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特開2023-37684部品搭載装置および部品搭載装置におけるノズル装着方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2023037684
(43)【公開日】2023-03-16
(54)【発明の名称】部品搭載装置および部品搭載装置におけるノズル装着方法
(51)【国際特許分類】
   H05K 13/04 20060101AFI20230309BHJP
【FI】
H05K13/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2021144410
(22)【出願日】2021-09-06
(71)【出願人】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【弁理士】
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】川口 哲平
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 陽祐
(72)【発明者】
【氏名】納富 亮
【テーマコード(参考)】
5E353
【Fターム(参考)】
5E353CC03
5E353DD11
5E353EE02
5E353GG01
5E353HH11
5E353JJ11
5E353JJ28
5E353JJ48
5E353JJ52
5E353JJ54
5E353KK02
5E353KK03
5E353QQ01
(57)【要約】
【課題】ノズルの交換作業時におけるシャフトとノズルの位置合わせを精度良く行うことができるようにする。
【解決手段】ノズル22が載置されるノズルチェンジャ18と、ノズルチェンジャ18に載置されたノズル22をシャフト21の下端に装着させ、ノズル22により部品を吸着して基板に搭載する搭載ヘッド14とを備えた部品搭載装置1において、昇降シリンダ37によって上昇位置に位置された状態のノズルチェンジャ18に付されたチェンジャ位置マーク18Mを撮像し、その撮像によって得られたチェンジャ位置マーク18Mの画像に基づいてノズルチェンジャ18の位置を認識する。そして、その認識したノズルチェンジャ18に載置されたノズル22をシャフト21に装着させる。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズルが載置されるノズルチェンジャと、前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルをシャフトの下端に装着させ、前記ノズルにより部品を吸着して基板に搭載する搭載ヘッドと、を備えた部品搭載装置であって、
前記ノズルチェンジャを下降位置と上昇位置との間で昇降させる昇降手段と、
前記昇降手段によって前記上昇位置に位置された状態の前記ノズルチェンジャに付された前記ノズルチェンジャの位置認識用のマークを撮像する撮像手段と、
前記撮像手段の撮像により得られた前記マークの画像に基づいて前記ノズルチェンジャの位置を認識する認識部と、を備え、
前記搭載ヘッドは、前記認識部で位置が認識された前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルを前記シャフトに装着させる、部品搭載装置。
【請求項2】
前記ノズルチェンジャには、前記ノズルチェンジャの種類を示す識別符号が付され、前記撮像手段は前記識別符号を撮像し、前記昇降手段によって前記ノズルチェンジャを下降させた状態で前記識別符号を撮像し、前記認識部が前記ノズルチェンジャの種類を認識する、請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項3】
前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルには、そのノズルの種類を示す識別符号が付され、前記撮像手段は前記識別符号を撮像し、前記昇降手段によって前記ノズルチェンジャを下降させた状態で前記識別符号を撮像し、前記認識部が前記ノズルの種類を認識する、請求項1に記載の部品搭載装置。
【請求項4】
前記マークは前記識別符号よりも低い高さの位置に付されている、請求項2または3に記載の部品搭載装置。
【請求項5】
ノズルが載置されるノズルチェンジャと、前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルをシャフトの下端に装着させ、前記ノズルにより部品を吸着して基板に搭載する搭載ヘッドと、前記ノズルチェンジャを下降位置と上昇位置との間で昇降させる昇降手段と、を備えた部品搭載装置におけるノズル装着方法であって、
前記昇降手段によって前記上昇位置に位置された状態の前記ノズルチェンジャに付された前記ノズルチェンジャの位置認識用のマークを撮像する撮像工程と、
前記撮像工程の撮像で得られた前記マークの画像に基づいて前記ノズルチェンジャの位置を認識する認識工程と、を含み、
前記認識工程で位置を認識した前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルを前記シャフトに装着させる、部品搭載装置におけるノズル装着方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
部品を基板に搭載する部品搭載装置および部品搭載装置におけるノズル装着方法に関する。
【背景技術】
【0002】
部品搭載装置は、シャフトの下端にノズルが装着された搭載ヘッドを備えており、ノズルにより部品を吸着して基板に搭載する構成となっている。部品搭載装置は通常、交換用のノズルが載置されたノズルチェンジャを備えており、ノズルチェンジャの上方からシャフトを下降させる動作とその後に上昇させる動作を行うことにより、シャフトからノズルを取り外したり、シャフトに交換用のノズルを装着したりすることができるようになっている。
【0003】
部品搭載装置では、搭載ヘッドがノズルチェンジャの上方を通過するように移動されることがあり、その際にノズル(あるいはノズルにより吸着した部品)がノズルチェンジャに接触することがないようにするため、ノズルチェンジャは搭載ヘッドに対して比較的低い位置に設けられている。このため搭載ヘッドにおけるシャフトはノズルの交換時を考慮して、基板に部品を搭載するときに必要な実用的なストロークを超えた大きなストロークで下降できるように構成されており、これが搭載ヘッドの大型化および重量化の要因となっていた。このような搭載ヘッドの大型化・重量化を解消するため、下記特許文献1には、ノズルチェンジャをシリンダによって昇降自在な構成とし、ノズルの交換時にはシリンダによってノズルチェンジャを上昇させて搭載ヘッドに近づけることにより、ノズルの交換時におけるシャフトの下降ストロークを実用的な小さい下降ストロークに収めることができるようにした技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3371666号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
部品搭載装置では、ノズルの交換作業を開始する前にノズルチェンジャの位置の認識し、これによりノズルチェンジャに載置された各ノズルの位置を把握する必要がある。ノズルチェンジャの位置の認識は、ノズルチェンジャの上方に位置させた撮像手段によってノズルチェンジャに設けられた位置認識用のマークを上方から撮像することによって行われるが、これは特許文献1のようにシリンダでノズルチェンジャを昇降させる構成においても同様である。しかしながら、機構的な不備等によって昇降シリンダによるノズルチェンジャ(詳細にはノズルの載置面)の昇降が水平姿勢を維持した状態でなされない場合には、ノズルチェンジャに設けられたマークの位置(平面視における位置)はノズルチェンジャが下降位置に位置したときと上昇位置に位置したときとで一致せず、従来通りにノズルチェンジャが下降位置に位置した状態でノズルチェンジャの位置を認識してしまうと、実際にノズルの交換作業を行う状態でのノズルチェンジャの位置を正確に把握できなくなり、ノズルの交換作業時におけるシャフトとノズルの位置合わせを精度良く行うことができないおそれがあるという問題点があった。
【0006】
そこで本発明は、ノズルの交換作業時におけるシャフトとノズルの位置合わせを精度良く行うことができる部品搭載装置および部品搭載装置におけるノズル装着方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の部品搭載装置は、ノズルが載置されるノズルチェンジャと、前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルをシャフトの下端に装着させ、前記ノズルにより部品を吸着して基板に搭載する搭載ヘッドと、を備えた部品搭載装置であって、前記ノズルチェンジャを下降位置と上昇位置との間で昇降させる昇降手段と、前記昇降手段によって前記上昇位置に位置された状態の前記ノズルチェンジャに付された前記ノズルチェンジャの位置認識用のマークを撮像する撮像手段と、前記撮像手段の撮像により得られた前記マークの画像に基づいて前記ノズルチェンジャの位置を認識する認識部と、を備え、前記搭載ヘッドは、前記認識部で位置が認識された前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルを前記シャフトに装着させる。
【0008】
本発明の部品搭載装置におけるノズル装着方法は、ノズルが載置されるノズルチェンジャと、前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルをシャフトの下端に装着させ、前記ノズルにより部品を吸着して基板に搭載する搭載ヘッドと、前記ノズルチェンジャを下降位置と上昇位置との間で昇降させる昇降手段と、を備えた部品搭載装置におけるノズル装着方法であって、前記昇降手段によって前記上昇位置に位置された状態の前記ノズルチェンジャに付された前記ノズルチェンジャの位置認識用のマークを撮像する撮像工程と、前記撮像工程の撮像で得られた前記マークの画像に基づいて前記ノズルチェンジャの位置を認識する認識工程と、を含み、前記認識工程で位置を認識した前記ノズルチェンジャに載置された前記ノズルを前記シャフトに装着させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、ノズルの交換作業時におけるシャフトとノズルの位置合わせを精度良く行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1】本発明の一実施の形態における部品搭載装置の要部の斜視図
図2】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備える搭載ヘッドの正面図
図3】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備えるノズルチェンジャをノズルとともに示す斜視図
図4】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備えるノズルチェンジャの平面図
図5】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備えるノズルチェンジャを基板カメラとともに示す側面図
図6】本発明の一実施の形態における部品搭載装置の制御系統を示すブロック図
図7】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が備える搭載ヘッドにより部品を基板に搭載している状態を示す図
図8】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの交換作業の流れを示すメインルーチンのフローチャート
図9】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの交換作業の中のノズル取り外し作業の流れを示すサブルーチンのフローチャート
図10】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの交換作業の中のノズル装着作業の流れを示すサブルーチンのフローチャート
図11】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの取り外し作業の動作を説明する図
図12】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの取り外し作業の動作を説明する図
図13】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの取り外し作業の動作を説明する図
図14】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの取り外し作業の動作を説明する図
図15】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの取り外し作業の動作を説明する図
図16】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図17】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図18】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図19】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図20】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図21】本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図22】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図23】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図24】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図25】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
図26】(a)(b)本発明の一実施の形態における部品搭載装置が実行するノズルの装着作業の動作を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態について説明する。図1に示す部品搭載装置1は、図示しない上流側の装置(例えば半田印刷機や他の部品搭載装置)から搬入した基板KBに部品BHを装着して下流側の装置(例えば他の部品搭載装置や検査機、リフロー炉等)に搬出する装置である。本実施の形態では説明の便宜上、部品搭載装置1による基板KBの搬送方向をX方向(作業者OPから見た左右方向)とし、上下方向をZ方向とする。また、X方向と直交する水平面内方向をY方向(作業者OPから見た前後方向)とする。
【0012】
図1において、部品搭載装置1は、基台11、基板搬送部12、複数のパーツフィーダ13、搭載ヘッド14、ヘッド移動機構15、基板カメラ16、部品カメラ17、ノズルチェンジャ18および制御装置19を備えている。基台11は全体としてテーブル形状を有しており、基板搬送部12は基台11の中央部をX方向に延びて設けられている。基板搬送部12はY方向に並行に並んで配置された一対のコンベア機構から成り、上流側の装置から送られてきた基板KBを受け取ってX方向に搬送し(図1中に示す矢印A)、所定の作業位置に位置決めする。
【0013】
図1において、複数のパーツフィーダ13は基台11のY方向の端部にX方向に並んで設けられている。パーツフィーダ13は部品供給部として機能するものであり、基板搬送部12側の端部に設けられた部品供給口13Kに部品BHを連続的に供給する。パーツフィーダ13は例えばテープフィーダから成る。
【0014】
図1および図2において、搭載ヘッド14は下方に延びた複数のシャフト21を備えており、各シャフト21の下端には部品吸着用のノズル22が着脱自在に装着されている。本実施の形態では、搭載ヘッド14はX方向に4本、Y方向に2本のマトリクス状に合計で8本のシャフト21を備えているが、これは一例であり、少なくとも2本のシャフト21を備えていればよい。図2において、搭載ヘッド14は複数のシャフト21それぞれを個別に昇降させるシャフト昇降部23を備えている。
【0015】
図2および図3において、ノズル22は基部22a、管部22bおよび鍔部22cを備えている。基部22aはノズル22の上部に位置しており、上方に開口したシャフト被挿入部22vを有する円筒状の部分から成る。シャフト被挿入部22vには、搭載ヘッド14が備えるシャフト21の下端が挿入される(図2)。管部22bは基部22aから下方に延びた中空の円筒部から成る。鍔部22cは基部22aと管部22bの境の部分からXY面内に沿って延びた平板状の部分から成る。管部22b内の通路22T(図2)は基部22aのシャフト被挿入部22vに連通している。
【0016】
シャフト21に対するノズル22の装着向きは規定されている。ノズル22の鍔部22cの上面側にはそのノズル22の種類を示す識別符号としてのノズルマーク22Mが設けられており(図2および図3)、シャフト21にノズル22を装着するときには、シャフト21に対するノズルマーク22Mの向きが適切な向きとなるようにする。
【0017】
ヘッド移動機構15は例えばXYステージから成り、基台11上に設けられている。ヘッド移動機構15は搭載ヘッド14をXY面(水平面)内方向に移動させる。
【0018】
図1において、搭載ヘッド14には基板カメラ16が設けられている(図2も参照)。基板カメラ16は撮像視野を下方に向けており、搭載ヘッド14と一体となって基台11の上方をXY面内方向に移動する。基板カメラ16は基板搬送部12によって作業位置に位置決めされた基板KBの上方に位置した状態で、その基板KBの上面の対角位置に設けられた2つの基板認識用のマーク(基板マークMk。図1)それぞれを上方から撮像する。
【0019】
図1において、部品カメラ17は、基台11上の基板搬送部12とパーツフィーダ13との間の領域に設けられている。部品カメラ17は撮像視野を上方に向けており、搭載ヘッド14に保持(ノズル22に吸着)された状態で上方を通過する部品BHを下方から撮像する。
【0020】
図1において、ノズルチェンジャ18は、基台11上における部品カメラ17の隣の位置に設けられている。ノズルチェンジャ18には、交換用のノズル22が複数載置されている(図3)。
【0021】
図3において、ノズルチェンジャ18は、XY面に沿って広がる矩形のブロック状のノズル載置部31と、同じくXY面に沿って広がる矩形のブロック状のチェンジャ基部32と、Z方向にそって延びた4本の脚部33を有する。チェンジャ基部32はノズル載置部31の下方に配置されており、4本の脚部33はノズル載置部31とチェンジャ基部32それぞれの四隅同士を連結している。
【0022】
図3および図4(a),(b)において、ノズル載置部31には複数のノズル挿入孔34がX方向およびY方向にマトリクス状(本実施の形態ではX方向に8個、Y方向に2個)に設けられている。各ノズル挿入孔34はノズル載置部31を厚さ方向(Z方向)に貫通している。ノズル挿入孔34の内径は、ノズル22の管部22bの外径よりも若干大きい寸法を有している。
【0023】
図3および図4(a),(b)において、ノズル載置部31の上方にはXY面に沿った矩形のシャッタ35が設けられている。シャッタ35は板状の部材から成り、ノズル載置部31に設けられたノズル挿入孔34と同じ配置で配置された複数のノズル通過孔35Tを有している。ノズル通過孔35Tはノズル22の鍔部22cよりも大きい内径を有しており、X方向に隣接するもの同士はX方向に延びた溝部35zによって繋がっている。溝部35zの幅方向(Y方向)の寸法はノズル22の基部22aの外径より大きく、鍔部22cの外径より小さくなっている。
【0024】
図3および図4(a),(b)において、シャッタ35の複数箇所には、X方向に延びた長孔状のスライド溝35aが設けられている。これら複数のスライド溝35aそれぞれにはノズル載置部31の上面に螺入されたガイド螺子35sが挿通している。このためシャッタ35はスライド溝35aをガイド螺子35sに対して相対移動させるようにしてX方向にスライドさせることができる。
【0025】
シャッタ35はノズル載置部31に対してX方向にスライドさせることで、非規制位置と規制位置のいずれかに位置させることができる。非規制位置は平面視においてノズル通過孔35Tの中心とノズル挿入孔34の中心が一致するシャッタ35の位置である(図4(a))。規制位置は、平面視においてノズル通過孔35Tの中心とノズル挿入孔34の中心が一致しない(ノズル通過孔35Tが隣接する2つのノズル挿入孔34の間に位置する)シャッタの位置である(図4(b))。
【0026】
シャッタ35が非規制位置に位置している状態では、ノズル挿入孔34に挿入された状態のノズル22を上方に引き上げるとノズル22の鍔部22cはシャッタ35に干渉することなくノズル通過孔35Tを通り抜けるので、そのノズル22をシャッタ35の上方に抜き取ることができる。一方、シャッタ35が規制位置に位置している状態では、ノズル挿入孔34に挿入された状態のノズル22を上方に引き上げると、鍔部22cがシャッタ35と干渉するので、そのノズル22をシャッタ35の上方に抜き取ることはできない。
【0027】
ノズル22のノズル挿入孔34への挿入およびノズル挿入孔34に挿入された状態のノズル22の上方への引き抜きは、シャッタ35を非規制位置に位置させた状態(図4(a))で行うことができる。また、ノズル22がノズル挿入孔34に挿入された状態でシャッタ35を非規制位置から規制位置に位置させることによって(図4(a)→図4(b))、ノズル挿入孔34に挿入されたノズル22が上方に抜け出ないようにすることができる。
【0028】
図3および図4(a),(b)において、ノズル載置部31のY方向に対向して配置された一対の側面のうちの一方には、シャッタ駆動シリンダ36が設けられている。シャッタ駆動シリンダ36はピストンロッド(シャッタ駆動ロッド36R)がX方向に沿って延びる配置されており、シャッタ駆動ロッド36Rの端部はシャッタ35に設けられて外方に突出した連結片35Hに連結されている。このためシャッタ駆動ロッド36RがX方向に進退するようにシャッタ駆動シリンダ36を作動させることで、シャッタ35を非規制位置または規制位置に位置させてシャッタ35の位置切り替えを行うことができる。
【0029】
ノズル22がノズル挿入孔34に正しく挿入され、鍔部22cが正規の方向を向けられている状態では、そのノズル22のノズルマーク22Mはシャッタ35の溝部35z内に位置する。このためノズルマーク22Mは、シャッタ35が非規制位置に位置している場合と規制位置に位置している場合のいずれであっても、ノズルチェンジャ18の上方から視認することが可能である(図4(a),(b))。
【0030】
図3において、ノズルチェンジャ18と基台11との間には昇降手段としての昇降シリンダ37が設けられている。昇降シリンダ37はピストンロッド(昇降ロッド37R)の先端部を上方に向けた姿勢で基台11上に設けられている。ノズルチェンジャ18はその基部(チェンジャ基部32)が、昇降ロッド37Rの先端部(上端部)に取り付けられている。
【0031】
昇降シリンダ37は昇降ロッド37RをZ方向に進退させることでノズルチェンジャ18を昇降させる。これによりノズルチェンジャ18は標準の高さの位置である下降位置と、下降位置から上昇させた位置である上昇位置との間で位置切替えがなされる。ノズルチェンジャ18は、搭載ヘッド14がノズル交換作業を行うときに、昇降シリンダ37によって上昇位置に位置される(詳細は後述)。
【0032】
ここで、上記「ノズル交換作業」とは、搭載ヘッド14のシャフト21に装着されたノズル22を取り外したうえで、そのシャフト21に別のノズル22を装着する一連の作業であり、シャフト21からノズル22を取り外すノズル取り外し作業と、シャフト21に交換用の新たなノズル22を装着するノズル装着作業から成る。なお、ノズルチェンジャ18は、ノズル交換作業のうち、ノズル取り外し作業とノズル装着作業の一方のみが行われるときにも上昇位置に位置される。
【0033】
図3および図4(a),(b)において、ノズル載置部31の上面(ノズル載置面)の一の対角位置には一対のチェンジャ位置マーク18Mが設けられており、他の一の対角位置のうちの一方にはノズルチェンジャ18の種類を示す識別符号としてのチェンジャ識別マーク18Sが設けられている。チェンジャ位置マーク18Mはノズルチェンジャ18の位置認識用のマークであり、チェンジャ識別マーク18Sはノズルチェンジャ18の種類を示す識別符号である。
【0034】
図5(a),(b)において、チェンジャ位置マーク18Mは、ノズル載置部31の上面(ノズル載置面)に設けられたチェンジャ識別マーク18Sおよびノズル載置部31に載置された各ノズル22のノズルマーク22Mよりも低い高さの位置に設けられている。具体的には、チェンジャ位置マーク18Mは、ノズルチェンジャ18が上昇位置に位置したときのチェンジャ位置マーク18Mの高さが、ノズルチェンジャ18が下降位置に位置したときのチェンジャ識別マーク18Sおよびノズルマーク22Mとほぼ同じ高さとなる位置に設けられている。このため本実施の形態では、ノズルチェンジャ18を下降位置に位置させたときのチェンジャ識別マーク18Sおよびノズルマーク22Mの基板カメラ16からのZ方向距離H1(図5(a))と、ノズルチェンジャ18を上昇位置に位置させたときのチェンジャ位置マーク18Mの基板カメラ16からのZ方向距離H2(図5(b))はほぼ等しくなっている。
【0035】
図6において、部品搭載装置1が備える制御装置19は、動作制御部41、認識部42および判断部43を備えている。動作制御部41は、基板搬送部12による基板KBの搬送および位置決め動作、各パーツフィーダ13による部品BHの供給動作、搭載ヘッド14が備えるシャフト昇降部23による各シャフト21の昇降動作、ヘッド移動機構15による搭載ヘッド14の移動動作を制御する。
【0036】
また、動作制御部41は、シャッタ駆動シリンダ36の動作を制御することで、ノズルチェンジャ18のシャッタ35を非規制位置と規制位置との間で切り替える。また動作制御部41は、昇降シリンダ37の動作を制御することで、ノズルチェンジャ18の位置を下降位置と上昇位置との間で切り替える。
【0037】
また、図6において、動作制御部41は、基板カメラ16の撮像動作と部品カメラ17の撮像動作を制御する。基板カメラ16の撮像によって得られた画像データ(基板マークMkの画像データ、チェンジャ位置マーク18Mの画像データ、チェンジャ識別マーク18Sの画像データおよび各ノズル22のノズルマーク22Mの画像データ)と部品カメラ17の撮像によって得られた画像データ(部品BHの画像データ)はそれぞれ制御装置19に送信される。
【0038】
制御装置19の認識部42は、基板カメラ16の撮像によって得られた画像データに基づいて基板KBの位置を認識し、ノズルチェンジャ18の位置を認識し、ノズルチェンジャ18の種類を認識し、各ノズル22の種類を認識する。また認識部42は、部品カメラ17の撮像によって得られた画像データに基づいて部品BHを認識する。制御装置19の判断部43は、搭載ヘッド14によるノズル交換作業において、種々の判断を行う。
【0039】
このような構成の部品搭載装置1は、基板KBに部品BHを搭載する部品搭載作業を行う場合には先ず、制御装置19の動作制御部41から基板搬送部12を作動させて、上流側の装置から送られてきた基板KBを受け取って搬入する。そして、所定の作業位置に基板KBを位置決めする。そして、搭載ヘッド14を移動させ、基板カメラ16に、作業位置に位置決めされた基板KBに設けられた2つの基板マークMkを撮像させる。制御装置19の認識部42は、基板カメラ16の撮像によって得られた画像に基づいて基板KBの位置を認識する。
【0040】
作業位置に位置決めした基板KBを認識したら、部品搭載装置1はパーツフィーダ13を作動させて部品供給口13Kに部品BHを供給させつつヘッド移動機構15を作動させることによって、搭載ヘッド14に部品移載動作を繰り返し行わせる。部品移載動作は、パーツフィーダ13が供給する部品BHをノズル22によりピックアップする部品ピックアップ動作と、ピックアップした部品BHを部品カメラ17に撮像させた後、その部品BHを基板KBに搭載する部品移載動作(図7)から成る。部品移載動作では、部品カメラ17が部品BHを撮像して得られる部品BHの認識結果が利用され、基板KBに部品BHを搭載する際のノズル22の位置等が補正される。
【0041】
このように本実施の形態における部品搭載装置1では、搭載ヘッド14がノズル22により部品BHを吸着して基板KBに搭載する構成となっている。部品搭載装置1は、搭載ヘッド14による部品移載動作を繰り返し実行することによってその基板KBに装着すべき部品BHを装着したら、基板搬送部12を作動させて基板KBを下流側に搬出する。これにより基板KBの1枚当たりの部品搭載作業が終了する。
【0042】
次に、部品搭載装置1におけるノズル22の交換作業の手順について説明する。図8はノズルの交換作業の流れを示すメインルーチンのフローチャートであり、図9および図10はノズルの交換作業の中のサブルーチンのフローチャートである。
【0043】
図8に示すように、ノズル22の交換作業では、部品搭載装置1の動作制御部41は先ず、ヘッド移動機構15により搭載ヘッド14をノズルチェンジャ18の上方で移動させて、ノズルチェンジャ18に設けられたチェンジャ識別マーク18Sと、ノズルチェンジャ18に載置された各ノズル22のノズルマーク22Mを、基板カメラ16に撮像させる(ステップST1。図5(a))。
【0044】
基板カメラ16の撮像によってチェンジャ識別マーク18Sの画像と各ノズル22のノズルマーク22Mの画像が得られたら、部品搭載装置1の認識部42は、得られたチェンジャ識別マーク18Sの画像に基づいて、ノズルチェンジャ18の種類を認識する。また、認識部42は、得られた各ノズル22のノズルマーク22Mの画像に基づいて、各ノズル22の種類を認識する(ステップST2)。
【0045】
上記のステップST1およびステップST2の時点において、ノズルチェンジャ18は標準の高さの位置である下降位置に位置されている。また、ノズルチェンジャ18のシャッタ35は規制位置に位置されている(図4(b))。シャッタ35が下降位置に位置されているのは、ノズルチェンジャ18の種類の認識と各ノズル22の種類の認識は、搭載ヘッド14がノズル22の交換作業に入る前(ノズルチェンジャ18を上昇位置に位置させる前)に行う必要があるからである。また、シャッタ35が規制位置に位置されているのは、ノズルチェンジャ18に対してノズル22が着脱される可能性のない間はシャッタ35を規制位置に位置させておく方が、ノズルチェンジャ18からノズル22が脱落することを防止できる面で好ましいからである。
【0046】
ステップST2で認識部42がノズルチェンジャ18の種類と各ノズル22の種類を認識したら、動作制御部41は昇降シリンダ37を作動させて、ノズルチェンジャ18を上昇させる(ステップST3)。これによりノズルチェンジャ18が上昇位置に位置したら、動作制御部41は搭載ヘッド14を移動させて、ノズルチェンジャ18に設けられた2つのチェンジャ位置マーク18Mを基板カメラ16に順次撮像させる(ステップST4の撮像工程。図5(b))。
【0047】
ステップST4の撮像工程において2つのチェンジャ位置マーク18Mそれぞれの画像が得られたら、認識部42はその得られた2つのチェンジャ位置マーク18Mの画像に基づいて、ノズルチェンジャ18の位置を認識する。また認識部42は、認識したノズルチェンジャ18の位置に基づいて、ノズルチェンジャ18に載置された各ノズル22の位置を認識する(ステップST5の認識工程)。
【0048】
このように本実施の形態における部品搭載装置1では、昇降シリンダ37によってノズルチェンジャ18を上昇位置に位置させた状態(すなわち実際にノズル交換作業が行われる状態)で基板カメラ16がチェンジャ位置マーク18Mを撮像するようになっている。このため昇降ロッド37Rが正確に上下方向(Z方向)を向いていない場合等、ノズルチェンジャ18におけるノズル22の載置面(ノズル載置部31)が水平姿勢を維持した状態で昇降しない状況であってもその影響を除去してノズルチェンジャ18の位置(ひいてはノズルチェンジャ18に載置された各ノズル22の位置)を正確に把握することができる。
【0049】
ここで、前述したように、チェンジャ位置マーク18Mは、ノズルチェンジャ18に設けられた識別符号(チェンジャ識別マーク18Sおよびノズルチェンジャ18に載置された各ノズル22のノズルマーク22M)の高さよりも低い高さの位置に設けられており、ノズルチェンジャ18を下降位置に位置させたときの識別符号の基板カメラ16からのZ方向距離H1と、ノズルチェンジャ18を上昇位置に位置させたときのチェンジャ位置マーク18Mの基板カメラ16からのZ方向距離H2とは、ほぼ等しくなっている(図5(a),(b))。このため撮像手段である基板カメラ16は、ノズルチェンジャ18の位置認識用のマーク(チェンジャ位置マーク18M)と識別符号(チェンジャ識別マーク18Sおよびノズルマーク22M)とをほぼ同じ焦点距離で撮像することが可能である。
【0050】
ステップST5の認識工程において、認識部42がノズルチェンジャ18の位置とノズルチェンジャ18に載置された各ノズル22の位置を認識したら、動作制御部41はシャッタ駆動シリンダ36を作動させて、ノズルチェンジャ18のシャッタ35を非規制位置に切り替える(ステップST6。図4(b)→図4(a))。シャッタ35が非規制位置に切り替わったら、動作制御部41は、ノズル22の取り外し作業を実行する(ステップST7)。
【0051】
図9に示すように、ノズル22の取り外し作業では、先ず、シャフト21から取り外そうとしているノズル22の位置合わせを行う(ステップST21)。このノズル22の位置合わせは、取り外そうとしているノズル22を、そのノズル22の載置場所に対応するノズル挿入孔34の上方に位置させることによって行う(図11(a))。ノズル挿入孔34に対するノズル22の位置合わせが終了したらシャフト昇降部23を作動させて、シャフト21を下降させる(ステップST22。図11(b)中に示す矢印B)。これによりノズル22の管部22bは、ノズル載置部31のノズル挿入孔34に上方から挿入される(図11(b))。なお、図11(a),(b)およびそれ以降の図において示す搭載ヘッド14のシャフト21は、搭載ヘッド14が有している8本のシャフト21のうちの一部(2本)を示したものである。
【0052】
動作制御部41は、シャフト21を下降させることによってノズル22の管部22bをノズル挿入孔34に挿入させたら、シャッタ駆動シリンダ36を作動させて、ノズルチェンジャ18のシャッタ35を規制位置に切り替える(ステップST23。図4(a)→図4(b))。そして、シャフト昇降部23を作動させて、シャフト21を上昇させる(ステップST24。図12(a)中に示す矢印C)。
【0053】
シャフト21が上昇するときノズル22はシャフト21と一緒に上昇しようとするが、そのノズル22の鍔部22cはシャッタ35に下方から当接するので、ノズル22はそれ以上の上方への移動が規制され、シャフト21のみが上方に移動する。これによりノズル22はノズルチェンジャ18内にとどまり、シャフト21から引き抜かれて、ノズルチェンジャ18のノズル載置部31の上面(ノズル載置面)に載置された状態となる(図12(a))。
【0054】
ノズル22がシャフト21から引き抜かれたら、動作制御部41はシャッタ駆動シリンダ36を作動させて、シャッタ35を非規制位置に切り替える(ステップST25。図4(b)→図4(a))。これにより次のノズル22の取り外しの準備がなされる。
【0055】
シャッタ35を非規制位置に切り替えられたら、判断部43は、ほかに取り外すべきノズル22があるか否かを判断する(ステップST26)。そして、ほかに取り外すべきノズル22があると判断した場合には、次いで、搭載ヘッド14を水平方向に移動させるかどうかを判断する(ステップST27)。
【0056】
ここで、搭載ヘッド14を水平方向に移動させるかどうかの判断は、次に取り外そうとしているノズル22がその載置場所に対応するノズル挿入孔34の上方に位置しているかどうかに基づいて行う。すなわち、次に取り外そうとしているノズル22が載置場所に対応するノズル挿入孔34の上方に位置していなかった場合にはノズル22の位置合わせを行う必要があるため搭載ヘッド14を水平方向に移動させると判断し、次に取り外そうとしているノズル22が載置場所に対応するノズル挿入孔34の上方に位置していた場合には(図12(b))、ノズル22の位置合わせを改めて行う必要はないため、搭載ヘッド14を水平方向に移動させないと判断する。
【0057】
次に取り外そうとしているノズル22が載置場所に対応するノズル挿入孔34の上方に位置しており(図12(b))、ステップST27で、判断部43が搭載ヘッド14を水平方向に移動させないと判断した場合には、ステップST22に戻ってシャフト21を下降させ(図13(a)中に示す矢印D)、ノズル22の管部22bをノズル挿入孔34に挿入させる(図13(a))。そして、ステップST23→ステップST24と進み、ノズル22をノズルチェンジャ18から引き抜く(図13(b)中に示す矢印E)。
【0058】
一方、次に取り外そうとしているノズル22が載置場所に対応するノズル挿入孔34の上方に位置しておらず(図14(a))、ステップST27で搭載ヘッド14を水平方向に移動させると判断した場合には、動作制御部41は搭載ヘッド14を水平方向に移動させて(図14(b)中に示す矢印F)、ノズル挿入孔34に対するノズル22の位置合わせを行う(ステップST28。図14(b))。
【0059】
ここで、ステップST21およびステップST27において、ノズル22の位置合わせする際に把握しているノズル挿入孔34の位置は、ステップST4の撮像工程とステップST5の認識工程を経て認識したノズルチェンジャ18の位置、すなわち、実際にノズル交換作業が行われる位置(上昇位置)で把握されたものであるので極めて正確である。このため本実施の形態では、ノズル挿入孔34に対するノズル22の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0060】
動作制御部41は、ノズル22の位置合わせが終わったら、シャフト21を下降させて(ステップST22。図15(a)中に示す矢印G)、ノズル22の管部22bをノズル載置部31のノズル挿入孔34に挿入させる(図15(a))。そして、ステップST23→ステップST24と進み、ノズル22をノズルチェンジャ18から引き抜く(図15(b)中に示す矢印H)。
【0061】
このような一連の工程(ステップST21→ステップST22→・・・ステップST28)を繰り返すことによって、取り外すべきノズル22が全て取り外されたら、最後にノズル22が取り外されたすぐ後のステップST26において、ノズル22を取り外すべきシャフト21はなくなったと判断する。そして、ステップST26でノズル22を取り外すべきシャフト21はなくなったと判断したら、ステップST7のサブルーチンを終了して、メインルーチン(図8)に戻る。
【0062】
動作制御部41は、ノズルの取り外し作業(ステップST7)を終了してメインルーチンに戻ったら、続いて、ノズル22の装着作業を実行する(ステップST8のノズル装着工程)。
【0063】
図10はステップST8の流れ(サブルーチン)を示すフローチャートである。図10に示すように、ノズル22の装着作業では、先ず、ノズル22を装着しようとしているシャフト21の位置合わせを行う(ステップST31)。このシャフト21の位置合わせは、ノズル22を装着しようとしているシャフト21を、装着対象となっているノズル22の上方に位置させることによって行う(図16(a))。動作制御部41は、ノズル22に対するシャフト21の位置合わせが終了したら、シャフト21を下降させる(ステップST32。図16(b)中に示す矢印J)。そして、シャフト21の下端を装着対象となっているノズル22のシャフト被挿入部22vに上方から挿入させることによって、シャフト21にノズル22を装着する(図16(b))。
【0064】
動作制御部41は、シャフト21にノズル22を装着したら、シャフト21を上昇させる(ステップST33。図17(a)中に示す矢印K)。これによりノズル22はシャフト21の下端に装着された状態で、ノズルチェンジャ18から上方に引き抜かれる(図17(a))。このように本実施の形態において、搭載ヘッド14は、認識部42で位置が認識されたノズルチェンジャ18に載置されたノズル22をシャフト21に装着させるようになっている。
【0065】
また、本実施の形態では、搭載ヘッド14のシャフト昇降部23は、昇降手段である昇降シリンダ37によって上昇位置に位置された状態のノズルチェンジャ18に載置されたノズル22をシャフト21の下端に装着させてノズルチェンジャ18の上方に引き抜く(詳細には、ノズルチェンジャ18の上方からシャフト21を下降させた後に上昇させることによってシャフト21の下端にノズル22を装着させ、その装着させたノズル22をノズルチェンジャ18の上方に引き抜く)ようになっている(ステップST32およびステップST33)。これらステップST32およびステップST33は、本実施の形態において、昇降シリンダ37によって上昇位置に位置された状態のノズルチェンジャ18に載置されたノズル22をシャフト21の下端に装着させてノズルチェンジャ18の上方に引き抜くノズル引き抜き工程となっている。
【0066】
シャフト21の上昇によってノズル22がノズルチェンジャ18から引き抜かれたら、判断部43は、ほかにノズル22を装着すべきシャフト21があるか否かを判断する(ステップST34)。そして、ほかにノズル22を装着すべきシャフト21がないと判断した場合にはステップST8のサブルーチンを終了してメインルーチン(図8)に復帰する。一方、ステップST34において、ほかにノズル22を装着すべきシャフト21があると判断した場合には、次いで、搭載ヘッド14を水平方向に移動させるかどうかを判断する(ステップST35)。
【0067】
ここで、搭載ヘッド14を水平方向に移動させるかどうかの判断は、次にノズル22を装着しようとしているシャフト21がそのシャフト21の装着対象となっているノズル22の上方に位置しているか否かに基づいて行う。すなわち、次にノズル22を装着しようとしているシャフト21が装着対象となっているノズル22の上方に位置していなかった場合にはシャフト21の位置合わせを行う必要があるため搭載ヘッド14を水平方向に移動させると判断し、次にノズル22を装着しようとしているシャフト21が装着対象となっているノズル22の上方に位置していた場合には(図17(a))、シャフト21の位置合わせを行う必要はないため、搭載ヘッド14を水平方向に移動させないと判断する。
【0068】
ステップST35において、判断部43が搭載ヘッド14を水平方向に移動させないと判断した場合にはステップST32に戻り、次にノズル22を装着しようとするシャフト21を下降させて(図17(b)中に示す矢印L)、シャフト21にノズル22を装着する(図17(b))。動作制御部41は、シャフト21にノズル22を装着したら、シャフト21を上昇させる(ステップST33。図18中に示す矢印M)。これによりノズル22はシャフト21の下端に装着された状態で、ノズルチェンジャ18から引き抜かれる(図18)。
【0069】
一方、判断部43は、ステップST35で搭載ヘッド14を水平方向に移動させると判断した場合には、シャフト21の上昇ストロークに余裕があるか否かの判断を行う(ステップST36)。ここで、シャフト21の上昇ストロークに余裕がある場合とは、部品搭載装置1が通常の部品搭載作業において各シャフト21に設定されている最大の上昇ストロークよりも更に一定のストロークだけ引き上げる(上昇させる)ことができるようになっている場合をいう。
【0070】
このステップST36において、判断部43が、シャフト21の上昇ストロークに余裕があると判断した場合には、ノズル22が装着されたシャフト21をより高く上昇させる(ステップST37。図17(a)→図19(a)。図19(a)中に示す矢印N)。そして、搭載ヘッド14を水平方向に移動させることによって(ステップST38。図19(b)中に示す矢印P)、シャフト21を位置合わせする(図19(b))。
【0071】
動作制御部41は、シャフト21を位置合わせしたら、ステップST32に戻ってシャフト21を下降させる(図20(a)中に示す矢印Q)。これによりシャフト21にノズル22が装着したら(図20(a))、シャフト21を上昇させる(ステップST33。図20(b)。図中に示す矢印R)。そして、ほかにノズル22を装着すべきシャフト21があり(ステップST34において「Y」)、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる場合には(ステップST35において「Y」)、ステップST36を経たステップST37において、ノズル22が装着されたシャフト21をより高く上昇させる(図21。図中に示す矢印S)。
【0072】
一方、ステップST36において、シャフト21の上昇ストロークに余裕がないと判断した場合には、ノズルチェンジャ下降判断を行う(ステップST39)。ステップST39のノズルチェンジャ下降判断では、次のシャフト21にノズル22を装着させるために必要な搭載ヘッド14の水平方向への移動距離KR(図22(a))が所定の基準距離以下であるか否かに基づいて、移動距離KRが基準距離以下であればノズルチェンジャ18を下降させる必要はないと判断し、移動距離KRが基準距離を上回っている場合にはノズルチェンジャ18を下降させる必要があると判断する。
【0073】
ここで、上記「基準距離」とは任意の微小な距離であり、例えば、ノズル22の管部22bの直径相当の距離等である。そして、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる際の移動距離KRが所定の基準距離以下であればノズルチェンジャ18を下降させる必要はないと判断するのは、搭載ヘッド14の移動距離KRが微小量であるならば、シャフト21に装着させた状態でノズルチェンジャ18の上方に引き抜いたノズル22の下端とノズルチェンジャ18の上面(詳細にはシャッタ35の上面)との間の距離が近接していても、ノズル22とノズルチェンジャ18とが干渉するおそれは極めて小さいと考えられるからである。
【0074】
ステップST39において、判断部43がノズルチェンジャ18を下降させる必要がないと判断した場合(搭載ヘッド14の移動距離KRが基準距離以下であると判断した場合)には、ノズルチェンジャ18を下降させることなく(下降位置に位置させることなく)搭載ヘッド14を水平方向に移動させ(ステップST38。図22(b)中に示す矢印T)、シャフト21を位置合わせしたうえで(図22(b))、ステップST32においてシャフト21を下降させる(図23(a)中に示す矢印U)。これによりシャフト21にノズル22が装着したら(図23(a))、シャフト21を上昇させる(ステップST33。図23(b)。図中に示す矢印V)。
【0075】
一方、ステップST39において、判断部43がノズルチェンジャ18を下降させる必要があると判断した場合(搭載ヘッド14の移動距離KRが基準距離を上回ると判断した場合)には、ノズルチェンジャ18の上方に引き抜いたノズル22とノズルチェンジャ18との干渉を確実に避けるため、ノズルチェンジャ18を一旦下降させたうえで(ステップST40。図24(a)→図24(b)。図24(b)中に示す矢印W1)、搭載ヘッド14を水平方向に移動させることによって(図25(a)中に示す矢印X)、シャフト21の位置合わせを行う(ステップST41。図25(a))。そして、ノズルチェンジャ18を上昇させたうえで(ステップST42。図25(b)中に示す矢印W2)、ステップST32に戻る。そして、シャフト21を下降させて(図26(a)中に示す矢印Y)、シャフト21にノズル22を装着させる(図26(a))。シャフト21にノズル22が装着したら、シャフト21を上昇させる(ステップST33。図26(b)。図中に示す矢印Z)。
【0076】
このように図10におけるステップST39は、ステップST32およびステップST33のノズル引き抜き工程においてノズル22をノズルチェンジャ18から引き抜いた後、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる前に、ノズルチェンジャ18を下降させる必要があるか否かを判断する判断工程となっている。
【0077】
また、上記のステップST38とステップST41は、ステップST39の判断工程においてノズルチェンジャ18を下降させる必要はないと判断した場合にはノズルチェンジャ18を下降させることなく搭載ヘッド14を水平方向に移動させ、判断工程においてノズルチェンジャ18を下降させる必要があると判断した場合には昇降シリンダ37によりノズルチェンジャ18を下降させてから搭載ヘッド14を水平方向に移動させる水平方向移動工程となっている。
【0078】
ここで、ステップST31、ステップST38およびステップST41において、ノズル22に対してシャフト21を位置合わせする際に把握しているノズル22の位置は、ステップST4の撮像工程とステップST5の認識工程を経て認識したノズルチェンジャ18の位置、すなわち、実際にノズル交換作業が行われる位置(上昇位置)で把握されたものであるので極めて正確である。このため本実施の形態では、シャフト21とノズル22の位置合わせを精度良く行うことができる。
【0079】
このように、本実施の形態の部品搭載装置1(部品搭載装置1におけるノズル装着方法)は、昇降シリンダ37によって上昇位置に位置された状態のノズルチェンジャ18に載置されたノズル22をシャフト21の下端に装着させてノズルチェンジャ18の上方に引き抜いた後(ステップST32およびステップST33)、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる前に(ステップST35において「Y」)、ノズルチェンジャ18を下降させる必要があるか否かを判断するようになっている(ステップST39)。そして、ノズルチェンジャ18を下降させる必要がないと判断した場合には、ノズルチェンジャ18を下降させることなく搭載ヘッド14を水平方向に移動させ(ステップST38。図19(b)中に示す矢印P)、ノズルチェンジャ18を下降させる必要があると判断した場合には、昇降シリンダ37によりノズルチェンジャ18を下降させてから(ステップST40。図24(b)中に示す矢印W1)、搭載ヘッド14を水平方向に移動させるようになっている(ステップST41。図25(a)中に示す矢印X)。
【0080】
このように本実施の形態における部品搭載装置1では、ノズル22の装着作業において、シャフト昇降部23によってノズル22がノズルチェンジャ18から引き抜かれた後、ノズルチェンジャ18を下降させる必要がある場合には、ノズルチェンジャ18を下降させてから搭載ヘッド14を水平方向に移動させるようになっているので、ノズル22の装着作業において、搭載ヘッド14を水平方向に移動させた際に、ノズル22の下端がノズルチェンジャ18と干渉する事態を防止することができる。
【0081】
図10のノズル装着作業におけるステップST31→・・・ステップST42の工程を繰り返すことによって、装着すべきノズル22が全て装着されたら、最後にノズル22が装着されたすぐ後のステップST34において、ほかにノズル22を装着すべきシャフト21はないと判断される。そして、その判断がなされたら、動作制御部41はステップST8のサブルーチンを終了して、メインルーチン(図8)に戻る。
【0082】
動作制御部41は、ノズル装着作業が終了してメインルーチンに戻ったら、ノズルチェンジャ18のシャッタ35を規制位置に切り替える(ステップST9。図4(a)→図4(b))。そして、昇降シリンダ37を作動させてノズルチェンジャ18を上昇位置から下降位置に位置させたうえで(ステップST10)、搭載ヘッド14をノズルチェンジャ18の上方から移動させる(ステップST11)。これによりノズル22の交換作業が終了する。
【0083】
以上説明したように、本実施の形態における部品搭載装置1(部品搭載装置1におけるノズル装着方法)では、ノズルチェンジャ18を昇降シリンダ37によって昇降させることができる構成において、昇降シリンダ37によってノズルチェンジャ18を上昇位置に位置させた状態のノズルチェンジャ18に付されたノズルチェンジャ18の位置認識用のマーク(チェンジャ位置マーク18M)を撮像し、その撮像によって得られたチェンジャ位置マーク18Mの画像に基づいてノズルチェンジャ18の位置を認識するようになっている。
【0084】
このため本実施の形態における部品搭載装置1(部品搭載装置1におけるノズル装着方法)によれば、ノズルチェンジャ18を上昇位置に位置させることによってシャフト21の下降ストロークを短くできる利点を得つつ、ノズル22の交換作業時において、昇降ロッド37Rが正確に上下方向(Z方向)を向いていない場合等、ノズルチェンジャ18におけるノズル22の載置面(ノズル載置部31)が水平姿勢を維持した状態で昇降しない状況であってもその影響を除去してノズルチェンジャ18の位置(ひいてはノズルチェンジャ18に載置された各ノズル22の位置)を正しく認識することができる。このためノズルチェンジャ18の位置を正確に把握することができ、ノズル22の交換作業時におけるシャフト21とノズル22の位置合わせを精度良く行うことが可能である。
【0085】
これまで本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上述したものに限定されず、種々の変形等が可能である。例えば、搭載ヘッド14が備えるシャフト21の本数や配置およびノズルチェンジャ18が備えるノズル挿入孔34の個数や配置等は上述の実施の形態に示したものに限定されない。また、ノズルチェンジャ18を昇降させる昇降手段はシリンダ(昇降シリンダ37)に限定されず、モータを用いた構成であってもよい。
【0086】
また、上述の実施の形態では、シャフト昇降部23によってノズル22がノズルチェンジャ18から引き抜かれた後、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる前に行うノズルチェンジャ18を下降させる必要があるか否かの判断を、搭載ヘッド14を水平方向に移動させる際の移動距離KRが基準距離以下であるか否かを基準に判断していたが、その他の基準を用いて判断するようにしてもよい。
【0087】
また、上述の実施の形態では、昇降手段(昇降シリンダ37)によって上昇位置に位置された状態のノズルチェンジャ18に付されたノズルチェンジャ18の位置認識用のマーク(チェンジャ位置マーク18M)を撮像する撮像手段は基板カメラ16であり、搭載ヘッド14に設けられていたが、撮像手段は必ずしも搭載ヘッド14に設けられていなくてもよい。
【0088】
また、上述の実施の形態では、ノズルチェンジャ18の位置認識用のマーク(チェンジャ位置マーク18M)と識別符号(ノズルチェンジャ18の種類を示す識別符号であるチェンジャ識別マーク18Sおよびノズル22の種類を示す識別符号であるノズルマーク22M)とを同じ撮像手段(基板カメラ16)で撮像できるようにするための構成として、ノズルチェンジャ18の位置認識用のマークが識別符号よりも低い高さの位置に付される構成となっていたが、撮像手段の焦点深度を大きくすること、或いは焦点位置を上下方向に可変にできる構成とすることにより、より高い設計自由度で、ノズルチェンジャ18の位置認識用のマークと識別符号の双方を撮像できるようにすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0089】
ノズルの交換作業時におけるシャフトとノズルの位置合わせを精度良く行うことができる部品搭載装置および部品搭載装置におけるノズル装着方法を提供する。
【符号の説明】
【0090】
1 部品搭載装置
14 搭載ヘッド
16 基板カメラ(撮像手段)
18 ノズルチェンジャ
18M チェンジャ位置マーク(マーク)
18S チェンジャ識別マーク(識別符号)
21 シャフト
22 ノズル
22M ノズルマーク(識別符号)
37 昇降シリンダ(昇降手段)
42 認識部
BH 部品
KB 基板
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26