(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037545
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】洋封筒原紙の給紙方法、および洋封筒の製造方法
(51)【国際特許分類】
B65H 3/08 20060101AFI20230308BHJP
B65H 3/56 20060101ALI20230308BHJP
B65H 45/04 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
B65H3/08 310D
B65H3/56 310F
B65H45/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】書面
(21)【出願番号】P 2021165093
(22)【出願日】2021-09-03
(71)【出願人】
【識別番号】520003295
【氏名又は名称】有限会社山中紙工所
(72)【発明者】
【氏名】山中 浩史
【テーマコード(参考)】
3F108
3F343
【Fターム(参考)】
3F108AA01
3F108AB01
3F108AC10
3F343FA17
3F343FB11
3F343FC00
3F343GA01
3F343GB02
3F343GC01
3F343GD01
3F343JB02
3F343JB12
3F343JB25
3F343KB04
3F343LA04
3F343LA14
3F343LB06
3F343LC16
3F343LD07
3F343MB04
3F343MC13
(57)【要約】
【課題】原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成されたタイプの洋封筒原紙を給紙可能な給紙方法を提供する。
【解決手段】原紙裏面部1bの端部の幅方向中央に切り欠き1cが形成された洋封筒原紙の積層体1’から該洋封筒原紙を1枚ずつ抜き出す給紙方法であって、吸込ブロック14,14に開口形成された吸口14a,14aを作動させることによって、積層体1’の最下層にある洋封筒原紙の原紙裏面部1bを吸い込んで吸込ブロック14・14に保持させる吸込工程を含む。吸口の数は、2以上であり、原紙裏面部は、少なくとも切り欠きの幅方向両端において吸込ブロック14,14に保持される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成された洋封筒原紙の積層体から前記洋封筒原紙を1枚ずつ抜き出す給紙方法であって、
吸込ブロックに開口形成された吸口を作動させることによって、前記積層体の最下層にある前記洋封筒原紙の前記原紙裏面部を吸い込んで前記吸込ブロックに保持させる吸込工程を含み、
前記吸口の数が2以上であり、前記原紙裏面部は、少なくとも前記切り欠きの幅方向両端において前記吸込ブロックに保持されることを特徴とする洋封筒原紙の給紙方法。
【請求項2】
打ち抜きにより洋封筒原紙を作成する打ち抜き工程と、作成された前記洋封筒原紙の積層体から1枚の前記洋封筒原紙を抜き出す給紙工程と、抜き出された1枚の前記洋封筒原紙を折り畳む折り畳み工程とを備えた洋封筒の製造方法であって、
前記打ち抜き工程において、前記原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成された洋封筒原紙を作成し、給紙工程は、吸込ブロックに開口形成された吸口を作動させることによって、前記積層体の最下層にある前記洋封筒原紙の前記原紙裏面部を吸い込んで前記吸込ブロックに保持させる吸込工程を含み、
前記吸口の数が2であり、前記原紙裏面部は、前記切り欠きの幅方向両端において前記吸込ブロックに保持されることを特徴とする洋封筒の製造方法。
【請求項3】
前記打ち抜き工程の前に、または前記打ち抜き工程と前記給紙工程との間に実行される、2つの前記吸口の間の距離を調整する吸口間距離調整工程をさらに備えることを特徴とする請求項2に記載の洋封筒の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、洋封筒原紙の給紙方法、および洋封筒の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、洋封筒は、打ち抜きにより洋封筒原紙を作成する打ち抜き工程と、作成された洋封筒原紙の積層体(「束」ともいう)から1枚の洋封筒原紙を抜き出す抜き出し工程と、抜き出された1枚の洋封筒原紙に折り畳み・接着等の加工を施す折り畳み工程とにより製造される。束から1枚の洋封筒原紙を抜き出すことは、通常、「給紙」と呼ばれている。
【0003】
例えば、
図10に示すタイプの洋封筒原紙20の給紙では、折り畳まれたときにフラップ部20aに重なる部分20b(以下、この部分を「原紙裏面部」という)の端部の幅方向中央20cが保持される。
【0004】
同様に、
図11に示すタイプの洋封筒原紙30の給紙でも、折り畳まれたときにフラップ部30aに重なる原紙裏面部30bの端部の幅方向中央30cが保持される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明者は、原紙裏面部の端部中央20c,30cに切り欠きを形成し、封筒内に封入する内容物の確認がしやすく取り出しも容易とする構造を発案した。しかしながら、上記従来の給紙方法では、このようなタイプの洋封筒原紙を給紙することができない。
【0006】
本発明は、原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成されたタイプの洋封筒原紙を給紙可能な給紙方法、およびそのような洋封筒原紙からなる洋封筒の製造方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る洋封筒原紙の給紙方法は、原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成された洋封筒原紙の積層体から該洋封筒原紙を1枚ずつ抜き出す給紙方法であって、吸込ブロックに開口形成された吸口を作動させることによって、積層体の最下層にある洋封筒原紙の原紙裏面部を吸い込んで吸込ブロックに保持させる吸込工程を含み、吸口の数が2以上であり、原紙裏面部は、少なくとも切り欠きの幅方向両端において吸込ブロックに保持されることを特徴とする。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る洋封筒の製造方法は、打ち抜きにより洋封筒原紙を作成する打ち抜き工程と、作成された洋封筒原紙の積層体から1枚の洋封筒原紙を抜き出す給紙工程と、抜き出された1枚の洋封筒原紙を折り畳む折り畳み工程とを備えた、洋封筒の製造方法であって、打ち抜き工程において、原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成された洋封筒原紙を作成し、給紙工程は、吸込ブロックに開口形成された吸口を作動させることによって、積層体の最下層にある洋封筒原紙の原紙裏面部を吸い込んで吸込ブロックに保持させる吸込工程を含み、吸口の数が2であり、原紙裏面部は、切り欠きの幅方向両端において吸込ブロックに保持されることを特徴とする。
【0009】
上記製造方法は、打ち抜き工程の前に、または打ち抜き工程と給紙工程との間に実行される、2つの吸口の間の距離を調整する吸口間距離調整工程をさらに備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、原紙裏面部の端部の幅方向中央に切り欠きが形成されたタイプの洋封筒原紙を給紙可能な給紙方法、およびそのような洋封筒原紙からなる洋封筒の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施例に係る給紙方法で給紙される洋封筒原紙(A)、折り畳み形成された洋封筒(B)を示す図である。
【
図2】本発明の実施例に係る製造方法のフロー図である。
【
図3】本発明の実施例に係る給紙方法を実行するための給紙装置を上方から見た斜視図である。
【
図4】本発明の実施例に係る給紙方法を実行している給紙装置(爪の動き)を示す斜視図である。
【
図5】本発明の実施例に係る給紙方法を実行している給紙装置(ゲタおよび吸口の動き)を示す斜視図である。
【
図6】本発明の第1変形例に係る製造方法のフロー図である。
【
図7】本発明の第2変形例に係る給紙方法を実行するための給紙装置を上方から見た斜視図である。
【
図8】本発明に係る給紙方法で給紙可能な洋封筒原紙(A)、折り畳み形成された洋封筒(B)の一例を示す図である。
【
図9】本発明に係る給紙方法で給紙可能な洋封筒原紙(A)、折り畳み形成された洋封筒(B)の別の一例を示す図である。
【
図10】従来の洋封筒原紙(A)、折り畳み形成された洋封筒(B)の一例を示す図である。
【
図11】従来の洋封筒原紙(A)、折り畳み形成された洋封筒(B)の別の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、添付図面を参照しながら、本発明に係る給紙方法および製造方法の実施例について説明する。なお、本実施例では、
図1に示した洋封筒原紙1(すなわち、折り畳まれたときにフラップ部1aに重なる原紙裏面部1bの端部の幅方向中央に略台形状の切り欠き1cが形成された原紙)を給紙する場合、および該原紙1を用いて洋封筒を製造する場合について説明する。
【実施例0013】
図2に示すように、洋封筒は、打ち抜きにより洋封筒原紙1を作成する打ち抜き工程S1と、作成された洋封筒原紙1の積層体(束)1’から1枚の洋封筒原紙1を抜き出す給紙工程S2と、抜き出された1枚の洋封筒原紙1に折り畳み・接着等の加工を施す折り畳み工程S3とにより製造される。
【0014】
図3に、給紙工程S2において使用される給紙装置10を示す。給紙装置10は、洋封筒原紙1の束1’を載置するための給紙台11と、給紙台11から飛び出した洋封筒原紙1の原紙裏面部1bの幅方向両端部を下方から支持する一対のゲタ12,12と、ゲタ12,12のそれぞれに設けられた、原紙裏面部1bを位置決めするための紙あて13,13と、ゲタ12,12の間に設けられた吸込ブロック14,14と、吸込ブロック14,14のやや上方に設けられた爪15,15とを備えている。各吸込ブロック14の表面には、吸口14aが開口形成されている。
【0015】
洋封筒原紙1の束1’を紙あて13,13によって位置決めしたとき、吸口14a,14aおよび爪15,15の先端の上方には原紙裏面部1bが存在するようになっている。
【0016】
吸込ブロック14,14(吸口14a,14a)および爪15,15の位置は、ゲタ12,12の間において任意に調整可能となっている。
【0017】
給紙装置10は、各部が次のように動作することにより束1’の最下層にある1枚の洋封筒原紙1を給紙する。
(1)
図4に示すように、爪15,15が振り子のような弧を描き若干上に上がる。
(2)吸口14a,14aが束1’の最下層にある1枚を洋封筒原紙1の原紙裏面部1b(切り欠き1cの幅方向両端部)吸引する。
(3)吸引された1枚の洋封筒原紙1と上に積まれている残りの束1’の間に爪15,15が戻る。
(4)
図5に示すように、吸口ブロック14,14が下がり、ゲタ12,12が振り子のような弧を描き大きく上に上がり進路をあけ、洋封筒原紙1を給紙する。
【0018】
このように、給紙装置10は、吸込ブロック14,14に開口形成された吸口14a,14aを作動させることによって、束1’の最下層にある洋封筒原紙1の原紙裏面部1bを吸い込んで吸込ブロック14,14に保持させる吸込工程を実行することができる。このとき、原紙裏面部1bは、切り欠き1cの幅方向両端部において吸込ブロック14,14に保持される。
【0019】
本発明の実施例に係る給紙方法および製造方法によれば、吸込ブロック14,14によって切り欠き1cの幅方向両端が保持されるので、安定的に最下層にある洋封筒原紙1を給紙することができる。
【0020】
以上、本発明に係る給紙方法および製造方法の実施例について説明してきたが、本発明の構成はこれに限定されない。
【0021】
[第1変形例]
例えば、本発明に係る製造方法は、打ち抜き工程S1の前に、または打ち抜き工程S1と給紙工程S2との間に実行される、2つの吸口14a,14aの間の距離を調整する吸口間距離調整工程S4をさらに備えていてもよい(
図6参照)。吸口間距離調整工程S4を実行することにより、様々な形状の切り欠き1cを有する洋封筒原紙1を安定的に給紙することができる。
【0022】
[第2変形例]
また、本発明に係る給紙方法(製造方法の給紙工程S2)で使用する給紙装置10は、吸込ブロック14,14の代わりに、2つの吸口14a,14aが開口形成された大型の吸込ブロック16を備えていてもよい(
図7参照)。
【0023】
[その他の変形例]
また、本発明に係る給紙方法(製造方法の給紙工程S2)では、
図8,
図9に例示した様々な形状の切り欠きを有する洋封筒原紙を給紙することもできる。すなわち、本発明に係る給紙方法(製造方法の給紙工程S2)では、幅方向中央からずれた位置に切り欠き40cが形成された洋封筒原紙40や、幅広な切り欠き50cが形成された洋封筒原紙50を給紙することもできる。