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  • 特開-電着塗装装置 図1
  • 特開-電着塗装装置 図2
  • 特開-電着塗装装置 図3
  • 特開-電着塗装装置 図4
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037492
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】電着塗装装置
(51)【国際特許分類】
   C25D 13/14 20060101AFI20230308BHJP
   C25D 13/00 20060101ALI20230308BHJP
   C25D 17/12 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C25D13/14
C25D13/00 303A
C25D17/12 J
【審査請求】有
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144282
(22)【出願日】2021-09-03
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-02-01
(71)【出願人】
【識別番号】520064230
【氏名又は名称】柳沼精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】特許業務法人創成国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】渡邊 勝美
(57)【要約】
【課題】構造が簡単で部品点数が少なくコストを低く抑えて、被塗装物の軸孔を確実にマスキングすることができるマスキング装置を提供する。
【解決手段】第1筒状部Wbと、第1筒状部Wbより大径の第2筒状部Wdとを同心に備える被塗装物に電着塗装を施す電着塗装装置であって、フレーム3と、フレーム3に設けられて被塗装物Wを支持し第1筒状部Wbの内面をマスキングする支持部5と、フレーム3に設けられて被塗装物Wの第2筒状部Wdの内周面に先端を点接触状態で当接する針状電極6とを備える。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1筒状部と、該第1筒状部と同心で該第1筒状部より大径の第2筒状部とを備える被塗装物に電着塗装を施す電着塗装装置であって、
フレームと、
前記フレームに設けられ、前記被塗装物を支持すると同時に前記第1筒状部の内部に密着挿入して前記第1筒状部の内面をマスキングする支持部と、
前記フレームに設けられ、前記被塗装物の前記第2筒状部の内周面に先端を点接触状態で当接する針状電極とを備えることを特徴とする電着塗装装置。
【請求項2】
前記針状電極は、その先端を前記第2筒状部の内周面に弾発的に当接させる付勢手段を備えることを特徴とする請求項1記載のフライホイール用電着塗装装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、第1筒状部の外側に同心の第2筒状部を備える被塗装物に電着塗装を施す電着塗装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電着塗装は、塗料槽へ被塗装物全体を投入し、被塗装物へ電気的導通を行うことで、電気的作用により露出された表面部へ塗装を施す。
【0003】
従来、筒状の被塗装物に電着塗装を施す塗装装置として、被塗装物を吊り下げて、塗料槽へ浸漬させるようにしたものが知られている(特許文献1参照)。このものでは、被塗装物をハンガーによって傾倒させた状態で吊り下げ支持することで、筒状の被塗装物の内部への塗料の侵入付着が円滑に行われるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平02-243798号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、例えば、自動車の部品であるフライホイールは、回転シャフトを挿着する軸孔を有する第1筒状部と、その外側に同心の第2筒状部とを一体的に備えている。このような比較的複雑な構造を有する被塗装物に電着塗装を行う場合、上記従来の塗装装置のようにハンガーによって被塗装物を吊り下げても、安定した支持状態が維持できず、円滑な塗装が行えないだけでなく高品質の塗装が得られない不都合がある。
【0006】
上記の点に鑑み、本発明は、第1筒状部の外側に同心の第2筒状部を備える被塗装物を安定して支持することができ、品質の高い塗装を容易に得ることができる電着塗装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、第1筒状部と、該第1筒状部と同心で該第1筒状部より大径の第2筒状部とを備える被塗装物に電着塗装を施す電着塗装装置であって、フレームと、前記フレームに設けられ、前記被塗装物を支持すると同時に前記第1筒状部の内部に密着挿入して前記第1筒状部の内面をマスキングする支持部と、前記フレームに設けられ、前記被塗装物の前記第2筒状部の内周面に先端を点接触状態で当接する針状電極とを備えることを特徴とする。
【0008】
本発明の電着塗装装置によれば、支持部が第1筒状部の内部に密着挿入して被塗装物を支持するので、安定した支持状態を形成することができる。しかも、支持部によって被塗装物を支持したときに第1筒状部の内面がマスキングされるので、マスキングのための部材を不要として構造簡単とすることができ、軽量化と耐久性の向上を容易に図ることができる。
【0009】
また、本発明において、前記針状電極は、その先端を前記第2筒状部の内周面に弾発的に当接させる付勢手段を備えることを特徴とする。
【0010】
針状電極が付勢手段を備えることにより、針状電極の先端が第2筒状部の内周面に圧接した状態となり、例えば、万一被塗装物に振動等が生じても、針状電極の先端による点接触状態での当接を確実に維持することできる。従って、電着塗装時に、第2筒状部の内周面に対する針状電極の先端の当接位置ずれ等が防止され、高い塗装品質を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の一実施形態における電着塗装装置の構成を示す説明図。
図2】本実施形態における被塗装物であるフライホイールの説明的断面図。
図3】本実施形態の要部の説明的断面図。
図4】本実施形態の要部の説明的正面図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の電着塗装装置は、図1に示すように、被塗装物であるフライホイールWを支持するハンガー1と、ハンガー1を浸漬してフライホイールWに電着塗装を施す電着槽2とを備えている。
【0013】
フライホイールWは、自動車部品等に用いられるもので、図2に示すように、回転シャフト等を挿着する軸孔Waが形成されたハブ部Wb(第1筒状部)と、ハブ部Wbを中心としてその周囲に広がる円盤部Wcと、円盤部Wcの外周縁から軸線に沿って延出してハブ部Wbと同心の外周円筒状部Wd(第2筒状部)とを一体的に備えている。
【0014】
ハンガー1は、図1に示すように、フレーム3と、電力供給部4とを備えている。フレーム3は、図3及び図4に示すように、フライホイールWのハブ部Wbの軸孔Waに挿入してフライホイールWを支持する支持部5を備えている。
【0015】
支持部5は、絶縁体によって形成されているか、或いは絶縁性の円筒部材で被覆されており、軸孔Waの内面に密着して当該内面をマスキングする。
【0016】
支持部5に支持されたフライホイールWの外周円筒状部Wdの外側(本実施形態では上方位置)には、金属製線状の導通フック部6(針状電極)が設けられている。また、フレーム3は、導通フック部6の基端部を固定状態で連結するフック固定部7を備えている。導通フック部6は、フレーム3を介して電力供給部4から給電される。
【0017】
導通フック部6は、その先端が外周円筒状部Wdの内周面に点接触状態で当接する。導通フック部6は、その基端部に引きバネ部8(付勢手段)を備えている。
【0018】
引きバネ部8の付勢力によって、導通フック部6の先端の外周円筒状部Wdの内周面への接触が確実に維持され、良好な電着塗装を施すことができる。
【0019】
また、引きバネ部8の付勢に抗して、導通フック部6を容易に揺動させることができるので、フレーム3からフライホイールWを取り外す等の作業を円滑に行うことができる。
【0020】
そして、図1に示すように、ハンガー1のフレーム3に、複数のフライホイールWを、表裏互い違いに配列して支持させることにより、複数のフライホイールWへの電着塗装を効率よく行うことができる。
【0021】
なお、本実施形態においては、付勢手段として引きバネ部8を採用した例を挙げたが、ゴムや合成樹脂等による弾性体を採用してもよい。
【0022】
また、本実施形態においては、好ましい例として、針状電極である導通フック部6が付勢手段である引きバネ部8を備えたものを示したが、本発明はこれに限るものではなく、図示しないが、付勢手段を備えない針状電極であってもよい。
【0023】
また、本実施形態においては、フライホイールWの電着塗装について説明したが、被塗装物はこれに限るものではなく、本発明は、第1筒状部と該第1筒状部と同心で該第1筒状部より大径の第2筒状部とを備える被塗装物への電着塗装を好適に行うことができる。
【符号の説明】
【0024】
W…フライホイール(被塗装物)、Wb…ハブ部(第1筒状部)、Wd…外周円筒状部(第2筒状部)、3…フレーム、5…支持部、6…導通フック部(針状電極)、8…引きバネ部(付勢手段)。
図1
図2
図3
図4
【手続補正書】
【提出日】2021-12-01
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】請求項1
【補正方法】変更
【補正の内容】
【請求項1】
第1筒状部と、該第1筒状部と同心で該第1筒状部より大径とされていて該第1筒状部の外側を囲う第2筒状部とを備える被塗装物に電着塗装を施す電着塗装装置であって、
フレームと、
前記フレームに設けられ、前記被塗装物を支持すると同時に前記第1筒状部の内部に密着挿入して前記第1筒状部の内面をマスキングする支持部と、
前記フレームに設けられ、前記被塗装物の前記第2筒状部のマスキングされない内周面に先端を点接触状態で当接する針状電極とを備えることを特徴とする電着塗装装置。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
かかる目的を達成するために、本発明は、第1筒状部と、該第1筒状部と同心で該第1筒状部より大径とされていて該第1筒状部の外側を囲う第2筒状部とを備える被塗装物に電着塗装を施す電着塗装装置であって、フレームと、前記フレームに設けられ、前記被塗装物を支持すると同時に前記第1筒状部の内部に密着挿入して前記第1筒状部の内面をマスキングする支持部と、前記フレームに設けられ、前記被塗装物の前記第2筒状部のマスキングされない内周面に先端を点接触状態で当接する針状電極とを備えることを特徴とする。