(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037501
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】取得装置及び、農作物収穫装置
(51)【国際特許分類】
A01D 46/253 20060101AFI20230308BHJP
【FI】
A01D46/253
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144299
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】520470752
【氏名又は名称】AGRIST株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177220
【弁理士】
【氏名又は名称】小木 智彦
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼▲辻▼ 克海
(72)【発明者】
【氏名】福山 望
【テーマコード(参考)】
2B075
【Fターム(参考)】
2B075JD08
2B075JD21
(57)【要約】
【課題】取得する農作物の果梗を短く切り離し、農作物を傷付けずに取得する
【解決手段】上部に果梗を有する農作物を取得する取得装置50は、農作物の果梗上部を両方から挟持して、農作物を先端側から基端側に移動させる一対の把持部52A、52Bと、把持手段が前記農作物を移動させる際に、農作物の上面を接触させて、農作物を固定するアーム91A、Bと、このアーム91A、Bで農作物の上面が固定された状態で、一対の把持手段の基端側に回転可能に支持され、互いに噛み合い、双方が逆方向へ回転することで、農作物の果梗を切り離す一対の第2切断刃94A、Bと、を備える取得装置を提供する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部に果梗を有する農作物を取得する取得部を備えた取得装置であって、
前記取得部が、
前記農作物の果梗上部を両方から挟持して、前記農作物を先端側から基端側に移動させる一対の把持手段と、
前記把持手段の下部に設けられ、前記把持手段が前記農作物を移動させる際に、前記農作物の上面を接触させて、前記農作物を固定するアームと、
前記アームで前記農作物の上面が固定された状態で、前記一対の把持手段の基端側に回転可能に支持され、互いに噛み合い、双方が逆方向へ回転することで、前記一対の把持手段によって挟持された前記農作物の果梗を切り離す一対の第2切断刃と、を備える取得装置。
【請求項2】
前記一対の把持手段の先端側に回転可能に支持され、互いに噛み合い、逆方向へ回転することで、前記農作物から、前記一対の把持手段に挟持された部分の上側を切り離す一対の第1切断刃を備える請求項1に記載の取得装置。
【請求項3】
前記アームが前記農作物の上面を固定するために、前記アームを下方に応力をかける弾性体を備える請求項1又は2に記載の取得装置。
【請求項4】
前記一対の第2切断刃は、先端側が低く、基端側が高くなるように所定の角度で傾斜する請求項1乃至3のいずれか一項に記載の取得装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の取得装置を備える農作物収穫装置であって、
前記農作物収穫装置が、
前記農作物より上方から吊り下げられる吊り下げ式の収穫装置であって、前記取得装置は、昇降部材の先端に設けられる農作物収穫装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、農作物を取得する取得装置と、当該取得装置を備えた農作物収穫装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、植物工場にてロボットが農作物を取得することが知られている。例えば、ワイヤー等に吊り下げ式で農作物を収穫できるロボットが知られている(非特許文献1)。また、人手で収穫を行うことを基本としつつ、農作物の収穫において収穫物を傷付けてしまうおそれを軽減し得る手持ち式の取得装置も提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0003】
【非特許文献1】インターネット<https://agrist.co/>
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上述した吊り下げ式の収穫装置や手持ち式の収穫装置のいずれにおいても、農作物(例えば、ピーマン等)を収穫するにあたって、ピーマンの果梗が少しでも残ると、突起部となり、農作物を傷付けてしまうというリスクがある。したがって、農作物のへたの果梗を短く切り離したいというニーズがある。
【0006】
本発明は、このような点に鑑み、取得する農作物の果梗を短く切り離し、農作物を傷付けずに取得する取得装置と、当該取得装置を備えた農作物収穫装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
第1の発明は、上部に果梗を有する農作物を取得する取得部を備えた取得装置であって、
前記取得部が、
前記農作物の果梗上部を両方から挟持して、前記農作物を先端側から基端側に移動させる一対の把持手段と、
前記把持手段の下部に設けられ、前記把持手段が前記農作物を移動させる際に、前記農作物の上面を接触させて、前記農作物を固定するアームと、
前記アームで前記農作物の上面が固定された状態で、前記一対の把持手段の基端側に回転可能に支持され、互いに噛み合い、双方が逆方向へ回転することで、前記一対の把持手段によって挟持された前記農作物の果梗を切り離す一対の第2切断刃と、を備える取得装置を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、農作物の果梗を短く切り離し、農作物を傷付けずに取得することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施例1を示す図であり、本発明の取得装置を備えた手持ち式の農作物収穫装置の一例を示す外観斜視図である。
【
図2】実施例1の農作物収穫装置を斜め上方から見た外観斜視図である。
【
図3】実施例1の農作物収穫装置を斜め下方から見た外観斜視図である。
【
図5】実施例1の農作物収穫装置を前方から見た正面図である。
【
図6】実施例1の農作物収穫装置を上方から見た平面図である。
【
図7】実施例1の農作物収穫装置の第1切断刃及び第2切断刃を示す図である。
【
図8】実施例1の農作物収穫装置による2段階切断の様子を示す側面図である。
【
図9】実施例1の農作物収穫装置による2段階切断の様子を示す側面図である。
【
図10】実施例1の農作物収穫装置による2段階切断の様子を示す側面図である。
【
図11】実施例1の農作物収穫装置による2段階切断の様子を示す斜視図である。
【
図12】実施例1の農作物収穫装置による2段階切断の様子を示す斜視図である。
【
図13】本発明の実施例2を示す図であり、本発明の取得装置を備えた吊り下げ式の農作物収穫装置の一例を示す外観斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明を実施するための好適な形態について図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【実施例0011】
最初に、
図1~
図10を参照して、本発明の実施例1を説明する。本実施例は、本発明の取得装置を手持ち式(ハンドタイプ)の農作物収穫装置に適用した例である。本実施例の農作物収穫装置10は、農作物Fのうち、特に、地表よりも上方に延び、かつ、地表よりも上に農作物Fを付け、果梗を有する農作物、例えば、ピーマン、トマト、ミカン、イチゴ、ナス、キュウリなどの野菜や果物の取得に好適に用いられる。
【0012】
図1に示すように、本実施例の農作物収穫装置10は、取得装置50にユーザ40が把持する把持部20を設けた構成となっている。把持部20は、取得装置50の使用時に、ユーザ(作業者)40の手によって把持される取っ手26を有する。すなわち、本実施例の農作物収穫装置10は、手持ち式の装置である。
【0013】
本実施例の農作物収穫装置10の構成によれば、取得装置50の使用時にユーザ40の手によって把持される取っ手26を備えていることにより、ピーマンなどの農作物Fの収穫を実質的に人手で行うことができる。
【0014】
図1~
図10に示すように、本実施例の農作物収穫装置10は、後述する取得装置50のモータベース60の後端側に、把持部20を備えている。把持部20は、水平部材22と、当該水平部材22と直交するように下方に延長した垂直部材24と、前記水平部材22の後端と前記垂直部材24の下端をつなぐように屈曲した取っ手26を備える。
【0015】
また、前記水平部材22上には、ジョイスティック30が設けられており、当該ジョイスティック30の操作によって、後述するモータ62A、62Bの回転を制御できるようになっている。
【0016】
<取得装置の構成>・・・次に、上述した取得装置50の構成について詳細に説明する。
図2~
図10に示すように、取得装置50は、一対の把持部52A、52Bを含む取得部52と、取得部52の後端側に設けられたモータベース60の上下に配置された複数のモータや歯車等と、前記モータベース60の先端側に連接されており、前記一対の把持部52A、52Bの上方を覆うベースカバー56により構成されている。
【0017】
一対の把持部52A、52Bは、所定の間隔を空けて互いに平行に延びた状態となっており、互いに対向する対向面をそれぞれ有する。取得部52は、一対の把持部52A、52Bの対向面の間で、農作物Fの果梗FSを挟持して、先端側から基端側に移動可能である。これら一対の把持部52A、52Bの先端側は、略V字状の引き込み部58(
図3参照)を形成しており、農作物Fを先端側から基端側に引き込むことができる。
【0018】
一対の把持部52A、52Bは、それぞれ、把持部ベース53A、53Bと、無端ベルト80A、80Bと、一対の第1切断刃54A、54Bを備える。前記把持部ベース53A、53Bの先端には、図示しないプーリが、軸66A、66Bによって回転可能に設けられている。また、把持部ベース53A、53Bの基端側には、モータベース60が設けられており、当該モータベース60の上面には、モータ62A、62Bが設けられている。
【0019】
前記モータベース60の下面には、前記モータ62Aの出力軸に設けられたモータ歯車64Aと、前記モータ62Bの出力軸に設けられたモータ歯車64Bが突出している。また、前記モータベース60の下面後方には、図示しないプーリが、軸68A、68Bによって、回転可能に支持されている。また、把持部ベース53A、53Bの基端側には、モータベース60が設けられており、当該モータベース60の上面には、モータ62A、62Bが設けられている。
【0020】
前記モータベース60の下面には、前記モータ62Aの出力軸に設けられたモータ歯車64Aと、前記モータ62Bの出力軸に設けられたモータ歯車64Bが突出している。また、前記モータベース60の下面後方には、図示しないプーリが、軸68A、68Bによって、回転可能に支持されている。
【0021】
更に、前記モータベース60の下面には、前記モータ歯車64A、64Bとそれぞれ噛み合う歯車84A、84Bが軸70A、70Bによって回転可能に支持される。前記歯車84A、84Bの下方には、第1切断刃54A、54Bで切断され、基端側に移動した農作物Fを挟む一対のスポンジ体86A、86Bが、軸85A、85Bを介して設けられている。前記一対のスポンジ体86A、86Bは、後述する第2切断刃92A、92Bの前後にわたって配置されており、第2切断刃92A、92Bで切り離す農作物F自体を挟む。
【0022】
前記無端ベルト80Aは、一方の把持部ベース53Aの両側面、先端のプーリ、モータベース60後端のプーリに巻回されており、モータ62Aの出力をモータ歯車64Aを介して無端ベルト80Aに伝達することで、無端ベルト80Aを、
図2に矢印F2aで示す方向に駆動することができる。無端ベルト80Aは、例えば、ゴム等から構成され、その外表面には、歯型(凹凸)が全周にわたって形成されている。そして、無端ベルト80Aは、その歯型が、モータ62Aからの駆動トルクを受けて回転するモータ歯車64Aの歯と噛み合って回転する。
【0023】
同様に、前記無端ベルト80Bは、他方の把持部ベース53Bの両側面、先端のプーリ、モータベース60後端のプーリに巻回されており、モータ62Bの出力をモータ歯車64Bを介して無端ベルト80Bに伝達することで、無端ベルト80Bを、
図2に矢印F2bで示す方向に駆動することができる。無端ベルト80Bは、例えば、ゴム等から構成され、その外表面には、歯型(凹凸)が全周にわたって形成されている。そして、無端ベルト80Bは、その歯型が、モータ62Bからの駆動トルクを受けて回転するモータ歯車64Bの歯と噛み合って回転する。
【0024】
前記モータ62A、62Bのモータ歯車64A、64Bは、図示しない制御部によるモータ62A、62Bの制御により、互いに逆回転に回転するように制御される。なお、本実施例では、モータを2機搭載しているが、1機としてもよいし、3機以上で構成してもよい。
【0025】
上述したように、モータ歯車64Aとモータ歯車64Bは、互いに逆方向に回転するように制御されるため、無端ベルト80Aと無端ベルト80Bは、ともに、対向面の間で、先端側から基端側に向かって移動する。この場合、無端ベルト80Aの歯型と、無端ベルト80Bの歯型とは、対向面で噛み合うことが好ましい。なお、無端ベルト80A、80Bの歯型のピッチや歯幅は、農作物Fに応じて、任意に決定してよい。
【0026】
前記一対のスポンジ体86A、86Bは、軸85A、85Bの先端に設けられた歯車84A、84Bが、前記モータ歯車64A、64Bと噛み合うことで、一方のスポンジ体86Aは、前記矢印F2a方向に回転し、他方のスポンジ体86Bは、前記矢印F2b方向に回転する。
【0027】
次に、一対の第1切断刃54A、54Bは、円形の丸刃であって、ベースカバー56に設けられた軸72A、72Bによって、回転可能に支持されている。
【0028】
一方の第1切断刃54Aは、中央に六角穴55A(
図7(B)参照)が開口しており、当該六角穴55Aと嵌合する六角形の凸部が上面に設けられた図示しない軸を嵌め込む。そして、軸は摺動性を有するオイレスベアリング(登録商標)を介して、第1切断刃54Aに従動して回転が可能である。他方の第1切断刃54Bについても同様である。
【0029】
ここで、一対の第1切断刃54A、54Bは、互いの刃が重なり合った状態で若干V字状に傾けて設けられており、これにより、農作物の果梗FSを、一対の第1切断刃54A、54Bの中央部分に押し付けて容易に切断することが可能となる。
【0030】
第2切断部90は、一対の把持部ベース53A、53Bの下面の基端側に、対向面に跨って固着されている。第2切断部90は、先端側を下にして見たときに、一対のアーム91A、91B(
図7(A)参照)を有する略冂の字平板状に形成される。一対のアーム91A、91Bは、基端側が若干浮いた状態で先端部のみが固着されている。先端部のみが固着されていることで、一対のアーム91A、91Bは、農作物Fが無端ベルト80A,Bにより先端側から基端側に移動するにつれて、農作物Fの上面を下方向に応力をかける。
さらに、アーム91A、91Bの上面から、把持部ベース53A、53Bの下面に向けて、スプリング、コイルバネ等の弾性体150(
図11、
図12)を備えてよい。この弾性体150により、農作物Fが移動してきた際に、アーム91A、91Bが農作物Fの上面から下方向に応力をかける。なお、弾性体150は、アーム91A、91Bの両方又は片方であってよい。そして、第2切断部90には、基端側の上面に左右一対の丸刃状の第2切断刃92A、92Bが回転自在に設けられている。
【0031】
ここで、一対の第2切断刃92A、92Bは、互いの刃が重なり合った状態で若干Vの字状に傾けて設けられており、これにより、農作物Fの果梗FSを、第2切断刃92A、92Bの中央部分に押し付けて容易に切断することが可能となる。更に、一対の第2切断刃92A、92Bは、
図7(B)に示すように、先端側が低く、基端側が高くなるように若干傾斜しており、その角度αは、例えば、3°~10°程度である。
【0032】
また、前記取得装置50は、前記第2切断刃92A、92Bで切断する農作物Fの下側を押さえる顎部94を備えている。顎部94は、第1プレート94A、第2プレート94B、第3プレート94Cによって構成され、前記第1プレート94Aに連接された固定部96を、把持部ベースの基端側に固定することで取り付けられる。
【0033】
前記第1プレート94Aは、固定部96から斜め下方向に傾斜し、第2プレート94Bは、前記第1プレート94A側から第3プレート94C側に向けて上向きとなるように傾斜し、第3プレート94Cは、第2プレート94Bに対して略直交するように上向きに形成されている。そして、前記第3プレート94Cによって、第2切断刃92A、92Bで切断する農作物Fの下側を押さえる。
【0034】
取得装置50は、モータ62A、62Bを駆動するための電源となるバッテリ(図示せず)を備え、前記水平部材22上に、前記バッテリのオン・オフを切り替えるスイッチ(図示せず)が設けられている。
【0035】
また、前記制御部は、図示しないプロセッサ、メモリ、ストレージ、通信部を備え、これらはバスにより接続されている。プロセッサは、例えば、CPU(Central Processing Unit)により構成され、メモリに記憶された各種プログラムを読み出して実行することで、各種処理を行う。メモリは、CPUにより実行されるプログラムを記憶するものであり、例えば、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)により構成される。
【0036】
<収穫装置の使用方法>・・・次に、本実施例の農作物収穫装置10の使用方法について説明する。まず、
図1に示すように、取っ手26を片方の手で把持した状態で、もう片方の手でスイッチをオンにする。これにより、モータ62A、62Bが駆動し、無端ベルト80Aの歯型が、モータ62Aから駆動トルクを受けて回転するモータ歯車64Aの歯と噛み合って、無端ベルト80Aが回転し始めるとともに、無端ベルト80Bの歯型が、モータ62Bから駆動トルクを受けて回転するモータ歯車64Bの歯と噛み合って、無端ベルト80Bが回転し始める。同時に、一対のスポンジ体86A、86Bも、回転し始める。
【0037】
この場合、モータ歯車64Aとモータ歯車64Bは、制御部によるモータ62A、62Bの制御により、互いに逆方向に回転する。そして、把持部52Aの無端ベルト80Aと把持部52Bの無端ベルト80Bは、ともに、対向面の間で、先端側から基端側に向かって移動する。
【0038】
次いで、取っ手26を片方の手で把持した状態で、
図8に示すように、取得装置50を農作物Fに近接させ、農作物Fの果梗FSを、取得部52の先端側の引き込み部58に入れ込む。すると、
図9に示すように、農作物Fの果梗FSが、一対の把持部52A、52Bの無端ベルト80A、80Bに挟持された状態で引き込まれ、基端側に移動する。そして、これにより、果梗FSが、第1切断刃54A、54Bの間に押し付けられて、切断される。すなわち、農作物Fから、一対の把持部52A、52Bの無端ベルト80A、80Bに挟持された部分(果梗FS)の上側が切り離された状態となる。
【0039】
次いで、
図11、
図12に示すように、農作物Fは、果梗FSが一対の把持部52A、52Bの無端ベルト80A、80Bに挟持された状態で、さらに基端側に移動する。この移動の際に、一対のアーム91A、91Bが、農作物Fの上面を、自身の弾性力と把持部ベース53A、53Bの下面に付けられた弾性体150により下方向に応力をかけるために、農作物Fの形状や大きさ、移動した際の向きが異なっていても、果梗FSの根元部分を誘導する。
【0040】
そして、
図10に示すように、果梗FSが、第2切断部90の第2切断刃92A、92Bの中央部分に押し付けられて、切断される。すなわち、一対の把持部52A、52Bの無端ベルト80A、80Bに挟持された部分(果梗FS)から、農作物Fが切り離され、当該農作物Fが下方に落下する。下方に落下する農作物Fは、別途用意された収穫容器に収容される。なお、農作物Fの下側が、顎部94の第3プレート94Cによって押さえられた状態で固定されてもよい。
【0041】
農作物F(例えば、ピーマン)を出荷する際、農作物Fから延びる果梗FSの突起部が長い状態にあると、他の農作物Fに傷を付ける可能性もあり、この状態では出荷することができない。
【0042】
上述のように、本実施例の取得装置50を用いれば、一対の第1切断刃54A、54Bにより、農作物Fから、一対の把持部52A、52Bの無端ベルト80A、80Bに挟持された部分(果梗FS)の上側を切り離した後、一対の第2切断刃92A、92Bにより、一対の把持部52A、52Bの無端ベルト80A、80Bに挟持された部分(果梗FS)から、農作物Fを切り離すことができる。
【0043】
この2段階目のカットの際、農作物Fを一対のスポンジ体86A、86Bで挟みつつ、農作物Fの下側を、顎部94の第3プレート94Cによって押さえることで、農作物Fを痛めることなく、農作物Fを切り離すことができる。また、一対の第2切断刃92A、92Bに傾きαを設けることで、確実に切り離すことができる。
【0044】
したがって、一対のスポンジ体により対象物を挟むことで、農作物Fを傷付けることなく、確実に第2切断刃92A、92Bに送り、取得する農作物Fの果梗を短く除去し、製品(ピーマンなどの対象物)を傷付けずに農作物Fを収穫することができる。また、本実施例では、顎部94を設けて、第2切断刃92A、92Bによる切断の際に、農作物Fの下側を押さえることで、確実に切り離すことができる。更に、本実施例では、一対の第2切断刃92A、92Bに傾きαを設けることで、より一層確実な切り離しが可能となる。また、本実施例では、それに加え、取得装置50の使用時にユーザ40の手によって把持される取っ手26を備えていることにより、手軽に持ち運ぶことが可能な農作物収穫装置10を提供できる
前記吊り下げ部104は、ワイヤWに係合する係合部106と、係合部106の下に設けられ、垂直部材102の上端に連結され、垂直方向に延びる軸を中心に垂直部材102を回転させる回転部120と、を備える。
係合部106は、ワイヤWに係合するローラと、制御部に制御され、ローラを、ワイヤWが延びる方向と直交する方向に延びる軸を中心に回転させるワイヤ移動モータと、これらの部材を支持する支持部材と、を備える。
回転部120は、係合部106の支持部材に連結されたベース部と、ベース部に固定され、制御部に制御され、垂直部材102を、上下方向に延びる軸を中心に回転させる回転モータと、垂直部材102の上端が接続され、回転モータの回転を垂直部材102に伝達する伝達部と、を備える。
昇降部材132は、垂直部材102に沿って移動可能に係合する垂直移動用ベースと、垂直移動用ベースに回転自在に取り付けられ、外表面が垂直部材102に接し、垂直部材102が延びる方向と直交する軸を中心に回転するローラと、制御部に制御され、このローラを回転させる昇降モータと、を備える。
水平部材140は、昇降部材132に対して、水平方向に沿って前後に移動可能に係合する長尺体であって、当該水平部材140の外表面が接し、水平部材140が延びる方向と直交する軸を中心に回転するローラと、制御部に制御され、このローラを回転させる水平移動モータと、を備える。
固定底は、容器部において上下方向に貫通する開口を残した底を形成し、容器部の上端近傍から下り傾斜して容器部に固定されている。移動底は、駆動部により、固定底の下面にスライド移動可能に設けられ、固定底と略平行に設けられている。
駆動部は、ガイド部と、レール部と、ローラと、収容部モータとを備える。ガイド部は、固定底の下面に設けられ、固定底の傾斜方向に延び、移動底をスライド移動可能に支持する。
レール部は、容器部の内側側面に設けられ、ガイド部に沿って延びている。ローラは、移動底の下面に軸が固定され、外周面がレール部と係合し、制御部によって制御された収容部モータの駆動により回転する。これにより、制御部の制御により収容部モータが駆動し、ローラが回転することで、移動底がレール部に沿って移動する。
以上の構成により、収容部144は、以下のように動作する。収容部144は、閉じた状態において、取得装置50で取得された農作物Fを容器部の内部に収容する。そして、例えば、容器部の内部が一杯になった場合には、収容部モータが制御部の制御により駆動し、ローラが回転し、レール部に沿って移動すると、これに伴い、移動底が固定底の下に移動し、開口が開放され、容器部の内部に収容されていた農作物Fが下方に落下する。
本実施例の取得装置50の使用方法は、上述した実施例1と同様であり、また、農作物収穫装置100の基本的な作用・効果も、上述した実施例1と同様であるが、本実施例は、吊り下げ式であるため、高い位置にある農作物Fを取得するのに適している。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に限るものではない。例えば、取得装置50は、左右一対のモータ62A、62Bの間に位置するカメラを備え、カメラの左右に位置するLEDライトを備え、前記バッテリは、カメラ及びLEDライトを作動させるための電源としても用いてもよい。ここで、カメラは、農作物Fと果梗FSと農作物Fを認識するために用いられ、LEDライトは、農作物Fと果梗FSと農作物Fを照らして、日中及び夜間の認識精度を向上させるために用いられる。また、本発明の実施形態に記載された効果は、本発明から生じる最も好適な効果を列挙したに過ぎず、本発明による効果は、本発明の実施形態に記載されたものに限定されるものではない。
(2) 前記一対の把持手段の先端側に回転可能に支持され、互いに噛み合い、逆方向へ回転することで、前記農作物から、前記一対の把持手段に挟持された部分の上側を切り離す一対の第1切断刃を備える(1)に記載の取得装置。