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2023-37523酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物、絶縁材料、及びレジスト部材
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  • -酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物、絶縁材料、及びレジスト部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037523
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物、絶縁材料、及びレジスト部材
(51)【国際特許分類】
   C08F 299/00 20060101AFI20230308BHJP
   C08F 283/02 20060101ALI20230308BHJP
   C08F 2/44 20060101ALI20230308BHJP
   H01B 3/42 20060101ALI20230308BHJP
   G03F 7/027 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
C08F299/00
C08F283/02
C08F2/44 C
H01B3/42 D
G03F7/027 512
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144336
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】000002886
【氏名又は名称】DIC株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100177426
【弁理士】
【氏名又は名称】粟野 晴夫
(74)【代理人】
【識別番号】100141601
【弁理士】
【氏名又は名称】貴志 浩充
(74)【代理人】
【識別番号】100195556
【弁理士】
【氏名又は名称】柿沼 公二
(72)【発明者】
【氏名】山田 駿介
(72)【発明者】
【氏名】キム ヨンチャン
(72)【発明者】
【氏名】迫 雅樹
(72)【発明者】
【氏名】林 弘司
【テーマコード(参考)】
2H225
4J011
4J026
4J127
5G305
【Fターム(参考)】
2H225AC36
2H225AC52
2H225AC54
2H225AD02
2H225AE14P
2H225AM70P
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2H225CC13
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(57)【要約】      (修正有)
【課題】本発明は、高い光感度を示し、かつ得られる硬化物において優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させることが可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】芳香族エステル化合物(A)と、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)とを含有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物であって、前記芳香族エステル化合物(A)が、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)と、多価アルコール化合物(a3)と、を必須の反応原料とする化合物であり、前記多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量が、270g/eq以上である、ことを特徴とする、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族エステル化合物(A)と、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)とを含有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物であって、
前記芳香族エステル化合物(A)が、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)と、多価アルコール化合物(a3)と、を必須の反応原料とする化合物であり、
前記多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量が、270g/eq以上である、
ことを特徴とする、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物。
【請求項2】
前記芳香族エステル化合物(A)が、下記一般式(1):
【化1】
[上記一般式(1)中、Q11及びQ12はそれぞれ独立して、前記芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基を表し、Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、前記モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)由来の基を表し、Aはそれぞれ独立して、前記多価アルコール化合物(a3)由来の基を表し、p11は、0.01以上の平均繰り返し数を表す。]で表される、請求項1に記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物。
【請求項3】
前記一般式(1)中のAr11及びAr12が、それぞれ独立して、下記一般式(2)又は(3):
【化2】
[上記一般式(2)及び一般式(3)中の*は、上記一般式(1)中のAr11又はAr12と結合する酸素原子との結合手を表し、
21及びR31はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、k21は、0~7の整数を表し、k31は、0~5の整数を表す。]で表される、請求項2に記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物。
【請求項4】
前記多価アルコール化合物(a3)が、脂肪族性水酸基を有するポリオールである、請求項1~3のいずれかに記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物。
【請求項5】
前記脂肪族性水酸基を有するポリオールが、炭化水素系ポリオール、ポリカーボネートポリオール、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリウレタンポリオール、及び、ポリシロキサンポリオールからなる群より選択される少なくとも1種である、請求項4に記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物。
【請求項6】
前記芳香族エステル化合物(A)と、前記酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)との固形分の質量比[(A)/(B)]が、5/95~50/50の範囲である、請求項1~5のいずれかに記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物。
【請求項7】
請求項1~6のいずれかに記載の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする、硬化性樹脂組成物。
【請求項8】
請求項7に記載の硬化性樹脂組成物の硬化物。
【請求項9】
請求項7に記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする、絶縁材料。
【請求項10】
請求項7に記載の硬化性樹脂組成物からなることを特徴とする、レジスト部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物、硬化性樹脂組成物、硬化物、絶縁材料、及びレジスト部材に関する。
【背景技術】
【0002】
プリント配線板上に電子部品を実装してはんだ付けする際に、実装部以外の部分にはんだが付着するのを防止したり、配線の酸化又は腐食を半永久的に防止する被膜を形成したりするための絶縁材料として、ソルダーレジストが広く用いられている。このようなソルダーレジストのパターンを形成する技術としては、微細なパターンを正確に形成することができるフォトレジスト法が挙げられ、その中でも特に、環境面の配慮等から、アルカリ現像型の液状フォトレジスト法が主流となっている。
【0003】
また、プリント配線板は、近年における電子部品の高密度化実現のため、微細化(ファイン化)、多層化及びワンボード化の一途をたどっており、実装方式も、表面実装技術(SMT)へと推移している。そのため、ソルダーレジスト膜も、ファイン化、高Tg、高解像性、高精度、高信頼性の要求が高まっている。そしてさらには、伝送信号の高速化に伴い、高周波(ギガヘルツ帯)の利用のために、時間遅延を小さくする低誘電率及び低誘電正接を示す技術がソルダーレジスト市場にも求められている。
【0004】
このようなアルカリ現像型の液状フォトレジストには、ノボラック型エポキシ樹脂に不飽和モノカルボン酸を反応させ、さらに多塩基酸無水物を付加させた反応生成物(酸ペンダント型エポキシアクリレート)を含む組成物が、広く用いられている(特許文献1参照)。しなしながら、エポキシアクリレートは、エポキシ樹脂と不飽和モノカルボン酸とを反応させる際に、水酸基が生成されることに起因して、誘電率が高くなることが知られている。
【0005】
この点に対処し得る技術として、例えば、特許文献2には、活性エステル系硬化剤及びカルボキシル基含有ラジカル重合性化合物を含有する感光性樹脂組成物を用いることで、耐熱性を向上させながら、誘電正接等の特性が改善され得ることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特公平1―54390号公報
【特許文献2】特開2013-214057号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1及び2では、組成物から形成された硬化物の伸度及び低弾性については、何ら検討考慮がなされておらず、特許文献1及び2に記載の組成物は、これらの点で改良の余地があった。
【0008】
そこで、本発明は、高い光感度を示し、かつ得られる硬化物において優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させることが可能な樹脂組成物を提供することを目的とする。また、本発明は、当該樹脂組成物を含有する硬化性樹脂組成物、並びに、かかる硬化性樹脂組成物を用いて得られる、硬化物、絶縁材料及びレジスト部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者は、上記課題を解決すべく、鋭意検討を重ねた結果、特定の芳香族エステル化合物と、特定の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂とを含有する組成物が、高い光感度を示し、かつ得られる硬化物において、優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性が発現されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
本発明の樹脂組成物は、芳香族エステル化合物(A)と、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)とを含有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物であって、
前記芳香族エステル化合物(A)が、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)と、多価アルコール化合物(a3)と、を必須の反応原料とする化合物であり、
前記多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量が、270g/eq以上である、
ことを特徴とする。
【0011】
本実施形態において、前記芳香族エステル化合物(A)が、下記一般式(1):
【化1】
[上記一般式(1)中、Q11及びQ12はそれぞれ独立して、前記芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基を表し、Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、前記モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)由来の基を表し、Aはそれぞれ独立して、前記多価アルコール化合物(a3)由来の基を表し、p11は、0.01以上の平均繰り返し数を表す。]で表される化合物であることが好ましい。
【0012】
本実施形態において、上記一般式(1)中、Aはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンエーテル基を表し、
11及びQ12はそれぞれ独立して、二価の芳香族基を表し、p11は、0.01以上の平均繰り返し数を表し、
Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、下記一般式(2)又は(3):
【化2】
[上記一般式(2)及び一般式(3)中の*は、上記一般式(1)中のAr11又はAr12と結合する酸素原子との結合手を表し、
21及びR31はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、k21は、0~7の整数を表し、k31は、0~5の整数を表す。]で示される構造を表すことが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、高い光感度を示し、かつ得られる硬化物において優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させることが可能な樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、当該樹脂組成物を含有する硬化性樹脂組成物、並びに、かかる硬化性樹脂組成物を用いて得られる、硬化物、絶縁材料及びレジスト部材を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】実施例で得られたイソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)のGPCチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態(「本実施形態」と称することがある。)について詳細に説明するが、本発明は以下の記載に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々変形して実施することができる。
【0016】
[酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物]
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、芳香族エステル化合物(A)(以下、(A)成分とも称する。)と、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)(以下、(B)成分とも称する。)とを含有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物である。前記芳香族エステル化合物(A)は、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)と、多価アルコール化合物(a3)と、を必須の反応原料とする化合物である。また、前記多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量は、270g/eq以上である。
かかる酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、高い光感度を示し、また、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性に優れた硬化物を得ることが可能である。
【0017】
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物の総量(100質量%)における芳香族エステル化合物(A)の含有量は、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性をバランスよく向上させる観点から、1質量%以上が好ましく、5質量%以上がより好ましく、10質量%以上が更に好ましく、また、80質量%以下が好ましく、50質量%以下がより好ましく、30質量%以下が更に好ましい。
また、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物の総量(100質量%)における酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)の含有量は、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性をバランスよく向上させる観点から、20質量%以上が好ましく、40質量%以上がより好ましく、50質量%以上が更に好ましく、また、99質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、80質量%以下が更に好ましい。
【0018】
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物においては、芳香族エステル化合物(A)と、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)との固形分の質量比[(A)/(B)]は、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性をバランスよく向上させる観点から、5/95~50/50の範囲であることが好ましい。同様の観点から、上記質量比[(A)/(B)]は、10/90以上であることがより好ましく、また、40/60以下であることがより好ましい。
【0019】
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、任意成分として、任意添加成分をさらに含有してもよい。また、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、(A)成分、(B)成分及び任意添加成分のみから、実質的に構成されてもよい。本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、(A)成分及び(B)成分のみから構成されてもよい。なお、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、本開示の効果を損なわない範囲あれば、(A)成分、(B)成分及び任意添加成分の他に、不可避不純物を含んでいてもよい。
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物の総量(100質量%)における(A)成分及び(B)成分の合計含有量は、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性をバランスよく向上させる観点から、40質量%以上が好ましく、50質量%以上がより好ましく、また、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。
【0020】
以下、本明細書に記載される主要な用語を説明した後、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物に含有される各成分である、芳香族エステル化合物(A)、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)並びに任意添加成分について説明する。
【0021】
(用語の説明)
本明細書において特段の記載が無い限り、以下の用語を適用できる。
【0022】
本明細書における「芳香族基」は、炭素原子数3~30の芳香族環を有することが好ましい。そして、本明細書における「芳香族基」は、当該芳香族基中の芳香族環の水素原子が、置換基、例えば、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されてもよい。
【0023】
当該芳香族環の種類は、例えば、単環芳香族環、縮環芳香族環又は環集合芳香族環等が挙げられる。前記単環芳香族環としては、例えば、ベンゼン、フラン、ピロール、チオフェン、イミダゾール、ピラゾール、オキサゾール、イソキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、ピリジン、ピリミジン、ピリダジン、ピラジン、トリアジン等が挙げられる。前記縮環芳香族環としては、例えば、ナフタレン、アントラセン、フェナレン、フェナントレン、キノリン、イソキノリン、キナゾリン、フタラジン、プテリジン、クマリン、インドール、ベンゾイミダゾール、ベンゾフラン、アクリジン等が挙げられる。前記環集合芳香族環としては、例えば、ビフェニル、ビナフタレン、ビピリジン、ビチオフェン、フェニルピリジン、フェニルチオフェン、テルフェニル、ジフェニルチオフェン、クアテルフェニル等が挙げられる。
【0024】
なお、一価の芳香族基とは、「芳香族基」中の水素原子を1つ除いた基をいい、二価の芳香族基とは、「芳香族基」中の水素原子を2つ除いた基をいい、三価~六価の芳香族基とは、「芳香族基」中の水素原子を3~6つ除いた基をいう。
【0025】
本明細書における「アリール基」は、例えば、フェニル基、ナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基、アントリル基、アズレニル基、インデニル基、インダニル基、テトラリニル基等が挙げられる。また、当該「アリール基」は、当該アリール基中の芳香族環の水素原子が、例えば、炭素原子数1~10のアルキル基、炭素原子数1~10のアルコキシ基又はハロゲン原子に置換されてもよい。
【0026】
本明細書における「アラルキル基」としては、例えば、ベンジル基、ジフェニルメチル基、ビフェニル基、ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0027】
本明細書における「アルキル基」は、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、sec-ブチル基、tert-ブチル基、n-ペンチル基、イソペンチル基、tert-ペンチル基、ネオペンチル基、1,2-ジメチルプロピル基、n-ヘキシル基、イソヘキシル基、(n-)ヘプチル基、(n-)オクチル基、(n-)ノニル基、(n-)デシル基、(n-)ウンデシル基、(n-)ドデシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、又はシクロノニル基が挙げられる。
【0028】
本明細書における「アルケニル基」は、エチニル基、1-プロピニル基、2-プロピニル基、2-ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基、ビニル基、アリル基、イソプロペニル基等が挙げられる。
【0029】
本明細書における「アルコキシ基」は、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、2-エチルヘキシルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基等が挙げられる。
【0030】
本明細書における「ハロゲン原子」は、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられる。
【0031】
本明細書における「直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基」は、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、1-メチルメチレン基、1,1-ジメチルメチレン基、1-メチルエチレン基、1,1-ジメチルエチレン基、1,2-ジメチルエチレン基、プロピレン基、ブチレン基、1-メチルプロピレン基、2-メチルプロピレン基、ペンチレン基、ヘキシレン基、ヘプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、デシレン基、ウンデシレン基、ドデシレン基等が挙げられる。
【0032】
本明細書における「直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンエーテル基」は、例えば、オキシメチレン基、オキシエチレン基、オキシプロピレン基、オキシ(1-メチルメチレン)基、オキシ(1,1-ジメチルメチレン)基、オキシ(1-メチルエチレン)基、オキシ(1,1-ジメチルエチレン)基、オキシ(1,2-ジメチルエチレン)基、オキシブチレン基、オキシ(1-メチルプロピレン)基、オキシ(2-メチルプロピレン)基、オキシペンチレン基、オキシヘキシレン基、オキシヘプチレン基、オキシオクチレン基、オキシノニレン基、オキシデシレン基、オキシウンデシレン基、オキシドデシレン基等が挙げられる。
【0033】
本明細書における「一価の炭化水素基」は、アルキル基(例えば、上記アルキル基)であり、かつ当該アルキル基中の1以上の-CH-が、互いに隣接しないよう、-O-又は-S-に置換されてもよく、あるいは当該アルキル基中の1以上の-CH-CH-が、互いに隣接しないよう、-CH=CH-に置換されてもよい。また、前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、炭素原子数1~20のアルキル基でありうる。
【0034】
本明細書における「二価の炭化水素基」は、アルキレン基(例えば、上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基)であり、かつ当該アルキレン基中の1以上の-CH-が、互いに隣接しないよう、-O-又は-S-に置換されてもよく、あるいは当該アルキレン基中の1以上の-CH-CH-が、互いに隣接しないよう、-CH=CH-に置換されてもよい。また、前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、炭素原子数1~20のアルキレン基でありうる。
【0035】
本明細書における「三~六価の炭化水素基」は、アルキル基(例えば、上記直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基)から二~五個の任意の位置の水素原子を取り除いた基であり、かつ当該アルキル基中の1以上の-CH-が、互いに隣接しないよう、-O-又は-S-に置換されてもよく、あるいは当該アルキル基中の1以上の-CH-CH-が、互いに隣接しないよう、-CH=CH-に置換されてもよい。また、前記炭化水素基は、直鎖状又は分岐鎖状であってもよく、炭素原子数1~20でありうる。
【0036】
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは、アクリレート及び/又はメタクリレートを意味する。また、本明細書において、「(メタ)アクリロイル」とは、アクリロイル及び/又はメタクリロイルを意味する。さらに、本明細書において、「(メタ)アクリル」とは、アクリル及び/又はメタクリルを意味する。
【0037】
(芳香族エステル化合物(A))
芳香族エステル化合物(A)は、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物における必須成分の一つである。また、この芳香族エステル化合物(A)は、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)、並びに、多価アルコール化合物(a3)を必須の反応原料として得られるものである。
また、反応原料は、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)、あるいはモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)に対して反応性を示す化合物(例えば、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4))をさらに含んでも良い。すなわち、本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)と、多価アルコール化合物(a3)と、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)と、を含む反応原料とする化合物であってもよい。
なお、原則として、反応原料により得られる芳香族エステル化合物(A)は、分子中に水酸基を有さないか、又はほとんど有さない。ただし、上記芳香族エステル化合物(A)は、本開示の効果を阻害しない範囲において、反応生成物の副生物として水酸基を有する化合物を含んでもよい。
【0038】
本明細書において、「芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)」は、以下、「芳香族多価カルボン酸類(a1)」と略称することがある。
【0039】
以下、反応原料である、芳香族多価カルボン酸類(a1)、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)、及び多価アルコール化合物(a3)について説明する前に、芳香族エステル化合物(A)の構造及び特性について詳説する。
【0040】
<芳香族エステル化合物(A)の構造>
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、構造の観点では、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(芳香族多価カルボン酸類)(a1)の残基と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の残基と、多価アルコール化合物(a3)の残基とを含むことができる。
【0041】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、別の構造の観点では、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(芳香族多価カルボン酸類)(a1)の残基と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の残基と、多価アルコール化合物(a3)の残基と、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)の残基とを含むことができる。
【0042】
また、本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、芳香族多価カルボン酸類(a1)におけるカルボン酸(又はその酸ハロゲン化物、そのエステル化物)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)における水酸基とに由来するエステル結合が形成された構造を有することができる。
同様に、本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、芳香族多価カルボン酸類(a1)におけるカルボン酸(又はその酸ハロゲン化物、そのエステル化物)と、多価アルコール化合物(a3)における水酸基とに由来するエステル結合が形成された構造を有することができる。
さらには、本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、芳香族多価カルボン酸類(a1)におけるカルボン酸(又はその酸ハロゲン化物、そのエステル化物)と、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)における水酸基とに由来するエステル結合が形成された構造を有することができる。
【0043】
なお、本明細書において、「芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)」は、カルボニル基を含む原子団(-C(=O)-X(Xは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は一価の炭化水素基))が二以上結合した芳香族基を有する化合物である。
そして、本明細書における「芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)の残基」とは、反応又は重合よりに生成される芳香族エステル化合物(A)において、当該反応又は重合により前記芳香族エステル化合物(A)分子内に残る、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)の部分構造をいい、前記反応又は重合により形成した化学結合と、前記化学結合以外である、前記芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基とから構成される。
また、本明細書における「由来の基」は、反応又は重合よりに形成される生成化合物において、反応又は重合に関与する化学結合の構造以外の部分構造をいう。そのため、「芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基」は、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)からカルボニル基を含む原子団(-C(=O)-X(Xは、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は一価の炭化水素基))を除いた二価以上の基を示し、例えば、二価以上の芳香族基でありうる。
【0044】
芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)は、下記一般式(a1):
【0045】
【化3】
で表すことができるが、この場合、Qa1が、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基を表し、Xが、水素原子、ハロゲン原子、水酸基又は一価の炭化水素基を表し、na1は2以上6以下の整数を表し、破線部分が、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)の残基を表す。
【0046】
本明細書における「モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の残基」は、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)から水素原子又は水酸基を除いた一価の基を示す。「モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)」は、下記一般式(a2):
【化4】
で表すことができるが、この場合、Ara2が、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)由来の基を表し、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)から水酸基又は水酸基を除いた一価の基であり、破線部分が、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の残基を表す。
【0047】
本明細書における「多価アルコール化合物(a3)の残基」は、多価アルコール化合物(a3)から2以上の水素原子又は水酸基を除いた二価以上の多価基を示す。「多価アルコール化合物(a3)」は、下記一般式(a3):
【化5】
で表すことができるが、この場合、Aa3が、多価アルコール化合物(a3)由来の基を表し、多価アルコール化合物(a3)から水素原子又は水酸基を除いたna3価の基であり、na3は2以上6以下の整数を表す。na3は、2であることが好ましい。
なお、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)は、芳香族基中の芳香族環の2以上6以下の水素原子のみが水酸基に置換された化合物であるのに対して、多価アルコール化合物(a3)は、当該多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)以外の多価アルコール類である。
【0048】
本明細書における「多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)の残基」は、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)から水素原子又は水酸基を除いた二価以上の多価基を示す。「多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)」は、下記一般式(a4):
【化6】
で表すことができるが、この場合、Ara4が、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)由来の基を表し、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)からna4個の水素原子又は水酸基を除いたn価の基であり、na4は2~6の整数を表す。na4は、2であることが好ましい。
なお、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)は、芳香族基中の芳香族環の2以上6以下の水素原子のみが水酸基に置換された化合物である。
【0049】
なお、ここでいう「一価」又は「二価」等の値は、要するに、結合手の数を示すものであり、各化合物1分子が寄与したエステル結合の数に相当する。
【0050】
また、上記芳香族エステル化合物(A)における芳香族多価カルボン酸類(a1)由来の基は、二価~六価であってもよい。換言すると、上記芳香族エステル化合物(A)においては、芳香族多価カルボン酸類(a1)1分子に含まれる2個~6個のカルボン酸(又はその酸ハロゲン化物、そのエステル化物)が、エステル結合に寄与した構造を有していてもよい。
同様に、上記芳香族エステル化合物(A)における多価アルコール化合物(a3)由来の基は、二価~六価であってもよい。換言すると、上記芳香族エステル化合物(A)においては、多価アルコール化合物(a3)1分子に含まれる2個~6個の水酸基が、エステル結合に寄与した構造を有していてもよい。
【0051】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、より具体的には、同一又は異なる芳香環同士がエステル結合を介して連結された、以下の一般式(i)で表される部分構造と、多価アルコール化合物(a3)の残基(例えば、多価アルコール化合物(a3)分子内の少なくとも炭素及び水素を有する二価~六価の炭化水素基(二~六価の炭化水素基の例としては、アルキレン鎖又はアルキレンエーテル鎖(但し、当該アルキレン鎖又は当該アルキレンエーテル鎖中の-CH-基が二価の芳香族基に置換されてもよい)))と、任意成分である多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)の残基と、が連結された化学構造を有しうる。
【0052】
【化7】
(上記一般式(i)中、Ari1は一価の芳香族基を表し、Ari2は、二価の芳香族基を表し、上記一般式(i)中の破線は他の原子との結合手を表す。)
【0053】
また、上記同一又は異なる芳香環は、芳香族多価カルボン酸類(a1)あるいはモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の分子内の芳香族環に対応する。より詳細には、上記一般式(i)中の一価の芳香族基であるAri1は、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の分子内の芳香族環に対応し、上記一般式(i)中の二価の芳香族基であるAri2は芳香族多価カルボン酸類(a1)に対応する。
【0054】
上記によれば、剛直なメソゲン骨格である芳香族環と、柔軟なセグメントであるアルキレン鎖とが芳香族エステル化合物(A)の同一分子内に一定の規則性(繰返し単位)をもって共存することとなり、低誘電特性及び伸度により優れた絶縁材料としての硬化物を形成することができる。
【0055】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、下記一般式(1):
【化8】
[上記一般式(1)中、Q11及びQ12はそれぞれ独立して、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基を表し、Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)由来の基を表し、Aはそれぞれ独立して、多価アルコール化合物(a3)由来の基を表し、p11は、0.01以上の平均繰り返し数を表す。]で表される化合物であることが好ましい。
なお、上記「由来の基」は、説明の便宜上、一般式(1)中の記号と各原料成分との対応関係を表す用語であって、反応によって芳香族エステル化合物(A)内に残る各反応原料由来の構造部位を全て表すものではない。
【0056】
上記一般式(1)中のQ11及びQ12は、それぞれ独立して、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基(以下、芳香族多価カルボン酸類(a1)由来の基とも称する。)を表す。芳香族多価カルボン酸類(a1)由来の基としては、例えば、二価の芳香族基であることが好ましく、非置換の二価の芳香族基であることがより好ましい。上記一般式(1)中のQ11及びQ12は、二価の芳香族基であることが好ましい。当該二価の芳香族基としては、上述の炭素原子数3~30の芳香族環の例示から2つの水素原子を除いた基が挙げられる。なかでも、Q及びQは、フェニレン基、ナフタレンジイル基又はアントラセンジイル基のいずれかであることがより好ましい。また、Q11とQ12とは、互いに同一であっても、あるいは互いに異なっていてもよい。中でも原料の工業的な入手の容易さ、溶解性の観点から、Q11及びQ12は、フェニレン基であることがさらに好ましい。
【0057】
上記一般式(1)中のAは、多価アルコール化合物(a3)由来の基を表し、炭化水素結合(二価~六価の炭化水素基)、炭酸エステル結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、及びシロキサン結合からなる群より選択される少なくとも1種の結合構造を含んでもよい。
【0058】
前記多価アルコール化合物(a3)由来の基の炭素原子数は、2~20であることが好ましく、炭素原子数4~18であることがより好ましい。上記一般式(1)における柔軟セグメントに対応するAの炭素原子数が、上記範囲内であると、相溶性に優れた芳香族エステル化合物(A)となり、好ましい態様となる。また、多価アルコール化合物(a3)の残基は、直鎖状又は分岐鎖状であることが好ましく、直鎖状であることがより好ましい。
さらには、前記多価アルコール化合物(a3)由来の基としては、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンエーテル基であり、かつ当該アルキレン基又はアルキレンエーテル基中の-CH-は、互いに隣接しないよう、-O-又は-S-に置換されてもよく、あるいは当該アルキレン基中の1以上の-CH-CH-が、互いに隣接しないよう、-CH=CH-、炭酸エステル結合、エステル結合、エーテル結合、ウレタン結合、及びシロキサン結合からなる群より選択される少なくとも1種に置換されてもよい。
【0059】
上記一般式(1)中のAr11及びAr12は、それぞれ独立して、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)由来の基を表し、下記一般式(2)又は(3):
【化9】
[上記一般式(2)及び一般式(3)中の*は、上記一般式(1)中のAr11又はAr12と結合する酸素原子との結合手を表し、
21及びR31はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、k21は、0~7の整数を表し、k31は、0~5の整数を表す。]で表されることが好ましい。
【0060】
上記一般式(1)中、Ar11は上記一般式(3)示される構造を有する基であることが好ましい。上記一般式(1)中、Ar12は上記一般式(3)で示される構造を有する基であることが好ましい。
【0061】
上記一般式(2)中のR21は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基のいずれかであることが好ましく、中でも、誘電特性、作業性や得られる硬化物の柔軟性の観点から、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、ベンジル基、ジフェニルメチル基若しくはナフチルメチル基などのアラルキル基、あるいは、フェニル基、ナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基若しくはアントリル基などのアリーレン基であることがより好ましい。
【0062】
上記一般式(3)中のR31は、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基のいずれかであることが好ましく、中でも、誘電特性、作業性や得られる硬化物の柔軟性の観点から、炭素原子数1~4のアルキル基、炭素原子数1~4のアルコキシ基、ベンジル基、ジフェニルメチル基若しくはナフチルメチル基などのアラルキル基、あるいは、フェニル基、ナフチル基、フェナレニル基、フェナントレニル基若しくはアントリル基などのアリーレン基であることがより好ましい。
【0063】
上記一般式(2)中のk21は、0~7の整数を表すが、反応性又は得られる硬化物の柔軟性の観点から、0~5の整数であることがより好ましく、0~4の整数であることがさらに好ましい。また、上記一般式(3)中のk31は、0~5の整数を表すが、反応性又は得られる硬化物の柔軟性の観点から、0~4の整数であることがより好ましい。
【0064】
上記一般式(1)中のp11は、0.01以上の平均繰り返し数であり、中でも、作業性や得られる硬化物の柔軟性の観点から、0.1~5の平均繰り返し数であることがより好ましく、0.2~5の平均繰り返し数であることがさらに好ましい。
【0065】
なお、芳香族エステル化合物(A)の平均繰り返し数pは、仕込み比から、以下の数式(1)により算出している。
数式(1):(得られた芳香族エステル化合物(A)中の平均繰り返し数p)=(多価アルコール化合物(a3)中の水酸基のモル数)/[(反応原料から生成した活性エステル基含有の中間生成物(a’)中の活性エステル基のモル数)-(多価アルコール化合物中(a3)の水酸基のモル数)]
なお、上記活性エステル基含有の中間生成物(a’)は、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)とを反応原料とする反応生成物である。
【0066】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)の別の形態は、下記一般式(1’):
【化10】
[上記一般式(1’)中、Q11、Q12及びQ13はそれぞれ独立して、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)由来の基を表し、Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)由来の基を表し、Ar13は、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)由来の基を表し、Aはそれぞれ独立して、多価アルコール化合物(a3)由来の基を表し、p11は、0.01以上の平均繰り返し数である。]で示される化合物であることが好ましい。
【0067】
<芳香族エステル化合物(A)の反応原料>
以下、芳香族エステル化合物(A)の反応原料について説明する。
【0068】
-芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はエステル化物(a1)-
本実施形態において、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はエステル化物(a1)(上記一般式(1)のQ11及び/又はQ12で表される部分構造を有する化合物)は、2個以上のカルボキシル基を有するカルボン酸、又はその誘導体であり、具体的には、カルボン酸化物、酸ハロゲン化物又はエステル化物である。前記芳香族多価カルボン酸類(a1)と、後述のモノヒドロキシ芳香族化合物(a2))(上記一般式(1)のAr11及び/又はAr12で表される部分構造を有する化合物)と、多価アルコール化合物(a3)(上記一般式(1)のAで表される部分構造を有する化合物)と、を反応原料にすることにより、芳香族エステル化合物(A)の構造中において、前記多価アルコール化合物(a3)由来の柔軟性を有する構造部位(例えば、上記一般式(1)のA)と、末端に高い硬化性を有する芳香族環(例えば、上記一般式(1)のQ11及び/又はQ12とAr11及び/又はAr12)を有するエステル基(具体的には、ポリアリールオキシカルボニル構造)と、の両方を含有するエステル構造を形成することができるため、高い反応活性を有する。
【0069】
芳香族多価カルボン酸類(a1)は、典型的には、置換又は非置換の芳香族環に少なくとも2個のカルボキシル基等が結合した化合物である。但し、上記カルボキシル基等の部分は、カルボキシル基以外に、フッ化アシル基、塩化アシル基、臭化アシル基等のハロゲン化アシル基;メチルオキシカルボニル基、エチルオキシカルボニル基等のアルキルオキシカルボニル基;フェニルオキシカルボニル基、ナフチルオキシカルボニル基等のアリールオキシカルボニル基;であってもよい。つまり、上記カルボキシル基等の部分がハロゲン化アシル基である場合、芳香族多価カルボン酸類(a1)は酸ハロゲン化物である。同様に、上記カルボキシル基等の部分が、アルキルオキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基である場合、芳香族多価カルボン酸類(a1)はエステル化物である。そして、芳香族多価カルボン酸類(a1)は、カルボキシル基、ハロゲン化アシル基、アリールオキシカルボニル基を有することが好ましく、カルボキシル基、ハロゲン化アシル基を有することがより好ましく、カルボキシル基、塩化アシル基、臭化アシル基を有することが一層好ましい。
【0070】
また、前記芳香族環としては、特に制限されないが、単環芳香族環、縮環芳香族環、環集合芳香族環、アルキレン鎖により連結される芳香族環等が挙げられる。上記芳香族環としては、得られる硬化物の柔軟性、原料の工業的な入手の容易さや作業性の観点から、単環芳香族環、縮環芳香族環であることが好ましい。
【0071】
芳香族多価カルボン酸類(a1)におけるカルボキシル基の価数(個数)としては、二~四価であることが好ましく、二価であることがより好ましい。
【0072】
芳香族多価カルボン酸類(a1)として、具体的には、イソフタル酸、テレフタル酸、5-アリルイソフタル酸、2-アリルテレフタル酸等のベンゼンジカルボン酸;トリメリット酸、5-アリルトリメリット酸等のベンゼントリカルボン酸;ナフタレン-1,4―ジカルボン酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,3-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、3-アリルナフタレン-1,4-ジカルボン酸、3,7-ジアリルナフタレン-1,4-ジカルボン酸等のナフタレンジカルボン酸;2,4,5-ピリジントリカルボン酸等のピリジントリカルボン酸;1,3,5-トリアジン-2,4,6-トリカルボン酸等のトリアジンカルボン酸;これらの酸ハロゲン化物、エステル化物等が挙げられる。
【0073】
上述の例示のうち、芳香族多価カルボン酸類(a1)としては、得られる硬化物の柔軟性、原料の工業的な入手の容易さや作業性の観点から、ベンゼンジカルボン酸、ベンゼントリカルボン酸、ナフタレンジカルボン酸、これらの酸ハロゲン化物であることが好ましく、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレン-1,5-ジカルボン酸、ナフタレン-2,3-ジカルボン酸、ナフタレン-2,6-ジカルボン酸、ナフタレン-2,7-ジカルボン酸、1,3,5-ベンゼントリカルボン酸これらの酸ハロゲン化物であることがより好ましく、イソフタル酸クロリド、テレフタル酸クロリドであることがよりさらに好ましい。
芳香族多価カルボン酸類(a1)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0074】
-モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)-
モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)は、芳香族性水酸基を1個有する芳香族化合物である。モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)として、具体的には、フェノール、o-クレゾール、m-クレゾール、p-クレゾール、2,4-キシレノール、2,6-キシレノール、ターシャリーブチルフェノール等のアルキルフェノール;o-フェニルフェノール、p-フェニルフェノール、2-ベンジルフェノール、4-ベンジルフェノール、スチレン化フェノール、4-(α-クミル)フェノール等のアラルキルフェノール;1-ナフトール、2-ナフトール等のナフトール化合物が挙げられる。これらの中でも、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)としては、誘電特性により優れる観点から、o-クレゾール、ナフトールであることが好ましい。
モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0075】
-多価アルコール化合物(a3)-
本実施形態において、多価アルコール化合物(a3)は、水酸基を少なくとも2個有する化合物であり、ポリオールとも称される化合物群に属する。また、本実施形態における多価アルコール化合物(a3)は、水酸基当量が270g/eq以上であることを要する。水酸基当量を270g/eq以上とすることで、多価アルコール化合物(a3)に由来する特性が発現し易くなり、硬化物の柔軟性を向上させることができる。同様の観点から、多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量は、300g/eq以上であることが好ましい。また、多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量は、特に限定されないが、10000g/eq以下とすることができる。なお、上記水酸基当量は、JIS K 0070に準拠して測定される値である。
【0076】
多価アルコール化合物(a3)における水酸基の価数(個数)としては、二~六価であることが好ましく、二価であることがより好ましい。
【0077】
多価アルコール化合物(a3)は、芳香族環を含んでもよく、含んでいなくてもよい。任意成分である多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)は、芳香族基中の芳香族環の2以上6以下の水素原子のみが水酸基に置換された化合物であるのに対して、多価アルコール化合物(a3)は、当該多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)以外のポリオールを含む。
また、多価アルコール化合物(a3)は、脂肪族性水酸基を有するポリオールであることが好ましい。脂肪族性水酸基を有するポリオールに由来するセグメントは、極性が低い上、より柔軟であるため、得られる芳香族エステル化合物(A)の低誘電特性及び柔軟性を効果的に向上させることができる。
多価アルコール化合物(a3)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0078】
上記脂肪族性水酸基を有するポリオールとしては、例えば、炭化水素系ポリオール(a3-1)、ポリカーボネートポリオール(a3-2)、ポリエステルポリオール(a3-3)、ポリエーテルポリオール(a3-4)、ポリウレタンポリオール(a3-5)、ポリシロキサンポリオール(a3-6)が挙げられる。これらの中でも、脂肪族性水酸基を有するポリオールとしては、柔軟性及び耐熱性の観点から、炭化水素系ポリオール(a3-1)、ポリカーボネートポリオール(a3-2)、ポリエステルポリオール(a3-3)、ポリエーテルポリオール(a3-4)、ポリシロキサンポリオール(a3-6)が好ましい。
【0079】
--炭化水素系ポリオール(a3-1)--
炭化水素系ポリオール(a3-1)としては、例えば、エチレン、プロピレン、ブタジエン、スチレン等の炭化水素系モノマーを必須の構成モノマーとする炭化水素モノマー系ポリオール;ダイマー酸から合成されるジオール化合物;等が挙げられる。これらの中でも、炭化水素系ポリオール(a3-1)としては、柔軟性の観点から、炭化水素モノマー系ポリオールが好ましく、ブタジエンモノマーを必須の構成モノマーとするブタジエン系ポリオールがより好ましい。
【0080】
なお、炭化水素モノマー系ポリオールは、その他の重合性モノマーを共重合させたものであってもよい。その他の重合性モノマーとしては、例えば、ブチレン、ペンテン、2-メチル-1-ペンテン、ヘキセン、3-メチル-1-ヘキセン、3-メチル-2-ヘキセン等の脂肪族モノオレフィン化合物;シクロヘキセン等の脂環式モノオレフィン化合物;、4-メチルスチレン、α-メチルスチレン等のスチレン系化合物;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、2-(ジメチルアミノ)エチル(メタ)アクリレート等のアクリル酸エステル化合物;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル化合物;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル化合物;ビニルメチルケトン、メチルイソプロペニルケトン等のビニルケトン化合物;アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、イタコン酸、無水イタコン酸等のエチレン性不飽和カルボン酸;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ビニルピリジン、ビニルピロリドン等の窒素原子含有化合物;塩化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニル等のハロゲン原子含有化合物等が挙げられる。これらその他の重合性モノマーは、1種単独であってもよく、2種以上の組み合わせであってもよい。
【0081】
炭化水素モノマー系ポリオールとしては、市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、日本曹達株式会社製のGシリーズ(「G-1000」数平均分子量(Mn)1400、水酸基価68~78mgKOH/g、「G-2000」数平均分子量(Mn)1900、水酸基価35~55mgKOH/g、「G-3000」数平均分子量(Mn)3000、水酸基価27mgKOH/g以上など、いずれも末端水酸基ポリブタジエン)等が挙げられる。
【0082】
ダイマー酸から合成されるジオール化合物としては、市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、クローダジャパン社のプリポール2033(水酸基価202~212mgKOH/g)等が挙げられる。
【0083】
炭化水素系ポリオール(a3-1)の数平均分子量(Mn)は、500~10000であることが好ましく、700~6000であることがより好ましく、900~4000がさらに好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあると、得られる芳香族エステル化合物(A)の誘電特性及び作業性を一層向上させることができる。
なお、本明細書において、数平均分子量(Mn)は、メーカーの公表値、又はゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定して得られた値を採用する。
【0084】
--ポリカーボネートポリオール(a3-2)--
ポリカーボネートポリオール(a3-2)としては、例えば、炭酸エステル及び/又はホスゲンと、低分子ポリオールとの反応生成物の末端に水酸基を付与して得られるポリオールが挙げられる。
【0085】
炭酸エステルとしては、例えば、メチルカーボネート、ジメチルカーボネート、エチルカーボネート、ジエチルカーボネート、シクロカーボネート、ジフェニルカーボネート等が挙げられる。
【0086】
低分子ポリオールの炭素原子数としては、柔軟性の付与の観点から、2~20が好ましく、4~18がより好ましい。また、低分子ポリオールとして、具体的には、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、1,5-ヘキサンジオール、1,6-ヘキサンジオール、2,5-ヘキサンジオール、1,7-ヘプタンジオール、1,8-オクタンジオール、1,9-ノナンジオール、1,10-デカンジオール、1,11-ウンデカンジオール、1,12-ドデカンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、2-エチル-1,3-ヘキサンジオール、2-メチル-1,8-オクタンジオール、1,4-シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、レゾルシン、ビスフェノールA、ビスフェノールF、4,4’-ビフェノール等が挙げられる。
【0087】
ポリカーボネートポリオール(a3-2)としては、脂肪族ポリカーボネートポリオール、脂環式ポリカーボネートポリオール(例えば、シクロヘキサンジメタノール及びその誘導体などを反応させて得られるもの)が挙げられる。これらの中でも、ポリカーボネートポリオール(a3-2)としては、柔軟性の観点から、脂肪族ポリカーボネートポリオールが好ましい。
【0088】
ポリカーボネートポリオール(a3-2)の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、800~3000であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあると、得られる芳香族エステル化合物(A)の作業性を一層向上させることができる。
【0089】
ポリカーボネートポリオール(a3-2)としては、市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、株式会社クラレ製のクラレポリオールシリーズ「C-2090」及び「PHC」、旭化成株式会社製のポリカーボネートジオール「デュラノール」等が挙げられる。
【0090】
--ポリエステルポリオール(a3-3)--
ポリエステルポリオール(d-3)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸等の二塩基酸若しくはそれらのジアルキルエステル又はそれらの混合物と、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、2,3-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、3-メチル-1,5-ペンタンジオール、3,3’-ジメチロールヘプタン、ポリオキシエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール等のグリコール類若しくはそれらの混合物とを反応させて得られるポリエステルポリオール;ポリカプロラクトン、ポリバレロラクトン、ポリ(β-メチル-γ-バレロラクトン)等のラクトン類を開環重合して得られるポリエステルポリオール;等が挙げられる。
【0091】
ポリエステルポリオール(a3-3)の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、800~3000であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあると、得られる芳香族エステル化合物(A)の誘電特性及び作業性を一層向上させることができる。
【0092】
ポリエステルポリオール(a3-3)としては、市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、DIC社製ポリライトシリーズ等が挙げられる。
【0093】
--ポリエーテルポリオール(a3-4)--
ポリエーテルポリオール(a3-4)としては、例えば、エチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド、テトラヒドロフラン等のオキシラン化合物を、水又は、エチレングリコール、プロピレングリコール、トリメチロールプロパン、グリセリン、ビスフェノールA等の低分子量ポリオールを開始剤として重合して得られるポリエーテルポリオールが挙げられる。
【0094】
ポリエーテルポリオール(a3-4)の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、800~3000であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあると、得られる芳香族エステル化合物(A)の誘電特性及び作業性を一層向上させることができる。
【0095】
ポリエーテルポリオール(a3-4)としては、市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、三洋化成株式会社製サンニックスGP-400、GP-600、GP-1000、GP-1500、GP-3000、GP-4000V、GA-5000S、FA-908、FA-961、FA-921、FA-703、FA-757;三井化学株式会社製アクトコールG-28、MN-5000、MN-4000、P-31、MN-1500;AGC株式会社製エクセノール1030、4030、5030、230、828、837、プレミノール3005、3010、3015、3020、7001、7006、7012、プレミノールS3006、3011や、プレミノール7021(4官能);等が挙げられる。
【0096】
--ポリウレタンポリオール(a3-5)--
ポリウレタンポリオール(a3-5)としては、例えば、上述した各種ポリオール類と、ポリイソシアネートとの反応物で、NCO/OH比が1未満で反応して得られるポリウレタンポリオールが挙げられる。上記NCO/OH比は、0.9以下がより好ましい。
【0097】
上記ポリイソシアネートとしては、例えば、トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネートなどの芳香族ポリイソシアネート;1,6-ヘキサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、4,4’-メチレンビス(シクロヘキシルイソシアネート)、リジンジイソシアネート、トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、1,3-(イソシアナートメチル)シクロヘキサン等の脂肪族ポリイソシアネート;これらの芳香族又は脂肪族ポリイソシアネートのビウレット体、又は、これらの芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートのイソシアヌレート体などのポリイソシアネートの誘導体(変性物)、これらの芳香族若しくは脂肪族ポリイソシアネートをトリメチロールプロパン変性したアダクト体、などが挙げられる。
【0098】
ポリウレタンポリオール(a3-5)の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、800~3000であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあると、得られる芳香族エステル化合物(A)の誘電特性及び作業性を一層向上させることができる。
【0099】
ポリウレタンポリオール(a3-5)としては、市販されているものを用いてもよい。
【0100】
--ポリシロキサンポリオール(a3-6)--
ポリシロキサンポリオール(a3-6)としては、例えば、水酸基末端を有するジメチルポリシロキサン、水酸基末端を有するメチルフェニルポリシロキサン等が挙げられる。
【0101】
ポリシロキサンポリオール(a3-6)の数平均分子量(Mn)は、500~5000であることが好ましく、800~3000であることがより好ましい。数平均分子量が上記範囲内にあると、得られる芳香族エステル化合物(A)の誘電特性及び作業性を一層向上させることができる。
【0102】
ポリシロキサンポリオール(a3-6)としては、市販されているものを用いてもよい。市販品としては、例えば、信越化学工業株式会社製「KF-6000」、「KF-6001」、「KF-6002」、「KF-6003」、「X-22-176DX」、「X-22-176F」、「X-22-176-GX-A」、JNC株式会社製「サイラプレーンFM-4411」、「サイラプレーンFM-4421」、「サイラプレーンFM-4425」等が挙げられる。
【0103】
-芳香族多価カルボン酸類(a1)あるいはモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)に対して反応性を示す化合物-
芳香族エステル化合物(A)の反応原料は、任意に、芳香族多価カルボン酸類(a1)あるいはモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)に対して反応性を示す化合物を更に含んでもよい。かかる化合物としては、多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)が挙げられ、具体的には、ジヒドロキシ芳香族化合物、トリヒドロキシ芳香族化合物、テトラヒドロキシ芳香族化合物、ペンタヒドロキシ芳香族化合物又はヘキサヒドロキシ芳香族化合物などが挙げられる。好ましい多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)としては、m-ジヒドロキシベンゼン、2,4-トルエンジオール、3,5-トルエンジオール、p-キシレン-2,6-ジオール、m-キシレン-4,6-ジオール、p-ジヒドロキシベンゼン、2,5-トルエンジオール、p-キシレン-2,5-ジオールなどが挙げられる。
多価ヒドロキシ芳香族化合物(a4)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0104】
<芳香族エステル化合物(A)の好ましい形態>
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、下記一般式(1):
【化11】
[上記一般式(1)中、Aはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンエーテル基を表し、
11及びQ12はそれぞれ独立して、二価の芳香族基を表し、
Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、下記一般式(2)又は(3):
【化12】
[上記一般式(2)及び一般式(3)中の*は、上記一般式(1)中のAr11又はAr12と結合する酸素原子との結合手を表し、
21及びR31はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基(アリル基等)、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基を表し、k21は、0~7の整数を表し、k31は、0~5の整数を表す。]で示される構造を表し、
11は、0.01以上の平均繰り返し数を表す。]で表されることが好ましい。
【0105】
上記一般式(1)で表される芳香族エステル化合物(A)は、複数のエステル結合を有し、かつ極性が比較的に低い、鎖状のアルキレン基又はアルキレンエーテル基を含むため、柔軟セグメントとして機能しやすくなり、柔軟性又は低誘電特性に優れた硬化物を得ることができ、有用である。
【0106】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)のより好ましい形態の一例は、上記一般式(1)で表され、上記一般式(1)中、Aはそれぞれ独立して、直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基(炭素原子数1~30アルキレン基)、又は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレンエーテル基(炭素原子数1~30アルキレンエーテル基)を表し、Q11及びQ12はそれぞれ独立して、1,3-フェニレン基、1,4-フェニレン基を表し、p11は、0.01以上10以下の平均繰り返し数を表し、
Ar11及びAr12はそれぞれ独立して、上記一般式(2)又は(3)で示される構造を表し、
上記一般式(2)及び一般式(3)中の*は、上記一般式(1)中のAr11又はAr12と結合する酸素原子との結合手を表し、
21及びR31はそれぞれ独立して、ハロゲン原子、アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アリール基又はアラルキル基のいずれかを表し、k21は、0~7の整数を表し、k31は、0~5の整数を表す。]で表されることが好ましい。
【0107】
上記一般式(1)中のAは、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレン基、又は、直鎖状又は分岐鎖状のアルキレンエーテル基であることが好ましく、直鎖状のアルキレン基又は、直鎖状のアルキレンエーテル基であることがより好ましく、中でも、耐熱分解性の観点からは、直鎖状のアルキレンエーテル基を含むことがさらに好ましい。
【0108】
<芳香族エステル化合物(A)の好ましい別の形態>
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)の好ましい別の形態としては、エステル化合物(a’)(中間生成物(a’)とも称する。)と、多価アルコール化合物(a3)と、を反応原料(I)とする反応生成物であって、前記エステル化合物(a’)が、芳香族多価カルボン酸、その酸ハロゲン化物及び/又はそのエステル化物(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)と、を反応原料(II)とする反応生成物でありうる。
【0109】
芳香族多価カルボン酸類(a1)とモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)とを反応させることにより、エステル結合を形成したエステル化合物(a’)が得られる。一方、前記エステル化合物(a’)と前記多価アルコール化合物(a3)とを反応させることにより、エステル交換反応が生じ、末端に芳香族環を含む基(例えば、アリールオキシカルボニル基)を含有する芳香族エステル化合物(A)を得ることができる。
そのため、本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、例えば、芳香族多価カルボン酸類(a1)と、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)との反応生成物に、多価アルコール化合物(a3)(例えば、2個以上の水酸基を有し、かつ、直鎖又は分岐鎖のアルキレン鎖、又は、直鎖又は分岐鎖のアルキレンエーテル鎖を有する化合物)を反応して得られる反応生成物であることが好ましい。
【0110】
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物において、芳香族エステル化合物(A)を用いることにより、低誘電正接であり、かつ、より伸度、低弾性、耐熱性に優れる硬化物が得られ好ましい態様となる。その理由は、必ずしも明らかではないが、芳香族エステル化合物(A)は、アリールオキシカルボニル基(例えば、上記一般式(i)で表される部分構造、より詳細には上記一般式(1)のQ11及び/又はQ12とAr11及び/又はAr12とを有するエステル構造)を末端に含有するため、後述する(B)成分又は硬化剤が有するエポキシ基等と高い反応性を示す。そして、この高い反応性により、例えば、エポキシ基の開環により生じる水酸基の発生を防止又は抑制することができ、好ましい態様となる。そして、柔軟セグメント構造(例えば、上記一般式(1)のA)を有する多価アルコール化合物(a3)を使用することにより、得られる芳香族エステル化合物(A)の構造中に、前記多価アルコール化合物(a3)に由来するアルキレン鎖(例えば、二価の脂肪族炭化水素基)又はアルキレンエーテル鎖(オキシアルキレン基)を導入することができる。これにより、芳香族エステル化合物(A)を使用して得られる硬化物に柔軟性を付与することができ、さらに、極性の低い構造を導入することになるため、低誘電特性に優れ、好ましい態様となる。
【0111】
また、上述した通り、芳香族エステル化合物(A)は、分子中に水酸基を有さない、又は、実質的に有さないため、前記芳香族エステル化合物(A)が反応して得られる硬化物中においても、当該芳香族エステル化合物(A)由来の水酸基を有さない、又は、実質的に有さない。このような芳香族エステル化合物(A)によれば、硬化時における水酸基の発生の防止又は抑制を図ることができる。この点、一般に水酸基は、極性が高く、誘電正接を上昇させることが知られている。しかし、本実施形態の芳香族エステル化合物(A)を用いることにより、硬化物における低誘電正接を実現することができる。
さらに、上記芳香族エステル化合物(A)は、反応活性を有するエステル結合を2個以上有するため、硬化物の架橋密度が高くなり、耐熱性が向上しうる。
【0112】
<芳香族エステル化合物(A)の特性>
芳香族エステル化合物(A)中の芳香族活性エステル基を官能基とした場合、芳香族エステル化合物(A)の官能基当量は、160~3000g/eqの範囲であることが好ましい。この場合、硬化性に一層優れ、より低い誘電率及び誘電正接(低誘電特性)の硬化物が得られる。同様の観点から、芳香族エステル化合物(A)の官能基当量は、180g/eq以上であることがより好ましく、200g/eq以上であることがさらに好ましく、また、2800g/eq以下であることがより好ましく、2600g/eq以下であることがさらに好ましい。
【0113】
芳香族エステル化合物(A)の数平均分子量(Mn)は、320~6000であることが好ましい。数平均分子量(Mn)が320以上であると、誘電正接をより優れたものとすることができ、また、6000以下であると、成形性を高めることができる。同様の観点から、芳香族エステル化合物(A)の数平均分子量(Mn)は、360以上であることがより好ましく、400以上であることがさらに好ましく、また、5600以下であることがより好ましく、5200以下であることがさらに好ましい。
【0114】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)としては、後述する硬化性樹脂組成物として調製する際のハンドリング性や、その硬化物の耐熱性、誘電特性とのバランスがより優れる観点から、前記芳香族エステル化合物(A)の軟化点が200℃以下であることが好ましく、180℃以下であることがより好ましい。
【0115】
本実施形態の芳香族エステル化合物(A)は、アルキレン鎖又はアルキレンエーテル鎖などの柔軟セグメントを有し、水酸基を有さない、又は、実質的に有さないため、極性の低い構造を有しており、得られる硬化物において優れた柔軟性(伸度)、低弾性、耐熱性、柔軟性に起因する銅箔などへの密着性、及び、低誘電特性を発現させることのできる硬化性樹脂組成物(例えば、エポキシ樹脂を含有するエポキシ樹脂組成物)、さらには、上記硬化性樹脂組成物を用いた半導体封止材料、半導体装置、プレプリグ、回路基板、及び、ビルドアップフィルムなどを提供することができる。
【0116】
<芳香族エステル化合物(A)の合成>
上述した芳香族エステル化合物(A)の合成方法としては、上述した芳香族多価カルボン酸類(a1)、モノヒドロキシ芳香族化合物(a2)、及び多価アルコール化合物(a3)を原料として用いて反応させること以外、特に制限されない。但し、上述した芳香族エステル化合物(A)の合成においては、
(1)芳香族多価カルボン酸類(a1)とモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)とを反応させ、中間生成物(a’)を得る第1反応工程、及び、
(2)上記中間生成物(a’)と多価アルコール化合物(a3)とを反応させ、その反応物としての芳香族エステル化合物(A)を得る第2反応工程、
を含む方法を用いることが好ましい。比較的容易に芳香族エステル化合物(A)を得ることができるからである。
この場合、第1反応工程では、エステル結合が形成されたエステル化合物が中間生成物(a’)として得られ、その後の第2反応工程では、エステル交換反応が生じて、末端にアリールオキシカルボニル基構造を含有する芳香族エステル化合物(A)を得ることができる。
【0117】
第1反応工程の条件としては、特に制限されないが、例えば、アルカリ触媒の存在下、60℃以下の温度で、1~24時間の反応時間で行うことができる。上記アルカリ触媒としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、トリエチルアミン、ピリジン等が挙げられる。これらアルカリ触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、アルカリ触媒としては、反応効率が高いことから、水酸化ナトリウム又は水酸化カリウムが好ましい。なお、上記アルカリ触媒は、3~30%の水溶液として用いてもよい。また、この際、反応効率を高めるため、層間移動触媒を用いてもよい。層間移動触媒としては、例えば、アルキルアンモニウム塩、クラウンエーテル等が挙げられる。これら層間移動触媒は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0118】
第1反応工程は、反応制御が容易となることから、有機溶剤中で行うことが好ましい。上記有機溶剤としては、例えば、ペンタン、ヘキサン等の炭化水素系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等の酢酸エステル系溶媒、セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール溶媒、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤が挙げられる。これら有機溶剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0119】
芳香族多価カルボン酸類(a1)及びモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の反応割合は、所望の分子設計に応じて適宜変更することができる。但し、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性をバランスよく向上させる観点から、芳香族多価カルボン酸類(a1)1モルに対するモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)の割合が、2.0~5.0モルの範囲であることが好ましく、2.0~4.0モルの範囲であることがより好ましく、2.0~3.0モルの範囲であることがさらに好ましい。
【0120】
第1反応工程における反応終了後は、アルカリ触媒の存在下で水溶液を用いる場合には、反応液を静置分液して水層を取り除き、残った有機層を水で洗浄し、水層がほぼ中性(pH7程度)になるまで水洗を繰り返すことが好ましい。これにより、得られる中間生成物(a’)における、絶縁性に悪影響のある無機塩含有量を低減することができる。
【0121】
次いで、第2反応工程では、第1反応工程で得られた中間生成物(a’)と多価アルコール化合物(a3)とを反応させる。第2反応工程の条件としては、特に限定されないが、例えば、50~250℃の温度で、1~24時間の撹拌・反応を行うことができる。また、第2反応工程では、アルカリ触媒、中でもアミン系触媒(トリエチルアミン等のアルキルアミン、トリフェニルアミン等とアリールアミン、DBU、DBN等の縮環型アミン、イミダゾール、ピリジン等の複素環アミン)を添加することで、反応の促進を図ることができる。
【0122】
第2反応工程における反応の際には、微量の酸素の混入による劣化を防止するため、酸化防止剤を用いてもよい。酸化防止剤の具体例としては、p-メトキシフェノール、p-メトキシクレゾール、4-メトキシ-1-ナフトール、4,4’-ジアルコキシ-2,2’-ビ-1-ナフトール、3-(N-サリチロイル)アミノ-1,2,4-トリアゾール、N’1,N’12-ビス(2-ヒドロキシベンゾイル)ドデカンジヒドラジド、スチレン化フェノール、N-イソプロピル-N’-フェニルベンゼン-1,4-ジアミン、6-エトキシ-2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン、「4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-1,6-ジ-tert-ブチルフェノール等のフェノール化合物、ヒドロキノン、メチルヒドロキノン、p-ベンゾキノン、メチル-p-ベンゾキノン、2,5-ジフェニルベンゾキノン、2-ヒドロキシ-1,4-ナフトキノン、アントラキノン、ジフェノキノン等のキノン化合物、メラミン、p-フェニレンジアミン、4-アミノジフェニルアミン、N.N’-ジフェニル-p-フェニレンジアミン、N-i-プロピル-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、N-(1.3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン、ジフェニルアミン、4,4’-ジクミル-ジフェニルアミン、4,4’-ジオクチル-ジフェニルアミン、ポリ(2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリン)、スチレン化ジフェニルアミン、スチレン化ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物、ジフェニルアミンと2,4,4-トリメチルペンテンの反応生成物等のアミン化合物、フェノチアジン、ジステアリルチオジプロピオネート、2,2-ビス({[3-(ドデシルチオ)プロピオニル]オキシ}メチル)-1,3-プロパンジイル=ビス[3-(ドデシルチオ)プロピオナート]、ジトリデカン-1-イル=3,3’-スルファンジイルジプロパノアート等のチオエーテル化合物、N-ニトロソジフェニルアミン、N-ニトロソフェニルナフチルアミン、p-ニトロソフェノール、ニトロソベンゼン、p-ニトロソジフェニルアミン、α-ニトロソ-β-ナフトール等、N、N-ジメチルp-ニトロソアニリン、p-ニトロソジフェニルアミン、p-ニトロンジメチルアミン、p-ニトロン-N、N-ジエチルアミン、N-ニトロソエタノールアミン、N-ニトロソジ-n-ブチルアミン、N-ニトロソ-N-n-ブチル-4-ブタノールアミン、N-ニトロソ-ジイソプロパノールアミン、N-ニトロソ-N-エチル-4-ブタノールアミン、5-ニトロソ-8-ヒドロキシキノリン、N-ニトロソモルホリン、N-二トロソーN-フェニルヒドロキシルアミンアンモニウム塩、二トロソベンゼン、N-ニトロソ-N-メチル-p-トルエンスルホンアミド、N-ニトロソ-N-エチルウレタン、N-ニトロソ-N-n-プロピルウレタン、1-ニトロソ-2-ナフトール、2-ニトロソ-1-ナフトール、1-ニトロソ-2-ナフトール-3,6-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-1-ナフトール-4-スルホン酸ナトリウム、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩、2-ニトロソ-5-メチルアミノフェノール塩酸塩等のニトロソ化合物、リン酸とオクタデカン-1-オールのエステル、トリフェニルホスファイト、3,9-ジオクタデカン-1-イル-2,4,8,10-テトラオキサ-3,9-ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン、トリスノニルフェニルホスフィト、亜リン酸-(1-メチルエチリデン)-ジ-4,1-フェニレンテトラ-C12-15-アルキルエステル、2-エチルヘキシル=ジフェニル=ホスフィット、ジフェニルイソデシルフォスファイト、トリイソデシル=ホスフィット、トリス(2,4-ジ-tert-ブチルフェニル)ホスファイト等のホスファイト化合物、ビス(ジメチルジチオカルバマト-κ(2)S,S’)亜鉛、ジエチルジチオカルバミン酸亜鉛、ジブチル・ジチオカルバミン酸亜鉛等の亜鉛化合物、ビス(N,N-ジブチルカルバモジチオアト-S,S’)ニッケル等のニッケル化合物、1,3-ジヒドロ-2H-ベンゾイミダゾール-2-チオン、4,6-ビス(オクチルチオメチル)-o-クレゾール、2-メチル-4,6-ビス[(オクタン-1-イルスルファニル)メチル]フェノール、ジラウリルチオジプロピオン酸エステル、3,3’-チオジプロピオン酸ジステアリル等の硫黄化合物などが挙げられる。これらの酸化防止剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上記酸化防止剤の市販品としては、例えば、和光純薬工業株式会社製「Q-1300」、「Q-1301」、住友化学株式会社製「スミライザーBBM-S」、「スミライザーGA-80」等が挙げられる。
【0123】
第2反応工程では、第1反応工程で用いた溶媒と同様の溶媒を用いることができる。
【0124】
中間生成物(a’)及び多価アルコール化合物(a3)の反応割合は、所望の分子設計に応じて適宜変更することができる。但し、より作業性や柔軟性に優れた芳香族エステル化合物(A)を得る観点から、中間生成物(a’)における活性エステル基1当量に対する多価アルコール化合物(a3)の水酸基当量が、0.01~0.9モルの範囲であることが好ましく、0.05~0.9モルの範囲であることがより好ましく、0.1~0.8モルの範囲であることがさらに好ましい。
【0125】
第2反応工程における反応終了後は、余剰のモノヒドロキシ芳香族化合物(a2)を除去するため、常圧蒸留、又は減圧蒸留(例えば、0.9~0.01気圧)を行うことが好ましい。これにより、得られる芳香族エステル化合物(A)の純度を高めることができる。
【0126】
(酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B))
酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)は、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物における必須成分の一つである。当該(B)成分は、酸基及び重合性不飽和基を有していればよく、その他の具体構造又は分子量等は特に問われず、多種多様な樹脂を用いることができる。
【0127】
本実施形態において、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)が含有する酸基としては、例えば、カルボキシル基、スルホン酸基、燐酸基等が挙げられる。これらの中でも優れたアルカリ現像性を発現することから、カルボキシル基が好ましい。また、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)が含有する重合性不飽和基としては、例えば、(メタ)アクリロイル基、アリル基、イソプロペニル基、1-プロペニル基、スチリル基、スチリルメチル基、マレイミド基、ビニルエーテル基等が挙げられる。
【0128】
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)としては、例えば、以下の〔1〕~〔6〕:
〔1〕酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)、
〔2〕酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(B2)
〔3〕酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)、
〔4〕酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)、
〔5〕酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)、
〔6〕酸基及び重合性不飽和基を有するエステル樹脂(B6)、
の樹脂等が挙げられる。上記エポキシ樹脂(B1)からエステル樹脂(B6)について以下順に説明する。
【0129】
<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)としては、例えば、エポキシ樹脂(b1-1)、不飽和一塩基酸(b1-2)、及び多塩基酸無水物(b1-3)を必須の反応原料とする酸基を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂や、エポキシ樹脂(b1-1)、不飽和一塩基酸(b1-2)、多塩基酸無水物(b1-3)、ポリイソシアネート化合物(b1-4)、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(b1-5)を反応原料とする酸基及びウレタン結合を有するエポキシ(メタ)アクリレート樹脂などが挙げられる。
【0130】
エポキシ樹脂(b1-1)としては、樹脂中に複数のエポキシ基を有しているものであれば、その具体構造は特に限定されない。前記エポキシ樹脂(b1-1)としては、例えば、ビスフェノール型エポキシ樹脂、水添ビスフェノール型エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂、水添ビフェノール型エポキシ樹脂、フェニレンエーテル型エポキシ樹脂、ナフチレンエーテル型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリフェニルメタン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-フェノール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、ナフトール-クレゾール共縮ノボラック型エポキシ樹脂、フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加反応型エポキシ樹脂、ビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂、フルオレン型エポキシ樹脂、キサンテン型エポキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、トリヒドロキシベンゼン型エポキシ樹脂、オキサゾリドン型エポキシ樹脂等が挙げられる。これらのエポキシ樹脂は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0131】
上記ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記水添ビスフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、水添ビスフェノールA型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールB型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールE型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールF型エポキシ樹脂、水添ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
上記水添ビフェノール型エポキシ樹脂としては、例えば、水添4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添テトラメチル-4,4’-ビフェノール型エポキシ樹脂、水添テトラメチル-2,2’-ビフェノール型エポキシ樹脂等が挙げられる。
エポキシ樹脂(b1-1)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0132】
不飽和一塩基酸(b1-2)としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、桂皮酸、α-シアノ桂皮酸、β-スチリルアクリル酸、β-フルフリルアクリル酸等が挙げられる。また、前記不飽和一塩基酸の酸ハロゲン化物、エステル化物も用いることができる。さらに、下記一般式(4):
【化13】
[上記一般式(4)中、X41は、炭素数1~10のアルキレン鎖、ポリオキシアルキレン鎖、(ポリ)エステル鎖、芳香族炭化水素鎖、又は(ポリ)カーボネート鎖を表し、X41の構造中の水素原子がハロゲン原子又はアルコキシ基に置換されてもよく、Y41は、水素原子又はメチル基である。]で表される化合物等も用いることができる。
【0133】
上記ポリオキシアルキレン鎖としては、例えば、ポリオキシエチレン鎖、ポリオキシプロピレン鎖等が挙げられる。
上記(ポリ)エステル鎖としては、例えば、下記一般式(5):
【化14】
[上記一般式(5)中、R51及びR52は、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、nは1~5の整数を表す。]で表される(ポリ)エステル鎖が挙げられる
【0134】
上記芳香族炭化水素鎖としては、例えば、フェニレン鎖、ナフチレン鎖、ビフェニレン鎖、フェニルナフチレン鎖又はビナフチレン鎖等が挙げられる。また、部分構造として、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、フェナントレン環等の芳香環を有する炭化水素鎖も用いることができる。
上記(ポリ)カーボネート鎖としては、例えば、下記一般式(6):
【化15】
[上記一般式(6)中、R61は、炭素原子数1~10のアルキレン基を表し、n61は1~5の整数を表す。]で表される(ポリ)カーボネート鎖が挙げられる。
【0135】
一般式(4)で表される化合物の分子量は、100~500の範囲が好ましく、150~400の範囲がより好ましい。
【0136】
不飽和一塩基酸(b1-2)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0137】
多塩基酸無水物(b1-3)としては、例えば、脂肪族多塩基酸無水物、脂環式多塩基酸無水物、芳香族多塩基酸無水物、脂肪族多塩基酸無水物の酸ハロゲン化物、脂環式多塩基酸無水物の酸ハロゲン化物、芳香族多塩基酸無水物の酸ハロゲン化物等が挙げられる。
【0138】
上記脂肪族多塩基酸無水物としては、例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。また、前記脂肪族多塩基酸無水物としては、脂肪族炭化水素基は直鎖型及び分岐型のいずれでもよく、構造中に不飽和結合を有していてもよい。
【0139】
上記脂環式多塩基酸無水物としては、本発明では、酸無水物基が脂環構造に結合しているものを脂環式多塩基酸無水物とし、それ以外の構造部位における芳香環の有無は問わないものとする。前記脂環式多塩基酸無水物としては、例えば、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0140】
上記芳香族多塩基酸無水物としては、例えば、フタル酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸の酸無水物等が挙げられる。
【0141】
多塩基酸無水物(b1-3)は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。また、これらの中でも、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び/又は低誘電特性をより効果的に向上させる観点から、テトラヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物が好ましい。
【0142】
ポリイソシアネート化合物(b1-4)としては、例えば、ブタンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,2,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、2,4,4-トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート等の脂肪族ジイソシアネート化合物;ノルボルナンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、水添キシリレンジイソシアネート、水添ジフェニルメタンジイソシアネート等の脂環式ジイソシアネート化合物;トリレンジイソシアネート、キシリレンジイソシアネート、テトラメチルキシリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、1,5-ナフタレンジイソシアネート、4,4’-ジイソシアナト-3,3’-ジメチルビフェニル、o-トリジンジイソシアネート等の芳香族ジイソシアネート化合物;下記一般式(7)で表される繰返し構造を有するポリメチレンポリフェニルポリイソシアネート;これらのイソシアヌレート変性体、ビウレット変性体、アロファネート変性体等が挙げられる。
ポリイソシアネート化合物(b1-4)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【化16】
[上記一般式(7)中、R72及びR73はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~6の一価の炭化水素基のいずれかを表し、R71はそれぞれ独立して、炭素原子数1~4のアルキル基を表し、k71は0又は1~3の整数であり、n71は1以上の整数である。]
【0143】
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(b1-5)としては、例えば、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトール(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパン(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート等が挙げられる。また、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体や、前記各種の水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等も用いることができる。
【0144】
これらの中でも、光感度、伸度、低弾性、耐熱性及び/又は低誘電特性をより効果的に向上させる観点から、分子量が1,000以下のものが好ましい。また、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(b1-5)が、オキシアルキレン変性体又はラクトン変性体である場合には、重量平均分子量(Mw)が1,000以下であることが好ましい。
水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(b1-5)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0145】
酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0146】
酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)の製造方法は、エポキシ樹脂(b1-1)、不飽和一塩基酸(b1-2)、及び多塩基酸無水物(b1-3)を必須の反応原料とするか、あるいは、エポキシ樹脂(b1-1)、不飽和一塩基酸(b1-2)、多塩基酸無水物(b1-3)、ポリイソシアネート化合物(b1-4)、及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(b1-5)を反応原料とするものであれば特に限定されることはない。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法により前記エポキシ樹脂(B1)を製造してもよいし、あるいは反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にエポキシ樹脂(b1-1)と不飽和一塩基酸(b1-2)とを反応させ、次いで、多塩基酸無水物(b1-3)を反応させる方法が好ましい。該反応は、例えば、エポキシ樹脂(b1-1)と不飽和一塩基酸(b1-2)とを塩基性触媒の存在下、100~150℃の温度範囲で反応させた後、反応系中に多塩基酸無水物(b1-3)を加え、80~140℃の温度範囲で反応させる方法等により行うことができる。
【0147】
本実施形態において、エポキシ樹脂(b1-1)と不飽和一塩基酸(b1-2)との反応割合は、エポキシ樹脂(b1-1)中のエポキシ基1モルに対し、不飽和一塩基酸(b1-2)を0.9~1.1モルの範囲で用いることが好ましい。また、多塩基酸無水物(b1-3)の反応割合は、エポキシ樹脂(b1-1)中のエポキシ基1モルに対し、0.2~1.0モルの範囲で用いることが好ましい。
【0148】
上記有機溶剤としては、例えば、トルエン、キシレン、ヘプタン、ヘキサン、ミネラルスピリット等の炭化水素系溶剤、メチルエチルケトン、アセトン、ジメチルホルムアミド、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン、ジメチルアセトアミド等のケトン溶剤;テトラヒドロフラン、ジオキソラン等の環状エーテル溶剤;酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル溶剤;トルエン、キシレン、ソルベントナフサ等の芳香族溶剤;シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン等の脂環族溶剤;カルビトール、セロソルブ、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;プロピルエーテル、メチルセロソルブ、セロソルブ、ブチルセロソルブ、メチルカルビトール等のエーテル系溶剤;アルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテル、ジアルキレングリコールモノアルキルエーテルアセテート等のグリコールエーテル溶剤;大豆油、亜麻仁油、菜種油、サフラワー油等の植物油脂;メトキシプロパノール、シクロヘキサノン、メチルセロソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート等が挙げられる。これらの有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0149】
また、上記有機溶剤としては、市販品を用いることもでき、当該市販品としては、例えば、ENEOS株式会社製「1号スピンドル油」、「3号ソルベント」、「4号ソルベント」、「5号ソルベント」、「6号ソルベント」、「ナフテゾールH」、「アルケン56NT」、「AFソルベント4号」、「AFソルベント5号」「AFソルベント6号」「AFソルベント7号」、三菱ケミカル株式会社製「ダイヤドール13」、「ダイヤレン168」;日産化学株式会社製「Fオキソコール」、「Fオキソコール180」;出光興産株式会社「スーパーゾルLA35」、「スーパーゾルLA38」;ExxonMobil Chemical社製「エクソールD80」、「エクソールD110」、「エクソールD120」、「エクソールD130」、「エクソールD160」、「エクソールD100K」、「エクソールD120K」、「エクソールD130K」、「エクソールD280」、「エクソールD300」、「エクソールD320」;等が挙げられる。
上記有機溶剤は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、本実施形態において、有機溶剤の使用量は、反応効率が良好となることから、反応原料の合計質量に対し0.1~5倍量程度の範囲で用いることが好ましい。
【0150】
塩基性触媒としては、例えば、N-メチルモルフォリン、ピリジン、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノネン-5(DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)、トリ-n-ブチルアミンもしくはジメチルベンジルアミン、ブチルアミン、オクチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、イミダゾール、1-メチルイミダゾール、2,4-ジメチルイミダゾール、1,4-ジエチルイミダゾール、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、3-(N-フェニル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3-(2-アミノエチル)アミノプロピルメチルジメトキシシラン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド等のアミン化合物類;トリオクチルメチルアンモニウムクロライド、トリオクチルメチルアンモニウムアセテート等の四級アンモニウム塩類;トリメチルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等のホスフィン類;テトラメチルホスホニウムクロライド、テトラエチルホスホニウムクロライド、テトラプロピルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムクロライド、テトラブチルホスホニウムブロマイド、トリメチル(2-ヒドロキシルプロピル)ホスホニウムクロライド、トリフェニルホスホニウムクロライド、ベンジルホスホニウムクロライド等のホスホニウム塩類;ジブチル錫ジラウレート、オクチル錫トリラウレート、オクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジアセテート、ジオクチル錫ジネオデカノエート、ジブチル錫ジアセテート、オクチル酸錫、1,1,3,3-テトラブチル-1,3-ドデカノイルジスタノキサン等の有機錫化合物;オクチル酸亜鉛、オクチル酸ビスマス等の有機金属化合物;オクタン酸錫等の無機錫化合物;無機金属化合物などが挙げられる。また、アルカリ土類金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩及びアルカリ金属水酸化物等を用いることもできる。
上記塩基性触媒は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。また、前記塩基性触媒の添加量は、反応原料の合計100質量部に対して0.001~5質量部の範囲が好ましい。
【0151】
酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)の酸価は、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本開示において酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)の酸価は、JIS 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0152】
<酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(B2)>
酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(B2)としては、例えば、ポリイソシアネート化合物(b1-4)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b1-5)、カルボキシル基含有ポリオール化合物(b2-1)、及び必要に応じて多塩基酸無水物(b1-3)、カルボキシル基含有ポリオール化合物(b2-1)以外のポリオール化合物(b2-2)とを反応させて得られた樹脂;ポリイソシアネート化合物(b1-4)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b1-5)と、多塩基酸無水物(b1-3)と、及びカルボキシル基含有ポリオール化合物(b2-1)以外のポリオール化合物(b2-2)と、を反応させて得られた樹脂;あるいはエポキシ樹脂(b1-1)と、不飽和一塩基酸(b1-2)と、多塩基酸無水物(b1-3)と、ポリイソシアネート化合物(b1-4)と、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b1-5)とを反応させて得られた樹脂等が挙げられる。
【0153】
カルボキシル基含有ポリオール化合物(b2-1)としては、例えば、2,2-ジメチロールプロピオン酸、2,2-ジメチロールブタン酸、2,2-ジメチロール吉草酸等が挙げられる。前記カルボキシル基含有ポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0154】
カルボキシル基含有ポリオール化合物(b2-1)以外のポリオール化合物(b2-2)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ジトリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール等の脂肪族ポリオール化合物;ビフェノール、ビスフェノール等の芳香族ポリオール化合物;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)オキシエチレン鎖、(ポリ)オキシプロピレン鎖、(ポリ)オキシテトラメチレン鎖等の(ポリ)オキシアルキレン鎖を導入した(ポリ)オキシアルキレン変性体;前記各種のポリオール化合物の分子構造中に(ポリ)ラクトン構造を導入したラクトン変性体等が挙げられる。前記カルボキシル基含有ポリオール化合物以外のポリオール化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0155】
酸基及び重合性不飽和基を有するウレタン樹脂(B2)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和結合を有するウレタン樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
【0156】
上記記有機溶剤としては、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載した有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。また、上記塩基性触媒としては、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0157】
<酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)>
本実施形態における酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)としては、例えば、水酸基又はカルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基等の反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(α)を必須の成分として重合させて得られるアクリル樹脂中間体に、これらの官能基と反応し得る反応性官能基を有する(メタ)アクリレート化合物(β)をさらに反応させることにより(メタ)アクリロイル基を導入して得られる反応生成物、あるいは前記反応生成物中の水酸基に多塩基酸無水物(b1-3)を反応させて得られる樹脂等が挙げられる。
【0158】
本実施形態において、アクリル樹脂中間体は、(メタ)アクリレート化合物(α)の他、必要に応じてその他の重合性不飽和基含有化合物を共重合させたものであってもよい。当該その他の重合性不飽和基含有化合物は、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の(メタ)アクリル酸アルキルエステル;シクロヘキシル(メタ)アクリレート、イソボロニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート等の脂環式構造含有(メタ)アクリレート;フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、フェノキシエチルアクリレート等の芳香環含有(メタ)アクリレート;3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン等のシリル基含有(メタ)アクリレート;スチレン、α-メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン誘導体等が挙げられる。
その他の重合性不飽和基含有化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0159】
上記(メタ)アクリレート化合物(β)は、上記(メタ)アクリレート化合物(α)が有する反応性官能基と反応し得るものであれば特に限定されないが、反応性の観点から以下の組み合わせであることが好ましい。即ち、前記(メタ)アクリレート化合物(α)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてイソシアネート基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)として水酸基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。前記(メタ)アクリレート化合物(α)としてグリシジル基含有(メタ)アクリレートを用いた場合には、(メタ)アクリレート化合物(β)としてカルボキシル基含有(メタ)アクリレートを用いることが好ましい。
(メタ)アクリレート化合物(β)は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0160】
本実施形態における酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記有機溶剤としては、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載した有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
前記塩基性触媒としては、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0161】
本実施形態における酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)の酸価は、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本願発明において酸基及び重合性不飽和基を有するアクリル樹脂(B3)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0162】
<酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)>
本実施形態において、酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)としては、例えば、酸基及び/又は酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(b4-1)と、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(b1-5)及び/又はエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物と、必要に応じて、水酸基、カルボキシル基、イソシアネート基、グリシジル基、及び酸無水物基からなる群より選ばれる1種以上の反応性官能基を有する化合物を反応させて得られるものが挙げられる。なお、前記反応性官能基を有する化合物は、(メタ)アクリロイル基を有していてもよく、あるいは有していなくてもよい。
酸基及び/又は酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(b4-1)としては、酸基又は酸無水物基のどちらか一方のみを有しても、あるいは両方を有してもよい。当該アミドイミド樹脂(b4-1)は、水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物(1-5)又は(メタ)アクリロイル基を有するエポキシ化合物との反応性や反応制御の観点から、酸無水物基を有するものであることが好ましく、酸基と酸無水物基との両方を有するものであることがより好ましい。前記アミドイミド樹脂(b4-1)の固形分酸価は、中性条件下、即ち、酸無水物基を開環させない条件での測定値が60~350mgKOH/gの範囲であることが好ましい。他方、水の存在下等、酸無水物基を開環させた条件での測定値が61~360mgKOH/gの範囲であることが好ましい。
【0163】
また、アミドイミド樹脂(b4-1)は、必要に応じて、ポリイソシアネート化合物(b1-4)及び多塩基酸無水物(b1-3)以外に、多塩基酸を反応原料として併用することもできる。
【0164】
上記多塩基酸としては、一分子中にカルボキシル基を2つ以上有する化合物であれば何れのものも用いることができる。例えば、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、マレイン酸、フマル酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロフタル酸、ヘキサヒドロフタル酸、メチルヘキサヒドロフタル酸、シトラコン酸、イタコン酸、グルタコン酸、1,2,3,4-ブタンテトラカルボン酸、シクロヘキサントリカルボン酸、シクロヘキサンテトラカルボン酸、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプタン-2,3-ジカルボン酸、4-(2,5-ジオキソテトラヒドロフラン-3-イル)-1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1,2-ジカルボン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、ナフタレントリカルボン酸、ナフタレンテトラカルボン酸、ビフェニルジカルボン酸、ビフェニルトリカルボン酸、ビフェニルテトラカルボン酸、ベンゾフェノンテトラカルボン酸等が挙げられる。また、前記多塩基酸としては、例えば、共役ジエン系ビニルモノマーとアクリロニトリルとの共重合体であって、その分子中にカルボキシル基を有する重合体も用いることができる。
上記多塩基酸は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0165】
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物としては、分子構造中に(メタ)アクリロイル基とエポキシ基とを有するものであれば他の具体構造は特に限定されず、多種多様な化合物を用いることができる。例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートグリシジルエーテル、エポキシシクロへキシルメチル(メタ)アクリレート等のグリシジル基含有(メタ)アクリレートモノマーや、ヒドロキシベンゼンジグリシジルエーテル、ジヒドロキシナフタレンジグリシジルエーテル、ビフェノールジグリシジルエーテル、ビスフェノールジグリシジルエーテルのジグリシジルエーテル化合物のモノ(メタ)アクリレート化物等が挙げられる。
上記エポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0166】
また、酸基及び/又は酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(b4-1)の具体構造又は製造方法は特に限定されず、一般的なアミドイミド樹脂等を広く用いることができる。本実施形態のアミドイミド樹脂(b4-1)は、例えば、ポリイソシアネート化合物(b1-4)と、多塩基酸無水物(b1-3)とを反応原料として得られるものが好ましい。
また、本実施形態において、ポリイソシアネート化合物(b1-4)としては、高い溶剤溶解性を有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物が得られることから、脂環式ジイソシアネート化合物又はその変性体、脂肪族ジイソシアネート化合物又はその変性体が好ましく、脂環式ジイソシアネート又はそのイソシアヌレート変性体、脂肪族ジイソシアネート又はそのイソシアヌレート変性体がより好ましい。
本実施形態において、ポリイソシアネート化合物(b1-4)の総質量中における、脂環式ジイソシアネート化合物又はその変性体と、脂肪族ジイソシアネート化合物又はその変性体の合計質量の割合が、70質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることが好ましい。
また、脂環式ジイソシアネート化合物又はその変性体と、脂肪族ジイソシアネート化合物又はその変性体とを併用する場合には、両者の質量比(脂環式ジイソシアネート化合物又はその変性体/脂肪族ジイソシアネート化合物又はその変性体)が30/70~70/30の範囲であることが好ましい。
【0167】
酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒を用いてもよい。
前記塩基性触媒としては、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載の塩基性触媒と同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
また、前記有機溶剤としては、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載の有機溶剤と同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0168】
酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)は、所望の樹脂性能等に応じて、酸基及び/又は酸無水物基を有するアミドイミド樹脂(b4-1)、水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b1-5)及び/又はエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(b4-2)の反応原料以外に、他の反応原料を併用することもできる。この場合、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B4)の反応原料の総質量中の前記(b4-1)~(b4-2)成分の合計質量の割合が80質量%以上であることが好ましく、90質量%以上であることがより好ましい。
【0169】
酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。例えば、アミドイミド樹脂(b4-1)、及び水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b1-5)及び/又はエポキシ基を有する(メタ)アクリレート化合物(b4-2)を含む反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。また、例えば、アミドイミド樹脂(b4-1)と水酸基含有(メタ)アクリレート化合物(b1-5)との反応は、適当な塩基性触媒の存在下、80~140℃程度の温度条件下で加熱撹拌して行うことができる。酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒又は酸性触媒を用いてもよい。
【0170】
上記塩基性触媒は、上述の<酸基及び重合性不飽和基を有するエポキシ樹脂(B1)>の欄に記載の酸性触媒及び塩基性触媒と同様のものを用いることができ、それらは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
上記酸性触媒としては、例えば、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、シュウ酸等の有機酸、三フッ化ホウ素、無水塩化アルミニウム、塩化亜鉛等のルイス酸などが挙げられる。また、スルホニル基等の強酸を有する固体酸触媒等も用いることができる。これらの酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0171】
酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)の酸価は、高い光感度を有し、耐熱性及び誘電特性に優れた硬化物を形成可能な酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物が得られることから、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本開示における酸基及び重合性不飽和基を有するアミドイミド樹脂(B4)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法にて測定される値である。
【0172】
<酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)>
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)としては、例えば、フェノール性水酸基含有化合物(b5-1)と、アルキレンカーボネート(b5-2a)又はアルキレンオキサイド(b5-2b)と、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b5-3)と、多塩基酸無水物(b1-3)と、必要に応じて不飽和一塩基酸(b1-2)と反応原料とし、当該反応原料を反応させて得られた樹脂が挙げられる。
【0173】
本実施形態において、フェノール性水酸基含有化合物(b5-1)とは、分子内にフェノール性水酸基を少なくとも1つ有する化合物をいう。フェノール性水酸基含有化合物(b5-1)としては、例えば、下記一般式(8.1)~(8.4)のいずれかで表される化合物、芳香族ポリヒドロキシ化合物(b5-4)と下記一般式(9.1)~(9.5)のいずれかで表される化合物とを必須の反応原料とする反応生成物、あるいは芳香族ポリヒドロキシ化合物(b5-4)又はその他分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物(b5-5)の1種又は2種以上を反応原料とするノボラック型フェノール樹脂なども用いることができる。
【化17】
(上記一般式(8.1)~(8.4)中、R81~R84はそれぞれ独立して、炭素原子数1~20のアルキル基、炭素原子数1~20のアルコキシ基、アリール基又はハロゲン原子のいずれかを表し、R85及びR86はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、j81~j84はそれぞれ独立して、0又は1以上の整数を表し、好ましくは0又は1~3の整数であり、より好ましくは0又は1である。k81~k84はそれぞれ独立して、1以上の整数を表し、好ましくは、2又は3である。)
なお、上記一般式(8.1)~(8.4)における芳香環上の置換基の位置については、任意であり、例えば、一般式(8.2)のナフタレン環においてはいずれの環上の水素原子と置換していてもよく、一般式(8.3)では、ビフェニル1分子中に存在するベンゼン環のいずれの水素原子に置換していてもよく、一般式(8.4)では、アラルキル1分子中に存在するベンゼン環のいずれかの水素原子と置換していてもよいことを示し、1分子中における置換基の個数がj81~j84及びk81~k84であることを示している。
【化18】
(上記一般式(9.1)~(9.5)中、h91は、0又は1を表し、R91~R96はそれぞれ独立して、一価の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基又はアラルキル基のいずれかを表し、k91~k96はそれぞれ独立して、0又は1~4の整数を表し、Z91~Z96はそれぞれ独立して、ビニル基、ハロメチル基、ヒドロキシメチル基又はアルキルオキシメチル基のいずれかを表し、Y91は、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基のいずれかを表し、n91は1~4の整数を表す。)
上記一般式(9.1)~(9.5)で表される化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0174】
芳香族ポリヒドロキシ化合物(b5-4)としては、例えば、ジヒドロキシベンゼン、トリヒドロキシベンゼン、テトラヒドロキシベンゼン、ジヒドロキシナフタレン、トリヒドロキシナフタレン、テトラヒドロキシナフタレン、ジヒドロキシアントラセン、トリヒドロキシアントラセン、テトラヒドロキシアントラセン、ビフェノール、テトラヒドロキシビフェニル、ビスフェノール等の他、これらの芳香核上に1つ又は複数の置換基を有する化合物などが挙げられる。また、前記芳香核上の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基、ビニル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、へキシル基、シクロへキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基等の一価の脂肪族炭化水素基;メトキシ基、エトキシ基、プロピルオキシ基、ブトキシ基等のアルコキシ基;フッ素原子、塩素原子、臭素原子等のハロゲン原子;フェニル基、ナフチル基、アントリル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリール基;フェニルオキシ基、ナフチルオキシ基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアリールオキシ基;フェニルメチル基、フェニルエチル基、ナフチルメチル基、ナフチルエチル基、及びこれらの芳香核上に前記脂肪族炭化水素基、前記アルコキシ基、前記ハロゲン原子等が置換したアラルキル基などが挙げられる。これらの芳香族ポリヒドロキシ化合物は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。これらの中でも、高い絶縁信頼性を有する酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂が得られることから、ハロゲンを含有しない化合物が好ましい。
【0175】
上記ノボラック型フェノール樹脂としては、例えば、分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物の1種又は2種以上と、アルデヒド化合物と、を酸性触媒下で反応させて得られる樹脂が挙げられる。
【0176】
上記その他分子内にフェノール性水酸基を1つ有する化合物(b5-5)としては、芳香核上に水酸基を1つ有する芳香族化合物であれば何れの化合物でもよく、例えば、フェノール或いはフェノールの芳香核上に1つ又は複数の置換基を有するフェノール化合物、ナフトール或いはナフトールの芳香核上に1つ又は複数の置換基を有するナフトール化合物、アントラセノール或いはアントラセノールの芳香核上に1つ又は複数の置換基を有するアントラセノール化合物等が挙げられる。また、芳香核上の置換基としては、例えば、一価の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基、アリールオキシ基、アラルキル基等が挙げられ、それぞれの具体例は前述の通りである。これらのフェノール性水酸基を1つ有する化合物は、単独で用いることも、2種以上を併用することもできる。
【0177】
上記アルデヒド化合物としては、例えば、ホルムアルデヒド;アセトアルデヒド、プロピルアルデヒド、ブチルアルデヒド、イソブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、へキシルアルデヒド等のアルキルアルデヒド;サリチルアルデヒド、3-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシベンズアルデヒド、2-ヒドロキシ-4-メチルベンズアルデヒド、2,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド、3,4-ジヒドロキシベンズアルデヒド等のヒドロキシベンズアルデヒド;2-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、3-ヒドロキシ-4-メトキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3-メトキシベンズアルデヒド、3-エトキシ-4-ヒドロキシベンズアルデヒド、4-ヒドロキシ-3,5-ジメトキシベンズアルデヒド等のヒドロキシ基とアルコキシ基の両方を有するベンズアルデヒド;メトキシベンズアルデヒド、エトキシベンズアルデヒド等のアルコキシベンズアルデヒド;1-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド、2-ヒドロキシ-1-ナフトアルデヒド、6-ヒドロキシ-2-ナフトアルデヒド等のヒドロキシナフトアルデヒド;ブロムベンズアルデヒド等のハロゲン化ベンズアルデヒド等が挙げられる。
【0178】
アルキレンカーボネート(b5-2a)としては、例えば、エチレンカーボネート、プロピレンカーボネート、ブチレンカーボネート、ペンチレンカーボネート等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。前記アルキレンカーボネートは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0179】
アルキレンオキサイド(b5-2b)としては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイド、ペンチレンオキサイド等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが好ましい。前記アルキレンオキサイドは、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0180】
N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b5-3)としては、例えば、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-メトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、N-ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。これらの中でも、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、N-メトキシメチル(メタ)アクリルアミドが好ましい。
N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b5-3)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0181】
本実施形態において、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b5-3)を酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)の反応原料に用いる場合、N-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b5-3)と多塩基酸無水物(b1-3)との当量比[(b5-3)/(b1-3)]は、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、0.2~7の範囲が好ましく、0.25~6.7の範囲がより好ましい。
【0182】
本実施形態において、酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)の製造方法は、特に限定されず、どのような方法にて製造してもよい。例えば、反応原料の全てを一括で反応させる方法で製造してもよいし、反応原料を順次反応させる方法で製造してもよい。なかでも、反応の制御が容易であることから、先にフェノール性水酸基含有化合物(b5-1)と、アルキレンカーボネート(b5-2a)又はアルキレンオキサイド(b5-2b)とを反応させて(例えば、塩基性触媒の存在下、100~200℃の温度範囲での反応)、次いで、不飽和一塩基酸(b1-2)及び/又はN-アルコキシアルキル(メタ)アクリルアミド化合物(b2-3b)を反応(例えば、酸性触媒の存在下、80~140℃の温度範囲での反応)させた後、多塩基酸無水物(b1-3)を反応(例えば、80~140℃の温度範囲で反応)させる方法が好ましい。
【0183】
本実施形態における酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)は、上記の反応原料から得られる樹脂である。例えば、当該アクリルアミド樹脂(B5)としては、下記一般式(10.1)で表される構造部位(I)と下記一般式(10.2)で表される構造部位(II)とを繰り返し構造単位とする樹脂構造を有する樹脂、あるいは下記式(10.3)で表される構造部位(III)と下記式(10.4)で表される構造部位(IV)とを繰り返し構造単位とする樹脂構造を有する樹脂が挙げられる。
【化19】
[上記式(10.1)又は(10.2)中、Rb2及びRb8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~4の一価の炭化水素基を表し、Rb3及びRb9はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~4の炭化水素基、炭素原子数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表し、n及びnはそれぞれ独立して、1又は2を表し、Rb4及びRb10はそれぞれ独立して、メチレン基又は下記一般式(11.1)~(11.5)のいずれかで表される構造部位を表し、Rb5及びRb6はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、但し、Rb5とRb6とが、連結して飽和又は不飽和の環を形成してもよく、Rb11は、炭素原子数1~12の二価の炭化水素基を表し、Rb12は、水素原子又はメチル基を表し、Rb1及びRb7はそれぞれ独立して、前記Rb3及び前記Rb9で表される基、或いは、式(10.1)で表される構造部位(I)又は式(10.2)で表される構造部位(II)が、*印が付されたRb4又はRb10を介して連結する結合点である。]
【化20】
[上記一般式(10.3)又は(10.4)中、Rb2及びRb8はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~4の炭化水素基を表し、Rb3及びRb9はそれぞれ独立して、水素原子、炭素原子数1~4の炭化水素基、炭素原子数1~4のアルコキシ基又はハロゲン原子のいずれかを表し、n及びnはそれぞれ独立して、1又は2を表し、Rb4及びRb10はそれぞれ独立して、メチレン基又は下記式(11.1)~(11.5)のいずれかで表される構造部位を表し、Rb5及びRb6はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、但し、Rb5とRb6とが、連結して飽和又は不飽和の環を形成してもよく、Rb11は、炭素原子数1~12の二価の炭化水素基を表し、Rb12は、水素原子又はメチル基を表し、Rb1及びRb7はそれぞれ独立して、前記Rb3及び前記Rb9で表される基、或いは、一般式(10.3)で表される構造部位(III)又は一般式(10.4)で表される構造部位(IV)が、*印が付されたRb4又はRb10を介して連結する結合点である。]
【化21】
[上記一般式(11.1)~(11.5)中、h91は、0又は1を表し、R91~R96はそれぞれ独立して、一価の脂肪族炭化水素基、アルコキシ基、ハロゲン原子、アリール基又はアラルキル基のいずれかを表し、n91~n96はそれぞれ独立して、0又は1~4の整数を表し、Y91は、炭素原子数1~4のアルキレン基、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基のいずれかを表し、n91は1~4の整数を表し、R111~R116はそれぞれ独立して、水素原子又はメチル基を表し、Wは、下記式(12.1)又は(12.2)を表す。]
【化22】
[上記式(12.1)又は(12.2)中、R121及びR124はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~4の炭化水素基を表し、R122及びR123はそれぞれ独立して、水素原子又は炭素原子数1~20の炭化水素基を表し、但し、R122とR123とが、連結して飽和又は不飽和の環を形成してもよく、R125は、炭素原子数1~12の二価の炭化水素基を表し、R126は、水素原子又はメチル基を表す。]
【0184】
酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)の酸価は、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、30~150mgKOH/gの範囲が好ましく、40~120mgKOH/gの範囲がより好ましい。なお、本開示における酸基及び重合性不飽和基を有するアクリルアミド樹脂(B5)の酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定される値である。
【0185】
<酸基及び重合性不飽和基を有するエステル樹脂(B6)>
酸基及び重合性不飽和基を有するエステル樹脂(B6)としては、例えば、フェノール性水酸基含有化合物(b5-1)と、アルキレンオキサイド(b5-2b)又はアルキレンカーボネート(b5-2a)と、不飽和一塩基酸(b1-2)と、多塩基酸無水物(b1-3)とを反応させて得られた樹脂が挙げられる。
【0186】
アルキレンオキサイド(b5-2b)としては、上述のアルキレンオキサイド(b5-2b)として例示したものと同様のものを用いることができる。これらの中でも、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、エチレンオキサイド又はプロピレンオキサイドが好ましい。
アルキレンオキサイド(b5-2b)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0187】
前記アルキレンカーボネート(b5-2a)としては、上述のアルキレンカーボネート(b5-2a)として例示したものと同様のものを用いることができる。これらの中でも、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、エチレンカーボネート又はプロピレンカーボネートが好ましい。
アルキレンカーボネート(b5-2a)は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0188】
酸基及び重合性不飽和基を有するエステル樹脂(B6)の製造方法としては、特に限定されず、どのような方法で製造してもよい。前記酸基及び重合性不飽和基を有するエステル樹脂の製造においては、必要に応じて有機溶剤中で行ってもよく、また、必要に応じて塩基性触媒及び酸性触媒を用いてもよい。
【0189】
上記有機溶剤としては、上述の有機溶剤として例示したものと同様のものを用いることができ、前記有機溶剤は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。上記塩基性触媒としては、上述の塩基性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記塩基性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。上記酸性触媒としては、上述の酸性触媒として例示したものと同様のものを用いることができ、前記酸性触媒は、単独で用いることも2種以上を併用することもできる。
【0190】
以上が、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物に含有される必須成分の内容である。
【0191】
(任意添加成分)
また、本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物は、上述した化合物又は樹脂等以外に、紫外線安定剤、保存安定化剤等の公知の各種添加剤を含有することもできる。
【0192】
本実施形態の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、上述した種々の成分を、ロール等の混練機を用いて混練することで製造することができる。
【0193】
[硬化性樹脂組成物]
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、少なくとも、上述した酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする。換言すると、本実施形態の硬化性樹脂組成物は、少なくとも、上述した芳香族エステル化合物(A)と、上述した酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)と、光重合開始剤とを含有することを特徴とする。光重合開始剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0194】
(光重合開始剤)
光重合開始剤は、照射する活性エネルギー線の種類等により適切なものを選択して用いることができる。また、アミン化合物、尿素化合物、含硫黄化合物、含燐化合物、含塩素化合物、ニトリル化合物等の光増感剤と併用してもよい。また、光重合開始剤は、ラジカル重合開始剤であることが好ましい。かかる光重合開始剤の具体例としては、例えば、1-ヒドロキシ-シクロヘキシル-フェニル-ケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルホリノフェニル)-ブタノン、1、2-(ジメチルアミノ)-2-[(4-メチルフェニル)メチル]-1-[4-(4-モルホリニル)フェニル]-1-ブタノン等のアルキルフェノン系光重合開始剤;2,4,6-トリメチルベンゾイル-ジフェニル-ホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド系光重合開始剤;ベンゾフェノン化合物等の分子内水素引き抜き型光重合開始剤等が挙げられる。
【0195】
さらに、光重合開始剤の具体例としては、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-〔4-(2-ヒドロキシエトキシ)フェニル〕-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、チオキサントン及びチオキサントン誘導体、2,2’-ジメトキシ-1,2-ジフェニルエタン-1-オン、ジフェニル(2,4,6-トリメトキシベンゾイル)ホスフィンオキシド、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキシド、2-メチル-1-(4-メチルチオフェニル)-2-モルフォリノプロパン-1-オン等も挙げられる。
【0196】
光重合開始剤の市販品としては、例えば、「Omnirad-1173」、「Omnirad-184」、「Omnirad-127」、「Omnirad-2959」、「Omnirad-369」、「Omnirad-379」、「Omnirad-907」、「Omnirad-4265」、「Omnirad-1000」、「Omnirad-651」、「Omnirad-TPO」、「Omnirad-819」、「Omnirad-2022」、「Omnirad-2100」、「Omnirad-754」、「Omnirad-784」、「Omnirad-500」、「Omnirad-81」(IGM社製)、「カヤキュア-DETX」、「カヤキュア-MBP」、「カヤキュア-DMBI」、「カヤキュア-EPA」、「カヤキュア-OA」(日本化薬株式会社製)、「バイキュア-10」、「バイキュア-55」(ストウファ・ケミカル社製)、「トリゴナルP1」(アクゾ社製)、「サンドレイ1000」(サンドズ社製)、「ディープ」(アプジョン社製)、「クオンタキュア-PDO」、「クオンタキュア-ITX」、「クオンタキュア-EPD」(ワードブレンキンソップ社製)、「Runtecure-1104」(Runtec社製)等が挙げられる。
【0197】
本実施形態の硬化性樹脂組成物における光重合開始剤の含有量は、芳香族エステル化合物(A)並びに酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)の合計100質量部に対して、0.1質量部以上10質量部以下であることが好ましい。
【0198】
(その他の各種添加剤)
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、目的を逸脱しない範囲において、必要に応じて、硬化剤、硬化促進剤、他の樹脂、有機溶剤、難燃剤、充填剤、顔料、消泡剤、粘度調整剤、レベリング剤、保存安定化剤等の各種添加剤を適量含有することもできる。
【0199】
<硬化剤>
硬化剤としては、例えば、エポキシ樹脂及び他の硬化剤(アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール樹脂硬化剤等)が挙げられ、エポキシ樹脂が好ましい。
【0200】
エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、例えば、分子中に2個以上のエポキシ基を含み、前記エポキシ基で架橋ネットワークを形成することにより硬化できる硬化性樹脂であることが好ましい。エポキシ樹脂としては、特に制限されないが、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、α-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、β-ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールAノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂;
フェノールアラルキル型エポキシ樹脂、ナフトールアラルキル型エポキシ樹脂、フェノールビフェニルアラルキル型エポキシ樹脂等のアラルキル型エポキシ樹脂;
ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールAP型エポキシ樹脂、ビスフェノールAF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、ビスフェノールBP型エポキシ樹脂、ビスフェノールC型エポキシ樹脂、ビスフェノールE型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、テトラブロモビスフェノールA型エポキシ樹脂等のビスフェノール型エポキシ樹脂;
ビフェニル型エポキシ樹脂、テトラメチルビフェニル型エポキシ樹脂、ビフェニル骨格及びジグリシジルオキシベンゼン骨格を有するエポキシ樹脂等のビフェニル型エポキシ樹脂;
ナフタレン型エポキシ樹脂;
ビナフトール型エポキシ樹脂;ビナフチル型エポキシ樹脂;
ジシクロペンタジエンフェノール型エポキシ樹脂等のジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂;
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタン型エポキシ樹脂、トリグリシジル-p-アミノフェノール型エポキシ樹脂、ジアミノジフェニルスルホンのグリシジルアミン型エポキシ樹脂等のグリシジルアミン型エポキシ樹脂;
2,6-ナフタレンジカルボン酸ジグリシジルエステル型エポキシ樹脂、ヘキサヒドロ無水フタル酸のグリシジルエステル型エポキシ樹脂等のジグリシジルエステル型エポキシ樹脂;
ジベンゾピラン、ヘキサメチルジベンゾピラン、7-フェニルヘキサメチルジベンゾピラン等のベンゾピラン型エポキシ樹脂等が挙げられる。
これらのエポキシ樹脂のうち、フェノール化合物をエポキシ化して得られる、いわゆるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂が好ましく、その中でもノボラック型エポキシ樹脂、アラルキル型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂であることが、誘電特性の観点からより好ましい。なお、上述のエポキシ樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0201】
エポキシ樹脂のエポキシ当量は、120~400g/eqであることが好ましく、150~300g/eqであることがより好ましい。前記エポキシ樹脂のエポキシ当量が120g/eq以上であると、得られる硬化物の誘電特性により優れることから好ましく、一方、エポキシ樹脂のエポキシ当量が400g/eq以下であると、得られる硬化物の耐熱性と誘電正接のバランスに優れることから好ましい。
【0202】
エポキシ樹脂の軟化点は、樹脂組成物がより高い光感度を示し、かつ得られる硬化物においてより優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させる観点から、20~200℃であることが好ましく、40~150℃であることがより好ましい。
【0203】
エポキシ樹脂の使用量に関し、芳香族エステル化合物(A)中のエステル基、並びに、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)中の酸基を(合計の)官能基としたときに、エポキシ樹脂の使用量に対する官能基当量比((芳香族エステル化合物(A)+酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B))/エポキシ樹脂)は、0.2~2であることがより好ましく、0.4~1.5であることがより好ましい。前記官能基当量比が0.2以上であると、得られる硬化物が、より低誘電正接、高い柔軟性となりうることから好ましい。前記官能基当量比が2を超えると、耐熱性、硬化性が低下するため、前記範囲内で使用することが好ましい。
【0204】
アミン硬化剤としては、特に制限されないが、ジエチレントリアミン(DTA)、トリエチレンテトラミン(TTA)、テトラエチレンペンタミン(TEPA)、ジプロプレンジアミン(DPDA)、ジエチルアミノプロピルアミン(DEAPA)、N-アミノエチルピペラジン、メンセンジアミン(MDA)、イソフオロンジアミン(IPDA)、1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン(1,3-BAC)、ピペリジン、N,N,-ジメチルピペラジン、トリエチレンジアミン等の脂肪族アミン;m-キシレンジアミン(XDA)、メタンフェニレンジアミン(MPDA)、ジアミノジフェニルメタン(DDM)、ジアミノジフェニルスルホン(DDS)、ベンジルメチルアミン、2-(ジメチルアミノメチル)フェノール、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール等の芳香族アミン等が挙げられる。
【0205】
酸無水物硬化剤としては、無水フタル酸、無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸、無水ベンゾフェノンテトラカルボン酸、エチレングリコールビストリメリテート、グリセロールトリストリメリテート、無水マレイン酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルエンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、メチルブテニルテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、ヘキサヒドロ無水フタル酸、メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、無水コハク酸、メチルシクロヘキセンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0206】
フェノール樹脂硬化剤としては、フェノールノボラック樹脂、クレゾールノボラック樹脂、ナフトールノボラック樹脂、ビスフェノールノボラック樹脂、ビフェニルノボラック樹脂、ジシクロペンタジエン-フェノール付加型樹脂、フェノールアラルキル樹脂、ナフトールアラルキル樹脂、トリフェノールメタン型樹脂、テトラフェノールエタン型樹脂、アミノトリアジン変性フェノール樹脂等が挙げられる。
上述の他の硬化剤はいずれも、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0207】
他の硬化剤(アミン硬化剤、酸無水物硬化剤、フェノール樹脂硬化剤)の使用量に関し、芳香族エステル化合物(A)中のエステル基、並びに、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B)中の酸基を(合計の)官能基としたときに、当該他の硬化剤の使用量に対する官能基当量比((芳香族エステル化合物(A)+酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B))/他の硬化剤)は、0.2~2であることがより好ましく、0.4~1.5であることがより好ましい。前記官能基当量比が0.2以上であると、得られる硬化物が、より低誘電正接、高い柔軟性となりうることから好ましい。前記官能基当量比が2を超えると、耐熱性、硬化性が低下するため、前記範囲内で使用することが好ましい。
【0208】
<硬化促進剤>
硬化促進剤としては、特に制限されないが、リン系硬化促進剤、アミン系硬化促進剤、イミダゾール系硬化促進剤、グアニジン系硬化促進剤、尿素系硬化促進剤等が挙げられる。上述の硬化促進剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0209】
上記リン系硬化促進剤としては、トリフェニルホスフィン、トリブチルホスフィン、トリパラトリルホスフィン、ジフェニルシクロヘキシルホスフィン、トリシクロヘキシルホスフィン等の有機ホスフィン化合物;トリメチルホスファイト、トリエチルホスファイト等の有機ホスファイト化合物;エチルトリフェニルホスホニウムブロミド、ベンジルトリフェニルホスホニウムクロリド、ブチルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルホスホニウムテトラ-p-トリルボレート、トリフェニルホスフィントリフェニルボラン、テトラフェニルホスホニウムチオシアネート、テトラフェニルホスホニウムジシアナミド、ブチルフェニルホスホニウムジシアナミド、テトラブチルホスホニウムデカン酸塩等のホスホニウム塩等が挙げられる。
【0210】
上記アミン系硬化促進剤としては、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)、2,4,6-トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7(DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4,3,0]-ノネン-5(DBN)等が挙げられる。
【0211】
上記イミダゾール系硬化促進剤としては、2-メチルイミダゾール、2-ウンデシルイミダゾール、2-ヘプタデシルイミダゾール、1,2-ジメチルイミダゾール、2-エチル-4-メチルイミダゾール、2-フェニルイミダゾール、2-フェニル-4-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-メチルイミダゾール、1-ベンジル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾール、1-シアノエチル-2-エチル-4-メチルイミダゾール、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾール、1-シアノエチル-2-ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1-シアノエチル-2-フェニルイミダゾリウムトリメリテート、2-フェニルイミダゾールイソシアヌル酸付加物、2-フェニル-4,5-ジヒドロキシメチルイミダゾール、2-フェニル-4-メチル-5ヒドロキシメチルイミダゾール、2,3-ジヒドロ-1H-ピロロ[1,2-a]ベンズイミダゾール、1-ドデシル-2-メチル-3-ベンジルイミダゾリウムクロライド、2-メチルイミダゾリン等が挙げられる。
【0212】
上記グアニジン系硬化促進剤としては、ジシアンジアミド、1-メチルグアニジン、1-エチルグアニジン、1-シクロヘキシルグアニジン、1-フェニルグアニジン、ジメチルグアニジン、ジフェニルグアニジン、トリメチルグアニジン、テトラメチルグアニジン、ペンタメチルグアニジン、1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、7-メチル-1,5,7-トリアザビシクロ[4.4.0]デカ-5-エン、1-メチルビグアニド、1-エチルビグアニド、1-ブチルビグアニド、1-シクロヘキシルビグアニド、1-アリルビグアニド、1-フェニルビグアニド等が挙げられる。
【0213】
上記尿素系硬化促進剤としては、3-フェニル-1,1-ジメチル尿素、3-(4-メチルフェニル)-1,1-ジメチル尿素、クロロフェニル尿素、3-(4-クロロフェニル)-1,1-ジメチル尿素、3-(3,4-ジクロルフェニル)-1,1-ジメチル尿素等が挙げられる。
【0214】
上述の硬化促進剤のうち、2-エチル-4-メチルイミダゾール、N,N-ジメチル-4-アミノピリジン(DMAP)を用いることが好ましい。
【0215】
本実施形態の硬化性樹脂組成物における硬化促進剤の含有量は、所望の硬化性を得るために適宜調整できるが、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.01~5質量部であることが好ましい。硬化促進剤の含有量が0.01質量部以上であると、より確実に硬化性を高めることができる。一方、硬化促進剤の含有量が5質量部以下であると、絶縁信頼性を十分良好に保持することができる。同様の観点から、硬化促進剤の含有量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1質量部以上であることがより好ましく、また、5質量部以下であることがより好ましい。
【0216】
<他の樹脂>
他の樹脂としては、特に制限されないが、マレイミド樹脂、ビスマレイミド樹脂、ポリマレイミド樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリイミド樹脂、シアネートエステル樹脂、ベンゾオキサジン樹脂、トリアジン含有クレゾールノボラック樹脂、シアン酸エステル樹脂、スチレン-無水マレイン酸樹脂、ジアリルビスフェノールやトリアリルイソシアヌレート等のアリル基含有樹脂、ポリリン酸エステル、リン酸エステル-カーボネート共重合体等が挙げられる。これらの他の樹脂は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0217】
本実施形態の硬化性樹脂組成物における他の樹脂の含有量は、全体の50質量%以下であることが好ましい。
【0218】
<有機溶剤>
本実施形態の硬化性樹脂組成物は、有機溶剤を含有してもよく、無溶剤であってもよい。前記有機溶剤は、硬化性樹脂組成物の粘度を調整する機能等を有する。
【0219】
有機溶剤の具体例としては、特に制限されないが、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロヘキサノン等のケトン系溶剤;ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、セロソルブアセテート、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、カルビトールアセテート等のエステル系溶剤;セロソルブ、ブチルカルビトール等のカルビトール類、トルエン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン、1,2,3-トリメチルベンゼン、1,2,4-トリメチルベンゼン等の芳香族炭化水素、ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミド、N-メチルピロリドン等のアミド系溶剤等が挙げられる。これらの有機溶剤は単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0220】
本実施形態の硬化性樹脂組成物における有機溶剤の含有量は、硬化性樹脂組成物の総量(100質量%)中、0~90質量%であることが好ましく、10~90質量%であることがより好ましく、20~80質量%であることがさらに好ましい。前記有機溶剤の含有量が10質量%以上であると、ハンドリング性に優れることから好ましい。一方、溶媒の含有量が90質量%以下であると、経済性の観点から好ましい。
【0221】
<難燃剤>
難燃剤としては、特に制限されないが、無機リン系難燃剤、有機リン系難燃剤、ハロゲン系難燃剤等が挙げられる。上述の難燃剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0222】
上記無機リン系難燃剤としては、特に制限されないが、赤リン;リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム、ポリリン酸アンモニウム等のリン酸アンモニウム;リン酸アミド等が挙げられる。
【0223】
上記有機リン系難燃剤としては、特に制限されないが、メチルアシッドホスフェート、エチルアシッドホスフェート、イソプロピルアシッドホスフェート、ジブチルホスフェート、モノブチルホスフェート、ブトキシエチルアシッドホスフェート、2-エチルヘキシルアシッドホスフェート、ビス(2-エチルヘキシル)ホスフェート、モノイソデシルアシッドホスフェート、ラウリルアシッドホスフェート、トリデシルアシッドホスフェート、ステアリルアシッドホスフェート、イソステアリルアシッドホスフェート、オレイルアシッドホスフェート、ブチルピロホスフェート、テトラコシルアシッドホスフェート、エチレングリコールアシッドホスフェート、(2-ヒドロキシエチル)メタクリレートアシッドホスフェート等のリン酸エステル;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、ジフェニルホスフィンオキシド等ジフェニルホスフィン;10-(2,5-ジヒドロキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(1,4-ジオキシナフタレン)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、ジフェニルホスフィニルヒドロキノン、ジフェニルホスフェニル-1,4-ジオキシナフタリン、1,4-シクロオクチレンホスフィニル-1,4-フェニルジオール、1,5-シクロオクチレンホスフィニル-1,4-フェニルジオール等のリン含有フェノール;9,10-ジヒドロ-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,5-ジヒドロオキシフェニル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド、10-(2,7-ジヒドロオキシナフチル)-10H-9-オキサ-10-ホスファフェナントレン-10-オキシド等の環状リン化合物;前記リン酸エステル、前記ジフェニルホスフィン、前記リン含有フェノールと、エポキシ樹脂やアルデヒド化合物、フェノール化合物と反応させて得られる化合物等が挙げられる。
【0224】
上記ハロゲン系難燃剤としては、特に制限されないが、臭素化ポリスチレン、ビス(ペンタブロモフェニル)エタン、テトラブロモビスフェノールAビス(ジブロモプロピルエーテル)、1,2、-ビス(テトラブロモフタルイミド)、2,4,6-トリス(2,4,6-トリブロモフェノキシ)-1,3,5-トリアジン、テトラブロモフタル酸等が挙げられる。
【0225】
本実施形態の硬化性樹脂組成物における難燃剤の使用量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.1~50質量部であることが好ましい。難燃剤の含有量が0.1質量部以上であると、より確実に難燃性を付与することができる。一方、難燃剤の含有量が50質量部以下であると、誘電特性を維持しながら難燃性を付与することができる。同様の観点から、難燃剤の含有量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、1質量部以上であることがより好ましく、また、30質量部以下であることがより好ましい。
【0226】
<充填剤>
充填剤としては、有機充填剤、無機充填剤が挙げられる。有機充填剤は、伸びを向上させる機能、機械的強度を向上させる機能等を有する。無機充填剤は、熱膨張率の低減や難燃性の付与といった機能を有する。上述の充填剤は、1種単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0227】
上記有機充填剤としては、特に制限されないが、ポリアミド粒子等が挙げられる。
【0228】
上記無機充填剤としては、特に制限されないが、シリカ、アルミナ、ガラス、コーディエライト、シリコン酸化物、硫酸バリウム、炭酸バリウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、窒化マンガン、ホウ酸アルミニウム、炭酸ストロンチウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸カルシウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸ビスマス、酸化チタン、酸化ジルコニウム、チタン酸バリウム、チタン酸ジルコン酸バリウム、ジルコン酸バリウム、ジルコン酸カルシウム、リン酸ジルコニウム、リン酸タングステン酸ジルコニウム、タルク、クレー、雲母粉、酸化亜鉛、ハイドロタルサイト、ベーマイト、カーボンブラック等が挙げられる。これらのうち、シリカを用いることが好ましい。この際、シリカとしては、無定形シリカ、溶融シリカ、結晶シリカ、合成シリカ、中空シリカ等が用いられうる。
【0229】
また、上記充填剤は、必要に応じて表面処理されていてもよい。この際、使用されうる表面処理剤としては、特に制限されないが、アミノシラン系カップリング剤、エポキシシラン系カップリング剤、メルカプトシラン系カップリング剤、シラン系カップリング剤、オルガノシラザン化合物、チタネート系カップリング剤等が使用されうる。表面処理剤の具体例としては、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリエトキシシラン、N-フェニル-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ヘキサメチルジシラザン等が挙げられる。なお、上述の充填剤は、単独で用いても、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0230】
本実施形態の硬化性樹脂組成物における充填剤の使用量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、0.5~95質量部であることが好ましい。充填剤の含有量が0.5質量部以上であると、充填剤の効果を十分に付与することができる。一方、充填剤の含有量が95質量部以下であると、配合物の粘度が高くなりことによる成形性の悪化を抑制することができる。同様の観点から、充填剤の含有量は、上記(A)成分及び(B)成分の合計量100質量部に対して、5質量部以上であることがより好ましく、また、80質量部以下であることがより好ましい。
【0231】
本実施形態の硬化性樹脂組成物の製造方法は、特に制限されず、上述した種々の成分を、ロール等の混練機を用いて混練することで製造することができる。
【0232】
[硬化物]
本実施形態の硬化物は、上述した硬化性樹脂組成物の硬化物である。換言すると、本実施形態の硬化物は、上述した硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させることで得られるものである。かかる本実施形態の硬化物は、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性に優れた絶縁材料として機能し得る。
【0233】
活性エネルギー線としては、例えば、紫外線、電子線、α線、β線、γ線等の電離放射線が挙げられる。また、活性エネルギー線として紫外線を用いる場合には、紫外線による硬化反応を効率よく行う上で、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で照射してもよく、空気雰囲気下で照射してもよい。
【0234】
紫外線発生源として、具体的には、低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、キセノンランプ、ガリウムランプ、メタルハライドランプ等の紫外線ランプ、太陽光、LED等が挙げられ、これらの中でも、実用性及び経済性の観点から、紫外線ランプが一般的に用いられている。
【0235】
活性エネルギー線の積算光量は、特に制限されないが、0.1~50kJ/mであることが好ましく、0.5~10kJ/mであることがより好ましい。積算光量が上記範囲であると、未硬化部分の発生の十分な防止又は抑制を図ることができる。なお、活性エネルギー線の照射は、一段階で行ってもよく、二段階以上に分けて行ってもよい。
【0236】
また、硬化性樹脂組成物を硬化反応させて硬化物を得る他の方法としては、例えば、加熱硬化が挙げられる。加熱硬化する際の加熱温度は、特に制限されないが、100~300℃であり、加熱時間としては、1~24時間であることが好ましい。
【0237】
本実施形態の硬化性樹脂組成物又は硬化物が用いられる用途としては、プリント配線板材料、フレキシルブル配線基板用樹脂組成物、ビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等の回路基板用絶縁材料、樹脂注型材料、接着剤、半導体封止材料、半導体装置、プリプレグ、導電ペースト、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板、繊維強化複合材料、上記複合材料を硬化させてなる成形品等が挙げられる。これら各種用途のうち、プリント配線板材料、回路基板用絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム用途では、コンデンサ等の受動部品やICチップ等の能動部品を基板内に埋め込んだ所謂電子部品内蔵用基板用の絶縁材料として用いることができる。さらに、上記の中でも、硬化物が優れた柔軟性、密着性、低誘電特性、及び、耐熱性等を有するといった特性を生かし、本発明の硬化性樹脂組成物は、半導体封止材料、半導体装置、プリプレグ、フレキシルブル配線基板、回路基板、及び、ビルドアップフィルム、ビルドアップ基板、多層プリント配線板、繊維強化複合材料、前記複合材料を硬化させてなる成形品に用いることが好ましい。
【0238】
[絶縁材料]
本実施形態の絶縁材料は、上述した硬化性樹脂組成物からなる。好適に、本実施形態の絶縁材料は、上述した硬化性樹脂組成物に、活性エネルギー線を照射して硬化させることで得られるものである。かかる本実施形態の絶縁材料は、伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性に優れる。
【0239】
当該絶縁材料としては、上述のビルドアップ基板用層間絶縁材料、ビルドアップ用接着フィルム等の回路基板用絶縁材料、回路基板用絶縁材料及び電子部品内蔵用基板用の絶縁材料などが挙げられる。例えば、上記硬化性樹脂組成物からビルドアップ基板を製造する方法としては、以下に示す3つの工程からなる方法で製造されるものが挙げられる。第1の工程は、ゴム、フィラーなどを適宜配合した上記硬化性樹脂組成物を、回路を形成した回路基板にスプレーコーティング法、カーテンコーティング法等を用いて塗布した後、硬化させる工程であり、第2の工程は、その後、必要に応じて所定のスルーホール部等の穴あけを行った後、粗化剤により処理し、その表面を湯洗することによって、凹凸を形成させ、銅などの金属をめっき処理する工程であり、第3の工程は、このような操作を所望に応じて順次繰り返し、樹脂絶縁層及び所定の回路パターンの導体層を交互にビルドアップして形成する工程である。なお、スルーホール部の穴あけは、最外層の樹脂絶縁層の形成後に行うことが好ましい。第一の工程は、上述の溶液塗布によるもの以外にも、あらかじめ所望の厚みに塗工して乾燥したビルドアップフィルムのラミネートによる方法でも行うことができる。また、本発明のビルドアップ基板は、銅箔上で当該樹脂組成物を半硬化させた樹脂付き銅箔を、回路を形成した配線基板上に、170~250℃で加熱圧着することで、粗化面を形成、メッキ処理の工程を省き、ビルドアップ基板を製造することも可能である。
【0240】
[レジスト部材]
本実施形態のレジスト部材は、上述した硬化性樹脂組成物からなる。当該レジスト部材は、例えば、前記硬化性樹脂組成物を基材上に塗布し、適宜60~100℃程度の温度範囲で有機溶剤を揮発乾燥させた後、所望のパターンが形成されたフォトマスクを通して活性エネルギー線にて露光させ、アルカリ水溶液にて未露光部を現像し、更に140~180℃程度の温度範囲で加熱硬化させて得ることができる。かかる本実施形態のレジスト部材は、低誘電特性及び伸度に優れる。
【実施例0241】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳しく説明するが、本発明は下記の実施例に何ら限定されるものではない。
【0242】
GPCに関しては、以下の条件等にて測定した。
【0243】
(GPC測定)
以下の測定装置、測定条件を用いて測定し、以下に示す合成例・実施例等で得られたイソフタル酸ジフェニル誘導体、及び、芳香族エステル化合物のGPCチャートを得た。前記GPCチャートの結果より、原料ピークの減少及び消失から、目的生成物(イソフタル酸ジフェニル誘導体、及び、芳香族エステル化合物)が生成していることを確認した。
測定装置:東ソー株式会社製「HLC-8320 GPC」
カラム:東ソー株式会社製ガードカラム「HXL-L」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G2000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G3000HXL」+東ソー株式会社製「TSK-GEL G4000HXL」
検出器:RI(示差屈折計)
データ処理:東ソー株式会社製「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」
測定条件:カラム温度 40℃
展開溶媒 テトラヒドロフラン
流速 1.0ml/分
標準:前記「GPCワークステーション EcoSEC-WorkStation」の測定マニュアルに準拠して、分子量が既知の下記の単分散ポリスチレンを用いた。
(使用ポリスチレン)
東ソー株式会社製「A-500」
東ソー株式会社製「A-1000」
東ソー株式会社製「A-2500」
東ソー株式会社製「A-5000」
東ソー株式会社製「F-1」
東ソー株式会社製「F-2」
東ソー株式会社製「F-4」
東ソー株式会社製「F-10」
東ソー株式会社製「F-20」
東ソー株式会社製「F-40」
東ソー株式会社製「F-80」
東ソー株式会社製「F-128」
試料:合成例・実施例等で得られたイソフタル酸ジフェニル誘導体、及び、芳香族エステル化合物の固形分換算で1.0質量%のテトラヒドロフラン溶液をマイクロフィルターでろ過したもの(50μl)を使用した。
【0244】
(合成例1):イソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、及び撹拌器を取り付けたフラスコに、成分(a1)としてのイソフタル酸クロリド808.0質量部及びトルエン4140.0質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換し、溶解させた。次いで、成分(a2)としてのo-クレゾール864.0質量部を仕込み、系内を窒素置換し、溶解させた。その後、テトラブチルアンモニウムブロマイド2.07質量部を溶解させ、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液1648.0質量部を3時間かけて滴下した。次いでこの条件下で1時間攪拌を続けた。反応終了後、静置分液し、水層を取り除いた。さらに、反応物が溶解しているトルエン層に水を投入して約15分間撹拌混合し、静置分液して水層を取り除いた。水層のpHが7になるまでこの操作を繰り返した。その後、デカンタ脱水で水分とトルエンとを除去し、結晶性化合物(中間生成物(a’))であるイソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)を得た。図1に、得られたイソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)のGPCチャートを示す。
【0245】
(合成例2):芳香族エステル化合物(A-1)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、及び撹拌器を取り付けたフラスコに、成分(a3)としての両末端に水酸基を有するポリブタジエン(日本曹達株式会社製:商品名:G-1000、水酸基価:74.2mgKOH/g、水酸基当量:756g/eq)200質量部、合成例1で得られた中間生成物(a’)としてのイソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)91.5質量部、1,8-ジアザビシクロ[5,4,0]-ウンデセン-7(以下、「DBU」と略記する。)0.29質量部、4-[[4,6-ビス(オクチルチオ)-1,3,5-トリアジン-2-イル]アミノ]-1,6-ジ-tert-ブチルフェノール(BASFジャパン株式会社製、商品名:IRGANOX 565)0.29質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換した後、180℃まで昇温し、反応が終了するまで撹拌した。反応の終了時点はGPCにて確認した。その後、減圧蒸留にてo-クレゾールを除去し、芳香族エステル化合物(A-1)を得た。得られた芳香族エステル化合物(A-1)の官能基当量は、仕込み比より995g/eqであり、平均繰り返し数p11(上記一般式(1)参照)は、仕込み比より1であった。なお、得られた芳香族エステル化合物(A-1)の構造は、以下に示す通りであった。
【化23】
【0246】
(合成例3):芳香族エステル化合物(A-2)の合成
合成例2において、IRGANOX 565を除き、G-1000に代えて、ポリカーボネートポリオール(株式会社クラレ、商品名:C-2090、水酸基価:56.8mgKOH/g、水酸基当量:988g/eq)を200.0質量部、合成例1で得られたイソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)の配合量を91.5質量部から70.0質量部、DBUを0.29質量部から0.27質量部に変更したこと以外、合成例2と同様の操作を行い、芳香族エステル化合物(A-2)を得た。この芳香族エステル化合物(A-2)の官能基当量は、仕込み比より、1194g/eqであり、平均繰り返し数p11(上記一般式(1)参照)は、仕込み比より1であった。なお、得られた芳香族エステル化合物(A-2)の構造は、上記一般式(1)を満たす構造であった。
【0247】
(合成例4):芳香族エステル化合物(A-3)の合成
合成例2において、IRGANOX 565を除き、G-1000に代えて、ポリエステルポリオール(クローダジャパン株式会社製、商品名:PRIPLAST 1837LQGD、水酸基価110mgKOH/g、水酸基当量:510g/eq)を50.0質量部、合成例1で得られたイソフタル酸ジフェニル誘導体(a’-1)の配合量を91.5質量部から34.0質量部、DBUを0.29質量部から0.084質量部に変更したこと以外、合成例2と同様の操作を行い、芳香族エステル化合物(A-3)を得た。この芳香族エステル化合物(A-3)の官能基当量は、仕込み比より、748g/eqであり、平均繰り返し数p11(上記一般式(1)参照)は、仕込み比より1であった。なお、得られた芳香族エステル化合物(A-3)の構造は、上記一般式(1)を満たす構造であった。
【0248】
(合成例5:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-1)の製造)
温度計、攪拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート123質量部を入れ、オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂「EPICLON N-680」(DIC株式会社製、軟化点86℃、エポキシ当量:214g/eq、)214質量部を溶解し、ジブチルヒドロキシトルエン0.9質量部、メトキノン0.2質量部加えた後、アクリル酸72質量部、トリフェニルホスフィン1.4質量部を添加し、空気を吹き込みながら120℃で10時間反応を行なった。次いで、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート72質量部、テトラヒドロ無水フタル酸76質量部を加え110℃で3時間反応し、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-1)を得た。この酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-1)の不揮発分は65質量%で、固形分酸価は80mgKOH/gであった。なお、酸価は、JIS K 0070(1992)の中和滴定法に基づいて測定した値である。
【0249】
(合成例6:酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-2)の製造)
温度計、撹拌器、及び還流冷却器を備えたフラスコに、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート499.7質量部を入れ、イソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート変性体(EVONIK社製「VESTANAT T-1890/100」、NCO%=17.2%)244.3質量部及び無水トリメリット酸192.0質量部を溶解し、酸化防止剤としてジブチルヒドロキシトルエン1.0質量部を添加した。窒素雰囲気下で160℃、6時間反応させ、NCO%が0.1以下となっていることを確認した。次いで、メトキノン0.4質量部加えた後、ペンタエリスリトールポリアクリレート混合物(東亜合成株式会社製「アロニックス M-306」、水酸基価:159.7mgKOH/g)147.6質量部及びトリフェニルホスフィン3.5質量部を添加し、空気を吹き込みながら110℃で5時間反応を行った。その後、グリシジルメタクリレート165.0質量部を添加し、110℃で6時間反応させた。次に、無水コハク酸110.4質量部を加え110℃で5時間反応させて、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-2)を得た。この酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-2)の不揮発分は62質量%で、固形分酸価は、80mgKOH/gであった。
【0250】
(比較合成例1):フェノール水酸基含有樹脂(a’-2)の合成
温度計、撹拌機を取り付けたフラスコに、1,6-ヘキサンジオールのジグリシジルエーテル(DIC株式会社製:商品名:SR-16HL、エポキシ当量:127g/eq)127質量部と、ビスフェノールA(水酸基当量114g/eq)228質量部とを仕込み、140℃まで30分間要して昇温した。次いで、4%水酸化ナトリウム水溶液1.8質量部を上記フラスコに仕込んだ後、フラスコ内の温度を30分間かけて150℃まで昇温し、さらに150℃で5時間反応させた。その後、中和量のリン酸ソーダをフラスコ内に添加し、フェノール性水酸基含有樹脂(a’-2)を得た。GPCチャート(図面なし)から、フェノール性水酸基含有樹脂(a’-2)の生成を確認するとともに、当該樹脂(a’-2)の水酸基当量が300g/eqであることを確認した。
【0251】
(比較合成例2):芳香族エステル化合物(A-4)の合成
温度計、滴下ロート、冷却管、分留管、及び撹拌器を取り付けたフラスコに、比較合成例1で得られたフェノール性水酸基含有樹脂(a’-2)(水酸基当量:300g/eq)300質量部と、メチルイソブチルケトン(以下、「MIBK」と略記する。)1212質量部を仕込み、系内を減圧窒素置換して、フェノール性水酸基含有樹脂(a’-2)を溶解させた。次に、塩化ベンゾイル140.5質量部(1.0モル)をフラスコ内に仕込み、その後、窒素ガスパージを施しながら、系内を60℃以下に制御して、20%水酸化ナトリウム水溶液216質量部を3時間かけて滴下し、上記条件下で1時間撹拌を続けた。反応終了後、静置分液し、水層を取り除いた。その後、反応物が溶解しているMIBK相に水を投入して約10分間撹拌混合し、静置分液して水層を取り除いた。この操作を水層のPHが7になるまで繰り返した。その後、デカンタ脱水で水分を除去し、続いて減圧脱水でMIBKを除去し、芳香族エステル化合物(A-4)を得た。得られた芳香族エステル(A-4)の官能基当量は、仕込み比より404g/eqであった。
【0252】
(実施例1:硬化性樹脂組成物(1)の調製)
合成例2で得た芳香族エステル化合物(A-1)15質量部と、合成例6で得た不揮発分62質量%の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-2)100質量部(固形分として62質量部)とを混合し、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物(1)を得た。かかる樹脂組成物に対し、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)22.7量部と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート12.2質量部と、光重合開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 907」)3.9質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート7.7質量部と、フタロシアニングリーン0.5質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(1)を得た。
【0253】
(実施例2~8:硬化性樹脂組成物(2)~(8)の調製)
表1に示す配合比率で実施例1と同様の方法にて、(A-1)~(A-4)から選択される芳香族エステル化合物と、(B-1)~(B-2)から選択される酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂とを混合し、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物(2)~(8)を得るとともに、硬化性樹脂組成物(2)~(8)を得た。
【0254】
(比較例1:硬化性樹脂組成物(R1)の調製)
合成例5で得た不揮発分65質量%の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-1)100質量部(固形分として65質量部)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)25.3質量部と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート13.6質量部と、光重合開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 907」)3.3質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート6.5質量部と、フタロシアニングリーン0.5質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(R1)を得た。
【0255】
(比較例2:硬化性樹脂組成物(R2)の調製)
比較合成例2で得た芳香族エステル化合物(A-4)15質量部と、合成例6で得た不揮発分62質量%の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-2)100質量部(固形分として62質量部)とを混合し、樹脂組成物(R1)を得た。かかる樹脂組成物に対し、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)22.7質量部と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート12.2質量部と、光重合開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 907」)3.9質量部と、2-エチル-4-メチルイミダゾール0.5質量部と、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート7.7質量部と、フタロシアニングリーン0.5質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(R2)を得た。
【0256】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物(1)~(8)、並びに(R1)及び(R2)を用いて、下記の評価を行った。
【0257】
[光感度の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布した後、80℃でそれぞれ30分間乾燥させた。次いで、コダック社製のステップタブレットNo.2を介し、メタルハライドランプを用いて5kJ/mの紫外線を照射した。これを1質量%の炭酸ナトリウム水溶液で180秒現像し、残存した段数で評価した。なお、残存段数が多いほど光感度が高い。
【0258】
実施例1~8で作製した硬化性樹脂組成物(1)~(8)、並びに比較例1及び2で作製した硬化性樹脂組成物(R1)及び(R2)の組成及び評価結果を表1に示す。
【0259】
【表1】
【0260】
(実施例9:硬化性樹脂組成物(9)の調製)
合成例2で得た芳香族エステル化合物(A-1)15質量部と、合成例6で得た不揮発分62質量%の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-2)100質量部(固形分として62質量部)とを混合し、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物(9)を得た。かかる樹脂組成物に対し、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)22.7量部と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート12.2質量部と、光重合開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 907」)3.9質量部と、4-ジメチルアミノピリジン0.3質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(9)を得た。
【0261】
(実施例10~16:硬化性樹脂組成物(10)~(16)の調製)
表2に示す配合比率で実施例9と同様の方法にて、(A-1)~(A-4)から選択される芳香族エステル化合物と、(B-1)~(B-2)から選択される酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂とを混合し、酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂組成物(10)~(16)を得るとともに、硬化性樹脂組成物(10)~(16)を得た。
【0262】
(比較例3:硬化性樹脂組成物(R3)の調製)
合成例5で得た不揮発分65質量%の酸基及び重合性不飽和基を有する樹脂(B-1)100質量部(固形分として65質量部)と、硬化剤としてオルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(DIC株式会社製「EPICLON N-680」、エポキシ当量:214)25.3質量部と、有機溶剤としてジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート13.6質量部と、光重合開始剤(IGM Resins社製「Omnirad 907」)3.3質量部とを混合し、硬化性樹脂組成物(R3)を得た。
【0263】
(比較例4:硬化性樹脂組成物(R4)の調製)
表2に示す配合比率で比較例3と同様の方法にて、硬化性樹脂組成物(R4)を得た。
【0264】
上記の実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を用いて、下記の評価を行った。
【0265】
[耐熱性の評価方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いて銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/mの紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜を銅箔から剥離し、硬化物を得た。前記硬化物から6mm×35mmの試験片を切り出し、粘弾性測定装置(DMA:レオメトリック社製固体粘弾性測定装置「RSAII」、引張り法:周波数1Hz、昇温速度3℃/分)を用いて、弾性率変化が最大となる温度をガラス転移温度として評価した。なお、ガラス転移温度が高いほど耐熱性に優れていることを示す。
【0266】
[伸度の測定方法]
伸度の測定は、引張試験に基づいて行った。
<試験片1の作製>
銅箔(古河産業株式会社製、電解銅箔「F2-WS」18μm)上に実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を50μmのアプリケーターで塗布し、メタルハライドランプを用いて10kJ/mの紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱した。銅箔から硬化物を剥離し、試験片1(硬化物)を得た。
【0267】
<引張試験>
前記試験片1を10mm×80mmの大きさに切り出し、株式会社島津製作所製精密万能試験機オートグラフ「AG-IS」を用いて、下記の測定条件で試験片1の引張試験を行った。試験片が破断するまでの伸度(%)を測定した。
【0268】
測定条件:温度23℃、湿度50%、標線間距離20mm、支点間距離20mm、引張速度10mm/分
【0269】
[弾性率の測定方法]
上記と同様の試験片1(硬化物)を用い、JIS K7181に準拠して、2mm/分の条件にて、弾性率を測定した。値が小さいほど、低弾性であることを示す。
【0270】
[誘電率の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/mの紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電率を測定した。
【0271】
[誘電正接の測定方法]
各実施例及び比較例で得られた硬化性樹脂組成物を、アプリケーターを用いてガラス基材上に膜厚50μmとなるように塗布し、80℃で30分乾燥させた。次いで、メタルハライドランプを用いて10kJ/mの紫外線を照射した後、160℃で1時間加熱して、硬化塗膜を得た。次いで、前記硬化塗膜をガラス基材から剥離し、硬化物を得た。次いで、温度23℃、湿度50%の室内に24時間保管したものを試験片とし、アジレント・テクノロジー株式会社製「ネットワークアナライザE8362C」を用いて、空洞共振法により試験片の1GHzでの誘電正接を測定した。
【0272】
実施例9~16で得られた硬化性樹脂組成物(9)~(16)、並びに比較例3及び4で得られた硬化性樹脂組成物(R3)及び(R4)の組成及び評価結果を表2に示す。
【0273】
【表2】
【0274】
表1及び表2より、実施例の樹脂組成物は、比較例に比べ、高い光感度を示し、かつ得られる硬化物において優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現できていることが分かる。
【産業上の利用可能性】
【0275】
本発明によれば、高い光感度を示し、かつ得られる硬化物において優れた伸度、低弾性、耐熱性及び低誘電特性を発現させることが可能な樹脂組成物を提供することができる。また、本発明によれば、当該樹脂組成物を含有する硬化性樹脂組成物、並びに、かかる硬化性樹脂組成物を用いて得られる、硬化物、絶縁材料及びレジスト部材を提供することができる。
図1