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特開2023-37614制御システム、自動ドア、及びエスカレータ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037614
(43)【公開日】2023-03-15
(54)【発明の名称】制御システム、自動ドア、及びエスカレータ
(51)【国際特許分類】
   E05F 15/73 20150101AFI20230308BHJP
   E05F 15/79 20150101ALI20230308BHJP
   B66B 25/00 20060101ALI20230308BHJP
【FI】
E05F15/73
E05F15/79
B66B25/00 A
B66B25/00 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022139924
(22)【出願日】2022-09-02
(31)【優先権主張番号】P 2021144197
(32)【優先日】2021-09-03
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】501013156
【氏名又は名称】フルテック株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100202913
【弁理士】
【氏名又は名称】武山 敦史
(74)【代理人】
【識別番号】100132883
【弁理士】
【氏名又は名称】森川 泰司
(74)【代理人】
【識別番号】100166442
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 洋雅
(71)【出願人】
【識別番号】522457793
【氏名又は名称】株式会社ハウディ
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(72)【発明者】
【氏名】古野 元昭
(72)【発明者】
【氏名】原田 博和
(72)【発明者】
【氏名】浅田 一憲
(72)【発明者】
【氏名】浅田 風太
【テーマコード(参考)】
2E052
3F321
【Fターム(参考)】
2E052AA02
2E052BA02
2E052BA06
2E052CA06
2E052EA15
2E052EB01
2E052EC02
2E052GA02
2E052GA06
2E052GB02
2E052GD07
3F321AA04
3F321EA02
3F321EA08
(57)【要約】
【課題】より多くの状況に対応可能であり、汎用性の高い制御システムを提供する。
【解決手段】制御システム1は、自動ドア、エスカレータなどの利用者の移動を制御する装置を制御する。制御システム1は、制御情報を無線送信する分類情報識別機器50と、分類情報識別機器50より無線送信された制御情報を受信する受信部13と、受信部13で受信した制御情報から、分類情報識別機器50の利用者に設定された動作態様を示す動作制御情報を取得し、取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御装置の動作を制御する制御部12と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者の移動を制御するための移動制御装置の制御システムであって、
制御情報を無線送信する情報機器と、
前記情報機器より無線送信された制御情報を受信する受信部と、
前記受信部で受信した制御情報から、前記情報機器の利用者に設定された動作態様を示す動作制御情報を取得する動作制御情報取得部と、
前記動作制御情報取得部が取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御装置の動作を制御する制御部と、
を備える制御システム。
【請求項2】
前記移動制御装置は、通路を開閉して、利用者の通行の可否を制御する開閉装置であり、
前記制御システムは、前記開閉装置の開閉動作を制御する制御システムであり、
前記動作制御情報取得部は、前記情報機器から受信した制御情報から、前記開閉装置の利用者に設定された開閉態様に対応付けられた開閉制御情報を動作制御情報として取得し、
前記制御部は、取得した開閉制御情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作を制御する、
請求項1に記載の制御システム。
【請求項3】
請求項2に記載の制御システムにおいて、
前記情報機器は、前記制御情報として、利用者の分類情報又は自機の識別情報を無線送信し、
前記受信部は、前記情報機器から送信された分類情報又は識別情報を受信し、
前記動作制御情報取得部は、受信した分類情報又は受信した識別情報に対応する分類情報を、開閉制御情報として取得し、
前記制御部は、取得した分類情報に基づいて、通常モードから複数の分類モードへ切り替えて前記開閉装置のドアの開閉動作と案内動作との少なくとも1つを制御する、
制御システム。
【請求項4】
請求項3に記載の制御システムにおいて、
前記分類情報は、利用者の身体の状態を分類した情報を含み、
前記分類モードは、前記分類情報に含まれる身体の状態に応じて複数設定されている、
制御システム。
【請求項5】
請求項3に記載の制御システムにおいて、
前記分類情報は、ストレッチャー利用の状況を分類した情報であり、
前記分類モードは、前記分類情報に含まれるストレッチャー利用の状況に応じて複数設定されている、
制御システム。
【請求項6】
請求項3に記載の制御システムにおいて、
前記分類情報は、ドア開口量を分類した情報であり、
前記分類モードは、前記分類情報に含まれるドア開口量に応じて複数設定されている、
制御システム。
【請求項7】
請求項2に記載の制御システムにおいて、
前記制御情報は、利用者の属性を示す属性情報であり、
前記情報機器は、属性情報を無線送信し、
前記受信部は、前記情報機器から送信された属性情報を受信し、
前記動作制御情報取得部は、受信した属性情報に対応する開閉態様情報を取得し、
前記制御部は、取得した開閉態様情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作と案内動作との少なくとも1つを制御する、
制御システム。
【請求項8】
請求項2に記載の制御システムにおいて、
前記制御情報は、通路の開閉態様を示す開閉態様情報であり、
前記情報機器は、開閉態様情報を無線送信し、
前記受信部は、前記情報機器から送信された開閉態様情報を受信し、
前記動作制御情報取得部は、受信した開閉態様情報に対応する開閉制御情報を取得し、
前記制御部は、取得した開閉制御情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作と案内動作との少なくとも1つを制御する、
制御システム。
【請求項9】
請求項2から7の何れか1項に記載の制御システムにおいて、
利用者の音声を認識する音声認識部を有し、
前記制御部は、前記音声認識部による認識結果に応じてドアの開閉に関する動作を制御する、
制御システム。
【請求項10】
請求項2から7のいずれか1項に記載の制御システムと、
前記開閉装置と、
を備える、自動ドア。
【請求項11】
請求項2に記載の制御システムにおいて、
前記移動制御装置は、利用者を載せて搬送するエスカレータであり、
前記制御システムは、前記エスカレータの運転開始タイミングと搬送速度の少なくとも一方を制御する制御システムであって、
前記動作制御情報取得部は、前記情報機器から受信した制御情報から、前記エスカレータの搭乗者に設定された動作態様制御情報を取得し、
前記制御部は、取得した動作態様制御情報に基づいて、前記エスカレータの動作を制御する、
制御システム。
【請求項12】
請求項11に記載の制御システムを備えるエスカレータ。
【請求項13】
請求項2から7の何れか1項に記載の制御システムにおいて、
前記情報機器は、汎用の通信端末である、
制御システム。
【請求項14】
請求項1に記載の制御システムにおいて、
表示装置に画像を表示するための制御装置を備え、
この制御装置は、制御情報を受信し、受信した制御情報に対応するコンテンツを特定し、特定したコンテンツのデータを表示装置に供給する、
制御システム。
【請求項15】
コンピュータを、
移動制御装置を制御する制御システムが備える、
利用者が使用する情報機器より無線送信された制御情報を受信する受信部、
受信した制御情報から、利用者に設定された動作態様を示す動作制御情報を取得する動作制御情報取得部、
取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御装置の動作を制御する制御部、
として機能させるプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御システム、自動ドア、及びエスカレータに関する。
【背景技術】
【0002】
各種自動ドアは、様々な用途で用いられており、その使用される環境によっては、単に人等が接近したときに開閉を行うだけではなく、より細かい制御を必要とされる場合がある。例えば、特許文献1には、身障者や高齢者等が車椅子で移動する際、共通する同一周波数の信号で自動ドアを一定時間開くことのできることを特徴とする車椅子に付帯のリモコン式発信機の発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2002-285756号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の発明では、通常の動作モードと車椅子の利用者に特化したモードとを切り替えるだけであり、使用できる状況が非常に限られてしまい、実用性が低い。
【0005】
同様の問題は、自動ドア等の開閉装置に限定されず、エスカレータ、エレベーター、リフト等の、利用者の移動を制御する移動制御装置の制御システムに共通して存在する。
【0006】
本発明の課題は、より多くの状況に対応可能であり、汎用性の高い制御システム及びそれを用いた装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の制御システムは、
利用者の移動を制御するための移動制御装置の制御システムであって、
制御情報を無線送信する情報機器と、
前記情報機器より無線送信された制御情報を受信する受信部と、
前記受信部で受信した制御情報から、前記情報機器の利用者に設定された動作態様を示す動作制御情報を取得する動作制御情報取得部と、
前記動作制御情報取得部が取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御装置の動作を制御する制御部と、
を備える。
【0008】
例えば、前記移動制御装置は、通路を開閉して、利用者の通行の可否を制御する開閉装置であり、前記制御システムは、前記開閉装置の開閉動作を制御する制御システムであり、前記動作制御情報取得部は、前記情報機器から受信した制御情報から、前記開閉装置の利用者に設定された開閉態様に対応付けられた開閉制御情報を動作制御情報として取得し、前記制御部は、取得した開閉制御情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作を制御する。
【0009】
例えば、前記情報機器は、前記制御情報として、利用者の分類情報又は自機の識別情報を無線送信し、前記受信部は、前記情報機器から送信された分類情報又は識別情報を受信し、前記動作制御情報取得部は、受信した分類情報又は受信した識別情報に対応する分類情報を、開閉制御情報として取得し、前記制御部は、取得した分類情報に基づいて、通常モードから複数の分類モードへ切り替えて前記開閉装置のドアの開閉動作と案内動作との少なくとも1つを制御する。
【0010】
例えば、前記分類情報は、利用者の身体の状態を分類した情報を含み、前記分類モードは、前記分類情報に含まれる身体の状態に応じて複数設定されている。
【0011】
例えば、前記分類情報は、ストレッチャー利用の状況を分類した情報であり、前記分類モードは、前記分類情報に含まれるストレッチャー利用の状況に応じて複数設定されている。
【0012】
例えば、前記分類情報は、ドア開口量を分類した情報であり、前記分類モードは、前記分類情報に含まれるドア開口量に応じて複数設定されている。
【0013】
例えば、前記制御情報は、利用者の属性を示す属性情報であり、前記情報機器は、属性情報を無線送信し、前記受信部は、前記情報機器から送信された属性情報を受信し、前記動作制御情報取得部は、受信した属性情報に対応する開閉態様情報を取得し、前記制御部は、取得した開閉態様情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作と案内動作との少なくとも1つを制御する。
【0014】
例えば、前記制御情報は、通路の開閉態様を示す開閉態様情報であり、前記情報機器は、開閉態様情報を無線送信し、前記受信部は、前記情報機器から送信された開閉態様情報を受信し、前記動作制御情報取得部は、受信した開閉態様情報に対応する開閉制御情報を取得し、前記制御部は、取得した開閉制御情報に基づいて、前記開閉装置の開閉動作と案内動作との少なくとも1つを制御する。
【0015】
例えば、利用者の音声を認識する音声認識部を有し、前記制御部は、前記音声認識部による認識結果に応じてドアの開閉に関する動作を制御する。
【0016】
また、この発明の自動ドアは、上述の制御システムと、前記開閉装置と、を備える。
【0017】
例えば、前記移動制御装置は、利用者(通行者)を載せて搬送するエスカレータであり、前記制御システムは、前記エスカレータの運転開始タイミングと搬送速度の少なくとも一方を制御する制御システムであって、前記動作制御情報取得部は、前記情報機器から受信した制御情報から、前記エスカレータの搭乗者に設定された動作態様制御情報を取得し、前記制御部は、取得した動作態様制御情報に基づいて、前記エスカレータの動作を制御する。
【0018】
この発明のエスカレータは、上述の制御システムを備える。
【0019】
例えば、前記情報機器は、汎用の通信端末である。
【0020】
前記制御情報を受信し、受信した前記制御情報に対応するコンテンツを特定し、特定したコンテンツのデータを表示装置に供給する制御装置を備えてもよい。
【0021】
また、この発明のプログラムは、
コンピュータを、
移動制御装置を制御する制御システムが備える、
利用者が使用する情報機器より無線送信された制御情報を受信する受信部、
受信した制御情報から、利用者に設定された動作態様を示す動作制御情報を取得する動作制御情報取得部、
取得した動作制御情報に基づいて、前記移動制御装置の動作を制御する制御部、
として機能させる。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、より多くの状況に対応可能であり、汎用性の高い制御システムとそれを用いた装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
図1】本発明の第1実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
図2図1の動作モード記憶部に記憶される開閉態様情報の一例を示す図である。
図3】第1実施形態の制御システムの開閉制御処理の開閉制御処理の流れを示すフローチャートである。
図4図1に示す制御システムを備える自動ドア全体の概観図である。
図5】(A)は図1に示す制御装置のブロック図、(B)は図1に示す分類情報識別機器のブロック図である。
図6】第1実施形態の変形例1において、図1の動作モード記憶部に記憶される機器識別情報-分類モードテーブルの一例を示す図である。
図7】第1実施形態の変形例2において、(A)は図1に示す動作モード記憶部に記憶される開閉制御テーブルの一例を示す図、(B)は図1に示す分類情報識別機器の分類情報記憶部に記憶される属性情報の一例を示す図である。
図8】本発明の第2実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
図9】本発明の第3実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
図10】本発明の第4実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
図11】第5実施形態において、自動ドアを開くタイミングを説明するための図である。
図12】本発明の第6実施形態による制御システムの制御装置のブロック図である。
図13】本発明の第7実施形態による制御システムの構成を示すブロック図である。
図14図13に示すコンテンツDBの構成例を示す図である。
図15図13に示すスケジュールDBの構成例を示す図である。
図16】第7実施形態の制御システムの表示制御処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明を実施するための最良の形態について図面等を参照して説明する。
【0025】
(第1実施形態)
図4は、本発明の第1実施形態による制御システム1を備える自動ドア1000の一例の全体構成図である。
【0026】
図4に示す自動ドア1000は、縦枠VF、無目TR、ドア100、制御装置10、ドア駆動部20、スピーカー30、および表示部40を備える。
【0027】
縦枠VFは、開口部の左右端縁に起設される枠である。
無目TRは、開口部の上部に水平に配設され、両端が縦枠VFに固定されている。無目TRの内部には、制御装置10、ドア駆動部20、スピーカー30、が収納されている。無目TRの下端面には、ドア100を案内するガイドレールGRが取り付けられている。
【0028】
ドア100は、ドア駆動部20の動作により開閉方向に移動し、開口部(通路)を開状態または閉状態にする。ドア100の開閉構造は任意であるが、本実施形態においては、左ドア100Lと右ドア100Rがそれぞれ左右方向にスライド移動して開口部を開閉する引分式であるものとする。
【0029】
ドア100の取り付け方法および開閉方法は任意であるが、例えば、左ドア100Lは、ドアハンガ101Lおよび102LによってガイドレールGRに懸吊する。また、右ドア100Rは、ドアハンガ101Rおよび102RによってガイドレールGRに懸吊する。
【0030】
無目TRの両端部には、ドア駆動部20を構成する駆動プーリ202と従動プーリ203が配置されており、ベルト204が環状に巻き付けられている。ベルト204の上段には、ドアハンガ102Lが連結され、ベルト204の下段には、ドアハンガ102Rが連結されている。これにより、左ドア100Lと右ドア100Rは、ベルト204の動きに応じて左右に移動する。
【0031】
ドア100の左右両側には、嵌殺戸FDが設けられている。
【0032】
ドア駆動部20は、制御装置10から出力された制御信号に従って、ドア100を開閉する動力機構である。ドア駆動部20は、モータ201と、前述の駆動プーリ202、従動プーリ203、ベルト204を備える。モータ201が駆動プーリ202を回転させることによって、ベルト204を時計回りまたは反時計回りに動かすことができる。ベルト204の動きに連動して、ドア100が開閉する。
【0033】
スピーカー30は、制御部12の制御に従って音声メッセージや警告音等を発する。
【0034】
表示部40は、自動ドア1000の近傍に配置され、制御部12の制御に従って動作モードの表示、メッセージや警告等を表示する。なお、スピーカー30及び表示部40は、自動ドア1000に一体的に設けられていてもよいし、スピーカー付きのモニター装置等を利用してもよい。また、後述する分類情報識別機器50のスピーカー及び表示部を利用する形態としてもよい。
【0035】
制御装置10は、自動ドア1000の利用者が所持する分類情報識別機器50と交信し、ドア駆動部20とスピーカー30と表示部40とを制御する。制御装置10は制御システム1の動作を制御するコンピュータを備える。ここで、コンピュータとは、制御部、記憶装置等を備え、プログラムを適宜読み出して実行することにより、各種機能を実行する。この例では、制御装置10は、物理的には、図5(A)に示すように、制御部12、通信部13、ROM(Read Only Memory)14、RAM(Random Access Memory)15、補助記憶装置16,I/O17を備える。これらの部位は、バスラインBLを介して相互に接続されている。
【0036】
制御部12は、CPU(Central Processing Unit)等から構成され、ROM14または補助記憶装置16に格納されたオペレーティングシステム(OS)や、各種のアプリケーションプログラムを適宜読み出して実行することにより、上述したハードウェアと協働し、本実施形態のドア制御を実行する。制御部12は、通信部13を介して、自動ドア1000の利用者が所持する分類情報識別機器50と通信して、分類情報を取得し、I/O17を介して、ドア駆動部20を制御し、ドア100を開閉させる。また、制御装置10は、I/O17を介して、スピーカー30と表示部40に制御指令信号を出力する。
【0037】
通信部13は、後述する分類情報識別機器50と無線交信し、利用者の属性を示す分類情報を受信する。
【0038】
ROM14は、制御部12が実行する各種プログラムやプログラム実行の際に使用する各種固定データ等を記憶する不揮発性メモリである。
【0039】
RAM15は、ROM14または補助記憶装置16から読み出されたプログラムやデータを一時的に保持する揮発性メモリであり、制御部12の作業領域として使用される。
【0040】
補助記憶装置16は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)等の書き換え可能な不揮発性の記憶装置から構成され、制御部12が実行するプログラム、そのプログラム実行の際に用いられるデータ、そのプログラム実行により生成されたデータを記憶する。また、補助記憶装置16は、後述する動作モード記憶部11として機能する。
【0041】
I/O17は、制御部12と外部装置との間のデータおよび制御信号の入出力を行うインタフェースである。外部装置とは、ドア駆動部20、スピーカー30、表示部40等である。
【0042】
図1は、自動ドア1000のうち、ドア100の開閉を制御する制御システム1の構成を示すブロック図である。制御システム1は、出入り口、通路に設置され、不特定多数の利用者(通行者)が通過・利用する自動ドア1000の制御に好適に用いられる。
【0043】
制御システム1は、分類情報識別機器50(50A、50B、50C、50D)と、前述の、制御装置10と、ドア駆動部20と、スピーカー30と、表示部40と、を備え、自動ドア1000のドア100の開閉の制御を行う。
【0044】
制御装置10は、動作モード記憶部11と、前述の制御部12と通信部13とを備えている。動作モード記憶部11は、例えば、補助記憶装置16上に配置され、制御部12がドアの開閉動作を制御する際の動作内容(開閉態様)を動作モード毎に記憶する。動作モードとしては、基本モードの他に、分類モードが複数設定されている。本実施形態では、動作モード記憶部11は、通常モードと、分類モードAと、分類モードBと、分類モードCと、分類モードDの5種類の動作モードでの開閉態様を格納したテーブルを記憶している。分類モードAを例に、開閉態様の一例を図2に示す。なお、ここでは、基本モードの他に、4種類の分類モードを記憶していることとして説明を行うが、より多く又は少ない分類モードを記憶してもよい。
【0045】
基本モードは、自動ドア1000が設置されている環境において最も利用頻度が大きい状況に最適化された動作モードである。基本モードでは、図示せぬ光線反射式センサーやタッチスイッチ(又は、押し釦)等の起動センサーによって利用者を検出すると、ドア100を開く。基本モードでは、健常者が通常の歩行速度で自動ドア1000を通過する場合に最も適した開閉態様として、例えば、ドア開速度:400~500mm/s、ドア閉速度:250~350mm/s、ドア開時間(ドア100が開いている状態を保持する時間):1~5sに設定されている。開閉態様としてどのようなパラメータを設定するかは任意であり、より多くても少なくてもよい。例えば、最大開時の開口の幅・サイズを設定してもよい。
【0046】
分類モードAは、白杖利用者、すなわち、視覚に障害を有する利用者が自動ドア1000を通過する場合に最適化された動作モードである。本実施形態の分類モードAでは、白杖利用者(モードA設定者)が自動ドア1000を通過する場合に最も適した開閉態様として、例えば、ドア開速度は基本モードと同様とし、ドア閉速度は基本モードよりもゆっくり閉じるものとし、ドア開時間は基本モードよりも長めとする。例えば、図2に例示するように、ドア開速度:400~500mm/s、ドア閉速度:150~250mm/s、ドア開時間:5sに設定することができる。また、自動ドア1000が通常モードではタッチスイッチ(又は、押し釦)によってドア100を開く構成である場合には、分類モードAでは、タッチスイッチを利用しなくてもドア100を開く。また、本実施形態の分類モードAでは、視覚に障害を有する利用者に対して自動ドア1000が近くにあることを知らせるために、スピーカー30によって音声メッセージAを発する案内動作を行う。また、視覚に障害を有する利用者に最適化された動作モードで制御が行われていることを周辺の者に知らせるために、表示部40に、その旨のメッセージBを表示する。
【0047】
分類モードBは、歩行に障害がある利用者が自動ドア1000を通過する場合に最適化された動作モードである。歩行に障害がある利用者とは、例えば、松葉杖の利用者や、歩行障害を有する利用者等である。本実施形態の分類モードBでは、歩行に障害がある利用者が自動ドア1000を通過する場合に最も適した開閉態様として、ドア開速度は基本モードと同様とし、ドア閉速度は基本モードよりもゆっくり閉じるものとし、ドア開時間は基本モードよりも長めとする。例えば、ドア開速度:400~500mm/s、ドア閉速度:150~250mm/s、ドア開時間:5sに設定することができる。また、本実施形態の分類モードBでは、歩行に障害がある利用者に最適化された動作モードで制御が行われていることを周辺の者に知らせるために、スピーカー30からメッセージを放音する案内動作を行い、表示部40にその旨の表示を行う。
【0048】
分類モードCは、車椅子の利用者が自動ドア1000を通過する場合に最適化された動作モードである。本実施形態の分類モードCでは、車椅子の利用者が自動ドア1000を通過する場合に最も適した開閉態様として、ドア開速度は基本モードと同様とし、ドア閉速度は基本モードよりも僅かにゆっくり閉じるものとし、ドア開時間は基本モードよりも僅かに長めとする。例えば、ドア開速度:400~500mm/s、ドア閉速度:200~300mm/s、ドア開時間:3sに設定することができる。また、自動ドア1000が通常モードではタッチスイッチ(又は、押し釦)によってドア100を開く構成である場合には、分類モードCでは、分類情報識別機器50Cに設けられているドア開ボタンを操作することによりドア100を開く。なお、分類情報識別機器50Cに設けられているドア開ボタンについては、後述する。また、本実施形態の分類モードCでは、車椅子の利用者に最適化された動作モードで制御が行われていることを周辺の者に知らせるために、スピーカー30からメッセージを放音する案内動作を行い、表示部40にその旨のメッセージを表示する。
【0049】
分類モードDは、ベビーカー利用者が自動ドア1000を通過する場合に最適化された動作モードである。本実施形態の分類モードDでは、ベビーカーが自動ドア1000を通過する場合に最も適した開閉態様として、ドア開速度は基本モードと同様とし、ドア閉速度は基本モードよりも僅かにゆっくり閉じるものとし、ドア開時間は基本モードよりも僅かに長めとする。例えば、ドア開速度:400~500mm/s、ドア閉速度:200~300mm/s、ドア開時間:3sに設定することができる。また、自動ドア1000が通常モードではタッチスイッチ(又は、押し釦)によってドア100を開く構成である場合には、分類モードDでは、タッチスイッチを利用しなくてもドア100を開く。また、本実施形態の分類モードDでは、ベビーカー利用者が自動ドア1000を通行することを対向して通行する利用者に知らせるために、スピーカー30によって音声メッセージを発する案内動作を行う。また、表示部40によってその旨の表示を行う。
【0050】
制御部12は、制御システム1の動作を統括して制御を行う。制御部12は、通常は通常モードで制御動作を行うが、分類情報識別機器50から分類情報を取得した場合には、分類情報に対応した分類モードA、B、C、Dのいずれかで、ドア駆動部20、スピーカー30、表示部40を制御する制御動作を行う。
【0051】
通信部13は、前述のように、近距離で分類情報識別機器50との間で無線通信を行う。通信部13が行う無線通信の具体的手段はどのようなものであってもよいが、例えば、Bluetooth(登録商標)を利用することができる。
【0052】
ドア駆動部20は、制御部12の制御に従って、モータ201を回転駆動してベルト204を回動させることにより、ドア100の開閉駆動を行う。
【0053】
分類情報識別機器50(50A、50B、50C、50D)は、携帯型の情報機器であり、通信部51(51A、51B、51C、51D)と、分類情報記憶部52(52A、52B、52C、52D)を備えている。なお、分類情報識別機器50A、50B、50C、50Dは、それぞれ、分類情報記憶部52に記憶する情報が異なる他は、同一の構成を備えたものであるので、共通の説明については、分類情報識別機器50、通信部51、分類情報記憶部52として説明を行う。分類情報識別機器50は、スマートフォン、携帯ゲーム機器等の汎用の無線通信可能な情報端末(通信端末)に本実施形態の制御システム1用のアプリケーションプログラムをインストールしたものである。
【0054】
通信部51は、近距離で制御装置10との間で無線通信を行うことができる。通信部51が行う無線通信の具体的手段はどのようなものであってもよいが、例えば、Bluetooth(登録商標)を利用することができる。なお、通信部51は、近距離でのみ制御装置10との間で無線通信を行うことができる。このため、ある程度以上の距離が通信部51との間に空いた場合には、通信部51は、制御装置10との間で無線通信を行うことができない。したがって、分類情報識別機器50を持った利用者が制御装置10に近づくと両者の間で無線通信可能となり、制御装置10は、分類情報識別機器50を持った利用者が制御装置10に近づいたと判断することが可能である。
【0055】
分類情報記憶部52は、SSD等の補助記憶装置から構成され、利用者の身体の状態を分類した分類情報を記憶している。利用者は、各自が所持する分類情報識別機器50に、自身が配慮を必要とする身体の状態を登録する。すなわち、分類情報記憶部52に記憶させる。本実施形態では、上述した、「白杖利用」、「歩行に障害がある」、「車椅子利用」、「ベビーカー利用」の中から選択されたものを分類情報記憶部52に記憶させる。
【0056】
図1に示す例では、分類情報識別機器50Aは、白杖利用者が所持しており、分類情報記憶部52Aには、「白杖利用」の分類情報が記憶されている。また、分類情報識別機器50Bは、歩行に障害がある利用者が所持しており、分類情報記憶部52Bには、「歩行に障害あり」の分類情報が記憶されている。さらに、分類情報識別機器50Cは、車椅子利用者が所持しており、分類情報記憶部52Cには、「車椅子利用」の分類情報が記憶されている。さらに、分類情報識別機器50Dは、車椅子利用者が所持しており、分類情報記憶部52Dには、「ベビーカー利用」の分類情報が記憶されている。
【0057】
また、本実施形態において、車椅子を利用する利用者の場合、すなわち、分類モードCの場合に、分類情報識別機器50Cのタッチパネル状に、仮想の操作ボタン(ドア開ボタン)を表示して、ドア100を開く操作をこの仮想の操作ボタンによって行える。この場合において、自動ドア1000がエレベーターのドアであれば、ドアを開くだけでなく、行先階を指定する操作ボタンも表示して、これを手元で操作できるようにしてもよい。ここで、どのような仮想の操作ボタンを表示させるかは、制御部12が通信部13を介して分類情報識別機器50Cへ送信するようにしてもよいし、二次元コード等を分類情報識別機器50Cのカメラによって読み取って、読み取ったコードに対応したwebページ等を介して表示するようにしてもよい。
【0058】
分類情報識別機器50は、携帯端末、携帯型コンピュータから構成されうる。分類情報識別機器50の構成の一例を図5(B)に示す。各部の構成は、実質的に、図5(A)に例示する制御装置10の構成と同一である。分類情報は、例えば、補助記憶装置52にI/O56を介して記憶させる。なお、分類情報をROM54に格納してもよい。ボタン表示、メッセージ放音等のために、表示部、操作部、スピーカーなどを備えてもよい。
【0059】
図3は、第1実施形態の制御システム1の動作の流れを示すフローチャートである。動作を開始するとステップ(以下、単にSとする)11では、制御部12が通常モードで制御動作を行う。
【0060】
S12では、分類情報を分類情報識別機器50から通信部13が受信したか否かを制御部12が判断する。分類情報を受信した場合には、S13へ進み、分類情報を受信していない場合には、S11へ戻り通常モードでの制御を継続する。
【0061】
S13では、制御部12は、受信した分類情報に対応した分類モードに対応する制御態様を、補助記憶装置16に記憶され、図2に例示した開閉態様テーブルから読み出す。制御部12は、読み出した制御態様に従って、ドア駆動部20、スピーカー30、表示部40を制御する制御動作を行う。すなわち、通信部13が受信した分類情報が「白杖利用」である場合には、分類モードAに対応する開閉態様でドア100を開閉する制御動作を行う。また、通信部13が受信した分類情報が「歩行に障害あり」である場合には、分類モードBに対応する開閉態様でドア100を開閉する制御動作を行う。また、通信部13が受信した分類情報が「車椅子利用」である場合には、分類モードCに対応する開閉態様でドア100を開閉する制御動作を行う。また、通信部13が受信した分類情報が「ベビーカー利用」である場合には、分類モードDに対応する開閉態様でドア100を開閉する制御動作を行う。なお、開閉態様は、スピーカー30と表示部40を制御する態様を含む。
【0062】
S14では、制御部12は、分類モードでの制御動作を終了させる条件である終了条件を満たしたか否かを判断する。本実施形態では、通信部13が分類情報を受信できなくなることを終了条件としている。なお、終了条件は、上記に限らず、例えば、所定時間の経過等としてもよい。終了条件を満たしている場合には、S11へ戻り通常モードでの制御動作に変更し、終了条件を満たしていない場合には、S13へ戻り分類モードでの制御動作を継続する。
【0063】
以上説明したように、本実施形態の制御システム1は、上記構成を備えることにより、特別な配慮が必要な利用者が自動ドア1000へ接近したことを検出して、通常モードから特別な配慮を含む分類モードへの切り替え(変更)を行うことができる。この切り替えは、利用者による操作を必要としないことから、利便性が高く、かつ、確実性が高い。また、本実施形態の制御システム1は、通常モードに加えて、複数種類の分類モードを利用することができるので、利用者の身体の状態に応じてより適切な分類モードを設定することができ、利便性及び汎用性が高い。
【0064】
第1実施形態においては、分類情報は、情報機器が送信する制御情報の一例であり、分類情報識別機器50は情報機器の一例であり、通信部13は受信部の一例であり、分類モードは、動作制御情報及び開閉制御情報の一例であり、制御部12は動作制御情報取得部の一例であり、制御部12とドア駆動部20とは、制御部の一例である。
【0065】
(変形例1)
上記実施の形態においては、分類情報識別機器50に分類情報を格納したが、利用者に対応する開閉態様を特定する手法は任意である。例えば、動作モード記憶部11(補助記憶装置16)に、図6に例示する各分類情報識別機器50の機器識別情報とその分類情報識別機器50の保持者の分類情報とを対応付ける情報を格納する機器識別情報-分類モードテーブルを記憶する。なお、機器識別情報は、自機を特定できればよく、電話番号、IPアドレス、MACアドレス等でもよい。分類情報識別機器50は、通信部51を介して機器識別情報を送信する。制御装置10の通信部13は、無線送信された機器識別情報を受信する。制御装置10の制御部12は、通信部13が受信した機器識別情報を取得する。制御部12は、取得した機器識別情報をキーに動作モード記憶部11に記憶されている機器識別情報-分類モードテーブルを検索して、分類情報を取得する。その後、制御部12は、図3に示す動作を行う。このような形態では、分類情報識別機器50に分類情報を記憶させることなく、第1実施形態と同様の効果が得られる。なお、この変形例では、機器識別情報は、制御情報の一例である。分類モードは、動作制御情報と開閉制御情報の一例である。
【0066】
(変形例2)
第1実施形態においては、配慮の必要な通行者の一部にA~Dの分類情報を付したが、通行者に設定する情報は任意である。例えば、図7(A)に例示するように、通行者の属性情報の組み合わせ別に開閉態様を定める開閉制御テーブルを動作モード記憶部11(補助記憶装置16)に記憶させ、分類情報識別機器50の分類情報記憶部(補助記憶装置)52に、図7(B)に例示するような保持者の属性値の組み合わせを示す属性情報を格納するようにしてもよい。
【0067】
この場合、各利用者の属性情報を、その利用者が保持する分類情報識別機器50の分類情報記憶部(補助記憶装置)52に格納する。分類情報識別機器50は、図7(B)に例示するように記憶している属性情報を、通信部51を介して制御装置10に無線送信する。制御装置10の通信部13は、無線送信された属性情報を受信する。制御装置10の制御部12は、通信部13が受信した属性情報を取得する。制御部12は、取得した属性情報の組み合わせに対応する開閉態様を図7(A)に例示する開閉制御テーブルを参照して特定する。制御部12は、特定した開閉態様で、図3のS13で、特定した開閉態様でドア100を開閉する。
【0068】
この例では、属性情報は制御情報の一例であり、開閉態様は動作制御情報と開閉態様情報の一例である。
【0069】
(第2実施形態)
図8は、本発明の第2実施形態による制御システム1の構成を示すブロック図である。第2実施形態の制御システム1は、一部構成を除いて第1実施形態と同様な構成を備えている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。第2実施形態の制御システム1は、病院の手術室や処置室等の自動ドアの制御に好適に用いることができる。
【0070】
本実施形態の制御システム1は、2つの異なる部屋の自動ドアを統括的に制御する。ここで、これらの部屋を部屋A、部屋Bと呼ぶこととする。そして、本実施形態の制御システム1は、部屋Aに対応して、ドア駆動部20Aと、スピーカー30Aと、表示部40Aとを備えている。同様に、部屋Bに対応して、ドア駆動部20Bと、スピーカー30Bと、表示部40Bとを備えている。また、本実施形態の制御システム1は、フットスイッチ60(60A、60B)をさらに備えている。フットスイッチ60は、各部屋の自動ドアの近傍に配置されており、看護師等が足によって操作、又は、足の差し込みを検知することにより自動ドアを開けるためのスイッチである。
【0071】
本実施形態の動作モード記憶部11が記憶する動作モードは、基本モードの他に、複数の分類モードを記憶している。本実施形態の動作モード記憶部11は、通常モードと、分類モードAと、分類モードBとの3種類の動作モードを記憶している。通常モードでは、フットスイッチ60によって自動ドアを開けることができるように制御されている。分類モードAは、分類情報識別機器50Aから「ストレッチャー利用、部屋A開放」の分類情報を受信した場合の動作モードである。この分類モードAでは、分類情報を受信したことにより、分類情報識別機器50Aが接近したと判断した場合に、部屋Aのドアをフットスイッチ60Aの操作なしに開放する。分類モードBは、分類情報識別機器50Bから「ストレッチャー利用、部屋B開放」の分類情報を受信した場合の動作モードである。この分類モードBでは、分類情報を受信したことにより、分類情報識別機器50Bが接近したと判断した場合に、部屋Bのドアをフットスイッチ60Bの操作なしに開放する。また、分類モードA、Bのいずれにおいても、ドアを開く場合には、危険防止のために、スピーカー30及び表示部40を利用してドアが開くことを告知する。
【0072】
第2実施形態の分類情報記憶部52は、ストレッチャー利用の状況、すなわち、ストレッチャーを利用していること、及び、開放すべき部屋を記憶している。利用者である看護師等は、各自が所持、又は、ストレッチャーに取り付けられている分類情報識別機器50に、必要な情報を登録する。また、第2実施形態の分類情報識別機器50には、音声認識部53(53A、53B)が設けられている。音声認識部53は、利用者の音声を認識して、分類情報記憶部52に記憶すべき情報を音声指示により入力する。よって、第2実施形態の分類情報識別機器50では、タッチパネル等を利用した手入力の他、音声認識部53による音声入力も行うことができる。また、音声認識部53による音声認識結果に基づいて、制御部12がドアの開閉制御を行うようにしてもよい。すなわち、緊急を要するような場合には、分類情報記憶部52に分類情報を記憶することなく、音声認識結果(例えば、「手術室のドア全開」や「部屋B開放」等と利用者が発した音声を認識した結果)に基づいて、ドアを開く制御を行ってもよい。
【0073】
図8に示す例では、分類情報識別機器50Aは、部屋Aに運ぶストレッチャーを看護師が運んでいる状態を想定しており、分類情報記憶部52Aには、「ストレッチャー利用、部屋A開放」の分類情報が記憶されている。また、分類情報識別機器50Bは、部屋Bに運ぶストレッチャーを看護師が運んでいる状態を想定しており、分類情報記憶部52Bには、「ストレッチャー利用、部屋B開放」の分類情報が記憶されている。
【0074】
第2実施形態では、上記構成を備えることにより、例えば、部屋Aへ向かう途中に部屋Bの前を通り過ぎるといった場合であっても、誤って部屋Bが開放されるような誤作動を防止できる。また、フットスイッチ60を操作する必要がなく、利便性が高い。さらに、音声認識部53を利用して分類情報を記憶させることができるので、操作が簡易である。
【0075】
本実施形態において、分類情報は制御情報の一例であり、分類モードは、動作制御情報、開閉制御情報の一例に相当する。
【0076】
(第3実施形態)
図9は、本発明の第3実施形態による制御システム1の構成を示すブロック図である。第3実施形態の制御システム1は、一部構成を除いて第1実施形態と同様な構成を備えている。よって、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。第3実施形態の制御システム1は、例えば、工場等において人が通過するだけでなく、各種搬送装置やロボット、又は、トラック等、大きさの異なる装置が通過する場所における自動ドア、鋼製シャッター、シートシャッター等の制御に好適に用いることができる。
【0077】
本実施形態の動作モード記憶部11は、基本モードの他に、複数の分類モードを記憶している。本実施形態の動作モード記憶部11は、通常モードと、分類モードAと、分類モードBとの3種類の動作モードを記憶している。通常モードでは、人が通過するために必要な最小限のドア開口量でドアが開くように制御されている。分類モードAは、分類情報識別機器50Aから「ドア開口量:大」の分類情報を受信した場合の動作モードである。この分類モードAでは、分類情報を受信したことにより、分類情報識別機器50Aが接近したと判断した場合に、部屋Aのドアを通常モードよりも大きく開くように制御を行う。分類モードBは、分類情報識別機器50Bから「ドア開口量:最大」の分類情報を受信した場合の動作モードである。この分類モードBでは、分類情報を受信したことにより、分類情報識別機器50Bが接近したと判断した場合に、部屋Bのドアを分類モードAよりもさらに大きい最大開口量で開くように制御を行う。また、分類モードA、Bのいずれにおいても、ドアを開く場合には、開口量に関する情報を、スピーカー30及び表示部40を利用して告知する。
【0078】
第3実施形態の分類情報記憶部52は、ドア開口量に関する分類情報を記憶している。利用者である運転者等は、各自が所持、又は、運搬装置や車両等に取り付けられている分類情報識別機器50に、必要な情報を登録する。
【0079】
図9に示す例では、分類情報識別機器50Aは、人よりも大きく、かつ、最大の開口量は不要な運搬装置を利用している状態を想定しており、分類情報記憶部52Aには、「ドア開口量:大」の分類情報が記憶されている。また、分類情報識別機器50Bは、人よりも大きく、かつ、最大の開口量が必要なトラック等を利用している状態を想定しており、分類情報記憶部52Aには、「ドア開口量:最大」の分類情報が記憶されている。
【0080】
第3実施形態では、上記構成を備えることにより、人が通るだけであるにも関わらずに最大開口量までドアが開くようなことを防止できる。また、大きな開口が必要な場合にも特別な操作をすることなくドアを適切な開口量まで開けることができ、使い勝手がよい。本実施形態においては、分類情報が制御情報の一例であり、分類モードは、動作制御情報と開閉制御情報の一例に相当する。
【0081】
(第4実施形態)
第1実施形態~第3実施形態では、通行人又は装置(車両等)を分類し、分類に応じた態様でドア100を開閉した。この発明は、これに限定されず、個々の通行人又は装置毎にドア開閉の態様を設定できるようにしてもよい。以下、通行人又は装置毎にドア開閉の態様を設定できる態様の実施形態を説明する。
【0082】
本実施形態では、図10に例示するように、制御システム1Aの分類情報識別機器50Aの分類情報記憶部52に、ドア100の開閉態様を規定する開閉態様情報を予め格納しておく。開閉態様情報は、例えば、開速度(ドアを開く速度)、閉速度(ドアを閉じる速度)、ドアの開放時間、開開始タイミング(ドアを開き始めるタイミング)、ドア開閉時にスピーカー30から発する音声メッセージ、表示部40に表示するメッセージ、等の情報を含む。
なお、第1~第3の実施形態で説明した分類情報が分類情報記憶部52に記憶された分類情報識別機器50が混在して使用されてもよい。
【0083】
分類情報識別機器50Aの通信部51は、開閉態様情報を、制御装置10に無線送信する。
【0084】
この実施形態の制御装置10の開閉制御処理を図3を参照して説明する。
制御装置10の制御部12は、S12で、通信部13を介して、分類情報識別機器50から無線送信された分類情報又は分類情報識別機器50Aから無線送信された開閉態様情報を受信したか否かを判別する。
【0085】
制御部12は、分類情報を受信した場合、S13で、第1施形態~第3実施形態と同様に、分類情報に対応した分類モードで動作する。
【0086】
一方、制御部12は、分類情報識別機器50Aから開閉態様情報を受信した場合、S13で、受信した開閉態様情報が規定する態様でドア100が開閉するように、ドア駆動部20を制御する。例えば、図10の例では、開閉態様情報を受信してから1s後のタイミングでドア100を開き始め、ドア100を350mm/sの速度で開き、7秒間開放した後、200mm/sの速度で閉じる。また、開閉動作中に、音源1からの音データに対応する音声をスピーカー30から放音し、「ドアが開きます。ご注意ください。」とのメッセージを表示部40に表示する。
【0087】
本実施形態の構成によれば、例えば、i)一般の通行人又は装置には通常モードで動作し、ii)ハンティキャップ等を有する通行人又は装置には分類A~Dの何れかを設定し、さらに、iii)特定の通行人又は装置には、個別に特有の開閉態様を設定できる。
【0088】
なお、分類情報識別機器50を使用せず、開閉態様情報を記憶した分類情報識別機器50Aのみを使用するようにしてもよい。
【0089】
本実施形態においては、開閉態様情報が制御情報と動作制御情報と開閉制御情報の一例に相当する。
【0090】
(第5実施形態)
上記実施形態においては、ドア開閉動作のパラメータとして、主に、開速度、開放時間、閉速度を例示したが、ハンデキャップを有する通行者の場合、ドアの開動作を開始するタイミングも重要である。例えば、白杖使用者の場合、白杖がドア100に接触する前に、ドア100を開くことが望ましく、ベビーカー利用者の場合、ベビーカーの先端がドア100に到達する前にドア100を開く必要がある。
【0091】
そこで、例えば、分類情報識別機器50からの電波の強度、分類情報識別機器50に配置されたGPS機器から提供される分類情報識別機器の位置情報、図示せぬ撮像装置から提供される通路の画像、光センサーの出力等から判別される通行者の位置から、ドア100を開き始めるタイミングを制御するようにしてもよい。
【0092】
例えば、図11に例示するように、i)通常の通行者については、開動作開始タイミング(ドア100を開き始めるタイミング)がもっとも遅く(通行者が自動ドア1000に近づいた時点で開始)、ii)通行者が歩行に障害あり、車椅子利用、ベビーカーBの場合、開動作開始タイミングが次に遅く、iii)通行者が白杖利用、ベビーカーA利用、台車利用の場合、次に遅く(最も早く)、なるように、通行者の位置と開動作開始タイミングとを対応付けてもよい。
【0093】
この場合、制御部12は、通行者の現在位置を求め、通行者の属性に対応した位置に、通行者が達した(又は達したと推定される)時点で、ドア100を開き始めるようにドア駆動部20を制御する。具体的には、制御部12は、通行者の分類情報(又は属性情報)と通行者の現在位置とを求め、分類情報(又は属性情報)で特定される通行者の属性に対応した位置に通行者が達した(又は達したと推定される)時点で、ドア100を開き始めるようにドア駆動部20を制御する。
【0094】
本発明の自動ドア1000は、建物の開口部、通路に設置される自動ドアに限らず、例えば、エレベーターに設置される自動ドア、鉄道車両に設置される自動ドア、鉄道駅のホームに設置されるホームドア等にも適用し得る。また、水平方向にスライド動作する扉を備える開閉装置に限定されず、シャッター、カーテン等を左右方向に開閉、上下方向に開閉する構成等でもよい。さらに、スライド式に限定されず、蝶番式の開き戸、折り戸、回転式など、出入り口、通路を開放及び遮断し、利用車の移動を制御できるものを広く含む。
【0095】
なお、複数の通行者が同時期に自動ドア1000を通過する場合には、制御装置10,10Aは、最も安全な開閉動作を選択して決定することが望ましい。
例えば、制御部12は、白杖利用(分類モードA)と車椅子利用(分離モードC)の通行者を同時に検出した場合には、例えば、ドア開時間について、分類モードAの5sと分類モードCの3sのうちより安全な5sを選択し、ドア駆動部20を介してドア100の開閉を制御する。
【0096】
(第6実施形態)
第1から第5の実施形態では、自動ドア等の開閉装置の開閉制御を例に挙げてこの発明を説明した。この発明は、これに限らず、例えば、エスカレータ(所謂歩く歩道を含む)、エレベーター、リフトなどの利用者を移送、搬送する機器の制御に広く適用できる。開閉装置と移動・搬送装置は、共に、通行人・利用者の移動を制御する装置であり、移動制御装置と呼ぶこととする。
【0097】
また、例えば、エスカレータであれば、移動速度(搬送速度)を変更するようなモード変更を行ってもよいし、乗り口、降り口の案内や、上り、下りの案内、ベビーカー利用の注意喚起等の音声案内等のモード変更を行ってもよい。この場合、例えば、図12に例示するように、制御装置10Cは、動作モード記憶部11Cに、動作モード毎に、エスカレータ自体と付属するスピーカー、表示装置の運転態様を示す動作態様情報を格納する。図12の例では、白杖利用者で分類モードAに分類される利用者がエスカレータを使用する場合に、移動速度は30m/mとし、乗り口近傍のスピーカーについては、「上りエスカレータです。1mの位置が乗り口です。」といったメッセージを流し、降り口近傍のスピーカーについては、「1mの位置が乗り口です。」といったメッセージを流し、表示装置は「ステップにお気を付けてください。」を表示することが設定されている。
【0098】
このような構成において、例えば、分類Aに属す白杖利用者がエスカレータに近づくと、制御装置10Cの制御部12Cは、通信部13を介した通信により、分類Aに属す利用者がエスカレータに近づいたことを検出する。
【0099】
制御部12Cは、撮像部18の撮像画像を解析して、動作モード記憶部11Cに登録されている分類モードAに設定されている動作態様制御情報に従って、乗り口スピーカーから乗り口を案内する音声を放音する。また、エスカレータの運転速度を通常よりも遅い30m/mに設定する。また、表示部にメッセージを表示する。
【0100】
続いて、制御部12Cは、撮像部18の撮像画像を解析して、利用者が降り口の1m程度前まで到達すると、降り口スピーカーから降り口を案内する音声を放音する。続いて、制御部12Cは、撮像部18の撮像画像を解析して、利用者がエスカレータを降りたと判別すると、運転速度を通常の50m/mに戻す。また、表示部40に表示するメッセージを通常のメッセージに戻す。
【0101】
本実施形態では、分類情報は制御情報の一例であり、動作態様情報が、動作態様制御情報の一例である。
【0102】
なお、利用者がいないときに停止するタイプのエスカレータの場合、分類モード、属性情報に応じて、エスカレータの運転開始タイミングを制御してもよい。
例えば、制御部12Cは、分類モードAの通行人が接近して来た場合には、乗り口に1.5mまで近づいた時にエスカレータの運転を開始し、分類モードDの通行人の場合には、乗り口に2mまで近づいた時に、エスカレータの運転を開始するようにしてもよい。
【0103】
なお、エスカレータに、異なる分類に属す複数の利用者が乗っている場合には、移動速度については、最も遅い速度に合わせ、乗り口と降り口については、個別に案内することが望ましい。
【0104】
(第7実施形態)
第1から第6の実施形態では、分類情報(属性情報等を含む)を自動ドア、エスカレータ等の移動制御装置の制御に用いたが、これに限定されず、移動制御装置に付随する或いは独立した様々な装置の制御に利用可能である。その一例として、以下、分類情報に基づいて、通行者に提供する情報を制御するデジタルサイネージ装置200について説明する。
【0105】
本実施の形態のデジタルサイネージ装置200は、第1から第6実施形態に示した自動ドア1000とエスカレータの近傍に独立して配置されている。以下の説明では、一例として、第1実施形態に係る自動ドア1000の近傍に設置されているものとする。
【0106】
デジタルサイネージ装置200は、図13に示すように、自動ドア1000の近傍に配置された表示部240及びスピーカー230と、制御装置210とを備える。これらは、1つの筐体に組み込まれて1つの装置として構成されても、異なる場所に配置され、通信を介して相互に接続された構成であってもよい。
【0107】
また、制御装置210は、図5(A)に示す構成を有し、機能的に、図1に示すように、動作モード記憶部211、制御部212、通信部213,コンテンツDB214、スケジュールDB215を有する。
【0108】
動作モード記憶部211は、図1の動作モード記憶部11と同様に、通常モード~分類モードDまでの、5つの動作モードを記憶している。
【0109】
制御部212は、スケジュールDB215に登録されているスケジュールに従って、コンテンツDB214からコンテンツデータを順次読み出して、スピーカー230と表示部240に供給して、コンテンツを再生させる。
【0110】
ただし、制御部212は、通信部213を介して、分類情報識別機器50から分類情報を受信すると、分類情報に対応する分類モードを特定し、特定した分類モードに対応する特定のコンテンツをコンテンツDB214から読み出し、スケジュールDB215に登録されているスケジュールに沿った出力を一時的に中断して、読み出したコンテンツを再生する。
【0111】
また、制御部212は、コンテンツDB214に登録されているコンテンツの更新、スケジュールDB215に登録されているスケジュールの更新等、一般的なデジタルサイネージ装置と同様の制御動作を行う。
【0112】
通信部213は、分類情報識別機器50から無線送信されてくる分類情報(制御情報)を受信し、制御情報を示す分類を制御部212に通知する。
【0113】
コンテンツDB214は、補助記憶装置16に配置され、広告対象の複数のコンテンツの画像データ(静止画データ、動画データ、テキストデータ)、音声データ等のデータを記憶する。なお、ここでの「広告」は、商業広告に限定されず、商業的情報、公的情報、案内情報、紹介情報等、何らかの情報を画像又は音声等で特定又は不特定の人に報知すること全般を意味する。
【0114】
コンテンツは、図14に示すように、一般コンテンツと特定コンテンツに分類されている。一般コンテンツは、視聴対象者を特定せずに出力(表示、放音)するコンテンツである。特定コンテンツは、視聴対象を、分類A~Dの何れかに属す人とするコンテンツである。
【0115】
一般コンテンツは、コンテンツIDとコンテンツデータ(区別のため、一般コンテンツと表記する)とを含む。コンテンツIDは、一般コンテンツを特定する識別情報である。一般コンテンツデータは、映像データと音声データとの少なくとも一方を含む。
【0116】
特定コンテンツは、コンテンツIDとコンテンツデータ(区別のため、特定コンテンツと表記する)と分類情報とを含む。コンテンツIDは、特定コンテンツを特定する識別情報である。特定コンテンツデータは、映像データと音声データとの少なくとも一方を含む。分類情報は、その特定コンテンツを広告したい対象者が属す分類A~Dを示す情報である。例えば、コンテンツIDがP001の特定コンテンツは、分類Dに属すベビーカー利用者向けのコンテンツであり、例えば、子育て支援の公的情報、ベビー用品の商業的広告、この先のベビーカーで移動し易いルートの案内などのコンテンツを含む。例えば、コンテンツIDがP002の特定コンテンツは、分類A,B,Cの何れかに属す利用者向けのコンテンツであり、例えば、公的支援に関する情報、補助用具の商業的広告、この先の移動し易いルートの案内などのコンテンツを含む。
【0117】
図13に示すスケジュールDB215は、図15に例示するように、コンテンツを出力するスケジュールであり、日時とコンテンツが設定されている。なお、コンテンツは、一般コンテンツでも特定コンテンツでもよい。
【0118】
例えば、図15に例示するスケジュールでは、2022年8月30日15時12分32秒からコンテンツID=10047の一般コンテンツを再生し、...15時18分07秒からコンテンツIDがP016の特定コンテンツを再生することが設定されている。
【0119】
次に、上記構成を有するデジタルサイネージ装置200の動作を図16の動作フローを参照して説明する。
デジタルサイネージ装置200が動作を開始すると、制御装置210の制御部212は、S21で、スケジュールDB215に設定されている広告スケジュールに従ってコンテンツを表示部240に表示し、スピーカー230から音声を出力する。次に、制御部212は、分類情報識別機器50から分類情報を受信しているか否かを判別する(S22)。分類情報を受信していない場合、フローはS21にリターンし、スケジュールに従って、コンテンツを出力する動作を繰り返す。
【0120】
ここで、A~Dの何れかの分類に属す利用者が自動ドア1000に接近したと仮定する。この場合の自動ドア1000の動作は、第1実施形態で説明した通りである。
利用者が所持する分類情報識別機器50から発せられた分類情報は、通信部213にも受信され、制御部212に伝達される。制御部212は、S22で、YESと判別し、S23に進む。
S23で、制御部212は、受信した分類情報から、動作モードを特定する。
【0121】
制御部212は、S23で、コンテンツDB214を参照し、受信した分類情報が割り当てられている特定コンテンツを選択する。該当する特定コンテンツが複数存在する場合には、合理的な数(通常1個)の特定コンテンツを選択する。制御部212は、再生中の一般コンテンツの再生が終了すると、スケジュールにより特定されるコンテンツの再生を延期し又はキャンセルして、選択した特定コンテンツのコンテンツデータをスピーカー230と表示装置240に供給して、再生させる。これにより、配慮が必要な利用者向けに調整された広告(案内、お知らせ、通知などを含む)を表示および放音することができる。
【0122】
例えば、自動ドア1000に分類情報識別機器50Aを保持する「白杖利用者」が近接した場合、制御部12は、ドア100を第1実施形態で説明した態様で開閉する。並行して、デジタルサイネージ装置200の制御部212は、表示部240に、分類情報Aに対応付けられた特定コンテンツの画像データを表示部240に供給して、画像を表示部240に表示させ、また、音声データをスピーカー230に供給して、音声を出力させ、例えば、自動ドア1000が前方にあること、自動ドア1000を通過した後の通行しやすい通路の案内、各種公的届出の案内、各種支援機器の商業広告等を再生させる。
【0123】
その後、S24で、終了条件を満足したことが検出されると、処理はS21にリターンする。
【0124】
このような構成によれば、利用者の分類に応じて、その移動を好適に制御すると共に、分類に応じた広告を利用者に提供し、有用な情報を提供することができる。
なお、コンテンツDB214の構成、スケジュールDB215の構成等は、一例であり、移動制御装置の利用者の特性・属性に応じた適切な広告が可能ならば、適宜変更及び応用可能である。例えば、スケジュール等は用いず、コンテンツDB214に記憶されているコンテンツをランダムに再生する途中で、制御情報を受信したときに、特定コンテンツを優先的に再生するようにしてもよい。
【0125】
また、デジタルサイネージ装置200は、コンテンツDB、スケジュールDBを備えず、ネットワークを介して外部から送信されてくるコンテンツを再生する構成でもよい。この場合、制御部212は、制御情報を受信したときに、外部から供給されるデータの再生を中断し、内部に予め記憶している、あるいは、送信元に要求して送信されてきた特定コンテンツを再生するようにしてもよい。
【0126】
以上の説明では、制御装置10と制御装置210、スピーカー30と230、表示部40と240を、それぞれ、別個の構成としたが、共用することも可能である。例えば、制御装置10が、自動ドア1000の制御とデジタルサイネージ装置200の制御を並行しておこなってもよい。
【0127】
第1実施形態を例にデジタルサイネージ装置200を説明したが、第1実施形態の変形例1~第6実施形態でも、同様の広告が可能である。その場合、制御部212は、分類情報識別機器(情報端末)50から無線送信されて来る情報(制御情報)を用いて、利用者の特性を特定し、特定した特性に応じた広告を出力すればよい。
【0128】
以上説明した実施形態に限定されることなく、種々の変形や変更が可能であって、それらも本発明の範囲内である。
【0129】
(1)第1~第4実施形態において、分類情報識別機器50は、スマートフォン等の汎用の通信機器を利用した構成を例示した。これに限らず、例えば、AirTag(登録商標)等のより簡易な通信タグ等を用いてもよい。この場合において、通信タグ自体に分類情報そのものを記憶できない構成の場合には、通信タグの固有番号等と分類情報を関連付けて管理するとよい。
【0130】
(2)第3実施形態において、分類情報としてドア開口量を含む形態を例示した。これに限らず、例えば、カメラや各種センサーを併用して必要な開口量を確認したり、分類情報と照合したりして、より確実性を高めてもよい。
【0131】
(3)各実施形態において、分類モードの数や具体例を例示して説明したが、分類モードの数や具体的内容については、適宜変更してもよい。例えば、分類情報識別機器がスマートフォンである場合には、緊急地震速報や津波警報等の各種警報を受信する機能を備えている場合が多い。そこで、例えば、各種警報を受信した場合には、利用者の設定した分類情報に関わらず、各種警報に対応した緊急モード(地震モード、津波モード等)へ切り替えて動作するようにしてもよい。
【0132】
なお、各実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできる。また、本発明は以上説明した各実施形態によって限定されることはない。
【符号の説明】
【0133】
1 制御システム
10 制御装置
11 動作モード記憶部
12 制御部
13 通信部
20、20A、20B ドア駆動部
30、30A、30B スピーカー
40、40A、40B 表示部
50、50A、50B、50C、50D 分類情報識別機器
51、51A、51B、51C、51D 通信部
52、52A、52B、52C、52D 分類情報記憶部
53、53A、53B 音声認識部
60、60A、60B フットスイッチ
200 デジタルサイネージ装置
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