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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037517
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】センサ装置
(51)【国際特許分類】
   G01C 19/5762 20120101AFI20230308BHJP
   B81B 3/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G01C19/5762
B81B3/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144326
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上田 英喜
(72)【発明者】
【氏名】中島 耕一郎
【テーマコード(参考)】
2F105
3C081
【Fターム(参考)】
2F105BB04
2F105BB12
2F105CC04
2F105CD03
2F105CD05
3C081AA01
3C081AA13
3C081BA03
3C081BA07
3C081BA22
3C081BA32
3C081BA33
3C081BA44
3C081BA47
3C081BA48
3C081BA53
3C081BA75
3C081CA02
3C081CA32
3C081DA03
3C081DA04
3C081DA27
3C081DA29
3C081DA30
3C081EA02
(57)【要約】
【課題】センサ素子のセンサ特性の変動を抑制する。
【解決手段】センサ装置500は、導電層400を備える。導電層400は、ICチップ200の第1主面201とセンサ素子100との間に位置しており、センサ素子100に樹脂系接着層300を介して対向している。センサ素子100は、可動電極92を含む可動部3と、可動電極92との間に静電容量を形成する固定電極91を含む固定部10と、可動電極92に接続されている第1端子T1と、固定電極91に接続されている第2端子T2と、を有する。ICチップ200は、第2端子T2から出力される検出信号を処理する信号処理部211と、信号処理部211の動作電圧である第1電圧を生成する第1電圧生成部221と、第1端子T1へ与えられるセンサ素子100の基準電位に対応する第2電圧を生成する第2電圧生成部222と、を有する。導電層400は、第1端子T1に電気的に接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有するICチップと、
前記ICチップの前記第1主面上に配置されているセンサ素子と、
前記ICチップの前記第1主面と前記センサ素子との間に位置している樹脂系接着層と、
前記ICチップの前記第1主面と前記センサ素子との間に位置しており、前記センサ素子に前記樹脂系接着層を介して対向している導電層と、を備え、
前記センサ素子は、
可動電極を含む可動部と、
前記可動電極との間に静電容量を形成する固定電極を含む固定部と、
前記可動電極に接続されている第1端子と、
前記固定電極に接続されている第2端子と、を有し、
前記ICチップは、
前記第2端子から出力される検出信号を処理する信号処理部と、
前記信号処理部の動作電圧である第1電圧を生成する第1電圧生成部と、
前記第1端子へ与えられる前記センサ素子の基準電位に対応する第2電圧を生成する第2電圧生成部と、を有し、
前記導電層は、前記第1端子に電気的に接続されている、
センサ装置。
【請求項2】
前記センサ素子は、角速度センサ素子であり、
前記固定部は、前記可動部を駆動する駆動電極を更に含み、
前記センサ素子は、前記駆動電極に接続されている第3端子を更に有し、
前記ICチップは、
前記第3端子に対して駆動信号を出力する駆動制御部を更に有する、
請求項1に記載のセンサ装置。
【請求項3】
前記第2電圧は、前記第1電圧よりも大きい、
請求項2に記載のセンサ装置。
【請求項4】
前記第2電圧生成部は、
前記第1電圧生成部から出力される前記第1電圧を昇圧することによって前記第2電圧を生成するチャージポンプ回路を含む、
請求項3に記載のセンサ装置。
【請求項5】
前記ICチップの前記第1主面と前記第2主面とが並ぶ方向からの平面視で、前記導電層の外縁は、前記センサ素子の外縁より外側にある、
請求項1~4のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項6】
前記導電層である第1導電層と前記ICチップの前記第1主面との間に配置されている絶縁層と、
前記絶縁層と前記ICチップの前記第1主面との間に配置されており、前記絶縁層を介して前記第1導電層に対向している第2導電層と、を更に備え、
前記ICチップは、グランド電極を有し、
前記第2導電層は、前記ICチップの前記グランド電極に電気的に接続されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【請求項7】
前記導電層である第1導電層と前記ICチップの前記第1主面との間に配置されている絶縁層と、
前記絶縁層と前記ICチップの前記第1主面との間に配置されており、前記絶縁層を介して前記第1導電層に対向している第2導電層と、を更に備え、
前記ICチップは、前記動作電圧が出力される動作電圧電極を有し、
前記第2導電層は、前記ICチップの前記動作電圧電極に電気的に接続されている、
請求項1~5のいずれか一項に記載のセンサ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、一般にセンサ装置に関し、より詳細には、センサ素子を備えるセンサ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、センサチップ(センサ素子)をASIC(ICチップ)上に搭載して一体化した構成が知られている(特許文献1)。センサチップは、例えば、加速度センサ部である。センサチップは、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)である。センサチップは、錘部と、フレーム部と、ビーム部と、を有する。
【0003】
特許文献1では、センサチップは、ASICの表面に接着層を介して固定されている。接着層としては、エポキシ系接着剤、ポリイミド系接着剤等が用いられる。センサチップとASICとは、ボンディングワイヤによって電気的に接続されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009-76588号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に開示された構成のようにセンサ素子とICチップとの間に接着層を備えたセンサ装置では、接着層の物性の変動によってセンサ素子のセンサ特性が変動してしまうことがあった。
【0006】
本開示の目的は、センサ素子のセンサ特性の変動を抑制することが可能なセンサ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係るセンサ装置は、ICチップと、センサ素子と、樹脂系接着層と、導電層と、を備える。前記ICチップは、第1主面及び第2主面を有する。前記センサ素子は、前記ICチップの前記第1主面上に配置されている。前記樹脂系接着層は、前記ICチップの前記第1主面と前記センサ素子との間に位置している。前記導電層は、前記ICチップの前記第1主面と前記センサ素子との間に位置しており、前記センサ素子に前記樹脂系接着層を介して対向している。前記センサ素子は、可動電極を含む可動部と、前記可動電極との間に静電容量を形成する固定電極を含む固定部と、前記可動電極に接続されている第1端子と、前記固定電極に接続されている第2端子と、を有する。前記ICチップは、前記第2端子から出力される検出信号を処理する信号処理部と、前記信号処理部の動作電圧である第1電圧を生成する第1電圧生成部と、前記第1端子へ与えられる前記センサ素子の基準電位に対応する第2電圧を生成する第2電圧生成部と、を有する。前記導電層は、前記第1端子に電気的に接続されている。
【発明の効果】
【0008】
本開示の一態様に係るセンサ装置は、センサ素子のセンサ特性の変動を抑制することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、実施形態1に係るセンサ装置の断面図である。
図2図2は、同上のセンサ装置におけるセンサ素子の平面図である。
図3図3は、同上のセンサ装置におけるセンサ素子を示し、図2のA-A線断面図である。
図4図4は、同上のセンサ装置におけるセンサ素子を示し、図2のB-B線断面図である。
図5図5は、同上のセンサ装置におけるセンサ素子を示し、図2のC-C線断面図である。
図6図6は、同上のセンサ装置の回路ブロック図である。
図7図7は、実施形態2に係るセンサ装置の断面図である。
図8図8は、実施形態3に係るセンサ装置の断面図である。
図9図9は、同上のセンサ装置におけるセンサ素子の平面図である。
図10図10は、同上のセンサ装置におけるセンサ素子を示し、図9のA-A線断面図である。
図11図11は、同上のセンサ装置の回路ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
下記の実施形態1~3において説明する各図は、模式的な図であり、図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0011】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係るセンサ装置500について、図1~6に基づいて説明する。
【0012】
(1)概要
実施形態1に係るセンサ装置500は、図1に示すように、ICチップ200と、センサ素子100と、樹脂系接着層300と、導電層400と、を備える。ICチップ200は、第1主面201及び第2主面202を有する。センサ素子100は、ICチップ200の第1主面201上に配置されている。樹脂系接着層300は、ICチップ200の第1主面201とセンサ素子100との間に位置している。導電層400は、ICチップ200の第1主面201とセンサ素子100との間に位置しており、センサ素子100に樹脂系接着層300を介して対向している。センサ素子100は、可動電極92を含む可動部3と、可動電極92との間に静電容量を形成する固定電極91を含む固定部10と、可動電極92に接続されている第1端子T1と、固定電極91に接続されている第2端子T2と、を有する。ICチップ200は、第2端子T2から出力される検出信号を処理する信号処理部211(図6参照)と、信号処理部211の動作電圧(例えば、1V)である第1電圧を生成する第1電圧生成部221(図6参照)と、第1端子T1へ与えられるセンサ素子100の基準電位(例えば、20V)に対応する第2電圧を生成する第2電圧生成部222(図6参照)と、を有する。導電層400は、第1端子T1に電気的に接続されている。
【0013】
センサ装置500では、センサ素子100は、角速度を電気信号に変換する角速度センサ素子である。センサ素子100では、固定部10は、駆動電極81(以下、第1駆動電極81ともいう)を更に含む。駆動電極81は、可動部3を駆動する。「可動部3を駆動する」とは、可動部3を振動させることを意味する。センサ素子100は、第1駆動電極81に接続されている第3端子T3を有する。ICチップ200は、第3端子T3に対して駆動信号を出力する駆動制御部212(図6参照)を更に有する。
【0014】
センサ装置500は、ICチップ200とセンサ素子100とを電気的に接続している複数の接続部を備える。複数の接続部は、第1接続部601と、第2接続部602と、第3接続部603と、を含む。
【0015】
センサ素子100では、固定電極91(第1検出電極91)と可動電極92(第2検出電極92)とを有するキャパシタの静電容量が、センサ素子100に作用する角速度に応じて変化する。
【0016】
(2)詳細
実施形態1に係るセンサ装置500の構成について、図1~6を参照して詳細に説明する。
【0017】
(2.1)センサ素子
センサ素子100は、図2~5に示すように、固定部10と、可動部3と、を備える。固定部10は、第1基板1と、第2基板2(図3~5参照)と、スペーサ部15と、複数(例えば、4つ)の支持部7と、複数(例えば、4つ)の第1検出電極91(固定電極91)と、複数(4つ)の第1駆動電極81と、を含む。可動部3は、第1基板1と第2基板2との間において第1基板1及び第2基板2から離れて位置している。可動部3は、錘部4と、複数(例えば、8つ)の第1弾性部51と、複数(例えば、8つ)の第2弾性部52と、複数(例えば、4つ)の枠状部6と、複数(例えば、4つ)の第2検出電極92(可動電極92)と、複数(例えば、4つ)の第2駆動電極82と、複数の第2検出電極92と、を含む。センサ素子100は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で正方形状である。言い換えれば、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、センサ素子100の外縁107は、正方形状である。センサ素子100は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で正方形状である場合に限らず、例えば、長方形状でもよい。
【0018】
図2では、第2基板2の図示を省略してある。また、図2では、第1基板1に対して固定されている構成要素と、第1基板1に対して固定されていない構成要素と、をドットハッチングの種類によって区別している。すなわち、図2において相対的にドットの密度の高いドットハッチングを付した構成要素(複数の支持部7、複数の第1駆動電極81、複数の第1検出電極91)は第1基板1に対して固定されており、相対的にドットの密度の低いドットハッチングを付した構成要素(錘部4、複数の第1弾性部51、複数の第2弾性部52、複数の枠状部6、複数の第2駆動電極82、複数の第2検出電極92)は第1基板1に対して固定されていない。
【0019】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する直交座標を規定し、特に、第1基板1の厚さ方向D1(及び錘部4の厚さ方向)に沿った軸を「Z軸」とし、錘部4の振動(駆動)方向に沿った軸を「X軸」とする。「Y軸」は、これらZ軸及びX軸のいずれとも直交する。錘部4の振動(駆動)方向に沿った軸は、X軸に限らず、Y軸であってもよい。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。なお、上記直交座標の原点は、例えば、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で可動部3の中心(図2の例では、錘部4の中心)に規定することができる。
【0020】
センサ素子100の検知対象は、Z軸(錘部4の中心軸)周りの角速度である。センサ素子100は、Z軸周りの角速度に応じた電気信号を出力する。センサ素子100は、振動式のジャイロセンサであって、コリオリ力(転向力)を利用して、Z軸周りの角速度を検知する。つまり、センサ素子100は、錘部4を振動させた状態で、錘部4に外部から回転力が作用することによって生じるコリオリ力を検知することで、センサ素子100の錘部4に作用した角速度を検知する。例えば、センサ素子100は、第1駆動電極81と第2駆動電極82との間に発生する静電力により錘部4がX軸方向に駆動振動しているときは、Z軸回りの角速度が入力された場合、Y軸方向の第1検出電極91及び第2検出電極92で、角速度を検出することができる。
【0021】
第1基板1は、第1主面11及び第1主面11とは反対側の第2主面12を有する。第1基板1は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状でもよい。第1基板1は、例えば、第1シリコン基板を含む。
【0022】
第2基板2は、第1基板1の厚さ方向D1において第1基板1の第1主面11に対向している。第2基板2は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で第1基板1と同じ形状であるが、外形サイズが異なってもよい。第2基板2は、例えば、第2シリコン基板20を含む。第2基板2は、例えば、第2シリコン基板20における第1基板1側とは反対側の主面21に形成された絶縁膜23と、この絶縁膜23上に形成されている複数の端子T0(外部接続電極)と、第2シリコン基板20の厚さ方向に沿って形成されており複数の端子T0に一対一に接続された複数の貫通配線24と、を有している。複数の端子T0は、第1端子T1と、第2端子T2と、第3端子T3と、を含む。複数の貫通配線24と第2シリコン基板20とは例えば貫通配線24と第2シリコン基板20との間に介在する絶縁膜25によって電気的に絶縁されている。
【0023】
スペーサ部15は、第1基板1と第2基板2との間に位置している。スペーサ部15は、第1基板1の外縁及び第2基板2の外縁に沿った枠状である。スペーサ部15は、第1基板1及び第2基板2に固定されている。センサ素子100は、スペーサ部15と第2基板2とを接合している接合部26を有する。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、接合部26は、第1基板1の外縁に沿った矩形枠状である。接合部26は、導電性を有する。接合部26の材料は、金属を含む。
【0024】
4つの支持部7は、第1基板1及び第2基板2に固定されている。センサ素子100は、複数の支持部7と第2基板2とを接合している複数の接合部27を有する。複数の接合部27は、導電性を有する。複数の接合部27の材料は、金属を含む。複数の接合部27は、例えば、複数の端子T0のうち対応する端子T0に、複数の貫通配線24のうち対応する貫通配線24を介して電気的に接続されている。4つの支持部7は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1基板1の四隅に1つずつ配置されている。4つの支持部7は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、スペーサ部15の内側に位置している。4つの支持部7は、可動部3を揺動可能に支持している。
【0025】
複数(例えば、4つ)の第1検出電極91(固定電極91)及び複数(4つ)の第1駆動電極81は、第1基板1及び第2基板2に固定されている。複数(例えば、4つ)の第1検出電極91(固定電極91)及び複数(4つ)の第1駆動電極81は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、スペーサ部15の内側に位置している。複数の第1検出電極91は、第1基板1及び第2基板2に固定されている。センサ素子100は、複数の第1検出電極91と第2基板2とを接合している複数の接合部29を有する。複数の接合部29は、導電性を有する。複数の接合部29の材料は、複数の接合部27の材料と同じである。複数の接合部29は、例えば、複数の端子T0のうち対応する端子T0に、複数の貫通配線24のうち対応する貫通配線24を介して電気的に接続されている。複数の第1駆動電極81は、第1基板1及び第2基板2に固定されている。センサ素子100は、複数の第1駆動電極81と第2基板2とを接合している複数の接合部28を有する。複数の接合部28は、導電性を有する。複数の接合部28の材料は、複数の接合部27の材料と同じである。複数の接合部28は、例えば、複数の端子T0のうち対応する端子T0に、複数の貫通配線24のうち対応する貫通配線24を介して電気的に接続されている。
【0026】
センサ素子100では、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、錘部4の外縁が多角形状(例えば、正方形状)である。センサ素子100は、2つの第1弾性部51と2つの第2弾性部52と枠状部6と第1駆動電極81と第2駆動電極82と第1検出電極91と第2検出電極92とを含むセットを複数(4つ)有する。複数のセットは、錘部4の外縁の各辺に第2駆動電極82が一対一で対向するように配置されている。複数のセットは、第1基板1の厚さ方向D1に沿った錘部4の中心軸を回転軸として回転対称性を有するように配置されている。
【0027】
4つの枠状部6は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、スペーサ部15の内側に位置している。4つの枠状部6は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で錘部4を囲むように配置されている。具体的には、錘部4のY軸方向の両側及びX軸方向の両側それぞれに枠状部6が1つずつ位置している。錘部4と各枠状部6とは離間している。
【0028】
枠状部6は、第1基板1の厚さ方向D1に直交する規定方向において錘部4と並んでおり、規定方向に変位可能である。センサ素子100では複数の枠状部6それぞれについて錘部4と並ぶ規定方向が規定されるので、以下では、規定方向を、枠状部6に対応する規定方向とも称する。また、図2において、錘部4から見てY軸の正方向側に位置している枠状部6を枠状部6Aと称し、錘部4から見てX軸方向の負方向側に位置している枠状部6を枠状部6Bと称し、錘部4から見てY軸の負方向側に位置している枠状部6を枠状部6Cと称し、錘部4から見てX軸の正方向側に位置している枠状部6を枠状部6Dと称することもある。この場合、例えば、枠状部6Aに対応する規定方向と枠状部6Bに対応する規定方向とは、互いに異なる。
【0029】
4つの枠状部6の各々は、矩形枠状であり、4つの枠片61~64を含んでいる。4つの枠片61~64のうち枠状部6と錘部4との並んでいる規定方向に直交する方向を長さ方向とする2つの枠片61、62の長さは、規定方向を長さ方向とする2つの枠片63、64の長さよりも長い。つまり、4つの枠状部6の各々では、規定方向に直交する方向における長さが、規定方向における長さよりも長い。また、4つの枠状部6の各々では、枠片61の長さ方向の長さが、錘部4において枠状部6に対向する辺(正方形状の錘部4の一辺)の長さよりも長い。
【0030】
センサ素子100では、錘部4と4つの枠状部6の各々とが、2つの第1弾性部51によりつながっている。2つの第1弾性部51の一端は、錘部4の2つの角部とつながっており、他端は、枠状部6において4つの枠片61~64のうち錘部4に最も近い枠片61とつながっている。
【0031】
第1弾性部51は、錘部4と枠状部6とをつないでおり、第1基板1の厚さ方向D1と枠状部6に対応する規定方向とに直交する方向に弾性変形可能である。例えば、枠状部6Aにつながっている第1弾性部51は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、枠状部6Bにつながっている第1弾性部51は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、枠状部6Cにつながっている第1弾性部51は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、枠状部6Dにつながっている第1弾性部51は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。X軸方向に弾性変形しやすい構造の第1弾性部51では、X軸方向における剛性がY軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。Y軸方向に弾性変形しやすい構造の第1弾性部51では、Y軸方向における剛性がX軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。
【0032】
複数の第1弾性部51の各々は、ばねである。複数の第1弾性部51の各々は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、つづら折れ状の形状である。
【0033】
4つの枠状部6は、4つの支持部7とともに錘部4を取り囲むように配置されている。センサ素子100では、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、錘部4の外縁に沿った方向において4つの枠状部6と4つの支持部7とが1つずつ交互に並んでいる。
【0034】
4つの枠状部6の各々は、枠状部6に隣接している2つの支持部7それぞれに、第2弾性部52を介して支持されている。センサ素子100では、4つの枠状部6の各々が、2つの第2弾性部52の一端とつながっている。ここで、2つの第2弾性部52の他端は、互いに異なる支持部7とつながっている。複数の第2弾性部52は、第1基板1には固定されておらず、第1基板1の第1主面11から離れている。複数の第2弾性部52の各々は、第2弾性部52とつながっている枠状部6に対応する規定方向に弾性変形可能である。枠状部6Aにつながっている2つの第2弾性部52は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、枠状部6Bにつながっている2つの第2弾性部52は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、枠状部6Cにつながっている2つの第2弾性部52は、X軸方向とZ軸方向とに比べてY軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。また、枠状部6Dにつながっている2つの第2弾性部52は、Y軸方向とZ軸方向とに比べてX軸方向に弾性変形しやすい構造になっている。Y軸方向に弾性変形しやすい構造の第2弾性部52では、Y軸方向における剛性がX軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。X軸方向に弾性変形しやすい構造の第2弾性部52では、X軸方向における剛性がY軸方向における剛性及びZ軸方向における剛性よりも低い。複数の第2弾性部52の各々は、撓み(弾性変形)可能である。ここにおいて、複数の第2弾性部52の各々は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で第2折り返し部523を有する。第2折り返し部523は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視でU字状である。複数の第2弾性部52の各々は、1つの第2折り返し部523を有している。
【0035】
枠状部6Aは、枠状部6Aに対応する規定方向に変位可能であり、枠状部6Aに対応する規定方向と第1基板1の厚さ方向D1とに直交する方向にも変位可能である。枠状部6Bは、枠状部6Bに対応する規定方向に変位可能であり、枠状部6Bに対応する規定方向と第1基板1の厚さ方向D1とに直交する方向にも変位可能である。枠状部6Cは、枠状部6Cに対応する規定方向に変位可能であり、枠状部6Cに対応する規定方向と第1基板1の厚さ方向D1とに直交する方向にも変位可能である。枠状部6Dは、枠状部6Dに対応する規定方向に変位可能であり、枠状部6Dに対応する規定方向と第1基板1の厚さ方向D1とに直交する方向にも変位可能である。
【0036】
以下では、説明の便宜上、4つの第1駆動電極81に関して、枠状部6Aに対応する第1駆動電極81を第1駆動電極81Aと称し、枠状部6Bに対応する第1駆動電極81を第1駆動電極81Bと称し、枠状部6Cに対応する第1駆動電極81を第1駆動電極81Cと称し、枠状部6Dに対応する第1駆動電極81を第1駆動電極81Dとも称する。また、4つの第2駆動電極82に関して、枠状部6Aに対応する第2駆動電極82を第2駆動電極82Aと称し、枠状部6Bに対応する第2駆動電極82を第2駆動電極82Bと称し、枠状部6Cに対応する第2駆動電極82を第2駆動電極82Cと称し、枠状部6Dに対応する第2駆動電極82を第2駆動電極82Dとも称する。4つの第1駆動電極81A、81B、81C、81Dは、第1基板1に固定されている。4つの第2駆動電極82A、82B、82C、82Dは、第1基板1から離れている。
【0037】
第1駆動電極81Aは、枠状部6Aと錘部4との間に位置して枠状部6A及び錘部4から離れている。第1駆動電極81Bは、枠状部6Bと錘部4との間に位置して枠状部6B及び錘部4から離れている。第1駆動電極81Cは、枠状部6Cと錘部4との間に位置して枠状部6C及び錘部4から離れている。第1駆動電極81Dは、枠状部6Dと錘部4との間に位置して枠状部6D及び錘部4から離れている。
【0038】
第2駆動電極82Aは、枠状部6Aの外側に位置して枠状部6Aとつながっている電極部分(第2櫛歯部822)を含み、第1駆動電極81Aに対向している。第2駆動電極82Aは、枠状部6Aに対応する規定方向に変位可能である。第2駆動電極82Bは、枠状部6Bの外側に位置して枠状部6Bとつながっている電極部分(第2櫛歯部822)を含み、第1駆動電極81Bに対向している。第2駆動電極82Bは、枠状部6Bに対応する規定方向に変位可能である。第2駆動電極82Cは、枠状部6Cの外側に位置して枠状部6Cとつながっている電極部分(第2櫛歯部822)を含み、第1駆動電極81Cに対向している。第2駆動電極82Cは、枠状部6Cに対応する規定方向に変位可能である。第2駆動電極82Dは、枠状部6Dの外側に位置して枠状部6Dとつながっている電極部分(第2櫛歯部822)を含み、第1駆動電極81Dに対向している。第2駆動電極82Dは、枠状部6Dに対応する規定方向に変位可能である。枠状部6Aにつながっている第2櫛歯部822はY軸方向に変位可能であり、枠状部6Bにつながっている第2櫛歯部822はX軸方向に変位可能であり、枠状部6Cにつながっている第2櫛歯部822はY軸方向に変位可能であり、枠状部6Dにつながっている第2櫛歯部822はX軸方向に変位可能である。
【0039】
複数の第1駆動電極81A、81B、81D、81Dの各々は、櫛状電極である。第1駆動電極81A、81B、81C、81Dは、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、それぞれ、枠状部6A、6B、6C、6Dに対向している第1櫛骨部811と、第1櫛骨部811から枠状部6に近づく向きに突出している複数の第1櫛歯部812と、を含む。
【0040】
第2駆動電極82の各々は、櫛状電極である。第2駆動電極82A、82B、82C、82Dは、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、それぞれ、枠状部6A、6B、6C、6Dにおいて第1櫛骨部811に対向している部分(枠片61の一部)により構成される第2櫛骨部821と、第2櫛骨部821から第1櫛骨部811に近づく向きに突出している複数の第2櫛歯部822(電極部分)と、を含む。
【0041】
センサ素子100では、第1駆動電極81Aの複数の第1櫛歯部812と第2駆動電極82Aの複数の第2櫛歯部822とが、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1櫛骨部811と第2櫛骨部821との対向する方向に直交する方向において1つずつ交互に離隔して並んでいる。また、センサ素子100では、第1駆動電極81Bの複数の第1櫛歯部812と第2駆動電極82Bの複数の第2櫛歯部822とが、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1櫛骨部811と第2櫛骨部821との対向する方向に直交する方向において1つずつ交互に離隔して並んでいる。また、センサ素子100では、第1駆動電極81Cの複数の第1櫛歯部812と第2駆動電極82Cの複数の第2櫛歯部822とが、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1櫛骨部811と第2櫛骨部821との対向する方向に直交する方向において1つずつ交互に離隔して並んでいる。また、センサ素子100では、第1駆動電極81Dの複数の第1櫛歯部812と第2駆動電極82Dの複数の第2櫛歯部822とが、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1櫛骨部811と第2櫛骨部821との対向する方向に直交する方向において1つずつ交互に離隔して並んでいる。
【0042】
複数の第1検出電極91A、91B、91C、91Dは、それぞれ、枠状部6A、6B、6C、6Dの内側に位置している。複数の第1検出電極91A、91B、91C、91Dは、第1基板1に固定されている。
【0043】
複数の第2検出電極92A、92B、92C、92Dは、それぞれ、枠状部6A、6B、6C、6Dの内側に位置して枠状部6A、6B、6C、6Dとつながっている電極部分(第2櫛歯部922)を含み、第1検出電極91A、91B、91C、91Dに対向している。第2検出電極92A、92B、92C、92Dは、枠状部6A、6B、6C、6Dそれぞれに対応する規定方向に変位可能である。例えば、枠状部6Aにつながっている電極部分(第2櫛歯部922)は、Y軸方向に変位可能である。また、枠状部6Bにつながっている電極部分(第2櫛歯部922)は、X軸方向に変位可能である。また、枠状部6Cにつながっている第2櫛歯部922は、Y軸方向に変位可能である。また、枠状部6Dにつながっている第2櫛歯部922はX軸方向に変位可能である。
【0044】
第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1検出電極91A、91B、91C、91Dの各々は、櫛状である。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1検出電極91A、91B、91C、91Dは、それぞれ、錘部4と枠状部6A、6B、6C、6Dとの並んでいる方向に沿って配置されている第1櫛骨部911と、第1櫛骨部911から枠状部6A、6B、6C、6Dにおいて第1櫛骨部911に対向している部分(枠片63、64)に近づく向きに突出している複数(図示例では、6つ)の第1櫛歯部912と、を有する。6つの第1櫛歯部912は、枠状部6の4つの枠片61~64のうち1つの枠片63に近づく向きに突出している3つの第1櫛歯部912と、枠片64に近づく向きに突出している3つの第1櫛歯部912と、を含む。
【0045】
第2検出電極92A、92B、92C、92Dは、それぞれ、枠状部6A、6B、6C、6Dにより構成される基部921と、基部921から第1検出電極91A、91B、91C、91Dの第1櫛骨部911に近づく向きに突出している複数(図示例では、4つ)の第2櫛歯部922と、を有する。つまり、センサ素子100では、複数の枠状部6A、6B、6C、6Dが、第2検出電極92A、92B、92C、92Dそれぞれの一部(基部921)を兼ねている。複数の第2検出電極92A、92B、92C、92Dでは、それぞれ、枠状部6A、6B、6C、6Dの2つの枠片63、64の各々から2つの第2櫛歯部922が第1櫛骨部911に近づく向きに突出している。また、複数の第2検出電極92A、92B、92C、92Dの各々では、2つの枠片61、62の各々が、2つの枠片63、64それぞれから突出している第2櫛歯部を兼ねている。
【0046】
センサ素子100では、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1検出電極91Aの第1櫛骨部911から第1櫛歯部912が突出している方向に直交する方向において、第1検出電極91Aの複数の第1櫛歯部912と第2検出電極92Aの複数の第2櫛歯部922とが、1つずつ交互に離隔して並んでいる。第2検出電極92Aでは、2つの枠片61、62の各々が、2つの枠片63、64それぞれから突出している第2櫛歯部を兼ねている。センサ素子100では、第1検出電極91B、91C、91D及び第2検出電極92B、92C、92Dは、第1検出電極91A及び第2検出電極92Aと同様の形状である。センサ素子100では、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1検出電極91Bの複数の第1櫛歯部912と第2検出電極92Bの複数の第2櫛歯部922とが、1つずつ交互に離隔して並んでいる。センサ素子100では、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1検出電極91Cの複数の第1櫛歯部912と第2検出電極92Cの複数の第2櫛歯部922とが、1つずつ交互に離隔して並んでいる。また、センサ素子100では、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第1検出電極91Dの複数の第1櫛歯部912と第2検出電極92Dの複数の第2櫛歯部922とが、1つずつ交互に離隔して並んでいる。
【0047】
センサ素子100では、第2基板2及び各接合部26,27~29以外の構成要素は、例えば、SOI(Silicon on Insulator)ウェハをMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)の製造技術等を利用して加工することにより形成されている。SOIウェハは、シリコン基板と、シリコン基板上に形成された絶縁層(例えば、埋込酸化膜)と、絶縁層上に形成されたシリコン層と、を有する。センサ素子100では、SOIウェハのシリコン基板の一部により第1基板1(第1シリコン基板)が構成され、シリコン層の一部により、錘部4、8つの第1弾性部51、8つの第2弾性部52、4つの枠状部6、4つの第2駆動電極82、4つの第2検出電極92、4つの支持部7、4つの第1駆動電極81及び4つの第1検出電極91が構成されている。上述のシリコン層は、不純物を含んでおり、錘部4、8つの第1弾性部51、8つの第2弾性部52、4つの枠状部6、4つの第2駆動電極82、4つの第2検出電極92、4つの支持部7、4つの第1駆動電極81及び4つの第1検出電極91は、導電性を有する。センサ素子100では、第1基板1に固定されている複数の構成要素(支持部7、4つの第1駆動電極81、4つの第1検出電極91等)の各々と第1基板1の第1主面11との間には、絶縁部13が介在している。また、センサ素子100では、第1基板1に固定されていない複数の構成要素(錘部4、8つの第1弾性部51、8つの第2弾性部52、4つの枠状部6、4つの第2駆動電極82、4つの第2検出電極92等)と第1基板1との間には、空間14が存在している。各絶縁部13は、SOIウェハの絶縁層の一部により構成される。つまり、各絶縁部13の材料は、酸化ケイ素である。第1基板1に固定されている複数の構成要素は、絶縁部13を介して、第1基板1と固定されている。
【0048】
センサ素子100では、第1基板1と、スペーサ部15と、第2基板2とで構成されるパッケージの内部空間は、例えば、窒素ガス雰囲気又は減圧雰囲気(真空)である。
【0049】
(2.2)ICチップ
ICチップ200は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)チップである。ICチップ200は、Si系ICチップである。ICチップ200は、ICチップ200の厚さ方向からの平面視で、正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状でもよい。言い換えれば、ICチップ200の厚さ方向からの平面視で、ICチップ200の外縁207は、正方形状である。ICチップ200は、第1主面201及び第2主面202を有する。第1主面201及び第2主面202は、ICチップ200の厚さ方向に交差する。
【0050】
ICチップ200は、シリコン基板203と、多層構造部205と、複数の外部接続端子(パッド電極)と、を有する。シリコン基板203は、第1面231及び第1面231とは反対側の第2面232を有する。ICチップ200は、複数の機能部として、信号処理部211、駆動制御部212、第1電圧生成部221及び第2電圧生成部222を有している。複数の機能部(信号処理部211、駆動制御部212、第1電圧生成部221及び第2電圧生成部222)の各々では、機能部の一部がシリコン基板203に形成され機能部の残り部分が多層構造部205に含まれている。ICチップ200は、信号処理部211と、駆動制御部212と、メモリと、を含む制御部210を有している。多層構造部205は、シリコン基板203の第1面231上に形成されている。多層構造部205は、配線層及びパッシベーション膜を含む。複数の外部接続端子は、機能部に電気的に接続されている。複数の外部接続端子は、第1外部接続端子T21と、第2外部接続端子T22と、第3外部接続端子T23と、第4外部接続端子T24と、第5外部接続端子T25と、第6外部接続端子T26と、を含む。第1外部接続端子T21は、第2電圧生成部222の出力端に接続されている。第2外部接続端子T22は、信号処理部211の入力端に接続されている。第3外部接続端子T23は、駆動制御部212の出力端に接続されている。第4外部接続端子T24は、第1電圧生成部221の入力端に接続されている。第5外部接続端子T25は、制御部210の信号処理部211及び駆動制御部212に接続されている。第5外部接続端子T25は、複数の外部接続端子のうち、ICチップ200においてグランド電位が与えられる外部接続端子である。要するに、第5外部接続端子T25は、ICチップ200のグランド電極である。第6外部接続端子T26は、第1電圧生成部221と制御部210との間の経路に接続される外部接続端子である。要するに、第6外部接続端子T26は、ICチップ200の動作電圧電極である。「ICチップ200の動作電圧電極」とは、ICチップ200においてICチップ200の動作電圧と同電位となる電極を意味する。より詳細には、第6外部接続端子T26は、信号処理部211の動作電圧(例えば、1V)である第1電圧が与えられる外部接続端子である。
【0051】
ICチップ200の第1主面201は、多層構造部205におけるシリコン基板203側とは反対側の表面と、複数の外部接続端子の各々の表面と、を含む。ICチップ200の第2主面202は、シリコン基板203の第2面232を含む。
【0052】
ICチップ200では、ICチップ200の第1主面201がセンサ素子100における第1基板1の第2主面12に対向している。ICチップ200は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状でもよい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、ICチップ200の外形サイズは、センサ素子100の外形サイズよりも大きい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、ICチップ200の外縁207は、センサ素子100の外縁107よりも外側に位置している。言い換えれば、ICチップ200の第1主面201と第2主面202とが並ぶ方向からの平面視で、ICチップ200の外縁207は、センサ素子100の外縁107より外側にある。
【0053】
図6に示すように、信号処理部211は、第2外部接続端子T22及び第2接続部602を介してセンサ素子100の第2端子T2に接続されている。これにより、信号処理部211は、第2外部接続端子T22、第2接続部602及び第2端子T2を介して第1検出電極91(固定電極91)に接続されている。信号処理部211は、センサ素子100の第2端子T2から出力される検出信号を処理する。より詳細には、信号処理部211は、センサ素子100から出力されるアナログの検出信号(電気信号)を、デジタル信号に変換して、適宜の演算処理を行うことにより、Z軸周りの角速度を求める。
【0054】
駆動制御部212は、第3外部接続端子T23及び第3接続部603を介してセンサ素子100の第3端子T3に接続されている。これにより、駆動制御部212は、第3外部接続端子T23、第3接続部603及び第3端子T3を介して、第1駆動電極81に接続されている。
【0055】
第1電圧生成部221は、信号処理部211の動作電圧(例えば、1V)である第1電圧を生成する。第1電圧生成部221は、例えば、外部電源600から出力される直流電圧(例えば、5V又は3.3V)をDC-DC変換して第1電圧(例えば、1V)を生成する降圧回路である。ICチップ200では、第4外部接続端子T24に、外部電源600の一対の出力端子610、620のうち相対的に高電位の出力端子610が接続され、第5外部接続端子T25に、外部電源600の一対の出力端子610、620のうち相対的に低電位(接地電位)の出力端子620が接続されている。ICチップ200では、第4外部接続端子T24は、第1電圧生成部221に接続されている。また、ICチップ200では、第5外部接続端子T25は、信号処理部211及び駆動制御部212に接続されている。
【0056】
第2電圧生成部222は、センサ素子100の第1端子T1へ与えられるセンサ素子100の基準電位(例えば、20V)に対応する第2電圧を生成する。センサ装置500では、センサ素子100の基準電位は、例えば、可動部3の電位であり、より詳細には可動部3に含まれる第2検出電極(可動電極92)及び第2駆動電極82の電位である。第2電圧生成部222で生成する第2電圧は、第1電圧よりも大きい。したがって、第2電圧生成部222は、第1電圧を第2電圧に昇圧する昇圧回路である。第2電圧生成部222は、例えば、第1電圧生成部221)から出力される第1電圧を昇圧することによって第2電圧を生成するチャージポンプ回路を含む。チャージポンプ回路は、例えば、複数のキャパシタと、複数のスイッチ(例えば、MOSFET)と、を有する。チャージポンプ回路の回路構成は、特に限定されない。
【0057】
(2.3)樹脂系接着層
樹脂系接着層300は、センサ素子100と導電層400との間に介在している。樹脂系接着層300は、センサ素子100における第1基板1の第2主面12に接している。また、樹脂系接着層300は、導電層400においてセンサ素子100に対向する主面401に接している。樹脂系接着層300の材料は、例えば、シリコーン系樹脂である。樹脂系接着層300の材料は、シリコーン系樹脂に限らず、例えば、エポキシ系樹脂等でもよい。
【0058】
第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、樹脂系接着層300は、センサ素子100の全部に重なっている。樹脂系接着層300は、第1基板1の第2主面12の全域にわたって第2主面12に接しているが、第2主面12の全面に接していることを必須とはしない。例えば、センサ装置500では、樹脂系接着層300と第1基板1の第2主面12の一部との間に微小なボイドが存在してもよい。
【0059】
また、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、樹脂系接着層300は、導電層400の一部に重なっている。樹脂系接着層300は、導電層400の主面401の略全域にわたって主面401に接している。センサ装置500では、樹脂系接着層300と導電層400の主面401の一部との間に微小なボイドが存在してもよい。
【0060】
第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、導電層400の一部は、ICチップ200の複数の外部接続端子のうち第1外部接続端子T21の一部に重なる。導電層400の上記一部は、第1外部接続端子T21の表面の一部と接している。これにより、導電層400は、ICチップ200の複数の外部接続端子のうち第1外部接続端子T21に電気的に接続されている。これにより、導電層400は、第1外部接続端子T21及び第1接続部601を介してセンサ素子100の第1端子T1と電気的に接続されている。導電層400は、ICチップ200の複数の外部接続端子のうち第2外部接続端子T22、第3外部接続端子T23、第4外部接続端子T24及び第5外部接続端子T25には電気的に接続されていない。
【0061】
(2.4)接続部
センサ装置500は、上述のように、センサ素子100とICチップ200とを電気的に接続している複数の接続部を備える。複数の接続部は、第1接続部601と、第2接続部602と、第3接続部603と、を含む。第1接続部601は、ICチップ200の第1外部接続端子T21とセンサ素子100の第1端子T1とを接続している。第2接続部602は、ICチップ200の第2外部接続端子T22とセンサ素子100の第2端子T2とを接続している。第3接続部603は、ICチップ200の第3外部接続端子T23とセンサ素子100の第3端子T3とを接続している。第1接続部601、第2接続部602及び第3接続部603の各々は、導電性ワイヤ(ボンディングワイヤ)である。導電性ワイヤの材料は、例えば、金、アルミニウム合金又は銅である。
【0062】
実施形態1に係るセンサ装置500は、例えば、上述の複数の駆動電極81に一対一に対応するように、図6における第3端子T3と第3接続部603と第3外部接続端子T23と駆動制御部212とのセットを複数備えている。また、実施形態1に係るセンサ装置500は、例えば、上述の複数の固定電極91に一対一に対応するように、図6における第2端子T2と第2接続部602と第2外部接続端子T22とのセットを複数備えている。
【0063】
(2.5)導電層
導電層400は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状でもよい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、導電層400の外形サイズは、センサ素子100の外形サイズよりも大きい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、導電層400の外縁407は、センサ素子100の外縁107よりも外側に位置している。また、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、導電層400の外形サイズは、ICチップ200の外形サイズよりも小さい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、導電層400の外縁407は、ICチップ200の外縁207よりも内側に位置している。
【0064】
導電層400は、導電性を有する。導電層400は、複数の金属層を積層した多層構造を有しているが、これに限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。導電層400は、複数の金属層を積層した多層構造を有する場合、例えば、ICチップ200の第1主面201上の第1金属層と、第1金属層上の第2金属層と、を含む。第1金属層の材料は、第2金属層の材料と比べてICチップ200のパッシベーション膜に対する密着性の高い材料である。第2金属層の材料がAuの場合、第1金属層の材料は、例えば、Tiである。また、導電層400は、1つの金属層の場合、例えば、Au層である。
【0065】
(3)センサ装置の動作
実施形態1に係るセンサ装置500は、例えば、錘部4をX軸方向に振動させた状態で、錘部4に作用するコリオリ力(転向力)を利用して、Z軸周りの角速度を検知する。
【0066】
具体的には、例えば、駆動制御部212から図2における第1駆動電極81B及び第1駆動電極81Dに駆動信号が出力されると、第1駆動電極81Bと第2駆動電極82Bとの間、及び、第1駆動電極81Dと第2駆動電極82Dとの間に、駆動制御部212から駆動用の電圧信号が印加される。これにより、センサ装置500は、第1駆動電極81Bと第2駆動電極82Bとの間、及び、第1駆動電極81Dと第2駆動電極82Dとの間、それぞれに静電力が生じ、錘部4がX軸方向において振動する。
【0067】
このようにして錘部4がX軸方向に振動している状態で、センサ素子100の錘部4にZ軸周りの角速度が作用する場合を想定する。この場合、錘部4にはコリオリ力(転向力)が作用することにより、錘部4にY軸方向の振動が発し、枠状部6A及び枠状部6CがY軸方向に振動する。
【0068】
センサ装置500は、Y軸方向に並んでいる2つの枠状部6A、6CがY軸方向において振動すると、枠状部6Aに対応する第1検出電極91Aと第2検出電極92Aとの間のギャップ長、及び、枠状部6Cに対応する第1検出電極91Cと第2検出電極92Cとの間のギャップ長、それぞれが変化する。このギャップ長の変化は、静電容量の変化として、信号処理部211に出力される。その結果、センサ装置500では、センサ素子100(の錘部4)に作用したZ軸周りの角速度に相当する電気信号が、第2端子T2から出力されることになる。なお、第1検出電極91B及び第2検出電極92Bは、X軸方向における錘部4の変位をモニタするために利用できる。また、第1検出電極91D及び第2検出電極92Dは、X軸方向における錘部4の変位をモニタするために利用できる。
【0069】
センサ装置500では、信号処理部211は、センサ素子100から出力されるアナログの電気信号(アナログ信号)を、デジタル信号に変換して、適宜の演算処理を行うことにより、Z軸周りの角加速度を求める。
【0070】
(4)利点
実施形態1に係るセンサ装置500は、ICチップ200の第1主面201とセンサ素子100との間に位置しセンサ素子100に樹脂系接着層300を介して対向している導電層400を備え、導電層400が可動電極92に接続されている第1端子T1と電気的に接続されている。これにより、実施形態1に係るセンサ装置500は、樹脂系接着層300の材料特性の経時変化によるセンサ素子100とICチップ200との間の結合容量の容量値の変化を抑制することができ、センサ素子100のセンサ特性の変動を抑制することが可能となる。よって、実施形態1に係るセンサ装置500は、信頼性を向上させることが可能となる。
【0071】
また、実施形態1に係るセンサ装置500は、ICチップ200の第1主面201と第2主面202とが並ぶ方向(言い換えれば、ICチップ200の厚さ方向)からの平面視で、導電層400の外縁407は、センサ素子100の外縁107より外側にある。これにより、センサ装置500は、センサ素子100とICチップ200との間の容量結合を抑制することが可能となる。
【0072】
(実施形態2)
以下、実施形態2に係るセンサ装置500aについて、図7に基づいて説明する。実施形態2に係るセンサ装置500aは、絶縁層410と、導電層400(以下、第1導電層400ともいう)とは異なる第2導電層402と、を更に備える点で実施形態1に係るセンサ装置500と相違する。実施形態2に係るセンサ装置500aに関し、実施形態1に係るセンサ装置500と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0073】
絶縁層410は、第1導電層400とICチップ200の第1主面201との間に配置されている。絶縁層410の材料は、例えば、窒化ケイ素である。絶縁層410の材料は、窒化ケイ素に限らず、例えば、酸化ケイ素でもよい。
【0074】
第2導電層402は、絶縁層410とICチップ200の第1主面201との間に配置されており、絶縁層410を介して第1導電層400に対向している。
【0075】
第2導電層402は、ICチップ200のグランド電極である第5外部接続端子T25(図6参照)又はICチップ200の動作電圧電極である第6外部接続端子T26(図6参照)に電気的に接続されている。
【0076】
第2導電層402は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で正方形状であるが、これに限らず、例えば、長方形状でもよい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第2導電層402の外形サイズは、センサ素子100の外形サイズよりも大きい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第2導電層402の外縁427は、センサ素子100の外縁107よりも外側に位置している。また、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第2導電層402の外形サイズは、ICチップ200の外形サイズよりも小さい。第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で、第2導電層402の外縁427は、ICチップ200の外縁207よりも内側に位置している。
【0077】
第2導電層402は、導電性を有する。第2導電層402は、複数の金属層を積層した多層構造を有しているが、これに限らず、1つの金属層であってもよい。金属層は、1又は複数種の金属を含む。第2導電層402は、複数の金属層を積層した多層構造を有する場合、例えば、ICチップ200の第1主面201上の第1金属層と、第1金属層上の第2金属層と、を含む。第1金属層の材料は、第2金属層の材料と比べてICチップ200のパッシベーション膜に対する密着性の高い材料である。第2金属層の材料がAuの場合、第1金属層の材料は、例えば、Tiである。また、第2導電層402は、1つの金属層の場合、例えば、Au層である。
【0078】
実施形態2に係るセンサ装置500aは、実施形態1に係るセンサ装置500と同様、ICチップ200の第1主面201とセンサ素子100との間に位置しセンサ素子100に樹脂系接着層300を介して対向している導電層400を備え、導電層400が可動電極92に接続されている第1端子T1と電気的に接続されている。これにより、実施形態2に係るセンサ装置500aは、樹脂系接着層300の材料特性の経時変化によるセンサ素子100とICチップ200との間の結合容量の容量値の変化を抑制することができ、センサ素子のセンサ特性の変動を抑制することが可能となる。
【0079】
また、実施形態2に係るセンサ装置500aは、絶縁層410と第2導電層402とを更に備え、第2導電層402がICチップ200のグランド電極である第5外部接続端子T25(図6参照)又はICチップ200の動作電圧電極である第6外部接続端子T26(図6参照)に電気的に接続されているので、第1導電層400の電位を安定させやすい。
【0080】
(実施形態3)
以下、実施形態3に係るセンサ装置500bについて、図8~11に基づいて説明する。実施形態3に係るセンサ装置500bは、実施形態1に係るセンサ装置500におけるセンサ素子100及びICチップ200の代わりに、センサ素子100b及びICチップ200bを備える点で実施形態1に係るセンサ装置500と相違する。実施形態3に係るセンサ装置500bに関し、実施形態1に係るセンサ装置500と同様の構成要素には同一の符号を付して説明を省略する。
【0081】
実施形態3に係るセンサ装置500bは、図8に示すように、ICチップ200bと、センサ素子100bと、樹脂系接着層300と、導電層400と、を備える。ICチップ200bは、ICチップ200と同様に、第1主面201及び第2主面202を有する。センサ素子100bは、ICチップ200bの第1主面201上に配置されている。樹脂系接着層300は、ICチップ200bの第1主面201とセンサ素子100bとの間に位置している。導電層400は、ICチップ200bの第1主面201とセンサ素子100bとの間に位置しており、センサ素子100bに樹脂系接着層300を介して対向している。センサ素子100bは、可動電極92bを含む可動部3bと、可動電極92bとの間に静電容量を形成する固定電極91A、91Bを含む固定部10bと、可動電極92bに接続されている第1端子T1と、固定電極91A、91Bに接続されている第2端子T2A、T2Bと、を有する。ICチップ200bは、第2端子T2A、T2Bから出力される検出信号を処理する信号処理部211bと、信号処理部211bの動作電圧(例えば、1V)である第1電圧を生成する第1電圧生成部221と、第1端子T1へ与えられるセンサ素子100bの基準電位(例えば、2.5V)に対応する第2電圧を生成する第2電圧生成部222と、を有する。導電層400は、第1端子T1に電気的に接続されている。
【0082】
センサ素子100bは、加速度を電気信号に変換する加速度センサ素子100bである。センサ素子100bでは、固定電極91Aと可動電極92bとを有するキャパシタの静電容量、及び、固定電極91Bと可動電極92bとを有するキャパシタの静電容量、それぞれが、X軸方向においてセンサ素子100bに作用する加速度に応じて変化する。
【0083】
センサ素子100bは、図9~11に示すように、固定部10bと、可動部3bと、を備える。固定部10bは、第1基板1bと、第2基板2bと、支持部7bと、複数(例えば、2つ)の固定電極91A、91Bと、を含む。可動部3bは、第1基板1bと第2基板2bとの間において第1基板1b及び第2基板2bから離れて位置している。可動部3bは、錘部4と、複数(例えば、2つ)の梁部8と、を含む。センサ素子100bでは、錘部4bが、可動電極92bを兼ねている。センサ素子100bは、第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で長方形状であるが、これに限らず、例えば、正方形状でもよい。
【0084】
図9では、第2基板2bの図示を省略してある。固定部10bは、第1基板1に対して固定されている。可動部3bは、第1基板1bに対して固定されていない。
【0085】
以下では一例として、互いに直交するX軸、Y軸及びZ軸の3軸を有する直交座標を規定し、特に、第1基板1bの厚さ方向D1(及び錘部4bの厚さ方向)に沿った軸を「Z軸」とし、厚さ方向D1に直交し、かつ、2つの梁部8の並んでいる方向に直交する方向に沿った軸を「X軸」とする。「Y軸」は、2つの梁部8の並んでいる方向に沿った軸であり、Z軸及びX軸のいずれとも直交する。X軸、Y軸、及びZ軸は、いずれも仮想的な軸であり、図面中の「X」、「Y」、「Z」を示す矢印は、説明のために表記しているに過ぎず、いずれも実体を伴わない。なお、上記直交座標の原点は、例えば、第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で可動部3bの中心(図9の例では、錘部4bの中心)に規定することができる。
【0086】
センサ素子100bの検知対象は、Z軸方向の加速度である。センサ素子100bは、Z軸方向の加速度に応じた電気信号を出力する。センサ素子100bの2つの梁部8は、捩れ変形可能なトーションビームである。錘部4bは、支持部7に対して2つの梁部8を結ぶ直線の周りで変位可能となっている(Y軸方向の軸周りで可動となっている)。
【0087】
第1基板1bは、第1主面11及び第1主面11とは反対側の第2主面12を有する。第1基板1bは、第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で長方形状であるが、これに限らず、例えば、正方形状でもよい。第1基板1bは、例えば、第1シリコン基板を含む。
【0088】
第2基板2bは、第1基板1bの厚さ方向D1において第1基板1bの第1主面11に対向している。第2基板2bは、第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で第1基板1bと同じ形状であるが、外形サイズが異なってもよい。第2基板2bは、例えば、第2シリコン基板20を含む。第2基板2bは、例えば、第2シリコン基板20における第1基板1側とは反対側の主面21に形成された絶縁膜23と、この絶縁膜23上に形成されている複数の端子と、第2シリコン基板20の厚さ方向に沿って形成されており複数の端子に一対一に接続された複数の貫通配線24と、を有している。複数の端子は、第1端子T1と、第2端子T2A、2Bと、を含む。複数の貫通配線24と第2シリコン基板20とは例えば貫通配線24と第2シリコン基板20との間に介在する絶縁膜25によって電気的に絶縁されている。
【0089】
支持部7bは、第1基板1bと第2基板2bとの間に位置している。支持部7bは、第1基板1bの外縁及び第2基板2bの外縁に沿った枠状である。支持部7bは、第1基板1b及び第2基板2bに固定されている。
【0090】
支持部7bは、例えば、複数の端子のうち対応する端子(第1端子T1)に、複数の貫通配線24のうち対応する貫通配線24を介して電気的に接続されている。支持部7bは、可動部3bを揺動可能に支持している。
【0091】
錘部4bは、2つの梁部8を介して支持部7bに揺動可能に支持されている。
【0092】
ICチップ200bは、ASICチップである。ICチップ200bは、Si系ICチップである。ICチップ200bは、ICチップ200bの厚さ方向からの平面視で、長方形状であるが、これに限らず、例えば、正方形状でもよい。ICチップ200bは、第1主面201及び第2主面202を有する。第1主面201及び第2主面202は、ICチップ200bの厚さ方向に交差する。
【0093】
ICチップ200bは、シリコン基板203と、多層構造部205と、複数の外部接続端子(パッド電極)と、を有する。シリコン基板203は、第1面231及び第1面231とは反対側の第2面232を有する。ICチップ200bは、複数の機能部として、信号処理部211b、第1電圧生成部221及び第2電圧生成部222を有している。複数の機能部(信号処理部211b、第1電圧生成部221及び第2電圧生成部222)の各々では、機能部の一部がシリコン基板203に形成され機能部の残り部分が多層構造部205に含まれている。ICチップ200bは、信号処理部211bとメモリとを含む制御部210bを有している。多層構造部205は、シリコン基板203の第1面231上に形成されている。多層構造部205は、配線層及びパッシベーション膜を含む。複数の外部接続端子は、対応する機能部に電気的に接続されている。複数の外部接続端子は、第1外部接続端子T21と、第2外部接続端子T22A、T22Bと、第4外部接続端子T24と、第5外部接続端子T25と、を含む。第1外部接続端子T21は、第2電圧生成部222の出力端に接続されている。第2外部接続端子T22A、22Bは、信号処理部211bの一対の入力端に接続されている。第4外部接続端子T24は、第1電圧生成部221の入力端に接続されている。第5外部接続端子T25は、信号処理部211bに接続されている。第5外部接続端子T25は、複数の外部接続端子のうち、ICチップ200bにおいてグランド電位が与えられる外部接続端子である。要するに、第5外部接続端子T25は、ICチップ200bのグランド電極である。
【0094】
ICチップ200bの第1主面201は、多層構造部205におけるシリコン基板203側とは反対側の表面と、複数の外部接続端子の各々の表面と、を含む。ICチップ200bの第2主面202は、シリコン基板203の第2面232を含む。
【0095】
ICチップ200bでは、ICチップ200bの第1主面201がセンサ素子100bにおける第1基板1の第2主面12に対向している。ICチップ200bは、第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で長方形状であるが、これに限らず、例えば、正方形状でもよい。第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で、ICチップ200bの外形サイズは、センサ素子100bの外形サイズよりも大きい。第1基板1bの厚さ方向D1からの平面視で、ICチップ200bの外縁207は、センサ素子100bの外縁107よりも外側に位置している。言い換えれば、ICチップ200bの第1主面201と第2主面202とが並ぶ方向からの平面視で、ICチップ200bの外縁207は、センサ素子100bの外縁107より外側にある。
【0096】
図11に示すように、信号処理部211bは、第2外部接続端子T22A及び第2接続部602Aを介してセンサ素子100bの第2端子T2Aに接続されている。これにより、信号処理部211bは、第2外部接続端子T22A、第2接続部602A及び第2端子T2Aを介して固定電極91Aに接続されている。また、信号処理部211bは、第2外部接続端子T22B及び第2接続部602Bを介してセンサ素子100bの第2端子T2Bに接続されている。これにより、信号処理部211bは、第2外部接続端子T22B、第2接続部602B及び第2端子T2Bを介して固定電極91Bに接続されている。信号処理部211bは、センサ素子100bの第2端子T2A、T2Bから出力される検出信号を処理する。より詳細には、信号処理部211bは、センサ素子100bから出力されるアナログの検出信号(電気信号)を、デジタル信号に変換して、適宜の演算処理を行うことにより、X軸方向の加速度を求める。
【0097】
第1接続部601及び第2接続部602A、602Bの各々は、導電性ワイヤである。
【0098】
センサ装置500bでは、X軸方向の加速度が印加されておらず錘部4bが静止している状態での可動電極92bと固定電極91Aとの間の静電容量をC1とし、可動電極92bと固定電極91Bとの間の静電容量をC2とすると、C1≒C2である。一方、センサ素子100bがX軸方向に加速したときの可動電極92bと固定電極91Aとの間の静電容量の変化分をΔC1、可動電極92bと固定電極91Bとの間の静電容量の変化分を-ΔC2とすると、ΔC1≒ΔC2である。
【0099】
センサ装置500bでは、ICチップ200bの信号処理部211bが、可動電極92bと固定電極91Aとの間の静電容量と、可動電極92bと固定電極91Bとの間の静電容量と、の差分値(≒ΔC1+ΔC2)に基づいてX軸方向の加速度を演算する。
【0100】
実施形態3に係るセンサ装置500bは、ICチップ200bの第1主面201とセンサ素子100bとの間に位置しセンサ素子100bに樹脂系接着層300を介して対向している導電層400を備え、導電層400が可動電極92bに接続されている第1端子T1と電気的に接続されている。これにより、実施形態3に係るセンサ装置500bは、樹脂系接着層300の材料特性の経時変化によるセンサ素子100bとICチップ200bとの間の結合容量の容量値の変化を抑制することができ、センサ素子100bのセンサ特性の変動を抑制することが可能となる。よって、実施形態3に係るセンサ装置500bは、信頼性を向上させることが可能となる。
【0101】
(変形例)
上記の実施形態1~3は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1、2は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。
【0102】
第1基板1の厚さ方向D1からの平面視における錘部4の外周形状は、多角形状に限らず、例えば、円形状でもよい。
【0103】
また、センサ素子100において、第1基板1と可動部3と支持部7とを含む構造体は、SOIウェハを用いて形成される場合に限らず、例えば、シリコンウェハとガラスウェハとを用いてMEMSの製造技術及び陽極接合技術等を利用して形成されていてもよい。ガラスウェハの材料は、例えば、硼珪酸ガラスである。
【0104】
また、第1基板1と可動部3と支持部7とを含む構造体は、SOIウェハを用いて製造される場合に限らず、例えば、2枚のシリコンウェハを接合する貼り合わせ技術を利用して形成されていてもよい。
【0105】
また、複数の第1弾性部51及び複数の第2弾性部52それぞれの形状は、図示した例に限らない。
【0106】
また、複数の第1弾性部51及び複数の第2弾性部52は、ばねに限らず、弾性体であればよい。また、第1弾性部51及び第2弾性部52それぞれの数は、適宜変更してもよい。
【0107】
また、第1弾性部51及び第2弾性部52は、シリコンに限らず、例えば、金属、合金、導電性樹脂等であってもよい。
【0108】
また、枠状部6は、第1基板1の厚さ方向D1からの平面視で完全に閉じた枠に限らず、一部が切れた枠状であってもよく、例えば、C字状又はU字状であってもよい。また、複数の枠状部6は、互いに同じ形状である場合に限らず、異なっていてもよい。
【0109】
また、センサ装置500は、錘部4を複数備えていてもよい。
【0110】
また、加速度センサ素子は、両持ち梁式の加速度センサ素子に限らず、片持ち梁式の加速度センサ素子であってもよい。
【0111】
(態様)
第1の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、ICチップ(200;200b)と、センサ素子(100;100b)と、樹脂系接着層(300)と、導電層(400)と、を備える。ICチップ(200;200b)は、第1主面(201)及び第2主面(202)を有する。センサ素子(100;100b)は、ICチップ(200;200b)の第1主面(201)上に配置されている。樹脂系接着層(300)は、ICチップ(200;200b)の第1主面(201)とセンサ素子(100;100b)との間に位置している。導電層(400)は、ICチップ(200;200b)の第1主面(201)とセンサ素子(100;100a)との間に位置しており、センサ素子(100;100b)に樹脂系接着層(300)を介して対向している。センサ素子(100;100b)は、可動電極(92;92b)を含む可動部(3;3b)と、可動電極(92;92b)との間に静電容量を形成する固定電極(91;91A,91B)を含む固定部(10;10b)と、可動電極(92;92b)に接続されている第1端子(T1)と、固定電極(91;91A,91B)に接続されている第2端子(T2;T2A,T2B)と、を有する。ICチップ(200;200b)は、第2端子(T2;T2A,T2B)から出力される検出信号を処理する信号処理部(211;211b)と、信号処理部(211;211b)の動作電圧である第1電圧を生成する第1電圧生成部(221)と、第1端子(T1)へ与えられるセンサ素子(100;100b)の基準電位に対応する第2電圧を生成する第2電圧生成部(222)と、を有する。導電層(400)は、第1端子(T1)に電気的に接続されている。
【0112】
第1の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、センサ素子(100;100b)のセンサ特性の変動を抑制することが可能となる。
【0113】
第2の態様に係るセンサ装置(500;500a)では、第1の態様において、センサ素子(100)は、角速度センサ素子(100)である。固定部(10)は、駆動電極(81)を更に含む。センサ素子(100)は、駆動電極(81)に接続されている第3端子(T3)を更に有する。ICチップ(200)は、第3端子(T3)に対して駆動信号を出力する駆動制御部(212)を更に有する。
【0114】
第2の態様に係るセンサ装置(500)は、角速度センサ素子(100)のセンサ特性の変動を抑制することが可能となる。
【0115】
第3の態様に係るセンサ装置(500)では、第2の態様において、第2電圧は、第1電圧よりも大きい。
【0116】
第3の態様に係るセンサ装置(500)は、角速度センサ素子(100)の動作が不安定になることを抑制可能となる。
【0117】
第4の態様に係るセンサ装置(500)では、第3の態様において、第2電圧生成部(222)は、第1電圧生成部(221)から出力される第1電圧を昇圧することによって第2電圧を生成するチャージポンプ回路を含む。
【0118】
第4の態様に係るセンサ装置(500)は、第2電圧生成部(222)がチャージポンプ回路を含むので、インダクタを用いることなく第1電圧を第2電圧に昇圧でき、電磁ノイズの発生を抑制することが可能となる。
【0119】
第5の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)では、第1~4の態様のいずれか一つにおいて、ICチップ(200;200b)の第1主面(201)と第2主面(202)とが並ぶ方向からの平面視で、導電層(400)の外縁(407)は、センサ素子(100;100b)の外縁(107)より外側にある。
【0120】
第5の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、センサ素子(100;100b)とICチップ(200;200b)との間の容量結合を抑制することが可能となる。
【0121】
第6の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、絶縁層(410)と、第2導電層(402)と、を更に備える。絶縁層(410)は、導電層(400)である第1導電層(400)とICチップ(200;200b)の第1主面(201)との間に配置されている。第2導電層(402)は、絶縁層(410)とICチップ(200;200b)の第1主面(201)との間に配置されており、絶縁層(410)を介して第1導電層(400)に対向している。ICチップ(200;200b)は、グランド電極(第5外部接続端子T25)を有する。第2導電層(402)は、ICチップ(200;200b)のグランド電極(第5外部接続端子T25)に電気的に接続されている。
【0122】
第6の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、第1導電層(400)の電位を安定させやすい。
【0123】
第7の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、絶縁層(410)と、第2導電層(402)と、を更に備える。絶縁層(410)は、導電層(400)である第1導電層(400)とICチップ(200;200b)の第1主面(201)との間に配置されている。第2導電層(402)は、絶縁層(410)とICチップ(200;200b)の第1主面(201)との間に配置されており、絶縁層(410)を介して第1導電層(400)に対向している。ICチップ(200;200b)は、動作電圧電極(第6外部接続端子T26)を有する。第2導電層(402)は、ICチップ(200;200b)の動作電圧電極(第6外部接続端子T26)に電気的に接続されている。
【0124】
第7の態様に係るセンサ装置(500;500a;500b)は、第1導電層(400)の電位を安定させやすい。
【0125】
第2~7の態様に係る構成については、センサ装置(500;500a;500b)に必須の構成ではなく、適宜省略可能である。
【符号の説明】
【0126】
3、3b 可動部
10、10b 固定部
81 駆動電極(第1駆動電極)
91 固定電極(第1検出電極)
91A、91B 固定電極
92 可動電極(第2検出電極)
92b 可動電極
100 センサ素子(角速度センサ素子)
100b センサ素子
107 外縁
200、200b ICチップ
201 第1主面
202 第2主面
207 外縁
211 信号処理部
212 駆動制御部
221 第1電圧生成部
222 第2電圧生成部
300 樹脂系接着層
400 導電層(第1導電層)
402 第2導電層
407 外縁
410 絶縁層
500、500a、500b センサ装置
D1 厚さ方向
T1 第1端子
T2、T2A、T2B 第2端子
T3 第3端子
T25 第5外部接続端子(グランド電極)
T26 第6外部接続端子(動作電圧電極)
図1
図2
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