IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ エイテックス株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-LED照明装置 図1
  • 特開-LED照明装置 図2
  • 特開-LED照明装置 図3
  • 特開-LED照明装置 図4
  • 特開-LED照明装置 図5
  • 特開-LED照明装置 図6
  • 特開-LED照明装置 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023003752
(43)【公開日】2023-01-17
(54)【発明の名称】LED照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21S 2/00 20160101AFI20230110BHJP
   F21V 19/00 20060101ALI20230110BHJP
   F21V 23/00 20150101ALI20230110BHJP
   H05K 1/02 20060101ALI20230110BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20230110BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20230110BHJP
   F21Y 105/16 20160101ALN20230110BHJP
   F21Y 107/70 20160101ALN20230110BHJP
   F21Y 113/13 20160101ALN20230110BHJP
【FI】
F21S2/00 482
F21V19/00 150
F21V19/00 170
F21V19/00 450
F21V19/00 130
F21V23/00 160
F21S2/00 498
H05K1/02 J
F21Y115:10
F21Y103:10
F21Y105:16
F21Y107:70
F21Y113:13
【審査請求】有
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021105017
(22)【出願日】2021-06-24
(71)【出願人】
【識別番号】595003440
【氏名又は名称】エイテックス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100197642
【弁理士】
【氏名又は名称】南瀬 透
(74)【代理人】
【識別番号】100099508
【弁理士】
【氏名又は名称】加藤 久
(74)【代理人】
【識別番号】100182567
【弁理士】
【氏名又は名称】遠坂 啓太
(74)【代理人】
【識別番号】100219483
【弁理士】
【氏名又は名称】宇野 智也
(72)【発明者】
【氏名】石橋 和雄
【テーマコード(参考)】
3K013
3K014
3K244
5E338
【Fターム(参考)】
3K013AA01
3K013BA01
3K013CA05
3K013CA16
3K013EA13
3K014AA01
3K014BA00
3K244AA05
3K244AA06
3K244BA11
3K244BA27
3K244BA28
3K244BA29
3K244BA31
3K244BA37
3K244BA42
3K244BA50
3K244CA02
3K244DA01
3K244GA02
5E338AA01
5E338AA12
5E338AA16
5E338CC04
5E338CD12
5E338EE32
(57)【要約】
【課題】基板のコストを抑えつつ、平坦面だけでなく、湾曲面でも設置することが可能なLED照明装置を提供する。
【解決手段】LED照明装置1は、可撓性を有する正方形状で白色のアルミニウム板による薄板により形成されたベース板2と、ベース板2に所定間隔を空けて平行に配置され、LED素子6が列状に実装された帯状のフレキシブル基板により形成されたLED実装用基板4とを備えている。ベース板2全体を覆うような回路基板とすることより、帯状のフレキシブル基板の方がコストを抑えることができる。また、ベース板2は可撓性を有しており、LED実装用基板4はフレキシブル基板により形成されているため、設置面に合わせて湾曲させることができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
可撓性を有するベース板と、
前記ベース板に所定間隔を空けて配置され、LED素子が列状に実装された帯状のフレキシブル基板により形成されたLED実装用基板とを備えたLED照明装置。
【請求項2】
前記LED実装用基板が配置された前記ベース板は、樹脂フィルムが密着した状態で貼り付けられた請求項1記載のLED照明装置。
【請求項3】
前記ベース板の実装面は、白色に形成された請求項1または2記載のLED照明装置。
【請求項4】
前記LED実装用基板は、基本パターンが長さ方向に沿って連続して形成されたものであり、
前記基本パターンは、電源が接続される一対の端子のうち、プラス側の端子に接続される電源線であり、接続パターンにより直列接続された複数のLED素子に接続された第1電源線およびマイナス側の端子に接続された帰線となる電源線である第2電源線と、前記第1電源線から前記第2電源線への配線であり、接続素子を介在させる配線であるリターン線と、前記第1電源線および前記第2電源線とを次の基本パターンの一対の端子に接続する繋ぎ用パターンとを備え、
前記接続素子は、最終段の基本パターンでは実装され、最終段以外の基本パターンでは非実装である請求項1から3のいずれかの項に記載のLED照明装置。
【請求項5】
前記LED実装用基板の基端部から先端部に向かう方向と交差する方向に配置され、前記LED実装用基板のそれぞれの基端部に形成された受電用の端子に、電源供給用の端子が接続された状態で前記ベース板に配置された電源供給用基板であり、帯状のフレキシブル基板により形成された電源供給用基板を備えた請求項1から4のいずれかの項に記載のLED照明装置。
【請求項6】
前記LED実装用基板が配置された前記ベース板の前方に拡散板を備え、
前記拡散板には、絵、文字、模様、記号のいずれかまたは組み合せを象った透光部と、残余の遮光部とが形成された請求項1から5のいずれかの項に記載のLED照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LED素子によるLED照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LED照明装置では、回路基板に実装されたLED素子に電源が供給されることで、LED素子が点灯する。長尺の照明装置とするときには、複数枚の回路基板を電気的に接続する。このようなLED照明装置として、特許文献1~3に記載されたものが知られている。
【0003】
特許文献1に記載の面発光モジュールおよびそれを用いた面発光装置は、複数のLEDが実装され、配線で直列に接続された複数の基板と、複数の基板を収容する複数の凹部を有する支持部材とを備えたものである。
【0004】
また、特許文献2に記載のバックライト装置及び表示装置は、バックライト光源を長手方向に沿って複数配置した光源列を幅方向に複数備える可撓性のフィルム基板が、フィルム支持部により、山形に折り曲げた状態で支持されたものである。
【0005】
また、特許文献3に記載の面発光装置は、LEDを実装するための複数の細長い短冊状の実装基板が、Al基板、ガラスエポキシ基板、紙フェノール基板等により形成され、ネジ、リベット、もしくは両面テープ等によりシャーシに固定され、このシャーシが、鋼板、カーボン、或いはABS樹脂等の樹脂により形成されたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007-36132号公報
【特許文献2】特開2011-60673号公報
【特許文献3】特開2011-134474号公報
【特許文献4】特開2009-516358号公報
【特許文献5】特開2012-226901号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
特許文献1~3に記載の従来のLED照明装置は、複数の細長基板が所定間隔を空けて支持部材に配置されているため、LED素子を大判の回路基板にマトリックス状に配置することにより、回路基板のコストを抑えることができる。
【0008】
しかし、特許文献1に記載の面発光モジュールおよびそれを用いた面発光装置では、複数のLEDが実装された複数の基板が、支持部材に形成された複数の凹部に収容されており、支持部材は、複数のLEDから放射される光を反射する反射板を兼ねており、プラスチック等の樹脂材料を成形あるいは金属を加工することによって平板状部材により形成されている。
従って、複数の基板を収容するための凹部が形成されるような平板状部材の厚みでは、平坦面に取り付けることができても、湾曲面などには張り付けることができない。
【0009】
また、特許文献2に記載のバックライト装置及び表示装置では、フィルム支持部が、フィルム基板を山形に折り曲げた状態で支持しているため、湾曲面に張り付けるときはフィルム支持部が折れ曲がらないため、液晶パネルを照光するバックライト装置に使用することができても、湾曲面などには張り付けることができない。
【0010】
また、特許文献3に記載の面発光装置では、実装基板が硬質の基板で形成されており、シャーシが、鋼板、カーボン、或いはABS樹脂等の樹脂に形成されているため、特許文献2と同様に、液晶テレビや液晶モニターなどの液晶ディスプレイのバックライトに使用することができても、湾曲面などには張り付けることができない。
【0011】
そこで、本発明は、基板のコストを抑えつつ、平坦面だけでなく、湾曲面でも設置することが可能なLED照明装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明のLED照明装置は、可撓性を有するベース板と、前記ベース板に所定間隔を空けて配置され、LED素子が列状に実装された帯状のフレキシブル基板により形成されたLED実装用基板とを備えたことを特徴とするものである。
【0013】
本発明のLED照明装置によれば、LED素子が列状に実装され、帯状のフレキシブル基板により形成されたLED実装用基板が、ベース板に所定間隔を空けて配置されているため、ベース板全体を覆うような回路基板とすることより、回路基板のコストを抑えることができる。また、ベース板は可撓性を有しており、LED実装用基板はフレキシブル基板により形成されているため、本発明のLED照明装置を設置面に合わせて湾曲させることができる。
【0014】
前記LED実装用基板が配置された前記ベース板は、樹脂フィルムが密着した状態で貼り付けられたものとすることができる。樹脂フィルムが密着した状態で、LED実装用基板が配置されたベース板に貼り付けられていることで、防水性および防塵性を向上させることができる。
【0015】
前記ベース板の実装面は、白色に形成されたものとすることができる。ベース板の実装面が白色に形成されていることで、LED実装用基板に実装されたLED素子からの光を効率よく反射させることができる。
【0016】
前記LED実装用基板は、電源が接続される一対の端子のうち、プラス側の端子に接続される電源線であり、接続パターンにより直列接続された複数のLED素子に接続された第1電源線およびマイナス側の端子に接続された帰線となる電源線である第2電源線と、前記第1電源線から前記第2電源線への配線であり、接続素子を介在させる配線であるリターン線と、前記第1電源線および前記第2電源線とを次の基本パターンの一対の端子に接続する繋ぎ用パターンとを備え、前記接続素子は、最終段の基本パターンでは実装され、最終段以外の基本パターンでは非実装とすることができる。
このように基本パターンが形成されていることで、大型の露光装置がなくても、小型の露光装置により基本パターンを連続して露光しながら形成させれば、長尺のLED実装用基板を製造することができる。
【0017】
前記LED実装用基板の基端部から先端部に向かう方向と交差する方向に配置され、前記LED実装用基板のそれぞれの基端部に形成された受電用の端子に、電源供給用の端子が接続された状態で前記ベース板に配置された電源供給用基板であり、帯状のフレキシブル基板により形成された電源供給用基板を備えたものとすることができる。電源供給用基板を介して、それぞれのLED実装用基板に電源を供給することで、それぞれのLED実装用基板に電源を供給するためのリード線を接続する必要が無いため、リード線の数を減らすことができる。
【0018】
前記LED実装用基板が配置された前記ベース板の前方に拡散板を備え、前記拡散板には、絵、文字、模様、記号のいずれかまたは組み合せを象った透光部と、残余の遮光部とが形成されたものとすることができる。
拡散板の透光部から拡散した光が通過するため、絵、文字、模様、記号のいずれかまたは組み合せを象った光を観察者に見せることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明のLED照明装置によれば、回路基板のコストを抑えることができ、設置面に合わせて湾曲させることができるので、基板のコストを抑えつつ、平坦面だけでなく、湾曲面でも設置することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るLED照明装置を示す斜視図である。
図2図1に示すLED照明装置におけるLED実装用基板の配線パターンの原理を説明するための図であり、(A)は回路図、(B)は配線パターンの図である。
図3図1に示すLED照明装置のLED実装用基板の一例の回路図である。
図4図3に示すLED実装用基板を説明するための図であり、(A)はLED実装用基板の配線パターン図、(B)は、配線パターンの基本パターンの配線パターン図である。
図5図1に示すLED照明装置の電源供給用基板を説明するための図であり、(A)は電源供給用基板の配線パターン図、(B)は、電源供給用基板の基本パターンの配線パターン図である。
図6図4および図5に示す基本パターンを製造するときのフレキシブル基板を説明するための図である。
図7図1に示すLED照明装置が壁面に設置された状態を説明するための斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係るLED照明装置を図面に基づいて説明する。
図1に示す本実施の形態に係るLED照明装置1は、天井にシーリングライトとして設置されたり、広い天井であれば、天井に敷き詰めたり、所定間隔を空けて配置したり、ファサード照明として大型建築物の平坦な壁面や湾曲した壁面に設置したりすることができる面状発光装置である。
LED照明装置1は、ベース板2と、光源部3とを備えている。
LED照明装置1は、防水性や防塵性の向上を目的として、光源部3が配置されたベース板2全体を覆うように樹脂フィルム(例えば、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ABS等)が、ラミネート加工により密着した状態で貼り付けられている。この樹脂フィルムが、紫外線遮蔽性を有するものであれば、紫外線からも保護することができる。
【0022】
ベース板2は、可撓性を有する矩形状の板状部材である。ベース板2は、実装面2s(おもて面)が白色に形成されている。
例えば、ベース板2は、可撓性を有するものであれば、薄い金属板、樹脂板等の様々なものが使用できるが、本実施の形態では、正方形状の厚みが約0.5mmのアルミニウム製またはアルミニウム合金の板材とすることができる。
また、白色は、板材に、白色塗料を塗布したり、白色印刷したり、白色シートを貼り付けたりすることで、形成することができる。実装面2sが白色であるため、LED実装用基板4に実装されたLED素子6からの光を効率よく反射させることができる。
【0023】
光源部3は、LED素子6と他の電子素子とが実装されたLED実装用基板4と、LED実装用基板4に電源を供給するための電源供給用基板5とを備えている。
LED実装用基板4は、ベース板2に所定間隔を空けて並行に配置されている。本実施の形態では、LED実装用基板4は互いに平行となるように12本が配置されている。LED実装用基板4は、LED素子6が列状に実装された帯状のフレキシブル基板により形成されている。
【0024】
電源供給用基板5は、LED実装用基板4の基端部4kに、LED実装用基板4の長さ方向F1と交差する方向に沿って配置されている。本実施の形態では、電源供給用基板5は、直交する方向F2に沿って配置されている。電源供給用基板5は、LED実装用基板4と、ジャンパ素子やゼロオーム抵抗などの接続素子7により導通接続されている。
【0025】
フレキシブル基板は、銅箔が積層されたポリイミド等から形成され、可撓性を有する絶縁性のベースフィルムに、LED素子6を発光させるための電源供給用の配線パターンが形成され、ベースフィルムと配線パターンとに半田付け部分を露出させた、白色の保護用レジスト層が形成されたものである。
【0026】
ここで、LED実装用基板4の配線パターンについて、図面に基づいて説明する。
まず、従来の配線パターンについて説明する。
【0027】
例えば、特許文献4に記載の固体照明パネル用タイルは、複数のタイルが、大きな照明棒状アッセンブリを形成するように組み立てられ、最も左のタイルの第1の経路のカソード接続部が中央のタイルの第1の経路のアノード接続部に電気的に接続され、中央のタイルの第1の経路のカソード接続部が最も右のタイルの第1の経路のアノード接続部に電気的に接続され、同様に、最も左のタイルの第2の経路のアノード接続部が中央のタイルの第2の経路のカソード接続部に電気的に接続され、中央のタイルの第2の経路のアノード接続部が、最も右のタイルの第2の経路のカソード接続部に電気的に接続されている。更に、最も右のタイルの第1の経路のカソード接続が、ループバックコネクタにより、最も右のタイルの第2の経路のアノード接続部に電気的に接続されている。
【0028】
また、特許文献5に記載の面状照明装置は、導光板の入光面に対向して、LEDが実装された複数の回路基板が配置され、複数の回路基板が、コネクタによって隣接する同士が電気的に接続される。
【0029】
このように、特許文献4に記載の固体照明パネル用タイルや、特許文献5に記載の面状照明装置では、複数枚の回路基板を接続するために、コネクタ同士で連結するか、リード線により接続している。従って、複数枚の回路基板を接続するためには、煩雑な作業が必要である。
1枚の大判の回路基板で構成すれば、複数枚の回路基板を連結するためのコネクタが省略できたり、リード線の接続作業が省略できたりする。
【0030】
図2(A)に示すように、例えば、フレキシブル基板の回路が、電源が接続される一対の端子101,102のうち、プラス側の端子101に接続される電源線であり、接続パターン103により直列接続された複数のLED素子104の入口側のアノードおよび出口側のカソードに接続された第1電源線105と、マイナス側の端子102に接続された帰線となる電源線である第2電源線107と、第1電源線105から第2電源線107への配線であり、接続素子の一例である定電流素子106を介在させる配線であるリターン線108とを備えているものとする。
【0031】
端子101,102には、直列接続されたLED素子104の電圧降下を考慮した電圧が印加され、定電流素子106はLED素子104が要求する電流を流す規格のものが採用される。
【0032】
図2(A)に示す回路では、定電流で使用されるLED素子104が直列接続されているため、例えば、直列接続されたLED素子104は、直列接続されたLED素子104を複数組に分けて並列接続して使用するときより、消費電力を抑えることができる。
【0033】
このような回路の場合、例えば、LED素子104が6個で、LED素子104の間隔が2cm程度であれば、フレキシブル基板全体の長さが12cm程度となるが、大判のベース板2(図1参照)に対応させるために、LED素子104の間隔を7~8cmとすると、フレキシブル基板全体の長さを42cm~48cm以上としなければならない。
【0034】
配線パターンは、ベースフィルム全体に形成された銅箔をエッチングするフォトレジスト法により形成される。
従って、引用文献4,5に記載の従来のLED照明装置に使用される回路基板を、LED素子が列状に実装される長尺のフレキシブル基板に配線パターンにより形成する場合や、図2(A)に示す回路図を、フレキシブル基板に配線パターンにより形成する場合には、銅箔をフォトエッチングにより形成するための大型の露光機が必要である。しかし、露光エリアが30cmを超える露光機は高額であり、準備が困難な特殊な装置となる。
【0035】
例えば、図2(A)に示す回路を、図2(B)に示すLED実装用基板のように、基本パターンP1(P11,P12)が長さ方向に沿って連続して形成することで、露光範囲が狭い露光機でも配線パターンを製作することができるようにしたものである。
【0036】
図2(B)に示す基本パターンP1は、図2(A)に示す配線パターンと同様に、電源が接続される一対の端子101,102のうち、プラス側の端子101に接続される電源線であり、接続パターン103により直列接続された複数のLED素子104に接続された第1電源線105と、マイナス側の端子102に接続された帰線となる電源線である第2電源線107と、第1電源線105から第2電源線107への配線であり、接続素子の一例である定電流素子106を介在させる配線であるリターン線108とを備えている。
また、基本パターンP1は、第1電源線105と第2電源線107とを次の基本パターンP1の一対の端子101,102に接続する繋ぎ用パターン109,110を備えている。
【0037】
フレキシブル基板(LED実装用基板)の配線パターンについて、基本となる基本パターンP1を長さ方向に沿って連続して形成すると、最初の基本パターンP11には、電源が接続される端子101,102が形成される。
最初の基本パターンP11に続く後段の基本パターンP1(図2(B)では基本パターンP12のみ)では、端子101,102に、繋ぎ用パターン109,110が接続される。従って、後段の端子101は、前段の基本パターンP1の繋ぎ用パターン109を介して、LED素子104の出口側のカソードに接続された第1電源線105に導通状態である。また、後段の端子102は、前段の基本パターンP1の繋ぎ用パターン110を介して第2電源線107に導通状態である。
また、最終段の基本パターンP1(図2(B)では基本パターンP12)の繋ぎ用パターン109,110は、次段に基本パターンP1が無いことから、開放端となる。
更に、基本パターンP1のダイパッド111については、最終段の基本パターンP12は定電流素子106が実装され、最終段以外は、定電流素子106が非実装である。
そうすることで、図2(B)に示すLED実装用基板は、図2(A)に示す回路と等価とすることができる。
【0038】
このように、LED実装用基板の配線パターンが基本パターンP1により形成されていることで、長尺のフレキシブル基板でも、LED実装用基板の配線パターンをフォトエッチング法により製作するときに、長さ方向に沿って基本パターンP1を繰り返し露光することで形成することができる。
従って、LED照明装置は、大判のベース板2(図1参照)に合わせた大判のLED実装用基板とする必要が無く、所定間隔を空けて細長長尺のLED実装用基板を並べて配置することにより製作することができる。よって、LED照明装置は、基板のコストを抑えることができる。
【0039】
(実施例)
次に、LED実装用基板4の回路例を図3に基づいて説明する。
図3に示すように、LED実装用基板4は、2色のLED素子6をそれぞれ直列接続するものである。
本実施例では、LED実装用基板4には、昼光色を発光するLED素子6aと、電球色を発光するLED素子6bとが実装されている。
LED実装用基板4の基端部4kには、LED素子6aに電源を供給するための端子41aが形成されている。また、LED素子6bに電源を供給するための端子41bが形成されている。本実施例では、端子41aと端子41bとにそれぞれ、電源として+24Vが供給される。
【0040】
直列接続されたLED素子6aからの帰線Rは、通電用素子として機能する定電流素子8(8a)を介在させて端子41cに接続されている。同様に、LED素子6bからの帰線Rは、定電流素子8(8b)を介在させて端子41dに接続されている。端子41cと端子41dは、グランドとなる。
【0041】
次に、図3に示す回路図を実現する配線パターンについて、図面に基づいて説明する。
図4(A)に示すように、LED実装用基板4は、基本となる基本パターンP2が長さ方向に沿って連続して形成されたものである。図4(A)に示すLED実装用基板4では、基本パターンP2(P21,P22)が2回連続している。
図4(B)に示すように、基本パターンP2には、受電用の端子41a~41dが形成されている。LED素子6aを直列接続するための配線である接続用パターン42aが形成されている。接続用パターン42aには、LED素子6aが実装されるダイパッド43aが形成されている。
また、LED素子6bを直列接続するための配線である接続用パターン42bが形成されている。接続用パターン42bには、LED素子6bが実装されるダイパッド43bが形成されている。
【0042】
端子41a,41bからの第1電源線4Pに、直列接続されたLED素子6a,6bが接続されている。また、端子41c,41dへの帰線Rである第2電源線4Nに、通電用素子として機能する定電流素子8(8a,8b)を実装するためのダイパッド46a,46bが形成されている。ダイパッド46a,46bには、第2電源線4Nに接続するリターン線47a,47bが接続されている。
【0043】
図4(A)および同図(B)基本パターンP2(P21)の最終段のLED素子6a,6bからは、次段の基本パターンP2(P22)へ向かう繋ぎ用パターン44a,44bが形成されている。
繋ぎ用パターン44a,44bは、次段の基本パターンP22の端子41a,41bに接続される。
また、端子41c,41dから次段の基本パターンP22に向かう繋ぎ用パターン45a,45bが形成されている。
繋ぎ用パターン45a,45bは、次段の基本パターンP22の帰線R用の端子41c,41dに接続される。
【0044】
このような基本パターンP2が形成されていることで、長尺のフレキシブル基板からLED実装用基板4の配線パターンをフォトエッチング法により製作するときに、長さ方向F1に沿って基本パターンP2を繰り返し露光することで形成することができる。
そして、図3に示す回路と等価とするために、電源供給用基板5に接続される基本パターンP21のダイパッド46a,46bは、定電流素子8が非実装であり、次段(最終段)の基本パターンP22のダイパッド46a,46bは、定電流素子8が実装される。
【0045】
そうすることで、定電流素子8が非実装状態のダイパッド46a,46bでは、最終段のLED素子6a,6bが第2電源線4Nと非接続状態となる。
そのため、基本パターンP21の最終段のLED素子6a,6bは、繋ぎ用パターン44a,44bにのみに接続された状態である。また、繋ぎ用パターン44a,44bは、次段の基本パターンP22の端子41a,41bに接続されている、
【0046】
次段の基本パターンP22のダイパッド46a,46bに、定電流素子8が実装されることで、最終段のLED素子6a,6bと定電流素子8と第2電源線4Nとが接続状態となる。
また、最終段となる基本パターンP22の繋ぎ用パターン44a,44b,45a,45bは、次段に基本パターンP2が無いことから、開放端となる。
従って、定電流素子8の実装状態によって、LED実装用基板4の先端部4sに位置する最終段の基本パターンP22と、それ以外の基本パターンP2とを同じ配線パターンとすることができるので、LED実装用基板4の配線パターンを、同じ配線パターン(基本パターンP2)の繰り返しとすることができる。
なお、本実施例に係るLED実装用基板4では、基本パターンP2が2回繰り返して形成されているが、要求される長さに応じて基本パターンP2を3回以上繰り返して形成するようにしてもよい。
【0047】
次に、電源供給用基板5の配線パターンについて、図面に基づいて説明する。
図5(A)および同図(B)に示すように、電源供給用基板5は、LED実装用基板4と同様に、フレキシブル基板により形成されている。
電源供給用基板5には、電源供給用の端子51a~51dが一列に並んだ状態で、長さ方向F3に沿って所定間隔ごとに形成されている。端子51a~51dは、それぞれ、図5(B)に示す端子51a~51dと、図1に示す接続素子7(例えば、ジャンパ素子等)により接続される。
【0048】
端子51a、51bからのそれぞれの枝線に接続されると共に、隣接する端子51a、51b同士を接続する、電源を供給するための電源線となる第1電源線52が形成されている。
端子51cには、接続素子が実装される一方のパッド53aが接続されている。
一方のパッド53aと対をなす他方のパッド53bは、隣接する他方のパッド53b同士を接続する、グランド線となる一方の第2電源線53が接続されている。
また、端子51dには、接続素子が実装される一方のパッド54aが接続されている。
一方のパッド54aと対をなす他方のパッド54bは、隣接する他方のパッド54b同士を接続する、グランド線となる他方の第2電源線54が接続されている。
【0049】
外部から電源、例えば、+24Vを供給するためのリード線L1(図1参照)が接続される第1電源端子55が第1電源線52に形成されている。
グランドとするためのリード線L2(図1参照)が接続される一方の第2電源端子56が、一方の第2電源線53に形成されている。
一方の第2電源端子56とは別系統のグランドとするためのリード線L3(図1参照)が接続される他方の第2電源端子57が、他方の第2電源線54に形成されている。
【0050】
リード線L1にプラス電源を供給し、リード線L2,L3からの電流をPWM制御により点灯制御して、LED6aとLED6bとの調光を調整することで、LED6aおよびLED6bの調光と混色とを制御することができる。
【0051】
このように、電源供給用基板5が、それぞれのLED実装用基板4に接続して電源を供給するので、リード線の数を減らすことができ、LED素子6全体の調光と混色とを制御することが可能である。
【0052】
このように形成されたLED実装用基板4と電源供給用基板5とが、図1に示すように、ベース板2に櫛歯状に配置されている。ベース板2への配置は、LED実装用基板4と電源供給用基板5とを、両面接着テープにより貼り付けたり、接着材により貼り付けたり、ねじ止めとしたりすることで、固定することができる。
【0053】
このLED実装用基板4と電源供給用基板5とは、図6に示すような配線パターンのフレキシブル基板Fにより製作することができる。
図6に示すフレキシブル基板Fは、連続した基本パターンのうち1つの基本パターンを示している。フレキシブル基板Fは、LED実装用基板4の配線パターンが幅方向F4に沿って並べられている。図6では、4枚分のLED実装用基板4が並べられている。また、幅方向F4に並ぶLED実装用基板4の一方の側部には、電源供給用基板5の配線パターンが形成されている。
【0054】
フレキシブル基板Fでは、連続した基本パターンにおける切断位置を示す切断線Lを、表層として形成された白色の保護用レジスト層の非形成部分として形成している。
【0055】
図1に示すLED照明装置1では、図4(A)に示す基本パターンP2が2つ連続したLED実装用基板4が12枚並べられており、図5(B)に示す基本パターン11が2つ連続した電源供給用基板5が、12枚のLED実装用基板4に接続されている。
従って、LED実装用基板4では、基本パターンP2が24枚分必要であるため、図6に示すフレキシブル基板Fが6枚分必要となる。
また、電源供給用基板5は、2つ分の基本パターン11が必要であるため、6枚分のフレキシブル基板Fから2枚分の電源供給用基板5の基本パターン11を取る。
そうすることで、図1に示すLED照明装置1に必要なLED実装用基板4と、電源供給用基板5とを得ることができる。
【0056】
このような、図1に示すLED照明装置1は、LED実装用基板4が帯状のフレキシブル基板により形成され、ベース板2に所定間隔を空けて配置されているため、ベース板2全体の大きさの回路基板にLED素子を実装することより、LED実装用基板4のコストを抑えることができる。
また、フレキシブル基板は変形自在であり、ベース板2も可撓性を有しているため、平坦面だけでなく、湾曲面でも、設置面に応じて変形させることで、取り付けが可能である。
従って、LED照明装置1は、基板のコストを抑えつつ、平坦面だけでなく、湾曲面でも設置することが可能である。
【0057】
なお、本実施例では、LED実装用基板4に、昼光色光を発光するLED素子6aと、電球色光を発光するLED素子6bとの2系統を発光するための配線パターンが形成されているが、一系統としてもよい。このとき、LED素子6の発光色は、適宜変更することが可能である。
【0058】
また、図4に示すLED実装用基板4では、リターン線47a,47bを通電するための通電素子として定電流素子8としているが、他の箇所で定電流制御できるのであれば、単にジャンパ素子やゼロオーム抵抗などの接続素子を実装するようにしてもよい。
【0059】
次に、図1に示すLED照明装置1を壁面に設置した状態を図面に基づいて説明する。なお、図7では、図1と同じ構成のものは同符号を付して説明を省略する。
図7に示すように、LED照明装置1xは、ベース板2と、ベース板2に貼り付けられたLED実装用基板4とを備えたLED照明装置1がマトリックス状に配置されている。なお、図7では、4枚のLED照明装置1を図示しており、他のLED照明装置1は、省略している。
LED照明装置1からの出射方向となる前方には、拡散板9が配置されている。
拡散板9は、樹脂フィルム、樹脂シート、樹脂板、または和紙を樹脂コーティングされた紙とすることができる。本実施例では、拡散板はアクリル板により形成されている。
【0060】
本実施例では、拡散板9には、花模様Pが描かれており、花模様P部分が透光部Ptであり、それ以外の残余の部分が遮光部Psとなる。
透光部Ptは、絵とする以外に、文字、模様、記号のいずれかまたは組み合せを象ったものとすることができる。
このように、ベース板2にLED実装用基板4とLED実装用基板4とが配置されることで、薄板状とすることができ、面状に発光させることができるため、絵、文字、模様、記号のいずれかまたは組み合せを象った透光部Ptを形成することで、意匠性を高めたり、メッセージを光らせたりすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0061】
本発明は、天井や壁面などに設置して屋内照明としたり、看板に設置して屋外照明としたりすることに好適である。
【符号の説明】
【0062】
1,1x LED照明装置
2 ベース板
2s 実装面
3 光源部
4 LED実装用基板
4k 基端部
4s 先端部
4P 第1電源線
4N 第2電源線
41a~41d 端子
42a,42b 接続用パターン
43a,43b ダイパッド
44a,44b,45a,45b 繋ぎ用パターン
46a,46b ダイパッド
47a,47b リターン線
5 電源供給用基板
51a~51d 端子
52 第1電源線
53a,53b パッド
53 一方の第2電源線
54a,54b パッド
54 他方の第2電源線
55 第1電源端子
56 一方の第2電源端子
57 他方の第2電源端子
6,6a,6b LED素子
7 接続素子
8,8a,8b 定電流素子
9 拡散板
101,102 端子
103 接続パターン
104 LED素子
105 第1電源線
106 定電流素子
107 第2電源線
108 リターン線
109,110 繋ぎ用パターン
111 ダイパッド
P1,P11,P12,P2,P21,P22,11 基本パターン
F フレキシブル基板
F1 長さ方向
F2 直交する方向
F3 長さ方向
F4 幅方向
R 帰線
P 花模様
Pt 透光部
Ps 遮光部
L 切断線
L1,L2,L3 リード線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7