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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037600
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】リチウム電極
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/134 20100101AFI20230308BHJP
   H01M 4/40 20060101ALI20230308BHJP
   H01M 4/70 20060101ALI20230308BHJP
   H01M 10/0565 20100101ALI20230308BHJP
   H01M 10/0566 20100101ALI20230308BHJP
   H01M 50/489 20210101ALI20230308BHJP
   H01M 10/052 20100101ALI20230308BHJP
   H01M 50/46 20210101ALI20230308BHJP
【FI】
H01M4/134
H01M4/40
H01M4/70 Z
H01M10/0565
H01M10/0566
H01M50/489
H01M10/052
H01M50/46
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022136850
(22)【出願日】2022-08-30
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2022-11-17
(31)【優先権主張番号】110132793
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】512306818
【氏名又は名称】輝能科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】PROLOGIUM TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.6-1, Ziqiang 7th Rd., Zhongli Dist., Taoyuan City, Taiwan
(71)【出願人】
【識別番号】512316932
【氏名又は名称】プロロジウム ホールディング インク
(74)【代理人】
【識別番号】100082418
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 朔生
(74)【代理人】
【識別番号】100167601
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 信之
(74)【代理人】
【識別番号】100201329
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 真二郎
(74)【代理人】
【識別番号】100220917
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 忠大
(72)【発明者】
【氏名】楊思▲ダン▼
【テーマコード(参考)】
5H017
5H021
5H029
5H050
【Fターム(参考)】
5H017AA03
5H017AS02
5H017CC03
5H017DD01
5H017HH03
5H021BB11
5H021CC08
5H021HH03
5H029AJ03
5H029AJ12
5H029AL12
5H029AM02
5H029AM07
5H029AM16
5H029BJ12
5H029BJ13
5H029CJ05
5H029DJ04
5H029DJ07
5H029DJ08
5H029DJ14
5H029HJ06
5H050AA08
5H050AA15
5H050BA16
5H050CB12
5H050DA03
5H050DA04
5H050DA09
5H050DA13
5H050DA19
5H050FA04
5H050FA10
5H050FA13
5H050FA15
5H050FA18
5H050GA07
5H050HA06
(57)【要約】
【課題】本発明はリチウム電極を開示する。
【解決手段】導電性構造層は片側開口を有する凹部を有し、リチウム金属層は凹部の底部に配置する。固体電解質層及び電解質貯蔵層が続いてその上に配置する。リチウム金属のプレーティングが起こると、プレーティングが起こったリチウム金属は固体電解質層により制限し、電解質貯蔵層を押し出し、圧縮する。従って、リチウムデンドライトの成長は効率的に制約する。リチウムデンドライトの貫通問題は起きず、リチウム金属電池の安全性を大いに改善する。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの片側開口を有する凹部と、少なくとも1つの導電性領域及び少なくとも1つの電気絶縁領域を有する前記凹部の内表面とを有する導電性構造層と、
前記導電性構造層の前記凹部に配置し、前記導電性領域に接触するリチウム金属層と、
前記導電性構造層の前記凹部に移動可能に配置し、前記リチウム金属層を被覆して接触する固体電解質層と、
前記導電性構造層の前記凹部に配置し、前記固体電解質層を覆う電解質貯蔵層であって、液体又はゲル電解質を含有することを特徴とする電解質貯蔵層と、
前記導電性構造層上に配置し、複数の孔を有し、リチウムイオン及び前記電解質を通過させる多孔性被覆層と、
からなるリチウム電極。
【請求項2】
接着層を前記導電性構造層及び前記多孔性被覆層間に配置し、前記多孔性被覆層を前記導電性構造層に付着させることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項3】
前記導電性構造層は、導電性素子と、孔を有し、前記導電性素子上に配置して前記凹部を形成する電気絶縁素子であって、前記凹部の側壁が前記電気絶縁領域として画成し、前記凹部の底部が前記導電性領域として画成することを特徴とする電気絶縁素子と、からなることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項4】
前記導電性素子は前記リチウム電極の集電装置として機能することを特徴とする、請求項3に記載のリチウム電極。
【請求項5】
前記導電性構造層は、少なくとも1つの止まり穴を有し、前記凹部を形成する導電性素子と、前記止まり穴の側壁に配置し、前記電気絶縁領域として画成する電気絶縁素子と、からなることを特徴とし、前記止まり穴の底部は覆われず、前記導電性領域として画成することを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項6】
前記導電性素子は前記リチウム電極の集電装置として機能することを特徴とする、請求項5に記載のリチウム電極。
【請求項7】
接着層は前記導電性構造層及び前記多孔性被覆層間に配置し、前記多孔性被覆層を前記導電性構造層に付着させ、前記接着層及び前記電気絶縁素子は電気絶縁接着剤フレームに組み込むことを特徴とする、請求項5に記載のリチウム電極。
【請求項8】
前記固体電解質層及び前記電解質貯蔵層の両端は前記電気絶縁領域と接触することを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項9】
前記多孔性被覆層の前記孔の径は、1マイクロメートル以下であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項10】
前記凹部の前記開口の径は50マイクロメートル以上であることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【請求項11】
前記凹部の深さは15から40マイクロメートルであることを特徴とする、請求項1に記載のリチウム電極。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2021年9月3日に台湾智慧財産局に出願された台湾特許出願第110132793号に対する優先権を主張しており、その全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は電極に関し、特にリチウムイオン二次電池に適するリチウム電極に関する。
【背景技術】
【0003】
現在の非リチウム電池システムと比較して、リチウム電池システムは高動作電圧(最大3.6V)、高エネルギ密度(最大120Wh/kg)、軽量、長サイクル寿命、環境に優しいなどの利点を有する。リチウム電池システムの研究の歴史によれば、最初に開発されたリチウム電池は充電式リチウム金属電池であり、非常に高いエネルギ密度を有する。一方で電解質との化学反応力が高いため、安定性及び安全性の問題が深刻である。リチウム金属電池システムの安全性の問題を考慮すると、充電式リチウム電池の開発は、次第に有機溶媒をポリマー電解質に置換することに重点を置いている。
【0004】
電池システムの性能に関して、安全性の要件以外に、電池システムの容量が確実に装置の運転時間を維持するのに十分であることが必須である。結果として、電池システムの容量がやはり開発上の重要な問題となる。従来、リチウム金属電池システムは、その安全性の問題により開発を見合わせていた。リチウムイオン及びリチウムポリマーシステムと比較して、リチウム金属システムのエネルギ密度は他のシステムよりはるかに高い。しかしながら、リチウム金属は高い化学的活性を有するため、リチウム金属が適切な条件下で保管又は作動しなければ、極端な酸化還元反応が起こる。実質的に、リチウム金属の安全性、加工及び保管の問題を克服できる場合に限り、リチウム金属電池システムは現在の高性能の電気装置に非常に適当である。
【0005】
従って、リチウム金属電池システムに常に存在する技術的な障害を克服する方法は、電池システム製造業者の焦点になっている。例えば、充電プロセス中、リチウム金属が電極表面に均一に析出せず、一部で急速に析出し、リチウムデンドライトと呼ばれる樹枝状結晶が形成される。リチウムデンドライトが徐々に成長すると、これらが折れてデッドリチウムを形成する場合があり、不可逆的な容量損失が生じる。より深刻な場合、リチウムデンドライトがセパレータを貫通する場合があり、内部短絡及び電池の爆発を引き起こす。更に、リチウムは極めて反応性の高い材料であるため、電解質と反応することがあり、活性化リチウムを消費し、潜在的な安全性の問題を引き起こす。
【0006】
従って、リチウム電極は上記問題を克服するために提供する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的はリチウム電極を提供することである。リチウムデンドライトについては、導電性構造層及び固体電解質層の配置により、特定領域でプレーティングが起こる。
【0008】
本発明の目的は、リチウム電極を提供することである。固体電解質層、及び固体電解質層の上に配置する電解質貯蔵層は、その構造強度のため、充電中のプレーティングによるリチウムデンドライトの高さを効率的に抑制する。リチウムデンドライトでは主に水平にプレーティングが起こり、電気絶縁体、つまりセパレータを貫通するのを防止し、内部短絡を回避する。同時に、垂直方向へのリチウムデンドライトのプレーティングを抑え、電池の厚みは極端に変化しない。
【0009】
本発明の別の目的は、リチウム電極を提供することである。多孔性被覆層、電解質貯蔵層及び固体電解質層の配置により、リチウムデンドライトは、プレーティング及びストリッピング中、固体電解質層を電解質貯蔵層に押し出すことのみ可能である。電解質貯蔵層は加圧又は解放されて、含浸させた液体又はゲル電解質を流出又は流入させる。電解質貯蔵層に含浸させた液体又はゲル電解質は、リチウム金属層である陰極活性材料に接触せず、液体又はゲル電解質の分解を回避し、不可逆的な容量損失を低減する。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記を実施するために、本発明は、導電性構造層、リチウム金属層、固体電解質層、電解質貯蔵層及び多孔性被覆層からなるリチウム電極を開示する。導電性構造層は片側開口を有する少なくとも1つの凹部を有し、凹部の内表面は少なくとも1つの導電性領域及び少なくとも1つの電気絶縁領域を有する。リチウム金属層は導電性構造層の凹部に配置し、導電性領域に接触する。固体電解質層及び電解質貯蔵層は続いてその上に配置する。多孔性被覆層は導電性構造層上に配置して、凹部の開口を覆う。この配置により、液体又はゲル電解質を含浸させた電解質貯蔵層は、固体電解質層の存在のためにリチウム金属層と接触しない。更に、リチウムデンドライトがリチウム金属層から成長すると、リチウムデンドライトは固体電解質層により直接抑制する。また、固体電解質層は上に配置する電解質貯蔵層により抑える。従って、リチウムデンドライトは、固体電解質層を電解質貯蔵層に押し出し、電解質貯蔵層を加圧することのみ可能である。リチウムデンドライトについては、特定領域でプレーティングが起こり、主に水平にプレーティングが起こる。リチウムデンドライトは電気絶縁体、つまりセパレータを貫通せず、内部短絡は回避する。
【0011】
本発明の利用可能性の更なる範囲は、以下の詳細な説明から明らかになる。しかし、本発明の趣旨及び範囲内の様々な変更及び修正は、この詳細な説明から当業者に明らかである。従って、詳細な説明及び具体的な実施例は、本発明の好ましい実施形態を示しているが、説明のためにのみ示される。
【0012】
本発明は説明のためにのみ以下に示す詳細な説明からより完全に理解される。従って本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明のリチウム電極の概略図である。
図2】本発明の図1によるリチウム電極の導電性構造層を示す概略図である。
図3A】本発明のリチウム電極における導電性構造層の第1の実施形態を示す概略図である。
図3B】本発明の図3Aに示す導電性構造層の第1の実施形態に基づくリチウム電極を示す概略図である。
図4A】本発明のリチウム電極における導電性構造層の第2の実施形態を示す概略図である。
図4B】本発明の図4Aに示す導電性構造層の第2の実施形態に基づくリチウム電極を示す概略図である。
図5】電気絶縁接着剤フレームを適合した本発明の図4Aのリチウム電極を示す概略図である。
図6A】電池システムに適合したときの本発明のリチウム電極を示す概略図である。
図6B】電池システムに適合したときの本発明のリチウム電極を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明はリチウム電極を開示する。本発明のリチウム電極を示す概略図である図1を参照する。本発明のリチウム電極10は、導電性構造11、リチウム金属層12、固体電解質層13、電解質貯蔵層14及び多孔性被覆層15からなる。導電性構造層11は片側開口を有する少なくとも1つの凹部111を有する。図2を参照する。本発明の図1によるリチウム電極の導電性構造層を示す概略図である。凹部111の開口幅は好ましくは0超又は50マイクロメートル以上である。使用可能な最大値は電池の活性範囲によって決まる。また、凹部111の深さは15から40マイクロメートルである。
【0015】
凹部111の内表面は少なくとも1つの導電性領域113及び少なくとも1つの電気絶縁領域112を有する。リチウム金属層12は導電性構造層11の凹部111に配置し、導電性領域113に接触する。リチウム金属層12の厚さは0.3から5マイクロメートルである。固体電解質層13は導電性構造層11の凹部111に移動可能に配置する。固体電解質層13の底部はリチウム金属層12を被覆して接触し、固体電解質層13の両端は電気絶縁領域112と接触する。電解質貯蔵層14は導電性構造層11の凹部111に配置する。電解質貯蔵層14の底部は固体電解質層13を被覆して接触し、電解質貯蔵層14の両端は電気絶縁領域112と接触する。多孔性被覆層15は導電性構造層11上に配置し、導電性構造層11の凹部111の開口を覆う。多孔性被覆層15は複数の孔を有し、リチウムイオンを通過させる。接着層16は導電性構造層11及び多孔性被覆層15間に配置し、多孔性被覆層15を導電性構造層11に付着させる。
【0016】
液体及び/又はゲル電解質を電解質貯蔵層14に含浸させる。固体電解質層13の材料は、酸化物系固体電解質、硫化物系固体電解質、リチウムアルミニウム合金固体電解質又はアジ化リチウム(LiN)固体電解質など、任意の固体電解質でよく、結晶質又はガラス状がよい。本発明において、リチウム金属層12及び電解質貯蔵層14は固体電解質層13により隔てる。従って、電解質貯蔵層14に含浸させた液体又はゲル電解質と、リチウム金属層12である活性材料との不必要な接触を低減又は回避する。リチウムイオンの不必要な消費も低減又は回避し、リチウム電池の性能減衰を防止する。従って、リチウム金属層12が固体電解質層13で完全に覆われるのが好ましい。固体電解質層13の側端は凹部111の側壁に接し、電解質貯蔵層14に含浸させた液体又はゲル電解質とリチウム金属層12との不必要な接触を低減又は回避する。
【0017】
リチウム金属層12は凹部111の底部に配置する。従って、凹部111の底部は導電性領域113である。リチウム電極10を電池として組み立てると、電気化学反応中に生じる電気が導電性領域113から出力する。導電性領域113は、電池の内部及び外部間の導電パスを有する必要がある。固体電解質層13及び電解質貯蔵層14は、凹部111の電気絶縁領域112と接触する。凹部111の側壁は電気絶縁領域112である。
【0018】
更に、導電性構造層11の凹部111の形状は限定しない。図2に示すように、凹部111の側壁は、限定しないが、垂直である。上記要件以外に、リチウムデンドライトの成長を抑制するため、固体電解質層13が可動性であることを考慮し、これによりリチウムデンドライトは固体電解質層13を押し出して電解質貯蔵層14を加圧することのみ可能である。本発明のより詳細な説明を以下に記載する。従って、固体電解質層13の配置のため、凹部111の側壁は、平滑で等距離であることが好ましい。
【0019】
導電性構造層11について、2つの実施形態を示し、図を参照して詳細に説明する。
【0020】
図3Aを参照する。本発明のリチウム電極における導電性構造層の第1の実施形態を示す概略図である。本実施形態において、導電性素子101は導電性構造層11の本体である。電気絶縁素子102は導電性素子101の上面に直接配置する。電気絶縁素子102は少なくとも1つの孔102hを有する。導電性素子101の一部は孔102hから露出する。従って、片側開口を有する凹部111を形成する。凹部111の底部111bを導電性素子101により形成し、導電性領域113として画成する。凹部111の側壁111wは電気絶縁素子102により形成し、電気絶縁領域112として画成する。第1の実施形態に基づく導電性構造層11で構成するリチウム電極10を図3Bに示す。凹部111の底部111bは導電性素子101により形成する。従って、電池の内部及び外部間の導電パスを形成でき、生じる電気を出力する。これは、導電性素子101がリチウム電極10の集電装置として機能することを意味する。導電性素子101の材料は、金属又はその他の導電性材料、例えば銅、ニッケル、鋼又はこれらの任意の組合せがよい。
【0021】
電気絶縁素子102の材料は絶縁ポリマー材料、絶縁セラミック材料、絶縁ガラス材料、絶縁ガラス繊維材料及びこれらの任意の組合せがよい。絶縁ポリマー材料としては、ポリイミド、ポリエチレンテレフタラート、ポリウレタン、ポリアクリレート、エポキシ、又はシリコーンが挙げられる。絶縁ガラス繊維材料は、FR4エポキシガラス繊維材料などのFR4類がよい。
【0022】
次に図4A及び4Bを参照する。それぞれ本発明のリチウム電極における導電性構造層の第2の実施形態を示す概略図、及び本発明の図4Aに示す導電性構造層の第2の実施形態に基づくリチウム電極の概略図である。この第2の実施形態の導電性構造層11も導電性素子101及び電気絶縁素子102を含む。より具体的には、導電性素子101は止まり穴101bを有し、直接凹部111を形成する。電気絶縁素子102は止まり穴101bの側壁に配置し、電気絶縁領域112として画成する。止まり穴101bの底部は電気絶縁素子102に覆われず、導電性領域113として画成する。同様に、導電性素子101は導電性構造層11の本体である。凹部111の覆われていない底部は導電性素子101により形成する。従って、電池の内部及び外部間の導電パスを形成でき、リチウム電極10により構成する電池で生じる電気を出力する。また、導電性素子101はリチウム電極10の集電装置とみなすことが可能である。
【0023】
電解質貯蔵層14が固体電解質層13に接触し、被覆する図1、3B及び4Bを参照する。電解質貯蔵層14を凹部111に充填すると、電解質貯蔵層14の上面は、導電性構造層11の上面と実質的に一直線となる。言い換えると、残りの空間は電解質貯蔵層14で充填する。電解質貯蔵層14は液体及び/又はゲル電解質を含浸させるのに用いる。本発明において、リチウム金属層12及び電解質貯蔵層14は固体電解質層13で隔てる。従って、電解質貯蔵層14に含浸させた液体又はゲル電解質と、活性材料(つまり、リチウム金属層12)間の不必要な接触は、低減又は回避する。リチウムイオンの不必要な消費も低減又は回避し、リチウム電池の性能減衰を防止する。
【0024】
電解質貯蔵層14は多孔質であり、液体及び/又はゲル電解質を含浸させる。電解質貯蔵層14の材料はポリマー材料、セラミック材料、ガラス材料、繊維材料、及びこれらの任意の組合せがよい。電解質貯蔵層14の多孔質構造は、積層粒子及び/又は交差繊維で形成する。粒子としては、セラミック粒子、ポリマー粒子及び/又はガラス粒子が挙げられる。繊維としてはポリマー繊維及び/又はガラス繊維が挙げられる。
【0025】
多孔性被覆層15を導電性構造層11に付着させ、凹部111の開口を覆う。多孔性被覆層15は複数の孔を有し、電気化学反応のためにリチウムイオン及び電解質を通過させる。孔は化学又は機械プロセスにより形成する線形又は非線形(アリの穴)がよい。更に、多孔性被覆層15は孔を提供する多孔質材料で作製してよい。
【0026】
更に、図5を参照する。導電性構造層11及び多孔性被覆層15間に位置する接着層16、及び電気絶縁素子102は、電気絶縁接着剤フレーム21に組み込まれる。図に示すように、電気絶縁接着剤フレーム21は多孔性被覆層15及び導電性素子101間に形成する。凹部111の側壁に位置する電気絶縁接着剤フレーム21は電気絶縁素子102に使用し、電気絶縁領域112として画成する。導電性構造層11及び多孔性被覆層15間に位置する電気絶縁接着剤フレーム21は、導電性構造層11及び多孔性被覆層15を接着するのに使用する。電気絶縁接着剤フレーム21の材料は、熱硬化性ポリマー、熱可塑性ポリマー及びこれらの任意の組合せからなる群から選択する。熱硬化性ポリマーはシリコーン、エポキシ、アクリル酸樹脂及びこれらの任意の組合せからなる群から選択し、熱可塑性ポリマーはポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリイミド、熱可塑性ポリウレタン及びこれらの任意の組合せからなる群から選択する。液体又はゲル電解質を適合させるため、電気絶縁接着剤フレーム21の材料は、例えばシリコーン、ポリエチレン、ポリプロピレン、熱可塑性ポリイミドなどの電解質不活性材料から選択するのが好ましい。従って、電気絶縁接着剤フレーム21は電解質と反応せず、接着能力を維持する。
【0027】
また、図3Bに示す実施形態について、接着層16及び電気絶縁素子102は、電気絶縁接着剤フレーム21に組み込む場合がある。電気絶縁接着剤フレーム21は凹部111の電気絶縁素子102に使用し、導電性構造層11及び多孔性被覆層15を接着するのに使用する。更に、電気絶縁接着剤フレーム21は、図に示す単層構造以外に多層構造でもよい。接着材料を改良すると、接着がより良好となる。
【0028】
一般的に、リチウム金属のプレーティングが起こると、リチウムデンドライトは垂直に成長する。本発明の配置により、リチウムデンドライトの成長が固体電解質層13により抑える。リチウムデンドライトの垂直成長は固体電解質層13を押し出す。固体電解質層13は凹部111に移動可能に配置する。従って、固体電解質層13を押し出し、電解質貯蔵層14の方に動く。多孔性被覆層15は導電性構造層11に堅く接着するため、固体電解質層13の移動範囲を限定する。電解質貯蔵層14は液体及び/又はゲル電解質を収納するために多孔質である。また、電解質貯蔵層14は圧縮可能である。電解質貯蔵層14は固体電解質層13により加圧すると、変形し、含浸させた液体及び/又はゲル電解質の一部を絞り出す。また、電解質貯蔵層14の圧縮率を限定する。圧縮距離が増えるほど、電解質貯蔵層14を圧縮する抵抗力は大きくなり、リチウムデンドライトの垂直成長を阻害する。リチウムデンドライトは水平方向に成長せざるを得ない。リチウムデンドライトにより引き起こす電気絶縁体、つまりセパレータの貫通問題を排除でき、内部短絡を回避する。リチウム金属をストリッピングすると、固体電解質層13は元の位置に後退し、電解質貯蔵層14は元の状態に回復する。絞り出た液体及び/又はゲル電解質は戻って、電解質貯蔵層14に含浸する。
【0029】
固体電解質層13の更なる材料を以下に説明する。硫化物系固体電解質は、ガラス状態のLiS-P、結晶状態のLix’y’PSz’、及びガラスセラミック状態のLiS-Pからなる群の1つ又は複数から選択されてよい。
式中、MはSi、Ge及びSnからなる群の1つ又は複数から選択され、
x’+4y’+5=2Z’、0≦y’≦1・・・(式1)
である。
【0030】
好ましくは、ガラス状態のLiS-Pは、ガラス状態の70LiS-30P、ガラス状態の75LiS-25P、及びガラス状態の80LiS-20Pからなる群の1つ又は複数から選択してよい。ガラスセラミック状態のLiS-Pは、ガラスセラミック状態の70LiS-30P、ガラスセラミック状態の75LiS-25P、ガラスセラミック状態の80LiS-20Pからなる群の1つ又は複数から選択してよい。結晶状態のLix’y’PSz’は、LiPS、LiSnS、LiGeS、Li10SnP12、Li10GeP12、Li10SiP12、Li10GeP12、Li11、L9.54Si1.741.4411.7Cl0.3、β-LiPS、LiSI、Li11、0.4LiI-0.6LiSnS及びLiPSClからなる群の1つ又は複数から選択してよい。
【0031】
酸化物系固体電解質は、蛍石構造の酸化物系固体電解質がよい。例えば、モル分率が3~10%のイットリア安定化ジルコニア(YSZ)がよい。酸化物系固体電解質はドープしたLaGaOなど、ABO酸化物系固体電解質がよい。或いは、酸化物系固体電解質は結晶構造を有するLi1+x+y(Al,Ga)(Ti,Ge)2-xSi3-y12でよく、0≦x≦1及び0≦y≦1である。更に、酸化物系固体電解質はLiO-Al-SiO-P-TiO、LiO-Al-SiO-P-TiO-GeO、Na3.3Zr1.7La0.3SiPO12、Li3.5Si0.50.5、Li3xLa2/3xTiO、LiLaZr12、Li0.38La0.56Ti0.99Al0.01又はLi0.34LaTiO2.94がよい。
【0032】
固体電解質層13の配置について、導電性構造層11の凹部111の側壁は平坦で等間隔である。従って、固体電解質層13は、リチウム金属のプレーティング及びストリッピング中、滑らかに上方及び下方に移動する。
【0033】
図6Aを参照する。電池システムに適合すると、リチウム電極10の導電性構造層11は複数の凹部111を含む。多孔性被覆層15はセパレータとして機能する。陽極活性材料31及び陽極集電装置32は続いてその上に配置する。隣接する凹部111の電気絶縁接着剤フレーム21を連結し、側端の電気絶縁接着剤フレーム21は、第1接着層22及び第2接着層23を用いて、陽極集電装置32と接着し、電池システムのパッケージを形成する。第1の接着層22及び第2の接着層23の材料は、電気絶縁接着剤フレーム21の材料と同じがよい。また、図6Aの凹部111は、図4Bに示すものなど、止まり穴としてのみ説明されるが、凹部111は止まり穴になる場合のみに限定されない。図3Aに示す導電性構造層11、又はこれらの組合せも適合させることが可能である。更に、凹部111のサイズ、位置、距離又は分布は変わる。
【0034】
図6Bを参照する。特に中間部分、又は接着が乏しい任意の位置の1つ又は複数の凹部111は、接着を改善するために分離した接着構造を有する場合がある。別々の電気絶縁接着剤フレーム21も第1の接着層22及び第2の接着層23を用いて陽極集電装置32に接着し、電池システムのパッケージを形成する。図6Bに示すように、凹部111のすべての電気絶縁接着剤フレーム21は分かれており、別々の第1の接着層22及び別々の第2の接着層23は陽極集電装置32に接着し、その接着を極端に改善する。
【0035】
従って、本発明はリチウム電極を提供する。リチウム金属のプレーティングが起こると、リチウムデンドライトの成長は固体電解質層により抑え、固体電解質層を押し出して、電解質貯蔵層を加圧する。電解質貯蔵層が変形し、そこに含浸させた液体及び/又はゲル電解質の一部を絞り出す。圧縮距離が増加するほど、電解質貯蔵層を圧縮する抵抗力が大きくなり、リチウムデンドライトの垂直成長を阻害し、リチウムデンドライトは水平方向に成長せざるを得ない。リチウムデンドライトにより引き起こす電気絶縁体、つまりセパレータの貫通問題を排除でき、内部短絡を回避して、リチウム電池の安全性を大きく改善する。リチウム金属がストリッピングすると、固体電解質層は元の位置に後退し、電解質貯蔵層は元の状態に回復する。絞り出た液体及び/又はゲル電解質は戻って、電解質貯蔵層に含浸する。更に、リチウム金属層、並びに電解質貯蔵層に含浸した液体及び/又はゲル電解質は、固体電解質層により隔てる。電解質貯蔵層に含浸した液体又はゲル電解質は、リチウム金属層である陰極活性材料と接触せず、液体又はゲル電解質の分解又は劣化を回避し、不可逆的な容量損失を低減する。
【0036】
本発明はこのように記載されるが、上記が様々に変化する場合がある。このような変形は本発明の趣旨及び範囲からの逸脱としてみなされず、いずれの変更も以下の請求項の範囲内に含まれることが意図される。
図1
図2
図3A
図3B
図4A
図4B
図5
図6A
図6B