(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037577
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】ビーム偏向器メタ表面
(51)【国際特許分類】
G02B 5/18 20060101AFI20230308BHJP
G02B 3/00 20060101ALI20230308BHJP
G02B 5/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
G02B5/18
G02B3/00 Z
G02B5/00 B
【審査請求】有
【請求項の数】20
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022120661
(22)【出願日】2022-07-28
(31)【優先権主張番号】17/466,813
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブリス, ダリル アイ.
(72)【発明者】
【氏名】ヒュイ, ブランドン ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】オシャー, クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワン, シャン
(72)【発明者】
【氏名】チェン, トン
(72)【発明者】
【氏名】ゲー, チェンビン
(72)【発明者】
【氏名】チャン, ルンユ
【テーマコード(参考)】
2H042
2H249
【Fターム(参考)】
2H042AA05
2H042AA09
2H042AA21
2H249AA03
2H249AA13
2H249AA23
2H249AA60
2H249AA65
(57)【要約】 (修正有)
【解決手段】ビーム偏向器メタ表面は、繰り返しの半径方向パターンの同心ゾーン内に配置されている、ビーム偏向器を含み得る。ビーム偏向器メタ表面は、非垂直入射角で光を方向付ける際に高効率を有する、大面積で高開口数のメタ表面光学素子とすることができる。種々の同心ゾーンは、受け取った光を、様々な方向に、様々な傾きの角度で方向付けることができる。ビーム偏向器は、同じ又は異なる幅、高さ、若しくは形状とすることが可能な、ピラーを含み得る。それらのピラーは、回折格子として機能し得るものであり、ピラー間の交差結合により、出力光を方向付けることができる。ビーム偏向器メタ表面のゾーンは、ホットスポットを拡散させ、目標領域にわたって均一に光を発散させることを可能にし得る。
【効果】ビーム偏向器メタ表面は、焦点の劣化が、非垂直の入力入射角及び出力入射角における、より良好な効率を可能にする、非結像用途に関して使用できる。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビーム偏向器メタ表面であって、
基材と、
第1の同心ゾーン内で前記基材上に配置されている、第1のビーム偏向器のセットと、
第2の同心ゾーン内で前記基材上に配置されている、第2のビーム偏向器のセットと、を備え、
前記第1のビーム偏向器のセットが、前記ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第1の角度で方向付け、
前記第2のビーム偏向器のセットが、前記ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第2の角度で方向付け、
前記第2の同心ゾーンが、前記第1の同心ゾーンよりも半径が小さく、
前記第1の同心ゾーンと前記第2の同心ゾーンとが、同心リングとして配置されている、ビーム偏向器メタ表面。
【請求項2】
前記第1のビーム偏向器のセットが、前記基材を通過する光を、前記第2のビーム偏向器のセットが光を方向付ける前記第2の角度よりも急な、前記第1の角度で方向付け、
前記第1のビーム偏向器のセットの各ビーム偏向器が、
少なくとも2つの異なる幅のピラーのセットと、
第1のピラー配置と、を有し、
前記第2のビーム偏向器のセットの各ビーム偏向器が、
第2のピラー配置を有し、
前記第1のビーム偏向器のセットの前記第1のピラー配置が、前記第2のビーム偏向器のセットの前記第2のピラー配置とは異なる、
請求項1に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項3】
前記第1のビーム偏向器のセットのうちの1つが、第1のピラーの数を有する第1のピラーのセットを含み、
前記第2のビーム偏向器のセットのうちの1つが、第2のピラーの数を有する第2のピラーのセットを含み、
前記第1のピラーの数が、前記第2のピラーの数とは異なる、
請求項1に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項4】
前記第1のビーム偏向器のセットが、第1の同心リング内で、繰り返しの半径方向パターンで配置されており、
前記第1のビーム偏向器のセットのそれぞれが、同じパターンで配置されているピラーを含む、
請求項1に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項5】
前記第1の同心ゾーンが、複数の同心リングを含む、請求項4に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項6】
前記第1のビーム偏向器のセットが、第1のピラーのセットを含み、
前記第1のピラーのセットの、第1のピラーと第2のピラーとが、第1のピッチによって隔てられており、
前記第1のピラーのセットの、前記第2のピラーと第3のピラーとが、第2のピッチによって隔てられており、
前記第1のピッチと前記第2のピッチとが同じ距離である、
請求項1に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項7】
前記第1のビーム偏向器のセットが、第1のピラーのセットを含み、
前記第1のピラーのセットの高さが、前記第1のビーム偏向器のセットの波長感度を決定する、
請求項1に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項8】
前記第1のビーム偏向器のセットが、第1のピラーのセットを含み、
前記第1のピラーのセットが、第1の偏光の光が第1の方向で通過することを可能にし、
前記第1のピラーのセットが、第2の方向で通過する第2の偏光の光を減衰させ、
前記第1の方向が、前記第2の方向に対して直交している、
請求項1に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項9】
ビーム偏向器メタ表面であって、
第1の同心ゾーンであって、
前記第1の同心ゾーン内に繰り返しパターンで配置されている、第1のビーム偏向器の第1のセットを含む、第1の同心ゾーンと、
前記第1の同心ゾーンに隣接する第2の同心ゾーンであって、
前記第2の同心ゾーン内に繰り返しパターンで配置されている、第2のビーム偏向器の第2のセットを含む、第2の同心ゾーンと、を備え、
前記第1の同心ゾーンが、前記ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第1のピラーのセットを介して第1の角度で方向付け、
前記第2の同心ゾーンが、前記ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第2のピラーのセットを介して第2の角度で方向付け、前記第2の角度が、前記第1の角度とは異なる、ビーム偏向器メタ表面。
【請求項10】
前記第1のビーム偏向器の第1のセットが、第1のピラーのセットを有し、
前記第2のビーム偏向器の第2のセットが、第2のピラーのセットを有し、
前記第1のピラーのセット内のピラーの数が、前記第2のピラーのセット内のピラーの数とは異なる、
請求項9に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項11】
前記第1の同心ゾーンが、
第1の同心リングと、
前記第1の同心リングに隣接する第2の同心リングと、を含み、
前記第1の同心リング及び前記第2の同心リングが、繰り返しのリングパターンで配置されている、前記第1のビーム偏向器の第1のセットの第1のビーム偏向器を有し、
前記第1のビーム偏向器の第1のセットの前記第1のビーム偏向器のそれぞれが、同じピラーパターンで配置されている同じ数のピラーを有する、
請求項10に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項12】
前記第1のビーム偏向器の第1のセットの第1のビーム偏向器が、所定の位相関数に整合するように光を方向付け、
前記ビーム偏向器メタ表面が、高開口数レンズである、
請求項9に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項13】
前記ビーム偏向器メタ表面の円形状の格子が、半径方向及び角度方向で対称である、請求項9に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項14】
前記ビーム偏向器メタ表面が、4つの半径方向四分円を含み、
前記4つの半径方向四分円のうちの第1の四分円が、第3のビーム偏向器の第3のセットを含み、
前記第3のビーム偏向器の第3のセットが、前記第1のビーム偏向器の前記第1のセット及び前記第2のビーム偏向器の第2のセットとは異なる角度で光を方向付ける、
請求項9に記載のビーム偏向器メタ表面。
【請求項15】
光を方向付けるための方法であって、
内側同心ゾーンと外側同心ゾーンとを有するビーム偏向器メタ表面において、前記光を受け取ることと、
繰り返しパターンで配置されている第1のビーム偏向器のセットを使用して、第1のゾーンから第1の角度で前記光を方向付けることと、
繰り返しパターンで配置されている第2のビーム偏向器のセットを使用して、第2のゾーンから第2の角度で前記光を方向付けることと、を含み、
前記第1のビーム偏向器のセットが、第1のピラーのセットを含み、
前記第1のピラーのセット内の、各セットのピラーが、第1の配置で位置決めされており、
前記第2のビーム偏向器のセットが、第2のピラーのセットを含み、
前記第2のピラーのセット内の、各セットのピラーが、第2の配置で位置決めされている、光を方向付けるための方法。
【請求項16】
前記第1のゾーンが、前記内側同心ゾーンであり、
前記第2のゾーンが、前記外側同心ゾーンであり、
前記第1のビーム偏向器のセットが、第1のピラーのセットを含み、前記第1のビーム偏向器のセットの全てのビーム偏向器が同じであり、
前記第2のビーム偏向器のセットが、前記第1のピラーのセットとは異なる数のピラーを有する、第2のピラーのセットを含み、
前記第2のビーム偏向器のセットの全ての前記ビーム偏向器が、互いに同じであり、前記第1のビーム偏向器のセットの前記ビーム偏向器とは異なる、
請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記第1のゾーンが、前記ビーム偏向器メタ表面の四分円であり、
前記第2のゾーンが、前記ビーム偏向器メタ表面の、第2の四分円、第3の四分円、及び第4の四分円を含む、
請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ビーム偏向器メタ表面を通過して目標領域に至る前記光の、焦点をぼかすことを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項19】
前記第1のビーム偏向器のセット及び前記第2のビーム偏向器のセットが、rθ格子構造で配置されている、請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記第1のビーム偏向器のセット及び前記第2のビーム偏向器のセットが、半径方向及び角度方向で対称である、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的に、迷光の制御と非垂直角度における焦点効率とを改善するための、光学デバイスに関する。より詳細には、本明細書の実施形態は、非結像用途に関して使用される、半径方向に配置されたビーム偏向器を有する光学デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、光学システムは、モバイル電子デバイスからディスプレイ技術に至るまで、様々なデバイスにおいて使用されている。近年、一部の電子デバイスを、より薄く、かつ/又はより小さくすることによって、それらの電子デバイスのフォームファクタを低減させる傾向が見受けられる。このことは、嵩高の光学要素となりがちな、レンズ及びミラーなどの古典的光学素子を使用する、あらゆる電子デバイスに対して課題を提起する。嵩高の古典的光学素子の代替として、より薄い光学素子が開発されているが、結果として生じるホットスポットなどの、いくつかの望ましくない問題点が存在する。更には、これらの代替的光学素子の性能は、非垂直入射角において低下するため、非垂直入射角における高効率と、小さいフォームファクタとを有する、光学構成要素を作製することが望ましい。
【発明の概要】
【0003】
本開示で説明されるシステム、デバイス、方法、及び装置の実施形態は、高開口数の用途及び非垂直入射角に関して、高効率の性能を有する光学要素を目的とする。また、ビーム偏向器メタ表面を使用する、ビームステアリング能力の向上を目的としたシステム、デバイス、方法、及び装置も説明される。いくつかの実施例では、光学要素は、動径座標系で配置されているビーム偏向器を含み得る。ビーム偏向器は、全てのビーム偏向器が同じピラー配置を有することが可能であり、かつ半径方向パターンで繰り返すことが可能な限りにおいて、半径方向に配置することができる。半径方向パターンでの、このビーム偏向器の配置は、所望される出力角度又は所定の出力角度に、少なくとも部分的に依存し得る。換言すれば、ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、所定の出力角度に操作することができ、対応するビーム偏向器の配置が、光が操作される方向を制御する。光学要素は、第1の同じビーム偏向器のセットを、第1の同心ゾーン内に使用することができ、互いに同じではあるが第1のビーム偏向器のセットとは異なる第2のビーム偏向器のセットを、第2の同心ゾーン内に使用することができ、それらの同心ゾーンが同心円に類似し得るような、同心ゾーンを有し得る。2つの同心ゾーンを考察することができるが、任意の数の同心ゾーンを使用することもできる。更には、光学要素は、角度ゾーンに分割することができ、それらの角度ゾーンのうちの1つ以上は、他の角度ゾーンとは異なるビーム偏向器のセットを有し得る。角度ゾーンを使用することは、非定型的な入力放射照度パターンへの対処、複雑な遠視野パターンの達成、均一な遠視野パターンの達成、これらの任意の組み合わせなどの際に使用するために、望ましいものであり得る。
【0004】
いくつかの実施例では、本開示は、ビーム偏向器メタ表面を説明する。ビーム偏向器メタ表面は、基材と、第1の同心ゾーン内で基材上に配置されている、第1のビーム偏向器のセットと、第2の同心ゾーン内で基材上に配置されている、第2のビーム偏向器のセットとを含み得る。第1のビーム偏向器のセットは、ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第1の角度で方向付けることができ、第2のビーム偏向器のセットは、ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第2の角度で方向付けることができ、第2の同心ゾーンは、第1の同心ゾーンよりも半径が小さいものとすることができ、第1の同心ゾーンと第2の同心ゾーンとは、同心リングとして配置することができる。
【0005】
いくつかの実施例では、本開示は、ビーム偏向器メタ表面を説明する。ビーム偏向器メタ表面は、第1の同心ゾーンを含み得るものであり、第1の同心ゾーンは、第1の同心ゾーン内に繰り返しパターンで配置されている、第1のビーム偏向器の第1のセットを含む。ビーム偏向器メタ表面は、第1の同心ゾーンに隣接する第2の同心ゾーンを含み得るものであり、第2の同心ゾーンは、第2の同心ゾーン内に繰り返しパターンで配置されている、第2のビーム偏向器の第2のセットを含み得る。第1の同心ゾーンは、ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第1のピラーのセットを介して第1の角度で方向付けることができ、第2の同心ゾーンは、ビーム偏向器メタ表面を通過する光を、第2のピラーのセットを介して第2の角度で方向付けることができ、第2の角度は、第1の角度とは異なる。
【0006】
いくつかの実施例では、本開示は、光を方向付けるための方法を説明する。この方法は、内側同心ゾーンと外側同心ゾーンとを有するビーム偏向器メタ表面において、光を受け取ることと、繰り返しパターンで配置されている第1のビーム偏向器のセットを使用して、第1のゾーンから第1の角度で光を方向付けることと、繰り返しパターンで配置されている第2のビーム偏向器のセットを使用して、第2のゾーンから第2の角度で光を方向付けることとを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のビーム偏向器のセットは、第1のピラーのセットを含み、第1のピラーのセット内の、各セットのピラーは、第1の配置で位置決めされており、第2のビーム偏向器のセットは、第2のピラーのセットを含み、第2のピラーのセット内の、各セットのピラーは、第2の配置で位置決めされている。
【0007】
上述の例示的な態様及び実施形態に加えて、更なる態様及び実施形態が、図面を参照し、以下の説明を検討することによって、明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1A】ビーム偏向器メタ表面の例示的な断面を示す。
【0009】
【
図1B】ビーム偏向器メタ表面の例示的な上面図を示す。
【0010】
【
図1C】非対称のビーム偏向器メタ表面の例示的な上面図を示す。
【0011】
【
図2】ビーム偏向器メタ表面の部分的な同心ゾーンの例示的な上面図を示す。
【0012】
【
図3】ピラーを有する例示的なビーム偏向器を示す。
【0013】
【
図4A】例示的なビーム偏向器メタ表面の上面図を示す。
【0014】
【
図4B】
図4Aのビーム偏向器メタ表面の外側同心ゾーン内の代表的なビーム偏向器の側面図を示す。
【0015】
【
図4C】
図4Aのビーム偏向器メタ表面の内側同心ゾーン内の代表的なビーム偏向器の側面図を示す。
【0016】
【
図4D】光を方向付けている
図4Aのビーム偏向器メタ表面の断面を示す。
【0017】
【
図5A】光がビーム偏向器メタ表面の一部を通過して、そのビーム偏向器メタ表面の一部によって方向付けられている、光学システムの側面図を示す。
【0018】
【
図5B】
図5Aのビーム偏向器メタ表面の部分的な断面を示す。
【0019】
添付の図におけるクロスハッチング又はシェーディングの使用は、全般的に、隣接する要素間の境界を明確にするために、また、図の視認性を促進するためにも提供されている。したがって、クロスハッチング又はシェーディングの有無のいずれも、添付の図に示されている任意の要素に関する、特定の材料、材料特性、要素の比率、要素の寸法、同様に図示されている要素の共通性、又は任意の他の特質、属性、若しくは特性に対する、いかなる選好又は要件も、伝達又は指示するものではない。
【0020】
様々な特徴及び要素(並びに、それらの集合及びグループ化)の(相対的又は絶対的な)比率及び寸法、並びに、それらの間に提示されている境界、分離、及び位置関係は、単に本明細書で説明される様々な実施形態の理解を容易にするために、添付の図に提供されているものに過ぎず、したがって、必ずしも一定の縮尺で提示又は図示されていない場合があり、それらの図を参照して説明されている実施形態を除外して、図示されている実施形態に対する、いかなる選好又は要件も示すことを意図するものではない点を理解されたい。
【発明を実施するための形態】
【0021】
添付図面に示されている代表的な実施形態が、ここで詳細に参照される。以下の説明は、これらの実施形態を、1つの好ましい実施形態に限定することを意図するものではない点を理解されたい。反対に、以下の説明は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、説明される実施形態の趣旨及び範囲内に含めることが可能な、代替形態、修正形態、及び等価物を包含することが意図されている。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「当接する」とは、2つの要素が、共通の境界を共有するか、又は他の方式で互いに接触することを意味し、その一方で、用語「隣接する」とは、2つの要素が互いに近接しており、互いに接触する場合がある(又は、接触しない場合もある)ことを意味する。それゆえ、当接している要素はまた、隣接もしているが、逆は必ずしも真ではない。互いに「結合され」ている2つの要素は、恒久的に、若しくは取り外し可能に、互いに物理的に結合されている場合があり、及び/又は、動作可能に、若しくは機能的に、互いに結合されている場合もある。更には、互いに「光学的に結合」されている2つの要素は、一方の要素から他方の要素に光が通過することを可能にし得る。
【0023】
本明細書全体を通して使用される場合、アルファベット文字を後に有さない参照番号は、対応する参照番号のうちの1つ以上、全ての参照番号のグループ、又は参照番号のうちの一部を指す場合がある。例えば、「305」は、それが使用されているコンテキストに応じて、ビーム偏向器305のうちの1つ以上(例えば、ビーム偏向器305a、ビーム偏向器305bなど)を指す場合もあり、ビーム偏向器305の全てを指す場合もあり、又は、ビーム偏向器305のうちの一部(例えば、ビーム偏向器305a)を指す場合もある。
【0024】
以下の実施例の説明では、実践することが可能な特定の実施例が実例として示されている、添付図面が参照される。それら様々な実施例の範囲から逸脱することなく、他の実施例を使用することができ、構造上の変更を実施することができる点を理解されたい。
【0025】
従来型メタレンズは、基材上のナノ構造を含み得るものであり、出射光の位相は、それら基材上のナノ構造又は「ピラー」の、光に対する全体的反応に大きく依存し得る。従来型メタレンズ上のピラーは、それらピラーの全体的な反応に従って、メタレンズ構造の全体が光を方向付けることができるように、基材の表面にわたってパターンを成して配置することができる。本明細書では用語「ピラー」を使用することができ、これは基材上のナノ構造を指す。一部の光学システムに関しては、従来型メタレンズは、典型的には、その従来型メタレンズによって、光が従来型メタレンズ基材に対して垂直入射に方向付けられる、結像用途のために設計されており、小開口数レンズ及び短レンズ直径の用途に関して使用されている。ピラーは、垂直入射の光を方向付けるための位相関数を達成するように、基材にわたって全体として配置されているため、非垂直入射角に関して、並びに高開口数及び大面積においては、性能が低下する恐れがある。
【0026】
光を方向付けるためのビーム偏向器メタ表面が、本明細書で開示される。ビーム偏向器メタ表面は、格子などの繰り返し配置で位置決めされている、ビーム偏向器の多数のセットを含み得る。更には、各ビーム偏向器は、複数のピラー(例えば、4つのピラー、6つのピラー、8つのピラー、13個のピラー、又は任意の他の適切な数)を含み得る。各ビーム偏向器内に含まれているピラーは、そのビーム偏向器の構造内で、幅、形状、高さが変化する場合もあり、可変の間隔を有する場合もあり、これらの任意の組み合わせを有する場合などもある。いくつかの実施形態では、格子は円形とすることができ、格子の形状は、所定の位相関数に少なくとも部分的に基づき得る。位相関数は、ビーム偏向器によって散乱される光強度の、所定の角度分布又は所望の角度分布を与えることができる。いくつかの実施形態では、光強度の分布は、均一な分布、部分的に均一な分布、又は不均一な分布とすることができる。ビーム偏向器メタ表面は、光の入力入射角と出力入射角との間の、空間的伝送層として機能し得る。
【0027】
一般に、メタレンズは、より平坦又は平面状かつ超薄型であって、古典的光学素子に勝る利点を提供することができる。メタレンズは、本明細書で論じられるピラー又はナノ構造などの、小さいナノサイズの特徴部によって、光波に対して局所的に引き起こすことが可能な、位相変化を使用することができる。これらのナノ構造又はピラーは、メタレンズを通過する光に位相変化を引き起こすことができ、引き起こされる位相変化は、ピラーのサイズ、幾何学形状、及び配置に少なくとも部分的に依存し得る。メタ表面の基材上での、ピラーの配置又はピラーの分布に応じて、入射する光波の波面を、ほぼあらゆる所望の形態に成形することができる。このようにして、メタ表面を通ってメタ表面から離れる方向に伝播する光を、正確に制御することができる。
【0028】
ビーム偏向器は、同じ若しくは異なるサイズ及び高さとすることが可能な、ピラーの複数のセットを含む。一実施形態では、ビーム偏向器は、動径座標系で配置されている。ビーム偏向器は、全て同じピラー配置を有するビーム偏向器を、全面的な半径方向及び同心パターンで繰り返すことが可能な限りにおいて、半径方向に配置することができる。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器は、半径方向及び/又は同心ではなくてもよい繰り返しパターンで、配置することができる。用語「ビーム偏向器構造」は、本明細書では、特定のピラー配置を有するビーム偏向器を指すために使用される。すなわち、ビーム偏向器構造内のピラーは全て、特定の間隔、幅、形状、高さを有し得るものであり、同じビーム偏向器構造とは、ビーム偏向器構造のそれぞれが、その特定のピラー配置を有することを示すものである。ビーム偏向器の配置(例えば、半径方向及び/又は同心パターン)は、ビーム偏向器メタ表面を通過する光の位相関数(例えば、出力角度)を変化させる。換言すれば、ビーム偏向器メタ表面を通過する光は、その光が通過する、対応するビーム偏向器の構造及び配置に応じた、所定の出力角度に操作され得る。
【0029】
ビーム偏向器メタ表面は、同心ゾーン内に、1つ以上の同心リングを有し得る。いくつかの実施形態では、1つの同心ゾーン内の1つ以上の同心リングは、全て同じビーム偏向器構造を有し得る。すなわち、全てのビーム偏向器構造(例えば、ビーム偏向器のピラー配置)は、同心リング内では全て同じものとすることができ、全てのビーム偏向器構造は、その同心ゾーン内で同じものとすることができる。1つ以上の同心リングが、同心ゾーンを形成している。ビーム偏向器は、ビーム偏向器メタ表面の内径から外径まで、かつ同心ゾーン内で、半径方向に配置することができる。換言すれば、第1のビーム偏向器の最後のピラーを、第2のビーム偏向器の最初のピラーと、半径方向に位置決めして位置合わせすることができ、第1のビーム偏向器は、第2のビーム偏向器よりも、ビーム偏向器メタ表面の中心に近い。一般に、同心リング内の各ビーム偏向器の最初のピラー及び最後のピラーは、隣接する同心リングの、それぞれの隣接する最初のピラー及び最後のピラーの、最初のピラー及び最後のピラーと、半径方向で位置合わせされることにより、それらは、同心ゾーン内で、内径から外径まで「半径方向に延在する」ことができる。更には、それらのビーム偏向器は、同じピラー配置を有して、同心ゾーン内で半径方向に配置することができ、それにより、ビーム偏向器構造が半径方向で変化している場合は、同心ゾーンも変化している。説明として、いくつかの実施形態では、ビーム偏向器は、ビーム偏向器メタ表面の内径から外径まで、半径方向に延在して位置合わせされているため、ビーム偏向器構造が同じである場合、それらは同じ同心ゾーン内にあり、ビーム偏向器構造が異なる構造に変化している場合、それは異なる同心ゾーンである。
【0030】
いくつかの実施形態では、半径方向ゾーンは、同一の第1のビーム偏向器の第1のセットを、第1の同心ゾーン内で使用することができ、同一の第2のビーム偏向器の第2のセットを、互いに使用することができるが、第1のセットの第1のビーム偏向器と、第2のセットの第2のビーム偏向器とは、互いに異なり得る。更には、第2の同心ゾーンは、第1の同心ゾーンの周りで同心とすることができ、第1のビーム偏向器のセットと第2のビーム偏向器のセットとは、異なる物理的特性を有する。更には、第1の同心ゾーン及び第2の同心ゾーンは、互いに隣接し得る。他の実施例では、第1の同心ゾーン及び第2の同心ゾーンは、互いに当接し得る。本明細書では、第1の同心ゾーン及び第2の同心ゾーンを説明することができるが、任意の数の同心ゾーンを使用することもできる。
【0031】
ビーム偏向器は、回折格子と同様に機能し、互いに交差結合して光を方向付ける、ピラーを含み得る。これらのピラーは、同じ幅又は異なる幅とすることができ、同じ高さ又は異なる高さとすることができ、同じであるか又は変化する、ピラー間のピッチを有し得るものであり、円形、正方形、矩形、又は任意の他の適切な形状とすることができる。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器メタ表面は、複数の同心ゾーンを含み得る。各同心ゾーンは、1つ以上の同心リングを含み得るものであり、同心リングは、ビーム偏向器の繰り返し格子を含む。すなわち、各同心リング内に、第1のビーム偏向器構造を半径方向に配置することができる。同心ゾーン内には、10個、15個、20個の同心リング、それよりも少ないか又はそれよりも多くの同心リングが存在する場合があり、それらの同心リングは、第1のタイプのビーム偏向器構造を含み得る。異なる同心ゾーンは、異なるビーム偏向器構造を含み得るものであり、他の同心ゾーンとは異なる数又は同じ数の、同心リングを含み得る。更には、それらの同心ゾーンは、同じ幅又は異なる幅とすることができる。
【0032】
更には、ビーム偏向器メタ表面は、角度ゾーン(例えば、四分円、八分円など)に分割することができ、それらの角度ゾーンのうちの1つ以上は、他の角度ゾーンとは異なるビーム偏向器のセットを有し得る。換言すれば、円形のビーム偏向器メタ表面の、1つの四分円は、他の四分円とは異なる位相関数を有し得る。そのような角度ゾーンを有するビーム偏向器メタ表面は、非定型的な入力放射照度パターンへの対処、複雑な遠視野パターンの達成、均一な遠視野パターンの達成、これらの任意の組み合わせなどの際に、有用であり得る。
【0033】
ビーム偏向器メタ表面は、非垂直入射角にわたって、目標に向けて高効率で光を方向付けるように構成することが可能な、大面積で高開口数のメタ表面光学素子とすることができる。一実施例では、ビーム偏向器を設計するために使用することが可能な目標位相関数は、目標検出角度の範囲にマッピングすることが可能な距離にわたる、ゼロ~2πの位相シフトを有し得る。ビーム偏向器メタ表面は、同じ距離にわたるゼロ~2πの位相シフトを達成することが可能であり得る。
【0034】
これらの実施形態及び他の実施形態が、
図1A~
図5Bを参照して以下で論じられる。しかしながら、当業者であれば、これらの図に関して本明細書で与えられている「発明を実施するための形態」は、説明を目的とするものに過ぎず、限定するものとして解釈されるべきではない点が、容易に理解されるであろう。
【0035】
図1Aは、ビーム偏向器メタ表面110の例示的な断面を示す。光学システム100は、ビーム偏向器メタ表面110によって光105を受け取り、その受け取った光を目標領域103に方向付けることができる。ビーム偏向器メタ表面110は、単位セルを含み得るものであり、この単位セルを、本明細書では「ビーム偏向器」と称することができる(
図1Aには、個々のビーム偏向器は具体的に示されていない)。用語「ビーム偏向器メタ表面」は、同心ゾーン内に配置されている複数のビーム偏向器、並びに、それらのビーム偏向器が上に配置されている基材を包含する点が理解されるであろう。ビーム偏向器は、半径方向の配置の繰り返しパターンで配置することができる。同心ゾーンは、
図1Aでは断面として示されている。ビーム偏向器及びビーム偏向器メタ表面の、特性及び特徴が、
図1A~
図5Bを参照して本明細書で説明される。
【0036】
図1Aの光学システムでは、ビーム偏向器メタ表面110は、目標領域103に光を方向付けることができる。図示のように、目標領域103は、その光の、最も狭い領域又は焦点面ではなくてもよい。換言すれば、目標領域103は、ビーム偏向器メタ表面110を通過した後の光の最も狭い交点である、焦点面104におけるビーム直径よりも、大きいビーム直径を有し得る。
図1Aの実施例では、ビーム偏向器メタ表面110は、従来の光学要素を使用するよりも、ビーム偏向器メタ表面110の遠端部又は内側同心ゾーン115a及び外側同心ゾーン115bにおいて、改善された効率を有し得る、非集束型光学素子として機能する。ビーム偏向器メタ表面110の外側同心ゾーン115bを通過する光によって示されているように、光を方向付けることが可能な角度は、ビーム内側同心ゾーン115aを通過する光よりも、高角度とすることができる。このビーム偏向器メタ表面110の同心ゾーン配置により、同心ゾーン115のそれぞれにおいて、異なる方式で光を方向付けることができる。
【0037】
更には、ビーム偏向器メタ表面110を使用することにより、大開口数及び長レンズ直径(例えば、約1mm超の直径)を有するレンズを使用する用途で、より高い効率を達成することができる。更には、ビーム偏向器メタ表面110は、非垂直入射角を採用する用途に関して、従来の光学素子及び従来型メタレンズに勝る、改善された性能を達成することができる。
【0038】
図1Bは、ビーム偏向器メタ表面110の例示的な上面図を示す。ビーム偏向器メタ表面は、同心ゾーン115を含む。内側同心ゾーン115aと外側同心ゾーン115bとは、所定の位相関数又は所望の位相関数に従って、異なる角度で光を方向付けることができる。いくつかの実施形態では、位相関数は、大レンズ直径の場合に、より頻繁に繰り返すことができ、また、周期的なものとすることもできる。角度の直径が増大するにつれて、位相関数は、ますます周期的なものに近くなり得る。ビーム偏向器メタ表面110は、位相関数の周期性に整合する格子構造を有し得るため、より高効率のレンズとなる。ビーム偏向器メタ表面110は、半径方向及び角度方向の双方で対称性を呈する。換言すれば、半径方向の関数は、円形状の格子上で抽出される角度位置に関わりなく、同じである。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器メタ表面の円形状の格子は、半径方向及び角度方向で対称とすることができる。
【0039】
図示のように、ビーム偏向器メタ表面110は、それぞれが異なる角度で光を方向付けることが可能であり得る、複数の同心ゾーン115を含む。同心ゾーンのそれぞれは、互いに隣接している場合もあり、いくつかの実施形態では、互いに当接している場合もある。同心ゾーン115cなどの、中間の同心ゾーンは、同じ幅として示されているが、それらは、所定の位相関数に応じて、同じ幅又は様々な幅とすることができる。一実施例では、外側同心ゾーン115bは、内側同心ゾーン115aよりも大きい角度で光を方向付けることができる。円形状の格子が示されているが、所定の位相関数又は所望の位相関数に応じて、正方形、六角形、八角形などの、任意の形状の格子を使用することもできる。一実施例では、六角形の格子が採用される場合には、六角形のゾーンのそれぞれに、同様のビーム偏向器を位置決めすることができる。格子内で繰り返されるビーム偏向器構造の対称性を高めることにより、大面積の(例えば、約500マイクロメートル超の)メタ表面のモデル化が可能となり得る。
【0040】
同心ゾーン115のそれぞれは、ビーム偏向器の、半径方向で同心の複数の層(
図1Bには示さず)を含み得る。同心リング内の各ビーム偏向器は、互いに同一のものとすることができ、並びに、同心ゾーン115を一体となって形成する各同心リング内の、ビーム偏向器とも同一とすることができる。同心ゾーンと同様に、同心リングは、半径方向パターンで拡張しているため、それらの同心リングは、互いに隣接している場合があり、また互いに当接している場合もある。
図1Bに示されるように、ビーム偏向器メタ表面110は、任意の所望の角度で光を方向付けるように構成することが可能な、同心ゾーン115を有し得る。更には、同心ゾーン115は、同心ゾーンを通過する光が、目標領域の所定の位相関数に整合するように出力されることが可能となるように、設計することができる。ビーム偏向器メタ表面110の同心ゾーン115のそれぞれは、異なるビーム偏向器120を有し得る。すなわち、第1の同心ゾーン115内のビーム偏向器は、第2の同心ゾーン115内のビーム偏向器とは異なる数のピラーを有し得る。別の実施形態では、第1の同心ゾーン115内のビーム偏向器は、同じ数のピラーを有し得るが、それらのピラーのサイズ差は、第2の同心ゾーン115内のピラーのサイズ差とは異なり得る。
図1Bの実施形態は円形であるが、楕円又はレーストラック型の形状、非対称の形状、又は、
図1Cなどを参照して説明されるようなビーム偏向器の構成などの、任意の他の形状を使用することもできる。
【0041】
図1Bに示されるように、同心ゾーン115bは、繰り返しパターンで配置されている、第1のビーム偏向器のセットを含み得る。同心ゾーン115cは、同心ゾーン115bに隣接し得るものであり、繰り返しパターンで配置されている第2のビーム偏向器のセットを含み得る。いくつかの実施形態では、第1のビーム偏向器のセットの繰り返しパターンは、第2のビーム偏向器のセットの繰り返しパターンと同じものとすることができるが、他の実施形態では、第1のビーム偏向器のセット及び第2のビーム偏向器のセットにおけるパターンは、互いに同じではない場合もある。
【0042】
図1Cは、非対称のビーム偏向器メタ表面110の例示的な上面図を示す。
図1Cのビーム偏向器メタ表面110を、
図1Bと比較した場合、左上の四分円160aは、他の四分円160b、160c、160dとは異なる位相関数を達成することができる。すなわち、左上の四分円160aは、ビーム偏向器内のピラーの位置決め及びサイズに起因して、他の四分円160b、160c、160dとは異なる角度で光を方向付けることができる。
【0043】
この実施例では、左上の四分円160aは、他の四分円160b、160c、160dのビーム偏向器とは異なるビーム偏向器構造を有し得る。このビーム偏向器メタ表面110のモジュール性は、焦点のホットスポット並びにビーム検出器のオーバシュート及びアンダーシュートに対処するように具体的に設計することができるため、有利である。焦点のホットスポットを低減するように設計する際に、ビーム偏向器メタ表面110は、光を特定の領域内に発散させること、光を特定の領域に方向付けて別の領域から逸らすことなどが可能である。他の実施形態では、四分円のそれぞれが互いに異なる場合もあり、四分円のうちの2つが互いに異なり、かつ他の四分円の全てと異なる場合などもある。
【0044】
図2は、ビーム偏向器メタ表面の部分的な同心ゾーン215の一実施例を示す。部分的な同心ゾーン215は、複数の繰り返しビーム偏向器205を含む。図示のように、ビーム偏向器は、4つのピラー225を有するが、所望の位相関数に関して適切であるような、任意の数のピラーを含み得る。更には、ピラー225は、同様のピッチで離間させることができるが、他の実施形態では、ピッチが変化する場合もある。ピラー225は、共振器として機能し得るものであり、ピラー225間の交差結合により、ビーム偏向器メタ表面を通過する光の方向を制御することができる。
【0045】
部分的な同心ゾーン215は、半径方向に配置されている、ビーム偏向器220の2つの同心リング230a、230bを含む。すなわち、完全な形の同心ゾーン(
図2には完全な形の同心ゾーンは示されていない)は、リングを形成する複数の同心リング230を含むことにより、完全な形のビーム偏向器メタ表面の格子は、rθタイプの格子となり得る。ビーム偏向器220は、それぞれが、より小さいピラーの近くの第1の端部と、より大きいピラーの近くの第2の端部とを有し得る。図示のように、ビーム偏向器は、一方のビーム偏向器の第1の端部が、もう一方のビーム偏向器の第2の端部に、近接、当接、又は隣接する状態で、端部と端部とを接して配置することができる。同心ゾーン215の各同心リング230内のビーム偏向器は、同じピラー配置を含み得る。更には、各同心ゾーン215は、位相関数に応じて、各同心ゾーン215内に、異なるピラー配置を有するビーム偏向器を含み得る。
【0046】
図2には、部分的な同心ゾーン215の、2つの同心リングのみが示されているが、同心ゾーン215内には、ビーム偏向器220の更に多くの層が存在し得る。ビーム偏向器220の配置は、格子構造に類似し得る。この格子構造は、ビーム偏向器メタ表面が、半径方向パターンの繰り返し構造を含む(例えば、各リング又は同心ゾーンが、同じ繰り返しビーム偏向器を含み得る)点で、また、角度方向でも、第1の四分円(例えば、一切れのパイの形状に類似したもの)が、ビーム偏向器メタ表面の第2の四分円と同じ繰り返し構造を含み得るという点で、rθ格子とすることができる。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器メタ表面のrθ格子(例えば、円形状の格子)は、半径方向及び角度方向で対称とすることができる。rθ格子を使用することにより、位相関数と、正方形又は六角形などの他の格子形状との、全般的な不整合を解消することができる。とは言え、格子構造は、所定の位相関数に大きく依存するものであり、正方形、六角形、八角形などの、任意の適切な格子とすることもできる。一実施例では、位相関数は、大レンズ直径の場合に、周期的に繰り返すことができ、それにより、同心ゾーン215のそれぞれが、特定の角度で光を方向付けることができる。換言すれば、ビーム偏向器の同心ゾーンのそれぞれの、繰り返しの格子構造を使用して、繰り返しの位相関数を生成することができるという点で、格子と位相関数とが「整合」し得る。
【0047】
各ビーム偏向器220のピラー225は、円形として示されているが、異なる形状とすることもできる。形状、ピッチ、幅、高さ、これらの任意の組み合わせなどが、ピラー間の交差結合に影響を及ぼし得ることにより、通過する光が方向付けられ得る角度に、影響を及ぼす。
【0048】
更には、ビーム偏向器220は、ビーム偏向器がピラー225の1×4のセルを含むものであるため、それぞれが矩形であり得る。ビーム偏向器は、rθ格子に配置された場合に周期性を維持する、他の形状とすることもできる。図示のように、ビーム偏向器の矩形の形状は、より大きい同心リング内にビーム偏向器が配置される際に、「散開化」をもたらし得る。換言すれば、ビーム偏向器が半径方向で外側に位置決めされるほど、ビーム偏向器間の空間(例えば、ピッチ誤差)が導入される可能性がある。一実施例では、この設計は、ピッチ誤差が臨界点に達するまで、このピッチ誤差を低減する周期的な配置を維持することができ、次いで、そのピッチをリセットすることができる。
【0049】
図3は、ピラー325を有するビーム偏向器320の側面図の一例を示す。ビーム偏向器320は、
図1Aを参照して説明されたように、ビーム偏向器メタ表面の同心ゾーン内に繰り返して配置されている、単位セルとすることができる。
図3の実施形態で示されているように、ピラー325は、異なる幅で同じ高さのものとすることができる。ピラーは、「同じ高さ」として説明される場合があり、ビーム偏向器は、本明細書では「同一」又は「同じ」として説明される場合もあるが、これらの要素は、要素を製造する加工処理操作を通じて達成することが可能な程度で、同様であり得る点が理解されるであろう。すなわち、同一又は同様の要素を製造するように意図することができるが、何らかの変化を要素に導入する、プロセス変動が存在し得る。
図3には4つのピラーが示されているが、このことは、ビーム偏向器内では任意の適切な数のピラーを使用することが可能であるため、考察を目的とするものに過ぎない。
【0050】
ビーム偏向器320は、基材326上に配置された1つ以上のピラー325を含む、単位セルである。ピラー325は、単位セル内に配置されており(例えば、ピラーの1xnのグループ)、この単位セルを、本明細書では「ビーム偏向器」と称することができる。用語「ビーム偏向器メタ表面」は、同心ゾーン内に配置されている複数のビーム偏向器、並びに、それらのビーム偏向器が上に配置されている基材を包含する点が理解されるであろう。ビーム偏向器320のピラー325のこの「チェーン」は、所定の位相関数又は所望の位相関数を達成するための、特定の出力角度を目標とするように配置することができる。
【0051】
単位セルが繰り返される、ビーム偏向器構造を採用することによって、エッチング負荷は、ビーム偏向器メタ表面のパターン及びゾーニングが繰り返されることに起因して、より容易にモデル化及び/又は予測することができる。他の実施形態では、ピラー及びビーム偏向器は、自己組織化メタ表面又はナノインプリントを可能にすることによって、加工処理することもできる。更には、ビーム偏向器メタ表面構造は、電気光学的に高感度になることなどの、動的挙動を可能にし得る、バックフィル材料(例えば、液晶モノマー)を可能にし得る。
【0052】
更には、ピラーの設計及びピラーの配置、並びにビーム偏向器構造の位置及び設計は、他の形状又は非対称のビーム偏向器メタ表面のゾーニングなどの、所定の位相関数を達成することを除く何らかの他の要因に基づき得る。更には、ピラーの高さを調整することによって、ビーム偏向器は、波長に対する感度が高くなり、それに応じて設計することができる。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器のセットは、ピラーのセットを含み得るものであり、それらのピラーの高さが、ビーム偏向器のセットの波長感度を決定し得る。
【0053】
ビーム偏向器320は、光を方向付けて所定の位相関数を達成するように、半径方向パターンで繰り返して配置することができる。ビーム偏向器320はまた、典型的なレンズ機能に関しても使用することができるが、従来型メタレンズによって生成される位相関数よりも、均一な出力を達成することができる。換言すれば、ビーム偏向器320は、従来型メタレンズ及び古典的光学素子を使用する場合に一般に生成される、ホットスポットを低減する方式で、光を方向付けることができる。半径方向に配置されているビーム偏向器320の使用により、ビーム偏向器メタ表面の、遠方の内側同心ゾーン及び外側同心ゾーンは、既知の光学素子で生成されるものと比較して、高角度のビームステアリングを達成するように設計することができる。
【0054】
更には、ビーム偏向器320は、偏光に対して高感度とすることができる。ビーム偏向器メタ表面を通過する光は、直交方向ではなく、配置されているピラーの方向に沿って偏光し得るものであり、その光は、種々の方式で影響を受ける可能性がある。このため、ビーム偏向器は、種々の偏光の光を、通過及び遮断するように位置決めすることができる。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器のセットは、第1の偏光の光が第1の方向で通過することを可能にし、かつ第2の方向で通過する第2の偏光の光を減衰させることが可能な、ピラーのセットを含み得る。この実施形態では、第1の方向は、第2の方向に対して直交し得る。
【0055】
図4Aは、例示的なビーム偏向器メタ表面410の上面図を示す。
図4A及び
図4Bもまた示されており、これらの図は、それぞれ、
図4Aのビーム偏向器メタ表面の、外側同心ゾーン内の代表的なビーム偏向器の側面図と、
図4Bのビーム偏向器メタ表面の、内側同心ゾーン内の代表的なビーム偏向器の側面図とを示している。内側同心ゾーン415a及び外側同心ゾーン415bは、他の同心ゾーンよりも狭いものとすることができる。図示のように、内側同心ゾーン415a及び外側同心ゾーン415bが、より狭い場合であっても、ビーム偏向器メタ表面410は、半径方向及び角度方向の対称性を有し得る。同心ゾーン415の種々の幅は、所定の位相関数又は所望の位相関数を達成するように設計することができる。同心ゾーン415のそれぞれが、異なる角度で光を方向付ける場合もあり、又は、同心ゾーンのうちの2つが、同じ角度で光を方向付ける場合もあり、同心ゾーンから同心ゾーンへと、段階的な角度変化又は急激な角度変化が存在する場合などもある。
図4Aに示されている7つの同心ゾーン415は、2つの異なる幅を含む。内側同心ゾーン415a及び外側同心ゾーン415bは、互いに同じ幅とすることができ、他の5つの同心ゾーン415は、互いに同じ幅とすることができる。他の実施形態では、同心ゾーンのそれぞれが、互いに異なる幅の場合もあり、同心ゾーンのうちの3つが、同じ幅の場合もあり、かつ他の同心ゾーンが、異なる幅の場合などもある。更には、達成するべき所定の位相関数、及び目標領域のサイズに応じて、より少ない同心ゾーン、又はより多くの同心ゾーンが存在し得る。
図4Aの実施形態では、外側同心ゾーン415bは、内側同心ゾーン415aよりも急角度で光を方向付けることができる。所定の位相関数に応じて、同心ゾーン415は、
図4B及び
図4Cを参照して本明細書で説明されるように、適宜に光を方向付けることができる。
【0056】
図4Aの非結像用途は、光を受け取って、その光を、定義されている範囲の入射角に方向付けることができる。一実施例では、光は、約100マイクロメートルほどの面積を有する検出器に方向付けることができる。それゆえ、
図4Aの実施例では、外側同心ゾーン415bは、4つのピラーの短い格子チェーンによって、光を約45度に方向付けることができ、内側同心ゾーン415aは、8つのピラーのより長い格子チェーンによって、光を約20度に方向付けることができる。これらのピラーの交差結合により、ビーム偏向器メタ表面の性能及び効率は、入射角の全範囲にわたって改善し得る。他の実施形態では、検出器面は、約1.5mmとすることができる。
【0057】
ビーム偏向器メタ表面の望ましい品質のうちの1つは、厚い従来型光学素子の不利益を伴わずに達成することが可能な、光学性能である。ビーム偏向器メタ表面は、従来の光学要素と比較した場合、概して「平坦」であり、この「平坦光学素子」構造により、数多くの有益な使用が可能となり得る。1つのそのような使用は、ビーム偏向器メタ表面と、フィルタ(例えば、反射防止フィルタ、バンドパスフィルタ、角度フィルタなど)との統合であり得る。一実施形態では、ビーム偏向器メタ表面を含む光学積層体は、所定の位相関数のみを目標とすることに加えて、目標とする回折次数を有する、向上した性能を可能にし得る。ビーム偏向器メタ表面の、別の「平坦光学素子」の有益性は、ビーム偏向器メタ表面の全体にわたって、その構造が均一な高さであるため、影が生じることが回避される点である。更には、ビーム偏向器メタ表面の別の有利な使用は、ビーム偏向器メタ表面を他の能動デバイス(例えば、垂直共振器面発光レーザなどの光源、検出器など)上にパターニングする能力、及び、ビーム偏向器メタ表面上に能動デバイス(例えば、フェイルセーフトレース)をパターニングする能力であり得る。ビーム偏向器は、半径方向及び/又は同心の繰り返しパターンではなくてもよい、任意のタイプの繰り返しパターンで配置することができる点を理解されたい。
【0058】
図4Bは、
図4Aの外側同心ゾーン415bのビーム偏向器410aを示し、
図4Cは、
図4Aの内側同心ゾーン415aのビーム偏向器410bを示す。ビーム偏向器410aは、基材462a上に配置されている4つのピラー425を有し、各ピラー425は、互いに異なるサイズである。ビーム偏向器410aは、
図2に示されるような、繰り返される半径方向パターンで位置決めすることができる。10個、20個、数百個、10個よりも多くの、又は10個未満などのビーム偏向器を、内側同心ゾーン415a内に、繰り返される半径方向パターンで位置決めすることができる。
図4Bの実施例では、ビーム偏向器410aは、約45度の角度414aで光を偏向させる、4ピラー格子として機能し得る。
図4Cでは、ビーム偏向器410bは、約20度の角度414bで光を方向付ける8ピラー格子として機能する、基材462b上に配置された8つのピラー425を有する。
【0059】
前述のように、ピラー又は共振器間の交差結合により、広範囲の角度にわたって効率を改善することができる。これらのビーム偏向器を、繰り返される半径方向パターンで配置することによって、ビーム偏向器メタ表面は、高開口数、大直径(例えば、約1mm)のレンズとして機能し得る。更には、ビーム偏向器メタ表面は、焦点を劣化させるために有用であり、このことにより、ホットスポットを排除し、検出器などの目標領域にわたって、受け取った光を発散させることができる。更には、説明されているビーム偏向器メタ表面は、より急角度で光を方向付ける能力により、また半径方向の設計により、縁部における改善された効率を有し得る。本明細書で説明されているように、ビーム偏向器は、繰り返される半径方向パターンで配置することができるが、ビーム偏向器は、半径方向及び/又は同心でなくてもよい、任意のタイプの繰り返しパターンで配置することができる点を理解されたい。
【0060】
他の実施形態では、ピラー425は、全て異なるサイズの場合もあり、1つのピラーが、他のピラーとは異なるサイズの場合もあり、2つのピラーが、同じサイズの場合もあり、かつ他の2つのピラーが、異なるサイズの場合などもあるが、これは、ピラーの数に依存し得る。同様に、ピッチは、ピラーと同じように、同じ場合もあれば、又は変化する場合もある。すなわち、ピラーの数に応じて、全てのピラー間のピッチが、同じ場合もあり、ピッチのうちの1つが異なる場合もあり、ピラー間のピッチのうちの2つが異なる場合などがある。
【0061】
図4Dは、光を方向付けている
図4Aのビーム偏向器メタ表面の断面を示す。
図1Aと同様に、ビーム偏向器メタ表面は、直接光423の焦点面404よりも小さい幅を有する目標領域403に、光423を方向付けることができる。前述のように、
図4A~
図4Dのビーム偏向器メタ表面410は、焦点劣化又は非結像用途のために設計することができる。また
図4Dにも示されているように、外側同心ゾーン415bは、内側同心ゾーン415aよりも鋭い角度で光を方向付ける。ビーム偏向器メタ表面410を通過する光423は、別個のビームとして示されているが、これは、例示及び考察を目的とするものに過ぎず、光は、ビーム偏向器メタ表面の表面全体を通過し得るものであり、ビーム偏向器メタ表面の表面全体によって光を方向付けることができる点が理解されるであろう。
【0062】
図5Aは、光が、ゾーン515を有するビーム偏向器メタ表面の断面を通過して、その断面によって方向付けられている、光学システム500の側面図を示す。光学システム500は、ビーム偏向器メタ表面510に向けて光を放出する、光源540を含み得る。ビーム偏向器メタ表面510は、複数のゾーン515を含む。ビーム偏向器メタ表面510は、光が、開口を画定している領域543によって部分的に遮断されるのではなく、開口542を通過することができるように、光を方向付ける。ゾーンのそれぞれは、
図5Bを参照して説明されるように、光が開口を通過することができるように適切な角度で光を方向付けるための、ビーム偏向器の繰り返し構造で設計することができる。いくつかの実施形態では、これらのゾーンは、本明細書で説明されるような同心ゾーンとすることができる。
【0063】
図5Bは、
図5Aのビーム偏向器メタ表面510のゾーン515の、部分的な断面501を示す。
図5Bに示されるように、ゾーンのそれぞれは、3つのビーム偏向器ゾーンを含み得る。すなわち、第1のビーム偏向器ゾーンは、第1の繰り返しビーム偏向器構造を含み得るものであり、第2のビーム偏向器ゾーンは、第2の繰り返しビーム偏向器構造を含み得るものであり、第3のビーム偏向器ゾーンは、第3の繰り返しビーム偏向器構造を含み得る。3つのビーム偏向器ゾーンは全て、ビーム偏向器メタ表面510の1つのゾーン内に含めることができる。ビーム偏向器ゾーンのそれぞれは、半径方向に繰り返して配置されているビーム偏向器の、複数のリングを含み得るものであり、それらのビーム偏向器は、ビーム偏向器ゾーン内で同じものとすることができる。いくつかの実施形態では、ビーム偏向器のリングは、本明細書で説明されるような同心リングとすることができる。
【0064】
図5Bでは、第1のビーム偏向器ゾーン550aは、同じ第1のビーム偏向器構造の、複数のリングを含み得る。換言すれば、第1のビーム偏向器ゾーン550aは、様々なサイズの8つのピラーを有する、第1のビーム偏向器構造を含み得る。8つのピラーを有する第1のビーム偏向器構造は、ビーム偏向器ゾーン550a内で、半径方向に繰り返して配置することができる。第2のビーム偏向器ゾーン550bは、同じ第2のビーム偏向器構造の、複数のリングを含み得る。第2のビーム偏向器ゾーン550bは、第2のビーム偏向器ゾーン550b内で半径方向に繰り返して配置することが可能な、様々なサイズの6つのピラーを有する第2のビーム偏向器構造を含み得る。第3のビーム偏向器ゾーン550cは、第3のビーム偏向器ゾーン550c内で半径方向に繰り返して配置することが可能な、様々なサイズの4つのピラーを有する第3のビーム偏向器構造を含み得る。第1のビーム偏向器ゾーン550a、第2のビーム偏向器ゾーン550b、及び第3のビーム偏向器ゾーン550cは、3つの異なる角度で光523を方向付けるように構成することができ、第3のビーム偏向器ゾーン550cは、第1のビーム偏向器ゾーン550aよりも急角度で、光523を方向付けることができる。このビーム偏向器ゾーンの設計により、方向付けられた光がビーム偏向器ゾーン550を通過し得る場合の、焦点幅のサイズを制御することができる。この設計により、ホットスポットを回避して、遠視野の均一性を改善することができる。このビーム偏向器の幾何学配置により、方向付けられる光路を、迷光が低減されるように改善することができ、遠視野のビーム成形の柔軟性を改善することができる。
【0065】
図5Bの実施形態では、ゾーンによって受け取られる光が、30~35度の範囲である場合に、第1のビーム偏向器ゾーン550aは、約18度の角度で光を方向付けることができ、第2のビーム偏向器ゾーン550bは、約27度の角度で光を方向付けることができ、第3のビーム偏向器ゾーン550cは、約36度の角度で光を方向付けることができる。ビーム偏向器構造の設計、及びゾーン内でのビーム偏向器構造の構成に応じて、
図5Bに示されている実施例よりも急ではない角度又は急な角度で、光を方向付けることができる。
【0066】
更には、プロセスのステップ、又は方法のステップは、連続的な順序で説明することができるが、そのようなプロセス及び方法は、任意の好適な順序で機能するように構成することができる。換言すれば、本開示で説明することが可能なステップの、いずれの連続又は順序も、その順序でステップが実行されるという要件を、それ自体で示すものではない。更には、いくつかのステップは、(例えば、或る1つのステップが、他のステップの後に説明されていることにより)同時には実施されないものとして説明又は示唆されているにもかかわらず、同時に実行される場合もある。更には、或るプロセスの、図面におけるその説明による例示は、例示されているプロセスが、そのプロセスに対する他の変形及び修正を排除することを示唆するものではなく、例示されているプロセス、又はそのステップのうちのいずれかが、1つ以上の実施例に必要であることを示唆するものでもなく、例示されているプロセスが、好ましいものであることを示唆するものでもない。
【0067】
本開示による方法及び装置の、代表的な適用例が、本セクションで説明されている。これらの実施例は、コンテキストを追加して、説明される実施例の理解を助けるためにのみ提供されている。それゆえ、説明される実施例は、特定の詳細のうちの一部又は全てを伴わずに実践することができる点が、当業者には明らかとなるであろう。他の適用例が可能であり、それゆえ上記の実施例は、限定的なものとして解釈されるべきではない。
【0068】
添付図面を参照して、本開示の実施例が十分に説明されてきたが、様々な変更及び修正が、当業者には明らかとなるであろう点に留意されたい。そのような変更及び修正は、添付の特許請求の範囲によって定義されるような、本開示の実施例の範囲内に含まれるものとして理解されたい。
【外国語明細書】