IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 工藤 まほの特許一覧 ▶ 河野 優子の特許一覧

<>
  • 特開-害獣捕獲具 図1
  • 特開-害獣捕獲具 図2
  • 特開-害獣捕獲具 図3
  • 特開-害獣捕獲具 図4
  • 特開-害獣捕獲具 図5
  • 特開-害獣捕獲具 図6
  • 特開-害獣捕獲具 図7
  • 特開-害獣捕獲具 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003751
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】害獣捕獲具
(51)【国際特許分類】
   A01M 23/34 20060101AFI20230110BHJP
【FI】
A01M23/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】2
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105015
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】515027439
【氏名又は名称】工藤 まほ
(71)【出願人】
【識別番号】515027048
【氏名又は名称】河野 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】三重野 丈一
【テーマコード(参考)】
2B121
【Fターム(参考)】
2B121AA02
2B121BA21
2B121BA32
2B121EA21
(57)【要約】
【課題】捕獲ロープガイドの起立作動時に地面の土砂類が障害物として干渉しない円滑確実な緊縛操作を可能とする害獣捕獲具を提供する。
【解決手段】害獣捕獲具は、方形枠状に構成した基盤ケースと、基盤ケースの底板に沿って摺動するX状に組み立て交差した2個の捕獲ロープガイドと、捕獲ロープガイドの枠体の先端略円弧部分に形成した捕獲ロープ係止用のロープガイド溝部と、捕獲ロープガイドの枢支交差部に該ロープガイドを互いに立上げ方向に付勢するように巻き付けた起立付勢ばねと、害獣の捕獲設置準備のためにX状の捕獲ロープガイドを基盤ケース内で略水平に展開した状態において、立上げ付勢に抗して水平展開状態の捕獲ロープガイド上に踏板を踏板先端部に突設した固定連結部を介して仮置き状態で連結載置してなることとした。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方形枠状に構成した基盤ケースと、
基盤ケースの底板に沿って摺動するX状に組み立て交差した2個の捕獲ロープガイドと、
捕獲ロープガイドの枠体の先端略円弧部分に形成した捕獲ロープ係止用のロープガイド溝部と、
捕獲ロープガイドの枢支交差部に該ロープガイドを互いに立上げ方向に付勢するように巻きつけた起立付勢ばねと、
害獣の捕獲設置準備のためにX状の捕獲ロープガイドを起立付勢ばねの付勢に抗して略水平に展開しその上に載置した踏板と、
踏板先端部に捕獲ロープガイドを係止固定するために踏板端部に突設した固定連結部とより構成し、しかも、固定連結部は害獣による踏板押し下げ作動を契機として固定連結部の固定解除により起立付勢ばねを介して捕獲ロープガイドを起立作動し捕縛ロープの引き上げにより害獣の脚体を捕縛するように構成したことを特徴とする害獣捕獲具。
【請求項2】
固定連結部は、上方のガイド解除片と下方の枠係止片とを2個の捕獲ロープガイドの枠体の重ねた厚みより大きく形成した間隔で略二又形状に構成したことを特徴とする請求項1に記載の害獣捕獲具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地上面に設置した方形状の基盤ケース内に方形枠に形成した2個の捕獲ロープガイドをX状に枢支して構成した捕獲具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、害獣捕獲具aとしては、図7に示すように、地上面Gに設置枠70を一部埋め込み載置して設置枠70の中央部に略U字状の左右の捕獲ロープガイド71基端を枢支して踏板の作動により捕獲ロープガイド71が付勢スプリング72を介して起立し捕獲ロープが害獣の脚部を捕縛するように構成している。
【0003】
このように基本的には踏板と連動した捕獲ロープガイドの起立作動によって捕獲ロープガイドが害獣の脚の周囲を囲繞してロープの収縮作動によって脚部を捕縛するような作動原理としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2016―022197号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このように基本的には踏板と連動したU字状の捕獲ロープガイドの起立作動によってU字の半円弧部分を囲繞した捕獲ロープも起立して捕獲ロープの環状部分で害獣の脚周面を囲繞してそのままロープを引張り収縮して害獣脚部を捕縛するものであるために、踏板に連動する捕獲ロープガイドの起立作動時に設置枠が地上面で摺動して捕獲ロープガイドも地上の土を噛み込み、かかる地面の土砂類が障害物として干渉して捕獲ロープガイドの円滑な起立作動を妨害する不都合が生起する虞があった。
【0006】
この発明では、捕獲ロープガイドの作動時に設置枠やガイドなどの構成部材が地上面で摺動しない様に予め地上面に載置した方形状の基盤ケース内に2個の捕獲ロープガイドをX状に組立構成した状態で収納し、捕獲ロープガイドの摺動作動は基板ケース内で行われるように構成した害獣捕獲具に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、方形枠状に構成した基盤ケースと、基盤ケースの底板に沿って摺動するX状に組み立て交差した2個の捕獲ロープガイドと、捕獲ロープガイドの枠体の先端略円弧部分に形成した捕獲ロープ係止用のロープガイド溝部と、捕獲ロープガイドの枢支交差部に該ロープガイドを互いに立上げ方向に付勢するように巻き付けた起立付勢ばねと、害獣の捕獲設置準備のためにX状の捕獲ロープガイドを起立付勢ばねの付勢に抗して略水平に展開しその上に載置した踏板と、踏板先端部に捕獲ロープガイドを係止固定するために踏板端部に突設した固定連結部とより構成し、しかも、固定連結部は、害獣による踏板押し下げ作動を契機として固定連結部の固定解除により起立付勢ばねを介して捕獲ロープガイドを起立作動し捕縛ロープの引き上げにより害獣の脚体を捕縛するように構成したことを特徴とする害獣捕獲具を提供せんとする。
【0008】
また、固定連結部は、上方のガイド解除片と下方の枠係止片とを2個の捕獲ロープガイドの枠体の重ねた厚みより大きく形成した間隔で略二又形状に構成したことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明によれば、方形枠状に構成した基盤ケースと、基盤ケースの底板に沿って摺動するX状に組み立て交差した2個の捕獲ロープガイドと、円弧上の捕獲ロープを係止するために形成した枠体の先端略円弧部分のロープガイド溝部を先端に有する2個の捕獲ロープガイドをX状に枢支交差して枢支交差部に該捕獲ロープガイドを互いに立上げ方向に付勢するように起立付勢ばねを巻き付け、これらの構造物を方形枠状に構成した基盤ケース内に載置したので、踏板により2個の捕獲ロープガイドを平坦状に展開させ害獣の踏板作動をトリガーとして2個の捕獲ロープガイドが起立付勢ばね力により立ち上がり閉塞形態に変位し捕獲ロープをループ状の捕縛形態として害獣脚部を周囲から捕縛することができる。
【0010】
従って、平坦状態に展開された2個の捕獲ロープガイドが害獣の踏板作動をトリガーとして起立付勢ばね力により交差部を中心に閉塞形態に変位する時に突発的な付勢ばね力により2個の捕獲ロープガイドは基盤ケース内から飛び出ることになり基盤ケースに捕獲ロープガイドの作動衝撃が伝わらず基盤ケースに不用意に地面を引きずるような負荷を与えない、従って、捕獲ロープガイドから捕獲ロープを離脱して緊縛ループ状態として円滑確実に緊縛操作ができる効果がある。
【0011】
特に、害獣による踏板押し下げ作動を契機として固定連結部の解除により付勢ばねが捕獲ロープガイドを起立させ捕縛ロープを引き上げて緊縛作動するものであるため構造が簡単であるにも関わらず確実に害獣の脚体を捕縛することができる効果がある。
【0012】
請求項2の発明によれば、固定連結部は、上方のガイド解除片と下方の枠係止片とを2個の捕獲ロープガイドの枠体の重ねた厚みの間隔で略二又状に構成したことにより、展開した平坦形態の2個の捕獲ロープガイドを二又状のガイド解除片と枠係止片との間で踏板端部に重ねて固定し害獣を待ち構える準備が完了する。その後の害獣の踏板押し下げ作動をトリガーとして踏板先端部の二又状の上方のガイド解除片が捕獲ロープガイドとの係合を解舒し捕獲ロープガイドが起立付勢ばねを介して捕獲ロープガイドを起立させ捕縛ロープを引き上げて緊縛作動し害獣の脚体の捕縛動作が可能となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の害獣捕獲具における基盤ケースと捕獲ロープガイドを示す斜視図である。
図2】本発明の害獣捕獲具の全体構成を示す平面図である。
図3】本発明の害獣捕獲具の全体構成を示す側面図である。
図4図2におけるI―I線断面図である。
図5図4における固定連結部周辺の断面を示す拡大図である。
図6】本発明の害獣捕獲具の全体構成を示す分解斜視図である。
図7】従来の害獣捕獲具の構成を側面視的に説明する概略図である。
図8】ループ状に形成した捕獲ロープとロープ支持体の構成を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明の実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1に示すのは、本発明の害獣捕獲具Aの全体を示す説明図である。
【0015】
図1において、害獣捕獲具Aの基礎部分には、方形枠状に構成した基盤ケース10が設けられており、基盤ケース10には底板11が設けられ、底板11上にはX状に組み立てて枢支交差部24を介して展開自在とした2個の捕獲ロープガイド20、20’が展開状態で載置されている。
【0016】
2個の捕獲ロープガイド20、20’は、図1図3に示すように、それぞれ先端略円弧で全体を略方形枠状に形成されており、中央で枢支交差部24を介して互いに交差してX状に連結し、その各枠体先端略円弧部分21に捕獲ロープ係止用のロープガイド溝部22を形成している。
【0017】
かかる2個の捕獲ロープ係止用のロープガイド溝部22にはループ状に形成した捕獲ロープRが共通して係合され、該ロープRの両端部には、図8に示すように、別途設けたワンウェイ機構50からなるロープ支持体51に挿通されロープ両端部の自由端は一定の長さで伸延して近傍の木立等の固定部材に固定されている。
【0018】
従って、捕獲ロープRで脚体を捕縛された害獣は捕獲ロープRを介して木立などに繋がれて捕縛された状態となる。
【0019】
X状に組み立て交差した2個の捕獲ロープガイド20は、図4及び図5に示すように、枢支交差部24で展開して平坦状態として踏板30の先端部30aに突設した固定連結部31を介して踏板先端部30aに固定される。
【0020】
踏板30は、図2および図6に示すように、捕獲ロープガイド20、20’の展開状態の内側を略被覆する面積の大きさに形成し、捕獲準備の段階においては展開状態の捕獲ロープガイドの内側を略被覆しておき踏板30の先端部30aに突設した固定連結部31を介して捕獲ロープガイド20、20’の枠体に仮連結固定されている。
【0021】
踏板30の両側縁は、図6に示すように、一部を下方に折曲して捕獲ロープガイド20、20’の枠体の側方に位置するように構成して横ずれ防止板30’としており、害獣が踏み付けた場合、踏み付けにより捕獲ロープガイド20、20’の立ち上がり変位作動をする場合等に踏板30本体が側方にずれて踏板30のトリガーとしての機能に支障をきたさないようにしている。
【0022】
固定連結部31は、図4および図5に示すように、上方のガイド解除片32と下方の枠係止片33により二又状に形成し、両片の間を捕獲ロープガイド20、20’の重ねた厚みの合計よりやや大きい間隔か略同一の間隔の二又状に構成しており、二又の間で捕獲ロープガイド20、20’とのそれぞれの枠体厚み部分を一体として挟持する。
【0023】
かかる二又構造の固定連結部31により捕獲ロープガイド20、20’の各先端略円弧部分21の枠体に踏板30の一端縁部30aを仮連結固定した状態としている。なお、踏板30の一方の端部において、かかる固定連結部31の構造が構成されておればよく、踏板30の他方においては他方の捕獲ロープガイド20は踏板30の他方の端部によって押圧固定されているため特に同じ構造の固定連結部31を必要としない。
【0024】
起立付勢ばね40は、図1に示すように、解除付勢の巻きバネとしており両端の自由端部は外側にL字状に折曲し、折曲部分41を捕獲ロープガイド20の端縁面23に係止させておくことにより2個のX状に交差した捕獲ロープガイド20は展開した平坦形態から閉塞した立ち上がり形態へと強制付勢されている。
【0025】
なお、起立付勢ばね40は、X状に交差した各U字状の捕獲ロープガイド20の両下端交差部分における片一方の交差部分でも両側の交差部分でもいずれの交差部分において装着しても良い。
【0026】
害獣の捕獲設置準備のためには、X状の捕獲ロープガイド20は基盤ケース10内で略水平に展開した状態で逆U字状の下端部が基盤ケース10の底板11上に載置されており、水平展開状態の捕獲ロープガイド20、20’の枠体の内側には踏板30を仮置き状態で連結載置している。
【0027】
すなわち、X状の捕獲ロープガイド20はその中心の枢支交差部24に係合して設けられた起立付勢ばね40により立ち上がりを付勢されているため、この付勢に抗してX状の捕獲ロープガイド20を平坦状態で展開し基盤ケース10内に載置する。
【0028】
しかも、この際に捕獲ロープガイド20をX状から平坦状態に展開し基盤ケース10内に載置して固定するためには固定連結部31を使用する。
【0029】
固定連結部31は、図6に示すように、上方のガイド解除片32と下方の枠係止片33により二又に構成して踏板30の先端部30aに突設しており、従って、展開した平坦状態の2個のU字状の捕獲ロープガイド20、20’を固定連結部31の二又のガイド解除片32と枠係止片33との間で挟持することにより、踏板30端部を捕獲ロープガイド20、20’に固定し害獣を待ち構える準備が完了する。
【0030】
その後の害獣の踏板30の押し下げ作動をトリガーとして踏板30先端部の二又状の上方のガイド解除片32が捕獲ロープガイド20、20’との係合面を滑動して捕獲ロープガイド20の係合面から離脱し、捕獲ロープガイド20、20’に対する踏板30の係合規制がなくなり起立付勢ばね40により捕獲ロープガイド20、20’が起立し捕獲ロープRを引上げ捕獲ロープRのループ形成に基づく緊縛作動によって害獣の脚体を確実に捕縛する。
【符号の説明】
【0031】
A 害獣捕獲具
R 捕獲ロープ
G 地上面
10 基盤ケース
11 底板
20、20’ 捕獲ロープガイド
21 先端略円弧部分
22 ロープガイド溝部
23 端縁面
24 枢支交差部
30 踏板
30’ 防止板
31 固定連結部
32 ガイド解除片
33 枠係止片
40 起立付勢ばね
41 折曲部分
50 ワンウェイ機構
51 ロープ支持体
70 設置枠
71 捕獲ロープガイド
72 付勢スプリング
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8