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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037668
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】スパウト
(51)【国際特許分類】
   B65D 51/22 20060101AFI20230309BHJP
   B65D 47/06 20060101ALI20230309BHJP
   B65D 47/12 20060101ALI20230309BHJP
【FI】
B65D51/22 110
B65D47/06
B65D47/12 200
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144381
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】000175397
【氏名又は名称】三笠産業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001298
【氏名又は名称】弁理士法人森本国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小泉 直樹
(72)【発明者】
【氏名】橋本 武尚
【テーマコード(参考)】
3E084
【Fターム(参考)】
3E084AA06
3E084BA02
3E084DB12
3E084DC03
3E084EA04
3E084EB01
3E084EC03
3E084FA09
3E084FB01
3E084GA01
3E084GB01
3E084HA03
3E084HB09
3E084HC03
3E084HD04
3E084JA20
3E084KA20
3E084LA18
3E084LB02
3E084LC01
(57)【要約】
【課題】スパウト本体と中栓を、スコアを介して一体的に成型する場合にあっても、スパウトと中栓のシール性能を確実に実現する。
【解決手段】容器の口部となるスパウト本体2と、スパウト口3を覆って配置する上蓋4と、上蓋内に配置する中栓5を有し、中栓5は、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部14と、中栓天部14からスパウト口3の内部に伸びる筒状部15と、筒状部15の先端外周に形成した環状をなすフラップ16を有し、フラップ16は、筒状部15の先端から中栓天部14の側に向けて折り返した形状をなし、筒状部15の外周面から離隔する先端縁にスパウト口3の内周面に密接するシール部18を有する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器の口部となるスパウト本体と、スパウト口を覆って配置する上蓋と、上蓋内に配置する中栓を有し、
中栓は、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部と、中栓天部からスパウト口の内部に伸びる筒状部と、筒状部の先端外周に形成した環状をなすフラップを有し、
フラップは、筒状部の先端から中栓天部側に向けて折り返した形状をなし、筒状部の外周面から離隔する先端縁にスパウト口の内周面に密接するシール部を有することを特徴とするスパウト。
【請求項2】
容器の口部となるスパウト本体と、スパウト口を覆ってスパウト本体に螺子接合する上蓋と、スパウト本体と一体的に成型し、上蓋内に配置する中栓を有し、
中栓は、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部と、中栓天部からスパウト口に向けて伸びる筒状部と、筒状部の先端外周に形成した環状をなすフラップを有し、
フラップは、筒状部の先端からスパウト口の開口縁に向けて拡がり、フラップ先端縁がスコアを介してスパウト口の開口縁に接続し、フラップ先端内面にシール部を有することを特徴とするスパウト。
【請求項3】
フラップは、筒状部の外周面と同側面において、フラップ基部と筒状部の先端との境に括れ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスパウト。
【請求項4】
フラップは、筒状部の内周面と同側面において、シール部に続くフラップ基部側に括れ部を有することを特徴とする請求項1または2に記載のスパウト。
【請求項5】
上蓋とスパウト本体の螺子接合により、筒状部とフラップをスパウト口の内部に押し込み、フラップを中栓天部側に向けて折り返すとともに、フラップ先端内面を筒状部の内面側から外面側に反転させてシール部をスパウト口の内周面に密接させ、スコアを破断することを特徴とする請求項2に記載のスパウト。
【請求項6】
容器の口部となるスパウト本体に中栓を一体的に形成し、スパウト口を覆ってスパウト本体に螺子接合する上蓋内に中栓を配置し、上蓋とスパウト本体の螺子接合により、中栓の、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部と、中栓天部からスパウト口に向けて伸びる筒状部と、筒状部の先端からスパウト口の開口縁に向けて拡がる環状のフラップを一体的に押し込み、フラップ先端縁がスコアを介してスパウト口の開口縁に接続する状態で、筒状部とフラップをスパウト口の内部に押し込み、フラップを中栓天部側に向けて折り返すとともに、フラップ先端内面を筒状部の内面側から外面側に反転させてフラップ先端内面に形成したシール部をスパウト口の内周面に密接させ、スコアを破断することを特徴とするスパウトの製造方法。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スパウトに関し、中栓とスパウト本体を一体的に成型する技術に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種のスパウトには、例えば特許文献1に記載するものがある。これは、袋状容器のスパウトに関するものである。この袋状容器のスパウトは、容器に装着する溶着部と、袋状容器の内部に連通する筒状のスパウト部と、スパウト部の端部を閉塞する栓体を備えており、栓体がスパウト部の端部に破断可能な薄肉部を介して連結されている。
【0003】
栓体は、スパウト部の端部に薄肉部を介して連結された筒部と、筒部の端面を閉塞すると共に筒部の外方に延出されたつまみ用フランジと、溶着部に溶着する袋状容器の扁平方向に沿って伸びる板状突起を有している。
【0004】
また、特許文献2に記載するキャップは、容器本体の口部に装着されており、中栓とオーバーキャップを備えている。中栓は開口予定部と嵌合部と注出筒部を備え、嵌合部と注出筒部が中栓の本体部を構成する。中栓のうち、開口予定部は、底面を有する円筒状の外観を有する分離部でもあり、スコアに沿って最初の開栓の際に切り取られ、嵌合部の内周側に形成された水平壁から開口予定部が切り離されて水平壁が残ることで開口部を形成する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2014-73858
【特許文献2】WO2007/126062A1
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
一般的なスパウトでは、容器の口部となるスパウト本体と、スパウト口を塞ぐための中栓とを、スコアを介して一体的に成型するものが多い。そして、開封時にスコアの破断によって中栓をスパウトから切り離し、開封後は中栓の筒状の胴部をスパウト口内に挿入して閉栓する。この閉栓状態では、中栓の胴部の外周面がスパウト口の内周面に密接してシール性能を発揮する。
【0007】
スパウト本体と中栓を一体的に成型する場合に、樹脂成形の金型は、スパウトおよび中栓の内面に対応する内型と、スパウトおよび中栓の外面に対応する外型からなる。外型は、成型品の取り出しに障害となるアンダーカットを回避するために割型となっている。
【0008】
このため、成型品の外側面には、金型の割面に沿った部位にパーティングラインができる。
【0009】
中栓の胴部の外周面がスパウト口の内周面に密接してシール性能を確保する構造の場合には、中栓の胴部の外周面に形成されたパーティングラインがスパウト口の内周面と中栓の胴部の外周面の密接を阻害する要因となり、シール性能が損なわれる。
【0010】
本発明は、上記課題を解決するものであり、スパウト本体と中栓を、スコアを介して一体的に成型する場合にあっても、スパウトと中栓の確実なシール性能を実現できるスパウトを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明に係るスパウトは、容器の口部となるスパウト本体と、スパウト口を覆って配置する上蓋と、上蓋内に配置する中栓を有し、中栓は、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部と、中栓天部からスパウト口の内部に伸びる筒状部と、筒状部の先端外周に形成した環状をなすフラップを有し、フラップは、筒状部の先端から中栓天部側に向けて折り返した形状をなし、筒状部の外周面から離隔する先端縁にスパウト口の内周面に密接するシール部を有することを特徴とする。
【0012】
本発明に係るスパウトは、容器の口部となるスパウト本体と、スパウト口を覆ってスパウト本体に螺子接合する上蓋と、スパウト本体と一体的に成型し、上蓋内に配置する中栓を有し、中栓は、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部と、中栓天部からスパウト口に向けて伸びる筒状部と、筒状部の先端外周に形成した環状をなすフラップを有し、フラップは、筒状部の先端からスパウト口の開口縁に向けて拡がり、フラップ先端縁がスコアを介してスパウト口の開口縁に接続し、フラップ先端内面にシール部を有することを特徴とする。
【0013】
本発明に係るスパウトにおいて、フラップは、筒状部の外周面と同側面において、フラップ基部と筒状部の先端との境に括れ部を有することを特徴とする。
【0014】
本発明に係るスパウトにおいて、フラップは、筒状部の内周面と同側面において、シール部に続くフラップ基部側に括れ部を有することを特徴とする。
【0015】
本発明に係るスパウトにおいて、上蓋とスパウト本体の螺子接合により、筒状部とフラップをスパウト口の内部に押し込み、フラップを中栓天部側に向けて折り返すとともに、フラップ先端内面を筒状部の内面側から外面側に反転させてシール部をスパウト口の内周面に密接させ、スコアを破断することを特徴とする。
【0016】
本発明に係るスパウトの製造方法は、容器の口部となるスパウト本体に中栓を一体的に形成し、スパウト口を覆ってスパウト本体に螺子接合する上蓋内に中栓を配置し、上蓋とスパウト本体の螺子接合により、中栓の、外周縁が上蓋内面に掛かり合う中栓天部と、中栓天部からスパウト口に向けて伸びる筒状部と、筒状部の先端からスパウト口の開口縁に向けて拡がる環状のフラップを一体的に押し込み、フラップ先端縁がスコアを介してスパウト口の開口縁に接続する状態で、筒状部とフラップをスパウト口の内部に押し込み、フラップを中栓天部側に向けて折り返すとともに、フラップ先端内面を筒状部の内面側から外面側に反転させてフラップ先端内面に形成したシール部をスパウト口の内周面に密接させるとともに、スコアを破断させることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
以上のように本発明に係るスパウトによれば、フラップが筒状部の先端から中栓天部側に向けて折り返した形状をなし、筒状部の外周面から離隔する先端縁にスパウト口の内周面に密接するシール部を有するので、フラップが容易に弾性変形可能で、かつ弾性力によりシール部をスパウト口の内周面に確実に密接させることができ、スパウトと中栓のシール性能を確実に実現できる。
【0018】
スパウトは、フラップ先端縁がスコアを介してスパウト口の開口縁に接続する状態で、筒状部とフラップをスパウト口の内部に押し込むことで、フラップが中栓天部側に向けて折り返し、フラップ先端内面が筒状部の内面側から外面側に反転し、シール部がスパウト口の内周面に密接する。
【0019】
よって、スパウト本体と中栓の一体成型時には、シール部が割型でない一体の内型に対応し、シール部にシール性能を阻害するパーティングラインが形成されず、スパウトと中栓の確実なシール性能を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係るスパウトのセット後の状態を示す片側断面図
図2】同実施の形態に係るスパウトのセット前の状態を示す片側断面図
図3】同実施の形態に係るシール部の拡大図
図4】同実施の形態に係るスパウトの上面図
図5】同実施の形態に係るスパウトの下面図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係るスパウトの実施の形態を、図面を参照して説明する。
(スパウトの構成)
図1から図5において、スパウト1は、例えば袋状の容器(図示省略)の口部となるスパウト本体2と、スパウト本体2に形成したスパウト口3を覆って配置する上蓋4と、上蓋4の内部に配置する中栓5を有している。
【0022】
スパウト本体2は、外周面に雄ネジ6を形成した吐出部7と、容器に接続するための溶着部8を有し、スパウト口3が吐出部7と溶着部8を貫通している。
【0023】
上蓋4は、外周面にローレット9を有し、内周面に雌ネジ10を有し、スパウト本体2に雄ネジ6と雌ネジ10で螺子接合する。上蓋4の奥端側には中栓5を保持するための中栓保持部11を設けている。中栓保持部11は上蓋4の半径方向内側に突出し、上蓋4の開口側に対向する面が緩やかな傾斜面12をなし、傾斜面12と上蓋4の奥端側に対向する面とにおいて中栓5に掛かり合う。
【0024】
中栓5は、スパウト本体2と一体的に樹脂成型しており、外周縁13が上蓋内面の中栓保持部11に掛かり合う中栓天部14と、中栓天部14からスパウト口3の内部に向けて伸びる筒状部15と、筒状部15の先端外周に形成した環状をなすフラップ16を有している。
(セット前の状態)
図2に示すように、スパウト1のセット前の状態において、フラップ16は、筒状部15の先端からスパウト口3の開口縁に向けて拡がり、フラップ先端縁がスコア17を介してスパウト口3の開口縁に接続しており、フラップ先端内面にシール部18を有している。
【0025】
また、フラップ16は、筒状部15の外周面と同側面において、フラップ基部と筒状部15の先端との境に第1の括れ部19を有し、筒状部15の内周面と同側面において、シール部18に続くフラップ基部側に第2の括れ部20を有している。シール部18および第2の括れ部20はアンダーカットにならない形状とする。
【0026】
上蓋4の開口端側には封印帯21がブリッジ22を介して接続している。封印帯21は吐出部7に遊嵌し、内周面に係合部23を有している。
【0027】
スパウト本体2は、吐出部7の基部外周に被係合部25を有している。封印帯21の係合部23とスパウト本体2の被係合部25がスパウト本体2の軸心方向において係合することで、封印帯21を係止する。
(セット工程)
上蓋4とスパウト本体2の吐出部7との螺子接合により、上蓋4および封印帯21を吐出部7の基部に向けて移動させる。上蓋4は、内周面の中栓保持部11の傾斜面12で中栓天部14に掛かり合って、中栓5をスパウト本体2の軸心方向に押圧し、筒状部15とフラップ16をスパウト口3の内部に押し込む。
【0028】
また、上蓋4は、内周面の中栓保持部11が中栓天部14の外周縁を乗り越えると、上蓋4の奥端面4aが中栓天部14の天面14aに当接して、中栓5をスパウト本体2の軸心方向に押圧し、筒状部15とフラップ16をスパウト口3の内部に押し込む。
【0029】
そして、フラップ16は、フラップ先端縁がスコア17を介してスパウト口3の開口縁に接続する状態でスパウト本体2の軸心方向に押圧されるので、フラップ先端が現在位置に留まる一方で、筒状部15に接続するフラップ基部が筒状部15とともにスパウト口3の内部に押し込まれる。このとき、第1の括れ部19および第2の括れ部20がフラップ16の弾性変形を容易化する。
【0030】
この結果、筒状部15の先端からスパウト口3の開口縁に向けて拡がる環状のフラップ16を、中栓天部14の側に向けて折り返すことができ、フラップ先端内面が筒状部15の内面側から外面側に反転する。そして、フラップ先端内面に形成したシール部18がスパウト口3の内周面に密接するとともに、スコア17が破断する。
(セット後の状態)
図1に示すように、スパウト1のセット後の状態において、フラップ16は、筒状部15の先端から中栓天部14の側に向けて折り返した形状をなし、筒状部15の先端から中栓天部14の側に向けて環状に拡がり、フラップ先端が筒状部15の外周面から離隔し、フラップ先端縁にあるシール部17がフラップ16の弾性力を受けてスパウト口3の内周面に密接する。このとき、第2の括れ部20の存在よりフラップ先端の弾性変形が容易となり、スパウト口3の内周面に密接するシール部17のシール性能を十分に確保できる。
【0031】
また、上蓋4は、中栓保持部11が中栓天部14の外周縁の弾性変形により中栓天部14を乗り越えてスパウト本体2の吐出部7の先端に外嵌合し、上蓋4の奥端面4aが中栓天部14の天面14aに当接し、中栓天部14をスパウト口3の開口縁に押圧し、中栓天部14でスパウト口3を閉塞する。
【0032】
さらに、封印帯21が吐出部7の基部に遊嵌し、係合部23が被係合部25を乗り越えた位置に達する。
(開封時)
上蓋4を開栓方向に回転させると、上蓋4がスパウト本体2から離脱する方向に移動し、封印帯21の係合部23とスパウト本体2の被係合部25がスパウト本体2の軸心方向において係合して封印帯21を係止し、さらに、上蓋4がスパウト本体2から離脱する方向に移動してブリッジ22が破断する。
【0033】
さらに、螺子結合を緩めて上蓋4をスパウト本体2から離脱する方向に移動させると、中栓保持部11が中栓天部14の外周縁に掛かり合い、中栓5が上蓋4とともにスパウト本体2から離脱し、フラップ16が折り返した形状を保ったままスパウト口3から抜け出して開栓される。
【符号の説明】
【0034】
1 スパウト
2 スパウト本体
3 スパウト口
4 上蓋
4a 奥端面
5 中栓
6 雄ネジ
7 吐出部
8 溶着部
9 ローレット
10 雌ネジ
11 中栓保持部
12 傾斜面
13 外周縁
14 中栓天部
14a 天面
15 筒状部
16 フラップ
17 スコア
18 シール部
19 第1の括れ部
20 第2の括れ部
21 封印帯
22 ブリッジ
23 係合部
25 被係合部
図1
図2
図3
図4
図5