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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037666
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】ハンドドライヤー
(51)【国際特許分類】
   A47K 10/48 20060101AFI20230309BHJP
   A61L 9/20 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
A47K10/48 A
A61L9/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144378
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】511116432
【氏名又は名称】株式会社バンブーケミカル研究所
(71)【出願人】
【識別番号】595170317
【氏名又は名称】西岡 守
(74)【代理人】
【識別番号】100199451
【弁理士】
【氏名又は名称】和田 隆滋
(72)【発明者】
【氏名】鶴羽 正幸
【テーマコード(参考)】
4C180
【Fターム(参考)】
4C180AA07
4C180AA10
4C180DD03
4C180GG07
4C180HH05
4C180HH19
4C180KK04
4C180LL20
4C180MM01
(57)【要約】      (修正有)
【課題】殺菌機能を有すると同時に、ハンドドライヤーとして使用しない時は、周辺空気の殺菌と空気清浄機能を兼ねたハンドドライヤーを提供する。
【解決手段】殺菌用LED付きハンドドライヤーは、本体1と、送風ノズル4と、送風発生器3と、電源供給部と、制御部16とから構成される。さらに、殺菌用LED付きハンドドライヤーは、送風ノズル4が設けられた空気吹き出し開口部と手を挿入する手挿入口14と排気及び排水のための水空気排出管13が設けられた排気排水開口部を有する手挿入空間2と、送風ノズル4から送風される空気を貯蔵する空気タンク大8と、手挿入空間2から排出される空気を殺菌するための深紫外LED7a、7b、7cと、手挿入空間2と空気タンク大8に接続されて空気の循環構造を形成する、循環用管19、空気取入れ口10、高精度フィルター11、自動切換えバルブ12a、12b、清浄空気吹き出し口20とを有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体部と、送風ノズルと、送風発生器と、駆動源としての電源供給部と、制御部とから構成されるハンドドライヤーにおいて、
空気吹き出し開口部に設けられた送風ノズルと、手を挿入する手挿入開口部と、手挿入開口部の開閉扉と、開閉扉駆動部と、排気及び排水のための空気水排出管が設けられた排気排水開口部を有する手挿入空間と、前記送風ノズルから噴出する直前に内部に貯めている空気を殺菌するLEDを配置した空気タンクと、前記排気排水部に接続され、空気と水を分離するサイクロンと、前記空気タンクに接続され循環構造を形成する循環用管と、前記手挿入空間と前記空気タンクに接続されている空気の循環構造を形成する循環用管に接続されて機器外部の空気を取入れる空気取入れ口とフィルターとで形成される給気部と、前記空気タンク内に配置されたLEDで殺菌清浄された空気を循環用管を通って機器の外に出す空気吹出し部と、前記循環構造の中に組込まれた空気取入れ側、及び空気吹出し側の各自動切換えバルブから構成されることを特徴とするハンドドライヤー。
【請求項2】
前記LEDは、前記手挿入空間に設けられる、ことを特徴とする請求項1に記載のハンドドライヤー。
【請求項3】
前記LEDは、前記空気タンクに設けられ、波長の短い深紫外線を発するLEDである、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハンドドライヤー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水道水等で手洗い後の手に付いた水を除去するハンドドライヤーに関するもので、従来の単に手に付いている水を除去する機能に加えて、ウイルス菌等の感染力の強い菌に対して殺菌、不活性化の機能を有すると同時に、ハンドドライヤーとして使用しない時は、機器周辺の空気の殺菌と空気清浄機能を兼ねた機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般的に、ハンドドライヤーは手に付いた水を除去して乾燥させる機能をもつ機器であり、手洗いの後の衛生面の促進が期待されるところである。しかし新型コロナウイルス等の感染予防には、何も効果を発揮せず、むしろ手に付いたウイルス菌を、開放状態の空間で手に空気を勢いよく吹き付けることで、周辺の広い範囲に菌をまき散らす問題が発生し、安心して使用することが出来ない課題が含まれている。また、消毒、除菌機能をもつハンドドライヤーは一部で使われる場合もあるが、これは一般的な菌を対象としたもので、新型コロナウイルスなどの強い感染力のある対象のウイルスに対しては、十分に効果を発揮しない。また、この場合でも、開放状態のまま空気を手に吹き付けているため、上記と同じく周辺の広い範囲に空気や水と一緒に菌をまき散らす問題が残る。また最近では、事務所や居室などに置いて使用するウイルス殺菌機能付きの空気清浄器も使われ始めてきたが、この機能は機器が置かれた部屋の空気の殺菌と空気清浄を行う単一の機能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-193708号公報
【特許文献2】特開2018-187233号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の場合、UVAのような長波長の紫外線を出射するUV-LEDを用いた場合であっても、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニング機構により、より確実に接水表面の殺菌・洗浄を行うことができる水取扱い物品を提供する。紫外線透過性部材の後方に配置した上記UV-LED等の紫外線光源から紫外線を出射して前記光触媒含有層を励起し、その露出表面上にOHラジカルを発生させて洗浄殺菌をおこなうようにする。
この場合、手洗いの水を除去して乾燥する際に使用するのではなく、水に手を付けての殺菌となり、結局は乾燥する時の殺菌ではない。
また、特許文献2の場合、光触媒を使用することなく、OHラジカルの強い酸化力を利用したセルフクリーニング機構により接水表面の殺菌・洗浄を行うことができる水取扱い物品を提供する。
この特許の場合は、特定の領域の裏面から紫外線を照射して、透過紫外線を前記両領域に付着した前記菌洗浄液に照射するようにする。とあるが、上記同様に手の乾燥の際の殺菌ではないので、乾燥の時の菌が付着するという問題もある。
【0005】
本発明の目的は、このようなことに鑑みてなされたものであり、水で手を洗った後の乾燥段階で、水洗い後の手にウイルス菌等がまだ、付着している可能性のある手の水を除去する時に、事前に効果的に深紫外LEDを空気タンク内で空気に照射して完全に菌を死滅させた空気を、手挿入口から挿入された密閉空間で手に送風ノズルから空気を吹き付けて、水と菌を同時に手から除去するためのハンドドライヤーとしての機能をもつ。また同時に、ハンドドライヤーとして使用していない時は、機器が設置されている周辺の空気に含まれるウイルス菌の殺菌と、空気清浄ができる機能も併せもったハンドドライヤーを提供することである。また、これまでの一般的なハンドドライヤーの場合、ハンドドライヤーとして利用者がいない時は、ハンドドライヤーは完全に停止状態である。本発明のハンドドライヤーは、このハンドドライヤーの利用者が来ない間も機器を稼動して、空気殺菌清浄化が可能な付帯機能を発揮するハンドドライヤーである。また、これまで、手に付いた水を除去する機能に加え、本発明の感染力の強いウイルス菌の殺菌、不活性化できる機能と、付帯機能としての機器が設置されている周辺の空気殺菌清浄化機能をもつハンドドライヤーは存在しなかった。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的は、例えば新型コロナウイルスの様な感染し易い菌に対して、水で手洗いの後、手に付いた水を除去しながら、確実にウイルス菌等を殺菌、不活性化する機能を有するハンドドライヤーを提供することである。更に、付帯機能として、ハンドドライヤーとして使用する人がいない間は、機器が設置されている周辺の空気中に含まれるウイルス菌の殺菌と、空気清浄もできる機能ももったハンドドライヤーを提供することである。従って、ハンドドライヤーとして手洗い後に手に付いた水を除去するための使用を優先するが、利用者がいない間は、機器が置かれている室内の空気を殺菌、空気清浄する機能も併せもつものである。
実施例として、空気タンク大8の中の空気をタンクの内部に取り付けられた深紫外LED7aで殺菌し、この空気タンク内の空気を、送風駆動部3によって空気が圧送されるが、更に送風ノズル4までの配管5経路の間に、内部に同じく取り付けられた深紫外LED7bで殺菌された空気が溜まる空気タンク小9をもつ。この空気タンク小9を通過した殺菌された空気が送風ノズル4から密閉された密閉空間2内で噴出し、この密閉空間2内に光電センサー18で利用者の手の接近を感知して、開閉扉21a,21bが開閉扉駆動部22a,22bによって開いた手挿入口14から入れられた手洗い後の水の付着した手に空気が当たって、手に着いた水を吹き落とす。送風ノズルから吹き出した空気は手に当たった後、下部の水、空気排出口13から出て、サイクロン23によって水と空気に分けられ、水は水処理部6に貯められて、この水処理部6にも深紫外LED7cが取り付けられて水が殺菌される。また一方、排出して、まだ菌が混入している可能性のある空気は、循環用管19から空気タンク大8まで接続されて戻される。その配管の途中に自動切換えバルブ12を設けて、流路の切換ができるようになっている。
この使用済みの空気を再度空気タンク大8まで循環することにより、再度深紫外LED7a、7bで殺菌されて、この空気の循環と殺菌を繰り返すことで、空気の殺菌効果を益々高めることができると同時に、菌の混入の可能性のある空気を外部に出さないことで安全である。
尚、手挿入口14のすぐ内側には、密閉空間内の空気を手と手挿入口の間にできる隙間からの外部への空気の流出を防止するためのエアーカーテン15を設け、また、手が手挿入口14に挿入されると光電センサー18の光軸を挿入された手が遮ることで手が挿入されたことを検出し、本ハンドドライヤー機器は起動状態となり、殺菌と循環の動作を開始するようになっている。ハンドドライヤーの使用が終われば手を手挿入口14から出すと、光電センサーがOFFとなり、開閉扉21a,21bが開閉扉駆動部22a,22bによって閉じられた状態で、設定時間内に機器内部の循環経路が引き続き運転状態を維持しながら、密閉空間内のLEDを含む内部の全てのLEDが空気に照射されて、機器内部の空気の殺菌が行われる。
続いて、ハンドドライヤーの利用者が来ない場合は、自動切換えバルブ12aが働いて流路が自動的に切換わり機器周辺の空気を空気取入れ口10から、高精度フィルター11を通過して空気タンク大8に流入させることができるようになっている。この空気タンク大8の中には感染力の強いウイルス菌を殺菌、又は不活性化させることができる深紫外LED7aが取り付けられて空気に照射される。この後、送風駆動部3を経由して、空気タンク小9内に入り、再度深紫外LED7bによって空気を殺菌、不活性化して、自動切換えバルブ12b,20と清浄空気吹き出し口を通って、機器外部に殺菌済みの清浄な空気が吹き出される。この様に、ハンドドライヤーとして使用しない時は、機器周辺の空気の殺菌清浄機能を発揮することで、機器の有効利用が促進できる効果がある。尚、密閉空間に挿入された手に対して深紫外LEDを直接、照射して殺菌しない理由は、直接人間の皮膚に深紫外LEDの光が照射されると安全性が保証されていないためである。さらに、安心して使用できるように密閉空間に挿入された手が目視できるように正面に透明窓17が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、例えば感染力の強い新型コロナウイルスに対して99.9%まで菌を死滅させることが可能な短波長の深紫外LEDを一定時間、手に当てる直前に空気タンクの中で空気に照射させることで、空気が殺菌されて、その空気を密閉空間に入れられた手にノズルから吹き付けて、水と菌を同時に手から除去することが可能な機能を備えたハンドドライヤーを提供することができる。
また、手に当たって回収された空気と水のうち、空気は再度、空気タンクに戻されて、空気タンクの中で、深紫外LEDによって殺菌された空気を循環させることで殺菌の度合いが増す効果があると同時に、菌を含んだ空気を外に出さず、拡散させない効果もある。また、水処理部に一旦蓄えられて深紫外LEDによって十分に殺菌された水は、安全な状態になって排水路に流される。
更に、付帯機能として、ハンドドライヤーとして使用する人がいない間は、機器が設置されている周辺の空気を機器の内部に高精度フィルターを通って取り入れて、空気タンク大、小の中に組込まれた深紫外LEDの光を空気に照射して空気に含まれるウイルス菌の殺菌と、空気が清浄化された空気を機器の外に吹き出す空気殺菌清浄機能をもったハンドドライヤーを提供することである
これは、現在、公共施設やホテル等のトイレに取り付けられているハンドドライヤーのほとんどが、開放状態の空間で空気を手に勢いよく吹き付けることで、手についた菌を周辺の広い範囲に飛散させる恐れがある理由で、使用が停止されている問題の解決につながる発明である。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの側面図
図2】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの正面図
図3】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの側面機能説明図
図4】本発明の実施形態による殺菌用LED付きハンドドライヤーの側面機能説明図
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下図1図4を用いて、本発明の実施形態による殺菌、及び空気清浄機能付きハンドドライヤーを説明する。
尚、以下の全ての図面においては、理解を容易にする為、各構成要素の寸法や比率などは、適宜異ならせて図示している。
【0010】
図1図4に示すように、本実施形態は、本体1と、手挿入空間2と、送風駆動部3と、送風ノズル4と、
前記送風駆動部と送風ノズルの間を接続する配管5と,水切りされた水を集めて処理する水処理部6と、空気タンク大8と空気タンク小9と上記水処理部6に配置された深紫外LED7a、7b、7cと、空気取入れ口10,と高精度フィルター11と、自動切換えバルブ12a、12b,と、水空気排出管13,と手挿入口14,エアーカーテン15と、制御部16,と透明窓17と、光電センサー18と、循環用管19と、清浄空気吹き出し口20と、開閉扉21a,21bと、開閉扉駆動部22a,22bと、サイクロン23で構成される。
【0011】
【産業上の利用可能性】
【0012】
本発明は産業上では日常生活において、公共施設、学校、ホテル、病院、会社内、コンビニなど巾広くトイレ付近に設置されて、手洗いの後の手の水を除去しながらウイルスの菌も死滅させた空気を利用して除去することができるハンドドライヤーとして、またハンドドライヤーとして使用していない時は空気殺菌、清浄機器としても利用でき、稼動の効率が高い機器として使用できる。
【符号の説明】
【0013】
1 本体
2 密閉空間
3 送風駆動部
4 送風ノズル
5 配管
6 水処理部
7a、7b.7c, 深紫外LED
8 空気タンク大
9 空気タンク小
10 空気取入れ口
11 高精度フィルター
12a、12b 自動切換えバルブ
13 水空気排出管
14 手挿入口
15 エアーカーテン
16 制御部
17 透明窓
18 光電センサー
19 循環用管
20 清浄空気吹き出し口
21a ,21b 開閉扉
22a,22b 開閉扉駆動部
23 サイクロン
図1
図2
図3
図4