の移動の履歴や様子を示す地図情報MP及び発見情報JDに示されている地域を、特に、第1捜索者300及び第2捜索者400が捜索対象者の移動先を予想して重点的に捜索することで、捜索対象者の早期発見・保護を図ることを可能としている。
【0080】
ここで、第3捜索者500は、交通手段で移動中の場合が多く、捜索対象者の発見情報が正確でない場合がある。このため、システムサーバ10の発見情報と地図とのマッピング(
図4のステップS43)においては、不正確な発見情報を排除するリマッピング機能を備えている。以下、
図7~9を参照して、システムサーバ10のリマッピング機能を説明する。
【0081】
図7に示すように、地図情報MPに表示されている発見情報の番号D1及びD2は、発見情報を受信した日時が極めて短時間(1分)で、その距離は直線で略2kmで離れている。このような捜索対象者の移動は交通手段を用いても不可能である。したがって、発見情報の番号D1及びD2のうちどちらかが誤情報の可能性が高い。これでは、各捜索者はどちらの発見情報の周辺を捜索すればよいのか判断がつかない。
【0082】
そして、
図8に示すように、しばらく時間が経過すると、発見情報の番号D3及びD4が地図情報にマッピングされたとする。これにより、捜索対象者は発見情報の番号D1からD3→D4の順で移動していると考える方が現実的である。つまり、発見情報の番号D2は捜索者の誤情報である可能性が高い。このため、
図9に示すように、地図情報MPに表示されている発見情報の番号D2を削除し、新たに、発見情報の番号D3をD2へ、番号D4をD3とリマッピングした地図情報MPを各捜索者がそれぞれ所持する捜索者端末20に再送信する。これにより、第1捜索者300及び第2捜索者400が捜索対象者の移動先を精度良く予想して重点的に捜索することが可能となり、確実な捜索対象者の発見・保護を図ることができる。
【0083】
上述してきたように、本実施形態の捜索システム1によれば、システムサーバ10は、依頼者端末30から行方不明となった捜索対象者の捜索依頼を受信してから段階的に第1捜索者300、第2捜索者400、そして、第3捜索者500と段階的に捜索者の人数を多くしてゆく。これにより、捜索対象者の捜索を速やかに実行するとともに、捜索対象者の捜索範囲を効率よく拡大することできる。これにより、捜索対象者の発見・保護を速やかに図ることができ、さらに不測の事態を未然に防止することが可能となる。
【0084】
また、捜索対象者の発見情報を、該当地域の地図に合成(マッピング)する機能を備え、同時に誤情報の可能性の高い発見情報を除去する再合成(リマッピング)する機能を備えているため、各捜索者は、効率の良い捜索対象者の捜索を行うことができ、確実な捜索対象者の発見・保護を図ることができる。
【0085】
また、上記実施形態においては、介護施設の高齢者を捜索対象者と想定して説明してきたが、本発明はこれに限定されるわけではなく、例えば、老人ホーム、保育所、幼稚園、病院等のあらゆる施設に捜索システム1を導入することができる。さらに、要介護が必要な高齢者や幼児等がいる個人の住居においても捜索システム1を導入することができる。
【0086】
以上、上記実施形態を通して本発明を説明してきたが、本発明はこれらに限定されるものではない。また、上述した各効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0087】
1 捜索システム
10 システムサーバ
20 捜索者端末
30 依頼者端末
10 制御部
11 記憶部
12 入出力制御部
13 制御部
14 外部通信制御部
100 システム事業者
200 捜索依頼者
300 第1捜索者
400 第2捜索者
500 第3捜索者